(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを主成分として含有する樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の片面または両面に設けられた接着層(B)と、を備える太陽電池封止材用多層シートであって、
前記接着層(B)は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B2)(ただし、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)を除く)と、を含み、
前記接着層(B)に含まれるエチレン系共重合体(B2)の含有量は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計量を100質量%としたとき、50質量%以上99質量%以下であり、
前記樹脂層(A)は、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)を含有しない、太陽電池封止材用多層シート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、数値範囲の「X〜Y」は特に断りがなければ、X以上Y以下を表す。また、(メタ)アクリルとはアクリルおよびメタクリルの一方または両方を意味する。
【0015】
1.太陽電池封止材用多層シートについて
図1は、本発明に係る実施形態の太陽電池封止材用多層シート10の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10(以下、多層シートとも呼ぶ。)は太陽電池素子を封止するために用いられるものであり、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを主成分として含有する樹脂層(A)と、樹脂層(A)の片面または両面に設けられた接着層(B)と、を備える。樹脂層(A)と、接着層(B)以外の層が例えば樹脂層(A)と接着層(B)の間に含まれる形態も本発明の実施形態であるが、樹脂層(A)と接着層(B)が直接接する形態が好ましい。
そして、接着層(B)は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B2)(ただし、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)を除く)と、を含む。
【0016】
本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10によれば、樹脂層(A)と接着層(B)とを備える構成とすることで、従来使用されてきたエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む太陽電池用封止材シートに比較して、透明性、接着性、防湿性および絶縁性をバランスよく向上できる。特に、防湿性および接着性に優れるため、耐湿接着性や接着性の長期安定性に優れている。また、本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10によれば、ポリエステルフィルム等の電気絶縁性樹脂フィルム層のコロナ処理されていない面に対しても優れた接着性を示す。
【0017】
樹脂層(A)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを主成分として含有する層が単一の層により構成されていることが好ましいが、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の組成あるいはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体に含まれるその他の共重合性モノマーの比率等が異なる複数の層により構成されていてもよい。
なお、「主成分」とはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーが樹脂層(A)中に60質量%以上含有することを意味する。
【0018】
接着層(B)は樹脂層(A)の片面または両面に積層される。接着層(B)は、多層シートと、太陽電池素子や透明基板、バックシートとの接着性をバランス良く向上させる観点から、樹脂層(A)の両面に設けられることが好ましい。
また、接着層(B)も樹脂層(A)と同様に、単一の層により構成されていることが好ましいが、共重合体の組成や配合量が異なる複数の層により構成されていてもよい。
【0019】
本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10は樹脂層(A)および接着層(B)により複数の層を形成しているものであり、より好ましくは樹脂層(A)と接着層(B)とを含む2層シートであり、特に好ましくは樹脂層(A)からなる中間層と、その両面に設けられた接着層(B)からなる外層とを含む3層シートである。
【0020】
本実施形態において、太陽電池封止材用多層シート10の全体の厚みは、好ましくは50μm以上2000μm以下、より好ましくは50μm以上1000μm以下、特に好ましくは50μm以上800μm以下の範囲が好ましい。太陽電池封止材用多層シート10の全体の厚みが上記下限値以上であると、衝撃等による太陽電池素子の破損をより一層抑制することができる。また、太陽電池封止材用多層シート10の全体の厚みが上記上限値以下であると、シートの透明性がより向上し、太陽光の受光量が保て、出力をより一層高く維持することができる。
また、本実施形態に係る多層シートは、透明性、接着性、防湿性および絶縁性の性能バランスに優れているため、多層シートの全体の厚みを800μm以下と薄くすることができる。
【0021】
樹脂層(A)と接着層(B)とを含む2層シートの場合、本実施形態に係る多層シートを構成する樹脂層(A)の厚み(a)と、接着層(B)の厚み(b)との比(a/b)は、1/1〜10/1、好ましくは2/1〜6/1である。a/bが上記範囲内にあると、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
また、樹脂層(A)からなる中間層と、その両面に設けられた接着層(B)からなる外層とを含む3層シートの場合、本実施形態に係る多層シートを構成する樹脂層(A)の一層の厚み(a)と、接着層(B)の一層の厚み(b)との比(a/b)は、1/1〜10/1、好ましくは2/1〜6/1である。a/bが上記範囲内にあると、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。外層は上記の厚み比であれば外層の2層のそれぞれの厚みは異なっていてもよい。
【0022】
本実施形態における太陽電池封止材用多層シート10において、JIS K7171に準じて測定される曲げ弾性率が50MPa以上500MPa以下であることが好ましく、100MPa以上450MPa以下であることがより好ましい。曲げ弾性率が上記範囲を満たすと、太陽電池封止材用多層シート10の破壊強度、耐衝撃性および耐突き破り等の性能および太陽電池モジュールの生産性バランスをより一層良好なものとすることができる。このような曲げ弾性率を達成するためには、樹脂層(A)の組成、接着層(B)の組成、樹脂層(A)と接着層(B)との厚み比等を適宜調整すればよい。
【0023】
本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10において、JIS Z0208に準拠し、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される透湿度が15g/(m
2・24h)以下であることが好ましく、10g/(m
2・24h)以下であることがより好ましく、5g/(m
2・24h)以下であることが特に好ましい。
透湿度が上記上限値以下である太陽電池封止材用多層シート10は内部に水分を保持し難いため、太陽電池素子や電極の腐食を抑制することができる。その結果、太陽電池モジュールの長期安定性をより一層向上させることができる。
【0024】
本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10において、JIS K7136に準拠して測定されるHazeが40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、30%以下であることが特に好ましい。
これにより得られる太陽電池モジュールの光発電量をより一層良好なものとすることができる。
【0025】
<樹脂層(A)>
樹脂層(A)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを主成分として含有する。
【0026】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーにおいて、エチレンから導かれる構成単位は、好ましくは65質量%以上95質量%以下、より好ましくは75質量%以上92質量%以下であり、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位は、好ましくは5質量%以上25質量%以下、より好ましくは8質量%以上25質量%以下である。
エチレンから導かれる構成単位が上記下限値以上であると、多層シートの耐熱性や機械的強度等をより良好なものとすることができる。また、エチレンから導かれる構成単位が上記上限値以下であると、多層シートの透明性や柔軟性、接着性等をより良好なものとすることができる。
不飽和カルボン酸から導かれる構成単位が上記下限値以上であると、多層シートの透明性や柔軟性、接着性等をより良好なものとすることができる。また、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位が上記上限値以下であると、多層シートの加工性をより良好なものとすることができる。
【0027】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等が挙げられる。これらの中でも、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の生産性、衛生性等の観点から、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
なお、これら不飽和カルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体には、エチレンおよび不飽和カルボン酸共重合体の合計100質量%に対し、好ましくは0質量%以上30質量%以下、より好ましくは0質量%以上25質量%以下のその他の共重合性モノマーから導かれる構成単位が含まれていてもよい。その他の共重合性モノマーとしては不飽和エステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。その他の共重合性モノマーから導かれる構成単位が上記範囲で含まれていると、多層シートの柔軟性が向上する点で好ましい。
【0029】
本実施形態においては、上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の代わりにそのアイオノマーを用いることができる。樹脂層(A)がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを主成分として含有することにより、太陽電池封止材用多層シート10の透湿度が低下して防湿性をより一層良好なものとすることができる。
アイオノマーにおけるイオン源としては、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の多価金属等が挙げられる。
【0030】
アイオノマーとしては中和度が通常80%以下のものが用いられる。中和度が上記範囲であると、透明性や高温における貯蔵安定性に優れた多層シートを得ることができる。一般的に、太陽電池封止材シートの透明性、接着性および加工性の観点からは中和度が60%以下、特に40%以下のものを用いるのが好ましい。中和度の下限は特に限定されないが、例えば、1%以上であり、5%以上が好ましい。
【0031】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、各重合成分を高温、高圧下にラジカル共重合することによって得ることができる。また、そのアイオノマーは、このような共重合体と金属化合物を反応させることによって得ることができる。
【0032】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーとしては、加工性および機械強度を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(JIS K7210−1999)が、0.1〜150g/10分、特に0.1〜50g/10分のものを用いるのがよい。
【0033】
本実施形態に係る多層シートを構成する樹脂層(A)には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーが通常80質量%以上、好ましくは90質量%以上含まれている。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーが上記範囲で含まれていると、多層シートの透明性や絶縁性、防湿性等をより一層良好なものとすることができる。
【0034】
樹脂層(A)には、本発明の目的を損なわない範囲内において、各種添加剤を含有させることができる。かかる添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤等が挙げられる。
【0035】
架橋剤としては、半減期1時間の分解温度が通常90〜180℃、好ましくは100〜150℃の有機過酸化物を用いるのがよい。このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
架橋剤はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマー100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部の量で含有させることができる。
【0036】
架橋助剤としては、例えば、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物が挙げられる。なかでも、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
架橋助剤はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマー100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部の量で含有させることができる。
【0037】
シランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基と、アルコキシ基のような加水分解基とを有するシランカップリング剤等を挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマー100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.02〜3質量部の量で含有させることができる。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、多層シートと、保護材または太陽電池素子等との接着性をより一層向上させることができる。
【0038】
また、紫外線に基づく多層シートの劣化を防ぐために、樹脂層(A)中に紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤等を含有させるのが好ましい。
【0039】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等が用いられる。
【0040】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が用いられる。
酸化防止剤として各種ヒンダードフェノール系酸化防止剤やホスファイト系酸化防止剤等が用いられる。
酸化防止剤、光安定剤および紫外線吸収剤は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマー100質量部に対し、各々通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部の量で含有させることができる。
【0041】
また、樹脂層(A)には、上述した添加剤以外に、必要に応じて、着色剤、光拡散剤および難燃剤等の添加剤を含有させることができる。
着色剤としては、顔料、無機化合物、染料等が挙げられ、特に白色の着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウムが挙げられる。これらの添加剤を含有する多層シートを太陽電池素子の受光側の封止材として用いる場合は、透明性を損なう場合があるが、太陽電池素子の受光側と反対面の封止材として用いる場合には好適に用いられる。
【0042】
光拡散剤としては、無機系の球状物質としてはガラスビーズ、シリカビーズ、シリコンアルコキシドビーズ、中空ガラスビーズ等が挙げられる。有機系の球状物質としてはアクリル系やビニルベンゼン系等のプラスチックビーズ等が挙げられる。
【0043】
難燃剤としては、臭素化物等のハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物等が挙げられる。
【0044】
<接着層(B)>
接着層(B)は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B2)(ただし、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)を除く)と、を含有する。
【0045】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)としては、例えば、グリシジル基含有エチレン系共重合体が挙げられる。
グリシジル基含有エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0046】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)は、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の重合性基とエポキシ基を有するモノマーをエチレンと共重合することにより得られる。また、エチレン系共重合体にエポキシ基を有するモノマーをグラフト重合させてエポキシ基を導入してもよい。
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)中の(メタ)アクリル酸グリシジル等のモノマーに由来の構成単位の含有割合は、好ましくは2質量%以上30質量%以下、より好ましくは3質量%以上25質量%以下である。
(メタ)アクリル酸グリシジル等のモノマーに由来の構成単位の含有割合が上記下限値以上であると、太陽電池封止材用多層シート10と太陽電池モジュール構成部材(太陽電池素子や基板等)との接着性がより良好になり、また上記上限値以下であると、封止材用多層シートとしての加工性が向上し、加えて太陽電池封止材用多層シート10の透明性と柔軟性もより良好になる。
なお、「(メタ)アクリル酸グリシジル」とは、メタクリル酸グリシジルおよびアクリル酸グリシジルの一方または両方を表す。
【0047】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位の中で「エチレン由来の構成単位」の含有量が最も多いことをいう。例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸ビニルとの各々に由来する構成単位からなる共重合体の場合には、エチレン由来の構成単位の比率が、(メタ)アクリル酸グリシジル由来の構成単位や酢酸ビニル由来の構成単位よりも大きいことをいう。
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)における「エチレン由来の構成単位」の占める割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。このとき、エポキシ基含有エチレン系共重合体は、エチレンおよび重合性基とエポキシ基を有するモノマー以外の他のモノマー単位をさらに含むことができる。
他のモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、無水マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、無水イタコン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。エステル基としては炭素数1〜12のアルキルエステル基を挙げることができ、より具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、セカンダリーブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル等のアルキルエステル基を例示することができる。
これらの中でも酢酸ビニルおよび(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも一種が好ましい。
【0048】
具体的には、エチレンに由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸グリシジルに由来の構成単位とを含有する共重合体のほか、この2つの構成単位のほかに、さらに酢酸ビニルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステルに由来の構成単位の少なくとも一方を含有する共重合体が挙げられる。
酢酸ビニル等のビニルエステルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有割合は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。これにより、太陽電池封止材用多層シート10の透湿度が低下して防湿性をより一層良好なものとすることができる。
【0049】
酢酸ビニル等のビニルエステルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有割合の下限値は、特に制限はないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上が望ましい。さらには、酢酸ビニル等のビニルエステルに由来の構成単位または(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有割合は、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、さらに0.5〜20質量%の範囲が好ましく、特に1〜20質量%の範囲が好ましい。
【0050】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)は、1種を単独でまたは共重合比等の異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
エチレン系共重合体(B2)は、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種を含む。
【0052】
エチレン系共重合体(B2)における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位に対して「エチレン由来の構成単位」の占める割合が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0053】
エチレン・極性モノマー共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸共重合体;等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
【0054】
ここで、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンと、不飽和カルボン酸エステルの少なくとも1種とを共重合した重合体である。
具体的には、エチレンと、不飽和カルボン酸のアルキルエステルとを含む共重合体を例示することができる。
不飽和カルボン酸エステルにおける不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸のアルキルエステルにおけるアルキル部位としては、炭素数1〜12のものを挙げることができ、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。本実施形態では、アルキルエステルのアルキル部位の炭素数は、1〜8が好ましい。
本実施形態において、特に好ましいエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。このような共重合体の例としては、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸イソブチル共重合体である。
【0055】
また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと、不飽和カルボン酸の少なくとも1種とを共重合した重合体である。上記の不飽和カルボン酸エステルが共重合していてもよい。
具体的には、エチレンと、不飽和カルボン酸とを含む共重合体を例示することができる。
不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
本実施形態において、特に好ましいエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体である。
【0056】
エチレン・極性モノマー共重合体は、上記の中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体から選択される少なくとも一種が特に好ましく使用される。なお本実施形態においては上述した樹脂は、単独で用いてもよいし、ブレンドして用いてもよい。
【0057】
エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量は、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上35質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以上30質量%以下である。
極性モノマーの含有量がこの範囲にあると、太陽電池封止材用多層シート10の接着性、透明性、機械的性質、成膜性のバランスをより一層良好なものとすることができる。酢酸ビニル含有量は、例えば、JIS K7192:1999に準拠して測定することができる。
【0058】
エチレン・極性モノマー共重合体の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、従来公知の方法である高圧法のオートクレーブ法あるいはチューブラー法で製造することができる。また、エチレン・極性モノマー共重合体は市販されているものを用いてもよい。
【0059】
エチレン系共重合体(B2)における密度が920kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体としては、該共重合体を構成する全構成単位(単量体単位)の含有量を100モル%としたとき、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、5モル%以上であることが好ましい。より好ましくは10モル%以上である。上記α−オレフィン由来の構成単位の含有割合が上記範囲内であると、多層シートの透明性、耐ブリード性がより一層良好となる。特に、多層シートの柔軟性を考慮すると、上記α−オレフィン由来の構成単位の含有割合が15モル%以上の重合体を使用するのが好ましい。上限については、50モル%未満、好ましくは40モル%以下、特に好ましくは30モル%以下である。
【0060】
上記炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等の直鎖状のα−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等の分岐状のα−オレフィン等が挙げられ、これらは2種類を組み合わせて使用することもできる。
【0061】
中でも、上記α−オレフィンの炭素数は、汎用性(コストや量産性あるいは入手のしやすさ)の点で、3〜10が好ましく、さらには3〜8が好ましい。
【0062】
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、好ましくは、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体であり、いずれのエチレン・α−オレフィン共重合体も、エチレン由来の構成単位含量が50モル%以上である。
【0063】
これらの共重合体において、α−オレフィン由来の構成単位の割合は、各共重合体を構成する全構成単位(単量体単位)の量を100モル%としたとき、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上である。
接着層(B)において、上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0064】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、メタロセン系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等で製造できる。
【0065】
JIS K7112に準拠して測定される、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、好ましくは850kg/m
3以上であり、より好ましくは860kg/m
3以上であり、特に好ましくは、870kg/m
3以上ある。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記下限値以上であることにより、耐熱性がより一層良好となる。
JIS K7112に準拠して測定される、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、920kg/m
3以下であり、より好ましくは910kg/m
3以下である。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記上限値以下であることにより、多層シートの接着性および透明性がより一層良好となる。
【0066】
接着層(B)中におけるエチレン系共重合体(B2)の含有量としては、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下が好ましく、75質量%以上99質量%以下がより好ましく、85質量%以上98質量%以下がより好ましく、90質量%以上97質量%以下が特に好ましい。エチレン系共重合体(B2)の含有量が上記範囲内であることにより、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
【0067】
接着層(B)中のエポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)およびエチレン系共重合体(B2)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されていることが好ましい。これにより、太陽電池封止材用多層シート10の基材や太陽電池セルへの接着性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
ここで、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)およびエチレン系共重合体(B2)へのシランカップリング剤のグラフト変性は、例えば、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)やエチレン系共重合体(B2)と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを加熱下(例えば、100℃〜200℃)で反応させる方法(グラフト変性方法1)や、重合開始剤を用いて、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)やエチレン系共重合体(B2)に、重合性基を有するシランカップリング剤をグラフト重合させる方法(グラフト変性方法2)等がある。
グラフト変性方法1では、シランカップリング剤中のアミノ基またはエポキシ基と、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)やエチレン系共重合体(B2)中のエポキシ基やカルボキシル基と、が反応することにより、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)やエチレン系共重合体(B2)の側鎖にシランカップリング剤がグラフトされる。
グラフト変性方法2では、例えば、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)やエチレン系共重合体(B2)と、重合性基を有するシランカップリング剤と、ラジカル重合開始剤とを、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)やエチレン系共重合体(B2)の融点以上、かつラジカル重合開始剤の分解温度以上の温度で溶融混練することにより製造することができる。なお、これらの反応は溶液中で行なうこともできる。
【0068】
重合開始剤としては通常用いられるものを用いることができるが、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては重合開始剤として使用可能な公知の有機過酸化物を用いることができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド化合物、アルキルパーオキシエステル化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
中でも、ジアルキルパーオキサイド化合物が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−(ブチルパーオキシ)ヘキシン−3がより好ましい。
重合開始剤はエポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部の量で含有させることができる。
【0069】
重合性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計100質量部に対し、通常0.01〜5質量、好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の量で含有させることができる。
【0070】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)およびエチレン系共重合体(B2)はいずれも、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重;以下、MFRと略記することがある。)が0.1g/10分〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。さらには、0.5g/10分〜30g/10分の範囲にあることが好ましく、特には1g/10分〜20g/10分の範囲が好ましい。この範囲内の共重合体を選ぶことで、太陽電池封止材用多層シート10として求められるシートへのより加工性が容易となり、所望のシートを得ることができる。これにより、太陽電池モジュールを作製したときに、良好な接着性、不要なハミダシの抑制効果が得られる。
【0071】
接着層(B)において、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)およびエチレン系共重合体(B2)の合計含有量は、接着層(B)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)およびエチレン系共重合体(B2)の合計含有量が上記範囲内であると、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
【0072】
接着層(B)には、本発明の目的を損なわない範囲内において、各種添加剤を含有させることができる。かかる添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤等が挙げられる。
これらの添加剤については、樹脂層(A)で挙げたものと同様のものを用いることができる。
添加剤は、樹脂の改質や耐久性向上等のために使用される。
【0073】
架橋助剤は必要に応じて使用することができ、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部の量で含有させることができる。
シランカップリング剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.02〜3質量部の量で含有させることができる。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、多層シートと、保護材または太陽電池素子等との接着性をより一層向上させることができる。
酸化防止剤、光安定剤および紫外線吸収剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン系共重合体(B2)との合計100質量部に対し、各々通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部の量で含有させることができる。
【0074】
また、接着層(B)には、上述した添加剤以外に、必要に応じて、着色剤、光拡散剤および難燃剤等の添加剤を含有させることができる。
これらの添加剤については、樹脂層(A)で挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0075】
本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10の製造方法は、例えば、多層T−ダイ押出機あるいは多層インフレーション成形機等を用いる公知の方法によって行うことができる。例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを主成分として含有する樹脂組成物(A)と、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)並びにエチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B2)(ただし、エポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)を除く)を含有する樹脂組成物(B)と、を多層T−ダイ押出機の主押出機および従押出機のホッパーから供給してTダイ先端からシート状に多層押出成形することにより得ることができる。
ここで、樹脂組成物(A)や樹脂組成物(B)には、前述した各種添加剤を添加してもよい。
【0076】
2.太陽電池モジュール
図2は、本発明に係る実施形態の太陽電池モジュール1の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る太陽電池モジュール1は、少なくとも、太陽光が入射する基板2と、太陽電池素子3と、バックシート4と、太陽電池素子3を基板2とバックシート4との間に封止し、本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10により構成された封止樹脂層5と、を備える。
本実施形態に係る太陽電池モジュール1は、基板2上に、本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10により封止された太陽電池素子3を固定することで作製することができる。
【0077】
このような太陽電池モジュール1としては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば、基板2/太陽電池封止材用多層シート10/太陽電池素子3/太陽電池封止材用多層シート10/バックシート4のように太陽電池素子3の両側から太陽電池封止材用多層シート10で挟む構成のもの、ガラス等の基板2の表面上に予め形成された太陽電池素子3を、基板2/太陽電池素子3/太陽電池封止材用多層シート10/バックシート4のように構成するもの、基板2の内周面上に形成された太陽電池素子3、例えばフッ素樹脂系シート上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に太陽電池封止材用多層シート10とバックシート4を形成させるような構成のもの等を挙げることができる。
太陽電池モジュール1において、太陽電池封止材用多層シート10が接着層(B)/樹脂層(A)/接着層(B)の3層構造である場合は、外層である接着層(B)の一方が太陽電池素子3と当接し、他方の外層である接着層(B)が基板2またはバックシート4と当接するように積層される。また、太陽電池封止材用多層シート10が樹脂層(A)/接着層(B)の2層構造である場合は、樹脂層(A)が太陽電池素子3と当接し、接着層(B)が基板2またはバックシート4と当接するように積層されることが好ましい。
【0078】
太陽電池素子3としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10は、特にアモルファスシリコン太陽電池素子の封止に有用である。
太陽電池モジュール1においては、複数の太陽電池素子3は、インターコネクタ6を介して電気的に直列に接続されている。
【0079】
太陽電池モジュール1を構成する基板2としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂等により構成された基板を例示することができる。
バックシート4としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチール等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の1層もしくは多層のシートを例示することができる。本実施形態に係る太陽電池封止材用多層シート10、これらの基板2またはバックシート4に対して良好な接着性を示す。
【0080】
太陽電池モジュール1の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、インターコネクタ6を用いて電気的に接続した複数の太陽電池素子3を太陽電池封止材用多層シート10で挟み、さらにこれら太陽電池封止材用多層シート10を基板2とバックシート4とで挟んで積層体を作製する。次いで、積層体を加熱・加圧して、各部材間を接着することで、太陽電池モジュール1が得られる。
【0081】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0083】
太陽電池封止材用多層シートの作製に用いた成分の詳細は以下の通りである。
【0084】
<エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマー>
EMAc1(A):エチレン・メタクリル酸共重合体のアイオノマー(エチレン含有量85質量%、メタクリル酸含有量:15質量%、23%亜鉛中和)
EMAc2(A):エチレン・メタクリル酸共重合体のアイオノマー(エチレン含有量85質量%、メタクリル酸含有量:15質量%、54%マグネシウム中和)
EMAc3(A):エチレン・メタクリル酸・アクリル酸ブチル共重合体のアイオノマー(エチレン含有量80%、メタクリル酸含量10%、アクリル酸ブチル10%、70%亜鉛中和)
【0085】
<安定化剤マスターバッチ>
EMAc1(A)に、酸化防止剤:ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASF社製、Irganox1010)、紫外線吸収剤:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、光安定剤:ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを所定量2軸押し出し機であらかじめ溶融混練して安定化剤マスターバッチを得た。
【0086】
<EGMAVA変性体組成物>
エチレン・メタクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体(EGMAVA、住友化学(株)製、ボンドファースト7B、エチレン含有量:83質量%、メタクリル酸グリシジル含有量:12質量%、酢酸ビニル含有量:5質量%、MFR(190℃、2160g荷重):7g/10分):49質量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:19質量%):49質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBM503」):1.5質量部および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富(株)製、商品名「ルペロックス101」):0.5質量部を予め混合し、溶融温度220℃にて単軸押出機でグラフト重合させてEGMAVA変性体組成物1を得た。ここで、EGMAVA変性体組成物1中のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたEGMAVA(EGMAVA変性体1とも呼ぶ。)が本実施形態に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体(B1)に相当し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたエチレン・酢酸ビニル共重合体が本実施形態に係るエチレン系共重合体(B2)に相当する。
【0087】
<エチレン系共重合体(B2)>
EVA1:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:90質量%、酢酸ビニル含有量:10質量%)
LDPE1:低密度ポリエチレン(三井・デュポン・ポリケミカル社製、ミラソン68P、密度:918kg/m
3)
LDPE2:低密度ポリエチレン(三井・デュポン・ポリケミカル社製、ミラソン401、密度:920kg/m
3)
EMA1:エチレン・アクリル酸メチル共重合体(エチレン含有量:80質量%、アクリル酸メチル含有量:20質量%、MFR:8g/10分)
EEA1:エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン含有量:85質量%、アクリル酸エチル含有量:15質量%、MFR:6g/10分)
EBA1:エチレン・アクリル酸ブチル共重合体(エチレン含有量:83質量%、アクリル酸ブチル含有量:17質量%、MFR:7g/10分)
EC1:エチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーDF840、MFR:3.6g/10分、密度:885kg/m
3)
EC2:エチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーDF940、MFR:3.6g/10分、密度:893kg/m
3)
EC3:エチレン・α−オレフィン共重合体(プライムポリマー社製、エボリューSP0540、MFR:3.8g/10分、密度:903kg/m
3)
EC4:エチレン・α−オレフィン共重合体(プライムポリマー社製、エボリューSP2540、MFR:3.8g/10分、密度:924kg/m
3)
【0088】
[実施例1]
EGMAVA変性体組成物1:10質量部とエチレン系共重合体のEVA1(B2):90質量部をドライブレンドした樹脂組成物(B)(配合(B−1))を外層1、外層2とし、EMAc1(A)90質量部と安定化剤マスターバッチ10質量部をドライブレンドした樹脂組成物を中間層に用いて、2種3層T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度180℃にて、厚み比率を外層1/中間層/外層2=67μm/266μm/67μmにして総厚み400μm(0.4mm)の多層シートを作製した。
【0089】
<評価>
(1)接着性評価
真空加熱貼合機(NPC社製二重真空槽貼合機、LM−50×50S)を用いて、3.2mm厚のガラス/得られた多層シート/コロナ処理なしPETの順番に積層させ、加熱温度160℃、加熱時間8分の条件で貼り合わせた。その後、貼り合わせたものを大気中に静置し、自然冷却によって徐冷した。完成した積層体のシート部分に15mm幅のスリットを入れて試験片とし、引張試験機に設置した。引張速度100mm/分で多層シートとPETを引き離し、最大応力を初期の接着強度(N/15mm)として求めた。
また、積層体を85℃、湿度90%RHの条件で1000時間保管し、500時間後の接着強度と、1000時間後の接着強度もそれぞれ求めた。得られた接着強度をそれぞれの積層体におけるPET接着強度とした。得られた結果を表2に示す。
【0090】
(2)透明性評価
3.2mm厚のガラス/得られた多層シート/3.2mm厚のガラスの順番に積層させ、(1)の接着性評価時と同様の方法で作成した積層体を、スガ試験機社製ヘイズメーターを用いてJIS K7136に準拠して、全光線透過率(単位:%)およびHaze(曇り度、単位:%)を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0091】
(3)透湿性評価
カップ法(JIS Z0208準拠、測定雰囲気:40℃×90%RH)により多層シートの透湿度g/(m
2・24h)を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0092】
(4)体積固有抵抗率
JIS C2139(2008年)に準拠して多層シートの体積固有抵抗率を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0093】
[実施例2〜7、比較例1〜3]
外層1および2の配合(B−1)の代わりに、表1に示す配合(B−2〜B−10)を用いた以外は実施例1と同様にして多層シートをそれぞれ作製し、実施例1と同様の評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表2および3にそれぞれ示す。
【0094】
[実施例8および9]
EMAc1(A)の代わりに、EMAc2(A)およびEMAc3(A3)を用いて安定化剤マスターバッチおよび中間層をそれぞれ作製し、得られた中間層を使用した以外は実施例5と同様にして多層シートをそれぞれ作製し、実施例1と同様の評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表3にそれぞれ示す。
【0095】
[比較例4]
単軸押出機を用いて、樹脂温度100℃にて、EVA1をシート状に押出成形し、厚み400μm(0.4mm)の樹脂シートを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表3に示す。
【0096】
[比較例5]
外層1および2を設けない以外は実施例1と同様にして単層シートを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表3に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
実施例1〜9の多層シートは、透明性、接着性、防湿性および絶縁性の性能バランスに優れていた。これに対し、比較例1〜5のシートは、透明性、接着性、防湿性および絶縁性の性能バランスに劣っていた。
【0101】
この出願は、2015年9月29日に出願された日本出願特願2015−191210号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0102】
本発明は以下の態様も含む。
1.
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを主成分として含有する樹脂層(A)と、前記樹脂層(A)の片面または両面に設けられた接着層(B)と、を備える太陽電池封止材用多層シートであって、
前記接着層(B)は、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が910kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B2)(ただし、前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)を除く)と、を含む太陽電池封止材用多層シート。
2.
1.に記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
前記樹脂層(A)の両面に前記接着層(B)が設けられた太陽電池封止材用多層シート。
3.
1.または2.に記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
全体の厚みが50μm以上2000μm以下である太陽電池封止材用多層シート。
4.
1.乃至3.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
JISK7136に準拠して測定されるHazeが40%以下である太陽電池封止材用多層シート。
5.
1.乃至4.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種を含む太陽電池封止材用多層シート。
6.
1.乃至5.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
前記エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される少なくとも一種を含む太陽電池封止材用多層シート。
7.
1.乃至6.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
前記接着層(B)中の前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)および前記エチレン系共重合体(B2)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている太陽電池封止材用多層シート。
8.
1.乃至7.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
前記接着層(B)に含まれる、前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)に対する前記エチレン系共重合体(B2)の質量比が1以上50以下である太陽電池封止材用多層シート。
9.
1.乃至8.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
前記樹脂層(A)は前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを主成分として含有する太陽電池封止材用多層シート。
10.
1.乃至9.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにおいて、
少なくとも一方の面がコロナ処理されていない電気絶縁性樹脂フィルム層を接着するために用いられる太陽電池封止材用多層シート。
11.
1.乃至10.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートを製造するための製造方法であって、
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを主成分として含有する樹脂組成物(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)とエチレン・極性モノマー共重合体および密度が910kg/m
3以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B2)(ただし、前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B1)を除く)とを含有する樹脂組成物(B)と、を多層押出成形する工程を含む太陽電池封止材用多層シートの製造方法。
12.
太陽光が入射する基板と、
太陽電池素子と、
バックシートと、
前記太陽電池素子を前記基板と前記バックシートとの間に封止し、1.乃至10.いずれか一つに記載の太陽電池封止材用多層シートにより構成された封止樹脂層と、
を備える太陽電池モジュール。