特許第6914950号(P6914950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914950
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】B型肝炎ウイルスに対するワクチン
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20210729BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20210729BHJP
   C07K 14/08 20060101ALI20210729BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20210729BHJP
   C12N 15/40 20060101ALI20210729BHJP
   C12N 15/36 20060101ALI20210729BHJP
   C12N 15/64 20060101ALI20210729BHJP
   C12N 7/02 20060101ALI20210729BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20210729BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20210729BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20210729BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20210729BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210729BHJP
   C07K 14/02 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   C12N15/86 ZZNA
   C12N7/01
   C07K14/08
   C07K19/00
   C12N15/40
   C12N15/36
   C12N15/64 Z
   C12N7/02
   A61P31/20
   A61K35/76
   A61P37/04
   A61K39/29
   A61P1/16
   C07K14/02
【請求項の数】19
【全頁数】136
(21)【出願番号】特願2018-541546(P2018-541546)
(86)(22)【出願日】2016年11月3日
(65)【公表番号】特表2018-536433(P2018-536433A)
(43)【公表日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】EP2016076591
(87)【国際公開番号】WO2017076988
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/250,639
(32)【優先日】2015年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518408774
【氏名又は名称】ホオキパ バイオテック ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】トーマス モナス
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン コーエン
(72)【発明者】
【氏名】ベラ バウムガルトル‐ストラッセル
【審査官】 西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−507536(JP,A)
【文献】 特表2013−501038(JP,A)
【文献】 特開平10−084967(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/082570(WO,A1)
【文献】 Sebastien F Emonet ,PNAS,2009年,106(9),p.3473-3478
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
C07K 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
A61L 27/00
B33Y 50/00
G06Q 50/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Sセグメント内のアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするアレナウイルスオープンリーディングフレーム(ORF)が除去され、かつ
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBVポリメラーゼタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
:からなる群から選択されるヌクレオチド配列に置き換えられている、感染性アレナウイルスウイルスベクター。
【請求項2】
前記プレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片が、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
前記HBcタンパク質又はその抗原性断片が、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、
HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体が、配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
前記HBeタンパク質又はその抗原性断片が、配列番号26のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のウイルスベクター。
【請求項3】
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBVポリメラーゼタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
:のうちの少なくとも2つ又は3つを含む、請求項1記載のウイルスベクター。
【請求項4】
前記ヌクレオチド配列の発現が、タンパク質複合体構成要素の個別発現よりも高力価の中和抗体を誘発する抗原性タンパク質複合体を産生する、請求項3記載のウイルスベクター。
【請求項5】
前記アレナウイルスが、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、フニンウイルス、又はピチンデウイルスであり、任意に、前記感染性アレナウイルスウイルスベクターをコードするゲノム情報が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13株、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスMP株、又はフニンウイルスCandid #1株に由来する、請求項1〜4のいずれか一項記載のウイルスベクター。
【請求項6】
前記ウイルスベクターがゲノムセグメントを含み、ここで、該ゲノムセグメントが、
a.配列番号11のヌクレオチド1639〜3315又は配列番号12の1640〜3316の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列、又は
b.そのアミノ酸配列が、配列番号11のヌクレオチド1639〜3315又は配列番号12の1640〜3316によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列
を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のウイルスベクター。
【請求項7】
前記アレナウイルスの増殖又は感染力が前記ヌクレオチド配列によって影響されない、請求項1〜6のいずれか一項記載のウイルスベクター。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項記載のウイルスベクターを含む、医薬組成物又は免疫原性組成物又はワクチン。
【請求項9】
患者におけるB型肝炎ウイルス感染の治療又は予防のための、請求項1〜7のいずれか一項記載のウイルスベクター、又は、請求項8記載の医薬組成物又は免疫原性組成物又はワクチンであって、任意に、該ウイルスベクター又は医薬組成物又は免疫原性組成物又はワクチンが、筋肉内注射又は静脈内注射に好適であり、任意に、該ウイルスベクター又は医薬組成物又は免疫原性組成物又はワクチンが、該患者における肝臓損傷の低下をもたらし、及び任意に、該ウイルスベクター又は医薬組成物又は免疫原性組成物又はワクチンが、該患者の血液中のHBsAg、HBeAg、及びHBcAgレベルのうちの1つ又は複数の低下、又は、該患者の血液中のHBV抗原に対する抗体のレベルの低下をもたらす、前記ウイルスベクター又は医薬組成物又は免疫原性組成物又はワクチン。
【請求項10】
単離された核酸であって、該核酸がアレナウイルスゲノムセグメントを含み、ここで、該ゲノムセグメントのSセグメント内のアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントが:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBVポリメラーゼタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
のうちの1つ又は複数を含む、前記単離された核酸。
【請求項11】
感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを作製するための請求項10記載の核酸の使用であって:
a.宿主細胞に、請求項10記載の核酸をトランスフェクトすること;
b.該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
c.該感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを回収すること;
を含み、
ここで、該宿主細胞が、前記アレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするオープンリーディングフレームを発現し、及び任意に、該使用が、工程a.において、該宿主細胞に:第二のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA、Lタンパク質ORFを含む核酸、及び/又はNPタンパク質ORFを含む核酸をトランスフェクトすることをさらに含む、前記使用。
【請求項12】
感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであって、Sセグメント内のアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするアレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつHBV抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列に置き換えられており、ここで、対象への該アレナウイルスウイルスベクターの投与が、該HBV抗原又はその抗原性断片に対する長期持続性免疫応答を誘導し、任意に、該長期持続性免疫応答が、任意に少なくとも最低4週間、HBV抗原又はその抗原性断片に対する検出可能な抗体力価を誘導し、及び任意に、該長期持続性免疫応答が、該HBV抗原又はその抗原性断片に対する抗体力価を、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%増大させる、前記感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター。
【請求項13】
感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない第一の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであって、Sセグメント内のアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするアレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつ:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBVポリメラーゼタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
からなる群から選択される第一のヌクレオチド配列に置き換えられている、前記第一の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、並びに感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない第二の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであって、Sセグメント内のアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするアレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつ:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBVポリメラーゼタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
からなる群から選択される第二のヌクレオチド配列に置き換えられている、前記第二の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを含む、医薬組成物であって、任意に、該第一のヌクレオチド配列と該第二のヌクレオチド配列が異なる、前記医薬組成物。
【請求項14】
(i)前記第一のヌクレオチド配列が、前記HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片をコードし、前記第二のヌクレオチド配列が:
前記HBV HBcタンパク質又はその断片;
前記HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの断片の融合体;
前記HBV HBeタンパク質又はその断片;又は
前記HBVポリメラーゼタンパク質又はその断片
をコードするか、
(ii)前記第一のヌクレオチド配列が、前記HBV HBeタンパク質又はその断片をコードし、前記第二のヌクレオチド配列が:
前記HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの断片の融合体;又は
前記HBV HBcタンパク質又はその断片
をコードするか、又は
(iii)前記第一のヌクレオチド配列が、前記HBVポリメラーゼタンパク質又はその断片をコードし、前記第二のヌクレオチド配列が:
前記HBV HBeタンパク質又はその断片;
前記HBV HBcタンパク質又はその断片;又は
前記HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの断片の融合体
をコードする、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物が筋肉内投与又は静脈内投与に好適である、請求項13〜14のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記第一のアレナウイルスウイルスベクターがLCMVに由来し、前記第二のアレナウイルスウイルスベクターがフニンウイルス又はピチンデウイルスに由来するか、又は、前記第一のアレナウイルスウイルスベクターがフニンウイルス又はピチンデウイルスに由来し、前記第二のアレナウイルスウイルスベクターがLCMVに由来する、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記アレナウイルスが、複製欠損性であり、かつ感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができないか、又は
前記アレナウイルスが、複製可能である、
請求項1〜7のいずれか一項記載のウイルスベクター。
【請求項18】
前記アレナウイルスが2分節型である、請求項1〜712、又は17記載のウイルスベクター。
【請求項19】
前記ウイルスベクターが、3分節型であり、かつ、複製可能であかつ、アレナウイルスORFが、該ORFの野生型位置以外の位置にある、請求項1〜7のいずれか一項記載のウイルスベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/250,639号の恩典を主張する。
【0002】
(電子的に提出された配列表に対する言及)
本出願は、2016年11月2日に作成された、128,899バイトのサイズを有する、「Sequence_Listing_13194-014-228.TXT」というタイトルのテキストファイルとして本出願とともに提出された配列表を引用により組み込む。
【背景技術】
【0003】
(1.序論)
本明細書に提供されるのは、B型肝炎ウイルス感染の予防及び治療のためのワクチンとして好適な遺伝子改変アレナウイルスベクターである。また本明細書に提供されるのは、B型肝炎ウイルス感染の治療のための医薬組成物及び方法である。具体的に、本明細書に提供されるのは、B型肝炎ウイルス感染を治療する医薬組成物、ワクチン、及び方法である。したがって、本出願は、B型肝炎ウイルス感染に対する免疫療法を提供する。
【0004】
(2.背景)
(2.1 病原体及び疾患)
B型肝炎ウイルス(HBV)は、ヘパドナウイルス科の二本鎖エンベロープウイルスである。ウイルス粒子は、外側の脂質エンベロープとタンパク質から構成される正二十面体ヌクレオカプシドコアとからなる。ヌクレオカプシドは、ウイルスDNAと逆転写酵素活性を有するDNAポリメラーゼとを封入している。外側のエンベロープは、感受性細胞へのウイルスの結合及び進入に関与する埋め込まれたタンパク質を含む。HBVはヒト及び他の高等類人猿の肝細胞で複製するが、人工細胞培養物中では増殖しない。
【0005】
HBV感染の転帰は年齢依存的であり、無症候性感染、急性B型肝炎、慢性HBV感染、肝硬変、及び肝細胞癌(HCC)を含む。急性B型肝炎は、周産期感染の約1%、幼少期感染(1〜5歳の子供)の10%、及び後期感染(5歳より上の人)の30%で起こる。劇症肝炎は、急性肝炎症例の0.1〜0.6%で発症し;劇症B型肝炎による死亡率は約70%である。慢性HBV感染の発症は、獲得年齢と逆の関係にあり、周産期に感染した人の約80〜90%、6歳より前に感染した子供の約30%で起こり、感染の5%未満は、その他の点では健康な成人で起こる(Hyamsらの文献、1995, Clinical Infections Diseases 20:992-1000)。HIV同時感染及びアルコールもしくはアフロトキシン(aflotoxin)又はその両方の摂取を含む共存症は、B型肝炎に関連する病的状態の発症において重要な役割を有し得る。全世界でHIVに感染している4000万人のうちの10%がHBVに重感染していると推定される。
【0006】
慢性HBV感染を有する人は、HBV関連の肝硬変及びHCCのために早死にするリスクが15〜25%ある(Beasley及びHwangの文献、1991、ウイルス性肝炎及び肝疾患に関する1990年の国際シンポジウムの会報:現在の問題及び将来の展望(Proceedings of the 1990 International Symposium on Viral Hepatitis and Liver Disease: Contemporary Issues and Future Prospects)、532-535)。急性HBV感染は、HBVの表面抗原であるHBsAg、及びコア抗原HBcAgに対する免疫グロブリンM(IgM)抗体の存在によって特徴付けられる。感染の初期の高複製期に、患者は、患者の血清中に見出すことができる細胞外及び分泌型のHBcAgであるHBeAgに対する血清反応も陽性である。このHBeAgは、慢性肝炎における活発な複製のマーカーとしての役割を果たす。HBsAgに対する抗体(抗HBs)は、数週間後に認められ、HBsAgのクリアランスが後に続く。慢性感染は、HBsAgの持続性(6カ月超)によって特徴付けられる(HBeAgの同時発生の有無を問わない)。HBsAgの持続性は、後の人生で慢性肝疾患及びHCCを発症するリスクの第一のマーカーである。HBeAgの存在は、感染した個体の血液及び体液が極めて接触伝染性であることを示す。
【0007】
(2.2 疫学及び公衆衛生)
B型肝炎ウイルスによって引き起こされる疾患は世界中に分布している。20億人がある時期にHBVに感染していると推定される。これらのうち、約3億6000万人が慢性感染しており、主に、肝臓の肝硬変及び肝細胞癌(HCC)による、重篤な疾病及び死のリスクに曝されている。2000年についての数学モデリングにより、HBV関連疾患による死亡数が全世界で毎年約600,000人と推定された(Goldsteinらの文献、2005, International J. Epidemiology 34:1329-1339)。ヒトは、HBVの唯一の保有宿主である。このウイルスは、感染した血液及び他の体液、主に、精液及び膣内液への経皮及び経粘膜暴露によって伝播する。潜伏期間は平均75日であるが、約30日〜180日と変動し得る。HBVの表面抗原(HBsAg)は、感染から30〜60日後に、血清中で検出することができ、かつ様々に変化する期間、持続することができる。B型肝炎の地域的流行は、特定の地理的地域の一般集団におけるHBsAgの普及率によって説明され、これは、世界全体で見るとかなり異なっており: 8%超のHBsAg普及率は発生頻度が高い地域に特有であり、2〜7%の普及率は発生頻度が中程度の地域に見られるが、発生頻度の低い地域では、集団の2%未満がHBsAg陽性である。
【0008】
発生頻度が高い地域では、HBVは、出産時に母親から子供に、又は幼少期に人から人に広がるのが最も一般的である(Goldsteinらの文献、2005, International J. Epidemiology 34:1329-1339; Wongらの文献、1984, Lancet 1:921-926; de la Hozらの文献、2008 International J. Infectious Diseases 12:183-189)。周産期又は幼少期の伝播は、発生頻度の低い地域における慢性感染の3分の1超を占める場合もあるが(Margolisらの文献、1995, JAMA 274:1201-1208)、これらの環境では、性感染と、特に、注射による薬物使用者の間での汚染した注射針の使用とが主要な感染経路である(Goldsteinらの文献、2002, J. Infectious Diseases 185:713-719)。
【0009】
(2.3 現在の治療)
広く行われているB型肝炎ワクチン接種は、HBV感染及びHCCの割合を顕著に低下させることが示されている。しかしながら、ひとたび慢性HBV感染が定着すると、従来的な療法は、通常、大部分の患者でウイルス複製及び肝損傷の持続的な制御をもたらさないので、治療は、依然として、難題を突き付ける。
【0010】
現在承認されている慢性B型肝炎の抗ウイルス治療には、ペグ化(PEG)組換えインターフェロン-α及びウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤が含まれる。これら薬剤はウイルス複製を減少させ、肝硬変の進行を遅延させ、HCCの発生を低下させ、長期生存を改善することが示されている。しかしながら、治療は、薬剤の毒性によって複雑化し、慢性感染個体のごく一部しか治癒させることができない。血液中のウイルスレベルは、標準療法を受けている個体でほぼ検出不可能なレベルに激減するが、肝内ウイルスDNAの低下はわずかでしかない。結果として、治療の中断後に、ウイルス血症の逆戻りがしばしば起こり、慢性HBV感染を有する人は、生涯にわたる治療を続けなければならない。しかしながら、抗ウイルス療法を施してから10年後でさえも、薬物は、肝不全を40〜70%しか低下させず、肝硬変及び肝臓癌による死亡率は高いままである。
【0011】
(2.4 B型肝炎及び免疫系)
慢性B型肝炎感染は、自然及び適応抗ウイルス免疫の機能不全を特徴とする(Bertoletti及びFerrariの文献、2012, Gut 61:1754-1764)。対照的に、HBV感染が消散した患者におけるHBV特異的免疫は強力かつ多機能である。いくつかの機構は、高レベルのウイルス抗原血を含む、慢性B型肝炎患者におけるHBV特異的T細胞免疫の機能不全、及び肝臓の寛容化微小環境の一因となり得る(Jenne及びKubesの文献、2013, Nat. Immunol. 14:996-1006)。過去の研究により、ウイルス複製の抑制が抗ウイルスT細胞免疫を一時的にかつ部分的に回復することができることが示されており、これにより、高レベルの抗原血に対する長期暴露が抗ウイルスT細胞の機能不全を引き起こし得るという仮定が支持される(Boniらの文献、2003, J. Hepatol. 39:595-605)。
【0012】
慢性B型肝炎の機能不全の免疫状態を逆転させ、抗ウイルス免疫を回復することができる治療的ワクチンは、理論上、ウイルス血症を消失させ、HBV DNAの肝内レベルをゼロに低下させ、したがって、HBVの治療にかなり有望である可能性がある。
【0013】
最近、HBVワクチンは、HBV保有者及び持続感染患者におけるHBV感染の治療及び制御に対する有望な治療戦略として特定されている(Michel及びTiollaisの文献、2010, Pathol. Biol.(Paris) 58:288-295; Liuらの文献、2014, Virol. Sin. 29:10-16)。慢性活動性HBV患者の約50%において、従来の抗HBVワクチン接種による特異的療法は、HBVの複製を効果的に低下させ、HBsAgタンパク質に対する免疫寛容を阻害した(Couillinらの文献、1999, J. Infect. Dis. 180:15-26)。しかしながら、これまで、HBsAgベースのワクチンを用いた単剤療法は、HBV複製及び/又は肝損傷の持続的制御をもたらさず(Akbarらの文献、2013, Hepatobiliary Pancreat. Dis. Int. 12:363-369)、新しい治療戦略は、強力かつ永続的な抗ウイルス免疫応答とHBV複製の長期制御とを提供する必要がある。
【0014】
過去の治療的ワクチン手法の失敗は、慢性HBV感染における免疫応答に関する現在の知識の課題及び限界を強調している(Michelらの文献、2011, J. Hepatol. 54:1286-1296)。慢性B型肝炎などの高ウイルス量状態と寛容化肝臓微小環境との組合せは、抗ウイルスT細胞免疫の完全な回復の達成を困難にする可能性がある。
【0015】
集中的な研究は、現在、肝細胞における免疫応答のより良い理解、HBVが自然免疫を回避する機構、及び免疫療法から利益を受けやすい患者の適切な選択に焦点を当てており、これにより、治療的ワクチン接種の有効性が高まり得る(Michelらの文献、2015, Med. Microbiol. Immunol. 204:121-129)。
【発明の概要】
【0016】
(3.発明の概要)
本出願は、B型肝炎ウイルス感染に対する免疫療法を提供する。本明細書に提供されるのは:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む感染性アレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。ある実施態様において、該感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターは2分節型である。ある実施態様において、該感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターは3分節型である。ある実施態様において、該感染性複製可能アレナウイルスウイルスベクターは3分節型である。
【0017】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むアレナウイルスウイルスベクターである。
【0018】
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である。ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である。
【0019】
ある実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入することができる。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入し、その後、宿主細胞内部でその遺伝情報を増幅し、それを発現させることができる。ある実施態様において、該ウイルスベクターは、感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型ウイルスのウイルス増殖を支持するが、相補ウイルスタンパク質を発現せず、したがって、さらなる感染性ウイルス子孫粒子を産生することができない細胞株である。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能であり、かつ遺伝子改変されていない正常な細胞でさらなる感染性子孫粒子を産生することができる。
【0020】
ある実施態様において、プレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片は、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該断片は、それが、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、もしくはロバ)における抗体免疫応答を誘発し(ここで、得られる抗体は、ヒトHBVプレ-S2/Sタンパク質に特異的に結合する);及び/又は(ii)特異的T細胞免疫応答を誘発することができる場合、抗原性である。
【0021】
ある実施態様において、HBcタンパク質又はその抗原性断片は、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該断片は、それが、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、もしくはロバ)における抗体免疫応答を誘発し(ここで、得られる抗体は、ヒトHBV HBcタンパク質に特異的に結合する);及び/又は(ii)特異的T細胞免疫応答を誘発することができる場合、抗原性である。
【0022】
ある実施態様において、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体は、配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該断片は、それが、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、もしくはロバ)における抗体免疫応答を誘発し(ここで、得られる抗体は、ヒトHBV HBs、HBc、もしくはHBsとHBcの両方に特異的に結合する);及び/又は(ii)特異的T細胞免疫応答を誘発することができる場合、抗原性である。
【0023】
ある実施態様において、HBeタンパク質又はその抗原性断片は、配列番号26のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該断片は、それが、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、もしくはロバ)における抗体免疫応答を誘発し(ここで、得られる抗体は、ヒトHBV HBeタンパク質に特異的に結合する);及び/又は(ii)特異的T細胞免疫応答を誘発することができる場合、抗原性である。
【0024】
ある実施態様において、該ウイルスベクターは:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列.
のうちの少なくとも2つを含む。
【0025】
ある実施態様において、該ウイルスベクターは:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列.
のうちの少なくとも3つを含む。
【0026】
ある実施態様において、該アレナウイルスのオープンリーディングフレーム(ORF)は、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ本明細書に記載されるHBV抗原をコードする核酸と置き換えられている。具体的な実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質GPをコードするORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されている。ある実施態様において、遺伝子の機能的不活化は、翻訳産物を消失させる。ある実施態様において、機能的不活化は、ある程度の翻訳を可能にする遺伝子改変を指すが、翻訳産物はもはや機能的ではなく、野生型タンパク質に取って代わることができない。
【0027】
ある実施態様において、該ウイルスベクターは、該ウイルスベクターに感染している細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現することができるが、該ウイルスベクターは、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない。ある実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入することができる。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入し、その後、宿主細胞内部でその遺伝情報を増幅し、それを発現することができる。
【0028】
ある実施態様において、該感染性アレナウイルス粒子をコードするゲノム情報は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のクローン13株又はLCMVのMP株に由来する。クローン13のSセグメント及びLセグメントのヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号12及び7に示されている。
【0029】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、クローン13ゲノムのORF(例えば、GPタンパク質のORF)を欠失させ、それを、残りのLCMVゲノムが、クローン13のヌクレオチド配列(配列番号12及び7)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一となるように、抗原(例えば、HBV抗原)をコードする非相同ORFと置き換えることにより、そのゲノムが、クローン13のゲノム(配列番号12及び7)に由来する又は由来しているウイルスベクターである。
【0030】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、LCMV株MPゲノムのORF(例えば、GPタンパク質のORF)を欠失させ、それを、残りのLCMVゲノムが、LCMV株MPのヌクレオチド配列(配列番号13及び14)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、少なくとも99.9%又は100%同一となるように、抗原(例えば、HBV抗原)をコードする非相同ORFと置き換えることにより、そのゲノムが、LCMV株MPのゲノム(配列番号13及び14)に由来しているウイルスベクターである。
【0031】
より具体的な実施態様において、該ウイルスベクターは、配列番号11のヌクレオチド1639〜3315又は配列番号12の1640〜3316の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含むゲノムセグメントを含む。ある実施態様において、該ウイルスベクターは、そのアミノ酸配列が、配列番号11の1639〜3315又は配列番号12の1640〜3316によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列を含むゲノムセグメントを含む。
【0032】
また本明細書に提供されるのは、単離された核酸であって、該核酸がアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAであり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFが欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントが:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
のうちの1つ又は任意の組合せを含む、単離された核酸である。
【0033】
ある実施態様において、該ゲノムセグメントは短いセグメントであり、ここで、該GPをコードするORFは欠失している。
【0034】
一態様において、本明細書に提供されるのは、感染性複製欠損アレナウイルス粒子を作製する方法であって:
【0035】
a.宿主細胞に、本明細書に記載される核酸をトランスフェクトすること;
【0036】
b.該宿主細胞を、ウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
【0037】
c.該感染性複製欠損アレナウイルス粒子を回収すること;
【0038】
を含み、ここで、該宿主細胞が、該ゲノムセグメント上で欠失しているか又は機能的に不活化されているORFを発現する、方法である。ある実施態様において、ウイルス粒子のレスキューに必要とされる任意の追加の核酸も、工程aにおいて、該宿主細胞にトランスフェクトされる。そのような追加の核酸は:第二のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA、L ORFを含む核酸、及び/又はNP ORFを含む核酸であることができる。
【0039】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含む組成物、例えば、医薬組成物、免疫原性組成物、又はワクチン組成物である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される2以上の異なるウイルスベクターを含む(すなわち、該ウイルスベクターが異なるHBV抗原をコードする)組成物(例えば、ワクチン組成物)である。ある実施態様において、該医薬組成物は、本明細書に記載される核酸又は融合タンパク質を含む。
【0040】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、患者におけるHBV感染を治療又は予防する方法であって、該患者に、本明細書に記載されるウイルスベクター、医薬組成物、免疫原性組成物、又はワクチンを投与することを含む、方法である。さらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、HBVの治療又は予防のための、本明細書に記載されるウイルスベクター、医薬組成物、免疫原性組成物、又はワクチンの使用である。ある実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防することができる。ある実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する1以上の感染性アレナウイルスは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防することができる。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0041】
ある実施態様において、患者に、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスを投与すると、長期持続性免疫応答が誘導される。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0042】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者におけるHBV感染を治療及び又は予防する方法であって、該患者に、HBV抗原又はその断片を発現する2以上のアレナウイルスを投与することを含む、方法である。より具体的な実施態様において、各々のアレナウイルスは、異なるHBV抗原又はその断片を発現する。他の実施態様において、各々のアレナウイルスは、HBV抗原又はその誘導体を発現する。いくつかの実施態様において、該その誘導体は、HBV抗原断片である。さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、各々が異なるHBV抗原又はその断片を発現する2以上のアレナウイルスを含む組成物である。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0043】
ある実施態様において、該アレナウイルスは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)又はフニンウイルス(JUNV)である。
【0044】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列に置き換えられている感染性アレナウイルスウイルスベクターである。具体的な実施態様において、該アレナウイルスはリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスである。具体的な実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、欠失しているか又は機能的に不活化されている。具体的な実施態様において、該ウイルスベクターは複製欠損性である。具体的な実施態様において、該ウイルスベクターは複製可能である。具体的な実施態様において、該ウイルスベクターは3分節型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者におけるB型肝炎ウイルス感染を治療又は予防する方法であって、該患者に、アレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列に置き換えられているウイルスベクターを投与することを含む、方法である。
(3.1 慣例及び略語)
【表1】
【0045】
(4.配列表の説明)
以下の配列は、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる例示的なアミノ酸配列及びヌクレオチド配列である。場合によっては、DNA配列を用いて、ウイルスゲノムセグメントのRNA配列を説明する。RNA配列は、DNA配列から容易に推測することができる。配列自体は、第6.10節の表3に見出すこともできる。
【0046】
配列番号1は、HBVプレ-S2/S ORFのヌクレオチド配列である。
【0047】
配列番号2は、HBV HBc ORFのヌクレオチド配列である。
【0048】
配列番号3は、HBV HBs-HBc融合タンパク質ORFのヌクレオチド配列である。
【0049】
配列番号4は、cDNA形態のHBV HBs-HBc融合タンパク質を発現するLCMV Sセグメントのヌクレオチド配列である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号4中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号4中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0050】
配列番号5は、cDNA形態のHBc ORFを発現するLCMV Sセグメントのヌクレオチド配列である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号5中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号5中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0051】
配列番号6は、cDNA形態のプレ-S2/S ORFを発現するLCMV Sセグメントのヌクレオチド配列である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号6中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号6中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0052】
配列番号7は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13セグメントLの完全配列(GenBank: DQ361066.1)である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号7中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号7中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0053】
配列番号8は、HBV HBsタンパク質由来エピトープのアミノ酸配列である。
【0054】
配列番号9は、HBV HBsタンパク質由来エピトープのアミノ酸配列である。
【0055】
配列番号10は、HBV HBcタンパク質由来エピトープのアミノ酸配列である。
【0056】
配列番号11は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスセグメントSの完全配列である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号11中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号11中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0057】
配列番号12は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13セグメントSの完全配列(GenBank: DQ361065.2)である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号12中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号12中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0058】
配列番号13は、リンパ球性脈絡髄膜炎株MPセグメントLの完全配列である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号13中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号13中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0059】
配列番号14は、リンパ球性脈絡髄膜炎株MPセグメントSの完全配列である。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号14中の配列はDNAについて示されたものである;しかしながら、配列番号14中の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
【0060】
配列番号15は、LCMVのMP株のNPタンパク質のアミノ酸配列である。
【0061】
配列番号16は、LCMVのMP株のGPタンパク質のアミノ酸配列である。
【0062】
配列番号17は、LCMVのMP株のLタンパク質のアミノ酸配列である。
【0063】
配列番号18は、LCMVのMP株のZタンパク質のアミノ酸配列である。
【0064】
配列番号19は、フニンウイルスCandid #1株セグメントLの完全配列である。
【0065】
配列番号20は、フニンウイルスCandid #1株セグメントSの完全配列である。
【0066】
配列番号21は、LCMVのクローン13株のNPタンパク質のアミノ酸配列である。
【0067】
配列番号22は、LCMVのクローン13株のGPタンパク質のアミノ酸配列である。
【0068】
配列番号23は、LCMVのクローン13株のLタンパク質のアミノ酸配列である。
【0069】
配列番号24は、LCMVのクローン13株のZタンパク質のアミノ酸配列である。
【0070】
配列番号25は、LCMVのWE株のGPタンパク質のアミノ酸配列である。
【0071】
配列番号26は、HBV HBe抗原のヌクレオチド配列である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
(5.図面の簡単な説明)
図1図1: 野生型アレナウイルスのゲノムは、短い(1;〜3.4kb)RNAセグメント及び大きい(2;〜7.2kb)RNAセグメントからなる。短いセグメントは、核タンパク質(3)及び糖タンパク質(4)をコードするORFを保有する。大きいセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼL(5)及びマトリックスタンパク質Z(6)をコードする。野生型アレナウイルスは、糖タンパク質遺伝子を欠失させ、該糖タンパク質遺伝子の代わりに、それに対する免疫応答が誘導されることになる最適な抗原(7)を導入することにより、複製欠損ワクチンベクターにすることができる。
【0073】
図2図2A〜C: 2分節型及び3分節型LCMVのゲノム編成の略図。野生型LCMVの2分節型ゲノムは、GP及びNPをコードする1つのSセグメント並びにZタンパク質及びLタンパク質をコードする1つのLセグメントからなる(A)。どちらのセグメントも、それぞれの5'及び3'UTRに隣接している。組換え3分節型LCMV(r3LCMV)のゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、目的の遺伝子(ここでは、GFP)を該Sセグメントの各々1つに挿入すべき1つの位置を有する。r3LCMV-GFPnatural(nat)がその天然の位置に全てのウイルス遺伝子を有するのに対し(B)、r3LCMV-GFPartificial(art)中のGP ORFは人為的に3'UTRに並置され、その制御下で発現される(C)。
【0074】
図3図3: 105FFUのrLCMV/HBs-HBc(第1群)、rLCMV/HBc(第3群)、rLCMV/プレ-S2(第4群)による、又は104FFUのrLCMV/HBs-HBc(第2群)による静脈内免疫から10日後のC57BL/6マウス(1群当たり5匹のマウス)の末梢血中の全CD8+B220- T細胞プールのパーセンテージとして表された、B型肝炎ウイルス特異的CD8+ T細胞。対照マウスは未処置のままであった。
【0075】
図4図4A〜B: 105FFUのr3LCMV/HBs-HBc(第1群)、r3LCMV/HBc(第2群)、r3LCMV/プレ-S2(第3群)による、又は105FFUのrLCMV/HBs-HBc(第4群)による静脈内免疫から8日後のC57BL/6マウス(1群当たり5匹のマウス)の(A)末梢血中の全CD8+B220- T細胞プールのパーセンテージとして又は(B)血液中の循環リンパ球のパーセンテージとして表された、B型肝炎ウイルス特異的CD8+ T細胞。対照マウスは未処置のままであった。
【発明を実施するための形態】
【0076】
(6.発明の詳細な説明)
本出願は、B型肝炎ウイルス感染に対する免疫療法を提供する。本明細書に提供されるのは、対象のHBVへの感染の治療又は予防のための方法及び組成物である。より具体的には、本明細書に提供されるのは、HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む感染性アレナウイルスである。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスは複製欠損性である。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスは複製可能である。これらのウイルスをHBV感染の治療又は予防のために対象に投与することができる。本発明とともに使用するための感染性アレナウイルスベクターの作製は、第6.3節でより詳細に記載されている。
【0077】
本明細書に提供されるのは、遺伝子改変アレナウイルスであり、ここで、該アレナウイルスは:
感染性であり;
非相補細胞(すなわち、複製欠損アレナウイルスから失われている機能性を発現することができず、該ウイルスを複製欠損にする細胞)で感染性子孫ウイルスを形成することができず;
そのゲノムを複製し、その遺伝情報を発現することができ;かつ
HBV抗原又はその断片をコードする。
【0078】
本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは感染性である、すなわち、それは、宿主細胞に付着し、その遺伝物質を宿主細胞内に放出することができる。本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは複製欠損性であり得る、すなわち、該アレナウイルスは、非相補細胞でさらなる感染性子孫粒子を産生することができない。特に、複製欠損アレナウイルスを作製するために、該アレナウイルスのゲノムは、改変されたゲノムを保有するウイルスが感染性子孫ウイルスをもはや産生することができないように(例えば、ORFの欠失又は機能的不活化により)改変される。非相補細胞は、ウイルスゲノムの改変によって複製欠損アレナウイルスから除去されている機能性を提供しない細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、非相補細胞はGPタンパク質を提供しない)。しかしながら、本明細書に提供される遺伝子改変複製欠損アレナウイルスは、相補細胞で感染性子孫ウイルスを産生することができる。相補細胞は、ウイルスゲノムの改変によって複製欠損アレナウイルスから除去されている機能性を(トランスに)提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合でも、相補細胞は、確かにGPタンパク質を提供する)。相補機能性(例えば、GPタンパク質)の発現は、当業者に公知の任意の方法(例えば、一過性又は安定発現)によって達成することができる。本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは、ウイルスに感染している細胞でその遺伝情報を増幅及び発現することができる。本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルスは、HBV抗原、例えば、限定されないが、第6.2節に記載されるHBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0079】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、得られるウイルスが非相補細胞でさらなる感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように、アレナウイルスゲノムのORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている遺伝子改変アレナウイルスである。ORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含むアレナウイルス粒子は、相補細胞で(すなわち、欠失しているか又は機能的に不活化されているアレナウイルスORFを発現する細胞で)産生することができる(第6.3節を参照)。得られるアレナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に、宿主細胞に移入することができ、そこで、該遺伝物質を発現及び増幅させることができる。さらに、本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルス粒子のゲノムは、宿主細胞で発現することができるHBV抗原をコードする。
【0080】
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質(GP)をコードするORFを欠失させて、本発明とともに使用するための複製欠損アレナウイルスを作製する。具体的な実施態様において、該複製欠損アレナウイルスは、HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むゲノムセグメントを含む。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルス粒子は、a)野生型形態のゲノムセグメントに存在するORFの欠失又は機能的不活化を有し;かつb)HBV抗原を(センス又はアンチセンスのどちらかで)コードするゲノムセグメントを含む(第6.3節を参照)。
【0081】
ある実施態様において、該アレナウイルスのゲノムに挿入される核酸によってコードされる抗原は、例えば、HBV抗原又はHBV抗原の組合せをコードすることができ、これには:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0083】
本明細書に記載される抗原の詳細な説明は、第6.2節に提供されている。
【0084】
ある実施態様において、本明細書に記載される本発明に従って使用されるアレナウイルスは、旧世界ウイルス、例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)であることができる。本明細書に記載されるアレナウイルスのより詳細な説明は、第6.1節に提供されている。ある実施態様において、本明細書に記載される方法に従って使用されるアレナウイルスは新世界ウイルスであることができる。
【0085】
本明細書に提供されるのは、そのような複製欠損アレナウイルスのゲノムを含む核酸である。ある態様において、感染性複製欠損アレナウイルス粒子は、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3のヌクレオチド配列を含むゲノムセグメントを含む。
【0086】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるウイルスベクターの作製に必要とされる1以上の構成要素をコードする発現プラスミドである。具体的に、本明細書に提供されるのは、LCMV Sセグメントをコードする発現ベクターであり、ここで、GPタンパク質のORFは、該Sセグメントから欠失しており、かつ(例えば、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有する)ヒトHBVプレ-S2/Sタンパク質のORFと置き換えられている。
【0087】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるウイルスベクターの作製に必要とされる1以上の構成要素をコードする発現プラスミドである。具体的に、本明細書に提供されるのは、LCMV Sセグメントをコードする発現ベクターであり、ここで、GPタンパク質のORFは、該Sセグメントから欠失しており、かつ(例えば、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有する)ヒトHBV HBcタンパク質のORFと置き換えられている。
【0088】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるウイルスベクターの作製に必要とされる1以上の構成要素をコードする発現プラスミドである。具体的に、本明細書に提供されるのは、LCMV Sセグメントをコードする発現ベクターであり、ここで、GPタンパク質のORFは、該Sセグメントから欠失しており、かつ(例えば、配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有する)ヒトHBV HBsのORF及びヒトHBV HBcのORFと置き換えられている。
【0089】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるベクタープラスミドのうちの1つ又は2つを含むキットである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、a)LCMVベクターのSセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;b)LCMVベクターのLセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;及びc)相補機能性をコードする発現プラスミドを含むキットである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、a)LCMV Sセグメントのヌクレオチド配列を含む発現ベクター(ここで、GPタンパク質のORFは、該Sセグメントから欠失しており、かつ(例えば、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有する)ヒトHBVプレ-S2/Sタンパク質のORFと置き換えられている; b)LCMVベクターのLセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;及びc)LCMV GPタンパク質をコードする発現プラスミド(又はLCMV GPタンパク質を発現する細胞株)を含むキットである。
【0090】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるベクタープラスミドのうちの1つ又は2つを含むキットである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、a)LCMVベクターのSセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;b)LCMVベクターのLセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;及びc)相補機能性をコードする発現プラスミドを含むキットである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、a)LCMV Sセグメントのヌクレオチド配列を含む発現ベクター(ここで、GPタンパク質のORFは、該Sセグメントから欠失しており、(例えば、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有する)ヒトHBV HBcタンパク質のORFと置き換えられている); b)LCMVベクターのLセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;及びc)LCMV GPタンパク質をコードする発現プラスミド(又はLCMV GPタンパク質を発現する細胞株)を含むキットである。
【0091】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるベクタープラスミドのうちの1つ又は2つを含むキットである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、a)LCMVベクターのSセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;b)LCMVベクターのLセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;及びc)相補機能性をコードする発現プラスミドを含むキットである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、a)LCMV Sセグメントのヌクレオチド配列を含む発現ベクター(ここで、GPタンパク質のORFは、該Sセグメントから欠失しており、かつ(例えば、配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を有する)ヒトHBV HBsのORF及びヒトHBV HBcのORFと置き換えられている); b)LCMVベクターのLセグメントのヌクレオチド配列を含む発現プラスミド;及びc)LCMV GPタンパク質をコードする発現プラスミド(又はLCMV GPタンパク質を発現する細胞株)を含むキットである。
【0092】
また本明細書に提供されるのは、細胞株、培養物、並びに本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系、及び細胞株のより詳細な説明は、第6.4節に提供されている。
【0093】
一態様において、本明細書に提供されるのは、ワクチンとして好適なそのような遺伝子改変複製欠損アレナウイルス、並びにワクチン接種及びHBVの感染の治療又は予防においてそのようなアレナウイルスを使用する方法である。本明細書に記載されるそのようなアレナウイルスを使用する方法のより詳細な説明は、第6.5節に提供されている。
【0094】
ある実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスによる免疫は、長期持続性免疫応答を提供する。ある実施態様において、2回の免疫の後に、最大の抗体レベルを達成することができる。別の実施態様において、追加免疫の効果を得るために、3回目の免疫を施すことができる。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、HBVの感染の治療及び/又は予防のためのワクチン接種において感染性アレナウイルスを用いる投与スケジュールである。本明細書に記載される感染性アレナウイルスを用いる投与スケジュールのより詳細な説明は、第6.6節に提供されている。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0095】
ある実施態様において、血清陰性対象に、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスを投与すると、検出可能な抗体力価が最低少なくとも4週間誘導される。別の実施態様において、HBV感染症に感染した対象に、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスを投与すると、抗体力価が少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%増大する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルスによる1回目の免疫による一次抗原暴露は、感染に免疫があるヒト対象由来の平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的で、(中和性で)、かつ最小限の抗体力価を誘発する。より具体的な実施態様において、一次中和幾何平均抗体力価は、免疫後少なくとも4週間以内に、少なくとも1:50、少なくとも1:100、少なくとも1:200、又は少なくとも1:1000のピーク値にまで増大する。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスによる免疫は、免疫と、それに続く、1回のワクチン投与の後、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、又は少なくとも5年間持続する高力価の抗体を産生させる。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0096】
さらに別の実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスによる2回目の免疫による二次抗原暴露は、抗体力価を、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%増大させる。別の実施態様において、二次抗原暴露は、感染に免疫があるヒト対象由来の平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的で、(中和性で)、かつ最小限の抗体力価を誘発する。より具体的な実施態様において、二次中和幾何平均抗体力価は、免疫後少なくとも4週間以内に、少なくとも1:50、少なくとも1:100、少なくとも1:200、又は少なくとも1:1000のピーク値にまで増大する。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスによる2回目の免疫は、免疫後、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、又は少なくとも5年間持続する高力価の抗体を産生させる。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0097】
さらに別の実施態様において、3回目の追加免疫は、抗体力価を、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%増大させる。別の実施態様において、該追加免疫は、感染に免疫があるヒト対象由来の平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的で、(中和性で)、かつ最小限の抗体力価を誘発する。より具体的な実施態様において、3回目の追加免疫後の中和幾何平均抗体力価は、免疫後少なくとも4週間以内に、少なくとも1:50、少なくとも1:100、少なくとも1:200、又は少なくとも1:1000のピーク値にまで増大する。別の実施態様において、3回目の追加免疫は、抗体力価を、免疫後、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、又は少なくとも5年間延長させる。
【0098】
ある実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、T細胞非依存性又はT細胞依存性応答を誘発する。他の実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、T細胞応答を誘発する。他の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、Tヘルパー応答を誘発する。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、Th1指向性応答又はTh2指向性応答を誘発する。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0099】
より具体的な実施態様において、Th1指向性応答は、IgG2に対するIgG1抗体の優位により示される。他の実施態様において、IgG1:IgG2の比は、1:1よりも大きく、2:1よりも大きく、3:1よりも大きく、又は4:1よりも大きい。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、IgG3抗体の優位により示される。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0100】
いくつかの実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、CD8+ T細胞応答を誘発する。他の実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、調節性T細胞応答を誘発する。より具体的な実施態様において、調節性T細胞応答は、免疫寛容を維持する。別の実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、CD4+ T細胞応答とCD8+ T細胞応答の両方を誘発する。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0101】
ある実施態様において、本明細書に記載される1以上のHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、高力価の中和抗体を誘発する。別の実施態様において、本明細書に記載される2以上のHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスは、タンパク質複合体構成要素の個別発現よりも高力価の中和抗体を誘発する。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0102】
他の実施態様において、HBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスは、高力価の中和抗体を誘発する。より具体的な実施態様において、HBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスは、1つのHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスよりも高力価の中和抗体を誘発する。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0103】
別の実施態様において、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くのHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスは、1つのHBV抗原又はその断片を発現する感染性アレナウイルスよりも高力価の中和抗体を誘発する。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0104】
(6.1 HBV抗原を発現するアレナウイルスベクター)
本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用するためのアレナウイルスは、旧世界ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、もしくはイッピーウイルス、又は新世界ウイルス、例えば、アマパリウイルス、フレクサルウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラチノウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキャニオンウイルス、もしくはホワイトウォーターアロヨウイルスであることができる。遺伝子改変アレナウイルスは、第6.3節に記載されている通りに作製することができる。
【0105】
野生型アレナウイルスゲノムは、短い(〜3.4kb)RNAセグメント及び大きい(〜7.2kb)RNAセグメントからなる。短いセグメントは、核タンパク質NP遺伝子及び糖タンパク質GP遺伝子をコードするORFを保有する。大きいセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼL遺伝子及びマトリックスタンパク質Z遺伝子を含む。
【0106】
((a)複製欠損アレナウイルスベクター)
ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、複製欠損性の2分節型アレナウイルスベクターである。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、複製欠損性の3分節型アレナウイルスベクターである。糖タンパク質遺伝子をそれに対する免疫応答が誘導されることになる1以上のHBV抗原の代わりに用いることにより、野生型アレナウイルスを複製欠損にして、ワクチンベクターを作製することができる。
【0107】
本明細書に記載されるHBV抗原又はHBV抗原の組合せを発現する感染性アレナウイルスベクターを用いて、HBV感染に対して、対象を(予防的に)免疫するか又は(免疫療法的に)治療することができる。具体的な実施態様において、HBsとHBcの組合せを使用する。
【0108】
野生型アレナウイルス感染におけるアレナウイルス疾患及び免疫抑制は、チェックされないウイルス複製から生じることが知られている。そのゲノムから、例えば、粒子放出に必要とされるZ遺伝子、又は標的細胞の感染に必要とされるGP遺伝子を欠失させることによって、アレナウイルスベクターの複製、すなわち、感染性子孫ウイルス粒子を産生する能力を無効にすることにより、感染細胞の総数を、例えば、ワクチンレシピエントに投与される接種材料、或いは医学的もしくは生物工学的応用に関与する人々又は動物に過失によって伝播される接種材料に限定することができる。したがって、アレナウイルスベクターの複製を無効にすることは、故意又は過失によるベクター粒子の伝播の結果としての発病を予防する。本明細書に提供されるのは、1つの重要な態様が、HBV抗原を発現するための有益な方法で上記の複製の無効化の必要性を利用することにあることである。ある実施態様において、アレナウイルス粒子をそのゲノムの遺伝子改変により複製欠損にする。ゲノムに対するそのような改変としては:
ORF(例えば、GP、NP、L、又はZタンパク質をコードするORF)の欠失;
ORF(例えば、GP、NP、L、又はZタンパク質をコードするORF)の機能的不活化。例えば、これは、ミスセンス又はナンセンス突然変異を導入することにより達成することができる;
ORFの配列の変更(例えば、S1P切断部位と別のプロテアーゼの切断部位との交換);
ゲノムセグメントの1つの5'又は3'末端の一方の突然変異誘発;
遺伝子間領域(すなわち、L又はSゲノムセグメントの遺伝子間領域)の突然変異誘発
を挙げることができる。
【0109】
ある実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)であり、ここで、該ウイルスのSセグメントは、GPタンパク質をコードするORFをHBV抗原をコードするORFと置換することにより改変されている。
【0110】
ある実施態様において、野生型アレナウイルスベクターゲノム(図1)は、両方のセグメントの5'及び3'非翻訳領域(UTR)並びに/又は同じく遺伝子間領域(IGR)上の少なくとも必須の調節エレメントを保持するように設計することができる。理論に束縛されるものではないが、感染細胞における遺伝子発現のための最小限のトランス作用因子は、発現することができるORFとしてベクターゲノム中に残るが、これらは、異なる形でゲノム中に置かれることができ、かつ天然とは異なるプロモーターの制御下に置かれることができるか、又は内部リボソーム進入部位から発現されることができる。ある実施態様において、HBV抗原をコードする核酸は、内在性アレナウイルスプロモーター(すなわち、Sセグメントの5'UTR、3'UTR、Lセグメントの5'UTR、3'UTR)のうちの1つから転写される。他の実施態様において、HBV抗原をコードする核酸は、ウイルス性RNA依存性RNAポリメラーゼによって、細胞性RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、又はRNAポリメラーゼIIIによって読まれることができる導入された非相同プロモーター配列、例えば、それぞれ、ウイルスUTRに天然に見られる重複したウイルスプロモーター配列、28SリボソームRNAプロモーター、β-アクチンプロモーター、又は5SリボソームRNAプロモーターから発現される。ある実施態様において、HBV抗原をコードするリボ核酸は、単独で、又はアレナウイルスタンパク質ORFとの融合によるリードスルーとして転写及び翻訳され、宿主細胞内でのタンパク質の発現は、1以上の、例えば、2つ、3つ、又は4つの内部リボソーム進入部位を適当な場所でウイルス転写物配列中に導入することにより増強することができる。
【0111】
ある実施態様において、該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にあり;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように、GP又はNPをコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されている、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。別の具体的な実施態様において、2つのORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の非相同ORFと置き換えられる。他の具体的な実施態様において、3つのORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。具体的な実施態様において、GPをコードするORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。他の具体的な実施態様において、NPをコードするORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。さらにより具体的な実施態様において、NPをコードするORF及びGPをコードするORFが除去され、アレナウイルス粒子以外の生物体由来の(例えば、1つ又は2つのHBV抗原をコードする)1つ又は2つの非相同ORFと置き換えられる。したがって、ある実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント;(ii)ORFの野生型位置以外の位置のORF;(iii)アレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、1以上のHBV抗原をコードする)1以上の非相同ORFを含む。
【0112】
ある実施態様において、該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にあり;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように、Zタンパク質、及び/又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されている、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。別の具体的な実施態様において、2つのORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。他の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFが除去され、かつアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。さらにより具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORF及びLタンパク質をコードするORFが除去され、かつアレナウイルス粒子以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFと置き換えられる。したがって、ある実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメント;(ii)ORFの野生型位置以外の位置のORF;(iii)アレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、HBV抗原をコードする)非相同ORFを含む。
【0113】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される組成物及び方法とともに使用するための3分節型アレナウイルス粒子は、i)非天然の位置にORFを保有するように改変され; ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され; iii)除去されるORFがアレナウイルス以外の生物体由来の(例えば、1以上のHBV抗原をコードする)1以上の非相同ORFと置き換えられる、3分節型アレナウイルス粒子(すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメント)を含む。
【0114】
ある実施態様において、1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定の株に基づくことができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN、及びこれらの派生物が挙げられる。ある実施態様において、1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVのクローン13に基づくことができる。他の実施態様において、1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVのMP株に基づくことができる。LCMVのクローン13のSセグメントの配列は、配列番号12として掲載されている。ある実施態様において、LCMVのクローン13のSセグメントの配列は、配列番号11に示される配列である。LCMVのクローン13のLセグメントの配列は、配列番号7として掲載されている。LCMV株MPのSセグメントの配列は、配列番号14として掲載されている。LCMV株MPのLセグメントの配列は、配列番号13として掲載されている。
【0115】
ある実施態様において、1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、フニンウイルスの特定の株に基づくことができる。フニンウイルスの株としては、ワクチン株XJ13、XJ#44、及びCandid#1、並びにヒト分離株のIV4454が挙げられる。ある実施態様において、1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、フニンウイルスCandid #1株に基づく。
【0116】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、配列番号13、配列番号14から選択されるヌクレオチド配列もしくはその断片、又はこれらの組合せを含む感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。
【0117】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは:
・B型肝炎ウイルスプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
・B型肝炎ウイルスHBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
・B型肝炎ウイルスHBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
・B型肝炎ウイルスHBsタンパク質及びHBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
・B型肝炎ウイルスHBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列又はヌクレオチド配列の組合せを含む感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。
【0118】
ある実施態様において、該感染性複製欠損アレナウイルスベクターは3分節型である。
【0119】
((b)複製可能な3分節型アレナウイルスベクター)
ある実施態様において、該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、複製可能な3分節型アレナウイルスベクターである。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、複製可能な2分節型アレナウイルス粒子へと組み換わらない1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。
【0120】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法とともに使用するためのHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスは、ORFの野生型位置以外の位置にウイルスORFを保有するように改変される。いくつかの実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは:(i)NPをコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるSセグメント;(ii)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるSセグメント;(iii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるSセグメント;(iv)GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメント;(v)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメント;(vi)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメント;(vii)GPをコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるLセグメント;(viii)NPをコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるLセグメント;(ix)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるLセグメント;(x)GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるLセグメント;(xi)NPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び(xii)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるLセグメントからなる群から選択される。
【0121】
いくつかの実施態様において、該アレナウイルス3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの3'UTRである。ある実施態様において、該アレナウイルス5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの5'UTRである。
【0122】
該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、そのORFの再配列を伴う3分節型アレナウイルス粒子である。一態様において、該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、複製可能な2分節型アレナウイルス粒子へと組み換わらない。具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にORFを含む。さらに別の具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、4つ全てのアレナウイルスORFを含む。したがって、ある実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は複製可能かつ感染性である。図2は、複製可能な3分節型LCMVベクターのゲノム編成の例示的な略図を示している(図2B〜C)。図2Cは、複製可能な2分節型アレナウイルス粒子へと組み換わることができない複製可能な3分節型LCMVベクターのゲノム編成の例示的な略図を示している。比較として、図2Aは、野生型の2分節型LCMVベクターを示している。
【0123】
ある実施態様において、本明細書に記載される3分節型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルス3'UTR又はアレナウイルス5'UTRの制御下にあることができる。より具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス3'UTRは、アレナウイルスSセグメントの3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス3'UTRは、アレナウイルスLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス5'UTRは、アレナウイルスSセグメントの5'UTRである。他の具体的な実施態様において、該5'UTRは、アレナウイルスLセグメントの5'UTRである。
【0124】
他の実施態様において、本明細書に記載される3分節型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメント(5'-及び3'-末端の19〜20-nt領域)の制御下にあることができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献、2003, J Virol. 77(2): 1184-1194を参照)。
【0125】
ある実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、5'UTRのプロモーターエレメントの制御下にあることができる(例えば、Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。別の実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、3'UTRのプロモーターエレメントの制御下にあることができる(例えば、Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施態様において、該5'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、該3'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの3'UTRプロモーターエレメントである。
【0126】
ある実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、切断型アレナウイルス3'UTR又は切断型アレナウイルス5'UTRの制御下にあることができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献、2003, J Virol. 77(2): 1184-1194; Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの5'UTRである。
【0127】
一態様において、該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子の増殖は、持続性感染から少なくとも10日後、少なくとも20日後、少なくとも30日後、少なくとも40日後、少なくとも50日後、少なくとも60日後、少なくとも70日後、少なくとも80日後、少なくとも90日後、又は少なくとも100日後に、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠き、かつ104PFUの該3分節型アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおいて複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子の増殖は、少なくとも10回の継代後、少なくとも20回の継代後、少なくとも30回の継代後、少なくとも40回の継代後、又は少なくとも50回の継代後に、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。
【0128】
全てのウイルス遺伝子をそのそれぞれの野生型位置に有する3分節型アレナウイルス粒子が当技術分野で公知である(例えば、Emonetらの文献、2011 J. Virol., 85(4):1473; Popkinらの文献、2011, J. Virol, 85(15):7928)。特に、該3分節型アレナウイルスゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、ここで、非相同ORF(例えば、GFP)は、各々のSセグメントの1つの位置に挿入される。より具体的には、一方のSセグメントは、それぞれ、GP及びGFPをコードする。他方のSセグメントは、それぞれ、GFP及びNPをコードする。Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。全てのセグメントは、それぞれの5'UTR及び3'UTRに隣接している。
【0129】
ある実施態様において、本明細書に提供される組成物及び方法とともに使用するための3分節型アレナウイルス粒子の2つのSセグメントのセグメント間組換えであって、2つのアレナウイルスORFを、2つの別々のセグメント上にではなく、1つのセグメント上にまとめる、セグメント間組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造: 5'UTR-----------5'UTR又は3'UTR------------3'UTRのゲノムセグメント)を生じさせ、ここで、該ゲノムの一方の末端を形成する各々のUTRは、同じゲノムのもう一方の末端の逆方向反復配列である。
【0130】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にアレナウイルスORFを保有するように改変されている。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、野生型位置以外の位置に、2つのアレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORF、又は5つのアレナウイルスORF、又は6つのアレナウイルスORFを保有するように改変されている。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、必要数の4つ全てのアレナウイルスORFを含む。したがって、いくつかの実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能な3分節型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子の2つのSセグメントは、野生型位置以外の位置に、これらのORFのうちの1つを保有するように改変されている。より具体的な実施態様において、該2つのSセグメントは、必要数のSセグメントORFを含む。ある具体的な実施態様において、該Lセグメントは、野生型位置以外の位置にORFを保有するように改変されているか、又は該Lセグメントは、野生型ゲノムセグメントであることができる。
【0131】
ある実施態様において、2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(ii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iii)NPをコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(v)LをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント
であることができる。
【0132】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、重複するORF(すなわち、2つの野生型SセグメントORF、例えば、GP又はNP)を含むことができる。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、1つの重複するORF(例えば、(GP、GP))又は2つの重複するORF(例えば、(GP、GP)及び(NP、NP))を含むことができる。
【0133】
下の表1Aは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子のゲノム編成の例示的な説明であり、ここで、該3分節型アレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効化する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの3'UTRから構成される)。
表1A
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子
位置1はアレナウイルスSセグメント5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスSセグメント3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスSセグメント5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスSセグメント3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスLセグメント5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスLセグメント3'UTRの制御下にある。
*ORFは、非相同ORF、例えば、HBV抗原をコードする非相同ORFが挿入されていることを示している。
【表2】
【0134】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスSセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスSセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができる。ある実施態様において、他の組合せも可能である。例えば、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子、ここで、該3分節型アレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効化する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの5'UTRから構成される)。
【0135】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子中のSセグメント及びLセグメントのセグメント間組換えは、2つのウイルス遺伝子が、2つの別々のセグメント上にではなく、ただ1つのセグメント上にある機能的セグメントを回復する。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子中のSセグメント及びLセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。
【0136】
下の表1Bは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子のゲノム編成の例示的な説明であり、該3分節型アレナウイルスゲノム中のSセグメント及びLセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効化する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの3'UTRから構成される)。
表1B
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子
位置1はアレナウイルスSセグメント5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスSセグメント3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスSセグメント5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスSセグメント3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスLセグメント5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスLセグメント3'UTRの制御下にある。
*ORFは、非相同ORF、例えば、HBV抗原をコードする非相同ORFが挿入されていることを示している。
【表3】
【0137】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスSセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスSセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができる。ある実施態様において、他の組合せも可能である。例えば、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子、ここで、該3分節型アレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効化する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの5'UTRから構成される)。
【0138】
一態様において、該組成物及び方法とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子の増殖は、持続性感染から少なくとも10日後、少なくとも20日後、少なくとも30日後、少なくとも40日後、少なくとも50日後、少なくとも60日後、少なくとも70日後、少なくとも80日後、少なくとも90日後、又は少なくとも100日後に、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠き、かつ104PFUの該3分節型アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおいて複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子の増殖は、少なくとも10回の継代後、少なくとも20回の継代後、少なくとも30回の継代後、少なくとも40回の継代後、又は少なくとも50回の継代後に、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。
【0139】
ある実施態様において、本明細書に提供される組成物及び方法とともに使用するための3分節型アレナウイルス粒子の2つのLセグメントのセグメント間組換えであって、2つのアレナウイルスORFを、2つの別々のセグメント上にではなく、1つのセグメント上にまとめる、セグメント間組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造: 5'UTR-----------5'UTR又は3'UTR------------3'UTRのゲノムセグメント)を生じさせ、ここで、該ゲノムの一方の末端を形成する各々のUTRは、同じゲノムのもう一方の末端の逆方向反復配列である。
【0140】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にアレナウイルスORFを保有するように改変されている。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、野生型位置以外の位置に、2つのアレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORF、又は5つのアレナウイルスORF、又は6つのアレナウイルスORFを保有するように改変されている。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、必要数の4つ全てのアレナウイルスORFを含む。したがって、いくつかの実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能な3分節型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子の2つのLセグメントは、野生型位置以外の位置に、それらのORFのうちの1つを保有するように改変されている。より具体的な実施態様において、該2つのLセグメントは、LセグメントORFの総数を含む。ある具体的な実施態様において、該Sセグメントは、野生型位置以外の位置に、それらのORFのうちの1つを保有するように改変されているか、又は該Sセグメントは、野生型ゲノムセグメントであることができる。
【0141】
ある実施態様において、2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるLセグメント
であることができる。
【0142】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、重複するORF(すなわち、2つの野生型LセグメントORF、例えば、Zタンパク質又はLタンパク質)を含むことができる。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子は、1つの重複するORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質))又は2つの重複するORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質)及び(Lタンパク質、Lタンパク質))を含むことができる。
【0143】
下の表2Aは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子のゲノム編成の例示的な説明であり、ここで、該3分節型アレナウイルスゲノム中の2つのLセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効化する(すなわち、該Sセグメントは、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの3'UTRから構成される)。表3に基づいて、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの5'UTRから構成されたアレナウイルス粒子を作製するために、同様の組合せ予測することができる。
表2A
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子
*位置1はアレナウイルスLセグメント5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスLセグメント3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスLセグメント5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスLセグメント3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスSセグメント5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスSセグメント3'UTRの制御下にある。
*ORFは、非相同ORF、例えば、HBV抗原をコードする非相同ORFが挿入されていることを示している。
【表4】
【0144】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスSセグメントIGRであることができる。ある実施態様において、他の組換えも可能である。
【0145】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子由来のLセグメント及びSセグメントのセグメント間組換えは、2つのウイルス遺伝子が、2つの別々のセグメント上にではなく、ただ1つのセグメント上にある機能的セグメントを回復する。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子中のLセグメント及びSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせない。
【0146】
下の表2Bは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子のゲノム編成の例示的な説明であり、ここで、該3分節型アレナウイルスゲノム中のLセグメント及びSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2分節型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効化する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRではなく、2つの3'UTRから構成される)。
表2B
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子
*位置1はアレナウイルスLセグメント5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスLセグメント3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスLセグメント5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスLセグメント3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスSセグメント5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスSセグメント3'UTRの制御下にある。
*ORFは、非相同ORF、例えば、HBV抗原をコードする非相同ORFが挿入されていることを示している。
【表5】
【0147】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスSセグメント又はLセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRはアレナウイルスLセグメントIGRであることができ;かつ位置5と位置6の間のIGRはアレナウイルスSセグメントIGRであることができる。ある実施態様において、他の組換えも可能である。
【0148】
ある実施態様において、本明細書に記載される3分節型アレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能なアレナウイルス粒子を生じさせる。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は弱毒化されている。特定の実施態様において、該3分節型アレナウイルス粒子は、ウイルスが、少なくとも部分的には、複製可能な状態のままであり、インビボで複製することができるが、低ウイルス量しか生成することができず、非病原性である亜臨床レベルの感染をもたらすように弱毒化されている。そのような弱毒化ウイルスを免疫原性組成物として使用することができる。他の実施態様において、該アレナウイルス粒子は感染性であるが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫を産生することができない。
【0149】
ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメント及びそれぞれのアレナウイルス粒子又は3分節型アレナウイルス粒子は、非相同ORFを含むことができる。他の実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメント及びそれぞれのアレナウイルス粒子又は3分節型アレナウイルス粒子は、目的の遺伝子を含むことができる。より具体的な実施態様において、非相同ORF又は目的の遺伝子は抗原をコードする。より具体的な実施態様において、非相同ORF又は目的の遺伝子は、HBV抗原又はその抗原性断片(第6.2節を参照)コードする。
【0150】
ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメント、アレナウイルス粒子、又は3分節型アレナウイルス粒子は、1以上の非相同ORF又は1以上の目的の遺伝子を含むことができる。他の実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメント、アレナウイルス粒子、又は3分節型アレナウイルス粒子は、少なくとも1つの非相同ORF、少なくとも2つの非相同ORF、少なくとも3つの非相同ORF、又はそれより多くの非相同ORFを含むことができる。他の実施態様において、アレナウイルス粒子又は3分節型アレナウイルス粒子は、少なくとも1つの目的の遺伝子、少なくとも2つの目的の遺伝子、少なくとも3つの目的の遺伝子、又はそれより多くの目的の遺伝子を含む。より具体的な実施態様において、1以上の非相同ORF又は目的の遺伝子は、1以上のHBV抗原又はこれらの抗原性断片(第6.2節を参照)をコードする。
【0151】
ある実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルス粒子である。
【0152】
(6.2 HBV抗原)
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用するための抗原はHBV抗原である。
【0153】
ある実施態様において、記載されている2以上のHBV抗原のORFは単一の転写物として転写される。
【0154】
ある実施態様において、ヒトHBVの任意の遺伝子型もしくは亜遺伝子型又はヒトHBVの任意の臨床分離株を本発明とともに用いて、本明細書に記載されるアレナウイルスベクターの作製のための抗原を得ることができる。そのようなHBV遺伝子型及び亜遺伝子型には、遺伝子型A〜J、並びに亜遺伝子型A1〜A6、B1〜B4、C1〜C6、D1〜D7、及びF1〜F4が含まれる。
【0155】
ある実施態様において、該HBV抗原は、HBV抗原オルソログ、例えば、哺乳動物(すなわち、非ヒト霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、又はウマ)HBV抗原であることができる。
【0156】
((a)プレ-S2/Sタンパク質抗原)
ある実施態様において、該抗原は、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBVプレ-S2/Sタンパク質の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBVプレ-S2/Sタンパク質の抗原性断片である。ある実施態様において、該抗原は、配列番号1と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列によってコードされる。ある実施態様において、該抗原は、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0157】
((b)HBcタンパク質抗原)
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBcタンパク質又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBcタンパク質の少なくとも10、15、20、25、50、75、100、125、150個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBcの抗原性断片である。ある実施態様において、該抗原は、配列番号2と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列によってコードされる。ある実施態様において、該抗原は、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0158】
((c)HBsタンパク質抗原)
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBsの抗原性断片である。
【0159】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBs小ポリペプチド(例えば、「S」)又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBs中ポリペプチド(例えば、「プレ-S2/S」)又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBs大ポリペプチド(例えば、「プレ-S1/プレ-S2/S」)又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBs小ポリペプチドの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBs中ポリペプチドの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBs大ポリペプチドの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。
【0160】
((d)HBs及びHBc融合タンパク質)
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合タンパク質である。ある実施態様において、該抗原は、HBsとHBcの融合タンパク質の少なくとも10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、配列番号3と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列によってコードされる。ある実施態様において、該抗原は、配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0161】
((e)HBeタンパク質抗原)
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBeタンパク質又はその断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBV HBeタンパク質の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBeの抗原性断片である。ある実施態様において、該抗原は、配列番号26と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列によってコードされる。ある実施態様において、該抗原は、配列番号26のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0162】
((f)ポリメラーゼタンパク質抗原)
ある実施態様において、該抗原は、HBVポリメラーゼタンパク質又はその抗原性断片である。ある実施態様において、該抗原は、HBVポリメラーゼタンパク質の少なくとも10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、400、500、600、700個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である。
【0163】
HBV抗原をコードする核酸配列は、糖タンパク質GP、マトリックスタンパク質Z、核タンパク質NP、又はポリメラーゼタンパク質LのORFの核酸配列の置換によって、感染性アレナウイルスのゲノムに導入することができる。他の実施態様において、HBV抗原をコードする核酸配列は、糖タンパク質GP、マトリックスタンパク質Z、核タンパク質NP、又はポリメラーゼタンパク質LのORFに融合される。HBV抗原をコードするヌクレオチド配列は、ひとたび感染性アレナウイルスのゲノムに挿入されれば、4つのアレナウイルスプロモーター(Sセグメントの5'UTR及び3'UTR、並びにLセグメントの5'UTR及び3'UTR)のうちの1つ、並びにウイルス性RNA依存性RNAポリメラーゼ、細胞性RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、又はRNAポリメラーゼIIIによって読まれることができる調節エレメント、例えば、それぞれ、ウイルスUTRに天然に見られる重複したウイルスプロモーター配列、28SリボソームRNAプロモーター、β-アクチンプロモーター、又は5SリボソームRNAプロモーターとともに挿入されることができるリボ核酸の制御下で転写及び/又は発現されることができる。HBV抗原をコードする核酸は、単独で、又はそれぞれアレナウイルスORF及び遺伝子との融合によるリードスルーとして、並びに/又は1以上の、例えば、2つ、3つ、もしくは4つの内部リボソーム進入部位との組合せで、転写及び/又は発現されることができる。
【0164】
一実施態様において、該抗原は、感染性疾患の予防及び/又は治療に有用である抗原である。具体的な実施態様において、該抗原は、HBVに由来する。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBVプレ-S2/Sタンパク質をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBV HBcタンパク質をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBV HBsタンパク質をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードする核酸配列によって置換される。
【0165】
((g)アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFの置換)
ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、本明細書に記載される1つ、2つ、又はそれより多くのHBV抗原をコードする核酸配列によって置換される。
【0166】
一実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBV抗原をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBVのプレ-S2/Sタンパク質又はその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、プレ-S2/Sの抗原性断片をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、限定されないが、プレ-S2/S又はプレ-S2/Sの断片を含む、抗原をコードする核酸配列によって置換される。
【0167】
ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBVのHBcタンパク質又はその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、15、20、25、50、75、100、125、150個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBcの抗原性断片をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、限定されないが、HBc又はHBcの断片を含む、抗原をコードする核酸配列によって置換される。
【0168】
ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBVのHBsタンパク質又はその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50個、又はそれより多くのアミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBsの抗原性断片をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、限定されないが、抗原HBs又はHBsの断片を含む、抗原をコードする核酸配列によって置換される。
【0169】
ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、2以上のHBVタンパク質又はその少なくとも10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225個、もしくはそれより多くのアミノ酸の断片をコードする核酸配列によって置換される。ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HBs及びHBcをコードする核酸配列によって置換される。
【0170】
ある実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、プレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片、HBcタンパク質又はその抗原性断片、HBsタンパク質又はその抗原性断片、及びHbeタンパク質又はその抗原性断片のうちの1つ又は複数をコードする核酸配列によって置換される。
【0171】
(6.3 HBV抗原を発現する感染性アレナウイルスの作製)
通常、アレナウイルス粒子は、LCMVについて記載されている通りに、標準的な逆遺伝学的技法によって組換え産生することができる(L. Flatz、A. Bergthaler、J. C. de la Torre、及びD. D. Pinschewerの文献、Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668, 2006; A. B. Sanchez及びJ. C. de la Torreの文献、Virology 350:370, 2006; E. Ortiz-Riano、B.Y. Cheng、J. C. de la Torre、L. Martinez-Sobridoの文献、J Gen Virol. 94:1175-88, 2013)。
【0172】
((a)複製欠損アレナウイルス)
本発明とともに使用するための感染性複製欠損アレナウイルスを作製するために、これらの技法を使用することができるが、レスキューされたウイルスのゲノムは、第6.1節に記載されているように改変される。これらの改変は、以下のことであることができる: i)4つのアレナウイルスORF(糖タンパク質(GP);核タンパク質(NP);マトリックスタンパク質Z; RNA依存性RNAポリメラーゼL)のうちの1つ又は複数、例えば、2つ、3つ、又は4つを除去するか又は機能的に不活化して、正常細胞内での感染性粒子の形成を妨げるが、アレナウイルスベクターに感染した宿主細胞における遺伝子発現を依然として可能にすること;及びii)HBV抗原をコードする核酸を導入することができること。本明細書に記載される感染性複製欠損ウイルスは、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際特許出願公開WO 2009/083210号(出願番号PCT/EP2008/010994号)及び国際特許出願公開WO 2014/140301号(出願番号PCT/EP2014/055144号)に記載されているように産生することができる。
【0173】
ひとたびcDNAから生成させると、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスは、相補細胞で増殖させることができる。相補細胞は、そのゲノムの改変により複製欠損アレナウイルスから除去されている機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合でも、相補細胞は、確かにGPタンパク質を提供する)。
【0174】
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1つ又は複数が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子、例えば、この例では、GPをトランスに提供する細胞で生成及び増殖させることができる。そのような相補細胞株(以後、C細胞と呼ぶ)は、哺乳動物細胞株、例えば、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他(ここでは、BHK-21を例に取る)に、目的のウイルス遺伝子の発現のための1以上のプラスミド(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミドは、ポリアデニル化シグナルを伴う、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーター、例えば、CMV又はEF1αプロモーターの制御下で生成されるアレナウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子を発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物の後ろに、内部リボソーム進入部位、例えば、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌(E. coli)内での産生のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0175】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G、又はその他のものを、培養下で保持し、これに、一般に使用される戦略、例えば、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションのいずれかを用いて、相補性プラスミドをトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、目的のウイルスタンパク質に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を用いて、高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞を以下で使用する工程の各々において、失われたウイルス遺伝子を相補することができる。さらに、ヘルパーウイルスを用いて、失われた機能性をトランスに提供することができる。
【0176】
使用することができるプラスミドは、2つのタイプのもの:i)本例では、例えば、LCMVのNPタンパク質及びLタンパク質に由来する、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現するためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド;及びii)アレナウイルスベクターゲノム断片、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現するためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドであることができる。TF-プラスミドは、それぞれのアレナウイルスベクターのNPタンパク質及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーター、例えば、CMV又はEF1αプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に用いて、正確な末端を生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現は、TF-プラスミドと類似した形で構築される、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスで含めることによりもたらされなければならないか、又はC細胞は、安定な様式でT7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって、1つのプラスミドから転写されることができる。
【0177】
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。初日: M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって、1つのプラスミドから転写されることができる。このため、一般に使用される戦略、例えば、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションのいずれかを利用することができる。
【0178】
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を回収し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカスアッセイによって評価する。
【0179】
本発明はさらに、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルスに感染している細胞培養物におけるHBV抗原の発現に関する。培養細胞におけるHBV抗原の発現に使用する場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)目的の細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させて、感染直後に既に、全ての細胞でHBV抗原の産生を生じさせる。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンをそのウイルス駆動性HBV抗原発現レベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターの細胞非溶解性の性質のために、個々のクローンを無限に増殖させることができる。その手法に関係なく、その後、HBV抗原を、産生されるHBV抗原の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウイルスをベクターとして用いてHBV抗原の発現を駆動する他の方法を考慮することができる。
【0180】
或いは、3つのプラスミドからなるレスキュー系を使用することができ:(1)第一のプラスミドは、ポリメラーゼIIによる転写及びその後の翻訳によって、トランスフェクトされた細胞でタンパク質NPを発現し;(2)第二のプラスミドは、ポリメラーゼIによる転写によってLCMVゲノムの(マイナス鎖)L-セグメントを生じさせるだけでなく、ポリメラーゼIプロモーターの反対方向への同じ鋳型からのポリメラーゼIIによる転写によってLタンパク質を生じさせ;(3)第三のプラスミドは、ポリメラーゼIによる転写によってLCMVゲノムのS-セグメント(LCMV糖タンパク質の代わりに抗原コード配列をコードする)を生じさせる。3μgの各々のプラスミドをC-細胞のエレクトロポレーションに使用し、その後、細胞を6ウェルプレートに播種し、37℃でインキュベートする。インキュベーション後、トランスフェクション由来の細胞及び上清を新たに播種されたC-細胞と混合し、感染後の規定の時点で、ベクターを回収し、細胞及び残屑から取り除いた。ひとたびベクターが作製されれば、腫瘍原性ウイルスの抗原及び/又は免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質(第6.2節を参照)をコードする核酸をプラスミドに挿入することができ、そこから、感染性複製欠損ベクターのゲノムセグメントが当業者に公知の任意の技法によって転写される。
【0181】
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1つ又は複数が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(例えば、GP)をトランスに提供する細胞で生成及び増殖させることができる。得られるウイルスそれ自体は感染性であるが、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(例えば、GP)を欠いているため、非相補細胞でさらなる感染性子孫粒子を産生することができない。相補細胞は、安定なトランスフェクション、一過性のトランスフェクションによるか、又は失われた機能性を発現するヘルパーウイルスの感染によって、失われた機能性を提供することができる。
【0182】
ある実施態様において、相補細胞は、アレナウイルスベクターゲノムから欠失しているか又は機能的に不活化されているウイルス遺伝子を提供する。具体的な実施態様において、相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株と同じウイルス株由来のウイルス遺伝子を提供する。別の実施態様において、相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株と異なるウイルス株由来のウイルス遺伝子を提供する。例えば、相補細胞で提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのMP株から得られ、配列番号15、16、17、又は18のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。別の例において、相補細胞で提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのクローン13株から得られ、配列番号21、22、23、又は24のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。別の例において、相補細胞で提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのWE株から得られ、配列番号25のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
【0183】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのクローン13から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0184】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのクローン13株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのクローン13株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのMP株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0185】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのクローン13から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0186】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのMP株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0187】
ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスは3分節型である。
【0188】
((b)複製可能な3分節型アレナウイルス)
本方法及び組成物とともに使用するために、本明細書に提供されるのは、複製可能アレナウイルスベクターの作製方法である。本明細書に記載される感染性複製可能3分節型ウイルスは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる米国仮特許出願第62/079,493号に記載されている通りに産生することができる。
【0189】
ある実施態様において、3分節型アレナウイルス粒子を作製する方法は、(i)宿主細胞に、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントのcDNAをトランスフェクトすること;(ii)宿主細胞に、アレナウイルスの最小トランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドをトランスフェクトすること;(iii)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;並びに(iv)該アレナウイルス粒子を回収することを含む。
【0190】
ひとたびcDNAから生成させると、3分節型アレナウイルス粒子(すなわち、感染性かつ複製可能なもの)を増殖させることができる。ある実施態様において、3分節型アレナウイルス粒子は、ウイルスが本明細書に記載されるウイルスの使用を可能にする力価まで成長するのを可能にする任意の宿主細胞で増殖させることができる。一実施態様において、該宿主細胞は、3分節型アレナウイルス粒子が対応する野生型について決定された力価と同程度の力価まで成長するのを可能にする。
【0191】
ある実施態様において、3分節型アレナウイルス粒子は、宿主細胞で増殖させることができる。使用することができる宿主細胞の具体的な例としては、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他のものが挙げられる。具体的な実施態様において、3分節型アレナウイルス粒子は、細胞株で増殖させることができる。
【0192】
ある実施態様において、宿主細胞を培養下で維持し、該細胞に1以上のプラスミドをトランスフェクトする。プラスミドは、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で生成されることになるアレナウイルスゲノムセグメントを発現する。
【0193】
具体的な実施態様において、宿主細胞を培養下で維持し、該細胞に1以上のプラスミドをトランスフェクトする。プラスミドは、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で生成されることになるウイルス遺伝子を発現する。
【0194】
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルスを生成させるために使用することができるプラスミドとして: i)Sゲノムセグメントを各々コードする2つのプラスミド、例えば、pol-I駆動性Sセグメント発現プラスミド、ii)Lゲノムセグメントをコードするプラスミド、例えば、pol-I駆動性Lセグメント発現プラスミドを挙げることができる。2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3分節型アレナウイルスに必要とされるプラスミドは: i)Lゲノムセグメント、例えば、pol-Lを各々コードするプラスミド、ii)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラスミドである。
【0195】
ある実施態様において、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドをトランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及びNPをコードするプラスミド(それぞれ、pC-L及びpC-NP)。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小のトランス作用因子である。或いは、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を、NP及びLタンパク質と一緒に、反対側から、それぞれ、2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAを読み込むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを用いて行うことができる。
【0196】
さらに、プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物の後ろに、内部リボソーム進入部位、例えば、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での産生のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0197】
プラスミドでのBHK-21細胞のトランスフェクションは、一般に使用される戦略、例えば、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションのいずれかを用いて実施することができる。数日後、好適な選択試薬、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを標準的な手順に従って単離し、サブクローニングし、目的のウイルスタンパク質に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を用いて、高発現クローンを同定する。
【0198】
通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット、又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができ、後者は、3'-末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に用いて、正確な末端を生じさせる。ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって、1つのプラスミドから転写されることができる。
【0199】
3分節型アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順が想定される。初日: M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントの細胞に、上記のようなプラスミドの混合物をトランスフェクトする。このため、任意の一般に使用される戦略、例えば、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル、又はエレクトロポレーションを利用することができる。
【0200】
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を回収し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。アレナウイルスベクター調製物の感染力価をイムノフォーカスアッセイによって評価する。或いは、トランスフェクトされた細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目に、より大きい容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代培養してもよく、培養上清を、継代後5日まで回収する。
【0201】
本出願はさらに、非相同ORF(例えば、HBV抗原)の発現に関するものであり、ここで、ゲノムセグメントをコードするプラスミドは、非相同ORFを組み込むように改変される。非相同ORFは、制限酵素を用いて、プラスミドに組み込むことができる。ある実施態様において、非相同ORFはHBV抗原をコードする。ある実施態様において、ゲノムセグメントをコードするプラスミドは、1以上の非相同ORFを組み込むように改変される。ある実施態様において、非相同ORFは1以上のHBV抗原をコードする。
【0202】
(6.4 核酸、ベクター系、及び細胞株)
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの大きいゲノムセグメント(Lセグメント)のcDNAである核酸配列であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントは、HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0203】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列であり、ここで、糖タンパク質遺伝子のORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。あるより具体的な実施態様において、HBV抗原は、第6.2節に記載される抗原である。
【0204】
ある実施態様において、本明細書に提供される核酸配列は、LCMVの特定の株に由来することができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN、及びこれらの派生物が挙げられる。具体的な実施態様において、該核酸は、LCMVのクローン13に由来する。他の具体的な実施態様において、該核酸は、LCMVのMP株に由来する。
【0205】
より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含む核酸である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)配列番号11のヌクレオチド1639〜3315の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列;及び(ii)HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含む核酸である。
【0206】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)そのアミノ酸配列が、配列番号11の1639〜3315によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含む核酸である。
【0207】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)配列番号12のヌクレオチド1640〜3316の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列;及び(ii)HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含む核酸である。
【0208】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)そのアミノ酸配列が、配列番号12の1640〜3316によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含む核酸である。
【0209】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルス粒子のゲノムをまとめて含む1以上のベクターを含むベクター系である。具体的に、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの2つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、Lセグメント及びSセグメントを含むベクター系である。そのようなベクター系は、以下のものを(1以上の別々のDNA分子上に)含むことができる:
【0210】
この改変されたSゲノムセグメントを保有するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように改変されているアレナウイルスSゲノムセグメント、及びHBV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスLゲノムセグメント;
【0211】
この改変されたLゲノムセグメントを保有するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように改変されているアレナウイルスLゲノムセグメント、及びHBV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスSゲノムセグメント;
【0212】
この改変されたSゲノムセグメントを保有するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように改変されており、かつHBV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含み、かつ野生型アレナウイルスLゲノムセグメントを含む、アレナウイルスSゲノムセグメント;又は
【0213】
この改変されたLゲノムセグメントを保有するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように改変されており、かつHBV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含み、かつ野生型アレナウイルスSゲノムセグメントを含む、アレナウイルスLゲノムセグメント。
【0214】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコードするORFが:
B型肝炎プレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
B型肝炎ウイルスHBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
B型肝炎ウイルスHBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
B型肝炎ウイルスHBsタンパク質及びHBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
B型肝炎ウイルスHBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
を含むヌクレオチド配列と置換されているアレナウイルス(例えば、LCMV)ゲノムセグメントを含む核酸配列である。
【0215】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコードするORFが、1以上のHBV抗原(例えば、上の段落に記載されているもののうちの1つ又は複数)をコードするヌクレオチド配列と置換されているアレナウイルス(例えば、LCMV)ゲノムセグメントを含む核酸配列である。
【0216】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節で上に記載されている核酸又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、及び核酸又はベクター系に感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの大きいゲノムセグメント(Lセグメント)を含む核酸を含む細胞であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントは、HBV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0217】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)を含む核酸配列を含む細胞であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0218】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)を含む核酸配列を含む細胞であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0219】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)を含む核酸配列を含む細胞であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0220】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)を含む核酸配列を含む細胞であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質由来の少なくとも1つのドメインを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0221】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)を含む核酸配列を含む細胞であり、ここで、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該短いゲノムセグメントは、HBV抗原のうちの1つ又は複数をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0222】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される2つの核酸又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、及び核酸又はベクター系に感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。
【0223】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号13又は配列番号14と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号13又は配列番号14と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号13又は配列番号14と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
【0224】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号15、16、17、又は18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号15、16、17、又は18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号15、16、17、又は18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
【0225】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号15、16、17、又は18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号15、16、17、又は18と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むタンパク質を発現する宿主細胞である。ある実施態様において、該宿主細胞は、細胞培養培地中で培養される。
【0226】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号12又は7と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号12又は7と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号12又は7と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
【0227】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号21、22、23、又は24と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号21、22、23、又は24と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号21、22、23、又は24と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
【0228】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号21、22、23、又は24と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号21、22、23、又は24と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むタンパク質を発現する宿主細胞である。ある実施態様において、該宿主細胞は、細胞培養培地中で培養される。
【0229】
(6.5 使用方法)
本明細書に提供されるのは、B型肝炎ウイルス感染に対する免疫療法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルス又はその組成物を投与することを含む、方法である。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスは複製欠損性である。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスは複製可能である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染を治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルス又はその組成物の有効量を投与することを含む。該対象は、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、家畜、例えば、限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、ロバなどの、哺乳動物であることができる。具体的な実施態様において、該対象はヒトである。
【0230】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるHBVに対する免疫応答を誘導する方法であって、該対象に、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与することを含む、方法である。
【0231】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、HBV感染を有するか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0232】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、例えば、肝臓におけるHBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、身体の1以上の器官、例えば、肝臓におけるHBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0233】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、肝損傷を示す検査結果(例えば、血液検査結果)を有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中アルカリホスファターゼレベルを有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルを有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中ALT、AST、アルカリホスファターゼ、及びLDHレベルのうちの1つ又は複数を有する。
【0234】
ある実施態様において、該対象は、肝臓癌又はそれに対する感受性を示す血中α-フェトタンパク質(AFP)レベルを有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中ビリルビン(例えば、共役ビリルビン)レベルを有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す血中アルブミンレベルを有する。
【0235】
ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示す腹部超音波の結果を有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示すCATスキャンの結果を有する。ある実施態様において、該対象は、肝損傷を示すMRIの結果を有する。
【0236】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、血液中に検出可能なレベルのHBs抗原(HBsAg)を有する。ある実施態様において、該対象は、血液中にHBc抗原(HBcAg)に対する検出可能なレベルのIgM抗体を有する。ある実施態様において、該対象は、血液中に検出可能なレベルのHBe抗原(HBeAg、細胞外/分泌型のHBcタンパク質)を有する。ある実施態様において、該対象は、血液中にHBsAgに対する検出可能なレベルの抗体を有する。
【0237】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、慢性肝炎を示す持続的レベルのHBsAgを有する。ある実施態様において、該対象は、慢性肝炎を示す持続的レベルのHBeAgを有する。ある実施態様において、該対象は、慢性肝炎を示す持続的レベルのHBsAg及びHBeAgを有する。
【0238】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、限定されないが、食欲不振、疲労、吐き気、嘔吐、痒み、腹部痛、腹部膨満、又は黄疸を含む、HBV感染の症状に苦しんでいる。
【0239】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が投与される対象は、限定されないが、急性B型肝炎、慢性HBV感染、肝硬変、及び肝細胞癌(HCC)を含む、HBVの症状に苦しんでいる。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、無症候性HBVを有する対象に投与される。
【0240】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている任意の年齢層の対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、免疫系不全を有する対象、妊娠している対象、臓器移植もしくは骨髄移植を受けている対象、免疫抑制薬を服用している対象、血液透析を受けている対象、癌を有する対象、又はHBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、もしくはそのリスクに曝されている対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、もしくはそのリスクに曝されている、HIV感染が原因で免疫系不全を有する対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳の子供である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている幼児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12カ月齢の幼児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている高齢対象に投与される。
【0241】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、播種性HBV感染のリスクが高まっている対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、未熟な新生児免疫系を有する新生児期の対象に投与される。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、HBV感染のリスクが高まり、静脈内薬物を使用する対象に投与される。
【0242】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物は、1以上の遺伝子型又は亜遺伝子型のHBVに感染した対象に投与される。ある実施態様において、該遺伝子型は、遺伝子型A〜J、又は別の遺伝子型のうちの1つ又は複数である。ある実施態様において、該亜遺伝子型は、1以上の亜遺伝子型A1〜A6、B1〜B4、C1〜C6、D1〜D7、F1〜F4、又は別の亜遺伝子型である。
【0243】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を対象に投与すると、HBVの感染に対する細胞性免疫(CMI)が付与される。理論に束縛されるものではないが、別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物が感染し、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI及びII上での抗原の直接的な提示のために、目的の抗原を宿主の抗原提示細胞(APC)(例えば、マクロファージ)で発現する。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を対象に投与すると、HBVの感染を治療又は予防するための規模の大きい多機能なIFN-γ及びTNF-α共産生HBV特異的CD4+及びCD8+ T細胞応答が誘導される(IFN-γはCD4+及びCD8+ T細胞によって産生され、TNF-αはCD4+ T細胞によって産生される)。
【0244】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、個体がHBVの感染を生じるリスクが、そのような治療の非存在下でHBVの感染を生じるリスクと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
【0245】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、HBVの感染の症状が、そのような治療の非存在下でのHBVの感染の症状の発現と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
【0246】
別の実施態様において、未成熟な新生児免疫系を有する対象においてHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、HBVの感染に対する細胞性免疫(CMI)応答が、そのような治療の非存在下でのHBVの感染に対する細胞性免疫(CMI)応答と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれよりも大きく誘導される。
【0247】
ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のALTレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のASTレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のアルカリホスファターゼレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のLDHレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のALT、AST、アルカリホスファターゼ、及びLDHレベルのうちの1つ又は複数が低下する。
【0248】
ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のAFPレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のビリルビン(例えば、共役ビリルビン)レベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のアルブミンレベルが増大する。
【0249】
ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のHBsAgレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のHBcAgに対するIgM抗体レベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のHBeAgレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、血液中のHBsAgに対する抗体レベルが低下する。
【0250】
ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、唾液腺又は別の組織学的試料中で検出される封入体の数が低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、患者血液試料中で検出される抗HBV抗体の数が低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、尿、唾液、血液、涙液、精液、又は母乳中に検出されるHBVの量が低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、尿、咽頭スワブ、気管支洗浄液、又は組織試料から培養されるウイルスのレベルが低下する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与すると、定量的又は定性的PCR検査によって検出されるウイルスのレベルが低下する。
【0251】
対象においてHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス又はその組成物を投与することにより誘導されるHBVの感染に対する細胞性免疫(CMI)応答機能の変化は、当業者に公知の任意のアッセイによって測定することができ、該アッセイには、フローサイトメトリー(例えば、Perfetto S.P.らの文献、Nat Rev Immun. 2004; 4(8):648-55を参照)、リンパ球増殖アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献、Ann Allergy Asthma Immunol. 2008; 101:101-4;及びHicks M.J.らの文献、Am J Clin Pathol. 1983; 80:159-63を参照)、Tリンパ球のサイトカインの測定に関して活性化後の表面マーカー発現の変化を決定することを含む、リンパ球活性化を測定するためのアッセイ(例えば、Caruso A.らの文献、Cytometry. 1997;27:71-6を参照)、ELISPOTアッセイ(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献、J Immunol Methods. 1983; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献、J Immunol Methods. 1989; 120:1-8を参照)、又はナチュラルキラー細胞の細胞傷害性アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献、Ann Allergy Asthma Immunol. 2005 May; 94(5 Suppl 1):S1-63を参照)が含まれるが、これらに限定されない。
【0252】
別の実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルス(例えば、LCMV)に関する使用方法であり、ここで、SゲノムセグメントのGPをコードするORFは:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
を含むヌクレオチド配列と置換されている。
【0253】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠可能年齢の対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。第6.2節を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠可能年齢の血清陰性対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、子を産む意向の妊娠可能年齢の対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。
【0254】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠可能年齢の対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。第6.2節を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠可能年齢の血清陰性対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、子を産む意向の妊娠可能年齢の対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。
【0255】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠している対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠している対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスの有効量を投与することを含む、方法である。
【0256】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠している対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、母親から胎児へのHBVの伝播及び/又は感染を予防する方法であって、妊娠している対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスの有効量を投与することを含む、方法である。
【0257】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与すると、先天性HBV感染が低下する。別の実施態様において、HBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与すると、先天性HBV感染が低下する。
【0258】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与すると、先天性HBV感染の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれより大きく低下する。別の具体的な実施態様において、HBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを投与すると、先天性HBV感染による新生児の死亡率が低下する。
【0259】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与すると、先天性HBV感染の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれより大きく低下する。別の具体的な実施態様において、HBV抗原を発現する1以上の感染性アレナウイルスを投与すると、先天性HBV感染による新生児の死亡率が低下する。
【0260】
そのような先天性HBVの発現には、急性B型肝炎、慢性HBV感染、肝硬変、及び肝細胞癌(HCC)が含まれるが、これらに限定されない。
【0261】
(6.6 組成物、投与、及び投薬量)
本発明はさらに、本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスを含む、ワクチン、免疫原性組成物、及び医薬組成物に関する。そのようなワクチン及び医薬組成物は、当技術分野における標準的な手順に従って製剤化することができる。
【0262】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性アレナウイルスを含む組成物である。そのような組成物は、疾患の治療及び予防の方法において使用することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、HBV感染に感染しているか、又はそれに罹患しやすい対象の治療において使用される。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される免疫原性組成物を用いて、該組成物が投与される宿主における免疫応答を誘導することができる。本明細書に記載される免疫原性組成物はワクチンとして使用することができ、かつ適宜、医薬組成物として製剤化することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、対象(例えば、ヒト対象)へのHBVの感染の予防において使用される。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製欠損性である(第6.1節(a)を参照)。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは複製可能である(第6.1節(b)を参照)。
【0263】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター(又は様々なアレナウイルスベクターの組合せ)を含む免疫原性組成物である。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物は、医薬として許容し得る賦形剤をさらに含む。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。本明細書に記載される組成物と組み合わせた投与のためのアジュバントは、該組成物の投与の前に、該投与と同時に、又は該投与の後に投与することができる。いくつかの実施態様において、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物と併せて又はその一部として投与されたとき、感染性アレナウイルス粒子に対する免疫応答を強化、増強、及び/又は亢進するが、該化合物が単独で投与されたとき、該感染性アレナウイルス粒子に対する免疫応答を発生させない化合物を指す。いくつかの実施態様において、アジュバントは、感染性アレナウイルス粒子に対する免疫応答を発生させるが、アレルギーも他の有害反応も生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含む、いくつかの機構によって免疫応答を増強することができる。本発明のワクチン又は免疫原性組成物がアジュバントを含むか、又は1以上のアジュバントと一緒に投与される場合、使用することができるアジュバントとしては、無機塩アジュバント又は無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激性アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3脱-O-アシル化モノホスホリル脂質A(MPL)(GB 2220211号を参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80; ICL Americas社)、イミダゾピリジン化合物(国際公開WO2007/109812号として公開された国際出願PCT/US2007/064857号を参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開WO2007/109813号として公開された国際出願PCT/US2007/064858号を参照)、並びにサポニン、例えば、QS21(ワクチン設計(Vaccine Design)におけるKensilらの文献:サブユニット及びアジュバントアプローチ(The Subunit and Adjuvant Approach)(Powell及びNewman編、Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、モノホスホリル脂質Aなどの免疫刺激物と任意に組み合わせた水中油型エマルジョン(例えば、スクアレン又はピーナツ油)である(Stouteらの文献、N. Engl. J. Med. 336, 86-91(1997)を参照)。
【0264】
組成物は、本明細書に記載される感染性アレナウイルスを単独で又は医薬として許容し得る担体と一緒に含む。遺伝子改変アレナウイルスの懸濁液又は分散液、とりわけ、等張水性懸濁液又は分散液を使用することができる。医薬組成物は滅菌することができ、かつ/又は賦形剤、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、及び/もしくは乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩、並びに/又は緩衝剤を含むことができ、かつ例えば、従来の分散及び懸濁プロセスにより、それ自体公知の方法で調製される。ある実施態様において、そのような分散液又は懸濁液は、粘度調節剤を含むことができる。該懸濁液又は分散液を2〜8℃前後の温度で維持するか、又は長期保存用を優先して、凍結させ、その後、使用直前に解凍することができる。注射のために、ワクチン又は免疫原性調製物は、水性溶液中に、好ましくは、生理的に適合性のある緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理食塩水緩衝液中に製剤化することができる。該溶液は、配合剤、例えば、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤を含有することができる。
【0265】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物は、防腐剤、例えば、水銀誘導体のチメロサールをさらに含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、0.001%〜0.01%のチメロサールを含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0266】
医薬組成物は、約103〜約1011フォーカス形成単位の遺伝子改変アレナウイルスを含む。非経口投与のための単位用量形態は、例えば、アンプル又はバイアル、例えば、約103〜1010フォーカス形成単位又は105〜1015個の物理的粒子の遺伝子改変アレナウイルスを含有するバイアルである。
【0267】
別の実施態様において、本明細書に提供されるワクチン又は免疫原性組成物は、例えば、限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内、及び吸入経路により、並びにスカリフィケーション(例えば、二股針を用いて、皮膚の最上層から掻爬すること)により、対象に投与される。具体的には、皮下、筋肉内、又は静脈内経路を使用することができる。
【0268】
鼻腔内への又は吸入による投与のために、本発明による使用のための調製物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスを用いて、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。吸入器又は注入器で使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含んで製剤化することができる。
【0269】
活性成分の投薬量は、ワクチン接種の種類によって、並びに対象及びその年齢、体重、個々の状態、個々の薬物動態データ、並びに投与様式によって決まる。
【0270】
また本明細書に提供されるのは、遺伝子改変アレナウイルスを活性成分として含む医薬調製物の形態のワクチンの製造のための方法及び該製造のための遺伝子改変アレナウイルスの使用である。本発明の医薬組成物は、例えば、従来の混合及び/又は分散プロセスにより、それ自体公知の方法で調製される。
【0271】
(6.7 LCMVベクターの作製の最適化)
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1つ又は複数が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(例えば、GP)を「トランスに」提供する細胞で生成及び増殖させることができる。得られるウイルス自体は感染性であるが、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(例えば、GP)を欠いているため、非相補細胞でさらなる感染性子孫粒子を産生することができない。相補細胞は、安定なトランスフェクション、一過性のトランスフェクションによるか、又は失われた機能性を発現するヘルパーウイルスの感染によって、失われた機能性を提供することができる。
【0272】
ある実施態様において、相補細胞は、アレナウイルスベクターゲノムから欠失しているか又は機能的に不活化されているウイルス遺伝子を提供する。具体的な実施態様において、相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株と同じウイルス株由来のウイルス遺伝子を提供する。別の実施態様において、相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株と異なるウイルス株由来のウイルス遺伝子を提供する。例えば、相補細胞で提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのMP株から得られ、配列番号15、16、17、又は18のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。別の例において、相補細胞で提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのクローン13株から得られ、配列番号21、22、23、又は24のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。別の例において、相補細胞で提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのWE株から得られ、配列番号25のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
【0273】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのクローン13から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0274】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのクローン13株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのクローン13株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのMP株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0275】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのクローン13から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0276】
具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、アレナウイルスベクターは、LCMVのMP株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHBV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、GPタンパク質は、配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
【0277】
(6.8 組合せ療法)
(6.8(a)方法)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるHBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。例えば、第6.2節を参照されたい。具体的な実施態様において、HBV感染を治療及び/又は予防する方法は、例えば、SゲノムセグメントのGPをコードするORFがHBV抗原をコードするヌクレオチド配列と置換されており、ここで、該HBV抗原が:
a)HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b)HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c)HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d)HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
e)HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
であることができるが、これらに限定されない、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルス、並びに例えば、SゲノムセグメントのGPをコードするORFがHBV抗原をコードするヌクレオチド配列と置換されており、ここで、該HBV抗原が:
a)HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b)HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c)HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d)HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
e)HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
であることができるが、これらに限定されない、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含む。
【0278】
ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス及び第二の感染性アレナウイルスは複製欠損性である。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス及び第二の感染性アレナウイルスは複製可能である。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス又は第二の感染性アレナウイルスのどちらかは複製欠損である。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス及び第二の感染性アレナウイルスは2分節型である。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス及び第二の感染性アレナウイルスは3分節型である。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス又は第二の感染性アレナウイルスのどちらかは2分節型であり、もう一方は3分節型である。
【0279】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、HBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載される、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその抗原性断片; HBV HBcタンパク質もしくはその抗原性断片、HBV HBsタンパク質もしくはその抗原性断片、又はHBV HBeタンパク質もしくはその抗原性断片:から選択される、第一のHBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルス、及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列; HBV HBcタンパク質もしくはその抗原性断片、HBV HBsタンパク質もしくはその抗原性断片、又はHBV HBeタンパク質もしくはその抗原性断片:から選択される、第二のHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。
【0280】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2つのアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、該2つのアレナウイルスベクターコンストラクトは、異なるHBV抗原を発現する。
【0281】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する3以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法である。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターコンストラクトは、LCMVに基づくことができる。
【0282】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載される異なるHBV抗原を各々発現する2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載される異なるHBV抗原を各々発現する3以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法である。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターコンストラクトは、LCMVに基づくことができる。
【0283】
具体的な実施態様において、該抗原は、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(a)を参照)。
【0284】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBcタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(b)を参照)。
【0285】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(c)を参照)。
【0286】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体である(例えば、第6.2節(d)を参照)。
【0287】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBeタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(e)を参照)。
【0288】
ある実施態様において、本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、記載されるHBV抗原をコードする1以上の核酸及びその組合せを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原は、本明細書に記載される様々なリンカー、スペーサー、及び切断部位によって隔てられる。
【0289】
別の実施態様において、第一の感染性アレナウイルスの本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVのクローン13又はLCMVのMP株に基づくことができる。(例えば、第7.1節を参照)。
【0290】
別の実施態様において、第二の感染性アレナウイルスの本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVのクローン13又はLCMVのMP株に基づくことができる。(例えば、第7.1節を参照)。別の実施態様において、第一の感染性アレナウイルスの本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、フニンウイルスに基づくことができる。
【0291】
別の実施態様において、第二の感染性アレナウイルスの本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、フニンウイルスに基づくことができる。
【0292】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。
【0293】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0294】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法である。
【0295】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0296】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0297】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0298】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0299】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0300】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0301】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。
【0302】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法である。
【0303】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0304】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0305】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0306】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0307】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法である。
【0308】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法である。
【0309】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法である。
【0310】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法である。
【0311】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法である。
【0312】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、一次ワクチン抗原であり、別のHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスは、二次ワクチン抗原である。
【0313】
ある実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はHBV HBcタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBcタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも優れたHBVに対する防御効果がワクチン接種後にもたらされる。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBcタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きい免疫応答が誘発される。別の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBcタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBcタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBcタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも高力価の中和抗体が誘発される。
【0314】
ある実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はHBV HBsタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBsタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも優れたHBVに対する防御効果がワクチン接種後にもたらされる。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBsタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きい免疫応答が誘発される。別の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBsタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBsタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも高力価の中和抗体が誘発される。
【0315】
ある実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも優れたHBVに対する防御効果がワクチン接種後にもたらされる。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きい免疫応答が誘発される。別の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBV HBsタンパク質とHBcタンパク質の融合体のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも高力価の中和抗体が誘発される。
【0316】
ある実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はHBV HBeタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBeタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも優れたHBVに対する防御効果がワクチン接種後にもたらされる。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBeタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きい免疫応答が誘発される。別の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBeタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。他の実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその断片又はHBV HBeタンパク質を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する、例えば、プレ-S2/Sタンパク質(もしくはその断片)のみ又はHBeタンパク質のみを発現する、単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも高力価の中和抗体が誘発される。
【0317】
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する複製欠損アレナウイルスと1以上の複製欠陥ウイルスベクターの併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠陥ウイルスベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物から構成される群から選択される。具体的な実施態様において、ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
【0318】
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する複製欠損アレナウイルスとHBV抗原を発現する1以上の複製欠陥ウイルスベクターの併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠陥ウイルスベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物から構成される群から選択される。具体的な実施態様において、ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
【0319】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスの前又は後に投与される。例えば、HBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、第二の感染性アレナウイルスの1回目の投与の約30〜60分前又は後に投与される。
【0320】
別の実施態様において、ワクチン抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、ワクチン抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスの前に投与される。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルスの投与と第二の感染性アレナウイルスの投与の間に、約1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、5日、1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年の期間がある。
【0321】
別の実施態様において、2つの感染性アレナウイルスは、特に: 1:1比、1:2比、1:5比、1:10比、1:20比、1:50比、1:100比、1:200比、1:300比、1:400比、1:500比、1:600比、1:700比、1:800比、1:900比、1:1000比を含む、約1:1〜1:1000の範囲のモル比の治療レジメンで投与される。
【0322】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが投与される対象は、HBV感染を有するか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが投与される対象は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0323】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが同時に投与される対象は、HBV感染を有するか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが同時に投与される対象は、HBVの感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0324】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが順次投与される対象は、HBV感染を有するか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが順次投与される対象は、HBVの感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0325】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する該2以上の感染性アレナウイルスはさらに、HBVを治療及び/又は予防するための少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて投与される。HBVを治療及び/又は予防するための治療的薬剤としては、エンテカビル(BARACLUDE(登録商標); Bristol-Myers Squibb)、ラミブジン(EPIVIR HBV(登録商標); GlaxoSmithKline)、アデホビルジピボキシル(HEPSERA(登録商標); Gilead Sciences)、インターフェロンα2b(INTRON A(登録商標); Schering)、ペグ化インターフェロン(PEGASYS(登録商標); Roche)、テルビブジン(TYZEKA(登録商標)、Novartis)、及びテノホビル(VIREAD(登録商標); Gilead Sciences)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0326】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する該2以上の感染性アレナウイルスはさらに、少なくとも1つの他の免疫モジュレーターと組み合わせて投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する該2以上の感染性アレナウイルスはさらに、少なくとも1つのTh1特異的アジュバントと組み合わせて投与される。より具体的な実施態様において、該Th-1特異的アジュバントは、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)である。
【0327】
別の実施態様において、投与レジメンは、症候性対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。さらに別の実施態様において、投与レジメンは、免疫系不全を有する対象、とりわけ、移植レシピエント、HIV感染者、妊娠している対象、癌を有する対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスは、HBVの感染に罹患しているか、又はそれに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳の子供である対象に投与される。
【0328】
別の実施態様において、投与レジメンは、子供である対象に、HBV抗原を発現する第一のアレナウイルスを投与すること、及び思春期にある同じ対象に、HBV抗原を発現する第二のアレナウイルスを投与することを含むことができる。具体的な実施態様において、投与レジメンは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳である対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第一のアレナウイルスを投与すること、及び12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25歳である同じ対象に、HBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。
【0329】
別の実施態様において、投与レジメンは、思春期前の対象に、HBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。別の実施態様において、投与レジメンは、12〜18歳の思春期の男性に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。別の実施態様において、投与レジメンは、12〜18歳の女性に、HBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。
【0330】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスを投与すると、そのような治療の非存在下でHBV感染を発症するリスクと比較して、個体がHBV感染を発症するリスクが少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
【0331】
別の実施態様において、別々に投与される、HBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスを投与すると、そのような治療の非存在下でHBV感染を発症するリスクと比較して、個体がHBV感染を発症するリスクが少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
【0332】
別の実施態様において、順次投与される、HBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスを投与すると、そのような治療の非存在下でHBV感染を発症するリスクと比較して、個体がHBV感染を発症するリスクが少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
【0333】
理論によって制限されるものではないが、第一の感染性アレナウイルス及びその後の第二の感染性アレナウイルスベクターの投与は、一次免疫-追加免疫効果をもたらす。
【0334】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、同じ又は異なるHBV抗原を各々発現する2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを順次投与することを含む、方法である。各々の投与間の時間間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月であることができる。
【0335】
ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス及び第二の感染性アレナウイルスは相同である。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルス及び第二の感染性アレナウイルスは非相同である。
【0336】
ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスは旧世界アレナウイルスであり、第二の感染性アレナウイルスは旧世界アレナウイルスである。ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスは旧世界アレナウイルスであり、第二の感染性アレナウイルスは新世界アレナウイルスである。ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスは新世界アレナウイルスであり、第二の感染性アレナウイルスは新世界アレナウイルスである。ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスは新世界アレナウイルスであり、第二の感染性アレナウイルスは旧世界アレナウイルスである。
【0337】
ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスはLCMVに由来し、第二の感染性アレナウイルスはLCMVに由来する。ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスはLCMVに由来し、第二の感染性アレナウイルスはフニンウイルスに由来する。ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスはフニンウイルスに由来し、第二の感染性アレナウイルスはフニンウイルスに由来する。ある具体的な実施態様において、第一の感染性アレナウイルスはフニンウイルスに由来し、第二の感染性アレナウイルスはLCMVに由来する。
【0338】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、第一の感染性アレナウイルスが「一次免疫」として最初に投与され、第二の感染性アレナウイルスが「追加免疫」として投与される、方法である。第一及び第二の感染性アレナウイルスベクターは、同じ又は異なるHBV抗原を発現することができる。ある具体的な実施態様において、「一次免疫」投与は、LCMVに由来する感染性アレナウイルスを用いて実施され、「追加免疫」は、フニンウイルスに由来する感染性アレナウイルスを用いて実施される。ある具体的な実施態様において、「一次免疫」投与は、フニンウイルスに由来する感染性アレナウイルスを用いて実施され、「追加免疫」は、LCMVに由来する感染性アレナウイルスを用いて実施される。
【0339】
ある実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する第一の感染性アレナウイルスを投与し、次いで、HBV抗原又はその断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原又はその断片を発現する単一の感染性アレナウイルスを投与するよりも大きい抗原特異的CD8+ T細胞応答が誘発される。ある実施態様において、該抗原特異的CD8+ T細胞数は、1回目の投与と比較して2回目の投与の後に、50%、100%、150%、又は200%増加する。ある実施態様において、HBV抗原を発現する第三の感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原を発現する2つの連続する感染性アレナウイルスを投与するよりも大きい抗原特異的CD8+ T細胞応答が誘発される。ある実施態様において、該抗原特異的CD8+ T細胞数は、1回目の投与と比較して3回目の投与の後に、約50%、約100%、約150%、約200%、又は約250%増加する。
【0340】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法であり、ここで、該2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトは相同であり、かつ各々の投与間の時間間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月である。
【0341】
ある実施態様において、HBV抗原又はその断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV抗原又はその断片を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV抗原又はその断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV抗原又はその断片を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。
【0342】
ある具体的な実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはLCMVであり、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはフニンウイルスである。ある具体的な実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはフニンウイルスであり、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはLCMVである。
【0343】
ある具体的な実施態様において、HBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはLCMVであり、HBV HBcタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはフニンウイルスである。ある具体的な実施態様において、HBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはフニンウイルスであり、HBV HBcタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはLCMVである。
【0344】
ある具体的な実施態様において、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはLCMVであり、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはフニンウイルスである。ある具体的な実施態様において、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはフニンウイルスであり、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはLCMVである。
【0345】
ある具体的な実施態様において、HBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはLCMVであり、HBV HBeタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはフニンウイルスである。ある具体的な実施態様において、HBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルスはフニンウイルスであり、HBV HBeタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスはLCMVである。
【0346】
ある具体的な実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。ある具体的な実施態様において、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも約20%、約40%、約60%、約80%、約100%、約120%、約140%、約160%、約180%、又は約200%大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。
【0347】
ある具体的な実施態様において、HBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。ある具体的な実施態様において、HBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV HBcタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも約20%、約40%、約60%、約80%、約100%、約120%、約140%、約160%、約180%、又は約200%大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。
【0348】
ある具体的な実施態様において、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。ある具体的な実施態様において、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBs及びHBc融合タンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも約20%、約40%、約60%、約80%、約100%、約120%、約140%、約160%、約180%、又は約200%大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。
【0349】
ある具体的な実施態様において、HBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。ある具体的な実施態様において、HBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質を発現する第二の非相同な感染性アレナウイルスを投与すると、HBV HBeタンパク質を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質を発現する第二の相同な感染性アレナウイルスを投与するよりも約20%、約40%、約60%、約80%、約100%、約120%、約140%、約160%、約180%、又は約200%大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。
【0350】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染を治療及び/又は予防する方法であって、2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、方法であり、ここで、該2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトは非相同であり、かつ各々の投与間の時間間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月である。
【0351】
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する複製欠損アレナウイルスと1以上の複製欠陥ウイルスベクターの併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠陥ウイルスベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物から構成される群から選択される。具体的な実施態様において、ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
【0352】
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する複製欠損アレナウイルスとHBV抗原を発現する1以上の複製欠陥ウイルスベクターの併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠陥ウイルスベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物から構成される群から選択される。具体的な実施態様において、ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
【0353】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスの前又は後に投与される。例えば、HBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、第二の感染性アレナウイルスの1回目の投与の約30〜60分前又は後に投与される。
【0354】
別の実施態様において、ワクチン抗原を発現する第一の感染性アレナウイルスは、ワクチン抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスの前に投与される。ある実施態様において、第一の感染性アレナウイルスの投与と第二の感染性アレナウイルスの投与の間に、約1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、5日、1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年の期間がある。
【0355】
別の実施態様において、2つの感染性アレナウイルスは、特に: 1:1比、1:2比、1:5比、1:10比、1:20比、1:50比、1:100比、1:200比、1:300比、1:400比、1:500比、1:600比、1:700比、1:800比、1:900比、1:1000比を含む、約1:1〜1:1000の範囲のモル比の治療レジメンで投与される。
【0356】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが投与される対象は、HBV感染を有するか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスが投与される対象は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0357】
本明細書に提供される方法で治療することができる対象は、HBV感染に罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0358】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する該2以上の感染性アレナウイルスはさらに、少なくとももう1つの免疫刺激ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を発現する。ある実施態様において、該免疫刺激ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)もしくはその断片;ユビキチンもしくはその断片; 顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)もしくはその断片;不変鎖(CD74)もしくはその抗原性断片;結核菌(Mycobacterium tuberculosis)熱ショックタンパク質70もしくはその抗原性断片;単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22もしくはその抗原性断片; CD40リガンドもしくはその抗原性断片;又はFms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドもしくはその抗原性断片である。
【0359】
2つの感染性複製欠陥アレナウイルスベクターが異なるアレナウイルス(例えば、LCMV及びフニンウイルス)に由来する感染性複製欠陥アレナウイルスベクターを用いる非相同一次免疫-追加免疫法も提供される。これらの感染性複製欠陥アレナウイルスベクターは、抗原、例えば、HBVの抗原を発現することができる。
【0360】
2つの感染性複製可能アレナウイルスベクターが異なるアレナウイルス(例えば、LCMV及びフニンウイルス)に由来する感染性複製可能アレナウイルスベクターを用いる非相同一次免疫-追加免疫法も提供される。これらの感染性複製可能アレナウイルスベクターは、抗原、例えば、HBVの抗原を発現することができる。
【0361】
(6.8(b)組成物)
本発明はさらに、本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスを含む、ワクチン、免疫原性組成物、及び医薬組成物に関する。そのようなワクチン及び医薬組成物は、当技術分野における標準的な手順に従って製剤化することができる。
【0362】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルスを含む組成物である。例えば、第6.2節を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、対象に、例えば、例えば、SゲノムセグメントのGPをコードするORFがHBV抗原をコードするヌクレオチド配列と置換されている、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルス(該HBV抗原は:
a)HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b)HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c)HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d)HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
e)HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
であることができるが、これらに限定されない)、並びに例えば、SゲノムセグメントのGPをコードするORFがHBV抗原をコードするヌクレオチド配列と置換されている、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルス組成物(該HBV抗原は:
a)HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b)HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c)HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d)HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;
e)HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
であることができるが、これらに限定されない)を投与することを含む。ある実施態様において、該第一の感染性アレナウイルス及び該第二の感染性アレナウイルスは複製欠損性である。ある実施態様において、該第一の感染性アレナウイルス及び該第二の感染性アレナウイルスは複製可能である。ある実施態様において、該第一の感染性アレナウイルス又は該第二の感染性アレナウイルスのどちらかは複製欠損性である。
【0363】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、HBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載される、HBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその抗原性断片; HBV HBcタンパク質もしくはその抗原性断片; HBV HBsタンパク質もしくはその抗原性断片、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質もしくはこれらの抗原性断片の融合体、又はHBV HBeタンパク質もしくはその抗原性断片:から選択される第一のHBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルス、並びにHBVプレ-S2/Sタンパク質もしくはその抗原性断片; HBV HBcタンパク質もしくはその抗原性断片;又はHBV HBsタンパク質もしくはその抗原性断片、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質もしくはこれらの抗原性断片の融合体、又はHBV HBeタンパク質もしくはその抗原性断片:から選択される第二のHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法である。
【0364】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2つのアレナウイルスコンストラクトを投与することを含む、方法に好適な組成物である。具体的な実施態様において、該2つのアレナウイルスベクターコンストラクトは、HBV抗原を発現する。
【0365】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを含む組成物である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する3以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを含む組成物である。ある実施態様において、該アレナウイルスはLCMVであることができる。
【0366】
具体的な実施態様において、該抗原は、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(a)を参照)。
【0367】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBcタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(b)を参照)。
【0368】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(c)を参照)。
【0369】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体(例えば、第6.2節(d)を参照)。
【0370】
ある実施態様において、該抗原は、HBV HBeタンパク質又はその断片である(例えば、第6.2節(e)を参照)。
【0371】
ある実施態様において、本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、記載されるHBV抗原をコードする1以上の核酸及びその組合せを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原は、本明細書に記載される様々なリンカー、スペーサー、及び切断部位によって隔てられる。
【0372】
別の実施態様において、第一の感染性アレナウイルスの本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVのクローン13株又はLCMVのMP株に基づくことができる。(例えば、第7.1節を参照)。
【0373】
別の実施態様において、第二の感染性アレナウイルスの本明細書に記載される1以上のHBV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVのクローン13株又はLCMVのMP株に基づくことができる。(例えば、第7.1節を参照)。
【0374】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるHBV感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス組成物及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルス組成物を投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0375】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0376】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染に好適な組成物であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、組成物である。
【0377】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0378】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0379】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0380】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0381】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0382】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0383】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0384】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0385】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0386】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0387】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0388】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体を発現する第一の感染性アレナウイルス並びにHBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0389】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを順次投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0390】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0391】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0392】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0393】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染を治療及び/又は予防する方法であって、該対象に、HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片を発現する第一の感染性アレナウイルス及びHBV HBcタンパク質又はその抗原性断片を発現する第二の感染性アレナウイルスを同時に投与することを含む、方法に好適な組成物である。
【0394】
別の実施態様において、HBV抗原を発現する第一の感染性アレナウイルス組成物は一次ワクチン抗原であり、別のHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスは二次ワクチン抗原である。
【0395】
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する複製欠損アレナウイルス組成物と1以上の複製欠陥ウイルスベクター組成物の併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠陥ウイルスベクター組成物は:ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物であることができるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
【0396】
別の実施態様において、2つの感染性アレナウイルス組成物は、特に: 1:1比、1:2比、1:5比、1:10比、1:20比、1:50比、1:100比、1:200比、1:300比、1:400比、1:500比、1:600比、1:700比、1:800比、1:900比、1:1000比を含む、約1:1〜1:1000の範囲のモル比を有する。
【0397】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルス組成物は、HBV感染を有するか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている対象への投与に好適である。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する2以上の感染性アレナウイルス組成物又はその組成物が投与される対象は、HBV感染に感染しているか、それに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0398】
別の実施態様において、該2以上の感染性アレナウイルス組成物は、HBV感染を治療及び/又は予防するための少なくとも1つの他の薬剤をさらに含む。治療的薬剤としては、エンテカビル(BARACLUDE(登録商標); Bristol-Myers Squibb)、ラミブジン(EPIVIR HBV(登録商標); GlaxoSmithKline)、アデホビルジピボキシル(HEPSERA(登録商標); Gilead Sciences)、インターフェロンα2b(INTRON A(登録商標); Schering)、ペグ化インターフェロン(PEGASYS(登録商標); Roche)、テルビブジン(TYZEKA(登録商標)、Novartis)、及びテノホビル(VIREAD(登録商標); Gilead Sciences)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0399】
別の実施態様において、組成物は、症候性対象に、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する第二の感染性アレナウイルス組成物を投与するのに好適である。さらに別の実施態様において、組成物は、免疫系不全を有する対象、とりわけ、移植レシピエント、HIV感染者、妊娠している対象、又は癌を有する対象に、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する第二の感染性アレナウイルス組成物を投与するのに好適である。別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する2以上の感染性アレナウイルス組成物は、HBVの感染に罹患しているか、又はそれに罹患しやすいか、又はそのリスクに曝されている、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳の子供である対象に投与するのに好適である。
【0400】
別の実施態様において、組成物は、子供である対象に、HBV抗原を発現する第一のアレナウイルスを投与すること、及び思春期にある同じ対象に、HBV抗原を発現する第二のアレナウイルスを投与するのに好適である。具体的な実施態様において、投与レジメンは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳である対象に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第一のアレナウイルスを投与すること、及び12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25歳である同じ対象に、HBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。
【0401】
別の実施態様において、組成物は、思春期前の対象に、HBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与するのに好適である。別の実施態様において、投与レジメンは、12〜18歳の思春期の男性に、本明細書に記載されるHBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。別の実施態様において、投与レジメンは、12〜18歳の女性に、HBV抗原を発現する第二の感染性アレナウイルスを投与することを含むことができる。
【0402】
別の実施態様において、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する2以上の感染性アレナウイルス組成物は、そのような治療の非存在下でHBV感染を発症するリスクと比較して、個体がHBV感染を発症するリスクを少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下させる。
【0403】
別の実施態様において、別々に投与される、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する2以上の感染性アレナウイルス組成物は、そのような治療の非存在下でHBV感染を発症するリスクと比較して、個体がHBV感染を発症するリスクを少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下させる。
【0404】
別の実施態様において、順次投与される、本明細書に記載されるHBV抗原又はその断片を発現する2以上の感染性アレナウイルス組成物は、そのような治療の非存在下でHBV感染を発症するリスクと比較して、個体がHBV感染を発症するリスクを少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下させる。
【0405】
本明細書に提供される別の実施態様において、本発明は、HBV抗原を発現する2以上の感染性複製欠損アレナウイルスの相乗的組合せを含むワクチン組成物を提供する。
【0406】
本明細書に提供される別の実施態様において、本発明は、HBV抗原を発現する2以上の感染性複製可能アレナウイルスの相乗的組合せを含むワクチン組成物を提供する。
【0407】
(6.9 アッセイ)
(アレナウイルスベクターの感染力を測定するためのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイをアレナウイルスベクター調製物の感染力を測定するために使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の決定は、「フォーカス形成単位アッセイ」(FFUアッセイ)によって行うことができる。簡潔に述べると、相補細胞、例えば、LCMV GPタンパク質を発現するHEK 293細胞をプレーティングし、ウイルス/ベクター試料の様々な希釈物を接種する。インキュベーション期間の後、細胞に単層を形成させ、ウイルスを細胞に付着させるために、単層をメチルセルロースで覆う。プレートをさらにインキュベートすると、もとの感染細胞はウイルス子孫を放出する。メチルセルロースが重層されるため、新しいウイルスの拡散は、隣接する細胞に制限される。結果として、各々の感染性粒子は、フォーカスと呼ばれる感染細胞の円形のゾーンを生じさせる。そのようなフォーカスを、LCMV-NPに対する抗体及びHRPベースの呈色反応を用いて見えるようにし、それにより、数えられるようにすることができる。ウイルス/ベクターの力価は、1ミリリットル当たりのフォーカス形成単位(FFU/mL)で計算することができる。
【0408】
導入遺伝子を保有するベクターの感染力価(FFU/mL)を決定するために、このアッセイを、抗LCMV-NP抗体の代わりに、それぞれの導入遺伝子特異的抗体を使用することにより改変する。
【0409】
(血清ELISA)
動物(例えば、マウス、モルモット)のワクチン接種後の液性免疫応答の決定は、抗原特異的血清ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって行うことができる。簡潔に述べると、プレートを抗原(例えば、組換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を避けるためにブロッキングし、血清の連続希釈物とともにインキュベートした。インキュベーション後、結合した血清-抗体を、例えば、酵素が結合した(全IgG又はIgGサブクラスを検出する)抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体及びその後の呈色反応を用いて、検出することができる。抗体力価を、例えば、終点幾何平均力価として決定することができる。
【0410】
免疫捕捉ELISA(IC-ELISA)を実施することもでき(Shanmughamらの文献、2010, Clin. Vaccine Immunol. 17(8):1252-1260を参照)、その場合、捕捉剤は、ビーズに架橋されている。
【0411】
(ARPE-19細胞における中和アッセイ)
血清中の誘導された抗体の中和活性の決定は、ATCCからのARPE-19細胞とGFPタグ化ウイルスとを用いる以下の細胞アッセイを用いて行う。さらに、外因性補体の源としての補充血清を使用する。このアッセイは、中和に使用する1日又は2日前に、384ウェルプレートに6.5×103細胞/ウェル(50μl/ウェル)を播種することにより開始する。中和は、細胞を含まない96ウェル滅菌組織培養プレートで、37℃で1時間行う。中和インキュベーション工程の後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーによるGFP検出のために、さらに4日間インキュベートする。陽性の中和ヒト血清を各々のプレートでアッセイ陽性対照として用いて、全ての結果の信頼性を確認する。4パラメータロジスティック曲線フィッティングを用いて、力価(EC50)を決定する。追加の検査として、ウェルを蛍光顕微鏡で確認する。
【0412】
(プラーク減少アッセイ)
簡潔に述べると、B型肝炎ウイルスについてのプラーク減少(中和)アッセイを、緑色蛍光タンパク質がタグ付けされているHBVの分離株を用いて実施し、5%ウサギ血清を外因性補体の源として使用し、プラークを蛍光顕微鏡観察により数え上げる。中和力価は、対照(免疫前)血清試料における希釈と比較した、プラークの50%減少をもたらす血清の最大希釈と定義される。
【0413】
(モルモット肺線維芽細胞(GPL)細胞における中和アッセイ)
簡潔に述べると、試験血清及び対照(ワクチン接種前)血清の連続希釈物を、追加のウサギ血清(1%)を外因性補体の源として含むGPL完全培地中で調製した。希釈系列は、1:40から1:5120に及んだ。血清希釈物をeGFPタグ化ウイルス(1ウェル当たり100〜200pfu)とともに37℃で30分間インキュベートし、その後、コンフルエントなGPL細胞を含む12ウェルプレートに移した。試料を3連で処理した。37℃で2時間のインキュベーションの後、細胞をPBSで洗浄し、GPL完全培地を再供給し、37℃/5%CO2で5日間インキュベートした。プラークを蛍光顕微鏡観察により可視化し、計数し、対照ウェルと比較した。対照と比較したプラーク数の50%減少をもたらすその血清希釈を中和力価と表した。
【0414】
(qPCR)
LCMV RNAゲノムを、製造元によって提供されるプロトコルに従って、QIAamp Viral RNAミニキット(QIAGEN)を用いて単離する。LCMV RNAゲノム相当物を、SuperScript(登録商標) III Platinum(登録商標) One-Step qRT-PCRキット(Invitrogen)並びにLCMV NPコード領域の部分に特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエンチャー)を用いるStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)で実施される定量的PCRにより検出する。反応の温度プロファイルは: 60℃で30分、95℃で2分の後、95℃で15秒、56℃で30秒を45サイクルである。RNAを、試料の結果と、プライマー及びプローブ結合部位を含むLCMV NPコード配列の断片に対応する、分光光学的に定量されたインビトロ転写RNA断片のlog10希釈系列から作成された標準曲線との比較により定量する。
【0415】
(ウェスタンブロッティング)
組織培養フラスコ中又は懸濁下で増殖させた感染細胞を、示された感染後の時点でRIPAバッファー(Thermo Scientific)を用いて溶解させるか、又は細胞溶解なしでそのまま使用する。試料を還元剤及びNuPage LDS試料バッファー(NOVEX)とともに99℃に10分間加熱し、室温に冷却した後、電気泳動のために4-12%SDS-ゲルに充填する。タンパク質を、Invitrogens iBlot Gel転写装置を用いてメンブレン上にブロッティングし、ポンソー染色により可視化する。最後に、調製物を目的のタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファターゼコンジュゲート二次抗体でプロービングし、その後、1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN)で染色する。
【0416】
(抗原特異的CD8+ T細胞増殖の検出のためのMHC-ペプチド多量体染色アッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、抗原特異的CD8+ T細胞応答を試験することができる。例えば、MHC-ペプチドテトラマー染色アッセイを使用することができる(例えば、Altman J.D.らの文献、Science. 1996; 274:94-96;及びMurali-Krishna K.らの文献、Immunity. 1998; 8:177-187を参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含み、テトラマーアッセイを用いて、抗原特異的T細胞の存在を検出する。T細胞がそれに対して特異的なペプチドを検出するために、T細胞は、ペプチドと(通常、蛍光標識されている)抗原特異的T細胞用の特別仕様のMHC分子のテトラマーの両方を認識しなければならない。その後、テトラマーを、蛍光標識を介してフローサイトメトリーにより検出する。
【0417】
(抗原特異的CD4+ T細胞増殖の検出のためのELISPOTアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、抗原特異的CD4+ T細胞応答を試験することができる。例えば、ELISPOTアッセイを使用することができる(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献、J Immunol Methods. 1983; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献、J Immunol Methods. 1989; 120:1-8を参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:免疫スポットプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を免疫スポットプレート中でインキュベートする。細胞はサイトカインを分泌し、その後、洗い落とされる。その後、プレートを第二のビオチン化抗サイトカイン抗体でコーティングし、アビジン-HRPシステムで可視化する。
【0418】
(CD8+及びCD4+ T細胞応答の機能性の検出のための細胞内サイトカインアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、CD8+及びCD4+ T細胞応答の機能性を試験することができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッセイを使用することができる(例えば、Suni M.A.らの文献、J Immunol Methods. 1998; 212:89-98; Nomura L.E.らの文献、Cytometry. 2000; 40:60-68;及びGhanekar S.A.らの文献、Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 2001; 8:628-63を参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:特異的ペプチド又はタンパク質による細胞の活性化、タンパク質輸送の阻害(例えば、ブレフェルジンA)を加えて、サイトカインを細胞内に保持する。洗浄後、他の細胞マーカーに対する抗体を細胞に添加することができる。その後、細胞を固定し、透過処理する。抗サイトカイン抗体を添加し、細胞をフローサイトメトリーにより解析することができる。
【0419】
(ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ)
感染性でかつ複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当業者に公知の任意のアッセイを用いて、試料中の複製欠損ウイルス粒子を測定することができる。例えば、非相補細胞を用いるFFUアッセイ([00408]に記載されているもの)をこの目的で使用することができる。
【0420】
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルス試料中のプラーク形成単位(PFU)に関してウイルス濃度を決定するために使用される標準的な方法である。具体的には、非相補宿主細胞のコンフルエントな単層に様々な希釈のウイルスを感染させ、寒天などの半固形培地で覆って、ウイルス感染が無制限に拡大するのを防ぐ。ウイルスが感染し、固定された細胞単層内の細胞でそれ自体を複製するのに成功すると、ウイルスプラークが形成される(例えば、Kaufmann, S.H.; Kabelitz, D.の文献(2002)。微生物学の方法(Methods in Microbiology)、第32巻:感染の免疫学(Immunology of Infection)。Academic Press. ISBN 0-12-521532-0を参照)。プラーク形成は、解析されているウイルスによって、3〜14日間かかることがある。プラークを手作業で大まかに計数し、その結果を、プレートを作成するために使用した希釈係数と組み合わせて用いて、試料単位容量当たりのプラーク形成単位の数(PFU/mL)を計算する。PFU/mLの結果は、試料中の感染性複製可能粒子の数を表す。
【0421】
(血液又は肝臓中のウイルス量の測定)
ウイルス量を決定する当業者に公知の任意のアッセイを用いて、血液又は肝臓中の容積当たりのHBV粒子の数を検出することができる(例えば、Mendyらの文献、2010, J. Viral Hepat. 17(2): 115-122を参照)。そのようなアッセイの非限定的な例としては、核酸ベースの試験、例えば、PCR、及び非核酸ベースの試験が挙げられる。
【0422】
(肝生検)
例えば、患者の慢性HBV感染又は肝臓癌を検査するために、肝生検を実施する当業者に公知の任意の手順を用いて、肝損傷の程度を決定することができる。肝生検の種類の非限定的な例としては、経皮針生検、腹腔鏡下生検、及び経静脈的生検が挙げられる。ある実施態様において、肝生検を用いて、細胞を光学顕微鏡下で調べたときのすりガラス状肝細胞の存在を決定する。すりガラス状肝細胞の観察は、肝臓細胞におけるHBsAgの存在を示すものである。
【0423】
(ウイルス抗原の発現についてのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを、ウイルス抗原の発現を測定するために使用することができる。例えば、FFUアッセイ([00408]に記載されているもの)を実施することができる。検出のために、それぞれのウイルス抗原に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体調製物を使用する(導入遺伝子特異的FFU)。
【0424】
さらに、ウェスタンブロッティング([00415]に記載されているもの)を実施することができる。
【0425】
(微粒子酵素免疫アッセイ)
AXSYM(登録商標) HbsAg(Abbott)は、妊婦を含む、成人、小児、及び新生児の血清又は血漿中のHBsAgを検出するための微粒子酵素免疫アッセイ(MEIA)である。このアッセイを急性又は慢性HBVの診断補助として使用することができる。このアッセイを、HBV感染の存在を確認するために使用することもできる。
【0426】
アッセイを実施するために、患者の血液の試料を、検出抗体及びHBVに対する(例えば、HBV抗原に対する)抗体でコーティングした微粒子を含む反応ウェルに入れる。血液試料がHBVタンパク質(例えば、HBsAg)を含む場合、それらは反応ウェル中の微粒子に結合することになる。この反応を、光を発する別の物質によって検出し、その後、この光を測定して、血液中のHBV(例えば、HBV抗原)の存在を決定する。最初の検査が陽性の場合、患者の血液を再検査して、HBV(例えば、HBV抗原)の存在を確認する。当業者の公知の任意の微粒子酵素免疫アッセイを用いて、HBsAg又は他のHBV抗原の存在を測定することができる。
【0427】
(他のHBVアッセイ)
患者の血液の試料をHBV抗体又はHBV抗原のいずれかと接触させる。抗体及び/又は抗原としては、HBsAg、HBeAgに対する抗体、HBsAgに対する抗体、HBeAg、HBcAgに対するIgM抗体、及びHBcAgに対する抗体が挙げられる。患者がHBVに感染している場合、血液中に存在する抗原及び/又は抗体は、試験が実施されているときに化学反応を生じさせることになる。このアッセイは、どのHBV抗原及び/又は抗体が患者の血液中に存在するかということにより、HBVのステージの検出を可能にする。
【0428】
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、HBV、HBV抗原、又はHBV抗体のレベルを評価することができる。そのようなアッセイの非限定的な例については、例えば、Mayerらの文献、2012, BMC Clin. Pathol. 12:8、Van Heldenらの文献、2004, Clin. Lab. 50(1-2):63-73、及びVillarらの文献、2011, J. Med. Virol. 83(9):1522-1529を参照されたい。
【0429】
(動物モデル)
本明細書に記載されるHBV抗原を発現する感染性アレナウイルスを含むワクチン又はその組成物の安全性、忍容性、及び免疫原性効果を動物モデルで試験することができる。ある実施態様において、本明細書で使用されるワクチン及びその組成物の安全性、忍容性、及び免疫原性効果を試験するために使用することができる動物モデルとしては、マウス、モルモット、ラット、サル、及びチンパンジーが挙げられる。好ましい実施態様において、本明細書で使用されるワクチン及びその組成物の安全性、忍容性、及び免疫原性効果を試験するために使用することができる動物モデルとしては、マウスが挙げられる。
【0430】
具体的な例において、トランスジェニックマウスモデルを用いて、免疫療法又はワクチンなどの薬理作用のある薬剤の抗ウイルス能を評価すること及び免疫応答を含む生理学的プロセスを評価することができる(例えば、Guidottiらの文献、1995, J. Virol. 69(10):6158-69を参照)。そのようなトランスジェニックマウスモデルは、ヒトクラスI及びII HLA分子などのヒト分子、並びに/又はB型肝炎表面抗原(HBsAg)を発現することができる(例えば、Bourgineらの文献、2012, Virology 430(1):10-9を参照)。
【0431】
別の具体的な例において、ウッドチャック(マルモタ・モナクス(Marmota monax))を、慢性B型肝炎などの慢性ヘパドナウイルス感染の治療的及び予防的手法を開発及び試験するための動物モデルとして使用することができる(例えば、Kosinskaらの文献、Hepat. Res. Treat. 2010:817580を参照)。ウッドチャックモデルは、ワクチンなどの潜在的免疫療法の免疫原性及び他の免疫応答の評価に適用可能である(例えば、Vaccine 27(25-26):3271-3275を参照)。
【0432】
(6.10 配列)
表3の配列は、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる例示的なアミノ酸配列及びヌクレオチド配列である。場合によっては、DNA配列を用いて、ウイルスゲノムセグメントのRNA配列を記載する。RNA配列は、DNA配列から容易に推測することができる。
表3.例示的なアミノ酸配列
【表6】
【実施例】
【0433】
(7.実施例)
(7.1 アレナウイルスベクターゲノムの設計/ベクター構築)
確立されている手法(米国特許出願公開US 2010/0297172 A1号;及びFlatz L.らの文献、Nat Med. 2010 March; 16(3): 339-345)に基づいて、それぞれのHBV抗原又はその特定のドメインを発現するLCMV及びフニンウイルス(JUNV)ベースのワクチンベクターを設計する(図1)。
【0434】
(7.2 B型肝炎ウイルスに対するワクチン)
B型肝炎ウイルス(HBV)に対する候補ワクチンは、プレ-S2/Sを発現するrLCMV系及びrJUNV(フニンウイルス株Candid#1)ベクター(rLCMV/プレ-S2/S、rJUNV/プレ-S2/S)、HBcを発現する該ベクター(rLCMV/HBc、rJUNV/HBc)、全長HBs及びHBc ORFからなる融合タンパク質を発現する該ベクター(rLCMV/HBsHBc)、並びにHBeを発現する該ベクター(rLCMV/HBe、rJUNV/HBe)を含む。ベクターは、複製欠損コンストラクト(rLCMVとも呼ばれるr2LCMV、rJUNVとも呼ばれるr2JUNV)及び複製可能な3分節型コンストラクト(r3LCMV、r3JUNV;例えば、Emonetらの文献、2009, PNAS, 106(9):3473-3478を参照)であり、ここで、導入遺伝子は、いわゆる、「人為的な」方法で配置されている(r3LCMVart、r3JUNVart)。マウス(例えば、C57BL/6マウス)を、相同又は非相同な一次免疫-追加免疫ワクチン接種において、これらのコンストラクトの1つで、又はその組合せで免疫する。投与は、腹腔内、筋肉内、又は静脈内経路によって実施される。用量は、104〜107フォーカス形成単位(FFU)の範囲内である。免疫後7〜100日の範囲の時点で、HBV特異的CD8+ T細胞を血液及び/又は脾臓中で測定する。例えば、HBV由来エピトープに対するCD8+ T細胞応答の大きさを特定するために、MHCクラスI四量体を抗CD8抗体と組み合わせて使用することにより、T細胞を測定することができる。
【0435】
補完的な手法において、合成ペプチドを用いて、細胞内サイトカインアッセイにより、直接的にエクスビボの血液及び/又は脾臓由来CD8+ T細胞を選択的に刺激する。細胞内サイトカインアッセイは、インターフェロン(IFN)-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-α、及び/又はインターロイキン(IL)-2産生CD8+ T細胞の頻度を測定するものである。CD107aの表面発現は、フローサイトメトリー(FACS)において細胞溶解性脱顆粒のマーカーとしての役割を果たす。HBs由来エピトープ
【化1】
、HBs由来エピトープ
【化2】
、及びHBc由来エピトープ
【化3】
を含む、ペプチド特異性を解析する。
【0436】
(7.3 HBV抗原を発現する複製欠損アレナウイルスベースのベクターの免疫原性)
C57BL/6マウス(1群当たり5匹のマウス)を、静脈内経路により、105FFUのrLCMV/HBs-HBc(第1群)、rLCMV/HBc(第3群)、rLCMV/プレ-S2(第4群)で、又は104FFUのrLCMV/HBs-HBc(第2群)で1回免疫した。対照マウスは未処置のままにしておいた。免疫から10日後、MHCクラスI多量体を使用することにより、CD8+ T細胞を血液中で測定した。HBs由来エピトープ
【化4】
と複合体を形成したH-2Kbデキストラマー及びHBc由来エピトープ
【化5】
と複合体を形成したH-2Kbデキストラマーを抗CD8α抗体と組み合わせて用いて、B型肝炎ウイルス特異的CD8+ T細胞を同定した。数え上げた細胞を末梢血中の全CD8+B220- T細胞プールのパーセンテージとして表した。
【0437】
図3に示されている結果は、rLCMV/HBs-HBc、rLCMV/HBc、及びrLCMV/プレ-S2によるワクチン接種がそれぞれのベクターによって発現される抗原に対する実質的な抗原特異的CD8+ T細胞応答を誘導することを示している。rLCMV/HBs-HBcによるワクチン接種によって誘導される抗HBs及び抗HBc CD8+ T細胞応答は、明らかな用量依存性を示した。rLCMV/HBc免疫と比較したときのrLCMV/HBs-HBc免疫による抗HBc CD8+ T細胞のより高い頻度は、HBsとの融合がHBcの免疫原性の強化をもたらすことを示している。
【0438】
抗HBs CD8+ T細胞の頻度は、rLCMV/HBs-HBcで免疫した後よりもrLCMV/プレ-S2で免疫した後に若干高く、抗HBc CD8+ T細胞応答が抗原の利用を抗HBs応答と競合した可能性を提起している。
【0439】
(7.4 HBV抗原を発現する弱毒化複製可能アレナウイルスベースのベクターの免疫原性)
C57BL/6マウス(1群当たり5匹のマウス)を、静脈内経路により、105FFUのr3LCMV/HBs-HBc(第1群)、r3LCMV/HBc(第2群)、r3LCMV/プレ-S2(第3群)で、又は105FFUのrLCMV/HBs-HBc(第4群)で1回免疫した。対照マウスはワクチン接種を受けないままにしておいた。免疫から8日後、MHCクラスI多量体を使用することにより、HBs及びHBcエピトープ特異的CD8+ T細胞を血液中で測定した。HBs由来エピトープ
【化6】
と複合体を形成したH-2Kbデキストラマー及びHBc由来エピトープ
【化7】
と複合体を形成したH-2Kbデキストラマーを抗CD8α抗体と組み合わせて用いて、B型肝炎ウイルス特異的CD8+ T細胞を同定した。数え上げた細胞を末梢血中の全CD8+B220- T細胞プールのパーセンテージ(図4A)としてか、又は血液中の循環リンパ球のパーセンテージ(図4B)としてかのいずれかで表した。
【0440】
図4に示されている結果は、全てのr3LCMVベースのコンストラクト及び複製欠損rLCMV/HBs-HBc参照ベクターが免疫原性であり、それぞれ、それらのベクター化された抗原に対するエピトープ特異的CD8+ T細胞を生じさせたことを示している。さらに、エピトープ特異的CD8+ T細胞を循環リンパ球のパーセンテージとして数え上げると、複製するr3LCMV/HBs-HBcがその複製欠損対応物のrLCMV/HBs-HBcよりも免疫原性が高いことが示される。
【0441】
(等価物及び引用による組込み):
本明細書に記載される実施態様は、単に例示的であることが意図されており、当業者は、本明細書に記載される具体的な手順の多くの等価物を認識するか、又はルーチンの実験だけを用いて、それらを確認することができるであろう。そのような等価物は全て、本発明の範囲内にあると考えられ、以下の実施態様によって包含される。本明細書に引用される参考文献(特許出願、特許、及び刊行物を含む)は全て、あたかも各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願が、完全に、あらゆる目的のために、具体的かつ個別的に引用により組み込まれることが示されるのと同じ程度まで、完全にかつあらゆる目的のために引用により本明細書中に組み込まれる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
アレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつ
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
:からなる群から選択されるヌクレオチド配列に置き換えられている、感染性アレナウイルスウイルスベクター。
(構成2)
前記プレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片が、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成3)
前記HBcタンパク質又はその抗原性断片が、配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成4)
HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体が、配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成5)
前記HBeタンパク質又はその抗原性断片が、配列番号26のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成6)
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
:のうちの少なくとも2つを含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成7)
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
:のうちの少なくとも3つを含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成8)
前記ヌクレオチド配列の発現が、タンパク質複合体構成要素の個別発現よりも高力価の中和抗体を誘発する抗原性タンパク質複合体を産生する、構成6又は7記載のウイルスベクター。
(構成9)
前記アレナウイルスがリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスである、構成1〜8のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成10)
前記アレナウイルスの糖タンパク質をコードするオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されている、構成1〜9のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成11)
前記感染性アレナウイルスウイルスベクターをコードするゲノム情報がリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13株に由来する、構成1〜10のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成12)
前記感染性アレナウイルスウイルスベクターをコードするゲノム情報がリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスMP株に由来する、構成1〜11のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成13)
前記ウイルスベクターがゲノムセグメントを含み、ここで、該ゲノムセグメントが、配列番号11のヌクレオチド1639〜3315又は配列番号12の1640〜3316の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む、構成1〜12のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成14)
前記ウイルスベクターが、そのアミノ酸配列が、配列番号11の1639〜3315又は配列番号12の1640〜3316によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列を含むゲノムセグメントを含む、構成1〜13のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成15)
前記アレナウイルスがフニンウイルスである、構成1〜14のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成16)
前記感染性アレナウイルスウイルスベクターをコードするゲノム情報がフニンウイルスCandid #1株に由来する、構成15記載のウイルスベクター。
(構成17)
前記アレナウイルスの増殖又は感染力が非相同核酸によって影響されない、構成1〜16のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成18)
構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
(構成19)
構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含む免疫原性組成物。
(構成20)
構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含むワクチン。
(構成21)
患者におけるB型肝炎ウイルス感染を治療又は予防する方法であって、該患者に、構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター、構成18記載の医薬組成物、構成19記載の免疫原性組成物、又は構成20記載のワクチンを投与することを含む、前記方法。
(構成22)
患者におけるB型肝炎ウイルス感染の治療又は予防のための、構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター、構成18記載の医薬組成物、構成19記載の免疫原性組成物、又は構成20記載のワクチンの使用。
(構成23)
構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター、構成18記載の医薬組成物、構成19記載の免疫原性組成物、又は構成20記載のワクチンが筋肉内注射に好適である、構成22記載の使用。
(構成24)
構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター、構成18記載の医薬組成物、構成19記載の免疫原性組成物、又は構成20記載のワクチンが静脈内注射に好適である、構成22記載の使用。
(構成25)
単離された核酸であって、該核酸がアレナウイルスゲノムセグメントを含み、ここで、該ゲノムセグメントの1つのオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントが:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
のうちの1つ又は複数を含む、前記単離された核酸。
(構成26)
前記ゲノムセグメントが短いセグメントであり、ここで、GPをコードするオープンリーディングフレームが欠失している、構成25記載の単離された核酸。
(構成27)
感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを作製する方法であって:
a.宿主細胞に、構成25又は26記載の核酸をトランスフェクトすること;
b.該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
c.該感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを回収すること;
を含み、
ここで、該宿主細胞が、該ゲノムセグメントの欠失しているか又は機能的に不活化されているオープンリーディングフレームを発現する、前記方法。
(構成28)
前記アレナウイルスオープンリーディングフレームが糖タンパク質(GP)オープンリーディングフレームである、構成1記載のアレナウイルスウイルスベクター。
(構成29)
感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであって、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつHBV抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列に置き換えられており、ここで、対象への該アレナウイルスウイルスベクターの投与が、該HBV抗原又はその抗原性断片に対する長期持続性免疫応答を誘導する、前記感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター。
(構成30)
前記長期持続性免疫応答がHBV抗原又はその抗原性断片に対する検出可能な抗体力価を誘導する、構成29記載のアレナウイルスウイルスベクター。
(構成31)
前記長期持続性免疫応答が、前記HBV抗原又はその抗原性断片に対する検出可能な抗体力価を、少なくとも最低4週間誘導する、構成29記載のアレナウイルスウイルスベクター。
(構成32)
前記長期持続性免疫応答が、前記HBV抗原又はその抗原性断片に対する抗体力価を、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%増大させる、構成30又は31記載のアレナウイルスウイルスベクター。
(構成33)
感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない第一の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであって、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつ:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
からなる群から選択される第一のヌクレオチド配列に置き換えられている、前記第一の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、並びに感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない第二の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであって、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつ:
a.HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
b.HBV HBcタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
c.HBV HBsタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;
d.HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列;並びに
e.HBV HBeタンパク質又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
からなる群から選択される第二のヌクレオチド配列に置き換えられている、前記第二の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを含む、医薬組成物。
(構成34)
前記第一の核酸配列と前記第二の核酸配列が異なる、構成33記載の医薬組成物。
(構成35)
前記第一の核酸配列が前記HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBcタンパク質又はその断片をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成36)
前記第一の核酸配列が前記HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの断片の融合体をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成37)
前記第一の核酸配列が前記HBV HBcタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの断片の融合体をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成38)
前記第一の核酸配列が前記HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBeタンパク質又はその断片をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成39)
前記第一の核酸配列が前記HBV HBeタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの断片の融合体をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成40)
前記第一の核酸配列が前記HBV HBsタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBeタンパク質又はその断片をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成41)
前記第一の核酸配列が前記HBVプレ-S2/Sタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBsタンパク質又はその断片をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成42)
前記第一の核酸配列が前記HBV HBsタンパク質又はその断片をコードし、前記第二の核酸配列が前記HBV HBcタンパク質又はその断片をコードする、構成33又は34記載の医薬組成物。
(構成43)
前記組成物が筋肉内投与に好適である、構成33〜42のいずれか一項記載の医薬組成物。
(構成44)
前記組成物が静脈内投与に好適である、構成33〜42のいずれか一項記載の医薬組成物。
(構成45)
工程a.において、前記宿主細胞に:第二のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA、Lタンパク質ORFを含む核酸、及び/又はNPタンパク質ORFを含む核酸をトランスフェクトすることをさらに含む、構成27記載の方法。
(構成46)
前記投与することが、前記患者における肝臓損傷の低下をもたらす、構成21記載の方法。
(構成47)
前記投与することが、前記患者の血液中のHBsAg、HBeAg、及びHBcAgレベルのうちの1つ又は複数の低下をもたらす、構成21記載の方法。
(構成48)
前記投与することが、前記患者の血液中のHBV抗原に対する抗体のレベルの低下をもたらす、構成21記載の方法。
(構成49)
前記プレ-S2/Sタンパク質又はその抗原性断片が配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成50)
前記HBcタンパク質又はその抗原性断片が配列番号2のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成51)
HBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体が配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、構成1記載のウイルスベクター。
(構成52)
前記第一の核酸配列がLCMVに由来し、前記第二の核酸配列がフニンウイルスに由来する、構成33記載の医薬組成物。
(構成53)
前記第一の核酸配列がフニンウイルスに由来し、前記第二の核酸配列がLCMVに由来する、構成33記載の医薬組成物。
(構成54)
前記アレナウイルスが複製欠損性であり、かつ感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力を有するゲノムを含むように改変されているが、遺伝子改変されていない正常な細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができない、構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成55)
前記アレナウイルスが複製可能である、構成1〜9のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成56)
前記アレナウイルスが2分節型である、構成1記載のウイルスベクター。
(構成57)
前記アレナウイルスが3分節型である、構成1〜17のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成58)
アレナウイルスオープンリーディングフレームが除去され、かつHBV HBsタンパク質及びHBV HBcタンパク質又はこれらの抗原性断片の融合体をコードするヌクレオチド配列に置き換えられている、感染性アレナウイルスウイルスベクター。
(構成59)
前記アレナウイルスがリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスである、構成58記載のウイルスベクター。
(構成60)
前記アレナウイルスの糖タンパク質をコードするオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されている、構成58又は59記載のウイルスベクター。
(構成61)
前記ウイルスベクターが複製欠損性である、構成58〜60のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成62)
前記ウイルスベクターが複製可能である、構成58又は59記載のウイルスベクター。
(構成63)
前記ウイルスベクターが3分節型である、構成58、59、又は62のいずれか一項記載のウイルスベクター。
(構成64)
患者におけるB型肝炎ウイルス感染を治療又は予防する方法であって、該患者に、構成58〜63のいずれか一項記載のウイルスベクターを投与することを含む、前記方法。
図1
図2A-2C】
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]