特許第6915360号(P6915360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000002
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000003
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000004
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000005
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000006
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000007
  • 特許6915360-車両用スイッチ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915360
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】車両用スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20210727BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H01H13/04 B
   H01H9/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-85820(P2017-85820)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-185915(P2018-185915A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】藤田 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘和
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−002465(JP,U)
【文献】 特開2001−135192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/04
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急通報用スイッチと、
前記緊急通報用スイッチとは異なる操作スイッチと、
前記緊急通報用スイッチと前記操作スイッチを覆う閉塞位置と前記緊急通報用スイッチと前記操作スイッチを開放する開放位置との間で移動可能なカバーとを有し、
前記緊急通報用スイッチの操作面は前記操作スイッチの操作面より低い位置にあり、
前記カバーには、前記閉塞位置で前記操作スイッチの操作面を露出させる開口部が設けられている、
ことを特徴とする車両用スイッチ装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記開口部が設けられた本体壁部を有し、
前記本体壁部は少なくとも前記緊急通報用スイッチの操作面を覆う部位が透明性を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用スイッチ装置。
【請求項3】
前記カバーが前記閉塞位置にあるときに、前記操作スイッチの操作面は、前記本体壁部の表面よりも窪んだ箇所に位置している、
ことを特徴とする請求項2記載の車両用スイッチ装置。
【請求項4】
前記操作スイッチは、前記操作スイッチの操作面が初期位置から操作位置に押圧されることで動作する押し釦スイッチであり、
前記開口部内で前記操作スイッチの操作面が前記操作位置に位置した状態で、前記操作面は、前記初期位置から更に窪んだ箇所に位置している
ことを特徴とする請求項3記載の車両用スイッチ装置。
【請求項5】
前記本体壁部は、前記開口部の周囲において、前記本体壁部から前記開口部に近づくにつれて前記操作スイッチの操作面に近づくように延設する傾斜壁が形成されている、
ことを特徴とする請求項3または4記載の車両用スイッチ装置。
【請求項6】
前記開口部内で前記操作スイッチの操作面が前記操作位置に位置した状態で、前記操作スイッチの操作面は、前記傾斜壁の縁部とほぼ同じ高さに位置している、
ことを特徴とする請求項4を引用する請求項5記載の車両用スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海外の一部の国においては、車室内に緊急通報用スイッチを設けることが法規によって定められている。
それらの国では、交通事故など緊急の事態が発生した際に緊急通報用スイッチを操作することにより予め車両に設置された無線電話から緊急通報用のコールセンターに対して発信がなされ、車両の乗員がコールセンターの係員と通話することによりコールセンターから警察車両や救急車両の手配がなされる。
また、法規では、誤操作を防止するために緊急通報用スイッチの操作面を開閉可能なカバーで覆うことが定められている。
一方、緊急通報用スイッチに隣接して、無線電話から例えばロードサービス用のコールセンターに対して発信を行わせるためのロードサービススイッチを設けることが考えられる。
この場合、カバーを開放して緊急通報用スイッチを操作する際、緊急通報用スイッチに隣接するロードサービススイッチを誤操作することが懸念される。
【0003】
特許文献1には、複数の操作スイッチの誤操作を防止する技術として以下の構成が開示されている。
すなわち、外観性を向上するため複数の操作スイッチの操作面の高さを同一に形成し、全ての操作スイッチを開閉可能なカバーで覆う。
さらに、複数の操作スイッチのうち操作頻度の高い操作スイッチに対応するカバーの部位に開口部を設け、この開口部に操作スイッチを押圧可能な可動部材を取り付ける。
この構成によれば、カバーの閉塞位置では可動部材を介して操作頻度の高い操作スイッチを操作できるが、操作頻度の低い操作スイッチはカバーで覆われるため誤操作が防止される。また、操作頻度の低い操作スイッチを操作する際はカバーを開放位置に開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−129924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、カバーの開放位置では、全ての操作スイッチの操作面の高さが同一であるため、指先で操作スイッチを触った場合に、各操作スイッチを区別できないため、各操作スイッチの位置を注視して操作する必要があり、また、操作スイッチを見誤った場合には誤操作するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、誤操作の防止を図りつつ操作性の向上を図る上で有利な車両用スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、緊急通報用スイッチと、前記緊急通報用スイッチとは異なる操作スイッチと、前記緊急通報用スイッチと前記操作スイッチを覆う閉塞位置と前記緊急通報用スイッチと前記操作スイッチを開放する開放位置との間で移動可能なカバーとを有し、前記緊急通報用スイッチの操作面は前記操作スイッチの操作面より低い位置にあり、前記カバーには、前記閉塞位置で前記操作スイッチの操作面を露出させる開口部が設けられていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記カバーは、前記開口部が設けられた本体壁部を有し、前記本体壁部は少なくとも前記緊急通報用スイッチの操作面を覆う部位が透明性を有していることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記カバーが前記閉塞位置にあるときに、前記操作スイッチの操作面は、前記本体壁部の表面よりも窪んだ箇所に位置していることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記操作スイッチは、前記操作スイッチの操作面が初期位置から操作位置に押圧されることで動作する押し釦スイッチであり、前記開口部内で前記操作スイッチの操作面が前記操作位置に位置した状態で、前記操作面は、前記初期位置から更に窪んだ箇所に位置していることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記本体壁部は、前記開口部の周囲において、前記本体壁部から前記開口部に近づくにつれて前記操作スイッチの操作面に近づくように延設する傾斜壁が形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記開口部内で前記操作スイッチの操作面が前記操作位置に位置した状態で、前記操作スイッチの操作面は、前記傾斜壁の縁部とほぼ同じ高さに位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施の形態によれば、カバーの閉塞位置では、緊急通報用スイッチがカバーで覆われ、緊急通報用スイッチとは異なる操作スイッチの操作面が開口部から露出している。
ユーザは、指先をカバーに沿って動かすことで指先を開口部から露出する操作スイッチの操作面に容易に当てることができる。
したがって、カバーで覆われた緊急通報用スイッチを誤操作することなく、操作スイッチの操作面を確実に押圧操作することができる。
また、カバーの開放位置では、緊急通報用スイッチの操作面が操作スイッチの操作面より低い位置にあることから、交通事故など緊急の事態が発生した際にユーザーが混乱した状態でも、操作面上で指先を動かすことで、緊急通報用スイッチの位置を確実に把握して押圧操作することができ、緊急通報用スイッチを操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
本発明の一実施の形態によれば、カバーの閉塞位置において、緊急通報用スイッチの位置を確実に把握できるため、緊急事態が発生した場合にカバーを開放して緊急通報用スイッチを操作する行動を円滑に行なう上で有利となる。
本発明の一実施の形態によれば、本体壁部の表面と操作スイッチの操作面との段差を指先で確認することで指先を操作面に容易にかつ確実に導くことができ、スイッチを操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
本発明の一実施の形態によれば、操作スイッチの操作位置への押圧操作を円滑に行なう上で有利となり、操作スイッチを操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
本発明の一実施の形態によれば、指先を操作スイッチの操作面に容易にかつ確実に導く上でより有利となり、操作スイッチを操作する際の操作性の向上を図る上でより有利となる。
本発明の一実施の形態によれば、操作スイッチの操作面を押圧する際に、指がカバーの内部に入り込むことが無く、操作スイッチの操作位置への押圧操作を円滑に行なう上で有利となり、操作スイッチを操作する際の操作性の向上を図る上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る車両用スイッチ装置が車室の天井に配置された状態を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る車両用スイッチ装置の斜視図であり、(A)はカバーが閉塞位置にある状態を示し、(B)はカバーが開放位置にある状態を示す。
図3】実施の形態に係る車両用スイッチ装置の正面図であり、(A)はカバーが閉塞位置にある状態を示し、(B)はカバーが開放位置にある状態を示す。
図4】実施の形態に係る車両用スイッチ装置の斜視図である。
図5】(A)はカバーの正面図、(B)はカバーの平面図、(C)はカバーの側面図である。
図6】(A)は図3(A)のA−A線断面図、(B)は図3(A)のB−B線断面図である。
図7】ロードサービススイッチが操作位置に位置した状態を示す断面図であり、図6(B)に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方を示し、符号LHは車幅方向を示し、符号UPは車両上方を示す。
図1に示すように、フロントウィンドシールドガラス10の車両後方にステアリングホイール12が設けられ、ステアリングホイール12の車両後方に運転席14が設けられている。
また、車室16内の天井18には不図示の開口部が設けられ、開口部は、ガラスが固定されたサンルーフにより開閉され、さらに、開口部がサンルーフで閉塞された状態でサンルーフおよび開口部を覆い光を遮蔽するサンシェードが設けられている。
【0010】
車両の天井18の前端から下方にルームミラー19が設けられ、実施の形態の車両用スイッチ装置20は、ルームミラー19の上方で車両天井18の前端に設けられている。
また、本実施の形態では、車両用スイッチ装置20の車幅方向両側にサンシェード開閉スイッチ装置22と、サンルーフ開閉スイッチ装置24とが設けられている。
車両用スイッチ装置20とサンシェード開閉スイッチ装置22とサンルーフ開閉スイッチ装置24とは、共通のフレーム26を有している。
【0011】
図2(A)に示すように、サンシェード開閉スイッチ装置22とサンルーフ開閉スイッチ装置24とは、それらの操作面が押圧されることで動作する押圧スイッチであり、それらスイッチ22,24は車幅方向に並べられフレーム26に組み込まれている。
サンシェード開閉スイッチ装置22とサンルーフ開閉スイッチ装置24は、押圧される前は初期位置に位置し、押圧されると操作位置に位置し、押圧が解除されると初期位置に復帰する。
サンシェード開閉スイッチ装置22は、前方に向いた操作面22Aが車両の後方に押圧操作されることでサンシェードを車両後方に移動させてサンルーフを車室16内に露出させ、車両の後方を向いた操作面22Bが車両の前方に押圧操作されることでサンシェードを車両前方に移動させ、サンルーフおよび開口部を閉塞するように設けられている。
サンルーフ開閉スイッチ装置24は、前方に向いた操作面24Aが車両の後方に押圧操作されることでサンルーフを車両後方に移動させて開口部を全開させ、車両の後方を向いた操作面24Bが車両の前方に押圧操作されることでサンルーフを車両前方に移動させ、サンルーフにより開口部を閉塞するように設けられている。
【0012】
図2(A)、(B)、図3(A)、(B)に示すように、本発明の車両用スイッチ装置20は、1つの緊急通報用スイッチ28と、操作スイッチの一例となる1つのロードサービススイッチ30と、カバー32とを含んで構成されている。
尚、緊急通報用スイッチ28と、操作スイッチの一例となる1つのロードサービススイッチ30は、例えば操作面が操作位置に押圧されることで動作する押し釦スイッチで構成される。
緊急通報用スイッチ28は、eコールスイッチ(エマージェンシーコールスイッチ)とも呼ばれる。
交通事故など緊急の事態が発生した際に緊急通報用スイッチ28が操作されると、緊急通報用スイッチ28の動作を検出した不図示の通信制御部が、予め車両に設置された無線電話(自動車電話あるいは携帯電話)を制御して緊急通報用のコールセンターに発信を行なう。無線電話を介して車両の乗員がコールセンタの係員と通話することによりコールセンターから警察車両や救急車両の手配がなされる。
緊急通報用スイッチ28の誤操作を防止するために緊急通報用スイッチ28の操作面2802をカバー32で覆うことが法規で定められている。
ロードサービススイッチ30は、bコールスイッチ(ブレイクダウンコールスイッチ)とも呼ばれる。
車両の故障などが発生した際にロードサービススイッチ30が操作されると、ロードサービススイッチ30の動作を検出した前記通信制御部が無線電話を制御してロードサービス用のコールセンターに発信を行なう。無線電話を介して車両の乗員がコールセンタの係員と通話することによりコールセンターからロードサービス用の車両の手配がなされる。
【0013】
緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30は車幅方向に並べられ、サンルーフ開閉スイッチ装置24とサンシェード開閉スイッチ装置22の間でフレーム26に組み込まれている。
緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30は、押圧される前は初期位置に位置し、押圧されると操作位置に位置し、押圧が解除されると初期位置に復帰する。
緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30は、共に断面が矩形の柱状を呈し、矩形の平坦な操作面2802、3002を有している。
緊急通報用スイッチ28の操作面2802は、赤色で形成され、例えば、SOSといった文字や受話器のマークなどの緊急用表示が形成されている。
ロードサービススイッチ30の操作面3002は、黒色で形成され、例えば、スパナなどのマーク、iマーク、受話器のマークなどのロードサービスに対応する表示が形成されている。
また、緊急通報用スイッチ28の内部とロードサービススイッチ30の内部には、夜間にそれらの操作面2802、3002が表示されるように光源が配置されている。
図4に示すように、フレーム26は車室16内に向いた、すなわち、下方に向いた表面2602を有し、緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30は表面2602の開口2604からそれぞれ下方に突設され、それぞれの操作面2802,3002を下方に向けて配置されている。
図6(B)に示すように、緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30は、それぞれの初期位置において、表面2602からのロードサービススイッチ30の操作面3002の高さh1は、表面2602からの緊急通報用スイッチ28の操作面2802の高さh2よりも大きい寸法で形成され、言い換えると、緊急通報用スイッチ28の操作面2802がロードサービススイッチ30の操作面3002より低い位置にある。したがって、それら操作面2802、3002の間に段差が形成されている。
【0014】
カバー32は、緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30とを覆うものであり、フレーム26に開閉可能に設けられている。より詳細には、カバー32は、後述する支軸を支点として、緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30とを覆う閉塞位置Pc(図2(A)、図3(A))と、緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30とを開放する開放位置Po(図2(B)、図3(B))との間で揺動可能である。なお、カバー32はフレーム26に対してスライド可能に設けられていてもよく、あるいは、脱着可能に設けられていてもよく、要するに閉塞位置Pcと開放位置Poとの間で移動できればよい。
カバー32は、図5(A)、(B)、(C)に示すように、フレーム26の表面2602に対向する本体壁部3202と、両側の側壁部3204と、後壁部3206と、前壁部3208とを備えている。
本体壁部3202は、少なくとも緊急通報用スイッチ28の操作面2802を覆う部位が透明性を有し、カバー32の閉塞位置Pcで緊急通報用スイッチ28の操作面2802が視認できるように形成されている。
なお、本実施の形態では、図3(A)に示すように、本体壁部3202全体が透明性を有し、また、本体壁部3202を含んだカバー32全体が透明な部材で形成されている。
【0015】
図5(A)、(B)、(C)に示すように、両側の側壁部3204は、本体壁部3202の車幅方向の両側から突設されている。両側の側壁部3204は、カバー32の閉塞位置Pcでフレーム26の表面2602に当接する。
後壁部3206は、本体壁部3202から屈曲され側壁部3204の車両後方の端部間を接続している。
前壁部3208は、本体壁部3202から屈曲され側壁部3204の車両前方の端部間を接続し、前壁部3208はカバー32の閉塞位置Pcでフレーム26の表面2602に当接する。
両側の側壁部3204の後端には、フレーム26の支軸(不図示)に揺動可能に結合する一対の係合爪3210が設けられている。なお、この支軸(不図示)はカバー32の揺動支点となる箇所である。
前壁部3208には、カバー32を開放操作するための切り欠き3212が形成され、さらに切り欠き3212の車幅方向両側に、フレーム26の係合孔2606(図2(B)、図3(B))に係脱可能に結合する爪部3214が設けられ、爪部3214が係合孔2606に係合することでカバー32の閉塞状態が維持される。
なお、カバー32の開放状態では、カバー32は支軸(不図示)から下方に吊り下げられ、カバー32の自重によりカバー32の開放状態が維持される。
【0016】
本体壁部3202には、カバー32の閉塞位置Pcでロードサービススイッチ30の操作面3002を車室16内に露出させる開口部3216が設けられている。
開口部3216は、ロードサービススイッチ30の操作面3002よりも一回り大きい輪郭の矩形で形成されている。
図6(A)、(B)に示すように、本体壁部3202は、カバー32の閉塞位置Pcで車室16内に向いた表面3202Aとその反対に位置する裏面3202Bとを有している。
本体壁部3202は、開口部3216の周囲において、本体壁部3202から開口部3216に近づくにつれて操作面3002に近づくように延設する傾斜壁3220が形成されている。
本実施の形態では、開口部3216の周囲の本体壁部3202の箇所は、開口部3216に近づくにつれて下面に近づく傾斜壁3220で形成され、傾斜面3218はこの傾斜壁3220の表面で形成されている。
開口部3216の前部と後部に位置する傾斜面3218(図6(A))の傾斜は、開口部3216の車幅方向両側に位置する傾斜面3218(図6(B))の傾斜よりも緩やかに形成され、運転席14からのロードサービススイッチ30の操作面3002の押圧操作がし易いように図られている。
【0017】
カバー32の閉塞位置Pcにおいて開口部3216にロードサービススイッチ30の操作面3002が露出しており、ロードサービススイッチ30の初期位置で、操作面3002は本体壁部3202の表面3202Aよりも窪んだ箇所に位置している。
また、図7に示すように、ロードサービススイッチ30の操作面3002を押圧操作し、ロードサービススイッチ30が操作位置になると、操作面3002は斜壁3220の部とほぼ同じ高さに位置し、詳細には、傾斜壁3220の先端とほぼ同じ高さに位置し、初期位置においてロードサービススイッチ30の操作面3002を押圧した際に、指がカバー32の内部に入り込むこと無く操作位置に円滑に押圧操作できるように図られている。
【0018】
次に作用効果について説明する。
図2(A)、図3(A)に示すように、カバー32の閉塞位置Pcでは、緊急通報用スイッチ28の操作面2802がカバー32の本体壁部3202で覆われ、ロードサービススイッチ30の操作面3002が開口部3216から露出している。
車両に故障などが発生し、ロードサービスの提供が必要となった場合、ユーザはロードサービススイッチ30を操作する。
ロードサービススイッチ30を操作する際、ユーザは、指先を本体壁部3202の表面3202Aに沿って動かすことで指先を開口部3216から露出するロードサービススイッチ30の操作面3002に容易に当てることができる。
したがって、カバー32で覆われた緊急通報用スイッチ28を誤操作することなく、ロードサービススイッチ30の操作面3002を確実に押圧操作することができ、ロードサービススイッチ30を操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、図6(A)、(B)に示すように、開口部3216に操作面3002が露出された状態で、操作面3002は、初期位置に位置した状態で本体壁部3202の表面3202Aよりも窪んだ箇所に位置しているので、本体壁部3202の表面3202Aと操作面3002との段差を指先で確認することで指先を操作面3002に容易にかつ確実に導くことができ、ロードサービススイッチ30を操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、本体壁部3202は、開口部3216の周囲において、本体壁部3202から開口部3216に近づくにつれて操作面3002に近づくように延設する傾斜壁3220が形成されているので、指先を操作面3002に容易にかつ確実に導く上でより有利となり、ロードサービススイッチ30を操作する際の操作性の向上を図る上でより有利となる。
また、本実施の形態では、図7に示すように、ロードサービススイッチ30の操作位置で、操作面3002は傾斜壁3220の縁部とほぼ同じ高さに位置しているため、初期位置に位置する操作面3002を押圧する際に、指がカバー32の内部に入り込むことが無く、初期位置から操作位置への押圧操作を円滑に行なう上で有利となり、ロードサービススイッチ30を操作する際の操作性の向上を図る上でより有利となる。
【0020】
一方、交通事故などが発生し、警察車両や救急車両の手配が必要となった場合、ユーザーはカバー32の切り欠き3212に指先を掛けて、カバー32を手前側に引くことでカバー32を閉塞位置Pcから開放位置Poに開き、緊急通報用スイッチ28の操作面2802を押圧操作する。
図2(B)、図3(B)に示すようにカバー32の開放位置Poでは、緊急通報用スイッチ28の操作面2802およびロードサービススイッチ30の操作面3002の双方が露出している。
この際、図6(B)に示すように、フレーム32の表面3202Aからのロードサービススイッチ30の操作面3002の高さh1は、表面3202Aからの緊急通報用スイッチ28の操作面2802の高さh2よりも大きい寸法で形成されているため、ロードサービススイッチ30の操作面3002と緊急通報用スイッチ28の操作面2802との段差を指先で確認することで、言い換えると、緊急通報用スイッチ28を視認することなく、指先を緊急通報用スイッチ28の操作面2802に容易にかつ確実に導くことができる。
言い換えると、カバー32の開放位置Poでは、緊急通報用スイッチ28の操作面2802がロードサービススイッチ30の操作面3002より低い位置にあることから、交通事故など緊急の事態が発生した際にユーザーが混乱した状態でも、操作面2802、3002上で指先を動かすことで、緊急通報用スイッチ28の位置を確実に把握して押圧操作することができ、緊急通報用スイッチ28を操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
したがって、緊急通報用スイッチ28を確実に押圧操作でき、緊急通報用スイッチ28を操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、緊急通報用スイッチ28の操作面2802を覆う本体壁部3202の部位が透明性を有しているので、図3(A)に示すように、カバー32の閉塞位置Pcにおいて、本体壁部3202を通して操作面3002を視認することで緊急通報用スイッチ28の位置を確実に把握でき、交通事故などの緊急事態が発生した場合にカバー32を開放して緊急通報用スイッチ28を操作する行動を円滑に行なう上で有利となる。
また、カバー32の本体壁部3202が透明性を有していることから車両用スイッチ装置20のデザイン性の向上を図る上でも有利となる。
【0021】
なお、本実施の形態では、車両用スイッチ装置20が1つの緊急通報用スイッチ28と緊急通報用スイッチ28以外の1つのスイッチを備える場合について説明したが、緊急通報用スイッチ28以外のスイッチは2つ以上備えていてもよい。
また、緊急通報用スイッチ28以外のスイッチは、ロードサービススイッチ30でなくてもよく、他の機能を有するスイッチであってもよい。
【0022】
なお、本実施の形態では、車室内の天井に車両用スイッチ装置20を備えた場合について説明したが、車両用スイッチ装置20は車室16内のどこにあってもよい。
また、フレーム26が下方に向いている場合に限らず、上方、側方に向いていてもよい。
また、緊急通報用スイッチ28とロードサービススイッチ30は下方に突設されている場合に限らず、上方、側方に突設されていてもよい。
【符号の説明】
【0023】
16 車室
20 車両用スイッチ装置
28 緊急通報用スイッチ
2802 操作面
30 ロードサービススイッチ
3002 操作面
32 カバー
3202 本体壁部
3202A 表面
3202B 裏面
3216 開口部
3218 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7