【実施例】
【0016】
図1,2は、実施例に係る包装機である横形製袋充填機の概略構成を示すものであって、該包装機は、アルミ蒸着やアルミラミネートされたアルミ包材や、和紙ラミネートされたフィルムなど、包装品の内部が視認不能な包装材のフィルムロール10から引出した帯状フィルム12を、その長手方向両端縁部を下方で合掌状に重合して筒状に成形する製袋手段14と、得られた筒状フィルム12aの重合部12bを一対の送りローラ16a,16aで挟持して搬送するフィルム搬送手段16と、筒状フィルム12aに向けて物品18を所定間隔毎に供給する供給コンベヤ20と、製袋手段14を経て合掌状に重合した前記重合部12bを、一対のシールローラ22a,22aで挟持して重合部12bに縦シール部24を形成する縦シール手段22と、該縦シール手段22より下流で筒状フィルム12a内に供給された物品18の前後位置で筒状フィルム12aを挟み、筒状フィルム12aの搬送方向と交差する方向にシールして横シール部を形成する横シール手段26と、の夫々を備え、縦シール手段22と横シール手段26との間で搬送中の筒状フィルム12aに交差して検査波としてのX線を細幅のビーム状にして照射する検出手段28が配置される。そして、この検出手段28によって、筒状フィルム12aの内部に所定間隔毎に供給されている物品18の位置ずれの有無と、前記縦シール部24内へ噛み込んでいる物品を検出し得るよう構成される。このような、縦シール部24に噛み込んだ物品(物品の欠片、カスその他の異物など)については、噛込み物品と総称する。本実施例では、筒状フィルム内の物品18および縦シール部24に存在する噛込み物品が、検出手段28で検出する対象となる被検出物である。
【0017】
前記製袋手段14の下流側には、筒状フィルム12a内に供給された物品18を、フィルムを介して案内する搬送ベッド30が配設されている。搬送ベッド30は、
図2に示す如く、左右に配設される載置部30a,30a,30b,30bを備え、両載置部30a,30a,30b,30bの間に画成される間隙Sから前記重合部12bが下方に延出するよう案内される。そして、搬送ベッド30の下方に延出する重合部12bは、前記送りローラ16a,16aで挟持されて搬送され、該送りローラ16a,16aの下流に配設された一対のシールローラ22a,22aにより挟持されて縦シール部が形成される。このようにして、前記重合部12bは、製袋手段14から横シール手段26で横シールされるまでの所定区間において、筒状フィルム12aにおける物品18が収容された筒状部32から下方(上下方向)へ向けて立った姿勢で延出し、搬送ベッド30の間隙Sから下方に延出した状態で下流側に向けて搬送される。フィルム搬送手段16には、送りローラ16a,16aを回転駆動するサーボモータに付設されたエンコーダが配設され、該エンコーダなどのパルス発信器から出力されるパルス信号は包装制御部34に入力される。そして、包装制御部34は、このような送りローラ16a,16aなどのフィルム搬送手段16のエンコーダパルスに基づいて筒状フィルム12aの搬送量や搬送位置を知り得るようになっている。なお、フィルム搬送手段16で送られる筒状フィルム12aと交差する幅方向(左右方向)の一側方が包装機の運転操作側として設定されており、この操作側を手前、これと反対側を奥と指称するものとする。
【0018】
前記フィルムロール10から引出された帯状フィルム12が製袋手段14で筒状に成形されるまでの帯状フィルム12の搬送経路に、包装デザインなどが印刷された帯状フィルム12に1包装長単位で付されたレジマークを検出するマークセンサ36が配設されている。マークセンサ36は、レジマークの通過を検出して、その検出信号を包装制御部34に入力し、包装制御部34は、入力された検出信号に基づいて1包装サイクルで搬送される1包装分の筒状フィルム12aの始端と終端、その他の区切り位置を得ることができる。
【0019】
前記搬送ベッド30の下流側には、搬送ベッド30の下面に配設されて、前記間隙Sの一側から該間隙Sを斜めに横切って下方へ傾斜する斜片を備えた折曲部材40が設けられ、該折曲部材40によって、前記重合部12bは、筒状フィルム12aが下流側へ搬送されるのに伴って、筒状フィルム12aの下面から垂下する姿勢から物品18が収容される筒状部32の下面に沿って折り曲がるまで徐々に傾倒するよう案内される。
【0020】
図1に示す如く、前記搬送ベッド30より下流側には、筒状フィルム12aに横シールを施すと共に切断する上下一対のシール体26a,26aを備えた横シール手段26が配設される。この横シール手段26は、公知のボックスモーション式を採用した場合で例示するものであって、連続搬送されるフィルムが1包装サイクルの間に1包装長搬送される毎に、筒状フィルム12a内に所定間隔毎に供給されている物品18の前後位置においてシール体26a,26aで筒状フィルム12aを挟持することで、筒状フィルム12aの搬送方向と交差する方向に横シール部を形成するよう動作制御される。そして、重合部12bは、前記折曲部材40で筒状フィルム12aの下面に沿って折り曲げられて横シールが施されるので、重合部12bに施された縦シール部24の延在方向の両端縁部で横シール部が交差したピロー包装品が得られる。シール体26a,26aで筒状フィルム12aを挟持する噛合位置の上流と下流に設けた搬入コンベヤ42と搬出コンベヤ44との対向端部同士は、横シール手段26のシール体26a,26aの近接離間移動と前進後退移動動作に連動して、シール体26a,26aが離間した際に相互に近接移動して筒状フィルム12a内の物品18のコンベヤ間の受け渡しを支障なく行い得るよう構成される。なお、搬入コンベヤ42における搬送上流端は、前記搬送ベッド30の下流端とわずかな隙間で隣接した近接位置に配設されている。
【0021】
前記製袋手段14の下流側から検出手段28の配設位置を越えた下流位置までの間に亘るフィルム搬送路の上方に、押えコンベヤ46が配設される。この押えコンベヤ46には、前記搬送ベッド30上を搬送される筒状フィルム12aの上面に当接してその筒状フィルム12a内に所定間隔毎に供給された物品18の上面を軽接触状態で押えてフィルム搬送速度と同速で走行するブラシ状の弾性体で構成された複数の案内部材46aが設けられている。これにより、筒状フィルム12a内に所定間隔毎に供給された物品18を位置ずれさせることなく補助送りし得るようになっている。なお、押えコンベヤ46は、物品18の性状その他必要に応じて採用すればよい。
【0022】
図1に示す如く、前記押えコンベヤ46の配設位置の上流側から前記折曲部材40の配設位置の下流側までの間において、搬送ベッド30より上方の空間を覆う透明樹脂製の防護カバー48が開閉自在に設けられている。防護カバー48は、
図3に示す如く、フィルム搬送路の周囲の上部空間を閉鎖する閉鎖位置において搬送ベッド30の上方を覆って、後述する照射器56から照射されたX線が防護カバー48の外部に漏れるのを防止する。
【0023】
前記包装機は、包装制御部34によって、供給コンベヤ20、フィルム搬送手段16、横シール手段26等の各種作動機構を回転駆動するサーボモータの夫々を作動するよう同期駆動制御信号により駆動制御される。包装制御部34と、検出制御部38と、表示制御部50とを関連付けて制御する検査制御装置52が設けられ、検出制御部38と表示制御部50とに接続されて、各種設定条件などを入力設定表示し得るタッチパネルからなる入力・表示手段54を備える。表示制御部50は、包装制御部34が得た1包装分の筒状フィルム12aの始端と終端、その他の区切り位置を認識し得るようになっている。なお、表示制御部50は、マークセンサ36によるレジマーク検出信号を直接入力することで、1包装分の筒状フィルム12aの始端と終端、その他の区切り位置を得るようにしてもよい。
【0024】
前記横シール手段26の上流側であって、前記縦シール手段22の下流端から折曲部材40までの間の筒状フィルム12aの搬送区間において、該筒状フィルム12aは、前記重合部12bが下方に延出した状態で搬送される。そして、その搬送区間には筒状フィルム12aを横断するX線を照射して、筒状フィルム12aと重合部12bを透過したX線の透過量を検出する前記検出手段28が配設される。検出手段28は、
図2,
図3に示す如く、フィルム搬送路の手前側に照射器56が奥側に向けてX線を照射するように配置され、該照射器56と対向するようにフィルム搬送路より奥側に検出器58が配置されている。照射器56におけるX線の出力部56aと検出器58におけるX線の検出部58aとは、上流側と下流側とに分割された搬送ベッド30の間隙を挟んで対向し、照射器56から照射されたX線が、検出器58に至るまでに搬送ベッド30やその他の構造物などで遮られることがなく、筒状フィルム12aの上部から前記縦シール部24までの全高さ範囲を検出器58で精度よく検出し得る。
【0025】
前記照射器56として、透過力が弱く、樹脂製のカバーで十分遮蔽可能な軟X線を照射するX線照射器が好適に用いられる。この照射器56は、出力部56aからX線ビームを、フィルム搬送路を搬送中の筒状フィルム12aに交差する方向に横向きで照射すると共に、X線ビームは上下方向の所定範囲に広がって照射される。このX線ビームの照射範囲は、
図4に示す如く、前記搬送ベッド30に載置されて搬送される筒状フィルム12aの筒状部32の通過位置および搬送ベッド30の間隙Sから下方に向けて延出する重合部12bにおける縦シール部24の通過領域をカバーし得るように設定される。また、照射器56は、搬送ベッド30の載置面に載置されて搬送される筒状フィルム12aにおける筒状部32と重合部12bとの境界位置から該重合部12bに施されている縦シール部24の延出側に出力部56aが位置するよう配置されて、出力部56aから横向きに照射されたX線が物品18と重なって検出器58に至るまでに遮られることなく、垂直に立った状態の縦シール部24の延出長の全範囲に照射される。
【0026】
前記検出器58における検出部58aは、CMOSやフォトダイオードなどの複数のX線検出素子が上下方向に直線状に連続して配列されたラインセンサであって、搬送中の筒状フィルム12aにおける前記筒状部32および前記重合部12bを横断して検出部58aへ至ったX線の透過量を、その上下方向の所定長さ範囲で検出し得るよう構成される。
図4に示す如く、検出器58によるX線の高さ方向の有効検出領域Lの内の上部域が、前記筒状部32の通過位置を移動する筒状部32を透過したX線の透過量を検出する第1の検出域N1として設定され、その第1の検出域N1内の領域に第1の判定範囲N1aが設定される。また、前記有効検出領域Lの内の下部域が、前記縦シール部24の通過位置を移動する重合部12bの内の少なくとも縦シール部24の形成範囲を透過したX線の透過量を検出可能な第2の検出域N2として設定され、その第2の検出域N2内の領域に第2の判定範囲N2aが設定される。すなわち、有効検出領域L内に、検出域N1,N2および判定範囲N1a,N2aなどの各エリアが区分して設定される。具体的に、第1の検出域N1は、前記搬送ベッド30の載置面(筒状部32と重合部12bとの境界位置)を基準位置として、それより上側であって物品18の上縁までの照射X線に対応した検出可能範囲として設定される。また、第2の検出域N2は、前記基準位置の下側で、照射X線に対応した縦シール部24の下縁までに対応した検出可能範囲として設定される。すなわち、検出器58は、筒状フィルム12aにおける筒状部32と重合部12bにおける縦シール部24の形成範囲との夫々に対して照射されたX線の透過量を検出可能に構成される。また、第1の判定範囲N1aは、前記搬送ベッド30の載置面上に支持されて搬送される筒状フィルム12a内に供給されている物品18の高さ範囲の一部であって、少なくとも、該物品18の最大前後長となる高さ範囲を含む領域が選択設定されることが好ましい。また、前記第2の判定範囲N2aは、前記重合部12bの内の少なくとも縦シール部24が形成される全ての高さ範囲を含む領域が選択設定されることが好ましい。
【0027】
前記検出器58は、上下に並ぶ複数の検出素子を備えたラインセンサによってX線の透過量を検出する。そして、前記検出器58で1ライン毎に得た被検出物の検出透過量が、前記第1の判定範囲N1aと前記第2の判定範囲N2aとの各区域における夫々の区域での予め設定されている閾値の範囲内(上下限範囲内)の値である場合に、検査制御装置52における検出制御部38から包装制御部34に対して、その検知信号が出力される。実施例では、筒状フィルム12aの高さの一部の判定範囲N1a,N2aでの検査波の透過量について、検出制御部38が前記閾値と比較して検知信号の出力の有無を判定している。第1の判定範囲N1aにおける判定結果で、検出透過量が閾値の範囲内の値である場合には、筒状フィルム12a内に物品18の存在が認められるものとして、包装制御部34に対して検知信号が出力される。また、前記第2の判定範囲N2aにおける判定結果で、検出透過量が閾値の範囲内の値である場合には、縦シール部24に噛込み物品が存在するものとして、包装制御部34に対して検知信号が出力される。そして、包装制御部34は、検出制御部38から第1の判定範囲N1aにおける検知信号が出力されると、その検知物品が、前記エンコーダによって得られる1包装サイクルにおける筒状フィルム12aの長さとの関係で、許容された収容位置にあるか否かを判定する。そして、包装制御部34は、横シール手段26が筒状フィルム12aを挟持して横シールする位置(シール体26a,26aの噛合位置)との関係で、物品18が、シール体26a,26aに接触するおそれのある領域としての噛込み危険領域の範囲内にあると判定した場合は、不良品発生についての警報を発すると共に包装機の表示手段に異常発生について画面表示する。また、その不良検知箇所に対応する1包装サイクル分のフィルム12aが、前記横シール手段26で横シールされる位置まで搬送される時期を、前記エンコーダなどにより得ることができるので、その搬送時期に合わせて、前記横シール手段26の横シール動作を一時停止したり、包装機の包装運転を休止したりするなどの各種作動機構の制御を行う。また、前記第2の判定範囲N2aにおける判定結果で、縦シール部24の噛込み物品が検知されたことが包装制御部34へ信号入力されると、前記同様に異常発生についての報知を行うと共に、該検知箇所に対応する1包装分の筒状フィルム12aが、横シールされて袋詰め包装品となって搬出される位置まで搬送される時期に合わせて、該搬出位置において不良包装品として系外に排出するなどの動作制御信号が包装制御部34から出力される。
【0028】
図5に示す如く、前記入力・表示手段54には、表示画面の下部に検査データ表示部60が配置され、また、その画面の上部において表示画面全体の略2/3を占める領域に、検査画像表示部62が配置されている。表示制御部50は、該検査画像表示部62の上側の第1表示領域62aに対して、前記第1の検出域N1の透過画像を表示し、その下側に続く第2表示領域62bに前記第2の検出域N2の透過画像を表示する。上側の第1表示領域62aには、前記第1の検出域N1で検出したX線の透過量の検出値から得た、筒状フィルム12a内の物品18の検出画像を、第1の透過画像64として表示し、また、前記第2表示領域62bに、前記第2の検出域N2において検出したX線の透過量の検出値から得た、前記噛込み物品の検出画像を、第2の透過画像66として表示する。第1、第2の透過画像64,66は、前記第1の検出域N1と第2の検出域N2を境目なく透過画像として表示する。具体的に、表示制御部50は、搬送中の筒状フィルム12aに対して照射された検査波の透過画像について、筒状フィルム12aの搬送に伴って経時的に検出されたX線の透過量の検出値を基に、画像処理して得た透過画像として、被検出物の輪郭を含む物品18の全体像が分かる、2値化による黒色の塗り潰し画像として表す。また、被検出物の透過画像は、筒状フィルム12aの搬送に伴い画面を横移動するよう、位置が変化する動画として表示される。なお、
図5では、前記押えコンベヤ46における案内部材46aの一部が前記第1の検出域N1に含まれており、実際の画面表示に従ってその表示状態を含めて表した。また、筒状フィルム12aの筒状部32と縦シール部24を表す境界部については、実際には画面表示されるものではないが、検査画像表示部62における説明に資するために、二点鎖線により図示している。
【0029】
前記入力・表示手段54の表示画面における検査画像表示部62の下方に、タイミング画像表示部68が設けられる。表示制御部50は、前記マークセンサ36によるレジマーク検出信号に基づいて得られた1包装分の筒状フィルム12aの区切り位置(始端や終端)が判別可能な形態の識別画像を、タイミング画像表示部68に表示する。具体的に表示制御部50は、1包装サイクルで搬送される1包装分のフィルム長さに応じて、横シール手段26におけるシール体26a,26aで筒状フィルム12aを挟持して横シールする位置との関係で、シール体26a,26aのシール動作中に物品18が接触して噛み込むおそれのある領域(噛込み危険領域)の始端(始点)と終端(終点)とを(噛込み危険領域との境界を)判別可能に、タイミング
図70の形態による識別画像を、タイミング画像表示部68に表示する。そして、このタイミング
図70における噛込み危険領域の中間位置が、シール体26a,26aで筒状フィルム12aを挟持して横シールする位置になる場合には、その中間位置から次の噛込み危険領域の中間位置までを、1包装サイクルで搬送される1包装分の筒状フィルム12aの始端および終端として認識することができる。また、識別画像としての前記タイミング
図70が被検出物の前記透過画像64,66と上下に並んで、1包装分の筒状フィルム12aにおける区切り位置と対比可能に表示される。
【0030】
前記検査データ表示部60には、物品位置検出用の第1のデータ表示部72と、縦シール部24の噛込み物品検出用の第2のデータ表示部74とが上下に分かれて設けられる。第1のデータ表示部72には、前記第1の判定範囲N1aの上下限設定値を表示する表示部72aが設けられると共に、第1の判定範囲N1aの検査波の透過量を検出する前記検出器58における検出解像度の閾値の上下限範囲を表示する表示部72bが設けられる。また、第2のデータ表示部74には、第1のデータ表示部72と同様に、第2の判定範囲N2aの上下限設定値を表示する表示部74aおよび前記第2の判定範囲N2aについての検出器58による検出解像度の閾値の上下限範囲を表示する表示部74bが設けられる。前記第1および第2の判定範囲N1a,N2aは、例えば、前記押えコンベヤ46の案内部材46aなど、X線ビームによる検査波の検出域N1,N2の周りに存在する装置などの構造物を誤検出しないために、前記各検出域N1,N2に対応して、それら区域内の特定の範囲の検出値を得るよう判定範囲N1a,N2aが定められる。判定範囲N1a,N2aは、筒状フィルム12a内の物品18または前記縦シール部24内の噛込み物品からなる被検出物の検出精度を高めるために、判定範囲N1a,N2aを高さ方向の特定の範囲内に特定することが好ましい。そして、筒状フィルム12a内の物品18の検出に対する透過量の判定範囲として設定される前記第1の判定範囲N1aについては、
図5に示すように、物品18の前後長が最長となる部位を含む高さ範囲として設定される。また、縦シール部24内の噛込み物品の検出に対する第2の判定範囲N2aについては、前記重合部12bにおいてフィルム同士が接着している縦シール部24の形成範囲となる高さに特定される。このように、範囲を特定することで、判定結果を得るまでの時間短縮が可能になると共に、制御装置のメモリ容量を抑える効果も期待できる。
【0031】
前記検査データ表示部60の中央には、フィルム速度表示部76が設けられると共に、フィルム速度表示部76の下側に、レベル設定ボタン78が表示、配置される。そして、レベル設定ボタン78をタッチ操作することで、前記各判定範囲N1a,N2aに対する条件設定用データを入力、設定する設定画面が、別ウィンドウとして表示され、その画面上に表われた操作ボタンや数値入力キーなどのタッチ操作により、前記各判定範囲N1a,N2aの上下限設定値や閾値を変更設定するよう構成される。また、検査データ表示部60には、X線照射中や検査中などの検査状況を表す検査情報表示部79が設けられている。
【0032】
前記検査画像表示部62において、前記入力・表示手段54によって、前記判定範囲N1a,N2aの各上下限設定値として入力設定された値が、前記第1のデータ表示部72および第2のデータ表示部74の夫々に表示され、前記表示制御部50は、その値に応じた判定範囲として上下限の境界を示す、例えば上下に離間した赤色の2本の実線からなる一対の直線ライン80a,80b,82a,82bを、前記物品18または噛込み物品からなる被検出物の透過画像64,66に重なる位置に画面表示する。具体的には、
図5に示したように、筒状フィルム12a内の物品位置を判定する第1の判定範囲N1aが、その物品18の高さ方向の中間部に設定された場合には、その第1の判定範囲N1aを表す画像は、前記物品18の透過画像64の高さ方向の中間において、データ設定された第1の判定範囲N1aの上下限設定値に対応した位置で、前記上下2本の直線ライン80a,80bが前記物品18の透過画像64に重なる画像として表わされる。また、縦シール部24への物品の噛込みを判定する第2の判定範囲N2aが設定される際には、物品18が収容された筒状部32の下方に延出する重合部12bのシール部に対応した所定の高さ範囲に設定される。そして、その設定値に応じて、縦シール部24の上下方向の所定範囲となる第2の判定範囲N2aに対応して、前記同様に上下限設定値を表す2本の水平ラインが離間して画像表示される。そして、縦シール部24への噛込み物品の検出時において、噛込み物品の噛込み位置に応じて透過画像66上に上下2本の直線ライン82a,82bが重なって表される。なお、表示画面において判定範囲N1a,N2aに関して上下限設定値を表すライン80a,80b,82a,82bは、実線で表示されるが、説明に資するために、これらを
図5において一点鎖線で表した。また、上下限設定値を表すライン80a,80b,82a,82bは、各透過画像64,66の黒色の表示色とは異なる色(本実施例では赤色)に配色され、少なくとも透過画像64,66との境界部並びに、表示画面における背景画像との境界部においてラインとして識別できる色が選択されるようになっていればよい。
【0033】
ここで、前記フィルム速度表示部76に表示されるフィルム速度は、包装機のフィルム速度と同じ速度が入力・表示手段54によりデータ入力されることでその入力データが表示されると共に、表示制御部50によって、設定された包装機のフィルム搬送速度に応じた速度で前記検査画像表示部62に表示された被検出物の透過画像64,66と、前記タイミング画像表示部68に表示されたタイミング
図70とが水平移動するよう動画による画面表示が行われる。本実施例では、前記フィルム速度は、画面表示用に入力した値としたが、前記エンコーダからフィルムの搬送量を得て現在のフィルム速度値を表示することや、前記包装制御部34におけるフィルムの搬送制御データを入力して得たフィルム速度値を利用することもできる。そして、筒状フィルム12aの搬送に伴って、設定された所定のフィルム搬送速度に応じて、前記透過画像64,66と識別画像としてのタイミング
図70が画面内を水平に移動するように表示制御される。入力・表示手段54は、包装機の操作、表示用のタッチパネルとは別に、そのタッチパネルと隣接する位置に、独立した検査表示結果を表示可能な表示パネルを設けるように構成することが好ましい。
【0034】
次に、実施例の作用について説明する。包装運転の開始と共に前記照射器56からX線ビームを横向きに照射する。フィルム搬送路を搬送中の筒状フィルム12aに照射されるX線は、前記検出器58で検出されて、そのX線の透過量の検出値を画像処理された検出画像が、前記入力・表示手段54の検査画像表示部62に表示される(
図5参照)。この検査画像表示部62には、前記入力・表示手段54によって設定した第1の判定範囲N1aおよび第2の判定範囲N2aを示すライン80a,80b,82a,82bが表示される。また、入力・表示手段54のタイミング画像表示部68に、前記マークセンサ36によるレジマーク検出信号に基づいて得られた包装機の1包装サイクル毎に、タイミング
図70が表示される。
【0035】
前記フィルム搬送路を搬送中の筒状フィルム12aに照射されるX線は、前記検出器58で筒状フィルム12aの搬送に伴い連続して検出されて、その経時的に得られるX線の透過量が閾値の範囲内である場合は、その透過量の検出値を画像処理して得た物品18あるいは噛込み物品の全体の透過画像64,66が、前記検査画像表示部62に表示される(
図5参照)。前記第1および第2の検出域N1,N2において、閾値の範囲内の透過量の検出値を画像処理することで、物品18あるいは噛込み物品の全体の透過画像64,66を表示できる。
【0036】
本実施例では、入力・表示手段54の検査画像表示部62に、搬送中の筒状フィルム12aにおける筒状部32内の物品18の検出画像である第1の透過画像64および縦シール部24の噛込み物品の検出画像である第2の透過画像66と、1包装分の筒状フィルム12aの始端および終端を認識可能なタイミング
図70とを、各画像64,66,70の位置関係を判別可能に表示するので、作業者は、検査画像表示部62およびタイミング画像表示部68に表示された画像を見るだけで、1包装分の筒状フィルム12aと物品18や噛込み物品との位置関係を直感的に認識することができる。また、検査波としてX線を用いているので、アルミ素材を含んで内部が見えないフィルムが使用される場合においても、物品18や噛込み物品の位置を、画像によって一目で把握することができる。また、識別画像としてのタイミング
図70は、横シール手段26で物品18を噛み込む恐れのある領域の少なくとも境界を認識できる画像として表示するので、筒状フィルム内の物品18の位置と搬送中の筒状フィルム12aにおける横シール位置との位置関係が画像により一目で判る。しかも、筒状フィルム12aに対する物品18の位置ずれ状況も画像から見て取ることができるので、不良要因に対する対処を的確かつ迅速に行うことができる。すなわち、物品18の位置ずれ状況を画面上で見て取ることができるので、横シール手段26によるシールタイミングの設定・補正時には、画面上で物品18の位置ずれ状況を確認しつつ的確に行うことができる。また、縦シール部24の噛込み物品が1包装分の筒状フィルム12aの始端または終端の位置との関係で何処の位置にあるかを画面表示によって直感的に知ることができるので、噛込み要因の追究や、その他の対処を適切に行うことができる。
【0037】
前記検出手段28で検出した物品18を示す第1の透過画像64および噛込み物品を示す第2の透過画像66を、タイミング
図70と比較可能に1画面上に表示しているので、不良要因を一目で判別できる。また、筒状フィルム12aの搬送に伴って、物品18および噛込み物品の透過画像64,66およびタイミング
図70を移動表示するよう構成したので、1包装サイクルで搬送される筒状フィルム12aと物品18および噛込み物品の位置関係を直感的に認識することができる。また、筒状フィルム12aと物品18および噛込み物品との位置関係を、連続的に認識することができる。更に、タイミング
図70によって横シール手段26による横シール予定位置を認識できるので、タイミング
図70と共に表示される第1の透過画像64で示される物品18と横シール予定位置との関係が分かり、該横シール予定位置に対する物品18の位置ずれ度合を、画面表示によって容易に判断することができる。
【0038】
前記マークセンサ36によるレジマーク検出信号などの包装機の包装制御部34から1包装分のフィルムの送り位置を表示制御部50に入力することで、1包装サイクルで搬送される筒状フィルム12aの区切り位置を認識し得るよう構成したので、オーダ変更などがあった場合であっても、作業者による筒状フィルム12aの位置表示のための設定操作を行うことなく、前記タイミング画像表示部68に表示するタイミング
図70に自動で反映させることができる。
【0039】
本実施例では、前記第1の検出域N1および第2の検出域N2の夫々において、検出手段28での判定範囲N1a,N2aを設定して、その判定範囲N1a,N2aを示すライン80a,80b,82a,82bを透過画像64,66に重ねて表示するので、不良判定の検査状況を画面表示によって適正に把握することができる。また、物品18の形状やサイズに応じて適切な判定範囲N1a,N2aを設定し得るので、不良判定の検出精度を高めることができる。更に、検出手段28の周りの機械の構成部を検出しないように判定範囲N1a,N2aから除いて設定することができるので、検出不良率を低下して良好な検出結果を得ることができる。
【0040】
(変更例)
本発明は、以上に例示した実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 実施例では、筒状フィルム内の物品18の位置ずれと、縦シール部24に存在する噛込み物品とを検出可能な形態としたが、何れか一方のみの検出を行うものであってもよい。
(2) 実施例では、検出手段28を、筒状フィルム12aに対してX線を横向きに照射して検出するよう配置したが、筒状フィルム12aに対して検査波を斜めに照射したり、上下方向に照射したりするなど、検出手段28の配置については、検査対象となる部分に検査波を照射して検出可能な各種の配置を採用することができる。
(3) 検査波は、近赤外線やテラヘルツ波、その他の各種電磁波であって、筒状フィルム12aを透過した透過量の検出値を画像処理して得た被検出物の透過画像を、筒状フィルム12aの位置との関係で画面表示できるものであればよい。
(4) 入力・表示手段54の画面表示は、筒状フィルム12aの搬送速度と同じ速度にて画像が実際のフィルム搬送方向に向けて移動する動画により表したが、フィルム搬送速度より遅い速度で画像が移動するようにすることや、不良報知時になどに一時的に静止画像として表示したり、あるいは、静止画像を1包装サイクル毎のタイミングに合わせて切り替え表示したりするなどの表示形態にしてもよい。
(5) 入力・表示手段54に、物品18や噛込み物品の透過画像64,66とタイミング
図70とを上下に並べて別々に表示したが、筒状フィルム12aの始端と終端とに対する物品18や噛込み物品の位置関係が分かるように、重ねて表示するようにしてもよい。すなわち、被検出物とタイミング
図70と、それらの位置関係が一目で分かるようになっていれば、具体的表示形態はどのような表し方によるものであってもよい。
【0041】
(6) 実施例では、判定範囲N1a,N2aを被検出物の透過画像64,66に重ねて、画面上に第1の判定範囲N1aと第2の判定範囲N2aとを、上下限のライン80a,80b,82a,82bにより表示するようにしたが、その表示形態や、表示の有無は選択事項である。
(7) 実施例では、判定範囲N1a,N2aの表示を、該判定範囲N1a,N2aの上限と下限が判別可能に、連続する直線ライン80a,80b,82a,82bとして、被検出物の透過画像64,66に重なった状態による識別画像で表す画面表示としたが、その表示形態に限ることなく、判定範囲N1a,N2aを判別可能な各種の表示形態を採用することができる。また、必要に応じてそのような表示を省略してもよい。
(8) 入力・表示手段54に、押えコンベヤ46の案内部材46aの検出画像も合わせて表示しているが、有効検出領域Lに臨む案内部材46aの検出域は除外した表示形態を採用することができる。
(9) 入力・表示手段54に、「検査画像表示部62」と「検査データ表示部60」とを、1画面上に上下に並べた構成としたが、少なくとも「検査画像表示部62」のみが通常全画面表示される態様であればよく、「検査データ表示部60」は、必要に応じて呼び出し可能な別画面として構成されていてもよい。また、「検査データ表示部60」の内の一部のボタン表示あるいは複数の選択された操作ボタン表示や、一部の設定値の表示などを必要に応じて表示する表示画面構成を採用することができる。
(10) 噛込み危険領域を示すタイミング
図70の表示形態は、被検出物の透過画像64,66の位置と、少なくとも横シール手段26の噛合位置に関するタイミングとの関係を、画面を見て一目で分かるように合わせて表示されるようになっていれば、必ずしも噛込み危険領域を直接表示するようにしなくてもよい。
【0042】
(11) タッチパネル式の入力・表示手段54に代えて、キーボードやボタンスイッチなどの機械的な入力・設定手段と、表示パネルなどの表示手段とが独立した構成であってもよい。
(12) 使用フィルムは、不透明で、外から筒状フィルムの内部が見えない各種材質のフィルムであって、ポリプロピレンなどの各種材質によるプラスチックフィルムに印刷が施されて、内部が見えない種々の包装フィルムに適用することができる。
(13) 実施例では、物品18の透過画像64を画面表示するにあたり、2値化して検査物品を黒色での塗り潰しにより画面表示する形態として例示したが、それとは反転表示され、検査物品が白抜きとなる画面表示とすることや、検査波の透過量が物品18の部位で異なる時には、グレー表示などの階調表示とすることや、あるいは、異なる透過量に応じた階調を持つカラー表示をするなどの、種々の表示形態を採用してもよい。
(14) 実施例では、重合部12bが筒状部32から下方に延出する形態の筒状フィルム12aについて検査するようにしたが、筒状フィルム12aは、筒状部32から上方に重合部12bが延出する形態であってもよく、該形態に合わせて照射器56や検出器58を配置すればよい。