特許第6915464号(P6915464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6915464
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】画像処理プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20210727BHJP
   G06F 9/445 20180101ALI20210727BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210727BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H04N1/00 127Z
   G06F9/445 150
   G03G21/00 396
   G06F3/12 326
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-171865(P2017-171865)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-47453(P2019-47453A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 丈史
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−196372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
G06F 3/12
G06F 9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置からの実行指示に応じて画像処理が実行可能な画像処理装置とネットワークを介して通信可能な前記情報処理装置であって、画像データの編集を実行させる画像編集プログラムと前記画像処理装置に前記画像処理の実行指示を出力させる画像処理プログラムとを記憶する前記情報処理装置にて実行されるプログラムであって、
該プログラムは、
前記画像編集プログラムから前記画像処理の実行指示の出力のトリガとなる所定の指示を取得する指示取得処理と、
前記画像処理の実行条件情報であって、前記指示取得処理における前記所定の指示の取得元である前記画像編集プログラムに対応する前記実行条件情報を取得する条件取得処理と、
前記条件取得処理にて取得した前記実行条件情報に基づき、前記情報処理装置が前記ネットワークを介して通信可能な前記画像処理装置のうち何れかを前記画像処理の実行指示の出力先となる実行装置に決定する装置決定処理と、
前記条件取得処理にて取得した前記実行条件情報に基づき、前記画像処理における実行パラメータを決定するパラメータ決定処理と、
前記実行装置に対して、前記実行パラメータでの前記画像処理の実行指示を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項2】
前記実行条件情報として、画像処理装置のリストであるデバイスリストおよびパラメータのリストであるパラメータリストを含み、
前記装置決定処理において、前記デバイスリストに含まれる前記画像処理装置を前記実行装置に決定させ、
前記パラメータ決定処理において、前記パラメータリストに含まれる前記パラメータを前記実行パラメータに決定させる請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
該画像処理プログラムは、前記画像処理の実行指示を出力する出力先としての画像処理装置を前記情報処理装置の記憶部に登録する登録処理を実行させ、
前記装置決定処理は、
前記記憶部に登録されている前記画像処理装置が、前記デバイスリストに含まれるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において、前記記憶部に登録されている前記画像処理装置が前記デバイスリストに含まれると判断した場合、前記記憶部に登録されている前記画像処理装置を前記実行装置として決定する第1決定処理と、
前記第1判断処理において、前記記憶部に登録されている前記画像処理装置が前記デバイスリストに含まれないと判断した場合、前記ネットワークを介して通信可能な画像処理装置のうち前記デバイスリストに含まれるものの何れかをユーザに選択させる第1選択処理と、
前記第1選択処理にて選択された前記画像処理装置を前記実行装置に決定する第2決定処理と、を含む請求項2に記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記画像処理装置は、印刷媒体に画像データに基づく画像の印刷をする前記画像処理を実行可能であり、
前記画像編集プログラムは、特定形式に則った前記画像データを編集させるプログラムであり、
前記パラメータリストには、前記印刷媒体の種類を前記特定形式に対応する前記印刷媒体に指定する前記パラメータが含まれ、
前記デバイスリストには、前記特定形式に対応する前記印刷媒体への、前記特定形式に則った前記画像データに基づく画像の印刷を実行可能な前記画像処理装置のうち、予め選定された前記画像処理装置のみが含まれる請求項2または3に記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記パラメータリストには、複数の設定項目のそれぞれに対し1以上の前記パラメータがそれぞれ含まれており、
前記パラメータ決定処理は、
複数の前記パラメータが含まれる設定項目に対し、前記複数のパラメータのうち前記実行装置で実行可能なパラメータをユーザに選択させる第2選択処理を含み、
前記複数のパラメータが含まれる設定項目に対するパラメータとして前記第2選択処理にて選択された前記パラメータを前記実行パラメータに決定させ、1つの前記パラメータが含まれる設定項目に対するパラメータとしてユーザに選択させることなく前記パラメータリストに含まれる前記パラメータを前記実行パラメータに決定させる請求項2から4の何れかに記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
前記実行条件情報として、画像処理装置のリストであるデバイスリストおよびパラメータのリストであるパラメータリストを含む場合、
前記装置決定処理において、前記デバイスリストに含まれる前記画像処理装置を前記実行装置に決定させ、
前記パラメータ決定処理において、前記パラメータリストに含まれる前記パラメータを前記実行パラメータに決定させ、
前記実行条件情報が前記パラメータリストを含み、前記デバイスリストを含まない場合、
前記ネットワークを介して通信可能な画像処理装置のうちの何れかをユーザに選択させる第3選択処理と、
前記パラメータリストに含まれる前記パラメータでの前記画像処理を、前記第3選択処理にて選択された前記画像処理装置が実行可能か否かを判断する第2判断処理と、を実行させ、
前記第2判断処理において、
実行可能でないと判断した場合、再度前記第3選択処理を実行させ、
実行可能であると判断した場合、前記装置決定処理において、前記第3選択処理にて選択された前記画像処理装置を前記実行装置として決定させる請求項1から5の何れかに記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記実行条件情報は前記所定の指示に含まれる請求項1から6の何れかに記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
少なくとも1つの画像処理装置とネットワークを介して接続する情報処理装置であって、
画像編集プログラムおよび画像処理プログラムを記憶する記憶部と、
操作部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記操作部を介して操作を受け付けた場合、前記画像編集プログラムを実行する第1実行処理と、
前記第1実行処理により実行される前記画像編集プログラムにおいて編集される画像データの画像処理の実行指示の出力に関する所定の指示を、前記操作部により受け付ける受付処理と、
前記受付処理により前記所定の指示を受け付ける場合に、前記画像処理プログラムを実行する第2実行処理と、
前記第2実行処理において実行される前記画像処理プログラムから画像処理装置に前記画像処理の実行指示を出力するための実行条件情報であって、前記所定の指示を受け付けた前記画像編集プログラムに対応する前記実行条件情報を取得する条件取得処理と、
前記条件取得処理にて取得した前記実行条件情報に基づき、前記画像処理プログラムにおいて、前記少なくとも1つの画像処理装置の何れかを実行装置に決定する装置決定処理と、
前記条件取得処理にて取得した前記実行条件情報に基づき、前記画像処理プログラムにおいて、前記画像処理における実行パラメータを決定するパラメータ決定処理と、
前記画像処理プログラムにおいて、前記実行装置に対して、前記実行パラメータでの前記画像処理の実行指示を出力する出力処理と、を実行する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラムおよび情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、1のアプリケーションで処理したデータを他のアプリケーションへ渡し、他のアプリケーションで処理させる技術がある。例えば、特許文献1には、共有元アプリにより作成された画像データを他のアプリケーションに共有させたい場合に、作成された画像データのデータ形式に基づき、共有先アプリを選択する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−203742号公報
【特許文献2】特開2017−54334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アプリケーションによっては、そのアプリケーションで処理する画像データは、特定の実行条件で画像処理装置に画像処理させることを前提としている場合がある。しかしながら、このような前提条件をアプリケーション間で共有することについては考えられていなかった。
【0005】
本願は上記の課題に鑑み提案されたものであって、アプリケーション間で画像データを共有させ画像処理装置に画像処理させる技術において、画像処理装置に画像処理させる際の利便性を良くする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、情報処理装置からの実行指示に応じて画像処理が実行可能な画像処理装置とネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、画像データの編集を実行させる画像編集プログラムと画像処理装置に画像処理の実行指示を出力させる画像処理プログラムとを記憶する情報処理装置にて実行されるプログラムであって、該プログラムは、画像編集プログラムから画像処理の実行指示の出力のトリガとなる所定の指示を取得する指示取得処理と、画像処理の実行条件情報であって、指示取得処理における所定の指示の取得元である画像編集プログラムに対応する実行条件情報を取得する条件取得処理と、条件取得処理にて取得した実行条件情報に基づき、情報処理装置がネットワークを介して通信可能な画像処理装置のうち何れかを画像処理の実行指示の出力先となる実行装置に決定する装置決定処理と、条件取得処理にて取得した実行条件情報に基づき、画像処理における実行パラメータを決定するパラメータ決定処理と、実行装置に対して、実行パラメータでの画像処理の実行指示を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムを開示する。
【0007】
また、本明細書は、少なくとも1つの画像処理装置とネットワークを介して接続する情報処理装置であって、画像編集プログラムおよび画像処理プログラムを記憶する記憶部と、操作部と、制御部と、を備え、制御部は、操作部を介して、画像編集プログラムを実行する第1実行処理と、第1実行処理により実行される画像編集プログラムにおいて編集される画像データの画像処理の実行指示の出力に関する所定の指示を、操作部により受け付ける受付処理と、受付処理により所定の指示を受け付ける場合に、画像処理プログラムを実行する第2実行処理と、第2実行処理において実行される画像処理プログラムから画像処理装置に画像処理の実行指示を出力するための実行条件情報であって、所定の指示を受け付けた画像編集プログラムに対応する実行条件情報を取得する条件取得処理と、条件取得処理にて取得した実行条件情報に基づき、画像処理プログラムにおいて、少なくとも1つの画像処理装置の何れかを実行装置に決定する装置決定処理と、条件取得処理にて取得した実行条件情報に基づき、画像処理プログラムにおいて、画像処理における実行パラメータを決定するパラメータ決定処理と、画像処理プログラムにおいて、実行装置に対して、実行パラメータでの画像処理の実行指示を出力する出力処理と、を実行する情報処理装置を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本願に係る技術によれば、アプリケーション間で画像データを共有させ画像処理装置に画像処理させる技術において、画像処理装置に画像処理させる際の利便性を良くする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るシステムのブロック図である。
図2】名刺作成プログラムが表示する表示画面から印刷プログラムが表示する表示画面への遷移を説明する図である。
図3】実行指示を説明する図である。
図4】メイン処理のフローチャートである。
図5】実行条件取得処理のフローチャートである。
図6】デバイス選択処理のフローチャートである。
図7図7(A)はデバイスリストによる制限がかけられていない場合のデバイス選択画面であり、図7(B)はデバイスリストによる制限がかけられた場合のデバイス選択画面である。
図8】デバイス合致処理のフローチャートである。
図9】パラメータ選択画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
システムの構成
システム1は、複合機10A,10Bおよび携帯端末50を備えている。複合機10A,10Bと携帯端末50とは通信ネットワーク80を介して通信可能に接続されている。複合機10A,10Bは携帯端末から送信される情報に応じて、シートに名刺画像をプリントする。尚、通信ネットワーク80は、例えば、有線LAN、無線LAN、或いはこれらの組み合わせであってもよい。または、USBケーブル等によって接続されていてもよい。ここでは、複合機10Aの識別子が「MFP123」であり、複合機10Bの識別子が「MFP456」であるものとする。複合機10Aと複合機10Bとは同様の構成を備えている。以下の記載において、複合機10A,10Bを区別する場合には、複合機10Aもしくは複合機10Bと記載し、区別しない場合には、総称して複合機10と記載する。また、以下の記載において、複合機10のことをデバイスと記載する場合がある。
【0011】
複合機の構成
複合機10は、プリント機能、コピー機能、およびスキャナ機能を備える複合機である。図1に示す様に、複合機10は、プリンタ12、スキャナ13、ディスプレイ18、ユーザI/F20、通信I/F21、CPU32、およびメモリ33などを備えている。複合機10を構成する各構成要素は、通信バス31を介して相互に接続されている。
【0012】
プリンタ12は、印刷データで示される画像を例えばインクジェット方式、電子写真方式などによりシートにカラーまたはモノクロの画像を印刷する印刷処理を実行する。スキャナ13は、複合機10が備える不図示の原稿台に載置された原稿の画像を読み取って読取データを生成するスキャン処理を実行する。
【0013】
ディスプレイ18は、例えば液晶ディスプレイであり、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示する。ユーザI/F20は電源ボタンなどの操作ボタンなどを備え、ユーザによる各種の指示を受け付ける。
【0014】
通信I/F21は、通信ネットワーク80を介した通信を行う。CPU32は、複合機10の全体動作を制御するものである。メモリ33は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、複合機10に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体、CPU32が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって実現される。メモリ33は、OS34および装置プログラム35などを記憶している。また、メモリ33は、自身の識別子およびデバイス能力値を記憶している。CPU32は、各種プログラムをメモリ33から読み出して実行する。尚、装置プログラム35は、単一のプログラムであってもよいし、複数のプログラムの集合体であってもよい。また、メモリ33は、装置プログラム35の実行に必要なデータおよび情報等を記憶する。
【0015】
メモリ33は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non−transitoryな媒体である。non−transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体も含まれる。また、non−transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non−transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。後述する携帯端末50のメモリ63についても同様である。
【0016】
携帯端末の構成
携帯端末50は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機などである。携帯端末50は、タッチパネル51、通信I/F54、CPU62、およびメモリ63などを備える。タッチパネル51は、ディスプレイ52およびユーザI/F53を備える。ディスプレイ52は、例えばLCD、有機ELディスプレイなどで実現される。ユーザI/F53は、例えばタッチセンサなどで実現される。タッチパネル51はディスプレイ52に情報を表示し、ユーザがディスプレイ52に対して行った操作を、ディスプレイ52における位置情報としてCPU62へ出力する。
【0017】
通信I/F54は、通信ネットワーク80を介した通信を行う。メモリ63は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、携帯端末50に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体、CPU62が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって実現される。メモリ63は、OS64、名刺作成プログラム65、印刷プログラム66などを記憶している。また、メモリ63には、データ記憶領域が設けられている。CPU62は、各種プログラムをメモリ63から読み出して実行する。OS64は、例えば、Android(登録商標)OS、iOS(登録商標)、Windows Phone(登録商標) Operating System等であってもよい。OS64は、携帯端末50にインストールされた複数のプログラムを並行して実行することができる。複数のプログラムは、例えば、時分割多重方式によって仮想的に並行して実行される。また、OS64は、並行して実行する複数のプログラムのうちの1つをフォアグラウンドで実行し、その他のプログラムをバックグラウンドで実行する。また、OS64は、名刺作成プログラム65が指定した印刷プログラム66を起動し、かつ名刺作成プログラム65が指定する情報を印刷プログラム66に提供する共有機能を、所定のAPIを提供することで、携帯端末50にインストールされているプログラムに提供する。
【0018】
名刺作成プログラムおよび印刷プログラム
名刺作成プログラム65は、ユーザの操作を受付け、名刺画像を編集するためのプログラムである。また、名刺作成プログラム65は、編集した名刺画像データを印刷プログラム66へ提供する。印刷プログラム66は提供された名刺画像データの印刷処理を複合機10に実行させるためのプログラムである。
【0019】
尚、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、名刺作成プログラム65などのプログラムに記述された命令に従ったCPU62の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU62の処理を表している。CPU62による処理は、OS64のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS64の記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOS64のAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU62が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU62がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0020】
ユーザは、タッチパネル51を操作して、携帯端末50にて名刺作成プログラムの起動を指示する。CPU62は、名刺作成プログラム65を起動の指示をユーザI/F53が受け付けたことに応じて、名刺作成プログラム65を起動する。起動した名刺作成プログラム65は、図2に示す表示画面DS1をディスプレイ52に表示させる。ここでは、名刺作成プログラム65は、A4サイズのシートに対し名刺1枚に対応する名刺画像102を2列5行のマトリクス状に配置した印刷プレビュー画像101を作成するものとする。表示画面DS1には、印刷プレビュー画像101および印刷へ選択ボタン103が表示される。ユーザは印刷へ選択ボタン103をタップして選択する。尚、以下の説明において、「タップして選択する」ことを、単に「選択する」と記載する場合がある。名刺作成プログラム65は、印刷へ選択ボタン103の選択操作をユーザI/F53が受け付けたことに応じて、印刷プログラム66を起動する。起動した名刺作成プログラム65は、例えば、所謂プライグインとして印刷プログラム66を起動する。尚、印刷プログラム66がバックグラウンドで実行されていた場合には、フォアグラウンドで実行されるプログラムが、名刺作成プログラム65から印刷プログラム66へ切り替わる。印刷プログラム66は、ディスプレイ52に表示画面DS2を表示させる。表示画面DS2には、印刷プレビュー画像101、印刷選択ボタン201、および設定選択ボタン202を表示される。
【0021】
名刺作成プログラム65が印刷プログラム66の起動時に、印刷プログラム66へ渡す実行指示を図3に例示する。詳しくは、実行指示はURLスキームである。尚、図3では、説明のため、URLスキームを適宜改行して示している。名刺作成プログラム65は、共有機能を示す所定のAPIである実行指示を実行することで、印刷プログラム66を起動する。実行指示には、プログラム名、実行内容、ファイル情報、および実行条件が含まれる。実行条件には、パラメータリストおよびデバイスリストが含まれる。プログラム名は、印刷プログラム66を特定する情報である。ここでは、「xxx」が印刷プログラム66に付与された識別子であり、メモリ63に予め記憶されているものとする。実行内容は、複合機10に実行させる実行内容を示すものである。尚、印刷処理を示す「print」の他に、スキャン処理を示す「scan」とすることもできる。ファイル情報は、名刺画像データのファイルを特定する情報である。例えば、名刺画像データのファイルが記憶されている所在を示すパス名、ファイル数、ファイル名などを含む。パラメータリストおよびデバイスリストは、Key−Value型で記述されている。1つのKey対し、複数のValueがある場合には、複数のValueがカンマで区切られて記述される。以下の説明において、各パラメータのKeyを設定項目、各パラメータおよびデバイスリストのValueを値と称する。パラメータリストは、例えば、用紙サイズ、用紙タイプ、色などを設定項目とするパラメータを含む。デバイスリストの値には、複合機10の識別子が記述される。ここでは、用紙サイズ、デバイスの値は1つであり、用紙タイプ、色の値は2つであるものとする。
【0022】
尚、図3に示す実行指示は一例であり、実行指示に実行条件が含まれない場合もある。また、実行条件にデバイスリストおよびパラメータリストの何れか一方のみが含まれる場合もある。また、デバイスリストおよびパラメータリストに替えて、デバイスリストおよびパラメータリストを含むファイルの所在を示す例えばURLなどの参照先情報が含まれている場合もある。
【0023】
起動した印刷プログラム66は、図4に示すメイン処理を開始する。まず、印刷プログラム66は、実行指示を取得し、取得した実行指示をメモリ63に記憶させる(S1)。次に、実行条件取得処理を実行する(S3)。実行条件取得処理については、図5を用いて説明する。実行条件取得処理を開始すると、印刷プログラム66は、実行指示に実行条件が含まれているか否かを判断する(S21)。実行条件が含まれていると判断することに応じて(S21:YES)、既に実行条件を取得しているため、メイン処理に戻る。一方、実行条件が含まれていないと判断することに応じて(S21:NO)、印刷プログラム66は、実行指示に参照先情報が含まれているか否かを判断する(S23)。参照先情報が含まれていると判断することに応じて(S23:YES)、印刷プログラム66は、参照先情報に基づき実行条件を取得し、取得した実行条件をメモリ63に記憶させ、メイン処理に戻る。例えば、参照先情報が、通信ネットワーク80に接続するサーバ(不図示)を示す場合には、当該サーバに対し、参照先情報にある実行条件を含むファイルを提供するよう要求し、提供されるファイルを受信して取得する。一方、参照先情報が含まれていないと判断することに応じて(S23:NO)、実行条件が指定されない実行指示であるものとして、印刷プログラム66はメイン処理に戻る。
【0024】
図4に戻り、次に、印刷プログラム66は、デバイスは選択済みであるか否かを判断する(S5)。印刷プログラム66は、後述するステップS12にて、印刷指示の出力先として決定した複合機10の識別子をデータ記憶領域67に登録デバイス情報として記憶させる。なお、名刺作成プログラム65からの実行指示を取得した場合に限らず、印刷プログラム66により、いずれかの複合機10を選択して印刷指示を行った場合に、その印刷指示を行った複合機10が登録デバイス情報として記憶されている。すなわち、過去に印刷プログラム66により印刷処理を実行した場合には、その複合機10がデータ記憶領域67に登録デバイス情報として記憶されている。以下の記載において、登録デバイス情報が示す複合機10を登録デバイスと記載する場合がある。ステップS5では、印刷プログラム66は、データ記憶領域67に登録デバイス情報が記憶されている場合にはデバイスは選択済みであると判断し、データ記憶領域67に登録デバイス情報が記憶されていない場合にはデバイスは選択済みでないと判断する。デバイスは選択済みでないと判断することに応じて(S5:NO)、印刷プログラム66は、デバイス選択処理を実行する(S7)。一方、デバイスは選択済みであると判断することに応じて(S5:YES)、印刷プログラム66は、登録デバイス情報が示す複合機10を対象デバイスとしてメモリ63に記憶させ、ステップS7をスキップし、ステップS9へ進む。デバイス選択処理については、図6を用いて説明する。ここでは、実行指示が、図3に示す実行指示である場合を適宜例示して説明する。
【0025】
印刷プログラム66は、デバイス選択処理を開始すると、まず、実行条件からデバイスリストを取得し、取得したデバイスリストをメモリ63に記憶させる(S31)。詳しくは、実行条件がメモリ63に記憶されており、かつ、実行条件にデバイスリストがある場合には、印刷プログラム66は実行条件からデバイスリストを抽出し、値を有するデバイスリストをメモリ63に記憶させる。また、実行条件がメモリ63に記憶されており、かつ、実行条件にデバイスリストがない場合には、印刷プログラム66はデバイスリストの値を空の状態でメモリ63に記憶させる。また、実行条件がメモリ63に記憶されていない場合にも、印刷プログラム66はデバイスリストの値を空の状態でメモリ63に記憶させる。次に、印刷プログラム66は、通信ネットワーク80に接続されている複合機10である接続デバイスを検索し、取得した接続デバイスのリストである接続デバイスリストを作成し、接続デバイスリストをメモリ63に記憶させる(S33)。次に、印刷プログラム66は、メモリ63が記憶するデバイスリストは値が空の状態であるか否かを判断する(S35)。デバイスリストは値が空の状態であると判断することに応じて(S35:YES)、印刷プログラム66は、印刷指示の出力先となる実行デバイスの候補を、接続デバイスリストに含まれる複合機10に設定し、ステップS39へ進む。一方、デバイスリストの値が空でないと判断することに応じて(S35:NO)、印刷プログラム66は、実行デバイスの候補を、接続デバイスリストに含まれる複合機10のうち、デバイスリストに含まれる複合機10に設定し、ステップS39へ進む。
【0026】
次に、印刷プログラム66は、設定した実行デバイスの候補に応じて、実行デバイスをユーザに選択させるためのデバイス選択画面をディスプレイ52に表示させる。デバイス選択画面を図7に例示する。デバイス選択画面には、接続デバイスリストに含まれる複合機10の各々の識別子が明示された選択ボタンが表示される。ここでは、接続デバイスリストには複合機10A,10Bが含まれるため、各々の識別子である「MFP123」が明示された選択ボタンおよび「MFP456」が明示された選択ボタンが表示される。また、デバイス選択画面に表示される選択ボタンのうち、実行デバイスの候補に設定された複合機10のみが、選択可能な状態で表示される。具体的に説明する。例えば、ステップS35にてYESと判断された場合には、実行デバイスの候補は接続デバイスリストに含まれる複合機10が設定される。このため、図7(A)に示すように、デバイス選択画面DS3には「MFP123」が明示された選択ボタン301および「MFP456」が明示された選択ボタン302の何れも選択可能な状態で表示される。また、例えば、ステップS35にてNOと判断された場合には、実行デバイスの候補はデバイスリストにある複合機10が設定される。このため、図7(B)に示すように、デバイス選択画面DS4には「MFP123」が明示された選択ボタン401は例えばグレーアウト表示などの選択不可能な状態で表示され、「MFP456」が明示された選択ボタン402は選択可能な状態で表示される。デバイスリストにはMFP456のみが含まれているためである。ユーザは、デバイス選択画面に選択可能な状態で表示された選択ボタンの1つを選択する。印刷プログラム66は、デバイス選択画面に表示された選択ボタンの選択をユーザI/F53が受け付けたことに応じて、選択された選択ボタンに対応する複合機10を対象デバイスとして受け付け(S39)、メイン処理に戻る。
【0027】
メイン処理(図4)に戻ると、次に、印刷プログラム66は、デバイス合致処理を実行する(S9)。デバイス合致処理については、図8を用いて説明する。デバイス選択処理を開始すると、まず、印刷プログラム66は、ステップS31と同様に、実行条件からデバイスリストを取得し、取得したデバイスリストをメモリ63に記憶させる(S41)。尚、印刷プログラム66は、ステップS5でYESと判断した場合には、ステップS7をスキップしデバイスリストを取得していないので、ステップS41を実行する。次に、印刷プログラム66は、ステップS35と同様に、メモリ63が記憶するデバイスリストの値は空の状態であるか否かを判断する(S43)。デバイスリストは空の状態でないと判断することに応じて(S43:NO)、印刷プログラム66は、対象デバイスは、デバイスリストに含まれるか否かを判断する(S53)。因みに、ステップS5にてYESと判断された場合の対象デバイスは、登録デバイス情報が示す複合機10である。また、ステップS5にてNOと判断された場合の対象デバイスは、ステップS7で決定されたデバイスリストから選択された複合機10、もしくは、デバイスリストの値が空の状態であったため、接続デバイスリストから選択された複合機10である。つまり、ステップS5にてYESと判断された場合には、デバイスリストに含まれない、登録デバイス情報が示す複合機10が対象デバイスとなっている場合もある。対象デバイスはデバイスリストに含まれないと判断することに応じて(S53:NO)、デバイスリストに含まれる複合機10を選択させるため、印刷プログラム66は戻り値を「NO」として(S55)、メイン処理へ戻る。尚、ステップS53にてNOと判断される場合とは、登録デバイス情報が示す複合機10がデバイスリストに含まれない場合である。一方、対象デバイスは、デバイスリストに含まれると判断することに応じて(S53:YES)、ステップS45へ進む。
【0028】
一方、デバイスリストの値は空の状態である判断することに応じて(S43:YES)、印刷プログラム66は、ステップS45へ進む。次に、印刷プログラム66は、ステップS41と同様に、実行条件よりパラメータリストを取得し、取得したパラメータリストをメモリ63に記憶させる(S45)。次に、印刷プログラム66は、デバイス能力値とパラメータリストを比較する(S47)。デバイス能力値とは、複合機10の性能を示す値であり、具体的には、例えば印刷処理を実行可能な用紙サイズ、用紙タイプ、カラー/モノクロ印刷可能であるか、両面印刷可能であるか、印刷解像度、フチなし印刷可能であるか、インクジェット方式、電子写真方式などの印刷方式などである。印刷プログラム66は、例えば、接続デバイスに、デバイス能力値を問い合わせ、送信されるデバイス能力値を取得する。印刷プログラム66は、パラメータリストの各パラメータについて、パラメータの値と対象デバイスのデバイス能力値と比較する。次に、印刷プログラム66は、実行不可能なパラメータはあるか否かを判断する(S49)。実行不可能なパラメータはあると判断することに応じて(S49:YES)、対象デバイスを変更させるため、印刷プログラム66は、戻り値を「NO」として(S55)、メイン処理へ戻る。一方、実行不可能なパラメータはないと判断することに応じて(S49:YES)、印刷プログラム66は、戻り値を「YES」として(S51)、メイン処理へ戻る。
【0029】
図4に戻り、次に、印刷プログラム66は、戻り値を判断し(S11)、YESであると判断することに応じて(S11:YES)、対象デバイスはパラメータリストの印刷処理を実行できるため、対象デバイスを実行デバイスに決定し、決定した実行デバイスの識別子をデータ記憶領域67に登録デバイス情報として記憶させる(S12)。一方、印刷プログラム66は、戻り値がNOであると判断することに応じて(S11:NO)、対象デバイスはデバイスリストに含まれない、もしくは、対象デバイスはパラメータリストの印刷処理を実行できないため、対象デバイスを変更させるためにステップS7に戻る。ステップS7〜S11が実行されることより、パラメータリストの印刷処理を実行できる複合機10が実行デバイスに決定される。
【0030】
次に、印刷プログラム66は、パラメータリストに複数の値が記述されているパラメータが含まれる否かを判断する(S13)。複数の値が記述されているパラメータが含まれないと判断することに応じて(S13:NO)、ステップS17へ進む。一方、印刷プログラム66は、複数の値が記述されているパラメータが含まれると判断することに応じて(S13:YES)、印刷プログラム66は、ユーザに1つの値を選択させるため、パラメータ選択画面をディスプレイ52に表示させる。図9に、実行指示が図3に示したものである場合のパラメータ選択画面DS5を例示する。パラメータ選択画面には、複数の値が記述されているパラメータに対応する設定ボタンのみが選択可能な状態で表示される。つまり、値が1つであるパラメータに対応する設定ボタンは表示されない。
【0031】
図3に示した実行指示のパラメータリストで、複数の値が記述されているパラメータは、設定項目が用紙タイプであるパラメータと設定項目が色であるパラメータとの2つである。因みに、設定項目が用紙タイプであるパラメータの値は、普通紙を示す「plain」およびインクジェット専用紙を示す「inkjet」の2つである。また、設定項目が色であるパラメータの値は、カラーを示す「color」およびモノクロを示す「mono」の2つである。従って、パラメータ選択画面DS5には、設定項目が用紙タイプであるパラメータに対応する用紙タイプ設定ボタン501および設定項目が色であるパラメータに対応する色設定ボタン502が表示される。また、印刷プログラム66は、パラメータ選択画面に表示させている設定ボタンの選択をユーザI/F53が受け付けたことに応じて、当該設定ボタンに対応する選択ボタンを選択可能な状態で表示させる。詳しくは、印刷プログラム66はパラメータの複数の値の各々を明示する選択ボタンを表示させる。パラメータ選択画面DS5は、色設定ボタン502の選択をユーザI/F53が受け付けた状態の画面を示している。色設定ボタン502に対応するカラー選択ボタン503およびモノクロ選択ボタン504が色設定ボタン502に重ねられて表示される。ユーザは表示された選択ボタンの1つを選択する。ユーザにより選択されると、選択された値がパラメータ選択画面に表示される。例えば、図9では、用紙タイプとして「plain」が選択された状態である。印刷プログラム66は、選択ボタンの選択をユーザI/F53が受け付けたことに応じて、複数の値のうち、受け付けた選択ボタンに対応する値をパラメータの値としてパラメータリストを更新する(S15)。印刷プログラム66は、パラメータ選択画面に表示させているすべての設定ボタンについてのパラメータリストの更新を終了すると、ステップS17へ進む。
【0032】
次に、印刷プログラム66は、メモリ63が記憶するパラメータリストを、実行デバイスに実行させる印刷処理におけるパラメータである実行パラメータに決定する(S17)。次に、実行デバイスに対して、実行指示のファイル情報で示されるファイルの、実行パラメータでの印刷処理の実行指示を出力し(S19)、メイン処理を終了する。これにより、実行指示のファイル情報で示されるファイル、つまり、名刺作成プログラム65から提供された名刺画像データが、実行パラメータに従って実行デバイスで印刷される。
【0033】
ここで、携帯端末50は情報処理装置の一例であり、複合機10は画像処理装置の一例である。また、印刷処理は画像処理の一例であり、名刺作成プログラム65は画像編集プログラムの一例であり、印刷プログラム66は画像処理プログラムの一例である。また、メモリ63は記憶部の一例であり、ユーザI/F53は操作部の一例であり、CPU62およびメモリ63は制御部の一例である。
【0034】
また、実行指示は所定の指示の一例であり、ステップS1は指示取得処理の一例であり、ステップS3は条件取得処理の一例であり、ステップS5〜S12は装置決定処理の一例であり、ステップS13〜S17はパラメータ決定処理の一例であり、ステップS19は出力処理の一例である。ステップS5は第1判断処理の一例である。印刷プログラム66がステップS5でYESと判断した後、当該登録デバイスを実行デバイスとして決定するステップS12は、第1決定処理の一例である。印刷プログラム66がステップS5でNOと判断し、ステップS35でNOと判断した後、ステップS37でデバイスリストにないデバイスを選択不可状態として、実行デバイスの選択を受け付けるステップS39は、第1選択処理の一例である。印刷プログラム66がステップS39で受け付けたデバイスを実行デバイスに決定するステップS12は第2決定処理の一例である。印刷プログラム66がステップS35でYESと判断し、接続デバイスの何れかを実行デバイスとしてユーザに選択させるステップS39は、第3選択処理の一例である。ステップS39で受け付けたデバイスを対象とするステップS49は第2判断処理の一例である。ステップS15は第2選択処理の一例である。また、パラメータリストに含まれるKey−Value型で記述されたパラメータのValueは、パラメータの一例である。また、名刺画像は特定形式に則った画像データの一例であり、インクジェット専用用紙は、特定形式に対応する印刷媒体の一例である。
【0035】
また、名刺作成プログラム65を起動の指示をユーザI/F53が受け付けたことに応じて、CPU62が名刺作成プログラム65を起動する処理は第1実行処理の一例である。名刺作成プログラム65が、印刷へ選択ボタン103の選択操作をユーザI/F53が受け付させる処理は、受付処理の一例である。印刷プログラム66を起動する処理は第2実行処理の一例である。
【0036】
印刷プログラム66は、ステップS12にて、実行条件取得処理(S3)にて取得した実行条件に基づき、携帯端末50が通信ネットワーク80を介して通信可能な複合機10のうちの何れかを印刷処理を実行させる実行デバイスに決定する。また、印刷プログラム66は、ステップS17にて、実行条件取得処理(S3)にて取得した実行条件に基づき、印刷処理における実行パラメータを決定する。印刷プログラム66は、ステップS19にて、決定した実行デバイスに対して、決定した実行パラメータでの印刷処理の実行指示を出力する。このように、印刷プログラム66は、実行条件に基づき実行デバイスおよび実行パラメータを決定するので、画像データに好適な実行デバイスおよび実行パラメータが決定される。画像データに好適な実行条件で複合機10に印刷処理させる際の利便性を良くしたプログラムを提供することができる。例えば、本実施形態の名刺作成プログラム65では、A4サイズのシートに対し名刺1枚に対応する名刺画像102を2列5行のマトリクス状に配置した印刷データ(印刷プレビュー画像101)を作成し、この印刷データの印刷を印刷プログラム66に実行させる。本実施形態を適用しない場合、印刷プログラム66は、印刷データを印刷する際に、どの用紙に印刷するのかの印刷設定をユーザに選択させる。すなわち、名刺作成プログラム65で作成した名刺画像は、A4サイズで印刷されることが前提となった印刷データを生成しているにもかかわらず、印刷設定で用紙サイズが設定されることになる。本実施形態では、名刺作成プログラム65からの実行指示に対し、名刺作成プログラム65に対応する実行条件を取得するため、名刺作成プログラム65で前提とする実行条件で、印刷プログラム66は印刷処理を実行でき、利便性が向上する。
【0037】
印刷プログラム66は、ステップS39にて、デバイスリストに含まれる複合機10を実行デバイスに決定し、ステップS17にて、パラメータリストに含まれるパラメータを実行パラメータに決定する。このように、印刷プログラム66は、パラメータリストおよびデバイスリストに基づいて、実行装置および実行パラメータを決定することができる。
【0038】
印刷プログラム66は、ステップS53にて、登録デバイス情報が示す複合機10である対象デバイスがデバイスリストに含まれると判断した場合、登録デバイス情報が示す複合機10を実行デバイスとして決定する。印刷プログラム66は、ステップS53にて、登録デバイス情報が示す複合機10である対象デバイスがデバイスリストに含まれないと判断した場合、ステップS39にて、通信ネットワーク80を介して通信可能な複合機10のうちデバイスリストに含まれる複合機10であって、ユーザに選択させた複合機10を実行デバイスに決定する。このように、登録デバイス情報がある場合には登録デバイス情報が示す複合機10を実行デバイスに決定し、登録デバイス情報がない場合には、通信ネットワーク80に接続し、かつ、デバイスリストに含まれる複合機10のうち、ユーザに選択された複合機10を実行デバイスに決定することができる。
【0039】
設定項目に対する値が複数であるパラメータの場合、印刷プログラム66は、ステップS15にて、複数の値のうち実行デバイスで実行可能な値をユーザに選択させる。印刷プログラム66は、ステップS17にて、ステップS15にて選択されたパラメータを実行パラメータに決定する。設定項目に対する値が複数でない場合、印刷プログラム66は、ユーザに選択させることなくパラメータリストに含まれるパラメータを実行パラメータに決定する。これにより、設定項目に対する値が複数であるパラメータについてはユーザが選択することができ、設定項目に対する値が複数でないパラメータについてはユーザの選択する手間を省くことができる。
【0040】
実行条件情報がパラメータリストを含み、デバイスリストを含まない場合、印刷プログラム66は、ステップS39にて、通信ネットワーク80を介して通信可能な複合機10のうちの何れかをユーザに選択させる。印刷プログラム66は、ステップS49にて、パラメータリストに含まれるパラメータでの印刷処理を、ステップS37にて選択された複合機が実行可能か否かを判断する。印刷プログラム66は、ステップS49にて実行可能でないと判断した場合、再度ステップS7を実行させる。印刷プログラム66は、ステップS49にて実行可能であると判断した場合、ステップS12にて、ステップS39にて選択された複合機10を実行デバイスに決定する。これにより、デバイスリストがない場合には、通信ネットワーク80に接続し、かつ、パラメータリストのパラメータでの印刷処理可能な複合機10を実行デバイスに決定することができる。
【0041】
実行条件は実行指示に含まれる。これにより、印刷プログラム66は実行条件情報を所定の指示から取得することができる。
【0042】
上記の構成においては、パラメータリストによる制限と、デバイスリストによる制限とを別個に扱うことが可能となる。例えば、パラメータリストに含まれるパラメータでの印刷処理を実行可能な複合機10のうち、予め選定された複合機10をデバイスリストに含めることができる。例えば、同じ機能を有する複合機10であっても、特定の複合機に印刷処理を実行させたい場合もある。このような場合には、デバイスリストに実行させたい複合機10を含めることで、所望の実行デバイスを確実に指定できる。
【0043】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記では、所定の指示の一例として、実行条件を含む実行指示を例示したが、所定の指示はこれに限定されない。実行条件が実行指示に含まれない構成としても良い。具体的には、名刺作成プログラム65は、印刷プログラム66に対し、実行内容およびファイル情報を含む印刷指示と、自身を特定可能なプログラムIDとを印刷プログラム66に渡す構成としても良い。尚、この構成における印刷指示は、所定の指示の一例である。また、通信ネットワーク80に接続するサーバに、予めプログラムIDに対応するデバイスのリストを保有させておく。印刷プログラム66は、プログラムIDに対応するデバイスのリストをサーバから提供させて、提供されたデバイスのリストに基づいて実行デバイスを決定すれば良い。このようにすれば、例えば名刺画像の印刷に適したデバイスのリストを予めサーバに保有させておけば、名刺作成プログラム65に適した実行デバイスとすることができる。
【0044】
また、実行条件が実行指示に含まれない具体的な構成として、名刺作成プログラム65は、印刷プログラム66に対し、実行内容およびファイル情報を含む印刷指示と、印刷処理のパラメータとを印刷プログラム66に渡す構成としても良い。また、通信ネットワーク80に接続するサーバに、予めパラメータでの印刷処理を実行可能なデバイスのリストを保有させておく。印刷プログラム66は、パラメータでの印刷処理を実行可能なデバイスのリストをサーバから提供させて、提供されたデバイスのリストに基づいて実行デバイスを決定すれば良い。このようにすれば、例えば名刺画像をカラー印刷したい場合に、カラー印刷が実行可能なデバイスのリストを予めサーバに保有させておけば、カラー印刷可能なデバイスを実行デバイスとすることができる。また、印刷プログラム66がサーバからデバイスのリストを提供させる構成ではなく、名刺作成プログラム65がサーバからデバイスのリストを提供させる構成としても良い。
本実施形態では、実行条件に、複合機10で印刷処理する際に設定が必要となるすべてのパラメータに対応する値が含まれている例で説明したが、名刺作成プログラム65で前提となる一部のパラメータを実行条件に含める構成であってもよい。例えば、図3の例で、「color=color,mono」を含まない実行指示であってもよい。パラメータリストに含まれないパラメータについては、パラメータ選択画面DS5に複合機10の能力で印刷可能な値を含む選択画面を表示し、ユーザに選択させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、パラメータリストに含まれる値が1つの場合には、パラメータ選択画面DS5に表示されないが、そのパラメータに対する値が選択済みの状態で変更不可能な状態で表示させてもよい。
【0045】
また、画像処理は印刷処理に限定されず、例えばスキャン処理でも良い。本願によれば、例えば、画像編集プログラムは、実行条件として解像度などを指定し、画像処理装置に、指定した解像度でのスキャン処理を実行させることができる。
【0046】
また、上記では、特定形式に則った画像データの一例として名刺画像を例示したが、これに限定されず、例えばレーベル画像などでも良い。
【0047】
また、画像処理装置は複合機に限定されない。印刷機能、スキャナ機能、FAX機能の少なくとも1つを備える装置でも良い。
【0048】
また、上記では、タッチパネル51に対してユーザが行う選択操作を「タップ」であると説明したが、操作を限定するものではない。入力媒体が表示画面に触れていなくても、表示画面との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させる「ホバー」或いは「フローティングタッチ」を、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。また、入力媒体は、ユーザの指の他に例えばタッチペンなどでも良い。
【0049】
また、上記では、名刺作成プログラム65は携帯端末50が備えるメモリ63に記憶されていると説明したが、これに限定されない。通信ネットワーク80を介して携帯端末50に接続可能なサーバに記憶される構成としても良い。また、名刺作成プログラム65がサーバに記憶されている場合、名刺作成プログラム65を示す情報あるいは信号として、インターネット等の通信ネットワーク80を介して携帯端末50に配信される構成としても良い。
【符号の説明】
【0050】
10 複合機
50 携帯端末
53 ユーザI/F
63 メモリ
62 CPU
65 名刺作成プログラム
66 印刷プログラム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9