(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本開示が、以下の実施の形態によって限定されるものではない。
(実施の形態1)
【0015】
以下、
図1を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1における荷物保持装置設置図である。
【0017】
図1において、荷物保持装置100は、ひも止め101と、環状ひも102と、フック103と、を備える。環状ひも102は、固定部104と、滑動部105と、を有する。
【0018】
ひも止め101は、一本のひもの両端をまとめることで環状ひも102を形成し、ひものまとめる位置を変化させることで環状ひも102の周長を変化させることができる。固定部104は、被固定物であるシート10のヘッドレスト11と背もたれ12とを接続する二本の支持棒13a、13bに引っ掛けて固定され、荷物14の吊り上げ動作を行っても大きく移動することはない。滑動部105は、環状ひも102のうちの、シート10の支持棒13a、13bに滑動自在に引っ掛けられられた部分であり、後述する荷物14の吊り上げ動作に伴い、環状ひも102のなかで滑動部105の位置が相対的に移動する。フック103は、固定部104と滑動部105との間の二本のひもに滑動自在に接続され、荷物14を係合して吊り上げ、保持する。滑動部105とフック103との間の二本のひもは、二本の支持棒13a、13bの間を通り、シート10の前側に配置される。
【0019】
以上のように構成された荷物保持装置100について、動作と作用、効果を説明する。
【0020】
ひも止め101でまとめられた二本のひもを下方に引っ張ることで、荷物14が係合されたフック103が上方に移動し、荷物14を吊り上げる。荷物14の重さは、固定部104と滑動部105とによって分散して支えるため、滑動部105で荷物14を保持する力は荷物14の重さの半分である。したがって、滑動部105に直結し、ひも止め101でまとめられた二本のひもを下方に引っ張る力も荷物14の重さの半分である。すなわち、荷物14の重さの半分の力で、フック103に係合した荷物14を上方に吊り上げることができる。
【0021】
フック103を所定の高さまで上昇させ、荷物14を吊り上げて安定させた後は、ひも止め101を滑動部105付近まで移動させ、フック103が下降しないようにロックして保持する。ただし、荷物14を完全に吊り上げると振動で揺れて逆に不安定になるため、適切な高さに吊り上げる必要がある。
【0022】
これにより、ひも止め101と、ひも止め101でひもを環状に形成した環状ひも102と、フック103の三つの構成要素だけのシンプルな構成で、荷物14をその重さの半分の力で吊り上げて保持することができる。そのため、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物14を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物14の破損を抑制することができる。
【0023】
また、ひも止め101でまとめられた二本のひもは、シート10の前側に配置されることにより、荷物14の近くで吊り上げ作業をすることができる。例えば、助手席のシート10に荷物14を置き、シート10の後ろに回り込むことなく、シート10の前から荷物14を吊り上げ保持することができる。そのため、高い作業性を実現することができる。
【0024】
加えて、フック103を二本のひもで二点支持し、左右方向へ振られにくい。そのため、自動車の横方向の揺れが発生した時でも、荷物14が左右へ倒れることを抑制し、安定的に保持することができる。特に、フック103のひもを通す部分の形状を
図1に示すような四角形、または、三角形とすることで、二点支持の位置がより左右に広がり、より安定的に保持することができる。
(実施の形態2)
【0025】
以下、
図2を用いて、実施の形態2を説明する。
【0026】
図2は、実施の形態2における荷物保持装置設置図である。
【0027】
図2において、荷物保持装置200は、ひも止め201と、環状ひも202と、フック203と、を備える。環状ひも202は、固定部204と、滑動部205と、を有する。
【0028】
荷物保持装置200は、実施の形態1の荷物保持装置100と同様の構成であるが、滑動部205でのひもの取り回しが異なり、滑動部205の二本のひもは、互いに交差し、保護部材であるチューブ206内を通すことで互いに直接接触しない。荷物14は、図示を省略する。
【0029】
以上のように構成された荷物保持装置200について、動作と作用、効果を説明する。
【0030】
実施の形態1と同様、ひも止め201でまとめられた二本のひもを下方に引っ張ることで、荷物14の重さの半分の力で、フック203に係合した荷物14を上方に吊り上げることができる。
【0031】
これにより、実施の形態1と同様、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物14を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物14の破損を抑制することができ、高い作業性も実現できる。
【0032】
これらの効果に加え、ひも止め201でまとめられた二本のひもが、二本の支持棒13a、13bの間を通ることがない。そのため、支持棒13a、13bが一本で構成されたシート10や、ヘッドレスト11と背もたれ12が一体となったシート10でも荷物保持装置200を設置することができる。
【0033】
また、滑動部205の二本のひもは、互いに直接接触しないことにより、荷物14の吊り上げ動作時に二本のひもが逆向きに相対的に移動することによる摩擦力が生じない。そのため、ひも止め201でまとめられた二本のひもを下方に引っ張る力の増大を抑制することができる。
【0034】
また、二本のチューブ206と固定部204とをまとめて一体化させれば、荷物保持装置200がシンプルな構成になり、どのような被固定物にも容易に固定することができる。
(実施の形態3)
【0035】
以下、
図3〜
図5を用いて、実施の形態3を説明する。
【0036】
図3は、実施の形態3における荷物保持装置300の概要図である。
図4は、荷物保持装置300をシート10に設置した荷物保持装置設置図である。
【0037】
図3において、荷物保持装置300は、ひも止め301と、ひも302と、フック303と、固定部材306と、を備える。ひも302は、固定部304と、滑動部305と、を有する。
【0038】
図5は、固定部材306の正面図である。
【0039】
図5において、樹脂製の固定部材306には、シート10の支持棒13a、13bに取り付けるハンガー部307と、ひも302の固定部304を固定するひも固定穴308と、ひも302の滑動部305を滑動させる滑動部材の機能を有する滑動穴309と、を備える。
【0040】
ひも302の固定部304は、その端部を固定部材306の固定穴308に通した後で結び、固定穴308から抜けないように固定される。ひも302の滑動部305は、固定部材306の滑動穴309にひも302を通して形成される。滑動穴309と滑動部305との接触面は、滑動方向にエッジ部を持たない曲面形状をなし、滑動部305がスムーズに滑動できる。フック303は、固定部304と滑動部305との間のひも302に滑動自在に接続され、荷物14を係合して吊り上げ、保持する。
【0041】
以上のように構成された荷物保持装置300について、動作と作用、効果を説明する。
【0042】
ひも止め301側のひも302を下方に引っ張ることで、荷物14が係合されたフック303が上方に移動し、荷物14を吊り上げる。荷物14の重さは、固定部304と滑動部305とによって分散して支えるため、滑動部305で荷物14を保持する力は荷物14の重さの半分である。したがって、ひも止め301側のひも302を下方に引っ張る力も荷物14の重さの半分である。すなわち、荷物14の重さの半分の力で、フック303に係合した荷物14を上方に吊り上げることができる。
【0043】
この荷物保持装置300は、従来の特許文献2の荷物保持装置のように単にひも302の長さを調整できるだけではなく、また、従来の特許文献1および3の荷物保持装置のように単に荷物14を支持棒13a、13bに吊り下げるだけではなく、ひも302の長さを調整する部材の一部である滑動穴305を支持棒13a、13bに固定することにより、荷物14を吊り上げる力を荷物14の重さの半分にできるという新たな効果が得られる。
【0044】
フック303を所定の高さまで上昇させ、荷物14を吊り上げて安定させた後は、ひも止め301を滑動穴309まで移動させて当接させ、フック303が下降しないようにロックして保持する。
【0045】
これにより、実施の形態1と同様、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物14を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物14の破損を抑制することができ、高い作業性も実現できる。
【0046】
これらの効果に加え、実施の形態1および2と比較して、ひも302の取り回しをシンプルに構成できる。そのため、シート10の支持棒13a、13bへの脱着が容易であるとともに、外して保管するときのひも302の絡まりも抑制することができる。
【0047】
また、滑動部材の機能を有する滑動穴309を固定部材306と一体化することにより、部品点数を減らすことができる。そのため、荷物保持装置300のコストを抑制することができるとともに、シート10への取り付け、取り外しが容易になり、作業性を向上できる。
【0048】
また、樹脂製の固定部材306により、軽量化できる。そのため、荷物保持装置300の取り付け、取り外しが容易で、作業性を向上できる。
【0049】
また、固定部材306の素材を潤滑性の高い材料に設定したり、潤滑性の高い表面処理を施したりすることができる。そのため、滑動穴309とひも302の滑動部305との摩擦損失が低減され、より小さい力で荷物14を吊り上げることができる。
(実施の形態4)
【0050】
以下、
図6を用いて、実施の形態4を説明する。
【0051】
図6は、実施の形態4における荷物保持装置400の概要図である。
【0052】
図6において、荷物保持装置400は、ひも止め401と、ひも402と、フック403と、固定部材406と、滑動部材409と、ひもロック410と、を備える。ひも402は、固定部404と、滑動部405と、を有する。被固定物のシート10と荷物14は、図示を省略する。
【0053】
ひも402の固定部404は、ひも止め401と同一機能のひもロック410によってひも402の一端を環状に形成して固定部材406をなし、シート10の支持棒13が通される。ひも402の固定部404側の最端部には結び目が設けられ、ひも402がひもロック410から抜けないように抜け止めの役割を果たす。
【0054】
滑動部材409の中空部には、ひも402を環状に形成した固定部材406が通されて、滑動部材409と固定部材406とが連結され、滑動部材409は、間接的に被固定物に固定される。ひも402の滑動部405は、滑動部材409の中空部に通され、実施の形態3の荷物保持装置300における滑動穴309の役割を果たす。滑動部材406と滑動部405との接触面は、滑動方向にエッジ部を持たない曲面形状をなし、滑動部405がスムーズに滑動できる。フック403は、固定部404と滑動部405との間のひも402に滑動自在に接続され、荷物14を係合して吊り上げ、保持する。
【0055】
以上のように構成された荷物保持装置400について、動作と作用、効果を説明する。
【0056】
ひもロック410は、滑動部材409の中空部の幅よりも大きく構成され、ひもロック410が滑動部材409に引っかかることで、滑動部材409が下降しないように、すなわち、荷物14を係合したフック403が下降しないように固定される。ひもロック410によって環状の固定部材406の周長を変化させることで、滑動部材409の固定高さを調整できる。
【0057】
実施の形態3と同様、ひも止め401側のひも402を下方に引っ張ることで、荷物14の重さの半分の力で、フック403に係合した荷物14を上方に吊り上げることができる。フック403を所定の高さまで上昇させ、荷物14を吊り上げて安定させた後は、滑動部材409の中空部の幅よりも大きいひも止め401を滑動部材409まで移動させて当接させ、フック403が下降しないようにロックして保持する。
【0058】
また、実施の形態3と同様、ひも402の取り回しをシンプルに構成できる。また、固定部材406の素材を潤滑性の高い材料に設定したり、潤滑性の高い表面処理を施したりすることができる。
【0059】
これにより、実施の形態3と同様、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物14を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物14の破損を抑制することができ、高い作業性も実現できる。また、シート10の支持棒13a、13bへの脱着が容易であるとともに、外して保管するときのひも402の絡まりも抑制することができる。また、滑動部材409とひも402の滑動部405との摩擦損失が低減され、より小さい力で荷物14を吊り上げることができる。
【0060】
これらの効果に加え、滑動部材409を非常にシンプルな長円形状として作製できる。そのため、鎖等の一般的な部材を流用することができ、安価な荷物保持装置400を提供できる。また、シート10の支持棒13a、13bにひも402を巻き付けて固定するため、支持棒13a、13bへの傷付きを抑制することができる。
(実施の形態5)
【0061】
以下、
図7を用いて、実施の形態5を説明する。
【0062】
図7は、実施の形態5における荷物保持装置500の概要図である。
【0063】
図7において、荷物保持装置500は、ひも止め501と、ひも502と、フック503と、固定部材506と、滑動部材509と、ひもロック510と、を備える。ひも502は、固定部504と、滑動部505と、を有する。被固定物のシート10と荷物14は、図示を省略する。
【0064】
荷物保持装置500は、実施の形態4の荷物保持装置400と同様の構成であるが、滑動部材509に二つの固定部材用穴509aと一つの滑動穴509bの三つの穴の開いた樹脂成形部材である点が異なる。
【0065】
ひも502の固定部504は、ひも止め501と同一機能のひもロック510によってひも502の一端を環状に形成して固定部材506をなし、シート10の支持棒13が通される。ひも502の固定部504側の最端部には結び目が設けられ、ひも502がひもロック510から抜けないように抜け止めの役割を果たす。
【0066】
滑動部材509の二つの固定部材用穴509aには、固定部材506を形成するひも502が一本ずつ通されて、滑動部材509と固定部材506とが連結され、滑動部材509は、間接的に被固定物に固定される。ひも502の滑動部505は、滑動部材509の滑動穴509bに通される。滑動部材506と滑動部505との接触面は、滑動方向にエッジ部を持たない曲面形状をなし、滑動部505がスムーズに滑動できる。フック503は、固定部504と滑動部505との間のひも502に滑動自在に接続され、荷物14を係合して吊り上げ、保持する。
【0067】
以上のように構成された荷物保持装置500について、動作と作用、効果を説明する。
【0068】
実施の形態4と同様の動作により、同様の作用、効果を得ることができる。
【0069】
これらの効果に加え、固定部材506を形成するひも520が二つの固定部材用穴509aそれぞれに通されるため、固定部材506が滑動部材509から離れない。そのため、荷物保持装置500を被固定物から取り外して保管中に、連結された固定部材506と滑動部材509とが分離することがなく、再度被固定物に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
(実施の形態6)
【0070】
以下、
図8と
図9を用いて、実施の形態6を説明する。
【0071】
図8は、実施の形態6における荷物保持装置600の概要図である。
【0072】
図8において、荷物保持装置600は、ひも止め601と、ひも602と、フック603と、固定部材606と、を備える。ひも602は、固定部604と、滑動部605と、を有する。被固定物のシート10と荷物14は、図示を省略する。
【0073】
図9は、固定部材606の正面図である。
【0074】
図9において、固定部材606には、シート10の支持棒13a、13bに取り付けるハンガー部607と、ひも602の固定部604を固定するひも固定穴608と、ひも602の滑動部605を滑動させる滑動穴609と、を備える。
【0075】
荷物保持装置600は、実施の形態3の荷物保持装置300と同様の構成であるが、固定部材606が一本の金属製の線材を曲げて成形されている点が異なる。
【0076】
以上のように構成された荷物保持装置600について、動作と作用、効果を説明する。
【0077】
実施の形態3と同様、ひも止め601側のひも602を下方に引っ張ることで、荷物14の重さの半分の力で、フック603に係合した荷物14を上方に吊り上げることができる。フック603を所定の高さまで上昇させ、荷物14を吊り上げて安定させた後は、ひも止め601を滑動穴609まで移動させて当接させ、フック603が下降しないようにロックして保持する。また、ひも602の取り回しをシンプルに構成できる。また、固定部材606の素材を潤滑性の高い材料に設定したり、潤滑性の高い表面処理を施したりすることができる。
【0078】
これにより、実施の形態3と同様、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物14を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物14の破損を抑制することができ、高い作業性も実現できる。また、シート10の支持棒13a、13bへの脱着が容易であるとともに、外して保管するときのひも602の絡まりも抑制することができる。また、滑動穴609とひも602の滑動部605との摩擦損失が低減され、より小さい力で荷物14を吊り上げることができる。
【0079】
これらの効果に加え、固定部材606を比較的低コストの金属線材を曲げ加工するだけで作製できる。そのため、安価で高強度な固定部材606を実現でき、高い信頼性の荷物保持装置600を安価に提供できる。比較的硬い金属素材のハンガー部607に樹脂製のチューブを通したり、シート10の支持棒13a、13bの材質よりも軟質の素材を巻き付けたりすることで、被固定物への傷付きを抑制することができる。
(実施の形態7)
【0080】
以下、
図10と
図11を用いて、実施の形態7を説明する。
【0081】
図10は、実施の形態7における荷物保持装置700の概要図である。
【0082】
図10において、荷物保持装置700は、ひも止め701と、ひも702と、フック703と、固定部材706と、ワイヤー710を備える。ひも702は、固定部704と、滑動部705と、を有する。荷物14は、図示を省略する。
【0083】
図11は、固定部材706の正面図である。
【0084】
図11において、固定部材706には、シート10の支持棒13a、13bにワイヤー710を介して取り付けるハンガー部707と、ひも702の固定部704を巻き付けて固定するひも固定用絞り部708と、ひも702の滑動部705を滑動させる滑動穴709と、を備える。
【0085】
荷物保持装置700は、実施の形態6の荷物保持装置600と同様、固定部材706が一本の金属製の線材を曲げて成形された構成であるが、形状が異なる。
【0086】
以上のように構成された荷物保持装置700について、動作と作用、効果を説明する。
【0087】
実施の形態6と同様の動作により、同様の作用、効果を得ることができる。
【0088】
これらの効果に加え、固定部材706が柔軟性のあるワイヤー710を介して被固定物に取り付けられるため、被固定物とその周囲の形状の影響で固定部材706が取り付けられなかったり、傾いたりすることがない。そのため、固定部材706をぶら下げることで、滑動穴709を常に下方に位置させ、安定的に、かつ滑動部705での大きな摩擦なく、荷物14の吊り上げ作業ができる。
【0089】
また、切れ目を有するリング状金属部材を8の字状に成型することで固定部材704を作製できる。そのため、実施の形態6の固定部材606と比較して、より少ない工数で固定部材706を作製でき、より安価に荷物保持装置700を提供できる。
(実施の形態8)
【0090】
以下、
図12を用いて、実施の形態8を説明する。
【0091】
図12は、実施の形態8における荷物保持装置800の概要図である。
【0092】
図12において、荷物保持装置800は、ひも止め801と、ひも802と、二個のフック803と、固定部材806と、滑動部材809と、二本のワイヤー810a、810bを備える。ひも802は、固定部804と、滑動部805と、を有する。
【0093】
固定部材806は、被固定物であるシート10の一本の支持棒13aにワイヤー810aを介して取り付けられる。滑動部材809は、別の被固定物であるシート10のもう一本の支持棒13bに別のワイヤー810bを介して取り付けられる。
【0094】
荷物保持装置800は、実施の形態6の荷物保持装置600と同様、固定部材806をワイヤー810aを介して一本の支持棒13aに固定した構成であるが、滑動部805が滑動する滑動部材809が固定部材806と別体化され、別のワイヤー810bを介してもう一本の支持棒13bに固定される点が異なる。また、フック803を二個備えている点が異なる。
【0095】
以上のように構成された荷物保持装置800について、動作と作用、効果を説明する。
【0096】
実施の形態7と同様、フック803を所定の高さまで上昇させ、荷物14を吊り上げて安定させた後は、ひも止め801を滑動部材809まで移動させ、フック803が下降しないようにロックして保持する。
【0097】
荷物保持装置800は、実施の形態7と同様の動作により、同様の作用、効果を得ることができる。
【0098】
これらの効果に加え、固定部材806と滑動部材809とを一定の間隔をもって固定することで、実施の形態1および2の構成と同様、フック803を通したひも802が左右に一定の距離を持つ二本の支持棒13a、13bの位置で支持され、そこから伸びるひも802で懸架し、フック803が左右方向へ振られにくい。そのため、自動車の横方向の揺れが発生した時でも、荷物14が左右へ倒れることを抑制し、安定的に保持することができる。
【0099】
また、二個の荷物14を二個のフック803それぞれに係合して吊り上げ、保持することができる。そのため、複数の荷物14を効率的に自動車で運搬することができる。
(実施の形態9)
【0100】
以下、
図13と
図14を用いて、実施の形態9を説明する。
【0101】
図13は、実施の形態9における荷物保持装置900の概要図である。
【0102】
図13において、荷物保持装置900は、ひも止め901と、環状ひも902と、フック903と、固定部材906と、を備える。環状ひも902は、固定部904と、滑動部905と、を有する。被固定物のシート10と荷物14は、図示を省略する。
【0103】
図14は、固定部材906の正面図である。
【0104】
図14において、固定部材906には、環状ひも902の固定部904を固定する二つのひも固定穴908と、環状ひも902の滑動部905を滑動させる二つの滑動穴909と、を備える。
【0105】
環状ひも902の固定部904は、固定部材906の二つの固定穴908に通して固定される。環状ひも902の滑動部905は、固定部材906の二つの滑動穴909に環状ひも902を通して形成される。滑動穴909と滑動部905との接触面は、滑動方向にエッジ部を持たない曲面形状をなし、滑動部905がスムーズに滑動できる。フック903は、固定部904と滑動部905との間の二本のひもに滑動自在に接続され、荷物14を係合して吊り上げ、保持する。
【0106】
荷物保持装置900は、実施の形態1の荷物保持装置100と同様の構成であるが、シート10の支持棒13a、13bの代わりに、固定部材906によって環状ひも902の固定部904と滑動部905とを支持している点が異なる。
【0107】
以上のように構成された荷物保持装置900について、動作と作用、効果を説明する。
【0108】
実施の形態1と同様、ひも止め901でまとめられた二本のひもを下方に引っ張ることで、荷物14の重さの半分の力で、フック903に係合した荷物14を上方に吊り上げることができる。
【0109】
これにより、実施の形態1と同様、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物14を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物14の破損を抑制することができ、高い作業性も実現できる。
【0110】
これらの効果に加え、実施の形態2と同様、荷物保持装置900の設置にシート10の支持棒13a、13bは不要である。そのため、ヘッドレスト11と背もたれ12が一体となったシート10でも荷物保持装置900を設置することができる。
【0111】
また、実施の形態2では、滑動部205とチューブ206との接触面積が大きく、摺動摩擦を低減するために潤滑材を注入したり、潤滑性の高い環状ひも202やチューブ206を用いる必要があったものが、本実施の形態9では、滑動部905と滑動穴909との接触面積が非常に小さい。そのため、より小さい力で荷物14を吊り上げることができる。
(他の実施の形態)
【0112】
以上、本開示の例として実施の形態1〜9を説明したが、これらに限定されるわけではない。また、実施の形態1〜9の構成要素を組み合わせることで新たな実施の形態とすることもできる。
【0114】
実施の形態1〜9では、ひもの一例として、環状ひも102、202、902、とひも302、402、502、602、702、802を説明した。いずれも一本の化学繊維製の線状ひもを用いて構成されている。ひもは、荷物14の荷重を受け止める機能を有していればよいため、一本の化学繊維製の線状ひもに限定されない。ただし、一本の化学繊維製の線状ひもを用いれば、安価、軽量、シンプルに構成することができる。また、二本以上のひも、または、帯状のひもを用いてもよい。これにより、十分な強度を確保できるため、自動車運転中の外乱に伴うひもへの過度な負荷によるひもの破断が原因で荷物14が破損することを抑制することができる。また、金属製、または、炭素繊維製、または、自然材料製のひもを用いてもよい。これにより、荷重や用途、コストに応じた適切なひもを選択することができる。
【0115】
実施の形態1〜9では、フックの一例として、フック103、203、303、403、503、603、703、803、903を説明した。フックは、荷物14を係合できればよいため、各図面に示す形状のフック103、203、303、403、503、603、703、803、903に限定されない。ただし、フック103、203、303、403、503、603、703、803、903を用いれば、荷物14を簡単に引っ掛けたり外したりすることができるとともに、環状ひも102、202、902、およびひも302、402、502、602、702、802からフック103、203、303、403、503、603、703、803、903が外れることがない。また、S字状のフックを用いてもよい。これにより、フックの製造が容易になり、低コスト化を実現することができる。また、開閉するゲートを備えたカラビナフックを用いてもよい。これにより、荷物14の吊り上げを一旦中止して再度吊り上げを行うような場面において、荷物14の吊り上げを一旦中止してフックを下げたときに、荷物14に引っ掛けたフックが外れてしまうことがなく、確実に荷物14を保持することができる。
【0116】
実施の形態1〜9では、被固定物の一例として、自動車のシート10を説明した。被固定物は、荷物保持装置100、200、300、400、500、600、700、800、900と荷物14を支持できればよいため、シート10に限定されない。ただし、シート10に固定すれば、上下左右前後への大きな慣性力が生じやすい自動車の車内環境の中で、荷崩れしやすい買い物袋や破損しやすい精密部品、転がりやすい球形物、転倒しやすい長尺物等を安定的に保持することができる。また、被固定物として、自転車の前かごや後かごに固定してもよい。これにより、右左折時に自転車が傾き、それに伴ってかごが傾いても、かごの中の荷物14を安定的に保持することができる。また、被固定物として、部屋の壁の突起物に固定してもよい。これにより、物品を壁にディスプレイできるとともに、重い物品でもその重さの半分の力で自由に高さを変更できる自由度を併せ持つ。
【0117】
実施の形態1〜9では、荷物14を吊り上げて安定させた後にフック103、203、303、403、503、603、703、803、903が下降しないようにロックして保持する方法の一例として、ひも止め101、201、301、401、501、601、701、801、901を説明した。フック103、203、303、403、503、603、703、803、903が下降しないようにロックできればよいため、ひも止め101、201、301、401、501、601、701、801、901に限定されない。ただし、ひも止め101、201、301、401、501、601、701、801、901を用いれば、ロックする位置を手早く、簡単に変更することができる。ひも止め101、201、301、401、501、601、701、801、901としては、ボタンを押すことで位置を変更できるものが一般的で、安価に、かつ確実にロックできるが、環状ひも102、202、902、およびひも302、402、502、602、702、802を細溝に圧入してロックするものや、挟み込んでロックするもの等、様々な種類があり、使い勝手に応じて自由に選択すればよい。また、ロックする方法として、環状ひも102、202、902、およびひも302、402、502、602、702、802を固定部材306、606、706、906、および滑動部材406、509、809に結んだり、細溝を設けて圧入したり、それらを組み合わせて構成したりしてもよい。これにより、部品点数が減って、より安価に提供することができる。
【0118】
実施の形態3〜9では、ひも302、402、502、602、702、802、902の固定部304、404、504、604、704、804、904がひも固定穴308、608、908、ひもロック410、510、ひも固定用絞り部708、および固定部材806から外れないように固定する固定方法の一例として、固定部304、404、504、604、904に結び目を設ける方法や固定部704、804をひも固定用絞り部708、固定部材806に巻き付けて結ぶ方法を説明した。固定部304、404、504、604、704、804、904は、ひも固定穴308、608、908、ひもロック410、510、ひも固定用絞り部708、および固定部材806から外れなければよいため、結び目や巻き付けに限定されない。ただし、結び目や巻き付けを用いれば、容易に、かつ確実に抜け止めとすることができる。また、結び目を樹脂等で固めてもよい。これにより、結び目が解けてひも固定穴308、608、908、ひもロック410、510、ひも固定用絞り部708、および固定部材806から外れることがない。また、結び目を設けずに固定部材306、606、706、806、906に樹脂等で固定、または、固定部404、504の最端部に樹脂等で抜け止めを形成してもよい。また、固定部材306、606、706、806、906および滑動部材409、509に設けたスリットや狭小部にひも302、402、502、602、702、802、902の固定部304、404、504、604、704、804、904を圧入して固定してもよい。これにより、結び目を設ける作業をすることなく固定部304、404、504、604、704、804、904を固定でき、ひも固定穴308、608、908、ひもロック410、510、ひも固定用絞り部708、および固定部材806から外れることがない。
【0119】
実施の形態3〜9では、固定部材の材質の一例として、樹脂製の固定部材306、906、滑動部材409、509、および金属製の固定部材606、706、806を説明した。固定部材は、荷物14の荷重によって破損しなければよいため、上記材質に限定されない。ただし、固定部材306、606、706、806、906および滑動部材409、509を樹脂製とすれば、軽量化によって、被固定物への取り付け、取り外しの作業性が向上するとともに、複雑な形状を量産することもでき、固定部材306、606、706、806、906および滑動部材409、509を金属製とすれば、耐荷重が向上するとともに、安価に作製することもできる。また、固定部材306、606、706、806、906および滑動部材409、509を炭素繊維で強化したり、木等の自然材料を用いてもよい。これにより、用途に応じた耐荷重と作業性、コストを備えた最適な荷物保持装置300、400、500、600、700、800、900を実現することができる。
【0120】
実施の形態4では、固定部材の形状の一例として、長円形状の滑動部材409を説明した。滑動部材の形状は、滑動部材409の中空部からひも止め401とひもロック410が抜けず、かつ、ひも402の滑動部405がスムーズに滑動すればよいため、長円形状に限定されない。ただし、滑動部材409を長円形状とすれば、鎖等の一般的な部材を流用することができ、安価な荷物保持装置400を提供できる。また、滑動部材の形状を実施の形態7の固定部材706のような8の字状としてもよい。これにより、荷物14の固定時に、球形のひも止め401とひもロック410が滑動部材の二つの環状部に収納されて安定し、振動等によるひも402のゆるみを抑制することができる。なお、実施の形態7の固定部材706では設けている切れ目は、構成や製造方法等によって有無を判断すればよい。また、滑動部材の形状を真円形状や楕円形状、矩形状等の多角形状、三次元的に成形した形状としてもよい。これにより、外観を重視した設計ができ、デザイン性の高い付加価値を得ることができる。
【課題】本開示は、安価に、大きな力を必要とせずに重い荷物を安定的に吊り上げて保持し、倒れたり、崩れたりすることによる荷物の破損を抑制することができる荷物保持装置を提供する。
【解決手段】本開示における荷物保持装置は、被固定物に取り付けられる固定部材と、一端の固定部が固定部材に固定され、他端との間に滑動部を有するひもと、被固定物または別の被固定物に取り付けられ、滑動部をスムーズに滑動させる滑動部材と、固定部と滑動部との間のひもに滑動自在に接続され、荷物の把手を係合し、ひもの他端を荷物の重さの半分の力で牽引することで、他端の牽引距離の半分の高さまで荷物を吊り上げる一つまたは複数のフックと、ひもの他端に取り付けられ、ひもに対して相対的に移動させて固定が可能であり、滑動部材と当接させることでフックが下降しないように保持するひも止めと、を備える。