特許第6914922号(P6914922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6914922鉄道車両用の受動液圧車輪セットステアリングシステムを備える走行装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914922
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】鉄道車両用の受動液圧車輪セットステアリングシステムを備える走行装置
(51)【国際特許分類】
   B61F 5/46 20060101AFI20210727BHJP
   B61F 5/42 20060101ALI20210727BHJP
   B61F 5/44 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   B61F5/46
   B61F5/42
   B61F5/44 B
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-515281(P2018-515281)
(86)(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公表番号】特表2018-534194(P2018-534194A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2016072932
(87)【国際公開番号】WO2017055255
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月3日
(31)【優先権主張番号】1517168.9
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511053632
【氏名又は名称】ボンバルディア トランスポーテイション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】デーデ ヤーニ
(72)【発明者】
【氏名】ブルンディッシュ フォルカー
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02762377(EP,A1)
【文献】 独国特許出願公開第03123858(DE,A1)
【文献】 米国特許第04640198(US,A)
【文献】 特開2007−190998(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/141387(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0312634(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1465524(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の走行装置(10)であって、
該走行装置(10)の中央横鉛直面(100)の前側及び後側にそれぞれ前輪セット(14)及び後輪セット(16)を含む少なくとも一対の車輪セット(14、16)であって、前記前輪セット(14)及び前記後輪セット(16)のそれぞれは、該走行装置(10)の中央縦鉛直面(200)の左側及び右側にそれぞれ左輪(18L、20L)及び右輪(18R、20R)を有する、一対の車輪セットと、
前記中央横鉛直面(100)に対して接近及び離遠する前記前輪セット(14)の前記左輪(18L)の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う左前部液圧機械変換器アセンブリ(28L)と、前記中央横鉛直面(100)に対して接近及び離遠する前記前輪セット(14)の前記右輪(18R)の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う右前部液圧機械変換器アセンブリ(28R)と、前記中央横鉛直面(100)に対して接近及び離遠する前記後輪セット(16)の前記左輪(20L)の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う左後部液圧機械変換器アセンブリ(30L)と、前記中央横鉛直面(100)に対して接近及び離遠する前記後輪セット(16)の前記右輪(20R)の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う右後部液圧機械変換器アセンブリ(30R)とを備える受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)と、
を備え、
前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記左前部液圧機械変換器アセンブリと前記右前部液圧機械変換器アセンブリと前記左後部液圧機械変換器アセンブリと前記右後部液圧機械変換器アセンブリとに液圧接続された制御弁アセンブリ(32)を更に備え、該制御弁アセンブリ(32)は、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記中央横鉛直面に対して接近又は離遠する前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪の移動と、前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪の前記移動から独立した、前記中央横鉛直面に対して接近又は離遠する前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪の移動とを可能にするために、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第1の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリから接続解除されるようにするものであり、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリのそれぞれは、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリのうちの少なくともそれぞれ一方に接続されることを特徴とする、走行装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、少なくとも前記制御弁アセンブリ(32)の前記第1の位置において、前記中央横鉛直面(100)に接近する前記前輪セット(14)の前記左輪及び前記右輪(18L、18R)のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面(100)から離遠する前記前輪セット(14)の前記左輪及び前記右輪(18L、18R)のうちの他方の動きをもたらし、前記中央横鉛直面(100)に接近する前記後輪セット(16)の前記左輪及び前記右輪(20L、20R)のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面(100)から離遠する前記後輪セット(16)の前記左輪及び前記右輪(20L、20R)のうちの他方の動きをもたらすようにするものである、走行装置。
【請求項3】
請求項2に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記中央横鉛直面(100)に接近する前記前輪セット(14)の前記左輪及び前記右輪(18L、18R)のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面(100)から離遠する前記前輪セット(14)の前記左輪及び前記右輪(18L、18R)のうちの他方の動きをもたらし、前記中央横鉛直面(100)に接近する前記後輪セット(16)の前記左輪及び前記右輪(20L、20R)のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面(100)から離遠する前記後輪セット(16)の前記左輪及び前記右輪(20L、20R)のうちの他方の動きをもたらすようにするものである、走行装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記中央横鉛直面(100)に対してそれぞれ接近及び離遠する前記前輪セット(14)のそれぞれ前記左輪及び前記右輪の移動が、前記中央横鉛直面(100)に対してそれぞれ接近及び離遠する前記後輪セット(16)のそれぞれ前記左輪及び前記右輪の移動をもたらすようにするものである、走行装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第1の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである、走行装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが互いから接続解除され、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いから接続解除されるようにするものである、走行装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである、走行装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記左後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記右前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである、走行装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記受動液圧車輪セットステアリングシステム(26)は、前記制御弁アセンブリ(32)の前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記右前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記左後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである、走行装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、前記前輪セット(14)の前記左輪及び前記右輪(18L、18R)は、共通の前輪車軸(22)に支持され、前記後輪セット(16)の前記左輪及び前記右輪(20L、20R)は、共通の後輪車軸(24)に支持される、走行装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の走行装置(10)であって、軸ばねによって前記一対の車輪セット(14、16)に支持された台車フレーム(12)を更に備える、走行装置。
【請求項12】
請求項10及び11に記載の走行装置(10)であって、前記前輪車軸(22)及び前記後輪車軸(24)のうちの少なくとも一方は、固定された鉛直回転軸の回りを前記前輪車軸(22)及び前記後輪車軸(24)のうちの前記一方を枢動させる機械的ピボットを介して前記走行装置(10)の前記フレーム(12)に枢動可能に接続される、走行装置。
【請求項13】
請求項10及び11に記載の走行装置(10)であって、前記走行装置(10)の前記フレーム(12)は、固定された鉛直回転軸の回りを前記前輪車軸(22)及び前記後輪車軸(24)のうちの前記一方を枢動させる機械的ピボットを伴わずに前記走行装置(10)の前記フレーム(12)に枢動可能に接続される、走行装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の複数の走行装置(10)を備える鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動液圧車輪セットステアリングシステムを備える鉄道車両の走行装置(running gear:ランニングギア)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている鉄道車両用の2軸台車(two-axle bogie)は、受動液圧車輪セットステアリングシステムを備える。この受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前輪セットの左輪を台車の中央横鉛直面に対して接近及び離遠(toward and away from)させる一対の左前部液圧シリンダーと、前輪セットの右輪を中央横鉛直面に対して接近及び離遠させる一対の右前部液圧シリンダーと、後輪セットの左輪を中央横鉛直面に対して接近及び離遠させる一対の左後部液圧シリンダーと、後輪セットの左輪を中央横鉛直面に対して接近及び離遠させる一対の右後部液圧シリンダーと、中央横鉛直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前輪セットのそれぞれ左輪及び右輪の移動が、中央横鉛直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前輪セットのそれぞれ左輪及び右輪の移動をもたらすことを確保する液圧接続部とを備える。換言すれば、前輪セット及び後輪セットのステアリングは、鉄道線路の急カーブをうまく通り抜けるために連係される。しかしながら、このシステムは、緩やかなカーブ又は直線の鉄道線路上では、実質的な利点を有せず、むしろ、摩耗及び横加速度を増加させる傾向があることから、有害とみなされている。
【0003】
特許文献2は、鉄道車両用の走行装置を開示している。この走行装置は、当該走行装置の中央横鉛直面の前側及び後側にそれぞれ前輪セット及び後輪セットを含む一対の車輪セットと、受動液圧車輪セットステアリングシステムとを備える。前輪セット及び後輪セットのそれぞれは、走行装置の中央縦鉛直面の左側及び右側にそれぞれ左輪及び右輪を有する。受動液圧車輪セットステアリングシステムは、中央横鉛直面に対して接近及び離遠する前輪セットの左輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う左前部液圧機械変換器アセンブリと、中央横鉛直面に対して接近及び離遠する前輪セットの右輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う右前部液圧機械変換器アセンブリと、中央横鉛直面に対して接近及び離遠する後輪セットの左輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う左後部液圧機械変換器アセンブリと、中央横鉛直面に対して接近及び離遠する後輪セットの右輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う右後部液圧機械変換器アセンブリと、左前部液圧機械変換器アセンブリと右前部液圧機械変換器アセンブリと左後部液圧機械変換器アセンブリと右後部液圧機械変換器アセンブリとに液圧接続された制御弁アセンブリとを備える。制御弁アセンブリは、それぞれが動作モードに対応する第1の位置、第2の位置及び第3の位置の間で移動可能である。第1の動作モードでは、走行装置の一方の側における各前部変換器は、2つの車輪セットがそれらのそれぞれの垂直軸の回りを反対方向に枢動するように走行装置の反対側における後部変換器に接続される。第2の動作モードでは、走行装置の一方の側における各前部変換器は、2つの車輪セットがそれらのそれぞれの垂直軸の回りを同じ方向に枢動するように走行装置の同じ側における変換器に接続される。第3の動作モードでは、各変換器は完全に切り離され、これは、車輪セットの枢動する動きが可能でないことを意味する。
【0004】
車両速度又は鉄道線路の湾曲角度等の一連のパラメーターに応じて異なるステアリング動作を提供することができる他のより高性能な能動車輪セットステアリングシステムが知られている。しかしながら、車輪セットをステアリングする動力を送達するポンプ又はモーターを伴うそのような能動システムは、特に、公共輸送機関における鉄道車両に必要とされている信頼性及び可用性の高度な基準を考慮すると、初期コスト及びメンテナンスの双方の点でより多くのコストを要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第3123858号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2762377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、単純さ及び低コストを引き続き維持する改良された車輪セットステアリング能力を有する走行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、鉄道車両の走行装置であって、
該走行装置の中央横鉛直面の前側及び後側にそれぞれ前輪セット及び後輪セットを含む少なくとも一対の車輪セットであって、前記前輪セット及び前記後輪セットのそれぞれは、該走行装置の中央縦鉛直面の左側及び右側にそれぞれ左輪及び右輪を有する、一対の車輪セットと、
受動液圧車輪セットステアリングシステムであって、
前記中央横鉛直面に対して接近及び離遠する前記前輪セットの前記左輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う左前部液圧機械変換器アセンブリと、前記中央横鉛直面に対して接近及び離遠する前記前輪セットの前記右輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う右前部液圧機械変換器アセンブリと、前記中央横鉛直面に対して接近及び離遠する前記後輪セットの前記左輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う左後部液圧機械変換器アセンブリと、前記中央横鉛直面に対して接近及び離遠する前記後輪セットの前記右輪の動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う右後部液圧機械変換器アセンブリと、
前記左前部液圧機械変換器アセンブリと前記右前部液圧機械変換器アセンブリと前記左後部液圧機械変換器アセンブリと前記右後部液圧機械変換器アセンブリとに液圧接続された制御弁アセンブリであって、該制御弁アセンブリは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記中央横鉛直面に対して接近又は離遠する前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪の移動と、前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪の前記移動から独立した、前記中央横鉛直面に対して接近又は離遠する前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪の移動とを可能にするために、前記制御弁アセンブリの前記第1の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリから接続解除されるようにするものであり、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリのそれぞれは、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリのうちの少なくともそれぞれ一方に接続される(wherein in the second position of the control valve assembly, each of the front left and right hydro-mechanical converter assemblies is connected to at least a respective one of the rear left and right hydro-mechanical converter assemblies)、受動液圧車輪セットステアリングシステムと、
を備える、走行装置が提供される。
【0008】
制御弁アセンブリの第1の位置では、前部液圧機械変換器アセンブリと後部液圧機械変換器アセンブリとの間に、液圧接続、すなわち、液圧流体又は圧力の伝達はない。したがって、中央横鉛直面に対して接近又は離遠する前輪セットの左輪及び右輪の移動は、中央横鉛直面に対して接近又は離遠する後輪セットの左輪及び右輪の移動から独立している。この第1の動作方式(modus)は、特に、直線の鉄道線路及び緩やかなカーブに適合している。制御弁アセンブリの第2の位置では、前輪セットの液圧機械変換器アセンブリと後輪セットの液圧機械変換器アセンブリとの間に圧力又は液圧流体の伝達がある。この第2の動作方式は急カーブに専用化される。液圧ステアリングシステムの構造は単純なものに保たれる。なぜならば、この構造は受動的であるからである。すなわち、ポンプもモーターも、液圧機械変換器アセンブリの動きに必要とされず、これらのアセンブリは、鉄道線路によって車輪に印加される外力の結果として移動されるからである。
【0009】
好ましくは、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、少なくとも前記制御弁アセンブリの前記第1の位置において、前記中央横鉛直面に接近する前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面から離遠する前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの他方の動きをもたらし、前記中央横鉛直面に接近する前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面から離遠する前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの他方の動きをもたらすようにするものである。好ましくは、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第1の位置において、前記中央横鉛直面に接近する前記前輪のうちの一方の前記動きが、前記中央横鉛直面から離遠する他方の前輪の前記動きと同じ大きさを有し、前記中央横鉛直面に接近する前記後輪のうちの一方の前記動きが、前記中央横鉛直面から離遠する他方の後輪の前記動きと同じ大きさを有するようにするものである。
【0010】
好ましい実施の形態によれば、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記中央横鉛直面に接近する前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面から離遠する前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの他方の動きをもたらし、前記中央横鉛直面に接近する前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの一方の動きが、前記中央横鉛直面から離遠する前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪のうちの他方の動きをもたらすようにするものである。前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、好ましくは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記中央横鉛直面に接近する前記前輪のうちの一方の前記動きが、前記中央横鉛直面から離遠する他方の前輪の前記動きと同じ大きさを有し、前記中央横鉛直面に接近する前記後輪のうちの一方の前記動きが、前記中央横鉛直面から離遠する他方の後輪の前記動きと同じ大きさを有するようにするものである。
【0011】
好ましくは、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記中央横鉛直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前記前輪セットのそれぞれ前記左輪及び前記右輪の移動が、前記中央横鉛直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前記後輪セットのそれぞれ前記左輪及び前記右輪の移動をもたらすようにするものである。好ましくは、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記中央横鉛直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前記前輪セットのそれぞれ前記左輪及び前記右輪の移動が、前記中央横鉛直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前記前輪セットのそれぞれ前記左輪及び前記右輪の同じ大きさの移動をもたらすようにするものである。
【0012】
好ましい実施の形態によれば、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第1の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである。
【0013】
1つの実施の形態によれば、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが互いから接続解除され、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いから接続解除されるようにするものである。
【0014】
代替的な実施の形態によれば、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右前部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記左後部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである。
【0015】
好ましくは、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記左後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記右前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである。
【0016】
1つの実施の形態によれば、前記受動液圧車輪セットステアリングシステムは、前記制御弁アセンブリの前記第2の位置において、前記左前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記右後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続され、前記右前部液圧機械変換器アセンブリ及び前記左後部液圧機械変換器アセンブリが互いに接続されるようにするものである。
【0017】
各液圧機械変換器アセンブリは、中央横鉛直面に対して接近又は離遠する関連した車輪の動きに起因する力学的(mechanical:機械的)エネルギーを液圧エネルギー変換することができるとともに、逆に液圧エネルギーを、関連した車輪を中央横鉛直面に対して接近移動又は離遠移動させる力学的エネルギーに変換することができる。各液圧機械変換器アセンブリは、1つ以上の複動液圧機械変換器、例えばシリンダー、及び/又は、1つ以上の単動液圧機械変換器、例えば単動シリンダーを備えることができる。好ましい実施の形態によれば、各液圧機械変換器アセンブリは、単一の複動液圧シリンダーからなる。別の好ましい実施の形態によれば、各液圧機械変換器アセンブリは、2つの複動液圧シリンダーからなり、一方は、前記中央横鉛直面に接近する前記関連した車輪の移動を液圧変換するためのものであり、他方は、前記中央横鉛直面から離遠する前記関連した車輪の移動を液圧変換するためのものである。
【0018】
1つの実施の形態によれば、前記制御弁アセンブリは、単一の2位置制御弁から構成されてもよい。ただし、2つ以上の弁を有する代替形態も可能である。前記制御弁アセンブリは、例えば、車両速度、横加速度、鉄道線路の曲率半径、車体に対する走行装置の位置を表すことができる信号又はこれらの変数のうちの1つ以上の関数とすることができる信号の関数として、任意の既知の電気制御手段、機械制御手段、空気圧制御手段、又は液圧制御手段によって作動させることができる。
【0019】
好ましい実施の形態によれば、前記前輪セットの前記左輪及び前記右輪は、共通の前輪車軸に支持され、前記後輪セットの前記左輪及び前記右輪は、共通の後輪車軸に支持される。前記車輪車軸は、ピボット(pivot)又は仮想鉛直枢動軸(imaginary vertical pivot axis)によって実現される固定された鉛直枢動軸を有していてもよい。代替的に、各車輪セットは、例えば、米国特許出願公開第2010/0294163号に開示されているように、共通の車軸を有しない個別の左輪及び右輪から構成することができる。
【0020】
好ましい実施の形態によれば、前記走行装置は、少なくとも2つの車輪セットを有する台車であり、軸ばねによって前記一対の車輪セットに支持された台車フレームを備える。
【0021】
1つの実施の形態によれば、前記前輪車軸及び前記後輪車軸のうちの少なくとも一方は、固定された鉛直回転軸の回りを前記前輪車軸及び前記後輪車軸のうちの前記一方を枢動させる(pivoting)機械的ピボットを介して前記走行装置の前記フレームに枢動可能に接続される(pivotally connected)。代替的に、前記走行装置の前記フレームは、固定された鉛直回転軸の回りを前記前輪車軸及び前記後輪車軸のうちの前記一方を枢動させる機械的ピボットを伴わずに前記走行装置の前記フレームに枢動可能に接続される。
【0022】
本発明の別の態様によれば、上に記載の複数の走行装置を備える鉄道車両が提供される。
【0023】
さらに、本発明の他の利点及び特徴は、単に非限定的な例として与えられているにすぎず、添付図面に表されている本発明の具体的な実施形態の以下の説明からより明瞭に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の動作モードにおける、本発明の第1の実施形態による鉄道車両の走行装置の概略説明図である。
図2】第2の動作モードにおける、本発明の第1の実施形態による走行装置の概略説明図である。
図3】第1の動作モードにおける、本発明の第2の実施形態による鉄道車両の走行装置の概略説明図である。
図4】第2の動作モードにおける、本発明の第2の実施形態による走行装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
対応する参照符号は、図のそれぞれにおける同じ部分又は対応する部分を参照する。
【0026】
図1及び図2を参照すると、鉄道車両の走行装置10、より具体的には台車は、軸ばね(図示せず)によって一対の前輪セット14及び後輪セット16上に支持された台車フレーム12を備える。前輪セット14及び後輪セット16は、走行装置10の中央横鉛直面100の前側及び後側にそれぞれ配置されている。前輪セット14は、走行装置10の中央縦鉛直面200の左側及び右側にそれぞれ左輪18L及び右輪18Rと、これらの左輪18L及び右輪18Rが取り付けられる(又は左輪及び右輪と一体化することができる)車軸22とを備え、後輪セット16は、走行装置10の中央縦鉛直面200の左側及び右側にそれぞれ左輪20L及び右輪20Rと、これらの左輪20L及び右輪20Rが取り付けられる(又は左輪及び右輪と一体化することができる)車軸24とを備える。各車軸22、24は、駆動車軸とすることもできるし、固定車軸(dead axle)とすることもできる。
【0027】
台車10には、受動液圧車輪セットステアリングシステム26が更に備えられている。この受動液圧車輪セットステアリングシステムは、中央横鉛直面100に対して接近及び離遠する前輪セット14の左輪18Lの動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う単一の複動シリンダーからなる左前部液圧機械変換器アセンブリ28Lと、中央横鉛直面100に対して接近及び離遠する前輪セット14の右輪18Rの動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う単一の複動シリンダーからなる右前部液圧機械変換器アセンブリ28Rと、中央横鉛直面100に対して接近及び離遠する後輪セット16の左輪20Lの動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う単一の複動シリンダーからなる左後部液圧機械変換器アセンブリ30Lと、中央横鉛直面100に対して接近及び離遠する後輪セット16の右輪20Rの動きの液圧エネルギーへの変換及びその逆の変換を行う単一の複動シリンダーからなる右後部液圧機械変換器アセンブリ30Rとを備える。
【0028】
受動液圧車輪セットステアリングシステム26は、制御弁アセンブリ32を更に備える。この制御弁アセンブリは、左前部液圧シリンダーと右前部液圧シリンダーと左後部液圧シリンダーと右後部液圧シリンダーとに液圧ラインによって液圧接続された単一の12ポート2位置制御弁32として示されている。より具体的には、各液圧シリンダーは、前部チャンバー及び後部チャンバーを備え、各チャンバーは、制御弁32のポートのうちの1つ又は2つに直接ラインによって接続されている。
【0029】
制御弁32は、図1に示す第1の位置と図2に示す第2の位置との間で移動可能である。
【0030】
図1における制御弁32の第1の位置では、左前部液圧シリンダー28L及び右前部液圧シリンダー28Rは、左後部液圧シリンダー30L及び右後部液圧シリンダー30Rから切り離され、2つの完全に独立した液圧回路、すなわち、前輪セット14の2つの液圧シリンダー28L、28Rの間の前部回路34Fと、後輪セット16の2つの液圧シリンダーの間の後部回路34Rとが形成される。より具体的には、前輪セット14の左液圧シリンダー28L及び右液圧シリンダー28Rの前部チャンバー(すなわち、図1における左に向かって台車10の前部に最も近いチャンバー)は互いに接続され、前輪セット14の左液圧シリンダー28L及び右液圧シリンダー28Rの後部チャンバー(すなわち、図1における右に向かって台車10の後部に最も近いチャンバー)は互いに接続され、後輪セット16の左液圧シリンダー30L及び右液圧シリンダー30Rの前部チャンバーは互いに接続され、後輪セット16の左液圧シリンダー30L及び右液圧シリンダー30Rの後部チャンバーは互いに接続されている。したがって、車輪18L、18Rと鉄道線路との間の接触力に起因して前輪セット14の左輪18L及び右輪18Rのうちの一方が中央横鉛直面100に接近する動きは、前輪セット14の左輪18L及び右輪18Rのうちの他方が中央横鉛直面100から離遠する連係された動きをもたらし、後輪セット16の左輪20L及び右輪20Rのうちの一方が中央横鉛直面100に接近する動きは、後輪セット16の左輪20L及び右輪20Rのうちの他方が中央横鉛直面100から離遠する動きをもたらす。
【0031】
図2における制御弁32の第2の位置では、左前部液圧シリンダー28L及び左後部液圧シリンダー30Lは、互いに接続されるとともに、右前部液圧シリンダー28R及び右後部液圧シリンダー30Rから接続解除され、右前部液圧シリンダー28R及び右後部液圧シリンダー30Rは、互いに接続される。2つの独立した液圧回路、すなわち、中央縦鉛直面200の左側における液圧シリンダー28L、30L用の左回路36Lと、中央縦鉛直面200の右側における液圧シリンダー28R、30R用の右回路36Rとが形成される。より具体的には、中央縦鉛直面200の左側における前輪セット14及び後輪セット16の液圧シリンダー28L、30Lの前部チャンバーは互いに接続され、中央縦鉛直面200の左側における前輪セット14及び後輪セット16の液圧シリンダー28L、30Lの後部チャンバーも同様である。同じことは右側にも当てはまる。これらの接続を用いると、前輪セット14のステアリングの動きは、後輪セット16のステアリングの動きと連係される。したがって、車輪18L、18Rと鉄道線路との間の接触力に起因して前輪セット14の車輪18Lが中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する動きは、後輪セット16の左輪20Lが中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する連係された動きをもたらし、前輪セット14の右輪18Rが中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する動きは、後輪セット16の右輪20Rが中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する動きをもたらす。
【0032】
制御弁32は、制御ユニット38に接続された電動弁である。この電動弁は、様々なセンサー40、例えば、GPSユニット、横加速度計、車両速度センサーから信号を受信して、図1における制御弁32の位置に対応する「直線」動作モードと、図2における制御弁32の位置に対応する「急カーブ」動作モードとの間で制御弁32を切り替えることができる。
【0033】
受動液圧車輪セットステアリングシステム26は、次のように動作する。図1の「直線」動作モードでは、前輪セット14及び後輪セット16は互いに独立している。前部液圧回路34Fは、中央縦鉛直面200に位置する前部仮想鉛直枢動軸の回りでの前輪セット14の左輪18L及び右輪18Rの連係された移動を可能にする。同様に、後部液圧回路34Rは、中央縦鉛直面200に位置し、上記前部仮想枢動軸から離間した後部仮想鉛直枢動軸の回りでの後輪セット16の左輪20L及び右輪20Rの連係された移動を可能にする。前部仮想鉛直枢動軸の回りの前輪セット14の回転動きは、後部仮想鉛直枢動軸の回りの後輪セット16の回転から独立しているので、各車輪セットは、緩やかなカーブでは、それ自体の最適な(わずかに過剰半径の(over-radial))位置を見出すことができる。
【0034】
「急カーブ」動作モードでは、左回路36Lは、中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する前輪18Lの動きが、中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する後輪20Lの同じ大きさ(amplitude:振幅)の連係した動きをもたらすように、前輪セット14の左輪18L及び後輪セット16の左輪20Lの連係した動きを可能にする。同様に、右回路36Rは、中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する前輪18Rの動きが、中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する後輪20Rの同じ大きさの連係した動きをもたらすように、前輪セット14の右輪18R及び後輪セット16の右輪20Rの連係した動きを可能にする。一方、左回路36L及び右回路36Fは、独立した状態にあり、これは、各車輪セット14、16の瞬時の動きが、仮想瞬時鉛直枢動軸(必ずしも中央縦鉛直面200に位置していない)の回りの回転と、中央横鉛直面100に対して接近又は離遠する縦方向における並進とを組み合わせたものとすることができることを意味する。自由度の数は、2つのモードにおいて同じであるが、「急カーブ」動作モードは、鉄道線路上を進む車輪の反動によって引き起こされる鉛直軸の回りの或る方向における前輪セット14の回転が、反対方向における後輪セット16の回転をもたらすことを確保する、前輪セット14と後輪セット16との間の連係を提供し、これは、急カーブにおいて有利である。
【0035】
一方の動作モードから他方の動作モードへの弁の切り替えは、ステアリング性能を損なうものではない。直線の鉄道線路又は緩やかなカーブから急カーブへの移行では、ステアリングシステムは、最初は「直線」動作モードにあり、車輪セットは、制御弁32が「急カーブ」動作モードに切り替えられる前に、わずかに過剰半径の位置において自由に枢動する。制御弁32が「急カーブ」動作モードに切り替えられると、前輪セット及び後輪セットのその後の回転は連係される。急カーブから直線鉄道線路に再び移行する際に、2つの車輪セット14、16は、ステアリングシステムが「急カーブ」動作モードから「直線」動作モードに再び切り替えられる前に直線位置に戻る。
【0036】
図3及び図4に示す走行装置10は、図1及び図2の走行装置と同様のものであり、繰り返しを避けるために、走行装置の構造の説明は、図1及び図2のものを参照されたい。双方のアセンブリの間の唯一の相違は、制御弁アセンブリ32と、左前部液圧シリンダー28L、右前部液圧シリンダー28R、左後部液圧シリンダー30L及び右後部液圧シリンダー30Rを連結する液圧ラインとにある。制御弁アセンブリ32は、単一の4ポート2位置制御弁又は4ポート3位置制御弁からなり、この制御弁は、前輪セット14の2つの液圧シリンダー28L、28Rの後部チャンバーと、後輪セット16の2つの液圧シリンダー30L、30Rの前部チャンバーとに接続されている。前輪セット14の左液圧シリンダー28L及び右液圧シリンダー28Rの前部チャンバーは、互いに永久接続されている。同様に、後輪セット16の左液圧シリンダー30L及び右液圧シリンダー30Rの後部チャンバーは、互いに永久接続されている。
【0037】
制御弁32は、図3に示す第1の位置と図4に示す第2の位置との間で移動可能である。
【0038】
図3における制御弁32の第1の位置では、左前部液圧シリンダー28L及び右前部液圧シリンダー28Rは、左後部液圧シリンダー30L及び右後部液圧シリンダー30Rから切り離され、2つの完全に独立した液圧回路が形成される。これらの液圧回路は、図1における回路、すなわち、前輪セット14の2つの液圧シリンダー28L、28Rの間の前部回路34F及び後輪セット16の2つの液圧シリンダーの間の後部回路34Rと機能的に同一である。
【0039】
図4における制御弁の第2の位置では、交差液圧回路42が形成される。前輪セット14の左液圧シリンダー28Lの後部チャンバーは、後輪セット16の右液圧シリンダー30Rの前部チャンバーと接続される一方、前輪セット14の右液圧シリンダー28Rの後部チャンバーは、後輪セット16の左液圧シリンダー30Lの前部チャンバーと接続される。前輪セット14の左液圧シリンダー28L及び右液圧シリンダー28Rの前部チャンバーは引き続き互いに接続され、後輪セット16の左液圧シリンダー30L及び右液圧シリンダー30Rの後部チャンバーは互いに接続されるので、この液圧システムは、1自由度のみ有する。すなわち、前輪セット14及び後輪セット16は、それらのそれぞれの仮想鉛直枢動軸の回りを反対方向にのみ回転することができる。
【0040】
制御弁32は、図3における制御弁32の位置に対応するとともに図1に関して論述した「直線」動作モードと同一である「直線」動作モードと、図4における制御弁32の位置に対応する「急カーブ」動作モードとの間で動作させることができる。
【0041】
「急カーブ」動作モードでは、前輪セット14の左液圧シリンダー28Lの前部チャンバーと右液圧シリンダー28Rの前部チャンバーとの間の直接接続は、中央横鉛直面100に対して接近(又は離遠)する前輪セット14の左輪18Lの動きが、中央横鉛直面100に対して離遠(又は接近)する前輪セット14の右輪18Rの同じ大きさの動きをもたらすことを確保する。したがって、前輪セット14の動きは、必然的に、中央縦鉛直面200に位置する前部仮想鉛直枢動軸の回りの回転動きとなる。同様に、後輪セット16の動きは、必然的に、中央縦鉛直面200に位置する後部仮想鉛直枢動軸の回りの回転動きとなる。前輪セット14及び後輪セット16の動きは、連係するが、逆になっている。すなわち、或る方向における前輪セット14の回転は、反対方向における後輪セット16の回転をもたらす。
【0042】
上記例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、様々な他の構成も考えることができることに留意されたい。
【0043】
第1の実施形態の一変形形態として、上記車輪セットのうちの一方は、固定された鉛直枢動軸を規定する機械的枢動接続(mechanical pivot connection)を介して台車フレームに機械的に接続されてもよい。この固定された枢動軸は、「直線」動作モードにおけるステアリングシステムの動作を変更しないが、「急カーブ」動作モードにおける車輪セットの並進動き(translation motions)を妨げる。車輪セットごとに1つの機械的枢動接続を設ける必要はない。なぜならば、「急カーブ」動作モードにおける前輪セット14及び後輪セット16の動きは、液圧で連係されるからである。
【0044】
制御弁32は、例えば、台車フレーム12に対して横方向に移動することが可能にされた慣性質量体を介して機械的に又は液圧で動作させることができる。
【0045】
各液圧機械変換器アセンブリ28L、28R、30L、30Rは、戻しばね付き又は戻しばねなしの2つの単動シリンダーから構成されてもよい。また、それらは、例えば、国際公開第2007/090825号に開示されているようなピストン変換器から構成されてもよい。
【0046】
制御弁アセンブリ32は、数個の弁から構成されてもよい。受動液圧車輪セットステアリングシステム26は、車輪セットのヨーイング移動を安定させる液圧減衰手段、例えば、制限部(restrictions:狭窄部)を備えてもよい。
【0047】
受動液圧車輪セットステアリングシステム26は、車輪セット14、16をステアリングするポンプを伴わない限りにおいて受動システムである。ただし、これは、液圧システムを液圧で切り離さなければならないことを意味するものではない。ポンプ及びタンクへの接続は、液圧回路における漏れを補償することが必要とされる場合がある。
【0048】
走行装置は、必ずしも台車ではない。液圧機械変換器アセンブリ28L、28R、30L、30Rは、例えば、台車フレームが介在することなく客車の台枠に直接固定することができる。
【0049】
受動液圧車輪セットステアリングシステム26は、2軸台車に適用されているが、他の種類の走行装置、特に、追加の中央のステアリング不能車軸を有する3軸台車も、このシステムから利益を受けることができる。
図1
図2
図3
図4