(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915065
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】建設機械のクイッククランプ制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20210727BHJP
【FI】
E02F9/24 B
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-538496(P2019-538496)
(86)(22)【出願日】2018年1月17日
(65)【公表番号】特表2020-506313(P2020-506313A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】KR2018000798
(87)【国際公開番号】WO2018135854
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0008285
(32)【優先日】2017年1月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515045422
【氏名又は名称】斗山インフラコア株式会社
【氏名又は名称原語表記】DOOSAN INFRACORE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン ヨンサプ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュンホン
(72)【発明者】
【氏名】パク ダクウー
【審査官】
柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−200104(JP,A)
【文献】
特開2008−266975(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0326712(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/156672(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0101908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アタッチメントの装着を行うためのクランプを含む建設機械のクイッククランプ制御装置であって、
運転者によるオン操作時に選択信号を発生させる選択入力部;
前記運転者の操作時に作動信号を発生させる作動入力部;
前記クランプを解除駆動及び固定駆動させるクランプ駆動部;及び
前記選択信号が入力された後、前記作動信号が入力されると、前記クランプが解除駆動されるように前記クランプ駆動部を制御する制御部;
を含み、
前記選択入力部がオフされて前記選択信号の発生が中止されると、前記制御部は、前記作動入力部から発生する信号によって制御される固有機能モードを活性化させ、前記選択入力部がオンされて前記選択信号が入力されると、前記作動入力部から発生する信号によって制御される固有機能モードを非活性化させることを特徴とする、建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項2】
前記作動入力部は、前記運転者が押し操作を維持する間、前記作動信号を発生させ、
前記制御部は、前記作動信号の入力が持続される間、前記クランプが解除状態となるように前記クランプ駆動部を制御することを特徴とする、請求項1に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項3】
前記作動入力部は、運転者の両手で同時に操作できるように複数個設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項4】
前記作動入力部は、左側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちのいずれか1つと、右側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちのいずれか1つとを含むことを特徴とする、請求項3に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の作動入力部のうちのいずれか1つの押し操作が中断されると、前記クランプが固定されるようにクランプ駆動部を制御することを特徴とする、請求項4に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項6】
アラームメッセージを、ディスプレー及び警告音出力のうちのいずれか1つ以上で行う出力部をさらに含み、
前記制御部は、前記選択信号を入力されると、前記アラームメッセージと警告音とのうちのいずれか1つ以上を出力するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項7】
前記選択入力部がオフされて前記選択信号の発生が中止されると、前記制御部は、警告音の出力が中断されるように前記出力部を制御することを特徴とする、請求項6に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項8】
前記作動入力部は、左側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの選択されたいずれか1つと、右側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの選択されたいずれか1つとを含み、運転者の両手による同時操作が必要であることを特徴とする、請求項1に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項9】
前記選択された左側ジョイスティックの操作ボタンの固有機能は、エンジン減速選択信号の出力であり、前記選択された右側ジョイスティックの操作ボタンの固有機能は、昇圧選択信号の出力であることを特徴とする、請求項8に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、パイロットカットオフ信号の入力をモニタリングし、前記パイロットカットオフ信号が入力されない場合にのみ、前記クランプの解除駆動が行われるように前記クランプ駆動部を制御することを特徴とする、請求項1に記載の建設機械のクイッククランプ制御装置。
【請求項11】
アタッチメントの装着を行うためのクランプを含む建設機械のクイッククランプ制御装置の制御方法であって、
運転者による選択入力部のオン操作時に発生する選択信号が制御部に入力されるステップ;
運転者による作動入力部の押し操作によって発生する作動信号が制御部に入力されるステップ;及び
前記制御部が、前記選択信号の入力後、前記作動信号が入力される間、前記クランプを解除駆動させるように制御するステップ;
を含み、
前記制御部は、前記選択信号が入力された後、前記作動入力部から発生する信号によって制御される固有機能モードを非活性化させ、前記選択入力部のオフ操作によって選択信号の発生が中止されると、前記作動入力部の固有機能モードを活性化させることを特徴とする、建設機械のクイッククランプ制御方法。
【請求項12】
前記作動入力部は、左側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの選択されたいずれか1つと、右側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの選択されたいずれか1つとを含み、
前記作動信号は、左側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの前記選択されたいずれか1つと、右側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの前記選択されたいずれか1つとが同時に操作されて発生する信号であることを特徴とする、請求項11に記載の建設機械のクイッククランプ制御方法。
【請求項13】
前記制御部は、選択信号が入力された後、アラームメッセージと警告音とのうちのいずれか1つ以上を出力するように出力部を制御し、前記アラームメッセージと警告音とのうちのいずれか1つ以上の出力は、運転者による前記選択入力部のオフ操作時に終了することを特徴とする、請求項11に記載の建設機械のクイッククランプ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施例は、建設機械のクイッククランプ制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設工事現場又は土木工事現場において使用される重機械、例えば、ショベルは、バケット(Bucket)を用いた掘削作業だけでなく、クラッシャー(Crusher)を用いたコンクリート建物の破砕及び鉄筋の切断作業、ブレイカー(Breaker)を用いた岩石及びコンクリートの破砕作業、グラブ(Grab)を用いた古鉄及び岩石の運搬作業、クラムシェルバケット(Clamshell bucket)を用いた坑道及び上下水道建築基礎工事作業など、用途に応じてアタッチメントを交換することで、種々な作業を行うことができる。
【0003】
通常、アタッチメントは、作業の用途に対応して交換することができるように、ショベルのアーム又はブームへの装着及び脱着が可能な構造で結合される。
【0004】
従来、重機械には、このようなアタッチメントの交換作業が容易に行われるように、スイッチを入力するだけでアタッチメントのクランプを解除(Release)させる、クイッククラップ機能が適用されている。
【0005】
図1は、従来の重機械におけるクイッククランプ機能を行う回路図を例示する図である。
【0006】
図1に示されるように、機械制御装置2は、トグルスイッチがオンされると、クランプソレノイドバルブ3が作動され、アタッチメントを着脱させる機能を行うようになる。
【0007】
このようなクイッククラップ機能によって、アタッチメントの交換が容易に行われるようになる。しかし、作業者の不注意な操作によって、アタッチメントが脱落する事故が発生するおそれがあるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、作業者の不注意な操作によるアタッチメントの脱落事故を防ぐことができる建設機械の安全操作装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、建設機械の安全操作装置を具現するにあたって、別途のスイッチをさらに設けることなく、従来使用されているスイッチ又は入力ボタンを使用して具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る建設機械のクイッククランプ制御装置は、運転者によるオン操作時に選択信号を発生させる選択入力部、前記運転者の操作時に作動信号を発生させる作動入力部、前記クランプを解除駆動及び固定駆動させるクランプ駆動部、及び、前記選択信号が入力された後、前記作動信号が入力されると、前記クランプが解除駆動されるように前記クランプ駆動部を制御する制御部を含むことを特徴とする。
【0011】
前記作動入力部は、前記運転者が押し操作を維持する間、前記作動信号を発生させ、前記制御部は、前記作動信号の入力が持続される間、前記クランプが解除状態となるように前記クランプ駆動部を制御することを特徴とする。
【0012】
前記作動入力部は、運転者の両手で同時に操作できるように複数個設けられていることを特徴とする。
【0013】
前記作動入力部は、左側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちのいずれか1つと、右側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちのいずれか1つとを含むことを特徴とする。
【0014】
前記制御部は、前記複数の作動入力部のうちのいずれか1つの押し操作が中断されると、前記クランプが固定されるようにクランプ駆動部を制御することを特徴とする。
【0015】
建設機械のクイッククランプ制御装置は、アラームメッセージを、ディスプレイ及び警告音出力のうちのいずれか1つ以上で行う出力部をさらに含み、前記制御部は、前記選択信号を入力されると、前記アラームメッセージと警告音とのうちのいずれか1つ以上を出力するように制御することを特徴とする。
【0016】
前記選択入力部がオフされて選択信号の発生が中止されると、前記制御部は、前記作動入力部から発生する信号によって制御される固有機能モードを活性化させ、前記選択入力部がオンされて前記選択信号が入力されると、前記入力部から発生する信号によって制御される固有機能モードを非活性化させることを特徴とする。
【0017】
前記作動入力部は、左側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの選択されたいずれか1つと、右側ジョイスティックに設けられた複数の操作ボタン及びスイッチのうちの選択されたいずれか1つとを含み、運転者の両手による同時操作が必要なものであることを特徴とする。
【0018】
前記選択された左側ジョイスティックの操作ボタンの固有機能は、エンジン減速選択信号の出力であり、前記選択された右側ジョイスティックの操作ボタンの固有機能は、昇圧選択操作信号であることを特徴とする。
【0019】
前記制御部は、パイロットカットオフ信号の入力をモニタリングし、前記パイロットカットオフ信号が入力されていない場合にのみ、前記クランプの解除駆動が可能となるように前記クランプ駆動部を制御することを特徴とする。
【0020】
建設機械のクイッククランプ制御方法は、運転者による選択入力部のオン操作によって選択信号を発生させるステップ、前記選択信号が発生される間、運転者による作動入力部の押し操作によって作動信号を発生させるステップ、及び、制御部が、前記選択信号の発生中に発生する作動信号によってクランプを解除駆動させるように制御するステップを含む建設機械のクイッククランプ制御方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施例によれば、作業者の不注意でクランプ解除機能が作動されてアタッチメントが脱落する事故を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来の重機械におけるクイッククランプ機能を行う回路図を例示する図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るクランプの安全操作のための回路図を例示する図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る建設機械のクイッククランプ制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る建設機械のクイッククランプ制御装置の制御方法を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る出力部に表示されるアラーム表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明で使用される技術用語は、特定の実施例を説明するためのものであり、本発明を限定する意図ではないことを留意されたい。また、本発明で使用される技術用語は、特に断りのない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味と解釈されるべきであり、過度に包括的な意味で解釈したり、過度に縮小された意味で解釈してはならない。また、本発明で使用される技術用語が、本発明の思想を正確に表現できない誤った技術用語である場合は、当業者が正しく理解できる技術用語に代替されて理解されるべきであり、本発明で使用される一般的な用語は、事前に定義されているところにより、又は、前後の文脈上に基づいて解釈されるべきであり、過度に縮小された意味で解釈されてはならない。
【0024】
さらに、本発明で使用される単数の表現は、文脈上、明白に相違した意味であい限り、複数の表現を含み、本発明において、「構成される」又は「含む」などの用語は、本明細書記載の種々の構成要素又は種々のステップを必ず全て含むものと解釈されてはならず、そのうちの一部の構成要素又は一部のステップは含まれていないこともあり、又は追加的な構成要素又はステップをさらに含むことができるものと解釈されるべきである。
【0025】
また、本発明で使用される構成要素において、接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書作成の容易性を考慮して付与又は混用されるものであり、それ自体が相互区別可能な意味又は役割を有するのではない。
【0026】
また、本発明で使用される第1、第2などのような序数を含む用語は、種々な構成要素の説明のために使用されるが、前記構成要素が前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、ある1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱しない範囲で、第1の構成要素が第2の構成要素に命名され、同様に第2の構成要素が第1の構成要素に命名されることがあり得る。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施例を詳述するが、同一の構成要素には同じ参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
また、本発明を説明するにあたって、関連する公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を曇らすおそれがあると判断される場合、その詳細な説明を省略することができる。
【0029】
なお、添付の図面は、本発明の思想の理解を助けるためのものであり、添付の図面によって本発明の思想が制限されて解釈されてはならない。
【0030】
図2は、本発明の一実施例に係るクランプの安全操作のための回路図を例示する図である。
【0031】
本実施例に係るクイッククランプ制御装置は、選択入力部10、制御部20、クランプ駆動部30及び作動入力部40、50を含むことができる。
【0032】
クランプ駆動部30は、油圧シリンダのようなクランプ駆動装置と連結され、作動油をクランプ駆動装置に供給するように制御するクランプバルブから構成することができる。
【0033】
制御部20は、クランプ駆動部30を制御してクランプの動作を制御することができる。
【0034】
選択入力部10は、運転者がクランプ操作を選択するための入力装置である。運転者によって、クランプ操作を選択するために選択入力部10が操作されると、選択入力部10は、選択信号を発生させ、制御部20に伝送する。
【0035】
作動入力部40、50は、選択入力部10とは別に運転席内に設けられ、運転者によって操作されると、作動信号を発生させ、制御部20に伝送する。上述のように、制御部20は、運転者の操作によって発生した選択信号の入力後、作動信号が入力されると、作動信号が入力される期間中にクランプが作動され、解除状態が維持されるようにクランプ駆動部30を制御することができる。
【0036】
図2に示される実施例では、クランプ駆動部30がソレノイドバルブの形態として設けられる。選択入力部10は、運転者のワンタッチ操作でオン・オフさせることができるトグルスイッチ形態として設けられ、オン選択時にクランプ解除駆動が選択された状態を維持し得るようになっている。作動入力部40、50は、少なくとも2つのボタン形態の操作装置で構成され、運転者によって作動入力部40、50が操作される間に作動信号を制御部20に伝達することができる。本実施例における作動入力部40、50は、押し操作によって作動信号を発生させ、運転者が作動入力部40、50を押している時間の間に作動信号を制御部20に伝達することができる。これによれば、運転者が作動入力部40、50のうちのいずれか1つの操作を中断する場合でも、制御部20は、クランプ駆動部30を制御することで、クランプの解除状態から固定状態への切り替えを行うことができる。
【0037】
上述の選択入力部10と作動入力部40、50は、計器パネルの画面又はコントロールボックスに別に設けられた静電磁方式の入力装置として設けることができる。本実施例において、制御部20は、建設機械の駆動を制御する機械制御装置の形態として設けられているが、計器パネルなどのような電装品に設けられた個別制御装置がその機能を果たすように構成することもできる。
【0038】
本発明におけるクイッククランプ制御装置は、制御部20に、第1の信号ラインL1、第2の信号ラインL2、第3の信号ラインL3、第4の信号ラインL4などを介して、選択入力部10と、クランプ駆動部30と、作動入力部40、50とに連結される。第1の信号ラインL1は、選択入力部10と制御部20とを連結させる。第2の信号ラインL2は、クランプ駆動部30と制御部20とを連結させる。第3の信号ラインL3及び第4の信号ラインL4は、作動入力部40、50のそれぞれと制御部20とを連結させる。第1の信号ラインL1と第2の信号ラインL2とは、クランプバルブ30を介して互いに連結され、運転者が選択入力部10を操作してクランプ解除が選択された後、制御部20から第2の信号ラインL2にクランプ解除駆動信号を出力すると、クランプ駆動部30が作動され、クランプ解除作動が行われるようになる。上述のクランプ解除駆動信号は、作動入力部40、50の追加操作が発生し、第3の信号ラインL3及び第4の信号ラインL4に作動信号が入力されると、制御部20から出力される。即ち、運転者が選択入力部10の操作のみでクランプバルブ30を作動させることはできない。これは、選択入力部10が運転者の不注意で操作される場合でも、クランプが解除作動されるのを防止するためである。なお、制御部20は、図示しない別の信号ラインを介して出力部(図示せず)に連結され、選択入力部10がオンされるときに、警告音及び警告ディスプレイのうちの少なくとも1つを出力部を介して出力することが可能である。これは、運転者が、現在クランプ解除駆動が選択されていることを認知するのを助ける。
【0039】
本実施例において、作動入力部40、50は、建設機械の運転席に設けられたジョイスティックに設けることができる。ジョイスティックは、ブーム、アーム、バケットなど、建設機械の作業装置の駆動を操作するためのものであって、例えば、ショベルでは、2つのジョイスティックが運転席の左右にそれぞれ1つずつ設けられている。このようなジョイスティックは、作業装置の駆動操作に加え、さらに機能の操作が行えるように複数の操作ボタン又はスイッチを備え、それぞれの操作ボタン又はスイッチは、操作の際に個別に予め決められた固有機能を作動させることができる。例えば、左側ジョイスティックは、エンジン減速を強制実行させるエンジン減速(Engine decelation)選択操作ボタンと、回転型オプション作業装置の回転を操作するための回転スイッチを含む複数の操作ボタン又はスイッチを備えることができる。また、右側ジョイスティックは、ツーウェイ(Two way)方式のオプション作業装置の操作を行うための回転スイッチと、建設機械の油圧システムのリリーフ圧を一時的に昇圧させるための昇圧(Pressure up)操作ボタンを含む複数の操作ボタン又はスイッチを備えることができる。本実施例において、作動入力部40、50は、左側ジョイスティックの操作ボタンのいずれか1つと、右側ジョイスティックの操作ボタンのいずれか1つとで構成される。
【0040】
図2では、一例として、操作ボタンタイプのエンジン減速選択操作ボタン及び昇圧操作ボタンが、作動入力部40、50として使用されている。運転者の操作によって、選択入力部10を介してクランプ解除が選択されると、当該操作ボタンは、固有機能の代わりにクランプ解除駆動に関与するようになる。即ち、操作ボタンの操作時、固有機能が行われる固有機能モードが解除される。このため、制御部20は、操作ボタンの操作によって操作信号が印加されると、選択入力部10がオン操作された状態では、前記操作信号をクランプを駆動させるための駆動信号として認識し、選択入力部10がオフ操作された状態では、前記操作信号を各操作ボタンの固有機能を行うための駆動信号として認識することができる。本実施例のように、エンジン減速選択操作ボタンと昇圧操作ボタンが作動入力部として使用される場合、固有機能モードでは、エンジン減速選択操作ボタンが運転者によって操作されると、エンジン減速信号を出力し、昇圧操作ボタンが運転者によって操作されると、昇圧選択信号を出力する。
【0041】
上述のように、作動入力部40、50が左右側ジョイスティックに設けられた操作ボタンで構成され、かつ、運転者の両手を同時に使用可能な場合にのみ、クランプ解除駆動を行うことが可能である。これによれば、運転者が両手を同時に誤操作する可能性が低いため、安全事故の発生を抑えることができる。また、作動入力部40、50は、運転者が押し操作をしている間に駆動信号を発生させるように構成することができる。即ち、クランプ解除駆動が行われる間は、作動入力部40、50が押し操作状態を維持する必要がある。これによれば、運転者の不注意による安全事故を防止する効果が向上できる。さらに、運転者がクランプ解除駆動操作を希望する場合、左右側ジョイスティックにそれぞれ配置された作動入力部40、50を両手で容易に操作することが可能となる。
【0042】
図3は、本発明の一実施例に係る建設機械のクイッククランプ制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【0043】
図3に示されるように、建設機械のクイッククランプ制御装置は、選択入力部210、制御部220、作動入力部230、クランプ駆動部240、及び出力部250を含むことができる。
【0044】
選択入力部210は、オンされると、クランプ解除のための信号を発生させる。
【0045】
選択入力部210がオン又はオフされて発生する信号は、制御部220に伝達される。
【0046】
制御部220は、操作安全装置による操作が安全に行われるように各構成要素を制御する。制御部220は、選択入力部210からオン信号が入力され、前記作動入力部230からの信号が発生されると、アタッチメントのクランプ解除を行うように制御する。
【0047】
作動入力部230は、運転者の操作によって、任意の信号を発生させる。発生した信号は、制御部220に伝達される。
【0048】
作動入力部230は、建設機械に設けられた任意のボタン又はスイッチ、例えば、左側ジョイスティックのボタン、右側ジョイスティックのボタン、計器パネルの任意のボタンなどのうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
【0049】
出力部250は、制御部220の指示に応じて、アラームを視覚的に表示、又は、聴覚的に通知することができる。
【0050】
出力部250は、計器パネルのような表示装置及びスピーカーのうちのいずれか1つを含むことができる。
【0051】
制御部220は、選択入力部210がオンされて発生した信号を入力されると、作動入力部230によって発生する信号に対応付けられた固有機能モードを非活性化させ、クランプ解除のための追加入力信号であると判断する。なお、固有機能モードとは、選択入力部230の信号に応じて設定されている固有機能を行うモードを意味する。ここで、固有機能については、上記と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0052】
これと同時に、制御部220は、選択入力部210がオンされて発生した信号が入力されると、選択入力部210がオンされていることを使用者に通知するためのアラームを出力する。
【0053】
制御部220は、選択入力部210がオンされている状態、即ち、作動入力部230の固有機能モードが非活性化状態であるとき、作動入力部230によって発生する信号を、作業者がクランプ解除駆動を行うための作動信号として認識する。
【0054】
従って、制御部220は、選択入力部210がオンされている状態において、作動入力部230によって発生する信号を入力されると、クランプ解除を行うように制御する。
【0055】
図4は、本発明の一実施例に係る建設機械のクイッククランプ制御装置の制御方法を説明するための図であり、
図5は、本発明の一実施例に係る出力部に表示されるアラーム表示の一例を示す図である。
【0056】
説明に先立って、本発明の一実施例において、入力部は、ジョイスティックの左側ボタンと右側ボタンとの2つをいずれも入力部として使用すると仮定する。
【0057】
図4に示されるように、まず、選択入力部がオンされ(S110)、スイッチがオンされることによる発生信号が制御部に伝達される。
【0058】
制御部は、入力部の固有機能モードを非活性化する(S120)。
【0059】
これと同時に、選択入力部がオンされていることを作業者に通知し、作業者に認知させる(S130)。
【0060】
上述のような通知は、警告音を発することで行われる。選択入力部がオン操作されるとき、制御部は、運転室内に警告音が出力されるように、運転室内の音響装置、例えば、スピーカー、パイロットブザーなどの制御を行うことができる。このような警告音は、選択入力部がオフ操作されるまで持続可能である。
【0061】
また、
図5に示されるように、建設機械の計器パネルのような表示装置には、選択入力部がオンされていることを通知する通知文510と、選択入力部がオンされていることを意味するシンボル502を表示することができる。通知文は、ポップアップで表示装置に出力することができる。
【0062】
前記通知文は、選択入力部がオフに切り替えられるか、作動入力部(本実施例では、左側ジョイスティックのボタン及び右側ジョイスティックのボタン)が操作されてクランプ解除が行われると、自動に消えるように設定することができる。
【0063】
図4に戻ると、左側ジョイスティックのボタンと右側ジョイスティックのボタンから信号が発生されるか否かをモニタリングする。
【0064】
ステップS140において、左側ジョイスティックのボタンと右側ジョイスティックのボタンから信号が発生し、発生した信号が制御部に入力されると、制御部は、作業者がクランプ解除を希望すると判断して、アタッチメントのクランプ解除を指示する(S150)。
【0065】
ステップS140において、左側ジョイスティックのボタンと右側ジョイスティックのボタンとのうちのいずれからも信号が発生していない場合は、作業者がクランプ解除を希望しないと判断して、クランプのスイッチがオフされているか否かを確認する(S160)。
【0066】
ステップS160において、選択入力部がオフに切り替えられない場合は、継続して選択入力部がオン状態であることを通知するステップS120へ戻る。
【0067】
他の変形例において、ステップS110の前に、パイロットカットオフ信号が入力された状態であるかをモニタリングするステップをさらに含むことができる。
【0068】
パイロットカットオフ信号が入力されていないと、機械の作業動作が中止され、パイロットカットオフ信号が入力されていない場合にのみ、次のクランプ安全操作ステップ(ステップS110以後)に進むことができる。
【0069】
言い換えれば、パイロットカットオフ信号が入力されると、作業機械が作動中であるため、クランプのスイッチがオンされても、クランプ解除機能が行われることはない。
【0070】
上述のような本発明の一実施例に係る建設機械のクイッククランプ制御装置によれば、作業者の不注意で装置が操作されてアタッチメントが脱落するという安全事故を防ぐことができる。
【0071】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本明細書の技術的思想や必須構成要素を変更することなく種々に実施することができる。それで、上述の実施例は、あくまでも例示に過ぎず、限定的なものではない。本発明の範囲は、後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範疇、並びにその均等な概念から導出される全ての変更又は変形された形態は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0072】
なお、本明細書と図面には、本発明の好適な実施例について開示し、特定の用語が使用されているが、これは、本発明の技術内容を容易に説明するとともに発明の理解を助けるため、通常の意味で使用されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。今回開示される実施例のほかに、本発明の技術思想に基づいた他の変形例が実施できることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、容易に理解できるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、クイックカプラーの動作中にも、運転者の両手による操作が持続され、かつ、警告音を発生させる構成を含み、便利性及び安定性を同時に向上できる効果が得られるため、関連技術を適用した建設機械の営業可能性が十分であるとともに、現実的に明白に実施できるため、産業上の利用可能性を有する発明である。
【符号の説明】
【0074】
210 選択入力部
220 制御部
230 作動入力部
240 クランプ駆動部
250 出力部