(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914448
(24)【登録日】2021年7月15日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】高圧処理するためのプラグ、機械及び方法
(51)【国際特許分類】
B65B 55/02 20060101AFI20210727BHJP
A23L 2/42 20060101ALI20210727BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20210727BHJP
B01J 3/02 20060101ALI20210727BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20210727BHJP
A23L 3/015 20060101ALN20210727BHJP
【FI】
B65B55/02 B
A23L2/00 N
A61K8/02
B01J3/02 A
A61L2/18
!A23L3/015
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-535311(P2020-535311)
(86)(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公表番号】特表2020-536813(P2020-536813A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(86)【国際出願番号】ES2017070600
(87)【国際公開番号】WO2019048716
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】520078994
【氏名又は名称】ハイパーバリック,エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友和
(72)【発明者】
【氏名】ロペス オンデヴィラ,ラウル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア レイザバル,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】タラゴ ミンゴ,サンティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】エルナンド サイス,アンドレ フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】バルグラーフ,ウォウター,ニコラス,アンドリース
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−541876(JP,A)
【文献】
特許第2774683(JP,B2)
【文献】
特開平08−238063(JP,A)
【文献】
特公平06−022533(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0018284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/00 − 55/18
A23L 2/42
A23L 2/00
B01J 3/02
A61K 8/02
A23L 3/015
B30B 5/02
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(6)を有する高圧処理機械のプラグ(5a)であって、圧力伝達流体を通過させるダクト(20)、前記袋(6)内で加圧される製品を充填及び排出する別のダクト(13)、並びに、前記袋内への前記製品の通過を可能にするか又は防止するために雄型弁座(8)及び雌型弁座(10)を有するシート弁(7)を備え、前記充填及び排出ダクト(13)はさらに、前記既に処理された製品の出口のダクト(13)であり、該プラグには、前記ダクト(13)の内部に、前記弁(7)を開閉するロッド(11)が設けられており、該ロッド(11)は、前記雄型弁座(8)に接合されており、洗浄剤チャンバ(12)に接合されている内側ダクト(11a)が設けられており、洗浄剤チャンバ(12)は前記洗浄剤の入口ダクト(32)にさらに接合されており、前記ロッド(11)及び前記雄型弁座(8)には、その通路のための穴が設けられていることを特徴とする、プラグ。
【請求項2】
前記弁の前記弁座の角度は、60°〜100°である、請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記弁(7)を開閉するために前記ロッドを作動させるように適合されているアクチュエータ(15)をさらに備える、請求項1又は2に記載のプラグ。
【請求項4】
前記弁は、例えば15−5PH H900又は13.8Mo H1000鋼等の、600MPaよりも高い弾性限界を有する耐食性材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項5】
前記充填及び排出ダクト(13)は、衛生的なジョイントによって接合される異なるオーステナイトステンレス鋼部材から構成され、前記プラグは、900MPaよりも高く、好ましくは1000MPaよりも高い弾性限界を有するステンレス鋼を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項6】
前記プラグ(5a)の遠位端に弾性要素(14)をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項7】
前記袋(6)が内に配置される高圧ベッセル(4)と、
前記高圧ベッセル(4)に導入される、通気プラグ(5b)及び請求項1〜6のいずれか一項に記載の前記プラグ(5a)を備える、高圧処理機械。
【請求項8】
前記袋(6)及び前記プラグ(5a)はコネクタ(17)によって接合されている、請求項7に記載の機械。
【請求項9】
前記コネクタ(17)には、前記可撓性の袋(6)に取り付けられている雌型コネクタ(17.2)、及び、前記プラグ(5a)に接合されている雄型コネクタ(17.1)が設けられており、双方のコネクタは接合フランジ(17.5)によって接合されている、請求項8に記載の機械。
【請求項10】
前記コネクタ(17)には、前記雄型コネクタ(17.1)の側に、前記袋(6)の排出を容易にするためにホース又はチューブに接続されるように適合されている締結部材(17.4)が設けられている、請求項9に記載の機械。
【請求項11】
前記雄型コネクタ(17.1)と前記雌型コネクタ(17.2)との間にエラストマジョイント(17.3)が設けられている、請求項9又は10に記載の機械。
【請求項12】
洗浄剤のタンク(24)、前記洗浄剤を前記製品プラグ(5a)に向かって製品ダクト(13)を通して圧送する手段(29)、及び、前記洗浄剤を前記ダクトから回収する手段が設けられている、請求項9〜11のいずれか一項に記載の機械。
【請求項13】
前記洗浄剤を回収する手段は、三方弁(28)及び排水ダクト(31)である、請求項12に記載の機械。
【請求項14】
前記通気プラグ(5b)には、前記袋(6)の排出を補助するために、空気タンク(25)に接続されている通気ダクト(33)が設けられている、請求項7〜13のいずれか一項に記載の機械。
【請求項15】
処理された製品のタンク(26)、空気又は不活性ガスのタンク(25)、空気又は不活性ガスの殺菌フィルタ(27)、及び、前記処理された製品を、ろ過された空気又は不活性ガスを用いて、前記タンク(26)から充填又は保管機器に搬送する手段が設けられている、請求項7〜14のいずれか一項に記載の機械。
【請求項16】
請求項7〜15のいずれか一項に記載の前記機械を用いて行われる、圧送可能な物質、特に飲料又は化粧品を処理する方法であって、高圧処理ステップ中、及び、前記圧力が維持される時間中に、加圧される前記製品の前記充填及び排出ダクト(13)の洗浄ステップを含み、洗浄製品を前記プラグ内でタンク(24)からチャンバ(12)に圧送すること、及び、洗浄製品を圧送し戻すことを含み、それによって、洗浄製品は、最初に前記ロッド(11a)の内部を通って前記弁の前記雄型弁座(8)まで流れ、前記弁の貫通穴から出て前記充填及び排出ダクト(13)を通って戻ることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「圧送可能な」物質として知られている物質、特に、限定はされないが、飲料、化粧品等のような流体を高圧処理するための装置及び方法の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
高圧処理(HPP)は、4000バールを上回る圧力において、処理される製品の特性を変えることなく微生物負荷を低減するように管理する技術である。
【0003】
液体又は他の物質を高圧によって処理することで知られているHPP機器は、可撓性の容器、例えばボトル内に予め配置されている製品の処理に基づく。高圧処理の典型的な形態は、バッチで、すなわち、別個の非連続的なプロセスによって行われる。最初に、それらの可撓性の最終容器内の製品を、鋼製のベッセル内に装填される剛性のプラスチック製容器内に装填し、鋼製のベッセルは次に、水で充填される(容器間には占有されていない隙間があるため、残りのスペース)。充填されると、ベッセルは完全に閉じられ、水が高圧で(1つ又は複数の高圧増圧器によって)4000バール〜6000バールまで圧送され始め、この圧力は、数秒から数分まで変えることができる時間にわたって維持される。達する圧力及び圧力が維持される時間は、処理される製品に応じて各場合に規定されるプロセスのパラメータである(これは「レシピ」と呼ばれる)。例えば、飲料の場合、その微生物不活性化効果のためにその技術が使用され、レシピは、達成される微生物不活性化の所望のレベルに従って規定される。最後に、圧力が解放され、容器はベッセルの内部から取り出され、処理された製品が引き出される。製品は滅菌されており、すなわち、その微生物負荷は低減されている。
【0004】
HPPバッチプロセスにおいて、圧力は、加圧流体、通常は水を通じて製品に伝達され、これは、製品の全ての点に均等かつ即座に伝達される。既にパッケージングされたときに製品が処理されると仮定すると、ベッセルの充填係数(処理される製品の体積とベッセルの有用な体積との関係)は低く、容器の幾何学的形状及びベッセルの直径に応じて40%〜60%である。上記の全てから、バッチ処理の主な利点は、最初からその最終的なパッケージング形態であるため、製品が後に汚染されないことであると結論付けることができる。他方で、主な欠点は、達成される低い充填係数が、従来の高圧処理機器の生産性を制限することである。バッチプロセスの他の欠点は、高圧の効果に耐えることができる可撓性のパッケージングを使用する必要があること(ガラス等の材料の使用は可能ではない)、並びに、パッケージングをHPP機械に装填及び取り出しするために取り扱うことである。
【0005】
したがって、ベッセルの装填係数を上昇させ、パッケージングのタイプに対する制約を回避することができ、達成するのが最も困難ではあるが、製品の処理後に汚染が発生しないことを確実にする、現在の処理モードに対する代替案を探す必要がある。
【0006】
時間をかけて、主に2つの方向に向かう、異なる解決策が考案されてきた:圧力を伝達するピストンを用いてベッセル内の液体を直接的に処理すること、又は、ベッセル内に位置付けられる袋若しくは可撓性のメンブレン内の液体を処理するとともに、有用なスペースを可能な限り占有すること。
【0007】
圧力を直接的に加えることが意図される、ベッセル内の変位可能なピストンを含むシステムの場合、ピストンは2つの領域を隔て、1つの領域は処理される圧送可能な製品を含み、別の領域には圧力伝達流体(通常は水)が見られる。これらのシステムは、ピストンが、2つのエリアの液体の混合を防止するように特に設計されている高圧ジョイントを必要とするという主な欠点を有する。上記ジョイントは、定期的な監視及びかなりのメンテナンスを必要とする。さらに、この解決策は、製品が、処理される(したがって「滅菌される」)と、汚染されたエリア(圧力伝達流体)と接触し、汚染されることが非常に容易であるため、衛生上最適ではない。
【0008】
1990年代に、製品をバルクで(半連続的なシステムで)処置することによって働く幾つかのタイプの機器が開発された。これらは全て、ピストンを用いて動作し、衛生(機器の洗浄が困難であること及び製品が処理された後の汚染)の問題、並びに、もはや製造されなくなった理由である機械的な信頼性の問題を有していた。
【0009】
メンブレンが設けられるシステムの例が、特許文献1において見られる。しかし、このシステムは、洗浄が容易であるように設計が着想されていないために正しく滅菌されないダクトへの暴露/その通路に起因して、処理されたか又は処理中の製品の汚染を防止しないため、良好な衛生状態を有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願第5993172号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このタイプの高圧処理機器に関して提案された他の解決策は、洗浄が困難であることとは別に、その複雑さに起因して信頼性の問題を被りやすい、高圧に晒される多数の弁、パイプ及びジョイントを有する非常に複雑なシステムを含む。非常に高い圧力で動作する機器は、多くのメンテナンスを必要とするため、生産性を高めて機械のダウンタイムを減らすために、高圧に晒される構成要素、弁、チューブ、カップリング及びジョイントの数を可能な限り少なく保つ単純かつ効率的な設計を有することが必須であることが分かっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、上述した欠点を解決する高圧処理機械のプラグを提供することであり、これは、ベッセル内に位置付けられる可撓性の袋内の圧送可能な物質の処理を可能にする。特に、上記プラグは、衛生的な設計及び非常に高い圧力におけるシールという要件を満たし、その内側ダクトの洗浄を可能にし、これは、プロセスの終わりに上記ダクトを通過しなければならない処理される製品の汚染がないことを保証する。プラグは、高圧ベッセルを有する機械の一端に位置付けられ、対象の製品が内部で加圧される(内部に位置付けられる)可撓性の袋の充填及び排出を可能にする。機械は、圧力伝達流体を通過させるダクト、袋内の処理される製品の入口及び出口の別のダクト、並びに、袋に対する製品の通過を可能にするか又は防止するために雄型及び雌型の弁座を有するシート弁を備える。雄型弁座に接合されているとともに通常はアクチュエータによって作動されるロッドが、弁を開閉するために充填/排出ダクト内に位置付けられている。ロッドは、洗浄剤チャンバに接合されている内側ダクトを有し、それによって、製品が袋内で処理されている間に、充填/排出ダクトは洗浄剤の浴下にあるままである。
【0013】
本発明は、高圧処理機械(1000バール〜10000バール)であって、上記プラグ、及び、当該機械による加圧方法を含む、高圧処理機械にも関する。最高で90%〜95%の上昇した充填係数を達成する、このように着想された機械は、微生物を不活性化し、並びに/又は、傷みやすい液体/圧送可能な製品(飲料、食品、化粧品/医薬製品等のような)の特性を改質するという目的を満たし、機械及びプロセスの全ての点において衛生を維持する。
【0014】
本発明の特徴のより良い理解を助けるために、本明細書には、例示であって限定ではなく以下を表す、本明細書の一体的な部分としての以下の図面が伴う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のプラグを組み込む高圧処理機械の概略図である。
【
図2】本発明のプラグ(製品プラグ)を示す図である。
【
図3a】袋を充填及び排出し、並びに、ダクトを洗浄するステップ中の、製品プラグを示す図である。
【
図3b】袋を充填及び排出し、並びに、ダクトを洗浄するステップ中の、製品プラグを示す図である。
【
図3c】袋を充填及び排出し、並びに、ダクトを洗浄するステップ中の、製品プラグを示す図である。
【
図4】袋をプラグに固定するシステムの細部を示す図である。
【
図5】機械によって実行される処理方法の異なるステップ中の、プラグ要素、ベッセル及び袋の横断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明のプラグを組み込む機械の図を示している。機械は、加圧される製品1の供給源を備え、製品1はタンク22内に一時的に保管され、パイプの循環路及び製品プラグ5aを通して、端4a及び4bに2つの開口部が設けられている高圧ベッセル4内に位置する可撓性の袋6まで搬送される。可撓性の袋が製品で充填されると、通常は水である圧力伝達流体が、1つ又は複数のポンプ2によって2つのプラグ5a及び5bを通して、並びに、双方のプラグ内にこの目的で設けられるダクト20を通して、ベッセル内に導入される。流体は、プロセスにおいて規定される圧力を加える(たいていのレシピの場合に約6000バール)。圧力は、或る特定の時間の長さにわたって維持され、プロセスが終わると、1つ又は複数の放出弁3が、ベッセル4内の圧力を大気圧まで低下させる。それ自体が本発明である製品プラグ5aは、高圧処理が行われるエリアを、常に滅菌されなければならないエリアから隔てるが、この理由は、製品が「滅菌」される(処理され、したがって微生物がなくなる)と、未処理のまま通って入った(したがって、最初に微生物で汚染されている可能性がある)同じダクトを通って可撓性の袋を出て、この段階において汚染がないことが保証されなければならないためである。
【0017】
図2を参照すると、本発明のプラグ5aは、圧力伝達流体のダクト20に加えて、加圧される製品の内側充填及び排出ダクト13を有する。袋6に接触するプラグの端にあるシート弁7が、充填及び排出ダクト13がHPPサイクル中(高圧処理の全ての段階)に高圧に晒されることを防止する。この弁の存在は、排出と同じダクトである充填ダクトを、衛生的な設計基準を用いて設計することができ、その結果、HPPサイクルの圧力が維持される段階中に、効果的に洗浄することが容易であることを意味する。
【0018】
弁7は、雄型弁座8及び雌型弁座10からなり、これらはともに、6000バールよりも高い圧力に耐えるために、600MPaよりも高い弾性限界を有する、例えば15−5PH H900又は13.8Mo H1000鋼等の耐食性材料から製造される。弁座の角度は60°〜100°である。弁7の開閉は、油圧であり得るアクチュエータ15によるロッド11の並進移動によって生成される。ロッドは、弁の雄型弁座8に直接的に接続されている。したがって、プラグ及び機械のシャフトの方向への単純な移動が、弁の閉じ(
図3b)又は開き(
図3a及び
図3c)を生成する。シールは金属対金属であるため、処理される液体に接触する高圧ジョイントの使用は回避され、この理由は、高圧ジョイントは洗浄するのが非常に難しく、衛生的な設計を有しない場合、有機物、したがって微生物の蓄積源になる可能性があり、高圧に耐えることになる場合に幾分非常に複雑になる可能性があるためである。この弁は、洗浄するのが容易であり、機械的な観点からも非常に信頼性が高く、単純である。弁は、高圧に晒されるエリアを、衛生的な設計を有しなければならないエリアから隔てる。
【0019】
袋を処理される製品で充填するために、プラグ5aの弁7が開かれる(
図3a)。製品はタンク22内にあり、三方弁28を通して、プラグの内側充填及び排出ダクト13まで搬送される。任意選択的に、製品は、種、果肉又は他の粒子を排除する必要がある場合にはフィルタ23に通され、これは、シール機能に損傷を与え得るいずれの固形粒子も弁座に残ることを防止するのに役立ち、この理由は、ろ過された製品が上記粒子を一掃して洗浄するためである。袋6が満杯になると、アクチュエータがロッド11を移動させ、弁が閉じる(
図3b)。次に、ベッセルの外側に位置付けられている、洗浄剤(過酸化物、蒸気又は殺菌作用を有する他の化合物)を有するタンク24が開く。洗浄剤は、ポンプ29によってプラグに入り、製品プラグ内のダクト32を通り、チャンバ12及びロッド11に達する。ロッド11は、内部に穴及びダクト11aを有し、それによって、洗浄剤が穴を通って入り、ロッドの内部を通って、雄型弁座8が位置付けられている端まで流れ、他の穴を通ってロッドから出る。このように、内側の製品充填/排出ダクト13は洗浄され、洗浄剤は、排水管31につながる外側の三方弁28に向かって戻る。洗浄剤が入るときに通るダクト32の端にあるチャンバ12は、弁が開いているときにダクト13に入るロッド11の部分を清潔に維持するほど十分に長い。したがって、清潔なエリアに入るロッドの部分は、弁が作動されるときにその衛生状態を確実にするために、洗浄剤の浴内に連続的に保たれる。
【0020】
ダクト13の構成要素は、オーステナイトステンレス鋼から好ましくは製造される。これらの材料は、ジュース又は他の低pH食品等の或る特定の液体物質に暴露されるときに、高い耐食性を有する。このダクト13は、プラグの構造材料を保護するのに役立ち、この理由は、ダクト13がプラグと加圧される製品との直接的な接触を防止するためである。プラグは、900MPaよりも高く、好ましくは1000MPaよりも高い弾性限界を有するステンレス鋼から好ましくは作られ、これは、オーステナイト鋼よりも低い耐食性を有する。
【0021】
ダクト13の異なる部分は、衛生的なジョイントによって接合され、ジョイントにおいては、緊密性を確実にするために、特定の張力を維持する必要がある。さらに、プラグは、ばね又はエラストマ等の弾性要素を含めなければ要素13、12及び15によって吸収することができない圧力下で変形される。プラグの遠位端(袋から最も離れた端)に位置決めされる弾性要素14は、圧力に起因するプラグの変形を吸収し、緊密性を確実にするために必要な張力を用いてダクト13の衛生的なジョイントも常に維持する。
【0022】
プラグの端には、可撓性の袋6に接続するように適合されているコネクタ17がある(
図3及び
図4)。この接続は、製品を袋6から衛生的に充填及び排出することを可能にし、さらに、高圧処理を通して、処理される製品が圧力伝達流体から隔離されることを保証する。袋6には、袋6に取り付けられる可撓性の雌型コネクタ17.2が設けられている。コネクタ17.2は、好ましくはプラスチック材料から作られる接合フランジ17.5によってプラグに取り付けられる雄型コネクタ17.1、及び、袋の排出を容易にするためにホース、パイプ又は別のシステムを接続することができる締結部材17.4を接合する。雄型コネクタ17.1はさらに、雌型弁座10に接触し、雌型弁座10はさらに内側充填/排出ダクト13に接触する。部材17.1、10及び13は、幾つかの場合に、単一の部材であるものとすることができる。任意選択的に、袋の外部に高圧が存在しないサイクルの段階において、すなわち、袋の製品充填段階中、及び、処理された製品を袋から引き出す段階中に緊密性を確実にするために、エラストマジョイント17.3が雄型コネクタ17.1と雌型コネクタ17.2との間に配置される。このジョイント17.3は、接続部に緊密性を与えるために必要なシール圧力を受け取る。伝達流体の圧力が上昇すると、ジョイントを構成する全ての部材は、その効果の結果としてそれらの体積が低減し始める。鋼とプラスチックとの間の異なる圧縮率に起因して、袋のコネクタ17.2は、金属であるためその体積がほとんど低減しないプラグの雄型コネクタ17.1に対してますます圧縮され、プラスチック−金属シールを達成する。エラストマジョイント17.3は、減圧においてその体積を回復することによって同様に圧縮され、したがって、その閉じ機能を果たす。
【0023】
図1及び
図5を参照すると、処理される製品を加圧する方法は以下の通りである:
袋6をベッセル4内に配置するために、機械には、機械の主軸に対して垂直な方向に横方向に変位することができる2つの楔形部21a、21bが設けられている。楔形部を取り外すことで、プラグ5a、5bを取り外してベッセルにアクセスすることを可能にする。次に、ベッセル4を、(図示されていない)全ての要素を支持するヨークの外側に留まるように、横断方向に移動させ、それによって、ベッセルへのアクセスが達成される。袋6が導入されると、ベッセル4を再び横断方向に移動させ、ヨークとのその位置合わせを回復させる。次に、袋6と製品プラグ5aとの接続を行う。続いて、プラグ5a、5bを再びベッセル内に導入し、楔形部21a、21bはその初期位置を回復する。次に、処理される製品を製品プラグのダクト13を通して導入する(
図5.1)。ベッセル4内に存在する空気は、反対側のプラグ5bを通して、通気弁16の開口部を通ってダクト33を通して出て、弁30を通して大気中に押し出される。次に(
図5.2)、圧力伝達流体を、双方のプラグ5a、5b内に存在するダクト20を通してポンプ(単数又は複数)2によってベッセル内に導入する。圧力は、通常は4000バール〜6000バールである選択されたレシピ圧力まで上昇し、同様にレシピによって規定されるとともに、各場合に処理される製品(液体)に適合される所定の時間期間にわたって維持される(
図5.3)。このプロセス(圧力の上昇及び維持)中に、製品プラグ5aを、
図3bを参照して記載したように洗浄する。洗浄剤は、タンク24内にあり、ポンプ29によってダクト32を通してチャンバ12まで運ばれる。ダクトが洗浄されると、洗浄剤はダクト13を通して三方弁まで排出され、三方弁は洗浄剤を排水ダクト31内に排出する。圧力が一定の時間期間にわたって維持され、製品が処理されると、圧力の上昇中に導入された伝達流体の一部が、大気圧に達するまで、逃し弁(単数又は複数)3の作動に起因して、ダクト20を通してベッセルを出る(
図5.4)。次に、アクチュエータ15が弁7を開き、袋6は、通気弁16が開くとタンク25から通気プラグ5bのダクト33を通してベッセルに達し、袋の外側を押圧する加圧空気又は不活性ガスを用いて排出し始める(
図5.5)。空気又は不活性ガスの圧力は、可撓性の袋6の外側に作用し、袋6の排出を容易にし、製品を、コネクタ17を通して、プラグ5aのダクト13を通って、弁28を通して、処理された製品のタンク26まで通過させる。最後に、処理された製品の全体は、タンク26内にあるままであり、袋は空になる(
図5.6)。タンク26への処理された製品の搬送が完了すると、ベッセル4内の残りの空気又はガスの圧力が弁30を通して解放され、機器を新たな処理サイクルの開始の準備が整った状態にし、必要であれば袋6を交換する。新たな処理サイクルは、処理される新たな製品を導入することによって開始し(
図5.1)、サイクル毎に行われるわけではない動作である袋6の交換がされない場合には、機械の移動を行う必要はない。タンク26の製品は、好適であるものとして確認されると、タンク25から進むとともに殺菌フィルタ27を通してろ過される空気又は不活性ガスによって推進されて充填又は保管機器に搬送され、製品の可能性のある汚染を回避する。
【0024】
製品プラグのおかげで、処理される製品を含む充填/排出ダクトは高圧に晒されず、そのため、洗浄剤(蒸気又は過酸化物等)による上記ダクトの洗浄がより容易になり、この理由は、その設計において、容易に洗浄されるジョイント及び耐食性材料を使用することができるためである。さらに、これは、処理される流体と接触する複雑なパイプ、カップリング及び弁が、高圧に起因して疲労に晒され、したがって、クラック内部の微生物の増殖に起因する洗浄の問題が発生することを防止する。
【0025】
本発明は、他の以前の解決策と比較して、機械的に単純であり、それによって、機械的な信頼性の観点からロバストであり、高圧に晒されるエリアは可能な限り小さい。衛生的な設計を有しなければならないエリアを、高圧に耐えるように設計しなければならないエリアから明らかに隔てる本発明のおかげで、衛生的及び機械的な信頼性は高い。さらに、2つのエリアは、洗浄するのが容易な金属対金属のシールによって隔てられ、機械的な観点から非常に信頼性が高い。処理される液体は、高圧シールを行う必要があるエラストマジョイントを有するエリアにおいては加圧されることが防止され、その高圧支持設計は、エラストマジョイントを洗浄することを容易にしないか又は衛生的な観点から好適ではない。これは、微生物が成長し得る疲労クラックを発生させる可能性がある、パイプが処理される流体によって高圧に晒されることも防止し、微生物の洗浄は非常に複雑であり、耐食性材料の使用を可能にする。
【0026】
本明細書及び図面に照らして、当業者は、本発明がその或る特定の好ましい実施形態に従って記載されているが、特許請求の範囲に記載のような本発明の目的を超えることなく、上記好ましい実施形態に複数の変更を導入することができることを理解する。