(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、前記整形外科インプラントを付加構築する工程が、前記金属の粉末、粒子、顆粒、ワイヤー、断片又はそれらの組合せを前記整形外科インプラントの形状に融解する工程又は焼結する工程を備える、方法。
請求項1に記載の方法において、前記整形外科インプラントを付加構築する工程、及び、任意の順序で、前記整形外科インプラントを応力除去する工程、及び前記整形外科インプラントの1つ又は複数の表面を侵食する工程を備える、方法。
請求項8に記載の方法において、前記整形外科インプラントを応力除去する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の前に起こる、方法。
請求項8に記載の方法において、前記整形外科インプラントを応力除去する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の後に起こる、方法。
請求項12に記載の方法において、前記微粒子デブリが、部分的に又は完全に非融解又は非焼結の、前記金属の粉末、粒子、顆粒、ワイヤー、断片又はそれらの組合せを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の態様に関する種々の用語は、明細書及び特許請求の範囲のあらゆる箇所で使用される。そのような用語は、別段の指示がない限り、当該技術分野でのそれらの通常の意味が与えられるべきである。他の特に定義された用語は、本明細書で与えられた定義と矛盾しないように解釈されるべきである。
【0017】
本明細書で使用するように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、明白にそうではないと述べられていない限り、複数の指示物を含む。
「患者」は任意の動物でよく、ペット動物、実験動物、及び非人類霊長類などの哺乳類を含む。好適には人間である。
【0018】
整形外科インプラントを「垂直に」付加構築する工程は、付加製作プロセスの間に、骨に対して接触しないインプラントの表面で構築が始まることを意味しており、骨接触表面は、付加的に積まれた層の1つ又はそれ以上のエッジから得られるようになる。例として、しかし限定ではないが、整形外科インプラントの頂部又は底部の表面が、骨に対して接触することが意図されているが、インプラントの側面は骨に対して接触することが意図されていない場合、その時はインプラントの側面の1つで構築が始まり、骨接触する頂部及び底部は、層が堆積されるにつれて生じる。垂直な付加製作は、整形外科インプラントを「水平に」付加構築する工程と対照的である。
図1及び
図2は付加プロセスを示しており、インプラントは前から後の方向(
図1)又は後から前の方向(
図2)に製造され、そのため骨接触表面(10、20)はインプラントが付加的に製作される時には「側面」であるが、前面(40)及び後面(50)は骨接触表面ではない。
【0019】
整形外科インプラントを「水平に」付加構築する工程は、付加製作プロセスの間に、骨接触表面で構築が始まることを意味する。例として、しかし限定ではないが、整形外科インプラントの頂部又は底部の表面が、骨に対して接触することが意図されているが、インプラントの側面は骨に対して接触することが意図されていない場合、その時は水平の付加製作では、骨接触の頂部又は底部のいずれかの層で構築が始まる。
図3は付加プロセスを示し、インプラントは頂部から底部への方向で製造され、それにより骨接触表面(10、20)は、付加製作の開始時は底部であり、また付加製作が終了する時は頂部であり、前面(40)及び後面(50)は骨接触表面ではないが、インプラントが付加的に製作される際の「側面」である。
【0020】
本明細書で使用するように、「骨誘導」及び「骨誘導する」は、骨形成の誘導又は開始を意味し、処理された(例えば、機械的及び/又は化学的に侵食された)骨接触表面及び/又は処理された(例えば、機械的及び/又は化学的に侵食された)整形外科インプラントの自由表面への未成熟間葉系幹細胞の動員、その後に続くこれらの幹細胞の前骨芽細胞への表現型の進行及び分化、及びさらなる前骨芽細胞の骨芽細胞への表現型の進行及び分化を含む。
【0021】
「骨形成」は骨基質の形成及び発生を含む。
インプラントの付加構築、その後に続くインプラントのいくつかの外表面及び内表面の侵食は骨誘導を増強する表面を有するインプラントを製造することが、本発明によって認められてきた。付加形成の方向がこの増強に対してさらに影響を与え得ることがさらに認められ、垂直付加構築は水平付加構築よりも著しい改善を示す。付加的に製造され、その後に続くサブトラクティブな処理(例えば侵食)を受けたインプラントの表面は、骨誘導を促進し、最終的には、インプラントと隣接した骨との一体化を支持し促進する。如何なる特定の理論又は作用機序に制限される意図はないが、この方法で製造された整形外科インプラントの表面は、より大きな間葉系幹細胞の前骨芽細胞への分化及び進行、及び前骨芽細胞の骨芽細胞へのさらなる分化及び進行を支持することが考えられる。そのような分化は、例えば、in vivoでの骨形成に関連する増殖因子のより多くの製造により特徴付けられる。付加構築とその後に続く機械的及び/又は化学的(例えば、酸)侵食により製造された整形外科インプラント表面は、骨又は骨移植材料との直接の接触が不在である場合も、その表面からの骨成長を支持すると考えられる。
【0022】
本発明の方法に従う付加製作と侵食との組合せは、マクロスケール構造的形体、ミクロスケール構造的形体、及びナノスケール構造的形体を生じさせる。マクロスケール構造的形体は、移植に際してのインプラントの初期安定性を容易にして改善し、ミクロ構造的形体及びナノスケール構造的形体は、細胞及び分子の反応を改善して容易にすると考えられる。たいていは、付加製作工程は、細胞レベルでは、細胞及び分子の反応を誘起しない表面を生じさせ、これは、その表面の構造的形体が細胞を活性化、分化又はその表現型の変更に誘起するために細胞によって十分に認識されるには規模において大きすぎるためである。このことは、ある程度、粒径及び層の厚さの限界に起因すると考えられる。ミクロ構造的形体及びナノスケール構造的形体を創り出す、付加的に製造された表面の侵食は、骨成長反応を活性化するために十分であると細胞(例えば、間葉系幹細胞、前骨芽細胞)によって認識され得るミクロ構造を確立すると考えられる。このミクロ構造が構築方向(例えば水平構築対垂直構築)によって影響されると考えられる。
【0023】
通常、本発明によるインプラント製作は、インプラント本体を付加製作プロセスを通して製造する基本工程、及び次いで、インプラント本体の1つ又は複数の表面を微細化する基本工程を備え、ミクロスケール構造的形体及びナノスケール構造的形体を備える骨成長を刺激する表面トポグラフィーを生み出す。一部の態様では、この表面トポグラフィーは不規則であり、トポグラフィーを構成するミクロスケール構造及び/又はナノスケール構造の間及びその中で、高さ、間隔、方向、厚さ及びその他の構造的形体での不規則性を備える。
【0024】
一部の態様では、インプラントの作製はインプラントの技術及び設計から始まり、インプラントの幾何形状、寸法及び構造的形体を含む。インプラントは、例えば頂面、底面、少なくとも1つの後側面、少なくとも1つの前側面、及び少なくとも1つの横側面を備えることができる。インプラントは、これら頂面、底面又は側面に関して、平坦面、アール面、規則的な面及び/又は不規則な表面を備えることができる。インプラントは、任意の好適な形状を備えることができ、その形状は例えば意図される移植位置に応じてもよい。非常に好適な態様では、インプラントは周囲の骨との一体化が意図される。インプラントの技術及び設計は、コンピュータ支援されてもよい。
【0025】
インプラントは、移植された時に、少なくとも1個の骨と接触するか、又は2個もしくはそれ以上の骨の間に存在して、別個の骨との融合もしくは物理的接合を誘起すること、又は骨折の再結合を促進することが意図されている、任意のインプラントを含むことができる。インプラントは、体内の任意の骨の置換、修理、補強、又は補充のために使用され得る。インプラントには、長骨又は短骨(又はそれらの一部)の置換、頭蓋骨又は顎骨の置換、別個の骨との融合又は物理的接合の誘起(例えば、指関節、足首関節、椎骨又は脊柱動的分節)を意図されるインプラント、別のインプラントを骨に対して固定することが意図されるインプラント(例えば、骨スクリュー、椎弓根スクリュー及び固定要素)、骨スクリュー、髄内釘、ロッド及びプレート等を含む骨折の再結合を促進するインプラント、又は体内の任意の骨の置換、修理、補強、もしくは補充のための任意のインプラントを含めることができる。一部の態様では、インプラントには、椎間板の置換、又は脊柱動的分節の置換のためのインプラントを含む。インプラントには、例えば、股関節部、膝関節、肩関節、肘関節、足関節、手関節、顎等のためのインプラントである、接合インプラントを含むことができる。
【0026】
インプラント作製には好適には付加製作プロセスを備える。3Dプリンティングの方式は、付加製作プロセスの一部であり得る。プロセスは、第1に整形外科インプラントを付加構築する工程を備え、例えば、インプラント本体は、そのインプラントが移植されるべき体内の特定の位置のため、及びそのインプラントに意図される特定の矯正的な適用のための、所望の基本的な形状、外形及び構造的適応を有しており、及び次いで、そのインプラントの1つ又は複数の表面を、例えば侵食プロセスで、処理する工程を備える。侵食には、機械的侵食、化学的侵食、又は機械的及び化学的侵食の組合せを含むことができる。そのような侵食で処理されたインプラント表面は、ミクロスケール構造的形体及びナノスケール構造的形体を備える骨成長増強生理活性表面トポグラフィーを備える。
【0027】
インプラントは任意の好適な材料から調製されることが可能で、金属、ポリマー、セラミック、骨、又はそれらの任意の組合せもしくは複合材を含む。金属インプラントは合金を含んでもよい。好適な金属には、チタン及びニチノールなどのチタン合金、チタンのアルミニウム及びバナジウム(例えば、6〜4)合金、コバルトクロム合金、ならびに外科用グレードの鋼鉄を含む。好適な高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む。一部の態様では好適には、金属と高分子材料との複合材である。したがって、そのような材料が含まれるインプラントの作製のために付加プロセスが使用されてもよい。金属インプラントが非常に好適である。
【0028】
付加プロセスは、基板上に固体材料を堆積させる工程、次いで堆積された固体材料をインプラントの層に焼結する工程又は融解する工程、次いで先の層の上にさらなる固体材料を堆積させる工程、次いで新規に堆積された層を焼結又は融解させて両方とも先の層と融合して次の層を確立する工程、及びこれらの工程をインプラントが完成するまで繰り返す工程による、順次的に積層する工程を備えることができる。固体材料は、好適にはワイヤー、粉末、粒子、顆粒、断片又はそれらの組合せの形のバルク材料を含み、それらはエネルギー源により焼結されるか又は融解される。粉末、粒子、顆粒、断片、又はそれらの組合せは好適には、実質的に形が球形である。粉末、粒子、顆粒、断片、又はそれらの組合せは好適には、不規則な形状もしくは不規則なエッジ、又は鋸歯状のエッジを含まない。その形状は様々な寸法を含んでも良く、又は実質的に同一の寸法であってもよい。
【0029】
付加プロセスは、粉末、粒子、顆粒、ワイヤー、断片、又はそれらの組合せの焼結工程及び/又は融解工程を備えてもよい。そのプロセスは好適には、粉末、粒子、顆粒、断片、又はそれらの組合せの実質的に完全な融解を達成して、堆積された層が実質的に十分に溶解している材料を含むようになり、その材料は好適には金属である。好適な付加プロセスには、これらに限定されないが、例えば直接金属レーザー焼結(DMLS)(DMLS(登録商標)はイーオーエス有限責任会社(EOS GmbH)のサービスマークである)を含む選択的レーザー焼結、例えばレーザーCUSING(商標)(コンセプトレーザーシュツレヒトシュベルバルユングス有限責任会社(Concept Laser Schutzrechtsverwalyungs GmbH))を含む選択的レーザー融解、電子ビーム融解(EBM)、熱溶解積層法(FDM)、直接金属堆積、レーザー製作ネットシェイプ(LENS)、及び線材系指向性エネルギー堆積を含む。よって、エネルギー源はレーザー又は電子ビームを備えることができるが、材料融解のための任意の好適な技法が使用され得る。
【0030】
堆積及び/又は焼結工程もしくは融解工程は好適には不活性環境下、例えば、低酸素ならびに/又は窒素及び/もしくはアルゴンの存在下で行う。一部の態様では、先行する層(直前に形成されている)は、次の層がその上に堆積される前に実質的に固化されていない。一部の態様では、先行する層(直前に形成されている)は、次の層がその上に堆積される前に少なくとも部分的に固化されている。
【0031】
一部の好適な態様では、付加構築工程は整形外科インプラントを垂直に付加構築する工程(例えば、前から後への、後から前への、又は一方の横側から他方の横側への)を備える。一部の好適な態様では、付加構築工程は整形外科インプラントを水平に付加構築する工程(例えば、頂部から底部への、底部から頂部への)を備える。前から後への垂直構築の実施例の例示を
図1に示し、後から前への垂直構築の例示を
図2に示す。底部から頂部への水平な構築の実施例の例示を
図3に示す。層は最初に構築プレート又は支持材料の上に堆積されてもよく、支持材料は複数の最初に堆積された層を備えてもよい。好適な垂直な付加構築の製作プロセスによれば、存在する場合、支持材料の後に最初に堆積される層は、インプラントの前面又は後面などの非骨接触表面を構成する。次の層が堆積され、次いで焼結又は融解され、インプラントの中央部を通って、反対側の面(後面又は前面)が完了するまで続く。骨接触表面は、垂直な構築機構で敷かれた層のエッジから生じる。骨接触表面は、水平な構築機構では層自体から生じる。
【0032】
付加構築工程では、外部及び/又は内部の幾何形状及び外形の複雑さを備えるインプラントが可能である。したがって、整形外科インプラントは、頂面、底面、側面もしくは他の表面の1つ又はそれ以上の内部への、及び/又は貫通する、1つ又はそれ以上の開口部を備えることができる。開口部はそのため、インプラントの、任意の所望の外形又は幾何形状の内表面によって囲まれてもよい。内表面は、格子構造を備えることができる。内表面は、体内で移植に係わる骨移植材料と接触して置かれてもよい。
【0033】
付加プロセスは、少なくともマクロスケール構造的形体をインプラントの表面に付与するために使用されてもよい。よって、マクロスケール形体は、付加製作によって創り出されてもよく、最初の設計の一部であってもよい。
【0034】
付加プロセスを通してインプラント本体の構築が完了した後で、インプラント本体は、形成されたインプラント本体の再加熱を含む応力除去処理を受けることができる。応力除去は、真空及び/又は不活性ガスの下で行われてもよい。加熱工程に冷却工程が続いてもよい。一部の態様では、再加熱にはまた圧力が伴われてもよい。圧力は、単軸性(例えば、一方向から加えられる)又は等方圧(例えば、全ての方向から均等に加えられる)のどちらでもよい。熱間等方圧加圧(HIP)が非常に好適である。
【0035】
HIPは、加熱可能でガスの印加及び除去による圧力制御が可能な密封容器中にインプラント本体を置くことにより行われる。通常は、いったん密封容器中にインプラント本体が置かれたら、容器は真空にされて全ての不純物汚染ガスを除去する。次いで容器は加熱され、一方加圧のために不活性ガス(例えば、アルゴン)をチャンバー内に導入する。次いで容器は、昇温加圧の状態でしばらく放置され、その後、容器は急速に冷却され減圧される。
【0036】
熱間等方圧加圧は、インプラント本体が作られる材料の融点未満の温度であるが、十分な高温で行われる。その温度は通常融点の80%未満である。HIPは、ASTM標準規格F3001などの、標準条件に従って実施されてもよい。
【0037】
HIPは結果としてインプラント本体を変化させると考えられる。例えば、温度及び圧力の組合せが、結果としてインプラント本体内に存在する全ての封入物を潰すことになる。一部の態様では、HIPの後で、インプラント本体の密度は実質的に100%に等しいか又は近くなり、インプラントは、実質的に封入体(内部細孔)がないことを意味している。層間境界の除去及び封入物の除去は、インプラント本体の機械的強度を改善し、いったん移植されたものの失敗の可能性を低減させる。
【0038】
加えて、HIPからの昇温加圧状態は、粒構造、粒径、粒組成、粒分布、又はそれらの任意の組合せの微細化を助長する。一部の態様では、HIPは少なくとも粒径を増加させることがあり、特に電子ビーム融解付加構築と結合した場合である。HIPは、インプラント表面の粒構造を変化させ、粒界を変化させることがある。
【0039】
付加プロセスは好適には、インプラントの外表面及び内表面に対してミクロスケール構造及びナノスケール構造を与える、及び/又は増強する微細化プロセスと結合される。付加プロセスと微細化プロセスとの組合せは、骨の内殖、骨の外殖、骨誘導、及び骨結合を促進するための、インプラントの所望の表面上でのマクロ構造、ミクロ構造及びナノ構造の所望のバランスを確立する。微細化プロセスは、付加プロセスによるインプラント製造の完了の後に行う。
【0040】
微細化プロセスは、例えば、サブトラクティブプロセスの方式を備えることができ、それは侵食、例えばインプラント表面の機械的侵食工程、化学的侵食工程、及び/又は電気化学的侵食工程、を含むことができる。機械的侵食工程には、これらに限定されないが、選択した表面又はインプラント全体に対して、光侵食工程、エネルギー衝撃、吹付け加工、プラズマ侵食工程、レーザー侵食工程、切削加工、穿孔、研磨、ピーニング、吹付け加工(例えば、砂又はグリットブラスト)、又はそのようなプロセスの任意の組合せ、への暴露を含む。化学的侵食工程は、例えば、選択した表面又はインプラント全体に対する、酸又は塩基などの化学物質への暴露を含み、酸又は塩基が金属表面を侵食して、金属表面が酸又は塩基と接触する。微細化プロセスは好適には、インプラントの表面内に対して細孔を与えないが、ミクロスケール構造及びナノスケール構造を、好適には1つ又は複数の内表面を含むインプラントの1つ又は複数の所望の表面内に付与する。これらの所望の表面(例えば、微細化プロセス処理を受けるもの)は、通常インプラントが体内に移植される時、骨又は骨移植材料に対して接触するものになる。
【0041】
一部の態様では、サブトラクティブな微細化プロセスは、付加的に製造されたインプラントの1つ又は複数の表面の機械的侵食工程を含むが、化学的侵食工程は含まない。一部の態様では、サブトラクティブな微細化プロセスは、付加的に製造されたインプラントの1つ又は複数の表面の化学的侵食工程を含むが、機械的侵食工程は含まない。好適な態様では、サブトラクティブな微細化プロセスは、2種類のサブ部分(機械的侵食工程及び化学的侵食工程)を含む。化学的侵食工程は好適には機械的侵食工程の後に行う。サブトラクティブな微細化プロセスは、ミクロスケール構造及びナノスケール構造を微細化された表面に付与する。
【0042】
選択したインプラント表面の侵食工程の前に、ミクロスケール構造又はナノスケール構造を有することが意図されていない、又はそれらがすでに平滑化されている、インプラントの他の表面は、そのような表面をマスクすることにより保護されてもよく、それにより侵食されるべき他方の表面と共に暴露されて放置される。暴露された表面は次いで侵食されてもよい。機械的侵食工程は、粒子噴射を含むことができ、例えば、有機又は無機の侵食工程媒体を使用する。その媒体は好適には、例えば水性媒体又は酸性媒体中に溶解可能である。一部の別の態様では、その表面はタンブル仕上げ(例えば、そのような媒体の存在下でインプラントをタンブリングする)によって機械的に侵食されてもよい。タンブリングプロセスは湿式(例えば、潤滑剤と共に)又は乾式でもよい。機械的侵食工程は好適には、ミクロスケール構造的形体を侵食された表面に付与する。
【0043】
化学的侵食工程は、好適なサブトラクティブ微細化プロセスである。酸侵食工程は、1種の好適な化学的侵食工程のプロセスを備える。塩基侵食工程は、別の好適な化学的侵食工程のプロセスを備える。酸及び塩基は、インプラント表面の生理活性(例えば、骨成長促進特性)を増強するやり方で粒構造及び粒界を侵食するということが考えられる。よって、一部の態様では、化学的侵食工程はナノスケール構造的形体をインプラントの化学的に侵食された表面に対して生じさせる。化学的侵食はまた、ミクロスケール構造的形体を表面内に付与することができる。化学的侵食工程は、機械的に侵食された表面に対して行われてもよく、化学的に侵食されたナノスケール構造が機械的に侵食されたミクロスケール構造と重複できる。
【0044】
化学的侵食工程では、インプラントの1つ又は複数の表面は、それらの表面を化学物質又は酸から保護するためにマスクされてもよく、暴露されると、残っているマスクされていない表面は次いで侵食され得る。化学的侵食工程は好適には機械的侵食工程の後に続くが、一部の態様では、インプラント表面の化学的侵食工程のみが使用される(機械的侵食工程は使用されない)。化学的侵食プロセスは、任意の特定の応用のために求められる不規則性の量及び性質により、又は製造されるべき所望のパターン及び侵食深さにより、必要とされる複数回繰り返されてもよい。酸又は塩基の強度、侵食プロセスを行う温度、及び侵食プロセスのために割り当てられる時間の制御は、そのプロセスにより製造されて生じる表面に関する精密制御を可能にする。侵食プロセスの反復回数はまた、表面の形体の制御のために使用されることが可能である。化学的侵食工程は好適には、インプラントを酸溶液又は塩基溶液中に対して浸漬することにより成されるが、化学的に侵食されるべき表面が、任意の好適なプロセスによって、酸又は塩基に対して接触するようにし向けられることが可能なものでは、浸漬は求められない。
【0045】
最終的な侵食プロセスの後で、マスクは除去されてもよく、その部分は洗浄されてもよい。その表面はまた不動態化されてもよく、例えば、硝酸を含む水溶液を使用することによる。その表面は洗浄され、水ですすがれてもよい。インプラントは、水性環境中で、洗浄剤の有り又は無しでの攪拌及び加熱の下、洗浄されてもよい。洗浄の後でインプラントは乾燥されてもよく、例えば、熱風、乾燥オーブン中での加熱、又はその両方である。
【0046】
粒子状物質(例えば、ヒドロキシアパタイト)の添加又は表面汚染物質(例えば、砂粒子)の埋込みがないことで、チタンインプラント表面の化学的侵食工程のみでも骨結合を非常に増強する可能性を有する。
【0047】
微細化処理工程は、特定のインプラントへの応用のために好適な、深さ、直径、形体寸法、及び他の幾何形状の混合物を創り出すために、調節され得る。形体のパターンの方向もまた、調節され得る。例えば、表面の構造的形状が、移植及び挿入方向で、インプラントに対して逆らって加えられる可能性のある生物的な力に対抗するよう方向づけられるべき態様で、そのような柔軟性が望まれることになる。
【0048】
機械的侵食工程は、ミクロスケール構造的形体を与えることに加えて、インプラント表面からデブリを除去又は減少させることも可能である。酸侵食工程は、ナノスケール構造的形体をインプラント表面内に付与することに加えて、インプラント表面からデブリを除去又は減少させることも可能である。デブリには、ゴミ、又は取扱による他の人工物などの外部デブリを含めてもよい。外部デブリはまた、機械的侵食工程/噴射加工工程からの媒体の粒子又は成分を含み、その粒子はインプラント表面内に突き刺さることもある。デブリはまた、例えば、付加構築工程の間に完全には融解されず、又は完全には焼結されなかった粉末、粒子、顆粒など、付加構築プロセスの人工物などの本質的デブリを含むこともある。
【0049】
例えば、
図11は、付加構築工程から創り出されたチタン表面の電子顕微鏡写真を示し、左の列の像(2種の異なる倍率で)は、いくつかの粒子が付加構築からでは十分には一体化されていないことを例示する。よって、インプラント上のそのような粒子が次の移植を取り除くこともあり、患者に対して局所的又は全身的のいずれかで負の結果を創り出すようなリスクが存在する。よって、侵食プロセスは、非焼結/非融解又は不完全に焼結されたもしくは不完全に融解された粒子を表面から除去するために使用されてもよく、それによって粒子除去のリスクを低減させる。
【0050】
図11の中央の列に示すように、機械的侵食は、付加構築構造の表面から、一体化されない、又は部分的に一体化された粒子の量を顕著に低減することができる。
図11の右の列に示すように、化学的侵食を追加(機械的侵食の後で)することは、付加構築構造の表面から、一体化されない、又は部分的に一体化された粒子の量をさらに低減することができる。
【0051】
サブトラクティブな微細化プロセスはミクロスケール構造的形体及びナノスケール構造的形体を生じさせる。これらの形体は好適には、付加構築プロセスから製造されるマクロスケール構造的形体と重複する。
【0052】
マクロ構造的形体は、比較的大きな規模を備えており、例えば、ミリメートル(mm)又はミクロン(μm)で測定される規模である。ミクロ構造的形体は、ミクロン(μm)で測定される規模を備える。ナノ構造的形体は、ナノメートル(nm)又はミクロン(μm)で測定される規模を備える。マクロ構造的形体、ミクロ構造的形体、及び/又はナノ構造的形体のパターンは、規則的及び/もしくは繰り返しのパターンで編成されてもよく、場合によっては互いに重複してもよく、又はそのような形体は不規則又はランダムなパターン、もしくは不規則パターンの繰り返しであってもよい。
【0053】
付加構築工程、その後に続く機械的及び/又は化学的侵食工程により調製されたインプラント表面のトポグラフィーは、好適には粗面化され、好適には不規則で、ならびに好適にはマクロスケール構造的形体、ミクロスケール構造的形体、及びナノスケール構造的形体を備え、また歯状、スパイク状、溝状、及び尾根状、ならびに他の骨把持スーパーナノスケール構造などのスーパーナノスケール構造的形体とは異なることが好適であり、スーパーナノスケール構造的形体は通常骨接触インプラントの表面上にあって、骨接触インプラントのスーパーナノスケール構造的形体は骨を突き刺す又は切れ目を入れることが意図されている。本発明の方法により製造された表面トポグラフィーは好適には、骨を損傷させず、又は切れ目を入れないが、それにもかかわらず、骨表面を摩擦タイプのグリップで支持することができる。この表面トポグラフィーはまた、好適には骨誘導及び骨成長を促進し、ならびに/又は増強し、またインプラントの骨結合を促進することができる。
【0054】
この表面トポグラフィーは、生理活性と考えられてもよく、間葉系幹細胞の分化及び進行、前骨芽細胞の分化及び進行、ならびに/又は骨芽細胞の分化及び進行を誘起及び/又は支持及び/又は増強する。そのような分化及び進行は、例えば体内への移植の後の、骨誘導又は骨形成に関連付けられる製造増殖因子のより多くの量又はより大きな速度により特徴付けられることが可能である。分化マーカーは、制限なしに、細胞表面上の骨形態形成タンパク質及びインテグリンの種々の形態の発現増強を含み、ならびにオステオカルシン(OCN)、オステリックス(OSX)、オステオプロテジェリン、VEGF、及びFGFなどの増殖因子の発現増強及び/又は分泌を含み、ならびにアルカリ脱リン酸化酵素(ALP)の発現増強及び/又は分泌を含む。成熟した骨芽細胞の状態は、ALPの減少により特徴付けられ、いったん骨芽細胞が骨細胞に分化すると、ISX及びOCNの両方の発現も、同様に減少させられる(ビーク ダブリュー−ワイら(Beak W−Y、et al.)(2009)J.Bone Miner.Res.24:1055−65;ザング シー(Zhang C.)(2010)J. Orthopaedic Surg.and Res.5:1;及びツ キューら(Tu Q et al)(2007)Tissue Eng’g.1:2431−40)。In vivo評価は、骨折治癒の間にALP及びOCNの両方が存在することを明らかにしている。これらの評価で、ALP及びOCNの両方の製造は、骨折後8週での骨折の治癒時に最高である。(ルング ケーエスら(Leung KS et al.)(1993)Bone & Joint Journal.75:288−92;及びヘルマン エムら(Herrmann M et al.)(2002)Clin.Chemistry.48:2263−6)。さらに、ALP及びOCNは、in vivoで骨形成を促進するための合成材料に対する可能性のin vitro評価で使用されてきた。in vitroで増加されたALP及びOCNは、in vivoでの人工血管移植の成功と関連付けられることがさらに実証されてきた(ボーデン エムら(Borden M、et al.)(2002)J.Biomed.Master.Res.61:421−9;ボーデン エムら(Borden M、et al.)(2002)Biomaterials.23:551−9;及びボーデン エムら(Borden M、et al.)(2004)J.Bone Joint Surg.Br.86:1200−8)。チタンメッシュを使用する同様の評価は、in vitroでのALPとオステオポンチン(基質タンパク質が分化でOCNよりも早く分泌される)が、in vivoでの成功に関係づけられている(ダッタ エヌ(Datta N)(2005)Biomaterials.26:971−7;バンクロフト ジーエヌ(Bancroft GN)(2002)Proc.Natl.Sci.U.S.A.99:12600−5;及びシカビッツアス ブイアイら(Sikavitsas VI et al.)(2003)J.Biomed.Mater.67A:944−51)。
【0055】
表面は、周囲の生体骨との骨結合(例えば、人工的インプラントと生体骨又は軟組織との間の直接の構造的及び機能的界面の形成)を最終的に促進すると考えられる。本発明により製造された表面は、骨又は骨移植材料との直接の接触がなくても新規の骨成長を支持すると考えられるが、それにもかかわらず、その表面はまた、骨又は骨移植材料と直接接触して置かれた時にも新規の骨成長を支持する。体の周辺組織からインプラント表面内への骨の成長とは異なり、新規の骨成長は、本発明により製造されたインプラントの表面上で開始できると考えられる。よって、インプラントの固定は、少なくとも部分的には、骨造形の刺激及び増殖、ならびに、破骨細胞及び骨芽細胞及びインプラント表面に対して同様の機能の細胞のような細胞の形成、に依存している可能性がある。これらの細胞の付着は、微視的に粗い表面(例えば、ミクロスケール及びナノスケールの構造的形体を有する表面)の方が、細胞により認識されるには大きすぎるマクロスケール構造的形体を有する表面を含む平滑な表面よりも容易であると考えられる。このように、細胞の付着及び骨成長を刺激する表面の能力に起因して、表面は生理活性であることができる。
【0056】
微細化表面には種々の寸法の形体が備えられており、微視的なレベルでは、それらの形体は組織と相互作用して組織の自然な再形成及び成長を刺激する。大きな規模(例えば、マクロスケール構造的形体)では、インプラントの表面構造は、体内の組織(例えば、隣接する骨)とストレスのない摩擦を発生する機能を果たし、インプラントの表面構造は、椎間板空間で最も剛性のある皮質骨構造を保持する外科的手法と組み合わせられた時に、骨表面を摩滅、欠損、穿孔、又は毀損しない摩擦嵌合を可能にする。
【0057】
マクロ形体は主として付加製作プロセスにより形成されるので、追加の微細化工程は逐次的に適用されることが可能で、次に、インプラント表面(例えば、外表面及び内表面)にミクロスケール構造的形体及びナノスケール構造的形体を形成する。機械的侵食工程は、主としてミクロスケール構造的形体を形成又は増強すると考えられる。化学的侵食工程は、主としてナノスケール構造的形体を形成又は増強すると考えられるが、ミクロスケール構造的形体をも形成又は増強できる。マクロスケール構造の形成では、機械的及び/又は酸の侵食工程が、付加製作プロセスに加えて使用されることが可能で、それはマクロスケール形体を製造し、又は、一部の態様では、付加製作の代わりに使用されてもよい。例えば、付加製作は、実質的に形体のない表面を製造でき、次いで、そのような表面に対して機械的及び/又は化学的侵食工程が適用されて、マクロスケール、ミクロスケール及びナノスケールの3種全ての構造を表面上に製造する。
【0058】
マクロスケール構造、ミクロスケール構造及びナノスケール構造のそれぞれは、個々に、ならびに組合せ及び部分的組合せの両方で、インプラント表面上の粗さを確立する。粗さは、国際標準化機構(ISO)、例えば、ISO 468:1982により確立された、1種又はそれ以上の種類の粗度パラメーターによって測定されてもよい。いくつかの別個のパラメーターが、表面粗さを特徴付けるために使用され得る。そのようなパラメーターには、これに限定されないが、Rp(粗さ曲線の最大山高さ)、Rv(粗さ曲線の最大谷深さ)、Rz(最大高さ粗さ)、Rc(粗さ曲線要素の平均高さ)、Rt(粗さ曲線の最大断面高さ)、Ra(算術平均粗さ)、Rq(二乗平均平方根粗さ)、Rsk(粗さ曲線のスキューネス)、Rku(粗さ曲線のクルトシス)、RSm(粗さ曲線要素の平均長さ)、RΔq(粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜)、Rmr(粗さ曲線の相対負荷長さ率)、Rδc(粗さ曲線の切断レベル差)、Ip(断面曲線の基準長さ)、Iw(うねり曲線の基準長さ)、Ir(粗さ曲線の基準長さ)、In(評価長さ)、Z(x)(縦座標値)、dZ/dX(局部傾斜)、Zp(輪郭曲線の山高さ)、Zv(輪郭曲線の谷深さ)、Zt(輪郭曲線要素の高さ)、Xs(輪郭曲線の要素の長さ)、及びMI(輪郭曲線の負荷長さ)を含む。他のパラメーターには、Rsa(表面領域増加)、Rpc(粗さ曲線要素に基づくピークカウント数)、H(スエーデン高さ)、ISO平坦度(面平均偏差)、Pt ISO(凹凸段差)、Rtm(平均凹凸粗さ)、Rv(最低値)、Rvm(平均谷深さ)、Ry(最大凹凸粗さ)、Rpm(平均山領域高さ)、S(局所山間の平均間隔)、SM(平均線での山間の平均間隔)、頂上数、頂上密度、頂上間隔、谷数、谷密度及び谷間隔を含んでもよい。
【0059】
平均振幅Ra。Raは算術平均高さを含む。数学的には、Raは各粗さ輪郭点と平均線との間の平均距離として計算され得る。
数学的な用語では、このプロセスは次の式Iで表され得る。
【0060】
【数1】
平均凹凸粗さ Rz。平均凹凸粗さ、Rzは、ISO及びASME 1995により定義されており、後述する。Rzは、基準長さ当たりの1個の山及び1個の谷に基づく。RzDIN値は、各基準長さ内の凹凸の距離の決定に基づく。これらの個々の凹凸距離が平均されて、結果としてRzDIN値となる。
【0061】
最大凹凸段差 Rmax。最大凹凸段差、Rmaxは単一サンプリング中の最大凹凸距離を含む。
うねり曲線の全凹凸 Wt。うねり曲線の全凹凸(評価長さの全体にわたる)は、
図10に例示する。
【0062】
要素の平均長さ Sm。要素の平均長さ、Smは正の平均線の横断間の平均間隔を含む。各正の(上向きの)平均線の横断の間の距離が決定され、平均値が計算される。
一部の態様では、ミクロスケール構造的形体は、約1〜約200マイクロメートルのミクロ凹凸段差、Rmaxを備える。一部の態様では、ミクロ凹凸段差は、100マイクロメートル未満で1マイクロメートルよりも大きく、約95マイクロメートル未満で1マイクロメートルよりも大きく、約90マイクロメートル未満で1マイクロメートルよりも大きく、又は約80マイクロメートル未満で1マイクロメートルよりも大きい。一部の態様では、ミクロ凹凸段差は、約5〜約25マイクロメートル、約6〜約16マイクロメートル、約10〜約125マイクロメートル、約10〜約100マイクロメートル、約10〜約90マイクロメートル、約10〜約150マイクロメートルである。一部の態様では、ミクロ平均凹凸段差は、約1〜約150マイクロメートル、約1〜約100マイクロメートル、約1〜約125マイクロメートル、約1〜約95マイクロメートル、約1〜約90マイクロメートル、約1〜約80マイクロメートル、約1〜約70マイクロメートル、約1〜約50マイクロメートル、約1〜約25マイクロメートル、約2〜約100マイクロメートル、約2〜約90マイクロメートル、約2〜約80マイクロメートル、約2〜約25マイクロメートル、約3〜約40マイクロメートル、約3〜約30マイクロメートル、約4〜約120マイクロメートル、約4〜約40マイクロメートル、約4〜約30マイクロメートル、約5〜約40マイクロメートル、約5〜約30マイクロメートル、約7〜約20マイクロメートル、約7〜約15マイクロメートル、約8〜約14マイクロメートル、又は約9〜約13マイクロメートルである。
【0063】
ミクロスケール構造的形体は、約−2〜約2、約−2〜約1.5、約−2〜約1、約2〜約−1、約−2〜約0、又は約0〜約2のスキューネスを含むことができる。一部の態様では、ミクロスケールのスキューネスは、約−1.5〜約1.5、約−1.5〜約1、約−1.5〜約0、約−1〜約1.5、約−1〜約1、約−1〜約0、約−0.5〜約2、約−0.5〜約1.5、約−0.5〜約1、約−0.5〜約0.5、約−0.4〜約0.4、約−0.4〜約0、約0〜約0.4、約−0.3〜約0.3、約−0.3〜約0、約0〜約0.3、約−0.25〜約0.25、約−0.25〜約0、約0〜約0.25、約−0.2〜約0.2、約−0.2〜約0、約0〜約0.2、約−0.15〜約0.15、約−0.15〜約0、約0〜約1.5、約−0.1〜約0.1、約−0.1〜約0、約0〜約0.1、約−0.05〜約0.05、約−0.05〜約0、約0〜約0.05である。
【0064】
ミクロスケール構造的形体は、約1〜約9のクルトシスを備えてもよい。ミクロスケールのクルトシスは、約1〜約8.5、約1〜約8、約1〜約7.5、約1〜約7、約1〜約6.5、約1〜約6、約1〜約5.5、約1〜約5、約1〜約4.5、約1〜約4、約1〜約3.5、約1〜約3、約1〜約2.5、約1〜約2、約2〜約5、約2〜約4.5、約2〜約4、約2〜約3.5、約3〜約5、約3〜約4.5、約3〜約4、約2.5〜約4.5、約2.5〜約4.4、約2.5〜約4.2、約2.5〜約4、約2〜約4.4、約2〜約4.3、約2〜約4.2、約2〜約4.1、約2〜約3.9、約2〜約3.8、約2〜約3.7、約2〜約3.4、約2〜約3.3、約2〜約3.2、約2.4〜約3.4、約2.4〜約3.1、約2.4〜約2.9、約3.1〜約4、約3.1〜約3.9、約3.1〜約3.8、又は約3.1〜約3.7であってもよい。
【0065】
一部の態様では、ナノ凹凸段差、Rmaxは、約0.001〜約20マイクロメートルである。一部の態様では、ナノ凹凸段差、Rmaxは、約0.001〜約10マイクロメートルである。一部の態様では、ナノ凹凸段差、Rmaxは、約0.001〜約50マイクロメートル、約0.001〜約20マイクロメートル、約0.001〜約10マイクロメートル、約0.001〜約5マイクロメートル、約0.001〜約3マイクロメートル、約0.001〜約2マイクロメートル、又は約0.001〜約1マイクロメートルである。一部の態様では、ナノ凹凸段差は、約0.5〜約1.5マイクロメートル、又は約0.8〜約1.4マイクロメートルである。一部の態様では、ナノ凹凸段差は、約0.01〜約20マイクロメートル、約0.01〜約10マイクロメートル、約0.01〜約5マイクロメートル、約0.05〜約25マイクロメートル、約0.05〜約10マイクロメートル、約0.05〜約5マイクロメートル、約0.1〜約10マイクロメートル、約0.1〜約5マイクロメートル、約0.1〜約1.5マイクロメートル、約0.001〜約0.5マイクロメートル、約0.005〜約5マイクロメートル、約0.005〜約20マイクロメートル、約0.005〜約2.5マイクロメートル、約0.006〜約1.6マイクロメートル、約0.007〜約1.5マイクロメートル、約0.009〜約1.3マイクロメートル、約0.02〜約10マイクロメートル、約1〜約15マイクロメートル、約5〜約15マイクロメートル、約10〜約20マイクロメートル、又は約1〜約20マイクロメートルである。一部の態様では、ナノ凹凸段差、Rmaxは、約0.001〜約0.6マイクロメートル、約0.001〜約0.5マイクロメートル、約0.001〜約0.4マイクロメートル、約0.001〜約0.3マイクロメートル、約0.001〜約0.2マイクロメートル、約0.001〜約0.1マイクロメートル、約0.001〜約0.09マイクロメートル、約0.001〜約0.08マイクロメートル、約0.001〜約0.07マイクロメートル、約0.001〜約0.06マイクロメートル、約0.001〜約0.05マイクロメートル、約0.001〜約0.04マイクロメートル、約0.001〜約0.03マイクロメートル、約0.001〜約0.02マイクロメートルである。
【0066】
次の実施例は発明をより詳細に説明するために提示される。実施例は、本発明を例示するために意図されており、限定のためではない。
【実施例1】
【0067】
インプラント表面の付加及びサブトラクティブの製作プロセス
6%のアルミニウム及び4%のバナジウムを含むチタン合金のいくつかの試験円板が、レーザー焼結又は電子ビーム融解(EBM)のいずれかを使用して、底面から頂面までの積層工程(水平)又は前面から後面までの積層工程(垂直)のいずれかにより作製された。各層には、チタン合金粒子が堆積され、初めに付加製作装置のプラットホーム表面上に、次いで順次的に各層の融解部材上に堆積された。その粒子は、レーザー焼結又はEBMによって一緒に融解された。したがって、水平構築方向で作製された試験円板の頂面は、堆積された層と平行であり、垂直構築方向で作製された試験円板の頂面は、堆積された層と垂直である。
【0068】
付加作製の後で、微細化されていない試験円板は2つのグループに分けられた。第1のグループにさらに熱処理を受けさせ、第2のグループにはそうしなかった。試験円板はASTM F3001に従って熱処理された。
【0069】
試験円板のいくつかは、次いで噴射加工工程又は侵食工程により表面微細化を受けた。噴射加工された表面は酸溶液に浸漬された。酸侵食工程の後に、円板は水に浸漬され、侵食反応をクエンチした。
【0070】
微細化表面は次いで走査型電子顕微鏡により検査され、それらの走査像は
図4〜
図9に含まれる。
図4〜
図5は、表面微細化前の試験円板の電子顕微鏡写真を含む。
図4は、水平及び垂直の構築方向の両方で、レーザー焼結により製造された円板を比較し、ならびに表面微細化前の熱処理の効果を比較する。
図5は、水平及び垂直の構築方向の両方で、EBMにより製造された円板を比較し、ならびに表面微細化前の熱処理の効果を比較する。
図4及び
図5のそれぞれは、格子状に並べた12枚の電子顕微鏡写真を含む。各図において、上段は250×倍率で撮影された顕微鏡写真を含み、中段は1500×倍率で撮影された顕微鏡写真を含み、下段は6500×倍率で撮影された顕微鏡写真を含む。各列は、左から右へ、(1)熱処理を受ける水平に構築された円板、(2)熱処理を受けない水平に構築された円板、(3)熱処理を受ける垂直に構築された円板、及び(4)熱処理を受けない垂直に構築された円板を含む。
【0071】
図4及び
図5のそれぞれに見られるように、付加プロセス(例えば、レーザー焼結又はEBM)、構築方向(垂直又は水平)、及び熱処理(EBM試験円板へのHIP、レーザー焼結試験円板への真空加熱、又は熱処理なし)のそれぞれの組合せに対して、いくつかのミクロスケール構造(通常1μm〜100μmの大きさの形体)及び基本的にナノスケール構造(通常1nm〜100nmの大きさの形体)の不在が、試験円板の表面上に示される。EBMによって製造された試験円板はマクロスケール(通常100μmを超える大きさのマクロスケール形体を含む)及びミクロスケールに関しては粗いが、レーザー焼結によって製造された試験円板は、マクロスケール及びミクロスケールでさえも平滑であり、それぞれは副次的な処理を行っていない。EBM円板のミクロスケールは、層及び部分的に焼結された粒子の結果であると考えられる。
【0072】
図6〜
図9は、表面微細化後の試験円板の電子顕微鏡写真を含む。
図6は、水平構築方向でレーザー焼結により製造された円板についての熱処理の効果を比較する。
図7は、垂直構築方向でレーザー焼結により製造された円板についての熱処理の効果を比較する。
図8は、水平構築方向でEBMにより製造された円板についての熱処理の効果を比較する。
図9は、垂直構築方向でEBMにより製造された円板についての熱処理の効果を比較する。
図6〜
図9のそれぞれは、格子状に並べた6枚の電子顕微鏡写真を含む。各顕微鏡写真は6500×倍率で撮影される。
図6〜
図9のそれぞれの上段は、熱処理を受けた試験円板の電子顕微鏡写真を含む。
図6〜
図9のそれぞれの下段は、熱処理を受けない試験円板の電子顕微鏡写真を含む。
【0073】
図6を参照すると、水平構築方向で熱処理を受けたレーザー焼結試験円板の表面の侵食では、結果として低密度のミクロスケール構造及びナノスケール構造となったことが分かる。水平構築方向で熱処理を受けないレーザー焼結試験円板の表面の侵食では、結果として低密度の追加のミクロスケール構造となり、追加のナノスケール構造はなかった。
【0074】
図7を参照すると、垂直構築方向で熱処理を受けたレーザー焼結試験円板の表面の侵食では、結果として高密度のミクロスケール構造及びナノスケール構造となったことが分かる。垂直構築方向で熱処理を受けないレーザー焼結試験円板の表面の侵食では、結果として中密度のミクロスケール形体となったが、ナノスケール構造は低密度のみであった。
【0075】
図8を参照すると、水平構築方向で熱処理を受けたEBMの試験円板の表面の侵食では、結果として中密度のミクロスケール構造となったが、ナノスケール構造は低密度のみとなったことが分かる。水平構築方向で熱処理を受けないEBM試験円板の表面の侵食ではまた、結果として中密度のミクロスケール構造となったが、ナノスケール構造は低密度のみであった。しかしながら、得られた表面形体は、試験円板が熱処理されたかどうかによって異なった。粒界の優先的な侵食が観察され、熱処理されない部分に対して熱処理された部分については、より幅広い長尺な形体を伴っている。
【0076】
図9を参照すると、垂直構築方向で熱処理を受けたEBM試験円板の表面の侵食では、ミクロスケール構造及びナノスケール構造の両方が高密度となったことが分かる。しかしながら、垂直構築方向で熱処理を受けないEBM試験円板の表面の侵食では、結果として中密度のミクロスケール構造、及び低密度のナノスケール構造となっただけであった。
【0077】
表1に見られるように、レーザー焼結及びEBMの両方について、ミクロスケール形体及びナノスケール形体の存在は、構築方向及び熱処理の両方に依存する。所与の構築方向及び熱処理について、レーザー焼結及びEBMは概ね同等の密度のミクロスケール構造及びナノスケール構造を製造する。
【0078】
【表1】
所与の付加プロセス及び所与の構築方向について、ミクロスケール構造及びナノスケール構造の密度は、付加作製の後だが表面微細化の前の、試験円板の熱処理工程により増加させられる。どんな特定の理論の束縛を受けることでもなく、熱処理は、試験円板の表面上の粒構造を変更することにより、試験円板の表面を向上させ、試験円板の表面を表面微細化に対してより強い感受性にすることが考えられる。
【0079】
さらに、所与の付加プロセス及び熱処理について、ミクロスケール構造及びナノスケール構造の密度は、水平方向よりも垂直方向で試験円板を構築することにより増加させられる。どんな特定の理論の束縛を受けることでもなく、垂直方向での試験円板の構築は、結果としてより多数の粒界が試験円板の頂面上に存在する方向に金属粒子を整列させると考えられる。したがって、侵食工程のプロセスは、表面のより広い領域に影響を及ぼすことができ、ミクロスケール構造及びナノスケール構造をより高い密度で製造できる。
【0080】
本発明は、上記で説明され、例示された実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲の範囲内で変形及び改変が可能である。
以下は、本願出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1)
金属整形外科インプラントの製造方法において、前記整形外科インプラントを付加構築する工程、ならびに任意の順序で、前記整形外科インプラントを応力除去する工程又は前記整形外科インプラントを加熱する工程及び熱間等方圧加圧もしくは熱間一軸加圧で前記加熱されたインプラントを圧縮する工程、ならびに前記整形外科インプラントの1つもしくは複数の表面を侵食する工程を備える、方法。
(形態2)
前記整形外科インプラントを付加構築する工程が、前記整形外科インプラントを垂直に構築する工程を備える、形態1に記載の方法。
(形態3)
前記整形外科インプラントを付加構築する工程が、前記整形外科インプラントを水平に構築する工程を備える、形態1に記載の方法。
(形態4)
前記整形外科インプラントを付加構築する工程が、前記金属の粉末、粒子、顆粒、ワイヤー、断片又はそれらの組合せを前記整形外科インプラントの形状に融解する工程又は焼結する工程を備える、形態1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
(形態5)
前記整形外科インプラントを付加構築する工程、ならびに、任意の順序で、前記整形外科インプラントを加熱する工程及び熱間等方圧加圧で前記加熱された整形外科インプラントを圧縮する工程、ならびに前記整形外科インプラントの1つ又は複数の表面の侵食工程を備える、形態1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
(形態6)
前記整形外科インプラントを加熱する工程及び熱間等方圧加圧で前記加熱された整形外科インプラントを圧縮する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の前に起こる、形態5に記載の方法。
(形態7)
前記整形外科インプラントの加熱工程及び熱間等方圧加圧で前記加熱された整形外科インプラントを圧縮する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の後に起こる、形態5に記載の方法。
(形態8)
前記整形外科インプラントを付加構築する工程、ならびに、任意の順序で、前記整形外科インプラントを加熱する工程及び次いで熱間一軸加圧で前記加熱された整形外科インプラントを圧縮する工程、ならびに前記整形外科インプラントの1つ又は複数の表面を侵食する工程を備える、形態1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
(形態9)
前記整形外科インプラントを加熱する工程及び熱間一軸加圧で前記加熱された整形外科インプラントを圧縮する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の前に起こる、形態8に記載の方法。
(形態10)
前記整形外科インプラントを加熱する工程及び熱間一軸加圧で前記加熱された整形外科インプラントを圧縮する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の後に起こる、形態8に記載の方法。
(形態11)
前記加熱する工程が真空下で行われる、形態1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
(形態12)
前記加熱する工程が大気圧下の不活性環境中で行われる、形態1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
(形態13)
前記圧縮する工程が前記金属の内部細孔を実質的に除去する、形態1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
(形態14)
前記整形外科インプラントを付加構築する工程、及び、任意の順序で、前記整形外科インプラントを応力除去する工程、及び前記整形外科インプラントの1つ又は複数の表面を侵食する工程を備える、形態1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
(形態15)
前記整形外科インプラントを応力除去する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の前に起こる、形態14に記載の方法。
(形態16)
前記整形外科インプラントを応力除去する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を侵食する工程の後に起こる、形態14に記載の方法。
(形態17)
侵食する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を機械的に侵食する工程を備える、形態1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
(形態18)
機械的に侵食する工程が、前記1つ又は複数の表面を溶解可能な媒体で摩耗する工程を備える、形態17に記載の方法。
(形態19)
前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を機械的に侵食する工程が、ミクロスケール構造を前記1つ又は複数の表面内に付与する、形態17又は18に記載の方法。
(形態20)
前記ミクロスケール構造が、約1μm〜約200μmの最大凹凸段差を備える、形態19に記載の方法。
(形態21)
前記ミクロスケール構造が約−2〜約2のスキューネスをさらに備える、形態20に記載の方法。
(形態22)
前記ミクロスケール構造が約1〜約9のクルトシスをさらに備える、形態20又は21に記載の方法。
(形態23)
前記ミクロスケール構造が約−2〜約2のスキューネスを備える、形態19に記載の方法。
(形態24)
前記ミクロスケール構造が約1〜約9のクルトシスを備える、形態19に記載の方法。
(形態25)
機械的に侵食する工程が、前記1つ又は複数の表面から微粒子デブリを除去する、形態17乃至24のいずれか1項に記載の方法。
(形態26)
前記微粒子デブリが、非焼結又は非融解の、前記金属の粉末、粒子、顆粒、ワイヤー、断片又はそれらの組合せを含む、形態25に記載の方法。
(形態27)
侵食する工程が、前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を化学的に侵食する工程を備える、形態1乃至26のいずれか1項に記載の方法。
(形態28)
化学的に侵食する工程が、前記整形外科インプラントを水性溶液に浸漬する工程を備える、形態27に記載の方法。
(形態29)
化学的に侵食する工程が、前記1つ又は複数の表面から微粒子デブリを除去する、形態27又は28に記載の方法。
(形態30)
前記微粒子デブリが、部分的に又は完全に非融解又は非焼結の、前記金属の粉末、粒子、顆粒、ワイヤー、断片又はそれらの組合せを含む、形態29に記載の方法。
(形態31)
前記整形外科インプラントの前記1つ又は複数の表面を化学的に侵食する工程が、ナノスケール構造を前記1つ又は複数の表面内に付与する、形態27乃至30のいずれか1項に記載の方法。
(形態32)
前記ナノスケール構造が、約0.001μm〜約20μmの最大凹凸段差を備える、形態31に記載の方法。
(形態33)
前記1つ又は複数の表面が、前記整形外科インプラントの内部内の表面を含む、形態1乃至32のいずれか1項に記載の方法。
(形態34)
前記1つ又は複数の表面が、骨又は骨移植材料と接触する、形態1乃至33のいずれか1項に記載の方法。
(形態35)
前記金属がチタン又はその合金を含む、形態1乃至34のいずれか1項に記載の方法。