特許第6915090号(P6915090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6915090実装装置、情報処理装置、実装方法及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915090
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】実装装置、情報処理装置、実装方法及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20210727BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-559470(P2019-559470)
(86)(22)【出願日】2017年12月13日
(86)【国際出願番号】JP2017044783
(87)【国際公開番号】WO2019116472
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 茂人
(72)【発明者】
【氏名】飯阪 淳
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−165093(JP,A)
【文献】 特開平05−114799(JP,A)
【文献】 特開2000−183597(JP,A)
【文献】 特表2002−521853(JP,A)
【文献】 特開2007−165360(JP,A)
【文献】 特開2014−127526(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/059679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を採取する採取部材を複数有する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させる一方、前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させる実装制御部と、を備え
前記実装ヘッドは、軸回転する円筒部を有し前記採取部材が前記円筒部の円周上に装着され前記円筒部を回転させつつ前記部品を採取、採取解除するロータリーヘッドであり、
前記実装制御部は、前記第2部品を採取したあとには前記円筒部を回転させず、前記第2部品を採取解除した後に前記円筒部を回転させる、実装装置。
【請求項2】
前記実装ヘッドは、前記採取部材を下降させる下降ポジションを2以上有しており、
前記実装制御部は、前記実装ヘッドに複数の部品を採取させる同一工程内の最終に前記第2部品を前記下降ポジションの前記採取部材で採取させる一方、前記下降ポジションの採取部材に前記下降位置で保持された前記第2部品からより先に採取解除させる、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記実装ヘッドは、前記採取部材を下降させる下降ポジションを2以上有しており、
前記実装制御部は、前記下降ポジションの前記採取部材で前記第2部品を採取させたあとに他の第2部品を採取するときには他の下降ポジションの前記採取部材で該第2部品を採取する、請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記実装制御部は、前記第1部品よりも後に前記第2部品を前記採取部材に採取させる採取順を設定し、前記第1部品よりも先に前記第2部品を前記採取部材から採取解除させる採取解除順を設定する、請求項1〜のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項5】
前記第2部品は、前記採取部材に採取されて前記所定高さで保持されると隣の前記採取部材の先端及び/又は該先端に保持された前記第1部品に干渉する大型部品である、請求項1〜のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項6】
部品を採取する採取部材を複数有し、軸回転する円筒部を有し前記採取部材が前記円筒部の円周上に装着され前記円筒部を回転させつつ前記部品を採取、採取解除するロータリーヘッドである実装ヘッドを備え該部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる情報処理装置であって、
前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させる採取順を設定する一方、前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させる採取解除順を設定し、前記第2部品を採取したあとには前記円筒部を回転させず、前記第2部品を採取解除した後に前記円筒部を回転させる実装処理を設定する設定制御部、
を備えた情報処理装置。
【請求項7】
部品を採取する採取部材を複数有し、軸回転する円筒部を有し前記採取部材が前記円筒部の円周上に装着され前記円筒部を回転させつつ前記部品を採取、採取解除するロータリーヘッドである実装ヘッドを備え該部品を採取して実装処理する実装装置に用いられる実装方法であって、
(a)前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させるステップと、
(b)前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させるステップと、をみ、
前記ステップ(a)、(b)では、前記第2部品を採取したあとには前記円筒部を回転させず、前記第2部品を採取解除した後に前記円筒部を回転させる、実装方法。
【請求項8】
部品を採取する採取部材を複数有し、軸回転する円筒部を有し前記採取部材が前記円筒部の円周上に装着され前記円筒部を回転させつつ前記部品を採取、採取解除するロータリーヘッドである実装ヘッドを備え該部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる情報処理方法であって、
(a)前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させる採取順を設定するステップと、
(b)前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させる採取解除順を設定するステップと、をみ、
前記ステップ(a)、(b)では、前記第2部品を採取したあとには前記円筒部を回転させず、前記第2部品を採取解除した後に前記円筒部を回転させる実装処理を設定する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、実装装置、情報処理装置、実装方法及び情報処理方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置としては、例えば、複数の吸着ノズルを円周上に装着した回転体を有しこの回転体を回転しつつ第1位置及び第2位置で部品を採取するロータリーヘッドを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、複数の位置で部品を採取することができるため、スループットを向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6177342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1の実装装置では、隣の吸着ノズルや隣で採取された部品に干渉するような大型部品を採取することは考慮されていなかった。特許文献1では、複数の位置で部品を採取することにより、スループットを向上しているが、まだ十分ではなく、このような大型部品を採取する際に、生産効率を向上することが求められていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、生産効率をより向上することができる実装装置、情報処理装置、実装方法及び情報処理方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する実装装置、情報処理装置、実装方法及び情報処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示する実装装置は、
部品を採取する採取部材を複数有する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させる一方、前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させる実装制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この実装装置は、実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、実装ヘッドが所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを実装ヘッドで採取するときには、第2部品をより後に採取させる一方、第1部品及び第2部品を採取している実装ヘッドから部品を採取解除するときには第2部品をより先に採取解除させる。この実装装置では、第2部品を下降位置で保持するため、隣の採取部材や隣に採取された第1部品などと干渉することを防止することができる。このため、例えば、第1部品よりも大型の第2部品と、第1部品とを同一工程で保持して移動することができる。また、第2部品を先に採取すると第1部品の採取に干渉する場合があるが、ここでは、第2部品を第1部品よりあとに採取するから、第1部品と第2部品とを干渉なく採取できる。同様に、第2部品を保持したまま近隣の第1部品を採取解除すると第2部品に干渉する場合があるが、ここでは、第2部品を優先的に採取解除するから、第1部品と第2部品とを干渉なく採取解除できる。このように、この実装装置では、第1部品及び第2部品を干渉なく採取、保持及び採取解除することができるため、生産効率をより向上することができる。ここで、「所定高さ」や「下降位置」は、例えば、部品を保持した状態で他の部材に干渉しない高さに経験的に定められているものとしてもよい。また、「採取部材」は、部品を圧力により吸着する吸着ノズルとしてもよいし、部品を把持して採取するメカニカルチャックとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装システム10の一例を表す概略説明図。
図2】実装ヘッド22の説明図。
図3】実装ヘッド22が部品Pを同時採取する説明図。
図4】記憶部53に記憶された情報の一例を表す説明図。
図5】汎用部品P1と大型部品Paを採取した一例を表す説明図。
図6】下降位置で大型部品Paを吸着ノズル25で保持する説明図。
図7】実装条件設定処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
図8】大型部品Paの採取、採取解除順を変更する一例の説明図。
図9】実装処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本開示である実装システム10の一例を示す概略説明図である。図2は、実装ヘッド22の説明図である。図3は、実装ヘッド22が部品Pを同時採取する説明図である。図4は、記憶部53に記憶された実装条件情報33の一例を表す説明図である。実装システム10は、例えば、部品Pを基板Sに実装する処理に関する実装処理を実行するシステムである。この実装システム10は、実装装置11と、管理コンピュータ(PC)50とを備えている。実装システム10は、複数の実装装置11が上流から下流に配置された実装ラインとして構成されている。図1では、説明の便宜のため実装装置11を1台のみ示している。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1、3に示した通りとする。
【0011】
実装装置11は、図1に示すように、基板処理部12と、部品供給部14と、部品撮像部16と、ノズル保管部18と、実装部20と、実装制御部30とを備えている。基板処理部12は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板処理部12は、図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。
【0012】
部品供給部14は、リールを備えた複数のフィーダ15やトレイユニットを有し、実装装置11の前側に着脱可能に取り付けられている。各リールには、テープが巻き付けられ、テープの表面には、複数の部品Pがテープの長手方向に沿って保持されている。このテープは、リールから後方に向かって巻きほどかれ、部品が露出した状態で、吸着ノズル25で吸着される採取位置にフィーダ部により送り出される。トレイユニットは、部品を複数配列して載置するトレイを有し、所定の採取位置へこのトレイを出し入れする。
【0013】
部品撮像部16は、画像を撮像する装置であり、実装ヘッド22に採取され保持された1以上の部品Pを撮像するユニットである。この部品撮像部16は、部品供給部14と基板処理部12との間に配置されている。この部品撮像部16の撮像範囲は、部品撮像部16の上方である。部品撮像部16は、部品Pを保持した実装ヘッド22が部品撮像部16の上方を通過する際、その画像を撮像し、撮像画像データを実装制御部30へ出力する。
【0014】
ノズル保管部18は、複数種類の吸着ノズル25を複数個、収納穴に保管するものである。実装ヘッド22は、部品Pを装着する基板Sの種類や部品Pの種類に応じて、ノズル保管部18に保管された吸着ノズル25に交換して実装処理を行う。
【0015】
実装部20は、部品Pを部品供給部14から採取し、基板処理部12に固定された基板Sへ配置するものである。実装部20は、ヘッド移動部21と、実装ヘッド22と、保持体23と、ノズルホルダ24と、吸着ノズル25とを備えている。ヘッド移動部21は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド22は、スライダに取り外し可能に装着されており、ヘッド移動部21によりXY方向へ移動する。実装ヘッド22の下面には、1以上の吸着ノズル25が取り外し可能に保持体23を介して装着されている。保持体23には、複数種のうちいずれかの種別の吸着ノズル25が複数装着される。保持体23には、複数の吸着ノズル25(例えば、16個や8個、4個など)がノズルホルダ24を介して装着され、複数の部品Pを1度に採取可能である。吸着ノズル25は、負圧を利用して部品を採取する採取部材であり、実装ヘッド22にノズルホルダ24を介して取り外し可能に装着される。
【0016】
この実装ヘッド22は、回転可能な状態で保持体23を保持するロータリー型の作業ヘッドとして構成されている。実装ヘッド22の保持体23は、図2、3に示すように、X軸スライダに取り付けられるヘッド本体40と、ヘッド本体40から下方に配設された係合軸41とを備えている。保持体23は、円筒状の部材であるロータリー部42と、ロータリー部42の下方に配設されたR軸ギア43と、ロータリー部42の上方に配設されたQ軸ギア44と、下端に吸着ノズル25を装着する長尺円筒状の複数のノズルホルダ24とを備えている。ヘッド本体40には、ロータリー部42を軸回転させるR軸モータ26と、吸着ノズル25を軸回転させるQ軸モータ27と、押下部29を移動することにより吸着ノズル25を昇降させるZ軸モータ28とが配設されている。なお、ロータリー部42の回転軸をR軸と称し、吸着ノズル25の回転軸をQ軸と称する。係合軸41は、軸回転可能にヘッド本体40に配設されており、Q軸ギア44の中心に形成された有底孔に挿入され保持体23と係合する。ロータリー部42は、例えば、ノズルホルダ24の中心軸を中心に回転可能に且つ上下動可能に複数のノズルホルダ24を支持する円筒状の部材である。R軸ギア43は、ロータリー部42よりも大きな外径を有している円板状の部材であり、外周面にギア溝が形成されている。このR軸ギア43は、R軸モータ26の回転軸に接続された小ギア45に噛み合っており、この小ギア45を介してR軸モータ26により回転駆動される。Q軸ギア44は、ロータリー部42よりも小さな外径を有している円筒状の部材であり、外周面にギア溝が形成されている。ノズルホルダ24は、その上端側に小ギア46が配設され、下端側に吸着ノズル25を装着する部材である。小ギア46は、Q軸ギア44の外周に形成されたギア溝に噛み合っている。ノズルホルダ24は、Q軸ギア44の外周に沿って等間隔に配設されている。ノズルホルダ24は、Q軸モータ27に接続された小ギア47、Q軸ギア44及びノズルホルダ24の上端側に配設された小ギア46を介して伝達されたQ軸モータ27の駆動力により回転軸(Q軸)を中心に回転(自転)し、吸着した部品Pの角度を調整可能となっている。この実装ヘッド22では、Q軸ギア44の回転に連動して全てのノズルホルダ24が同期して回転する。このノズルホルダ24は、押下部29を介して伝達されたZ軸モータ28の駆動力により、Z軸方向(上下方向)に昇降される。実装ヘッド22では、X軸方向において左端部に位置する第1昇降位置Aと右端部に位置する第2昇降位置Bの2カ所(図3参照)でノズルホルダ24をZ軸方向に昇降する。即ち、実装ヘッド22では、吸着ノズル25を下降させる下降ポジションを2つ有している。この実装ヘッド22は、複数の吸着ノズル25により、部品供給部14から複数の部品Pを同一工程内で採取可能である。なお、「同一工程内」とは、例えば実装ヘッド22が1以上の部品Pを採取したのちこれらを配置(及び廃棄)して次の採取位置まで移動するまでの工程をいうものとする。
【0017】
実装制御部30は、図1に示すように、制御部としてのCPU31を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種データを記憶する記憶部32などを備えている。この実装制御部30は、基板処理部12や、部品供給部14、部品撮像部16、実装部20へ制御信号を出力し、実装部20や部品供給部14、部品撮像部16からの信号を入力する。記憶部32には、部品Pの採取順や採取解除順、部品種別(ID)、使用する吸着ノズル25、配置座標のほか下降位置での保持を要するか否かの情報を含む実装条件情報33が記憶されている。この実装条件情報33は、管理PC50から取得して記憶部32に記憶されるため、管理PC50の有する実装条件情報55と内容は同じである(図4参照)。
【0018】
管理PC50は、実装システム10の各装置の情報を管理するコンピュータである。管理PC50は、図1に示すように、制御装置51と、記憶部53と、ディスプレイと、入力装置とを備えている。制御装置51は、制御部としてのCPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。記憶部53は、例えばHDDなど、処理プログラムなど各種データを記憶する装置である。ディスプレイは、各種情報を表示する液晶画面である。入力装置は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等を含む。記憶部53には、部品情報54と、実装条件情報55とが記憶されている。部品情報54は、図4に示すように、実装装置11で取り扱う部品のサイズ、種別、使用可能な吸着ノズル種、その部品を下降位置で保持するか否かの情報などが部品種別(ID)と対応付けられている情報である。実装条件情報55は、部品Pの実装処理に用いられる実装ジョブであり、上述した実装条件情報33と同等の内容を含む。
【0019】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、まず、実装ヘッド22が部品Pを保持した状態について説明する。図5は、汎用部品P1と大型部品Paを採取した一例を表す説明図である。図6は、吸着ノズル25により、部品Pを通常保持する基準高さである基準高さH1(所定高さ)で汎用部品P1を保持し、下降位置H2で大型部品Paを保持する説明図である。この実装装置11は、実装ヘッド22により汎用部品P1(第1部品)や、大型部品Pa(第2部品)を同一工程で採取し、基板Sに配置する処理を行う。なお、ここでは、汎用部品P1や大型部品Paを部品Pと総称する。また、基準高さH1や下降位置H2は、例えば、部品Pを保持した状態で他の部材に干渉しない高さに経験的に定められているものとしてもよい。汎用部品P1は、例えば、吸着ノズル25に採取された状態で近隣の吸着ノズル25や部品Pへ干渉しないサイズや形状を有するものである。この実装ヘッド22において、保持されている部品Pは、その全てが吸着ノズル25の中心軸を中心として同期して回転する。このため、実装ヘッド22では、図5の点線の円に示すように、それぞれの部品が、部品サイズに所定のマージンを加えた回転領域において干渉しないよう配慮される。大型部品Paは、例えば、吸着ノズル25に採取されたあと基準高さH1で保持されると隣の吸着ノズル25の先端及び/又はこの先端に保持された部品Pに干渉するようなサイズを有する部品である。大型部品Paは、図6に示すように、基準高さH1よりも低い下降位置H2で保持される下降位置保持部品として設定されており、部品情報54に下降位置保持「要」の情報が付与されている(図4参照)。実装装置において、大型部品Paは、汎用部品P1と同一工程で保持されない設定としていたが、この実装装置11では、できるだけ多くの部品Pを同一工程で保持するよう設定されている。
【0020】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、特に、管理PC50で部品Pの採取、配置順を設定する処理について説明する。ここでは、実装ヘッド22には吸着ノズル25が8つ装着可能であり、部品Pを採取動作可能な下降ポジションが「2」である場合について、具体的に説明する。図7は、管理PC50のCPU52が実行する実装条件設定処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶部53に記憶され、作業者の実装条件作成開始入力に基づいて実行される。このルーチンが開始されると、CPU52は、まず、実装装置11が基板Sに実装する部品Pの情報を取得し、所定の優先順位に基づいて部品Pの配置順を仮設定する(S100)。CPU52は、例えば、生産する基板Sの情報(例えばCADデータ)から部品Pを特定し、部品Pの情報を取得するものとしてもよい。また、所定の優先順位は、例えば、部品Pを同時に複数採取可能なものや、実装ヘッド22の移動距離がより短くなるもの、吸着ノズル25の取り替え回数が少なくなるものなどのうち、1以上を経験的により上位にするものとしてもよい。
【0021】
次に、CPU52は、仮設定した配置順の上位から順に部品Pを選択し(S110)、選択した部品Pが下降位置保持部品であるか否かを判定する(S120)。CPU52は、下降位置保持部品か否かを、部品情報54に含まれる下降位置保持情報に基づいて判定する。選択した部品Pが下降位置保持部品でないときには、CPU52は、同一工程で他のポジションの吸着ノズル25に採取空きがあるか否かを判定し(S150)、採取空きがあるときには、S110以降の処理を実行する。即ち、吸着ノズル25の採取空きがなくなるまで部品を選択し、同一工程で採取可能な部品Pを最大数に設定する。なお、その工程に大型部品Paが含まれる場合は、隣の2つの吸着ノズル25での部品Pの保持ができないため(図5参照)、CPU52は、採取可能な吸着ノズル25の最大数を6として判定するものとする。一方、S120で部品Pが下降位置保持部品であるときには、CPU52は、下降ポジションに空きがあるか否かを判定する(S130)。この実装ヘッド22では、下降ポジションが「2」であり、同時に下降可能であるのは吸着ノズル25a,25bの2つである。このため、この判定は、同一工程内で下降ポジション数を超える下降位置保持部品を設定しないようにするものである。下降ポジションに空きがあるときには、CPU52は、S150以降の処理を行う。一方、下降ポジションに空きがないときには、CPU52は、選択中の部品を同一工程から外し、より後の任意の工程に組み込む処理を行い(S140)、S150以降の処理を行う。
【0022】
一方、S150で他のポジションに採取空きがないときには、CPU52は、同一工程で保持可能な部品数が最大になったものとして、同一工程内での採取及び採取解除順の変更処理などを必要に応じて行う(S160〜S190)。図8は、大型部品Paの採取、採取解除順を変更する一例の説明図であり、図8Aが仮設定した当初の採取、採取解除順の説明図であり、図8Bが変更後の採取、採取解除順の説明図である。この処理において、CPU52は、上記選択した部品Pに下降位置保持部品があるか否かを判定し(S160)、下降位置保持部品がないときには、現状の部品順を同一工程の採取順及び採取解除順に設定する。例えば、図8の採取順1〜8には、下降位置保持部品は含まれていないので、この工程では、採取順及び採取解除順を変更なくそのまま確定する(図8B)。一方、選択した部品Pに下降位置保持部品があるときには、この下降位置保持部品をよりあとに下降ポジションで保持させる順番に変更して採取順を設定する(S180)。例えば、図8Aの採取順9〜14には大型部品Paが含まれるため、この大型部品Paの採取順をより後に変更する(図8B)。実装ヘッド22では、下降位置に下降可能なのは第1昇降位置A及び第2昇降位置Bのみであり、他の部品Pよりも先に大型部品Paを採取すると、ロータリー部42を回転できなくなる。ここでは、大型部品Paをよりあとに採取するから、他の部品Pを採取可能である。なお、下降ポジション数よりも下降位置保持部品の採取数が少ないときは、CPU52は、その空きに合わせて、下降位置保持部品を最後に下降ポジションで採取させる採取順としてもよいし、最後から二番目に採取させる採取順としてもよい。
【0023】
また、S180のあと、CPU52は、下降位置保持部品をより先に採取解除する順番に変更して採取解除順を設定する(S190)。例えば、図8Aの採取順9〜14には大型部品Paが含まれるため、この大型部品Paの採取解除順をより先に変更する(図8B)。実装ヘッド22では、下降位置に吸着ノズル25を下降するとロータリー部42を回転できなくなる。ここでは、下降位置保持部品をより先に採取解除するから、他の部品Pを採取解除可能となる。なお、下降ポジション数よりも下降位置保持部品の保持数が少ないときは、CPU52は、その空きに合わせて、下降位置保持部品を最初に採取解除する採取解除順としてもよいし、最初から二番目に採取解除する採取解除順としてもよい。
【0024】
S190のあと、またはS170のあと、CPU52は、次の採取部品Pがあるか否かを判定し(S200)、次の採取部品Pがあるとき、即ち次の工程があるときには、S110以降の処理を繰り返し実行する。一方、S200で次の採取部品Pがないときには、全ての部品Pに対して採取順、採取解除順を設定したものとして、CPU52は、採取、採取解除順の設定を予め設定された所定回数行ったか否かを判定する(S210)。採取、採取解除順の設定が所定回数まで至っていないときには、CPU52は、採取、採取解除順の設定条件を変更し(S220)、S100以降の処理を繰り返す。CPU52は、この設定条件の変更として、例えば、任意の部品Pの配置順を交換するものとしてもよい。そして、S210で配置順の設定を所定回数行ったときには、CPU52は、設定した採取、採取解除順のうち最短時間のものを選択し(S230)、選択した採取、採取解除順を実装条件情報として記憶部53に記憶し(S240)、そのままこのルーチンを終了する。このようにして、できるだけ多くの他の部品Pと共に大型部品Paを実装ヘッド22に保持させる実装条件情報55を作成する。また、実装装置11は、実装処理の実行前までにこの実装条件情報55を取得し実装条件情報33として記憶部32に記憶させ、実装処理に用いる。
【0025】
次に、作成した実装条件情報を用いて実装装置11が実行する実装処理について説明する。図9は、実装装置11のCPU31により実行される実装処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶部32に記憶され、作業者の実装開始入力に基づいて実行される。このルーチンが開始されると、CPU31は、まず、実装条件情報33を読み出して取得し(S300)、基板Sの搬送及び固定処理を基板処理部12に行わせる(S310)。次に、CPU31は、実装条件情報33の採取順に基づいて採取する部品Pを設定する(S320)。ここでは、CPU31は、同一工程で採取する1以上の部品Pを設定するものとする。次に、CPU31は、必要に応じて吸着ノズル25の装着や交換を行い、部品Pの採取処理を行う(S330)。このとき、同一工程に下降位置保持部品が含まれるときには、CPU31は、下降位置保持部品をよりあとに採取させる。そして、CPU31は、部品撮像部16の上方を実装ヘッド22が通過するよう部品Pを移動させ、部品撮像部16に保持中の部品Pを撮像処理させる(S340)。
【0026】
次に、CPU31は、撮像画像を用いて、実装ヘッド22に保持された部品Pにエラーがあるか否かを判定する(S350)。部品Pのエラーとしては、例えば、形状異常や許容範囲外の採取位置ずれなどが挙げられる。保持中の部品Pにエラーがないときには、CPU31は、採取位置ずれを補正して部品Pを採取解除させ、基板S上に配置させる(S360)。このとき、同一工程に下降位置保持部品が含まれるときには、CPU31は、下降位置保持部品をより先に採取解除させる。一方、S350で、保持中の部品Pにエラーがあるときには、CPU31は、エラー部品を所定の廃棄位置で廃棄処理すると共に、残りの部品Pに対して採取位置ずれを補正して採取解除させ、基板S上に配置させる(S370)。このとき、同一工程に下降位置保持部品が含まれるときには、CPU31は、下降位置保持部品をより先に採取解除させる。CPU31は、実装条件情報33の配置位置の目標座標を変更し、下降位置保持部品がエラー部品であるときには、より先に廃棄位置で採取解除させ、下降位置保持部品がエラー部品でないときには、より先に基板S上の配置位置で採取解除させる。続いて、CPU31は、廃棄した部品Pを再配置部品に設定する(S380)。
【0027】
S360のあと、またはS380のあと、CPU31は、現基板の実装処理が完了したか否かを判定し(S390)、完了していないときには、S320以降の処理を実行する。即ち、CPU31は、次に吸着する部品Pを設定し、必要に応じて吸着ノズル25を取り替え、部品Pを撮像し、ずれ量を補正して基板Sに配置させる。一方、S390で現基板の実装処理が完了したときには、CPU31は、実装完了した基板Sを基板処理部12により排出させ(S400)、予め定められた実装条件情報33の実装ジョブが終了したか否かを判定する(S410)。実装条件情報33の実装ジョブが終了していないときには、CPU31は、S310以降の処理を実行する。一方、実装条件情報33の実装ジョブが終了したときには、CPU31は、再配置部品があるか否かを判定し(S420)、再配置部品がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
【0028】
一方、S420で再配置部品があるときには、1以上の再配置部品に対して採取、採取解除順設定処理を実行する(S430)。この処理は、実装条件設定処理ルーチンのS100〜S190の処理を行うものとすればよい。即ち、CPU31は、実装ヘッド22の移動距離などに基づいて、配置順を仮設定し、同一工程に下降位置保持部品がないときには、採取順、採取解除順をそのまま設定する。一方、同一工程に下降位置保持部品があるときには、CPU31は、よりあとに下降位置保持部品を採取すると共に、より先にこれを採取解除する採取順及び採取解除順を設定する。そして、CPU31は、再配置部品の採取処理を行い(S440)、採取ずれを補正して再配置部品を採取解除して基板S上に配置させ(S450)、そのままこのルーチンを終了する。なお、S440、S450の処理を行うに際してCPU31は、上記S340〜S380の処理を行うものとしてもよい。このように、実装装置11では、汎用部品P1と共に大型部品Paを同時に保持して実装処理を行うことができる。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装ヘッド22が本開示の実装ヘッドに相当し、実装制御部30が実装制御部に相当し、制御装置51が設定制御部に相当する。なお、本実施形態では、実装制御部30及び制御装置51の動作を説明することにより本開示の実装方法および情報処理方法の一例も明らかにしている。
【0030】
以上説明した本実施形態の実装装置11は、実装ヘッド22が基準高さH1で保持する汎用部品P1(第1部品)と、実装ヘッド22が基準高さH1よりも低い下降位置H2で保持する大型部品Pa(第2部品)とを実装ヘッドで採取するときには、第2部品をより後に採取させる一方、第1部品及び第2部品を採取している実装ヘッド22から部品Pを採取解除するときには第2部品をより先に採取解除させる。この実装装置11では、第2部品を下降位置H2で保持するため、隣の吸着ノズル25や隣に採取された部品Pなどと干渉することを防止することができる。このため、例えば、第1部品と第2部品とを同一工程で保持して移動することができる。また、第2部品を先に採取すると第1部品の採取に干渉する場合があるが、ここでは、第2部品を第1部品よりあとに採取するから、第1部品と第2部品とを干渉なく採取できる。同様に、第2部品を保持したまま近隣の第1部品を採取解除すると第2部品に干渉する場合があるが、ここでは、第2部品を優先的に採取解除するから、第1部品と第2部品とを干渉なく採取解除できる。このように、この実装装置11では、第1部品及び第2部品を干渉なく採取、保持及び採取解除することができるため、生産効率をより向上することができる。
【0031】
また、実装ヘッド22は、軸回転するロータリー部42(円筒部)を有し吸着ノズル25がロータリー部42の内部に円周上に装着されロータリー部42を回転させつつ部品Pを採取、採取解除するロータリーヘッドである。この実装制御部30は、第2部品を採取したあとにはロータリー部42を回転させず、第2部品を採取解除した後にロータリー部42を回転させる。このため、この実装装置11では、第2部品の保持中にはロータリー部42を回転させないため、より確実に部品Pを保持することができる。更に、実装ヘッド22は、吸着ノズル25を下降させる下降ポジションを2以上有しており、実装制御部30は、実装ヘッド22に複数の部品Pを採取させる同一工程内の最終に第2部品を下降ポジションの吸着ノズル25で採取させる一方、下降ポジションの吸着ノズル25に下降位置H2で保持された第2部品からより先に採取解除させる。この実装装置11では、複数の下降ポジションを有効に活用することができため、生産効率を更に向上することができる。更にまた、実装制御部30は、下降ポジションの吸着ノズル25で第2部品を採取させたあとに他の第2部品を採取するときには他の下降ポジションの吸着ノズル25で採取させる。この実装装置11では、複数の第2部品を採取することができるため、生産効率を更に向上することができる。
【0032】
また、実装制御部30は、再配置部品などにおいて、第1部品よりも後に第2部品を吸着ノズル25に採取させる採取順を設定し、第1部品よりも先に第2部品を吸着ノズル25から採取解除させる採取解除順を設定する。この実装装置11では、採取順及び採取解除順を設定可能であり、例えば、実装順の変更があとで必要になった場合でも、第1部品と第2部品とを混在して採取、採取解除可能であるから、生産効率をより向上することができる。更にまた、第2部品は、吸着ノズル25に採取されて基準高さH1で保持されると隣の吸着ノズル25の先端及び/又はこの先端に保持された第1部品に干渉する大型部品である。この実装装置11では、大型部品を含む場合において、生産効率をより向上することができる。
【0033】
なお、本開示の実装装置及び情報処理装置は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、実装ヘッド22は、ロータリー部42を有するものとしたが、下降位置H2で部品Pを保持するものであれば特にこれに限定されず、ロータリー部42を有しないものとしてもよい。また、実装ヘッド22は、2つの下降ポジションを持つものとしたが、特にこれに限定されず、下降ポジションを3つ以上有していてもよいし、1つだけ有するものとしてもよい。また、実装ヘッド22は、ノズルホルダ24の全てが同期して軸回転するものとして説明したが、特にこれに限定されず、ノズルホルダ24が個別に軸回転する構成を有するものとしてもよい。
【0035】
上述した実施形態では、実装装置11及び管理PC50が採取順及び採取解除順を設定するものとしたが、特にこれに限定されず、いずれか一方の装置が採取順を設定し、またいずれか一方の装置が採取解除順を設定するものとしてもよい。この実装システム10においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
上述した実施形態では、大型部品Paを下降位置保持部品としたが、下降した位置で保持する必要がある部品であれば特にこれに限定されない。また、汎用部品P1を第1部品としたが、基準高さH1で保持できるものであれば、特殊部品であってもよい。
【0037】
上述した実施形態では、吸着ノズル25を採取部材として説明したが、部品Pを採取するものであれば、特にこれに限定されず、例えば、採取部材は、部品Pを把持して採取するメカニカルチャックとしてもよい。
【0038】
ここで、本開示の実装装置において、前記実装ヘッドは、軸回転する円筒部を有し前記採取部材が前記円筒部の円周上に装着され前記円筒部を回転させつつ前記部品を採取、採取解除するロータリーヘッドであり、前記実装制御部は、前記第2部品を採取したあとには前記円筒部を回転させず、前記第2部品を採取解除した後に前記円筒部を回転させるものとしてもよい。この実装装置では、ロータリーヘッドにおいて、第2部品の保持中には円筒部を回転させないため、より確実に部品を保持することができる。
【0039】
本開示の実装装置において、前記実装ヘッドは、前記採取部材を下降させる下降ポジションを2以上有しており、前記実装制御部は、前記実装ヘッドに複数の部品を採取させる同一工程内の最終に前記第2部品を前記下降ポジションの前記採取部材で採取させる一方、前記下降ポジションの採取部材に前記下降位置で保持された前記第2部品からより先に採取解除させるものとしてもよい。この実装装置では、複数の下降ポジションを有効に活用することができため、生産効率を更に向上することができる。ここで、「同一工程内」とは、例えば、実装ヘッドが1以上の部品を採取したのちこれらを配置(及び廃棄)して次の採取位置まで移動するまでの工程をいうものとする。
【0040】
本開示の実装装置において、前記実装ヘッドは、前記採取部材を下降させる下降ポジションを2以上有しており、前記実装制御部は、前記下降ポジションの前記採取部材で前記第2部品を採取させたあとに他の第2部品を採取するときには他の下降ポジションの前記採取部材で該第2部品を採取するものとしてもよい。この実装装置では、複数の第2部品を採取することができるため、生産効率を更に向上することができる。
【0041】
本開示の実装装置において、前記実装制御部は、前記第1部品よりも後に前記第2部品を前記採取部材に採取させる採取順を設定し、前記第1部品よりも先に前記第2部品を前記採取部材から採取解除させる採取解除順を設定するものとしてもよい。この実装装置では、採取順及び採取解除順を設定可能であり、例えば、実装順の変更があとで必要になった場合でも、第1部品と第2部品とを混在して採取、採取解除可能であるから、生産効率を向上することができる。
【0042】
本開示の実装装置において、前記第2部品は、前記採取部材に採取されて前記所定高さで保持されると隣の前記採取部材の先端及び/又は該先端に保持された前記第1部品に干渉する大型部品であるものとしてもよい。この実装装置では、大型部品を含む場合において、生産効率をより向上することができる。
【0043】
本開示の情報処理装置は、
部品を採取する採取部材を複数有する実装ヘッドを備え該部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる情報処理装置であって、
前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させる採取順を設定する一方、前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させる採取解除順を設定する設定制御部、
を備えたものである。
【0044】
この情報処理装置は、上述した実装装置と同様に、第1部品及び第2部品を干渉なく採取、保持及び採取解除することができ、第1部品と第2部品とを同一工程で保持して移動することができるため、生産効率をより向上することができる。なお、この情報処理装置において、上述した実装装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した実装装置の各機能を実現するような構成を追加してもよい。
【0045】
本開示の実装方法は、
部品を採取する採取部材を複数有する実装ヘッドを備え該部品を採取して実装処理する実装装置に用いられる実装方法であって、
(a)前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させるステップと、
(b)前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させるステップと、
を含むものである。
【0046】
この実装方法は、上述した実装装置と同様に、第1部品及び第2部品を干渉なく採取、保持及び採取解除することができ、第1部品と第2部品とを同一工程で保持して移動することができるため、生産効率をより向上することができる。なお、この実装方法において、上述した実装装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した実装装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0047】
本開示の情報処理方法は、
部品を採取する採取部材を複数有する実装ヘッドを備え該部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる情報処理方法であって、
(a)前記実装ヘッドが所定高さで保持する第1部品と、前記実装ヘッドが前記所定高さよりも低い下降位置で保持する第2部品とを前記実装ヘッドで採取するときには、前記第2部品をより後に採取させる採取順を設定するステップと、
(b)前記第1部品及び前記第2部品を採取している前記実装ヘッドから部品を採取解除するときには前記第2部品をより先に採取解除させる採取解除順を設定するステップと、
を含むものである。
【0048】
この情報処理方法は、上述した情報処理装置と同様に、第1部品及び第2部品を干渉なく採取、保持及び採取解除することができ、第1部品と第2部品とを同一工程で保持して移動することができるため、生産効率をより向上することができる。なお、この情報処理方法において、上述した情報処理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した情報処理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示は、部品を採取し配置する実装処理を行う装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 実装システム、11 実装装置、12 基板処理部、14 部品供給部、15 フィーダ、16 部品撮像部、18 ノズル保管部、20 実装部、21 ヘッド移動部、22 実装ヘッド、23 保持体、24 ノズルホルダ、25 吸着ノズル、26 R軸モータ、27 Q軸モータ、28 Z軸モータ、29 押下部、30 実装制御部、31 CPU、32 記憶部、33 実装条件情報、40 ヘッド本体、41 係合軸、42 ロータリー部、43 R軸ギア、44 Q軸ギア、45〜47 小ギア、50 管理PC、51 制御装置、52 CPU、53 記憶部、54 部品情報、55 実装条件情報、A 第1昇降位置、B 第2昇降位置、P 部品、P1 汎用部品、Pa、大型部品、S 基板、H1 基準高さ、H2 下降位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9