(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
(画像表示素子200の構成)
図1の(a)は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子200の断面模式図である。
図1の(b)は、本発明の実施形態1に係るマイクロ発光素子100の断面模式図である。
図1の(c)は、本発明の実施形態1に係るマイクロ発光素子100の平面模式図である。以下に、複数のマイクロ発光素子100を有する画像表示素子200を例に挙げ、
図1から
図6を用いて画像表示素子200を説明する。画像表示素子200の構成の説明において、光放出面(light emitting surface)を上面、光放出面側とは反対側の面を下面、上面及び下面以外の側方の面を側面と称する。
【0031】
図1の(a)に示す様に、画像表示素子200は、複数のマイクロ発光素子100及び駆動回路基板50を含む。駆動回路基板50は、画素領域1(pixel region)にあるマイクロ発光素子100に電流を供給し、発光を制御する。画素領域1は、マイクロ発光素子100が2次元アレイ状に駆動回路基板50上に配置された領域であり、画像表示素子200は画素領域1を有する。
【0032】
マイクロ発光素子100は、駆動回路基板50とは反対側に光を放出する。マイクロ発光素子100における光放出面側には、波長変換層、光拡散層(light diffusion layer)、カラーフィルター、マイクロレンズ等を配置しても良いが、これらは本発明の一態様とは直接関係しない為、図中には記載しない。
【0033】
駆動回路基板50は、マイクロ発光素子駆動回路(micro light emitting element driving circuit)、行選択回路、列信号出力回路、画像処理回路、及び入出力回路等により構成されている。前記マイクロ発光素子駆動回路は、各マイクロ発光素子100に供給する電流を制御する。前記行選択回路は、2次元マトリックス状に配置されたマイクロ発光素子100の各行を選択する。前記列信号出力回路は、各列に発光信号を出力する。前記画像処理回路は、入力信号に基づいて発光信号を算出する。
【0034】
駆動回路基板50における接合面側の表面には、マイクロ発光素子100と接続するP側電極(P-drive electrode)51(第1駆動電極)、及びN側電極(N-drive electrode)52(第2駆動電極)が配置されている。つまり、駆動回路基板50の表面は、マイクロ発光素子100における光放出面側とは反対側の面に対面している。駆動回路基板50は、一般的には、LSIが形成されたシリコン基板(半導体基板)であり、公知の技術で製造する事ができる為、その機能及び構成に関しては詳述しない。
【0035】
駆動回路基板50における画素領域1の表面には、マイクロ発光素子100に電流を供給する為のP側電極51が2次元アレイ状に配置されている。又、駆動回路基板50における画素領域1の外側の表面(N接続領域3の表面)には、N側電極52が配置されている。N側電極52は、金属反射層20Wを介して共通N電極(common N-electrode)40(光放出面側電極)と導通する。
【0036】
尚、マイクロ発光素子100の形状としては、矩形、多角形、円形、楕円形等の様々な平面形状を取り得るが、マイクロ発光素子100の上面の長手方向に沿った最も大きい長さは、60μm以下である。画像表示素子200については、画素領域1に3000個以上のマイクロ発光素子100が集積されている。
【0037】
マイクロ発光素子100は、化合物半導体14を含む。化合物半導体14は、一般に、光放出面側から順に、N側層(N-side layer)11(第1導電層)、発光層(light emission layer)12、及びP側層(P-side layer)13(第2導電層)が積層される事により構成される。P側層13は、N側層11とは反対導電型を有する。
【0038】
化合物半導体14は、例えば、マイクロ発光素子100が紫外光から緑色までの波長帯で発光する場合、窒化物半導体(AlInGaN系)であり、マイクロ発光素子100が黄緑色から赤色までの波長帯で発光する場合、AlInGaP系の半導体である。又、化合物半導体14は、マイクロ発光素子100が赤色から赤外線までの波長帯で発光する場合、AlGaAs系又はGaAs系の半導体である。
【0039】
以下では、化合物半導体14について、N側層11が光放出面側に配置される構成について説明するが、P側層13が光放出面側に配置される構成も可能である。N側層11、発光層12、及びP側層13はそれぞれ、通常、単層ではなく複数の層を含んで最適化されているが、本発明の一態様とは直接関係しない為、N側層11、発光層12、及びP側層13の詳細な構造に関しては詳述しない。
【0040】
通常、発光層12は、N型層(N-type layer)とP型層(P-type layer)とに挟まれているが、N型層及びP型層がノンドープ層、又は導電性が逆であるドーパントを有する層を含む場合もあり得る。この為、以下では、N型層及びP型層についてはそれぞれ、N側層及びP側層と記載する。
【0041】
駆動回路基板50の表面は、複数のマイクロ発光素子100と接合する接合面(bonding surface)であり、複数のマイクロ発光素子100が貼り合わせられる。本実施形態では、マイクロ発光素子100は所謂、上下電極タイプ(vertical type)である。マイクロ発光素子100は、一方の面にP電極(P-electrode)20P(第1電極)を有し、他方の面に共通N電極40を有する。
【0042】
具体的には、マイクロ発光素子100において、光放出面側に共通N電極40が配置されており、光放出面側とは反対側の面にP電極20Pが配置されている。マイクロ発光素子100の光放出面は、マイクロ発光素子100の上面であり、マイクロ発光素子100の光放出面とは反対側は、マイクロ発光素子100の下側である。P電極20PとP側電極51とは1対1の関係で接続されている。
【0043】
画素領域1では、マイクロ発光素子100の下面に、P側層13と接続するP電極20Pが配置され、P電極20Pは、接続材(bonding material)70を介して、駆動回路基板50上のP側電極51と接続されており、駆動回路基板50から供給される電流をP側層13に伝える。
【0044】
P側層13を通過した電流は、発光層12及びN側層11を更に通過し、共通N電極40に流れ、画素領域1の外側にあるN接続領域(N connection region)3において、駆動回路基板50のN側電極52に流れる。この様にして、駆動回路基板50より供給される電流量に応じて、マイクロ発光素子100は所定の強度で光を発光する。
【0045】
又、
図1ではP電極20PとP側電極51とを接続する構造と同一構造によって、共通N電極40とN側電極52とを接続する為に、マイクロ発光素子100の材料と同一材料で構成されるダミー素子(dummy connection element)101を用いている。この構成によって、マイクロ発光素子100と駆動回路基板50との接続工程を簡略化する事ができる。尚、共通N電極40とN側電極52との接続方法は、P電極20PとのP側電極51との接続方法と異なっても良い。又、ダミー素子101は、
図1の(a)又は(b)における紙面奥方向に長く伸びる棒状に加工されても良い。
【0046】
P側層13の下面はP電極層(P-side metal layer)10(第1金属膜)に接している。P電極層10は、P側層13の下面に達した光を、効率良く上方に反射する必要があり、P側層13の下面の大半の部分を覆っている事が好ましい。P電極層10は下方への光の放出を防止している。P電極層10は、光放出面側とは反対側の面に配置されており、P電極20P及びP側層13と導通する。P電極層10は、光放出面側とは反対側の面からP側層13を覆っている。
【0047】
P電極層10は単層より成る構成でも複数層より成る構成でも良いが、P電極層10におけるP側層13と接する側には、可視光に対する反射率が大きい金属層が配置される事が好ましい。例えば、P電極層10は、P側層13側に、銀又はアルミニュウムを主成分とする金属層M1を有する。これらの金属層M1とP側層13との間に良好なオーミック接触を実現する為に、パラジュウム又はニッケル等の金属を部分的に配置しても良いし、非常に薄いパラジュウム又はニッケル等の金属膜を配置しても良い。
【0048】
共通N電極40は、N側層11と導通する透明導電層(transparent conductive layer)、つまり、透明導電膜から成る。共通N電極40は、例えばITO(Indium-Tin-Oxide、インジュウム錫酸化物)、IZO(Indium-Zinc-Oxide、インジュウム亜鉛酸化物)等の酸化物半導体であっても良いし、銀ナノファイバー膜等であっても良い。
【0049】
又、共通N電極40は、充填材(filling material)60の上部に配置されるメッシュ状の金属薄膜であっても良い。マイクロ発光素子100は、N側層11における光放出面側の面に、共通N電極40を有する。充填材60は、複数のマイクロ発光素子100間に形成された分離溝(isolation trench)18に充填される。
【0050】
マイクロ発光素子100は、分離溝18によって個々に分割されている。この為、互いに隣接するマイクロ発光素子100間の光漏洩が生じる事を防ぐ事ができる。発光層12の側面の全周囲は、傾斜面(slope)16Sの一部を構成している。つまり、発光層12の周囲には傾斜面16Sが形成されている。傾斜面16Sは、N側層11の側面の一部、発光層12の側面の全周囲、及びP側層13の側面の一部の全周囲を構成している。
図1の(c)に示す様に、マイクロ発光素子100の平面形状が矩形状である場合、1つのマイクロ発光素子100の側面の周囲の一部は、4つの傾斜面16Sを構成している。尚、P側層13の側面全体が、発光層12と同様に傾斜する事が好ましいが、製造工程によっては、P側層13の下面が傾斜する場合もあり得る。
【0051】
尚、本実施形態では、マイクロ発光素子100の平面形状が矩形状である場合を説明しているが、マイクロ発光素子100の平面形状が多角形である場合、複数の傾斜面16Sが構成される。具体的には、マイクロ発光素子100の平面形状の多角形の角がN(Nは自然数)個である場合、N個の傾斜面16Sが構成される。
【0052】
又、マイクロ発光素子100の平面形状が円形である場合、傾斜面16Sは円錐台の側面で構成される。傾斜面16Sの傾斜角度θe(第2傾斜角度)は、大凡40°以上55°以下であり、製造のバラツキ等を考慮すると35°以上60°以下である事が好ましい。傾斜角度θeは、傾斜面16Sと発光層12の水平面S1(上面)とのなす角度である。
【0053】
図1の(b)に示す様に、傾斜面16Sは、P側層13の側面からN側層11の側面の一部まで延伸しているが、光放出面、つまり、マイクロ発光素子100の上面までは達していない。N側層11の側面の一部は、N側層側面(side surface)11S(第1導電層側面)を構成している。N側層側面11Sは、傾斜面16Sから光放出面まで至る。
【0054】
N側層側面11Sの傾斜角度θb(第1傾斜角度)は、傾斜角度θeより大きい角度である。傾斜角度θbは、90°未満であり、小さい程好ましい。発光層12の水平面S1とN側層11の水平面S2(上面)とが平行である場合、傾斜角度θbは、N側層側面11SとN側層11の水平面S2とのなす角度である。一方、発光層12の水平面S1とN側層11の水平面S2とが平行でない場合、傾斜角度θbは、N側層側面11SとN側層11の水平面S2とのなす角度である。
【0055】
しかし、マイクロ発光素子100の大きさが小さい場合(例えば、マイクロ発光素子100の上面の長辺が10μm以下である場合)、傾斜角度θbが小さくなると、発光層12の水平面の面積が縮小する。発光層12の水平面の面積が縮小すると、発光層12を通過する電流の電流密度が増加し、内部量子効率が低下する場合がある。よって、傾斜角度θbは、70°以上85°以下程度である事が好ましい。
【0056】
傾斜面16S及びN側層側面11Sは、透明絶縁膜17(第1透明絶縁膜)に覆われており、透明絶縁膜17は、金属反射層(第2金属膜)20Wによって覆われている。つまり、傾斜面16S及びN側層側面11Sは共に、金属反射層20Wによって覆われている。透明絶縁膜17は、SiO
2等の様に、可視光に対して透明であり、かつ、屈折率が化合物半導体14より小さい物質が好ましい。
【0057】
透明絶縁膜17は、傾斜面16Sと金属反射層20Wとの間に配置されている。透明絶縁膜17は、N側層側面11Sと金属反射層20Wとの間まで延伸している。ここで、透明絶縁膜17の内、傾斜面16Sと金属反射層20Wとの間に配置された部分については第1透明絶縁膜と称し、N側層側面11Sと金属反射層20Wとの間に配置された部分については第2透明絶縁膜と称する。この場合、第2透明絶縁膜は、第1透明絶縁膜がN側層側面11Sと金属反射層20Wとの間まで延伸したものとなる。つまり、第1透明絶縁膜と第2透明絶縁膜とが一体となっている。透明絶縁膜17の膜厚は75nm以上である事が好ましく、特に400nm以上である事が更に好ましい。
【0058】
金属反射層20Wは単層で構成されても複数層で構成されても良い。金属反射層20Wは、透明絶縁膜17側、つまり、化合物半導体14側に、可視光に対して反射率が大きい銀又はアルミニュウムを主成分とする金属層M2を有する事が好ましい。金属反射層20Wは、光を遮蔽する必要があり、その全体の厚さは数十nm以上である事が好ましい。P電極20P及び金属反射層20Wはそれぞれ、製造工程の簡略化の為、同一材料が用いられているが、異なる材料が用いられていても良い。
【0059】
金属反射層20Wは、光放出面側とは反対側からの平面視において、P電極層10と重なって配置されている事が好ましい。光放出面側とは反対側からの平面視において、金属反射層20WとP電極層10との間に隙間があると、その隙間から光が外部に放出され、光クロストークの原因となる為、隙間がない事が好ましい。充填材60は透明材料であっても良い。
【0060】
金属反射層20W及びP電極層10によって、マイクロ発光素子100から底面方向及び側面方向に光が放出する事がない為、充填材60が透明樹脂であっても、光クロストークが生じる事を防ぐ事ができる。一方、従来のマイクロ発光素子では、充填材によって光クロストークを防止する為、充填材に生じる気泡によって、光クロストークを完全に防止する事が難しい。
【0061】
又、従来のマイクロ発光素子では、充填材としてカーボンブラックの様な光吸収材、TiO
2の粒子を含んだ白樹脂等の特殊な材料を使用する必要があり、充填材に気泡が発生する事を防止する為に充填時間を長くする必要がある。この為、充填材が高価になる等により製造コストが多くなる。しかし、本発明の一態様では、充填材60の材料選択が容易となり、充填材60の製造が容易となる為、従来のマイクロ発光素子を製造する場合に比べて、製造コストを低下させる事ができる。
【0062】
(マイクロ発光素子100の製造工程)
次に、マイクロ発光素子100の製造工程を、
図2の(a)から(g)を用いて説明する。
図2の(a)から(g)は、本発明の実施形態1に係るマイクロ発光素子100の製造工程を示す断面模式図である。マイクロ発光素子100の製造工程の説明において、P電極層10側を上方、成長基板9側を下方とする。
【0063】
図2の(a)から(g)の右側に画素領域1、
図2の(a)から(g)の左側にN接続領域3の断面図を示す。
図2の(a)に示す様に、成長基板9上にN側層11、発光層12、及びP側層13を順に積層する事により化合物半導体14を形成し、化合物半導体14上にP電極層10を更に堆積する。
【0064】
化合物半導体14上にP電極層10を堆積した後、
図2の(b)に示す様に、P電極層10、P側層13、発光層12、及びN側層11の一部をエッチングして、分割溝(separation trench)15を形成する。この時、発光層12を含む部分がメサ16となる。メサ16は、N側層11、発光層12、P側層13、及びP電極層10から構成される。分割溝15は、
図1の(c)に示す様に、上面側から見て、上下方向及び左右方向に等間隔に形成され、メサ16の形状は四角錐台の形状となる。
【0065】
但し、メサ16の形状は四角錐台に限らず、円錐台、又は他の多角形の錐台でも良い。画素領域1では分割溝15はマイクロ発光素子100を分割するが、N接続領域3では分割と同時に、Nコンタクト溝(N contact trench)15Nが形成され、Nコンタクト溝15Nには後に、Nコンタクトホール19Nが形成される。
【0066】
メサ16の側面である傾斜面16Sは、傾斜面16Sと発光層12の水平面とのなす角度である傾斜角度θeが例えば50°となる様に加工されて形成される。尚、傾斜角度θeが40°以上55°以下である様に、傾斜面16Sが形成される事が好ましい。傾斜面16Sによって、発光層12から発せられる光の多くの部分を占めており、かつ、発光層12の水平面と平行な方向に進む光を光放出面に向かって反射させる事で、マイクロ発光素子100の光取り出し効率を高める事ができる。
【0067】
傾斜面16Sが発光層12の水平面と垂直である場合、発光層12の水平面と平行な方向に放出された光は、反射を繰り返す事で外部に放出されない。傾斜角度θeが45°より大きくずれると、発光層12から発せられる光が光放出面に入射する際の入射角度が大きくなりすぎて、光放出面で全反射が生じ、当該光が外部に放出されない。尚、傾斜角度θeは、メサ16の複数の側面毎に異なっていても良い。その場合は、複数の傾斜角度θeが存在し、複数の傾斜角度θeの内の最小の角度が40°以上55°以下である事が好ましく、更に、全ての傾斜角度θeが、40°以上55°以下である事が更に好ましい。
【0068】
分割溝15を形成した後、
図2の(c)に示す様に、マイクロ発光素子100の化合物半導体14を分割する分離溝18を形成する。分離溝18によって形成されるN側層11の側面がN側層側面(N-side layer side surface)11Sであり、N側層側面11Sと成長基板9の水平面とのなす角度である傾斜角度θbが例えば80°となる様に加工されて形成される。尚、傾斜角度θbは、70°以上85°以下である様に、N側層側面11Sが形成される事が好ましい。つまり、傾斜角度θbは、傾斜角度θeより大きい事が好ましい。
【0069】
マイクロ発光素子100の光取り出し効率を向上するためには、傾斜角度θbは傾斜角度θeより大きくなる様な角度範囲内で、可能な限り小さい方が好ましい。尚、後工程において、成長基板9は剥離され、N側層11と成長基板9との界面又はN側層11の加工面が光放出面となる為、傾斜角度θbはN側層側面11Sと光放出面とのなす角度と等しい。
【0070】
図2の(c)では、分離溝18が成長基板9まで達しているが、一定の厚さのN側層11を残しても良い。つまり、分離溝18は成長基板9まで達していなくても良い。後工程の
図3の(c)において、成長基板9を剥離した後に、残したN側層11をエッチング、研磨等によって除去する事で、
図1の(a)に示す様に、マイクロ発光素子100を個々に分割する事ができる。
【0071】
画像表示素子200が形成された状態でのマイクロ発光素子100の形状が重要であり、製造工程の途中でのマイクロ発光素子の形状の推移は重要ではない。尚、N側層側面11Sの傾斜角度θbは、N側層11の複数の側面毎に異なっていても良い。その場合は、複数の傾斜角度θbが存在し、複数の傾斜角度θbの内の最小の角度が70°以上85°以下である事が好ましく、更に、全ての傾斜角度θbが、70°以上85°以下である事が更に好ましい。
【0072】
分離溝18を形成した後、
図2の(d)に示す様に、成長基板9、N側層11、発光層12、P側層13、及びP電極層10の露出部分を覆う様に透明絶縁膜17を堆積する。ここでは透明絶縁膜17として400nmの厚さのSiO
2の膜をCVD法で堆積する。透明絶縁膜17としては、SiO
2の膜の他に、SiN、SiON、SiCO、又はこれらの膜の積層膜であっても良い。マイクロ発光素子100の側面を覆う透明絶縁膜17の厚さを均一にする為に、CVD法で透明絶縁膜17を成膜する事が好ましい。
【0073】
透明絶縁膜17を堆積した後、
図2の(e)に示す様に、画素領域1のメサ16上にPコンタクトホール19Pを形成し、N接続領域3のNコンタクト溝15N上にNコンタクトホール19Nを形成する。具体的には、Nコンタクト溝15Nにおいて、N側層11上にある透明絶縁膜17を除去する事でNコンタクトホール19Nを形成する。この時、分離溝18の底部に堆積された透明絶縁膜17に底部開口部19Bを形成しても良い。Pコンタクトホール19PはP電極層10に達し、Nコンタクトホール19NはNコンタクト溝15NのN側層11に達する。
【0074】
更に、
図2の(f)に示す様に、透明絶縁膜17の上に金属層20を堆積した後、
図2の(g)に示す様に、金属層20をパターニングする。これによって、金属層20は、Pコンタクトホール19P上ではP電極20Pに、分離溝18の周囲では金属反射層20Wに、N接続領域3ではN電極20N(第2電極)にそれぞれ加工される。
【0075】
以上の様にして、透明絶縁膜17の堆積工程が1回、金属層20の形成工程が2回、及びフォトリソグラフィ工程が4回という非常に簡略な製造工程によってマイクロ発光素子100が形成される。更に、N接続領域3には、ダミー素子101が形成され、後述する様に、駆動回路基板50との接続が簡略となる。
【0076】
(画像表示素子200の製造工程)
次に、画像表示素子200の製造工程を、
図3を用いて説明する。
図3の(a)から(e)は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子200の製造工程を示す断面模式図である。画像表示素子200の製造工程の説明において、成長基板9側を上方、駆動回路基板50側を下方とする。
【0077】
図3の(a)に示す様に、まず、駆動回路基板50が製造される。駆動回路基板50は、例えば単結晶シリコン基板(ウエハ)上に、通常のCMOSプロセスによって形成される。ここで、マイクロ発光素子100及び駆動回路基板50はそれぞれ、ウエハ状態であっても良いし、マイクロ発光素子100が画像表示素子200単位で個片化されていても良い。又、マイクロ発光素子100及び駆動回路基板50の両方が画像表示素子200単位で個片化されていても良い。
【0078】
駆動回路基板50が製造された後、
図3の(b)に示す様に、マイクロ発光素子100及びダミー素子101と駆動回路基板50とを貼り合わせる。駆動回路基板50のP側電極51及びN側電極52上には、接続材70が形成される。P側電極51及びN側電極52はそれぞれ、接続材70を介して、P電極20P及びN電極20Nと物理的、かつ電気的に接続される。その際、P電極20P及びN電極20Nはそれぞれ、対応するP側電極51及びN側電極52と重なる様に、精密にアライメントされる。
【0079】
接続材70は導電性の接続部材であり、例えば金バンプ、金又は銀等の導電性ペースト、異方性導電膜(ACF:anisotropic conductive film)、金、銀、パラジュウム等のナノ粒子等である。そして、
図3の(c)に示す様に、成長基板9が剥離される事により除去される。成長基板9の除去には、研削、研磨、プラズマエッチング、ウエットエッチング、犠牲層のウエットエッチング、レーザーリフトオフ等の種々の手法を用いる事ができる。この際、N側層11の一部を除去する等の加工をしても良い。
【0080】
成長基板9が除去された後、
図3の(d)に示す様に、各マイクロ発光素子100の間を充填材60によって充填する。ここでは、充填材60としては、例えば、透明なシリコン樹脂を用いている。マイクロ発光素子100のN側層11が露出する様に、ドライエッチング及びウエット洗浄等を行う。その後、
図3の(e)に示す様に、N側層11、透明絶縁膜17、金属反射層20W、及び充填材60の露出部分を覆う様に共通N電極40を堆積する。ここでは、共通N電極40としては、例えば、ITO膜を用いている。以上の工程により、画像表示素子200が形成される。
【0081】
(マイクロ発光素子100の発光効率)
以上の様に形成されたマイクロ発光素子100の発光効率を評価した。マイクロ発光素子100について、配置ピッチは10μm、形状は正方形、傾斜角度θbは80°、傾斜角度θeは50°、P側層13の厚みは100nm、N側層11の厚みは6μmである。又、N側層11の上面のサイズは8μm×8μm、傾斜面16Sの内のN側層11が占める部分における深さDは1μmである。
【0082】
深さDは、垂直方向(マイクロ発光素子100の上面から下面に向かう方向)に沿った深さである。化合物半導体14は窒化物半導体であり、N側層11はGaN層であり、発光層12はInGaN及びGaNによる多重量子井戸層であり、発光層12から発せられる光のピーク波長は450nmである。
【0083】
図4の(a)は、直方体構造のマイクロ発光素子の鳥瞰図であり、
図4の(b)は、本発明の実施形態1に係る屈折四角錐台構造のマイクロ発光素子100の鳥瞰図である。
図4の(a)に示す直方体構造のマイクロ発光素子と、
図4の(b)に示す本発明の実施形態1に係る屈折四角錐台構造のマイクロ発光素子100とを比較した。
【0084】
図4の(a)の場合及び
図4の(b)の場合の何れもN側層11の上面のサイズを8μm×8μmとし、化合物半導体としては同一のものを用いた。
図4の(a)の場合と
図4の(b)の場合とで、形状の違いを除けば、構成材料及び形成プロセスは同一である。但し、
図4の(a)の場合では、分割溝及び分離溝は可能な限り傾斜しない様に加工した。
【0085】
N側層の上面には何れの場合も散乱材を含む透明樹脂層を配置した。又、何れの場合も、マイクロ発光素子において100行×100列の10000個を同時に点灯して、全光束発光強度(total luminous flux intensity)を評価した。マイクロ発光素子100における1個当たりの電流量は5μAである。測定結果を下記の表1に示す。
【0087】
表1に示す様に、
図4の(b)の屈折四角錐台構造では、
図4の(a)の単純な直方体構造に比べて、約3.6倍の外部量子効率が得られる。
図4の(b)の屈折四角錐台構造では、
図4の(a)の直方体構造に比べて、発光層の面積が約1/3となっているにも関わらず、この様な大きな改善が得られる理由を明確する為に、光線追跡法(Lay trace method)を用いて光取り出し効率をシミュレーションした。その結果を下記の表2に示す。尚、表1中の内部量子効率推定値は、表2の光取り出し効率を用いて、表1の外部量子効率より計算した推定値である。表2に示す値は、シミュレーション値である。
【0089】
光取り出し効率はマイクロ発光素子の上面から透明樹脂層中へ放出される光量の割合を表し、側面吸収量はマイクロ発光素子の全ての側面の金属反射層20Wに吸収される光量の割合を表している。下面吸収量はマイクロ発光素子の下面のP電極層10によって吸収される光量の割合を表し、内部吸収量は発光層12によって再度吸収される光量の割合を表している。平均反射回数は、発光層12から発せられた光が外部に放出される、又は金属反射層20Wに吸収されるまでにおいて化合物半導体14の内部での反射回数の平均値を表している。
【0090】
表2の光取り出し効率の傾向は、表1の外部量子効率の傾向と良く一致しており、外部量子効率の相違が光取り出し効率の相違の主因であると考えられる。マイクロ発光素子の上面に対して、全反射の臨界角(critical total reflection angle)以下の角度で入射する光だけが、マイクロ発光素子の上面から外部へ放出される。全反射の臨界角は、GaNから透明樹脂層へ入射する光の場合は37°程度となる。
【0091】
図4の(a)の直方体構造では、内部での反射回数に依らず、マイクロ発光素子の上面への入射角は一定である。従って、発光層12から水平方向に発せられる光が外部に放出される事はない。これに対して、
図4の(b)の屈折四角錐台構造では、発光層12から水平方向に発せられる光は、傾斜面16Sによって上方に反射され、光放出面に全反射の臨界角以下の角度で入射し、外部へ放出される。
【0092】
更に、発光層12から光が発せられた初期の状態で当該光が外部に放出されない場合でも、発光層12から発せられる光がN側層側面11Sで反射する度に、当該光におけるマイクロ発光素子100の上面への入射角度が変化する。この為、発光層12から発せられる光が内部反射を繰り返した後に、外部に放出される。従って、光取り出し効率を大幅に向上させる事ができる。
【0093】
次に、透明絶縁膜17による影響を調べる為、本発明の一態様に係るマイクロ発光素子100において、光取り出し効率の透明絶縁膜17の膜厚による依存性をシミュレーションした。透明絶縁膜17としてSiO
2を用いた場合の結果を
図5に示す。
図5は、光取り出し効率における透明絶縁膜17の膜厚依存性のシミュレーション結果を示す図である。
【0094】
図5において、横軸は膜厚であり、縦軸は光取り出し効率である。透明絶縁膜17がない場合には、光取り出し効率は63%である。よって、透明絶縁膜17を有しない屈折四角錐台構造では、透明絶縁膜17を有する直方体構造より遥かに大きな光取り出し効率を示し、化合物半導体14の形状が非常に重要である事を示している。
【0095】
透明絶縁膜17の膜厚が厚くなると共に、光取り出し効率は増加するが、透明絶縁膜17の膜厚が400nm以上である場合の変化は乏しい。従って、透明絶縁膜17の膜厚は400nm以上である事が最も好ましいが、当該膜厚が75nm以上でも光取り出し効率の低下率は5%以内である為、前記膜厚は少なくとも75nm以上であれば良い。
【0096】
透明絶縁膜17による効果としては、マイクロ発光素子100の側面での反射率を向上させる事で、光取り出し効率を向上させている事であると考えられる。尚、直方体構造においては、透明絶縁膜17による効果は非常に弱い。これは直方体構造のマイクロ発光素子の側面での反射率が向上しても、当該マイクロ発光素子の上面へ入射する角度が変わらず、前記上面で全反射する光が何回反射を繰り返しても全反射し、光取り出し効率が改善しない為であると考えられる。従って、マイクロ発光素子100がその上面への入射角度を変える事ができる傾斜面16S及び傾斜したN側層側面11Sを有する事が重要である。
【0097】
次に、前記シミュレーションを用いて、マイクロ発光素子100の各部の寸法及び角度に対する光取り出し効率の変化を調べた結果を
図6に示す。
図6の(a)から(e)は、
図1の(a)に示す画像表示素子200において、光取り出し効率における各部の寸法及び角度依存性のシミュレーション結果を示す図である。
図6の(a)から(e)には、光放出面(N側層11の上面)の面積に対する発光層12の面積の割合(面積比)も示す。
図6の(a)から(e)の縦軸は、光取り出し効率又は面積比である。
【0098】
図6の(a)から(e)の何れの場合も、特に断らない限り、N側層11の上面のサイズは8μm×8μm、N側層11の厚さは6μm、P側層13の厚さは0.1μmである。又、傾斜面16Sの傾斜角度θeは50°、傾斜面16Sの内のN側層11が占める部分における深さDは1μm、N側層側面11Sの傾斜角度θbは80°である。
【0099】
図6の(a)は、光取り出し効率におけるN側層側面11Sの傾斜角度θbの依存性を示す。
図6の(a)の横軸は傾斜角度θbである。
図6の(a)に示す様に、N側層側面11Sの傾斜角度θbが小さくなる程、光取り出し効率が向上する。N側層側面11Sの傾斜角度θbは83°以下である事が好ましい。
【0100】
図6の(b)は、光取り出し効率における傾斜面16Sの内のN側層11が占める部分における深さDの依存性を示す。
図6の(b)の横軸は深さDである。
図6の(b)に示す様に、深さDを大きくする程、光取り出し効率が向上する。深さDは0.6μm以上である事が好ましい。
【0101】
図6の(c)は、光取り出し効率における傾斜面16Sの傾斜角度θeの依存性を示す。
図6の(c)の横軸は傾斜角度θeである。光取り出し効率を改善する為には、傾斜角度θeは60°以下である事が好ましく、50°以下であれば更に好ましい。
図6の(d)は、光取り出し効率におけるN側層11の厚さの依存性を示す。当該厚さは、垂直方向(マイクロ発光素子100の上面から下面に向かう方向)に沿った厚さである。
図6の(d)の横軸は、N側層11の厚さである。N側層11の厚さが大きい程、光取り出し効率は向上する。N側層11の厚さは3μm以上である事が好ましい。
【0102】
図6の(e)は、光取り出し効率におけるP側層13の厚さの依存性を示す。
図6の(e)の横軸は、P側層13の厚さである。P側層13の厚さが大きい程、光取り出し効率は向上するが、
図6の(a)から(d)に示す他のパラメータに比べれば、影響は少ない。
【0103】
これらの図より、本発明の一態様に係るマイクロ発光素子100は、少なくとも48%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。これは、表2に示す直方体構造の光取り出し効率に対して約2.7倍であるという非常に大きな改善を示している。更に、本発明の一態様に係るマイクロ発光素子100では、マイクロ発光素子100の構造を適切に選ぶ事で、70%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。
【0104】
本発明の一態様に係るマイクロ発光素子100では、発光層12の側面の全周囲を傾斜面16Sの一部で構成し、傾斜面16SからN側層11の上面まで至るN側層側面11Sを傾斜面16Sより大きな角度で傾斜させる。又、マイクロ発光素子100では、傾斜面16S及びN側層側面11Sを金属反射層20Wで覆う。
【0105】
これにより、マイクロ発光素子100間の光クロストークを防止し、光取り出し効率を大幅に向上させる事ができる。更に、傾斜面16S及びN側層側面11Sと金属反射層20Wとの間に、透明絶縁膜17を配置する事で、光取り出し効率を更に向上させる事ができる。
【0106】
〔実施形態2〕
(画像表示素子200aの構成)
本発明の他の実施形態について、
図7及び
図8を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態2の画像表示素子200aでは、駆動回路基板50とマイクロ発光素子100aとの貼り合わせを、ウエハ同士の接合(wafer-to-wafer
bonding)で行う点において実施形態1の画像表示素子200と異なる。ウエハ同士を接合する事で、ダストの発生を抑制し、高い歩留りを実現する事ができるという利点がある。
【0107】
図7は、本発明の実施形態2に係る画像表示素子200aの断面模式図である。マイクロ発光素子100とは異なり、マイクロ発光素子100aは絶縁膜21によって埋められており、マイクロ発光素子100における光放出面とは反対側の面は平坦である。マイクロ発光素子100aと駆動回路基板50とは、平坦な接合面で貼り合わせられている。マイクロ発光素子100aのPダマシン電極(P-damascene electrode)23P及びNダマシン電極(N-damascene electrode)23Nはそれぞれ、駆動回路基板50上のP側電極51及びN側電極52と接合されている。
【0108】
Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nはそれぞれ、後述する様に、同一工程によって形成されるため、形状、大きさ、及び深さは異なるが、同一の配線材料(wiring
material)によって構成されている。つまり、Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nはそれぞれ、バリアメタル層、主な導電層、及びキャップ層等よりなる積層構造が同一である。Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nの下面は、絶縁膜21の下面と略同一の平面に構成されている。それ以外の構造は実施形態1の画像表示素子200と類似している。
【0109】
駆動回路基板50側の絶縁膜55における接合面側の表面も平坦であり、P側電極51及びN側電極52の上面は、絶縁膜55の上面と略同一の平面に構成されている。絶縁膜21の下面と、Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nの下面との間には、マイクロ発光素子100aと駆動回路基板50との貼り合わせが可能であれば、多少の高低差があっても良い。駆動回路基板50側の絶縁膜55の上面と、P側電極51及びN側電極52の上面との高低差に関しても同様である。
【0110】
通常、Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nの下面を構成する層と、P側電極51及びN側電極52の上面を構成する層とは同一材料であり、これらの層の材料としては、例えば、金(Au)、銅(Cu)、及びニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0111】
(画像表示素子200aの製造工程)
図8の(a)から(d)は、本発明の実施形態2に係る画像表示素子200aの製造工程を示す断面模式図である。
図8の(a)から(c)の画像表示素子200aの製造工程の説明において、絶縁膜21側を上方、成長基板9側を下方とする。又、
図8の(d)の画像表示素子200aの製造工程の説明において、成長基板9側を上方、駆動回路基板50側を下方とする。
【0112】
図8では、画素領域1及びN接続領域3のみを示しているが、画像表示素子200aの製造工程は、画像表示素子200a毎に実施されるものではない。画像表示素子200aの製造工程においては、複数の駆動回路基板50であるウエハと、複数のマイクロ発光素子100aであるウエハとを、互いに貼り合わせる事で、複数の画像表示素子200aを一度に製造する事が好ましい。
【0113】
マイクロ発光素子100aの製造工程の一部は、マイクロ発光素子100における
図2の(a)から(g)に示す工程と同一である。マイクロ発光素子100aの製造工程において、金属層20をパターニングした後、
図8の(a)に示す様に、P電極20P、透明絶縁膜17、及び金属反射層20Wの露出部分を覆う様に絶縁膜21を堆積する。
【0114】
絶縁膜21を堆積した後、絶縁膜21の上面をCMP法(Chemical-Mechanical-Polishing)によって平坦化する。絶縁膜21は、例えば、SiO
2、SiN、SiON、又はこれらの膜の積層膜である。絶縁膜21の成膜としては、CVD法(Chemical Vapor Deposition、化学的気相成長法)、スパッタ法、及び塗布等の種々の成膜技術を用いる事ができる。
【0115】
絶縁膜21を平坦化した後、
図8の(b)に示す様に、P電極20P及びN電極20Nそれぞれの上方において、絶縁膜21にP溝(P-trench)22P及びN溝(N-trench)22Nをそれぞれ形成する。P溝22Pはホール形状であり、P電極20Pに達している。N溝22Nはホール形状又はライン形状であり、N電極20Nに達している。
【0116】
P溝22P及びN溝22Nを形成した後、
図8の(c)に示す様に、ダマシン法によって、P溝22P及びN溝22Nに金属膜を埋め込む事で、Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nを形成する。当該金属膜は、例えば、タンタル(Ta)、タングステン(W)、及び窒化チタン(TiN)等のバリア膜と銅との組み合わせである。尚、前記金属膜は、金(Au)又はニッケル(Ni)等と、それらに対応するバリア膜との組み合わせでも良い。
【0117】
ダマシン法では、溝を有する下地構造に金属薄膜を堆積し、金属薄膜をCMP法によって研磨する事で、溝内に金属薄膜を残す事ができ、下地構造の上面及び金属薄膜の上面が平坦となる。以上の様にして、P電極20P上にPダマシン電極23Pが配置され、N電極20N上にNダマシン電極23Nが配置される。Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nは互いに同一材料で構成されており、Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nそれぞれの上面は、駆動回路基板50における接合面となる表面に対して平坦である。
【0118】
Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nを形成した後、
図8の(d)に示す様に、マイクロ発光素子100a及びダミー素子101aと駆動回路基板50とを貼り合わせる。その際、Pダマシン電極23PおよびNダマシン電極23Nはそれぞれ、対応するP側電極51及びN側電極52と重なる様に、精密にアライメントされる。
【0119】
マイクロ発光素子100a及びダミー素子101aと駆動回路基板50との接合面の材料に合わせて、表面のプラズマクリーニング、イオン照射による活性化、加熱、及び加圧によって、2枚のウエハが貼り合わされる。これ以降の工程では、
図3の(c)から(e)に示す工程と同様に、成長基板9が除去され、共通N電極40が形成される。但し、マイクロ発光素子100aの製造工程では、マイクロ発光素子100a間には絶縁膜21が堆積されている為、充填材60は不要である。
【0120】
画像表示素子200aの構成では、マイクロ発光素子100aの周囲が金属反射層20Wによって覆われている為、マイクロ発光素子100aの間に透明な絶縁膜を堆積しても、互いに隣接するマイクロ発光素子100a間の光漏洩を防ぐ。従って、SiO
2等のような一般的に使用される絶縁膜を用いても、コントラスト及び色純度の低下といった問題が生じる事を防ぐ事ができる。
【0121】
この様にウエハ同士で貼り合わせる事により、ダスト発生を少なくし、高い歩留りを実現する事ができる。例えば、マイクロ発光素子が画像表示素子単位で個片化されていると、その個片化の工程で多量のダストが発生する。この為、画像表示素子単位で個片化されたマイクロ発光素子と駆動回路基板との貼り合わせの工程で接合面にダストが付着し、接合によって歩留りが著しく低下するという問題が発生する。
【0122】
マイクロ発光素子100a及び駆動回路基板50が共にウエハ状態であれば、この様な問題が発生しない。又、画像表示素子毎にマイクロ発光素子と駆動回路基板とを貼り合せる場合には、1回の貼り合わせの処理に1分から数分程度の時間が必要である為、生産効率が低い。しかし、ウエハ同士の貼り合わせの処理では、1枚のウエハとなっている複数のマイクロ発光素子100aと1枚のウエハとなっている複数の駆動回路基板50とが一気に接合される為、生産効率を大幅に向上する事ができる。
【0123】
又、複数のマイクロ発光素子100aであるウエハの材料及び複数の駆動回路基板50であるウエハの材料は同一である事が更に好ましい。これは、ウエハの貼り合わせの際に、加熱が必要となる場合があり、両ウエハの材料が同一であれば、熱膨張係数の差によるパターンのずれを抑制する事ができる為である。更に、両ウエハのサイズは同一である事が好ましい。これは、両ウエハのサイズが同一でないと、大きい方のウエハ側に、使用されない無駄な領域が発生する為である。
【0124】
以上の様に、画像表示素子200aの構成においても、実施形態1と同様に、金属反射層20Wによって、光取り出し効率を向上すると共に、互いに隣接するマイクロ発光素子100a間の光漏洩を防止する事ができる。更に、透明絶縁膜17によって光取り出し効率を更に向上する事ができる。
【0125】
〔実施形態3〕
(画像表示素子200bの構成)
本発明の他の実施形態について、
図9及び
図10を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態3の画像表示素子200bでは、P電極20P及びN電極20Nが設けられていない点、並びにPダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nがそれぞれマイクロ発光素子100bのP電極層10及びダミー素子101bのN側層11に直接接続している点が実施形態2の画像表示素子200aと異なる。画像表示素子200bにおいて、これらの点以外は画像表示素子200aと同一である。
【0126】
図9の(a)は、本発明の実施形態3に係る画像表示素子200bの断面模式図である。
図9の(b)は、本発明の実施形態3に係るマイクロ発光素子100bの平面模式図である。画像表示素子200bの構成では、Pコンタクトホール19P及びNコンタクトホール19Nを形成する工程を省略する事ができる為、実施形態2の画像表示素子200aと比較して、工程を短縮する事ができる。
【0127】
更に、
図9の(b)に示す様に、細長い矩形のマイクロ発光素子100bを形成する事が容易となる。実施形態2の画像表示素子200aでは、金属反射層20WとP電極20Pとを同一のフォトリソグラフィ工程によって加工する為、金属反射層20WとP電極20Pとの間に少なくとも最小線幅分のスペースを確保する必要があった。この為、P電極20Pの幅を狭くしなければならない。
【0128】
従って、P電極層10の幅が狭くなると、P電極20Pの設置面積を確保する事が難しくなる。しかし、画像表示素子200bの構成では、金属反射層20Wに接触しない様にPダマシン電極23Pを形成すれば良い為、アライメントするために必要なスペースを確保すれば良い。従って、画像表示素子200b構成は、画像表示素子200aの構成と比べて、P電極層10がより狭い場合に対しても適用される事が可能である。
【0129】
(画像表示素子200bの製造工程)
図10の(a)から(g)は、本発明の実施形態3に係る画像表示素子200bの製造工程を示す断面模式図である。
図10の(a)から(e)の画像表示素子200bの製造工程の説明において、金属層20側を上方、成長基板9側を下方とする。画像表示素子200bの製造工程において、
図2の(a)から(d)に示す工程を経た後に、Pコンタクトホール19Pを形成せずに、
図10の(a)に示す様に、金属層20を堆積する。
【0130】
金属層20を堆積した後、
図10の(b)に示す様に、金属層20を金属反射層20Wへ加工する。この時、P電極層10の上方、及びNコンタクト溝15Nの上方にある金属層20の部分は除去される。その後、
図10の(c)に示す様に、透明絶縁膜17及び金属反射層20Wの露出部分を覆う様に絶縁膜21を堆積し、絶縁膜21の上面をCMP法によって平坦化する。
【0131】
絶縁膜21の上面を平坦化した後、
図10の(d)に示す様に、画素領域1にあるP電極層10上にP溝22Pを形成し、N接続領域3にあるNコンタクト溝15N上にN溝22Nを形成する。具体的には、P電極層10上にある透明絶縁膜17及び絶縁膜21を除去する事でP溝22Pを形成し、Nコンタクト溝15NにおいてN側層11上にある透明絶縁膜17及び絶縁膜21を除去する事でN溝22Nを形成する。
【0132】
更に、
図10の(e)に示す様に、P溝22PにPダマシン電極23Pを形成し、N溝22NにNダマシン電極23Nを形成する。Pダマシン電極23P及びNダマシン電極23Nを形成した後、
図10の(f)に示す様に、複数のマイクロ発光素子100bと駆動回路基板50とを貼り合わせる。その後、
図10の(g)に示す様に、成長基板9を除去し、N側層11、透明絶縁膜17、金属反射層20W、及び充填材60の露出部分を覆う様に共通N電極40を堆積する。
【0133】
以上の様に、画像表示素子200bの構成においても、実施形態2の画像表示素子200aと同様に、ウエハ同士で貼り合わせる事により、生産性を高め、ダスト発生を少なくし、高い歩留りを実現する事ができる。
【0134】
〔実施形態4〕
(画像表示素子200cの構成)
本発明の他の実施形態について、
図11及び
図12を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態4の画像表示素子200cでは、マイクロ発光素子100cがその下面にP電極20P及びN電極20Nを有する点が実施形態1の画像表示素子200と異なる。尚、
図11では、画像表示素子200cには、充填材60が充填されていないが、実施形態1と同様に、充填材60が充填されても良い。
【0135】
又、画像表示素子200cでは、駆動回路基板50cが画素領域1にN側電極52を有する点、及びN側層側面11Sの一部において金属反射層20WとN側層側面11Sとの間に透明絶縁膜17が存在しない部分がある点が画像表示素子200と異なる。画像表示素子200cにおいて、これらの点以外は画像表示素子200と同一である。
【0136】
図11は、本発明の実施形態4に係る画像表示素子200cの画素領域1の断面模式図である。画像表示素子200cの構成は、マイクロ発光素子100cを駆動回路基板50cに貼り合わせた後に、共通N電極を形成する必要がないという付加的な利点を有している。画像表示素子200cの構成では、
図11に示す様に、金属反射層20WがN電極20N(第2電極)を兼用している。
【0137】
つまり、マイクロ発光素子100cは、光放出面側とは反対側の面に、金属反射層20Wと導通するN電極20Nを有する。また、駆動回路基板50cにおける画素領域1の表面には、マイクロ発光素子100cに電流を供給する為のP電極20P及びN電極20Nが2次元アレイ状に配置されている。
【0138】
駆動回路基板50cは、画素領域1内に、接続材70を介して各マイクロ発光素子100cのP電極20Pと接続するP側電極51、及び接続材70を介してN電極20Nを兼用する金属反射層20Wと接続するN側電極52を有している。
図11では、隣接する2個のマイクロ発光素子100cのN電極20Nを、1個のN側電極52に接続している。
【0139】
(画像表示素子200cの製造工程)
図12の(a)から(f)は、本発明の実施形態4に係る画像表示素子200cの製造工程を示す断面模式図である。
図12の(a)から(d)の画像表示素子200cの製造工程の説明において、透明絶縁膜17側を上方、成長基板9側を下方とする。又、
図12の(e)及び(f)の画像表示素子200cの製造工程の説明において、成長基板9側を上方、駆動回路基板50c側を下方とする。
【0140】
画像表示素子200cの製造工程において、
図2の(a)から(d)に示す工程を経た後の
図12の(a)に示す画像表示素子200cの状態を考える。この状態において、
図12の(b)に示す様に、P電極層10上にPコンタクトホール19Pを形成し、N側層側面11Sの一部にN側層11の底部開口部(bottom opening)19BNを形成する。
【0141】
図12の(b)では、隣接するマイクロ発光素子100cが向かい合う側にあるN側層側面11Sに設けられた透明絶縁膜17の部分を除去し、N側層側面11Sを露出させる。画像表示素子200cの構成ではN側層側面11Sが傾斜している為、ドライエッチング法によっても、透明絶縁膜17をエッチングする事ができる。
【0142】
従って、底部開口部19BNの寸法を高精度に調整する事ができ、透明絶縁膜17の除去部分を必要最小限にする事ができる。一方、N側層側面11Sが傾斜しておらず、成長基板9に対して垂直である場合、ウエットエッチングを使用せざるを得ず、パターン寸法の制御性が低い。
【0143】
次に、Pコンタクトホール19P及び底部開口部19BNを形成した後、
図12の(c)に示す様に、成長基板9、P電極層10、N側層11、及び透明絶縁膜17の露出部分を覆う様に金属層20を堆積する。更に、
図12の(d)に示す様に、フォトリソグラフィ法と異方性ドライエッチング法とを用いて金属層20を加工する。この様に金属層20を加工する事で、Pコンタクトホール19P上にP電極20Pが形成され、傾斜面16S及びN側層側面11S上にある透明絶縁膜17の部分を覆う金属反射層20Wを形成する。金属反射層20Wは、底部開口部19BNにおいて、N側層11と電気的に接触する。
【0144】
金属層20を加工した後、
図12の(e)に示す様に、マイクロ発光素子100cと駆動回路基板50cとを接続材70を介して貼り合わせる。マイクロ発光素子100cと駆動回路基板50cとを貼り合わせた後、
図12の(f)に示す様に、成長基板9を除去する。この後、他の実施形態と同様に、マイクロ発光素子100c間を、充填材によって充填しても良い。
【0145】
画像表示素子200cの構成では、N側層側面11Sの一部において、金属反射層20WとN側層側面11Sとの間に透明絶縁膜17が存在しない部分がある。つまり、金属反射層20Wは、N側層11と導通しており、より具体的にはN側層側面11Sの少なくとも一部と導通している。
【0146】
N側層側面11Sの内、一面の透明絶縁膜17を全て取り除いた構造についてシミュレーションすると、N側層側面11Sの全面を透明絶縁膜17で覆った場合に比べて、光取り出し効率の低下率は3%以下であった。従って、画像表示素子200cの構成による光取り出し効率は、従来の構造に対して有利である。
【0147】
以上の様に、画像表示素子200cの構成は、マイクロ発光素子100cと駆動回路基板50cとを貼り合わせて成長基板9を除去した後に共通N電極40を形成する必要がないという付加的利点を有している。
【0148】
〔実施形態5〕
(画像表示素子200dの構成)
本発明の他の実施形態について、
図13から
図15を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態5の画像表示素子200dでは、傾斜面16S及びN側層側面11Sの内、傾斜面16Sのみに対して透明絶縁膜17が配置されている点が実施形態4の画像表示素子200cと異なる。
【0149】
又、画像表示素子200dでは、1個のマイクロ発光素子100cの金属反射層20W(N電極20N)を、1個のN側電極52に接続している点が画像表示素子200cと異なる。画像表示素子200dにおいて、これらの点以外は画像表示素子200cと同一である。
【0150】
これにより、N側層側面11Sが金属反射層20Wに覆われる事になり、光クロストークを防止し、傾斜面16S及びN側層側面11Sの傾斜によって、直方体構造に比べれば、大きな光取り出し効率を実現する事ができる。例えば、表2に示す直方体構造の光取り出し効率17.9%に対して、画像表示素子200dの構成では、直方体構造の光取り出し効率の約3.8倍である67.8%の光取り出し効率を実現する事ができる。更に、画像表示素子200dの製造は、実施形態4の画像表示素子200cに比べて容易である。
【0151】
図13は、本発明の実施形態5に係る画像表示素子200dの画素領域1の断面模式図である。
図13に示す様に、マイクロ発光素子100dは、その下面にP電極20P及びN電極20Nを有している。駆動回路基板50dは、マイクロ発光素子100d側にP側電極51及びN側電極52を有しており、P側電極51及びN側電極52はそれぞれ、P電極20P及びN電極20Nと1対1に対応している。画像表示素子200dの構成は、画像表示素子200cと同様に、マイクロ発光素子100dと駆動回路基板50dとを貼り合わせて成長基板9を除去した後に共通N電極を形成する必要がないという付加的利点を有している。
【0152】
(画像表示素子200dの製造工程)
図14の(a)から(e)は、本発明の実施形態5に係る画像表示素子200dの製造工程を示す断面模式図である。
図14の(a)から(e)の画像表示素子200dの製造工程の説明において、透明絶縁膜17側を上方、成長基板9側を下方とする。画像表示素子200dの製造工程において、
図2の(a)及び(b)の工程を経て分割溝15を形成した後に、
図14の(a)に示す様に、N側層11、発光層12、P側層13、及びP電極層10の露出部分を覆う様に透明絶縁膜17を堆積する。
【0153】
透明絶縁膜17を堆積した後、
図14の(b)に示す様に、分割溝15の底部において、透明絶縁膜17とN側層11とをエッチングする事で分離溝18を形成する。分離溝18は成長基板9まで達し、マイクロ発光素子100dを個別に分離する事が好ましい。この段階で露出するN側層11の面が、N側層側面11Sである。分離溝18の傾斜角度、つまり、N側層側面11Sの傾斜角度θbは、
図2の(c)と同様に、80°程度である必要がある。
【0154】
分離溝18を形成した後、
図14の(c)に示す様に、P電極層10上にPコンタクトホール19Pを形成する。Pコンタクトホール19Pを形成する工程では、実施形態4の
図12の(b)の様に、N側層側面11S上の透明絶縁膜17に底部開口部を形成する必要がない。従って、画像表示素子200dの製造は、画像表示素子200cの製造と比べて容易である。
【0155】
Pコンタクトホール19Pを形成した後、
図14の(d)に示す様に、成長基板9、P電極層10、N側層11、及び透明絶縁膜17の露出部分を覆う様に金属層20を堆積する。金属層20は、Pコンタクトホール19PにおいてP電極層10と電気的に接続し、N側層側面11SにおいてN側層11と電気的に接続する。
【0156】
更に、
図14の(e)に示す様に、P電極20Pとなる部分の周囲の金属層20を除去する事で、金属層20がP電極20Pと金属反射層20Wとに分割される。金属反射層20WがN電極20Nを兼用する。この様にして、各マイクロ発光素子100dはP電極20P及びN電極20Nを有する。以降の工程は、実施形態4の画像表示素子200cと同様であるため省略する。
【0157】
実施形態1において説明したシミュレーションを用いて、マイクロ発光素子100dの各部の寸法及び角度に対する光取り出し効率の変化を調べた結果を
図15に示す。
図15の(a)から(e)は、
図13に示す画像表示素子200dにおいて、光取り出し効率における各部の寸法及び角度依存性のシミュレーション結果を示す図である。
図15の(a)から(f)には、光放出面(N側層11の上面)の面積に対する発光層12の面積の割合(面積比)も示す。
図15の(a)から(e)の縦軸は、光取り出し効率又は面積比である。
【0158】
図15の(a)から(f)の何れの場合も、特に断らない限り、N側層11の上面のサイズは8μm×8μm、N側層11の厚さは6μm、P側層13の厚さは0.2μmである。又、傾斜面16Sの傾斜角度θeは45°、傾斜面16Sの内のN側層11が占める部分における深さDは1μm、N側層側面11Sの傾斜角度θbは80°である。更に、透明絶縁膜17の膜厚は400nmである。
【0159】
図15の(a)は、光取り出し効率におけるN側層側面11Sの傾斜角度θbの依存性を示す。
図15の(a)の横軸は傾斜角度θbである。
図15の(a)に示す様に、N側層側面11Sの傾斜角度θbが小さくなる程、光取り出し効率が向上する。傾斜角度θbが90°以下である場合、光取り出し効率は40%以上であり、直方体構造の光取り出し効率17.9%の2倍以上の光取り出し効率を実現する事ができる。更に、傾斜角度θbが83°以下である場合、60%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。
【0160】
図15の(b)は、光取り出し効率における傾斜面16Sの内のN側層11が占める部分における深さDの依存性を示す。
図15の(b)の横軸は深さDである。
図15の(b)に示す様に、深さDを大きくする程、光取り出し効率が向上する。深さDが0.5μm以上である事で60%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。
【0161】
図15の(c)は、光取り出し効率における傾斜面16Sの傾斜角度θeの依存性を示す。
図15の(c)の横軸は傾斜角度θeである。光取り出し効率を改善する為には、傾斜角度θeは60°以下である事が好ましく、これにより60%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。傾斜角度θeは50°以下であれば更に好ましい。
【0162】
図15の(d)は、光取り出し効率におけるN側層11の厚さの依存性を示す。当該厚さは、垂直方向(マイクロ発光素子100dの上面から下面に向かう方向)に沿った厚さである。
図15の(d)の横軸は、N側層11の厚さである。N側層11の厚さが大きい程、光取り出し効率は向上する。N側層11の厚さは3μm以上である事が好ましく、これにより60%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。
【0163】
図15の(e)は、光取り出し効率におけるP側層13の厚さの依存性を示す。
図15の(e)の横軸は、P側層13の厚さである。P側層13の厚さが大きい程、光取り出し効率は向上するが、
図15の(a)から(d)に示す他のパラメータに比べれば、影響は少ない。
【0164】
図15の(f)は、光取り出し効率における透明絶縁膜17の膜厚の依存性を示す。
図15の(f)の縦軸及び横軸はそれぞれ、光取り出し効率及び透明絶縁膜17の膜厚である。透明絶縁膜17の膜厚が大きい程、光取り出し効率は向上するが、膜厚400nm以上での変化は乏しい。従って、透明絶縁膜17の膜厚は400nm以上ある事が最も好ましいが、膜厚400nm以上の場合に比べて膜厚75nm以上の場合でも光取り出し効率の低下は2%以内である為、透明絶縁膜17の膜厚は、少なくとも75nm以上であれば良い。
【0165】
図15の(a)から(f)に示す様に、画像表示素子200dの構成では少なくとも40%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。これは、表2に示した直方体構造の光取り出し効率17.9%に対して2.2倍の光取り出し効率であり、光取り出し効率における非常に大きな向上を示している。更に、画像表示素子200dの構成では、マイクロ発光素子100dの構造を適切に選ぶ事で、60%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。
【0166】
〔実施形態6〕
(画像表示素子200eの構成)
本発明の他の実施形態について、
図16を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態6の画像表示素子200eでは、P電極層10がP電極層10e(第1金属膜)に変更されている点が実施形態1の画像表示素子200と異なる。画像表示素子200eにおいて、この点以外は画像表示素子200と同一である。
【0167】
画像表示素子200eの構成では、P側層13とP電極層10eとの間に、P側透明絶縁膜(P-side transparent insulation layer)25(第3透明絶縁膜)が配置される。又、P側透明絶縁膜25にP電極層コンタクトホール26が形成される。これにより、P側層13とP電極層10eとを電気的に接続する。
【0168】
これまでの説明から明らかな様に、金属反射層20Wと化合物半導体14との間に、透明絶縁膜17を配置する事で、反射率を向上し、光取り出し効率を向上する事ができる。しかし、P側層13とP電極層10eとを電気的に接続する為には、P側層13の全面に透明絶縁膜を配置する事はできない。この為、P電極層コンタクトホール26を形成してP側層13とP電極層10eとを部分的に接続する事で、P側層13とP電極層10eとを電気的に接続しつつ、光取り出し効率を更に向上させる事ができる。
【0169】
(画像表示素子200eの製造工程)
図16の(a)から(d)は、本発明の実施形態6に係る画像表示素子200eの製造工程を示す断面模式図である。画像表示素子200eの製造工程の説明において、P側層13側を上方、成長基板9側を下方とする。画像表示素子200eの製造工程において、P電極層10eの形成工程のみを説明する。P電極層10eの形成工程以外の他の工程は、他の実施形態で説明した工程を適用する事ができる為、説明を省略する。
【0170】
図16の(a)は、成長基板9上に化合物半導体14が堆積された状態を示す。画像表示素子200eのP側層13のシート抵抗はできる限り低い事が好ましく、画像表示素子200eのP側層13の厚さは、実施形態1から5で説明したP側層13の厚さより大きくても良い。
【0171】
次に、
図16の(b)に示す様に、P側層13上にP側透明絶縁膜25を堆積する。P側透明絶縁膜25の材質及び厚さはそれぞれ、透明絶縁膜17の材質及び厚さと同一であっても良い。P側透明絶縁膜25を堆積した後、
図16の(c)に示す様に、P側透明絶縁膜25の上面にP電極層コンタクトホール26を形成する。P電極層コンタクトホール26は、P側透明絶縁膜25からP側層13まで達する。
【0172】
P側透明絶縁膜25の上面の内、P電極層コンタクトホール26が占める面積の割合は少ない方が好ましい。例えば、1μmピッチで0.1μm径のP電極層コンタクトホール26を形成すれば、P側透明絶縁膜25の上面の内、P電極層コンタクトホール26が占める面積の割合は1/100程度である。この場合、P電極層コンタクトホール26に金属層が埋められたとしても、P側透明絶縁膜25による光取り出し効率を十分に維持する事ができる。
【0173】
尚、P側透明絶縁膜25の上面の内、P電極層コンタクトホール26が占める面積の割合は少ない方が光取り出し効率の向上の効果は大きい。しかし、例えば、P側透明絶縁膜25の上面の面積の内の半分程度の面積をP電極層コンタクトホール26が占めたとしても、光取り出し効率を十分に維持する事ができる。
【0174】
P電極層コンタクトホール26を形成した後、
図16の(d)に示す様に、P側透明絶縁膜25及びP側層13の露出部分を覆う様にP電極層10eを堆積する。このとき、P電極層コンタクトホール26に、P側層13とオーミック接触が得やすいパラジュウム(Pd)等の金属材料を埋め込み、当該金属材料の上に、可視光反射率の高い銀又はアルミニュウム等の金属層を堆積しても良い。
【0175】
本形態を適用するマイクロ発光素子及び画像表示素子200eの構造及び製造方法に関しては、実施形態1から5の何れかの形態と組み合わせれば良いので、説明を省略する。実施形態1から5の何れかの形態と実施形態6とを組み合わせる事で、実施形態1から5の何れかの形態が有する光取り出し効率の改善効果を更に増強する事ができる。
【0176】
下記の表3において、実施形態1の単独の構成であるP側透明絶縁膜なしの場合と、実施形態1の構成に実施形態6の構成を組み合わせた構成であるP側透明絶縁膜ありの場合とを比較した。実施形態1の構成に実施形態6の構成を組み合わせた構成により、下面吸収量が低減され、光取り出し効率を5%程度向上させる事ができる。表3は、光取り出し効率のシミュレーション結果を示す。
【0178】
〔実施形態7〕
(画像表示素子200fの構成)
本発明の他の実施形態について、
図17を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態7の画像表示素子200fでは、P側層13とP電極層10f(第1金属膜)との導通方法が実施形態6の画像表示素子200eと異なる。画像表示素子200fにおいて、この導通方法の点以外は画像表示素子200eと同一である。
【0179】
画像表示素子200fの構成では、画像表示素子200eのP側層13に比べてP側層13をより厚く堆積し、P側層13に対してピラー(柱)状のものが形成される様に異方性エッチングを行う事で、P側層ピラー27を形成する。P側層ピラー27にP側透明絶縁膜25f(第2透明絶縁膜)を埋め込み、P側透明絶縁膜25fの上に金属層であるP電極層10fを堆積する。
【0180】
(画像表示素子200fの製造工程)
図17の(a)から(d)は、本発明の実施形態7に係る画像表示素子200fの製造工程を示す断面模式図である。画像表示素子200fの製造工程の説明において、P側層13側を上方、成長基板9側を下方とする。画像表示素子200fの製造工程において、
図17の(a)に示す様に、成長基板9上に化合物半導体14を堆積する。P側層13の厚さは、少なくとも100nm以上である。
【0181】
化合物半導体14を堆積した後、
図17の(b)に示す様に、フォトリソグラフィ法と異方性エッチング法とを用いて、P側層13の底部及びP側層ピラー27を残す様にP側層13をエッチングする。P側層ピラー27の高さは、25nm以上1μm以下である。光放出面側からの平面視において、P電極層10fの水平面に係る面積に対する複数のP側層ピラー27の上面に係る総面積の割合は、少ない事が好ましいが、50%程度であっても、光取り出し効率の向上効果は得られる。
【0182】
P側層13をエッチングした後、
図17の(c)に示す様に、P側層ピラー27の間にP側透明絶縁膜25fを堆積し、P側層ピラー27の上部を露出させる。例えば、P側透明絶縁膜25fを堆積した後、CMP法を用いてP側透明絶縁膜25fを研磨する事で、P側層ピラー27の上部を露出させる事ができる。
【0183】
尚、P側層ピラー27の上面には金属膜が予め形成されても良い。例えば、P側層13の上面にパラジュウム等の金属を堆積し、P側層13を加工してP側層ピラー27を形成すると同時に当該金属を加工しても良い。これにより、前記金属をCMP法による研磨を止める為のストッパ層として機能させる事ができ、P側層13と前記金属とのオーミック接触を実現する事ができる。
【0184】
又、フォトリソグラフィ法を用いずに、P側層13の上面に金属ナノ粒子を分散して配置し、配置された金属ナノ粒子をマスク層としてP側層13を異方性エッチングしても良い。数十nmの径を有する金属ナノ粒子であれば、P側層13に対して異方性エッチングを必ずしも行わなくても、金属ナノ粒子間にP側透明絶縁膜25fを埋め込むだけでも、光取り出し効率の向上効果を得る事ができる。P側透明絶縁膜25fを堆積した後、
図17の(d)に示す様に、P側層ピラー27及びP側透明絶縁膜25fの上にP電極層10fを堆積する。
【0185】
本形態を適用するマイクロ発光素子及び画像表示素子200fの構造及び製造方法に関しては、実施形態1から5の何れかの形態と組み合わせれば良いので、説明を省略する。実施形態1から5の何れかの形態と実施形態7とを組み合わせる事で、実施形態1から5の何れかの形態が有する光取り出し効率の改善効果を更に増強する事ができる。
【0186】
〔実施形態8〕
(画像表示素子200gの構成)
本発明の他の実施形態について、
図18を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0187】
実施形態8の画像表示素子200gは、傾斜面16Sの傾斜角度θeがN側層側面11Sの傾斜角度θbと略同一である点が実施形態1の画像表示素子200と異なる。画像表示素子200gにおいて、それ以外の点は画像表示素子200と同一である。傾斜面16Sの傾斜角度θeがN側層側面11Sの傾斜角度θbと略同一である事により、傾斜面16Sは、光放出面まで延伸する。このとき、傾斜面16Sは、金属反射層20Wに覆われ、傾斜面16Sと金属反射層20Wとの間に透明絶縁膜17が配置される。
【0188】
図18の(a)は、本発明の実施形態8に係る四角錐台構造(Truncated pyramid type)のマイクロ発光素子の鳥瞰図であり、
図18の(b)は、光取り出し効率における傾斜角度の依存性のシミュレーション結果を示す図である。
図18の(c)は、光取り出し効率における透明絶縁膜の膜厚依存性のシミュレーション結果を示す図である。
【0189】
図18の(a)に示す様に、画像表示素子200gが備えるマイクロ発光素子100gの形状は、四角錐台構造(Truncated pyramid type)である。画像表示素子200gの製造工程では、
図2の(b)及び(c)に示す工程を1工程にまとめて、傾斜角度θeが傾斜角度θbと略同一となる様に分離溝を形成すれば良い。
【0190】
(画像表示素子200gの製造工程)
画像表示素子200gの製造工程において、分離溝を形成する工程以外の他の製造工程は、実施形態1の画像表示素子200の製造工程と同様である。画像表示素子200gの製造工程では、この様に製造工程を1つ削減する事ができる。又、一般に、画像表示素子200と比べて、N側層側面11Sの傾斜角度θbが小さくなる為、N側層側面11S上に堆積された透明絶縁膜17に対して金属層20をより容易に堆積する事ができる。
【0191】
下記の表4において、直方体構造のマイクロ発光素子の発光特性と、四角錐台構造のマイクロ発光素子100gの発光特性とを比較した。直方体構造のマイクロ発光素子の場合及びマイクロ発光素子100gの場合の何れもN側層11の上面のサイズを8μm×8μmとし、化合物半導体としては同一のものを用いた。直方体構造のマイクロ発光素子の場合とマイクロ発光素子100gの場合とで、形状の違いを除けば、構成材料及び形成プロセスは同一である。
【0192】
但し、直方体構造のマイクロ発光素子の場合では、分割溝及び分離溝は可能な限り傾斜しない様に加工した。又、マイクロ発光素子100gの場合では、分離溝18によって形成されるN側層11の側面が傾斜角度θe・θbが略80°となる様に加工されて形成された。N側層11の上面には何れの場合も透明樹脂層を配置した。又、何れの場合も、マイクロ発光素子において100行×100列の10000個を同時に点灯して、全光束発光強度を評価した。マイクロ発光素子100gにおける1個当たりの電流量は5μAである。測定結果を下記の表4に示す。
【0194】
表4に示す様に、四角錐台構造のマイクロ発光素子100gでは、単純な直方体構造のマイクロ発光素子に比べれば、約2.7倍の外部量子効率が得られる。光線追跡法(Lay trace method)を用いて光取り出し効率をシミュレーションした結果を表5に示す。尚、表4に示す内部量子効率推定値は、表5に示す光取り出し効率を用いて、表4に示す外部量子効率より計算した推定値である。四角錐台構造のマイクロ発光素子100gでは、単純な直方体構造のマイクロ発光素子に比べて、約3.0倍の光取り出し効率が得られる。表5に示す値は、シミュレーション値である。
【0196】
図18の(b)に示す様に、傾斜角度θbが小さくなる程、光取り出し効率が向上する。傾斜角度θbが82°以下である場合、48%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。更に、傾斜角度θbが75°以下である場合、70%以上の光取り出し効率を実現する事ができる。
【0197】
図18の(c)に示す様に、透明絶縁膜17の膜厚75nm以上で、48%以上の光取出し効率を実現できる。
図18の(c)の縦軸は、光取り出し効率であり、
図18の(c)の横軸は、透明絶縁膜17の膜厚である。透明絶縁膜の膜厚が400nm以上であれば、54%程度の光取り出し効率を安定して実現する事ができる。従って、透明絶縁膜17の膜厚は400nm以上である事が好ましい。
【0198】
尚、マイクロ発光素子100gの電極配置に関しては、実施形態1や実施形態2の様に、光放出面側に共通N電極40(光放出面側電極)を配置する構成であっても良いし、実施形態4や実施形態5の様に、金属反射層20WをN側層11と電極に接触させる事で、光放出面側とは反対側の面に、N電極20Nを配置する構成であっても良い。
【0199】
〔実施形態9〕
(画像表示素子200hの構成)
本発明の他の実施形態について、
図19から
図21を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態9の画像表示素子200hは、共通N電極40以外では単層の電極層しか備えない点が実施形態1の画像表示素子200と異なる。画像表示素子200hにおいて、それ以外の点は画像表示素子200と同一である。
【0200】
図19は、本発明の実施形態9に係る画像表示素子200hの断面模式図である。
図19に示す様に、画像表示素子200hが備えるマイクロ発光素子100hは、P電極20P(第1金属膜)と金属反射層20W(第2金属膜)とが繋がった構造を有している。つまり、金属反射層20WがP電極20Pを兼用している。実施形態1から5において、第1金属膜と第2金属膜とは別々の金属膜であり、互いに接触していないが、本実施形態では、第1金属膜と第2金属膜とは連続して繋がっており、一体として構成されている。
【0201】
P電極20PはP側層13と直接接触している。P電極20Pは、マイクロ発光素子100hのP側層13側の表面を覆っており、透明絶縁膜17を介して傾斜面16S及びN側層側面11Sを覆っている。これにより、互いに隣接するマイクロ発光素子100h間の光漏洩を防止しており、光クロストークを低減する事ができる。又、P電極20Pと傾斜面16S及びN側層側面11Sとの間には、透明絶縁膜17が配置されており、高い光取り出し効率を実現する事ができる。
【0202】
マイクロ発光素子100hは、P電極20Pと共通N電極40との電気的短絡を防ぐ為に、絶縁層61を有している。光クロストークを低減する上で、P電極20Pは、N側層側面11Sをその上端まで覆っている事が好ましい。しかし、絶縁層61がなければ、マイクロ発光素子100hの上端部でP電極20Pと共通N電極40とがショートする。
【0203】
従って、画素領域1では、マイクロ発光素子100hの上端部を覆う様に絶縁層61を設ける必要がある。一方、N接続領域3では、N電極20Nと共通N電極40との接触は好ましい事である為、絶縁層61を設ける必要がない。N接続領域3にあるダミー素子101hにおいては、N電極20Nと共通N電極40との接触部が電流経路であっても良いし、実施形態1のマイクロ発光素子100と同様に、N電極20Nと共通N電極40との間でN側層11を経由して電流を流しても良い。
【0204】
(マイクロ発光素子100hの製造工程)
図20の(a)から(f)は、本発明の実施形態9に係るマイクロ発光素子100hの製造工程を示す断面模式図である。マイクロ発光素子100hの製造工程は、実施形態1のマイクロ発光素子100の製造工程と比べて、P電極層10が堆積されない点以外は類似している。以下では、マイクロ発光素子100hの製造工程とマイクロ発光素子100の製造工程との相違点のみを説明する。
【0205】
マイクロ発光素子100hの構成では、マイクロ発光素子100の構成に比べて、シート抵抗が高いP側層13とP電極20Pとが直接接触する為、Pコンタクトホール19Pは可能な限り大きく形成される事が好ましい。マイクロ発光素子100hの構成では、P電極20Pと金属反射層20Wとが一体である為、画素領域1及びN接続領域3においては、金属層20をパターン加工する必要がない。P電極層10を堆積する必要がなく、金属層20をパターン加工する必要がない為、マイクロ発光素子100の製造工程は、マイクロ発光素子100の製造工程に比べて簡略であり、製造コストを低減する事ができる。
【0206】
(画像表示素子200hの製造工程)
図21の(a)から(c)は、本発明の実施形態9に係る画像表示素子200hの製造工程を示す断面模式図である。画像表示素子200hの製造工程の説明において、成長基板9側を上方、駆動回路基板50側を下方とする。
図21の(a)に示す様に、接続材70を用いてマイクロ発光素子100hのP電極20Pを駆動回路基板50のP側電極51に接続する工程は、
図3の(b)に示す工程と同様である。
【0207】
図21の(b)に示す様に、成長基板9を除去する工程も、
図3の(c)に示す工程と同様である。但し、画像表示素子200hの製造工程では、成長基板9を除去する工程によって、金属層20がマイクロ発光素子100h毎に分離される事で、P電極20Pが形成される。同様に、N接続領域3においては、成長基板9を除去する工程によってN電極20Nが形成される。
【0208】
P電極20P及びN電極20Nが形成された後、
図3の(d)及び(e)に示す工程と同様に、各マイクロ発光素子100hの間を充填材60によって充填し、共通N電極40を形成する。通常、充填材60を塗布した段階で、マイクロ発光素子100hの上面には充填材60による樹脂層が残る為、マイクロ発光素子100hの上面に残った樹脂層を除去する必要がある。当該樹脂層を除去する工程において、マイクロ発光素子100hの間の樹脂層を残す事で、マイクロ発光素子100hの間に絶縁層61を形成する事ができる。絶縁層61の材料は、この様に充填材60の材料と同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0209】
図20の(f)に示す工程において、金属層20を堆積した後に、分離溝18の底部から一定の深さまで金属層20を除去する工程を加えても良い。例えば、フォトリソグラフィ法によって、画素領域1内の分離溝18の底部を開口し、ドライエッチング法又はウエットエッチング法により金属層20をエッチングする。
【0210】
この場合には、
図21の(b)に示す工程において、P電極20Pの上端部の位置をN側層11の上面より下方の位置にしても良い。その結果、P電極20Pが共通N電極40と接触しなくなる為、絶縁層61の形成を省略する事ができる。P電極20PがN側層側面11Sを全く覆わない場合に比べれば、顕著な光漏洩の防止効果を十分に実現する事ができる。以上の様に、画像表示素子200hの構成は、マイクロ発光素子100hを単層の金属膜(電極層)で構成する事で、製造工程を単純にし、製造コストを低減するという付加的利点を有している。
【0211】
〔実施形態10〕
(画像表示素子200iの構成)
本発明の他の実施形態について、
図22を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態10の画像表示素子200iは、1つのマイクロ発光素子100iが複数のメサ16を備えている点が実施形態1の画像表示素子200と異なる。画像表示素子200iにおいて、それ以外の点は画像表示素子200と同一である。
【0212】
(マイクロ発光素子100iの製造工程)
図22の(a)から(f)は、本発明の実施形態10に係るマイクロ発光素子100iの製造工程を示す断面模式図である。画像表示素子200iの製造工程の説明において、P側層13側を上方、成長基板9側を下方とする。
図22を用いてマイクロ発光素子100iについて説明する。ここでは、1個のマイクロ発光素子100iが2個のメサを有する場合について説明するが、1個のマイクロ発光素子100iが3個以上のメサを有する場合であっても同様である。
【0213】
又、マイクロ発光素子100iの構造として、実施形態9のマイクロ発光素子100hの構造と類似している構造を用いて説明する。マイクロ発光素子100iの構造は、実施形態9以外の他の実施形態のマイクロ発光素子の構造と類似していても良い。
図22の(b)に示す様に、傾斜面16Sを構成する分割溝15を形成すると同時に、1個のマイクロ発光素子の発光層12を2個に分割する内部分割溝15iを形成する。
【0214】
内部分割溝15iは、分割溝15に比べて小さく形成される。又、内部分割溝15iの深さは、分割溝15の深さに比べて小さくても良い。分割溝15及び内部分割溝15iを形成した後、
図22の(c)に示す様に、分離溝18を形成する。分離溝18は、分割溝15の底部にのみ形成され、内部分割溝15iの底部には形成されない。この様にして、分割溝15及び分離溝18によってマイクロ発光素子100iの外形を定める。一方、内部分割溝15iは1個のマイクロ発光素子100iの発光層12を2個に分割する。
【0215】
分離溝18を形成した後、
図22の(d)に示す様に、透明絶縁膜17を堆積し、
図22の(e)に示す様にPコンタクトホール19Pを形成する。ここで、Pコンタクトホール19Pは、メサ16毎に形成される。Pコンタクトホール19Pを形成する工程以降の工程は、画像表示素子200iの製造工程を含めて実施形態9の画像表示素子200hの製造工程と同一である。又、N接続領域3では、画像表示素子200iが備えるダミー素子101iが複数のメサ16を備える構成である必要はなく、実施形態9のダミー素子101hと同一の構成で良い。
【0216】
複数のメサ16を有するマイクロ発光素子100iは、以下の(1)及び(2)の様な場合に有用である。(1)冗長救済に利用する。各メサ16に互いに独立したP電極20Pを配置し、メサ16毎に独立して駆動する。2個のメサ16の内、正常な発光を示さない方には電流を流さない。正常なメサ1個だけに対して電流を流す事で、マイクロ発光素子100iの不良率を大幅に低減する事ができる。
【0217】
(2)比較的大きなマイクロ発光素子100iの発光効率を上げる。
図6の(b)に示す様に、傾斜面16Sの大きさが大きい程、光取り出し効率は向上する。従って、大きなマイクロ発光素子100iには大きな傾斜面が必要となる。しかし、大きな傾斜面を形成する事は製造技術的には難しくなる。そこで、作製可能な傾斜面のサイズに合わせて、光取り出し効率を最大限向上する事が可能な程度に複数のメサ16を形成し、複数のメサ16によってマイクロ発光素子の発光層12を分割し、マイクロ発光素子全体の光取り出し効率を向上する。
【0218】
〔実施形態11〕
(画像表示素子200jの構成)
本発明の他の実施形態について、
図23を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態11の画像表示素子200jは、傾斜面16Sを覆う透明絶縁膜17(第1透明絶縁膜)と、N側層側面11Sを覆う第2透明絶縁膜28とが別の部材である点で、これまでの実施形態と異なる。画像表示素子200jの構成は、実施形態4のマイクロ発光素子100cのN側層側面11Sの一部において、金属反射層20WとN側層側面11Sとが接続し、金属反射層20WがN電極20Nを兼ねている点で画像表示素子200cの構成と類似している。
【0219】
また、画像表示素子200jの構成は、実施形態6において、P側層13とP電極層10eとの間に、P側透明絶縁膜25(第3透明絶縁膜)が配置されている点で実施形態6の画像表示素子200eの構成と類似している。従って、画像表示素子200jは、マイクロ発光素子と駆動回路基板とを貼り合わせて成長基板9を除去した後に共通N電極40を形成する必要がないという付加的利点と、P側透明絶縁膜25により光取り出し効率を更に向上させる事ができるという付加的な利点とを有している。
【0220】
(マイクロ発光素子100jの製造工程)
図23の(a)から(j)は、本発明の実施形態11に係るマイクロ発光素子100jの製造工程を示す断面模式図である。マイクロ発光素子100jは、画像表示素子200jに含まれるものである。マイクロ発光素子100jの製造工程の説明において、P側層13側を上方、成長基板9側を下方とする。
図23の(a)に示す様に、成長基板9上にN側層11、発光層12、及びP側層13を順次積層する事で化合物半導体14を積層する。実施形態1の様なP電極層は、この段階では堆積されない。
【0221】
化合物半導体14を積層した後、
図23の(b)に示す様に、P側層13、発光層12、及びN側層11の一部をエッチングして、分割溝15を形成する。この時、発光層12を含む部分がメサ16となる。メサ16の側面である傾斜面16Sは、他の実施形態と同様に傾斜角度θeで傾斜させる。
【0222】
分割溝15を形成した後、
図23の(c)に示す様に、N側層11、発光層12、及びP側層13の露出部分を覆う様に透明絶縁膜17を堆積する。この後、実施形態6と同様に、メサ16の上部に堆積された透明絶縁膜17の部分に、P電極層コンタクトホール26を形成し、P電極層10jを堆積する。その結果、
図23の(d)に示す様な状態になる。マイクロ発光素子100jの透明絶縁膜17は、傾斜面16Sを覆う透明絶縁膜(第1透明絶縁膜)としての役割、及び実施形態6のP側透明絶縁膜25(第3透明絶縁膜)としての役割を果たしている。
【0223】
P電極層10jを堆積した後、
図23の(e)に示す様に、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法によってP電極層10jをP電極層パターン10Pへ加工する。P電極層パターン10Pは、メサ16の上部に堆積されたP側層13を少なくとも覆い、傾斜面16Sの少なくとも一部を覆う。
【0224】
P電極層10jをP電極層パターン10Pへ加工した後、
図23の(f)に示す様に、分割溝15の底部に分離溝18を形成する。P電極層パターン10Pの加工は、分離溝18の形成と同時に行われても良い。分離溝18の側面であるN側層側面11Sは、他の実施形態と同様に傾斜角度θbで傾斜させる。
【0225】
分離溝18を形成した後、
図23の(g)に示す様に、透明絶縁膜17及びP電極層パターン10Pの露出部分を覆う様に第2透明絶縁膜28を堆積する。第2透明絶縁膜28については、透明絶縁膜17と同様の材料を適用できる。第2透明絶縁膜28を堆積した後、
図23の(h)に示す様に、実施形態4の
図12の(b)と同様に、第2透明絶縁膜28に対してPコンタクトホール19P及び底部開口部19BNを形成する。
【0226】
次に、
図23の(i)に示す様に、N側層11、透明絶縁膜17、及び第2透明絶縁膜28の露出部分を覆う様に金属層20を堆積し、更に、
図23の(j)に示す様に、金属層20をP電極20P、及びN電極20Nと兼用する金属反射層20Wへ加工する。これらの工程は
図12の(c)及び(d)に示す工程と同様である。画像表示素子200jの製造工程は、実施形態4の
図12の(e)及び(f)に示す工程と同様に、接続材70によって駆動回路基板50cにマイクロ発光素子100jを接続し、成長基板9を除去する。
【0227】
画像表示素子200jの構成では、N側層側面11Sの大半は、第2透明絶縁膜28によって覆われ、第2透明絶縁膜28の外側を金属反射層20Wが覆っている。一方、傾斜面16Sの上部の一部は、透明絶縁膜17及びP電極層パターン10Pに覆われ、傾斜面16Sの下部の一部は、透明絶縁膜17及び第2透明絶縁膜28に覆われ、第2透明絶縁膜28の外側を金属反射層20Wが覆っている。
【0228】
傾斜面16Sの中央部の一部は、透明絶縁膜17及びP電極層パターン10Pに覆われ、P電極層パターン10Pの外側を、第2透明絶縁膜28及び金属反射層20Wが覆っている。P電極層パターン10Pと金属反射層20Wとは互いに重なって配置されており、マイクロ発光素子100jから外部への光漏洩を防止している。
【0229】
画像表示素子200jの構成では、N側層側面11Sの大半、傾斜面16S、及びP側層13の大半を、透明絶縁膜17及び第2透明絶縁膜28で覆い、第2透明絶縁膜28の外側に反射率の高い金属膜として金属反射層20Wを配置する事ができる。これにより、光漏洩を防止しつつ、非常に高い光取り出し効率を実現する事ができる。また、画像表示素子200jにおいて、
図23の(j)に示す様に、N側層側面11Sと金属反射層20Wとの間には、第2透明絶縁膜28が配置されている。
【0230】
〔実施形態12〕
(画像表示素子200kの構成)
本発明の他の実施形態について、
図24を用いて以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態12の画像表示素子200kは、傾斜面16Sを覆う透明絶縁膜17(第1透明絶縁膜)、及びP側透明絶縁膜25(第3透明絶縁膜)の構成が異なる点で、実施形態11の画像表示素子100jと異なる。また、画像表示素子200kでは、N側層11への金属電極の接続方法が画像表示素子100jと異なるが、画像表示素子100jと同様の効果を実現できる。
【0231】
(マイクロ発光素子100kの製造工程)
図24の(a)から(i)は、本発明の実施形態12に係るマイクロ発光素子100kの製造工程を示す断面模式図である。マイクロ発光素子100kは、画像表示素子200kに含まれるものである。
図23の(a)から(c)に示す工程と同様の工程を経た後の状態が
図24の(a)に示す状態である。
【0232】
図24の(a)に示す工程の段階で形成されている透明絶縁膜を透明絶縁膜17Aとする。次いで、
図24の(b)に示す様に、分割溝15の底部に分離溝18を形成する。分離溝18の側面であるN側層側面11Sは、他の実施形態と同様に傾斜角度θbで傾斜させる。分割溝15の底部には、分離溝18が形成された後においても、Nコンタクトホール19Nを形成する為の平坦部が残される事が好ましい。
【0233】
分離溝18が形成された後、
図24の(c)に示す様に、N側層側面11S及び透明絶縁膜17Aの露出部分を覆う様に透明絶縁膜17Bを堆積する。更に、
図24の(d)に示す様に、分割溝15の平坦部に堆積された透明絶縁膜17A・17Bの部分に、Nコンタクトホール19Nを形成する。
【0234】
Nコンタクトホール19Nを形成した後、
図24の(e)に示す様に、N側層11及び透明絶縁膜17A・17Bの露出部分を覆う様に金属層20を堆積する。金属層20を堆積した後、
図24の(f)に示す様に、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて、金属層20を金属反射層20Wへパターン加工する。金属反射層20WはN側層側面11S及び傾斜面16Sを覆う。金属反射層20WはNコンタクトホール19Nにおいて、N側層11と電気的に接続する。金属反射層20Wは、分離溝18及び分割溝15を覆っても良い。
【0235】
金属層20をパターン加工した後、
図24の(g)に示す様に、透明絶縁膜17B及び金属反射層20Wの露出部分を覆う様に透明絶縁膜17Cを堆積し、透明絶縁膜17Cの表面をCMP法によって平坦化する。透明絶縁膜17Cの表面を平坦化した後、
図24の(h)に示す様に、P側層13が露出する様に、透明絶縁膜17A・17B・17Cを除去する事でP電極層コンタクトホール26を形成する。
【0236】
また、金属反射層20Wが露出する様に、透明絶縁膜17Cを除去する事でN電極層コンタクトホール29を形成する。P側層13、透明絶縁膜17C、及び金属反射層20Wの露出部分を覆う様に、P電極層10kを堆積する。P電極層10kを堆積する工程は、実施形態6の画像表示素子200eにおけるP電極層10eを堆積する工程と同様に行われる。P電極層10kを堆積した後、
図24の(i)に示す様に、P電極層10kをパターン加工する事で、P電極20P及びN電極20Nを形成する。
【0237】
画像表示素子200kの構成では、
図24の(i)に示す様に、透明絶縁膜17B(第2透明絶縁膜)がN側層側面11Sを覆い、透明絶縁膜17A及び透明絶縁膜17Bの積層膜(第1透明絶縁膜)が傾斜面16Sを覆う。又、透明絶縁膜17A、透明絶縁膜17B、及び透明絶縁膜17Cの積層膜がP側透明絶縁膜(第3透明絶縁膜)となる。金属反射層20WとP電極20Pとは、光放出面側とは反対側からの平面視において、互いに重なって配置されている。
【0238】
尚、画像表示素子200kの金属反射層20Wの製造工程として、ダマシン法を採用する事もできる。即ち、分割溝15及び分離溝18に金属層20を埋める様に堆積した後、金属層20の表面をCMP法によって平坦化し、メサ16上の透明絶縁膜17Bを露出させる事で、金属反射層20Wを形成する事ができる。この場合には、透明絶縁膜17Cの表面をCMP法によって平坦化する必要がなくなる。また、N電極層コンタクトホール29の深さとP電極層コンタクトホール26の深さとの相違が少なくなり、N電極層コンタクトホール29とP電極層コンタクトホール26とを同時に形成する事が容易となるという利点がある。
【0239】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るマイクロ発光素子は、光放出面側から順に、第1導電層、発光層、及び前記第1導電層とは反対導電型の第2導電層が積層した化合物半導体を備えるマイクロ発光素子であって、前記光放出面側とは反対側の面には、前記第2導電層と導通する第1金属膜が配置されており、前記第1金属膜は前記第2導電層を覆っており、前記発光層の周囲には傾斜面が形成されており、前記傾斜面から前記光放出面まで至る第1導電層側面の第1傾斜角度は、前記傾斜面の第2傾斜角度より大きい角度であり、前記傾斜面及び前記第1導電層側面が共に第2金属膜で覆われており、前記傾斜面と前記第2金属膜との間に第1透明絶縁膜が配置されている。
【0240】
本発明の態様2に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第1導電層側面と前記第2金属膜との間に、第2透明絶縁膜が配置されていても良い。
【0241】
本発明の態様3に係るマイクロ発光素子は、前記態様2において、前記第2透明絶縁膜は、前記第1透明絶縁膜が前記第1導電層側面と前記第2金属膜との間まで延伸したものであっても良い。
【0242】
本発明の態様4に係るマイクロ発光素子は、光放出面側から順に、第1導電層、発光層、及び前記第1導電層とは反対導電型の第2導電層が積層した化合物半導体を備えるマイクロ発光素子であって、前記光放出面側とは反対側の面には、前記第2導電層と導通する第1金属膜が配置されており、前記第1金属膜は前記第2導電層を覆っており、前記発光層の周囲には傾斜面が形成されており、前記傾斜面は前記光放出面まで延伸し、かつ、第2金属膜で覆われており、前記傾斜面と前記第2金属膜との間に第1透明絶縁膜が配置されている。
【0243】
本発明の態様5に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第2導電層と前記第1金属膜との間に、第3透明絶縁膜が配置されていても良い。
【0244】
本発明の態様6に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記光放出面側とは反対側からの平面視において、前記第2金属膜が前記第1金属膜と重なって配置されていても良い。
【0245】
本発明の態様7に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記透明絶縁膜の膜厚は75nm以上であっても良い。
【0246】
本発明の態様8に係るマイクロ発光素子は、前記態様7において、前記透明絶縁膜の膜厚は400nm以上であっても良い。
【0247】
本発明の態様9に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第2傾斜角度は60°以下であっても良い。
【0248】
本発明の態様10に係るマイクロ発光素子は、前記態様9において、前記第2傾斜角度は50°以下であっても良い。
【0249】
本発明の態様11に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第1金属膜は、前記化合物半導体側に、銀又はアルミニュウムを主成分とする層を有しても良い。
【0250】
本発明の態様12に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第2金属膜は、前記化合物半導体側に、銀又はアルミニュウムを主成分とする層を有しても良い。
【0251】
本発明の態様13に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記透明絶縁膜はSiO
2膜であっても良い。
【0252】
本発明の態様14に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第1傾斜角度は90°未満であっても良い。
【0253】
本発明の態様15に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第2金属膜は、前記第1導電層と導通していても良い。
【0254】
本発明の態様16に係るマイクロ発光素子は、前記態様15において、前記光放出面側とは反対側の面に、前記第2金属膜と導通する第2電極を有しても良い。
【0255】
本発明の態様17に係るマイクロ発光素子は、前記態様1において、前記第1導電層における前記光放出面側の面に、前記第1導電層と導通する透明導電膜から成る光放出面側電極を有しても良い。
【0256】
本発明の態様18に係る画像表示素子は、前記態様1から17の何れかにおいて、前記マイクロ発光素子が2次元アレイ状に駆動回路基板上に配置された画素領域を有し、前記マイクロ発光素子における前記光放出面側とは反対側の面が前記駆動回路基板の表面に対面しており、前記駆動回路基板における前記画素領域の表面には、前記マイクロ発光素子に電流を供給する為の第1駆動電極が2次元アレイ状に配置されており、前記光放出面側とは反対側の面に配置され、かつ、前記第1金属膜と導通する第1電極と前記第1駆動電極とが1対1の関係で接続されていても良い。
【0257】
本発明の態様19に係る画像表示素子は、前記態様17において、前記マイクロ発光素子が2次元アレイ状に駆動回路基板上に配置された画素領域を有し、前記マイクロ発光素子における前記光放出面側とは反対側の面が前記駆動回路基板の表面に対面しており、前記駆動回路基板における前記画素領域の表面には、前記マイクロ発光素子に電流を供給する為の第1駆動電極が2次元アレイ状に配置されており、前記光放出面側とは反対側の面に配置され、かつ、前記第1金属膜と導通する第1電極と前記第1駆動電極とが1対1の関係で接続されており、前記駆動回路基板における前記画素領域の外側の表面には、第2駆動電極が配置されており、前記第2駆動電極は、前記光放出面側電極と導通しても良い。
【0258】
本発明の態様20に係る画像表示素子は、前記態様16において、前記マイクロ発光素子が2次元アレイ状に駆動回路基板上に配置された画素領域を有し、前記マイクロ発光素子における前記光放出面側とは反対側の面が前記駆動回路基板の表面に対面しており、前記駆動回路基板における前記画素領域の表面には、前記マイクロ発光素子に電流を供給する為の第1駆動電極及び第2駆動電極が2次元アレイ状に配置されており、前記光放出面側とは反対側の面に配置され、かつ、前記第1金属膜と導通する第1電極と前記第1駆動電極とが1対1の関係で接続されており、前記第2電極と前記第2駆動電極とが接続されていても良い。
【0259】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせる事により、新しい技術的特徴を形成する事ができる。