(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の木質空間ユニットは、床部を含め略全ての材料が木質材であるので、その木質材による癒やし効果が顕著となる。
【0007】
ところが、その反面、床下地材や床仕上材を根太に対し隙間なく当接するように施工するので、施工現場で床下地材や床仕上材となる板材を寸法に合わせて精度よくカットする必要が生じ、その高精度の採寸カットのために手間がかかり、カットに伴って廃材(ごみ)が出ることになり、改善の余地がある。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、上記のような木質空間ユニットにおいて、パネル材を周りの基材に位置合わせして施工する場合に、そのパネル施工構造を特定することで、施工現場でのパネル材の高精度の採寸カットを不要とし、施工を容易化しながら見映えの良い外観が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的の達成のため、この発明では、施工箇所の寸法よりも大きいパネル材を施工寸法に合わせて採寸カットするのではなく、逆に、パネル材の寸法を敢えて施工寸法よりも短くしておき、施工状態ではパネル材と周りの基材との間に隙間が生じる施工構造とするようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明は、建物の内部空間の床面上に設置される木質空間ユニットのパネル施工構造であって、木質空間ユニットは、建物内の床面上に配置される床部、壁部及び天井部を備え、上記床部と、壁部及び天井部の少なくとも一方とは、四周に木質材からなる基材が矩形枠状に配置されかつ該基材の内側の全体に木質材からなるパネル材が配置されて施工され、上記基材の内周側面に木質材からなる受材が固定されており、上記パネル材は、該パネル材の周縁部と上記基材の内周側面との間に基材内の全体に亘り所定の隙間が生じるように、予め該基材の内周側面の大きさよりも小さく形成され、上記受材の側面上に上記パネル材の周縁部が、該周縁部の端面と基材内周面とが基材内の全体に亘り上記隙間を空けて対向するように重ねられ、上記パネル材は周縁部の全体で上記受材に固定されていることを特徴とする。
【0011】
この第1の発明のパネル施工構造では、建物の内部空間の床面上に設置されかつ該床面上に配置される床部、壁部及び天井部を備えた木質空間ユニットにおいて、その床部と、壁部及び天井部の少なくとも一方とは、矩形枠状に配置された基材の内周側面に受材が固定され、この受材に、上記基材の内周面の大きさよりも小さく形成されているパネル材が周縁部で重ねられて固定され、その固定状態では、基材内周面と、基材の内周面よりも大きさの小さいパネル材の周縁部端面とが両者の間に基材内の全体に亘り所定の隙間を空けて対向している。そのため、例えば予め工場等でパネル材を基材との間に上記隙間が生じる寸法にプレカットしておくか、或いは、施工現場でパネル材を基材との間に上記隙間が生じるように短めにラフカットするだけでよく、施工現場では寸法に合わせて精度よくカットする必要がなくなる。このことで高精度の採寸カットが不要となり、木質空間ユニットの施工の手間を低減して施工を容易に行うことができ、カットに伴って生じる廃材も少なくなる。
【0012】
また、パネル材の周縁部端面と基材内周面との間に生じた隙間は見切り材を充填して隠したり、或いは隙間を残して底目地に仕上げたりすればよく、隙間があったとしても見映えの良い外観が得られる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、受材は、パネル材の周縁部が重ねられる側面に化粧面を有し、パネル材の周縁部端面と基材内周面との間の隙間により、上記受材の化粧面を底部とする底目地が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この第2の発明では、受材の側面に化粧面が設けられているので、この受材の側面にパネル材の周縁部を重ねて固定したとき、パネル材の周縁部端面と基材内周面との間に生じた隙間は、受材の化粧面を底部とする底目地となる。こうすると、隙間を見切り材等の充填により隠蔽しなくても、そのまま露出させて底目地が形成され、見映えの良い外観が得られる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、パネル材の周縁部端面と基材の内周側面との間の隙間に見切り材が充填されていることを特徴とする。
【0016】
この第3の発明では、パネル材の周縁部端面と基材内周面との間に生じた隙間に見切り材が充填されて、その隙間そのものが見切り材によって隠蔽される。このことにより隙間があっても見映えの良い外観が得られる。
【0017】
第4の発明は、第3の発明において、上記見切り材は、パネル材の周縁部端面と基材の内周側面との間の隙間に嵌合される嵌合部と、該嵌合部の一端にパネル材の中央に向かって延びるように連続し、隙間の開口よりも広い幅を有するカバー部とを有することを特徴とする。
【0018】
この第4の発明では、パネル材が周縁部で受材に対し、パネル材を貫通するビス等の固定具により固定される場合、見切り材の嵌合部がパネル材の周縁部端面と基材の内周側面との間の隙間に嵌合されると、見切り材の広い幅を有するカバー部が床パネル材の周縁部を覆うこととなり、周縁部にある固定具を隠すことができる。
【0019】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、パネル材は、下地パネル材と、その上に重ねられた仕上材とを有することを特徴とする。
【0020】
この第5の発明では、下地パネル材と仕上材とを有するパネル材について上記効果が得られ、施工を容易に行うことができるとともに、見映えの良い外観が得られる。
【0021】
第6の発明は、第2〜第5の発明のいずれか1つにおいて、
木質空間ユニットの壁部に基材、受材及びパネル材が配置されて施工されており、上記壁部の基材
は柱及び梁であり、
上記壁部の受材は
、上記柱及び梁に固定された根太であり、
上記壁部のパネル材は、上記根太に固定される壁パネル材であることを特徴とする。
【0022】
この第6の発明では、木質空間ユニットの
壁部に基材、受材及びパネル材が配置されて施工され、その壁部の基材としての柱及び梁の内周側面に
、壁部の受材としての根太が固定され、この根太に
、壁部のパネル材としての壁パネル材が周縁部で重ねられて固定され、その固定状態では、壁パネル材の周縁部端面と柱及び梁の内周面とが両者の間に所定の隙間を空けて対向しているので、例えば予め工場等において壁パネル材を柱及び梁との間に上記隙間が生じるようにプレカットするか、或いは、施工現場で壁パネル材を柱及び梁との間に上記隙間が生じるように短めにラフカットするだけでよく、施工現場では寸法に合わせて精度よくカットする必要がなくなる。このことで高精度の採寸カットが不要となり、木質空間ユニットの施工の手間を低減して壁部の施工を容易に行うことができ、カットに伴って生じる廃材も少なくなる。
【0023】
また、壁パネル材の周縁部端面と柱及び梁の内周面との間に生じた隙間は、見切り材を充填しない場合、根太の側面を目地底(底面)とする底目地にすることができる。このことで、隙間がそのまま露出されて底目地が形成され、見映えの良い外観の壁部が得られる。
【0024】
第7の発明は、第3〜第5の発明のいずれか1つにおいて、
木質空間ユニットの床部に基材、受材及びパネル材が配置されて施工されており、上記床部の基材
は土台であり、
床部の受材は
、上記土台に固定された根太であり、
床部のパネル材は、上記根太に載置されて固定される床パネル材であることを特徴とする。
【0025】
この第7の発明では、木質空間ユニットの
床部に基材、受材及びパネル材が配置されて施工され、その床部の基材としての土台の内周側面に
、床部の受材としての根太が固定され、この根太に
、床部のパネル材としての床パネル材が周縁部で重ねられて固定され、その固定状態では、床パネル材の周縁部端面と土台内周面とが両者の間に所定の隙間を空けて対向しているので、例えば予め工場等で床パネル材を土台との間に上記隙間が生じるようにプレカットするか、或いは、施工現場では床パネル材を土台との間に上記隙間が生じるように短めにラフカットするだけでよく、施工現場では寸法に合わせて精度よくカットする必要がなくなる。このことで、高精度の採寸カットが不要となり、施工の手間を低減して床部の施工を容易に行うことができ、カットに伴って生じる廃材も少なくなる。
【0026】
また、床パネル材の周縁部端面と土台内周面との間に生じた隙間に見切り材が充填されている場合、その隙間が隠蔽されるので、隙間があっても見映えの良い外観の床部が得られる
。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く、本発明によると、建物の内部空間の床面上に設置されかつ建物内の床面上に配置される床部、壁部及び天井部を備えた木質空間ユニットのパネル施工構造として、その木質空間ユニットの床部と、壁部及び天井部の少なくとも一方において、矩形枠状に配置される基材の内周側面に受材を固定し、この受材の側面上に、予め基材の内周面の大きさよりも小さく形成されているパネル材の周縁部を重ねて、パネル材の周縁部の端面と基材内周面とが所定の隙間を空けて対向するように固定したことにより、パネル材の高精度の採寸カットが不要となり、施工の手間を低減して施工の容易化を図り、カットに伴って生じる廃材の低減を図ることができるとともに、パネル材の周縁部端面と基材内周面との間に生じた隙間は、見切り材を充填して隠すか或いは底目地に仕上げるかして、見映えの良い外観が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0030】
(実施形態1)
図1及び
図2は本発明の実施形態1に係る床部Fを示し、この床部Fは、建物の内部空間に設置される組立式の木質空間ユニット(屋内建築物)の床部として施工されているもので、パネル施工構造を有する。
【0031】
図1及び
図2において、1は建物内の床面上に矩形枠状に設置された基部で、この基部1の上に、木質材の角材からなる4本の土台2,2,…が矩形枠状に配置されている。これら土台2,2,…は、床部Fにおけるパネル施工構造の四周に位置する基材であり、互いに連結されて基部1に固定されている。矩形枠状の土台2,2,…の少なくとも4つの隅角部にそれぞれ柱3,3,…が起立して固定されている。これらの柱3,3,…は互いに同じ太さ及び長さを有する木製の角材からなる。
【0032】
上記土台2,2,…で囲まれる部分の内側の全体に木質材からなる矩形板材の床パネル材10が配置されて施工されている。具体的には、
図3にも示すように、上記土台2,2,…の各々の内周側面の上下中間部には木質材からなる受材としての根太7,7,…がビスV,V,…によって固定されている。この各根太7は土台2よりも細い角材からなり、4本の根太7,7,…は、土台2,2,…の内周側面に固定されて土台2,2,…と同様に矩形枠状に連結されている。各土台2の内周側面における根太7の取付位置は、その根太7の上面に床パネル材10が載置されたときに該床パネル材10の上面が土台2の上面と同じ高さ位置となるように設定されている。
【0033】
そして、
図5にも示すように、上記各根太7の側面である上面に上記床パネル材10の周縁部が載置されて重ねられている。床パネル材10の縦横方向の寸法は、矩形枠状の土台2,2,…の内側面での同方向の寸法よりも少し小さく設定されている。そして、この床パネル材10は周縁部で床パネル材10を貫通するビスV,V,…により根太7に固定されており、床パネル材10が周縁部で根太7,7,…に固定された状態では、床パネル材10の周縁部の端面と各土台2の内周面とが床部Fの全体に亘って所定(例えば5mm程度)の隙間Sを空けて対向している。
【0034】
上記床パネル材10は、矩形板状の床下地パネル材11とその上に重ねられてビス等(図示せず)により一体的に固定された同様の床仕上パネル材12(仕上材)とを有する。床下地パネル材11は、図示しないが、例えば比較的大きい複数の板材が並べられてパネル状にされたもので、各板材の端部や側部は上記根太7に載置されて固定され、板材の中間部は上記床面上に設置した束(図示せず)により支持されている。
【0035】
また、床仕上パネル材12も、図示しないが同様に、例えば床下地パネル材11よりも小さい複数の細長い板材が並べられてパネル状にされたものであり、床下地パネル材11に固定されている。この床仕上パネル材12の複数の板材を並べる場合、隣り合う板材同士が雌雄実部や合決り部によって連結され、その雌実部や合決り部の下側凸条にビス等が挿通されて板材が床下地パネル材11に固定されている。また、床仕上パネル材12の板材と床下地パネル材11の板材とは各々の長さ方向の向きが互いに異なっていてもよく、同じ向きであってもよい。
【0036】
上記床下地パネル材11とその上の床仕上パネル材12とは全体が互いに同じ寸法の大きさである。床下地パネル材11及び床仕上パネル材12の各々の板材は、いずれも予め製造工場で目的の寸法にプレカットされており、施工現場では、それらプレカットされた板材をパネル状に並べて施工することで、パネル状の床下地パネル材11及び床仕上パネル材12が形成されるようになっている。
【0037】
尚、本実施形態では、施工現場において、上記プレカットされている板材を、パネル状に並べて床下地パネル材11及び床仕上パネル材12の形状にし、それら床下地パネル材11及び床仕上パネル材12を積層固定するようにしているが、予め製造工場において、床下地パネル材11及び床仕上パネル材12を積層固定することにより、床パネル材10を形成しておいてもよい。その場合、下地パネル材11及び仕上パネル材12を常に一体物として取り扱うことができ、そのハンドリング性を高めることができる。
【0038】
さらに、
図3に拡大して詳示するように、上記床パネル材10の周縁部端面と土台2の内周側面との間の隙間Sにより、床パネル材10の周縁部端面と土台2の内周側面とを溝側面とし根太7の上面を溝部とした断面コ字状の凹溝15が形成され、この凹溝15(隙間S)には細長い形状の見切り材16が充填されて固定されている。この見切り材16は、上記凹溝15(隙間S)に嵌合される嵌合部16aと、この嵌合部16aの上端に床パネル材10(土台2)の中央に向かって延びるように連続し、隙間Sの開口よりも広い幅を有するカバー部16bとを有する断面略L字状のもので、嵌合部16aが凹溝15(隙間S)に嵌合されたときにカバー部16bが床パネル材10(床仕上パネル材12)の上面周縁部を覆って、床パネル材10固定用のビスV等を隠すようになっている。見切り材16は、例えばABS樹脂等からなっており、接着剤や両面テープ等によって凹溝15の内面に固定されている。尚、凹溝15はコ字状以外の断面形状を有する構造であってもよい。
【0039】
このような床部Fを施工する場合、
図4に示すように、木製の角材からなる土台2,2,…を矩形枠状に連結し、その土台2,2,…を設置空間の床面上に基部1を介して設置する。この枠状の土台2,2,…の4つの隅角部に柱3,3,…を固定して設置した後、土台2,2,…の内周側面に根太7,7,…を固定する。
【0040】
次いで、
図5に示すように、この根太7,7,…の上に、床下地用のプレカットされている複数の板材をパネル状に並べて土台2の内周側面と隙間Sが空くように載置し、板材の中間部は束によって床面上に支持する。このことで、根太7,7,…上に床下地パネル材11を形成する。
【0041】
そして、床下地パネル材11上に、床仕上用のプレカットされている複数の板材をパネル状に並べて土台2,2,…の内周側面に対し床下地用の板材と同じ隙間Sが空くように載置し、その各々を床下地パネル材11にビス等で固定して床仕上パネル材12を形成する。このことで、その床仕上パネル材12を床下地パネル材11とを固定一体化して床パネル材10とする。この床パネル材10の周縁端部に位置する部分において、その床仕上パネル材12の各板材を床下地パネル11の各板材と共にビスV,V,…により根太7に固定する。
【0042】
最後に、
図6に示すように、上記床下地パネル材11及び床仕上パネル材12と土台2の内周側面との間の隙間Sによる凹溝15に見切り材16を押し込んで充填し、凹溝15及び床パネル材10のビスVを隠す。以上により床部Fが施工される。
【0043】
したがって、この実施形態においては、建物の内部空間に設置される組立式の木質空間ユニットの床部Fの土台2,2,…の内周側面に根太7,7,…が固定され、この根太7,7,…に、床下地パネル材11と、床下地パネル材11上に固定される床仕上パネル材12とを有する床パネル材10が周縁部でビスV,V,…により固定され、その固定状態では、床パネル材10の周縁部端面と土台2内周面とが両者の間に所定の隙間Sを空けて対向しているので、予め床パネル材10における床下地パネル材11及び床仕上パネル材12の各々の板材を土台2との間に隙間Sが生じるようにプレカットしておけば、床部Fの施工現場では、板材を寸法に合わせて精度よくカットする作業が不要となる。このことで高精度の採寸カットが要らず、施工の手間を低減して床部Fの施工を容易に行うことができ、カットに伴って生じる廃材も少なくなる。
【0044】
また、床パネル材10の周縁部端面と土台2内周面との間に生じた隙間Sにより、根太7を底面とする凹溝15が形成されるが、その凹溝15に見切り材16が充填されているので、たとえ施工の容易化に伴って隙間Sが生じていても、その隙間Sは見切り材16によって隠蔽され、見映えの良い外観の床部Fが得られる。
【0045】
尚、上記のように、床下地パネル材11及び床仕上パネル材12の各板材を、予め工場で土台2との間に隙間Sが生じるようにプレカットするのに代え、施工現場で同様の隙間Sが生じるようにカットしてもよい。その場合、積極的に隙間Sを形成する必要があるので、板材を隙間Sが生じるように短めにラフカットする。このことで高精度の採寸カットが要らず、その分、やはり施工が容易になる。
【0046】
(実施形態2)
図7〜
図10は本発明の実施形態2を示し(尚、
図1〜
図6と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、実施形態1では本発明を床部Fに適用しているのに対し、壁部Wに適用したものである。
【0047】
すなわち、この実施形態2に係る壁部Wは、実施形態1と同様に、建物の内部空間に設置される組立式の木質空間ユニット(屋内建築物)の壁部として施工されている。
図7及び
図8に示すように、壁部Wは、建物内の床面上に立設された木質材の角材からなる柱3,3と、これら柱3,3の上下部間にそれぞれ架け渡されて固定された木質材の角材からなる上下の梁20,20とを有する。このことで、柱3,3及び梁20,20は、パネル施工構造の四周に位置する木質材の角材からなる基材として矩形枠状に配置されて連結固定されている。
【0048】
上記柱3,3及び梁20,20で囲まれる部分の内側の全体に亘って木質材からなる矩形板材の前後の壁パネル材25,25が配置されて施工されている。具体的には、
図10に示すように、上記柱3,3及び梁20,20の内周側面の奥行き方向の前後中間部には木質材からなる受材としての4本の化粧根太22,22,…がビスV,V,…によって固定されている。この各化粧根太22は柱3及び梁20よりも細い角材からなり、4本の化粧根太22,22,…は、柱3,3及び梁20,20の内周側面に固定されて、柱3,3及び梁20,20と同様に矩形枠状に組まれている。化粧根太22の幅や、柱3及び梁20の内周側面における化粧根太22の取付位置は、その化粧根太22の前後側面にそれぞれ壁パネル材25,25が当接したときに該各壁パネル材25の表面が柱3及び梁20の表面と同じ位置(
図8参照)かそれよりも壁厚さ方向中央側の奥まった位置に位置するように設定されている。
【0049】
上記化粧根太22は、外周面の全体に塗装や突板の貼付け等によって表面処理を施した木製の角材で、その外周全体に化粧面が形成されている。尚、この化粧面は、化粧根太22の外周全体に形成しなくてもよく、後述する壁パネル材25が当接して底目地30の底部となる前後側面にだけ化粧面を形成してもよい。
【0050】
そして、上記化粧根太22の側面である前後両側面(化粧面)にそれぞれ壁パネル材25,25の周縁部が裏面で当接して重ねられている。そして、各壁パネル材25の縦横方向(上下方向及び左右方向)の大きさ寸法は柱3,3及び梁20,20で囲まれる部分の内側面の同寸法よりも少し小さく設定されている。このことで、各壁パネル材25が化粧根太22,22,…に固定された状態では、壁パネル材25の周縁部の端面と柱3,3及び梁20,20の内周面とは、両者の間に壁部Wの全体に亘って所定(例えば5mm程度)の隙間Sを空けて対向し、柱3,3や梁20,20が壁パネル材25によって隠されない真壁納め(真壁仕様)となっており、この壁パネル材25は周縁部で壁パネル材25を貫通するビスV,V,…により化粧根太22に固定されている。
【0051】
上記各壁パネル材25は、例えば矩形板状の1枚ものの壁下地パネル材26とその上に重ねられた同様の壁仕上パネル材27(仕上材)とを有し、周縁部が両パネル材26,27を貫通するビスV,V,…により上記化粧根太22に固定されている。
【0052】
上記壁下地パネル材26とその上の壁仕上パネル材27とは同じ寸法の大きさである。これら壁下地パネル材26と壁仕上パネル材27とは、いずれも予め製造工場で所定寸法にプレカットされている。尚、これら壁下地パネル材26及び壁仕上パネル材27を積層一体化しておいてもよい。
【0053】
そして、
図9に拡大して示すように、上記化粧根太22が外面全体に化粧面を有することで、各壁パネル材25の周縁部端面と柱3,3及び梁20,20の内周面との間の隙間Sにより、化粧根太22の化粧面を底部(目地底)としかつ壁パネル材25の周縁部端面と柱3,3及び梁20,20の内周面とを目地側面とした断面コ字状の凹溝状の底目地30が形成されている。この底目地30はコ字状以外の断面形状を有する構造であってもよい。
【0054】
尚、壁下地パネル材25における壁仕上パネル材27の周縁部に壁下地パネル材25を貫通するビスVの頭部が露出しているが、この頭部をビスキャップによって隠すようにしてもよい。
【0055】
この壁部Wを施工する場合、柱3,3及び梁20,20を矩形状に連結し、その柱3,3及び梁20,20の内周側面に化粧根太22,22,…をビスV,V,…により固定する。
【0056】
次いで、この化粧根太22,2,…の前後側面上にそれぞれ壁下地パネル材26,26を柱3,3及び梁20,20の内周側面と隙間Sが空くように当てて仮止めする。
【0057】
そして、各壁下地パネル材26上に壁仕上パネル材27を、上記と同様に柱3,3及び梁20,20の内周側面と隙間Sが空くように並べ、その壁仕上パネル材27を壁下地パネル材26と共に周縁部で化粧根太22にビスV,V,…により固定すればよい。
【0058】
したがって、この実施形態では、建物の内部空間に設置される組立式の木質空間ユニットの壁部Wの柱3,3及び梁20,20の内周側面に化粧根太22,22,…が固定され、この化粧根太22,22,…の前後側面に、壁下地パネル材26と、壁下地パネル材26上に重ねられて配置される壁仕上パネル材27とを有する壁パネル材25,25が周縁部で固定され、その固定状態では、各壁パネル材25の周縁部端面と柱3,3及び梁20,20の内周面とが両者の間に所定の隙間Sを空けて対向しているので、壁部Wの施工時には、予めプレカットされている壁パネル材25を柱3,3及び梁20,20との間に隙間Sが生じるように固定するだけでよく、寸法に合わせて精度よくカットする必要がなくなる。このことで高精度の採寸カットが不要となり、施工の手間を低減して壁部Wの施工を容易に行うことができ、カットに伴って生じる廃材も少なくなる。
【0059】
また、各壁パネル材25の周縁部端面と柱3,3及び梁20,20の内周面との間に生じた隙間Sは、化粧根太22の前後側面からなる化粧面を底部(目地底)とする底目地30となる。このことで、隙間Sがそのまま露出されてその底部が見えたとしても、その隙間Sは底目地30となるので、見映えの良い外観の壁部Wが得られる。
【0060】
尚、この実施形態2においても、各壁パネル材25の壁下地パネル材26及び壁仕上パネルを予め工場でプレカットするのに代え、施工現場で同様の隙間Sが生じるようにカットしてもよい。その場合、隙間Sを形成することが必要であるので、施工現場では壁下地パネル材26及び壁仕上パネル27を短めにラフカットするだけでよく、その分、施工が容易になる。
【0061】
また、壁下地パネル材26と壁仕上パネル材27とを予め積層一体化しておくと、両者を常に一体物として取り扱うことができ、そのハンドリング性を高めることができる。
【0062】
(その他の実施形態)
上記実施形態において、床部Fや壁部Wが大きい場合、例えば対向する土台2,2間に土台2を、また対向する柱3,3間に梁20をそれぞれ架け渡すように固定することで、床部Fや壁部Wを、四周に土台2,2,…や柱3及び梁20が配置された複数の枠構造に分割し、それらの各々について上記と同様にパネル材10,25を施工すればよい。
【0063】
上記実施形態2では、壁部Wの柱3,3及び梁20,20の内周面と壁パネル材25との間の隙間Sにより底目地30を形成しているが、実施形態1と同様に見切り材16を充填してもよい。或いは逆に、実施形態1において、根太7を実施形態2のような化粧根太とすることにより、土台2の内周面と床パネル材10との間の隙間Sにより底目地30を形成することもできる。これらは必要に応じて適宜選択すればよい。
【0064】
また、上記実施形態2では、壁パネル材25は壁下地パネル材26と壁仕上パネル材27とを有する構造としているが、壁仕上パネル材27の代わりにクロス(壁紙)を用い、そのクロスを壁パネル材25に貼り付けるようにしてもよく、そのクロスが仕上材となる。
【0065】
また、上記各実施形態は、建物の内部空間に設置される組立式の木質空間ユニットの床部Fや壁部Wの構造であるが、本発明は木質空間ユニットの天井部であっても適用することができる。