特許第6915062号(P6915062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6915062ショッピングカートまたは他の容器の口に結合可能なRFIDウィンドウ付き装置、及び識別方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915062
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】ショッピングカートまたは他の容器の口に結合可能なRFIDウィンドウ付き装置、及び識別方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20210727BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   G06K7/10 148
   G06K7/10 240
   G06K7/10 248
   G07G1/00 301Z
   G07G1/00 311D
【請求項の数】16
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-532207(P2019-532207)
(86)(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公表番号】特表2019-533263(P2019-533263A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】ES2017070591
(87)【国際公開番号】WO2018042068
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年8月14日
(31)【優先権主張番号】P201631138
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519069408
【氏名又は名称】ハビエル・フェレル・アロス・モデロス・インフォルマティコス・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】JAVIER FERRER ALOS MODELOS INFORMATICOS, S.L.
(73)【特許権者】
【識別番号】519069419
【氏名又は名称】ポルティチュエロ・フォトボルタイカ・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】PORTICHUELO FOTOVOLTAICA, S.L.
(73)【特許権者】
【識別番号】519069420
【氏名又は名称】イバン・ヒメネス・モラレス
【氏名又は名称原語表記】Ivan JIMENEZ MORALES
(73)【特許権者】
【識別番号】519069431
【氏名又は名称】イスマエル・エレロス・マルチャンテ
【氏名又は名称原語表記】Ismael HERREROS MARCHANTE
(73)【特許権者】
【識別番号】519069442
【氏名又は名称】ビセンテ・カンポス・テナ
【氏名又は名称原語表記】Vicente CAMPOS TENA
(73)【特許権者】
【識別番号】519069453
【氏名又は名称】ラモン・ドルス・ガルシア
【氏名又は名称原語表記】Ramon DOLZ GARCIA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル・フェレル・アロス
【審査官】 境 周一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0284132(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0140850(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0208072(US,A1)
【文献】 特開平11−120438(JP,A)
【文献】 特開平07−272126(JP,A)
【文献】 特開2007−034789(JP,A)
【文献】 特開2000−259947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 1/00−21/08
G07G 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショッピングカートの口に結合可能な、RFID(無線周波数識別)ウィンドウ付き装置であって、
フレームを備え、該フレームは、
光カーテンから来る複数の光線が水平方向に横切るウィンドウと、
前記ウィンドウの枠の辺のいずれか1つに位置する赤外線センサと、
少なくとも2つのUHFアンテナに接続されたRFIDリーダと、
前記赤外線センサ、前記光カーテン、及び前記RFIDリーダに接続されたプロセッサと
を備え、
前記2つのUHFアンテナは、前記ウィンドウの前記枠の対向辺に配置されると共に、前記フレーム上に角度αで傾斜しており、これらのアンテナの放射ビームは前記ウィンドウのスペースを覆い、
前記赤外線センサは、前記ウィンドウに接近する少なくとも1つの物体を検出するように構成されており、前記UHFアンテナは、前記赤外線センサが前記少なくとも1つの接近する物体を検出すると作動するように構成されており、前記RFIDリーダは、前記ウィンドウを通ってカートに出入りする物体に組み込まれたRFIDタグのEPCコードを検出し、識別するように構成されており、前記光カーテンはこの光カーテンを通過する物体を検出するように構成されており、前記プロセッサは前記カート内に残っている物体を電子購入リストに保存するように構成されていることを特徴とするRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項2】
前記フレームは、複数のカートが重ねられたとき前記RFIDウィンドウ付き装置を電気的に切断するように構成された第1電力供給回路を備え、前記第1電力供給回路は、
セパレータ部と、
ぱねと導電性金属部分とを内側に備えたガイド部と
を備え、
上記複数のカートが重ねられたとき、重ねられた第1のカートのセパレータ部は、重ねられた第2のカートのガイド部内に導入されて、前記導電性金属部分を介して前記ばねを圧縮して、前記第1電力供給回路を開くように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項3】
前記フレームは、複数のカートが重ねられたとき前記RFIDウィンドウ付き装置の電源バッテリを再充電するように構成された第2電力供給回路を備え、前記第2電力供給回路は、
電気コネクタと、
正極に接続された溝及び負極に接続された溝と、
正極に接続された金属タブ及び負極に接続された金属タブと
を備え、
重ねられた第1のカートの前記正極に接続された金属タブ及び前記負極に接続された金属タブは、重ねられた第2のカートの前記正極に接続された溝及び前記負極に接続された溝にそれぞれ接続されるように構成されており、前記重ねられた第1のカートの前記電気コネクタは外部電源に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項4】
前記ウィンドウは400mm×400mmの寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項5】
前記UHFアンテナは0°から26°の値の傾斜角度をもって前記フレームの水平面上に配置されており、前記UHFアンテナは、前記UHFアンテナの鉛直面及び水平面に対する放射ビーム幅βが80°から150°の値であることを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項6】
前記光カーテンは、この光カーテンの光線が前記ウィンドウによって画定されるスペースの表面全体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項7】
前記フレームはさらに、
前記カートに導入された物体の情報を表示するように構成されたLCDスクリーンと、
リアルタイムで前記カートの識別及び位置特定が行われるように構成されたアクティブRFIDタグと、
前記カートのユーザにとって関心のある音声情報を発するように構成されたスピーカと、
支払いエリア内にある前記カートの識別が行われるように構成されたパッシブRFIDタグと
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項8】
前記UHFアンテナは、前記赤外線センサによる物体の検出の間及び前記光カーテンが遮断されている間作動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項9】
少なくとも4つのUHFアンテナを備え、これらの4つのUHFアンテナは、前記ウィンドウの枠の対向する2辺に2つずつ又は前記ウィンドウの枠の各辺に1つずつ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDウィンドウ付き装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載のRFIDウィンドウ付き装置を備えたショッピングカート。
【請求項11】
ベースと、前壁と、2つの側壁と、後壁とを備え、
前記後壁は横方向に開くようになっている2つのサイドパネルと縦方向に開くようになっている上パネルとを備えていることを特徴とする請求項10に記載のショッピングカート。
【請求項12】
RFIDウィンドウ付き装置に内蔵されたプロセッサを用いた、RFIDウィンドウ付き装置における無線周波数による識別方法であって、
前記プロセッサが、前記RFIDウィンドウ付き装置のウィンドウに接近する少なくとも1つの物体を、前記ウィンドウの枠の辺のいずれか1つに位置する赤外線センサによって検出することと、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つの物体の検出に応答して、前記ウィンドウの枠の対向辺に配置されたUHFアンテナを作動させることと、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つの物体のRFIDタグの第1のEPCコードを、前記ウィンドウの枠の前記対向辺の1つに配置されたRFIDリーダによって検出して識別し、前記第1のEPCコードを前記プロセッサのファイルに保存することと、
前記プロセッサが、前記ウィンドウの枠内に設けられた光カーテンの遮断及び復元に応答して、第2のEPCコードを検出して識別することとを備えたことを特徴とする、無線周波数による識別方法。
【請求項13】
第2のEPCコードが検出されない場合には、前記保存された第1のEPCコードに対応する物体がカート内へ入ったと判定することを特徴とする請求項12に記載の無線周波数による識別方法。
【請求項14】
第2のEPCコードが検出された場合には、この第2のEPCコードが前記第1のEPCコードと同じかどうかが照合され、
両者が同じである場合には、物体が出たと判定して、前記ファイルから、保存されていた前記第1のEPCコードに対応する物体を削除し、
両者が異なる場合には、前記第1のEPCコードに対応する物体が入ったと判定すると共に、物体が出たと判定し、前記ファイルから、保存されていた前記第2のEPCコードに対応する物体を削除することを特徴とする請求項12に記載の無線周波数による識別方法。
【請求項15】
第1のEPCコードが検出されず、かつ、第2のEPCコードが検出されたときは、物体が出たと判定して、前記ファイルから、前記第2のEPCコードに対応する物体を削除することを特徴とする請求項12に記載の無線周波数による識別方法。
【請求項16】
容器を収納するように構成された構造物に結合可能な、RFID(無線周波数識別)ウィンドウ付き装置であって、
フレームを備え、該フレームは、
光カーテンから来る複数の光線が水平方向に横切るウィンドウと、
前記ウィンドウの枠の辺のいずれか1つに位置する赤外線センサと、
少なくとも2つのUHFアンテナ又はSHFアンテナに接続されたRFIDリーダと、
前記赤外線センサ、前記光カーテン、及び前記RFIDリーダに接続されたプロセッサと
を備え、
前記2つのUHFアンテナ又はSHFアンテナは、前記ウィンドウの前記枠の対向辺に配置されると共に、前記フレーム上に角度αで傾斜しており、これらのアンテナの放射ビームは前記ウィンドウのスペースを覆い、
前記赤外線センサは、前記ウィンドウに接近する少なくとも1つの物体を検出するように構成されており、前記UHFアンテナ又はSHFアンテナは、前記赤外線センサが前記少なくとも1つの接近する物体を検出すると作動するように構成されており、前記RFIDリーダは、前記ウィンドウを通って前記容器に出入りする物体に組み込まれたRFIDタグに内蔵されたEPCコードを検出し、識別するように構成されており、前記光カーテンはこの光カーテンを通過する物体を検出するように構成されており、前記プロセッサは前記容器内に残っている物体を電子購入リストに保存するように構成されていることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショッピングカートまたは他の容器の口に結合可能なRFID(無線周波数識別)ウィンドウ付き装置に関する。このRFIDウィンドウ付き装置は、電子ファイル内の識別された製品のリストがこの装置のウィンドウを通過したカート内又は他の容器内の製品に対応するようにこの装置が作成した電子ショッピングリストの自動支払い又は単なる記録を可能とするようRFIDラベルが付された製品の出し入れを効率的かつ十分に確実な方法で検出することができるものである。本発明は、また、識別方法に関する。
【解決課題及び背景技術】
【0002】
今世紀の始めにおけるウォルマート社(米国)による無線による製品の識別(RFID)技術を食品分野に組み込むという試み以来、スーパマーケット内のショッピングカートでの自動購入を達成すべく、この識別技術をUHF(Ultra Hight Frequency 極超短波)スペクトル(ETSI(European Telecommunications Standard Institute 欧州電気通信標準化機構) 860−960MHz帯、FCC(Federal Communications Commission of the United States 米国の連邦通信委員会) 902−928MHz帯)に組み込むための多大なる発明的努力が行われてきた。
【0003】
本発明が食品流通部門(スーパマーケット、店、等)に提供する利点は多数ある。例えば、販売コストの劇的減少、レジにおける人的費用を、付加価値のある他の業務のために再利用できること、顧客がカートから品物を降ろし、レジ係がそれらの品物をスキャンし、スキャンされた品物を再度カートに入れる必要を無くすことによりレジ前の列を無くせること、RFIDタグに格納(保存)されたEPCコード(Electronic Product Code 電子製品コード)によってリアルタイムで生鮮食料品をユニット単位でチェックできること、等々である。
【0004】
今まで、製品の購入にRFIDを効率的に組み込む試みは、ユーザが製品を彼らのカートに入れ込もうとすると製品の識別において最低限の確実性(seguridad)レベルも生じさせてこなかった。これまでの種々の実施は、レジでのアシスタントの介在がなければ、最終自動支払のための信頼性に欠ける電子購入リストを生成してきた。
【0005】
現在の技術水準では次の特許文献が知られている。US 7443295 B2, US 2009230643 A1, US 20080149710 A1, US 20060208072 A1, US 20030015585 A1 及び PCT/US 2015/042438である。これらの特許文献の幾つかにおいて提供されているソリューションは、カートの側面の1つ又は全部に、異なる高さでUHFアンテナを配置することで一致している。これには、RFIDタグの読み取り確実性を改善するために、カートの底部にアンテナをさらに配置する場合も含まれるが、いずれにしても、RFIDタグの読み取り確実性の改善性は、必要な効率を伴っていない。他の特許文献では、RFIDセンサの使用が示されているだけで、可動のカート又はバスケット内にUHFアンテナ又はSHFアンテナをどのように配置するのか(これはRFID技術の効率のために必要不可欠な要素の一つである。)についての必要な説明が図に示されていない。何れの場合も、要求される信頼性レベルのために過度に開放されたカートの形状におけるRFID技術に内在する、偶発的な読み取り不良(読み取り不足)はショッピングリストのずれを生じさせ(読み取り失敗)、このため、スーパマーケットにおいて展開できるレベルでの支払自動化は実行不可能である。
【0006】
電子商取引の普及は、大手の物流業者に「ピッキング」つまり注文品の準備の新規な技術を開発することを強制した。その技術とは、例えば、製品棚を注文品ピッカーのテーブルに移動させるためのアマゾン(Amazon)によるロボット(KIVAシステムズ、2014年)の使用で、ピッカーはもはやカートを引いて通路を歩き回るのではなく、可動棚に載って彼らのところに来た製品を注文ボックスの中に入れる作業に従事するのである。そうであっても、注文品ピッカーは、各製品をスキャンすべくバーコードガンを保持しておくために常に片手が必要であり、そのことが、処理をより良好に実行するために両手を自由にしておくことを不可能とする。それは食品部門での電子商取引の場合には特に不効率である。なぜならば、1つの注文ボックスに実に多くの数の製品がぴったりと収まらなければならないからで、両手の使用が不可欠であるからである。カートを引いて通路を歩き回るピッカーによってピッキングを行い続ける物流業者たちのために、本発明は、入れられた製品の自動記録という同じ利点を、各製品のスキャンなしに提供するものである。
【0007】
RFIDタグが付いた製品に関する電子商取引における注文品の準備において本発明が提供する利点とは、装置のウィンドウを通過して、カートのバスケット内又は直接注文ボックス内に導入される製品の識別及び記録、各製品をスキャンする必要が無く、作業員の自由な両手が製品をぴったり詰めるために使用されること、そして、カートのバスケット内又は注文ボックス内の製品の積み荷について中央システムとのリアルタイムでの通信である。
【0008】
磁気インクを使用するRFIDタグ(チップレス)のコストの漸減と「モノのインターネット」(IoT)の開発とにより、RFIDタグのついた製品の識別の急増は、現在のバーコードに広く取って代わり始めている。そのような状況において、本発明は、小サイズの容器つまり、カート、箱、等々に入れられるRFIDタグのついた製品(食品、手工業製品、郵便小包及び封筒、現金輸送用の袋、等)の識別及び記録用の効率的システムが必要とされる如何なる商業的な製造環境又は管理環境においても利点(利益)を提供する。
【0009】
したがって、本発明は、前記した従来技術の問題点を、特に、RFID技術を採用することに最も遅れている部門である食品流通部門において、解決するものである。この部門においては、コンサルタント会社の予測は、RFIDタグのコストが約1セントに下がることで、バーコードによる製品の識別からRFIDタグへの変更が来る数年の内に起こることを知らせている。
【発明の開示】
【0010】
本発明の第1の側面(アスペクト)においては、ショッピングカートの口に結合可能な、RFID(無線周波数識別)ウィンドウ付き装置であって、フレームを備え、該フレームは、
光カーテンから来る複数の光線が水平方向に横切る(好ましくは400mm×400mmの寸法を有する)ウィンドウ(前記光カーテンはこの光カーテンの光線が前記ウィンドウによって画定されるスペースの表面全体を覆うように設けられるべきである)と、
前記ウィンドウの枠の辺のいずれか一つに位置する赤外線センサと、
少なくとも2つのUHFアンテナに接続されたRFIDリーダと、
前記赤外線センサ、前記光カーテン、及び前記RFIDリーダに接続されたプロセッサと
を備え、
前記2つのUHFアンテナは、前記ウィンドウの前記枠の対向辺に配置されると共に、前記フレーム上に角度αで傾斜しており、これらのアンテナの放射ビームは前記ウィンドウのスペースを覆い、
前記赤外線センサは、前記ウィンドウに接近する少なくとも1つの物体を検出するように構成されており、前記UHFアンテナは、前記赤外線センサが前記少なくとも1つの接近する物体を検出すると作動するように構成されており、前記RFIDリーダは、前記ウィンドウを通ってカートのバスケットに出入りする物体に組み込まれたRFIDタグに含まれたコード(EPCその他のコード)を検出し、識別するように構成されており、前記光カーテンはこの光カーテンを通過する如何なる物体も検出するように構成されており、前記プロセッサは前記カート内に残っている物体を電子購入リストに保存するように構成されていることを特徴とするRFIDウィンドウ付き装置が提供される。
【0011】
前記フレームは、複数のカートが重ねられたとき該RFIDウィンドウ付き装置を電気的に切断するように構成された第1電力供給回路を備え、前記第1電力供給回路は、セパレータ部と、ぱねと導電性金属部分とを内側に備えたガイド部とを備え、上記複数のカートが重ねられたとき、重ねられた第1のカートのセパレータ部は、重ねられた第2のカートのガイド部内に導入されて、前記導電性金属部分を介して前記ばねを圧縮して、前記第1電力供給回路を開くように構成されている。さらに、前記フレームは複数のカートが重ねられたとき該RFIDウィンドウ付き装置の電源バッテリを再充電するように構成された第2電力供給回路を備え、前記第2電力供給回路は、電気コネクタと、正極に接続された溝及び負極に接続された溝と、正極に接続された金属タブ及び負極に接続された金属タブとを備え、重ねられた第1のカートの前記正極に接続された金属タブ及び前記負極に接続された金属タブは、重ねられた第2のカートの前記正極に接続された溝及び前記負極に接続された溝にそれぞれ接続されるように構成されており、前記重ねられた第1のカートの前記電気コネクタは外部電源に接続されるように構成されている。
【0012】
前記UHFアンテナは、前記赤外線センサによる物体の検出の間及び前記光カーテンが遮断されている間(したがって、この間は、これらのアンテナによって連続放射が生成されず、早期のバッテリ消費と近隣のRFIDタグを所望せず読み取ることになるかもしれない周囲への過剰放射を防止する)、作動するように構成されている。また、前記UHFアンテナは0°から26°の値の傾斜角度をもって前記フレームの水平面上に配置されており、前記UHFアンテナは、前記UHFアンテナの鉛直面及び水平面に対する放射ビーム幅βが80°から150°の値である。
【0013】
前記フレームはさらに、前記カートに導入された物体の情報を表示するように構成されたLCD(液晶表示装置)スクリーンと、リアルタイムで前記カートの識別及び位置特定が行われるように構成されたアクティブRFIDタグと、前記カートのユーザにとって関心のある音声情報を発するように構成されたスピーカと、支払いエリア内にある前記カートの識別が行われるように構成されたパッシブRFIDタグとを備えている。
【0014】
前記RFIDウィンドウ付き装置は、少なくとも4つのUHFアンテナを備え、これらの4つのUHFアンテナは、前記ウィンドウの枠の対向する2辺に2つずつ又は前記ウィンドウの枠の各辺に1つずつ配置されている。
【0015】
本発明の第2の側面(アスペクト)において、本発明の第1の側面に係るRFIDウィンドウ付き装置を搭載したショッピングカートが提供される。好ましい実施形態において、前記カート(ショッピングカート)は、ベース(底部)と、前壁と、2つの側壁と、後壁とを備え、カートを重ねるために、前記後壁は横方向に開くようになっている2つのサイドパネルと縦方向に開くようになっている上パネルとを備えている。
【0016】
本発明の第3の側面(アスペクト)において、本発明の第2の側面で定義されたショッピングカートを備えた、RFID無線周波数による識別機能付き自動支払点(箇所)が提供される。一実施形態では、前記自動支払点は、
その中にカートを置くことのできるバー構造と、
ローカルサーバに接続されたコンピュータと,LCDスクリーンと,電子支払手段と,照明信号灯と,レシートプリンタと,カートの識別用RFIDコードを読み取るためのRFIDタグリーダとを備えた支払いステーションと、
前記コンピュータに接続され、前記コンピュータから受け取った指示に従って前記バー構造から前記カートが出るのをブロック(阻止)するか又は可能とする折り畳み式バー(揺動バー)と、
前記コンピュータに接続され、前記バー構造内に置かれたカートの重量を測定するフロアスケールと
を備え、
前記コンピュータは前記ローカルサーバに、前記支払いステーションの識別番号と,カートの識別用RFIDコードと,カートの重量とを送信し、前記コンピュータは前記ローカルサーバから指示を受信し、それにより前記コンピュータは前記折り畳み式バーを作動させる。前記コンピュータが受け取る指示は、フロアスケールによって算出された重量からカートの重量を引いた重量が、カート内に入れられている製品の重量に基づいて中央サーバが算出した重量と同じかそれに近い場合には、このカートが出ることができるようにする(イネーブルする)ものである。
【0017】
本発明の第4の側面(アスペクト)においては、RFIDウィンドウ付き装置によって、RFIDウィンドウを通過する製品を識別することのできる、RFID無線周波数による識別方法が提供される。このRFIDによる識別方法は、RFIDウィンドウ付き装置のウィンドウに接近する少なくとも1つの物体を赤外線センサによって検出するステップと、前記少なくとも1つの物体の検出に応答してUHFアンテナを作動させるステップと、前記少なくとも1つの物体のRFIDタグの第1のコード(EPCまたは他のタイプのコード)をRFIDリーダによって検出して識別し、前記第1のコード(EPCまたは他のタイプのコド)をプロセッサのファイルに保存するステップと、光カーテンの遮断及び復元に応答して、第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)を検出して識別するステップとを備えている。
【0018】
第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)が検出されない場合には、保存されている前記第1のRFIDタグコードに対応する物体がカート内へ入ったと判定される。
【0019】
第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)が検出された場合には、この第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)が前記第1のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)と同じかどうかが照合され、両者が同じである場合には、物体が出たと判定して、前記ファイルから、保存されていた前記第1のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)に対応する物体を削除し、両者が異なる場合には、前記第1のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)に対応する物体が入ったと判定すると共に、物体が出たと判定し、前記ファイルから、保存されていた前記第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)に対応する物体を削除する。
【0020】
第1のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)が検出されず、かつ、第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)が検出されたときは、物体が出たと判定して、前記ファイルから、前記第2のRFIDタグコード(EPCまたは他のタイプのコード)に対応する物体を削除する。
【0021】
本発明の第5の側面(アスペクト)において、容器を収納するように構成された構造物に結合可能な、RFID(無線周波数による識別)ウィンドウ付き装置が提供される。この装置は、本発明の第1の側面(アスペクト)に係る装置と同じ特徴を備えている。
【0022】
本発明の第6の側面(アスペクト)において、容器に結合可能な、RFID(無線周波数による識別)ウィンドウ付き装置が提供される。この装置は、本発明の第1の側面(アスペクト)に係る装置と同じ特徴を備えている。
【0023】
本発明の第7の側面(アスペクト)において、本発明の第5の側面(アスペクト)に係る装置を備えた容器用構造物が提供される。
【0024】
本発明の第8の側面(アスペクト)において、本発明の第6の側面(アスペクト)に係る装置を備えた容器が提供される。
【0025】
本発明の各側面及び実施形態において説明されたRFID(無線周波数識別)ウィンドウ付き装置はいずれも、容器に入れられた製品の識別が望まれる多くの構造物及び/または容器(箱、等々)に適用可能である。このため、本明細書で示したすべての実施形態及び側面は、同様の機能を有する他の容器への本発明の適用を制限すべきではない。
【0026】
本明細書全体を通じて示された側面(アスペクト)及び実施形態では、UHF860−928MHzバンドの無線周波数(RFID)の使用について説明したが、この実施形態は2.4GHzまたはSHF(Super High Frequency センチメートル波)等の他の周波数の使用を制限するものではない。SHF周波数に対しては、SHFアンテナが使用される。同様に、本発明は種々のPCB(印刷回路基板)技術に統合されたRFIDチップ付きのタグに制限されず、本発明は磁気インクで印刷されたチップレスRFIDタグというエマージングテクノロジーについても同じく有効である。同様に、例示的実施形態において使用されているEPC(Electronic Product Code)コードの使用も制限的なものではなく、いかなる他のRFID符号化であってよい。
【0027】
上述の通り、本発明の目的は、アイテムをスキャンすることについて心配することなく従来の購買活動を実現する際に、ユーザがそのショッピングカートに入れまたはショッピングカートから取り除いている製品の電子リストの記録を効率的且つ確実に行う、ショッピングカートまたは他のタイプの容器に接続可能なRFIDウィンドウ付き装置に、専ら向けられている。本発明のセンサの独創的な統合及び配置構成は該目的の達成のために現時点における最新技術における前進を表している。その意味において、RFIDウィンドウ付きキャリッジの機能性を向上させることのできるその他の装置はこの明細書から除外されているが、それらは現時点における技術水準であるので、注意を本発明からそらさないようにするために含めていない。そのような装置としては、例えば、電子リストのより良好な表示や通路エリアに応じたオファーの表示等のための10インチ以上のLCDスクリーン10や、RFIDウィンドウ付き装置のフレームにおける、ユーザのスマートホンを入れるための特別なベイ(挿入口)、等がある。ユーザにとって関心がある(重要である)かもしれないデータや情報をユーザとやりとりするために、ユーザのスマートホンをその特別なベイに入れて、装置のミニコンピュータをBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)またはニアフィールドコミュニケーション(Near Field Communication:NFC)を用いた短距離無線通信を介して ad hoc Appアプリケーションに接続する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
説明を完全にするため、そして、本発明の特徴のよりよい理解を容易にする目的で、この明細書には1組の図面がその一体部分として添付されている。図面中には、非限定的例として、以下のものが示されている。
図1】従来のカートの3D側面図及びRFIDウィンドウ付き装置の分離された側面図である。
図2図1に示された上記RFIDウィンドウ付き装置が上記カートの口に屋根の様な態様で結合された図である。
図3】フレームと、従来のカートにおけるこのフレームの最終の屋根様の結合状態を示す3D側面図である。どのように光のカーテンがUHFアンテナ上に配置されているかが分かる。
図4】別の実施形態であって、光のカーテンが、UHFアンテナ上に配置される代わりに、RFIDウィンドウの枠上に配置されている様子が見える。
図5】RFIDウィンドウ付き装置の上部の平面図であって、その装置の構成部分の配置が示されている。
図6図5の底部の平面図であって、一体化(統合、集積)された電子部品間の配線、RFIDウィンドウ付き装置から出て、閉鎖ボルトをスライドさせるソレノイドの方へと延びるケーブル、重ねられたカートのRFIDウィンドウ付き装置(複数)同士を相互に接続するための溝−タブ機構が示されている。
図7】従来のカートに屋根として開き屋根状態で結合されたRFIDウィンドウ付き装置の3D側面図で、2つの部品アクセス用カバーを備えたRFIDウィンドウ付き装置の底部を示している。
図8】フレームにおけるUHFアンテナの傾斜を示す3D側面図であり、鉛直面におけるそれらのアンテナの最大電力密度(maxima densidad de potencia de radiacion)のビーム(光線)のジオメトリ(幾何学的配置、幾何学的形状)を示す。
図9】フレームにおけるUHFアンテナの傾斜を示す3D側面図であり、水平面におけるそれらのアンテナの最大電力密度のビーム(光線)のジオメトリ(幾何学的配置、幾何学的形状)を示す。
図10】鉛直面(垂直面)及び水平面の遠方界(ファーフィールド)放射図であり、ここでは、アンテナ寸法は155×100 mm、両平面でのビーム幅β= 80°、アンテナの傾きα= 26°、ウィンドウ寸法は400×400 mmである。
図11】鉛直面及び水平面の近傍界(ニアフィールド)放射図であり、ここでは、アンテナ寸法は155×100 mm、両平面でのビーム幅β= 80°、アンテナの傾きα= 26°、ウィンドウ寸法は400×400 mmである。
図12】RFIDウィンドウ付き装置を取り付けたカートの側面図で、RFIDウィンドウ付き装置を開閉するためのボルトを伸長または後退させるソレノイドの配線の詳細を示す。
図13】RFIDウィンドウ付き装置を取り付けたカートに入れられた製品の検出プロセスを示す。
図14】RFIDウィンドウ付き装置を取り付けたカートから取り出された製品の検出プロセスを示す。
図15】本発明に従い、支払いステーションを介しての電子手段(銀行カード、携帯電話、他)、及びフロアに設けられたコントロールスケールを用いた、RFIDウィンドウ付き装置を取り付けたショッピングカートの製品の支払いの自動化を示す。
図16】RFIDウィンドウ付き装置を備えたカートが積み重ねられるように両開きのカートを示す。サイドパネルと三角形の上部パネルが見える。
図17】2つの重ねられたカートの平面図であり、外部の電源と並列にバッテリーを充電するために両方のフレームのプラスケーブル及びマイナスケーブルが確立する電気的相互接続の詳細、及び、カートの重なり(スタック)でのロック状態から解放したときのRFIDウィンドウ付き装置の構成部分の電気作動機構を示す。
図18】カートの重なり(スタック)でのロック状態から解放したときのRFIDウィンドウ付き装置の構成部分の電気作動機構を詳細に示す図である。初期状態に戻るばねによってバッテリのプラスケーブルが動かされて、そのケーブルの端子間のブリッジ(橋絡)により電源回路(給電回路)が閉じる様子の詳細を示す。
図19】カートの重なり(スタック)でロック状態となったときのRFIDウィンドウ付き装置の構成部分の電気的作動停止機構を詳細に示す図である。カートを重ねるときのユーザの押圧力によってバッテリのプラスケーブルが動かされて、そのケーブルの端子間を接続していた導電性金属部分が取り除かれたことにより開いた電源回路の詳細を示す。
図20】外部電源で再充電するために、重ねられたカートのRFIDウィンドウ付き装置のフレームのバッテリを並列接続するための電気的相互接続(配線)機構の詳細図である。
図21】RFIDウィンドウ付き装置の例示的応用例を示す。この例は、本発明に従い、キバシステムズ(Kiva systems)タイプの可動棚を備えた電子商取引(エレクトロニックコマース)の物流倉庫内における積み移載指示(ピッキングオーダ)のための固定構造物に適合するものである。
【符号の説明】
【0029】
以下は、本発明に含まれる図示された種々の要素のリストである。
1 RFIDウィンドウ付き装置
2 車輪付きカート
3 フレーム(台枠)
4,5 カバー
6 ウィンドウ
7 ハウジング
8 固定構造物
11 アクティブ(能動)RFIDタグ
12 パッシブ(受動)RFIDタグ
20 傾斜矩形突起
21,22 後部UHFアンテナ
23,24 前部UHFアンテナ
27 SMAコネクタ
29 保護回路モジュール(PCM)
30 LCDスクリーン
31 プロセッサ
32 Wi-Fiアダプタ
33 RFIDリーダ
34 バッテリ
35 スピーカ
36 赤外線センサ
37 リニアエミッタ/レシーバ
38 リニアリフレクタ
39 光カーテン
40 前記スクリーン、プロセッサ、及びRFIDリーダに電力供給するプラスケーブル
41 ヒンジ
42 ボルト
43 ハンドル
44 ケーシング
45 キャッチ(留め具、掛け金)
46 ソレノイド
47 伸縮式アーム
48 プラスケーブル
49 2本のワイヤを有するケーブル
50 マイナスケーブル
51 データ通信ケーブル
52 電源ケーブル(電力ケーブル)
61,62 サイドパネル
63 上パネル
65 係止部(止め部、ストッパ)
67 サイドパネルヒンジ
71 正極に接続された溝
72 負極に接続された溝
73 ガイド部
74 セパレータ部
75 正極に接続された金属タブ
76 負極に接続された金属タブ
77 電気コネクタ
78 ばね
79 導電性金属部分
90 外部電源
91 製品の投入
92 製品の取り出し
93 揺動バー(折り畳み式バー)の90°の回転
94 製品の投入または取り出し
95 棚の移動
100 製品
101 テーブル
102 製品の可動棚
103 箱または容器
104 セントラルサーバまたはホスト(HOST)の表示部
121 ローカルネットワーク
122 ワイヤレスアクセスポイント
123 ローカルネットワークデータ通信ケーブル
130 バー構造
131 妨害(邪魔)バー
132 揺動バー(折り畳み式バー)
133 回転モータのシャフト
140 支払装置のステーション
141 スクリーン
142 電子支払カードリーダ
143 照明信号灯
144 レシートプリンタ(チケットプリンタ)
145 RFIDリーダ
146 支払いステーションとフロアスケール(床置型秤)との間の通信ケーブル
147 支払いステーションと回転モータとの間の通信ケーブル
150 フロアスケール(床置型秤)
200 電磁放射(電磁波)
201 ワイヤレスWi-Fi通信放射または同等のもの
311 ファイル
360 反射光
【発明を実施するための形態】
【0030】
図2には、本発明のRFIDウィンドウ付き装置1が屋根の様に取り付けられた車輪付きカート2が示されている。
【0031】
RFIDウィンドウ付き装置1は、2つのヒンジ41を有するフレーム(台枠)3を備えている。これら2つのヒンジ41は、フレーム3をカート2に固定すると共に、ユーザがハンドル43を介してフレーム3を、カート2の開口面に対して伸縮式アーム47の限度まで(約105°の角度まで)回転させて持ち上げることを可能とする。一方、ケーシング44内にあるソレノイド46によって押圧されたボルト42がキャッチ45内に嵌合されたままになっている間は、フレーム3は、ハンドル43でこのフレーム3を持ち上げられないようロック状態に保持される。ボルト42は、カート2に対してRFIDウィンドウ付き装置1の開き状態をロックする、またはロック解除するために、滑り込む、または後退する。
【0032】
フレーム3は、中央部にウィンドウ6を有する。このウィンドウ6は、カート2のバスケットの内部への直接アクセスを可能とする。ウィンドウ6が画定しているスペース(空間)の表面は、光カーテン39のビーム(光束)から来る複数の光線が水平方向に横断している。この光カーテン39は、如何なる物体であっても、カート2の内側または外側へ向けてのウィンドウ6の通過を感知するバリアとして働く。ウィンドウ6の枠の四辺(側部)の一つに、赤外線センサ36が配置されている。この赤外線センサ36は、エミッタダイオードとレシーバダイオードとを互いに隣り合う位置に有する。ウィンドウ6の枠の対向辺(対向し合う辺)にフレーム3が2つの傾斜矩形突起20を有する様子が見てとれる。これらの傾斜矩形突起20は、それらの内側に少なくとも2つのUHFアンテナ21,24(各突起20内に1つ)を収容している。但し、好ましくは、4つのUHFアンテナ21,22,23,24がある。フレーム3の初めの端部(ハンドル43近傍の端部)に位置する傾斜矩形突起20は後部UHFアンテナ21,22を収納しており、終わりの端部は前部UHFアンテナ23,24を収納している。明らかに、ウィンドウ6の画定しているスペースをアンテナが2つの対向辺においてカバーする限りは、アンテナの上方又は下方を含め、ウィンドウの枠の如何なる箇所にも、アンテナの存在しない側においてさえ、光カーテン39を配置することができる。UHFアンテナ21,22,23,24は、ウィンドウ6の枠の各辺(側)に1つずつ配置することもできる。
【0033】
フレーム3はハウジング7を備えている。このハウジング7において電子部品が統合(集積)されている。例えば、このカート2のユーザにとって関心のある情報、例えば、カート2のバスケットに入れられた製品、セール、ユーザの購入活動におけるその他のイベント等を表示するためのLCDスクリーン30、スピーカ35、無線周波数信号を発信するアクティブRFIDタグ11等が統合されている。アクティブRFIDタグ11が出す無線周波数信号は、中央コンピュータのモバイルアセットトラッキングシステム(モバイル資産追跡システム)を介してのRTLS(リアルタイム位置特定システム)によるリアルタイムでのカートの識別と位置特定のために、スーパマーケットまたは店の上部にあるレシーバアンテナによって受信される。
【0034】
図3aに示すように、フレーム3は、ポリエチレン、メタクリレート、または同様の特性を有する他のプラスチック材料からなる単一のピースから作られている。
【0035】
図5はフレーム3の上部の配置図を示しており、次の電子部品がユーザに見える。LCDスクリーン30、スピーカ35、アクティブRFIDタグ11、支払エリア内の近距離にあるカート2の識別用のパッシブ(受動)RFIDタグ12,2つのダイオードを有する赤外線センサ36、正極に接続された溝71、負極に接続された溝72、そして、内側にばね78を収納したガイド部73である。
【0036】
ウィンドウ6の寸法及びジオメトリ(幾何学的構成、形状)は好ましくは、約400x400mmの正方形であり、フレーム3下のUHFアンテナ21,22,23,24の位置及び傾き並びに赤外線センサ36の角度及び検知範囲(射程範囲)は、本発明のウィンドウ付き装置1がRFIDタグのついた製品がウィンドウ6を通過するのを検出する効率が最大になるようにするものである。ウィンドウ6は、400x400mmに近い寸法を有する矩形することもできる。そのサイズは、2つのアンテナを有するRFIDタグを読み取るために最も最適化されたウィンドウ6サイズである。これらの2つのアンテナは両方とも、RFIDリーダ33のUHFアンテナの電磁放射つまり「遠方界(ファーフィールド)」放射に共鳴するため、及び、UHFアンテナから近距離にあるつまり「近傍界(ニアフィールド)」の磁場との誘導結合のためのものである。後部UHFアンテナ21,22と前部UHFアンテナ23,24との間の距離及びウィンドウ6の幅を決定する、ウィンドウ6の矩形の辺の寸法の範囲は、カート2の寸法に応じて、330mm〜550mmまたはそれ以上であり、本発明の例示的実施形態では、400mmx400mmである。
【0037】
図6には、ユーザには見えない以下の部品のケーブル配線についての可能なソリューションを備えたフレーム3の底部のレイアウト図が示されている。ユーザには見えない部品とは、4つの傾斜したUHFアンテナ21,22,23,24と、バッテリ34のプラスケーブル及びマイナスケーブルを、重ねられた別のカート2のRFIDウィンドウ付き装置1の正極に接続された溝71及び負極に接続された溝72内の同極端子に接続する金属タブ75,76と、RFIDウィンドウ付き装置1の電気的作動停止のために重ねられた別のカートのガイド部73内に導入されるセパレータ部74と、重ねられた一組のカート2のバッテリ34に充電するための外部電源90への電気コネクタ77と、リニアエミッタ/レシーバ37及び光カーテン39のレトロリフレクタ(再帰反射器)からなるリニアリフレクタ38(リニアリフレクタ38はリニアエミッタ/レシーバ37の反対側に配置されている)。また、フレーム3のハウジング7の内側には次のものが収容されている。衝突防止能力及び構成を有する、つまり、アンテナ間の波の干渉つまり衝突を防止するために、各UHFアンテナにおいて連続して、時間的に同時ではなく、電磁放射(電磁波)を出射及び受け取る能力を有するRFIDリーダ33と、プロセッサ31(好ましくは、新しいアルデュイーノ(Arduino), ラズベリー(Raspberry)などのプロセッサを備えたマイクロプロセッサ)と、システムに電力供給する充電式バッテリ34と、バッテリ34を外部電源90に接続したとき充電する過程でバッテリ34を保護する保護回路モジュール(PCM)29。
【0038】
重ねられた一列のカートのうちの1番目(第1)のカート2のRFIDウィンドウ付き装置1の電気的作動停止は、このカート列を支持している構造物の端(奧)までそのカートを入れて(これは、ユーザからコインを取るためのコイン機構によって要求される)、その構造物のタブがセパレータ部74の役目を実行し、その1番目のカートのガイド部73内に入れられて電源回路を開くことで、生じる。
【0039】
RFIDリーダ33のポートで終端している同軸ケーブルは、アンテナ21,22,23,24の各SMAコネクタ27(サブミニチュアバージョンA、「同軸ケーブル用のねじコネクタ」)から出ている。プロセッサ31の対応するピンで終端している3本のワイヤ(直流電圧VDC、グランド(接地)、信号)からなるケーブルは、光カーテン39のリニアエミッタ/レシーバ37から出ている。プロセッサ31のHDMI(登録商標)ポートと接続する、19本のワイヤを有するケーブルは、7''(7インチ)のLCDスクリーン30のA型HDMI(登録商標)コネクタ(高精細マルチメディアインターフェース)から出ている。プロセッサ31のオーディオポートに接続する2本の遮蔽ワイヤからなるケーブルはスピーカ35から出ている。プロセッサ31のUSB(Universal Serial Bus ユニバーサルシリアルバス)ポートに接続されているWi-Fi(Wireless Fidelity、ワイヤレスネットワークの標準)アダプタ32を介して、無線通信が行われる。装置への電力供給は、保護回路モジュール(PCM)29に接続された3.7ボルトのリチウムポリマー電池34(LiPo)によって行われる。プラスの電気ケーブル40及びマイナスの電気ケーブはバッテリ34から出ており、直接電力(ダイレクトパワー)を必要とする構成部品すなわちLCDスクリーン30、プロセッサ31、RFIDリーダ33の全てに並列に接続している。
【0040】
これらの構成部品に電力供給するバッテリ34のプラスの電気ケーブル40はまず、ガイド部73内に収納された端子間の導電性金属部分79を通っている。導電性金属部分79は、カートが重ねられていてロックされているか、またはカートが自由で、バッテリ34から電力を受け取る全てのシステムと共に使用されているかに応じて、電気回路を開閉する。この機構は、図17及び18に示すように動作する。
【0041】
フレーム3のウィンドウ6からカート2のバスケットに出し入れされるRFIDタグ付きの製品を電子ファイルに格納または電子ファイルから除き、カート2のユーザにとって関心のある様々な情報をフレーム3のスクリーン30上に印字し(表示し)、カート2のユーザにとって関心のある様々な音声情報をフレーム3のスピーカ35を介して出力するソフトウェアを実行するために、プロセッサ31はフレーム3が有する全ての装置及びセンサと接続されている。キャッチ45のソレノイド46を起動させる2本のワイヤ49を有するケーブルがプロセッサ31から出ている。
【0042】
バッテリ34を再充電するためのプラスケーブル48及びマイナスケーブル50はバッテリ34から出ている。プラスケーブル48は、正極に接続された金属タブ75と、正極に接続された溝71と、プラグ77の正極とに接続している。マイナスケーブル50は、負極に接続された金属タブ76と、負極に接続された溝72と、プラグ77の負極とに接続している。
【0043】
図7には、フレーム3の底部(下部)の構成部品を覆うカバー4,5が見える。
【0044】
フレーム3の開放(開くこと)はボルト42がキャッチ45内に導入されていない場合に実行されるのみであり、それは、購入品の支払が済んだ後のカート内の製品の取り出しエリアで生じる。
【0045】
図8は、好ましい実施形態において、フレーム3上のUHFアンテナ21,22,23,24の傾きと、この傾きから生じる高さHvを説明している。それは、ウィンドウ6の垂直二等分線上に収束するまでのこれらのアンテナの垂直面からのビーム幅を投射している。この例示的実施形態で使用されているこれらのアンテナは、Barco(バルコ)社製のフレキシレイ(FlexiRay)556°XSF-110xで、周波数レンジが866−868MHz(ETSI規格)または902−928MHz(FCC規格)であり、ゲインが3dB、インピーダンスが50オーム、矩形寸法が155mm×100mmで厚さが3mm、そして、ビーム幅はβ=80°であり、この角度は、水平面においても垂直面においても3dBの放射パワーの減少によって制限される。図面に示すように、これら対向するアンテナのうちの二つ21,24が支持面上の傾きα=26°で、互いから400mm離れていることから、計算すると、垂直放射ビーム幅の下限を、ウィンドウ6の垂直二等分線上高さHv=91mmの位置にできる。アンテナ対22,23についても同じことが言える。上記の傾きは、フレーム3に高さh2=43mmの隆起部(elevation)を生成することになり、ウィンドウ6の一方の側の隆起部の中に前部UHFアンテナ23,24とリニアレフレクタ38を収納し、他方の側の隆起部の中に後部UHFアンテナ21,22と、光カーテン39のリニアエミッタ/レシーバ37とを収納している。この好ましい実施形態では、電磁放射パワーは、ウィンドウ6の垂直二等分線上の高さHv=91mmのところで50%(3dB)減少する。ウィンドウ6の平面上方のこの高さは、我々が垂直二等分線からこれらのアンテナのいずれかに近づくにつれて、一アンテナのビームの一つの垂直放射パワーのために、徐々に減少していく。オプションとして、アンテナは、ウィンドウ6の枠の各側(辺)に1つずつ配置してもよい。
【0046】
ビーム幅β=80°の選択されたアンテナを用いるこの実施形態は、好ましいものであると考えられている。なぜならば、β=80°ではUHFアンテナ21,22,23,24は、ウィンドウ6上のスペースに亘って、ウィンドウ6を通過するRFIDタグ付きの製品の読み取りが良好となるRFID放射密度を作ることを可能とし、それによって、α=26°のアンテナの傾きを持つフレーム3を作ることが可能となり、カート間の重ねの問題(大きい角度は重ねることを阻害することになるだろう)もない。例えば、垂直面でビーム幅が110°のアンテナを選んだ場合、角度αを26°未満とし得うる。そのことは重ねの制約を容易にすることになろう。にもかかわらず、後部アンテナ21,22を前部アンテナ23,24から分離させる辺が400mmよりも長いウィンドウ6を用いる実施形態において、垂直面及び水平面に関して放射の角度βが、80°と150°との間あるいはそれよりも大きい如何なる値も取ることができ(放射の角度βは、両平面において必ずしも同じ値となる必要はない)、αは0°と26°との間またはそれよりも大きいUHFアンテナ21,22,22,23を選びうる。
【0047】
図9に好ましい実施形態が示されている。これは、結果として、同一平面にある図8に示した同じ特性を有する155mm×100mmの2つの矩形アンテナ21,22(それらは、その短辺によって位置合わせされ、10mmの間隔で離れている)からの水平放射の2つの最適ビーム幅の限界の収束のための高さHhを与える。幾何学的計算によって、高さHh=6mmが求まる。この実施形態では、ここに示されたアンテナと、ウィンドウ6におけるそれらアンテナの位置及び傾きにより、電磁放射パワーは上記2つのアンテナ間の分離線上の高さHh=6mmで50%(3dB)減る。アンテナの傾斜面と平行であるその高さは、アンテナに我々が近づくにつれて、そのアンテナのビーム(光束)の一つの水平放射パワーのために減少していく。傾斜角a=26°であるアンテナ21,22またはアンテナ23,24の水平放射の2つの最適ビーム幅の投射(放射、投影 proyeccion)は、ウィンドウ6の垂直二等分線上の距離Ah=14mmの距離の地点でウィンドウ6の平面内に収束する。その距離は、我々が中央の分離線からこれらのアンテナのいずれかに近づくにつれて、一アンテナのビームの一つの水平放射パワーのために減少していく。
【0048】
図10及び11にはそれぞれ、図8及び9に示した同一特性のアンテナ21,22,23,24の垂直面V及び水平面Hについて、遠方界及び近傍界の放射図が描かれている。
【0049】
好ましくは正方形で約400mm×400mmのウィンドウ6は、UHFスペクトラム(900MHz、33cm)の半波長付近の距離で製品が通過するよう最適化されており、RFIDタグが使用され、RFIDタグに使用されているUHFアンテナ素子は、幾つかの実施形態では、860−960MHzの遠方界周波数バンドと、それよりも低い近傍界の他の周波数バンドとの両方で動作するための感度を有する二重共振アンテナとすることができる。1つのアンテナと別の1つのアンテナが、距離に応じて、1つの界または別の界に特定的かつ個別に結合され、その結果、RFIDタグの特定のアンテナと遠方界のRFIDリーダ33のアンテナとの間に電磁結合が生じると共に、RFIDタグの他の特定の回路と20cm(使用している周波数の半分よりも僅かに大きい)未満の近傍界距離にあるRFIDリーダ33のアンテナとの間に(専ら磁界(磁場)の)誘導結合が生じる。20cmは、この例示的実施形態では400x400mmの寸法を有するウィンドウ6を通過する際に、RFIDタグ付きの製品がアンテナ21,22,23,24の少なくとも1つに対して位置することになる最大距離である。なお、より大きい周波数(2.4GHzまたはそれより大きいSHF)の放射線を用いる場合には、ウィンドウの寸法を400mmよりも大きい寸法に最適化することができ、ウィンドウを正方形のウィンドウではないようにすることができる。
【0050】
図10aは、RFIDウィンドウ付き装置1を備えたカート2の側面図であり、後部UHFアンテナ21の鉛直面Vにおける放射図を示している。このアンテナのビーム幅はβ=80°であり、フレーム3の平面に対して傾斜角度α=26°で上向きである。図10bには、ビーム幅はβ=80°でありウィンドウ6を指向する後部UHFアンテナ21の水平面Hにおける放射図が平面図に示されている。図10cには、水平面H及び鉛直面(垂直面)Vの角度β=80°で、放射ビームが重畳した、後部UHFアンテナ21の最大パワーのローブの三次元近似の三次元図が示されている。このローブは、ウィンドウ6上のスペースの一容積を占めている。残りのアンテナ22,23,24は、ウィンドウ6上のそれらの位置のそれぞれからの同様の放射パターンを有している。
【0051】
図11aには、ウィンドウ6内のその有効範囲を約20cmに限定したUHFアンテナ22の磁界(磁場)(近傍界)の螺旋が示されている。20cmは、900MHzの周波数に対して科学団体で合意された限度であり、それを越えると、RFIDタグの感受性は基本的に遠方界の電磁結合によるものとなる。図11bはRFIDウィンドウ付き装置1を備えたカート2の側面図であり、フレーム3の平面に対して傾斜角度α=26°であって上向きの(上方指向の)後部UHFアンテナ22によって生成された磁界螺旋図を示している。図11cはフレーム3の平面図であり、4つのUHFアンテナ21,22,23,24の近傍磁界図の同時には発生しない見せかけの重なりを示している。
【0052】
図12には、好ましい実施形態にしたがって、ソレノイド46を入れているケーシング44の拡大図を示す。ソレノイド46のコイルは、電源によって磁化されると、カート2のRFIDウィンドウ付き装置1を備えた装置を開けるために、ボルト42を引っ込めてキャッチ45を自由にする(解放する)。一方、その回路が開くと、ボルト42はケーシング44の内部ばねによって押し出されてキャッチ45の中に滑り込み、カート2のRFIDウィンドウ付き装置1の通常の開きを妨げる。ケーシング44はフレーム3のシェル(外殻)の一部である。キャッチ45はカート2のシャーシに接合されている。
【0053】
図13には、好ましい実施形態にしたがって、RFIDウィンドウ付き装置1のプロセッサ31によって制御されるセンサの自動アクティビティが見える。そのプロセスはカート2のバスケット内へのRFIDタグ付きの製品投入91についてのコンピュータ処理のトランザクションの生成を自動的に行う。プロセッサ31のファイル311内への製品入力の電子的トランザクションが決定されるヒューリスティックな((試行錯誤による)自学自習の、発見的な、heuristic)なプロセスは、特定のソフトウェアによって実現される。このソフトウェアは、センサのイベント(事象)、つまり、それの状態の変化、その変化の持続時間、製品のRFIDタグにEPCコードと共に記録された唯一のIDデータ(識別データ)を、入力ポートを介して非線形的にかつ反復的に聴くものである。図中のフロー図は、カート2のバスケット内への製品導入の自動トランザクションを最終的に行うことのできるセンサ感知事象を制御する主要プロセスを単純化したものを示している。前記センサ類の構成,配置は元のままで、本発明を可能とする出来事のシーケンス(これは、限定的なものでも排他的なものでもない)は、図中のフロー図に記載されたシーケンスであり、それをここでは単純化(簡略化)された態様で示す。ユーザは店の棚からRFIDタグの付いた製品100を取る。RFIDタグのチップには固有の(唯一の)製品IDであるEPCコードが格納されている。ユーザの片手で製品を空気中で動かしてその製品をウィンドウ6からカート2内に導入するとき、赤外線センサ36はその製品とその手からの反射光360を電流に変換する。この電流は、最終的に、傍に物体があることをプロセッサ31に警告する信号を送信することになる。このアクティブな信号は、フレーム3の内部になるUHFアンテナ21,22,23,24を作動させる。RFIDタグ(最初の(第1の)EPCコード)は、ユーザの手が製品100と共にウィンドウ6を横切る前またはその最中に瞬時に読み取られる(1以上の製品が同時に入れられる場合にもこの方法は用いられる。なぜならば、これらのアンテナは1又は幾つかのRFIDタグを一度に読み取ることができるからである)。ユーザの手が製品100と共にウィンドウ6を横切るとき、光カーテン39が遮断されて、物体が光カーテン39を通過したことを示す。ユーザの手がカート2のバスケット内に残っている間、遮断された光カーテン39及び赤外線センサ36は合同して且つ相補する形でUHFアンテナ21,22,23,24の電磁放射200を維持し、ユーザがその手を取り除いた後RFIDタグ(第2のEPCコード)が再度読み取られるか否かを知るために待機する(1以上の製品が同時に取り除かれる場合にもこの方法は用いられる。なぜならば、これらのアンテナは1又は幾つかのRFIDタグを一度に読み取ることができるからである)。光カーテン39がリストアされた(復元された)ときにRFIDタグが読み取られない場合には、カート2内へ製品が入ったと判定し、新しい導入製品ラインをプロセッサ31のファイル311に保存する。反対に、光カーテン39が復元されたときに、再度RFIDタグが読み取られると、このプロセスは、読み取られた新しいタグのEPCコードが、この一連の出来事の中で以前に読み取られた製品のEPCコードに対応しているかどうか照合(チェック)する。もしそれが同一(フローチャート中、「=EPC」)ならば、本システムはエントリプロセスを保留し、以前のフェーズのサイクルを続行する。それに対して、今読み取られたEPCコードが以前に導入された製品のEPCコードと異なっていて、且つ、以前に登録された製品と一致するのであれば、本システムは製品導入91行為であると判定すると共に、それと同時に、同一のサイクルにおいて、製品退出92行為であると判定する。それについての単純化されたプロセスは次の図14に見られる。アクティビティ時間の棒グラフにおいて、赤外線センサ36は恒常的にアクティブで、その作用半径での光360の変化を待っていることが分かるとともに、近傍にある物体の検出が続いている時間中だけ、そして、補助的に、通過する物体によって光カーテン39が遮断されている間、UHFアンテナ21,22,23,24のRFID放射200が活性化されることも分かる。さらに光カーテン39は恒常的にアクティブ(活性)で、如何なる通過についても信号を発する。
【0054】
図14において、好ましい実施形態に従い、プロセッサ31によって制御されるセンサの自動アクティビティを見ることができる。そのプロセスは、カート2のバスケットからのRFIDタグ付き製品の退出のトランザクションの生成を自動的に行う。
【0055】
図中のフロー図は、カート2のバスケットからの製品退出の自動トランザクションを最終的に決定することのできるセンサ感知事象(イベント)を制御する主要プロセスを単純化したものを示している。この場合、ユーザは、製品なしで、片手を入れる(同一サイクルでの製品投入と同時発生の及びそれに続く取り出しについては図13に記述されている)。ユーザの片手がウィンドウ6の上方で動くと、赤外線センサ36はその製品とその手からの反射光360を電流に変換する。この電流は、最終的に、傍に物体があることをプロセッサ31に警告する信号を送信することになる。この信号は、フレーム3の内部になるUHFアンテナ21,22,23,24を作動させる(活性化する)。この場合、UHFアンテナ21,22,23,24は如何なるRFIDタグも検出しない(最初の(第1の)EPCコードは検出されない)。次に、ユーザの手がウィンドウ6を通過する。この動きで光カーテン39が遮断されて、物体が光カーテン39を通過することを示す。ユーザの手がカート2のバスケット内にある間、遮断された光カーテン39及び赤外線センサ36は合同して且つ補助する形でUHFアンテナ21,22,23,24の電磁放射200を維持し、ユーザがその手を取り除いた後RFIDタグ(第2のEPCコード)が再度読み取られるか否かを知るために待機する。光カーテン39がリストアされた(復元された)ときにRFIDタグが読み取られない場合には、本システムは、退出プロセスを放棄し、このサイクルよりも前の状態(フェーズ)に戻る。反対に、光カーテン39が復元されたときにRFIDタグが読み取られると、このプロセスは、上記EPCコードが、カート2への以前の投入(導入)のトランザクションのファイル311に既に見つかっているかどうかを照合(確認、チェック)する。既に見つかっている場合には、カート2からの製品の除去又は取り出しへ進む。もし、そのEPCコードがファイル311のトランザクションリストで見つからなければ、それは、カート2には何らの影響もない、意図しない偶然のホバリング(空中停止)の読み取りと判断される。アクティビティ時間の棒グラフにおいて、赤外線センサ36は恒常的にアクティブで、その作用半径での照明360の変化を待っていることが分かるとともに、近傍にある物体の検出が続いている時間中だけ、そして、補助的に、通過する物体によって光カーテン39が遮断されている間、UHFアンテナ21,22,23,24のRFID放射200が活性化されることも分かる。さらに光カーテン39は恒常的にアクティブ(活性)で、如何なる通過についても信号を発する。
【0056】
知られているように、従来のカートは、1つのカート2が別のカートに積み重ねられるとき、そのカートの後壁が上の方へ持ち上げられて、カート2のハンドルの近くでシャフトを中心として回転し、したがって、一旦回転するとそのカート2の開口越えるように形成されている。とはいうものの、この方法は、RFIDウィンドウ付き装置1を屋根のように備えたカート2には用いることができない。なぜならば、RFIDウィンドウ付き装置1は、後壁が完全に回転して別のカートに嵌まるのを妨げ、したがって、カート2を重ねることを妨げるからである。したがって、好ましい実施形態によると、後壁は3つのパネル61,62,63を有する。横方向に開かれるサイドパネル61,62は、2つの直角と70°と110°とを有する長方形台形である。三角形状の上パネル63は、縦方向(垂直方向)に開き、20°の角度を2つ有する二等辺三角形である。こうして、パネル61,62,63が閉じているときは、カート2のバスケットは開口部が全くない。ヒンジ67とストッパ(止め部)65が、パネル61,62,63の折り畳みを可能とする。この構成により、RFIDウィンドウ付き装置1を備えたカート2を、図16に示すように、折り畳むことができる。しかし、別の特定の実施形態はサイドパネルのみを想定している。
【0057】
好ましい実施形態に従い、図15は、RFIDウィンドウ付き装置1を備えたカート2に導入(投入)された製品の支払を、店側のアシスタント又はレジ係の介在無く、且つ、カート内の各製品をスキャンすることなく、自動的に処理し制御するために生じるイベントのシーケンスを概略的に且つ単純化して示している。ユーザは、店での買い物を終えると、カートをレジ係の付近にある支払いステーション140に運ぶ。支払いステーション140は、内部のコンピュータ(図示せず)に接続された次の複数の装置を内蔵している。すなわち、LCDスクリーン141,電子銀行カードその他の電子支払手段を入れるためのカードリーダ142、照明信号灯143,レシートプリンタ144,RFIDタグリーダ145である。一方、上記コンピュータはステーションの外にある二つの装置に接続されている。つまり、上記コンピュータは、データケーブル146を介してフロアスケール(床置型秤)に、そして、別のケーブル147を介して、バー構造130のバー132を折り畳む又は持ち上げる93ための回転モータ133に接続されている。
【0058】
シーケンスは次の通りである。ユーザは、バー構造130のガイド部によって作られた通路を通って、折り畳み式バー132のストッパまでカートを導入する。バー131は、ユーザがその通路を通ってフロアスケールに踏み込むのを妨げる。フロアスケール150は全ての製品が中にはいっている状態のカートの重量をこのステーションのコンピュータに送って、黄色の信号灯143を点灯する。ステーションのRFIDリーダ145はパッシブRFIDタグ12を介してカート番号を検出する。ステーションのコンピュータは、ステーション番号並びにカート番号及び重量のデータを、イーサネット(登録商標)(Ethernet)通信ケーブル123を介して送信することによって、中央サーバ又はローカルネットワークホスト(HOST)121との支払セッションを開始する。この支払セッションは、アクセスポイント122を介したRFIDウィンドウ付き装置1のWi-Fi(ワイファイ)アダプタ32とのワイヤレス通信201を確立することによって、上記ホスト内で続行する。その後、RFIDウィンドウ付き装置1のプロセッサ(又はマイクロコンピュータ)31が、ファイルに記録された製品の電子リストをホストに送信する。ホストは、データベースからの製品のマスターテーブルにしたがって電気リストの製品の理論上の重量(理論重量)を計算し、データベースからのカートのマスターテーブルにしたがってそのカートの自重を加える。フロアスケールから送信された重量が、算出された理論重量と所定量よりも多く又は少なく食い違っていれば、ホストは「支払無効」信号をステーション140のコンピュータに送る。これは、赤い信号灯143を点灯させ、「無効です。アシスタントをお待ちください。」とのメッセージをスクリーン141上にプリントつまり表示する。ホストは、そのステーションでの補助のためにレジ係サービスへアラームを送信する。他方、算出された重量と秤の重量とが許容範囲内にあれば、ホストは製品の電子リストについて購入総額を計算して、その額をステーションのコンピュータに送り、コンピュータはその額を、例えば「$57.38」と、スクリーンス141に表示する。支払が正常に行われると、ホストは「支払完了」信号を購入レシートのファイルと共に、ステーション140のコンピュータに送信する。このことは、ステーション内で次のイベント(事象)を発生させる。つまり、信号灯143が緑色に点灯し、プリンタ144によって購入レシートがプリントされ、スクリーン141が「支払完了」とのメッセージを表示、バー132が回転モータ133によって折られ(つまり下方に回転し)、これによりカートを通路130から除去することが可能となる。同時に、ホストはワイヤレス通信201を介してプロセッサ(ミニコンピュータ)31に、キャッチ(留め具)45のボルトを解放するための指令を送る。これにより、ユーザは、カートが一旦出口エリアにくると、カートのRFIDウィンドウ付き装置1を(図12に示すように)折り返す(崩す)ことができて、製品をより快適に降ろすことができる。カートがフロアスケールを離れてゼロ(零)キログラムに戻ると、バー132が回転モータ133によって再び上昇し、信号灯143が消灯し、スクリーン141が「新しいカート待ち」のメッセージを表示して、ホストとの支払セッションが完了する。
図17には、好ましい実施形態にしたがい、重ねられた2つのカートA及びBの2つのフレーム3間の溝−タブ接続システムの概略が示されている。溝−タブ接続は、2つのフレーム3を接続するため又は機械的な重なり(スタッキング)信号を電気的信号に変換するのに役に立つ。これら2つのフレーム3は、互いに重ねられたときに、重ねられた一つ目のカートの下部から突出している正極に接続された金属タブ75及び負極に接続された金属タブ76が、上記一つ目のカートの上に重ねられた二つ目のカート2の正極に接続された溝71及び負極に接続された溝72にそれぞれ接触して、電気的に相互に接続する。
【0059】
図17aには、カートAをカートBに図に示したように嵌め込んだときの、カートBの負極に接続された金属タブ76とカートAの負極に接続された溝72との接点(接触)が示されている。この機構は、正極に接続された金属タブ75と正極に接続された溝71の場合も同じである。
【0060】
図17bにはカートAのばね78の側面図が示されている。ばね78は、カートAがカートBに重ねられた状態では、カートBのセパレータ部74がカートAの前進に対抗する際に圧縮されている。図17cに記載されているように、セパレータ部74が動かないようにロックされることによりばね78が初期位置から引っ込むと、導電性金属部分79が、部品に電力供給するプラスケーブル40の回路(図6参照)を開くので、カートが重なると、バッテリ34から種々の電子部品への電力供給は遮断された状態となり、それによって、RFIDウィンドウ付き装置1は不活性で、かつ、バッテリ34の消費が無い状態のままとなる。
【0061】
図18には、好ましい実施形態にしたがい、カートの重なり解除つまりカートを外すこと(図18a)に伴ってRFIDウィンドウ付き装置1の部品への電力供給回路(電源回路)を閉じる溝−タブ機構が詳細に示されている。図18bは、カートB内に重ねられたカートAのフレーム3の細部を示す。この状態において、カートBのフレーム3のセパレータ部74はカートAのばね78を圧縮状態に保っており、部品に電力供給するプラスケーブル40はカートAのばね78に接触していない。このため、RFIDウィンドウ付き装置1は不活性である。図18dはカートBからのカートAの重なり解除の最終状況を示しており、ばね78が完全に伸長して、その結果、図18eに示すようにプラスケーブル40とばね78の導電性金属部分79とが電気接触している。この接触により、LCDスクリーン30,プロセッサ31,RFIDリーダ33,赤外線センサ36,及び光カーテン39に電力供給するバッテリ34の回路が閉じて、使用できる状態になっているシステムを再スタートさせる。図18cはカートAの重ね解除における中間状態である。
【0062】
図19には、好ましい実施形態にしたがい、カートのスタッキングつまり重ね(図19a)に伴ってRFIDウィンドウ付き装置1の部品への電力供給回路(電源回路)を開く溝−タブ機構が詳細に示されている。図19bは別のカートB内に重ねられる前のアクティブなカートAのフレーム3の細部を示している。この状態では、カートAのフレーム3のセパレータ部74はカートAのばね78を圧縮しておらず、部品に電力供給するプラスケーブル40がばね78と接触している。そのため、RFIDウィンドウ付き装置1はアクティブである。図19cはカートAがカートBに重なり始める瞬間であり、図19eに示すように、ばね78が圧縮され、プラスケーブル40が、ばね78の導電性金属部分79との電気的接触を確立することを停止する。この接触喪失により、LCDスクリーン30,プロセッサ31,RFIDリーダ33,赤外線センサ36,及び光カーテン39に電力供給するバッテリ34の回路が開いて、全てのシステムを作動停止する。図19cはカートAの重ね(スタッキング)時における中間状態である。
【0063】
図20には、好ましい実施形態にしたがい、バッテリ34の再充電のために、重ねられたカート2同士のバッテリ34の正極及び負極を相互に接続する溝−タブ機構が詳細に示されている。それらは、本発明の純粋に例示的な態様で、正極及び負極として記載されている。なぜならば、電圧に拘わらず、供給電流は直流(DC)又は交流(AC)のいずれかであり得るからである。したがって、各極について、RFIDウィンドウ付き装置1はフレームの下部(底部)にタブを有する。このタブは、カートが重ねられたとき、別のカートのフレームの上部にある対応する溝内をスライドする。図20bにはカートBの負極に接続された金属タブ76のマイナスケーブル50が示されている。この金属タブ76はカートBに重ねられたカートAの負極に接続された溝72と接触している。図20cは、正極側についての同様の図面であり、カートA及びBの、プラスケーブル48,正極に接続された金属タブ75,正極に接続された溝71が示されている。この相互接続により、バッテリ34(本実施形態ではリチウムポリマーつまりLiPo(図20d)は並列に接続されており、各バッテリ34を充電するために保護回路モジュール(PCM)29が各バッテリ34の前に配置されている。第1のカートの電気コネクタ77は、全てのカートが正しく重ねられているとき(図20a)、これらの全てのカートのバッテリ34の充電を可能とする。
【0064】
なお、本発明は1つのバスケットを有するショッピングカートに限定されるものではなく、ショッピングカート2内のバスケットの数に応じた数のRFIDウィンドウ付き装置1を結合して適合化することで、2つ以上のバスケットを有するショッピングカートにも同様に有効で、適用可能である。また、本発明はショッピングカート2に限定されず、RFIDウィンドウ付き装置1が移動可能なカートの代わりに固定構造物に結合される他のアプリケーションにおいても同様に有効であり、容器は、図21に示すように、バスケット、箱、その他の如何なる入れ物であってよい。
【0065】
図21aには固定構造物である台座8上のRFIDウィンドウ付き装置1の代替例が示されている。この代替例の容器は、段ボール紙又は別の材料からなる箱103であり、RFIDウィンドウ付き装置1を備えたショッピングカート2の場合と同じ機能性と有効性(効率)(図13及び14参照)でもって、製品100がその箱103から出し入れされる。
【0066】
図21bには、プロセッサ31とローカルネットワークの中央サーバ又はHOST121との間に電源ケーブル52とデータ通信ケーブル51とを備えた、テーブル101上の固定構造物8に適合化された2つのRFIDウィンドウ付き装置1の例示的アプリケーションが示されている。それらRFIDウィンドウ付き装置1の下方には箱103がある。これらの箱103は、RFIDウィンドウ付き装置1各々の窓6を通って出し入れされる、RFIDタグを有する製品100のための容器として機能する。こうして、赤外線センサ36,光電カーテン39,UHFアンテナ21,22,23,24を用いて、容器内への製品投入の電子的トランザクションを決定するための図13で説明されたのと同じヒューリスティックな((試行錯誤による)自学自習の、発見的な、heuristic)な識別プロセスが実行される共に、容器からの製品取り出し(退出)の電子的トランザクションを決定するための図14で説明されたのと同じヒューリスティックな識別プロセスが実行され、プロセッサ31によってファイル311への記録が行われる。この例示的アプリケーションでは、可動棚102がKIVAシステムズ型のロボットによってテーブル101まで動かされて、RFIDタグを有する注文の製品がテーブルの作業員の手の届くようにする。作業員は、図13及び14に記載されたのと同じ自動化と効率でもって、注文に応じた製品の箱103への投入94を開始する。中央サーバ又はHOST(ホスト)の表示部104はテーブルのオペレータに、箱が製品で充填されたこと及び各注文の進捗を知らせるので、製品のどれをもスキャンする必要が無く、オペレータが両手を自由に使って製品を適切に扱うようにできる。
【0067】
本発明は、ここで説明した実施形態に限定されると解釈されてはならない。他の構成も本明細書に基づいて当業者によって実行されてもよい。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲によって画定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12-12a】
図12b
図13
図14
図15
図16a
図16b
図16c
図17a-17b】
図17c
図18a
図18b
図18c
図18d
図18e
図19a
図19b
図19c
図19d
図19e
図20a
図20b
図20c
図20d
図21