(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリンダブラケットは、前記作業具を揺動させる油圧シリンダである作業具シリンダの一端部が連結される第2ボス部と、前記アームシリンダの一端部が連結される第3ボス部とを有している請求項1又は2に記載の作業機のアーム。
前記シリンダブラケットは、前記第1側壁と略平行に配置された第1側板と、前記第2側壁と略平行に配置された第2側板と、前記第1側板と前記第2側板とを接続する架設部とを備え、
前記接続部材は、前記アーム本体における前記他端側の面及び天面の一部を覆う本体部と、前記第1側壁と前記第1側板とを接続する第1板状部と、前記第2側壁と前記第2側板とを接続する第2板状部とを備え、
前記第1側壁、前記第1板状部、及び前記第1側板の外面が略同一平面を成し、前記第2側壁、前記第2板状部、及び前記第2側板の外面が略同一平面を成す請求項7〜11のいずれか1項に記載の作業機のアーム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図9は、第1実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。なお、本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーを例示するが、作業機1はバックホーに限定されるものではない。
【0009】
図9に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には、運転者(オペレータ)が着座する運転席(座席)6が設けられている。運転席6は、キャビン5によって包囲されている。
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座した運転者の前側(
図9の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(
図9の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(
図9の手前側)を左方、運転者の右側(
図9の奥側)を右方として説明する。
【0010】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0011】
図9に示すように、走行装置3は、走行フレーム9と、走行フレーム9の左側と右側とにそれぞれ設けられた走行機構10とを有する。本実施形態では、走行機構10としてクローラ式の走行機構を用いている。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、油圧シリンダによって上げ下げ可能である。
図9に示すように、作業装置4は、ブーム15と、アーム16と、作業具17とを有する。本実施形態では作業具17としてバケットを備えている。ブーム15の基部は、スイングブラケット14に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸心)回りに回動自在(上下に揺動自在)に枢着されている。スイングブラケット14は、機体2の前部に設けられた支持ブラケット18に縦軸(上下の方向に延伸する軸心)回りに回動可能に支持されている。アーム16は、ブーム15の先端側に横軸回りに回動自在(前後或いは上下に揺動自在)に枢着されている。つまり、アーム16は、一端側に作業具17が揺動可能に装着され、他端側が他の部材に搖動可能に軸支されている。作業具17は、アーム16の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。詳しく説明すると、作業具17は、取付ブラケット13を介してアーム16の先端に設けた第1連結ボス61に支軸周りに回動自在に枢支されている。また、第1リンク11の一端側が取付ブラケット13を介して作業具17に左右方向の支軸廻りに回動自在に枢支されている。また、第2リンク12の一端側が、アーム16の先端側且つ第1連結ボス61よりも基端側に設けた第2連結ボス66に左右方向の支軸廻りに回動自在に枢支されている。第1リンク11及び第2リンク12の他端側は後述する作業具シリンダC5の一端部に横軸回りに回動可能に接続されている。作業機1は、作業具17として、バケットに代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。この他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
【0012】
スイングブラケット14は、油圧シリンダの伸縮によって機体幅方向K2に揺動する。ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって揺動する。アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によって揺動する。作業具17は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C5の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作する。ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0013】
以下、アーム16について詳しく説明する。
図1〜
図4に示すようにアーム16は、アーム本体(第1部材)30と、アーム本体30とは別体に構成された鋳造部(接続部材、第3部材)50と、鋳造部50とは別体に構成されたブラケット(シリンダブラケット、第2部材)70と、を備えている。
図1及び
図2に示すように、アーム本体30は、第1側壁31、第2側壁32、天壁35、及び底壁36を有する、板金により構成された筒状の部材である。
【0014】
第1側壁31及び第2側壁32は、長尺の板部材であり、互いに間隔を隔てて対向配置されている。第1側壁31及び第2側壁32における基端側(他端側)の端部は、天面側に向かうほど先端側(一端側)に傾斜している。第1側壁31の先端側には切欠き部31aが形成され、第2側壁32の先端側には切欠き部32aが形成されている。切欠き部31aには第1連結ボス61の一方端が溶接され、切欠き部32aには第1連結ボス61の他方端が溶接されている。つまり、アーム本体30は、一端部に作業具17が揺動可能に装着される。第1側壁31及び第2側壁32の中途部には、第2連結ボス66が第1連結ボス61と略平行に形成されている。第1側壁31及び第2側壁32の基端側には鋳造部50が溶接されている。天壁35は、長尺の板部材であり、第1側壁31の上部と、第2側壁32の上部とを連結する。天壁35の先端側はアーム本体30の先端側に固定された第1連結ボス61の外周面に溶接されており、側辺部は第1側壁31及び第2側壁32の上端部に溶接されており、他端側は第1側壁31と第2側壁32の中途部において鋳造部50に溶接されている。底壁36は、長尺の板部材であり、天壁35と対向配置されて第1側壁31の下部と、第2側壁32の下部とを連結する。底壁36の先端側は第1連結ボス61の外周面に溶接されており、側辺部は第1側壁31及び第2側壁32の下端部に溶接されており、他端側は第1側壁31と第2側壁32の基端部において鋳造部50に溶接されている。このように、アーム本体30は第1側壁31、第2側壁32、天壁35、及び底壁36によって形成された断面矩形状の筒状部材であり、先端側は第1連結ボス61で閉鎖され、他端側は鋳造部50で閉鎖されている。
【0015】
第1連結ボス61は、円筒状に形成されており、取付ブラケット13を介して作業具17を支軸周りに回動自在に枢支する。第1連結ボス61の一方端側は、第1側壁31から外側に向かって突出している。第1連結ボス61の他方端側は、第2側壁32から外側に向かって突出している。
第2連結ボス66は、円筒状に形成されており、第2リンク12の一端側を左右方向の支軸廻りに回動自在に枢支する。第2連結ボス66の一方端側は、第1側壁31から外側に向かって突出している。第2連結ボス66の他方端側は、第2側壁32から外側に向かって突出している。
【0016】
図3に示すように、アーム本体30の基端側の下部に補強板37が設けられている。補強板37は、略V字状に屈曲されている。補強板37は、第1側壁31と第2側壁32との間に溶接等により固着されている。
鋳造部50は、第1ボス部(第1軸受部材)41と、第1板状部52L及び第2板状部52Rからなる連結部51と、延設部58及び延長部59からなる本体部60と、を有している。鋳造部50を構成するこれら各部(第1ボス部41,連結部51,本体部60)は、鋳鋼によって一体成形されている。鋳造部50の先端側はアーム本体30の基端部と溶接されており、基端側はブラケット70の先端側と溶接されている。
【0017】
第1ボス部41には、アーム16をブーム15の先端側に機体幅方向の支軸廻りに揺動自在に支持させるための軸部材が挿通される。第1ボス部41は、円筒状に形成されており、鋳造部50の左方から右方に亘って形成されている。第1ボス部41は、他の部材に揺動可能に軸支させるための軸部材が挿通される。
連結部51は、前記第1ボス部41から第1壁部31及び第2壁部32の基端側の面に沿って天面側且つ先端側に向かって延設されており、アーム本体30とブラケット70とを連結する。延長部59はアーム本体30における基端側の開口部(第1壁部31、第2壁部32、及び底板36で囲まれる領域)を閉鎖し、延設部58は延長部59と連続しており、アーム本体30の天面側且つ基端側の開口部を閉鎖している。
【0018】
第1板状部52Lは、第1ボス部41の左端部からアーム本体30の先端側に向かって延設されている。また、第1板状部52Lは、アーム本体30における第1側壁31の基端側の端部と、ブラケット70の左端部(第1側板75L)における先端側の端部とを連結する板状の部分である。第1板状部52Lは、第1連結部53Lと、縦部55Lと、を有する。
【0019】
第1連結部53Lは第1ボス部41の左端部近傍と第1側壁31におけるアーム本体30の基端側とに溶接されている。第1連結部53Lは、第1ボス部41から上方に向かって延出し、天壁35と底壁36との中途部から先端側且つ上方に向かって延出する。なお、第1ボス部41は、底壁36と、第1側壁31及び第2側壁32の底壁36側の端部とに溶接されている。
【0020】
縦部55Lは、第1連結部53と連続しており、延設部58から上方に延出し、且つアーム本体30の天面に沿って先端側へ延出する板状の部分である。
第2板状部52Rは、第1ボス部41の右端部からアーム本体30の先端側に向かって延設されている。また、第2板状部52Rは、アーム本体30における第2側壁32の基端側の端部と、ブラケット70の右端部(第2側板75R)における先端側の端部とを連結する板状の部分である。第2板状部52Rは、第1連結部53Rと、縦部55Rと、を有する。
【0021】
第1連結部53Rは第1ボス部41の右端部近傍と第2側壁32におけるアーム本体30の基端側とに溶接されている。第1連結部53Rは、第1ボス部41から上方に向かって延出し、天壁35と底壁36との中途部から先端側且つ上方に向かって延出する。
縦部55Rは、第1連結部53と連続しており、延設部58の上部から上方に延出し、且つアーム本体30の天面に沿って先端側へ延出する板状の部分である。縦部55L,55Rによって第1連結部53L,53Rから延設部58の上方に延出されたリブを形成し、鋳造部50のねじれ方向の力に対する剛性を向上させることができる。
【0022】
本体部60は、アーム本体30における基端側の面及び天面の一部を覆う。
延設部58は、第1板状部52Lと、第2板状部52Rとを連結する板状の部分であり、アーム本体30の天面に沿って先端側に向かって天壁35との接合部まで延設されている。延設部58は、アーム本体30の第1側壁31、第2側壁32、及び天壁35と溶接されている。
【0023】
なお、第1板状部52L、第2板状部52R、及び延設部58と、第1側壁31、第2側壁32、及び天壁35との接合部は、アーム16の基端側から先端側へ向かって側方視で滑らかな曲線形状を成しており、且つ、接合部同士の断面形状(断面係数)が略同一になっている。例えば、第1板状部52L及び第2板状部52Rにおける天面側の端部は、ブラケット70との接合部から延設部58(本体部60)における天面側の面にかけて滑らかな曲面を成している。これにより、接合部への応力集中を緩和してアーム16の剛性を向上させることができる。また、接合部を補強する補強部材を設ける必要がないので、剛性の高いアーム16を安価に製造できる。
【0024】
図2に示すように、延長部59は、第1板状部52Lと、第2板状部52Rとの間に配置された板状の部分である。延長部59は、延設部58からアーム本体30の基端側(底壁35側)に向かって延設されて第1ボス部41に至り、第1ボス部41と連結されている。また、延長部59は、延設部58から第1ボス部41に亘る領域において、第1板状部52Lと第2板状部52Rとを連結している。このため、鋳造部50の延長部59を含む部分における機体幅方向の断面はH字状になっている。これにより、鋳造部50の曲げ方向やねじれ方向の力に対する剛性を向上させることができる。
【0025】
ブラケット70は、作業具17を揺動させる油圧シリンダである作業具シリンダC5の一端部(後端部)が連結される第2ボス部(第2軸受部材)42と、アーム16を揺動させる油圧シリンダであるアームシリンダC4の一端部(先端部)が接続される第3ボス部(第3軸受部材)71とを有している。作業具シリンダC5の他端部(先端部)は上述した第1リンク11及び第2リンク12に接続されており、アームシリンダC4の他端部(後端部)はブーム4の天面側に形成されたシリンダブラケット70に軸支されている。また、ブラケット70の先端側は、鋳造部50の基端側と溶接されている。つまり、鋳造部50は、アーム本体30とブラケット70との間に配置されてアーム本体30とブラケット70とを接続するとともに、アーム本体30とブラケット70とを離間させている。
【0026】
第2ボス部42は、円筒状に形成されており、ブラケット70の先端側上方の左方と右方とに夫々形成されている。
第3ボス部71は、ブラケット70の基端側に配置されており、ブラケット70の両側面(第1側板75L及び第2側板75R)から外側に向かって突出している。アームシリンダC4の伸縮によってアーム16が前後又は上下に揺動可能とされている。
【0027】
ブラケット70は、第1側板75Lと、第2側板75Rと、架設部77と、を有している。第1側板75Lは、板金であり、鋳造部50の第1板状部52Lに溶接により接合されている。第1側板75L、第1板状部52L、および第1側壁31は、同一平面上に配置されており、これら各部75L,52L,31の接合部の断面係数は第1ボス部41との接合部を除いて略同一になっている。第1側板75Lの中央部には、肉抜き孔75L1が形成されている。また、第1側板75Lには、架設部77を取り付ける挿入孔75L2が形成されている。
【0028】
第2側板75Rは、第1側板75Lと対向配置された板金であり、鋳造部50の第2板状部52Rに溶接により接合されている。第2側板75R、第2板状部52R、および第2側壁32は、同一平面上に配置されており、これら各部75R,52R,31Rの接合部の断面係数は第1ボス部41との接合部を除いて略同一になっている。第2側板75Rの中央部における第1側板75Lの肉抜き孔75L1に対応する位置には、肉抜き孔75L1と略同形状の肉抜き孔75R1が形成されている。また、第2側板75Rにおける第1側板75Lの挿入孔75L2に対応する位置には、架設部77を取り付ける挿入孔75R2が形成されている。
【0029】
架設部77は、第1側板75Lと第2側板75Rとを架設(連結)する部材であり、複数の補強部材を含む。具体的に説明すると、架設部77は、補強軸77aと、第1補強板77bと、第2補強板77cと、を含む。
図1に示すように、補強軸77aは、長尺の軸部材である。補強軸77aは、第1側板75Lの先端側の上部及び第2側板75Rの先端側の上部を架設する。補強軸77aは、第1側板75Lに形成された挿入孔75L2と、第2側板75Rに形成された挿入孔75R2に挿入され、溶接されている。
図3に示すように、第1補強板77bは、第1側板75Lの基端側の下部及び第2側板75Rの基端側の下部に取り付けられる。第1補強板77bは略L字状に屈曲した板部材である。第1補強板77bは、溶接により第1側板75L及び第2側板75Rに接合固着される。第2補強板77cは、第1側板75Lの基端側の上部及び第2側板75Rの基端側の上部を補強する。第2補強板77cは、アーム16の長手方向に向かって配置された板状部材である。第2補強板77cは、溶接により第1側板75L及び第2側板75Rに接合固着される。なお、架設部77は、第1側板75Lと第2側板75Rを連結してアームシリンダC4や作業具シリンダC5の枢支部に生じる負荷等によるブラケット70の変形を抑制できる程度に補強できればよく、架設部77を構成する各部材の形状や数は特に限定されない。
【0030】
なお、上述した構成では、ブーム15は、第1ボス部41に揺動自在に支持され、アームシリンダC4は、第3ボス部71に揺動自在に支持されるが、ブーム15が第3ボス部71に揺動自在に支持され、アームシリンダC4が第1ボス部41に揺動自在に支持されるような構成であってもよい。
また、上記構成は、作業機1のアーム16に限定されず、ブーム15に適用してもよい。
[第2実施形態]
図5〜
図8は、アーム1の別の実施形態(第2実施形態)を示す。
【0031】
以下、第2実施形態のアーム1について、上述した実施形態(第1実施形態)と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図5〜
図8に示すように、第2実施形態の鋳造部50は、第1実施形態と異なり、第1ボス部41と、第2ボス部42と、第1板状部52L及び第2板状部52Rからなる連結部51と、延設部58及び延長部59からなる本体部60と、を有している。鋳造部50を構成するこれら各部(第1ボス部41,第2ボス部42,連結部51,本体部60)は、鋳鋼によって一体成形されている。鋳造部50の先端側は、アーム本体30の基端部と溶接されている。
【0032】
連結部51は、第1ボス部41から第1壁部31及び第2壁部32の基端側の面に沿って先端側に向かって延設されるとともに、その中途部から第2ボス部42まで延設されている。延設部58及び延長部59により、アーム本体30における基端側の開口部が閉鎖されている。
第1板状部52Lは、第1連結部53Lと、第2連結部54Lと、縦部55Lと、を有する。
【0033】
第1連結部53Lは、第1ボス部41の左端部近傍と、第1側壁31におけるアーム本体30の基端側と、第2ボス部42とに溶接されている。第1連結部53Lは、第1ボス部41から上方に向かって延出し、天壁35と底壁36との中途部から先端側且つ上方に向かって延出する。
第2連結部54Lは、第1連結部53Lと一枚の板状に連続しており、第1連結部53Lから上方に向かって突出し、第2ボス部42Lに連結されている。第2連結部54Lにおけるアーム16の先端側の端部は、第2ボス部42の外周面に沿う円弧状に形成されている。なお、第2ボス部42Lは、第2連結部54Lの両側面から機体幅方向に向かって突出している。
【0034】
縦部55Lは、第2連結部54Lの外周面に形成された上記の円弧状の部分からアーム16の先端側に延設され、延設部58(本体部60)の天面に至る。
第2板状部52Rは、第1連結部53Rと、第2連結部54Rと、縦部55Rと、を有する。
第1連結部53Rは、第1ボス部41の右端部近傍と、第2側壁32におけるアーム本体30の基端側と、第2ボス部42とに溶接されている。第1連結部53Rは、第1ボス部41から上方に向かって延出し、天壁35と底壁36との中途部から先端側且つ上方に向かって延出する。
【0035】
第2連結部54Rは、第2連結部53Rと一枚の板状に連続しており、第2連結部53Rから上方に向かって突出し、第2ボス部42Rに連結されている。第2連結部54Rにおけるアーム16の先端側の端部は、第2ボス部42Rの外周面に沿う円弧状に形成されている。なお、第2ボス部42Rは、第2連結部54Rの両側面から機体幅方向に向かって突出している。
【0036】
縦部55Rは、第2連結部54Rの外周面に形成された上記の円弧状の部分からアーム16の先端側に延設され、延設部58(本体部60)の天面に至る。
延設部58は、第1板状部52Lと、第2板状部52Rとを連結する板状の部分であり、アーム本体30の天面に沿って先端側に向かって天壁35との接合部まで延設されている。延設部58は、アーム本体30の第1側壁31、第2側壁32、及び天壁35と溶接されている。
【0037】
なお、第1板状部52L、第2板状部52R、及び延設部58と、第1側壁31、第2側壁32、及び天壁35との接合部は、アーム16の基端側から先端側へ向かって側方視で滑らかな曲線形状を成しており、且つ、接合部同士の断面形状(断面係数)が略同一になっている。これにより、接合部への応力集中を緩和してアーム16の剛性を向上させることができる。また、接合部を補強する補強部材を設ける必要がないので、剛性の高いアーム16を安価に製造できる。
【0038】
ブラケット70は、アーム16を揺動させる油圧シリンダであるアームシリンダC4の一端部(先端部)が接続される第3ボス部(第3軸受部材)71を有している。アームシリンダC4の他端部(後端部)はブーム4の天面側に形成されたシリンダブラケットに軸支されている。また、ブラケット70の先端側は、鋳造部50の基端側と溶接されている。つまり、鋳造部50は、アーム本体30とブラケット70との間に配置されてアーム本体30とブラケット70とを接続するとともに、アーム本体30とブラケット70とを離間させている。
【0039】
ブラケット70は、第1側板75Lと、第2側板75Rと、架設部77と、を有している。第1側板75Lは、板金であり、鋳造部50の第1板状部52Lに溶接により接合されている。第1側板75L、第1板状部52L、および第1側壁31は、同一平面上に配置されており、これら各部の接合部の断面係数は第1ボス部41との接合部を除いて略同一になっている。
【0040】
第2側板75Rは、第1側板75Lと対向配置された板金であり、鋳造部50の第2板状部52Rに溶接により接合されている。
以上のように、本発明の一態様にかかる作業機1のアーム16は、一端側に作業具17が揺動可能に装着され、他端側が他の部材(ブーム15)に揺動可能に軸支される作業機1のアーム16であって、一端部に作業具17が揺動可能に装着されるアーム本体30と、アーム16を揺動させる油圧シリンダであるアームシリンダC4の一端部が連結されるシリンダブラケット(ブラケット70)と、シリンダブラケットとアーム本体30とを接合する接続部材(鋳造部50)とを備え、接続部材50は、鋳造部材であり、アーム本体30とシリンダブラケット70とに溶接により接合されている。
【0041】
上記の構成によれば、アーム本体30とシリンダブラケット70とを接続する接続部材50を鋳造部材で構成することにより、断面係数(断面積)が急激に増減する部分を無くして応力集中部を容易に低減することができる。また、シリンダブラケット70全体を鋳鋼化する場合に比べて、安価に製造できる。
また、接続部材50は、アーム16を他の部材に揺動可能に軸支させるための軸部材が挿通される第1ボス部41を有している。また、第1ボス部41は、接続部材50と一体的に形成された鋳造部材である。
【0042】
上記の構成によれば、第1ボス部41を鋳造部材からなる接続部材50に形成することにより、第1ボス部41の周辺部において応力集中が生じることを抑制することができる。
また、シリンダブラケット70は、作業具17を揺動させる油圧シリンダである作業具シリンダC5の一端部が連結される第2ボス部42と、アームシリンダC4の一端部が連結される第3ボス部71とを有している。
【0043】
上記の構成によれば、作業具シリンダC5及びアームシリンダC4の負荷がシリンダブラケット70に作用した場合でも、シリンダブラケット70と接続部材50との接合部の周辺部において応力集中が生じることを抑制することができる。
また、接続部材50は、アーム16を他の部材に揺動可能に軸支させるための軸部材が挿通される第1ボス部41と、作業具17を揺動させる油圧シリンダである作業具シリンダC5の一端部が連結される第2ボス部42とを有し、シリンダブラケット70は、アームシリンダC4の一端部が連結される第3ボス部71を有している。また、第1ボス部41及び第2ボス部42は、接続部材50と一体的に形成された鋳造部材である。
【0044】
上記の構成によれば、第1ボス部41及び第2ボス部42を鋳造部材からなる接続部材50に形成することにより、第1ボス部41及び第2ボス部42の周辺部において応力集中が生じることを抑制することができる。
また、接続部材50の一端側にアーム本体30が溶接により固定され、接続部材50の他端側にシリンダブラケット70が溶接により固定されており、アーム本体30とシリンダブラケット70とは接続部材50により離間されている。
【0045】
上記の構成によれば、アーム本体30と接続部材50との接合部、及び接続部材50とシリンダブラケット70との接合部において応力集中が生じることを抑制できる。
また、アーム本体30は、両側面を形成する第1側壁31及び第2側壁32と、天面を形成する天壁35と、底面を形成する底壁36とを有し、接続部材50は、底壁36における他端側の端部、第1側壁31及び第2側壁32における他端側の端部及び天面側の端部の一部、及び天壁35における他端側の端部に溶接により接合されている。
【0046】
上記の構成によれば、アーム本体30の各部と接続部材50との接合部の周辺において応力集中が生じることを容易に抑制できる。
また、第1側壁31及び第2側壁32における他端側の端部は、天面側に向かうほど一端側に傾斜している。また、アーム本体30と接続部材50との接合部は、滑らかな曲線を成している。
【0047】
上記の構成によれば、アーム本体30と接続部材50との接合部の周辺において応力集中が生じることをより適切に抑制できる。
また、接続部材50におけるアーム本体30の天面側の端部の一部、及び天壁35における他端側の端部との接合部は、アーム本体30における当該接合部に対応する部分と略同一の断面係数を有している。
【0048】
上記の構成によれば、アーム本体30と接続部材50との接合部の周辺において応力集中が生じることをより適切に抑制できる。
また、接続部材50は、アーム16を他の部材に揺動可能に軸支させるための軸部材が挿通される第1ボス部41を有し、第1ボス部41は、第1側壁31及び第2側壁32における他端側且つ底壁36側の端部に接合されており、接続部材50におけるアーム本体30との接合部のうち第1ボス部41を除く接合部は、アーム本体30における当該接合部に対応する部分と略同一の断面係数を有している。
【0049】
上記の構成によれば、アーム本体30と接続部材50との接合部の周辺において応力集中が生じることをより適切に抑制できる。
また、シリンダブラケット70は、第1側壁31と略平行に配置された第1側板75Lと、第2側壁32と略平行に配置された第2側板75Rと、第1側板75Lと第2側板75Rとを接続する架設部77とを備え、接続部材50は、アーム本体30における他端側の面及び天面の一部を覆う本体部60と、第1側壁31と第1側板75Lとを接続する第1板状部52Lと、第2側壁32と第2側板75Rとを接続する第2板状部52Rとを備え、第1壁部31、第1板状部52L、及び第1側板75Lの外面が略同一平面を成し、第2壁部32、第2板状部52R、及び第2側板75Rの外面が略同一平面を成す。
【0050】
上記の構成によれば、シリンダブラケット70の剛性を増加させるとともに、アーム本体30と接続部材50との接合部、及び接続部材50とシリンダブラケット70との接合部の周辺において応力集中が生じることを適切に抑制できる。
また、第1板状部52L及び第2板状部52Rにおける天面側の端部は、シリンダブラケット70との接合部から本体部60における天面側の面にかけて滑らかな曲面を成している。
【0051】
上記の構成によれば、第1板状部52L及び第2板状部52Rにおける天面側の端部を接続部材50のリブとして機能させて接続部材50のねじれ方向の負荷に対する剛性を向上させるとともに、アーム本体30と接続部材50との接合部において応力集中が生じることを適切に抑制できる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。