(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流検知回路は、前記出力トランジスタに並列に接続され、前記出力トランジスタと共にカレントミラー回路を構成する第2のトランジスタを具備することを特徴とする請求項1に記載の過電流保護機能を備えたドライバ回路。
前記予め定めた時間内に前記遮断信号を所定個数カウントしなかった場合に、前記制御回路はカウント値をリセットするリセット信号を前記カウント回路に供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の過電流保護機能を備えたドライバ回路。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる過電流保護機能を備えたドライバ回路を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の過電流保護機能を備えたドライバ回路を示す図である。本実施形態のドライバ回路10は、負荷1に出力電流IOUTを供給するPMOS出力トランジスタ11を有する。PMOS出力トランジスタ11のソースは、電源供給端子3に接続され、ドレインは出力端子4に接続される。すなわち、PMOS出力トランジスタ11の主電流路であるソース・ドレイン路は、電源供給端子3と出力端子4の間に接続される。PMOS出力トランジスタ11は、電源供給端子3側に設けられることから、ハイサイド側の出力トランジスタと呼ばれることが有る。
【0010】
電源供給端子3には、入力電圧VINを供給する電源2が接続される。出力端子4は、負荷1に接続される。負荷1は、例えばモータ、ソレノイド、DCDCコンバータ等の抵抗、コイル、コンデンサである。これらに電流を供給することで電力変換が行われる。
【0011】
本実施形態は、PMOS出力トランジスタ11に流れる電流を検出する電流検出回路20を備える。電流検出回路20は、PMOSトランジスタ21と、抵抗22とを有する。PMOSトランジスタ21は、ドレインをPMOSトランジスタ11のドレインに接続され、ソースを抵抗値RsHの抵抗22を介して電源供給端子3に接続される。
【0012】
PMOS出力トランジスタ11とPMOSトランジスタ21のドレインとゲートは、夫々共通接続される。従って、PMOS出力トランジスタ11とPMOSトランジスタ21はカレントミラー回路を構成する。
【0013】
PMOSトランジスタ21とPMOS出力トランジスタ11の寸法比を1対Np(Npは任意の正数)に設定することで、PMOS出力トランジスタ11の1/Npのドレイン電流がPMOSトランジスタ21に流れる。従って、PMOSトランジスタ21のドレイン電流を検知することによりPMOS出力トランジスタ11に流れる電流を検知することが出来る。
【0014】
例えば、Npの値を1000とすると、PMOS出力トランジスタ11には、出力電流IOUTに略等しい電流が流れる。従って、PMOSトランジスタ21のドレイン電流を検知することにより出力電流IOUTを監視することが出来る。
【0015】
PMOSトランジスタ21に流れる電流をPMOS出力トランジスタ11に流れるドレイン電流の1/Npとすることで、電流検出回路20による電力消費を軽減することが出来る。
【0016】
本実施形態は、過電流検出回路23を備える。過電流検出回路23は、抵抗22の両端に入力端が接続された比較回路24を有する。比較回路24の非反転入力端(+)は抵抗22の電源供給端子3側に接続され、反転入力端(−)は、抵抗22のPMOSトランジスタ21側に接続される。比較回路24は、抵抗22における電圧降下が比較回路24のしきい値を超えた時にHレベルの過電流検出信号OCPHを出力する。過電流検出信号OCPHはゲート回路80に供給される。
【0017】
ゲート回路80は、Hレベルの過電流検出信号OCPHが供給されることでHレベルの駆動信号DHを出力トランジスタ11のゲートに供給する。すなわち、PMOS出力トランジスタ11をオフにさせる制御が行われる。この制御により、マスク時間を設けることなく、過電流検出回路23が所定のしきい値を超える出力電流IOUTを検出した時に、瞬時にPMOS出力トランジスタ11をオフにする。これにより、過電流がPMOS出力トランジスタ11に流れ続けることにより出力トランジスタや負荷等が破壊する事態を回避することが出来る。
【0018】
過電流検出信号OCPHは、インターバル設定回路40に供給される。インターバル設定回路40は、ゲートに過電流検出信号OCPHが供給されるNMOSトランジスタ44を有する。NMOSトランジスタ44のソース・ドレイン間にはコンデンサ42が接続される。また、インターバル設定回路40は、コンデンサ42を充電する定電流源41とAND回路43を有する。
【0019】
AND回路43の一方の入力端はコンデンサ42と定電流源41の接続点に接続され、他方の入力端には制御回路100からの制御信号CHが供給される。AND回路43の出力信号はインバータ回路45に供給され、インバータ回路45の出力信号はゲート回路80に供給される。
【0020】
AND回路43は、制御信号CHとコンデンサ42の電圧が共にHレベルの時にHレベルの信号を出力する。AND回路43のHレベルの出力信号はインバータ回路45でLレベルの信号に反転され、ゲート回路80を介して出力される。すなわち、インバータ回路45の出力信号がLレベルの時、ゲート回路80から出力される駆動信号DHはLレベルとなり、PMOS出力トランジスタ11をオンさせる。
【0021】
一方、過電流検出回路23が過電流を検出し、過電流検出信号OCPHがHレベルになると、NMOSトランジスタ44がオンとなり、コンデンサ42の電荷を放電する。これにより、コンデンサ42の電圧はLレベルになる為、AND回路43の出力信号はLレベルとなり、インバータ回路45はHレベルの信号を出力する。インバータ回路45からHレベルの信号が供給されることでゲート回路80は、Hレベルの駆動信号DHをPMOS出力トランジスタ11のゲートに供給する。これにより、PMOS出力トランジスタ11はオフとなる。すなわち、ゲート回路80は、比較回路23からのHレベルの過電流検出信号OCPH、又は、インバータ回路45からのHレベルの信号の供給を受けることにより、Hレベルの駆動信号DHをPMOS出力トランジスタ11のゲートに供給する。
【0022】
コンデンサ42は、定電流源41によって充電されることで、AND回路43に接続された電極側の電圧が時間に比例して直線的に上昇する。コンデンサ42の電圧が上昇しHレベルに達すると、AND回路43はHレベルの信号を出力する。この時、インバータ回路45からLレベルの信号がゲート回路80に供給され、Lレベルの駆動信号DHがPMOS出力トランジスタ11のゲートに供給される。これにより、PMOS出力トランジスタ11はオンする。
【0023】
すなわち、過電流検出回路23が過電流状態を検出してHレベルの過電流検出信号OCPHが出力される場合、定電流源41の電流値とコンデンサ42の容量値、及びAND回路43のしきい値で決まる所定の時間間隔でPMOS出力トランジスタ11をオンさせる制御が行われる。
【0024】
過電流検出回路23からHレベルの過電流検出信号OCPHが出力されない場合、すなわち過電流状態ではない場合には、コンデンサ42の電圧はHレベルを維持する。従って、制御信号CHがHレベルの時にPMOS出力トランジスタ11をオンにし、Lレベルの時にPMOS出力トランジスタ11をオフさせる制御、すなわち、制御信号CHのレベルに応じてPMOS出力トランジスタ11をオン/オフさせる定常の制御状態となる。
【0025】
過電流検出信号OCPHは、カウント回路60に供給される。カウント回路60は、Hレベルの過電流検出信号OCPHの数をカウントするカウンタ62を有する。過電流検出信号OCPHのカウント値が所定の数、例えば、4になった時、カウンタ62はHレベルの信号を出力し、AND回路61はHレベルの過電流検出フラグFHを出力する。従って、過電流検出フラグFHは、PMOS出力トランジスタ11に過電流が流れる状態が継続していることを示す。
【0026】
過電流検出フラグFHは、制御回路100に供給される。制御回路100は、過電流検出フラグFHの供給を受けた場合、例えば、制御信号CHを制御して、PMOS出力トランジスタ11をオフにする制御を行う。すなわち、制御信号CHをLレベルにする。この制御により、PMOS出力トランジスタ11に過電流が流れ続ける状態を回避することが出来る。
【0027】
所定の時間内に、所定数のHレベルの過電流検出信号OCPHがカウントされなかった場合には、制御回路100は、カウント値をリセットするリセット信号Reset1をカウンタ62に供給する。例えば、制御回路100に過電流検出信号OCPHに応答して所定時間内のHレベルの過電流検出信号OCPHの数をカウントするカウンタ回路(図示せず)を設け、そのカウント値が所定数に達しない場合に、リセット信号Reset1をカウンタ62に供給する構成とすることが出来る。
【0028】
PMOS出力トランジスタ11に過電流が流れる状態は、例えば、出力端子4が接地状態となる状態、すなわち、地絡の場合に生じる。この場合、PMOS出力トランジスタ11のソース・ドレイン間に入力電圧VINが直接印加されることで、過電流が流れる状態が生じる。
図1において、地絡の状態を示す為に、スイッチ7を示している。スイッチ7がオンした場合が地絡に対応する。
【0029】
本実施形態は、出力端子4と接地端子5間に主電流路であるソース・ドレイン路が接続されたNMOS出力トランジスタ12を備える。PMOS出力トランジスタ11がオンで、NMOS出力トランジスタ12がオフの時、PMOS出力トランジスタ11のドレイン電流によって、例えばコイルである負荷1にエネルギーが蓄積される。NMOS出力トランジスタ12は、PMOS出力トランジスタ11がオフの時にオンとなり、負荷1に蓄積したエネルギーを放出させる。すなわち、NMOS出力トランジスタ12は、PMOS出力トランジスタ11と交互にオン/オフする出力トランジスタである。NMOS出力トランジスタ12は、接地端子側に設けられることから、ローサイド側の出力トランジスタと呼ばれることが有る。
【0030】
本実施形態は、NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れる状態から保護する構成を備える。例えば、出力端子4が電源供給端子3に接触する状態、すなわち、天絡の場合に、NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れる状態が生じる。本実施形態は、NMOS出力トランジスタ12に流れる電流を検出する電流検出回路30を備える。電流検出回路30は、NMOSトランジスタ31と、抵抗32とを有する。NMOSトランジスタ31は、ドレインをNMOS出力トランジスタ12のドレインに接続され、ソースを抵抗値RsLの抵抗32を介して接地端子5に接続される。
【0031】
NMOS出力トランジスタ12とNMOSトランジスタ31のドレインとゲートは、夫々共通接続される。従って、NMOS出力トランジスタ12とNMOSトランジスタ31はカレントミラー回路を構成する。
【0032】
NMOSトランジスタ31とNMOS出力トランジスタ12の寸法比を1対Nn(Nnは任意の正数)に設定することで、NMOS出力トランジスタ12の1/Nnのドレイン電流がNMOSトランジスタ31に流れる。従って、NMOSトランジスタ31のドレイン電流を検知することによりNMOS出力トランジスタ12に流れる電流を検知することが出来る。
【0033】
例えば、Nnの値を1000とすると、NMOS出力トランジスタ12には、出力電流IOUTに略等しい電流が流れる。従って、NMOSトランジスタ31のドレイン電流を検知することにより出力電流IOUTを監視することが出来る。
【0034】
NMOSトランジスタ31に流れる電流をNMOS出力トランジスタ12に流れるドレイン電流の1/Nnとすることで、電流検出回路30による電力消費を軽減することが出来る。
【0035】
本実施形態は、過電流検出回路33を備える。過電流検出回路33は、抵抗32の両端に入力端が接続された比較回路34を有する。比較回路34の非反転入力端(+)はNMOSトランジスタ31側に接続され、反転入力端(−)は接地端子5側に接続される。比較回路34は、抵抗32における電圧降下が比較回路34のしきい値を超えた時にHレベルの過電流検出信号OCPLを出力する。過電流検出信号OCPLはゲート回路90に供給される。
【0036】
ゲート回路90は、Hレベルの過電流検出信号OCPLが供給されることでLレベルの駆動信号DLをNMOS出力トランジスタ12のゲートに供給する。すなわち、NMOS出力トランジスタ12をオフにさせる制御が行われる。マスク時間を設けることなく、過電流検出回路33が所定のしきい値を超える出力電流IOUTを検出した時に、瞬時にNMOS出力トランジスタ12をオフにする。これにより、過電流がNMOS出力トランジスタ12に流れ続けることにより破壊する事態を回避することが出来る。
【0037】
過電流検出信号OCPLは、インターバル設定回路50に供給される。インターバル設定回路50は、ゲートに過電流検出信号OCPLが供給されるNMOSトランジスタ54を有する。NMOSトランジスタ54のソース・ドレイン間にはコンデンサ52が接続される。また、インターバル設定回路50は、コンデンサ52を充電する定電流源51とAND回路53を有する。
【0038】
AND回路53の一方の入力端はコンデンサ52と定電流源51の接続点に接続され、他方の入力端には制御回路100からの制御信号CLが供給される。AND回路53の出力信号は、ゲート回路90に供給される。
【0039】
AND回路53は、制御信号CLとコンデンサ52の電圧が共にHレベルの時にHレベルの信号を出力する。AND回路53のHレベルの出力信号は、ゲート回路90を介して出力される。すなわち、AND回路53の出力信号がHレベルの時、ゲート回路90から出力される駆動信号DLはHレベルとなり、NMOS出力トランジスタ12をオンさせる。
【0040】
一方、過電流検出回路33が過電流を検出し、過電流検出信号OCPLがHレベルになると、NMOSトランジスタ54がオンとなり、コンデンサ52の電荷を放電する。これにより、コンデンサ52の電圧はLレベルになる為、AND回路53の出力信号はLレベルとなる。AND回路53からLレベルの信号が供給されることでゲート回路90は、Lレベルの駆動信号DLをNMOS出力トランジスタ12のゲートに供給する。これにより、NMOS出力トランジスタ12はオフとなる。
【0041】
コンデンサ52は、定電流源51によって充電されることで、AND回路53に接続された電極側の電圧が時間に比例して直線的に上昇する。コンデンサ52の電圧が上昇しHレベルに達すると、AND回路53はHレベルの信号を出力し、ゲート回路90に供給される。これにより、Hレベルの駆動信号DLがNMOS出力トランジスタ12のゲートに供給される。これにより、NMOS出力トランジスタ12はオンする。
【0042】
すなわち、過電流検出回路33が過電流状態を検出してHレベルの過電流検出信号OCPLが出力される場合、定電流源51の電流値とコンデンサ52の容量値、及びAND回路53のしきい値で決まる所定の時間間隔でNMOS出力トランジスタ12をオンさせる制御が行われる。
【0043】
過電流検出回路33からHレベルの過電流検出信号OCPLが出力されない場合、すなわち過電流状態ではない場合には、コンデンサ52の電圧はHレベルを維持する。従って、制御信号CLがHレベルの時にNMOS出力トランジスタ12をオンにし、Lレベルの時にNMOS出力トランジスタ12をオフさせる制御、すなわち、制御信号CLのレベルに応じてNMOS出力トランジスタ12をオン/オフさせる定常の制御状態となる。
【0044】
過電流検出信号OCPLは、カウント回路70に供給される。カウント回路70は、Hレベルの過電流検出信号OCPLの数をカウントするカウンタ72を有する。過電流検出信号OCPLのカウント値が所定の数、例えば、4になった時、カウンタ72はHレベルの信号を出力し、AND回路71はHレベルの過電流検出フラグFLを出力する。従って、過電流検出フラグFLは、NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れる状態が継続していることを示す。
【0045】
過電流検出フラグFLは、制御回路100に供給される。制御回路100は、過電流検出フラグFLの供給を受けた場合、例えば、制御信号CLを制御して、NMOS出力トランジスタ12をオフにする制御を行う。すなわち、制御信号CLをLレベルにする。この制御により、NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れ続ける状態を回避することが出来る。
【0046】
所定の時間内に、所定数のHレベルの過電流検出信号OCPLがカウントされなかった場合には、制御回路100は、カウント値をリセットするリセット信号Reset2をカウンタ72に供給する。例えば、制御回路100に過電流検出信号OCPLに応答して所定時間内のHレベルの過電流検出信号OCPLの数をカウントするカウント回路(図示せず)を設け、そのカウント値が所定数に達しない場合に、リセット信号Reset2をカウンタ72に供給する構成とすることが出来る。
【0047】
NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れる状態は、例えば、出力端子4が電源供給端子3に接触した状態、すなわち、天絡の場合に生じる。この場合、NMOS出力トランジスタ12のソース・ドレイン間に入力電圧VINが直接印加されることで、過電流が流れる状態が生じる。
図1において、天絡の状態を示す為に、スイッチ6を示している。スイッチ6がオンした場合が天絡に対応する。
【0048】
本実施形態によれば、過電流検出回路23、33が出力トランジスタ11、12の過電流状態を検出した場合に、瞬時に出力トランジスタ11、12をオフさせる制御が行われる。予め設定した時間内に、過電流の状態を示す過電流検出信号OCPH、OCPLが所定の数だけカウントされた場合、すなわち、過電流状態が継続している場合には、異常を知らせる過電流検出フラグFH、FLを出力すると共に、制御信号CH、CLを制御して出力トランジスタ11、12を、例えば、所定時間オフにする制御を行う。
【0049】
一方、予め設定した時間内に過電流検出信号OCPH、OCPLを所定回数カウントしなかった場合には、定常の制御動作に復帰させる。例えば、ノイズによる過電流の発生の様な場合には、インターバル設定回路40、50のインターバル時間内に過電流状態が解除される。この様な場合、インターバル設定回路40、50で設定される所定の時間経過後に定常の制御に復帰させることが出来る。
【0050】
インターバル時間の間は、過電流状態が解除されていても出力トランジスタ11、12は強制的にオフとなるが、インターバル時間を適宜、短時間に設定することにより、制御信号CH、CLによる出力トランジスタ11、12のオンデューティへの影響を抑制することが出来る。
【0051】
本実施形態のドライバ回路では、ハイサイド側のPMOS出力トランジスタ11とローサイド側のNMOS出力トランジスタ12の夫々に、既述した保護回路を設けることにより、天絡、あるいは地絡、によって過電流が流れる状態から出力トランジスタ11、12を保護することが出来る。
【0052】
図2は、地絡に対する過電流保護の動作を説明する為の図である
図2は、制御信号CH、出力電圧VOUT、駆動信号DH、出力電流IOUT、過過電流検出信号OCPH、及び過電流検出フラグFHの信号波形を示す。
【0053】
制御信号CHがHレベルの状態で、タイミングT1で地絡が発生した場合、出力電圧VOUTは接地電位になりPMOS出力トランジスタ11に流れる出力電流IOUTは過電流となる。
【0054】
電流検出回路20は、PMOS出力トランジスタ11のドレイン電流を検出する。過電流検出回路23は、予め設定したしきい値IocpHを超える電流を検出することで、Hレベルの過電流検出信号OCPHを出力する。Hレベルの過電流検出信号OCPHが出力されると、駆動信号DHはHレベルとなり、PMOS出力トランジスタ12のゲートに印加される。
【0055】
Hレベルの過電流検出信号OCPHは、NMOSトランジスタ44のゲートに印加され、コンデンサ42の電荷が放電される。そして、インターバル設定回路40からHレベルの信号がゲート回路80に供給される。ゲート回路80は、比較回路23からのHレベルの過電流検出信号OCPH、又は、インバータ回路45からのHレベルの信号の供給を受けることにより、Hレベルの駆動信号DHをPMOS出力トランジスタ11のゲートに供給し、PMOS出力トランジスタ11をオフさせる。
【0056】
PMOS出力トランジスタ11のオフにより、出力電流IOUTがしきい値IocpHを下回った後、コンデンサ42は、定電流源41によって充電され、所定のインターバル時間TintHの後に、コンデンサ42の電圧がHレベルになる。この時、インターバル設定回路40からはLレベルの信号が出力され、ゲート回路80に供給される。この為、駆動信号DHのレベルが下がり、PMOS出力トランジスタ11をオンさせる。PMOS出力トランジスタ11がオンすることで、出力電圧VOUTは上昇する。
【0057】
PMOS出力トランジスタ11がオンした時にPMOS出力トランジスタ11に流れる電流が、再び、電流検出回路20によって検知される。この時、検知した電流がしきい値IocpHを超える場合には、Hレベルの過電流検出信号OCPHが出力され、既述した制御が繰り返される。
【0058】
カウント回路60は、Hレベルの過電流検出信号OCPHをカウントする。例えば、所定の時間内におけるHレベルの過電流検出信号OCPHが所定の回数に達した場合には、過電流検出フラグFHを出力する。
図2の場合、所定の時間内に4個のHレベルの過電流検出信号OCPHがカウントされ、タイミングT2で過電流検出フラグFHが出力されている。
【0059】
過電流検出フラグFHにより、制御回路100は、制御信号CHをLレベルにする。すなわち、PMOS出力トランジスタ11をオフにする制御を行う。
【0060】
PMOS出力トランジスタ11に過電流が流れていることが検知された場合に、過電流検出信号OCPHによって瞬時にPMOS出力トランジスタ11をオフにする制御が行われると共に、地絡により、過電流が流れている状態が継続している場合には、その状態を示す過電流検出フラグFHにより、制御信号CH自体を制御してPMOS出力トランジスタ11をオフにして過電流から保護することが出来る。
【0061】
図3は、地絡が解除した場合の過電流保護の動作を説明する為の図である。
図2の説明と対応する重複した説明は省略する。タイミングT3で地絡となり、インターバル時間TintH中のタイミングT4で地絡が解除となった場合である。タイミングT4で地絡が解除することで、タイミングT5では、PMOS出力トランジスタ11には過電流は流れない。従って、Hレベルの過電流検出信号OCPHは出力されない。この為、NMOSトランジスタ44は、オンすることはなく、タイミングT5で制御信号DHによる定常の制御状態に復帰する。
【0062】
すなわち、ノイズ等で過電流状態が短期間の場合には、インターバル時間TintHの後、定常の制御状態に移行させることが出来る。換言すれば、所定のインターバル時間TintHを設けることにより、短時間で定常の制御状態に復帰させることが出来る。
【0063】
図4は、天絡に対する過電流保護の動作を説明する為の図である。NMOS出力トランジスタ12がオン状態の時に、天絡が発生した場合に生じる過電流保護動作を示す。
図4は、制御信号CL、出力電圧VOUT、駆動信号DL、出力電流IOUT、過電流検出信号OCPL、及び過電流検出フラグFLの信号波形を示す。
【0064】
制御信号CLがHレベルの状態で、タイミングT6で天絡が発生した場合、出力電圧VOUTは入力電圧VINになり、NMOS出力トランジスタ12に流れる出力電流IOUTは過電流となる。尚、出力端子4から出力電流IOUTが流れ出す方向を正としている為、図においては負の電流として示している。
【0065】
電流検出回路30は、NMOS出力トランジスタ12のドレイン電流を検出する。過電流検出回路33は、予め設定したしきい値IocpLを超える電流を検出することで、Hレベルの過電流検出信号OCPLを出力する。Hレベルの過電流検出信号OCPLが出力されると、駆動信号DLはLレベルとなり、NMOS出力トランジスタ12のゲートに印加される。
【0066】
Hレベルの過電流検出信号OCPLが、NMOSトランジスタ54のゲートに印加され、コンデンサ52の電荷が放電される。インターバル設定回路50からはLレベルの出力信号が出力され、ゲート回路90に供給される。
【0067】
NMOS出力トランジスタ12のオフにより、出力電流IOUTがしきい値IocpLを下回った後、コンデンサ52は、定電流源51によって充電され、所定のインターバル時間TintLの後に、コンデンサ52の電圧がHレベルになる。この時、インターバル設定回路50からHレベルの出力信号がゲート回路90に供給される。これにより、駆動信号DLのレベルが上がり、NMOS出力トランジスタ12をオンさせる。NMOS出力トランジスタ12がオンすることで、出力電圧VOUTは下降する。
【0068】
NMOS出力トランジスタ12がオンした時にNMOS出力トランジスタ12に流れる電流が、再び、電流検出回路30によって検知される。電流検出回路30によって検知した電流がしきい値IocpLを超える場合には、Hレベルの過電流検出信号OCPLが出力され、既述した制御が繰り返される。
【0069】
カウント回路70は、Hレベルの過電流検出信号OCPLの数をカウントする。例えば、所定の時間内におけるHレベルの過電流検出信号OCPLのカウント値が所定の回数に達した場合には、過電流検出フラグFLを出力する。
図4の場合、所定の時間内に4個のHレベルの過電流検出信号OCPLがカウントされ、タイミングT7で過電流検出フラグFLが出力されている。
【0070】
過電流検出フラグFLにより、制御回路100は、制御信号CLをLレベルにする。すなわち、NMOS出力トランジスタ12をオフにする制御を行う。
【0071】
NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れていることが検知された場合に、過電流検出回路33の出力信号によって瞬時にNMOS出力トランジスタ12をオフにする制御が行われると同時に、天絡により、過電流が流れる状態が継続している場合には、その状態を示す過電流検出フラグFLにより、制御信号CL自体を制御してNMOS出力トランジスタ12をオフにして過電流から保護することが出来る。
【0072】
インターバル時間TintLの間に天絡が解除された場合には、過電流検出信号OCPLが出力されない為、制御信号CLに応答してNMOS出力トランジスタ12のオン/オフが制御される定常の制御に復帰する。
【0073】
すなわち、NMOS出力トランジスタ12に過電流が流れる状態になった場合には、過電流検出信号OCPLによって、NMOS出力トランジスタ12を瞬時にオフにする制御により、過電流状態からNMOS出力トランジスタ12が保護される。
【0074】
また、カウント回路70が所定の期間内にカウントするHレベルの過電流検出信号OCPLの回数により過電流状態が継続しているか否かを判断することが出来る。過電流状態が継続している場合には過電流検出フラグFLが出力される為、この過電流検出フラグFLに応答して、制御信号CLを制御し、NMOS出力トランジスタ12をオフにする制御を行うことが出来る。
【0075】
更に、インターバル時間TintL内に過電流状態が解除された場合、あるいは、所定期間内における過電流検出信号OCPLのカウント値が予め定めた数に達しない場合等、過電流状態が短時間の場合には、インターバル時間TintLの後、あるいは、予め設定した時間の後に、定常の制御に復帰させる。従って、制御信号CH、CLによってPMOS出力トランジスタ11、NMOS出力トランジスタ12のオンデューティを設定する制御への影響を抑制することが出来る。
【0076】
インターバル時間TintH、TintLは、例えば、PMOS出力トランジスタ11、NMOS出力トランジスタ12の容量に応じて適宜設定することが出来る。例えば、5μ秒〜10μ秒に設定することが出来る。カウント回路60、70が過電流検出フラグFH、FLを出力する際の所定のカウント値を、例えば、4にした場合には、インターバル時間TintH、TintLの4倍の時間が、カウント回路60、70が所定回数の過電流検出信号OCPH、OCPLをカウントしたか否かを判断する為の時間として設定される。
【0077】
尚、出力トランジスタ11、12のソースに抵抗(図示せず)を夫々接続し、その抵抗に生じる電圧降下を検出する構成とすることで、各出力トランジスタ11、12に流れる電流の検出と過電流状態の検出を行う構成とすることも可能である。
【0078】
また、ハイサイド側のPMOS出力トランジスタ11とローサイド側のNMOS出力トランジスタ12に既述した保護回路を設ける必要は無く、いずれか一方に設ける構成であっても良い。
【0079】
また、ハイサイド側のみにPMOS出力トランジスタ11を設けて負荷1に電流を供給する構成のドライバ回路に、既述したハイサイド側の保護回路の構成を設ける構成とすることも出来る。
【0080】
また、過電流検出フラグFH、FLが供給された時に、制御信号CH、CLの信号レベルを変える制御に代えて、制御信号CH、CLの信号レベルは変えず、PMOS出力トランジスタ11、NMOS出力トランジスタ12をオフにする信号を別途供給する構成とすることも出来る。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。