特許第6914882号(P6914882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6914882印刷前に三次元物体へ複数の表面処理を提供するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914882
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】印刷前に三次元物体へ複数の表面処理を提供するシステム
(51)【国際特許分類】
   B05C 9/10 20060101AFI20210727BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   B05C9/10
   B05C9/14
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-71969(P2018-71969)
(22)【出願日】2018年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-183769(P2018-183769A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2021年3月29日
(31)【優先権主張番号】15/494,830
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ティー・レストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エス・コンデロ
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・クナウスドルフ
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−274177(JP,A)
【文献】 特表2016−504211(JP,A)
【文献】 特開平11−286561(JP,A)
【文献】 特開2002−66447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体表面処理システムであって、
物体をホルダ内に固定するよう構成される前記ホルダと、
内部を有する火炎表面処理デバイスと、
前記火炎表面処理デバイスに動作可能に接続された可燃性物質のソースと、
前記火炎表面処理デバイス及び前記可燃性物質のソースの間で動作可能に接続され、選択的に開閉されるように構成されたバルブと、
化学表面処理デバイスと、
化学表面処理材料の複数のソースと、
フラッシュ流体のソースと、
前記化学表面処理材料の複数のソース、前記フラッシュ流体のソース、及び前記化学表面処理デバイスの間で動作可能に接続された第1の多入力バルブであって、化学表面処理材料の各ソース及び前記フラッシュ流体のソースを独占的に化学表面処理材料の他のソース及び前記フラッシュ流体のソースの前記化学表面処理デバイスに空気圧によって接続するように構成されている第1の多入力バルブと、
ガスプラズマ表面処理装置と、
プラズマガスの複数のソースと、
前記プラズマガスの複数のソース及び前記ガスプラズマ表面処理装置の間で動作可能に接続されている第2の多入力バルブであって、プラズマガスの各ソースを独占的にプラズマガスの他のソースの前記ガスプラズマ表面処理装置に空気圧によって接続するように構成されている第2の多入力バルブと、
前記バルブ、前記火炎表面処理デバイス内の内部、前記第1の多入力バルブ、及び前記第2の多入力バルブに動作可能に接続されているコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記火炎表面処理デバイスを前記可燃性物質のソースに選択的に空気圧により接続し、前記可燃性物質が前記火炎表面処理デバイスの内部に流れるように前記バルブを操作し、また、前記火炎表面処理デバイスにおいて前記可燃性物質を点火することによって火炎を形成し、前記ホルダにおける物体の表面を処理するように前記内部を操作し、そして、前記化学表面処理デバイスを前記化学表面処理材料の複数のソースにおける前記化学表面処理材料のソースにおける一つに独占的かつ独立的に空気圧により接続し、前記ホルダにおける前記物体の前記表面が前記第1の多入力バルブを介して前記化学表面処理デバイスに接続される前記化学表面処理材料のソースの一つにおける前記化学表面処理材料で化学的に処理されるように前記第1の多入力バルブを操作し、さらに、前記フラッシュ流体のソースを前記化学表面処理デバイスに接続し、前記ホルダにおける前記物体の前記表面を化学的に処理するように用いられる前記化学表面処理材料を洗い流すように前記第1の多入力バルブを操作し、かつ、前記プラズマガス表面処理装置を前記プラズマガスの複数のソースにおけるプラズマガスのソースの一つに独占的かつ独立的に空気圧により接続するように前記第2の多入力バルブを操作するように構成されている、物体表面処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物体表面処理システムであって、さらに、
第1の端部及び第2の端部を有する第1の細長い支持部であって、前記ホルダの一部が前記第1の細長い支持部のあたりで搭載されており、これにより、前記ホルダが前記第1の細長い支持部の前記第1の端部と前記第1の細長い支持部の前記第2の端部との間で移動することができる、第1の細長い支持部と、
前記ホルダに動作可能に接続されている第1のアクチュエータと、
を備え、前記コントローラは、前記第1のアクチュエータに動作可能に接続され、前記コントローラは、さらに、前記第1のアクチュエータを操作して、前記ホルダを第1の細長い支持部に沿って、前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置の反対側の位置に移動させるように構成されている、物体表面処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の物体表面処理システムにおいて、前記コントローラは、前記第1のアクチュエータを操作して、前記第1の細長い支持部あたりで前記ホルダを回転させるように構成されている、物体表面処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の物体表面処理システムであって、さらに、
前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置が搭載され、第1の端部及び第2の端部を有する第2の細長い支持部と、
前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置に動作可能に接続されている第2のアクチュエータと、
を備え、前記コントローラは、前記第2のアクチュエータに動作可能に接続され、前記コントローラは、さらに、前記第2のアクチュエータを操作して、前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置を、前記第2の細長い支持部に沿って、前記第2の細長い支持部の前記第1の端部及び前記第2の端部の間にあり、前記ホルダにおける前記物体の反対側の位置に移動させるように構成されている、物体表面処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の物体表面処理システムであって、さらに、
前記コントローラに動作可能に接続されているデータ入力装置を備え、
前記コントローラは、さらに、
前記データ入力装置からデータを受信し、
前記データ入力装置から受信した前記データを用いて、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを動作させ、前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置を、前記第2の細長い支持部の前記第1の端部及び前記第2の端部の間で移動させ、かつ、前記ホルダを、前記第1の細長い支持部の前記第1の端部及び前記第2の端部の間で移動させ、
前記データ入力装置から受信した前記データを用いて、前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置を操作するように構成されている、物体表面処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の物体表面処理システムであって、さらに、
複数の表面処理装置と1対1で対応して動作可能に接続される複数のアクチュエータを備え、
前記複数のアクチュエータは、前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置のそれぞれを、前記第2の細長い支持部に沿って前記火炎表面処理デバイス、前記化学表面処理デバイス、及び前記ガスプラズマ表面処理装置の動きに直角を成す断面方向に双方向で移動させる、物体表面処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はプリンタに関し、より具体的には、印刷に備えて表面を準備するために三次元(3D)物体の表面を処理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
テキストおよび図形を複数の色で3D物体の表面上へ直接的に印刷し得るプリンタが、開発されてきた。物体向け(DTO)プリンタとして知られている、これらのプリンタにより、少数の物体に、たとえ単一の物体であったとしても、印刷可能となる。これらのプリンタは、印刷されていない物体が留め置かれ、後にカスタマイズされた外観を物体へ提供するために印刷され得る小売環境において、特に有利である。この適応性により、様々なスポーツで使用される様々な種類のボールなど、印刷されていない物体の在庫は、その場所に留め置かれた後に特定チームのロゴが印刷され得る。結果として、特定のロゴまたは色彩設計を伴う物体の在庫は必要とならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
物体をDTOプリンタで印刷することに関する課題の1つは、金属、プラスチック、繊維など、3D物体を作製するために使用される多種多様な材料である。これらの異なる材料は、対応する広範な表面エネルギーを有する。これらの材料のうちの多くの表面エネルギーは、これらの表面上のインク画像の接着性および耐久性に悪影響を与える。これらの材料の一部は、耐久性のある印刷のために表面エネルギーを向上させるよう、数種類の表面事前処理が必要である。典型的な表面処理プロセスは、以下を含むが、それらに限定されない:(1)洗剤または溶剤を使用する一般的な洗浄;(2)サンディング、サンドブラスティング、プラズマエッチングなどを使用するテクスチャリング;(3)低圧プラズマ照射またはプラズマエッチング;(4)コロナ、化学コロナ、吹き付けアーク、プラズマジェット、および、吹き付けイオンプロセスなどの大気圧プラズマ処理;(5)化学プライマーの塗布;および、(6)表面の火炎処理。
【0004】
現在のところ、DTOプリンタを有する多くの施設では、印刷の前に物体を手動で処理している。ハンドバフ研磨およびイソプロピルアルコール(IPA)拭き取りのみを必要とする物体は、手動処理に適しているが、低圧プラズマ室における多大な照射時間など、より複雑な処理を必要とする他の物体は適していない。他の物体は、最適な結果を達成するために一連の異なる種類の表面処理を必要とする場合がある。例えば、一部の物体は、物体をハンドバフ研磨した後にIPA拭き取りを施し、続いて表面の火炎処理を行うことにより、印刷のために最適に準備される。表面処理の有用な寿命は可変であり、処理される材料、材料を処理するために使用されるプロセス、および、物体が保存される環境に依存して、数分から月単位までに及ぶ。一般的な経験則によると、インクを取り込んで材料を湿らせ付着させるために積極的な処理を施すほど、処理の持続時間は短くなる。したがって、広範な材料を成功裏に処理し、人的ばらつき、および、化学物質への暴露を削減するために表面処理手順を自動化し、印刷の直前に物体を処理するシステムが、有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
物体表面処理システムは、物体の表面エネルギーを高めてDTOプリンタでの物体の印刷を改善するために複数の表面処理を提供する。システムは、物体をホルダ内に固定するよう構成されるホルダおよび複数の表面処理デバイスを含み、各表面処理デバイスは、複数の表面処理デバイスにおける他の表面処理デバイスの各々とは異なる方法で、物体の表面をホルダ内で処理するよう構成される。
【0006】
物体表面処理システムの別の実施形態は、広範な材料から作製される物体の表面エネルギーが、プリンタによる印刷の直前に高められるようにする。システムは、物体をホルダ内に固定するよう構成されるホルダおよび複数の表面処理デバイスを含み、各表面処理デバイスは、複数の表面処理デバイスにおける他の表面処理デバイスの各々とは異なる方法で、物体の表面をホルダ内で処理するよう構成される。
【0007】
物体の表面エネルギーを高めてDTOプリンタでの物体の印刷を改善するために複数の表面処理を提供する物体表面処理システムの前述の態様および他の特徴が、添付の図と関連して以下の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、物体が印刷される前に複数の表面処理を複数の種類の物体材料に施すよう構成されるシステムの模式図である。
図2図2は、図1のシステムにより行われ得るフロー図である。
図3図3は、図1のシステムと統合されたプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書においてデバイスの詳細と共に開示されるデバイスの環境の一般的な理解のために、図が参照される。図において、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0010】
本明細書において使用される場合、「プリンタ」という単語は、1つ以上のマーキング材料を用いて媒体または物体上に画像を生成する任意の装置を包含する。本明細書において使用される場合、「プロセス方向」(P)という用語は、少なくとも1つの印字ヘッドを有するプリンタを経由する、または、複数の表面処理デバイスを有する表面処理システムを経由する、物体の移動の方向を指す。本明細書において使用される場合、「クロスプロセス」方向(CP)という用語は、プロセス方向と垂直を成す軸を指す。本明細書において使用される場合、「表面処理」という単語は、表面上のインクの湿潤性および耐久性を改善するために材料の表面エネルギーを高める任意のプロセスを意味する。
【0011】
図1は、複数の表面処理デバイスを操作して、物体が印刷される直前に複数の表面処理を複数種類の物体材料へ施すよう構成されるシステムの模式図である。システムは筐体104を含み、その中において、表面処理システム108はホルダ116により保持される物体120の表面を処理するよう構成される。図1において、物体120は水差しであるが、ホルダは他の種類の物体を固定するよう構成され得る。本明細書において使用される場合、「固定する」という単語は、物体が構造から解放されるまで物体を特定の配向に維持するよう構成される構造を意味する。筐体104は、システム108、ホルダ116、および、物体120を包囲し、物体の表面を処理するために使用される材料を包含する壁を含む。筐体104の1つの壁は、材料および蒸気を上塗り構造136からフィルタ132を介して引き出すために、その中にファン128が配置された換気口124を含む。したがって、使用される材料および材料により生成される蒸気は、物体120の周囲の空気から除去され、筐体104から排出される前にろ過される。システム100は、表面処理を物体120へ施すよう独立的に操作される複数の表面処理デバイスを含む。本明細書において使用される場合、「独立的に操作される」という用語、または、それに相当する用語は、複数のデバイスの中のあるデバイスを操作する一方で、複数のデバイスの中の他のデバイスは操作されないことを意味する。
【0012】
引き続き図1を参照すると、システム108は、火炎表面処理デバイス156用の可燃性材料ソース144、化学表面処理デバイス160用の多入力バルブ148、および、ガスプラズマ表面処理デバイス164用の多入力バルブ152、および、表面処理デバイスヘッド172を支持部材176に沿って移動させ物体120の位置を操るアクチュエータ168と、動作可能に接続されるコントローラ140を含む。火炎表面処理デバイス156、化学表面処理デバイス160、および、ガスプラズマ表面処理デバイス164は、表面処理デバイスヘッド172に統合され、支持部材176に沿って双方向プロセス方向Pと垂直を成すクロスプロセス方向C−Pに双方向に移動するためにアクチュエータを伴って構成される。この様々な表面処理デバイスの双方向の動きは、表面処理デバイスヘッド172に対して内部のアクチュエータを操作するコントローラ140により行われる。アクチュエータは、1対1の対応関係においてデバイスと動作可能に接続される。したがって、物体120がホルダ116内に固定された後、コントローラ140は、アクチュエータ168を操作して表面処理デバイスヘッド172を支持部材176に沿って双方向に移動させ、別のアクチュエータ168を操作して、ホルダ116および物体120を回転させて処理のために表面処理デバイスヘッド172へ様々な表面を提示し得る。さらに、コントローラ140が表面処理デバイスヘッド172と動作可能に接続され、火炎表面処理デバイス、化学表面処理デバイス、および、ガスプラズマ表面処理デバイスを互いに独立的に操作することにより、コントローラは、物体表面を処理するために表面処理デバイスの全部より少数を操作し得る。すなわち、コントローラは、物体の表面を処理するために、表面処理デバイスの全部、または、わずか1つを操作し得る。
【0013】
図1に示されるように、可燃性ソース144は、火炎表面処理デバイス156と空気圧によって接続される。コントローラ140がデバイス156へのラインにおいてバルブ142を操作して開けることに応答して、加圧されたソース144からの可燃性流体またはガスが火炎処理デバイス156へ流れ、ここでデバイス156の点火装置が操作されて物体表面の処理のために火炎を形成する。火炎処理が完了すると、コントローラはバルブ142を閉めてデバイス156への可燃性物質の流れを終結させる。本明細書において使用される場合、「可燃性物質」という用語は、圧力下で流れ火炎を形成するよう発火するガスまたは流体を意味する。そのような材料は、例えば、プロパンおよび天然ガスを含む。
【0014】
多入力バルブ148は、化学表面処理材料の複数のソースおよびフラッシュ流体のソースと空気圧によって接続される。コントローラ140は、多入力バルブ148を操作し、化学表面処理材料のソースのうちの1つを化学表面処理デバイス160と独占的に結合する。本明細書において使用される場合、「化学表面処理デバイス」は、物質を放出することにより、物質が処理される物体の表面と接触して物体の表面エネルギーを向上させる任意のデバイスを意味する。そのようなデバイスは、例えば、ノズル、スプレーヘッド、塗布器、または、ブラシであり得る。本明細書において使用される場合、「独占的に結合する」という用語、または、それに相当する用語は、複数のソースの中のあるソースをデバイスと結合する一方で、複数のソースの中の残りのソースは、デバイスと直接的な流体連結にないことを意味する。アクチュエータ168がヘッド172を移動させ物体120を回転させる際に化学表面処理デバイス160を選択的に操作することにより、化学表面処理デバイス160から排出される化学物質は、物体表面の異なるエリアへ選択的に塗布され得る。1つ以上の化学物質が物体表面へ適切に塗布され、物体がヘッド172の反対側の位置から移動された後、コントローラは、多入力バルブ148を操作してフラッシュ流体のソースを化学表面処理デバイス160と結合する。フラッシュ流体は、デバイスにおける残留化学物質と共に、バルブ148およびデバイス160と接続されるラインにおける残留化学物質を除去する材料である。本明細書において使用される場合、「化学表面処理材料」は、材料の表面エネルギーを向上させる別の材料へ塗布される任意の物質を意味する。そのような材料は、例えば、どちらもイリノイ州シャンバーグのINX international Ink Co.のTriangle divisionから入手可能な、BondAid1およびBondAid2 Adhesion Promoters、および、FujiFilm North America CorporationのGraphic Systems DivisionからのZE680およびZE1000を含む。本明細書において使用される場合、「フラッシュ流体」は、化学表面処理材料を、デバイス160からと共にデバイス160へのラインから、成功裏に除去する任意の材料を指す。そのような流体は、例えば、水、アルコール、炭化水素などを含む。
【0015】
多入力バルブ152は、物体の表面処理のためにプラズマを生成するのに有用なプラズマガスの複数のソースと空気圧によって接続される。コントローラ140は、多入力バルブ152を操作して、プラズマガスのソースのうちの1つをプラズマ表面処理デバイス164と独占的に結合する。本明細書において使用される場合、「プラズマ表面処理デバイス」は、電圧または電流をプラズマガスへ印加して、材料の表面エネルギーを向上させるプラズマを生成するデバイスを意味する。そのようなデバイスは、例えば、プラズマ発生器またはプラズマプローブであり得る。さらに、コントローラ140は、デバイス164における電圧または電流ソースを操作して、デバイスへ放出されるプラズマガスとプラズマを形成する。アクチュエータ168がヘッド172を移動させ物体120を回転させる際にプラズマ表面処理デバイス164を選択的に操作することにより、プラズマ表面処理デバイス164から排出されたプラズマは、物体表面の異なるエリアへ選択的に塗布され得る。1つ以上のプラズマが物体表面へ適切に塗布された後、コントローラは、多入力バルブ152を操作して、接続されたプラズマガスのソースをプラズマ表面処理デバイス164から切り離す。本明細書において使用される場合、「プラズマガス」は、電圧または電流の存在下でプラズマを生成する任意のガスを意味する。そのようなガスは、例えば、酸素、アルゴン、窒素、ハイドロフルオロカーボン、および、四塩化炭素を含む。
【0016】
コントローラ140は、コントローラが異なる種類の表面処理を1つ以上の物体へ行えるよう、コントローラと動作可能に接続されるメモリに保存されるプログラム命令を伴って構成され得る。そのように構成されたコントローラは、図2に示されるプロセス200を行い得る。図1に示されるシステム100の1つの実施形態において本プロセスを行えるように、ユーザインタフェース182が提供され、それにより、ユーザは物体および物体が作製される材料を特定するコードを入力し得る。コードを入力する他の方法は、バーコードリーダまたは他の証印検出センサを含む。
【0017】
図2を参照すると、プロセス200は、コントローラが、物体のために入力されたコードをコントローラと接続されたメモリに保存されているコードと比較することで、開始される(ブロック204)。コードがメモリに保存されているコードと一致する場合、コントローラは、物体の物理的な構成および物体へ施す1つ以上の処理に関して、データを取得する(ブロック208)。一致しない場合、プロセスは例外処理を行い(ブロック206)、入力されたコードに対応する保存コードの欠落に対処する。コントローラは、上述されたようにシステム104を操作して、少なくとも1つの処理を物体表面の少なくとも1つのエリアへ施す(ブロック212)。この処理は、物体の1つ以上の同一エリアへ施される複数の処理、または、物体の異なるエリアへ施される複数の処理を含み得る。物体の表面処理が完了すると(ブロック214)、コントローラは、物体が印刷のために準備されている旨を示す信号を生成する(ブロック216)。この信号は、ユーザインタフェース182のディスプレイまたはアナンシエータ、または、システム状況を示す他の既知のデバイスを起動し得る。処理された物体がシステム104を離れた後、コントローラは任意の化学表面処理が行われたか判定する(ブロック220)。行われた場合、コントローラは多入力バルブ148を操作して、化学表面処理デバイス160へのラインおよびデバイスを洗い流す(ブロック224)。その後、コントローラは、システム104が別の物体の処理のために準備されている旨を示す信号を生成する(ブロック228)。
【0018】
図3は、印刷システム308を表面処理システム104と統合するプリンタ300のブロック図である。このプリンタにおいて、ホルダ116は、支持部材304に沿って移動するように搭載され、コントローラ140は、アクチュエータ168を操作してホルダを部材に沿って移動させる。このプリンタにおいて、支持部材は、システム104の外へ延び、システム104の中への移動のために物体がホルダに搭載され得る初期位置にホルダ116を配置する。物体がシステム104の中へ移動された後、システムは前述のように操作されて物体の表面を処理する。物体の表面処理が完了すると、コントローラはアクチュエータ168を操作して、物体をシステム104から印刷システム308の中へ直接的に運ぶ。本明細書において使用される場合、「直接的に運ぶ」という用語は、表面処理システムから印刷システムへ、表面処理システム内に物体を固定するために使用されるホルダから物体を外すことなく物体を移動させることを意味する。印刷システム308は、処理された物体が入ってきたことを検出し、プリンタを操作して物体の処理された表面上にマーキング材料を排出し物体上にインク画像を形成するコントローラを有するDTOプリンタである。印刷システム308は、物体をホルダ116から外し、印刷された物体をプリンタから排出する。部材304は少なくとも2つのホルダと共に構成され、処理された物体が印刷され得るようにする一方で、未処理の物体にシステム104における処理プロセスのうちの少なくとも1つを施す。部材304が少なくとも3つのホルダ116を含む場合、システム104およびプリンタ300の印刷システム308は、限定数の類似の物体を処理および印刷するために連続的に動作するよう構成される。これは、未処理の物体がホルダ116内に配置され得る一方で、別の未処理の物体がシステム104内で処理され、処理された物体が印刷システム308において印刷され、アクチュエータ168の操作によりホルダ116が処理システム104の下位の供給位置へ移動する一方で、他の2つのホルダ116は処理システムおよび印刷システムの中へ移動されるからである。
図1
図2
図3