(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のチャンバと前記複数のチャンバを接続するチャネルとを含むカートリッジ内で磁性粒子を前記複数のチャンバを経由して移送することにより、前記磁性粒子に被検物質と標識物質との複合体を担持させ、前記複合体の前記標識物質に基づいて検体に含まれる被検物質を化学発光測定で測定する化学発光測定装置であって、
前記カートリッジを支持する支持部材と、
前記支持部材を回転させるモータと、
前記モータにより回転させられた前記支持部材に支持された前記カートリッジ内で生じた化学発光による光を光検出器により受光する受光部と、
前記チャンバ内の磁性粒子を集めるための磁石と、
前記磁石を移動させる移動機構と、
前記モータにより生じた熱を装置外部に放出するための換気部と、を備え、
前記支持部材に支持される前記カートリッジ、前記光検出器の受光面、および前記磁石を遮光部で取り囲まれた暗室内に配置し、前記モータおよび前記換気部を前記暗室の外部に配置し、前記移動機構を前記カートリッジの外部で且つ前記暗室の内側に配置した、化学発光測定装置。
前記暗室を形成する遮光部の外側面に対向する前記モータの面と前記外側面との間に、前記外側面を貫通する孔を囲む遮光性の弾性部材が配置され、前記モータの前記面が前記弾性部材に押しつけられるようにして、前記モータが前記遮光部の前記外側面に装着されている、請求項1ないし10の何れか一項に記載の化学発光測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<実施形態1>
図1(a)、(b)を参照して、実施形態1の化学発光測定装置およびカートリッジの概要を説明する。
【0034】
図1(a)に示すように、化学発光測定装置10は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を測定する免疫測定装置である。化学発光測定装置10は、カートリッジ20を用いて検体に含まれる被検物質を化学発光測定で測定する。
【0035】
化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光であり、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、そこから基底状態に戻る時放出される光である。化学発光は、たとえば、酵素と基質との反応により生じさせたり、電気化学的刺激を標識物質に与えることにより生じさせたり、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)に基づいて生じさせたり、生物発光に基づいて生じさせたりすることができる。化学発光測定とは、化学発光を測定することである。化学発光測定に必要な処理とは、化学発光を測定するまでに必要とされる処理である。化学発光測定に必要な処理には、化学発光を生じさせるための処理が含まれる。化学発光を生じさせるための処理としては、発光基質と触媒とを反応させる処理、標識物質に電気化学的刺激を与える処理、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)に基づいて、光を照射し、一重項酸素を発生させ、発生した一重項酸素によりオレフィン化合物を酸化させる処理、ルシフェリン・ルシフェラーゼによる生物発光を生じさせる処理、などが挙げられる。実施形態1において、化学発光に必要な処理とは、たとえば、後述するステップS12〜S18までの処理が挙げられる。また、たとえば、制御部301による温度センサ178に基づく換気部350の制御、ヒータ321、322によるカートリッジ200の温度制御なども、化学発光に必要な処理として挙げられる。
【0036】
化学発光測定装置10は、支持部材31と、回転軸32と、モータ40と、磁石50と、移動機構60と、受光ユニット70と、遮光部80と、を備える。カートリッジ20は、被検物質を化学発光測定で測定するために用いられる。
図1(a)において、XYZ軸は互いに直交している。X軸正方向は後方を示し、Y軸正方向は左方向を示し、Z軸正方向は鉛直下方向を示している。
【0037】
支持部材31は、カートリッジ20を支持する。回転軸32は、鉛直方向に延びている。回転軸32の上端は、支持部材31に固定されており、回転軸32の下端は、モータ40の駆動軸41に固定されている。モータ40は、駆動軸41と、磁石42と、コイル43と、を備える。駆動軸41は、モータ40の本体から上方向に突出しており、磁石42とコイル43は、モータ40の本体に収容されている。磁石42は、駆動軸41の下端に固定されており、コイル43は、磁石42を囲むように配置されている。コイル43に電流が流れると、磁石42と駆動軸41が回転し、駆動軸41に接続された回転軸32が回転する。
【0038】
モータ40は、回転軸32を回転させることにより、カートリッジ20内で化学発光測定に必要な処理を進めるためにカートリッジ20が回転するように支持部材31を回転させる。カートリッジ20は、回転軸32を中心に回転される。以下、回転軸32を中心とする円の径方向および周方向を、以下、それぞれ単に「径方向」および「周方向」と称する。
【0039】
図1(b)に示すように、カートリッジ20は、被検物質の検出に必要な機能をまとめた交換可能な部品である。カートリッジ20は、板状かつ円盤形状の基板20aにより構成される。カートリッジ20は、板状であることに限らず突起部分等を含んでもよく、円盤形状であることに限らず矩形形状など他の形状であってもよい。
【0040】
基板20aには、孔21と、第1チャンバ22aと、第2チャンバ22bと、チャネル23と、が形成されている。孔21は、基板20aの中心において基板20aを貫通している。カートリッジ20は、孔21の中心が回転軸32に一致するように化学発光測定装置10に設置される。
【0041】
第1チャンバ22aと第2チャンバ22bは、被検物質と所定の試薬により調製された試料を収容するためにカートリッジ20に設けられた収容部である。第1チャンバ22aと第2チャンバ22bには常に液体が入っていなくてもよく、第1チャンバ22aと第2チャンバ22bは、液体を収容するために空間的な広がりを有していればよい。チャネル23は、磁性粒子を移送させるためにカートリッジ20に設けられた通路である。
【0042】
第1チャンバ22aと第2チャンバ22bは、周方向に並ぶように配置されている。第1チャンバ22aは、被検物質と磁性粒子とが結合した状態の複合体を収容している。第1チャンバ22aは、複合体と第1試薬とを混合するためのチャンバである。第2チャンバ22bは、複合体と第2試薬を混合するためのチャンバである。チャネル23は、回転軸32側から第1チャンバ22aと第2チャンバ22bに繋がっている。チャネル23は、複合体を第1チャンバ22aから第2チャンバ22bに移送するために設けられている。
【0043】
チャネル23は、第1領域23aと、第2領域23bと、第3領域23cと、を備える。第1領域23aは、径方向に延び、かつ、第1チャンバ22aに繋がっている。第2領域23bは、径方向に延び、かつ、第2チャンバ22bに繋がっている。第3領域23cは、周方向に延びている。第3領域23cの両端は、第1領域23aと第2領域23bとに繋がっている。チャネル23の少なくとも一部には、気体が満たされた気相が存在する。
【0044】
第3領域23cの両端は、必ずしも第1領域23aと第2領域23bに繋がってなくてもよい。たとえば、第1領域23aに繋がる第3領域23cと、第2領域23bに繋がる第3領域23cとが別々に設けられ、その間のチャネルがU字状に曲がっていてもよい。U字状に曲がったチャネルに、液相が存在してもよい。第1領域23aと第2領域23bは、周方向とは異なる方向であれば、水平面内において径方向からずれた方向に延びてもよい。第1領域23aと第2領域23bは省略され、第1チャンバ22aと第2チャンバ22bが、直接的に第3領域23cと繋がっていてもよい。
【0045】
図1(a)に戻り、磁石50は、第1チャンバ22a内に広がる複合体を集め、複合体を第1チャンバ22aからチャネル23を介して第2チャンバ22bに移送する。磁石50は、永久磁石により構成されてもよく、電磁石により構成されてもよい。移動機構60は、複合体を第1チャンバ22aからチャネル23を介して第2チャンバ22bに移送するために、径方向および鉛直方向に磁石50を移動させる。すなわち、移動機構60は、磁石50を回転軸32に対して接近および離間させるとともに、磁石50をカートリッジ20に対して接近および離間させる。
【0046】
なお、第1領域23aと第2領域23bとが径方向からずれた方向に延びるよう形成されている場合、移動機構60は、磁石50を径方向からずれた方向に移動させる。移動機構60は、磁石50をカートリッジ20に対して接近および離間させる場合に、鉛直方向からずれた方向に磁石50を移動させてもよい。
【0047】
移動機構60は、磁石50をカートリッジ20に対して相対的に移動できればよい。たとえば、移動機構60は、カートリッジ20を支持する支持部材31を移動させることによりカートリッジ20を移動させて、磁石50がカートリッジ20に対して相対的に移動されるようにしてもよい。ただし、支持部材31を移動させる場合、支持部材31を移動させるための構成が別途必要となるため、化学発光測定装置10が大型化するおそれがある。したがって、支持部材31は移動されず、磁石50がカートリッジ20に対して移動されるのが望ましい。
【0048】
移動機構60は、第1チャンバ22aに対向する位置において磁石50をカートリッジ20に接近させ、磁石50の磁力により複合体を集める。その後、移動機構60は、複合体を第2チャンバ22bに移動させるまで、磁石50がカートリッジ20に接近した状態を維持する。
【0049】
移動機構60は、第1チャンバ22aに対向する位置から磁石50を径方向に移動させることにより、第1チャンバ22a内で磁石50により集められた複合体を、第1チャンバ22aからチャネル23へと移動させる。続いて、モータ40は、カートリッジ20を回転させることにより、磁石50により集められた複合体を、チャネル23内で移動させる。続いて、移動機構60は、チャネル23に対向する位置から磁石50を径方向に移動させることにより、磁石50により集められた複合体を、チャネル23から第2チャンバ22bへと移動させる。
【0050】
なお、被検物質は、磁性粒子と結合することにより、磁石50によりカートリッジ20内で移送されたが、必ずしも磁性粒子が用いられなくてもよい。たとえば、被検物質は、カートリッジ20内に圧力を付与することにより移送されてもよく、遠心力により移送されてもよい。
【0051】
受光ユニット70は、上面に受光部70aを備える。受光部70aの受光面70bは、カートリッジ20の下面に対向する。受光部70aは、モータ40により回転させられた支持部材31に支持されたカートリッジ20内で生じた化学発光による光を、受光面70bにおいて受光する。受光部70aは、フォトンカウンティング可能な受光部である。受光部70aは、光子すなわちフォトンに応じたパルス波形を出力する。受光ユニット70は、内部に回路を備えており、受光部70aの出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。
【0052】
ここで、支持部材31に支持されるカートリッジ20と、磁石50と、移動機構60と、受光部70aの受光面70bとは、遮光部80で取り囲まれた暗室81内に配置されている。実施形態1において、暗室81とは、遮光部80により取り囲まれた空間である。実施形態1において、暗室81は、化学発光が安定して検出できる程度の暗さの空間であれば特に制限されない。たとえば、暗室81は、カートリッジ20内で化学発光が生じない状態の時に暗室81内で検出される入射フォトン数が、10000個/(mm
2・秒)以下となるように遮光部80により取り囲まれた空間である。カートリッジ20内で化学発光が生じない状態の時とは、カートリッジ20をセットしていない状態の時や装置の電源オフ状態の時などが挙げられる。より高感度に被検物質を検出する観点から、暗室81は、カートリッジ20内で化学発光が生じない状態の時に暗室81内で検出される入射フォトン数が、好ましくは、1000個/(mm
2・秒)以下、より好ましくは100個/(mm
2・秒)以下となるように遮光部80により取り囲まれた空間である。
【0053】
図1(a)では、受光面70bだけでなく、受光ユニット70が暗室81内に配置されている。これに対して、モータ40は、暗室81の外部に配置されている。モータ40のコイル43は、電流が流れることにより発熱する。ここで、モータ40の配置位置は、コイル43の位置によって示される。したがって、「モータ40が暗室81の外部に配置されている」という場合、少なくとも熱源となるコイル43は暗室81の外部に位置付けられることになり、コイル43以外の部品、たとえば駆動軸41は、
図1(a)に示すように暗室81の内部に配置されていてもよい。
【0054】
図1(a)に示す化学発光測定装置10では、遮光部80は、化学発光測定装置10の内部に設けられており、遮光性を有する複数の部材により構成されている。遮光部80は、樹脂で形成されている。遮光部80が樹脂で形成されると、遮光部80の成形が容易になる。遮光部80の内側面は黒色である。遮光部80の内側面が黒色であると、遮光部80による遮光性が高められる。
【0055】
なお、遮光部80は、金属で形成されてもよい。ただし、遮光部80は、成形の容易さから、樹脂で構成されるのが望ましい。遮光部80の内側面の一部は黒色でなくてもよい。ただし、遮光性を高めるためには、遮光部80の内側面の全てが黒色であるのが望ましい。
【0056】
上記のような化学発光測定装置10によれば、支持部材31に支持されるカートリッジ20および受光面70bが遮光部80で取り囲まれた暗室81内に配置されるため、外部からの光が受光面70bに入射することが防がれる。よって、受光部70aによる化学発光測定の精度を高めることができる。また、熱源であるモータ40は、密閉空間である暗室81の外部に配置されるため、モータ40の熱によって暗室81内部の温度が不安定になることを抑止できる。よって、カートリッジ20内での化学反応を安定させることができる。
【0057】
なお、装置内に光源が配置され、受光部70aが光源から出射された光のうち試料を透過した光を検出するような場合、受光部70aが受光する光の強度は高いため、受光部70aに外部からの光が多少漏れ込んだとしても大きな問題となることはない。しかしながら、上記のように受光部70aが化学発光による光を受光する場合には、受光部70aは微弱な光を検出する必要がある。この場合、受光部70aに外部からの光ができるだけ漏れ込まないように、遮光部80による遮光精度が高められる必要がある。
図1(a)に示す構成によれば、遮光部80により暗室81が形成され、暗室81の内部に受光部70aが配置されている。これにより、受光部70aに外部からの光が漏れ込むことを防ぐことが可能となる。
【0058】
<具体的構成例>
以下、実施形態1の分析装置およびカートリッジの具体的な構成を説明する。
【0059】
分析装置100は、
図1(a)の化学発光測定装置10に対応する。モータ171は、
図1(a)のモータ40に対応する。支持部材177は、
図1(a)の支持部材31に対応する。回転軸311は、
図1(a)の回転軸32に対応する。磁石120は、
図1(a)の磁石50に対応する。移動機構130は、
図1(a)の移動機構60に対応する。光検出ユニット144は、
図1(a)の受光ユニット70に対応する。光検出器144aは、
図1(a)の受光部70aに対応する。検出面144bは、
図1(a)の受光面70bに対応する。設置部材110の突部116、弾性部材117、設置部材110の外周部分、収容体150、モータ171の上面、弾性部材173、蓋部材175、弾性部材174、筐体102a、遮光部材196、設置部材180の面183、設置部材180の突部181、および弾性部材182は、
図1(a)の遮光部80に対応する。暗室340は、
図1(a)の暗室81に対応する。カートリッジ200は、
図1(b)のカートリッジ20に対応する。
【0060】
図2(a)に示すように、分析装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を測定し、測定結果に基づいて被検物質を分析する免疫分析装置である。分析装置100は、本体部101と蓋部102を備える。本体部101において、蓋部102に対向する部分以外は筐体101aに覆われている。蓋部102において、本体部101に対向する部分以外は筐体102aに覆われている。本体部101は、蓋部102を開閉可能に支持している。カートリッジ200の着脱の際には、蓋部102が
図2(a)に示すように開けられる。本体部101の上部には、カートリッジ200が設置される。
【0061】
図2(b)に示すように、カートリッジ200は、板状かつ円盤形状の基板200aにより構成される。カートリッジ200内の各部は、基板200aに形成された凹部と、基板200aの全面を覆う図示しないフィルムとが貼り合わされることにより形成される。基板200aと、基板200aに貼り合わされたフィルムとは、透光性を有する部材により構成される。基板200aは、後述するヒータ321、322によるカートリッジ200の温度調節が容易となるような厚みを有する。たとえば、基板200aの厚みは、数ミリとされ、具体的には1.2mmとされる。
【0062】
基板200aには、孔201と、チャンバ211〜216と、チャネル220と、6つの液体収容部231と、液体収容部232と、開口241と、分離部242と、チャネル243と、を備える。孔201は、基板200aの中心において基板200aを貫通している。カートリッジ200は、孔201の中心が、後述する回転軸311に一致するように分析装置100に設置される。以下、回転軸311を中心とする円の径方向および周方向を、以下、それぞれ単に「径方向」および「周方向」と称する。チャンバ211〜216は、基板200aの外周付近において周方向に並んでいる。
【0063】
チャネル220は、周方向に延びた円弧状の領域221と、径方向に延びた6つの領域222と、を備える。領域221は、6つの領域222と繋がっている。6つの領域222は、それぞれチャンバ211〜216に繋がっている。6つの液体収容部231は、流路を介してチャネル220に繋がっており、それぞれチャンバ211〜216に繋がる領域222の延長線上にある。液体収容部232は、流路を介して、チャンバ216に繋がる領域222と、チャンバ216に繋がる領域222の延長線上にある液体収容部231と、を繋ぐ流路に繋がっている。
【0064】
液体収容部231は、試薬を収容し、径方向の内側の上面に封止体231aを備える。封止体231aは、後述する押圧部195によって上から押圧されることにより開栓可能に構成される。封止体231aが開栓される前は、液体収容部231内の試薬はチャネル220に流れず、封止体231aが開栓されると、液体収容部231内がチャネル220に連通し、液体収容部231内の試薬がチャネル220に流れ出るようになる。具体的には、封止体231aが開栓されると、液体収容部231の内部が、封止体231aの位置においてカートリッジ200の外部と繋がる。
【0065】
同様に、液体収容部232も、試薬を収容し、径方向の内側の上面に封止体232aを備える。封止体232aは、押圧部195によって上から押圧されることにより開栓可能に構成される。封止体232aが開栓される前は、液体収容部232内の試薬はチャネル220に流れず、封止体232aが開栓されると、液体収容部232内がチャネル220に連通し、液体収容部232内の試薬がチャネル220に流れ出るようになる。具体的には、封止体232aが開栓されると、液体収容部232の内部が、封止体232aの位置においてカートリッジ200の外部と繋がる。
【0066】
封止体231a、232aは、基板200aに一体形成されてもよく、基板200aに形成された開口に貼り合わされたフィルムなどによって形成されてもよい。
【0067】
被検者から採取された全血の血液検体は、開口241を介して分離部242に注入される。分離部242は、注入された血液検体を血球と血漿に分離する。分離部242で分離された血漿は、チャネル243に移動する。チャネル243の径方向の内側の上面には、孔243aが設けられている。チャネル243内の領域243bに位置付けられた血漿は、カートリッジ200が回転されると遠心力によりチャンバ211に移動する。これにより、所定量の血漿がチャンバ211に移送される。
【0068】
なお、基板200aの各構成は、
図2(b)に示すように、基板200aの3分の1の領域にのみ形成されている。しかしながら、これに限らず、これら一群の構成が残りの3分の2の領域に形成され、基板200aに一群の構成が3つ設けられてもよい。
【0069】
続いて、
図3〜
図12(b)を参照して、分析装置100の内部構成について説明する。
【0070】
設置部材110には、孔111〜114が形成されている。孔111〜114は、設置部材110を貫通している。孔111には、後述する回転軸311が位置付けられる。孔112は、径方向に長い形状を有する。移動機構130は、部材131を介して設置部材110の下面に設置される。水平面内において、部材131の孔131aは、設置部材110の孔112と同じ位置に位置付けられる。検出部140は、部材141を介して設置部材110の下面に設置される。水平面内において、検出部140の反射部材142は、設置部材110の孔113と同じ位置に位置付けられる。孔114には、後述する温度センサ178が設置される。設置部材110の上面には、閉ループの突部115、116が形成されている。突部115、116は、周方向に沿って上方向に突出している。
【0071】
収容体150は、上面151と、収容部152、153と、外側面154と、を備える。上面151の中心には、上面151から外側面154までを上下方向に貫通する孔155が形成されている。孔155は、後述する回転軸311を通すために設けられている。収容部152、153は、上面151から下方向に窪んだ凹部により構成される。移動機構130と検出部140とが設置された設置部材110が、収容体150に設置される。設置部材110が収容体150に設置される際には、設置部材110の外周下面と収容体150の外周上面とが接合される。設置部材110が収容体150に設置されると、移動機構130が収容部152に収容され、検出部140が収容部153に収容される。
【0072】
設置部材110と収容体150は、遮光性の樹脂で形成されており、設置部材110と収容体150の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。また、設置部材110の外周下面と、収容体150の外周上面との間には、図示しない所定の弾性部材が設置される。所定の弾性部材は、たとえば遮光性のクロロプレンゴムおよびポリウレタン樹脂で構成されており、所定の弾性部材の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。
【0073】
図4(a)に示すように、移動機構130は、部材131と、2本の支軸132と、ギア部133と、支持部134と、モータ135と、伝達ギア135aと、モータ136と、伝達ギア136a〜136cと、ネジ137と、支持部138と、を備える。2本の支軸132は、部材131の下面に設置されている。ギア部133は、部材131の側面に設置されており、平板形状を有する。支持部134は、2本の支軸132に対して移動可能に支持されている。2本の支軸132は、径方向に延びている。支持部134の上面には、孔134aが形成されている。孔134aは、水平面において部材131の孔131aと同じ位置に位置付けられる。
【0074】
支持部134は、モータ135、136と、伝達ギア136bと、ネジ137と、を支持している。モータ135、136は、ステッピングモータにより構成される。モータ135の駆動軸が回転すると、駆動軸に設置された伝達ギア135aが回転し、駆動力がギア部133に伝達される。これにより、支持部134が、2本の支軸132に支持されながら、径方向に移動する。
【0075】
モータ136の駆動軸が回転すると、駆動軸に設置された伝達ギア136aが回転する。伝達ギア136a、136bは互いに噛み合っており、伝達ギア136b、136cは互いに噛み合っている。伝達ギア136bは、支持部134に回転可能に設置されており、伝達ギア136cは、ネジ137に設置されている。ネジ137は、支持部134に回転可能に支持されている。支持部138は、ネジ137の回転に応じて上下に移動するようネジ137に支持されている。磁石120は、支持部138に設置されている。したがって、モータ136の駆動軸が回転すると、駆動力が伝達ギア136a、136b、136cと、ネジ137とに伝達される。これにより、支持部138が、上下方向に移動する。
【0076】
このように移動機構130が構成されると、モータ135の駆動に応じて、磁石120が径方向に移動可能となり、モータ136の駆動に応じて、磁石120が上下方向に移動可能となる。また、磁石120が径方向内側へ移動されることにより、磁石120の上端がカートリッジ200の径方向内側へ移動し、磁石120が径方向外側へ移動されることにより、磁石120の上端がカートリッジ200の径方向外側へ移動する。磁石120が上に移動されることにより、磁石120の上端が、孔131a、134aの上に突出し、カートリッジ200に接近する。磁石120が下に移動されることにより、磁石120の上端が、カートリッジ200から離間する。
【0077】
なお、カートリッジ200に対する磁石120の位置を変化させる構成として、上記以外の構成が用いられてもよい。たとえば、磁石120を上下方向に移動させるために、磁石120を伸縮させてもよく、磁石120を水平方向に平行な方向を回転の中心として回転させてもよい。
【0078】
図4(b)に示すように、磁石120は、永久磁石121と磁性体122を備える。磁性体122は、常磁性体と強磁性体のいずれであってもよく、その組合せであってもよい。永久磁石121は、円柱形状であり、磁性体122は、円錐形状である。磁性体122は、永久磁石121の上面に接合されている。磁性体122の上端には、先端部122aが形成されている。先端部122aは、水平面で切断したときの断面積が一定の柱状形状となっている。具体的には、先端部122aは円柱形状である。なお、磁石120は、カートリッジ200側が、カートリッジ200に近付くに従って断面積が小さくなった先細り形状となっていればよい。
【0079】
磁石120によりカートリッジ200内の磁性粒子にかかる磁力は、永久磁石121が大きいほど、言い換えれば永久磁石121の水平面の断面積が大きいほど強くなる。また、磁石120の中心軸120aからの磁力の変化は、磁石120の先細り形状の角度θが小さいほど大きくなる。そして、角度θが小さいほど、カートリッジ200内の磁性粒子を移動させる力が大きくなる。ただし、永久磁石121の水平面の断面積を一定とする場合、角度θが小さいほど、先端部122aから永久磁石121の上面までの距離が長くなるため、磁石120によりカートリッジ200にかかる磁力は小さくなる。したがって、磁性粒子にかかる磁力と磁性粒子を移動させる力の両方をバランスよく大きくするために、実施形態1の角度θは、たとえば60°に設定される。
【0080】
磁性粒子にかかる磁力と磁性粒子を移動させる力とが大きいと、磁石120によりカートリッジ200内で磁性粒子を移動させる際に、磁性粒子の取り残しを防止できる。したがって、
図4(b)に示すように磁石120が構成されれば、磁性粒子にかかる磁力と磁性粒子を移動させる力の両方をバランスよく大きくできるため、磁性粒子の取り残しを防いで、検出部140により検出される光量の意図しない低下を抑制できる。よって、意図しない光量の低下による偽陰性を抑制できるため、高精度な検出を行うことができる。
【0081】
また、磁石120のカートリッジ200側の端縁の幅、すなわち先端部122aの幅は、少なくともチャネル220内の各領域の最小幅よりも小さくなっている。これにより、磁石120で集められた複合体を、チャネル220に引っかかることなく円滑にチャネル220内で移動させることができる。
【0082】
磁石120は、永久磁石のみにより構成されてもよい。すなわち、磁石120は、上記のような永久磁石121と磁性体122とを合わせた形状を有する永久磁石により構成されてもよい。ただし、永久磁石121と磁性体122とにより磁石120を形成する方が、磁石120を簡易かつ精度よく形成できる。
【0083】
図5(a)に示すように、検出部140は、部材141と、反射部材142と、支持部143と、光検出ユニット144と、光調整部160と、を備える。部材141には、部材141を上下方向に貫通する孔141aが形成されている。反射部材142は、部材141に形成された孔141aに嵌め込まれて設置される。支持部143は、部材141の下面に設置されている。光検出ユニット144と光調整部160は、支持部143に設置されている。
【0084】
図5(b)、(c)に示すように、反射部材142は、上部に透明板142aが設置されている。透明板142aは、後述する光検出器144aを保護するための部材である。透明板142aによる光学作用は略無視できるため、以下に示す図では、便宜上、透明板142aの図示は省略する。反射部材142には、中央に上下方向に貫通する孔142bが形成されている。孔142bの水平面内における径は、鉛直下方向に進むにつれて小さくなる。反射部材142は、複合体がチャンバ216内の中央および端部の何れに位置している場合でも、チャンバ216内から生じた光を同程度だけ光検出器144aへと導くことができる。
【0085】
図6(a)は、
図5(a)に示す検出部140から部材141および反射部材142の図示を省略した状態を示している。
【0086】
図6(a)に示すように、光調整部160は、モータ161と板状部材162を備える。モータ161は、ステッピングモータにより構成される。板状部材162は、モータ161の駆動軸161aに設置されており、孔162a、162bを備える。孔162a、162bは、板状部材162を上下方向に貫通している。孔162bには、フィルタ部材162cが設置されている。フィルタ部材162cは、NDフィルタである。モータ161が駆動されると、板状部材162が駆動軸161aを中心として回転する。これにより、光検出ユニット144の光検出器144aの真上に、孔162aと、フィルタ部材162cと、板状部材162の孔162a、162b以外の領域162dとが、それぞれ位置付けられる。
【0087】
光検出ユニット144は、上面に光検出器144aを備える。光検出器144aの検出面144bは、板状部材162に対向する。光検出器144aは、チャンバ216に収容された被検物質を光学的に検出する。光検出器144aは、化学発光測定が可能に構成されればよく、たとえば光電子増倍管や光電管などにより構成される。光検出器144aは、光子すなわちフォトンに応じたパルス波形を出力する。光検出ユニット144は、内部に回路を備えており、光検出器144aの出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。
【0088】
図6(b)に示すように、カートリッジ200のチャンバ216から生じた光は、カートリッジ200の上側と下側に広がる。カートリッジ200の下側に広がった光は、反射部材142の孔142bを通り、光調整部160の孔162aまたはフィルタ部材162cを通り、光検出器144aにより受光される。カートリッジ200の上側に広がった光は、後述する蓋部102の板部材191により反射されてチャンバ216に戻り、同様に光検出器144aにより受光される。蓋部102の板部材191にミラーを設置して、カートリッジ200の上側に広がった光を反射させてもよい。
【0089】
図7に示すように、収容体150の外側面154は、収容体150の下側に位置し、水平面内において収容体150の中央に位置する。外側面154は、水平面に平行な面である。外側面154の中心には、上面151から外側面154までを上下方向に貫通する孔155の出口が形成されている。外側面154には、孔155の出口の周辺に凹部154aが形成されている。凹部154aは、鉛直上方向に見てリング状の外形を有する。また、孔155には、孔155の側方から外部へと通じる孔156が形成されている。
【0090】
モータ171は、ステッピングモータにより構成される。ステッピングモータは、回転速度は入力パルスの周波数に比例するため、広範囲の回転速度を実現できる、正確な位置決めができる、といったメリットがある一方、エネルギーの効率が悪いというデメリットをもつ。実施形態1では、モータ171は、密閉空間である暗室の外部に配置されるため、エネルギーの効率が悪く発熱しやすいというステッピングモータのデメリットを低減できる。実施形態1では、後述するように、モータ171は、カートリッジ200を所定の速度で回転させた際に生じる遠心力により、6つの液体収容部231に収容された試薬および液体収容部232に収容された試薬をチャンバ211〜216に移送する。また、実施形態1では、回転速度を所定の時間間隔で切り替えることにより、チャンバ内に収容された液体を攪拌する。また、後述するステップS102において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度は、複合体がチャンバ211に取り残されないよう、10mm/秒以下とするのが望ましい。このような状況では、特に、正確な位置決めや広範囲の回転速度を実現することが望まれるため、エネルギーの効率が悪く発熱しやすいというステッピングモータのデメリットを低減できるので、モータ171は、密閉空間である暗室の外部に配置されることは、特に好適である。
【0091】
エンコーダ172は、モータ171の下面に設置されており、モータ171の回転軸の回転を検出する。弾性部材173は、たとえば遮光性のポリウレタン樹脂で形成されており、弾性部材173の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。弾性部材173は、外側面154の凹部154aに嵌り込むリング状の外形を有する。モータ171は、孔155を塞ぐように外側面154に設置される。具体的には、外側面154に対向するモータ171の上面と外側面154との間に、孔155を囲むようにして、弾性部材173が凹部154aに配置される。そして、モータ171の上面が弾性部材173に押し付けられるようにして、モータ171が外側面154に装着される。これにより、孔155の下方が、弾性部材173とモータ171の上面とにより塞がれる。
【0092】
モータ171が外側面154に装着されると、続いて、孔156を介して、孔155の内部における機構の接続等が行われる。機構の接続等が終わると、孔156の出口の周囲に弾性部材174が設置され、蓋部材175により孔156が塞がれる。弾性部材174と蓋部材175は、遮光性を有するよう構成される。
【0093】
図8に示すように、設置部材110の突部115の内側に、板部材176と支持部材177が設置される。板部材176は、熱伝導性の高い金属により構成される。板部材176の下面には、後述するヒータ321が設置されている。板部材176とヒータ321には、
図3に示す設置部材110の孔111〜114に対応する位置に孔が設けられている。これらの孔を介して、
図8に示すように移動機構130と、検出部140と、温度センサ178とが、カートリッジ200の下面に直接的に対向する。温度センサ178は、設置部材110の下面側に設置されている。温度センサ178は、赤外線によりカートリッジ200の温度を検出する。
【0094】
支持部材177は、後述する設置部材310を介して、設置部材110の中心に設置される。支持部材177は、たとえば、ターンテーブルにより構成される。突部115と突部116との間には、弾性部材117が設置される。弾性部材117は、たとえば遮光性のポリウレタン樹脂で形成されており、弾性部材117の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。弾性部材117は、閉ループに構成されている。弾性部材117の上面は、弾性変形可能な接合面である。こうして組み立てられた設置部材110と収容体150が、筐体101aに設置され、本体部101が完成する。
【0095】
図8には、蓋部102を下側から見た状態が示されている。蓋部102は、設置部材180と、板部材191と、クランパ192と、撮像部193と、照明部194と、押圧部195と、を備える。
【0096】
設置部材180は、遮光性の樹脂で形成されており、設置部材180の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。設置部材180の突部181の内側に、板部材191とクランパ192が設置される。板部材191は、板部材176と同様、熱伝導性の高い金属により構成される。板部材191の上面には、後述するヒータ322が設置されている。設置部材180の下面と、板部材191と、ヒータ322には、撮像部193と、照明部194と、押圧部195に対応する位置に孔が設けられている。これらの孔を介して、撮像部193と、照明部194と、押圧部195とが、カートリッジ200の上面に直接的に対向する。撮像部193と、照明部194と、押圧部195は、設置部材180の上面に設置される。
【0097】
撮像部193は、カートリッジ200内の状態を撮像する。撮像部193は、小型カメラにより構成される。小型カメラは、たとえば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどを含む。照明部194は、撮像部193による撮影が行われる際に、カートリッジ200を照らす。照明部194は、たとえば発光ダイオードにより構成される。押圧部195は、封止体231a、232aを押圧することで、封止体231a、232aを開栓させる。押圧部195については、追って
図10(a)〜(c)を参照して説明する。
【0098】
クランパ192は、設置部材180の中心に設置される。設置部材180の下面には、閉ループの突部181が形成されている。突部181は、周方向に沿って下方向に突出している。設置部材180の下面には、突部181の外側に凹部が形成されており、この凹部に弾性部材182が設置される。弾性部材182は、たとえば遮光性のポリウレタン樹脂で形成されており、弾性部材182の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。弾性部材182は、閉ループに構成されている。弾性部材182の下面は、弾性変形可能な接合面である。
【0099】
組み立ての際には、蓋部102が、本体部101の設置部材110に対して開閉可能となるように設置されることにより、蓋部102が本体部101に設置される。なお、本体部101の筐体101aには、後述する換気部350が設置されている。換気部350については、追って
図12(a)、(b)を参照して説明する。
【0100】
図9は、回転軸311を通るYZ平面に平行な平面で切断したときの、分析装置100の断面を示す模式図である。
図9は、分析装置100に対してカートリッジ200が設置され、蓋部102が閉じられた状態を示している。上述したように、設置部材110の下面には、磁石120を保持する移動機構130と、検出部140とが設置されており、設置部材180の上面には、撮像部193と、照明部194と、押圧部195とが設置されている。
図9には、これら各部の配置位置に相当する位置が、破線で示されている。
【0101】
図9に示すように、モータ171の駆動軸171aは、モータ171が外側面154に設置されることにより、孔155の内部に延びている。孔155の上部には、設置部材310が設置されている。設置部材310は、上下方向に延びる回転軸311を回転可能に支持している。回転軸311は、孔155の内部において、固定部材312によりモータ171の駆動軸171aに対して固定されている。
【0102】
回転軸311の上部には、所定の部材を介して、カートリッジ200の下面を支持するための支持部材177が固定されている。モータ171が駆動され駆動軸171aが回転すると、回転駆動力は、回転軸311を介して支持部材177に伝達される。これにより、支持部材177に設置されたカートリッジ200が、回転軸311および駆動軸171aを中心として回転する。クランパ192は、支持部材177にカートリッジ200が設置され、蓋部102が閉じられると、カートリッジ200の上面の内周部分を回転可能な状態で押さえ付ける。
【0103】
板部材176の下面には、ヒータ321が設置されており、板部材191の上面には、ヒータ322が設置されている。ヒータ321、322は、発熱面が平面であり、発熱面がカートリッジ200に対して平行となるように配置されている。これにより、カートリッジ200を効率よく加温できる。板部材176、191には、それぞれ、
図13に示す温度センサ331、332が設置されている。温度センサ331、332は、それぞれ、板部材176、191の温度を検出する。
【0104】
ここで、後述する制御部301は、分析の際に、温度センサ331が検出する板部材176の温度と、温度センサ332が検出する板部材191の温度とが、所定の温度になるよう、ヒータ321、322を駆動する。制御部301は、温度センサ331、332の検出温度に基づいて、たとえばP制御、PD制御、PID制御といった制御方法により、ヒータ321、322を駆動する。これにより、カートリッジ200の温度が、所定の温度に維持される。実施形態1の所定の温度は、カートリッジ200内で反応が適正に進むよう、42℃とされる。このようにカートリッジ200の温度を一定に保つことは、免疫測定においては特に重要である。なお、制御部301は、温度センサ178の検出温度に基づいてヒータ321、322を駆動してもよい。
【0105】
移動機構130と検出部140は、
図9中に点線矢印で示すように、カートリッジ200に磁力を与え、カートリッジ200側から生じた光を受光する。したがって、カートリッジ200の下側において、設置部材110は、上下方向に光を容易に通す状態となっている。しかしながら、設置部材110の下方には収容体150が位置付けられているため、カートリッジ200の下方の空間と外部との間で、光の通過が防止される。
【0106】
蓋部102の設置部材180の上部には、筐体102aの内面との間に、遮光部材196が設置されている。遮光部材196は、遮光性の樹脂で形成されており、遮光部材196の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。遮光部材196の外周下面と、設置部材180の外周上面との間には、図示しない所定の弾性部材が設置される。所定の弾性部材は、たとえば遮光性のクロロプレンゴムおよびポリウレタン樹脂で構成されており、所定の弾性部材の色は、遮光性を高めるために黒色に設定されている。
【0107】
撮像部193と、照明部194と、押圧部195の設置位置において、設置部材180には孔が設けられているため、これらの部材の設置位置において上下方向に光が漏れ込む。したがって、カートリッジ200の上側において、設置部材180は、上下方向に光を通す状態となっている。しかしながら、設置部材180の上方には遮光部材196が位置付けられているため、カートリッジ200の上方の空間と外部との間で、光の通過が防止される。
【0108】
蓋部102が閉じられると、設置部材110の突部116が、設置部材180の弾性部材182の下面に押し付けられて密着する。設置部材180の突部181が、設置部材110の弾性部材117の上面に押し付けられて密着する。また、設置部材180の外周付近の下面には、面183が形成されており、蓋部102の内部の側方は、筐体102aで覆われている。これにより、カートリッジ200の側方の空間と外部との間で、光の通過が防止される。
【0109】
こうして、
図9の点線に示す暗室340が、遮光部により形成される。本体部101側の遮光部は、設置部材110の突部116、弾性部材117、設置部材110の外周部分、収容体150、モータ171の上面、弾性部材173、蓋部材175、および弾性部材174により構成される。蓋部102側の遮光部は、筐体102a、遮光部材196、設置部材180の面183、設置部材180の突部181、および弾性部材182により構成される。蓋部102が閉じられると、本体部101側の遮光部と、蓋部102側の遮光部が、カートリッジ200の側方において接合し、暗室340が遮光部により取り囲まれる。こうして、遮光部の内部に光が漏れ込むことが防止される。上記遮光部の構成は一例であり、遮光部を構成する部材等は上記に限らない。
【0110】
なお、
図3に示したように、収容体150の上面151および収容部152、153には、ケーブルを通すための孔が設けられている。これらの孔は、暗室340に開けられた孔となり得る。したがって、暗室340の内部と暗室340の外部との間で信号のやり取りを行うためのケーブル等を通すための孔は、暗室340を形成するために遮光部材により全て塞がれる。たとえば、孔の出口においてケーブルと孔との間の隙間を遮光するために、遮光テープ、遮光布地、熱収縮チューブ、グロメット、コーキング材などを用いることができる。これらの遮光部材の色は、遮光性を高めるために黒色に設定される。
【0111】
上記のように暗室340が形成されると、カートリッジ200を支持する支持部材177と、カートリッジ200と、光検出器144aの検出面144bが、暗室340内に配置されることになる。実施形態1では、磁石120と、移動機構130と、検出部140とが暗室340内に配置されている。これにより、チャンバ216における反応過程で生じる光が極めて微弱であっても、外部から暗室340内に光が入らなくなるため、反応で生じる光を光検出器144aにより精度よく検出できるようになる。よって、被検物質の分析精度を高めることができる。
【0112】
カートリッジ200は暗室340内に配置されているため、カートリッジ200にアクセスする必要のある磁石120が暗室340の外にあると、磁石120を通すために、暗室340を構成する遮光部材に孔を設ける必要がある。その場合、その孔は、単にケーブルを通すための孔とは異なり、比較的大きな孔となるため、簡単な構成で暗室340の高い遮光性を維持するのが難しい。一方、実施形態1では、カートリッジ200にアクセスする磁石120が暗室340内に配置されているため、磁石120が通るための孔を設ける必要がない。これにより、簡単な構成で、暗室340において、化学発光測定に必要な高い遮光性を維持できる。
【0113】
また、磁石120を動かす移動機構130が暗室340の外にあると、磁石120が暗室340の外にある場合と同じく、磁石120あるいは移動機構130を通すために、暗室340を構成する遮光部材に孔を設ける必要がある。その場合も、その孔は、単にケーブルを通すための孔とは異なり、比較的大きな孔となるため、簡単な構成で暗室340の高い遮光性を維持するのが難しい。移動機構130は、モータ135とモータ136を備えているが、モータ135とモータ136は、カートリッジ200を回転させるモータ171に比べて小さいモータである。本発明者らは、このように、磁石120を動かす程度の小さなモータであれば、暗室340内に配置したとしても、暗室340内に与える温度の影響は、モータ171に比べて小さいことを見出した。これにより、実施形態1では、移動機構130を、暗室340内に配置できるため、簡単な構成で、暗室340において、化学発光測定に必要な高い遮光性を維持できる。
【0114】
モータ171は、
図1(a)に示す構成と同様、電流が流れることにより発熱するコイルを備えている。ここで、モータ171の配置位置は、モータ171のコイルの位置によって示される。したがって、「モータ171が暗室340の外部に配置されている」という場合、少なくとも熱源となるコイルは暗室340の外部に位置付けられることになり、モータ171のコイル以外の部品、たとえば駆動軸171aは、
図9に示すように暗室340の内部に配置されていてもよい。
【0115】
上記のように、モータ171は、暗室340の外部に配置されている。ここで、モータ171は、カートリッジ200を回転させる際に励磁され、コイルから熱を発する。しかしながら、上記のように、熱源であるモータ171が密閉空間である暗室340の外部に配置されると、モータ171の熱によって暗室340の内部の温度が不安定になることを抑止できる。これにより、カートリッジ200の温度を所望の温度に維持できる。よって、カートリッジ200内の検体と試薬とを安定的に反応させることができる。
【0116】
図10(a)〜(c)に示すように、押圧部195は、設置部材361と、モータ362と、伝達ギア363a、363b、363cと、ネジ364と、移動部材365と、ピン部材366と、ローラ367と、バネ368と、を備える。
図10(a)〜(c)において、D1方向は、X軸正方向をZ軸を中心として時計回りに45°回転させた方向である。D2方向は、Y軸正方向をZ軸を中心として反時計回りに45°回転させた方向である。D3方向は、X軸正方向をZ軸を中心として反時計回りに45°回転させた方向である。D3方向は、径方向において外側に向かう方向である。
図10(b)、(c)は、
図10(a)に示す断面C1−C2をD3方向に見た側面図である。
【0117】
図10(b)に示すように、設置部材361は、蓋部102の設置部材180の上面に設置されている。
図10(a)に示すように、モータ362は、設置部材361に設置されている。モータ362は、ステッピングモータにより構成される。伝達ギア363a、363b、363cとネジ364は、D1、D2方向を回転の中心として回転可能となるよう、設置部材361に支持されている。伝達ギア363a、363bは、互いに噛み合っており、伝達ギア363b、363cは、互いに噛み合っている。モータ362の駆動軸362aは、伝達ギア363aに接続されており、ネジ364は、伝達ギア363cに接続されている。移動部材365は、ネジ364の回転に応じて、D1、D2方向に移動するようネジ364に支持されている。
図10(b)に示すように、移動部材365の下面側には、水平面に対して傾斜した平面からなるカム部365aが形成されている。
【0118】
図10(a)、(b)に示すように、設置部材361には、円柱形状の孔361aが形成されている。
図10(b)に示すように、ピン部材366は、胴部366aと、胴部366aの上端に形成された鍔部366bと、胴部366aの下端に形成された先端部366cと、を備える。胴部366aの形状は、Z軸方向に延びた円柱形状である。鍔部366bの形状は、胴部366aよりも径が大きく、孔361aの径とほぼ同じ円柱形状である。先端部366cの形状は、胴部366aよりも径が小さい円柱形状である。胴部366aは、孔361aの底面に設けられた孔と、この孔に対応するよう設けられた設置部材180、ヒータ322、および板部材191を貫通する孔とに通されている。
【0119】
ローラ367は、ピン部材366の上部に回転可能となるよう設置されている。ローラ367の形状は、円柱形状である。バネ368は、鍔部366bの下面と、孔361aの底面との間に設置されており、ピン部材366を鉛直上方向に押し上げる。
【0120】
このように押圧部195が構成されると、モータ362の駆動に応じて、駆動力が伝達ギア363a、363b、363cとネジ364に伝達される。これにより、移動部材365が、D1、D2方向に移動する。
図10(b)の状態から、移動部材365がD1方向に移動されると、カム部365aが、ローラ367に接触し、ローラ367を下方向に押し下げる。これにより、
図10(c)に示すように、ピン部材366が下方向に移動する。
図10(c)の状態から、移動部材365がD2方向に移動されると、カム部365aがローラ367から離れ、バネ368がピン部材366を上方向に押し上げる。これにより、ピン部材366の位置が、
図10(b)に示す状態に戻される。
【0121】
封止体231aを開栓する場合には、
図10(b)に示すようにピン部材366が上方に位置付けられた状態で、支持部材177によりカートリッジ200が回転され、封止体231aが、先端部366cの真下に位置付けられる。先端部366cの真下は、押圧部195が封止体231aを開栓する位置である。そして、モータ362が駆動され、
図10(c)に示すようにピン部材366が下方向に移動される。これにより、先端部366cの真下に位置付けられた封止体231aが、先端部366cにより上から押圧され、封止体231aが開栓される。封止体232aを開栓する場合も、封止体232aが先端部366cの真下に位置付けられ、封止体231aと同様、押圧部195による開栓の処理が行われる。
【0122】
このように、押圧部195による封止体231a、232aの開栓処理は、封止体231a、232aが先端部366cにより押圧されることにより行われる。開栓処理の際、封止体231a、232aは、先端部366cにより、たとえば10Nの力で上から押圧される。このように強い力がカートリッジ200に加えられると、カートリッジ200の位置ずれや意図しない撓みなどが生じるおそれがある。したがって、位置ずれや撓みを抑制するために、
図11(a)に示すように、カートリッジ200は、封止体231aの位置において支持部材177により下方から支持される。
【0123】
図11(a)は、支持部材177を上側から見た図である。
図11(a)には、支持部材177に設置されたカートリッジ200が、便宜上、破線で示されている。また、
図8に示す板部材176に設けられた孔を介して、カートリッジ200の下面に直接的に対向する移動機構130と検出部140の部分が、便宜上、破線で示されている。また、回転軸311と、ピン部材366の先端部366cとが、便宜上、破線で示されている。
【0124】
図11(a)に示すように、回転軸311から先端部366cまでの水平面内における距離は、r1である。言い換えれば、r1は、回転軸311から、カートリッジ200が押圧部195から押圧される位置まで至る距離である。支持部材177は、カートリッジ200を挟んで押圧部195と対向する位置に設けられている。具体的には、支持部材177は、少なくとも距離r1より大きい半径r2を有するターンテーブルであり、回転軸311側から、押圧部195と対向する位置まで設けられている。
【0125】
これにより、封止体231a、232aが開栓される際に、押圧部195が封止体231a、232aを押圧し、カートリッジ200に押圧力が加えられても、支持部材177が土台となってカートリッジ200を支えることになる。したがって、開栓時にカートリッジ200に位置ずれや破損が生じたりすることがなく、カートリッジ200は所定の位置に適正に支持される。よって、開栓動作によって測定精度が低下することが抑制される。
【0126】
なお、押圧部195により封止体231a、232aに強い力が加えられると、カートリッジ200を支持する支持部材177が、水平面に対して傾くことが考えられる。この場合、支持部材177を支持する回転軸311が傾くことにより、回転軸311に接続されたモータ171の駆動軸171aが傾き、モータ171が故障するおそれがある。しかしながら、実施形態1によれば、支持部材177を支持する回転軸311は、設置部材310を介して、設置部材110に支持されている。したがって、開栓時に封止体231a、232aに強い力が加えられても、支持部材177が傾くことが抑制され、モータ171の故障を防ぐことができる。
【0127】
なお、
図11(a)に示すように、支持部材177の半径r2は、上側から見て、支持部材177が、カートリッジ200の下面に直接的に対向する移動機構130と検出部140の部分に重ならないように設定される。これにより、カートリッジ200が支持部材177に設置された状態で、カートリッジ200に磁石120がアクセス可能になるため、一のチャンバ内で磁石120により集められた磁性粒子を、他のチャンバへと円滑に移送できる。また、カートリッジ200からの光が支持部材177により妨げられることがないため、検出部140による検出を適切に行うことができる。
【0128】
支持部材177の半径r2は、カートリッジ200の下面に対向する移動機構130と検出部140の部分に重ならない範囲で大きい値に設定されると、より安定的にカートリッジ200を支持できる。ただし、支持部材177の半径r2が大きくなると、支持部材177を回転させるモータ171の負荷が大きくなる。この場合、モータ171の回転時間を長くしたり、回転速度を頻繁に切り替えたりすると、モータ171が故障したり、モータ171の発熱量が増大したりするおそれがある。したがって、支持部材177の半径r2は、支持部材177が押圧部195からの押圧力を受ける位置をカバーする範囲で、なるべく小さい値に設定されるのが望ましい。
【0129】
なお、このように、支持部材177の半径r2がなるべく小さい値に設定されたとしても、支持部材が単にカートリッジ200を支持するだけの場合に比べて、支持部材177の面積と重量が増加する。この場合、支持部材177を駆動するモータ171が大型化し、モータ171の発熱量が増加する。しかしながら、上述したようにモータ171は暗室340の外部に配置されるため、モータ171の発熱が増大する場合でも、暗室340内部の温度が不安定になることを抑制でき、測定を適切に進めることができる。
【0130】
図11(b)に示すように、支持部材177の最外周部分の半径が、カートリッジ200の半径とほぼ同じ値に設定されてもよい。この場合、支持部材177には、たとえば、Z軸方向に支持部材177を貫通する3つの孔177aが設けられる。3つの孔177aの内側方向には、
図11(a)と同様、半径r2の内周部177bが設けられる。隣り合う2つの孔177aの間には、径方向に接続部177cが設けられる。3つの接続部177cにより、支持部材177の最外周に位置する外周部177dが支持される。
【0131】
ここで、上方に開放された移動機構130と検出部140の部分が、孔177aを介してカートリッジ200の下面に直接的に対向できるよう、孔177aの大きさが設定される。また、カートリッジ200が支持部材177に設置される際に、チャンバ211〜216とチャネル220が支持部材177に重ならないように、孔177aの大きさが設定される。
【0132】
図11(b)に示すように支持部材177が構成されると、
図11(a)の場合と同様、内周部177bにより封止体231a、232aの下方に位置するカートリッジ200の下面を支持できる。また、
図11(b)の場合、カートリッジ200の外周付近が外周部177dにより支持されるため、
図11(a)と比較して、安定的にカートリッジ200を支持できる。
【0133】
なお、カートリッジ200が支持部材177上の決められた位置に設置される場合には、
図11(a)に示す支持部材177の形状や、
図11(b)に示す内周部177bと外周部177dの形状は、必ずしも円形状でなくてもよい。
【0134】
図12(a)、(b)に示すように、本体部101の筐体101aの背面には、換気部350が設置されている。換気部350は、ファンにより構成される。換気部350は、収容体150の外側面154に設置されたモータ171により生じた熱を分析装置100の外部に放出させる。本体部101の筐体101aの底面は、足部により所定の間隔だけ設置面から離れている。筐体101aの前方の底面には、換気口101bが設けられている。換気部350が駆動されることにより、白抜きの矢印に示すように、換気口101bから取り込まれた空気が、モータ171を通り分析装置100の後方に排出される。なお、白抜きの矢印とは逆の方向に、換気部350の位置で外側から取り込まれた空気が、モータ171を通り換気口101bから排出されてもよい。
【0135】
平面視において、すなわち鉛直方向に見て、本体部101の輪郭は矩形形状であり、モータ171の輪郭も矩形形状である。そして、モータ171の角と、本体部101の角とが、平面視において互いにずれるように、モータ171が本体部101内に配置されている。また、平面視において、モータ171と本体部101の角との間の隙間に、光検出器144aを含む検出部140が配置されている。同様に、平面視において、モータ171と本体部101の他の角との間の隙間に、磁石120および移動機構130が配置されている。これにより、平面視における本体部101の形状をコンパクトにできるため、分析装置100を小型化できる。
【0136】
収容体150には、暗室340内に配置される部材を収容するための収容部152、153が形成されている。収容部152、153は、モータ171側の外側面を突出させた形状を有している。モータ171は、収容部152との間に隙間を空けて収容部152の側方に配置されており、収容部153との間に隙間を空けて収容部153の側方に配置されている。すなわち、モータ171は、外側面154に配置されている。このように収容部152、153の側方にモータ171を配置することで、分析装置100が高さ方向に大きくなることを回避できる。また、収容部152とモータ171との間に隙間があり、収容部153とモータ171との間に隙間があるため、この隙間において、
図12(a)、(b)に示すように空気を対流させることができる。よって、モータ171の熱を効果的に除去できる。
【0137】
収容部152、153が、互いに隙間を空けて収容体150に形成されている。モータ171は、収容部152と収容部153に挟まれるように配置されている。そして、換気部350は、収容部152、153の間の隙間に対向するように配置されている。これにより、収容部152、153の隙間を介して、モータ171の周囲に空気が通りやすくなるため、モータ171の熱を効果的に除去できる。
【0138】
換気部350は、モータ171と同じ高さの位置に、モータ171に対向するように配置されている。具体的には、
図12(b)に示すように、換気部350の位置とモータ171の位置とが、鉛直方向において重なった状態で、換気部350がモータ171に対して所定の間隔を開けて配置されている。なお、「対向する」とは、換気部350の回転軸とモータ171の駆動軸とが、平行である場合に限らず、
図12(a)、(b)に示すように、直交する場合をも含む。これにより、モータ171の周囲の空気を、分析装置100の外部に導きやすくなるため、モータ171で生じた熱を効率的に排熱できる。また、上述したようにモータ171が暗室340の外部に配置され、換気部350も暗室340の外部に配置されている。これにより、暗室340を形成する遮光部による遮光性を阻害することなく、暗室340内の温度の上昇を効果的に抑制できる。
【0139】
また、実施形態1では、後述する制御部301は、分析の開始指示を受け付けると、ヒータ321、322を駆動してカートリッジ200の温度を上昇させる。このとき、制御部301は、温度センサ178が検出したカートリッジ200の温度に基づいて、換気部350の動作を制御する。たとえば、制御部301は、カートリッジ200の温度が40℃に満たない場合には、換気部350を停止状態とし、カートリッジ200の温度が40℃を越えると、換気部350を駆動させる。こうすると、分析の開始指示が受け付けられた直後から換気部350が駆動される場合に比べて、カートリッジ200の温度が42℃に収束するまでの時間を短くでき、換気部350およびヒータ321、322の消費電力を抑制できる。
【0140】
図13に示すように、分析装置100は、上述したように、モータ135、136、161、171と、エンコーダ172と、ヒータ321、322と、温度センサ331、332、178と、光検出ユニット144と、換気部350と、撮像部193と、照明部194と、押圧部195と、を備える。また、分析装置100は、制御部301と、表示部302と、入力部303と、駆動部304と、センサ部305と、を備える。
【0141】
制御部301は、たとえば、演算処理部と記憶部を含む。演算処理部は、たとえば、CPU、MPUなどにより構成される。記憶部は、たとえば、フラッシュメモリ、ハードディスクなどにより構成される。制御部301は、分析装置100の各部から信号を受信し、分析装置100の各部を制御する。表示部302と入力部303は、たとえば、本体部101の側面部分や、蓋部102の上面部分などに設けられる。表示部302は、たとえば、液晶パネルなどにより構成される。入力部303は、たとえば、ボタンやタッチパネルなどにより構成される。駆動部304は、分析装置100内に配された他の機構を含む。センサ部305は、回転するカートリッジ200の所定の部位を検出するためのセンサと、モータ135、136、161によって原点位置に移動された機構を検出するためのセンサと、分析装置100内に配された他のセンサを含む。
【0142】
次に、
図14を参照して、分析装置100の動作について説明する。
【0143】
まず、オペレータは、被検者から採取された血液検体を開口241から注入し、カートリッジ200を支持部材177に設置する。血液検体中の被検物質は、たとえば、抗原を含む。一例として、抗原は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)である。被検物質は、抗原、抗体、または、タンパク質のうち、1または複数であってもよい。
【0144】
カートリッジ200の液体収容部231、232およびチャンバ211には、あらかじめ所定の試薬が収容されている。具体的には、チャンバ211の径方向に位置する液体収容部231には、R1試薬が収容されている。チャンバ211には、R2試薬が収容されている。チャンバ212の径方向に位置する液体収容部231には、R3試薬が収容されている。チャンバ213〜215の径方向に位置する液体収容部231には、洗浄液が収容されている。チャンバ216の径方向に位置する液体収容部231には、R4試薬が収容されている。液体収容部232には、R5試薬が収容されている。
【0145】
以下の制御において、制御部301は、モータ171に接続されたエンコーダ172の出力信号に基づいて、モータ171の駆動軸171aの回転位置を取得する。制御部301は、回転するカートリッジ200の所定の部位をセンサにより検出することで、カートリッジ200の周方向の位置を取得する。あるいは、支持部材177に対して、カートリッジ200が決められた位置に設置されてもよい。これにより、制御部301は、カートリッジ200の各部を周方向の所定の位置に位置付けることが可能となる。
【0146】
また、制御部301は、モータ135、136、161によって原点位置に移動された機構を検出するためのセンサの出力信号に基づいて、モータ135、136、161によって移動される各機構の位置を取得する。これにより、制御部301は、モータ135、136、161によって移動される機構、すなわち磁石120と板状部材162を、所定の位置に位置付けることが可能となる。
【0147】
ステップS11において、制御部301は、入力部303を介してオペレータによる開始指示を受け付け、ステップS12以降の処理を開始させる。
【0148】
ステップS12において、制御部301は、血漿と試薬をチャンバに移送する。具体的には、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、押圧部195を駆動して、押圧部195に対向する位置に位置付けられた6つの封止体231aを押し下げる。そして、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、領域243bに位置付けられた血漿をチャンバ211に移送し、6つの液体収容部231に収容された試薬をチャンバ211〜216に移送する。これにより、チャンバ211において、血漿と、R1試薬と、R2試薬とが混合される。チャンバ212には、R3試薬が移送され、チャンバ213〜315には、洗浄液が移送され、チャンバ216には、R4試薬が移送される。
【0149】
さらに、ステップS12において、血漿と試薬の移送が終わると、制御部301は、攪拌処理を行う。具体的には、制御部301は、所定の方向に回転させながら、異なる2つの回転速度を所定の時間間隔で切り替えるよう、モータ171を駆動する。たとえば、制御部301は、モータ171に印加する電流を所定の時間間隔で切り替えることにより、または、モータ171の駆動を所定の時間間隔でオンとオフに切り替えることにより、攪拌処理を行う。これにより、周方向に発生するオイラー力が所定の時間間隔で変化することで、チャンバ211〜216内の液体が攪拌される。このような攪拌処理は、ステップS12だけでなく、ステップS13〜S18においても移送処理後に同様に行われる。
【0150】
なお、制御部301は、所定の時間間隔でモータ171の回転方向を切り替えることにより、攪拌処理を行ってもよい。ただし、このようにモータ171が駆動されると、モータ171の負荷が大きくなる。したがって、上記のように、所定の方向に回転させながら、2つの回転速度を切り替えるようモータ171が駆動されるのが望ましい。
【0151】
ここで、R1試薬は、被検物質と結合する捕捉物質を含む。捕捉物質は、たとえば、被検物質と結合する抗体を含む。抗体は、たとえば、ビオチン結合HBsモノクローナル抗体である。R2試薬は、磁性粒子を液体成分中に含む。磁性粒子は、たとえば、表面がアビジンでコーティングされたストレプトアビジン結合磁性粒子である。ステップS12において、血漿と、R1試薬と、R2試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、被検物質とR1試薬は、抗原抗体反応により結合する。そして、抗原−抗体反応体と磁性粒子との反応により、R1試薬の捕捉物質と結合した被検物質が、捕捉物質を介して磁性粒子と結合する。こうして、被検物質と磁性粒子とが結合した状態の複合体が生成される。
【0152】
次に、ステップS13において、制御部301は、チャンバ211内の複合体を、チャンバ211からチャンバ212へ移送する。これにより、チャンバ212において、チャンバ211で生成された複合体と、R3試薬とが混合される。ここで、R3試薬は、標識物質を含む。標識物質は、被検物質と特異的に結合する捕捉物質と、化学発光のための標識とを含む。たとえば、標識物質は、捕捉物質として抗体が用いられた標識抗体である。ステップS13において、チャンバ211で生成された複合体と、R3試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、チャンバ211で生成された複合体と、R3試薬に含まれる標識抗体とが反応する。これにより、被検物質と、捕捉抗体と、磁性粒子と、標識抗体とが結合した複合体が生成される。
【0153】
ここで、ステップS13の処理について、
図15を参照して詳細に説明する。
図15のフローチャートは、
図14のステップS13を詳細に示すフローチャートである。以下の説明では、
図15を主として参照し、
図16(a)〜
図17(c)の状態遷移図を適宜参照する。
【0154】
ステップS12の処理が終わった時点では、
図16(a)に示すように、チャンバ211内で複合体が広がっている。ステップS101において、制御部301は、移動機構130を駆動して、磁石120をカートリッジ200に近付けて、
図16(b)に示すように、チャンバ211内に広がる複合体を集める。このとき、制御部301は、水平面内において、磁石120の先端部122aを、チャンバ211の周方向の中央、かつ、チャンバ211の径方向の外側寄りの領域に接近させる。
【0155】
実施形態1では、チャンバ211に収容される複合体を含む混合液は、チャンバ211の全容量に満たない量である。チャンバ211に収容される混合液が全容量に満たないと、チャンバ211内において混合液の存在する領域にバラつきが生じることが想定される。しかしながら、上述したように、チャンバ211において、被検物質と、R1試薬と、R2試薬とが混合された後、攪拌処理によりチャンバ211に遠心力が付与されると、混合液は、チャンバ211内において常に外側に偏った状態とされる。したがって、チャンバ211内の複合体を磁石120で集める場合に、磁石120の先端部122aを、チャンバ211内で偏った混合液の収容領域、すなわちチャンバ211の外側寄りの領域に位置付ければ、チャンバ211内の混合液中の複合体を確実に磁石120の位置に集めることができる。
【0156】
なお、チャンバ212〜215に収容される複合体を含む混合液も、それぞれ、チャンバ212〜215の全容量に満たない量である。したがって、チャンバ211の場合と同様に、磁石120を外側よりの領域に位置付ければ、チャンバ212〜215内の混合液中の複合体を確実に磁石120の位置に集めることができる。
【0157】
ステップS102において、制御部301は、移動機構130を駆動して、回転軸311に近付く方向に磁石120を移動させて、
図16(c)に示すように、チャンバ211に繋がる領域222と、領域221との接続部へ複合体を移送する。ステップS102において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度は、複合体がチャンバ211に取り残されないよう、10mm/秒以下とするのが望ましい。具体的には、たとえば0.5mm/秒とされる。移動機構130による磁石120の移動は、上記のような複合体の移動速度を実現できるように行われる。
【0158】
ステップS103において、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させて、
図17(a)に示すように、チャンバ212に繋がる領域222と、領域221との接続部へ複合体を移送する。ステップS103において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度も、ステップS102の場合と同様に設定される。モータ171によるカートリッジ200の回転は、上記のような複合体の移動速度を実現できるように行われる。
【0159】
ステップS104において、制御部301は、移動機構130を駆動して、回転軸311から離れる方向に磁石120を移動させて、
図17(b)に示すように、チャンバ212へ複合体を移送する。ステップS104において複合体をカートリッジ200に対して移動させる速度は、ステップS102と同様に設定される。ステップS105において、制御部301は、移動機構130を駆動して、磁石120をカートリッジ200から遠ざけて、
図17(c)に示すように、チャンバ212内に複合体を広がらせる。
【0160】
以上のように、ステップS101〜S105において、制御部301は、チャンバ211に対向する位置において磁石120をカートリッジ200に接近させた後、磁石120をカートリッジ200に接近させたまま、磁石120をチャネル220に沿って移動させて、チャンバ212に対向する位置に磁石120を位置付ける。その後、制御部301は、磁石120をカートリッジ200から離間させて、磁石120による複合体の集磁を解除する。これにより、複合体がチャンバ211とチャネル220に取り残されることを、確実に防ぐことができる。
【0161】
ステップS106において、制御部301は、上述した攪拌処理を行う。このとき、攪拌処理の前に複合体の集磁が解除され、複合体がチャンバ212内で広がっているため、チャンバ212内の液体の攪拌が確実に行われる。
【0162】
以上のようにして、
図14のステップS13の処理が行われる。なお、ステップS101〜S106に示す移送処理および攪拌処理は、後述するステップS14〜S17においても、同様に行われる。
【0163】
図14に戻り、ステップS14において、制御部301は、チャンバ212内の複合体を、チャンバ212からチャンバ213へ移送する。これにより、チャンバ213において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合される。ステップS14において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合され、攪拌処理が行われると、チャンバ213内で複合体と未反応物質とが分離される。すなわち、チャンバ213では、洗浄により未反応物質が除去される。
【0164】
ステップS15において、制御部301は、チャンバ213内の複合体を、チャンバ213からチャンバ214へ移送する。これにより、チャンバ214において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合される。チャンバ214においても、洗浄により未反応物質が除去される。
【0165】
ステップS16において、制御部301は、チャンバ214内の複合体を、チャンバ214からチャンバ215へ移送する。これにより、チャンバ215において、チャンバ212で生成された複合体と、洗浄液とが混合される。チャンバ215においても、洗浄により未反応物質が除去される。
【0166】
ステップS17において、制御部301は、チャンバ215内の複合体を、チャンバ215からチャンバ216へ移送する。これにより、チャンバ216において、チャンバ212で生成された複合体と、R4試薬とが混合される。ここで、R4試薬は、チャンバ212で生成された複合体を分散させるための試薬である。R4試薬は、たとえば緩衝液である。ステップS17において、チャンバ212で生成された複合体と、R4試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、チャンバ212で生成された複合体が分散される。
【0167】
ステップS18において、制御部301は、R5試薬をチャンバ216に移送する。具体的には、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、押圧部195を駆動して、押圧部195に対向する位置に位置付けられた封止体232aを押し下げる。そして、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、液体収容部232に収容されたR5試薬をチャンバ216に移送する。これにより、チャンバ216において、ステップS17で生成された混合液に、さらにR5試薬が混合される。
【0168】
ここで、R5試薬は、複合体に結合された標識抗体との反応により光を生じる発光基質を含む発光試薬である。ステップS18において、ステップS17で生成された混合液と、R5試薬とが混合され、攪拌処理が行われると、試料が調製される。この試料は、複合体に結合された標識物質と、発光基質とが反応することにより、化学発光する。具体的には、標識物質と発光基質との化学反応により分子が励起され、励起状態となった分子が基底状態に戻る際に光が放出される。なお、電気化学発光法に基づいて、標識物質が電気化学的に刺激されることにより、化学発光が行われてもよい。また、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)に基づいて、化学発光が行われてもよい。また、ルシフェリン・ルシフェラーゼによる生物発光が、化学発光として行われてもよい。
【0169】
ステップS19において、制御部301は、モータ171を駆動して、チャンバ216を光検出器144aの真上に位置付け、チャンバ216から生じる光を、光検出器144aにより検出する。ステップS20において、制御部301は、光検出器144aにより検出した光に基づいて、免疫に関する分析処理を行う。光検出器144aは、光子の受光に応じたパルス波形を出力する。光検出ユニット144は、光検出器144aの出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。制御部301は、光検出ユニット144から出力されたカウント値に基づいて、被検物質の有無および量などを分析し、分析結果を表示部302に表示させる。
【0170】
以上のように、複合体は、チャンバ211〜216において順番に移送される。このように複数のチャンバを介して複合体が移送されると、複合体がチャンバ211〜215およびチャネル220において取り残されやすくなる。しかしながら、上記のように磁石120を用いて確実に複合体が移送されると、複合体の取り残しを確実に防止できる。これにより、光検出器144aにより検出される光量の意図しない低下を抑制できる。よって、意図しない光量の低下による偽陰性を抑制できるため、高精度な検出を行うことができる。
【0171】
なお、磁性粒子としては、磁性を有する材料を基材として含み、通常の免疫測定に用いられる粒子であればよい。たとえば、基材としてFe
2O
3および/またはFe
3O
4、コバルト、ニッケル、フィライト、マグネタイトなどを用いた磁性粒子が利用できる。磁性粒子は、被検物質と結合するための結合物質がコーティングされていてもよいし、磁性粒子と被検物質とを結合させるための捕捉物質を介して被検物質と結合してもよい。捕捉物質は、磁性粒子および被検物質と相互に結合する抗原または抗体などである。
【0172】
また、標識物質は、被検物質と特異的に結合する捕捉物質と、化学発光のための標識とを含む。捕捉物質は、被検物質と特異的に結合すれば特に限定されない。実施形態1では、捕捉物質は、被検物質と抗原抗体反応により結合する。より具体的に、実施形態1では、捕捉物質は抗体であるが、被検物質が抗体である場合、捕捉物質は、その抗体の抗原であってもよい。また、被検物質が核酸である場合、捕捉物質は、被検物質と相補的な核酸であってもよい。化学発光のための標識としては、たとえば、アルカリホスファターゼ(ALP)、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどの酵素が挙げられる。化学発光として、電気化学発光をする場合、標識としては、電気化学的刺激により発光する物質であれば特に限定されないが、たとえばルテニウム錯体が挙げられる。
【0173】
また、標識が酵素である場合、酵素に対する発光基質は、用いる酵素に応じて適宜公知の発光基質を選択すればよい。発光基質としては、たとえば、ルミノール系の発光基質、ジオキセタン系の発光基質などが挙げられる。たとえば、酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合の発光基質としては、CDP−Star(登録商標)、(4−クロロ−3−(メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリクシロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質;p−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発光基質などが利用できる。
【0174】
次に、遮光部によって暗室340が適正に形成されているか、すなわち、暗室340内に向かう光が遮光部によって適正に遮光されているかについて、発明者らが行った検証について説明する。
【0175】
発明者らは、まず、所定の測定項目において試料から生じる光を、被検物質を含まない標準試料から生じる光と区別して検出する場合に、要求されるダークカウントの値を演算により算出した。以下の演算は3SD法に基づいて行われた。
【0176】
図18に示すように、所定の測定項目について測定を行った場合の平均カウント値をLOD
ave、その標準偏差をSD
LODとした。被検物質を含まない標準試料であるキャリブレータC0について測定を行った場合の平均カウント値をC0
ave、その標準偏差をSD
C0とした。暗室340内に漏れ込んだ光に基づくカウント値、すなわちダークカウントの値をN、その標準偏差をSD
dとした。SD
dは、(N/N
1/2)=N
1/2と表すことができる。
【0177】
所定の測定項目についての測定およびキャリブレータC0の測定を行った場合に、所定の測定項目の測定により得られるカウント値は、キャリブレータC0の測定により得られるカウント値よりも大きいことが求められる。このことを、測定におけるカウント値のばらつきと、ダークカウントの値Nによる影響とを考慮して式で表すと、以下の条件式(1)が得られる。
【0179】
条件式(1)は、言い換えれば、
図18に示すXの値が0よりも大きい必要があることを示している。条件式(1)を参照すると、ダークカウントの値Nが小さいほど、LOD
aveの値が小さくても条件式(1)が成立することが分かる。すなわち、ダークカウントの値Nが小さいほど、最小検出濃度を低く設定できるようになることが分かる。
【0180】
続いて、発明者らは、条件式(1)に、実際の装置による測定を想定した想定例1、2の値を代入し、ダークカウントの値Nの条件を算出した。
【0181】
想定例1では、化学発光に基づく測定項目である「TSH」を想定して、LOD
aveを219、SD
LODをLOD
aveの10%である22、C0
aveを70、SD
C0をC0
aveの10%である7とした。この結果、想定例1では、ダークカウントの値Nの条件として、N≦372個/(mm
2・秒)が取得された。したがって、測定項目「TSH」においては、N≦372個/(mm
2・秒)であれば、適正な測定を行うことができると言える。
【0182】
一方、想定例2では、化学発光により生じる光がさらに微弱な測定項目を想定した。すなわち、想定例2では、LOD
aveを150、SD
LODをLOD
aveの10%である15とした。C0
aveとSD
C0については、想定例1と同じである。この結果、想定例2では、ダークカウントの値Nの条件として、N≦53個/(mm
2・秒)が取得された。したがって、想定例2の測定項目においては、N≦53個/(mm
2・秒)であれば、適正な測定を行うことができると言える。
【0183】
続いて、発明者らは、分析装置100に基づく実機を用いて、通常使用環境下において、暗室340内に光が生じていないときの光検出器144aの出力信号に基づくフォトンのカウント値、すなわち、ダークカウントの値Nを実際に計測した。この結果、ダークカウントの値Nとして、4.0個/(mm
2・秒)が取得された。
【0184】
以上の検証から、分析装置100に基づく実機で得られたダークカウントの値Nは、実際の測定を想定した想定例1、2の条件をいずれも満たすことが分かった。したがって、分析装置100によれば、実際の測定を行う際にも十分に使用可能な暗室340を形成できることが分かる。
【0185】
次に、モータの発熱について発明者らが行った考察について説明する。
【0186】
図19(a)は、分析装置100で用いられるモータの稼働時間をまとめた表である。
【0187】
「1回目の試薬の移送まで」とは、ステップS11において分析装置100が開始指示を受け付けてから、分離部242において注入された血液検体が血球と血漿に分離され、
図14のステップS12において、遠心力が付与され、血漿、R1試薬、洗浄液、およびR4試薬の、チャンバ211〜216への移送が終わるまでの期間T1を示す。「R4試薬の攪拌まで」とは、ステップS12において攪拌処理が開始されてから、ステップS17において複合体がチャンバ216に移送され攪拌処理が終わるまでの期間T2を示す。「検出まで」とは、ステップS17において攪拌処理が終わってから、ステップS19において光検出処理が終わるまでの期間T3を示す。「合計時間」とは、各期間の長さのことである。各期間において、「モータの稼働時間」とは、駆動のためにモータが励磁されている時間のことである。時間の単位は、いずれも「分」である。
【0188】
図19(a)に示す表によれば、モータ171の稼働時間の合計は、10.4分であり、モータ135、136の稼働時間の合計は、5.0分であり、モータ161の稼働時間の合計は、0.02分である。また、全期間の21.5分間におけるモータ171の稼働時間の比率は、48.4%であり、全期間の21.5分におけるモータ135、136の稼働時間の比率は、23.3%であり、全期間の21.5分におけるモータ161の稼働時間の比率は、0.1%である。また、モータ171のワット数は、最大電流時に24V×1.5Aであり、モータ135、136のワット数は、いずれも最大電流時に24V×0.5Aであり、モータ161のワット数は、最大電流時に24V×0.3Aである。
【0189】
図19(a)に示す稼働時間および稼働比率と、各モータのワット数とから、モータ171の発熱量が最も大きくなることが分かる。しかしながら、実施形態1の構成によれば、発熱量が最も大きいモータ171が暗室340の外部に設けられているため、暗室340の内部の熱上昇を抑制して、暗室340内部の温度を安定させることが可能となる。
【0190】
次に、モータを暗室の内部に配置したときの温度変化について、発明者らが行った検証について説明する。この検証は、分析装置100の試作機を用いて行われた。この試作機では、検証用のモータ、カートリッジ、光検出器などが暗室に入れられ、カートリッジを載せているヒートブロックに温度センサが設置された。カートリッジはヒートブロックに載せられているため、温度センサの検出温度は、カートリッジの温度と略同じである。試作機の環境温度は40℃とされた。検証例1では、モータの励磁が常にオフとされ、検証例2では、モータの励磁が常にオンとされた。
【0191】
図19(b)に示すように、検証例1の場合、モータの励磁がオフであるため、カートリッジの温度は略上昇しなかった。一方、検証例2の場合、モータの励磁がオンであるため、時間の経過とともにカートリッジの温度が上昇し続けた。この結果から、暗室の内部にモータを入れて頻度よくモータを使用した場合、カートリッジの温度が上昇し、暗室内の温度を安定させることが困難になることが分かる。なお、ここで用いた検証用のモータは、実施形態1のモータ171よりも小型のモータである。したがって、モータ171を用いた場合、検証例2において、さらに温度の上昇が大きくなることが予想される。よって、実施形態1のように、モータ171が暗室340の外部に配置されていることは、カートリッジ200の温度を抑制するためには重要であると言える。
【0192】
また、実施形態1のモータ171よりも小型のモータを用いた場合でも、モータを励磁した時間が5分間以上になると、検証例1のグラフと検証例2のグラフとの乖離が出始める。そのため、実施形態1のように、モータ171が暗室340の外部に配置されていることは、1回の測定で、モータを励磁する時間が5分間以上の場合に、特に好適である。実施形態1では、
図19(a)に示されるとおり、モータ171の稼働時間は10.4分であるため、モータ171が暗室340の外部に配置されていることは特に好適である。
【0193】
次に、換気部350の効果について、発明者らが行った検証について説明する。この検証は、実際に分析装置100を用いて行われた。
【0194】
この検証では、検証の開始時に、モータ135、136、161、171の励磁か開始され、換気部350の駆動が開始された。各モータの励磁と換気部350の駆動は、その後も継続して行われた。なお、途中の期間Tでは、換気部350の駆動のみが一時的に停止された。このように各モータと換気部350の制御が行われながら、カートリッジ200の上面の径方向内側と、カートリッジ200の上面の径方向外側と、モータ171と、分析装置100の外部と、カートリッジ200の周辺について、それぞれ温度が計測された。なお、分析装置100は恒温槽の中に設置され、恒温槽の設定温度は35℃とされた。また、カートリッジ200の温度が42℃となるよう、ヒータ321、322が制御された。
【0195】
図20(a)は、この検証において、計測された各部の温度が、時間の経過とともに変化する様子を示している。
図20(b)は、
図20(a)において分析装置100の外部の温度変化を省略して、30℃〜55℃の範囲を示したものである。
【0196】
図20(a)に示すように、モータ171の温度は、開始から大きく上昇した。しかしながら、モータ171は、上述したように遮光部の外部に設置されているため、装置内部の温度は42℃付近に抑えられている。
図20(a)に示す結果から、分析装置100においては、モータ171が遮光部の外部に設置されていることが、温度上昇を抑制する上で重要であることが分かる。なお、
図20(b)に示すように、カートリッジ200の内側の温度は、カートリッジ200の外側の温度よりもやや高い。これは、カートリッジ200の内側の方が、外側に比べて、モータ171の温度が回転軸311を介して伝わりやすいためと考えられる。
【0197】
図20(b)に示すように、換気部350の駆動が停止された期間Tにおいて、カートリッジ200周辺の温度が跳ね上がっている。これは、換気部350によるモータ171の冷却が停止されたため、モータ171の熱が分析装置100の外部へ排出されず、排出されなかった熱が暗室340の内部に伝わったためと考えられる。このとき、カートリッジ200の温度は、カートリッジ200の周辺の急激な温度上昇に合わせて、緩やかに上昇している。検証では、換気部350の駆動を停止してから15分程度が経過した後、再び換気部350の駆動が開始されている。これにより、カートリッジ200の周辺の温度は急激に低下し、カートリッジ200の温度上昇も抑制されている。
図20(b)に示す結果から、換気部350を駆動することが、温度上昇を抑制する上で重要であることが分かる。
【0198】
なお、分析装置100では、カートリッジ200を回転させるために、24V×1.5Aのモータ171が用いられている。しかしながら、モータ171のワット数や、カートリッジ200を回転させる頻度によっては、モータ171から生じる熱が、
図20(a)に示すほど大きくない場合も考えられる。このような場合には、換気部350は必ずしも必須とはならない。すなわち、分析装置100では、温度上昇の抑制という観点から換気部350は好ましい構成ではあるものの、モータ171の設定および駆動等によっては、換気部350を省略することも可能である。
【0199】
<実施形態2>
実施形態1では、
図2(a)を参照して説明したように、蓋部102が開けられることにより、カートリッジ200が分析装置100に設置された。実施形態2では、
図21(a)に示すように、分析装置400の筐体401の前面に設けられた孔401aを介して外部に移動するトレイ402により、カートリッジ200が分析装置400の内部に設置される。
【0200】
トレイ402の前端には、遮光部材403が設置されている。遮光部材403の外形は、孔401aよりも一回り大きい。孔401aの出口の周辺には、遮光性を有する弾性部材404が設置される。トレイ402が内部に移動すると、遮光部材403と弾性部材404が孔401aを塞ぐ。分析装置400の他の構成については、実施形態1の分析装置100の具体的構成例と略同様である。
【0201】
実施形態2においても、実施形態1と同様、複合体の移送を確実に行うことができるため、分析装置400による被検物質の分析精度を高く維持できる。また、分析装置400内に外部から光が入らない暗室を形成できるため、被検物質の検出精度を高めることができる。
【0202】
<実施形態3>
実施形態3では、
図21(b)に示すように、支持部材177に代えて、支持部材510が配置され、カートリッジ200に代えて、カートリッジ520が用いられる。その他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
【0203】
支持部材510は、孔511と、3つの設置部512と、を備える。孔511は、支持部材510の中心に設けられている。支持部材510は、所定の部材を介して回転軸311に設置される。これにより、支持部材510は、回転軸311を中心として回転可能となる。設置部512は、周方向に3つ設けられている。設置部512は、面512aと孔512bを備える。面512aは、支持部材510の上面よりも一段低い面である。孔512bは、面512aの中央に形成されており、支持部材510を上下方向に貫通する。カートリッジ520は、矩形形状であり、カートリッジ200と同様の構成を有する。
【0204】
分析を開始する場合、オペレータは、カートリッジ200の場合と同様に、血液検体をカートリッジ520に注入し、カートリッジ520を設置部512に設置する。そして、実施形態1と同様、制御部301は、モータ171と、移動機構130と、検出部140とを駆動する。これにより、実施形態1と同様に、カートリッジ520内の複合体の移送が磁石120により確実に行われる。よって、実施形態1と同様に、分析装置100による被検物質の分析精度を高く維持できる。また、実施形態3では、3つの設置部512に、それぞれカートリッジ520を設置できるため、3つのカートリッジ520に対して同時に分析を行うことができる。
【0205】
<実施形態4>
実施形態1では、
図1(a)に示すように、受光ユニット70が暗室81の内部に配置されたが、受光ユニット70の一部が暗室81の内部に配置され、他の一部が暗室81の外部に配置されてもよい。
【0206】
図22(a)は、受光部70aが暗室81の内部に配置され、受光ユニット70の回路部70cが暗室81の外部に配置された例である。
図22(a)の例では、受光ユニット70の各部のうち、受光面70bを含む受光部70aが暗室81の内部に配置されている。
図22(b)は、
図22(a)において暗室81を形成する遮光部80に孔が設けられ、その孔の外側部分に受光部70aが設置された例である。
図22(b)の例では、受光ユニット70の各部のうち、受光面70bのみが暗室81の内部に配置されている。
図22(a)、(b)のいずれの場合も、受光面70bが暗室81の内部に配置されている。したがって、この場合も、外部の光が受光面70bに到達することを抑制できる。
【0207】
なお、
図22(a)、(b)に示す例において、実施形態1の具体的構成例と同様に、液体収容部と封止体がカートリッジ20に設けられる場合、それぞれ、
図23(a)、(b)に示すように、押圧部195に対応する押圧部90が暗室81の内部に設置される。この場合の押圧部90も、カートリッジ20の封止体を上から押圧するためのピン部材91を備える。そして、支持部材31は、回転軸32側から、カートリッジ20を挟んで押圧部90のピン部材91と対向する位置まで設けられる。これにより、
図23(a)、(b)に示す例おいても、押圧部90によりカートリッジ20に押圧力が加えられても、支持部材31が土台となってカートリッジ20を支えるので、開栓時にカートリッジ20に位置ずれや破損が生じたりすることが抑制される。よって、開栓動作によって測定精度が低下することが抑制される。
【0208】
<実施形態5>
実施形態1では、
図2(b)に示すように、チャンバ211〜216の形状は、円形状とされた。これに対し、実施形態5では、チャンバ211〜216の形状は、
図24(a)に示す形状とされる。その他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
【0209】
図24(b)、(c)は、
図24(a)に示すチャンバ213を拡大した図である。
図24(a)〜(c)において、チャンバ213のX軸正側に、カートリッジ200の孔201が位置する。すなわち、チャンバ213のX軸正側に、回転軸311が位置する。なお、チャンバ211、212、214〜216の構成は、チャンバ213と同様であるため、ここではチャンバ213の構成および効果のみを説明する。
【0210】
図24(b)に示すように、チャンバ213は、回転軸311の径の延長線に対して対称な形状である。チャンバ213は、回転軸311側においてチャネル220に連結されている。また、チャンバ213は、チャネル220との連結位置213aを挟む両側に、回転軸311側に突出した突部213bを備える。言い換えれば、チャンバ213は、連結位置213aのY軸正側とY軸負側に、それぞれX軸方向に突出した突部213bを備える。突部213bは、回転軸311側に突出した曲面である。突部213bの連結位置213a側の端部の延長線と、連結位置213aの中心を通る回転軸311の径の延長線とのなす角αは、90°より小さい。
【0211】
また、チャンバ213は、連結位置213aを挟む両側に、突部213bに接続された平面状の壁面213cをそれぞれ備える。壁面213cは、突部213bの連結位置213aと反対側の端部に繋がっている。具体的には、壁面213cは、Z軸方向に見て径方向すなわちX軸方向に延びている。また、チャンバ213は、2つの突部213bの間に、回転軸311側に突出した突部213dを備える。チャネル220は、突部213dに連結されている。また、チャンバ213は、径方向において回転軸311から離れる方向に位置する内壁213eを備える。内壁213eは、Z軸方向に見て円弧形状である。
【0212】
上記のようにチャンバ213が構成されると、以下のような効果が奏される。
【0213】
上述したようにカートリッジ200を回転させて、遠心力およびオイラー力を利用してチャンバ213内の液体を攪拌させた場合でも、2つの突部213bが障壁となって、チャンバ213内の液体がチャネル220との連結位置213aに進むことを抑止できる。すなわち、攪拌により液体がチャンバ213内で移動しても、
図24(c)に示すように、チャンバ213内の液体の端部が、突部213bによりチャンバ213内に留められる。これにより、攪拌時に、チャンバ213内の液体がチャネル220へと進入することを抑止できる。
【0214】
また、攪拌時にチャンバ213内の液体が大きく揺動された場合でも、
図24(c)に示すように、チャンバ213内の液体が突部213bにより受け止められ、さらにチャンバ213の内壁に沿って液体が移動することが抑制される。ここで、
図24(d)に示すように、チャンバ213に突部213bが設けられていない場合、チャンバ213内の液体が内壁に沿って移動し、液体の流れ方向の先端部が、点線矢印で示すように、遠心力によりX軸負方向に折れ曲がって、液体の他の部分に衝突してしまう。この場合、液体の衝突により液体が泡立ってしまう。しかしながら、チャンバ213に突部213bが形成されると、
図24(c)に示すように、チャンバ213内の液体が内壁に沿って進むことが抑制されるため、攪拌時におけるチャンバ213内の泡立ちを抑制できる。
【0215】
このように、攪拌時にチャネル220への液体の流入および泡立ちが抑制されると、チャンバ213内の磁性粒子を、取り残しなく次のチャンバへと移動できるため、適正な検出を行うことができる。
【0216】
また、攪拌時にチャネル220への液体の流入および泡立ちが抑制されると、攪拌時のカートリッジ200の回転速度を高めることができ、回転速度の切り替えの自由度を高めることができる。一方、このように回転速度を制御した場合は、モータ171からの発熱が増加することになる。しかしながら、モータ171は、上述したように暗室340の外部に配置されるため、モータ171の発熱が増加する場合でも、暗室340内の温度が不安定になることを抑制でき、測定を適切に進めることができる。
【0217】
チャンバ213には平面状の壁面213cが設けられている。これにより、攪拌時に液体が壁面213cに掛かる際に、壁面が曲面状に形成される場合に比べて液体の流れを変化させることができるため、チャンバ213内の液体を効果的に攪拌できる。また、
図24(d)に示すように、壁面が曲面状に形成される場合、液体の流れ方向の先端部が折れ曲がって、液体の他の部分に衝突しやすくなる。しかしながら、壁面213cは平面状に形成されているため、
図24(d)に示すような事態を抑制できる。よって、攪拌時にチャンバ213内の液体が泡立つことを抑制できる。
【0218】
なお、壁面213cは、径方向に延びるように形成されたが、径方向から傾いた方向に延びるように形成されてもよい。ただし、X軸正側の端部が互いに近づくように2つの壁面213cが径方向から傾けられた場合、チャンバ213内の液体をさらに効果的に攪拌できるが、
図24(d)に示す場合と同様、液体の衝突が起こりやすくなる。また、X軸正側の端部が互いに離れるように2つの壁面213cが径方向から傾けられた場合、液体の衝突が起こりにくくなるが、チャンバ213内の液体の攪拌効果が低下する。したがって、
図24(b)に示すように、2つの壁面213cは、径方向に延びるように形成されるのが望ましい。
【0219】
攪拌時にチャンバ213内の液体が大きく揺動して突部213bを乗り越えた場合も、乗り越えた液体は、突部213dに受け入れられるため、チャネル220へと進入しにくくなる。ここで、
図24(e)に示すように、チャンバ213に突部213dが設けられていない場合、大きく揺動した液体は、点線矢印で示すように、チャネル220へと進入してしまう。しかしながら、チャンバ213に突部213dが設けられると、攪拌時にチャンバ213内の液体がチャネル220に進入することを確実に抑制できる。
【0220】
突部213bは、回転軸311側に突出した曲面であるため、攪拌時に突部213bに磁性粒子が残ることを抑制できる。これにより、チャンバ213内の磁性粒子を、取り残しなく次のチャンバへと移動できる。チャンバ213は、回転軸311の径に対して対称な形状であるため、Y軸正方向およびY軸負方向の何れの方向においても、チャネル220への液体の流入および泡立ちを抑制できる。
図24(b)に示す角度αが90°より小さいため、突部213bの連結位置213a側の端部が障壁となって、攪拌時にチャネル220への液体の流入および泡立ちが確実に抑制される。
【0221】
チャンバ213の形状は、
図24(b)に示した形状に限らず、他の形状であってもよく、たとえば、
図25(a)〜(c)に示す形状であってもよい。
【0222】
図25(a)に示すチャンバ213には、
図24(b)と比較して、突部213bと突部213dとの間に直線部213fが設けられている。この場合、突部213bに受け止められた液体が、表面張力により直線部213fを伝って突部213dへと進みやすくなる。したがって、
図24(b)のように、突部213bと突部213dとが、連続的に設けられるのが望ましい。
【0223】
図25(b)に示すチャンバ213には、
図24(b)と比較して、突部213bと壁面213cが省略されている。この場合、チャンバ213内の液体が揺動されると、
図24(b)に比べて、チャンバ213内の液体がチャネル220に進入しやすくなる。しかしながら、
図24(e)と比較して、突部213dが設けられていることにより、チャンバ213内の液体がチャネル220に進入しにくくなる。
【0224】
図25(c)に示すチャンバ213には、
図24(b)と比較して、Y軸正側の突部213bと突部213dとの間に、さらに突部213gが設けられている。突部213gは、たとえば、空気を通すための流路やチャネル220以外の流路に連結される。
図25(c)に示す構成がチャンバ211に適用される場合、突部213dは、チャネル220に連結され、突部213gは、領域243bに連結される。
【0225】
なお、
図24(b)に示すチャンバ213において、突部213dに、空気を通すための流路やチャネル220以外の流路が連結されてもよい。他の流路を突部213dに連結させる場合、他の流路をチャネル220の領域222に連結させる場合に比べて、カートリッジ200の成形が容易になる。
【0226】
<実施形態6>
実施形態1では、液体収容部231、232に対して、径方向の1つの位置にのみ封止体が設けられた。これに対し、実施形態6では、液体収容部231、232に対して、径方向の異なる2つの位置に封止体が設けられる。具体的には、
図26(a)に示すように、液体収容部231の径方向の内側と外側の上面に、それぞれ封止体231a、231bが設けられ、液体収容部232の径方向の内側と外側の上面には、それぞれ、封止体232a、232bが設けられる。また、実施形態6の押圧部195は、
図26(b)〜
図27(b)に示すように構成される。実施形態6のその他の構成については、実施形態1の具体的構成例と同様である。
【0227】
実施形態6では、液体収容部231に収容された試薬を、この液体収容部231の外側に位置するチャンバに移送する際、制御部301は、まずモータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、液体収容部231内の試薬を液体収容部231内において外周側に位置付ける。続いて、制御部301は、押圧部195を駆動して、液体収容部231の外側に位置する封止体231bを開栓する。これにより、液体収容部231の内部とチャネル220とが連結される。続いて、制御部301は、押圧部195を駆動して、液体収容部231の内側に位置する封止体231aを開栓する。これにより、液体収容部231の内周側がカートリッジ200の外部と連結される。そして、制御部301は、モータ171を駆動してカートリッジ200を回転させ、遠心力により、液体収容部231内の試薬を、この液体収容部231の外側に位置するチャンバに移送する。
【0228】
液体収容部232に収容された試薬をチャンバ216に移送する際も、制御部301は、上記と同様に処理を行う。すなわち、制御部301は、カートリッジ200の回転、封止体232bの開栓、封止体232aの開栓、およびカートリッジ200の回転を、この順に行う。
【0229】
実施形態6では、液体収容部231内の試薬が封止体231a、231bにより液体収容部231内に密封され、液体収容部232内の試薬が封止体232a、232bにより液体収容部232内に密封されている。これにより、液体収容部231、232内の試薬が、カートリッジ200の使用前にチャネル220やチャンバ211〜216に流れることを抑止できる。また、液体収容部231、232内の試薬をチャンバに移送する際に、液体収容部231、232の内側と外側が開栓されるため、実施形態1に比べて、液体収容部231、232内の試薬を円滑にチャンバへと移送できる。
【0230】
また、封止体の開栓前に、あらかじめ液体収容部231、232内の試薬が外周側に位置付けられる。これにより、封止体の開栓後に、液体収容部231、232内の試薬を外側に位置するチャンバに円滑に移送できる。また、外側の封止体231b、232bを開栓した後、内側の封止体231a、232aが開栓される。これにより、液体収容部231、232内の試薬が内側に戻ることなく、液体収容部231、232内の試薬を外側に位置するチャンバに円滑に移送できる。
【0231】
次に、実施形態6の押圧部195について説明する。
【0232】
実施形態6の押圧部195は、移動部材365と、移動部材365に配置され各封止体をそれぞれ開栓するピン部材366を押圧方向に移動させる複数のカム部と、を備える。カム部は、所定の順序で各ピン部材366を駆動するよう、移動部材365の移動方向に異なる位置に配置されている。具体的には、押圧部195は、
図26(b)〜
図27(b)に示すように構成される。
【0233】
図26(b)に示すように、実施形態6では、実施形態1と比較して、径方向に2つのピン部材366が配置されている。具体的には、設置部材361に2つの孔361aが設けられており、2つの孔361aの位置に、それぞれピン部材366およびローラ367が設置されている。
図27(a)は、
図26(b)に示す断面C1−C2をD3方向に見た図である。
図27(b)は、
図26(b)に示す断面C3−C4をD3方向に見た図である。
図27(a)、(b)に示すように、2つの孔361aの位置に、それぞれピン部材366が設置されている。
【0234】
図27(a)、(b)に示すように、移動部材365の下面側には、水平面に対して傾斜した平面からなるカム部365b、365cが形成されている。カム部365bは、D3方向側のローラ367に対応する位置に形成されている。カム部365cは、D3方向と反対方向側のローラ367に対応する位置に形成されている。カム部365b、365cの位置は、D1、D2方向において互いに異なっている。具体的には、カム部365bは、カム部365cに比べて、D1方向に位置している。
【0235】
液体収容部231の封止体231a、231bを開栓する際には、制御部301は、カートリッジ200を回転させて、液体収容部231内の試薬を外側に寄せた後、封止体231a、231bを、それぞれ、D3方向と反対側のピン部材366の真下と、D3方向側のピン部材366の真下に位置付ける。
【0236】
そして、制御部301は、モータ362を駆動して、移動部材365をD1方向へ移動させる。このとき、
図27(a)、(b)に示す状態から移動部材365がD1方向に移動されると、カム部365bがカム部365cよりも先にローラ367に接触し、その後、カム部365cがローラ367に接触する。したがって、D3方向側のピン部材366が、D3方向と反対方向側のピン部材366よりも先に、下方向に移動する。これにより、上述したように、外側の封止体231bが先に開栓され、その後、内側の封止体231aが開栓されることになる。
【0237】
このように移動部材365の下面に異なるカム部365b、365cが設けられ、カム部365b、365cに対応するようにピン部材366が設けられると、移動部材365をD1方向に移動させるだけで、封止体231b、231aをこの順に開栓できる。なお、液体収容部232の封止体232a、232bについても、同様に開栓処理が行われる。この場合も、移動部材365をD1方向に移動させるだけで、封止体232b、232aをこの順に開栓できる。