(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0012】
<透過電子顕微鏡>
本発明の試料交換装置について説明する前に、当該試料交換装置を備える本発明の荷電粒子線装置について説明する。ここでは、本発明の荷電粒子線装置として、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)である例について説明する。
図1は、本発明の荷電粒子線装置を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、荷電粒子線装置100は、試料室110と、荷電粒子線源120と、光学系130と、撮像装置140と、試料交換装置200とを備える。この荷電粒子線装置100は、除振機150を介して架台160上に設置されている。
【0014】
試料室110は、鏡筒112から構成されており、鏡筒112の内壁で区画される空間である。すなわち、鏡筒112は、試料室110を備えた真空容器ともいえる。試料室110内は、真空排気装置(図示せず)によって真空排気されている。これにより、試料室110は、真空に保たれている。
【0015】
ここで、真空とは、圧力が大気圧より低い空間状態のことをいう。また、真空排気とは、目的とする真空状態を得るために、内部の気体を排気することをいう。試料室110を真空排気する真空排気装置としては、例えば、イオンポンプ、スクロールポンプ、ターボ分子ポンプ等を用いることができる。
【0016】
試料室110には、試料Sを支持する試料支持部114が配置されている。試料支持部114は、試料ホルダー116の先端部に設けられている。試料支持部114に支持された試料Sの試料室110内における位置決めは、ゴニオメーター118で行う。ここでは、試料支持部114は、試料Sを保持した試料保持部材2を支持することで、試料Sを支持している。
【0017】
試料室110は、荷電粒子線(電子線)が試料Sに照射される空間である。荷電粒子線装置100では、試料室110において、試料支持部114に支持された試料Sに電子線が照射される。試料Sを透過した電子線は、光学系130で結像され、電子顕微鏡像が得られる。
【0018】
荷電粒子線源120は、電子線(荷電粒子線)EBを発生させる。荷電粒子線源120としては、例えば、公知の電子銃を用いることができる。荷電粒子線源120として用いられる電子銃は特に限定されず、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
【0019】
光学系130は、試料Sに電子線EBを照射するための照射レンズ132と、試料Sを透過した電子線EBで結像するための結像系を構成している対物レンズ134、中間レンズ136、および投影レンズ138とを有する。
【0020】
撮像装置140は、結像系(レンズ134,136,138)によって結像された電子顕微鏡像を撮像する。この撮像装置140は、例えば、2次元的に配置された固体撮像素子を有するCCD(Charged-coupled devices)カメラを有しており、電子顕微鏡像を撮像し、この電子顕微鏡像の情報を出力する。
【0021】
[試料交換装置]
次に、試料交換装置200の構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、荷電粒子線装置の要部の一例を示す説明図である。
図3は、荷電粒子線装置の試料交換室からファイバーセンサを取り付けた板状部材を取り外した状態を示す説明図である。
【0022】
図2及び
図3に示すように、試料交換装置200は、ゴニオメーター118と鏡筒112を挟んで対向する位置に設けられている。なお、試料交換装置200を設ける位置は、試料室110において、試料Sの交換を行うことができれば特に限定されない。
【0023】
試料交換装置200は、試料交換室30と、試料容器40と、複数のファイバーセンサ50と、試料保管部60と、冷却部70と、第1搬送機構80と、第2搬送機構90と、不図示の真空排気装置とを備えている。
【0024】
試料交換室30は、真空容器34で囲まれた空間である。真空容器34は、中空の筐体であり、側面が鏡筒112に接続されている。この試料交換室30は、試料室110に連通している。
【0025】
試料交換室30と試料室110との間には、不図示の仕切り弁が設けられている。この仕切り弁は、試料交換室30と試料室110との間の真空隔壁として用いられる。仕切り弁を開くことによって、試料交換室30と試料室110とが連通する。また、仕切り弁を閉じることによって、試料交換室30と試料室110とが隔離される。そして、試料交換室30は、不図示の真空排気装置によって真空排気される。
【0026】
試料容器40は、真空容器34の底面に接続部材42を介して着脱可能に接続されている。接続部材42は、円筒状に形成されており、軸方向の一方の端部が真空容器34に連続しており、他方の端部に試料容器40が接続されている。また、接続部材42の他方の端部と試料容器40との間は、Oリングによって封止されている。
【0027】
試料容器40は、冷却された試料Sを搬送するための容器である。試料容器40には、試料S、および試料Sを冷却する冷媒が収容される。冷却された試料Sは、後述する試料保持部材2(
図4及び
図5参照)に保持されており、試料容器40は、試料保持部材2が取り付けられた後述するマガジン4(
図6及び
図7参照)を収容する。試料容器40と試料交換室30との間には、仕切り弁が設けられている。試料容器40は、仕切り弁が閉じた状態で試料交換室30に接続される。
【0028】
試料容器40は、仕切り弁が閉じた状態で、不図示の真空排気装置によって真空排気される。これにより、試料容器40に収容された冷媒(例えば液体窒素)は凝固点が上昇し凝固する。冷媒が凝固すると、微小な粒の固体冷媒粒子(固体窒素)が堆積していくため、粒子間に隙間が生まれ体積が膨張する。
【0029】
試料容器40では、冷媒を熱伝導部材によって囲っている。これにより、冷媒が凝固しても体積の膨張を抑制することができ、マガジン4、試料保持部材2、および試料Sに固体冷媒(固体窒素)が付着することを防ぐことができる。また、試料容器40が真空排気された後、仕切り弁が開き、試料容器40と試料交換室30が連通する。
【0030】
試料Sを冷却する冷媒は、例えば、液体窒素である。この冷媒は、液体メタン、液体エタン、または液体ブタンであってもよい。なお、冷媒は、試料Sを冷却することができ、かつ、後述する真空排気装置で試料容器40が真空排気された場合に、凝固するものであれば特に限定されない。
【0031】
図2に示すように、複数のファイバーセンサ50は、試料交換室30に設けられている。複数のファイバーセンサ50は、ファイバーセンサ50A,50B,50C,50D,50Eから構成されており、2つの板状部材35を介して試料交換室30(真空容器34)に取り付けられている。真空容器34の対向する2つの側面には、それぞれ開口部34aが形成されており、2つの開口部34aは、2つの板状部材35によって塞がれている。
【0032】
ファイバーセンサ50A〜50Eは、例えば、透過型の光電センサであり、投光器と受光器と有している。投光器と受光器との間に検出対象が有る場合は、投光器から出射された光が検出対象によって遮光されるため、ファイバーセンサ50A〜50Eは、検出対象が有ることを検出する。一方、投光器と受光器との間に検出対象が無い場合は、投光器から出射された光を受光器で受光するため、ファイバーセンサ50A〜50Eは、検出対象が無いことを検出する。
【0033】
なお、本発明に係るファイバーセンサとしては、透過型に限定されるものではなく、例えば、投受光器を有する反射型や、投受光器とリフレクタを有する回帰反射型であってもよい。
【0034】
ファイバーセンサ50A,50Bは、試料交換室30における試料容器40の接続部分の上方に配置されている。これらファイバーセンサ50A,50Bは、試料交換室30に搬送された後述のマガジン4に試料保持部材2が取り付けられているか否かを検出する。また、ファイバーセンサ50A,50Bは、マガジン4の所定の位置に試料保持部材2が取り付けられているか否かを検出する。
【0035】
ファイバーセンサ50C,50Dは、後述する試料保管部60(
図3参照)に対向する位置に配置されている。これらファイバーセンサ50C,50Dは、試料保管部60に試料保持部材2が保管されているか否かを検出する。また、ファイバーセンサ50C,50Dは、試料保管部60の所定の位置に試料保持部材2が保管されているか否かを検出する。
【0036】
また、ファイバーセンサ50Eは、第2搬送機構90の一端部に対向している。第2搬送機構90の一端部は、試料交換室30内に配置されており、第2搬送機構90の一端部には、試料保持部材2を把持する把持部91が設けられている。ファイバーセンサ50Eは、第2搬送機構90の把持部91が試料保持部材2を把持しているか否かを検出する。
【0037】
図3に示すように、試料保管部60は、試料交換室30に設けられている。この試料保管部60は、冷却部70によって冷却されている。したがって、試料保管部60は、試料保持部材2に保持された試料Sを冷却した状態で保管することができる。試料保管部60は、複数の試料保持部材2が載置される複数の載置棚を有するキャビネット61と、このキャビネット61を上下方向に移動させるキャビネット移動機構62とを有する。キャビネット61は、例えば、熱伝導率が大きい材料で形成されている。
【0038】
キャビネット移動機構62は、キャビネット61を上下方向に移動させて、各載置棚に載置された試料保持部材2を第2搬送機構90の把持部91に対向させる。これにより、第2搬送機構90の把持部91は、載置棚に載置された試料保持部材2を把持することができる。
【0039】
また、キャビネット移動機構62は、キャビネット61を上下方向に移動させて、各載置棚に載置された試料保持部材2をファイバーセンサ50C,50Dに対向させる。これにより、ファイバーセンサ50C,50Dは、キャビネット61の各載置棚に試料保持部材2が載置(保管)されているか否かを検出する。また、ファイバーセンサ50C,50Dは、キャビネット61の各載置棚の所定の位置に試料保持部材2が載置(保管)されているか否かを検出する。
【0040】
冷却部70は、試料保管部60を冷却する。冷却部70は、例えば、冷媒が入ったタンク(例えば液体窒素が入った液体窒素タンク)72と、タンク72と試料保管部60、第1搬送機構80、および第2搬送機構90とを熱的に接続する熱伝導部材74とを有する。冷却部70は、タンク72に入った冷媒で熱伝導部材74を冷却することで試料保管部60、第1搬送機構80、および第2搬送機構90を冷却する。熱伝導部材74は、例えば、銅線である。
【0041】
第1搬送機構80は、本発明に係るマガジン搬送機構の一具体例を示すものであり、試料容器40と試料交換室30との間において、マガジン4(試料Sを保持する試料保持部材2)を搬送する。第1搬送機構80は、試料容器40に収容されているマガジン4を保持して、試料交換室30へ搬送する。また。第1搬送機構80は、試料交換室30にあるマガジン4を試料容器40へ搬送する。
【0042】
図3に示すように、第1搬送機構80は、マガジン4を把持する把持部81を有しており、把持部81で把持したマガジン4をZ方向(上下方向)に移動させる。すなわち、第1搬送機構80は、試料容器40内のマガジン4を把持して+Z方向(上方向)に移動させることで、マガジン4を試料容器40から試料交換室30へ搬送する。また、第1搬送機構80は、試料交換室30内のマガジン4(試料S)を−Z方向(下方向)に移動させることで、試料容器40へ搬送する。
【0043】
上述したように、第1搬送機構80は、冷却部70によって冷却されている。そのため、第1搬送機構80が冷却されたマガジン4に触れても、マガジン4はその温度を保持できる。
【0044】
第2搬送機構90は、試料交換室30において第1搬送機構80が把持するマガジン4と試料保管部60との間において、試料保持部材2(試料S)を搬送する。第2搬送機構90は、マガジン4に取り付けられた試料保持部材2を把持部91によって把持して水平方向に移動させることで、試料保持部材2を試料保管部60へ搬送する。また、第2搬送機構90は、試料保管部60から試料保持部材2を取り出して水平方向に移動させることで、試料保持部材2を第1搬送機構80が把持するマガジン4へ搬送する。
【0045】
さらに、第2搬送機構90は、試料保管部60と試料室110との間において、試料保持部材2を搬送する。第2搬送機構90は、試料保管部60から試料保持部材2を取り出して水平方向に移動させることで、試料保持部材2を試料室110の試料支持部114へ搬送する。また、第2搬送機構90は、試料室110の試料支持部114から試料保持部材2を取り出して水平方向に移動させることで、試料保持部材2を試料保管部60へ搬送する。
【0046】
また、第2搬送機構90は、試料交換室30において第1搬送機構80が把持するマガジン4と試料室110との間において、試料保持部材2を搬送する。第2搬送機構90は、試料室110の試料支持部114から試料保持部材2を取り出して水平方向に移動させることで、試料保持部材2を第1搬送機構80が把持するマガジン4へ搬送する。また、第2搬送機構90は、第1搬送機構80が把持するマガジン4から試料保持部材2を取り出して水平方向に移動させることで、試料保持部材2を試料室110の試料支持部114へ搬送する。
【0047】
上述したように、第2搬送機構90は、冷却部70によって冷却されている。そのため、第2搬送機構90が冷却された試料保持部材2に触れても、試料保持部材2はその温度を保持できる。
【0048】
[試料保持部材]
次に、試料保持部材について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、試料保持部材を示す上面図である。
図5は、試料保持部材を示す縦断面図である。
【0049】
図4及び
図5に示すように、試料保持部材2は、板状部材であり、例えば、リテーナやカートリッジと呼ばれている。この試料保持部材2は、ベース板21と、ベース板21に固定される固定片22とを有する。なお、試料保持部材2は、熱伝導性のよい材料で形成することが望ましい。
【0050】
ベース板21は、長方形の板体からなり、略中央部に貫通孔21aが形成されている。また、貫通孔21aの周囲には、凹部が形成されており、この凹部の底面は、試料Sが設置される試料設置面21b(
図5参照)になっている。また、ベース板21の長手方向の一端部には、第2搬送機構90の把持部91が係合する把持用切欠き21c(
図4参照)が形成されている。
【0051】
固定片22は、長方形の板体からなり、貫通孔22aを有している。固定片22の短手方向の長さは、ベース板21の短手方向の長さと略等しい。また、固定片22の長手方向の両端部には、ねじ用孔が形成されている。固定片22は、ねじ用孔を貫通するねじ23によってベース板21に固定されている。
【0052】
固定片22は、ベース板21に固定される際に、ベース板21の試料設置面21bとの間で試料Sを挟持する。また、固定片22は、ベース板21に固定された状態において、固定片22の貫通孔22aは、ベース板21の貫通孔21aに対向する。したがって、試料Sは、ベース板21の貫通孔21aと固定片22の貫通孔22aとの間に介在される。
【0053】
試料Sは、例えば、生物試料や、高分子材料等の電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子線により構造が破壊されやすい試料である。また、試料Sは、例えば、液体窒素温度以下(例えば極低温)に冷却された後に、試料保持部材2に保持される。試料Sを保持した試料保持部材2は、マガジン4に取り付けられ、試料容器40に収納される。
【0054】
なお、本実施形態では、試料Sを保持した試料保持部材2をマガジン4に取り付けて試料容器40に収容し、第1搬送機構80によって試料交換室30へ搬送する構成にした。しかし、本発明に係る試料交換装置及び荷電粒子線装置としては、マガジン4を用いずに、試料保持部材2を試料容器40に直接収容してもよい。
【0055】
[マガジン]
次に、マガジンについて、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、マガジンを示す斜視図である。
図7は、マガジンを示す側面図である。
【0056】
図6及び
図7に示すように、マガジン4は、複数の取り付け棚25と、上面蓋26と、被把持部27とを有する。なお、マガジン4は、熱伝導性のよい材料で形成することが望ましい。
【0057】
複数の取り付け棚25は、上下方向に重ねて接続されている。各取り付け棚25は、円板状に形成された円形部25aと、円形部25aの周面に連続する平板部25bとを有している。円形部25a及び平板部25bの上面には、試料保持部材2が取り付けられる凹部を有している。
【0058】
図7に示すように、円形部25aには、試料保持部材2が取り付けられる凹部に連通する2つの検出用孔28(
図7においては1つの検出用孔28を示す)が設けられている。2つの検出用孔28は、試料保持部材2が取り付けられる凹部を挟んで対向している。取り付け棚25に取り付けられた試料保持部材2の一部は、2つの検出用孔28から露出される。
【0059】
第1搬送機構80により、マガジン4が試料交換室30内の所定の位置に配置された場合に、1つの取り付け棚25における2つの検出用孔28は、上述したファイバーセンサ50Bに対向する。したがって、試料保持部材2が取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に取り付けられた場合は、ファイバーセンサ50Bによって試料保持部材2が検出される。
【0060】
一方、試料保持部材2が取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に取り付けられていない場合、又は試料保持部材2が取り付け棚25に取り付けられていない場合は、ファイバーセンサ50Bによって試料保持部材2が検出されない。
【0061】
平板部25bには、試料保持部材2が貫通する切欠きが形成されている。これにより、取り付け棚25に試料保持部材2が取り付けられると、試料保持部材2におけるベース板21の長手方向の一端部(把持用切欠き21c側)が平板部25bの切欠きから取り付け棚25の外部へ突出する。以下、試料保持部材2における取り付け棚25の外部へ突出する部分を検出用突出部21dとする。
【0062】
第1搬送機構80(
図2参照)により、マガジン4が試料交換室30内の所定の位置に配置された場合に、1つの取り付け棚25に取り付けた試料保持部材2の検出用突出部21dは、上述したファイバーセンサ50Aに対向する。したがって、試料保持部材2が取り付け棚25に取り付けられている場合は、ファイバーセンサ50Aによって試料保持部材2が検出される。一方、試料保持部材2が取り付け棚25に取り付けられていない場合は、ファイバーセンサ50Aによって試料保持部材2が検出されない。
【0063】
例えば、ファイバーセンサ50A,50Bによって試料保持部材2が検出された場合は、試料保持部材2が取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に取り付けられている、と判別される。一方、ファイバーセンサ50A,50Bによって試料保持部材2が検出されなかった場合は、試料保持部材2が取り付け棚25に取り付けられていない、と判別される。
【0064】
また、ファイバーセンサ50Aによって試料保持部材2が検出され、且つ、ファイバーセンサ50Bによって試料保持部材2が検出されなかった場合は、試料保持部材2が取り付け棚25の正常な位置に取り付けられていない、と判別される。
【0065】
なお、第1搬送機構80は、各取り付け棚25に取り付けた試料保持部材2の検出用突出部21d及び各取り付け棚25の2つの検出用孔28を、ファイバーセンサ50A,50Bに順次対向させる。これにより、各取り付け棚25に試料保持部材2が取り付けられているか否か、又、各取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に試料保持部材2が取り付けられているか否かを検出することができる。
【0066】
上面蓋26は、複数の取り付け棚25における最上部の取り付け棚25の凹部を塞ぐ。これにより、試料保持部材2が保持する試料Sを上面蓋26によって覆って保護することができる。被把持部27は、上面蓋26に接続されている。この被把持部27は、円筒状に形成されており、第1搬送機構80の把持部81(
図3参照)に把持される。
【0067】
なお、上述した試料保管部60のキャビネット61は、マガジン4の複数の取り付け棚25と同様の構造である。すなわち、キャビネット61に保管された試料保持部材2の検出用突出部21dは、ファイバーセンサ50Cに対向する。また、キャビネット61の2つの検出用孔は、ファイバーセンサ50Dに対向する。これにより、キャビネット61の各載置棚に試料保持部材2が保管(載置)されているか否か、又、各載置棚の正常な位置(キャビネット61の所定の位置)に試料保持部材2が保管(載置)されているか否かを検出することができる。
【0068】
[試料交換装置の制御回路]
次に、試料交換装置における制御回路の構成について、
図8を参照して説明する。
図8は、試料交換装置における制御回路の構成を示すブロック図である。
【0069】
図8に示すように、試料交換装置における制御回路は、制御部201を有する。この制御部201は、例えば、マイクロコンピュータを主たる構成要素としており、このマイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random access memory)により構成される。ROMには、CPUにより実行される制御プログラム、データテーブル、搬送機構に制御指令を送信するためのデータ等が記憶されている。RAMには、制御プログラムの実行により決定された各種データが格納される。
【0070】
制御部201には、ファイバーセンサ50A〜50Eが接続されている。ファイバーセンサ50A〜50Eは、それぞれ制御部201にファイバーセンサ信号を送信する。制御部201は、ファイバーセンサ信号を受信することにより、上述した試料保持部材2を検出したか否かの情報を得る。また、制御部201は、ファイバーセンサ50A〜50EにON/OFF信号を送信し、ファイバーセンサ50A〜50EのON・OFFを制御する。
【0071】
また、制御部201には、第1搬送機構80の駆動源及び把持部検出センサが接続されている。第1搬送機構80の把持部検出センサは、第1搬送機構80の把持部81の位置を検出し、その位置情報を制御部201に送信する。また、制御部201は、第1搬送機構80の駆動源に制御信号を送信し、第1搬送機構80の駆動を制御する。
【0072】
また、制御部201には、第2搬送機構90の駆動源及び把持部検出センサが接続されている。第2搬送機構90の把持部検出センサは、第2搬送機構90の把持部91の位置を検出し、その位置情報を制御部201に送信する。また、制御部201は、第2搬送機構90の駆動源に制御信号を送信し、第2搬送機構90の駆動を制御する。
【0073】
また、制御部201には、試料保管部60の駆動源及びキャビネット検出センサが接続されている。試料保管部60のキャビネット検出センサは、キャビネット61の位置を検出し、その位置情報を制御部201に送信する。また、制御部201は、試料保管部60におけるキャビネット移動機構62の駆動源に制御信号を送信し、キャビネット移動機構62の駆動を制御する。
【0074】
[荷電粒子線装置の動作]
次に、荷電粒子線装置100の動作について説明する。
【0075】
(1)試料の試料室への導入
はじめに、試料Sを試料容器40から試料室110に導入する方法について説明する。
【0076】
まず、冷却された試料Sを、試料保持部材2に保持させる。具体的には、試料保持部材2のベース板21と固定片22によって試料Sを挟持する。なお、試料Sを保持した試料保持部材2は、必要な個数分用意する。
【0077】
次に、試料Sを保持した試料保持部材2をマガジン4に取り付ける。そして、試料保持部材2が取り付けられたマガジン4を、予め冷媒で冷却された試料容器40に収容する。
【0078】
次に、外部の湿気を含んだ空気が試料容器40内に入り込まないように試料容器40を封止した状態で、試料交換室30に取り付ける。このとき、試料容器40は、接続部材42を介して試料交換室30に接続され、接続部材42と試料容器40との間は、Oリングによってシールされる。また、試料交換室30と試料容器40は、仕切り弁によって閉じられている。なお、試料交換室30内は、予め真空排気装置によって真空排気されて真空に保たれている。
【0079】
次に、試料容器40内を真空排気装置により真空排気する。試料容器40内が真空排気されると、試料容器40内の冷媒は、凝固点が上がることで凝固する。次に、試料交換室30と試料容器40との間の仕切り弁を開く。このとき、試料容器40内の冷媒は凝固しているため、試料容器40内に冷媒が残った状態であっても、試料交換室30の真空度の悪化を抑制することができる。
【0080】
次に、第1搬送機構80の把持部81でマガジン4を把持し、マガジン4を+Z方向(上方向)に移動させて、試料容器40内から試料交換室30内に搬送する。そして、試料交換室30と試料容器40との間の仕切り弁を閉じる。
【0081】
次に、マガジン4に取り付けた試料保持部材2の検出処理を行う。この試料保持部材2の検出処理では、マガジン4の複数の取り付け棚25の何れの取り付け棚25に試料保持部材2が取り付けられているかを検出する。また、試料保持部材2が取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に取り付けられているか否かを検出する。
【0082】
次に、第2搬送機構90の把持部91を用いて、第1搬送機構80の把持部81が把持しているマガジン4から試料保持部材2を取り出す。そして、試料交換室30と試料室110との間の仕切り弁を開き、第2搬送機構90により試料保持部材2を水平方向に移動させて、試料室110に試料保持部材2(試料S)を導入する。その後、試料支持部114に試料保持部材2を固定する。
【0083】
これにより、試料Sを試料容器40から試料室110に導入することができる。そして、第2搬送機構90が元の位置に戻り、試料交換室30と試料室110との間の仕切り弁を閉じる。その後、荷電粒子線源120(
図1参照)が発生した荷電粒子線(電子線)を試料Sに照射し、試料Sの観察が開始される。
【0084】
(2)試料の取り出し
次に、試料Sを試料室110から取り出して、試料容器40に戻す工程について説明する。
【0085】
まず、第1搬送機構80の把持部81が把持するマガジン4における試料保持部材2の検出処理を行う。この処理では、マガジン4の複数の取り付け棚25の何れの取り付け棚25が空であるか(試料保持部材2が取り付けられていないか)を検出する。この処理は、試料保持部材2の検出処理と同様である。
【0086】
なお、上述した試料保持部材2の検出処理以降に、マガジン4に対して試料保持部材2の取り付けが行われていなければ、試料保持部材2の検出処理で得た情報から何れの取り付け棚25が空であるかを把握できる。この場合は、マガジン4における試料保持部材2の検出処理を省略してもよい。
【0087】
次に、試料交換室30と試料室110との間の仕切り弁を開き、第2搬送機構90の把持部91を用いて、試料支持部114に支持されている試料保持部材2(試料S)を把持する。そして、第2搬送機構90により試料保持部材2(試料S)を水平方向に移動させて、試料室110から試料交換室30へ搬送する。
【0088】
次に、試料交換室30と試料室110との間の仕切り弁を閉じ、第2搬送機構90の把持部91で把持した試料保持部材2を、第1搬送機構80の把持部81で把持したマガジン4の空の取り付け棚25に取り付ける。
【0089】
次に、真空排気装置により試料容器40内を真空排気して冷媒を凝固させる。そして、試料交換室30と試料容器40との間の仕切り弁を開く。このとき、試料容器40内の冷媒は凝固するため、試料容器40内に冷媒が残った状態であっても、試料交換室30の真空度の悪化を抑制することができる。
【0090】
次に、第1搬送機構80によりマガジン4を−Z方向(下方向)に移動させて、試料交換室30から試料容器40内へ搬送する。その後、試料交換室30と試料容器40との間の仕切り弁を閉じる。これにより、試料Sを試料室110から試料容器40に戻すことができる。なお、試料容器40は、冷媒の気化や窒素ガスの供給等で大気圧に戻された後に、試料交換室30から取り外される。
【0091】
(3)試料保管部の使用
次に、試料保管部60の使用方法について説明する。ここでは、観察を終えた試料室110内の試料Sを試料保管部60に保管する場合と、試料Sを試料保管部60で保管している試料Sを試料容器40に搬送する場合について説明する。
【0092】
観察を終えた試料室110内の試料Sを試料保管部60に保管する場合は、まず、試料保管部60のキャビネット61における試料保持部材2の検出処理を行う。この処理では、キャビネット61の複数の載置棚の何れの載置棚が空であるか(試料保持部材2が保管されていないか)を検出する。この処理は、マガジン4における試料保持部材2の検出処理と同様である。
【0093】
なお、キャビネット61の複数の載置棚の何れの載置棚が空であるかを把握している(格納領域に載置棚の空き情報が格納されている)場合は、キャビネット61における試料保持部材2の検出処理を省略してもよい。
【0094】
次に、試料交換室30と試料室110との間の仕切り弁を開く。次に、試料支持部114に支持されている試料保持部材2(試料S)を、第2搬送機構90の把持部91で把持する。そして、第2搬送機構90により試料保持部材2を水平方向に移動させて、試料室110から試料交換室30へ搬送する。
【0095】
次に、試料交換室30と試料室110との間の仕切り弁を閉じる。次に、第2搬送機構90の把持部91が把持した試料保持部材2を、試料保管部60における空の載置棚に載置(保管)する。このとき、試料保管部60のキャビネット移動機構62によりキャビネット61を下方向に移動させることで、キャビネット61の空の載置棚を、第2搬送機構90が把持する試料保持部材2(試料S)に対向させる。
【0096】
その後、キャビネット移動機構62によりキャビネット61を上方向に移動させて、第2搬送機構90の動作を妨げない位置に戻す。これにより、試料保管部60に観察を終えた試料S(試料保持部材2)を保管することができる。なお、試料保管部60に保管されている試料Sを試料室110に搬送する場合は、上述した手順と逆の手順を行う。
【0097】
次に、試料Sを試料保管部60から試料容器40に搬送する場合について説明する。
試料Sを試料保管部60から試料容器40に搬送する場合は、まず、試料保管部60のキャビネット61における試料保持部材2の検出処理を行う。この処理では、キャビネット61の複数の載置棚の何れの載置棚に試料保持部材2が保管(載置)されているかを検出する。この処理は、マガジン4における試料保持部材2の検出処理と同様である。
【0098】
なお、キャビネット61の複数の載置棚の何れの載置棚に試料保持部材2が保管(載置)されているかを把握している(格納領域に載置棚の保管情報が格納されている)場合は、キャビネット61における試料保持部材2の検出処理を省略してもよい。
【0099】
また、第1搬送機構80の把持部81が把持するマガジン4における試料保持部材2の検出処理を行う。この処理では、マガジン4の複数の取り付け棚25の何れの取り付け棚25が空であるか(試料保持部材2が取り付けられていないか)を検出する。この処理は、試料保持部材2の検出処理と同様である。
【0100】
なお、マガジン4の複数の取り付け棚25の何れの取り付け棚25が空であるかを把握している(格納領域に複数の取り付け棚25の空き情報が格納されている)場合は、マガジン4における試料保持部材2の検出処理を省略してもよい。
【0101】
次に、試料保管部60のキャビネット移動機構62によりキャビネット61を下方向に移動させて、試料容器40へ搬送する試料保持部材2を保管(載置)している載置棚を、第2搬送機構90の把持部91に対向させる。そして、キャビネット61の載置棚に保管されている試料保持部材2(試料S)を、第2搬送機構90の把持部91で把持する。
【0102】
次に、第2搬送機構90の把持部91で把持した試料保持部材2を、第1搬送機構80の把持部81で把持したマガジン4の空の取り付け棚25に取り付ける。そして、試料交換室30と試料容器40との間の仕切り弁を開き、第2搬送機構90により試料保持部材2を−Z方向(下方向)に移動させて、試料交換室30から試料容器40内へマガジン4を搬送する。
【0103】
その後、試料交換室30と試料容器40との間の仕切り弁を閉じる。これにより、試料Sを試料保管部60から試料容器40に戻すことができる。試料容器40は、冷媒の気化や窒素ガスの供給等で大気圧に戻された後に、試料交換室30から取り外される。なお、試料Sを試料容器40から試料保管部60へ搬送する場合は、上述した手順と逆の手順を行う。
【0104】
次に、マガジン4における試料保持部材2の検出処理について、
図9を参照して説明する。
図9は、試料保持部材の検出処理の例を示すフローチャートである。
【0105】
マガジン4における試料保持部材2の検出処理が開始されると、まず、制御部201は、第1搬送機構80の把持部81が特定の位置に移動したか否かを判別する(S1)。このS1の処理では、第1搬送機構80の位置検出センサから送信された把持部81の位置情報に基づいて、把持部81が特定の位置に移動したか否かを判別する。
【0106】
また、特定の位置としては、例えば、把持部81が試料容器40内でマガジン4を把持する位置であってもよく、把持部81が試料容器40から試料交換室30へ進入する位置であってもよい。さらに、特定の位置としては、把持部81が把持しているマガジン4における最上段の取り付け棚25が、ファイバーセンサ50A,50Bに対向する位置であってもよい。
【0107】
S1の処理において、第1搬送機構80の把持部81が特定の位置に移動していないと判別したとき(S1がNO判定の場合)、制御部201は、把持部81が特定の位置に移動するまで待機する。
【0108】
一方、S1の処理において、第1搬送機構80の把持部81が特定の位置に移動したと判別したとき(S1がYES判定の場合)、制御部201は、ファイバーセンサ50A,50Bの電源をONにする(S2)。
【0109】
次に、制御部201は、第1搬送機構80に制御信号を送信し、第1搬送機構80の把持部81に把持されたマガジン4を上方へ搬送し、ファイバーセンサ50A,50Bに対向させる(S3)。これにより、ファイバーセンサ50A,50Bは、対向する取り付け棚25に関するファイバーセンサ信号を制御部201に送信する。
【0110】
次に、制御部201は、受信したファイバーセンサ信号に基づいて、検出対象である(ファイバーセンサ50A,50Bに対向する)取り付け棚25に試料保持部材2が取り付けられているか否かを検出する。また、制御部201は、取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に試料保持部材2が取り付けられているか否かを検出する(S4)。
【0111】
S4の処理において、取り付け棚25の正常な位置(マガジン4の所定の位置)に試料保持部材2が取り付けられていないことを検出した場合に、制御部201は、マガジン4の搬送を停止する制御信号を第1搬送機構80に送信する。その結果、第1搬送機構80は、マガジン4の搬送を停止し、マガジン4を試料容器40に戻す。
【0112】
次に、制御部201は、ファイバーセンサ50A,50Bに対向する取り付け棚25が最下段の取り付け棚25であるか否かを判別する(S5)。S5の処理では、予めROMやRAMに格納された取り付け棚25の段数と、試料保持部材2の検出数、すなわち、S4の処理回数と比較して、最下段の取り付け棚25であるか否かを判別する。
【0113】
S5の処理において、ファイバーセンサ50A,50Bに対向する取り付け棚25が最下段の取り付け棚25でないと判別したとき(S5がNO判定の場合)、制御部201は、処理をS3に移行する。これにより、制御部201は、次の段の取り付け棚25をファイバーセンサ50A,50Bに対向させる。
【0114】
一方、S5の処理において、ファイバーセンサ50A,50Bに対向する取り付け棚25が最下段の取り付け棚25であると判別したとき(S5YES判定の場合)、制御部201は、ファイバーセンサ50A,50Bの電源をOFFにする(S6)。S6の処理後、制御部201は、マガジン4における試料保持部材2の検出処理を終了する。
【0115】
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態は、試料Sを保持する試料保持部材2と、試料室110に接続された試料交換室30と、試料保持部材2を把持する把持部81を有し、試料保持部材2を試料交換室30に搬送する第1搬送機構80とを備える。また、実施形態は、試料交換室30において第1搬送機構80の把持部81が試料保持部材2を把持しているか否かを検出するファイバーセンサ50A,50Bを備える。
【0116】
これにより、試料交換室30において試料保持部材2が第1搬送機構80の把持部81に把持されているか否かを検出することができる。その結果、観察した試料を保持している試料保持部材2を第1搬送機構80の把持部81で保持可能であるか否か判断することができ、試料保持部材2の搬送を円滑に行うことができる。
【0117】
また、上述の実施形態では、ファイバーセンサ50A,50Bを用いて、非接触で第1搬送機構80の把持部81が試料保持部材2を把持しているか否かを検出する。これにより、試料保持部材2及び試料Sに検出部が接触して熱が伝達されることは無い。
【0118】
また、上述の実施形態では、第1搬送機構80の把持部81が試料交換室30に進入する場合に、ファイバーセンサ50A,50BをONにする。そして、第1搬送機構80の把持部81が試料保持部材2を把持しているか否かを検出した後にファイバーセンサ50A,50BをOFFにする。これにより、ファイバーセンサ50A,50Bから光が出射される時間を短縮することができ、ファイバーセンサ50A,50Bからの光による試料Sの温度上昇を抑制することができる。
【0119】
また、上述の実施形態は、試料交換室30に搬送された試料保持部材2を保管する試料保管部60を備える。これにより、真空排気した試料交換室30に複数の試料保持部材2(試料S)を導入することができ、複数の試料Sを観察して比較・検討することができる。また、試料交換室30を冷却する冷却部を備えるため、観察した試料を低温の環境で保管して、観察した試料を再度観察することができる。
【0120】
また、上述の実施形態では、第1搬送機構80の把持部81の位置を検出する把持部検出センサを備え、把持部検出センサにより把持部が特定の位置に搬送された場合に、ファイバーセンサ50A,50BをONにする。これにより、ファイバーセンサ50A,50BをONにするタイミングを常に一定にすることができ、ファイバーセンサ50A,50Bから光が出射される時間の短縮を容易に行うことができる。
【0121】
また、上述の実施形態は、試料保持部材2を複数取り付け可能なマガジン4を備える。これにより、一度に複数の試料を試料交換室に搬送でき、複数の試料Sを観察するために要する時間を短くすることができる。
【0122】
また、上述の実施形態では、ファイバーセンサ50A,50Bが、試料保持部材2の有無と、試料保持部材2がマガジン4の所定の位置(取り付け棚25の正常な位置)に取り付けられているか否かを検出する。そして、試料保持部材2がマガジン4の所定の位置に取り付けられていない場合にマガジン4の搬送を停止する。これにより、マガジン4の所定の位置に取り付けられていない試料保持部材2が、第2搬送機構90や試料保管部60等に衝突することを未然に防ぐことができる。また、マガジン4から試料保持部材2が落下することを未然に防ぐことができる。
【0123】
また、上述の実施形態は、試料保管部60に試料保持部材2が保管されているか否かを検出するファイバーセンサ50C,50D(試料保管部用ファイバーセンサ)を備える。これにより、試料保持部材2を試料保管部60に保管可能であるか否か判断することができ、試料保持部材2の保管を円滑に行うことができる。
【0124】
また、上述の実施形態では、ファイバーセンサ50C,50Dが、試料保持部材2の有無と、試料保持部材2が試料保管部60の所定の位置(載置棚の正常な位置)に保管されているか否かを検出する。そして、試料保持部材2が試料保管部60の所定の位置に保管されていない場合は、第2搬送機構90により試料保持部材2の保管(載置)位置を調整する。これにより、試料保管部60から試料保持部材2が落下することを未然に防ぐことができる。
【0125】
また、上述の実施形態では、第2搬送機構90の把持部91が、試料保管部60に保管された試料保持部材2を把持しているか否かをファイバーセンサ50Eによって検出する。これにより、第2搬送機構90の把持部91が試料保持部材2を把持したことを確認してから、その試料保持部材2を搬送することができる。また、第2搬送機構90の把持部91が試料保持部材2を把持していないことを確認してから、マガジン4から試料保持部材2を取り出すための駆動を行うことができる。
【0126】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、荷電粒子線装置として、透過電子顕微鏡を例に挙げて説明したが、本発明に係る荷電粒子線装置としては、電子やイオン等の荷電粒子線を用いる装置であれば特に限定されない。すなわち、本発明に係る荷電粒子線装置は、例えば、走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope)や走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer)、集束イオンビーム(Focused Ion Bea)装置、電子ビーム露光装置等であってもよい。
【0127】
また、上述した実施形態では、試料交換室30(真空容器34)に対して着脱可能な板状部材35に複数のファイバーセンサ50A〜50Eを設ける構成にした。しかし、本発明に係るファイバーセンサとしては、板状部材35を介して試料交換室30(真空容器34)に取り付けるものに限定されず、例えば、試料交換室30(真空容器34)に直接取り付けるものであってもよい。
【0128】
また、本発明に係る試料交換装置としては、ファイバーセンサが固定される位置が異なる板状部材を複数組設けてもよい。この場合は、板状部材を変えることでファイバーセンサの位置を容易に変更できるため、試料保持部材の大きさや、マガジン4に対する試料保持部材の取り付け位置が変更されても、試料保持部材を簡単に検出することができる。