(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線インタフェースは、前記制御部から前記特定信号が供給されることに応じて、前記特定時間に亘って前記第2のポーリング信号の受信を待機する前記第2の状態で動作した後に、前記第1の所定時間に亘って前記第1のポーリング信号の送信を実行する前記第1の状態に遷移する、請求項1に記載の通信装置。
前記第1の供給部は、前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記無線インタフェースが前記第1の状態に遷移する前に、前記特定信号を前記無線インタフェースに供給し、
前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記特定信号の取得時の前記第2の状態の継続時間として前記第2の所定時間に代えて前記特定時間を利用させるための信号である、請求項1又は2に記載の通信装置。
前記無線インタフェースは、前記制御部から前記特定信号を取得する前に、前記第2の状態において前記CEモードを有効化しており、前記制御部から前記特定信号を取得する場合に、前記第2の状態において前記CEモードを有効化している状態を維持する、請求項4に記載の通信装置。
前記第1の供給部は、前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記無線インタフェースが前記第1の状態に遷移する前に、前記特定信号を前記無線インタフェースに供給し、
前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記特定信号の取得時の前記第2の状態において、前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記CEモードを有効化している状態を実現させるための信号である、請求項10に記載の通信装置。
前記無線インタフェースは、前記P2Pモードを無効化している状態において、前記特定の外部装置から特定要求を受信する場合に、前記無線インタフェースが前記P2Pモードを有効化していることを示す有効化情報を含まない特定応答を前記特定の外部装置に送信する、請求項9から11のいずれか一項に記載の通信装置。
前記無線インタフェースは、前記制御部から前記特定信号を取得する前に、前記少なくとも一方のモードを有効化しており、前記制御部から前記特定信号を取得する場合に、前記少なくとも一方のモードを有効化している状態を維持する、請求項9から12のいずれか一項に記載の通信装置。
前記取得部は、前記無線インタフェースが前記特定の外部装置からポーリング信号を受信することに応じて磁界の変化を検出する場合に、前記無線インタフェースから前記検出情報を取得する、請求項1から17のいずれか一項に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(通信システム2の構成;
図1)
図1に示すように、通信システム2は、プリンタ10と、複数個の携帯端末100A〜100Cと、カード200と、を備える。各装置10、100A〜100C、200は、NFC(Near Field Communicationの略)方式の無線通信であるNFC通信を相互に実行可能である。
【0012】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10は、印刷機能を実行可能な周辺装置(即ち携帯端末100A等の周辺装置)であり、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、Wi−Fiインタフェース(以下ではインタフェースを「I/F」と記載する)20と、NFCI/F22と、制御部30と、を備える。
【0013】
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部14は、いわゆるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。
【0014】
Wi−FiI/F20は、Wi−Fi方式の無線通信であるWi−Fi通信を実行するためのI/Fである。Wi−Fi方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers、 Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a、11b、11g、11n、11ac等)に基づく無線通信方式である。より具体的に言うと、Wi−FiI/F20は、Wi−Fi Allianceによって策定されたWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式をサポートしている。WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi-Fi Peer-to-Peer (P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。
【0015】
NFCI/F22は、メモリ24を備える。NFCI/F22は、NFC通信を実行するためのI/Fである。NFC方式は、例えば、ISO/IEC14443、15693、18092などの国際標準規格に基づく無線通信方式である。NFC通信を実行するためのI/Fの種類として、NFCフォーラムデバイス(NFC Forum Device)と呼ばれるI/Fと、NFCタグ(NFC Tag)と呼ばれるI/Fと、が知られている。NFCフォーラムデバイスは、P2P(Peer To Peerの略)モード、R/W(Reader/Writerの略)モード、及び、HCE(Host Card Emulationの略)モードのいずれかで選択的に動作可能なI/Fである。NFCタグは、これらのモードのいずれかで選択的に動作可能なI/Fではなく、NFC方式のIC(Integrated Circuitの略)タグとして機能する。NFCI/F22は、NFCフォーラムデバイスである。
【0016】
P2Pモードは、P2Pモードで動作する一方のNFC機器とP2Pモードで動作する他方のNFC機器との間で双方向通信を実行するためのモードである。R/Wモード及びHCEモードは、R/Wモードで動作する一方のNFC機器とHCEモードで動作する他方のNFC機器との間で単方向通信を実行するためのモードである。HCEモードは、セキュア・エレメントを必要とするCEモードである。R/WモードのうちのReaderモードは、HCEモードで動作するNFC機器からデータを読み出す(即ちデータを受信する)ためのモードである。R/WモードのうちのWriterモードは、HCEモードで動作するNFC機器にデータを書き込む(即ちデータを送信する)ためのモードである。なお、R/Wモードで動作するNFC機器は、NFCタグからデータを読み出したり、NFCタグにデータを書き込んだりすることもできる。NFCI/F22は、R/WモードのうちのReaderモードで動作可能である(即ちReaderモードを有効化している)がWriterモードで動作不可能である(即ちWriterモードを無効化している)。通信相手のNFC機器に情報を書き込むと、当該NFC機器が意図していない動作を実行して問題が起こる可能性があるので、セキュリティの観点に基づいて、NFCI/F22においてWriterモードが無効化されている。
【0017】
NFCI/F22は、Initiator状態又はTarget状態で動作する。Initiator状態は、外部装置とのNFCリンクを確立するためのポーリング信号の送信を繰り返し実行する状態である。Target状態は、外部装置から送信されるポーリング信号の受信を待機する状態である。
【0018】
NFCI/F22は、Initiator状態で動作してポーリング信号を送信し、Target状態で動作している外部装置から当該ポーリング信号に対する応答信号を受信する場合に、当該外部装置とのNFCリンクを確立する。ここで確立されるNFCリンクは、P2Pリンク又はR/W−CEリンクである。P2Pリンクは、NFCI/F22及び外部装置の双方がP2Pモードで動作するNFCリンクである。R/W−CEリンクは、NFCI/F22がR/Wモードで動作し、外部装置がHCEモードで動作するNFCリンクである。
【0019】
また、NFCI/F22は、Target状態で動作している間に、Initiator状態で動作している外部装置からポーリング信号を受信する場合に、当該ポーリング信号に対する応答信号を当該外部装置に送信して、当該外部装置とのNFCリンクを確立する。ここで確立されるNFCリンクは、P2Pリンク又はCE−R/Wリンクである。CE−R/Wリンクは、NFCI/F22がHCEモードで動作し、外部装置がR/Wモードで動作するNFCリンクである。
【0020】
NFCI/F22は、予め決められているInitiator時間(以下では「IN時間」と呼ぶ)に亘ってInitiator状態で動作した後に、Initiator状態からTarget状態に遷移する。また、NFCI/F22は、予め決められているTarget時間(以下では「TA時間」と呼ぶ)に亘ってTarget状態で動作した後に、Target状態からInitiator状態に遷移する。即ち、NFCI/F22は、Target状態及びInitiator状態で順次動作することを繰り返す。NFCI/F22のIN時間、TA時間として、それぞれ、時間t1、時間t2が予め決められている。
【0021】
次いで、Wi−FiI/F20とNFCI/F22との間の相違点を説明しておく。Wi−FiI/F20を介したWi−Fi通信の通信速度(例えば最大の通信速度が11Mbps〜6.9Gbps)は、NFCI/F22を介したNFC通信の通信速度(例えば最大の通信速度が100〜424Kbps)よりも速い。また、Wi−FiI/F20を介したWi−Fi通信における搬送波の周波数(例えば2.4GHz帯又は5.0GHz帯)は、NFCI/F22を介したNFC通信における搬送波の周波数(例えば13.56MHz帯)とは異なる。また、Wi−FiI/F20を介したWi−Fi通信を実行可能な最大の距離(例えば最大で約100m)は、NFCI/F22を介したNFC通信を実行可能な最大の距離(例えば最大で約10cm)よりも大きい。
【0022】
制御部30は、CPU32と、メモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラム36に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ34は、Initiatorフラグ(以下では「INフラグ」と記載する)38と、Targetフラグ(以下では「TAフラグ」と記載する)40と、を記憶する。
【0023】
INフラグ38は、NFCI/F22がInitiator状態で動作する場合に、外部装置とのP2Pリンクを確立不可能であると判断されると、「0」から「1」に変更される。また、TAフラグ40は、NFCI/F22がTarget状態で動作する場合に、外部装置とのP2Pリンクの確立が失敗すると、「0」から「1」に変更される。
【0024】
(携帯端末100A〜100Cの構成)
携帯端末100Aは、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の端末装置である。携帯端末100Aは、操作部112と、表示部114と、Wi−FiI/F120と、NFCI/F122と、制御部130と、を備える。
【0025】
操作部112は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部112を操作することによって、様々な指示を携帯端末100Aに入力することができる。表示部114は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部114は、いわゆるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。Wi−FiI/F120は、プリンタ10のWi−FiI/F20と同様である。NFCI/F122は、R/WモードのうちのReaderモード及びWriterモードの両方で動作可能である点を除いて、プリンタ10のNFCI/F22と同様である。
【0026】
制御部130は、CPU132と、メモリ134と、を備える。CPU132は、メモリ134に格納されているOS(Operating Systemの略)ソフトウェア136aに従って、様々な処理を実行する。OSソフトウェア136aは、携帯端末100Aの種々の基本的な動作を制御するためのソフトウェアである。本実施例では、OSソフトウェア136aがアンドロイド(登録商標)OSである状況を想定している。また、メモリ134は、印刷アプリケーション138を格納する。印刷アプリケーション138は、プリンタ10のベンダによって提供されるアプリケーションであり、例えば、インターネット上のサーバから携帯端末100Aにインストールされる。印刷アプリケーション138は、携帯端末100Aとプリンタ10との間にWi−Fi接続を確立させ、当該Wi−Fi接続を利用して、印刷対象の画像を表わすプリントデータをプリンタ10に送信するためのアプリケーションである。
【0027】
携帯端末100Bは、携帯端末100Aと同様の構成を備える。本実施例では、携帯端末100BのOSソフトウェア136bがアンドロイドOSである状況を想定している。但し、携帯端末100Bのベンダが携帯端末100Aのベンダとは異なる状況を想定している。
【0028】
携帯端末100Cは、NFCI/F(図示省略)がP2Pモードで動作不可能である(即ちP2Pモードが無効化されている)点を除いて、携帯端末100Aと同様の構成を備える。本実施例では、携帯端末100CのOSソフトウェア136cがiOS(登録商標)である状況を想定している。
【0029】
(カード200の構成)
カード200は、例えば、プリンタ10のユーザによって所持されるカードである。カード200は、NFCタグであるNFCI/Fを備える。例えば、ユーザは、プリンタ10への印刷データの送信を例えば図示省略のPC等に実行させる。この際に、印刷データには、当該ユーザを識別するユーザIDが対応付けられる。その後、当該ユーザがカード200をプリンタ10に近づけると、プリンタ10とカード200との間にNFCリンクが確立され、カード200に予め記憶されている上記のユーザIDがプリンタ10に送信される。この場合、プリンタ10は、ユーザIDの認証が成功したと判断し、上記の印刷データに従った印刷を実行する。即ち、カード200は、ユーザIDの認証のための認証カードである。
【0030】
(各装置10等によって実行される処理;
図2〜
図11)
図2〜
図11を参照して、各装置10等によって実行される処理について説明する。各シーケンス図(例えば
図2)において、細線の矢印はNFCI/F(例えば22)を介したNFC通信を示し、太線の矢印はWi−FiI/F(例えば20)を介したWi−Fi通信を示す。以下では、通信を説明する際に、特に説明の必要がなければ、「NFCI/Fを介して(又はWi−FiI/Fを介して)」という記載を省略する。また、各図の初期状態において、プリンタ10は、WFD方式のGroup Owner(以下では「G/O」と呼ぶ)状態で動作しており、NFCI/F22のメモリ24には、プリンタ10がG/Oとして動作する無線ネットワークで利用されるべき無線設定情報(SSID、パスワード等)が予め記憶されている。また、各図の初期状態において、プリンタ10のNFCI/F22のP2Pモード、R/Wモード、及び、HCEモードの全てが有効化(即ちON)されている。ただし、R/WモードのうちのWriterモードは無効化(即ちOFF)されている。
【0031】
(ケースA1;
図2)
ケースA1では、Initiator状態で動作するプリンタ10と、アンドロイドOS136aを備える携帯端末100Aと、の間にP2Pリンクが確立される。ケースA1の初期状態では、携帯端末100AのNFCI/F122のP2Pモード、R/Wモード、及び、HCEモードの全てがONされている。
【0032】
プリンタ10のNFCI/F22は、Initiator状態及びTarget状態で順次動作することを繰り返す。具体的には、T10において、NFCI/F22は、Initiator状態で動作してポーリング信号を送信する。NFCI/F22は、外部装置からポーリング信号に対する応答信号を受信することなく、時間t1(即ちIN時間)に亘ってInitiator状態で動作すると、Initiator状態からTarget状態に遷移する。さらに、NFCI/F22は、外部装置からポーリング信号を受信することなく、時間t2(即ちTA時間)に亘ってTarget状態で動作すると、Target状態からInitiator状態に遷移して、T20において、ポーリング信号の送信を再開する。
【0033】
T22において、ユーザが、携帯端末100Aの印刷アプリケーション138を起動させ、かつ、携帯端末100Aをプリンタ10に近づけると、携帯端末100AのNFCI/F122は、プリンタ10からポーリング信号を受信し、T24において、応答信号をプリンタ10に送信する。応答信号は、SENS応答とSDD応答とを含み、SDD応答は、携帯端末100AのIDを含み、SENS応答は、当該IDのデータサイズが4byteであることを示す情報を含む。なお、上記の応答信号の送信元がカード200である場合には、SENS応答は、カード200のIDのデータサイズが7byteであることを示す情報を含む。
【0034】
プリンタ10のNFCI/F22は、T24において、携帯端末100Aから応答信号を受信すると、T25において、当該応答信号に含まれる携帯端末100AのIDと当該IDのデータサイズが4byteであることを示す情報とを含む受信情報を制御部30に供給し、T26において、SEL要求を携帯端末100Aに送信する。
【0035】
携帯端末100AのNFCI/F122は、T26において、プリンタ10からSEL要求を受信すると、T28において、P2PモードがONであることを示す情報「P2POK」を含むSEL応答をプリンタ10に送信する。
【0036】
プリンタ10のNFCI/F22は、T28において、携帯端末100AからSEL応答を受信すると、T29において、携帯端末100AのP2PモードがONであることを示すON情報を制御部30に供給する。そして、制御部30は、T30において、T25で取得された受信情報を利用して、通信相手が携帯端末であるのかカードであるのかを判断する。本ケースでは、制御部30は、受信情報内のIDのデータサイズの情報が4byteであるために、通信相手が携帯端末であると判断する。そして、制御部30は、通信相手が携帯端末であることを示す情報をNFCI/F22に供給する。なお、変形例では、制御部30は、受信情報内のIDを利用して、通信相手が携帯端末であるのかカードであるのかを判断してもよい。
【0037】
また、プリンタ10のNFCI/F22は、T28で受信されたSEL応答が情報「P2POK」を含むので、T32において、P2Pリンクの確立を要求するためのATR要求を携帯端末100Aに送信し、T34において、携帯端末100AからATR応答を受信する。この結果、T40において、プリンタ10のNFCI/F22と携帯端末100AのNFCI/F122との間にP2Pリンクが確立される。なお、NFCI/F22は、T34において、ATR応答を受信すると、ATR応答に含まれる情報を含む信号を制御部30に供給してもよい。
【0038】
プリンタ10のNFCI/F22は、T42において、P2Pリンクを利用して、メモリ24に記憶されている無線設定情報を含むNDEF(NFC Data Exchange Formatの略
)信号を携帯端末100Aに送信する。次いで、プリンタ10のWi−FiI/F20と携帯端末100AのWi−FiI/F120との間で無線設定情報を利用した通信が実行され、T50において、Wi−FiI/F20とWi−FiI/F120との間にWi−Fi接続が確立される。
【0039】
プリンタ10の制御部30は、T52において、Wi−Fi接続を利用し、Wi−FiI/F20を介して、携帯端末100Aから印刷対象の画像を表わすプリントデータを受信する。そして、制御部30は、T54において、当該プリントデータを印刷実行部16に供給して、当該プリントデータによって表わされる画像の印刷を印刷実行部16に実行させる。
【0040】
上述したように、本実施例では、プリンタ10と携帯端末100Aとの間でNFCリンクが確立された後にWi−Fi接続が確立され、Wi−Fi接続を利用してプリントデータが通信される。Wi−Fi通信の通信速度は、NFC通信の通信速度よりも速い。このために、NFC通信を利用してプリントデータを通信する場合と比べて、プリントデータを高速で通信することができる。また、ユーザは、プリンタ10と携帯端末100Aとの間にWi−Fi接続を確立させるために、携帯端末100Aをプリンタ10に近づければよい。このために、ユーザはWi−Fi接続を容易に確立させることができる。
【0041】
(ケースA2;
図3)
続いて、
図3を参照して、Target状態で動作するプリンタ10と携帯端末100Aとの間にP2Pリンクが確立されるケースA2を説明する。ケースA2の初期状態は、ケースA1と同様である。
【0042】
T112において、ユーザが携帯端末100Aをプリンタ10に近づけると、Target状態で動作しているプリンタ10のNFCI/F22は、T113において、携帯端末100Aからポーリング信号を受信する。NFCI/F22は、携帯端末100Aからポーリング信号を受信すると、NFCI/F22の近傍の磁界が変化したと判断し、T114において、磁界の変化を検出したことを示す検出情報を制御部30に供給する。制御部30は、NFCI/F22から検出情報を取得することによって、通信相手が近づいたことを知ることができる。
【0043】
プリンタ10のNFCI/F22は、T116において、SENS応答とSDD応答とを含む応答信号を携帯端末100Aに送信し、T118において、携帯端末100AからSEL要求を受信する。NFCI/F22は、P2PモードをONしているので、T120において、情報「P2POK」を含むSEL応答を携帯端末100Aに送信する。そして、NFCI/F22は、T122において、携帯端末100AからATR要求を受信し、T124において、ATR応答を携帯端末100Aに送信する。その後のT130〜T144は、
図2のT40〜T54と同様である。なお、NFCI/F22は、T118において、携帯端末100AからSEL要求を受信すると、SEL要求に含まれる情報を含む信号を制御部30に供給してもよい。また、NFCI/F22は、T122において、携帯端末100AからATR要求を受信すると、ATR要求に含まれる情報を含む信号を制御部30に供給してもよい。
【0044】
図2のケースA1及び
図3のケースA2に示されるように、プリンタ10は、NFCI/F22がInitiator状態及びTarget状態のどちらでポーリング信号の通信を携帯端末100Aと実行しても、P2Pリンクを携帯端末100Aと確立して、Wi−Fi接続を携帯端末100Aと確立することができる。
【0045】
(ケースB1;
図4)
続いて、
図4を参照して、ケースB1について説明する。ケースB1では、Initiator状態で動作するプリンタ10と、アンドロイドOS136bを備える携帯端末100Bと、の間にR/W−CEリンクが確立される。
図4の初期状態では、携帯端末100BのNFCI/F(図示省略)のP2Pモード、R/Wモード、及び、HCEモードの全てがONされている。
【0046】
T220〜T226は、携帯端末100Bが通信相手である点を除き、
図2のT20〜T26と同様である。携帯端末100BのNFCI/Fは、T226において、プリンタ10からSEL要求を受信すると、実際にはP2PモードをONしているにも関わらず、T228において、P2PモードがOFFであることを示す情報「P2PNG」を含むSEL応答をプリンタ10に送信する。T228において、携帯端末100BのNFCI/Fが、情報「P2PNG」を含むSEL応答を送信することは、携帯端末100Bの不具合である蓋然性が高い。
【0047】
プリンタ10のNFCI/F22は、T228において、携帯端末100BからSEL応答を受信すると、T229において、携帯端末100BのP2PモードがOFFであることを示すOFF情報を制御部30に供給する。制御部30は、T230において、T225で取得された受信情報を利用して、通信相手が携帯端末であると判断し、さらに、T229で取得されたOFF情報に基づいて通信相手とのP2Pリンクを確立不可能であると判断する。この結果、制御部30は、INフラグ38を「0」から「1」に変更する。また、制御部30は、通信相手が携帯端末であることを示す情報をNFCI/F22に供給する。なお、制御部30は、
図2のケースA1のT29に示されるように、NFCI/F22からON情報を取得する場合に、通信相手とのP2Pリンクを確立可能であると判断し、この結果、INフラグ38を「0」から「1」に変更しない。なお、変形例では、制御部30は、OFF情報を2回以上の所定回数取得する場合に、INフラグ38を「0」から「1」に変更するように構成されていてもよい。また、別の変形例では、制御部30は、後述のT232〜T240の処理が完了した後に、通信相手が携帯端末であるのかカードであるのか、及び、通信相手とのP2Pリンクを確立可能か否か判断してもよい。
【0048】
プリンタ10のNFCI/F22は、T228で受信されたSEL応答が情報「P2PNG」を含むので、T232において、R/W−CEリンクを確立することを要求するためのRATS要求を携帯端末100Bに送信し、T234において、携帯端末100BからATS応答を受信する。この結果、T240において、プリンタ10のNFCI/F22と携帯端末100BのNFCI/Fの間にR/W−CEリンクが確立される。本実施例では、NFCI/F22は、カードとのR/W−Cardリンクが確立される場合には、R/W−Cardリンクを利用してカードとの通信を実行するが、携帯端末とのR/W−CEリンクが確立される場合には、R/W−CEリンクを利用して携帯端末との通信を実行しないように構成されている。NFCI/F22は、制御部30から通信相手が携帯端末であることを示す情報を取得済みであるので、R/W−CEリンクを利用して携帯端末100Bとの通信を実行することなく、R/W−CEリンクを切断する。この結果、NFCI/F22は、無線設定情報を携帯端末100Bに送信することができない。従って、本ケースでは、プリンタ10と携帯端末100Bとの間にWi−Fi接続が確立されない。
【0049】
なお、変形例では、プリンタ10のNFCI/F22は、通信相手が携帯端末であっても、R/W−CEリンクを利用して携帯端末との通信を実行するように構成されていてもよい。本変形例では、NFCI/F22は、T240で確立されたR/W−CEリンクを利用して、携帯端末100Bからデータを読み出すためのRead信号を携帯端末100Bに送信し、携帯端末100BからSMP情報を受信する。ここで、SMP情報は、例えば、携帯端末100Bの認証に利用される端末ID等を含む。NFCI/F22は、Readerモードのみで動作可能であるので、携帯端末100BからSMP情報を受信することができるが、無線設定情報を携帯端末100Bに送信することができない。従って、本変形例でも、プリンタ10と携帯端末100Bとの間にWi−Fi接続が確立されない。また、別の変形例では、制御部30は、INフラグ38を「0」から「1」に変更する場合に、通信相手とのR/W−CEリンクを確立するための通信の禁止を要求する信号をNFCI/F22に供給してもよい。即ち、T232〜T240の処理が省略されてもよい。
【0050】
(ケースB2;
図5)
続いて、
図5を参照して、Target状態で動作するプリンタ10と携帯端末100Bとの間にP2Pリンクが確立されるケースB2を説明する。ケースB2に示される全ての処理T312〜T344は、携帯端末100Bが通信相手である点を除き、
図3のT112〜T144と同様である。
【0051】
図4のケースB1に示されるように、プリンタ10は、NFCI/F22がInitiator状態でポーリング信号の通信を携帯端末100Bと実行する場合に、R/W−CEリンクを携帯端末100Bと確立するが、R/W−CEリンクを利用して無線設定情報を携帯端末100Bに送信することができない。このために、プリンタ10は、Wi−Fi接続を携帯端末100Bと確立することができない。一方、
図5のケースB2に示されるように、プリンタ10は、NFCI/F22がTarget状態でポーリング信号の通信を携帯端末100Bと実行する場合に、P2Pリンクを携帯端末100Bと確立して、P2Pリンクを利用して無線設定情報を携帯端末100Bに送信することができる。このために、プリンタ10は、Wi−Fi接続を携帯端末100Bと確立することができる。即ち、プリンタ10と携帯端末100Bとの間に確立されるP2Pリンクが、プリンタ10と携帯端末100Bとの間にWi−Fi接続を確立するための適切なNFCリンクであると言える。
【0052】
(ケースB3;
図6)
続いて、
図6を参照して、
図4のケースB1の続きのケースB3、即ち、INフラグ38に「1」が設定されているケースB3を説明する。
【0053】
ユーザは、
図4のT222で携帯端末100Bをプリンタ10に近づけたにも関わらず、プリンタ10と携帯端末100Bとの間にWi−Fi接続が確立されないので、
図6のT412において、携帯端末100Bをプリンタ10に再び近づける。この場合、Target状態で動作しているプリンタ10のNFCI/F22は、T413において、携帯端末100Bから送信されるポーリング信号を受信し、T414において、検出情報を制御部30に供給する。
【0054】
プリンタ10の制御部30は、NFCI/F22から検出情報を取得すると、INフラグ38が「1」であるので、T416において、Target時間延長コマンドを含む要求信号をNFCI/F22に供給する。Target時間延長コマンドは、要求信号の取得時のTA時間を時間t2よりも長い時間t3に変更することをNFCI/F22に要求するコマンドである。なお、制御部30は、
図5のケースB2のT314において検出情報を取得する場合に、INフラグ38が「0」である状態では、要求信号をNFCI/F22に供給しない。
【0055】
プリンタ10のNFCI/F22は、T416において、制御部30から要求信号を取得すると、T418において、要求信号を取得時のTA時間を時間t2から時間t3に変更する。これにより、NFCI/F22は、時間t2に亘ってTarget状態で動作してもInitiator状態に遷移せず、時間t3に亘ってTarget状態で動作した後にInitiator状態に遷移する。なお、TA時間を時間t2から時間t3に変更するという表現は、「時間t2の終了タイミングを時間t3の終了タイミングに置換する」と表現されてもよい。
【0056】
プリンタ10のNFCI/F22は、T413で携帯端末100Bからポーリング信号を受信すると、SENS応答とSDD応答とを含む応答信号を携帯端末100Bに送信する。しかしながら、本ケースでは、携帯端末100Bは、プリンタ10から応答信号を受信することができない。プリンタ10と携帯端末100Bとの間の距離が比較的に大きく、プリンタ10と携帯端末100Bとの間のNFC通信が不安定であるからである。
【0057】
T420において、ユーザが携帯端末100Bをプリンタ10にさらに近づけると、プリンタ10のNFCI/F22は、時間t3に亘ってTarget状態で動作する間に(T418参照)、T422において、携帯端末100Bからポーリング信号を受信し、T424において、検出情報を制御部30に供給する。ここで、制御部30は、INフラグ38が「1」であるが、要求信号を供給済みであるために、要求信号をNFCI/F22に再び供給しない。NFCI/F22は、T422で携帯端末100Bからポーリング信号を受信すると、T426において、SENS応答とSDD応答とを含む応答信号を携帯端末100Bに送信する。
【0058】
携帯端末100Bは、T426において、プリンタ10から応答信号を受信することができる。その後のT428〜T454は、
図5のT318〜T344と同様である。即ち、プリンタ10と携帯端末100Bとの間で適切なNFCリンクであるP2Pリンクが確立され(T440)、無線設定情報の通信が実行され(T442)、Wi−Fi接続が確立され(T450)、プリントデータの通信が実行される(T452)。
【0059】
プリンタ10の制御部30は、T454において、画像の印刷が完了すると、T456において、INフラグ38を「1」から「0」に変更する。これにより、制御部30は、NFCI/F22から検出情報を取得しても、要求信号をNFCI/F22に供給しなくなる。なお、制御部30がINフラグ38を「1」から「0」に変更するタイミングは、T416で要求信号をNFCI/F22に供給した直後のタイミングであってもよいし、T450でWi−Fi接続が確立されたタイミングであってもよい。
【0060】
プリンタ10の制御部30は、T458において、Target時間復帰コマンドを含む要求信号をNFCI/F22に供給する。Target時間復帰コマンドは、TA時間を時間t3から時間t2に戻すことをNFCI/F22に要求するコマンドである。NFCI/F22は、T458において、制御部30から要求信号を取得すると、T460において、TA時間を時間t3から時間t2に変更する。
【0061】
(ケースB1〜B3の効果)
図7を参照して、本実施例のケースB1〜B3の効果について説明する。まず、比較例のプリンタの動作を説明する。比較例のプリンタは、TA時間を時間t2から時間t3に変更しない点を除いて、プリンタ10と同様の構成を備える。即ち、プリンタは、Intiator状態で動作している間にポーリング信号を携帯端末100Bに送信する場合に、携帯端末100BとのP2Pリンクを確立することができず、携帯端末100BとのR/W−CEリンクを確立する。従って、プリンタは、携帯端末100BとのWi−Fi接続を確立することができない。
【0062】
その後、プリンタは、時間t1が経過するとTarget状態に遷移し、Target状態で動作している間に携帯端末100Bからポーリング信号を受信しても、通信が不安定であることに起因して、携帯端末100BとのNFCリンクを確立することができない。そして、プリンタは、時間t2が経過するとInitiator状態に遷移する。このため、ユーザが携帯端末100Bをプリンタにさらに近づける際に、プリンタは、Initiator状態で動作しており、この結果、携帯端末100BとのR/W−CEリンクを再び確立し、携帯端末100BとのWi−Fi接続を確立しない。
【0063】
その後、プリンタは、時間t1が経過するとTarget状態に遷移し、Target状態で動作している間に携帯端末100Bからポーリング信号を受信する場合に、携帯端末100BとのP2Pリンクを確立する。この結果、プリンタは、携帯端末100BとのWi−Fi接続を確立することができる。
【0064】
このように、比較例のプリンタは、TA時間として時間t2のみを利用するので、Target状態で動作している時間が短く、携帯端末100Bからポーリング信号を受信する可能性が低い。この結果、最初のR/W−CEリンクが確立されてからP2Pリンクの確立を経てWi−Fi接続が確立されるまでに長時間を要し得る。
【0065】
続いて、本実施例のプリンタ10の動作について説明する。プリンタ10は、Initiator状態で動作している間にポーリング信号を携帯端末100Bに送信する場合に、携帯端末100Bから情報「P2PNG」を含むSEL応答を受信し(
図4のT228)、INフラグ38を「0」から「1」に変更する(T230)。この場合、プリンタ10は、携帯端末100BとのR/W−CEリンクを確立し(T240)、携帯端末100BとのWi−Fi接続を確立しない。
【0066】
その後、プリンタ10は、時間t1が経過するとTarget状態に遷移し、Target状態で動作している間に携帯端末100Bからポーリング信号を受信する場合に、TA時間を時間t2から時間t3に変更する(
図6のT418)。ここで、プリンタ10は、通信が不安定であることに起因して、携帯端末100BとのNFCリンクを確立することができない。プリンタ10は、TA時間が時間t3に延長されているので、時間t2が経過してもInitiator状態に遷移せずにTarget状態を維持する。このため、ユーザが携帯端末100Bをプリンタ10にさらに近づける際に、プリンタ10は、Target状態で動作しており、この結果、携帯端末100Bからポーリング信号を受信して(T422)、携帯端末100BとのP2Pリンクを確立することができる(T440)。このために、プリンタ10は、携帯端末100BとのWi−Fi接続を確立することができる(T450)。
【0067】
このように、本実施例のプリンタ10は、Initiator状態で動作している間にポーリング信号を携帯端末100Bに送信する場合に、INフラグ38を「0」から「1」に変更し、その後、Target状態で動作している間に携帯端末100Bからポーリング信号を受信する場合に、TA時間として時間t3を利用する。このために、Target状態で動作している時間が長くなるので、比較例のプリンタと比べると、携帯端末100Bからポーリング信号を受信する蓋然性を高めることができる。この結果、プリンタ10は、携帯端末100Bとの適切なNFCリンク(即ち無線設定情報を送信可能なNFCリンク)であるP2Pリンクを確立することができ、特に、最初のR/W−CEリンクが確立されてからP2Pリンクの確立を経てWi−Fi接続が確立されるまでの時間が短くて済む。
【0068】
(ケースC;
図8)
続いて、
図8を参照して、Initiator状態で動作するプリンタ10とカード200との間にR/W−Cardリンクが確立されるケースCを説明する。ここで、カード200は、NFCタグであるNFCI/Fを備えるので、P2Pモード、R/Wモード、及び、HCEモードのいずれでも動作不可能である。このために、プリンタ10とカード200との間には、プリンタ10のNFCI/F22がR/Wで動作するためのR/W−Cardリンクが確立される。
【0069】
T522〜T529は、通信相手がカード200である点を除き、
図4のT222〜T229と同様である。ただし、T524の応答信号に含まれるSENS応答は、カード200のIDのデータサイズが7byteであることを示す情報を含む。
【0070】
プリンタ10の制御部30は、T530において、受信情報内のSENS応答に含まれるデータサイズの情報が7byteであるので、通信相手がカード200であると判断する。制御部30は、OFF情報を取得するのでP2Pリンクを確立不可能であると判断するが、通信相手がカード200であるために、INフラグ38を「0」から「1」に変更しない。そして、制御部30は、通信相手がカードであることを示す情報をNFCI/F22に供給する。このように、制御部30は、TA時間を延長する必要がある携帯端末100Bが通信相手である場合にはINフラグ38を「0」から「1」に変更し(
図4のT230)、TA時間を延長する必要がないカード200が通信相手である場合にはINフラグ38を変更しない。制御部30は、通信相手に応じてINフラグ38を変更するのか否かを適切に切り換えることができる。その後のT532〜T540は、通信相手がカード200である点を除き、
図4のT232〜T240と同様である。
【0071】
プリンタ10のNFCI/F22は、T542において、T540で確立されたR/W−Cardリンクを利用して、カード200からデータを読み出すためのRead信号をカード200に送信し、T544において、カード200からユーザIDを受信し、T545において、ユーザIDを含むID情報を制御部30に供給する。制御部30は、T546において、ユーザIDの認証を実行し、認証が成功する場合に、例えば印刷等の処理を実行する。
【0072】
変形例では、プリンタ10のメモリ34は、プリンタ10にログインするためのログインIDと、ユーザIDと、を対応付けて記憶していてもよい。この場合、制御部30は、T545において、NFCI/F22からID情報を取得すると、当該ID情報内のユーザIDがメモリ34に記憶されているのか否かを判断し、当該ユーザIDがメモリ34に記憶されている場合に、プリンタ10へのログインを許可する。また、別の変形例では、プリンタ10のメモリ34は、ユーザIDと、ショートカット情報と、を対応付けて記憶していてもよい。ショートカット情報は、例えば、プリンタ10がFAX機能を備える多機能機である場合に、FAXデータの宛先を示す情報である。この場合、制御部30は、NFCI/F22からID情報を取得すると、当該ID情報内のユーザIDがメモリ34に記憶されているのか否かを判断し、当該ユーザIDがメモリ34に記憶されている場合に、当該ユーザIDに対応付けられているショートカット情報に含まれる宛先にFAXデータを送信する。
【0073】
(ケースD1;
図9)
続いて、
図9を参照して、ケースD1について説明する。ケースD1では、Target状態で動作するプリンタ10と、iOS136cを備える携帯端末100Cと、の間にP2Pリンクが確立されない。
図9の初期状態では、携帯端末100CのP2PモードがOFFされており、R/Wモード及びHCEモードがONされている。
【0074】
T612〜T620は、携帯端末100Cが通信相手である点を除き、
図3のT112〜T120と同様である。携帯端末100CのNFCI/Fは、プリンタ10から情報「P2POK」を含むSEL応答を受信する場合(T620)に、P2PモードをOFFしているにも関わらず、T622において、P2Pリンクの確立を要求するATR要求をプリンタ10に送信する。なお、T622において、携帯端末100CのNFCI/FがATR要求を送信することは、携帯端末100Cの不具合である蓋然性が高い。
【0075】
プリンタ10のNFCI/F22は、T622において、携帯端末100CからATR要求を受信すると、T624において、ATR応答を携帯端末100Cに送信する。しかしながら、携帯端末100CのNFCI/FのP2PモードがOFFであるために、プリンタ10のNFCI/F22と携帯端末100CのNFCI/Fとの間にP2Pリンクは確立されない。従って、無線設定情報がプリンタ10から携帯端末100Cに送信されず、プリンタ10と携帯端末100Cとの間にWi−Fi接続が確立されない。
【0076】
プリンタ10のNFCI/F22は、T630において、携帯端末100CとのP2Pリンクが確立されなかったことを示す失敗情報を制御部30に供給する。制御部30は、NFCI/F22から失敗情報を取得すると、T632において、TAフラグ40を「0」から「1」に変更する。なお、変形例では、制御部30は、失敗情報を2回以上の所定回数取得する場合に、TAフラグ40を「0」から「1」に変更するように構成されていてもよい。
【0077】
(ケースD2;
図10)
続いて、
図10を参照して、
図9のケースD1の続きのケースD2、即ち、TAフラグ40に「1」が設定されているケースD2を説明する。
【0078】
T712〜T714は、
図9のT612〜T614と同様である。プリンタ10の制御部30は、NFCI/F22から検出情報を取得すると、T716において、TAフラグ40が「1」であるので、Target時間延長コマンドとP2POFFコマンドとを含む要求信号をNFCI/F22に供給する。P2POFFコマンドは、要求信号の取得時のTarget状態のP2PモードをONからOFFに変更することをNFCI/F22に要求するコマンドである。なお、制御部30は、
図9のケースD1のT614において検出情報を取得する場合に、TAフラグ40が「0」である状態では、要求信号をNFCI/F22に供給しない。
【0079】
プリンタ10のNFCI/F22は、T716において、制御部30から要求信号を取得すると、T718において、要求信号の取得時のTA時間を時間t2から時間t3に変更し、さらに、P2PモードをONからOFFに変更する。NFCI/F22は、T713で携帯端末100Cからポーリング信号を受信すると、SENS応答とSDD応答とを含む応答信号を携帯端末100Cに送信する。しかしながら、本ケースでは、プリンタ10と携帯端末100Cとの間のNFC通信が不安定であることに起因して、当該応答信号は携帯端末100Cによって受信されない。
【0080】
T720において、ユーザが携帯端末100Cをプリンタ10にさらに近づけると、プリンタ10のNFCI/F22は、時間t3に亘ってTarget状態で動作する間に(T718参照)、T722において、携帯端末100Cからポーリング信号を受信し、T724において、検出情報を制御部30に供給する。ここで、制御部30は、INフラグ38が「1」であるが、要求信号を供給済みであるために、要求信号をNFCI/F22に再び供給しない。
【0081】
T726、T728は、
図9のT616、T618と同様である。プリンタ10のNFCI/F22は、T726において、携帯端末100CからSEL要求を受信すると、P2PモードをOFFしているために(T718参照)、T730において、情報「P2PNG」を含むSEL応答を携帯端末100Cに送信する。
【0082】
携帯端末100CのNFCI/Fは、T730でプリンタ10から情報「P2PNG」を受信するので、プリンタ10のNFCI/F22がP2PモードをOFFしていることを知ることができる。このために、携帯端末100CのNFCI/Fは、T732において、P2PリンクではなくCE−R/Wリンクの確立を要求するRATS要求をプリンタ10に送信する。
【0083】
プリンタ10のNFCI/F22は、T732において、携帯端末100CからRATS要求を受信すると、T734において、ATS応答を携帯端末100Cに送信する。この結果、T740において、プリンタ10のNFCI/F22と携帯端末100CのNFCI/Fとの間にCE−R/Wリンクが確立される。
【0084】
プリンタ10のNFCI/F22は、T741において、携帯端末100CからRead信号を受信すると、T742において、無線設定情報を含むNDEF信号を携帯端末100Cに送信する。当該無線設定情報は、NDEF信号内のNDEF領域に記述される。その後のT750〜T754は、
図6のT450〜T454と同様である。
【0085】
プリンタ10の制御部30は、T754で画像の印刷が完了すると、T756において、TAフラグ40を「1」から「0」に変更する。そして、制御部30は、T758において、Target時間復帰コマンドとP2PONコマンドとを含む要求信号をNFCI/F22に供給する。Target時間復帰コマンドは、TA時間を時間t3から時間t2に復帰させることをNFCI/F22に要求するコマンドである。P2PONコマンドは、P2PモードをOFFからONに変更することをNFCI/F22に要求するコマンドである。NFCI/F22は、T758において、制御部30から要求信号を取得すると、T760において、TA時間を時間t3から時間t2に変更し、さらに、P2PモードをOFFからONに変更する。
【0086】
なお、携帯端末100CのNFCI/Fでは、P2PモードがOFFされており、R/WモードがONされている。従って、Initiator状態で動作するプリンタ10と携帯端末100Cとの間でポーリング信号の通信が実行されると、R/W−CEリンクが確立される。具体的には、プリンタ10と携帯端末100Cとの間では
図4のT220〜T240と同様の処理が実行される。即ち、プリンタ10のNFCI/F22は、無線設定情報を携帯端末100Cに送信することができず、プリンタ10と携帯端末100Cとの間にWi−Fi接続が確立されない。即ち、Target状態で動作するプリンタ10と携帯端末100Cとの間でポーリング信号の通信が実行されることに起因して確立されるCE−R/Wリンクが、プリンタ10と携帯端末100Cとの間にWi−Fi接続を確立するための適切なNFCリンクであると言える。
【0087】
(ケースD1、D2の効果)
図11を参照して、本実施例のケースD1、D2の効果について説明する。まず、比較例のプリンタの動作を説明する。比較例のプリンタは、P2PモードをONからOFFに変更しない点を除いて、プリンタ10と同様の構成を備える。即ち、プリンタは、Target状態で動作している間に携帯端末100Cからポーリング信号を受信する場合に、携帯端末100CがP2PモードをOFFしているにも関わらずATR要求をプリンタに送信することに起因して、携帯端末100CとのP2PリンクもCE−R/Wリンクも確立することができない。この場合、プリンタは、TAフラグを「0」から「1」に変更する。その後、プリンタは、Target状態で動作している間に携帯端末100Cからポーリング信号を再び受信すると、TA時間を時間t2から時間t3に変更する。ただし、プリンタは、通信が不安定であることに起因して、携帯端末100CとのNFCリンクを確立することができない。その後、プリンタは、携帯端末100Cからポーリング信号をさらに受信しても、携帯端末100CがP2PモードをOFFしているにも関わらずATR要求をプリンタに送信することに起因して、携帯端末100CとのP2PリンクもCE−R/Wリンクも確立することができない。
【0088】
このように、比較例のプリンタは、TA時間として時間t3を利用するので、携帯端末100Cからポーリング信号を受信する蓋然性を高めることができる。しかしながら、携帯端末100CがP2PモードをOFFしているにも関わらずATR要求をプリンタに送信することに起因して、プリンタは、携帯端末100CとのP2PリンクもCE−R/Wリンクも確立することができない。このために、プリンタは、無線設定情報を携帯端末100Cに送信することができず、携帯端末100CとのWi−Fi接続を確立することができない。
【0089】
続いて、本実施例のプリンタ10の動作について説明する。プリンタ10は、Target状態で動作している間に携帯端末100Cからポーリング信号を受信する場合に、携帯端末100CがP2PモードをOFFしているにも関わらずATR要求をプリンタ10に送信することに起因して(
図9のT622)、携帯端末100CとのP2PリンクもCE−R/Wリンクも確立することができない。この場合、プリンタ10は、TAフラグ40を「0」から「1」に変更する(T632)。その後、プリンタ10は、Target状態で動作している間に携帯端末100Cからポーリング信号を再び受信すると、TA時間を時間t2から時間t3に変更し、P2PモードをONからOFFに変更する(
図10のT718)。ここで、プリンタ10は、通信が不安定であることに起因して、携帯端末100CとのP2PリンクもCE−R/Wリンクも確立することができない。その後、プリンタ10は、携帯端末100Cからポーリング信号をさらに受信する場合(T722)に、P2PモードをOFFしているので(T718)、情報「P2PNG」を含むSEL応答を携帯端末100Cに送信する(T730)。このために、プリンタ10は、携帯端末100CからRATS要求を受信し(T732)、携帯端末100CとのCE−R/Wリンクを確立することができる(T740)。この結果、プリンタ10は、無線設定情報を携帯端末100Cに送信して(T742)、携帯端末100CとのWi−Fi接続を確立することができる(T750)。
【0090】
このように、本実施例のプリンタ10は、Target状態で動作している間に携帯端末100Cからポーリング信号を受信する場合に、TAフラグ40を「0」から「1」に変更し、その後、Target状態で動作している間に携帯端末100Cからポーリング信号をさらに受信する場合に、TA時間として時間t3を利用し、さらに、P2PモードをOFFする。このために、Target状態で動作している時間が長くなるので、携帯端末100Cからポーリング信号を受信する蓋然性を高めることができ、さらに、P2PモードをOFFするので、携帯端末100Cとの適切なNFCリンク(即ち無線設定情報を送信可能なNFCリンク)であるCE−R/Wリンクを確立することができる。この結果、プリンタ10は、携帯端末100CとのWi−Fi接続を適切に確立することができる。
【0091】
(対応関係)
プリンタ10、NFCI/F22、メモリ34、メモリ24が、それぞれ、「通信装置」、「無線インタフェース」、「メインメモリ」、「インタフェースメモリ」の一例である。Initiator状態、Target状態が、それぞれ、「第1の状態」、「第2の状態」の一例である。IN時間の時間t1、TA時間の時間t2、TA時間の時間t3が、それぞれ、「第1の所定時間」、「第2の所定時間」、「特定時間」の一例である。プリンタ10から送信されるポーリング信号、携帯端末100A〜100Cから送信されるポーリング信号が、それぞれ、「第1のポーリング信号」、「第2のポーリング信号」の一例である。Intiatorフラグ38、Targetフラグ40が、それぞれ、「第1のフラグ」、「第2のフラグ」の一例である。無線設定情報が、「第1の対象データ」及び「第2の対象データ」の一例である。
【0092】
一つの側面では、携帯端末100B、携帯端末100Aが、それぞれ、「特定の外部装置」、「異なる外部装置」の一例である。P2Pリンクが、「第1の無線リンク」及び「第2の無線リンク」の一例である。R/W−CEリンク、R/W−Cardリンクが、それぞれ、「第3の無線リンク」、「第4の無線リンク」の一例である。
図6のT414、
図6のT416が、それぞれ、「取得部」、「第1の供給部」によって実行される処理の一例である。
【0093】
別の側面では、携帯端末100C、携帯端末100Aが、それぞれ、「特定の外部装置」、「異なる外部装置」の一例である。P2Pリンク、CE−R/Wリンクが、それぞれ、「第1の無線リンク」、「第2の無線リンク」の一例である。
図9において、プリンタ10と携帯端末100Cとの間で確立が失敗するP2Pリンクが、「第5の無線リンク」の一例である。SEL要求、SEL応答が「特定要求」の一例である。情報「P2POK」が、「有効化情報」の一例である。
図10のT714、T716が、それぞれ、「取得部」、「第1の供給部」によって実行される処理の一例である。
【0094】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0095】
(変形例1)「無線インタフェース」は、Bluetooth(登録商標)方式の無線通信を実行するためのインタフェースであってもよい。この場合、「第1のポーリング信号」及び「第2のポーリング信号」は、Bluetooth方式の無線リンクを確立するための信号である。また、この場合、「無線インタフェース」は、「特定の外部装置」からポーリング信号を受信しても、磁界の変化を検出しない。
【0096】
(変形例2)
図6のT416及び
図10のT716のTarget時間延長コマンドは、さらに、TA時間を時間t2から時間t3に変更すること、及び、IN時間を時間t1から時間t1とは異なる時間t4に変更することを要求するコマンドであってもよい。また、別の変形例では、Target時間延長コマンドは、要求信号の取得時のTarget状態のTA時間を時間t2から時間t3に変更することを要求するコマンドでなくてもよく、当該Target状態よりも後のTarget状態のTA時間を時間t2から時間t3に変更することを要求するコマンドであってもよい。
【0097】
(変形例3)
図10のT716のP2POFFコマンドは、要求信号の取得時のTarget状態におけるP2PモードをONからOFFに変更することを要求するコマンドでなくてもよく、当該Target状態よりも後のTarget状態におけるP2PモードをONからOFFに変更することを要求するコマンドであってもよい。また、別の変形例では、P2POFFコマンドは、Target状態におけるP2PモードのみをONからOFFに変更することを要求するコマンドでなくてもよく、Target状態及びInitiator状態の双方におけるP2PモードをONからOFFに変更することを要求するコマンドであってもよい。
【0098】
(変形例4)
図6のT414の要求信号は、Target時間延長コマンドとP2POFFコマンドとを含む信号であってもよい。この場合、NFCI/F22は、要求信号の取得時のTA時間を時間t2から時間t3に変更し、さらに、P2PモードをONからOFFに変更する。その後、プリンタ10及び携帯端末100Bにおいて、
図10のT720〜T754と同様の処理が実行される。即ち、NFCI/F22と携帯端末100Bとの間にCE−RWリンクが確立され、NFCI/F22は、CE−RWリンクを利用して無線設定情報を含むNDEF信号を携帯端末100Bに送信する。この結果、プリンタ10と携帯端末100Bとの間にWi−Fi接続が確立される。
【0099】
(変形例5)
図10のT716の要求信号は、Target時間延長コマンドを含まず、P2POFFコマンドを含む信号であってもよい。この場合、NFCI/F22は、TA時間を延長せずに、P2PモードをONからOFFに変更してもよい。
【0100】
(変形例6)メモリ34は、INフラグ38を記憶しなくてもよい。本変形例では、制御部30は、例えば、
図3のT114又は
図5のT314でNFCI/F22から検出情報を取得する場合も、Target時間延長コマンドを含む要求信号をNFCI/F22に供給する。本変形例では、「第1のフラグ記憶制御部」を省略可能である。
【0101】
(変形例7)メモリ34は、TAフラグ40を記憶しなくてもよい。本変形例では、制御部30は、例えば、
図9のT614でNFCI/F22から検出情報を取得する場合も、P2POFFコマンドを含む要求信号をNFCI/F22に供給する。本変形例では、「第2のフラグ記憶制御部」を省略可能である。
【0102】
(変形例8)プリンタ10のNFCI/F22は、Target状態においてHCEモードをOFFしていてもよい。そして、NFCI/F22は、
図10のT716において、制御部30から要求信号を取得する場合に、P2PモードをONからOFFに変更するとともに、HCEモードをOFFからONに変更してもよい。一般的に言うと、「無線インタフェース」は、制御部から特定信号を取得する前に、第2の状態においてHCEモードを有効化していなくてもよい。
【0103】
(変形例9−1)プリンタ10のNFCI/F22は、Initiator状態ではP2PモードをONしており、Target状態ではP2PモードをOFFしていてもよい。本変形例では、
図5、
図6において、プリンタ10と携帯端末100Bとの間にP2Pリンクが確立される代わりに、CE−R/Wリンクが確立される。また、本変形例において、
図10のP2POFFコマンドが、Target状態及びInitiator状態の双方におけるP2PモードをONからOFFに変更することを要求するコマンドである場合について説明する。この場合、NFCI/F22は、制御部30から要求信号を取得した後に、P2PモードがOFFされており、R/WモードがONされているInitiator状態で動作し得る。
【0104】
(変形例9−2)プリンタ10のNFCI/F22は、Initiator状態ではP2PモードをOFFしており、Target状態ではP2PモードをONしていてもよい。本変形例では、NFCI/F22は、
図10のケースD2の場合と同様に、携帯端末100CからP2POFFコマンドを含む要求信号を取得する場合に、P2PモードをONからOFFに変更する。これにより、NFCI/F22は、P2PモードがOFFされており、HCEモードがONされているTarget状態で動作する。
【0105】
(変形例10)プリンタ10の制御部30は、
図10のT758において、P2PONコマンドをNFCI/F22に供給しなくてもよい。本変形例では、NFCI/F22は、ユーザによってプリンタ10の電源がOFFされた後にONされる場合、ユーザによってP2PモードをONするための操作が操作部12に実行される場合等に、P2PモードをOFFからONに変更すればよい。本変形例では、「第2の供給部」を省略可能である。
【0106】
(変形例11)プリンタ10のNFCI/F22は、
図6のT440でP2Pリンクが確立されると、TA時間が時間t3を経過する前であっても、Target状態からInitiator状態に移行してもよい。また、別の変形例では、プリンタ10のNFCI/F22は、
図6のT416において、制御部30からTarget時間延長コマンドを含む要求信号を取得する場合に、通信相手とのP2Pリンクが確立されるまでの間、Target状態で継続的に動作してもよい。即ち、NFCI/F22は、通信相手とのP2Pリンクが確立されるまでの間、Target状態からInitiator状態に遷移することを停止する。本変形例では、P2Pリンクが確立されるまで継続されるTarget状態の時間が時間t2よりも長くなる場合に、当該時間が「特定時間」の一例である。
【0107】
(変形例12)プリンタ10が、
図6のT440で確立されたP2Pリンク等を利用して、通信相手に送信するデータは、無線設定情報に限られず、プリンタ10で発生しているエラーの内容を示すウェブページのURL(Uniform Resource Locatorの略)であってもよいし、当該エラーの内容とその解消方法との双方を示すウェブページのURLであってもよい。
【0108】
(変形例13)NFCI/F22は、セキュア・エレメントを必要とするHCEモードではなく、セキュア・エレメントを必要としないCEモードで動作可能であってもよい。
【0109】
(変形例14)プリンタ10のNFCI/F22は、Initiator状態において通信相手とのR/W−CEリンク又はR/W−Cardリンクが確立された後に、当該通信相手が携帯端末であるのかカードであるのかを判断してもよい。具体的には、NFCI/F22は、通信相手とのR/W−CEリンクが確立された後に、通信相手から携帯端末であることを示す情報を受信する場合に、通信相手が携帯端末であると判断する。この場合、NFCI/F22は、Read信号を通信相手に送信しない。また、NFCI/F22は、通信相手とのR/W−Cardリンクが確立された後に、通信相手からカードであることを示す情報を受信する場合に、通信相手がカードであると判断する。この場合、NFCI/F22は、Read信号を通信相手に送信する。即ち、制御部30は、
図2のT30、
図4のT230、及び、
図8のT530において、通信相手が携帯端末であるのかカードであるのかを判断しなくてもよい。
【0110】
(変形例15)「通信装置」は、プリンタ10に限られず、スキャナ、多機能機、PC、サーバ、スマートフォン等であってもよい。
【0111】
(変形例16)上記の実施例では、制御部30によって実行される各処理がソフトウェア(即ちプログラム36)によって実現されるが、これらの各処理のうちの少なくとも1つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0112】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
以下は、出願時の特許請求の範囲に対応する記載である。
(項目1)
通信装置であって、
第1の状態と第2の状態とを含む複数個の状態で順次動作することを繰り返す無線インタフェースであって、前記第1の状態は、第1の所定時間に亘って、外部装置との無線リンクを確立するための第1のポーリング信号の送信を実行する状態であり、前記第2の状態は、第2の所定時間に亘って、外部装置から送信される第2のポーリング信号であって、前記通信装置との無線リンクを確立するための前記第2のポーリング信号の受信を待機する状態である、前記無線インタフェースと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースが特定の外部装置から前記第2のポーリング信号を受信する場合に、前記無線インタフェースから検出情報を取得する取得部と、
前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、特定信号を前記無線インタフェースに供給する第1の供給部であって、前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記第2の状態の継続時間として、前記第2の所定時間に代えて、前記第2の所定時間よりも長い特定時間を利用させるための信号である、前記第1の供給部と、
を備える通信装置。
(項目2)
前記無線インタフェースは、前記制御部から前記特定信号が供給されることに応じて、前記特定時間に亘って前記第2のポーリング信号の受信を待機する前記第2の状態で動作した後に、前記第1の所定時間に亘って前記第1のポーリング信号の送信を実行する前記第1の状態に遷移する、項目1に記載の通信装置。
(項目3)
前記第1の供給部は、前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記無線インタフェースが前記第1の状態に遷移する前に、前記特定信号を前記無線インタフェースに供給し、
前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記特定信号の取得時の前記第2の状態の継続時間として前記第2の所定時間に代えて前記特定時間を利用させるための信号である、項目1又は2に記載の通信装置。
(項目4)
前記無線インタフェースは、NFC(Near Field Communicationの略)方式の無線通信を実行するためのインタフェースであり、
前記取得部は、前記NFC方式の少なくともP2P(Peer to Peerの略)モードを有効化している前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースが前記特定の外部装置から前記第2のポーリング信号を受信する場合に、前記無線インタフェースから前記検出情報を取得し、
前記特定信号は、さらに、前記無線インタフェースに、前記第2の状態において、前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記NFC方式のCE(Card Emulationの略)モードを有効化している状態を実現させるための信号である、項目1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目5)
前記無線インタフェースは、前記制御部から前記特定信号を取得する前に、前記第2の状態において前記CEモードを有効化しており、前記制御部から前記特定信号を取得する場合に、前記第2の状態において前記CEモードを有効化している状態を維持する、項目4に記載の通信装置。
(項目6)
前記無線インタフェースは、
前記第1の状態において、前記第1のポーリング信号を前記特定の外部装置とは異なる外部装置に送信することに応じて、前記異なる外部装置との第1の無線リンクが確立される場合に、第1の対象データを前記異なる外部装置に送信し、
前記2の状態において、前記特定の外部装置から前記第2のポーリング信号を受信することに応じて、前記特定の外部装置との第2の無線リンクが確立される場合に、第2の対象データを前記特定の外部装置に送信し、
前記第1の対象データと前記第2の対象データとは同じ情報を含む、項目1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目7)
通信装置であって、
NFC(Near Field Communicationの略)方式の無線通信を実行するための無線インタフェースと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記無線インタフェースが、前記NFC方式の少なくともP2P(Peer to Peerの略)モードを有効化している状態において、特定の外部装置からポーリング信号を受信する場合に、前記無線インタフェースから検出情報を取得する取得部と、
少なくとも前記P2Pモードを有効化している前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、特定信号を前記無線インタフェースに供給する第1の供給部であって、前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記NFC方式のCE(Card Emulationの略)モード及びR/W(Reader/Writerの略)モードのうちの少なくとも一方のモードを有効化している状態を実現させるための信号である、前記第1の供給部と、
を備える、通信装置。
(項目8)
前記無線インタフェースは、第1の状態と第2の状態とを含む複数個の状態で順次動作することを繰り返し、
前記第1の状態は、第1の所定時間に亘って、外部装置との無線リンクを確立するための第1のポーリング信号の送信を実行する状態であり、
前記第2の状態は、第2の所定時間に亘って、外部装置から送信される第2のポーリング信号であって、前記通信装置との無線リンクを確立するための前記第2のポーリング信号の受信を待機する状態であり、
前記取得部は、前記無線インタフェースが、少なくとも前記P2Pモードを有効化している前記第2の状態において、前記特定の外部装置から前記第2のポーリング信号を受信する場合に、前記無線インタフェースから前記検出情報を取得し、
前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記第2の状態において、前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記CEモードを有効化している状態を実現させるための信号である、項目7に記載の通信装置。
(項目9)
前記第1の供給部は、前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記無線インタフェースが前記第1の状態に遷移する前に、前記特定信号を前記無線インタフェースに供給し、
前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記特定信号の取得時の前記第2の状態において、前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記CEモードを有効化している状態を実現させるための信号である、項目8に記載の通信装置。
(項目10)
前記無線インタフェースは、前記P2Pモードを無効化している状態において、前記特定の外部装置から特定要求を受信する場合に、前記無線インタフェースが前記P2Pモードを有効化していることを示す有効化情報を含まない特定応答を前記特定の外部装置に送信する、項目7から9のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目11)
前記無線インタフェースは、前記制御部から前記特定信号を取得する前に、前記少なくとも一方のモードを有効化しており、前記制御部から前記特定信号を取得する場合に、前記少なくとも一方のモードを有効化している状態を維持する、項目7から10のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目12)
前記無線インタフェースは、
前記P2Pモードを有効化している状態において、前記特定の外部装置とは異なる外部装置との第1の無線リンクであって、前記通信装置及び前記異なる外部装置の双方が前記P2Pモードに従って動作するための前記第1の無線リンクが確立される場合に、第1の対象データを前記異なる外部装置に送信し、
前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記少なくとも一方のモードを有効化している状態において、前記特定の外部装置との第2の無線リンクであって、前記通信装置が前記CEモード及び前記R/Wモードのうちの一方のモードに従って動作するための前記第2の無線リンクが確立される場合に、第2の対象データを前記特定の外部装置に送信し、
前記第1の対象データと前記第2の対象データとは同じ情報を含む、項目7から11のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目13)
前記制御部は、さらに、
前記第2の対象データが前記特定の外部装置に送信された後に、有効化信号を前記無線インタフェースに供給する第2の供給部であって、前記有効化信号は、前記無線インタフェースを、前記P2Pモードを無効化している状態から有効化している状態に変化させるための信号である、前記第2の供給部を、備える、項目12に記載の通信装置。
(項目14)
前記無線インタフェースは、インタフェースメモリを備え、
前記制御部は、さらに、
前記特定の外部装置との前記第2の無線リンクが確立される前に、前記第2の対象データを前記インタフェースメモリに記憶させる対象データ記憶制御部を備え、
前記無線インタフェースは、前記特定の外部装置との前記第2の無線リンクが確立される場合に、前記インタフェースメモリに記憶されている前記第2の対象データを前記特定の外部装置に送信する、項目6、12、13のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目15)
前記通信装置は、さらに、
メインメモリを備え、
前記制御部は、さらに、
前記無線インタフェースが前記特定の外部装置との第3の無線リンクを確立する場合に、第1のフラグを前記メインメモリに記憶させる第1のフラグ記憶制御部を備え、
前記第1の供給部は、前記第1のフラグが前記メインメモリに記憶されている状態において、前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記特定信号を前記無線インタフェースに供給し、
前記第1のフラグが前記メインメモリに記憶されていない状態において、前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記特定信号は前記無線インタフェースに供給されない、項目1から14のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目16)
前記無線インタフェースがカードとの第4の無線リンクを確立する場合に、前記第1のフラグは前記メインメモリに記憶されない、項目15に記載の通信装置。
(項目17)
前記通信装置は、さらに、
メインメモリを備え、
前記制御部は、さらに、
前記無線インタフェースが前記特定の外部装置との第5の無線リンクの確立に失敗する場合に、第2のフラグを前記メインメモリに記憶させる第2のフラグ記憶制御部を備え、
前記第1の供給部は、前記第2のフラグが前記メインメモリに記憶されている状態において、前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記特定信号を前記無線インタフェースに供給し、
前記第2のフラグが前記メインメモリに記憶されていない状態において、前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、前記特定信号は前記無線インタフェースに供給されない、項目1から16のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目18)
前記取得部は、前記無線インタフェースが前記特定の外部装置からポーリング信号を受信することに応じて磁界の変化を検出する場合に、前記無線インタフェースから前記検出情報を取得する、項目1から17のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目19)
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置は、
第1の状態と第2の状態とを含む複数個の状態で順次動作することを繰り返す無線インタフェースであって、前記第1の状態は、第1の所定時間に亘って、外部装置との無線リンクを確立するための第1のポーリング信号の送信を実行する状態であり、前記第2の状態は、第2の所定時間に亘って、外部装置から送信される第2のポーリング信号であって、前記通信装置との無線リンクを確立するための前記第2のポーリング信号の受信を待機する状態である、前記無線インタフェースと、
制御部と、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記制御部を、
前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースが特定の外部装置から前記第2のポーリング信号を受信する場合に、前記無線インタフェースから検出情報を取得する取得部と、
前記第2の状態で動作する前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、特定信号を前記無線インタフェースに供給する第1の供給部であって、前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記第2の状態の継続時間として、前記第2の所定時間に代えて、前記第2の所定時間よりも長い特定時間を利用させるための信号である、前記第1の供給部と、
として機能させるコンピュータプログラム。
(項目20)
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置は、
NFC(Near Field Communicationの略)方式の無線通信を実行するための無線インタフェースと、
制御部と、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記制御部を、
前記無線インタフェースが、前記NFC方式の少なくともP2P(Peer to Peerの略)モードを有効化している状態において、特定の外部装置からポーリング信号を受信する場合に、前記無線インタフェースから検出情報を取得する取得部と、
少なくとも前記P2Pモードを有効化している前記無線インタフェースから前記検出情報が取得される場合に、特定信号を前記無線インタフェースに供給する第1の供給部であって、前記特定信号は、前記無線インタフェースに、前記P2Pモードを無効化しており、かつ、前記NFC方式のCE(Card Emulationの略)モード及びR/W(Reader/Writerの略)モードのうちの少なくとも一方のモードを有効化している状態を実現させるための信号である、前記第1の供給部と、
として機能させるコンピュータプログラム。