(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記摩擦攪拌ピンが前記界面(202)に沿って通される際に、前記摩擦攪拌ピン(600)を対向する端で駆動することを更に含む、請求項1に記載の方法(100)。
前記アセンブリ(200)を形成すること(102)が、前記少なくとも2つのブロック(210、220)のうちの少なくとも1つのブロックの空洞(410)内に前記補助相材料(231)を配置することを含む、請求項1又は2に記載の方法(100)。
前記少なくとも2つのブロック(210、220)が、2つの界面(941、951)を画定する少なくとも3つのブロック(910、920、940)を備える、請求項1から3の何れか一項に記載の方法(100)。
前記補助相材料(231)が、第1の界面(941)に配置された第1の補助相材料、及び第2の界面(951)に配置された第2の補助相材料を備える、請求項4に記載の方法(100)。
アセンブリ(200)を保持するように構成された第1のプラテン(1010)及び第2のプラテン(1020)であって、前記アセンブリが、補助相材料(231)が配置される界面(202)を共有する主要相材料(211)の少なくとも2つのブロック(210、220)を含み、かつ前方エッジ(204)から後方エッジ(206)まで延びる長さ(L)、前記長さに垂直に延びる幅(W)、及び厚さ(T)を有する、第1のプラテン(1010)及び第2のプラテン(1020)と、
前記アセンブリの前記幅の対向側面に配置され、かつ前記アセンブリの前記長さに沿って通るように構成された第1のチャック(1030)及び第2のチャック(1040)と、
前記第1及び第2のチャックにおいてそれぞれ支持された第1の端(1052)及び第2の端(1054)を有する摩擦攪拌ピン(1050)であって、前記摩擦攪拌ピンが、前記アセンブリの少なくとも前記幅に延びる混合長さ(1056)を有し、前記摩擦攪拌ピンを通すことが、前記補助相材料を前記主要相材料内に分散させ、前記少なくとも2つのブロックを溶接する、摩擦攪拌ピン(1050)と
を備える摩擦攪拌アセンブリ(1000)。
前記第1のチャック(1030)及び前記第2のチャック(1040)が、前記摩擦攪拌ピン(1050)の前記第1の端(1050)及び前記第2の端(1052)をそれぞれ駆動するように構成されている、請求項6に記載の摩擦攪拌アセンブリ(1000)。
前記摩擦攪拌ピン(1050)が、前記アセンブリ(200)の前記厚さの25%から85%までの直径を有している、請求項6又は7に記載の摩擦攪拌アセンブリ(1000)。
前記摩擦攪拌ピン(1050)が、前記アセンブリ(200)の前記厚さの1/3から1/2までの直径を有している、請求項6から8の何れか一項に記載の摩擦攪拌アセンブリ(1000)。
前記アセンブリ(200)の前記厚さ(T)に沿って配置された複数の摩擦攪拌ピン(1050)を備える、請求項6から9の何れか一項に記載の摩擦攪拌アセンブリ(1000)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の概要、及び特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことにより、より深く理解されるだろう。本明細書で使用される「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。更に、「1つの実施形態」への言及は、本明細書に記載の特徴を組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈すべきでない。また、反対に明示的に記述されない限り、特定の性質を有する一又は複数の要素を「備える」「含む」又は「有する」実施形態は、その性質を有しない追加の要素を含み得る。
【0009】
本開示の種々の実施形態は、補助相材料が配置される主要相材料の2つの構成要素間の界面で摩擦攪拌溶接を用いる。摩擦攪拌溶接は、主要相材料内に補助相材料を混合し、主要相材料の2つの構成要素を溶接し、補助相材料が主要相材料内に分散された状態のMMC構造である、単一の構成要素又は構造(例えば、シート又はプレート)を形成する。
【0010】
種々の実施形態は、金属/第2相/金属サンドイッチを通して横方向に横断する回転ピン、ロッド又はワイヤを使用し、金属を加熱及び可塑化し、第2相(例えば、セラミック粉末)を金属層に分散させて、MMCを製造する固体物理方法を提供する。種々の実施形態における攪拌作用は、第2の相の微細分散による金属層の一体構造への結合につながる。
【0011】
本開示の実施形態は、プレート及びシートなどのMMC構造を形成するためのシステム及び方法を提供する。種々の実施形態は、MMC構造を形成する際に改良された便利さを提供する。種々の実施形態は、主要相材料において補助相材料の改良された分散を提供する。種々の実施形態は、第2の材料を金属プレート内に分散させるソリッドステート方法を提供する。卑金属より高い硬度及び強度、並びに低い密度を有するMMC構造(例えば、プレート)を生産するための種々の実施形態が提供される。
【0012】
図1は、種々の実施形態による、金属マトリックス複合材(例えば、プレート又はシート)を形成するための方法100のフローチャートを提供する。方法100は、例えば、本明細書で検討される種々の実施形態の構造又は態様(例えば、システム及び/又は方法)を用いてもよく、又はそれらによって実行されてもよい。様々な実施形態では、一定のステップが省略されるか、追加されることがあり、一定のステップが組み合わされることがあり、一定のステップが同時に実行されるか又は一定のステップが共に実行されることがあり、一定のステップが複数のステップに分けられることがあり、一定のステップが異なる順番で実行されることがあり、あるいは、一定のステップ又は一連のステップが反復して再実行されることがある。
【0013】
102において、アセンブリが形成される。アセンブリは、主要相材料の少なくとも2つのブロックを含む。少なくとも2つのブロックは、補助相材料が配置される少なくとも1つの界面を共有する。例えば、2つのブロックを含むアセンブリについて、ブロックの間には1つの界面が存在するだろう。別の例として、3つのブロックを含むアセンブリについて、ブロックの間には2つの界面(例えば、第1のブロックと第2のブロックの間に第1の界面、第2のブロックと第3のブロックとの間に第2の界面)が存在するだろう。アセンブリは、前方エッジから後方エッジまで延びる長さ、長さに垂直に延びる幅、及び厚さを有する。
図2は、種々の実施形態による摩擦攪拌溶接されるアセンブリの側概略図を提供し、
図3は、摩擦攪拌溶接されるアセンブリの斜視図を提供する。
【0014】
図2に見られるように、図示されたアセンブリ200は、第1のブロック210及び第2のブロック220を含む。第1のブロック210及び第2のブロック220は、主要相材料211から作られる。種々の実施形態における主要相材料211は、金属であり得る。例えば、主要相材料211は、アルミニウム、チタニウム、又はマグネシウムであり得る。図示されたアセンブリ200はまた、第1のブロック210と第2のブロック220との間の界面202に位置する中間層230を含む。中間層230は、補助相材料231に属する。幾つかの実施形態では、補助相材料231は、金属であり得る。幾つかの実施形態では、補助相材料231は、セラミック粉末などの非金属であってもよい。一般に、第1のブロック210及び第2のブロック220は、方法100の一部として、補助相材料231を主要相材料211と混合しながら、溶接されることになる。
図2及び
図3に最もよく見られるように、アセンブリ200は、長さL、幅W、及び厚さTを有している。例として、厚さTは、種々の実施形態において、1/2インチから3インチまでの厚さであり得る。他の実施形態では、他の厚さが使用され得る。長さLは、前方エッジ204から後方エッジ206まで延びる。
【0015】
幾つかの実施形態では、中間層230は、シート(例えば、第1の金属のブロックの間に配置される第2の金属のシート)として提供され得る。他の実施形態では、補助相材料231の中間層230は、粉末であってもよく、別の例として、粉末を圧縮することによって作られたウエハのシートであってもよい。例えば、図示された方法100の104において、補助相材料が、主要相材料の2つのブロックのうちの少なくとも1つのブロックの空洞内に配置される(例えば、堆積される)。
図4は、空洞410を有するブロック400の側断面概略図を提供する。ブロック400は、種々の実施形態において、例えば、第1のブロック210又は第2のブロック220のうちの一方又は両方として用いられ得る。
図4に示されるように、ブロック400は、空洞410を画定するためにブロック400の周囲を延びるショルダ420を含む。ショルダ420が、2つのブロックの間の界面で補助相材料(例えば、セラミック粉末)を保持するために、ブロック400の全周囲に沿って延び得る。幾つかの実施形態では、ブロック400は、ブロック400を含むアセンブリ(例えば、アセンブリ100)の輸送中に第2のブロックに仮溶接又は固定され得る。
【0016】
図1に戻り、106において、アセンブリが留められる。例えば、アセンブリは、プレスの2つのプラテンの間に留められ得る。留めるプロセスは、アセンブリの少なくとも2つのブロックを互いに向かって付勢すること、又は少なくとも2つのブロックを所定の位置で維持することのうちの少なくとも1つを行う。一般に、留めることは、摩擦攪拌溶接プロセス中に、アセンブリの構成要素を構成要素の間の所望の位置又は関係に維持するために実行される。
【0017】
図5は、留められた位置における
図2のアセンブリ200の概略側面図を示す。
図5に見られるように、アセンブリ200は、プレスの第1のプラテン510と第2のプラテン520との間に配置される。摩擦攪拌ピン600は、最初はアセンブリ200の前方エッジ204に近接して配置される。
【0018】
図6は、種々の実施形態により形成された摩擦攪拌ピン600の側概略図を提供する。摩擦攪拌ピン600は、者フォト610がそれに沿って第1の端612から対向する第2の端614まで延びる軸602を画定する。第1の端612及び第2の端614の各々は、チャックに受容され及び/又はモータによって駆動されピンを回転させるように構成され得る。種々の実施形態において、各端で摩擦攪拌ピン600を支持することは、アセンブリ(例えば、アセンブリ200)を通して摩擦攪拌ピン600の前進中の曲げ又は屈曲を低減するのに役立つ。フルート620は、シャフト610から半径方向に延び、混合長さ622を画定する。種々の実施形態において、フルート620に異なる幾何学形状が使用され得ることに留意されたい。例えば、フルート620は、幾つかの実施形態では真っすぐに延び、他の実施形態では螺旋状に延びる。種々の実施形態では、鋸歯状又は他の形状が、フルート620に同様に提供されてもよい。ショルダ630は、フルート620の両側に配置される。図示された実施形態では、フルート620の端とショルダ630との間に間隙が示されているが、他の実施形態において、そのような間隙が必ずしも存在する必要はないことに留意されたい。一般に、ショルダ630は、摩擦攪拌溶接されているアセンブリの側面又はエッジに沿って適所に材料を保持するのに役立つように構成される。したがって、ショルダ630は、フルート620によって画定されたピン直径624より大きい直径632を有する。直径632は、摩擦攪拌ピン600が使用されることになるプレスのプラテンの間の距離未満であり得る。フルート620は、摩擦攪拌プロセスによって発生する高温でピンの剛性及び寸法的完全性を維持し、摩擦攪拌溶接中に金属の混合を促進するために、タングステンカーバイトなどの比較的堅い材料から作られ得る。幾つかの実施形態では、ピン直径624は、摩擦攪拌溶接されているアセンブリの厚さの25%から85%まで(例えば、アセンブリ200の厚さTの25%から85%まで)であり得る。幾つかの実施形態では、ピン直径624は、摩擦攪拌溶接されているアセンブリの1/2から1/3までの厚さであり得る。
【0019】
図1に戻り、108において、摩擦攪拌ピンは、アセンブリの前方エッジからアセンブリの後方エッジまで界面に沿って通される。種々の実施形態では、摩擦攪拌ピンは、摩擦攪拌溶接されているアセンブリの少なくとも幅に延びる混合長さを有している。例えば、片持ちピンが摩擦攪拌溶接されている物体の一部を通って単に延びる、ある従来の摩擦攪拌溶接プロセスとは対照的に、摩擦攪拌ピン600は、混合長さ622が少なくとも幅Wと同じくらい長く、かつ混合長さがアセンブリ100の全体の幅Wを通るように摩擦攪拌ピン600が位置付けられた状態で、アセンブリ200を摩擦攪拌溶接するために使用され得る。摩擦攪拌ピンがアセンブリの長さに沿って通される際に、摩擦攪拌ピンは回転もする(例えば、一又は複数の関連するモータによって)。例えば、幾つかの実施形態では、摩擦攪拌ピンは、対向する端(例えば、摩擦攪拌ピン600の第1の端612及び第2の端614)で支持される。更に、幾つかの実施形態では、摩擦攪拌ピンは、対向する端で駆動され得る(例えば、第1のモータは、第1の端612から摩擦攪拌ピンを駆動し、第2のモータは、第2の端614から摩擦攪拌ピンを駆動し得る)。種々の実施形態において両端のピンを支持することは、溶接されることになるアセンブリの幅を通って通される際に、ピンの曲げ又は屈曲を低減する。2つのモータは、互いに同期し得る。
【0020】
アセンブリの長さに沿った界面に沿って摩擦攪拌ピンを通すことは、補助相材料を主要相材料内に分散させ、主要相材料の少なくとも2つのブロックを溶接する。したがって、主要相材料全体に分散した補助相材料を含む単一構造が、種々の実施形態において提供される。幾つかの実施形態では、界面が摩擦攪拌ピンの軸と位置合わせされ得るのに対して、他の実施形態では、界面が摩擦攪拌ピンの軸からずらされ得ることに留意されたい。一般に、種々の実施形態では、界面は、ピン直径(例えば、フルートの直径)によって画定されたゾーン又はバンド内に位置する。本明細書で使用されるように、「ピン直径」という用語は、摩擦攪拌ピンの特性(例えば、フルートの直径)を指し、混合が起こり得る実際のゾーン又は厚さを限定するものではないことに留意されたい。種々の実施形態における混合は、摩擦攪拌ピンのピン直径の外側で起こることがあり、同様にプロペラからの後流部分(wake)は、プロペラ直径を超えて延びる。摩擦攪拌ピンがアセンブリの長さに沿って前進する際に、摩擦攪拌ピンがアセンブリの長さに沿って前方エッジから後方エッジまで前進する横方向の速度だけではなく、摩擦攪拌ピンの回転速度も、所望の混合及び/又は溶接を実現するために制御され得る。例えば、一又は複数の材料の溶融温度未満を保持するのに十分低く温度を維持しつつ、混合されている材料の増速流に対して十分に高く温度を維持するように、速度が制御され得る。
【0021】
図7は、摩擦攪拌溶接中に留められた位置における
図2のアセンブリ200の概略側面図を示す。
図7に示されるように、摩擦攪拌ピン600は、アセンブリ200の長さLに沿って前進し、補助相材料231は、主要相材料211と混合され、第1のブロック210及び第2のブロック220は、溶接され、摩擦攪拌ピン600の背後に(前進方向に)単一のMMCが形成される。
【0022】
図8は、摩擦攪拌溶接後のアセンブリ200の概略側面図を示す。
図8に見られるように、アセンブリ200は、方法100によって、主要相材料211全体に分散された補助相材料231、並びに単一の摩擦攪拌溶接された構造800を形成するために溶接された第1のブロック210及び第2のブロック220を有する、単一摩擦攪拌溶接された構造800に処理された。
【0023】
代替的実施形態では、より多くのブロック及び界面が使用されてもよいことに留意されたい。
図9は、3つのブロック及び2つの界面を含む摩擦攪拌溶接されているアセンブリ900を示す。アセンブリ900は、第1のブロック910、第2のブロック920、及び第3のブロック930を含む。第1のブロック910、第2のブロック920、及び第3のブロック930は、一又は複数の主要相材料で作られている。アセンブリ900は、ブロックの間の2つの界面を画定する。要するに、アセンブリ900は、第1のブロック910と第2のブロック920との間に第1の界面941を画定し、第2のブロック920と第3のブロック930との間に第2の界面951を画定する。第1の中間層940が、第1の界面941に配置され、第2の中間層950が、第2の界面951に配置される。第1の中間層940及び第2の中間層950は、一又は複数の補助相材料で作られている。一般に、補助相材料は、摩擦攪拌ピン960がアセンブリ900の長さLに沿って通過する際に、摩擦攪拌溶接によって主要相材料全域で混合又は分散される一方で、主要相材料は、摩擦攪拌溶接によって、溶接される。図示された実施形態では、摩擦攪拌ピン960は、第1の中間層940及び第2の中間層950が中点の対向側面にある状態で、アセンブリ900の厚さTの中点に位置付けられる。例えば、主要相材料全体への補助相材料分散の所望レベルの均一性を提供するために、補助相材料の界面及び中間層の特定の場所及び/又は数は変更され得ることに留意されたい。
【0024】
図示された例示的アセンブリ900は例として提供され限定的なものではなく、代替的実施形態では他の配置が用いられ得ることにも留意されたい。例えば、3つのブロック及び2つの界面を上回るブロック及び界面が、種々の実施形態で用いられてもよい。別の例として、1つの摩擦攪拌ピンが例示された実施形態において示されているが、代替的実施形態では、複数の摩擦攪拌ピンが用いられてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、1つの摩擦攪拌ピンが、界面毎に提供されてもよい。別の例として、他の実施形態において、より多くの界面が用いられてもよい。例えば、2つの摩擦攪拌ピン(ピン毎に2つの界面)を含む4つの界面が提供されてもよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、同一の主要相材料がブロック毎に使用され、同一の補助相材料が中間層毎に使用され得る一方で、他の実施形態では、異なる材料が使用され得ることに更に留意されたい。例えば、幾つかの実施形態では、異なる材料が、2以上のブロックに対する主要相材料に使用され得る。例えば、例示的実施形態では、第1のブロック910は、第1の材料(例えば、第1の金属)で作られ、第2のブロックは、第2の材料(例えば、第2の金属)で作られ、第3のブロックは、第3の材料(例えば、第3の金属)で作られ得る。代替的には又は追加的には、異なる材料は、2以上の界面に対する補助相材料に使用され得る。例えば、図示された実施形態では、第1の中間層940は、第4の材料(例えば、第4の金属及び/又は第1のセラミック粉末)で作られ、第2の中間層950は、第5の材料(例えば、第5の金属及び/又は第2のセラミック粉末)で作られ得る。異なるブロック及び/又は中間層に対する異なる材料が、種々の実施形態で使用され得、生じた構造の厚さ全体に勾配又は可変特性を提供する。
【0026】
図10は、種々の実施形態により形成された摩擦攪拌アセンブリ1000の概略端図を提供し、
図11は、摩擦攪拌アセンブリ1000の側概略図を提供する。
図10及び
図11に見られるように、摩擦攪拌アセンブリ1000は、本明細書で検討されるような摩擦攪拌溶接されることになるアセンブリ(例えば、アセンブリ200)を受容するように構成される。
【0027】
図10及び
図11に見られるように、摩擦攪拌アセンブリ1000は、第1のプラテン1010、第2のプラテン1020、第1のチャック1030、第2のチャック1040、及び摩擦攪拌ピン1050を含む。摩擦攪拌アセンブリ1000の種々の構成要素は、所望の位置で構成要素を固定するように、及び/又は種々の構成要素の移動を保持若しくは案内するように構成されたフレーム1090(図を容易かつ明瞭にする目的で、
図10では接続線として概略的に示されている)に装着され得る。例えば、第1のプラテン1010及び第2のプラテン1020は、互いに向かって(アセンブリ200を引き取るように)、又は互いから離れるように(アセンブリ200を解除するように)付勢され得る。摩擦攪拌ピン1050は、第1のチャック1030及び第2のチャック1040の中に固定され、第1のチャック1030及び第2のチャック1040は、アセンブリ200の長さに沿って付勢され、アセンブリを摩擦攪拌溶接する。摩擦攪拌ピン1050は、一般に、例えば、本明細書で検討される摩擦攪拌ピン600に類似するように構成され得る。
図10で最もよく見られるように、摩擦攪拌ピン1050は、第1のチャック1030の中に固定された第1の端1052、及び第2のチャック1040の中に固定された第2の端1054を含む。図示された摩擦攪拌ピン1050は、アセンブリ200全体の幅にわたって摩擦攪拌溶接を提供するために、アセンブリ200の少なくとも幅Wに延びる混合長さ1056(例えば、フルートによって画定される)を有している。
【0028】
第1のプラテン1010及び第2のプラテン1020は、摩擦攪拌溶接されるアセンブリ(例えば、
図10及び
図11に2点鎖線で示されるアセンブリ200)を保持するように構成される。第1のプラテン1010及び/又は第2のプラテン1020は、例えば、互いに向かって又は互いから離れるように第1のプラテン1010及び第2のプラテン1020を付勢するように構成された一又は複数のシリンダ又は他のアクチュエータに結合され得る。
【0029】
第1のチャック1030及び第2のチャック1040は、アセンブリ200の幅Wの対向側面に(又は第1のプラテン1010及び第2のプラテン1020の対向側面に)配置され、アセンブリ200の長さL(又は第1のプラテン1010及び第2のプラテン1020の長さ)に沿って通るように構成される。例えば、チャックは、摩擦攪拌溶接されているアセンブリの長さに沿って前進するように、リニアガイド内に配置され、シリンダ又は他のリニアアクチュエータ1080(
図11を参照)によって作動し得る。ガイドはまた、所望の位置(アセンブリ200の界面と位置合わせされている)で摩擦攪拌ピン1050を位置付けるように使用され得る。図示された実施形態では、各チャックはまた、摩擦攪拌溶接中に摩擦攪拌ピン1050を回転させるために使用される関連モータを含む。
図10で最もよく見られるように、摩擦攪拌アセンブリ1000は、第1のチャック1030と関連する第1のモータ1060を含み、また第2のチャック1040と関連した第2のモータ1070を含む。第1のモータ1060が摩擦攪拌ピン1050の第1の端1052を駆動する(例えば、第1の端1052を回転させる)一方で、第2のモータ1070は、摩擦攪拌ピン1050の第2の端1054を駆動する(例えば、第2の端1054を回転させる)。第1のモータ1060及び第2のモータ1070は、同時に同じ回転速度で摩擦攪拌ピン1050の端を回転させ、同期していない回転によって引き起こされ得る任意のねじれを低減又は除去するために同期し得る。図示された実施形態のモータは、摩擦攪拌ピン1050が、アセンブリ200を摩擦攪拌溶接するために、アセンブリ200の長さに沿って前進する間に、摩擦攪拌ピン1050を回転させるために使用される。アセンブリ200の長さLに沿って摩擦攪拌ピン1050を通すことは、補助相材料(例えば、2つの主要相材料の間の界面に位置する材料)を主要相材料内に分散させ、主要相材料のブロックを溶接する。
【0030】
本開示の例は、
図12に示す航空機の製造及び保守方法1900、及び、
図13に示す航空機1902に照らして説明されうる。製造前の段階で、例示的な方法1900は、航空機1902の仕様及び設計(ブロック1904)と材料調達(ブロック1906)とを含み得る。製造段階では、航空機1902の構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1908)と、システムインテグレーション(ブロック1910)とが行われうる。その後、航空機1902は認可及び納品(ブロック1912)を経て運航(ブロック1914)に供され得る。運航中、航空機1902には、定期的な整備及び保守(ブロック1916)が予定されうる。定期的な整備及び保守は、航空機1902の一又は複数のシステムの改変、再構成、改修などを含みうる。例えば、様々な実施形態では、本開示の例がブロック1908又は1916のうちの一又は複数と併せて使用されうる。
【0031】
例示的な方法1900のプロセスの各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は顧客などのオペレータによって実行又は実施されうる。本明細書の目的に関しては、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含み得、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0032】
図13に示されるように、例示的な方法1900によって製造された航空機1902は、複数の高レベルのシステム1920及び内装1922を有する機体1918を含みうる。高レベルシステム1920の例には、推進システム1924、電気システム1926、油圧システム1928、及び環境システム1930のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本書で開示されている原理は、自動車産業のような他の産業にも適用されうる。従って、航空機1902に加えて、本明細書に開示された原理は他の輸送手段、例えば、陸上輸送手段、海上輸送手段、宇宙輸送手段等に適用可能である。様々な実施形態では、本開示の実施例を、機体1918と併せて使用することができる。
【0033】
本書で示され、説明されている装置(複数可)及び方法(複数可)は、製造及び保守方法1900の一又は複数の任意の段階において用いられうる。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造1908に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1902の運航期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の様態で製作又は製造されうる。また、装置(複数可)、方法(複数可)又はそれらの組み合わせの一又は複数の例は、例えば、航空機1902の組立てを著しく効率化するか、又はコストを削減することにより、製造段階1908及び1910において利用されうる。同様に、装置又は方法実現の一又は複数の実施例、或いはそれらの組み合わせは、限定するものではないが例としては、航空機1902の運航期間中に、例えば整備及び保守(ブロック1916)で利用され得る。
【0034】
本書で開示されている装置及び方法の種々の実施例は、多種多様な構成要素、特徴及び機能を含む。本書が開示する装置及び方法の様々な実施例には、本書が開示する装置及び方法の任意の他の実施例中の、任意の構成要素、特徴及び機能が、任意の組み合わせで含まれうること、並びに、こうした可能性がすべて、本開示の本質及び範囲に含まれる意図であることを理解すべきである。
【0035】
本開示の実施形態の説明のために、上部、底部、下方、中央、横方向、水平、垂直、前方などの空間及び方向に関する様々な語が用いられる場合があるが、そのような語は図面で示す方向に対するものとして用いられているにすぎないことが理解される。向きを、反転させる、回転させる、又はそうでなければ、上部が下部に、また下部が上部になるように、また水平が垂直になる等のように変化させることができる。
【0036】
例示される実施形態の構成要素の特定の配設(例えば数、種類、配置など)は、様々な代替的実施形態において改変されうることに、留意すべきである。例えば、種々の実施形態において、異なる数の所与の構成要素が用いられ、異なる種類(複数可)の所与の構成要素が用いられ、任意の数の構成要素(又はその態様)が組み合わされ、所与の構成要素が複数の構成要素に分割され、一又は複数の構成要素の一又は複数の態様が構成要素間で共有され、所与の構成要素が加えられ、又は所与の構成要素が省略され得る。
【0037】
本明細書で使用されるように、タスク又は工程を実施する「ように構成される」構造、限定事項、又は要素は、特にタスク又は工程に対応するように、構造的に形成、構成、又は適合されている。明確にし誤解を避けるために、タスク又は工程を実施するために変更可能であるに過ぎない対象物は、本明細書で使用するタスク又は工程を実施する「ように構成」されてはいない。その代わりに、本明細書で使用される「ように構成される」の使用は、構造的適合又は特性を示し、かつタスク又は工程を実行する「ように構成される」と記載される任意の構造、限定又は要素の構造的要件を示す。
【0038】
上記の説明は、限定ではなく、例示を意図するものであることを理解するべきである。例えば、上述の実施形態(及び/またはそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。加えて、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を様々な実施形態の教示に適応させるために、多数の改変が加えられ得る。本明細書に記載の材料の寸法及び種類は、様々な実施形態のパラメータを規定することを意図しているが、これらの実施形態は限定的なものではなく例示的な実施形態である。上述の説明を精査することにより、当業者には他の多くの実施形態が明らかであろう。したがって、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びこうした特許請求の範囲が認められる均等物の全範囲を参照して、決定されるべきである。
【0039】
更に、本開示は、下記の条項による実施形態を含む。
条項1. 金属マトリックス複合材(MMC)構造を形成するための方法であって、
補助相材料が配置される界面を共有する主要相材料の少なくとも2つのブロックを含むアセンブリであって、前方エッジから後方エッジまで延びる長さ、長さに垂直に延びる幅、及び厚さを有するアセンブリを形成することと、
アセンブリを留め、少なくとも2つのブロックを互いに向かって付勢すること、又は少なくとも2つのブロックを所定の位置で維持することのうちの少なくとも1つを行うことと、
前方エッジから後方エッジまで界面に沿って回転摩擦攪拌ピンを通すことであって、摩擦攪拌ピンが、アセンブリの少なくとも幅に延びる混合長さを有し、摩擦攪拌ピンを通すことが、補助相材料を主要相材料内に分散させ、少なくとも2つのブロックを溶接する、通すことと
を含む方法。
条項2. 摩擦攪拌ピンが界面に沿って通される際に、摩擦攪拌ピンを対向する端で支持することを更に含む、条項1に記載の方法。
条項3. 摩擦攪拌ピンが界面に沿って通される際に、摩擦攪拌ピンを対向する端で駆動することを更に含む、条項2に記載の方法。
条項4. アセンブリを形成することが、少なくとも2つのブロックのうちの少なくとも1つのブロックの空洞内に補助相材料を配置することを含む、条項1に記載の方法。
条項5. 少なくとも2つのブロックが、2つの界面を画定する少なくとも3つのブロックを備える、条項1に記載の方法。
条項6. 少なくとも3つのブロックが、互いに異なる金属から成る3つのブロックを備える、条項5に記載の方法。
条項7. 補助相材料が、第1の界面に配置された第1の補助相材料、及び第2の界面に配置された第2の補助相材料を備える、条項5に記載の方法。
条項8. 主要相材料がアルミニウムを含む、条項1に記載の方法。
条項9. 補助相材料がセラミック粉末を含む、条項1に記載の方法。
条項10. アセンブリを保持するように構成された第1のプラテン及び第2のプラテンであって、アセンブリが、補助相材料が配置される界面を共有する主要相材料の少なくとも2つのブロックを含み、かつ前方エッジから後方エッジまで延びる長さ、長さに垂直に延びる幅、及び厚さを有する、第1のプラテン及び第2のプラテンと、
アセンブリの幅の対向側面に配置され、かつアセンブリの長さに沿って通るように構成された第1のチャック及び第2のチャックと、
第1及び第2のチャックにおいてそれぞれ支持された第1の端及び第2の端を有する摩擦攪拌ピンであって、摩擦攪拌ピンが、アセンブリの少なくとも幅に延びる混合長さを有し、摩擦攪拌ピンを通すことが、補助相材料を主要相材料内に分散させ、少なくとも2つのブロックを溶接する、摩擦攪拌ピンと
を備える摩擦攪拌アセンブリ。
条項11. 第1のチャック及び第2のチャックが、摩擦攪拌ピンの第1の端及び第2の端をそれぞれ駆動するように構成されている、条項10に記載の摩擦攪拌アセンブリ。
条項12. 摩擦攪拌ピンが、アセンブリの厚さの25%から85%までの直径を有している、条項10に記載の摩擦攪拌アセンブリ。
条項13. 摩擦攪拌ピンが、アセンブリの厚さの1/3から1/2までの直径を有している、条項10に記載の摩擦攪拌アセンブリ。
条項14. アセンブリの厚さに沿って配置された複数の摩擦攪拌ピンを備える、条項10に記載の摩擦攪拌アセンブリ。
条項15. 摩擦攪拌ピンのうちの少なくとも2つが独立して駆動される、条項14に記載の摩擦攪拌アセンブリ。
条項16. 補助相材料が配置される界面を共有する主要相材料の少なくとも2つのブロックを含むアセンブリであって、前方エッジから後方エッジまで延びる長さ、長さに垂直に延びる幅、及び厚さを有するアセンブリを形成することと、
アセンブリを留め、少なくとも2つのブロックを互いに向かって付勢すること、又は少なくとも2つのブロックを所定の位置で維持することのうちの少なくとも1つを行うことと、
前方エッジから後方エッジまで界面に沿って回転摩擦攪拌ピンを通すことであって、摩擦攪拌ピンが、アセンブリの少なくとも幅に延びる混合長さを有し、摩擦攪拌ピンを通すことが、補助相材料を主要相材料内に分散させ、少なくとも2つのブロックを溶接し構造を形成する、通すことと
によって形成される摩擦攪拌溶接構造。
条項17. 少なくとも2つのブロックが、2つの界面を画定する少なくとも3つのブロックを備え、少なくとも3つのブロックが互いに異なる金属から成る3つのブロックを備える、条項16に記載の摩擦攪拌溶接された構造。
条項18. 少なくとも2つのブロックが、2つの界面を画定する少なくとも3つのブロックを備え、補助相材料が、第1の界面に配置された第1の補助相材料、及び第2の界面に配置された第2の補助相材料を備える、条項16に記載の摩擦攪拌溶接された構造。
条項19. 主要相材料がアルミニウムを含む、条項16に記載の摩擦攪拌溶接された構造。
条項20. 補助相材料がセラミック粉末を含む、条項16に記載の摩擦攪拌溶接された構造。
【0040】
ここに記載した説明は、ベストモードを含む様々な実施形態を開示するために実施例を使用しており、それは、さらに、任意のデバイス及びシステムの作製及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含め、様々な実施形態を実施することを可能にするためである。様々な実施形態の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想起する他の実施例を含み得る。かかる他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は、実施例が、特許請求の範囲の文言とごくわずかな相違しかない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。