【実施例】
【0061】
実験
下記の実施例によって本発明をより完全に説明するが、これらの例は、本発明を説明するために記載されたものであり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。そうではないとの記載がない限り、すべての部及び百分率は、重量によるものであり、すべての重量百分率は、無水ベースで表されているが、これは、そうではないと指摘されていない限り、含水量を排除していることを意味する。
【0062】
[
実施例1]
様々な組み合わせの様々なコーティング材料が、NOx濃度を低減できる度合いを評価した。評価において使用されたコーティング材料は、表1に示されている。
【0063】
【表1】
【0064】
コーティング材料1及びコーティング材料2中に使用された塗料は、Maltbyら米国特許出願公開第2014/0322116号に記載の配合物であったが、この開示は、全体を参照により本明細書に組み込む。コーティング材料3中に使用された塗料は、SIGMACARE(R)Cleanair Matte(PPG Coatingsから入手可能)として市販されている。
【0065】
試験1及び8は、コンクリート上のコーティング材料1の層であった。
【0066】
試験2及び9は、コンクリート上のコーティング材料2の層であった。
【0067】
試験3及び10は、コンクリート上のコーティング材料3の層であった。
【0068】
試験4及び11は、コンクリート上のコーティング材料4の層であった。
【0069】
試験5及び12は、コーティング材料4の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料1の層であった。
【0070】
試験6及び13は、コーティング材料4の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料2の層であった。
【0071】
試験7及び14は、コーティング材料4の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料3の層であった。
【0072】
各試験試料は、約18cm
2の表面積を有しており、試験法は、Suntestチャンバ(Atlas Material Testing Solutionsから入手可能)を使用して実施された。最初の読取りを実施し、後続の読取りは、Suntestチャンバ内でエージングしてから200時間経った後、500時間経った後、800時間経った後、1100時間経った後、1400時間経った後、1700時間経った後ですすぎ前の時点及び1700時間経った後ですすぎ後の時点において、実施された。Suntestチャンバ内でのエージング中、550w/m
2において、250nm〜765nmのスペクトルの光に試料を晒した。評価のために、約0.7L/minでNOが流れているNOx分析装置に試料を入れた。読取りは、7.24W/m
2において蛍光(400nm〜750nmのスペクトル)を加えながら、6.63W/m
2において紫外光(290nm〜400nmのスペクトル)の影響下で実施された。EnviroTech NOx AnalyzerモデルT200を使用した。さらなるNOx分析装置が、Teledyne Technologies Incorporated、Altech Environment USA及びEmerson Process Management等から市販されている。NOx分析装置は、密封された試験チャンバ(例えば、石英管)、試験チャンバを照明するために構成された光源、NOガス供給源、NOガスを試験チャンバに送達するための管、NOxの存在を検出するために構成された分析装置、試験チャンバから分析装置に気体を送達するための管、浄化された空気(NOxを不含)の供給源、浄化された空気を試験チャンバに送達するための管、水蒸気を試験チャンバに送達するための場合による加湿機、バルブ及びポンプからなる。少なくとも、試験チャンバは、「暗所」における読取りを可能にするために、遮光性容器に入っている。各試験においては、NOx濃度の読取りが、光を加えることなく実施された後、やはり、光を加えて、光触媒条件下におけるNOxの低減を評価した。
【0073】
試験結果のデータは、下記の表2及び表3に提供されている。試験結果は、
図2及び
図3にグラフにより示されている。さらに、様々な試験試料のL
*値、a
*値及びb
*値が、表4〜表6に提供されている。NOx低減率%は、式1
[(D−L)/D]×100 式1
に従って計算されており、式中、Dは、暗所条件下で測定されたNO値とNO
2値との合計であり、Lは、光条件に晒されている間に測定されたNO値とNO
2値との合計である。
【0074】
試験法により、白色コーティング層を覆う透明なTiO
2ゾルの組み合わせは、平均して、改善されたNOxの低減をもたらすことが示された。このような改善は一般に、白色層のみからできたコーティング又は透明なTiO
2ゾルのみからできたコーティングとの比較で確認された。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
[
実施例2]
様々な組み合わせの様々なコーティング材料が、NOx濃度を低減できる度合いを評価した。評価において使用されたコーティング材料は、表7に示されている。
【0081】
【表7】
【0082】
コーティング材料5、コーティング材料6及びコーティング材料7中に使用された塗料は、Maltbyらの米国特許出願公開第2014/0322116号に記載の配合物であった。コーティング材料5〜7中に使用されたTIONA(商標)595は、Millennium Inorganic Chemicals Ltd.から入手可能である。コーティング材料8〜11は、ナノTiO
2が添加された又は添加されていない、一般のスチレンアクリル酸塗料を使用した。
【0083】
試験15及び29は、コンクリート上のコーティング材料5の層であった。
【0084】
試験16及び30は、コンクリート上のコーティング材料6の層であった。
【0085】
試験17及び31は、コンクリート上のコーティング材料7の層であった。
【0086】
試験18及び32は、コンクリート上のコーティング材料8の層であった。
【0087】
試験19及び33は、コンクリート上のコーティング材料9の層であった。
【0088】
試験20及び34は、コンクリート上のコーティング材料10の層であった。
【0089】
試験21及び35は、コンクリート上のコーティング材料11の層であった。
【0090】
試験22及び36は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料5の層であった。
【0091】
試験23及び37は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料6の層であった。
【0092】
試験24及び38は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料7の層であった。
【0093】
試験25及び39は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料8の層であった。
【0094】
試験26及び40は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料9の層であった。
【0095】
試験27及び41は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料10の層であった。
【0096】
試験28及び42は、コーティング材料12の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料11の層であった。
【0097】
各試験試料は、約18cm
2の表面積を有しており、試験法は、実施例1の場合と同様のSuntest Chamber内で実施された。最初の読取りを実施し、後続の読取りは、Suntestチャンバ内でエージングしてから100時間経った後、400時間経った後、900時間経った後ですすぎ前の時点、900時間経った後ですすぎ後の時点及び1200時間経った後において、実施された。Suntestチャンバ内でのエージング中、550w/m
2において、250nm〜765nmのスペクトルの光に試料を晒した。評価のために、約0.6L/minでNOが流れているNOx分析装置に試料を入れた。読取りは、7.24W/m
2の蛍光(400nm〜750nmのスペクトル)を加えながら、7.19W/m
2の紫外光(290nm〜400nmのスペクトル)の影響下で実施された。各試験においては、NOx濃度の読取りが、光を加えることなく実施された後、やはり、光を加えて、光触媒条件下におけるNOxの低減を評価した。
【0098】
試験結果のデータは、下記の表8及び表9に提供されている。試験結果は、
図4及び
図5にグラフにより示されている。さらに、様々な試験試料のL
*値、a
*値及びb
*値が、表10〜表12に提供されている。NOx低減率%を式1に従って計算した。試験法により、白色コーティング層を覆う透明なTiO
2ゾルの組み合わせは、平均して、改善されたNOxの低減をもたらすことが示された。このような改善は一般に、白色層のみからできたコーティングとの比較で確認された。
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】
【表11】
【0103】
【表12】
【0104】
[
実施例3]
様々な組み合わせの様々なコーティング材料が、NOx濃度を低減できる度合いを評価した。評価において使用されたコーティング材料は、表13に示されている。
【0105】
【表13】
【0106】
コーティング材料13及び14中に使用された塗料は、一般のスチレンアクリル酸塗料であった。コーティング材料15〜17中に使用された塗料は、Maltbyらの米国特許出願公開第2014/0322116号に記載の配合物であった。コーティング材料13及び15において、ナノTiO
2は、ナノTiO
2粒子に担持された状態のシリカコーティングを備えていた。コーティング材料14、16及び17において、ナノTiO
2粒子を、スラリー形態の塗料に添加した。
【0107】
試験43及び66は、コンクリート上のコーティング材料13の層であった。
【0108】
試験44及び67は、コーティング材料18の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料13の層であった。
【0109】
試験45及び68は、コーティング材料19の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料13の層であった。
【0110】
試験46及び69は、コーティング材料20の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料13の層であった。
【0111】
試験47及び70は、コンクリート上のコーティング材料14の層であった。
【0112】
試験48及び71は、コーティング材料18の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料14の層であった。
【0113】
試験49及び72は、コーティング材料19の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料14の層であった。
【0114】
試験50及び73は、コーティング材料20の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料14の層であった。
【0115】
試験51及び74は、コンクリート上のコーティング材料15の層であった。
【0116】
試験52及び75は、コーティング材料18の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料15の層であった。
【0117】
試験53及び76は、コーティング材料19の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料15の層であった。
【0118】
試験54及び77は、コーティング材料20の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料15の層であった。
【0119】
試験55及び78は、コンクリート上のコーティング材料16の層であった。
【0120】
試験56及び79は、コーティング材料18の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料16の層であった。
【0121】
試験57及び80は、コーティング材料19の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料16の層であった。
【0122】
試験58及び81は、コーティング材料20の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料16の層であった。
【0123】
試験59及び82は、コンクリート上のコーティング材料17の層であった。
【0124】
試験60及び83は、コーティング材料18の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料17の層であった。
【0125】
試験64及び84は、コーティング材料19の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料17の層であった。
【0126】
試験62及び85は、コーティング材料20の層によって被覆されたコンクリート上のコーティング材料17の層であった。
【0127】
試験63及び86は、コンクリート上のコーティング材料18のみからできたコーティング層であった。
【0128】
試験64及び87は、コンクリート上のコーティング材料19のみからできたコーティング層であった。
【0129】
試験65及び88は、コンクリート上のコーティング材料20のみからできたコーティング層であった。
【0130】
各試験試料は、約18cm
2の表面積を有しており、試験法は、実施例1の場合と同様のSuntest Chamber内で実施された。最初の読取りを実施し、後続の読取りは、Suntestチャンバ内でエージングしてから100時間経った後、250時間経った後、400時間経った後、700時間経った後、1000時間経った後及び1300時間経った後に実施された。Suntestチャンバ内でのエージング中、550w/m
2において、250nm〜765nmのスペクトルの光に試料を晒した。評価のために、約0.6L/minでNOが流れている50%の相対湿度のNOx分析装置に試料を入れた。読取りは、7.22W/m
2の蛍光(400nm〜750nmのスペクトル)を加えながら、6.63W/m
2の紫外光(290nm〜400nmのスペクトル)の影響下で実施された。各試験においては、NOx濃度の読取りが、光を加えることなく実施された後、やはり、光を加えて、光触媒条件下におけるNOxの低減を評価した。
【0131】
試験結果のデータは、下記の表14及び表15に提供されている。試験結果は、
図6〜
図9にグラフにより示されている。NOx低減率%を式1に従って計算した。試験試料の色の外観も、紫外光条件下の試験法の最中に評価した。試料の目視評価が、表16に提供されている。さらに、様々な試験試料のL
*値、a
*値及びb
*値が、表17〜表19に提供されている。試験法により、白色コーティング層を覆う透明なTiO
2ゾルの組み合わせは、平均して、改善されたNOxの低減をもたらすことが示された。このような改善は一般に、白色層のみからできたコーティング又は透明なTiO
2ゾルのみからできたコーティングとの比較で確認された。
【0132】
【表14】
【0133】
【表15】
【0134】
【表16】
【0135】
【表17】
【0136】
【表18】
【0137】
【表19】
【0138】
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
基体、
入射光の少なくとも約60%を反射するようになされた前記基体上の第1のコーティング層、及び
実質的に透明又は半透明であり、光触媒作用のある二酸化チタンを含む、前記第1のコーティング層を覆った第2のコーティング層を備える、積層構造体。
[2]
基体が、セメント質、木材、金属、メーソンリー、プラスチック、紙又は石膏である、[1]に記載の積層構造体。
[3]
第1のコーティング層が、塗料である、[1]に記載の積層構造体。
[4]
第1のコーティング層が、白系の可視色を有する、[1]に記載の積層構造体。
[5]
第1のコーティングの色が、約90超のL*値、約−5〜約+5のa*値及び約−2及び約+10のb*値によって規定されている、[1]に記載の積層構造体。
[6]
紫外光への100時間の曝露後、第1のコーティングの色が、95.0〜97.0のL*値、−1.50〜−0.50のa*値及び1.0〜4.0のb*値によって規定されるという条件、及び
紫外光への1300時間の曝露後、第1のコーティングの色が、95.0〜97.5のL*値、−1.00〜−0.45のa*値及び1.0〜2.5のb*値によって規定されるという条件
のうちの1つが、満たされている、[5]に記載の積層構造体。
[7]
第2のコーティング層が、約0.1重量%〜約30重量%の二酸化チタンを含む、[1]に記載の積層構造体。
[8]
光触媒作用のある二酸化チタンが、100nm未満の平均サイズを有する粒子の形態である、[1]に記載の積層構造体。
[9]
第1のコーティング層が、白色顔料を含む、[1]に記載の積層構造体。
[10]
第2のコーティング層が、NOxの酸化を触媒するようになされている、[1]に記載の積層構造体。
[11]
第1のコーティング層を覆う第2のコーティング層の組み合わせが、第2のコーティング層それ自体に比べて増加した速度にてNOxの酸化を触媒するのに有効である、[10]に記載の積層構造体。
[12]
増加した速度が、相乗効果に起因する、[11]に記載の積層構造体。
[13]
第1のコーティング層を覆う第2のコーティング層の組み合わせによるNOxの酸化が、第2の層それ自体によるNOxの酸化より少なくとも約10%大きい、[11]に記載の積層構造体。
[14]
基体構造の付近にあるNOxを除去する方法であって、
前記基体構造の表面の少なくとも一部に、入射光の少なくとも約60%を反射するようになされた第1のコーティング材料の層を備え付けること及び
実質的に透明又は半透明であり、前記基体構造の付近にあるNOxの少なくとも一部の酸化を触媒するのに有効な量の光触媒作用のある二酸化チタンを含む、第2のコーティング材料の層を、前記第1のコーティング材料の前記層を覆うように設けること
を含む、方法。
[15]
基体構造が、立体駐車場又は道路構造である、[14]に記載の方法。
[16]
光触媒作用のあるTiO2材料によってNOxの低減を改善する方法であって、
前記光触媒作用のあるTiO2材料を含む透明又は半透明な層を、入射光の少なくとも約60%を反射するようなされたある材料からできたさらなる層と、前記透明又は半透明な層が前記さらなる層の上に覆うように組み合わせることを含み、
前記さらなる層を覆う前記透明又は半透明な層の組み合わせが、前記透明又は半透明な層それ自体に比べて増加した速度にてNOxの酸化を触媒するのに有効である、
方法。
[17]
増加した速度が、相乗効果に起因する、[16]に記載の方法。
[18]
前記さらなる層を覆う透明又は半透明な層の組み合わせによるNOxの酸化が、透明又は半透明な層それ自体によるNOxの酸化より少なくとも約10%大きい、[16]に記載の方法。
[19]
第1のコーティング層又はある材料からできたさらなる層が、白系の可視色を有する、[14]又は[16]に記載の方法。
[20]
第1のコーティング層又はある材料からできたさらなる層が、約90超のL*値、約−5〜約+5のa*値及び約−2〜約+10のb*値によって規定された色を有する、[14]又は[16]に記載の方法。
[21]
紫外光への100時間の曝露後、第1のコーティング層又はある材料からできたさらなる層の色が、95.0〜97.0のL*値、−1.50〜−0.50のa*値及び1.0〜4.0のb*値によって規定されるという条件、及び
紫外光への1300時間の曝露後、第1のコーティング層又はある材料からできたさらなる層の色が、95.0〜97.5のL*値、−1.00〜−0.45のa*値及び1.0〜2.5のb*値によって規定されるという条件
のうちの1つが、満たされている、[20]に記載の方法。
数多くの本発明の修正形態及び他の実施形態が、上記の記述において提供された教示の利益を受ける、本発明が属する分野の当業者によって想到される。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定すべきでなく、修正形態及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に含まれるように意図されていることを理解すべきである。本明細書において、特定の用語が採用されているが、これらの用語は、一般的な説明用の意味においてのみ使用されており、限定を目的として使用されているわけではない。