特許第6915068号(P6915068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915068
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】石炭焚きボイラ用脱硝装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20210727BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   B01D53/86 222
   B01D53/90
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-541955(P2019-541955)
(86)(22)【出願日】2018年8月10日
(86)【国際出願番号】JP2018030008
(87)【国際公開番号】WO2019054108
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2019年12月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-177662(P2017-177662)
(32)【優先日】2017年9月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮西 英雄
(72)【発明者】
【氏名】小田 学
(72)【発明者】
【氏名】堤 龍二
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 心平
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−057770(JP,A)
【文献】 特開昭53−064103(JP,A)
【文献】 特開平07−213857(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/060378(WO,A1)
【文献】 特開2005−140370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34− 53/96
B01J 21/00− 38/74
F23J 13/00− 99/00
B63H 1/00− 25/52
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04− 3/38
F01N 9/00− 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスが流通する流路の一部に屈曲するベンド部を有する曲りダクトと、
前記曲りダクトの出口に接続され、複数の平行平板を有する整流装置、アンモニアガスを噴出するアンモニア注入ノズル、及び触媒層を流路中に設け、流路断面積が略一定とされた部分を備える触媒反応器と、
を備える石炭焚きボイラ用脱硝装置であって、
前記整流装置及び前記アンモニア注入ノズルは、前記触媒層の上流に位置する前記触媒反応器の流路断面積が略一定とされた部分の入口に配置され、
前記アンモニア注入ノズルは、前記整流装置の下流直後にて該整流装置と連続するように設置される石炭焚きボイラ用脱硝装置。
【請求項2】
排ガスが流通する流路の一部に屈曲するベンド部を有する曲りダクトと、
前記曲りダクトの出口に接続され、アンモニアガスを噴出するアンモニア注入ノズル、及び触媒層を流路中に設け、流路断面積が略一定とされた部分を備える触媒反応器と、
を備える石炭焚きボイラ用脱硝装置であって、
前記アンモニア注入ノズルは、前記触媒反応器の流路断面積が拡大している部分の直後、かつ、前記触媒層の上流に位置する前記触媒反応器の流路断面積が略一定とされた部分の入口に配置される石炭焚きボイラ用脱硝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚きボイラ用脱硝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭焚きボイラでは、アンモニアを還元剤として用いる脱硝装置が多用されている。このような石炭焚きボイラ用脱硝装置では、ダクトの屈曲などによってアンモニア注入ノズルの設置位置にてダクト内の排ガスの流速分布に偏りがある場合、脱硝性能の高効率化を妨げるおそれがあるため、アンモニアを一様に拡散させることが望ましい。
【0003】
そのため、図3に示すように、アンモニア注入ノズル44から噴出されるアンモニアガスの拡散距離を確保するために、アンモニア注入ノズル44の設置位置以後の垂直上昇流ダクトを長く設計する方法が採用されている。また、触媒反応器140の入口に整流装置42を設けることで、触媒層46に流入する排ガス下降流の整流を行い、脱硝性能の高効率化を図っている。
【0004】
一方、特許文献1には、アンモニア注入ノズルの向き及び角度を排ガス流路形状によって変化させ、アンモニア注入ノズルから噴出されるアンモニアを排ガス中に一様に分布させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−24246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
石炭焚きボイラ用脱硝装置では、アンモニアを一様に拡散させることが望ましいが、図3を用いて説明したように、アンモニア注入ノズルから噴出されるアンモニアガスの拡散距離を確保するために、垂直上昇流ダクトを長く設計しなければならない。
【0007】
また、既設ボイラに脱硝装置を追加する場合、アンモニア注入ノズルを設置する為に、既設ダクトのレイアウト変更が必要になり、その都度設計が必要になり、設計期間とコストが発生する。
【0008】
一方、特許文献1のように、アンモニア注入ノズル自体の構造を変更する場合、構造の複雑化や組立困難性などの問題が生じる虞がある。
【0009】
上記の事情を鑑み、本発明の一態様では、アンモニア注入ノズルの設置位置にて排ガスの速度分布を一様とし、整流した状態で排ガスを通過させることで、ダクトを長くせずとも噴出したアンモニアガスを均一に拡散させる石炭焚きボイラ用脱硝装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、石炭焚きボイラ用脱硝装置は以下の手段を採用する。
即ち、本発明の一態様にかかる石炭焚きボイラ用脱硝装置は、排ガスが流通する流路の一部に屈曲するベンド部を有する曲りダクトと、前記曲りダクトの出口に接続され、複数の平行平板を有する整流装置、アンモニアガスを噴出するアンモニア注入ノズル、及び触媒層を流路中に設け、流路断面積が略一定とされた部分を備える触媒反応器と、を備える石炭焚きボイラ用脱硝装置であって、前記整流装置及び前記アンモニア注入ノズルは、前記触媒層の上流に位置する前記触媒反応器の流路断面積が略一定とされた部分の入口に配置され、前記アンモニア注入ノズルは、前記整流装置の下流直後にて該整流装置と連続するように設置される。
【0011】
本態様に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置では、整流装置とアンモニア注入ノズルは、触媒層の上流、且つ、触媒反応器の流路断面積が略一定とされた部分の入口に位置している。また、アンモニア注入ノズルは、整流装置の下流直後にて整流装置と連続するように設置される。これにより、触媒反応器の上流に接続された曲りダクトにて発生した排ガスの偏流は、アンモニア注入ノズル上流に設置された整流装置によって整流される。また、整流装置とアンモニア注入ノズルは連続して設置され、その間には他の部品が設置されていない。このため、アンモニア注入ノズルを通過する排ガスは整流された状態となる。これにより、アンモニア注入ノズルから噴出されるアンモニアガスは、偏流によるアンモニア濃度のばらつきが抑制され、安定的にアンモニアガスを拡散させることができる。偏流の生じる曲りダクト内にアンモニア注入ノズルを設けていた従来の脱硝装置では、ダクト内でアンモニアガスの拡散距離を確保しなければならなかった。しかし、本態様に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置によれば、触媒反応器内に整流装置及びアンモニア注入ノズルを設けて一体化することで、従来延長していたダクトを短縮することができる。したがって、脱硝装置の小型化を図ることができる。また、既設ボイラに脱硝装置を追加する場合、その都度既設ダクトのレイアウト変更を行わずに済み、設計期間短縮やコスト削減も図ることができる。
【0012】
また、アンモニア注入ノズル自体の流路抵抗によって、より排ガスを整流することができる。このため、排ガスはより整流された状態で触媒層に到達するので、脱硝性能の向上及び触媒層への灰堆積の防止を図ることができる。
【0013】
また、アンモニア注入ノズルを整流装置に近設した場合、支持構造を共有することができるので、部品点数の削減などのコストダウンを図ることができる。併せて、触媒層までの距離を確保できるため、アンモニアガスの拡散距離を確保することができる。
【0014】
また、アンモニア注入ノズルが設置される触媒反応器(触媒反応器入口)は、曲りダクトよりも流路断面積が約3倍大きく排ガスの流速が約1/3の低速となる領域であるため、圧力損失の低減やアンモニア注入ノズルのエロージョンの低減を可能とする。
【0015】
本発明の一態様にかかる石炭焚きボイラ用脱硝装置は、排ガスが流通する流路の一部に屈曲するベンド部を有する曲りダクトと、前記曲りダクトの出口に接続され、アンモニアガスを噴出するアンモニア注入ノズル、及び触媒層を流路中に設け、流路断面積が略一定とされた部分を備える触媒反応器と、を備える石炭焚きボイラ用脱硝装置であって、前記アンモニア注入ノズルは、前記触媒反応器の流路断面積が拡大している部分の直後、かつ、前記触媒層の上流に位置する前記触媒反応器の流路断面積が略一定とされた部分の入口に配置される。
【0016】
本態様に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置では、アンモニア注入ノズルは、触媒層の上流、且つ、触媒反応器の流路断面積が略一定とされた部分の入口に設置されている。触媒反応器の上流に接続された曲りダクトにて発生した排ガスの偏流は、アンモニア注入ノズル自体の流路抵抗によって整流される。これにより、アンモニア注入ノズルから噴出されたアンモニアガスは、偏流によるアンモニア濃度のばらつきが抑制され、安定的にアンモニアガスを分布させることができるうえ、排ガスは整流された状態で触媒層に到達する。偏流の生じる曲りダクト内にアンモニア注入ノズルを設けていた従来の脱硝装置では、ダクト内でアンモニアガスの拡散距離を確保しなければならなかった。しかし、本態様に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置によれば、触媒反応器内にアンモニア注入ノズルを設けることで、従来延長していたダクトを短縮することができる。したがって、脱硝装置の小型化を図ることができる。また、既設ボイラに脱硝装置を追加する場合、その都度既設ダクトのレイアウト変更を行わずに済み、設計期間短縮やコスト削減も図ることができる。
【0017】
また、アンモニア注入ノズルが設置される触媒反応器(触媒反応器入口)は、曲りダクトより流路断面積が約3倍大きく排ガスの流速が約1/3の低速となる領域であるため、圧力損失の低減やアンモニア注入ノズルのエロージョンの低減を可能とする。
【0018】
更に、触媒反応器に整流装置を設けていないので、構造の簡易化や製造コストの削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置によれば、アンモニア注入ノズルの設置位置にて排ガスの速度分布を一様とし、整流した状態で通過させることで、ダクトを長くせずとも噴出したアンモニアガスを均一に拡散させることができる。
また、既設ボイラに脱硝装置を追加する場合でも、既設ダクトのレイアウト変更を行わずに脱硝装置の追加を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置の縦断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置の縦断面図である。
図3】従来例の石炭焚きボイラ用脱硝装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の一実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置について、図面を参照して説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
石炭焚きボイラ用脱硝装置1A内を通過する石炭焚きボイラからの排ガスは、アンモニアガスと混合された後、触媒層46を通過させることで、化学反応によって、排ガス中の窒素酸化物(NOx)は環境負荷がない窒素や水蒸気に分解される。そして、窒素酸化物(NOx)が除去された排ガスは、排煙ダクト(図示せず)等から大気へと放出される。
【0023】
図1には、本発明の第1実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置1Aの縦断面図が示されている。石炭焚きボイラ用脱硝装置1Aは、例えば選択触媒還元脱硝装置(SCR:Selective Catalytic Reduction)とされている。石炭焚きボイラ用脱硝装置1Aは曲りダクト20と触媒反応器40Aとを備える。曲りダクト20のダクト出口22が、触媒反応器40Aに接続されることで、曲りダクト20と触媒反応器40Aが一体となる。
【0024】
曲りダクト20は、流路の一部屈曲しているベンド部24を有している。曲りダクト20は、ダクト出口22とは反対側の開口(ダクトの入口)が石炭焚きボイラ(図示せず)に接続される。石炭焚きボイラから排出された窒素酸化物(NOx)を含む排ガスが、ダクト入口から流入してダクト出口22に向って流通する。排ガスがベンド部24を通過する際、流路の屈曲により排ガスの流れに偏流が生じる。
【0025】
ダクト入口から、流路方向を水平方向とするダクト出口22に到達した排ガスは、触媒反応器40Aの下流に向かって流通する。
【0026】
ダクト出口22から触媒反応器40Aに流入した排ガスは、まず、触媒反応器40Aの流路が拡大している区間(流路拡大部48)を通過しながら、その流れ方向を水平方向から上下方向に転向する。また、流路面積が約3倍に拡大しているので、排ガスの流速は約1/3に小さくなる。
【0027】
流路拡大部48の下流直後の触媒反応器40Aは、流路断面積が略一定とされた区間を有する。その流路断面積が略一定とされた区間の触媒反応器40Aには、上流(同図では上方)から順に、整流装置42、アンモニア注入ノズル44及び触媒層46が備えられる。整流装置42及びアンモニア注入ノズル44は、流路断面積が略一定とされた区間の入口側(上流側)に設置され、アンモニア注入ノズル44は、整流装置42の下流直後にて整流装置42と連続するように設置される。前記流路断面積は、ダクト面積の約3倍となる。空塔速度は、ダクトで、9m/s〜18m/sで、望ましくは、12m/s〜15m/sである。
【0028】
整流装置42は、上下方向を短手方向、紙面垂直方向を長手方向、とする複数の平行平板を有する。複数の平行平板は、水平方向に所定の間隔をあけて設置されている。平行平板間を通過する流体(排ガス)は、平行平板の流路抵抗によって流れが一様となる。即ち、整流される。整流装置は平行平板としたが、これに限るものではなく、ガイドベーンや格子でも良い。
【0029】
アンモニア注入ノズル44は、複数設けられ、それぞれが水平方向に所定の間隔をあけて設置され、紙面垂直方向を長手方向とする円管と、その各円管から下方に向かって延出するノズルを有する。図示しない装置によって円管内に導かれたアンモニアガスは、下方に向かって延出するノズルを介して排ガス中に噴出される。アンモニアガスは、触媒反応器40Aの流路内で排ガスと混合されながら、アンモニア注入ノズル44の下流に設置されている触媒層46に向かう。長手方向の整流装置と長手方向のアンモニア注入ノズル円管は等距離が望ましく、図1から2では、両者を平行としたが交差させてもよい。
【0030】
触媒層46は、例えばセラミックスや酸化チタンを担持したものとされ、アンモニアガスと混合された排ガスを通過させることで、化学反応によって、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を環境負荷がない窒素や水蒸気へと分解する。この時の空塔速度は、3m/s〜6m/sで、望ましくは、4m/s〜5m/sである。
【0031】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
触媒反応器40Aの上流に接続された曲りダクト20にて発生した排ガスの偏流は、アンモニア注入ノズル44上流に設置された整流装置42によって整流される。また、整流装置42とアンモニア注入ノズル44は連続して設置され、その間には他の部品が設置されていない。このため、アンモニア注入ノズル44を通過する排ガスは整流された状態となる。これにより、アンモニア注入ノズル44から噴出されるアンモニアガスは、偏流によるアンモニア濃度のばらつきが抑制され、安定的にアンモニアガスを拡散させることができる。偏流の生じる曲りダクト20内にアンモニア注入ノズル44を設けていた従来の脱硝装置では、ダクト内でアンモニアガスの拡散距離を確保しなければならなかったが、本実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置1Aによれば、触媒反応器40A内に整流装置42及びアンモニア注入ノズル44を設けて一体化することで、従来延長していたダクトを短縮することができる。したがって、脱硝装置の小型化を図ることができる。また、既設ボイラに脱硝装置を追加する場合、その都度既設ダクトのレイアウト変更を行わずに済み、設計期間短縮やコスト削減も図ることができる。
【0032】
また、アンモニア注入ノズル44自体の流路抵抗によって、より排ガスを整流することができる。このため、排ガスはより整流された状態で触媒層46に到達するので、脱硝性能の向上及び触媒層46への灰堆積の防止を図ることができる。
【0033】
また、アンモニア注入ノズル44を整流装置42に近設した場合、支持構造を共有することができるので、部品点数の削減などのコストダウンを図ることができる。併せて、触媒層46までの距離を確保できるため、アンモニアガスの拡散距離を確保することができる。
【0034】
また、アンモニア注入ノズル44が設置される触媒反応器40A(触媒反応器40A入口)は、曲りダクト20よりも流路断面積が大きく排ガスの流速が低速となる領域であるため、圧力損失の低減やアンモニア注入ノズル44のエロージョンの低減を可能とする。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、整流装置42の有無で異なり、その他の点については同様である。したがって、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0036】
図2には、本発明の第2実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置1Bの縦断面図が示されている。本実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置1Bは、第1実施形態の石炭焚きボイラ用脱硝装置1Aから整流装置42を省いたものと同様の構成である。即ち、触媒反応器40Bの流路断面積が略一定とされた区間の入口側(上流側)には、排ガスの流れを整流する部材としてはアンモニア注入ノズル44のみが設置されている。
【0037】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
触媒反応器40Bの上流に接続された曲りダクト20にて発生した排ガスの偏流は、アンモニア注入ノズル44自体の流路抵抗によって整流される。これにより、アンモニア注入ノズル44から噴出されたアンモニアガスは、偏流によるアンモニア濃度のばらつきが抑制され、安定的にアンモニアガスを分布させることができるうえ、排ガスは整流された状態で触媒層46に到達する。偏流の生じる曲りダクト内にアンモニア注入ノズル44を設けていた従来の脱硝装置では、ダクト内でアンモニアガスの拡散距離を確保しなければならなかったが、本実施形態に係る石炭焚きボイラ用脱硝装置1Bによれば、触媒反応器40B内にアンモニア注入ノズル44を設けることで、従来延長していたダクトを短縮することができる。したがって、脱硝装置の小型化を図ることができる。また、既設ボイラに脱硝装置を追加する場合、その都度既設ダクトのレイアウト変更を行わずに済み、設計期間短縮やコスト削減も図ることができる。
【0038】
また、アンモニア注入ノズル44が設置される触媒反応器40B(触媒反応器40B入口)は、曲りダクト20より流路断面積が大きく排ガスの流速が低速となる領域であるため、圧力損失の低減やアンモニア注入ノズル44のエロージョンの低減を可能とする。
【0039】
また、触媒反応器40Bに整流装置42を設けていないので、構造の簡易化や製造コストの削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1(1A,1B) 石炭焚きボイラ用脱硝装置
20 曲りダクト
22 ダクト出口
24 ベンド部
40(40A,40B) 触媒反応器
42 整流装置
44 アンモニア注入ノズル
46 触媒層
48 流路拡大部
図1
図2
図3