特許第6914968号(P6914968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6914968偏光子用保護フィルム、それを含む偏光板、およびそれらを用いて提供される表示
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914968
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】偏光子用保護フィルム、それを含む偏光板、およびそれらを用いて提供される表示
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20210727BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20210727BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
   G02F1/13363
【請求項の数】17
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-562506(P2018-562506)
(86)(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公表番号】特表2019-518241(P2019-518241A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】KR2017005599
(87)【国際公開番号】WO2017209473
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2019年1月22日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0067668
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0073113
(32)【優先日】2016年6月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0076721
(32)【優先日】2016年6月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0078017
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508148079
【氏名又は名称】エスケイシー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】イ・セチョル
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ダウ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ジャンウォン
【審査官】 沖村 美由
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0140770(KR,A)
【文献】 特開2015−184664(JP,A)
【文献】 特開2012−220879(JP,A)
【文献】 特開2011−112928(JP,A)
【文献】 特開2015−072376(JP,A)
【文献】 特開2011−202156(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/133064(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/066514(WO,A1)
【文献】 特開2012−203332(JP,A)
【文献】 特開2016−071347(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/020909(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/076101(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0146980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/1335;1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、
幅中央から±1,500mmである有効幅内の幅方向全体にわたって、以下の条件(1)および(2):
(1)350nm以下の面内位相差(R
(2)6,000nm以上の厚さ方向の位相差(Rth
を満足し、
幅中央から±1,500mmである有効幅内の幅変化量に対する面内位相差の変化量(|ΔR|/|Δx|)0.3nm/mm未満を有し、
幅中央から±1,500mmである有効幅内の、実測データから導かれる近似曲線に基づく幅変化量に対する厚さ方向の位相差の変化量(|ΔRth|/|Δx|)1.5nm/mm未満を有し、
35〜55%の結晶化度を有し、
幅中央から±1,500mmである有効幅内の幅方向全体にわたって、0.176〜0.25の面配向係数(ΔP)を有することを特徴とする、偏光子用保護フィルム。
【請求項2】
1.3〜1.5g/cmの密度を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項3】
3.0〜5.0GPaの85℃での引張弾性率を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項4】
0.3GPaより低い、幅方向(TD)の85℃での弾性率と長手方向(MD)の85℃での弾性率との差を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項5】
5B以上の鉛筆硬度を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項6】
200nm以下の幅中央での面内位相差(R)を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項7】
6,800nm以上の幅中央での厚さ方向の位相差(Rth)を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項8】
幅中央での面内位相差(R)に対する厚さ方向の位相差(Rth)の比(Rth/R)60以上を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項9】
幅中央から±1,500mmである有効幅内の面内位相差の変動(R0,max−R0,min)250nm/m以下を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項10】
幅中央から±1,500mmである有効幅内の厚さ方向の位相差の変動(Rth,max−Rth,min)1,500nm/m以下を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項11】
2.8〜3.5倍の長手方向(MD)の延伸倍率および2.9〜3.7倍の幅方向(TD)の延伸倍率で延伸する工程を含む、請求項1記載の偏光子用保護フィルムの製造方法。
【請求項12】
幅方向(TD)の延伸倍率に対する長手方向(MD)の延伸倍率の比(MD/TD)0.9〜1.1を有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルムの製造方法。
【請求項13】
20〜60μmの厚さを有する、請求項1記載の偏光子用保護フィルム。
【請求項14】
延伸工程後、160〜230℃の温度で加熱処理する工程を含む、請求項1記載の偏光子用保護フィルムの製造方法。
【請求項15】
偏光子および該偏光子の上側および下側の少なくとも一方に隣接する請求項1〜10および13のいずれか1項記載の偏光子用保護フィルムを含む偏光板。
【請求項16】
前記保護フィルム上に形成されたハードコート層を更に含み、1H以上の鉛筆硬度を有する、請求項15記載の偏光板。
【請求項17】
表示パネル並びに該表示パネルの上側および下側の少なくとも一方の上に配置された請求項15記載の偏光板を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた光学特性および優れた機械的特性を有する偏光子用保護フィルム、それを含む偏光板、並びにそれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)の需要が急増するのに伴って、液晶表示装置の必須構成要素としての偏光板に関する関心が高まりつつある。
【0003】
様々な方向に発振する入射自然光を一方向のみに発振する光に偏光させる偏光板は、透過光を提供し、透過光の色調を変化するための必須構成要素である。
【0004】
偏光板は、偏光子の一面または両面に保護フィルムが積層された構造を有する。偏光子として、一般的にはポリビニルアルコール(PVA)を使用する。従来は、保護フィルムとしてトリアセチルセルロース(TAC)を一般的に使用した。
【0005】
一方、液晶表示装置(LCD)の機能や用途が更に多様化されるにつれて、過酷な条件下でも正常に動作することが要求されている。しかしながら、トリアセチルセルロース(TAC)は、水分に脆弱であり、耐久性が低いため、このような要求を満足しないという問題点がある。
【0006】
最近では、トリアセチルセルロース(TAC)をポリエチレンテレフタレート(PET)に置き換えようとする試みが多くなされている(特許文献1および2)。ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、耐薬品性および防湿性に優れていることにより、上記のような要求を満足することができるからである。
【0007】
しかし、ポリエチレンテレフタレート(PET)は高複屈折であるので、偏光子と液晶の間の歪んだ偏光につながり、これにより、視認性がかなり低下するという問題がある。その代表的な例は、保護フィルムの表面に見られる虹ムラである。
【0008】
液晶表示装置(LCD)の高輝度化および高色純度化という最近の傾向により上記のような虹ムラが肉眼で容易に見えるようになっているので、上記虹ムラが保護フィルムにポリエチレンテレフタレート(PET)を使用するのに大きな障害となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2011−532061号公報
【特許文献2】特開2010−118509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点と限界を解消するためになされたものである。
【0011】
本発明の目的は、虹ムラが生じない偏光子用保護フィルム、それを含む偏光板、およびそれを含む表示装置を提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、優れた光学特性により視認性を損なうことなく、結晶化度、引張強さ、鉛筆硬度などの機械的特性が良好な保護フィルム、これを含む偏光子、およびこれを含む表示装置を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、前述のものに限定されない。本発明の目的は、以下の説明でより明らかとなり、添付の特許請求の範囲およびその組み合わせに記載された手段によって実現されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、
以下の条件(1)および(2):
(1)350nm以下の面内位相差(R
(2)6,000nm以上の厚さ方向の位相差(Rth
を満足し、
35〜55%の結晶化度を有することができる。
【0015】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、1.3g/cm〜1.5g/cmの密度を有してもよい。
【0016】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、3.0Gpa〜5.0Gpaの引張弾性率(85℃)を有してもよい。
【0017】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、0.3GPaより低い、幅方向(TD)の85℃での弾性率と長手方向(MD)の85℃での弾性率との差を有してもよい。
【0018】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、5B以上の鉛筆硬度を有してもよい。
【0019】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、200nm以下の幅中央での面内位相差(R)を有してもよい。
【0020】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、6,800nm以上の幅中央での厚さ方向の位相差(Rth)を有してもよい。
【0021】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、幅中央での面内位相差(R)に対する厚さ方向の位相差(Rth)の比(Rth/R)60以上を有してもよい。
【0022】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、250nm/m以下の有効幅内の面内位相差(R0,max−R0,min)の変動を有してもよい。
【0023】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、1,500nm/m以下の有効幅内の厚さ方向の位相差の変動(Rth,max−Rth,min)を有してもよい。
【0024】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、0.3nm/mm未満の有効幅内の幅変化量に対する面内位相差の変化量(|ΔR|/|Δx|)を有してもよい。
【0025】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、1.5nm/mm未満の有効幅内の幅変化量に対する厚さ方向の位相差の変化量(|ΔRth|/|Δx|)を有してもよい。
【0026】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、2.8〜3.5倍の長手方向(MD)の延伸倍率および2.9〜3.7倍の幅方向(TD)の延伸倍率を有してもよい。
【0027】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、幅方向(TD)の延伸倍率に対する長手方向(MD)の延伸倍率の比(MD/TD)0.9〜1.1を有してもよい。
【0028】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、20〜60μmの厚さを有してもよい。
【0029】
本発明の例示的実施形態による偏光子用保護フィルムは、160〜230℃の加熱処理温度を有してもよい。
【0030】
本発明の例示的実施形態による偏光板は、偏光子および上記偏光子の上側および下側の少なくとも一方に隣接する前述の偏光子用保護フィルムを含んでもよい。
【0031】
本発明の例示的実施形態による偏光板は、上記保護フィルム上に形成されたハードコート層を更に含み、1H以上の鉛筆硬度を有してもよい。
【0032】
本発明の例示的実施形態による表示装置は、表示パネル並びに上記表示パネルの上側および下側の少なくとも一方の上に配置される上記偏光板を含むことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は以下の効果を提供する。
例示的実施形態による偏光子用保護フィルム、これを含む偏光板は、虹ムラが生じないため視認性を損なわず、引張強さ、鉛筆硬度などの機械的特性に優れるため良好な耐久性を有する。
【0034】
従って、例示的実施形態による偏光板を備えた表示装置は、光学特性に優れ、過酷な環境下でも正常に動作することができるため、様々な用途に使用することができる。
【0035】
本発明の効果は、前述の効果に限定されない。本発明の効果は、以下の説明から推測可能なすべての効果を含むものと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】例示的実施形態による偏光板を簡単に説明するものである。
図2】例示的実施形態による偏光子用保護フィルムを説明するための参考図である。
図3】例示的実施形態による偏光板を備える例示的表示パネルとしての液晶表示装置を簡略に説明するものである。
図4】例示的実施形態による偏光板を備える例示的表示パネルとしての有機EL表示装置(organic electroluminescence display)を簡単に説明するものである。
図5】実施例1の保護フィルムの有効幅全体に対する面内位相差(R)を測定した結果を示す。図5(a)は有効幅全体、図5(b)は0mm(幅中央)〜−1,500mmの範囲、図5(c)は0mm(幅中央)〜+1,500mmの範囲に対する結果である。
図6】実施例1の保護フィルムの有効幅全体の厚さ方向の位相差(Rth)を測定した結果である。図6(a)は、有効幅全体、図6(b)は、0mm(幅中央)〜−1,500mmの範囲、図6(c)は、0mm(幅中央)〜+1,500mmの範囲に対する結果である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を例示的実施形態によって詳細に説明する。例示的実施形態は、本発明の範囲内において、様々な形態に変更することができ、本発明の範囲は例示的実施形態によって限定されるものではない。
【0038】
後述の例示的実施形態において、フィルム、膜、パネル、層などの「上に(on)」または「下に(under)」形成されたフィルム、膜、パネル、または層などは、「直接的に(directly)」またはそれらの間に配置される他の構成要素を介して「間接的に(indirectly)」形成されてもよい。
【0039】
添付の図面において、上記構成要素は、説明のために拡大されてもよい。
【0040】
図1は、例示的実施形態による偏光板10を簡単に説明するものである。
【0041】
例示的実施形態による偏光板10には、偏光子11、および上記偏光子の上面および下面のうちの少なくとも1つに隣接する偏光子用保護フィルム12(以下、「保護フィルム」という)を含む。
【0042】
上記偏光子11は、様々な方向に振動しながら、上記偏光板上に入射される自然光を一方向にのみ振動する光で偏光させる。
【0043】
上記偏光子は、ヨウ素などでドープしたポリビニルアルコール(PVA)であってもよい。上記偏光子に含まれるポリビニルアルコール(PVA)の分子は、一方向に整列されていてもよい。
【0044】
特に、上記保護フィルム12は、機械的特性に優れた材料から形成されてもよい。従って、上記の保護フィルムは、ポリエステルを主成分とする材料から形成されてもよい。加熱、延伸などを行ってポリエステルを結晶化することにより、結晶化度を増大することができ、これにより引張強さなどの機械的特性を向上することができる。
【0045】
また、ポリエステルは、トリアセチルセルロース(TAC)より水蒸気透過率が低いため、偏光板の加湿環境下での耐久性を向上することができる。
【0046】
上記ポリエステルとして、
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5‐ナフタレンジカルボン酸、2,6‐ナフタレンジカルボン酸、1,4‐ナフタレンジカルボン酸、1,5‐ナフタレンジルカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3‐シクロペンタンジカルボン酸、1,3‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3‐ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2‐ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2‐メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸などのジカルボン酸、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2‐シクロヘキサンジメタノール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール、1,6‐ヘキサジオール、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジオールの重縮合から得られるホモポリマー;1つ以上のジカルボン酸および2つ以上のジオールの重縮合から得られる共重合体;2つ以上のジカルボン酸および1つ以上のジオールの重縮合から得られる共重合体;或いは2つ以上のホモポリマーまたは共重合体をブレンドして得られるブレンド樹脂を使用してもよい。
【0047】
特に、ポリエステルの結晶性を考慮して、芳香族ポリエステルを使用してもよい。更に、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)を使用してもよい。
【0048】
しかしながら、上記PETは未延伸状態では結晶性が欠如するため、上記保護フィルムとして使用するのに適していない可能性がある。従って、2軸延伸PETを上記保護フィルムとして使用してもよい。
【0049】
上記PETは、同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法により、幅方向(横方向、TD)および長手方向(縦方向、MD)に沿って2軸延伸してもよい。特に、上記PETを、それらに限定されるものではないが、一方向に沿って延伸して、次いでその方向の直角方向に沿って延伸することによって、逐次2軸延伸してもよい。
【0050】
上記PETは、機械的特性および防湿性が優れているが、複屈折が非常に高いので、保護フィルムに使用する場合、偏光に歪みを引き起こす可能性がある。代表的な例は、前述の虹ムラである。
【0051】
従って、本発明では、保護フィルムに使用するのに好適であるように、虹ムラを防止するために上記PETの光学特性を改良する。以下に詳細に説明する。
【0052】
上記保護フィルムは、以下の条件(1)および(2):
(1)350nm以下の面内位相差(R
(2)6,000nm以上の厚さ方向の位相差(Rth
を満足する。
【0053】
保護フィルムの面内位相差(R
面内位相差(R)は、上記保護フィルム上の2つの直交する軸(図2参照)での屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)と保護フィルムの厚さdとの積、即ち、△Nxy×dとして定義されるパラメータであり、光学的等方性および異方性の尺度である。
面内位相差R[nm]=(Nx−Ny)×d
式中、Nxは保護フィルムの幅方向の屈折率であり、Nyは保護フィルムの長手方向の屈折率であり、dは保護フィルムの厚さである。
【0054】
具体的に、上記保護フィルムの面内位相差(R)は、350nm以下であってもよい。面内位相差(R)が増加すると虹ムラの発生が激しくなる。従って、上記の面内位相差が小さいほど良好となる。しかしながら、PETの面内位相差を低減するためには、延伸倍率または厚さを減少しなければならないので、機械的特性が悪化する可能性がある。従って、光学特性と機械的特性のバランスをとるため、上記面内位相差(R)の下限値を10nm以上、好ましくは30nm以上、更に好ましくは50nm以上としてもよい。
【0055】
前述したように、上記面内位相差(R)が低いほど、虹ムラの発生を防止するのが容易である。従って、上記保護フィルムの幅中央での面内位相差(R)は、200nm以下であってもよい。
【0056】
本明細書中において、「幅中央」は、図2に示すように幅方向(TD)と長手方向(MD)に延伸した後、保護フィルムの幅中央点(A、B)として定義する。上記幅中央は、上記保護フィルム中に1つだけ存在するのではなく、測定点に依存して多数存在してもよい。
【0057】
本明細書中において、後述する「有効幅」は、上記保護フィルムを大画面用途の偏光板に適用可能とするために要求される幅方向の長さを意味する。具体的には、図2に示すように、幅中央(A)からx軸に沿って両端に向かって移動した位置(A’、A”)間の距離を意味する。例示的実施形態では、幅中央から±1,500mm、即ち、約3,000mmとして定義される。
【0058】
上記保護フィルムは、250nm/m以下、より詳細には167nm/m以下の有効幅内の面内位相差の変動(R、max−R、min)を有してもよい。面内位相差の変動は、有効幅内でメートル(m)当たりの面内位相差の最大値(R、max)および最小値(R、min)間の差である。上記面内位相差の変動が小さい場合、たとえ保護フィルムの幅が大きくても、面内位相差(R)が有意に増加していないので、虹ムラの発生を効果的に防止することができる。
【0059】
上記保護フィルムは、有効幅内の幅変化量に対する面内位相差の変化量(|ΔR|/|Δx|)が0.3nm/mm未満であってもよい。幅変化量はx軸に沿った所定の点間の距離(Δx=x−x)を意味し、面内位相差の変化量は所定の点での面内位相差の変化量(ΔR=R0、2−R0、1)を意味する。本明細書中において、上記幅の変化量に対する面内位相差の変化量の単位をnm/mmとして特定したが、これは必ずしもmm単位での2点間の距離に基づいて面内位相差の変化量を測定することを意味するわけではない。例えば、1mm、1cmまたは10cmに設定したΔxに対して、面内位相差の変化量を測定した後、これをmm単位に換算することによって、幅の変化量に対する面内位相差の変化量を決定してもよい。上記幅の変化量に対する面内位相差の変化量は、所定の範囲Δxにおける面内位相差の変化量、Δxの両端での面内位相差の変化量、または面内位相差およびΔxのプロットの所定の点での接線の傾き、の平均値を意味してもよい。上記幅の変化量に対する面内位相差の変化量が小さくなるように制御することにより、有効幅内で面内位相差(R)が有意に増大するのを防止してもよい。
【0060】
従って、上記保護フィルムは、上記(1)の条件を満たしながら、200nm以下の幅中央での面内位相差(R)、250nm以下の幅方向に沿って幅中央から±500mmの範囲内での面内位相差(R)および300nm以下の幅方向に沿って幅中央から±1000mmの範囲内での面内位相差(R)を有することが望ましい。
【0061】
保護フィルムの厚さ方向の位相差(Rth
上記の厚さ方向の位相差(Rth)は、保護フィルムの厚さdを乗じた上記保護フィルムの断面から見た2つの複屈折率△Nxz(=|Nx−Nz|)および△Nyz(=|Ny−Nz|)によって得られる位相差の平均を表すパラメータである。
厚さ方向の位相差Rth[nm]=[(Nx+Ny)/2−Nz]×d
式中、Nxは幅方向の保護フィルムの屈折率、Nyは、長手方向の保護フィルムの屈折率、Nzは厚さ方向の保護フィルムの屈折率、dは保護フィルムの厚さである。
【0062】
具体的には、上記保護フィルムは、6,000nm以上の厚さ方向の位相差(Rth)を有してもよい。上記の厚さ方向の位相差(Rth)が大きければ、上記保護フィルム内の分子配向度が大きいため、結晶化が促進される。従って、機械的特性の観点から厚さ方向の位相差(Rth)が大きいことが望ましい。また、上記厚さ方向の位相差(Rth)が大きいほど、後述する幅中央での面内位相差(R)に対する厚さ方向の位相差(Rth)の比(Rth/R)が大きくなる。従って、虹ムラを効果的に抑制することができる。しかしながら、PETに関して、コストおよびフィルム厚さに関して不利となる、厚さ方向の位相差(Rth)を増大するためには、厚さを増加しなければならない。従って、上記厚さ方向の位相差(Rth)の上限値を16,000nm以下、好ましくは15,000nm以下、より好ましくは14,000nm以下に設定してもよい。
【0063】
前述したように、上記厚さ方向の位相差(Rth)が高いほど、虹ムラの発生を抑制し、機械的特性を向上させることが容易である。従って、上記保護フィルムは、6,800nm以上の幅中央での厚さ方向の位相差(Rth)を有してもよい。
【0064】
また、上記面内位相差(R)と同じ理由で、上記保護フィルムは、1,500nm/m以下、より好ましくは1,000nm/m以下の有効幅内の厚さ方向の位相差(Rth、max−Rth、min)、および1.5nm/mm未満、好ましくは1.3nm/mm未満、より好ましくは1.1nm/mm未満の有効幅内の幅変化量に対する厚さ方向の位相差の変化量(|ΔRth|/|Δx|)を有することが望ましい。上記幅変化量はx軸に沿った所定の点間の距離(Δx=x−x)を意味し、厚さ方向の位相差は所定の点間の厚さ方向の位相差(ΔRth=Rth、2−Rth、1)を意味する。本明細書中において、上記幅変化量に対する厚さ方向の位相差の単位をnm/mmとして特定したが、必ずしもmm単位での2点間の距離に基づいて厚さ方向の位相差の変化量を測定することを意味するものではない。例えば、1mm、1cmまたは10cmに設定したΔxに対して厚さ方向の位相差の変化量を測定し、次いでmm単位に換算することによって、幅変化量に対する厚さ方向の位相差の変化量を決定してもよい。上記幅変化量に対する厚さ方向の位相差の変化量は、所定の範囲Δxにおける厚さ方向の位相差の変化量の平均、Δxの両端での厚さ方向の位相差の変化量、またはΔxと厚さ方向の位相差とのプロットの所定の点での接線の傾きで表してもよい。
【0065】
上記面内位相差(R)および厚さ方向の位相差(Rth)条件を満足することに加えて、上記保護フィルムは、30以上、好ましくは50以上、より好ましくは60以上の幅中央での面内位相差(R)に対する厚さ方向の位相差(Rth)の比(Rth/R)を有してもよい。面内位相差(R)が小さく、厚さ方向の位相差(Rth)が大きいほど、虹ムラの発生を防止することが容易であるため、上記2つの値の比(Rth/R)を大きく維持することが望ましい。
【0066】
保護フィルムの面配向係数(ΔP)
面配向係数(ΔP)は、上記保護フィルムを構成するポリマー分子鎖の配向に関する物性の指標である。前述の保護フィルムのように幅方向(TD)および長手方向(MD)に2軸延伸したフィルムの場合、面配向係数が大きいほど、ポリマー分子鎖が上記フィルムの厚さ方向に垂直に配向されていることを意味する。
【0067】
面配向係数を、以下の式:
面配向係数ΔP[−]=(Nx+Ny)/2−Nz
(式中、Nxは保護フィルムの幅方向の屈折率、Nyは、保護フィルムの長手方向の屈折率、Nzは、保護フィルムの厚さ方向の屈折率である。)
によって計算することができる。
【0068】
上記保護フィルムの面配向係数(ΔP)は、0.176〜0.25、好ましくは0.18〜0.21であってもよい。上記面配向係数が0.176未満の場合、保護フィルムが十分に配向していない状態で、熱処理による結晶成長のためにアモルファス領域が大幅に増加する可能性がある。結果として、機械的特性が大幅に低下する可能性がある。
【0069】
保護フィルムの結晶化度
本発明により、様々な用途に使用される偏光板に適用可能であるPETの優れた機械的特性を維持しながら、改良された光学特性を有する保護フィルムを提供する。以下に詳細に説明する。
【0070】
特に、上記保護フィルムは、35〜55%の結晶化度を有してもよい。上記結晶化度が35%未満であれば、引張強さなどの機械的特性が不十分であるおそれがある。上記結晶化度が55%を超えると、上記保護フィルムが、過剰な結晶化度によって、容易に破壊するおそれがある。
【0071】
上記結晶化度(Xc)は、以下の式1:
Xc[%]=d(d−d)/d(d−d)×100 (式1)
(式中、Xcは結晶化度であり、dは結晶領域の密度(g/cm)であり、dは非晶領域の密度(g/cm)であり、dは測定位置の密度(g/cm)である。)
によって計算される。
【0072】
例示的実施形態では、dc=1.455(g/cm)、da=1.335(g/cm)と計算される。
【0073】
その他の機械的特性
特に、上記保護フィルムは、5B以上の鉛筆硬度を有してもよい。上記鉛筆硬度が6B以下であれば、偏光子を外力から保護することが困難であるおそれがある。例示的実施形態では、上記保護フィルムは上記偏光子上にハードコート層を更に含んでもよい。特に、上記ハードコート層を更に含む偏光子は、1H以上の鉛筆硬度を有してもよい。
【0074】
上記保護フィルムは、好ましくは3.0Gpa以上、より好ましくは3.5Gpa以上の高温(85℃)での引張弾性率を有してもよい。
【0075】
上記保護フィルムは、偏光板に導入した後、熱処理を行う。上記保護フィルムの高温(85℃)での引張弾性率が3.0Gpa以上であれば、上記偏光板がカールするのを防止することができる。
【0076】
特に、偏光子として使用されるポリビニルアルコール(PVA)は、収縮率が高いために熱処理時に容易にカールする。これを防止できない場合、保護フィルム上に波模様が生じるおそれがあり、キラキラ輝くこと(glittering)によって視認性が著しく低下するおそれがある。上記保護フィルムは高温(85℃)での引張弾性率が高いため、上記ポリビニルアルコール(PVA)がカールするのを防ぐことができ、これにより、波模様、キラキラ輝くこと、偏光子の保護フィルムからの剥離、クラックなどを未然に防止することができる。
【0077】
上記保護フィルムは、延伸時に、熱力学的に高エネルギーレベルの立体配座を有する。しかしながら、上記保護フィルムが加熱されると、流動性およびエントロピーが増大する。結果として、上記保護フィルムは、元の大きさおよび形状に戻る傾向がある。熱収縮率は、このような挙動を表す物性である。
【0078】
熱収縮率は、以下の式:
熱収縮率Hs[%]=(初期の長さ−熱処理後の長さ)/初期長さ×100
によって決定することができる。
【0079】
特に、上記保護フィルムは、1%未満の熱収縮率を有してもよい。熱収縮率が1%以上であれば、上記保護フィルムを有する偏光板の後処理工程時に、カールまたはシワが生じるおそれがある。
【0080】
その他の光学的物性
特に、上記保護フィルムは、1%未満のヘーズ(Hz)を有してもよい。ヘーズ値が大きいと、上記保護フィルムを有する偏光板の加熱、接着等の後処理工程が制限されるおそれがある。後処理工程によってヘーズ値を更に増加させ、それによって視認性を損なうおそれがあるからである。
【0081】
上記保護フィルムは、静電剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、無機滑剤などの種々の添加剤を光学特性や機械的特性を損なわない範囲内で含んでもよい。特に、上記保護フィルムは、機能性を強化するために、紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0082】
紫外線吸収剤としては、有機紫外線吸収剤および無機紫外線吸収剤の両方を使用してもよい。特に、透明性を確保するために紫外線吸収剤を添加してもよい。上記有機紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノール系および環状イミノエステル系紫外線吸収剤などを使用してもよい。具体的には、上記保護フィルムは、2‐[2'‐ヒドロキシ‐5'‐(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2'‐ヒドロキシ‐5'‐(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2'‐ヒドロキシ‐5'‐(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2,2'‐ジヒドロキシ‐4,4'‐ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジ‐t‐ブチル‐6‐(5‐クロロベンゾトリアゾール‐2‐イル)フェノール、2‐(2'‐ヒドロキシ‐3'‐t‐ブチル‐5'‐メチルフェニル)‐5‐クロロベンゾトリアゾール、2-(5‐クロロ(2H)‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐メチル‐6‐(t‐ブチル)フェノール、2,2'‐メチレンビス(4‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)‐6‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)フェノール、2,2'‐(1,4‐フェニレン)ビス(4H‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オン)、2‐メチル‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オン、2‐ブチル‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オンおよび2‐フェニル‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オンから成る群から選択される1つ以上の紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0083】
従って、上記保護フィルムは、10%未満の波長380nmでの紫外線透過率、および1%未満の波長370nmでの紫外線透過率を有してもよい。
【0084】
本発明においては、以下の手順によって、上記保護フィルムを形成することができる。
(1)PET樹脂の作製
PET樹脂は容易に加水分解されるため、押出機に供給する前に、十分に乾燥させてもよい。
【0085】
(2)溶融押出およびフィルム成形
上記PET樹脂を溶融押出し、次いで冷却によってシートに成形する。
【0086】
特に、溶融押出は、上記PET樹脂の融点をTm(℃)とするとき、Tm+30℃〜Tm+60℃の範囲内の温度で行ってもよい。これにより、溶融樹脂の粘度上昇およびPET樹脂の分子量低下を防止することによって生産性を向上させることができ、熱解重合によってオリゴマーの生成を防止することができる。
【0087】
溶融押出された樹脂を、キャスティング工程において固化によって未延伸シートに成形する。特に、上記固化を、30℃以下、好ましくは15〜30℃の温度で行ってもよい。
【0088】
(3)2軸延伸
所望の光学特性を付与するために、未延伸シートを幅方向(TD)および長手方向(MD)に2軸延伸してもよい。
【0089】
上記未延伸シートを、同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法により、2軸延伸してもよい。特に、それらに限定されるものではないが、上記未延伸シートを、1つの方向に沿って延伸し、次いでその方向と直交する方向に沿って延伸することによって、逐次2軸延伸してもよい。
【0090】
PETから形成された未延伸シートを長手方向(MD)に2.8倍から3.5倍延伸し、幅方向(TD)に2.9倍から3.7倍延伸することによって、上記保護フィルムを形成してもよい。
【0091】
上記保護フィルムは、長手方向(MD)および幅方向(TD)で同様の延伸倍率を有してもよい。従って、幅方向(TD)の延伸倍率に対する長手方向(MD)の延伸倍率の比(MD/TD)は0.9〜1.1であってもよい。
【0092】
また、それらに限定されないが、6.5m/分〜8.5m/分の延伸速度で長手方向(MD)および幅方向(TD)に延伸することによって、上記保護フィルムを形成してもよい。
【0093】
また、上記保護フィルムは、長手方向(MD)および幅方向(TD)に延伸する前に、所定温度に予熱してもよい。特に、予熱温度はTg+5℃〜Tg+50℃の範囲内であってもよい。Tgが低いほど延伸性が良好となるが、破断が起こるおそれがある。従って、約78℃に予熱した後、延伸を行ってもよい。
【0094】
上記のような条件で延伸することによって形成した上記保護フィルムは、20μm〜60μmの厚さを有してもよい。また、上記保護フィルムは、延伸を完了した後、熱処理によって固定してもよい。上記熱処理は、160℃〜230℃で行ってもよい。
【0095】
例示的実施形態による偏光板を、液晶表示装置、有機EL表示装置などの表示装置に適用してもよい。
【0096】
上記表示装置は、表示パネル、並びに上記表示パネルの上面および下面のうちの少なくとも1つに配置される上記偏光板を含む。
【0097】
図3は、例示的実施形態による偏光板を備える例示的表示パネルとしての液晶表示装置を簡単に説明するものである。
【0098】
上記液晶表示装置は、液晶パネル70およびバックライトユニット80を含む。
【0099】
上記バックライトユニット80は、上記液晶パネル70に光を放射する。上記液晶パネル70は、上記バックライトユニットから入射された光を利用して、画像を表示する。
【0100】
上記液晶パネル70は、上部偏光板10、カラーフィルタ基板71、液晶層72、TFT基板73および下部偏光板10'を含む。
【0101】
上記TFT基板73および上記カラーフィルタ基板71は、互いに対向する。
【0102】
上記TFT基板73は、それぞれの画素に対応する複数の電極、上記電極に接続されている薄膜トランジスタ、上記薄膜トランジスタに駆動信号を印加する複数のゲート配線および上記薄膜トランジスタを介して上記電極にデータ信号を印加する複数のデータ配線を含んでもよい。
【0103】
上記カラーフィルタ基板71は、各画素に対応する多数のカラーフィルタを含む。上記カラーフィルタは、入射光をフィルタリングすることによって、赤色、緑色、青色を形成する。上記カラーフィルタ基板は、上記電極に対向するコモン電極を含んでもよい。
【0104】
上記液晶層72は、上記TFT基板および上記カラーフィルタ基板の間に配置される。上記液晶層は、上記TFT基板によって駆動される。より具体的には、上記液晶層は、上記電極および上記コモン電極の間に形成される電界によって駆動される。上記液晶層は、その下の偏光板を通過する光の偏光方向を制御することができる。即ち、上記TFT基板は、画素ユニットにおける上記電極および上記コモン電極の間に印加される電位差を制御することができる。従って、上記液晶層は、画素ユニットにおいて、異なる光学特性を有するように駆動することができる。
【0105】
上記上部偏光板10は、上記カラーフィルタ基板71上に配置される。上記上部偏光板10を、上記カラーフィルタ基板71の上面に接着してもよい。
【0106】
上記下部偏光板10'は、上記TFT基板73下に配置される。上記下部偏光板10'を、上記TFT基板73の下面に接着してもよい。
【0107】
上記上部偏光板10および上記下部偏光板10'の偏光方向は、同一または互いに垂直であってもよい。
【0108】
図4は、例示的実施形態による偏光板を備える例示的表示パネルとしての有機EL表示装置を簡単に説明する。
【0109】
上記有機EL表示装置は、表側偏光板(10)と有機ELパネル(90)を含む。
【0110】
上記表側偏光板10は、上記有機ELパネル90の表側面上に配置されてもよい。より具体的には、上記表側偏光板は、その上に画像が表示される上記有機ELパネル側に付着させてもよい。上記表側偏光板は、前述した偏光板と実質的に同一の構成を有してもよい。
【0111】
上記有機ELパネルは、画素ユニットによる発光によって、画像を表示する。上記有機ELパネルは、有機EL基板91および駆動基板92を含む。
【0112】
上記有機EL基板91は、それぞれの画素に対応する複数の有機ELユニットを含む。上記有機ELユニットのそれぞれは、カソード、電子輸送層、発光層、正孔輸送層とアノードを含む。上記カソードなどの詳細な説明は省略する。
【0113】
駆動基板92を、上記有機EL基板31に駆動可能に結合する。即ち、上記駆動基板を、駆動電流などの駆動信号を印加するように、上記有機EL基板に結合してもよい。より具体的には、上記駆動基板は、上記それぞれの有機ELユニットに電流を印加することによって、上記有機EL基板を駆動することができる。
【実施例】
【0114】
以下の実施例により、本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、例示を目的とするだけのものであり、本発明の範囲を上記実施例によって限定されるものではないことは当業者には明らかである。
【0115】
実施例1〜5および比較例1〜4
上記保護フィルムの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(SKC)を使用した。押出機を用いてPET樹脂を約280℃で押出し、キャスティングロールを用いて約30℃でキャストすることによって未延伸シートを作製した。
【0116】
予熱した後、未延伸シートを125℃で以下の表1に記載した延伸倍率で長手方向(MD)および幅方向(TD)に延伸した。次いで、延伸されたシートを、表1に記載の温度で約30秒間加熱処理することによって保護フィルムを作製した。
【0117】
【表1】
【0118】
測定例
上記実施例および比較例において作製した保護フィルムの面内位相差(R)、厚さ方向の位相差(Rth)、有効幅内の面内位相差(R0、max−R0、min)および有効幅内の厚さ方向の位相差(Rth、max−Rth、min)を測定した。その結果を以下の表2に示す。
【0119】
面内位相差(R)および厚さ方向の位相差(Rth)は、以下のような方法で測定した。
【0120】
偏光板の2枚のシートを使用して保護フィルムの配向軸を決定した後、配向軸に垂直に4cm×2cmの寸法に切断することによって測定用試料を作製した。面内位相差および厚さ方向の位相差は、位相差計(Axometrics社製、Axoscan、測定波長550nm)を用いて測定した。保護フィルム(試料)の屈折率はAbbe屈折計(Atago社製、NAR−4T、測定波長546nm)を用いて測定し、保護フィルムの厚さd(μm)は、電子マイクロメータ(Fineloop社製、Millitron 1245D)を用いて測定した。
【0121】
上記実施例1の保護フィルムに関して、有効幅全体にわたって、面内位相差(R)、厚さ方向の位相差(Rth)を測定した。その結果を、図5および図6に示す。
【0122】
【表2】
【0123】
図5を参照すると、実施例1の保護フィルムは、以下の条件:
幅中央での面内位相差(R)が100nm以下、
幅方向における幅中央から±500mmの範囲内での面内位相差(R)が160nm以下、
幅方向における幅中央から±1000mmの範囲内での面内位相差(R)が300nm以下、
有効幅内の幅変化量に対する面内位相差の変化量(|ΔR|/|Δx|)が0.3nm/mm未満
を満足することがわかる。
【0124】
図6を参照すると、実施例1の保護フィルムは、以下の条件:
幅中央での厚さ方向の位相差(Rth)が6,800nm以上、
有効幅内の幅変化量に対する厚さ方向の位相差の変化量(|ΔRth|/|Δx|)が1.5nm/mm未満
を満足することがわかる。
【0125】
試験例
上記実施例および比較例の保護フィルムの表示装置に適用した後の外観、結晶化度、密度、鉛筆硬度、ハードコート適用後の鉛筆硬度および高温での引張弾性率を評価した。その結果を表3および表4に示す。
【0126】
外観は、以下のように評価した。
実施例および比較例の保護フィルムを、図1に示す構造を有する偏光板に導入した。次いで、ハードコート層を上記保護フィルム上に形成した。得られた偏光板をTVまたはモニタに適用した後、偏光板の正面および斜め方向からの虹ムラまたは色付きかどうかを目視で評価した。
◎:どちらの方向からも虹ムラまたは色付きが観察されない。
○:どちらの方向からも虹ムラは観察されないが、斜め方向から非常にわずかな色付きが観察された。
△:わずかな虹ムラおよび色付きが、斜め方向から観察された。
×:明確な虹ムラおよび色付きが、斜め方向から観察された。
【0127】
上記保護フィルムの結晶化度は、前述した密度法(式1)で測定した。
【0128】
上記保護フィルムの鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験機(Kipae E&T社製、KP−M5000M)およびMitsubishi「UNI」グレードの鉛筆を用いて測定した。また、上記保護フィルムのハードコート層を形成した後、鉛筆硬度も測定した。
【0129】
上記保護フィルムの引張弾性率は、万能材料試験機(Instron社、4485 TIC960203−97B1A)で測定した。
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
表3および表4を参照すると、実施例1〜3の保護フィルムは、虹ムラまたは色付きのない優れた光学特性を有しながら、良好な結晶化度、鉛筆硬度および引張弾性率を示すため、様々な用途に使用できることがわかる。
【0133】
特に、実施例1の保護フィルムはバランスのとれた光学特性や機械的特性を示すため、表示装置用偏光板に適用するのに最も好適であることがわかる。
【0134】
保護フィルムの光学特性を向上させることによって虹ムラを防止するための別の実施例として、本発明により、主成分としてポリエチレンテレフタレート(PET)を含有し、更に特定量のポリエチレンナフタレート(PEN)を含有する保護フィルムを提供する。
【0135】
上記ポリエチレンナフタレート(PEN)を添加することにより、上記保護フィルムの結晶化度が低下し、幅方向の面内位相差の変動(R、max−R、min)が大幅に減少し、厚さ方向の位相差(Rth)が大幅に増加するため、虹ムラを防止することが可能となる。また、厚さ方向の位相差(Rth)を増大させるために、上記保護フィルムの厚さを増大する必要がないので、上記保護フィルムを様々な用途に使用することができる。
【0136】
上記保護フィルムは、90〜97重量%の上記ポリエチレンテレフタレート(PET)および3〜10重量%の上記ポリエチレンナフタレート(PEN)を含有してもよい。上記ポリエチレンナフタレートの含有量が3重量%未満では、紫外線を遮断する機能が低下し、厚さ方向の位相差を増大することができない。また、上記ポリエチレンナフタレートの含有量が10重量%を超えると、面内位相差の変動が増加するので、虹ムラなどの光学的な歪みが発生するおそれがある。
【0137】
上記保護フィルムは、上記ポリエチレンナフタレート(PEN)を含むので、紫外線を遮断する効果を有する。具体的には、上記保護フィルムは、約20%未満の紫外線(波長:300〜380nm)透過率を有することができる。
【0138】
従って、上記保護フィルムは、更なる紫外線吸収剤を添加しなくても、十分な紫外線を遮断する効果を示すことができる。また、紫外線を遮断する効果を更に高めるために紫外線吸収剤を添加しても、添加量を低減することができるので、経済的である。
【0139】
上記紫外線吸収剤としては、有機紫外線吸収剤および無機紫外線吸収剤の両方を使用してもよい。具体的には、透明性を確保するために紫外線吸収剤を添加してもよい。上記有機紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノール系および環状イミノエステル系紫外線吸収剤などを使用してもよい。具体的には、上記保護フィルムは、2[2'‐ヒドロキシ‐5'‐(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2'‐ヒドロキシ‐5'‐(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2'‐ヒドロキシ‐5'‐(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2,2'‐ジヒドロキシロキシ‐4,4'‐ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4‐ジ‐t‐ブチル‐6‐(5‐クロロベンゾトリアゾール‐2‐イル)フェノール、2‐(2'‐ヒドロキシ‐3'‐t‐ブチル‐5'‐メチルフェニル)‐5‐クロロベンゾトリアゾール、2‐(5‐クロロ(2H)‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐メチル‐6‐(t‐ブチル)フェノール、2,2'‐メチレンビス(4‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)‐6‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)フェノール、2,2'‐(1,4‐フェニレン)ビス(4H‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オン)、2‐メチル‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オン、2-ブチル‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オンおよび2‐フェニル‐3,1‐ベンズオキサジン‐4‐オンから成る群から選択される1つ以上の紫外線吸収剤を更に含んでもよい。
【0140】
少量の上記紫外線吸収剤を含有する保護フィルムは、10%未満の380nmの波長での紫外線透過率および1%未満の370nmの波長での紫外線透過率を有してもよい。
【0141】
上記保護フィルムは、350nm以下の面内位相差(R)、7,000nm以上の厚さ方向の位相差(Rth)および300nm以下の幅方向の面内位相差の変動(R、max−R、min)を有する。
【0142】
本発明において、上記保護フィルムを、以下の手順によって形成してもよい。
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)の作製
ポリエチレンテレフタレート(PET)は容易に加水分解されるため、押出機に供給する前に、十分に乾燥させてもよい。
【0143】
(2)溶融押出およびフィルム成形
ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)を溶融押出し、次いで、冷却してシートに成形する。
【0144】
特に、Tm(℃)を融点とするとき、Tm+30℃〜Tm+60℃の範囲の温度で、溶融押出を行ってもよい。これにより、分子量の低下および溶融樹脂の粘度上昇を防止することによって生産性を向上させることができ、熱解重合によるオリゴマーの生成を防止することができる。
【0145】
溶融押出された生成物を、キャスティング工程において固化によって未延伸シートに成形する。特に、上記固化を、30℃以下、好ましくは15〜30℃の温度で行ってもよい。
【0146】
(3)2軸延伸
所望の光学特性を付与するために、未延伸シートを幅方向(TD)および長手方向(MD)に2軸延伸してもよい。
【0147】
上記未延伸シートを、同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法により、2軸延伸してもよい。特に、それらに限定されるものではないが、上記未延伸シートを、1つの方向に沿って延伸し、次いでその方向と直交する方向に沿って延伸することによって、逐次2軸延伸してもよい。
【0148】
PETから形成された未延伸シートを長手方向(MD)に2.5倍から6倍延伸し、幅方向(TD)に2.5倍から6倍延伸することによって、上記保護フィルムを形成してもよい。
【0149】
延伸倍率は、上記保護フィルムの熱収縮率、密度、結晶化挙動、熱挙動および光学特性に大きな影響を与える要因である。特に、長手方向(MD)の延伸倍率に対する幅方向(TD)の延伸倍率の比(TD/MD)は0.9〜1.3、好ましくは1.04〜1.1であってもよい。
【0150】
また、それらに限定されないが、6.5m/分〜8.5m/分の延伸速度で長手方向(MD)および幅方向(TD)に延伸することによって、上記保護フィルムを形成してもよい。
【0151】
また、未延伸シートは、長手方向(MD)および幅方向(TD)に延伸する前に、所定温度に予熱してもよい。特に、予熱温度はTg+5℃〜Tg+50℃の範囲内であってもよい。Tgが低いほど延伸性が良好となるが、破断が起こるおそれがある。特に、長手方向(MD)に延伸する前の予熱温度は90〜100℃、幅方向(TD)に延伸する前の予熱温度は120〜150℃であってもよい。
【0152】
(4)加熱処理
上記保護フィルムに対して加熱処理を行ってもよい。
上記加熱処理を、150℃〜260℃の温度で、または170℃〜230℃の温度で行ってもよい。また、上記加熱処理を、180℃〜230℃の温度または180℃〜200℃の温度で行ってもよい。上記加熱処理温度が上記範囲内である場合、上記フィルムの厚さ方向の位相差を低減しながら、虹ムラを防止するのにより有利である可能性がある。
【0153】
上記加熱処理は、約5秒〜1分間、好ましくは約10秒〜45分間行ってもよい。
【0154】
上記加熱処理を開始した後、上記保護フィルムを、長手方向および/または幅方向に関して緩和してもよい。
【0155】
最終厚さが20μm〜60μmになるように、上記保護フィルムを延伸および加熱処理してもよい。前述のように、ポリエチレンテレフタレート(PET)にポリエチレンナフタレート(PEN)を加えることによって上記保護フィルムを形成するので、厚さが60μm以下であっても、厚さ方向の位相差(Rth)が大きいため、虹ムラの発生を防止することができる。
【0156】
実施例6〜8および比較例5〜6
表5に示す含有量を有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂およびポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂(SKC社製)を溶融押出し、キャスティングロールを使用して未延伸シートの形に成形した。
【0157】
上記未延伸シートを表5に示す条件下で延伸および加熱処理することによって、保護フィルムを作製した。
【0158】
【表5】
【0159】
上記実施例と比較例において作製した保護フィルムの面内位相差(R)、幅方向の面内位相差の変動(R、max−R、min)、厚さ方向の位相差(Rth)、面配向係数(ΔP)、面内位相差に対する厚さ方向の位相差の比(Nz)を測定した。その結果を以下の表6および表7に示す。
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
表6および表7を参照すると、実施例6〜8の保護フィルムは、以下の条件:
面内位相差(R)が350nm以下、
厚さ方向の位相差(Rth)が7,000nm以上、
幅方向の面内位相差の変動(R、max−R、min)が300nm以下、
面内位相差(R)に対する厚さ方向の位相差(Rth)の比(Rth/R)が25以上、
面配向係数(ΔP)が0.176〜0.25
を満足することがわかる。
【0163】
表示装置に適用した後、上記実施例と比較例の保護フィルムの外観(虹ムラの発生)、紫外線透過率、ヘーズおよび熱収縮率を測定した。その結果を、表8に示す。
【0164】
虹ムラの発生は、以下のように測定した。
試験する保護フィルムをPVA系偏光板の2枚のシートの間に挿入した後、虹ムラの発生を肉眼で観察した。虹ムラの発生を、0°〜180°の範囲の水平視野角で評価した。また、2枚の偏光板は、偏光軸が互いに直交するように配置した。試験フィルムを、上記2枚の偏光板のいずれかの偏光軸と一致するように配置した。
【0165】
ヘーズは、以下のように測定した。
保護フィルムを開放された箱に入れて、150℃で10分間、20分間、または30分間熱処理して、オリゴマーをフィルムの表面に移動させた。5分後、ヘーズをJIS K 715規格に準拠してヘーズメータを用いて測定した。
【0166】
紫外線透過率を、300〜380nmの波長範囲での平均紫外線透過率として測定した。
【0167】
熱収縮率は、以下のように測定した。
保護フィルムを300mm×300mmに切断し、85℃のオーブン内で24時間熱処理した。次いで、以下の式:
熱収縮率Hs[%]=(初期の長さ−熱処理後の長さ)/初期長さ×100
に従って、熱収縮率を計算した。
【0168】
【表8】
【0169】
表8を参照すると、実施例6〜8の保護フィルムは、水平視野角0〜180°の範囲で虹ムラが全く発生せず、20%未満の紫外線透過率、1%未満のヘーズおよび1%未満の熱収縮率を有した。一方、比較例5および6の保護フィルムは虹ムラを示し、紫外線を遮断する効果が非常に低下した。
【0170】
本発明による保護フィルムは、幅方向の面内位相差の変動が小さく、厚さ方向の位相差が大きいことにより虹ムラが発生しないため、良好な視認性を有する。また、ポリエチレンナフタレート(PEN)を導入することにより、厚さを増大することなく厚さ方向の位相差を大きくすることができる。更に、本発明による保護フィルムは、実際には紫外線を遮断する効果が優れている。また、ヘーズが小さいため良好な視認性を有し、熱収縮率が低いため後処理工程における作業性を損なわない。
【0171】
本発明を、その具体的な実施形態を参照して、詳細に説明した。しかしながら、本発明の原理および意図、特許請求の範囲およびその同等物において定義される本発明の権利範囲を逸脱することなく、上記実施形態において様々な変更および修正を行ってもよいことは当業者には認識される。
【符号の説明】
【0172】
10 … 偏光板
11 … 偏光子
12 … 偏光子用保護フィルム
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c