(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。本願において、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。以下の保護具は乗り物本体に装着可能に別体に構成されてもよいし、乗り物本体に一体に構成されてもよい。
【0022】
<保護具付き乗り物(保護具付き自転車)>
図1は本発明の一実施形態に係る保護具付き乗り物を示す図である。
図2は線材を説明するための図である。
図3及び
図4は
図1の一部拡大図で保護具を説明するための図である。保護具付き乗り物10は、乗り物本体(以下、単に「本体」とも称する)20と、乗り物本体20に取り付けられる(装着される)保護具30と、を含む。保護具30は、ループ状の弾性を有する線材を含んで構成され、乗り物本体20よりも表側に位置する。好ましくは、保護具3は、乗り物本体20に着脱可能に取り付けられる(装着される)。
【0023】
本実施形態では、乗り物本体は二輪車又は三輪車であり、保護具付き乗り物10は、例えば保護具付き自転車11である。保護具付き自転車11は、本体21と、本体21に取り付けられる保護具31とを含む。本体21の構成には、公知技術が適宜用いられ、ここでは詳細な説明を省略する。
【0024】
保護具付き自転車11は、複数の保護具31を含むことができ、例えば、前方部分の前方保護具31a、後方部分の後方保護具31b、指保護具31c、前輪上方保護具31d、後輪上方保護具31e、側方部分の前輪側方保護具31f及び後輪側方保護具31gを含むことができる。保護具付き自転車11は、これらの保護具のうちのいずれか一の保護具または二以上の保護具を含む。保護具31は、弾性を有する線材4を含んで構成される。
【0025】
線材4は、弾性を有し、好適には断面が円形の金属線材、例えばステンレス鋼やピアノ線、真鍮線、貴金属線、貴金属メッキ線などのワイヤからなる。ただし、これに限らず、断面4角形、6角形等の断面多角形の線材が用いられてもよい。線材の太さ(多角形では対面幅)は、例えば、自転車等では、下限は1.0mm、好ましくは1.6mm、より好ましくは2.0mmである。上限は8.0mm、好ましくは6.0mm、より好ましくは4.0mmである。自動二輪や自動車など重量が100kgを超えるものでは、下限は3.0mm、好ましくは3.2mm、より好ましくは3.5mmである。上限は12mm、好ましくは10.0mm、より好ましくは8.0mmである。
【0026】
線材4は、前述線材の表面がナイロン、シリコン、テフロン等で被覆される、またはメッキ等が施されることで被覆層を有するものでもよい。線材4は、さらには、ナイロンなどのプラスチック樹脂(カーボンファイバー、ケブラー(登録商標)などを含有するものを含む)などの材料で形作られてもよい。また、両端部分で太く、中央部に向かって太さを徐々に細くされたものでもよい。なお、以下の説明で「ワイヤ」や「線材」として言及したとしても、ワイヤに限定する意味ではなく、任意の公知の好適な弾性線材であり得る。
【0027】
線材4は、複数含まれる場合、線材同士の太さが同じでもよいし、一部または全部においてそれぞれ異なってもよい。また、線材4の弾性力は、線材同士が同じでもよいし、一部または全部においてそれぞれ異なってもよい。
【0028】
線材4は、ループ状である。
図2に示すように、一例として、線材4は閉じていないループ形状、例えば略U字状、C字状である。ループ形状は、1本の線材が曲げられて、例えば、一端部403から出発して略中央で折り返されて他端部403が一端部403と並ぶ位置に戻るように形成されてもよいし、樹脂などの材料で形作られてもよい。線材4は、両端部403と、中央の先端401と、両者の間に延在する両肢402とを含む。
【0029】
このように、弾性線材を使用しループ状にすることで、外部からの衝撃力を弾性エネルギーに変化させて衝撃を緩和し、線材が撓むことはあっても折れないため安全である。さらに、衝撃を受ける部分がループ状であるので、引っ掛かりにくく、刺さることもないため、安全である。
【0030】
図2(a)に示すように、一例として、線材4は、上図に示すように、上方視において半楕円状ないしU字状で、下図に示すように、側方視において略直線状である。
【0031】
図2(b)に示すように、一例として、線材4は、上図に示すように、上方視において略C字状で、下図に示すように、側方視において肢402が直線状で、先端401付近が円弧状である。
【0032】
図2(c)に示すように、一例として、線材4は、上図に示すように、上方視において全体として略U字状ないしC字状で、両肢402の後半部分が後方に向かって外側に開脚する形状である。下図に示すように、側方視において、線材4は、曲線状である。
【0033】
図2(d)に示すように、一例として、線材4は、上図に示すように、上方視において全体として左右非対称の略U字状ないしC字状で、下図に示すように、側方視において凹みのある曲線状である。
【0034】
線材4の形状は、上記は一例に過ぎず、様々な形状であり得る。保護具付き自転車11の各保護具は、このような弾性を有する略U字状ないしC字状の線材4を含んで構成される。以下では、各保護具31について詳細に説明する。
【0035】
図3に示すように、前方保護具31aは、ハンドル211の周辺に取り付けられる。前方保護具31aは、複数の線材4を所定の間隔で配列してなる線材群を含んで構成される。一例として、略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する3本の線材(41a、42a、43a)を、所定の間隔で配列してなる線材群を含む。
【0036】
前方保護具31aの線材群における各線材は、線材41aを例に説明すると、両端部403が上方に位置し、先端401が下方に位置するように、ハンドル211に両端部403が取り付けられる。線材の取付構造については、後述する。後述の例で示しているように、線材は、乗り物本体に着脱可能に取り付けられてもよい。また、
図26を用いて後述するように、線材4は回動可能に取り付けられてもよい。なお、公知技術が適宜用いられてもよい。
【0037】
前方保護具31aの線材群は、各線材が、ループ面方向において大線材のループ内に小線材のループが包含されるように(例えば同心状に)配列される内外重ね型線材群である。また、前方保護具31aの線材群は、各線材が、ループ面に直交する方向において所定の間隔で前後ないし上下して配列される凸状ないし凹状の線材群である。なお、以下では、このような線材群を「内外重ね型凹状線材群」ないし「内外重ね型凸状線材群」と称する。
【0038】
より具体的には、前方保護具31aは、ループ面方向では(前方視において)、各線材のループが内外重ねて配列され、最大線材41aのループ内に第2大線材42aのループが包含され、第2大線材42aのループ内に第3大線材(最小線材)43aのループが包含されるように配列される。また、ループ面に直交する方向では(側方視において)、各線材が所定間隔で前後して配列され、最大線材41aが最も前方に配列され、最小線材43aが最も後方に配列され、第2大線材42aがその間に配列される。
【0039】
これにより、前方保護具31aは、表側から裏側に凹む凹状(窪み状)に構成され、前方に凹状の内部空間を有する。図示のように、ハンドル211が中央部と両端部(グリップと嵌合する部分)の間に傾斜部分を有する場合は、第2大線材及び最大線材を傾斜部分に沿って取り付ければ、前方保護具31aを容易に凹状に構成できる。
【0040】
線材群における各線材の大きさは、本体の大きさに応じて設定できる。一例として、最大線材41aは、先端がフレーム212のヘッド2121の下端と略同じ位置、又はヘッド2121よりやや低い位置となるような縦幅(端部から先端までの幅)で、ハンドル211の両端部よりも狭い横幅(両端部間幅)を有する。線材群を構成する線材の数は、本体の大きさや用途などに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0041】
前方保護具31aは、自転車本体21の前方に位置し、盾になって運転者及び接触者を保護する。より具体的には、前方保護具31aは、ハンドル211の中央部、ハンドル211を支持するステム2111、ステム2111と接続するフレーム212のヘッド2121の前方に配置されて、接触物ないし接触者の運転者への接触を低減し、衝撃を緩和して運転者を保護する。また、接触者の自転車本体への接触を低減し、衝撃を緩和して接触者を保護する。
【0042】
前方保護具31aは、ループ面方向、ここでは横方向(前後方向及び上下方向と直交する方向(左右方向))において線材同士の間に隙間を有するため、向い風が吹いても空気抵抗を増加させることはない。また、前後方向においても線材同士の間に隙間を有するため、横風の場合も転倒リスクなどを増加させることはない。さらに、前方保護具31aは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0043】
前方保護具31aは、凹状に構成されるため、球状体などブロック状の接触物が接触してき場合、弾発しながら、内側空間で一旦受止めることができ、この際に各線材の先端401が下方で接触物を支える。接触物は弾発力を受けながら前方保護具31aを離れるが、後述のように、前輪上方保護具31dを設ければ、前輪への接触を低減し、衝撃をさらに緩和できる。また、板状の接触物が接触してきた場合は、前後して配列される線材に順次接触し、衝撃が緩和される。
【0044】
後方保護具31bは、サドル214に取り付けられる。後方保護具31bは、一例として、略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する3本の線材(41b、42b、43b)を所定の間隔で配列してなる、内外重ね型凸状線材群である。
【0045】
より具体的には、後方保護具31bは、ループ面方向では(後方視において)、各線材のループが内外重ねて配列され、最大線材41bのループ内に第2大線材42bのループが包含され、第2大線材42bのループ内に第3大線材(最小線材)43bのループが包含されるように配列される。また、後方保護具31bは、ループ面に直交する方向では、各線材が前後して配列され、最大線材41bが最も前方に配列され、最小線材43bが最も後方に配列され、第2大線材42bがその間に配列される。
【0046】
線材群における各線材は、線材42bを例に説明すると、先端401が上方に位置し、両端部403が下方に位置するように、サドル214の後方下端に両端部403が取り付けられる。各線材の両肢402は後方上方に湾曲しており、後方保護具31bはサドル214の後方上方の空間を囲い、運転者を後方から覆うように構成される。
【0047】
これにより、後方保護具31bは、裏側から表側に凸出する凸状に構成され、裏側に内側空間を有する。後方保護具31bの各線材は、図示のように、サドル214の外形に沿って下端の外周に取り付けられる。線材群における各線材の大きさは、本体の大きさに応じて設定できる。好ましくは、各線材は、先端に向かって幅(両肢間幅)が漸次広がるように形成される。線材群を構成する線材の数は、本体の大きさや用途に応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0048】
後方保護具31bは、本体21のサドル214の後方に位置し、盾になって運転者及び接触者を保護する。後方保護具31bは、ループ面方向、ここでは横方向に線材同士の間に隙間を有するため、追い風が吹いてもバランスを崩したり、転倒したりすることはない。また、前後方向において線材同士の間に隙間を有するため、横風の場合も転倒リスクを増加させることはない。さらに、後方保護具31bは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0049】
後方保護具31bは、凸状に形成され、接触物に応じて、最小線材43b、第2大線材42b、最大線材41bの順に、順次接触物に弾発的に接触して、自転車本体及び運転者への接触を低減し、衝撃を緩和して運転者及び接触者を保護する。
【0050】
指保護具31cは、左右対称に2つ含まれ、左右両グリップ2112の周辺にそれぞれ取り付けられる。指保護具31cは、一例として、略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する2本の線材(41c、42c)を所定間隔で配列してなる、内外重ね型凸状線材群である。
【0051】
より具体的には、指保護具31cは、ループ面方向では、各線材のループが内外重ねて配列され、大線材41cのループ内に小線材42cのループが包含されるように配列される。また、指保護具31cは、ループ面に直交する方向では、各線材が前後して配列され、小線材42cが前方に、大線材41cが後方に配列される。
【0052】
線材群における各線材は、両端部が中央側に位置し、先端が左(右)側に位置するように、グリップ2112の中央側端部の外周に沿って両端部が取り付けられる。指保護具3cは、両端部から先端にかけて斜め前方に迫り出して、グリップ2112の前方に位置し、ブレーキレバーよりも前方に位置して、指の前方を囲うようになっている。
【0053】
これにより、指保護具31cは、裏側から表側に凸出する凸状に構成され、裏側に内側空間を有する。線材群における各線材の大きさや線材の数は、本体ないしグリップの大きさに応じて設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば5本で、好ましくは4本である。
【0054】
指保護具31cは、グリップ2112の前方に位置し、盾になって接触物ないし接触者の運転者の指への接触を低減し、衝撃を緩和して運転者を保護する。また、接触者の本体への接触を低減し、衝撃を緩和して接触者を保護する。さらに、指保護具31cは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0055】
指保護具31cは、凸状に形成され、接触物に応じて、最小線材42c、最大線材41cの順に、順次接触物に弾発的に接触し、自転車本体及び運転者への接触を低減し、衝撃を緩和して運転者及び接触者を保護する。
【0056】
図3に示すように、前輪上方保護具31dは、前輪216の周辺に取り付けられる。前輪上方保護具31dは、一例として、略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する3本の線材(41d、42d、43d)を、所定の間隔で配列してなる、内外重ね型凸状線材群を含む。
【0057】
より具体的には、前輪上方保護具31dは、ループ面方向では、各線材のループが内外重ねて配列され、最大線材41dのループ内に第2大線材42dのループが包含され、第2大線材42dのループ内に第3大線材(最小線材)43dのループが包含されるように配列される。また、ループ面に直交する方向では、各線材が上下して配列され、最大線材41dが最も下方に、最小線材43dが最も上方に、第2大線材42dがその間に配列される。これにより、前輪上方保護具31dは、裏側から表側に凸出する凸状に構成され、裏側に内側空間を有する。
【0058】
前輪上方保護具31dの線材群における各線材は、先端が前方に位置し、両端部が後方位置して、フロントフォーク213に両端部が取り付けられる。図示の例では、各線材は、フロントフォーク213の両股よりも上方であって、フロントフォーク213の上端よりも下方に取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて前方下方に湾曲している。本実施形態では、本体21は前輪泥除けを有しないが、前輪泥除けを有する場合は、前輪上方保護具31dは前輪泥除けの上方(表側)に配置される。
【0059】
線材群における各線材の大きさは、本体の大きさに応じて設定できる。一例として、最大線材41dは、前輪の外周(タイヤの外周)の略1/5〜1/3を囲う長さを有し、前輪の幅(タイヤの直径)より大きい幅を有する。線材群を構成する線材の数は、本体の大きさや用途などに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0060】
前輪上方保護具31dは、前輪216の上方を囲うように配置され、前輪216への接触を低減し、衝撃を緩和することで、運転者及び接触者を保護する。前輪上方保護具31dは、接触者や接触物が前輪に巻き込むことを防止する。前輪上方保護具31dは、ループ面方向において線材同士の間に隙間を有するため、向い風が吹いても空気抵抗を増加させることはない。また、上下方向において線材同士の間に隙間を有するため、横風の場合も転倒リスクを増加させることはない。さらに、前輪上方保護具31dは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0061】
図5及び
図6は線材群の一例、より具体的には内外重ね型凸状線材群の一例を説明するための図である。
図5に示すように、塊状の接触物Oが線材群に当ると、まず、最も表側に位置する最小線材43が負荷を受け、撓む。次に、その裏側の第2大線材42が負荷を受け、撓む。次に、最も裏側の最大線材41が負荷を受ける。図示のa、b、c、d、eのように、負荷を受ける線材が順次増える、または入れ替わる。その際に、先端401は、物Oを保持し、負荷を支える支え部となる。
【0062】
図6では接触物Oが線材群に当たってから離れるまでの流れの一例を説明する。(1)接触物Oが線材群に接近しているものの、まだ当たってない状態では、接触物Oと最も近接している表側に最小線材43が、接触物Oと最も離れている裏側に最大線材41が、その間に第2大線材42があり、互いに線材の線径(厚み)以上の隙間を有する。各線材は、側方視において表側にやや凸状の略円弧状である。
【0063】
(2)接触物Oが線材群に接近し、線材群に当たり始めた状態では、まず、接触物Oは最小線材43の肢に当る。そうすると、最小線材43が裏側に撓み、隣接の第2大線材42に接近する。
【0064】
(3)接触物Oの全負荷が線材群にかかった状態では、最小線材43が更に裏側に撓んで最小線材43が第2大線材42のループの内部に入り込む。そうすると、第2大線材42も接触物Oと当接して負荷を受けて、第2大線材42が裏側に撓み、隣接の最大線材41に接近する。
【0065】
(4)最小線材43及び第2大線材42が更に裏側に撓んで最大線材41のループの内部に入り込む。そうすると、最大線材41も接触物Oと当接して負荷を受ける。
【0066】
一方、接触物Oは、線材の弾発力を受けながら、肢に沿って前方に滑り移動する。そうすると、最小線材43の先端が接触物Oを支える。
【0067】
(5)接触物Oが最小線材43の先端を乗り越えると、第2大線材42の先端が接触物Oを支え、最小線材43は負荷から解放され、元の状態に戻る。
【0068】
(6)接触物Oが第2大線材42の先端を乗り越えると、最大線材41の先端が接触物Oを支え、第2大線材42は負荷から解放される。
【0069】
(7)接触物Oが最大線材41の先端を乗り越えると、最大線材41が負荷から解放され、接触物Oは線材群から離れる。
【0070】
このように、接触物Oが内外重ね型凸状の線材群に当たる場合、線材群は弾発的に撓みながら接触物Oを支え、衝撃を緩和する。接触物が板状の場合、最小線材43、第2大線材42、最大線材41の順に、線材が順次弾発的に接触するので、本体及び運転者への接触を低減し、衝撃を緩和して運転者を保護する。
【0071】
図4に戻って、後輪上方保護具31eについて説明する。後輪上方保護具31eは、後輪217の周辺に取り付けられる。後輪上方保護具31eは、一例として、略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する4本の線材(41e、42e、43e、44e)を、所定の間隔で配列してなる、内外重ね型凸状の線材群を含む。
【0072】
より具体的には、後輪上方保護具31eは、ループ面方向では、各線材のループが内外重ねて配列され、最大線材41eのループ内に第2大線材42eのループが包含され、第2大線材42eのループ内に第3大線材43eのループが包含され、第3大線材43e内に第4大線材(最小線材44e)のループが包含されるように配列される。また、ループ面に直交する方向では、各線材が上下して配列され、最大線材41eが最も下方に、最小線材44eが最も上方に、第2大線材42e及び第3大線材43eがその間に配列される。これにより、後輪上方保護具31eは、裏側から表側に凸出する凸状に構成され、裏側に内側空間を有する。
【0073】
後輪上方保護具31eにおける各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、リアフォーク218に両端部が取り付けられる。図示の例では、各線材は、リアフォーク218の両股を跨るように両股のそれぞれに両端部が取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて後方下方に湾曲している。本実施形態では、本体21は後輪泥除けを有しないが、後輪泥除けを有する場合は、後輪上方保護具31eは後輪泥除けの上方に配置される。
【0074】
線材群における各線材の大きさは、本体の大きさに応じて設定できる。一例として、最大線材41eは、後輪の外周(タイヤの外周)の略1/5〜1/3を覆う長さを有し、後輪の幅(タイヤの直径)より大きい幅を有する。また、線材群を構成する線材の数は、本体の大きさや用途などに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0075】
後輪上方保護具31eは、後輪217の上方を囲うように配置され、後輪217への接触を低減し、衝撃を緩和することで、運転者及び接触者を保護する。後輪上方保護具31eは、接触者や接触物が後輪へ巻き込むことを防止できる。後輪上方保護具31eは、ループ面方向(横方方向)において線材同士の間に隙間を有するため、追い風が吹いてもバランスが崩れたり、転倒したりすることはない。また、線材同士が上下方向にも隙間を有するため、横風の場合も転倒リスクを増加させることはない。さらに、後輪上方保護具31eは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0076】
前輪側方保護具31fは、前輪216の周辺に取り付けられる。前輪側方保護具31fは、左右側方のうちの一方のみに設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。以下では、左側に設けられる例を説明する。
【0077】
前輪側方保護具31fは、複数の線材4を所定の間隔で配列してなる線材群を含んで構成される。一例として、左右非対称の略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する3本の線材(41f、42f、43f)を、所定の間隔で配列してなる線材群を含む。
【0078】
前輪側方保護具31fの線材群は、各線材が、ループ面方向において大線材のループ内に小線材のループが包含されるよう(例えば同心状)に配列される内外重ね型線材群である。また、前輪側方保護具31fの線材群は、各線材が、ループ面に直交する方向において、各線材が略同じ位置に配列される面状線材群である。なお、以下では、このような線材群を「内外重ね型面状線材群」と称する。
【0079】
より具体的には、各線材は、ループ面方向では(側方視において)、ループが内外重ねて配列され、最大線材41fのループ内に第2大線材42fのループが包含され、第2大線材42fのループ内に第3大線材(最小線材)43fのループが包含されるように配列される。また、ループ面に直交する方向では、各線材が略同じ位置に配列される。
【0080】
前輪側方保護具31fは、前輪216の側方を囲うように、フロントフォーク213の左股に取り付けられる。各線材は、非対称の略U字状ないしC字状で、一端部がフロントフォーク213の左股の表側ないし前側に取り付けられ、他端部がフロントフォーク213の左股の後側ないし裏側であって一端部の取付位置よりも低い位置に取り付けられる。
【0081】
これにより、前輪側方保護具31fは、前輪216の側方を覆うように面状に構成される。また、好ましくは、前輪側方保護具31fの各線材は、ループ面の中心に対して非対称に形成され、一端部側が高い位置により表側に配置され、他端部が低い位置により裏側に配置され、曲面状に構成される。
【0082】
線材群における各線材の大きさは、本体の大きさに応じて設定できる。一例として、最大線材41fは、タイヤの外周以下の大きさを有し、例えば、タイヤの内周と同じ大きさを有し、最小線材43fはハブの外周以上の大きさを有する。また、線材群を構成する線材の数は、本体の大きさや用途などに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0083】
前輪側方保護具31fは、前輪216への接触を低減し、衝撃を緩和することで、運転者を保護する。また、前輪側方保護具31fは、接触者や接触物が前輪216やスポーク2161に巻き込むことを防止できる。前輪側方保護具31fは、線材同士の間に隙間を有するため、空気抵抗を増加させることがなく、転倒リスクを増加させることはない。さらに、前輪側方保護具31fは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0084】
後輪側方保護具31gは、後輪217の周辺に取り付けられる。後輪側方保護具31gは、左右側方の一方のみに設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。以下では、左側に設けられる例を説明する。
【0085】
後輪側方保護具31gは、複数の線材4を所定の間隔で配列してなる線材群を含んで構成される。一例として、略U字状ないしC字状の大小異なるループを有する3本の線材(41g、42g、43g)を、所定の間隔で配列してなる、内外重ね型面状線材群を含む。
【0086】
より具体的には、後輪側方保護具31gは、ループ面方向では(側方視において)、各線材のループが内外重ねて配列され、最大線材41gのループ内に第2大線材42gのループが包含され、第2大線材42gのループ内に第3大線材(最小線材)43gのループが包含されるように配列される。また、ループ面に直交する方向では各線材が略同じ位置に配列される。
【0087】
後輪側方保護具31gは、後輪217の側方を覆うように、リアフォーク218に取り付けられ、ペダル219よりも表側に位置する。図示の例では、各線材は、先端が前方に位置し、両端部が後方に位置するように、リアフォーク218の左股の前側に両端部が取り付けられる。
【0088】
これにより、後輪側方保護具31gは、後輪217を側方から覆うように、面状に構成される。線材群における各線材の大きさは、本体の大きさに応じて設定できる。線材群を構成する線材の数は、本体の大きさや用途などに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、より好ましくは6本である。
【0089】
後輪側方保護具31gは、後輪217の側方を覆って後輪217への接触を低減し、衝撃を緩和することで、運転者を保護する。後輪側方保護具31gは、接触者や接触物が後輪217やスポーク2171に巻き込むことを防止できる。後輪側方保護具31gは、線材同士の間に隙間を有するため、空気抵抗を増加させることがなく、転倒リスクを増加させることはない。さらに、後輪側方保護具31gは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0090】
<線材群及び線材の例>
図7は線材群の一例を説明するための図である。内外重ね型凸状線材群は、様々な形状に構成できる。
【0091】
図7(a)に示すように、一例として、線材群は、上図のように、上方視において(ループ面方向では)、C字形状ないしU字形状の線材を、大ループ線材のループ内に隙間を置いて小ループの線材を順次重ねる形状である。下図のように、側方視において(ループ面に略直交する方向では)、線材群は、大ループ線材の上(表側)に隙間を置いて小ループ線材が配列され、各線材が上下して配列されて、全体として上方(表側)に凸の凸状である。各線材の先端は前方下方に傾斜している。好ましくは、図示のように、各線材の先端401をつなぐ仮想線が曲線である。
【0092】
図7(b)に示すように、一例として、線材群は、上図のように、上方視において、肢402の後半が直線状の線材を、大ループ線材のループ内に隙間を置いて小ループ線材を順次重ねる形状である。下図の斜視図のように、線材群は、大ループ線材の上方(表側)に隙間を置いて小ループ線材が配列される形状で、上方に凸の凸状になっている。好ましくは、図示のように、各線材の先端401をつなぐ仮想線が曲線である。
【0093】
図7(c)に示すように、一例として、線材群は、上図のように、上方視において、ループが内外重ねて配列される。各線材は、先端が後方に凹む形状で、大ループ線材ほど先端が後方に位置する形状である。下図のように、側方視において、線材群は、大ループ線材の上方(表側)に隙間を置いて小ループ線材が配列される。各線材は、肢から先端にかけて下方に湾曲している。好ましくは、小ループ線材の先端が更に後方に湾曲して隣接のそれより大きいループの線材の内部に少なくとも一部が入り込んでいる。
【0094】
図7(d)に示すように、一例として、線材群は、上図のように、上方視において、ループが内外重ねて配列される。各線材は、先端が後方に凹む形状で、大ループ線材ほど先端が後方に位置する形状である。下図のように、側方視において、線材群は、大ループ線材の上方(表側)に隙間を置いて小ループ線材が配列される形状である。各線材は、肢から先端にかけて一旦一端上方に湾曲した後に下方に湾曲している。また、小ループ線材ほど下方に湾曲する部分が短く、前方への突出度合いが大きく、大ループ線材ほど下方に湾曲する部分が長く、前方への突出度合いが小さい。好ましくは、小ループ線材の先端401が更に後方に湾曲して隣接のそれより大きいループの線材の内部に少なくとも一部が入り込んでいる。
【0095】
図8は線材の例を説明するための図である。
図8(a)に示すように、一例として、線材4は、一端部403から出発して中央部分で折り返してC字形状のループを形成し、他端部403が一端部403と並ぶ位置に戻る形状である。
【0096】
図8(b)に示すように、一例として、線材4は、一端部403から出発してループを形成し、他端部403が一端部403と交差するようにして、他端部403が一端部403と並ぶ位置に戻る形状である。両肢402は、互いに交差している。
【0097】
図8(c)に示すように、一例として、線材4は、一端部403から出発して(表方向に)上昇しながら螺旋状の多重ループを形成し、他端部403がループの内部を通って一端部403と並ぶ位置に戻る形状である。
【0098】
図8(d)に示すように、一例として、線材4は、一端部403から出発して(表方向に)上昇しながら螺旋状の多重ループを形成した後、形成された多重ループを囲うように(裏方向に)下降しながら多重ループを形成し、他端部403が一端部403と並ぶ位置に戻る形状である。
【0099】
<保護具付き乗り物(保護具付きゴーカード)>
図9は本発明の一実施形態に係る保護具付き乗り物を示す図である。以下では、前述例と異なる点を主に説明し、同様な点は適宜省略する(以下各実施形態において同じ。)
【0100】
本実施形態では、乗り物本体は四輪車であり、保護具付き乗り物10は、例えば保護具付きゴーカート12である。保護具付きゴーカート12は、本体22と、本体22に取り付けられる保護具32とを含む。本体22の構成には、公知技術が適宜用いられ、ここでは詳細な説明を省略する。
【0101】
保護具付きゴーカート12は、複数の保護具32を含むことができ、例えば、前方保護具32a、後方保護具32b、側方保護具32cを含むことができる。保護具付きゴーカート12は、これらの保護具のうちのいずれか一の保護具または二以上の保護具を含む。保護具32は、弾性を有する線材4を含んで構成される。
【0102】
前方保護具32aは、ゴーカート本体22の前端部分に取り付けられる。一例として、図示のようにフロントカウル221に取り付けられてもよいし、フロアパネルの前端部分に取り付けられてもよい。ここでは、線材群における各線材は、先端が上方に位置し、両端部が下方に位置するように、フロントカウル221の上端面に取り付けられる。
【0103】
前方保護具32aは、略U字状ないしC字状の3本の線材(41a、42a、43a)を所定間隔で配列してなる線材群を含む。前方保護具32aの線材群は、ループが重ならないように各線材が横並びに配列される横並び型線材群である。なお、以下では、このような線材群を「横並び型線材群」と称する。
【0104】
より具体的には、ここでは、ループが最も大きい最大線材41aが中央に位置し、その両側にループが小さい小線材42a及び43aが並んでいる。線材42aと43aは同大でもよいし、大小異なってもよい。各線材は、両端部から先端にかけて斜め後方に湾曲しており、フロントパネル222よりも表側に位置して、本体の前方を囲うようになっている。
【0105】
好ましくは、小線材42a及び43aの先端がフロントパネル222ないしステアリング223と上下方向において略同じ位置にあり、最大線材41aの先端がステアリング223よりも高い位置にある。最大線材41aは、運転の邪魔にならないように、肢の先端に近い部分が折り返されて前方に湾曲し、側方視において全体として略S字状になっている。
【0106】
これにより、前方保護具32aは、複数の線材を含む線材群で面状(パネル状)に構成される。図示のように、フロントカウル221の形状に沿って取り付ければ、曲面状に構成される。線材群を構成する線材の数は、本体の大きさに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0107】
前方保護具32aは、ゴーカート本体22の前方に位置し、盾になって運転者及び接触者を保護する。前方保護具32aは、視野を遮らず、広い視野が確保できる。また、前方保護具32aは、風を受け止めることがなく、風切音を低減する。さらに、前方保護具32aは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0108】
後方保護具32bは、ゴーカート本体22の後端部分に取り付けられる。一例として、図示のようにリアバンパー224に取り付けられる。図示の後方保護具32bは、略U字状ないしC字状の1本の線材41bを含んで構成されるが、前述の例のように複数本の線材からなる線材群を含んで構成されてもよい。
【0109】
より具体的には、後方保護具32bは、線材41bが、先端が上方に位置し、両端部が下方に位置するように、リアバンパー224の上端に取り付けられる。線材41bは、両端部から先端にかけて斜め前方に湾曲して、本体の後方を囲うように構成される。好ましくは、線材41bは、シートよりも高い位置にあり、運転者に接触しないように、両肢の先端に近い部分が後方に湾曲して、側方視全体としてS字状になっている。
【0110】
後方保護具32bは、ゴーカート本体22の後方に位置し、盾になって運転者及び接触者を保護する。また、後方保護具32bは、風を受け止めることがなく、転倒のリスクを増加させることはない。さらに、後方保護具32bは、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0111】
側方保護具32cは、左右対称に2つ含まれ、ゴーカート本体22の左右側方にそれぞれ取り付けられる。側方保護具32cは、略U字状ないしC字状の2本の線材(41c、42c)を所定間隔で配列してなる、内外重ね型面状線材群を含む。
【0112】
より具体的には、各線材は、ループが内外重ねて配列され、大線材41cのループ内に小線材42cのループが包含されように配列される。また、ループ面に直交する方向では、各線材が略同じ位置に配列される。
【0113】
側方保護具32cの各線材は、先端が上方に位置し、両端部が下方に位置するように、サイドボックス225の上端面に両端部が取り付けられる。側方保護具32cは、シートの高さよりも高く、前方保護具32aと略同じ高に構成され、運転者の側方を囲うように構成される。線材群を構成する線材の数は、本体の大きさに応じて適宜設定できる。一例として、線材の数は、下限は例えば1本で、好ましくは2本であり、上限は例えば8本で、好ましくは6本である。
【0114】
側方保護具32cは、ゴーカート本体22の側方に位置し、盾になって運転者及び接触者を保護する。また、側方保護具32cは、風を受け止めることがなく、風切音を低減する。さらに、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0115】
<線材群及び線材の例>
図10は線材群の例を説明するための図である。内外重ね型面状線材群は、様々な形状に構成できる。
【0116】
図10(a)に示すように、線材群は、一例として、線材の両端部を、一端部403同士を所定間隔をおいてそれぞれ固定し、他端部403同士を所定間隔をおいてそれぞれ固定して構成する。
【0117】
図10(b)に示すように、線材群は、一例として、一端部403同士を溶着や接着、治具による固定等でまとめて固定し、複数の他端部403同士を溶着や接着、治具による固定等でまとめて固定する。なお、ここで、肢を湾曲ないし屈曲させれば、内外重ね型凸状線材群を構成できる。
【0118】
<保護具付き乗り物(保護具付き乗用車1)>
図11は本発明の一実施形態に係る保護具付き乗り物を示す図である。
【0119】
本実施形態では、乗り物本体は四輪車であり、保護具付き乗り物10は、例えば保護具付き乗用車13である。保護具付き乗用車13は、本体23と、本体23に取り付けられる保護具33とを含む。本体23の構成は、公知技術が適宜用いられ、ここでは詳細な説明を省略する。
【0120】
保護具付き乗用車13は、複数の保護具33を含むことができ、例えば、前方保護具33a、前輪前方保護具33b、側方保護具33c及び後輪前方保護具33dを含むことができる。保護具付き乗用車13は、これらの保護具のうちのいずれか一の保護具または二以上の保護具を含む。また、図示しないが、後方保護具を含んでもよい。保護具33は、弾性を有する線材4を含んで構成される。
【0121】
前方保護具33aは、本体23の前端部分に取り付けられる。前方保護具33aは、略U字状ないしC字状の2本の線材(41a、42a)からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、先端が上方に位置し、両端部が下方に位置するように、フロントバンパー231の前側ないし上側に両端部が取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて斜め後方に湾曲して、ボンネット232の外形に沿ってこれを前方から上方にかけて覆うようにその表側に配置される。
【0122】
前輪前方保護具33bは、左右対称に2つ含まれ、本体23の左右前輪233の前方にそれぞれ設けられる。前輪前方保護具33bは、略U字状ないしC字状の2本の線材(41b、42b)からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、フロントバンパー231の左(右)側に両端部が取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて斜め後方に湾曲して、フロントバンパー231及びフロントフェンダー234の外形に沿って本体を前方から側方にかけて覆うように表側に配置される。
【0123】
側方保護具33cは、左右対称に2つ含まれ、本体23の左右側にそれぞれ設けられる。側方保護具33cは、略U字状ないしC字状の3本の線材(41c、42c、43c)からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、ドア235の前側であって窓より下側に両端部が取り付けられる。各線材は、ドア235の外形に沿ってその側方を覆うように表側に配置される。
【0124】
後輪前方保護具33dは、左右対称に2つ含まれ、本体23の左右後輪236の前方にそれぞれ設けられる。後輪前方保護具33dは、略U字状ないしC字状の3本の線材(41d、42d、43d)からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、クォータパネル(リアフェンダー)237の前側に両端部が取り付けられる。各線材は、クォータパネル237の外形に沿ってこれを覆うように表側に配置される。
【0125】
各保護具33は、盾になって運転者及び接触者を保護する。また、空気抵抗を増加させることがなく、風切音を増加させることはない。さらに、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0126】
なお、前述の各保護具の線材群は、図示は一例であり、線材群の大きさや線材の数は、本体の大きさなどに応じて適宜設定できる。また、各保護具の線材群は、内外重ね型凸状線材群や横並び型線材群であってもよい。
【0127】
<保護具付き乗り物(保護具付き乗用車2)>
図12及び
図13は本発明の一実施形態に係る保護具付き乗り物を示す図である。本実施形態では、保護具30は、本体に装着される表フレーム50を介して本体20に装着される。以下では、四輪車を例に、このような保護具付き乗り物を説明する。
【0128】
図12に示すように、保護具付き乗用車14は、本体24と、本体24に装着される表フレーム51と、表フレーム51を介して本体24に取り付けられる保護具34とを含む。保護具付き乗用車14は、複数の保護具34を含むことができ、例えば、前方保護具34a、前輪保護具34b、側方保護具34c、後輪保護具34d及び後方保護具34eを含むことができる。保護具付き乗用車14は、これらの保護具のうちのいずれか一の保護具または二以上の保護具を含む。保護具34は、弾性を有する線材4を含んで構成される。
【0129】
図13(a)に示すように、本体24は、一例として、樹脂部材で形成されるモノコック構造の車体を有する。本体24の車体は、例えば卵形状を有する。本体24は、フロント部241と、リア部242と、ルーフ部243と、フロア部244と、ドア245と、前輪246と、後輪247を含む。一例として、フロント部241、リア部242及びルーフ部243は、一体に形成される。本体24には、公知技術が適宜用いられ、ここでは詳細な説明は省略する。
【0130】
図13(b)に示すように、表フレーム51は、本体24の車体に装着される。表フレーム51は、棒状の樹脂材や金属材などにより構成される。表フレーム51は、本体24の車体を縁取るように構成される。一例として、表フレーム51は、車体のフロント部241の左右側をそれぞれ縁取る一対の前方枠材511と、車体のリア部242の左右側をそれぞれ縁取る一対の後方枠材512と、車体のルーフ部243の左右側をそれぞれ縁取る一対の上方枠材513と、車体のフロア部244の左右側をそれぞれ縁取る一対の下方枠材514と、ドア245を縁取るドア枠材515とを含む。
【0131】
表フレーム51は、また、一対の前方枠材511の上端を連結する前方上端連結材5111と、一対の前方枠材511の下端を連結する前方下端連結材5112と、一対の前方枠材511の上下端の間の部分を連結する前方中間連結材5113とを含む。表フレーム51は、また、一対の後方枠材512の上端を連結する後方上端連結材5121と、一対の後方枠材512の下端を連結する後方下端連結材とを含む。表フレーム51は、また、一対の下方枠材514の後端を連結する下方後端連結材5141を含む。
【0132】
図13(c)に示すように、各保護具34は、表フレーム51に取り付けられる。また、表フレーム51自体も、車体への接触を低減し、衝撃を低減する役割を果たすことができる。
【0133】
図12に戻って、各保護具について詳細に説明する。
【0134】
前方保護具34aは、本体のフロント部241の前方に設けられる。前方保護具34aは、略U字状ないしC字状の4本の線材(41a、42a、43a、44a)からなる内外重ね型凸状線材群を含む。ここでは、線材群は、裏側から表側に前方上方に斜めに凸出する形状である。一例として、線材群における各線材は、先端が上方に位置し、両端部が下方に位置するように、前方下端連結材5112の上側に両端部が取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて斜め後方に湾曲して、フロント部を前方から囲うようにその表側に配置される。
【0135】
前輪保護具34bは、左右対称に2つ含まれ、前輪246の側方にそれぞれ設けられる。前輪保護具34bは、略U字状ないしC字状の3本の線材(41b、42b、43b)からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、前方枠材511の、前方下端連結材と前方中間連結材の間の部分に両端部が取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて斜め後方に湾曲して、前輪246を前方から側方にかけて囲うように表側に配置される。
【0136】
側方保護具34cは、左右対称に2つ含まれ、本体の左右側方にそれぞれ設けられる。側方保護具34cは、略U字状ないしC字状の3本の線材(41c、42c、43c)からなる横並び型線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、ドア枠材515の前側部分に両端部が取り付けられる。各線材は、ドア245の外形に沿ってその側方を囲うように表側に配置される。
【0137】
後輪保護具34dは、左右対称に2つ含まれ、後輪247の側方にそれぞれ設けられる。後輪保護具34dは、略U字状ないしC字状の3本の線材(41d、42d、43d)からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が前方に位置し、先端が後方に位置するように、後方枠材512の下半部分に両端部が取り付けられる。各線材は、両端部から先端にかけて斜め後方に湾曲ないし屈曲して、後輪の前方から側方にかけて囲うように表側に配置される。
【0138】
後方保護具34eは、本体のリア部242の後方に設けられる。後方保護具34eは、略U字状ないしC字状の複数の線材からなる内外重ね型面状線材群を含む。一例として、線材群における各線材は、両端部が下方に位置し、先端が上方に位置するように、後方下端連結材の上端に両端部が取り付けられる。各線材は、リア部242の後方を囲うように表側に配置される。
【0139】
各保護具34は、盾になって運転者及び接触者を保護する。また、風を受け止めることがなく、空気抵抗を増加させることはない。さらに、軽い、洗浄しやすい、製造しやすいなどの利点がある。
【0140】
なお、前述の各保護具の線材群は、図示は一例であり、線材群の大きさや線材の数は、本体の大きさなどに応じて適宜設定できる。また、各保護具の線材群は、他の類型の線材群に構成されてもよい。
【0141】
また、ここでは、オープンカーの様な形状でもよい。また、例えば、前方保護具34aや後方保護具34eのような保護具を天井部分に設けても良い。
【0142】
<線材止め部(線材固定(取付)構造)>
基本的にワイヤは、曲げなどの力が加わったときに、支えている部分(特に支えている部材の末端部付近)に応力が掛かり弾性疲労が発生することで、破損、破断することが多い。そのことから、支えている部分に弾性疲労が発生しない構造とすることが必要である。このような構造として、以下が考えられる。
1.支え部が徐々に屈曲する構造(例えば、軟らかい素材、ゴム材やプラスチック樹脂材などで支え部を構成する、ワイヤ自体を徐々に太くした支え部など)
2.ワイヤ支え部先端付近が、曲面に形成されワイヤに対し応力が一点に集中せず広い面で受ける構造(例えば支え部のワイヤに当たる内側部分の先端を曲面とする、柔軟性のある受け材を内側部に設けるなど)
3.支え、接合部分に曲げの発生を抑える構造
4.部材の傷や溶着による部材の劣化を防ぐ構造
以下では、これらが考慮されているが、個別に説明することは省略する。
【0143】
図14は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、
図14(a)は線材取付後、
図14(b)は線材取付け前を示す図である。
【0144】
線材止め部7は、受け部71と、止め具72とを含む。受け部71は、前述の本体の線材が取り付けられる部分、表フレームなどである。ここでは、受け部71は、板状のものを図示しているが、これに限定されず、適宜な形状であり得る。本実施形態では、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するように固定される。
【0145】
止め具72は、一例として、挟み板721及び挟み板722の2つの挟み板と、両挟み板を締結する締結部723とを含む。挟み板721及び挟み板722は、線材4の端部403を収容する収容部7211、7221を含む。収容部7211、7221は、例えば略半円形状など線材4の断面形状に応じた断面形状を有するは略半筒状である。収容部7211、7221の両側のサイド部7212、7222には、締結部723が設置される。締結部723は、例えば、ねじやボルト、ナット等の締結具である。なお、締結部723は、点溶接等でもよい。
【0146】
挟み板722は、受け部71と接続するための接続部7223を有する。接続部7223は、収容部7221の一端から延出した後、収容側である内側と反対側の外側に屈曲して略L字状に形成される。接続部7223の幅は収容部7221より狭く、両者の間には、略L字状の切欠きが形成される。接続部7223の受け部71への接続は、特に限定されず、公知の技術が適宜用いられる。
【0147】
図15は
図14の線材止め部の他の例を示す図である。保護具は、線材4の捩じれを防止するため、端部403を屈曲させて屈曲部411を設けることがある。この場合は、図示のように、挟み板721には収容部7211の一端から延出する延出部7213が設けられる。延出部7213は幅が収容部7211より狭く、両者の間には略L字状の切欠きが形成される。線材4の屈曲部411は、挟み板721の収容部7211と延出部7213とで形成されるL字状の切欠きと、挟み板722の収容部7221と接続部7223とで形成されるL字状の切欠きとに挟まれ、固定される。なお、線材の捩じれ防止は、端部403の一部を潰して略円形の断面形状を略楕円形や平坦面を有する形状とし、収容部7211、7221をこれに応じた断面形状とすることで実現してもよい。また、接続部付近の表面にブラスト仕上げや、ヘアライン仕上げなどの滑り止めをすることで、捩じれ防止を施しても良い。さらに、接着剤による接着を施しても良い。
【0148】
図16は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、
図16(a)は線材取付け後、
図16(b)は線材取付け前を示す図である。
【0149】
線材止め部7は、受け部71と、止め具73とを含む。受け部71は、孔部711を有する点が前述例と異なる。孔部711は、貫通孔が中央を貫通し、孔の周りの周壁部が断面視略テーパ状である。本実施形態では、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するように設けられる。
【0150】
止め具73は、一例として、孔部711を挿通するボルト部材731と、ボルト部材731の雄ねじ部と螺合するナット732と、ボルト部材731とナット732との間の座金733とを有する。
【0151】
ボルト部材731は、頭部に六角孔を有する。また、ボルト部材731の頭部の軸部に隣接する部分は断面視略テーパ状で、ボルト部材731が孔部711に挿入されると、このテーパ状の部分が孔部711の周壁部に当接する。ボルト部材731の軸部は外周面に雄ねじが設けられ、軸部の先端は縮径して細くなる形状である。また、ボルト部材731は軸部または頭部及び軸部の両方の中央を軸方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔の内周面に雌ねじが設けられる。線材4は端部403の外周面に雄ねじが設けられ、端部403の雄ねじとボルト部材731の内周面の雌ねじが螺合することで、線材4が受け部71に固定される。
【0152】
図17は
図16の線材止め部の他の例を示す図である。線材4は、例えば、炭素繊維強化樹脂で成形し、端部403の雄ねじを設ける部分を太く成形して補強してもよい。
【0153】
図18は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。線材止め部7は受け部71と、止め部74とを含む。本実施形態では、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するように設けられる。受け部71は、孔部711を有し、この孔部711に線材4の端部403を蝋付けなど溶着で止め部74を形成して固定する。
【0154】
図19は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は線材取付け前の受け部、(b)は線材取付け後を示す図である。
【0155】
図19(a)に示すように、受け部71は、表面から凹む溝部712を有し、溝部712の少なくとも一部の上方には屋根のように押え部713が設けられる。受け部71は、押え部713とその下方の溝部712によってその表面に空洞がトンネルのように形成される。線材4は、端部403がこの空洞に挿通されて固定される。線材4の端部403を空洞に挿通させることで、線材4は受け部71の表面に沿って延出(突出)するとともに、押え部713により押さえられ、固定される。
【0156】
図19(b)に示すように、端部403の中央部側を、端部403以外の部分が受け部71から直立するように折り曲げて略直角の屈曲部412を形成すれば、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するようになる。
【0157】
図26は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。ここでは、線材4は、受け部に回動可能に取り付けられる。
【0158】
図示のすように、前述と同様に、受け部71には押え部713と溝部712とで空洞が形成され、線材4の端部403がこの空洞に挿通される。線材4は、端部403よりも中央部側を、受け部71の表面に沿うように折り曲げて略直角の屈曲部413を形成し、さらに、屈曲部413よりも中央部側を、受け部71から直立するように折り曲げて略垂直の屈曲部414を形成して、受け部71から略垂直に延出(突出)するようになっている
【0159】
図26(a)に示す状態では、線材4は、端部403が押え部713と溝部712とで形成される空洞に挿通され、この空洞内で左右方向に回動可能になっている。端部403は空洞から抜き出せないようになっている。受け部71には、線材4の左右にそれぞれ第1ストッパ718及び第2ストッパ719が設けられている。
【0160】
図26(b)に示すように、線材4は、左方向に回動すると、屈曲部413が受け部71の表面ないし溝部712の上端角部に当たり、それ以上回動できない状態となる。このとき、第1ストッパ718で線材4をロックし、線材4をその位置に止めることができる。
【0161】
図26(c)に示すように、線材4を右回転させると、線材4は、第1ストッパ718から外れ、右方向に回動し、屈曲部414が受け部71の表面に当たり、それ以上回動できない状態となるとともに、第2ストッパ719が線材4をロックする。この状態で、線材4が前述の機能を果たすようになる。
【0162】
図示しないが、例えば、ラッチを用いて線材4の回動の段階的な位置設定を行っても良い。これにより、線材による保護機能を必要としないときには収納状態とするなど保護機能の付与と解除を容易に切替できる。
また、ここでは、受け部71に軸受け状にトンネル状の空洞部を設けたが、ヒンジや軸受けなどの回転機構を用いても良い。
例えば、線材群の先端同士がぶつかり合いそれ以上線材群同士が狭くならない構造としても良い。
【0163】
図27は本発明の一実施形態に係る線材取付構造を示す図である。ここでは、回動可能に装着され、先端付近が対峙する2組以上の線材を有し、これら線材同士が、先端付近が互いに接触することで回動が制限される例を説明する。
なお、図示では2組の線材群の例であるが、1本の線材からなる一組と1本の線材からなる他組でもよい。または、1本の線材の一組と複数の線材からなる他組でもよい。
一例として、図示のように、軸受け状の回転可能な部材である受け部71に線材群が取り付けられる。線材群同士は、先端付近が互いに対峙し、受け部71の回転により先端同士が互いに接触しまたは噛みあい、2組の間隔がそれ以上狭くならない(回転軸の回転を制御)様になる。なお、線材群の最外周の線材同士が対峙する例を図示しているが、複数の線材同士が接触しても良い。
【0164】
図20は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。線材止め部はインサート成形により形成できる。
図20(a)、
図20(b)、
図20(c)はそれぞれ一例を示す図である。線材止め部7は、線材4が直接受け部71にインサート成形されて設けられる。
【0165】
線材4は、端部403が折り曲げられた状態でインサート成形されて受け部71内で面状に延在し、ループ部分が受け部71に対して所定角度で突出して固定される。図示では、ループ部分が受け部71に対して略垂直に突出しているが、これに限定されず、保護具ないし保護具付き装着品(保護具付き容器)の全体構成に合わせて角度を設けて受け部71から突出するように形成できる。端部403は、
図20(a)に示すように略S字状折り曲げられてもよいし、L字形状や直線状などに折り曲げられてもよい。また、端部403と受け部71の接合部分に補助部714が設けられてよい。
【0166】
図20(b)に示すように、一例として、インサート成形により、1本の線材で2つのループ部分を形成できる。例えば、1本の線材を略U字状に折り曲げた後、さらに略U字状またはC字状等の形状に折り曲げて、両端部を一方で間隔を置いて固定し、中央部を他方で固定することで、その間に2つのループ部分を形成できる。
【0167】
図20(c)に示すように、金具75に端部403を取り付けてから、金具75とともに端部をインサート成形により受け部71内に固定してもよい。
【0168】
図21は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、
図21(a)は斜視図、
図21(b)はA―A線断面の例である。
【0169】
図21(a)に示すように、一例として、線材4は受け部71と一体成型されて形成される。線材4は、一例として、両端部がループ部分よりも線径(断面)が拡径(拡大)して形成される。ループ部分が先端では線径(断面)が細く(小さく)、基端に向かって徐々に太く(大きく)なってもよい。全体として、ループ部分の先端から線径(断面)を徐々に拡径(拡大)して形成されてもよい。
【0170】
図示のように、複数の線材を含む場合、隣接の線材同士を、両端部が上下、左右のいずれの方向でも隙間を有して、層をなすように形成することで、表方向に凸の窪み状の線材群を構成できる。受け部71には、好ましくは、装着部などに取り付けるための貫通孔715が設けられる。
【0171】
図21(b)に示すように、線材4の断面は、一例として円形である。または、楕円形に形成して、横方向の動きを制限できるようにし、斜めに傾きにくくしてもよい。または、対向する平面を有し、横幅が縦幅より大きい多角形に形成して、横方向の動きを制限できるようにし、斜めに傾きにくくしてもよい。
【0172】
図22は、
図21の線材止め部の他の例を示す図である。一例として、線材4は、強度を補強する補強部415を有し、補強部415を線材4本体と一体に形成されてもよい。例えば、図示のように、補強部415は、線材のループ部分から分岐し且つ両端がループ部分と交わるように形成される。
【0173】
図23は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。一例として、受け部71は円柱状で、軸方向に両端の端面中央を貫通する軸孔716を有する。線材4の両端部403は、受け部71の両端面にそれぞれ固定される。
【0174】
受け部71に3本のループが大小異なる線材を固定する例を説明する。受け部71は、両端面のそれぞれに周方向に沿って所定間隔で配置される3つの孔部711が設けられる。孔部711は外周縁と軸孔716の内周縁の間に開口し、軸方向に入り込んでいる。線材4は、ループの大きさの順に、両端部403が受け孔に挿入され、固定される。そうすると、図示のように表方向に凸の窪み状の線材群(内外重ね型凸状線材群)が構成される。
【0175】
図24は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。図示のように、一例として、受け部71は板状である。ループが大小異なる複数の線材4は、受け部71に、ループの大きさの順に固定され、隣接の線材同士の両端部がいずれの方向でも隙間を有するように固定される。そうすると、表方向に凸の窪み状の線材群(内外重ね型凸状線材群)が構成される。
【0176】
図25に示すように、一例として、複数の線材4は、板状の受け部71に横一列に並んで横並び状に固定される(横並び型線材群)。
【0177】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【解決手段】乗り物本体20と、前記乗り物本体に装着される保護具30と、を含む保護具付き乗り物であって、前記保護具は、ループ状の弾性を有する線材を含んで構成され、前記乗り物本体よりも表側に位置する保護具付き乗り物。前記線材は、略U字状またはC字状であること、前記保護具は、前記線材を複数含んで構成されることを特徴とする。