(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外面から取っ手が突出したハウジングと、このハウジング内に設けられたレーザ投光器とを備え、前記レーザ投光器から射出したレーザ光により測量を行うレーザ測量機であって、
前記取っ手は、手指で把持されるグリップ部と、前記グリップ部を前記ハウジングに支持する支持アーム部とを有し、
前記支持アーム部は、前記グリップ部を少なくとも人差し指で握った状態で、親指を配置可能な上面と、前記人差し指を当接可能な下面とを有し、
前記上面の前記グリップ部側には、前記親指の指節間関節より先の腹部により、前記指節間関節を曲げる方向に押圧されるようにした被押圧部が形成されており、
前記親指で押される前記被押圧部の面は、前記人差し指が前記下面に当接した部分である当接部を中心とする仮想の円周上の重心を通る接線と直交する方向に近似する方向に沿った部分を有すると共に、前記親指の指節間関節を曲げた状態において、前記腹部における前記曲げた部分から指先側の最も膨んだ部分までの形状に対応して湾曲している
ことを特徴とするレーザ測量機。
前記上面に配置された前記親指と係止される凹状又は凸状の係止部が、前記被押圧部には形成されていないのに対して、前記上面の前記被押圧部よりも前記ハウジング側には形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ測量機。
前記下面の前記人差し指を当接可能な部分である当接部は、前記人差し指で前記グリップ部を握った際、前記人差し指の側面の近位指節間関節と遠位指節間関節との間を押し付けるように膨出していることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ測量機。
前記ハウジングには、前記取っ手の反対側にある外面から外側に向かって突出することで、落下時における前記外面への衝撃を軽減するようにした保護部材が設けられており、
前記保護部材は、互いの間に空間部を設けるように連設した第1の保護部と第2の保護部とからなり、かつ、前記第1の保護部と前記第2の保護部を共に平坦な台に接触させた場合、前記空間部から露出した前記外面が前記台に接触しないように形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ測量機。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーザ測量機は使用者の胸から肩にかけた高い位置にある台座まで持ち上げることが多いため、ハンドル37を手提げ袋の取っ手のように上側に配置するのは、腕を上げて重たい機器を持ち上げることになり好ましくない。また、回転ヘッド36から射出されるレーザ光を遮る部材を極力排除する必要があるため、回転ヘッド36の側面にハンドル37を配置するのも好ましくない。このため、ハンドル37はベースハウジング35の側面に配置するのが好ましい。
しかし、レーザ測量機は、レーザ投光器32、光偏向器33を回転させるためのモータ、電源部などの種々の部品をベースハウジング35内に収容しているため相当の重量となっており、重心はハンドル37から水平方向に離間した位置にある。
このため、作業者は把持したハンドル37よりも前方に重みを感じ、レーザ測量機を三脚の台座等の高い位置に持ち上げるのは必ずしも容易ではなく、これは落下の原因ともなる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するものであり、容易に持つことができ、落下を有効に防止できるレーザ測量機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、外面から取っ手が突出したハウジングと、このハウジング内に設けられたレーザ投光器とを備え、前記レーザ投光器から射出したレーザ光により測量を行うレーザ測量機であって、前記取っ手は、手指で把持されるグリップ部と、前記グリップ部を前記ハウジングに支持する支持アーム部とを有し、前記支持アーム部は、前記グリップ部を少なくとも人差し指で握った状態で、親指を配置可能な上面と、前記人差し指を当接可能な下面とを有し、前記上面の前記グリップ部側には、前記親指の指節間関節より先の腹部により、前記指節間関節を曲げる方向に押圧されるようにした被押圧部が形成されて
おり、前記親指で押される前記被押圧部の面は、前記人差し指が前記下面に当接した部分である当接部を中心とする仮想の円周上の重心を通る接線と直交する方向に近似する方向に沿った部分を有すると共に、前記親指の指節間関節を曲げた状態において、前記腹部における前記曲げた部分から指先側の最も膨んだ部分までの形状に対応して湾曲しているレーザ測量機により解決される。
【0008】
上記発明によれば、レーザ測量機を持つための取っ手は、手指で把持されるグリップ部と、グリップ部をハウジングに支持する支持アーム部とを有し、この支持アーム部は、グリップ部を少なくとも人差し指で握った状態で、親指を配置可能な上面と、人差し指を当接可能な下面とを有している。このため、人差し指で支持アーム部を下支えすると共に、水平方向についてグリップ部よりも重心に近い支持アーム部を人差し指と親指で挟持し、重心に近くなった分だけ重みを軽減できる。
この点、支持アーム部を人差し指と親指で挟持し、人差し指が支持アーム部の下面に当接した状態であると、その当接した部分が支点となって、それより前方にある重心の方が下側に回動しようとする。しかし、本発明では、支持アーム部の上面には、親指の指節間関節(いわゆる第1関節)より先(指先側)の腹部により、指節間関節を曲げる方向に押圧されるようにした被押圧部が形成されている。従って、親指腹部で被押圧部を上述の回動方向と略反対側の方向に押さえることができ、これにより該回動を有効に防止できる。
しかも、この被押圧部は、支持アーム部のグリップ部側に形成されている。そうすると、親指を支持アーム部の奥(ハウジング側)に配置しなくてもよく、従って、脇を閉め易くなって、レーザ測量機をより持ち易くすることができる。
【0009】
ま
た、被押圧部は
、親指の指節間関節を曲げた状態において
、腹部におけ
る曲げた部分か
ら指先側の最も膨んだ部分までの形状に対応して湾曲してい
る。
従って、親指の指節間関節を曲げた際に親指腹部と被押圧部とが密着し易くなって、被押圧部を容易に押さえることができる。
【0010】
また好ましくは、前記上面に配置された前記親指と係止される凹状又は凸状の係止部が、前記被押圧部には形成されていないのに対して、前記上面の前記被押圧部よりも前記ハウジング側には形成されていることを特徴とする。
そうすると、被押圧部には凹状又は凸状の係止部が形成されていないので、被押圧部に対して親指の腹部をより密着させて、前方が下側に回動しようとする方向と反対側の方向に被押圧部を押さえ易くなる。これに対して、被押圧部よりもハウジング側の上面には係止部が形成されているので、該係止部と被押圧部に置かれていない指先とが係止し、この係止した部分でも上記回動を抑えることができる。
【0011】
また好ましくは、前記下面の前記人差し指を当接可能な部分である当接部は、前記人差し指で前記グリップ部を握った際、前記人差し指の側面の近位指節間関節と遠位指節間関節との間を押し付けるように膨出していることを特徴とする。
従って、人差し指の該関節どうしの間は関節部分と違って柔らかく、その柔らかい部分と当接部とが係合するように密着し易くなり、人差し指で支持アーム部を確実に下支えできる。
【0012】
また好ましくは、前記ハウジングには、前記取っ手の反対側にある外面から外側に向かって突出することで、落下時における前記外面への衝撃を軽減するようにした保護部材が設けられており、前記保護部材は、互いの間に空間部を設けるように連設した第1の保護部と第2の保護部とからなり、かつ、前記第1の保護部と前記第2の保護部を共に平坦な台に接触させた場合、前記空間部から露出した前記外面が前記台に接触しないように形成されていることを特徴とする。
そうすると、ハウジングの外面から突出した取っ手が落下時の外面への直接の衝撃を防止できるだけではなく、取っ手の反対側についても、保護部材により落下時の衝撃を有効に防止できる。
ここで、取っ手の反対側に保護部材を設けると、機器が重くなったり、重心が保護部材側の方(前方)に移ったりして、レーザ測量機を持ち難くなる。しかし、本構成の保護部材は、互いの間に空間部を設けるように一列につらなった第1の保護部と第2の保護部からなっている。従って、空間部を形成した分、取っ手の反対側にある保護部材を軽くすることができる。
しかも、第1の保護部と第2の保護部を共に平坦な台に接触させた場合、空間部から露出した外面は台に接触しないので、空間部を設けてもハウジングの保護が可能である。
また好ましくは、前記ハウジングの側面には、前記グリップ部の位置に対応して内側に向かって窪んでいるとともに前記グリップ部を握った指の一部が収容される窪み部が形成されており、前記窪み部は、窪んでいない前記ハウジングの前記側面に隣接した領域において前記内側に向かって湾曲した湾曲部を有し、一対の前記グリップ部の間側の前記湾曲部に比べて、一対の前記グリップ部の間とは反対側の前記湾曲部の方が大きい曲率半径とされてなることを特徴とする。
従って、ハウジングの側面から手指を余り離さなくてもグリップ部を把持可能となり、把持した手指を可及的に本機器の重心に近づけることができる。また、グリップ部を把持しようとして軽く曲げた指を容易に窪み部に入れることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、容易に持つことができ、落下を有効に防止できるレーザ測量機を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図において付した同じ符号は同様の構成を有している。また、以下に述べる上下方向は、後述するヘッド部33を上にしてレーザ測量機10を載置した際の方向である。また、各図において、細線で示す陰影はレーザ測量機の表面の三次元形状を表すのみである。
【0016】
図1〜
図9は本発明の実施形態に係るレーザ測量機10であり、
図1はその正面、平面及び右側面を表す斜視図、
図2は背面、平面及び右側面を表す斜視図、
図3は背面、底面及び左側面を表す斜視図、
図4は正面図、
図5は背面図、
図6は平面図、
図7は底面図、
図8は右側面図、
図9は左側面図である。なお、
図8の右側面図と
図9の左側面図とは照準器12(
図2参照)を除いて対称である。また、
図7及び
図8において一点鎖線は仮想線を、破線は視認不可能な内部構造を示している。
これらの図のレーザ測量機10は、レーザ光の射出により、土木・建築時の基準面や基準線を形成するもので、レーザ墨出器・回転レーザ装置・ローテーティングレーザ等ともよばれる。なお、本発明のレーザ測量機10は基準面や基準線を形成するための機器に限られるものではなく、例えば射出したレーザ光を受光して距離や角度を測定する機器などであってもよい。
【0017】
図のレーザ測量機10はレーザ光を射出し、測量対象物やレーザ光を受光する公知の受光素子装置(不図示であり、レベルセンサーとも言う)に照射されることで、基準面や基準線を測定するようになっている。このようなレーザ測量機10は、三脚の台座上に取付け可能であり、台座に取付けられるハウジング30と、ハウジング30内に収容され、レーザ光を所定の仕様で射出するための装置本体14(
図8参照)とを備えている。
【0018】
装置本体14には公知のものを利用でき、
図8では、これを模式的に示している。
図8の装置本体14は、レーザ光を射出するレーザ投光器15と、このレーザ投光器15から受けたレーザ光を回転しながら外部に射出する回転走査部16と、この回転走査部16を回転させるためのモータ17と、レーザ投光器15及びモータ17に電源を供給する電源部18とを有する。
【0019】
レーザ投光器15は、例えばレーザダイオード及びコリメートレンズ(不図示)からなり、その上方にある回転走査部16に向け、光軸LB1に沿ってレーザ光が射出される。射出されたレーザ光は、光軸LB1に沿った空洞を有する筒状部材19の中を通って回転走査部16に照射される。
回転走査部16は、その内側に保持されたペンタプリズムなどの光偏向器13を有し、この光偏向器13によりレーザ光は水平方向の光軸LB2とされ、レーザ射出口21から外部に射出される。この回転走査部16は筒状部材19と接続され、筒状部材19がギア20を介してモータ17で回転することで、光軸LB1回りに回転自在となる。なお、
図8では水平方向に射出されたレーザ光のみを示しているが、本実施形態では、勾配をつけてレーザ光を射出可能な構成も有している。
電源部18は、レーザ投光器15やモータ17などの各部品に電源を供給するものであり、重量的に大きなウエイトを占める。従って、三脚上での安定性を考慮して、電源部18はハウジング30内の下部に配置されている。
以上の装置本体14は重く、特に下側に収容された電源部18が重いことから、後述する
図10に示すように、レーザ測量機10の重心CTは概ね中心部のやや下側にある。
【0020】
このような装置本体14を収容するハウジング30は、
図8に示すように、全体的には卵の長手方向の略半体、或いは達磨のような形状をしており(
図1〜
図3も参照)、若干傾いても元の正常な位置に戻るようになっている。ハウジング30は、ハウジング本体部(以下、「本体部」という)32と、この本体部32の上部に設けられ、レーザ光を外部に射出するヘッド部33とを有する。本体部32には上述したレーザ投光器15、モータ17、及び電源部18が収容され、ヘッド部33には回転走査部16が収容されている。
【0021】
ヘッド部33は、回転走査部16の周囲を囲む透明なガラス等からなるカバー部35を有し、回転走査部16を保護する。カバー部35は複数(図の場合は4つ)の支柱37で、その位置が保持される。カバー部35の上部はドーム状の天板36で封止され、天板36の上面にはレーザ光を受光素子装置や測量対象物(不図示)に向けて射出するための照準器12が設けられている。
【0022】
本体部32は、剛性及び防水性の高いABS樹脂などのプラスチック材料で形成されている。本体部32の底面32Aには、三脚の台座と接触する高さの低い脚部27が形成されていると共に、ネジ穴28(
図7参照)が脚部27に囲まれた中央部に形成されている。ネジ穴28は、三脚の台座のネジと螺合される穴である。
本体部32の側面32Bの下部には、乱反射を促進するための乱反射促進部である複数の凹部26が形成されている。これにより、側面32Bの下部に台座などが衝突して傷ついても、光の乱反射により傷を目立たなくすることができる。本実施形態の場合、凹部26は、
図7及び
図8に示すように、正対視が略長方形状であり、後述する取っ手40,40同士の間には形成されず、取っ手40と保護部材70との間、保護部材70,70同士の間にそれぞれ等間隔に形成されている。
【0023】
このような本体部32は、
図6及び
図7に示すように、平面及び底面視が略円形とされ、その周側面からは一対の取っ手40,40が突出している。一対の取っ手40,40は、レーザ測量機10を運搬したり設置場所に持ち上げたりするためのハンドルであり、両手で把持可能なように互いに離間し、更に、平面及び底面視において、互いに所定の角度θをもって配置されている。平面視における該離間寸法Wは約200〜250mm、該角度θは45〜50度であり、これにより、使用者は脇を余り開けず、かつ、手首を水平方向に略曲げないで、2つの取っ手40,40を同時に把持できる。
【0024】
ハウジング30の一対の取っ手40,40の反対側にある側面には、外側に向かって突出した一対の保護部材70,70が設けられている。保護部材70,70は、落下時などにハウジング30に直接衝突することを防止して外部からの衝撃の軽減を図っている。
これら取っ手40,40、及び保護部材70,70の全ては、
図4及び
図5に示すように、略上下方向Yに沿って配置されている。また、取っ手40,40、及び保護部材70,70は、
図6及び
図7に示すように、平面視において約45度の角度毎に配置されると共に、半径方向に沿って突出している。このようにして、取っ手40と保護部材70の双方で、レーザ測量機10を落下などの衝撃から保護をしている。
なお、一対の取っ手40,40の間には、
図4に示すように、スイッチボタン、メニューボタン、勾配設定ボタン等の各種の操作ボタン38を有する操作部が配置されている。
【0025】
ここで、取っ手40,40、及び保護部材70,70について、さらに詳細に説明する。なお、取っ手40,40は、ハウジング30に対する位置が異なる点を除けば互いに同様の構成であり、また、一対の保護部材70,70についても、ハウジング30に対する位置が異なる点を除けば互いに同様の構成である。そこで、以下、特段の言及がない限り、一方のみの取っ手40と保護部材70について説明する。
【0026】
〔取っ手の詳細〕
先ず、取っ手40について、
図10及び
図11を中心に、適宜、上述した
図1〜
図9に用いて説明する。
図10はレーザ測量機10の取っ手40を把持した使用状態の例を示す図、
図11は
図6の概略A−A断面図であり、後述する支持アーム部41及びその周辺のグリップ部42を部分的に図示している。なお、
図10の二点鎖線で囲った図は、後述する被押圧部53付近の概略縦断面図である(但し、断面を表す平行斜線は省略している)。
図10に示すように、取っ手40は、全体が2カ所の屈曲部40a,40bを有する略コの字状の縦型ハンドルであり、手指で把持されるグリップ部42と、グリップ部42をハウジング30に支持する支持アーム部41とを有している。
【0027】
グリップ部42は、本体部32の高さと略同様の長さL1を有し、本体部32の側面と略対向して配置されている。グリップ部42とハウジング30との間には、少なくとも人差指を挿入可能な挿入空間S1が形成され、図の挿入空間S1は、親指以外の指(人差指、中指、薬指、小指)を自然に挿入できる空間とされている(なお、本実施形態では全ての指を挿入空間S1に挿入することもできる)。このようにして、手指でグリップ部42を把持して、レーザ測量機10を持つことができる。
このグリップ部42は、
図11に示すように、人差し指FFの遠位指節間関節(distal interphalangeal joint)DJと近位指節間関節(proximal interphalangeal joint)PJとの間の寸法に対応した幅寸法W2であり、これにより、上記関節DJ,PJを曲げて容易にグリップ部42を把持することができる。
【0028】
図10に示すように、グリップ部42の外面42A及び内面42Bには、複数の凸部50が形成されている。凸部50はグリップ部42の長手方向(上下方向)Yに沿って等間隔に配置され、互いに隣接する2つの凸部50の離間寸法W1が親指以外の指幅W3と同様となるように形成されている。また、図の凸部50は正対視が葉巻状・長円状であり、その長手方向がグリップ部42の幅方向に沿っている。本発明では、凸部50はなくても構わず、また、あっても、滑り止めの機能を有すれば図のような形状に限られるものではなく、例えばドット状などであってもよい。また、本実施形態の場合、外面42Aの凸部50と内面42Bの凸部50とは、グリップ部42に対する位置やそれ自体の形状が略同じとされているが、位置や形状を変えても構わない。
このようなグリップ部42については、剛性と耐水性の高いABS樹脂などのプラスチック材料で形成可能であるが、剛性の高いプラスチック材料の表面に、相対的にゴム弾性の高いゴム弾性部材(例えばシリコーンゴム、エラストマー、ラバー)を配設するのが好ましい。これにより、把持した手指の滑り止めになると共に、落下時の衝撃を吸収できる。或いは、2色成形により凸部50だけをゴム弾性部材にしても構わない。
【0029】
なお、
図7及び
図8に示すように、グリップ部42の位置に対応して、本体部32の側面32Bには、内側に向かって窪んだ窪み部29が形成されている。窪み部29には、グリップ部42を握った指の一部が収容され、これにより、グリップ部42を側面32Bから余り離さなくても把持可能となり、把持した手指を可及的に本機器の重心に近づけることができる。この窪み部29は、窪んでいない側面32Bに隣接した領域(指の入り口となる)が、内側に向かって湾曲した湾曲部29A,29Bとされている。そして、一対のグリップ部42,42の間側の湾曲部29Aに比べて、その反対側(保護部材70側)の湾曲部29Bの方が大きい曲率半径Rとされている。本実施形態の曲率半径Rは、最も長い指である中指MFを軽く曲げた際の中手指節間関節(指の根元の関節)MPから指先までの直線距離Lと同様であり、図の場合は略70mmである。従って、グリップ部42を把持しようとして軽く曲げた指を容易に窪み部29に入れることができる。
【0030】
支持アーム部41は、
図10に示すように、ヘッド部33を上にしてレーザ測量機10を立てた状態で、本体部32の上部(ヘッド部33側)に接続された上側のアーム部45と、本体部32の下部に接続された下側のアーム部46とを有する。上側及び下側のアーム部45,46は、いずれもグリップ部42をハウジング30に接続するための接続部材であるが、その機能に違いがある。
下側のアーム部46は、ハウジング30を脚部27と協働して保護する機能を有し、脚部27と同様に、底面32Aから僅かに突出している。この下側のアーム部46とグリップ部42との境界である取っ手40の屈曲部40aの角度は略直角である。
【0031】
これに対して、支持アーム部41の上側のアーム部45は、ハウジング30を保護するだけではなく、レーザ測量機10を容易に持つための機能を有している。即ち、上側のアーム部45は、グリップ部42を少なくとも人差し指FFで握った状態で、親指THを配置可能な上面45Aと、人差し指FFを当接可能な下面45Bとを有している。具体的には、上側のアーム部45とグリップ部42との境界である取っ手40の屈曲部40bの角度θ2は全体的に概ね95〜120度である。また、上側のアーム部45は、
図11に示すように、親指THの腹部と人差し指FFの側面で挟持可能な厚みD1とされている。これにより、
図10に示すように、使用者は、人差し指FFの側面で上側のアーム部45を下支えすると共に、水平方向Xについてグリップ部42よりも本機器の重心CTに近い上側のアーム部45を、人差し指FFと親指THの腹部で無理なく挟持できる。
【0032】
また、
図10に示すように、上側のアーム部45の上面45Aには、親指THの指節間関節(いわゆる第1関節)KSより先の腹部THaにより、指節間関節KSを曲げる方向R1に押圧されるようにした被押圧部53が形成されている。従って、重心CTが使用者の前方にあるために、人差し指FFが上側のアーム部45の下面45Bに当接した部分である当接部OPが支点となって、
図10のR2の方向にレーザ測量機10が回動しようとしても、親指THの指節間関節KSより先の腹部THaが、該回動をキャンセルするように被押圧部53を押圧して、該回動を有効に防止できる。
【0033】
この親指THで押される被押圧部53の面(以下、「被押圧面」という)は、当接部OPを中心とする仮想の円周上の重心CTを通る接線P1と略直交する方向P2に沿って形成するのが好ましい。但し、本発明の被押圧面は、該回動をキャンセルできるように押さえられれば、方向P2に沿わなくてもよい。本実施形態の場合、被押圧面は、方向P2に近似する方向に沿った部分を有すると共に、指節間関節KSを無理なく曲げた状態(例えば角度θ2と同様の角度に曲げた状態)において、腹部THaにおける曲げた部分THcから指先側の最も膨んだ部分THbまでの形状に対応して湾曲している。これにより、腹部と被押圧面との自然な密着を図って、無理なく該回動をキャンセルできる。なお、本実施形態では、被押圧部53だけではなく、それより本体部32側についても、親指THの指節間関節KSを曲げた際の最も膨んだ部分THbから指先までの形状に対応し、これにより、上側のアーム部45の上面45Aは、親指THの指節間関節KSから指先の腹部の形状に対応した湾曲部を有する。
【0034】
さらに、この被押圧部53は上側のアーム部45のグリップ部42側、図の場合は上側のアーム部45とグリップ部42との境界付近(即ち、取っ手40の屈曲部40b付近)に形成されている。このため、親指THは、一点鎖線の親指TH−1に示すように奥(本体部32側)に配置したために図のR3の方向に手を上げる必要がなくなる。その結果、使用者は脇を閉め易くなって、レーザ測量機10がより持ち易くなる。
【0035】
そして、支持アーム部41である上側のアーム部45の上面45Aには、親指THの指先と係止される複数の係止部58が形成されている。図の係止部58は、より親指THと係止し易い凸状であるが、本発明はこれに限られず、凹状であっても構わない。また、本実施形態の係止部58は、
図6に示すように、棒状であって、屈曲部40bと本体部32とを結ぶ方向に沿って3つ配列されているが、本発明はこれに限られず、2つ以下、又は4つ以上であってもよい。
好ましくは、係止部58は、平面視において屈曲部40b側に僅かに凸となるように湾曲するのがよく、これにより、親指の膨らんだ腹部を係止し易くできる。
また、係止部58は被押圧部53には形成されていないのに対して、上面45Aの被押圧部53よりも本体部32側に形成されるのが好ましい。従って、
図10に示すように、被押圧部53には親指が密着し易くなると共に、最も膨んだ部分THbよりも指先を係止部58に係止させて、そこでも回動方向R2と反対側の方向に押さえることができる。
【0036】
ところで、上側のアーム部45について言えば、人差し指FFでグリップ部42を握った際、
図11に示すように、上側のアーム部45の下面45Bの人差し指FFを当接可能な部分である当接部56は、人差し指FFの近位指節間関節PJと遠位指節間関節DJとの間の部分FFaに入るように膨出している。従って、当接部56と人差し指FFとの係合するような密着が可能となる。
また、上側のアーム部45についても、剛性の高いプラスチック材料の表面に、相対的にゴム弾性の高いゴム弾性部材を配設するのがより好ましい。この際、上側のアーム部45の係止部58は、
図10に示すように、単なる滑り止めではなく、回動方向R2と反対側の方向に押さえられる部分であるため、柔らか過ぎると該押さえ力を受け止められない。また、同じ凸状でも、グリップ部42の凸部50と違って、落下時の衝撃を吸収する必要もない。このことから、係止部58については比較的剛性の高いエラストマー等のゴム弾性部材にするとよい。
【0037】
〔保護部材の詳細〕
次に、上述した保護部材70について説明する。
図1及び
図2に示すように、2つの取っ手40,40の反対側には、ハウジング30の外面から外側に向かって突出し、本体部32の略円筒状の側面32Bの周方向RUに沿って2つの保護部材70,70が設けられている。これら保護部材70,70は、ともに側面32Bの形状に略沿った外面70aを有し、外面70aの内、本体部32の上下部に対応した部分が大きく(小さな曲率半径で)外側に向かって湾曲し、その他の部分は相対的に小さく(大きな曲率半径で)湾曲している。
【0038】
このような保護部材70,70の夫々は、
図10にも示すように第1の保護部59と第2の保護部60とに分離しており、第1の保護部59と第2の保護部60は、互いの間に空間部S2を設けるようにして、上下方向Yに沿って連設している。従って、この空間部S2を形成した分、保護部材70は軽くなるため持ち上げ易くなると共に、三脚の台座上でバランスを崩さない範囲において、水平方向について重心CTと取っ手40とを近くすることができる。
【0039】
具体的には、
図5に示すように、第1の保護部59は上側に、第2の保護部60は下側に配置され、第1の保護部59に比べて第2の保護部60が大きく形成されている。第1の保護部59の第2の保護部60に向かう端面には、内部に形成された空洞部S3が露出している。空洞部S3内には、強度維持のための複数のリブ55が設けられている。これに対して、第2の保護部60の第1の保護部59に向かう端面は封止されている。
【0040】
また、
図12に示すように、第1の保護部59及び第2の保護部60は、共に平坦な台STに接触させた場合、空間部S2から露出した側面32Bがその台STに接触しない突出寸法H1とされ、側面32Bの保護を可能としている。
本実施形態の突出寸法H1は、
図13に示すように、一対の保護部材70,70を共に平坦な台STに接触させた場合、保護部材70,70どうしの間の側面32Bの一部も、同時に台STに接触する寸法とされている。これにより、突出寸法H1を大きくし過ぎて保護部材70が重くなることを防止すると共に、保護部材70が設けられた領域については、
図12の上下方向Yよりは
図13の周方向RUの回転性が高められる。なお、本発明の保護部材はこのような構成に限られるものではなく、一対の保護部材70,70を共に平坦な台STに接触させた場合も、
図12と同様に、その間の側面32Bを台STに接触させない構成としてもよい。
【0041】
〔第1変形例〕
次に、上述した実施形態の第1変形例に係るレーザ測量機100について、
図14及び
図15を用いて説明する。
図14はレーザ測量機100の平面図、
図15はレーザ測量機100の正面、平面及び右側面を表す斜視図である。
図14の破線で示される部分は
図6の対応部分と同じで形状あり、
図15の破線で示される部分は
図1の対応部分と同じ形状であるため、説明は省略する。なお、レーザ測量機100の背面、底面及び左側面を表す斜視図は
図3と同一である。
【0042】
図14及び
図15のレーザ測量機100が
図1〜
図13のレーザ測量機10と異なる特徴的な点は、図の実線部分であり、上側のアーム部45の上面45Aに形成された係止部62の形状のみである。即ち、
図1〜
図13で示した係止部58は棒状であったが、
図14及び
図15の係止部62はドット状である。このような態様であっても、親指の指先との係止を図って、取っ手40を把持した際のレーザ測量機100の回動を防止できる。なお、上面45Aの係止部62以外の形状は
図1〜
図13のレーザ測量機10と同じである。
【0043】
〔第2変形例〕
次に、上述した実施形態の第2変形例に係るレーザ測量機200について、
図16及び
図17を用いて説明する。
図16はレーザ測量機200の平面図、
図17はレーザ測量機200の正面、平面及び右側面を表す斜視図である。
図16の破線で示される部分は
図6の対応部分と同じで形状あり、
図17の破線で示される部分は
図1の対応部分と同じ形状であるため、説明は省略する。なお、レーザ測量機200の背面、底面及び左側面を表す斜視図は
図3と同一である。
【0044】
図16及び
図17のレーザ測量機200が
図1〜
図13のレーザ測量機10と異なる特徴的な点は、図の実線部分であり、上側のアーム部45の上面45Aに形成された係止部64の形状のみである。即ち、
図1〜
図13で示した棒状の係止部58に比べて、
図16及び
図17の係止部64は、上面45Aから食み出ない範囲で長く形成されている。また、係止部58の幅W4も広く、上面45Aはあたかも連続した波形となっている。このような態様であっても、親指の指先との係止を図って、取っ手40を把持した際のレーザ測量機200の回動を防止できる。なお、上面45Aの係止部64以外の形状は
図1〜
図13のレーザ測量機10と同じである。
【0045】
〔第3変形例〕
次に、上述した実施形態の第3変形例に係るレーザ測量機300について、
図18〜
図21を用いて説明する。
図18はレーザ測量機300の平面図、
図19はレーザ測量機300の正面、平面及び右側面を表す斜視図、
図20は
図18の上側のアーム部45の上面付近における概略B−B断面図、
図21は
図18のD−D部分における概略C−C断面であって、上側のアーム部45の上面45A周辺の概略図である。
図18の破線で示される部分は
図6の対応部分と同じで形状あり、
図19の破線で示される部分は
図1の対応部分と同じ形状であるため、説明は省略する。なお、レーザ測量機300の背面、底面及び左側面を表す斜視図は
図3と同一である。
【0046】
図18〜
図21のレーザ測量機300が
図1〜
図13のレーザ測量機10と異なる特徴的な点は、図の実線部分であり、上側のアーム部45の上面45Aの形状のみである。即ち、図の上側のアーム部45の上面45Aには凹状部68が形成されている。凹状部68は上面45Aが窪んだ部分であり、その屈曲部40b側は、
図21に示すように、親指THの指節間関節KSより先の腹部により、指節間関節KSを曲げる方向R1に押圧されるようにした被押圧部68Aとされている。被押圧部68Aは親指THの指節間関節KSを曲げた状態において、その親指THの腹部における曲げた部分THcから指先側の最も膨んだ部分THbまでの形状に対応して湾曲している。従って、このような態様であっても、取っ手を把持した際のレーザ測量機300の回動を有効に防止できる。しかも、この凹状部68の屈曲部40b側は、
図20に示すように、幅方向の内側側面68B,68Bが親指の側面と係止されるようになっており、親指との密着感を高めることができる。なお、凹状部68の内側底面に形成された凸状の係止部58は、
図1〜
図13で説明した係止部58と同じである。
【0047】
〔第4変形例〕
次に、上述した実施形態の第4変形例に係るレーザ測量機400について、
図22〜
図25を用いて説明する。
図22はレーザ測量機400の平面図、
図23はレーザ測量機400の正面、平面及び右側面を表す斜視図、
図24は
図22の上側のアーム部45の上面付近における概略E−E断面図、
図25は
図22のG−G部分における概略F−F断面であって、上側のアーム部45の上面45A周辺の概略図である。
図22の破線で示される部分は
図6の対応部分と同じで形状あり、
図23の破線で示される部分は
図1の対応部分と同じ形状であるため、説明は省略する。なお、レーザ測量機400の背面、底面及び左側面を表す斜視図は
図3と同一である。
【0048】
図22〜
図23のレーザ測量機400が
図18〜
図21のレーザ測量機300と異なる特徴的な点は、図の実線部分であり、凹状部68内の係止部75の形状のみである。即ち、レーザ測量機400は、上述したように、上側のアーム部45の上面45Aに凹状部68が形成されており、その内側底部に、棒状ではなくドット状の係止部75が形成されている。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態及びその変形例では、親指と係止する係止部58,62,64,75は全て支持アーム部の上面から突出した凸部であるが、本発明はこれに限られず、凹部であってもよい。
また、上記実施形態では、ハウジングの本体部内にレーザ投光器が収容されているが、ハウジングのヘッド部内にレーザ投光器を配置してもよい。また、支持アーム部41の内、下側のアーム部46は必ずしもなくても構わない。