特許第6915212号(P6915212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915212
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】シート貼付装置およびシート貼付方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210727BHJP
   B65C 9/18 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   B65C9/18
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-144794(P2017-144794)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-29416(P2019-29416A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−139983(JP,A)
【文献】 特開2015−145295(JP,A)
【文献】 特開2005−212955(JP,A)
【文献】 特開2015−120590(JP,A)
【文献】 特開2016−008104(JP,A)
【文献】 特開2015−162523(JP,A)
【文献】 特開2014−027171(JP,A)
【文献】 特開2010−080837(JP,A)
【文献】 特開平06−099503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65C 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートに仮着された帯状の接着シートを支持する支持手段と、
前記接着シートに繰出力を付与する繰出力付与手段と、
前記接着シートから前記剥離シートを剥離する剥離手段と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段と、
前記被着体に貼付された前記接着シートに閉ループ状の切込を形成し、当該切込の内側を前記被着体に貼付する貼付用接着シートとし、当該切込の外側を前記被着体に貼付しない不要接着シート部分とする切断手段と、
前記不要接着シート部分を回収する不要接着シート部分回収手段と、
前記剥離シートを回収する剥離シート回収手段と、
前記支持手段に支持された前記接着シートを前記不要接着シート部分回収手段にまで通紙する接着シート通紙手段と、
前記支持手段に支持された前記剥離シートを前記剥離シート回収手段にまで通紙する剥離シート通紙手段とを備え、
前記接着シート通紙手段は、一端部が前記不要接着シート部分回収手段に支持され、他端部で前記支持手段に支持された前記接着シートのリード端部を保持し、当該不要接着シート部分回収手段で回収可能に構成された接着シート牽引部材を備え、
前記剥離シート通紙手段は、一端部が前記剥離シート回収手段に支持され、他端部で前記支持手段に支持された前記剥離シートのリード端部を保持し、当該剥離シート回収手段で回収可能に構成された剥離シート牽引部材を備えていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
帯状の接着シートを支持する支持手段と、
前記接着シートに繰出力を付与する繰出力付与手段と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段と、
前記被着体に貼付された前記接着シートに閉ループ状の切込を形成し、当該切込の内側を前記被着体に貼付する貼付用接着シートとし、当該切込の外側を前記被着体に貼付しない不要接着シート部分とする切断手段と、
前記不要接着シート部分を回収する不要接着シート部分回収手段と、
前記支持手段に支持された前記接着シートを前記不要接着シート部分回収手段にまで通紙する接着シート通紙手段と、
前記切込が形成されていない未使用接着シート部分と、前記不要接着シート部分とに切り分けられた前記接着シートにおける当該不要接着シート部分を引き戻すことが可能な不要接着シート部分引戻手段とを備え、
前記接着シート通紙手段は、一端部が前記不要接着シート部分回収手段に支持され、他端部で前記支持手段に支持された前記接着シートのリード端部を保持し、当該不要接着シート部分回収手段で回収可能に構成された接着シート牽引部材を備えていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項3】
帯状の剥離シートに仮着された帯状の接着シートを支持手段で支持する支持工程と、
前記接着シートに繰出力を付与する繰出力付与工程と、
前記接着シートから前記剥離シートを剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程と、
前記被着体に貼付された前記接着シートに閉ループ状の切込を形成し、当該切込の内側を前記被着体に貼付する貼付用接着シートとし、当該切込の外側を前記被着体に貼付しない不要接着シート部分とする切断工程と、
前記不要接着シート部分を不要接着シート部分回収手段で回収する不要接着シート部分回収工程と、
前記剥離シートを剥離シート回収手段で回収する剥離シート回収工程と、
前記支持手段に支持された前記接着シートを前記不要接着シート部分回収手段にまで通紙する接着シート通紙工程と、
前記支持手段に支持された前記剥離シートを前記剥離シート回収手段にまで通紙する剥離シート通紙工程とを備え、
前記接着シート通紙工程は、一端部が前記不要接着シート部分回収手段に支持され、他端部で前記支持手段に支持された前記接着シートのリード端部を保持可能な接着シート牽引部材を用い、当該接着シート牽引部材を前記不要接着シート部分回収手段で回収する工程を有し、
前記剥離シート通紙工程は、一端部が前記剥離シート回収手段に支持され、他端部で前記支持手段に支持された前記剥離シートのリード端部を保持可能な剥離シート牽引部材を用い、当該剥離シート牽引部材を前記剥離シート回収手段で回収する工程を有することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項4】
帯状の接着シートを支持手段で支持する支持工程と、
前記接着シートに繰出力を付与する繰出力付与工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程と、
前記被着体に貼付された前記接着シートに閉ループ状の切込を形成し、当該切込の内側を前記被着体に貼付する貼付用接着シートとし、当該切込の外側を前記被着体に貼付しない不要接着シート部分とする切断工程と、
前記不要接着シート部分を不要接着シート部分回収手段で回収する不要接着シート部分回収工程と、
前記支持手段に支持された前記接着シートを前記不要接着シート部分回収手段にまで通紙する接着シート通紙工程と、
前記切込が形成されていない未使用接着シート部分と、前記不要接着シート部分とに切り分けられた前記接着シートにおける当該不要接着シート部分を引き戻す不要接着シート部分引戻工程とを備え、
前記接着シート通紙工程は、一端部が前記不要接着シート部分回収手段に支持され、他端部で前記支持手段に支持された前記接着シートのリード端部を保持可能な接着シート牽引部材を用い、当該接着シート牽引部材を前記不要接着シート部分回収手段で回収する工程を有することを特徴とするシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置およびシート貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着シートを自動で通紙するシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−80837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のシート貼付装置では、複数のプーリP1〜P7やベルトBといった大掛かりな周辺部材によって通紙手段20(通紙手段)が構成されているため、装置が大型化するという不都合が発生する。
【0005】
本発明の目的は、装置の大型化を防止することができるシート貼付装置およびシート貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一端部が不要接着シート部分回収手段に支持され、他端部で支持手段に支持された接着シートのリード端部を保持し、当該不要接着シート部分回収手段で回収可能な接着シート牽引部材を備えているので、大掛かりな周辺部材を採用することなく接着シートを自動で通紙することができ、装置の大型化を防止することができる。
また、一端部が剥離シート回収手段に支持され、他端部で支持手段に支持された剥離シートのリード端部を保持し、当該剥離シート回収手段で回収可能に構成された剥離シート牽引部材を備えれば、接着シートが帯状の剥離シートに仮着されていても、それに対応して自動通紙が行える。
さらに、支持手段が接着シート引戻手段を備えれば、初回に使用した接着シートのみならず、2回目以降に使用する別の接着シートも自動で通紙することができる。
また、不要接着シート部分引戻手段を備えれば、接着シートを使い終わる前に引き戻した再使用可能な接着シートを再度使用する際、不要接着シート部分を不要接着シート部分回収手段で回収させる時間を短縮することができ、素早い接着シートの付け換え作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
図2】本発明の他の例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1、2中手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明のシート貼付装置10は、帯状の剥離シートRLに仮着された帯状の接着シートASを支持する支持手段20と、接着シートASに繰出力を付与する繰出力付与手段30と、接着シートASから剥離シートRLを剥離する剥離手段40と、接着シートASを被着体WKに押圧して貼付する押圧手段50と、被着体WKに貼付された接着シートASに閉ループ状の切込CUを形成し、当該切込CUの内側を被着体WKに貼付する貼付用接着シートASNとし、当該切込CUの外側を被着体WKに貼付しない不要接着シート部分ASUとする切断手段60と、不要接着シート部分ASUを回収する不要接着シート部分回収手段70と、剥離シートRLを回収する剥離シート回収手段80と、支持手段20に支持された接着シートASを不要接着シート部分回収手段70にまで通紙する接着シート通紙手段90と、支持手段20に支持された剥離シートRLを剥離シート回収手段80にまで通紙する剥離シート通紙手段100と、切込CUが形成されていない未使用接着シート部分ASRと、不要接着シート部分ASUとに切り分けられた接着シートASにおける当該不要接着シート部分ASUを引き戻すことが可能な不要接着シート部分引戻手段110とを備え、被着体WKを支持する被着体支持手段120の上方に配置されている。
なお、本実施形態の場合、接着シートASは、剥離シートRLに仮着され、支持孔CM1を有する長尺体支持部材CMに巻回された状態で巻回一体物RBとされている。
【0011】
支持手段20は、フレームFLに支持され、繰り出された接着シートASを引き戻すことが可能な接着シート引戻手段であって駆動機器としての回動モータ21と、その図示しない出力軸に支持され、巻回一体物RBの支持孔CM1が挿通されて接着シートASを支持する支持軸22と、支持軸22内に支持された駆動機器としての直動モータ23の出力軸23Aに支持されたストッパ24と、フレームFLに支持されたガイドローラ25A、25B、25Cと、ガイドローラ25A方向に図示しない付勢手段で付勢されるピンチローラ26とを備えている。
【0012】
繰出力付与手段30は、駆動機器としてのリニアモータ31の第1スライダ31Aに支持された移動フレーム32と、移動フレーム32に支持された駆動機器としての回動モータ33と、その図示しない出力軸に支持された駆動ローラ34と、駆動ローラ34方向に図示しない付勢手段で付勢されるピンチローラ35とを備えている。
【0013】
剥離手段40は、剥離シートRLを折り返すことで、接着シートASから剥離シートRLを剥離する剥離ローラ41を備えている。
【0014】
押圧手段50は、リニアモータ31の第2スライダ31Bに支持されたブラケット51と、ブラケット51に支持され、回転自在な押圧ローラ52とを備えている。
【0015】
切断手段60は、駆動機器としてのリニアモータ61のスライダ61Aに支持された支持アーム62と、支持アーム62に支持された駆動機器としての回動モータ63と、その出力軸63Aに支持された回転アーム64と、回転アーム64に支持された切断手段としてのカッター刃65とを備えている。
【0016】
不要接着シート部分回収手段70は、移動フレーム32に支持された駆動機器としての回動モータ71と、その図示しない出力軸に支持された不要接着シート部分回収ローラ72とを備えている。
【0017】
剥離シート回収手段80は、フレームFLに支持された駆動機器としての回動モータ81と、その図示しない出力軸に支持された剥離シート回収ローラ82とを備えている。
【0018】
接着シート通紙手段90は、一端部91Fが不要接着シート部分回収ローラ72に支持され、他端部91Rで支持軸22に支持された接着シートASのリード端部AS1を保持し、当該不要接着シート部分回収ローラ72で回収可能に構成された接着シート牽引部材91を備えている。なお、接着シート牽引部材91は、樹脂製のベルトによって構成されている。
【0019】
剥離シート通紙手段100は、一端部101Fが剥離シート回収ローラ82に支持され、他端部101Rで支持軸22に支持された剥離シートRLのリード端部RL1を保持し、当該剥離シート回収ローラ82で回収可能に構成された剥離シート牽引部材101を備えている。なお、剥離シート牽引部材101は、樹脂製のベルトによって構成されている。
【0020】
不要接着シート部分引戻手段110は、フレームFLに支持された駆動機器としての回動モータ111と、その図示しない出力軸に支持され、剥離シートRLを支持可能な不要接着シート部分支持軸112とを備えている。
【0021】
被着体支持手段120は、駆動機器としての直動モータ121と、その出力軸121Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって被着体WKを支持可能な支持面122Aを有する支持テーブル122とを備えている。なお、支持面122Aには、カッター刃65の先端部が入り込む平面視閉ループ状の凹溝122Bが形成されている。
【0022】
以上のシート貼付装置10の動作を説明する。
先ず、図1中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート貼付装置10に対し、シート貼付装置10の使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように巻回一体物RBの支持孔CM1を支持軸22に差し込む。次いで、図1中二点鎖線で示すように、使用者が接着シートASのリード端部AS1と接着シート牽引部材91の他端部91Rとに接続手段としての第1接着テープST1を貼付し、接着シート牽引部材91の他端部91Rで接着シートASのリード端部AS1を保持させる。また、同図中二点鎖線で示すように、使用者が剥離シートRLのリード端部RL1と剥離シート牽引部材101の他端部101Rとに接続手段としての第2接着テープST2を貼付し、剥離シート牽引部材101の他端部101Rで剥離シートRLのリード端部RL1を保持させる。その後、使用者が操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を図示しない制御手段に入力すると、支持手段20が直動モータ23を駆動し、ストッパ24を長尺体支持部材CMに押し当てて支持軸22で巻回一体物RBを保持する。
【0023】
次に、支持手段20、繰出力付与手段30、不要接着シート部分回収手段70および剥離シート回収手段80が回動モータ21、33、71、81を駆動し、接着シート牽引部材91を不要接着シート部分回収ローラ72で回収するとともに、剥離シート牽引部材101を剥離シート回収ローラ82で回収する。このとき、接着シートASは、接着シート牽引部材91によって不要接着シート部分回収ローラ72方向に繰り出されるとともに、剥離シートRLは、剥離シート牽引部材101によって剥離ローラ41で折り返されて接着シートASから剥離され、剥離シート回収ローラ82方向に繰り出される。そして、接着シートASの未使用部が押圧ローラ52の最下部の下方に到達すると、支持手段20、繰出力付与手段30、不要接着シート部分回収手段70および剥離シート回収手段80が回動モータ21、33、71、81の駆動を停止し、シート貼付装置10がスタンバイ状態となる。なお、接着シートASや剥離シートRLを繰り出す際、支持手段20は、回動モータ21を駆動し、それらに所定の張力を付与するようになっている(以降も同様)。
【0024】
次いで、使用者または図示しない搬送手段によって、被着体WKが支持面122A上に載置されると、被着体支持手段120が図示しない減圧手段を駆動し、支持面122Aでの被着体WKの吸着保持を開始する。次に、支持手段20および剥離シート回収手段80が回動モータ21、81を駆動するとともに、繰出力付与手段30および押圧手段50がリニアモータ31を駆動し、接着シートASおよび剥離シートRLを繰り出しながら、図1(A)中二点鎖線で示すように、移動フレーム32およびブラケット51を左方へ移動させる。その後、被着体支持手段120が直動モータ121を駆動し、図1(A)中二点鎖線で示すように、支持テーブル122を上昇させて接着シートASに被着体WKを接近させた後、押圧手段50がリニアモータ31を駆動し、図1(B)中実線で示すように、ブラケット51を初期位置に復帰させて接着シートASを被着体WKの上面に押圧して貼付する。
【0025】
次に、切断手段60がリニアモータ61および回動モータ63を駆動し、図1(B)中実線で示すように、カッター刃65を下降させて当該カッター刃65の先端部を凹溝122B内に入り込ませて回転アーム64を1回転させた後、カッター刃65を初期位置に復帰させる。これにより、接着シートASが貼付用接着シートASNと不要接着シート部分ASUとに分かれ、当該貼付用接着シートASNが被着体WKに貼付された状態となる。そして、繰出力付与手段30および不要接着シート部分回収手段70がリニアモータ31および回動モータ33、71を駆動し、図1(B)中二点鎖線で示すように、不要接着シート部分回収ローラ72で不要接着シート部分ASUを回収しつつ、移動フレーム32を初期位置に復帰させる。
【0026】
移動フレーム32が初期位置に復帰すると、被着体支持手段120が直動モータ121を駆動し、図1(B)中二点鎖線で示すように、支持テーブル122を初期位置に復帰させた後、図示しない減圧手段の駆動を停止する。次いで、使用者または図示しない搬送手段が、貼付用接着シートASNが貼付された被着体WKを次の工程に搬送した後、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0027】
以上のような実施形態によれば、一端部91Fが不要接着シート部分回収ローラ72に支持され、他端部91Rで支持軸22に支持された接着シートASのリード端部AS1を保持し、当該不要接着シート部分回収ローラ72で回収可能な接着シート牽引部材91を備えているので、大掛かりな周辺部材を採用することなく接着シートASを自動で通紙することができ、装置の大型化を防止することができる。
また、一端部101Fが剥離シート回収ローラ82に支持され、他端部101Rで支持軸22に支持された剥離シートRLのリード端部RL1を保持し、当該剥離シート回収ローラ82で回収可能な剥離シート牽引部材101を備えているので、接着シートASが帯状の剥離シートRLに仮着されていても、それに対応して自動通紙が行える。
【0028】
なお、上記実施形態の場合、シート貼付装置10は、接着シート引戻手段と不要接着シート部分引戻手段110とを備えているため、例えば、所定数の被着体WKへの貼付用接着シートASNの貼付を終え、別の接着シートASを用いて被着体WKに貼付用接着シートASNを貼付する場合や、別の接着シートASを用いて別の被着体WKに貼付用接着シートASNを貼付する場合等において、以下のような運用を行うことも可能となっている。
すなわち、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等の図示しない検知手段や、使用者によって、別の接着シートASを貼付するタイミングになったことを指令する所定の信号が図示しない制御手段に入力されると、支持手段20、繰出力付与手段30、不要接着シート部分回収手段70および剥離シート回収手段80が回動モータ21、33、71、81を駆動し、接着シートASおよび剥離シートRLを巻回一体物RB方向に引き戻す。その後、切断手段60による最後の切込CUの形成によって不要接着シート部分ASUとされた部分がガイドローラ25Aの右方に位置すると、支持手段20、繰出力付与手段30、不要接着シート部分回収手段70および剥離シート回収手段80が回動モータ21、33、71、81の駆動を停止する。
【0029】
次に、使用者または図示しない切断手段が接着シートASおよび剥離シートRLを切断し、接着シートASを未使用接着シート部分ASRと、不要接着シート部分ASUとに切り分けるとともに、剥離シートRLを未使用剥離シート部分RLRと、不要剥離シート部分RLUとに切り分ける。そして、使用者または図示しない自動繋ぎ手段が図1中二点鎖線で示すように、不要接着シート部分ASUおよび不要剥離シート部分RLUの右端部を不要接着シート部分支持軸112に取り付ける。次いで、繰出力付与手段30、不要接着シート部分回収手段70、剥離シート回収手段80および不要接着シート部分引戻手段110が回動モータ33、71、81、111を駆動し、接着シート牽引部材91および剥離シート牽引部材101が初期位置に復帰可能な姿勢となるまで不要接着シート部分ASUおよび不要剥離シート部分RLUを引き戻す。その後、使用者が接着シートASのリード端部AS1(不要接着シート部分ASUの左端部)と接着シート牽引部材91の他端部91Rとに貼付されている第1接着テープST1を剥離するとともに、剥離シートRLのリード端部RL1(不要剥離シート部分RLUの左端部)と剥離シート牽引部材101の他端部101Rとに貼付されている第2接着テープST2を剥離すると、接着シート牽引部材91および剥離シート牽引部材101が初期位置に復帰する。
【0030】
次に、使用者が引き戻した不要接着シート部分ASUおよび不要剥離シート部分RLUを不要接着シート部分支持軸112から抜き取るとともに、巻回一体物RBを支持軸22から抜き取り、それらを廃棄物収納位置や再使用位置等の所定の格納位置に格納した後、使用者が上記と同様にして、別の巻回一体物RBを支持軸22に支持させ、以降上記同様の動作が繰り返される。これにより、初回に使用した接着シートASのみならず、2回目以降に使用する別の接着シートASも自動で通紙することができる上、接着シートASを使い終わる前に引き戻した再使用可能な接着シートASを再度使用する際、不要接着シート部分ASUを不要接着シート部分回収手段70で回収させる時間を短縮でき、素早い接着シートASの付け換え作業を行うこともできる。
【0031】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、繰出力付与手段は、接着シートに繰出力を付与可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない。
【0032】
支持手段20は、接着シート牽引部材91や接着シートASを繰り出す際、それらに所定の張力を付与しなくてもよいし、接着シート引戻手段が備わっていなくてもよいし、支持軸22に直動モータ23やストッパ24がなくてもよいし、接着シート引戻手段が接着シートASを引き戻す速度は、接着シートASを繰り出す速度と同じ速度でもよいし、それよりも高速でもよいし低速でもよいし、支持軸22やガイドローラ25A、25B、25C等の各ローラの代わりに板状部材やシャフト部材等で接着シートASを支持したり案内したりしてもよいし、例えば、長尺体支持部材CMのような芯を用いずに巻回された接着シートASを繰り出し可能に支持してもよいし、巻回された接着シートASではなく、ファンフォールド折りにされた接着シートASを下方から支え持って繰り出し可能に支持し、例えば、ガイドローラ25Aを原反引戻手段としての駆動機器で回動するように構成してもよい。
【0033】
繰出力付与手段30は、接着シートASを自動通紙する際、接着シート牽引部材91に繰出力を付与しなくてもよく、この場合、例えば、不要接着シート部分回収手段70が接着シート牽引部材91に繰出力を付与すればよいし、剥離シートRLを自動通紙する際、剥離シート牽引部材101に繰出力を付与してもよい。
【0034】
押圧手段50は、押圧ローラ52を被着体WKに離間接近させる押圧手段接離手段としての駆動機器を備え、被着体WKにストレスがかかったり損傷したりすることを防止するようにしてもよく、このような押圧手段接離手段としては、駆動機器以外に手動で押圧ローラ52を移動させるものでもよい。
【0035】
切断手段60は、カッター刃65を回転させずにまたは回転させつつ、他のものを回転させて接着シートASを貼付用接着シートASNと不要接着シート部分ASUとに切り分けてもよい。
【0036】
不要接着シート部分回収手段70は、不要接着シート部分ASUをファンフォールド折りにして回収してもよいし、巻き取ったり折り畳んだりすることなく回収してもよい。
【0037】
剥離シート回収手段80は、剥離シートRLをファンフォールド折りにして回収してもよいし、巻き取ったり折り畳んだりすることなく回収してもよい。
【0038】
接着シート通紙手段90は、不要接着シート部分回収ローラ72に対して着脱可能でもよいし、着脱不可能でもよい。
接着シート牽引部材91は、図2に示すように、他端部91Rに、支持軸22に支持された接着シートASのリード端部AS1を保持可能な接続手段としてのクリップ91Aが支持されていてもよいし、ゴムや樹脂等の弾性部材の他、布、紙、皮革、金属板、糸、紐、ワイヤ、チェーン等で構成してもよく、他端部91Rで支持手段20に支持された接着シートASのリード端部AS1を保持し、不要接着シート部分回収手段70で回収可能なものであれば何でもよいし、接続手段として、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、両面接着シート、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器、減圧ポンプやタービン等の減圧手段による吸引等を採用してもよい。
【0039】
剥離シート通紙手段100は、剥離シート回収ローラ82に対して着脱可能でもよいし、着脱不可能でもよい。
剥離シート牽引部材101は、図2に示すように、他端部101Rに、支持軸22に支持された剥離シートRLのリード端部RL1を保持可能な接続手段としてのクリップ101Aが支持されていてもよいし、ゴムや樹脂等の弾性部材の他、布、紙、皮革、金属板、糸、紐、ワイヤ、チェーン等で構成してもよく、他端部101Rで支持手段20に支持された剥離シートRLのリード端部RL1を保持し、不要接着シート部分回収手段70で回収可能なものであれば何でもよいし、接続手段として、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、両面接着シート、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器、減圧ポンプやタービン等の減圧手段による吸引等を採用してもよい。
【0040】
不要接着シート部分引戻手段110は、シート貼付装置10に備わっていなくてもよいし、不要接着シート部分ASUを引き戻す速度は、接着シートASを繰り出す速度と同じ速度でもよいし、それよりも高速でもよいし低速でもよいし、例えば、ガイドローラ25Aを駆動機器で回動可能とし、当該ガイドローラ25Aで構成されてもよい。
【0041】
被着体支持手段120は、被着体WKを移動させずにまたは移動させつつ、シート貼付装置10を移動させて接着シートASに被着体WKを接近させてもよいし、直動モータ121を採用しなくてもよい。
被着体支持手段120は、接着シートASに被着体WKを接近させた際、当該被着体WKを接着シートASに当接させてもよいし、当接させなくてもよい。
【0042】
シート貼付装置10は、天地反転して配置したり横向きに配置したりして、接着シートASを被着体WKに貼付してもよいし、剥離シートRLに仮着されていない接着シートASを支持手段20で支持する構成としてもよく、この場合、剥離手段40、剥離シート回収手段80および剥離シート通紙手段100のうち少なくとも1つは、備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0043】
本発明における接着シートAS、第1、第2接着テープST1、ST2および被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、貼付用接着シートASNおよび第1、第2接着テープST1、ST2は、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASおよび第1、第2接着テープST1、ST2が採用された場合、それらを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASおよび第1、第2接着テープST1、ST2は、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層との間に中間層を有するもの、基材の上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材を接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
第1接着テープST1と第2接着テープST2とは、同種のテープでもよいし、同種のテープでなくてもよい。
【0044】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラが採用されている場合、各ローラを回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、各ローラの表面をゴムや樹脂等の弾性変形が可能な部材で構成してもよいし、各ローラを弾性変形しない部材で構成してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材が採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧手段や押圧部材の押圧部をゴムや樹脂等の弾性変形が可能な部材で構成してもよいし、弾性変形しない部材で構成してもよいし、剥離手段や剥離部材が採用されている場合は、板状部材、丸棒、ローラ等で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断刃が採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等の切断部材を採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断部材を移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…シート貼付装置
20…支持手段
21…回動モータ(接着シート引戻手段)
30…繰出力付与手段
40…剥離手段
50…押圧手段
60…切断手段
70…不要接着シート部分回収手段
80…剥離シート回収手段
90…接着シート通紙手段
90F…一端部
90R…他端部
91…接着シート牽引部材
100…剥離シート通紙手段
100F…一端部
100R…他端部
101…剥離シート牽引部材
110…不要接着シート部分引戻手段
AS…接着シート
AS1…リード端部
ASN…貼付用接着シート
ASR…未使用接着シート部分
ASU…不要接着シート部分
RL…剥離シート
RL1…リード端部
CU…切込
WK…被着体
図1
図2