【実施例】
【0081】
研究1 ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュートによる著しい化学発光増強:検出とイメージングのための色変調を伴うターンオン型化学発光プローブ
実験例
基本事項。無水条件を必要とする反応はすべて、アルゴン雰囲気下で行った。特に明記しない限り、すべての反応はRT(室温)で行った。化学物質と溶媒は、分析試薬(A.R.)グレードであるか、標準の手法により精製されたものである。TLC:シリカゲルプレートMerck60 F254:UV光を照射して化合物を可視化した。フラッシュクロマトグラフィー(FC):シリカゲルMerck60(粒子サイズ0.040〜0.063mm)、溶出液は括弧内に示す。RP−HPLC:C18 5u、250×4.6mm、溶出液は括弧内に示す。調製用RP−HPLC:C18 5u、250×21mm、溶出液は括弧内に示す。
1H−NMRスペクトルは、400MHzで動作するBruker Avanceを用いて記録した。
13C−NMRスペクトルは、100MHzで動作するBruker Avanceを用いて記録した。化学シフトは、残留溶媒を基準にしてppm単位のδスケールで記録した(CDCl
3:
1H−NMRではδ=7.26、
13C−NMRでは77.16、DMSO−d
6:
1H−NMRではδ=2.50、
13C−NMRでは39.52)。質量スペクトルは、ウォーターズのXevo TQDで測定した。蛍光発光と化学発光は、モレキュラーデバイスのSpectramax i3xで記録した。マイクロプレートとマウスの画像は、バイオスペースラボのPhotonIMAGER(商標)で記録した。塩類、溶媒類を含むすべての試薬は、シグマアルドリッチから購入した。
【0082】
化合物1b。2−クロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(1a、2000mg、12.77mmol)を20mlのメタノールに溶かした。オルトギ酸トリメチル(2.24ml、20.44mmol)とテトラブチルアンモニウムトリブロミド(308mg、0.64mmol)を加えて、溶液をRTで撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、0.01MのNaHCO
3(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)により精製して、2460mgの無色の油を得た(収率95%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.22−7.17(m,2H),7.04−6.99(m,1H),5.82(s,1H),5.58(s,1H),3.37(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ151.65,135.87,127.58,119.90,119.13,116.42,101.03,53.77。MS(ES−):C
9H
11ClO
3のm/z計算値:202.0、測定値:201.1[M−H]
-。
【0083】
化合物1c。フェノール1b(2450mg、12.09mmol)とイミダゾール(1650mg、24.24mmol)を15mlのDCMに溶かした。TBSCl(2180mg、14.46mmol)を加えて、RTにて溶液を撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、白色沈殿物をろ過して取り除き、減圧下で溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 95:5)により精製して、3600mgの無色の油を得た(収率94%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.23(dd,J=7.8,1.5Hz,1H),7.14(t,J=7.9Hz,1H),6.88(dd,J=8.0,1.5Hz,1H),5.63(s,1H),3.37(s,6H),1.03(s,9H),0.22(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ151.81,137.01,126.74,125.01,120.62,120.50,101.29,53.93,25.81,18.48,−4.23。MS(ES+):C
15H
25ClO
3Siのm/z計算値:316.1、測定値:285.1[M−CH
3O
-]
+。
【0084】
化合物1d。アセタール1c(3500mg、11.04mmol)と亜リン酸トリメチル(1.7ml、14.41mmol)を30mlのDCMに溶かした。反応混合物を0℃まで冷却し、チタニウム(IV)クロリド(1.45ml、13.22mmol)を滴下により添加した。反応物をTLCでモニターした。完了後、0℃で溶液をNaHCO
3の飽和水溶液(130ml)に注いだ。10分間撹拌した後、100mlのDCMを加えて相を分離させた。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 40:60)により精製して、4010mgの無色の油を得た(収率92%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.27(dt,J=7.8,1.9Hz,1H),7.19(t,J=7.9Hz,1H),6.88(dt,J=7.9,1.6Hz,1H),5.19(d,J=15.7Hz,1H),3.78(d,J=10.6Hz,3H),3.64(d,J=10.5Hz,3H),3.35(s,3H),1.02(s,9H),0.22(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ151.71,134.03,127.28,126.10,121.89,120.48,77.30,75.60,58.83,53.81,25.77,18.46,−4.29。MS(ES+):C
16H
28ClO
5PSiのm/z計算値:394.1、測定値:395.3[M+H]
+。
【0085】
化合物1e。−78℃のアルゴン雰囲気下で、ホスホネート1d(3950mg、10.0mmol)を25mlの無水THFに溶かした。LDA(THF中2.0M、6ml、12mmol)を加えて、溶液を20分間撹拌した。20mlのTHFに2−アダマンタノン(2250mg、14.98mmol)を溶かした溶液を加えて、−78℃で15分間撹拌した後、反応物を放置してRTまで温めた。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(150ml)で希釈し、鹹水(150ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 95:5)により精製して、3560mgの白色固形物を得た(収率85%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.09(t,J=8.0Hz,1H),6.89−6.84(m,2H),3.30(s,3H),3.27(s,1H),2.05(s,1H),1.97−1.65(m,12H),1.04(s,9H),0.23(s,6H)。
13C NMR (100MHz,CDCl
3):δ151.98,140.24,136.20,130.69,126.69,126.58,124.93,120.30,56.98,39.28,39.14,38.74,37.32,32.96,29.70,28.58,28.43,25.86,18.54,−4.28。MS(ES+):C
24H
35ClO
2Siのm/z計算値:418.2、測定値:419.3[M+H]
+。
【0086】
化合物1f。化合物1e(3500mg、8.35mmol)を30mlのTHFに溶かした。テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1.0M、9.2ml、9.2mmol)を加えて、RTで溶液を撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(150ml)で希釈し、1MのHCl(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 85:15)により精製して、2420mgの白色固形物を得た(収率95%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.15(t,J=7.8Hz,1H),6.99(dd,J=8.2,1.3Hz,1H),6.83(dd,J=7.5,1.3Hz,1H),5.90(s,1H),3.31(s,3H),3.27(s,1H),2.10(s,1H),2.00−1.64(m,12H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ151.82,139.77,135.06,131.96,127.39,123.95,120.68,115.60,57.16,39.23,39.14,38.85,38.71,37.18,32.89,29.73,28.46,28.34。MS(ES−):C
18H
21ClO
2のm/z計算値:3
04.1、測定値:303.2[M−H]
-。
スキーム3:化合物1b〜1fの合成
【化12】
【0087】
化合物1g。フェノール1f(1500mg、4.92mmol)を5mlのDCMと10mlのキノリンに溶かした。アセトブロモ−α−D−ガラクトース(2430mg、5.91mmol)と炭酸銀(1760mg、6.38mmol)を加えて、溶液をRTで撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をDCM(120ml)で希釈した後、セライトでろ過した。ろ過液を1MのHCl(2×100ml)と鹹水(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 70:30)により精製して、2720mgの白色固形物を得た(収率87%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.17(d,J=5.1Hz,2H),7.01(t,J=4.5Hz,1H),5.59(t,J=9.2Hz,1H),5.47(dd,J=3.3,0.7Hz,1H),5.11(dd,J=10.5,3.4Hz,1H),4.98(dd,J=8.0,2.2Hz,1H),4.31−4.23(m,1H),4.20−4.13(m,1H),4.08−4.03(m,1H),3.33(s,1H),3.26(s,3H),2.19(s,3H),2.08(s,3H),2.07(s,3H),2.01(s,3H),2.00−1.66(m,13H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ170.51,170.39,170.32,169.57,152.99,139.74,136.42,131.54,127.08,126.82,125.32,118.07,100.97,71.24,70.77,68.32,66.95,61.45,57.45,57.07,39.29,39.19,38.84,38.68,37.19,32.88,29.78,28.46,28.30,20.99,20.80,20.73。MS(ES+):C
32H
39ClO
11のm/z計算値:634.2、測定値:635.3[M+H]
+。
【0088】
化合物1h。化合物1g(2000mg、3.15mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1440mg、5.67mmol)、(1,5−シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)ダイマー(42mg、0.063mmol)、およびBBBPY(34mg、0.127mmol)を、封管に入れた20mlの無水THFに溶かした。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、
1H−NMRでモニターした(7.48ppmと7.43ppmで2つの芳香族水素が出現、1gの芳香族水素が消滅)。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラム(Hex:EtOAc 65:35)に通して、2130mgの白色固形物を得た(収率89%)。さらに精製することなく、この白色固形物を次工程で使用した。
【0089】
化合物1j。アリールボロン酸エステル1h(2100mg、2.76mmol)、ベンジルブロミド1i(Jacobson et al., 1988)(950mg、3.04mmol)、および炭酸カリウム(950mg、6.87mmol)を20mlの無水1,4−ジオキサンに溶かした。アルゴンのバブリングにより溶液を十分に脱気した後、テトラキス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウム(0)(320mg、0.28mmol)を加えた。フラスコを密閉し、溶液を120℃で2時間撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 40:60)により精製して、950mgの白色固形物を得た(収率40%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.06(d,J=8.3Hz,2H),7.30(d,J=8.3Hz,2H),7.00(s,1H),6.82(s,1H),5.55(t,J=9.2Hz,1H),5.44(d,J=2.8Hz,1H),5.09(dd,J=10.5,3.4Hz,1H),4.94(dd,J=7.8,2.6Hz,1H),4.19−4.13(m,2H),4.06−3.96(m,3H),3.31(s,1H),3.24(s,3H),2.89(s,4H),2.17(s,3H),2.07(s,3H),2.02(s,3H),2.00(s,3H),1.98−1.63(m,13H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ170.42,170.34,170.24,169.54,169.38,161.73,152.93,147.95,138.59,136.73,136.51,131.10,129.31,127.73,127.52,123.57,123.50,118.93,100.88,71.18,70.66,68.28,66.89,61.37,57.52,57.14,41.58,39.17,39.09,38.82,38.61,37.13,32.99,32.94,29.74,29.69,28.38,28.28,25.77,24.93,24.67,20.96,20.75,20.69。MS(ES+):C
44H
48ClNO
15のm/z計算値:865.3、測定値:888.4[M+Na]
+。
スキーム4:化合物1g〜1kの合成
【化13】
【0090】
化合物1k。エノールエーテル1j(250mg、0.29mmol)と数ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をTLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 35:65)により精製して、238mgの白色固形物を得た(収率92%)。生成物をジアステレオマーの混合物として単離した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.06(d,J=7.9Hz,2H),7.75−7.67(m,1H),7.31(d,J=7.5Hz,2H),7.12−7.02(m,1H),5.59−5.49(m,1H),5.42(s,1H),5.
07(d,J=10.3Hz,1H),4.87(d,J=7.8Hz,1H),4.14−4.10(m,2H),4.08(s,2H),4.03−3.95(m,1H),3.22−3.10(m,3H),3.02−2.94(m,1H),2.88(s,4H),2.32−2.21(m,1H),2.15(s,3H),2.07−1.95(m,9H),1.93−1.53(m,12H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ170.32,170.22,170.11,169.41,169.32,161.66,153.87,147.63,139.21,133.92,131.12,129.29,128.62,123.61,120.10,111.81,100.95,96.42,71.28,70.54,68.32,68.22,66.84,66.79,61.31,61.23,49.75,41.75,36.60,33.84,33.73,33.64,32.67,32.31,31.63,31.52,26.21,26.00,25.75,22.70,20.90,20.68,20.62,14.17。MS(ES+):C
44H
48ClNO
17のm/z計算値:897.3、測定値:920.7[M+Na]
+。
【0091】
プローブ1。エノールエーテル1g(100mg、0.157mmol)と数ミリグラムのメチレンブルーを10mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をTLCでモニターした。完了後、減圧下で溶媒を濃縮させ、粗生成物をシリカゲルカラム(Hex:EtOAc 60:40)に通してメチレンブルーを除去した。溶媒を蒸発させ、生成物をMeOH(3ml)に溶かした。炭酸カリウム(87mg、0.63mmol)を加えて、RTで溶液を撹拌した。反応物をRP−HPLCでモニターした。RP−HPLC(水中ACN30〜100%、20分)により精製して、67mgの白色固形物を得た(収率85%)。生成物をジアステレオマーの混合物として単離した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.79(d,J=7.3Hz,1H),7.30(t,J=7.8Hz,1H),7.22(d,J=8.1Hz,1H),4.89−4.72(m,1H),4.34−4.19(m,5H),4.15−4.07(m,1H),3.91−3.77(m,3H),3.64(m,1H),3.20−3.04(m,3H),2.96(s,1H),2.28−2.17(m,1H),2.01−1.46(m,12H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ153.52,133.82,127.55,122.27,118.89,111.91,102.45,96.22,74.51,73.24,71.20,69.06,61.46,49.73,36.66,34.01,33.57,32.71,32.30,31.72,26.20,25.97,22.79,14.26。MS(ES−):C
24H
31ClO
9のm/z計算値:498.2、測定値:543.3[M+HCOO
-]
-。
スキーム5:プローブ1の合成
【化14】
【0092】
化合物2b。フルオレセインイソチオシアネート2a(150mg、0.385mmol)とN−Boc−エチレンジアミン(68mg、0.42mmol)を2mlのDMFに溶かした。Et
3Nを3滴加えて、RTで溶液を撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 25:75)により精製して、192mgのオレンジ色の固形物を得た(収率91%)。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ10.45−9.76(m,3H),8.21(s,1H),8.05(s,1H),7.74(d,J=6.4Hz,1H),7.18(d,J=8.2Hz,1H),6.95(s,1H),6.68(s,2
H),6.63−6.53(m,4H),3.48−3.35(m,2H),3.22−3.09(m,2H),1.38(s,9H)。
13C NMR(100MHz,DMSO):δ180.70,168.54,159.54,155.87,151.92,147.30,141.19,129.68,129.07,126.60,124.13,116.72,112.63,109.74,102.28,77.86,43.83,(エチレンジアミンリンカーの2つのピークは溶媒シグナルの下に隠れている),28.26。MS(ES+):C
28H
27N
3O
7Sのm/z計算値:549.2、測定値:550.3[M+H]
+。
【0093】
化合物2c。化合物2b(40mg、0.073mmol)を、TFAとDCMの1:1混合物(2ml)に溶かした。反応物をRTで撹拌しTLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で除去し、さらに精製することなく生成物を次工程で使用した。
スキーム6:化合物2b〜2cとプローブ2の合成
【化15】
【0094】
プローブ2。アミン官能基化フルオレセイン2c(41mg、0.073mmol)とNHSエステル1k(65.5mg、0.073mmol)を1mlのDMFに溶かした。フラスコをアルミホイルで覆って暗状態を保ち、Et
3Nを2滴加えた。反応物をRTで撹拌しRP−HPLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた黄色固形物を1.5mlのMeOHに溶かした。炭酸カリウム(40mg、0.29mmol)を加えて、糖アセテートの除去をRP−HPLCでモニターした。完了後、生成物をRP−HPLC(水中ACN30〜100%、20分)で精製して、57mgの黄色固形物を得た(収率74%)。生成物をジアステレオマーの混合物として単離した。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ10.33−9.85(m,3H),8.59(s,1H),8.22(d,J=1.7Hz,1H),8.16(s,1H),7.81(d,J=7.6Hz,2H),7.76−7.69(m,1H),7.45(s,1H),7.37−7.28(m,3H),7.17(d,J=8.3Hz,1H),6.67(d,J=2.3Hz,2H),6.63−6.52(m,4H),5.04−4.85(m,1H),4.21−3.94(m,5H=ベンジル一重項2H+糖部分3H、幅広のH
2Oピークの下),3.78−3.38(m,11H),3.08−2.99(m,3H),2.84(s,1H),2.32−2.16(m,1H),1.94−1.35(m,12H)。
13C NMR(100MHz,DMSO):δ180.74,168.45,166.56,159.48,153.62,153.38,151.88,147.29,143.99,141.15,140.26,132.33,132.03,129.77,129.31,129.01,128.49,127.54,126.57,125.51,124.07,118.17,118.03,117.87,116.88,112.57,111.51,109.72,102.23,101.05,100.38,95.27,75.59,73.54,70.22,70.13,67.97,60.13,59.74,51.43,49.22,43.57,38.46,35
.89,33.21,32.89,31.91,31.75,31.05,30.75,28.99,28.24,26.83,25.49,25.16。MS(ES−):C
55H
54ClN
3O
15Sのm/z計算値:1063.3、測定値:1062.7[M−H]
-。
【0095】
化合物3b。化合物3a(Karton-Lifshin et al., 2012)(180mg、0.30mmol)、N−Boc−エチレンジアミン(96mg、0.60mmol)、および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)(228mg、0.60mmol)を3mlのDMFに溶かした。トリエチルアミン(120μL、0.86mmol)を加えて、RTで反応混合物を撹拌した。反応物をRP−HPLC(水中ACN10〜90%、20分)でモニターした。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させた。5mlのH
2O、数滴のMeOH、および数滴のAcOHに粗生成物を溶かした。RP−HPLC(水中ACN10〜90%、20分)を用いた精製により、187mgの黄色固形物を得た(収率84%)。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ8.88(d,J=6.7Hz,4H),8.69(s,1H),8.33(s,2H),8.31−8.19(m,6H),7.53(d,J=16.2Hz,2H),6.96(s,1H),4.28(s,6H),3.35(dd,J=11.9,6.0Hz,2H),3.15(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),1.37(s,9H)。
13C NMR(100MHz,DMSO):δ165.45,157.39,155.83,152.51,145.25,135.09,128.47,126.54,124.30,124.06,123.69,77.75,46.97(エチレンジアミンリンカーの2つのピークは溶媒シグナルの下に隠れている),28.26(TFAシグナルは非表示)。MS(ES+):C
30H
35N
4O
4+(キノン形態)のm/z計算値:515.3、測定値:515.5。
【0096】
化合物3c。化合物3b(60mg、0.081mmol)を、TFAとDCMの1:1混合物(2ml)に溶かした。RTで反応物を撹拌し、RP−HPLC(水中ACN10〜90%、20分)でモニターした。完了後、溶媒を減圧下で除去し、さらに精製することなく生成物を次工程で使用した。
【0097】
プローブ3。アミン官能基化QCy3c(60mg、0.081mmol)とNHSエステル1k(72.5mg、0.081mmol)を1mlのDMFに溶かした。フラスコをアルミホイルで覆って暗状態を保ち、Et
3Nを2滴加えた。反応物をRTで撹拌しRP−HPLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた黄色固形物を1.5mlのMeOHに溶かした。炭酸カリウム(45mg、0.33mmol)を加えて、糖アセテートの除去をRP−HPLCでモニターした。完了後、生成物をRP−HPLC(水中ACN30〜100%、20分)で精製して、83mgの黄色固形物を得た(収率82%)。生成物をジアステレオマーの混合物として単離した。
1H NMR(400MHz,DMSO):δ8.88(d,J=6.7Hz,4H),8.77(s,1H),8.63(s,1H),8.34(s,2H),8.29−8.21(m,6H),7.81(d,J=7.9Hz,2H),7.53(d,J=16.2Hz,2H),7.44(s,1H),7.36−7.30(m,3H),5.04−4.88(m,1H),4.70−4.50(m,糖部分3H、幅広のH
2Oピークの下),4.28(s,6H),4.06(s,2H),3.72(d,J=2.7Hz,1H),3.65−3.37(m,10H),3.10−2.99(m,3H),2.83(s,1H),2.24(d,J=12.0Hz,1H),1.96−1.21(m,12H)。
13C NMR(100MHz,DMSO):δ166.40,165.56,157.25,152.45,145.25,144.02,140.35,135.01,132.47,132.03,128.54,128.46,127.54,126.62,125.49,124.35,124.03,123.67,117.95,117.82,111.55,101.01,100.31,95.30,75.56,73.58,70.2
5,67.98,60.14,49.22,46.99,40.53,35.91,33.21,32.90,31.93,31.78,31.06,30.75,25.52,25.17(TFAシグナルは非表示)。MS(ES+):C
57H
62ClN
4O
12+(キノン形態)のm/z計算値:1029.4、測定値:1029.8。
スキーム7:化合物3b〜3cとプローブ3の合成
【化16】
【0098】
インビボの評価。動物に対する手技はすべて、研究施設内の動物実験委員会が承認したテルアビブ大学サックラー医学部ガイドラインおよびプロトコルに従って行った。
【0099】
7週齢のBALB/c雌マウス(ハーランラボラトリーズ・イスラエル社、イスラエル国エルサレム)6匹にケタミン(100mg/kg)とキシラジン(12mg/kg)の混合物を皮下注射して麻酔した。次に、あらかじめPBS7.4中(β−ガラクトシダーゼの存在下または不存在下)で30分間インキュベートしたプローブ溶液50μLを、マウスに腹腔内注射または皮下注射した。非侵襲的な生体内生物発光イメージングシステム(Photon Imager、バイオスペースラボ、フランス国パリ)を用いて、最大15分間、マウスを画像化し化学発光をモニターした。Photo−Acquisitionソフトウェア(バイオスペースラボ)で画像を取得し、M3Visionソフトウェア(バイオスペースラボ)で解析した。
【0100】
光学イメージングは、他のイメージング様式(X線撮影、磁気共鳴画像法、超音波等)に勝る利点がいくつかある。NIR領域の蛍光分子プローブは空間分解能に優れ、他の波長よりも侵入深度が大きい。検出限界と生体組織のシグナル浸透を測定するには、インビボでのイメージングが必要とされる。インビトロの方法では、このようなデータを取得できない。この予備的実験では、最小数の動物を用いて実証実験の見地から新規プローブを評価する(Redy-Keisar et al., 2015b)。実験後、マウスを頸椎脱臼により安楽死させた。
【0101】
化学発光顕微鏡によるβ−ガラクトシダーゼ活性のイメージング。EMCCDカメラ(浜松C9100−13)を取り付けたオリンパスLV200倒立顕微鏡を用いて、化学発光画像を取得した。37℃で24時間、35mmガラス底ペトリ皿上でHEK293LacZ安定細胞(amsbioSC003)とHEK293−WT細胞(コントロール)を増殖させた。細胞培養液を、5μMのプローブ3を含有するMolecular Probes(登録商標)生細胞イメージング溶液に取り替えた。さらに37℃で20分間、細胞をインキュベートした。その後、20分間露光して画像を記録した。
【0102】
結果および考察
フルオロフォア繋留ジオキセタンプローブの設計と合成。スキーム8に、ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートの全体構造と活性化機構を示す。対象分析物によりトリガーが外れると、CIEEL機構が開始し、励起したベンゾエートから色素へとエネルギーが移動し、結果としてフルオロフォアが励起する。このようにして、高発光性種(フルオロフォア)から、この高発光性種の波長の発光が生じる。
【0103】
フルオロフォアをフェノール環にモジュール式に結合できる実用的な合成経路を開発することを追求した。ジオキセタンは通常、一重項酸素と二重結合の反応により作製される。一重項酸素の生成条件とフルオロフォアの存在は必ずしも両立しないことから、ジオキセタンの作製後にフルオロフォアを結合することを可能にする合成後期の機能付与化学が開発された。スキーム9に、(モデル酵素としての)β−ガラクトシダーゼによる活性化のために設計されたジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートの合成を示す。市販のアルデヒド1aをオルトギ酸トリメチルで保護してアセタール1bを得た後、さらにフェノール環をTBSClで保護して化合物1cを得た。化合物1cを亜リン酸トリメチルと反応させてホスホネート1dを生成し、ウィッティヒ・ホーナー反応により2−アダマンタノンを用いて濃縮して、エノールエーテル1eを得た。1eのTBS基による保護を除去してフェノール1fとし、ブロモ−ガラクトース誘導体でアルキル化して化合物1gを得た。1gに対するハートウィグ・宮浦C−Hホウ素化反応(Ishiyama et al., 2002)により1hのフェニルボロン酸エステルを得た後、鈴木カップリング反応によりベンジルブロミド1iとカップリングして化合物1jを得た。一重項酸素で1jを酸化して、NHS−エステル官能基化ジオキセタン1kを得た。このNHS−エステルは、様々なアミン官能基化色素と容易に反応して、ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲート1mを生成する。
スキーム8:ジオキセタン繋留フルオロフォアの化学発光活性化経路
【化17】
【0104】
スキーム9の合成戦略によって、β−ガラクトシダーゼ活性をモニターするため3種類の化学発光プローブ(プローブ1〜3、スキーム5〜7を参照)を調製した。プローブ2およびプローブ3は、蛍光発生色素のフルオレセイン、QCy(Karton-Lifshin et al.,
2011; Karton-Lifshin et al., 2012)がそれぞれ繋留されたジオキセタンで構成されている。プローブ1は、繋留色素のない基本的なSchaapジオキセタンである。β−ガラクトシダーゼの基質の切断後に放出されるフェノールのpKaを減少させるため、フェノール環に塩素置換基を導入した。このようなpKaであれば、生理的条件下でジオキセタンの化学励起経路が発生するはずである。
スキーム9:ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートの合成戦略
【化18】
【0105】
ジオキセタンと色素のコンジュゲートの光誘発分解。ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートを合成する作業中、予想外の現象に遭遇した。プローブ1は光に対して安定であるように見えたが、プローブ2とプローブ3は、通常の室内照明条件下で分解するようであった。通常の室内照明下で、各プローブの水溶液(PBS、pH7.4)の光安定性を測定した。RP−HPLCアッセイにより、光誘発性の分解を数時間かけてモニターした(
図2)。
【0106】
12時間にわたり、プローブ1は光の影響を受けなかった。プローブ3は、プローブ2より有意に高い光安定性を示した。光誘発性分解の半減期は、プローブ2が45分であったのに対し、プローブ3は約6時間であった。溶液を暗状態で維持した場合、どのプローブからも分解は観察されなかった。ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートで発生し得る光誘発性分解機構として、励起した色素からペルオキシ−ジオキセタン結合への
電子移動が関係している可能性がある(Wakimoto et al., 2015)。
図3は、発生し得る光誘発性分解機構を図解したものである。コンジュゲートIのフルオロフォアは、可視光により励起して励起種IIを形成する。励起したフルオロフォアのLUMOからO−Oペルオキシド結合の反結合性σ*軌道に電子が移動する結果、結合開裂が生じ、続いて、ジオキセタンが分解してベンゾエートIIIとアダマンタノンになる。プローブ2および3で光不安定性が観察されたことは、以前に報告されているジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートの合成方法よりも、我々の合成後期の機能付与戦略が有利であることを明確に示している。エノールエーテルを酸化してジオキセタンにする操作は、通常、光源と光増感剤を用いて酸素から生成される一重項酸素により行う。このような条件を、フルオロフォアをコンジュゲートした後に適用すれば、ジオキセタンの分解を招く可能性がある。ジオキセタンの調製後でなければフルオロフォアを結合できない合成後期の機能付与化学を用いることにより、光誘発性の分解を回避することができた。
【0107】
ジオキセタンと色素のコンジュゲート、ジオキセタンと色素の混合物でそれぞれ観察されるエネルギー移動。最初に、β−ガラクトシダーゼを用いた活性化時のエネルギー移動の効率について、ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートを、プローブ1と色素の1:1混合物と比較評価することにした。得られた化学発光放射スペクトルを
図4に示す。フルオレセインの場合、ジオキセタンと色素の混合物(
図4、パネルA)から波長470nm、535nmで2つの発光極大点が観察された。この2つの波長は、プローブ1の直接化学発光と、エネルギー移動の結果生じるフルオレセインの発光にそれぞれ対応する。他方、プローブ2(ジオキセタンとフルオレセインのコンジュゲート)は、β−ガラクトシダーゼによる活性化時に分解して、唯一、最大発光波長535nmの緑がかった光を発した(
図4、パネルB)。このプローブで観察された化学発光スペクトルは、同じプローブの蛍光スペクトル(点線)とほぼ同一である。このことは、フルオレセインアクセプターに完全にエネルギー移転したことを表す。Qcyの場合、ジオキセタンと色素の混合物では、最大波長470nmの青色発光のみ観察された(
図4、パネルC)。この発光は、プローブ1の直接化学発光に対応する。他方、プローブ3(QCyを繋留したジオキセタン)は、分解して、最大発光波長714nmのNIR光を発した(
図4、パネルD)。プローブ2で観察されたのと同様に、プローブ3の化学発光スペクトルも蛍光スペクトル(点線)とほぼ同一であることが分かった。上記の観察結果は、スキーム8で図解したエネルギー移動機構を明確に裏付けるものであり、ジオキセタンと色素の共有結合性コンジュゲートの有意性を適切に実証している。
【0108】
プローブ1、2および3の化学発光測定パラメータおよびβ−ガラクトシダーゼを検出・画像化する能力。次に、β−ガラクトシダーゼの存在下と不存在下での各プローブの光放射を、時間の関数として測定した。β−ガラクトシダーゼの存在下では、各プローブは、最初に最大までシグナルが上昇した後にゆるやかにゼロに低下するという典型的な化学発光動態プロファイルを示した(
図5、パネルA〜C)。β−ガラクトシダーゼの不存在下では、どのプローブも光放射が観察されなかった。
図5のパネルD〜Fは、各プローブから発せられた光子の総数を示す。プローブ1、2および3から得た化学発光測定パラメータの概要を表8に示す。
【0109】
プローブ2および3の化学発光量子収量(φ
CL)は、プローブ1の化学発光量子収量を既知標準として計算した(Edwards et al., 1994)。プローブ1と比べて、プローブ2および3は著しく高い光放射量を示した(プローブ2は114倍、プローブ3は27倍)。加えて、同一条件下においてプローブ2および3の方が光放射の半減期が長かった。
【表8】
【0110】
プローブ2は、励起したフルオレセイン種(蛍光量子収率90%の色素)と共にエネルギー移転が生じるので、他のプローブより鮮やかな化学発光を示した。そこで、プローブ2を選択し、プローブ2のβ−ガラクトシダーゼ検出能力を実証した(
図6)。様々な濃度のβ−ガラクトシダーゼと共にプローブをインキュベートし、1時間にわたり総化学発光量を収集した。酵素濃度と化学発光シグナル統合値の間に直線相関が観察され、酵素濃度を定量化することができた。検出限界(ブランクコントロール+3SD)を4.0×10
-3ユニット/mLと判定した。
【0111】
最初に、プローブ1をコントロールとして、プローブ2とプローブ3のβ−ガラクトシダーゼ活性画像化能力を水溶液(PBS、pH7.4)中で評価した(
図7A)。β−ガラクトシダーゼの不存在下では、どのプローブも化学発光はまったく観察されなかった。これに対し、この酵素の存在下では、プローブ1と比べて、プローブ2とプローブ3は著しく高い強度の光を発した(プローブ2は約100倍、プローブ3は約25倍、
図7B)。プローブ2とプローブ3を、その後のインビボの評価対象として選定した。注目すべきは、プローブ3がNIR領域内の光を発することである。NIR光子は有機組織に侵入するので、NIR領域の光はインビボイメージング用途に最適である(Weissleder, 2001; Gnaim and Shabat 2014; Kisin-Finfer et al., 2014; Redy-Keisar et al., 2014; Redy-Keisar et al., 2015a-b)。プローブ2とプローブ3をβ−ガラクトシダーゼと共にインキュベートしてから、マウスに皮下注射した。このような条件下で、両方のプローブから明瞭な化学発光画像が得られたが(
図7C)、プローブ3から得られたシグナル強度はプロープ2の6倍以上高かった(
図7D)。β−ガラクトシダーゼと共にプレインキュベートしていないプローブからは、化学発光シグナルはまったく得られなかった。
【0112】
プローブ2とプローブ3のインビボの化学発光シグナルをさらに比較するため、これらのプローブ(エクスビボにおいてβ−ガラクトシダーゼを伴ったインキュベートを行ったプローブと行っていないプローブ)を腹腔内経路でマウスに注射した。注目すべきは、プローブ3から強化学発光のインビボ画像が生成されたことである。これに対して、プローブ2は化学発光シグナルが観察されなかった(
図8)。上記の観察結果は、プローブ3の生成したNIR化学発光の方が、プローブ2の生成した緑色波長の化学発光よりもインビボイメージングにおいて有利であることを明確に実証している。
【0113】
Schaapのジオキセタンをインビボイメージングに用いた以前の例では(Cao et al., 2015; Cao et al., 2016; Liu and Mason, 2010)、化学発光シグナルを検出可能にする目的で界面活性剤−色素付加物(Emerald−IIエンハンサー)が注射液に添加された。インビボイメージングに多成分系を用いることは、特に動物を全身処置する場合、明白な限界がある。
図8に示した通り、β−ガラクトシダーゼを用いてエクスビボで活性化されマウスに腹腔内注射されたQCy繋留ジオキセタン(プローブ3)からは、鮮やかな画像が得られた。この時点で、ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートがインビボイメージング用のターンオン型化学発光プローブの働きをするという実証実験を行った
。次のステップで、プローブが癌、炎症等の実際の疾病事象を画像化する能力を調べることにした。次のステップでも、実際の内因性活性に基づくイメージングを実証するため、β−ガラクトシダーゼを内因的に過剰発現した細胞を画像化することを追求した。
【0114】
プローブ3と化学発光顕微鏡法を用いた細胞イメージング。細胞イメージングの確立した方法として蛍光顕微鏡法がよく知られているが、近年、生物発光顕微鏡法が新たに使われるようになった(Bauer, 2013)。また、計器類の改良によりオリンパスのLV200顕微鏡が開発された。この顕微鏡が出来たことで、発光プローブの場所を単一細胞解像度で識別し定量化する能力が大幅に向上した。従来は、唯一ルシフェリンが、ルシフェラーゼ遺伝子をトランスフェクトされた細胞を画像化するためのプローブとして実証されていた。LV200顕微鏡を用いることにより、β−ガラクトシダーゼが過剰発現した細胞に対するプローブ3の画像化能力を評価することを目指した。HEK293細胞(LacZをトランスフェクトされた細胞)とHEK293−WT細胞(コントロール)をプローブ3と共にインキュベートし、20x対物レンズ(NA0.75)を用いたLV200で画像化した(
図9)。プローブ3により、HEK293−LacZ細胞の化学発光画像を生成することができた(
図9、パネルb)。これに対し、HEK293−WT細胞からは化学発光シグナルはまったく観察されなかった(
図9、パネルd)。
【0115】
画質を向上させるため、HEK293−LacZ細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、0.1%Triton X−100で透過処理した。次に、この細胞をプローブ3と共にインキュベートし、60x対物レンズ(NA1.42)を用いた顕微鏡で画像化した。
図10(パネルa:透過光、パネルb:化学発光)から分かるように、細胞が可視化され明瞭な化学発光を示した。
【0116】
得られた画像の質はまだ高くはないが、我々の知る限りでは、ルシフェリンと関係しないターンオン型小分子プローブで化学発光細胞画像を生成したのは、これが最初である。このアプローチを採用すれば、プローブのトリガー基を適切な分析物応答性基質に置き換えることにより、細胞内の他の酵素反応性/化学反応性を画像化できるはずである。本研究で開発した合成戦略を使用すれば、様々な化学発光プローブを簡便に合成することができる。例えば、β−ガラクトース用トリガー基の代わりに適切なエステルトリガー基を組み込むことにより、リパーゼプローブやエステラーゼプローブを調製することができる。同様に、特定の短鎖ペプチドをトリガー基質として使用することにより、プロテアーゼプローブを合成することができる。もちろん、組み込みが困難な基質も中にはあるだろうが、直交保護基を用いることが合成上の難題の解決に役立つはずである。
【0117】
結論
要約すると、ターンオン型のフルオロフォア繋留ジオキセタン化学発光プローブを調製するための簡易かつ実用的な合成経路が開発された。この合成の有効性は、ハートウィグ・宮浦C−Hホウ素化反応およびその後の鈴木カップリングと酸化によりジオキセタンにすることによる、ジオキセタン前駆体に対する合成後期の機能付与に基づく。得られた中間体は、フルオロフォア−アミン誘導体とコンジュゲートする用意ができた、反応性のNHS−エステル−ジオキセタンで構成される。また、ジオキセタンとフルオロフォアのコンジュゲートが光誘発により分解する現象が報告された。この現象は、我々の合成方法の利点を強調するものである。フルオロフォアを繋留したジオキセタンプローブは、エネルギー移動機構を介する従来のジオキセタンプローブと比べて、化学発光放射が著しく増幅した。合成したプローブから、励起した繋留フルオロフォアの発光波長と一致する様々な色の光が生成された。我々の合成経路を用いて、β−ガラクトシダーゼによる活性化用に設計され、緑色蛍光色素(フルオレセイン)、NIR蛍光色素(QCy)とそれぞれコンジュゲートした、2つのフルオロフォア繋留ジオキセタンプローブを合成した。両プローブを、β−ガラクトシダーゼによる活性化の後に皮下注射したところ、どちらもインビボ
の化学発光画像を提供することができた。しかし、腹腔内注射の後に化学発光画像を観察できたのは、NIRプローブだけであった。Schaapのジオキセタン系化学発光プローブを用いて、いずれの添加剤も必要とせずにインビボ画像が生成されたのはこれが最初である。NIRプローブの方は、β−ガラクトシダーゼの内因性活性に基づく細胞を化学発光顕微鏡で画像化することもできた。このようなプローブを使用すれば、レポーター遺伝子、酵素、化学分析物をインビボで画像化することが可能であるといえる。ジオキセタンを繋留した構成要素に関する我々の開発した実用的な合成手法が、数多くの用途に適した様々な化学発光プローブの調製に役立つと期待している。
【0118】
研究2 非ルシフェリン系小分子プローブによる化学発光細胞イメージング:発光性種に及ぼす著しい置換基効果
実験例
基本事項。無水条件を必要とする反応はすべて、アルゴン雰囲気下で行った。特に明記しない限り、すべての反応はRT(室温)で行った。化学物質と溶媒は、A.R.グレードであるか、標準の手法により精製されたものである。TLC:シリカゲルプレートMerck60 F254:UV光を照射して化合物を可視化した。カラムクロマトグラフィー:シリカゲルMerck60(粒子サイズ0.040〜0.063mm)、溶出液は括弧内に示す。RP−HPLC:C18 5u、250×4.6mm、溶出液は括弧内に示す。調製用RP−HPLC:C18 5u、250×21mm、溶出液は括弧内に示す。
1H−NMRスペクトルは、400MHzで動作するBruker Avanceを用いて記録した。
13C−NMRスペクトルは、100MHzで動作するBruker Avanceを用いて記録した。化学シフトは、残留溶媒を基準にしてppm単位のδスケールで記録した(CDCl
3:
1H−NMRではδ=7.26、
13C−NMRでは77.16、DMSO−d
6:
1H−NMRではδ=2.50、
13C−NMRでは39.52)。質量スペクトルは、ウォーターズのXevoTQDで測定した。蛍光発光と化学発光は、モレキュラーデバイスのSpectramax i3xで記録した。発光量子収率は、浜松Quantaurus−QYで測定した。塩類、溶媒類を含むすべての試薬は、シグマアルドリッチから購入した。
【0119】
ベンゾエート5a。2−クロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(1a、312mg、2mmol)をMeOH(5mL)に溶かした。RTでオキソン(615mg、2mmol)とIn(OTf)
3(112mg、0.22mmol)を添加した。反応混合物を還流加熱しRP−HPLCでモニターした。反応の完了後、混合物をろ過し、ロータリーエバポレーターを使ってろ液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 30:70)で精製して、白色固形物のベンゾエート5aを得た(339mg、収率92%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.44(dd,J=7.5,1.8Hz,1H),7.24(t,J=7.5Hz,1H),7.18(dd,J=8.1,1.8Hz,1H),6.08(s,1H),3.93(s,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ166.11,152.59,130.27,127.87,123.60,119.74,52.82。MS(ES−):C
8H
7ClO
3のm/z計算値:186.0、測定値:185.0[M−H]
-。
スキーム10:ベンゾエート5aの合成
【化19】
【0120】
化合物4b。ベンゾエート4a(1.52g、10mmol)のEtOH(4mL)撹拌溶液を、1ポーションのI
2(1.02g、4mmol)に加えた。反応混合物を加熱還流させた後、HIO
3(352mg、2mmol)の水溶液(2mL)を加えた。混合物を1時間還流させた後、RTまで冷ました。ろ過により生成物を回収し水で洗浄して、白色固形物の化合物4bを得た(2.11g、収率76%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.75(d,J=8.2Hz,1H),7.47(d,J=1.9Hz,1H),7.24(dd,J=8.2,1.9Hz,1H),3.88(s,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ167.34,156.30,139.41,131.76,122.61,115.64,91.51,52.74。MS(ES−):C
8H
7ClIO
3のm/z計算値:277.9、測定値:276.9[M−H]
-。
【0121】
化合物4c。化合物4b(1.39g、5mmol)とTEMP(1.52μl、0.05mmol)の混合物のトルエン(100ml)溶液を100℃まで加熱した。次に、トルエン(50ml)に溶かしたSO
2Cl
2(404μl、5mmol)を滴下により添加した。混合物を100℃で1時間撹拌した。完了後、反応物をRTまで冷まし、ろ過により生成物を回収しトルエンで洗浄して、白色固形物の化合物4cを得た(1.12g、収率72%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.69(d,J=8.3Hz,1H),7.18(d,J=8.3Hz,1H),6.48(s,1H),3.92(s,3H).
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ165.57,152.17,137.40,130.52,124.47,118.97,88.07,52.98。MS(ES−):C
8H
6ClIO
3のm/z計算値:311.9、測定値:310.9[M−H]
-。
スキーム11:化合物4b、4cの合成
【化20】
【0122】
基本手順:ヨードフェノールとアクリル酸メチルのヘック反応(ベンゾエート6a、7a)。ヨードフェノール(1当量)、アクリル酸メチル(3当量)、およびEt
3N(4.2当量)を無水ACNに溶かした。次に、Pd(OAc)
2(0.05当量)とP(o−tol)
3(0.01当量)を加えた。フラスコを密閉し、溶液を120℃で撹拌した。反応物をTLC(Hex:EtOAc 80:20)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Clで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 85:15)で精製して、対応するフェノールアクリレートを得た。
【0123】
ベンゾエート6a。基本手順に従って化合物4b(200mg、0.72mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(130mg、収率77%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.90(d,J=16.2Hz,1H),7.46−7.34(m,3H),6.60(d,J=16.2Hz,1H),3.83(s,3H),3.78(s,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ165.66,149.22,130.74,130.17,129.11,127.97,125.27,123.11,121.36,119.82,52.99。MS(ES−):C
12H
12O
5のm/z計算値:236.1、測定値:235.1[M−H]
-。
【0124】
ベンゾエート7a。基本手順に従って化合物4c(200mg、0.64mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(115mg、収率67%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.91(d,J=16.2Hz,1H),7.38(d,J=8.2Hz,1H),7.33(d,J=8.2Hz,1H),6.57(d,J=16.2Hz,1H),3.87(d,J=0.5Hz,3H),3.71(s,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ167.51,165.49,151.22,142.50,138.57,130.25,126.93,126.60,123.18,122.04,52.95,52.19。MS(ES−):C
12H
11ClO
5のm/z計算値:270.0、測定値:269.1[M−H]
-。
スキーム12:ベンゾエート6a、7aの合成
【化21】
【0125】
基本手順:ヨードフェノールとアクリロニトリルのヘック反応(ベンゾエート8a、9a)。ヨードフェノール(1当量)、アクリロニトリル(3当量)、およびEt
3N(1.5当量)を無水ACNに溶かした。次に、Pd(OAc)
2(0.05当量)を加えてフラスコを密閉した。マイクロ波照射下で混合物を120℃まで加熱した。反応物をTLC(Hex:EtOAc 80:20)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Clで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)で精製して、対応するフェノールアクリレートを得た。
【0126】
ベンゾエート8a。基本手順に従って化合物4b(200mg、0.72mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(118mg、収率81%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.55(d,J=16.7Hz,1H),7.45(dd,J=8.1,1.5Hz,1H),7.42(d,1.5Hz 1H),7.32(d,J=8.1Hz,1H),6.27(d,J=16.7Hz,1H),3.87(s,3H).
13C NMR(101MHz,MeOD)δ165.04,155.39,144.50,131.48,127.72,123.59,118.79,117.04,115.07,96.86,50.13。MS(ES−):C
11H
9O
5のm/z計算値:203.1、測定値:202.1[M−H]
-。
【0127】
ベンゾエート9a。基本手順に従って化合物4c(200mg、0.64mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(1.04mg、収率69%)。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ7.69(d,J=16.8Hz,1H),7.49(d,J=8.2Hz,1H),7.28(d,J=8.2Hz,1H),6.41(d,J=16.8Hz,1H),3.90(s,1H).
13C NMR(101MHz,MeOD)δ166.15,152.77,145.25,132.97,126.46,125.62,121.47,120.67,118.23,99.40,52.00。MS(ES−):C
11H
8ClNO
3のm/z計算値:237.0、測定値:236.0[M−H]
-。
スキーム13:ベンゾエート8a、9aの合成
【化22】
【0128】
化合物4e。3−ヒドロキシベンズアルデヒドジメチルアセタール4d(Gopinath et al., 2002)(2580mg、15.36mmol)とイミダゾール(1568mg、23.04mmol)を15mlのDCMに溶かした。TBSCl(2764mg、18.42mmol)を加えて、溶液をRTで30分間撹拌し、TLCでモニターした。完了後、白色沈殿物をろ過して取り除き、減圧下で溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 95:5)で精製して、無色油状の化合物4eを得た(4070mg、収率94%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.26(t,J=7.8Hz,1H),7.04(d,J=7.6Hz,1H),6.94(t,J=2.0Hz,1H),6.80(dd,J=8.1,2.3Hz,1H),5.34(s,1H),3.32(s,6H),0.99(s,9H),0.20(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ155.73,139.71,129.30,120.22,119.85,118.58,102.94,52.74,25.81,18.32,−4.30。
【0129】
化合物4f。アセタール4e(4070mg、14.43mmol)と亜リン酸トリメチル(2.56ml、21.65mmol)を40mlのDCMに溶かした。反応混合物を0℃まで冷却し、チタニウム(IV)クロリド(2.38ml、21.65mmol)を滴下により添加した。反応物をTLCでモニターした。完了後、0℃で溶液をNaHCO
3の飽和水溶液(130ml)に注いだ。10分間撹拌した後、100mlのDCMを加えて相を分離させた。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 30:70)で精製して、無色油状の化合物4fを得た(3745mg、収率72%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.21(t,J=7.8Hz,1H),6.99(d,J=7.5Hz,1H),6.92(d,J=1.9Hz,1H),6.80(d,J=8.1Hz,1H),4.47(d,J=15.6Hz,1H),3.68(d,J=10.6Hz,3H),3.64(d,J=10.5Hz,3H),3.36(s,3H),0.96(s,9H),0.18(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ155.91,135.59,129.57,121.17,120.54,119.67,80.88,79.20,58.66,53.76,25.74,18.29,−4.39。MS(ES+):C
16H
29O
5PSiのm/z計算値:360.1、測定値:361.1[M+H]
+。
【0130】
化合物4g。−78℃のアルゴン雰囲気下で、ホスホネート4f(3745mg、10.38mmol)を25mlの無水THFに溶かした。LDA(THF中2.0M、6ml、12mmol)を加えて、溶液を20分間撹拌した。20mlのTHFに2−アダマンタノン(1863mg、12.46mmol)を溶かした溶液を加えて、−78℃で15分間撹拌した後、反応物を放置してRTまで温めた。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(150ml)で希釈し、鹹水(150ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 95:5)で精製して、無色油状の化合物4gを得た(3200mg、収率80%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.09(t,J=
8.0Hz,1H),6.89−6.84(m,2H),3.30(s,3H),3.27(s,1H),2.05(s,1H),1.97−1.65(m,12H),1.04(s,9H),0.23(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3):δ151.98,140.24,136.20,130.69,126.69,126.58,124.93,120.30,56.98,39.28,39.14,38.74,37.32,32.96,29.70,28.58,28.43,25.86,18.54,−4.28。MS(ES+):C
24H
35ClO
2Siのm/z計算値:418.2、測定値:419.3[M+H]
+。
【0131】
化合物4h。化合物4g(3200mg、8.3mmol)を30mlのTHFに溶かした。テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1.0M、9.2ml、9.2mmol)を加えて、RTで溶液を撹拌した。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(150ml)で希釈し、1MのHCl(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 85:15)で精製して、白色固体の化合物4hを得た(2130mg、収率95%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.21(t,J=7.8Hz,1H),6.88(d,J=7.5Hz,1H),6.82(s,1H),6.79−6.71(m,1H),5.30(s,1H),3.31(s,3H),3.23(s,1H),2.65(s,1H),2.04−1.69(m,12H)。
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ155.8,142.8,136.7,132.4,129.1,121.8,115.9,114.6,57.7,39.1,39.0,37.1,32.2,30.3,28.2ppm。MS(ES−):C
18H
22O
2のm/z計算値:270.2、測定値:269.3[M−H]
-。
【0132】
化合物4i。化合物4h(2130mg、7.9mmol)を150mlのトルエンに溶かし、0℃まで冷却した。N−ヨードスクシンイミド(1777mg、7.9mmol)をポーション単位で加えた。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応物を飽和Na
2S
2O
3でクエンチし、EtOAc(250ml)で希釈し、鹹水(200ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 85:15)で精製して、白色固体の化合物4iを得た(2439mg、収率78%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.62(dd,J=8.1,0.4Hz,1H),6.96(d,J=1.4Hz,1H),6.65(ddd,J=8.1,1.8,0.5Hz,1H),5.42(d,J=0.6Hz,1H),3.30(t,J=2.4Hz,3H),3.22(s,1H),2.63(s,1H),2.00−1.67(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ154.66,142.32,138.02,137.84,133.01,123.68,115.86,84.21,77.42,77.10,76.79,58.01,39.22,39.08,37.16,32.33,30.33,28.29。MS(ES−):C
18H
21IO
2のm/z計算値:396.1、測定値:395.1[M−H]
-。
スキーム14:化合物4e〜4iの合成
【化23】
【0133】
化合物4j。化合物1f(2420mg、7.9mmol)を150mlのトルエンに溶かし、0℃まで冷却した。N−ヨードスクシンイミド(1777mg、7.9mmol)をポーション単位で加えた。反応物をTLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)で精製して、白色固体の化合物4jを得た(1531mg、収率45%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.61(d,J=8.1Hz,1H),6.62(d,J=8.1Hz,1H),6.15(s,1H),3.30(s,3H),3.25(s,1H),2.09(s,1H),2.01−1.64(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ151.17,139.21,136.77,135.75,132.68,125.27,120.05,82.22,57.30,39.10,38.67,37.09,32.91,29.72,28.38。MS(ES−):C
18H
20ClIO
2のm/z計算値:430.0、測定値:429.3[M−H]
-。
スキーム15:化合物4jの合成
【化24】
【0134】
基本手順:ヨードフェノールとアクリル酸メチルのヘック反応(化合物6c、7c)。ヨードフェノール(1当量)、アクリル酸メチル(3当量)、およびEt
3N(1.5当量)を無水ACNに溶かした。次に、Pd(OAc)
2(0.05当量)とP(o−tol)
3(0.01当量)を加えた。フラスコを密閉し、溶液を120℃で撹拌した。反応物をTLC(Hex:EtOAc 80:20)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Clで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc
85:15)で精製して、対応するフェノールアクリレートを得た。
【0135】
化合物6c。基本手順に従って化合物4i(395mg、1mmol)を反応させた。淡黄色固体の生成物を得た(248mg、収率70%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.99(d,J=16.1Hz,1H),7.43(d,J=8.4Hz,1H),6.95−6.74(m,2H),6.74−6.45(m,2H),3.82(s,3H),3.33(s,3H),3.23(s,1H),2.70(s,1H),2.06−1.72(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ168.57,155.44,142.50,140.28,138.92,134.09,128.94,122.22,121.01,118.11,116.70,58.17,51.87,39.30,39.15,37.17,32.45,30.54,28.30。MS(ES−):C
22H
26O
4のm/z計算値:354.2、測定値:353.2[M−H]
-。
【0136】
化合物7c。基本手順に従って化合物4j(430mg、1mmol)を反応させた。淡黄色固体の生成物を得た(271mg、収率70%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.94(d,J=16.2Hz,1H),7.38(d,J=8.0Hz,1H),6.86(d,J=8.0Hz,1H),6.61(d,J=16.2Hz,1H),6.28(s,1H),3.84(s,3H),3.35(s,3H),3.27(d,J=4.9Hz,1H),2.12(s,1H),2.02−1.66(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ232.43,206.72,
173.51,167.74,150.65,139.23,136.60,132.96,126.80,123.82,123.70,121.97,121.54,119.77,95.27,57.41,51.86,39.19,38.89,37.09,32.95,32.03,29.78,28.37,24.44。MS(ES−):C
22H
25ClO
4のm/z計算値:388.14、測定値:387.4[M−H]
-。
スキーム16:化合物6c〜7cの合成
【化25】
【0137】
基本手順:ヨードフェノールとアクリロニトリルのヘック反応(化合物8c、9c)。ヨードフェノール(1当量)、アクリロニトリル(3当量)、およびEt
3N(1.5当量)を無水ACNに溶かした。次に、Pd(OAc)
2(0.05当量)を加えてフラスコを密閉した。マイクロ波照射下で混合物を120℃まで加熱した。反応物をTLC(Hex:EtOAc 80:20)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Clで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)で精製して、対応するフェノールアクリレートを得た。
【0138】
化合物8c。基本手順に従って化合物4i(200mg、0.5mmol)を反応させた。淡黄色固体の生成物を得た(129mg、収率80%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.81(s,1H),7.61(d,J=16.7Hz,1H),7.32(d,J=8.0Hz,1H),7.01(s,1H),6.89(d,J=7.9Hz,1H),6.22(d,J=16.7Hz,1H),3.39(s,3H),3.25(s,1H),2.73(s,1H),1.86(m,J,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ156.44,147.09,142.23,139.48,135.29,129.47,122.16,120.55,119.58,116.79,96.71,77.68,77.36,77.05,58.45,39.43,39.29,37.24,32.69,30.84,29.98,28.39。MS(ES−):C
21H
23NO
2のm/z計算値:321.17、測定値:320.2[M−H]
-。
【0139】
化合物9c。基本手順に従って化合物4j(200mg、0.45mmol)を反応させた。淡黄色固体の生成物を得た(77mg、収率48%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47(d,J=16.8Hz,1H),7.16(d,J=8.0Hz,1H),6.77(d,J=8.0Hz,1H),6.36(s,1H),6.07(d,J=16.8Hz,1H),3.20(s,3H),3.15(s,1H),1.99(s,1H),1.90−1.50(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ150.65,145.45,139.19,137.55,133.46,126.82,123.84,121.80,121.12,118.66,98.63,77.48,77.16,76.84,57.49,38.82,37.03,32.97,29.79,28.31。MS(ES−):C
21H
22ClNO
2のm/z計算値:355.13、測定値:354.3[M−H]
-。
スキーム17:化合物8c〜9cの合成
【化26】
【0140】
フェノール5b。エノールエーテル1f(100mg、0.3mmol)と数ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物を減圧下の蒸発により濃縮させた。粗生成物を調製用RP−HPLCで精製した(水中ACNのグラジエント)。白色固体の生成物を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.34(s,1H),7.38(d,J=7.2Hz,1H),7.27(t,J=7.9Hz,1H),7.08(dd,J=8.0,1.3Hz,1H),3.07(s,3H),2.85(s,1H),2.27(d,J=12.2Hz,1H),1.93(s,1H),1.72−1.05(m,11H)。
13C NMR(101MHz,DMSO)δ154.23,132.16,127.40,123.00,118.02,111.59,95.19,49.14,35.97,33.23,32.95,31.82,31.75,31.12,30.80,25.55,25.24。(101mg、収率92%)MS(ES+):C
18H
21ClO
4のm/z計算値:336.1、測定値:337.3[M+H]
+。
スキーム18:フェノール5bの合成
【化27】
【0141】
基本手順:ジオキセタンの形成(化合物6b〜9b)。エノールエーテルと数ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物を減圧下の蒸発により濃縮させた。粗生成物を調製用RP−HPLCで精製した(水中ACNのグラジエント)。
【0142】
フェノール6b。基本手順に従って化合物6c(90mg、0.25mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(70mg、収率71%)。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.54(s,1H),7.84(d,J=16.2Hz,1H),7.71(d,J=8.1Hz,1H),7.19(s,1H),6.96(s,1H),6.67(d,J=16.2Hz,1H),3.70(s,3H),3.10(s,3H),2.88(s,1H),1.82−1.38(m,10H),1.25(d,J=12.9Hz,1H),0.99(d,J=12.8Hz,1H)。
13C NMR(101MHz,DMSO)δ167.56,157.19,139.75,137.98,129.52,118.76,111.80,95.15,52.00,50.26,36.24,34.65,33.29,32.97,32.31,31.62,25.94,25.81。MS(ES−):C
22H
26O
6のm/z計算値:386.2、測定値:385.2[M−H]
-。
【0143】
フェノール7b。基本手順に従って化合物7c(60mg、0.15mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(20mg、収率31%)。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.14(s,1H),7.91(d,J=16.2Hz,1H),7.80(d,J=8.4Hz,1H),7.47(d,J=8.3Hz,1H),6.71(d,J=16.1Hz,1H),3.72(s,3H),3.09(s,3H),2.86(s,1H),2.22(d,J=12.2Hz,1H),1.79−1.27(m,12H)。
13C NMR(101MHz,DMSO)δ167.20,139.09,134.17,126.77,124.05,120.45,111.89,95.94,52.16,49.86,36.47,33.57,32.48,32.23,31.67,31.42,26.09,25.78。MS(ES−):C
22H
25ClO
6のm/z計算値:420.1、測定値:419.2[M−H]
-。
【0144】
フェノール8b。基本手順に従って化合物8c(100mg、0.31mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(55mg、収率50%)。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.76(s,1H),7.65(d,J=16.7Hz,2H),7.18(s,1H),7.02(s,1H),6.49(d,J=16.8Hz,1H),3.11(s,3H),2.89(s,1H),2.03(s,J=27.8,9.6 Hz,1H),1.85−1.40(m,10H),1.26(d,J=13.2Hz,1H),0.93(d,1H)。
13C NMR(101MHz,DMSO)δ172.34,156.84,146.10,138.37,129.68,119.63,111.58,97.96,95.01,55.30,50.14,36.07,34.49,33.12,32.82,32.15,31.45,25.78,25.64。MS(ES−):C
21H
23NO
4のm/z計算値:353.2、測定値:352.2[M−H]
-。
【0145】
フェノール9b。基本手順に従って化合物9c(120mg、0.35mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(52mg、収率38%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.70(d,J=8.1Hz,1H),7.60(d,J=16.8Hz,1H),7.42(d,J=8.3Hz,1H),6.61(d,J=5.4Hz,1H),6.23(d,J=16.8Hz,1H),3.21(s,3H),3.01(s,1H),2.01(s,1H),1.89−1.37(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ150.69,144.77,134.74,126.82,124.84,122.80,118.18,111.40,99.99,96.28,49.68,36.42,34.01,33.42,32.79,32.08,31.49,26.04,25.70。MS(ES−):C
21H
21ClNO
4のm/z計算値:387.1、測定値:386.2[M−H]
-。
スキーム19:フェノール6b〜9bの合成
【化28】
【0146】
化合物4l。化合物4k(Redy-Keisar et al., 2014)(1.0g、2.2mmol)とNaI(1.0g、6.7mmol)を2mLのACNに溶かし、0℃まで冷却した。
10分後、TMS−Cl(837μl、6.7mmol)を加えた。反応混合物をRTで30分間撹拌し、TLC(Hex:EtOAc 70:30)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Clで洗浄した。有機相を分離し、鹹水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 70:30)で精製して、白色固体の化合物4lを得た(1.08g、収率87%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.31(d,J=8.6Hz,2H),6.91(d,J=8.6Hz,2H),5.56−5.35(m,2H),5.09(dd,J=10.4,3.4Hz,1H),5.03(d,J=7.9Hz,1H),4.44(s,2H),4.25−4.02(m,1H),2.18(s,3H),2.04(s,6H),2.02(s,3H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ170.45,169.70,156.61,134.52,130.36,117.45,99.68,71.33,71.07,68.82,67.10,61.64,20.97,5.67。MS(ES−):C
21H
25IO
10のm/z計算値:564.1、測定値:587.2[M+Na]
+。
スキーム20:化合物4lの合成
【化29】
【0147】
S
N2、ベンジルエーテル形成の基本手順(化合物6d〜9d)。エノールエーテル(1当量)を1mLの乾燥DMFに溶かし、0℃まで冷却した。K
2CO
3(1.2当量)を添加し、溶液を0℃で10分間撹拌してから、化合物4l(1当量)を加えた。反応混合物をRTで30分間撹拌し、TLC(Hex:EtOAc 50:50)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、飽和NH
4Cl(100ml)で洗浄した。有機相を分離し、鹹水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 50:50)で精製した。
【0148】
化合物6d。基本手順に従って化合物6c(100mg、0.28mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(186mg、収率84%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.03(d,J=16.2Hz,1H),7.49(d,J=8.0Hz,1H),7.36(d,J=8.5Hz,2H),7.02(d,J=8.5 Hz,2H),6.94−6.88(m,J=7.5Hz,2H),6.52(d,J=16.1Hz,1H),5.53−5.43(m,2H),5.12(d,J=3.4Hz,1H),5.10(s,2H),5.05(d,J=7.9Hz,1H),4.26−4.04(m,4H),3.78(s,3H),3.25(s,3H),3.23(s,1H),2.63(s,1H),2.18(s,3H),2.08(d,J=5.6Hz,3H),2.06(s,3H),2.01(s,3H),1.99−1.69(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ170.48,170.36,170.25,169.52,168.06,157.08,156.79,142.95,139.90,139.03,133.59,131.46,129.00,128.38,122.85,122.32,118.09,117.13,113.32,99.72,71.11,70.91,69.82,68.66,66.92,61.41,58.03,51.70,39.28,39.11,37.15,32.41,30.46,28.27,20.83,20.76,20.69。MS(ES+):C
43H
50O
14のm/z計算値:790.3、測定値:813.6[M+Na]
+。
【0149】
化合物7d。基本手順に従って化合物7c(200mg、0.51mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(273mg、収率65%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.87(d,J=16.2Hz,1H),7.43−7.36(m,3H),7.03(d,J=8.0Hz,1H),6.97(d,J=8.6Hz,2H),6.41(d,J=16.2Hz,1H),5.42−5.40(m,J=3.7Hz,2H),5.03(d,1H),4.93−4.85(m,2H),4.21−4.09(m,4H),3.75(s,3H),3.26(s,3H),3.23(s,1H),2.09−1.62(m,24H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ170.42,170.32,170.15,169.47,167.12,157.24,153.68,139.43,138.86,138.19,132.43,131.01,130.45,130.11,129.81,129.64,127.87,125.13,119.89,116.99,99.62,75.62,72.79,71.06,70.85,68.67,66.96,61.44,60.42,57.26,51.83,39.20,38.64,37.05,32.94,29.70,28.35,20.76,20.70,14.23。MS(ES+):C
43H
49ClO
14のm/z計算値:824.3、測定値:847.7[M+Na]
+。
【0150】
化合物8d。基本手順に従って化合物8c(129mg、0.4mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(263mg、収率87%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.59(d,J=16.8Hz,1H),7.41(d,J=7.5Hz,1H),7.31(d,J=8.0Hz,2H),7.26−7.24(m,2H),7.05(d,J=8.4Hz,2H),6.05(d,J=16.8Hz,1H),5.11(m,J=8.7Hz,2H),4.85(d,J=7.6Hz,1H),3.98(s,1H),3.88−3.77(m,2H),3.62(dd,J=7.9,4.9Hz,2H),3.15(s,2H),2.96(s,1H),2.01(s,1H),1.83−1.12(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ170.65,170.55,170.41,169.73,157.34,157.22,146.30,142.93,140.22,134.44,131.06,130.35,129.53,128.81,122.57,122.05,119.49,117.42,113.33,99.81,96.85,71.33,71.08,70.23,68.84,67.13,61.63,58.31,39.46,39.29,37.30,32.65,30.69,29.95,28.42,20.95,20.88。MS(ES−):C
42H
47NO
12のm/z計算値:757.31、測定値:802.6[M+HCOO]
-。
【0151】
化合物9d。基本手順に従って化合物9c(77mg、0.22mmol)を反応させた。淡黄色固体の生成物を得た(160mg、収率90%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.32(d,J=16.8Hz,1H),7.19(d,J=8.5Hz,2H),7.16(d,J=8.1Hz,1H),6.92(d,J=8.0Hz,1H),6.87(d,J=8.6Hz,2H),5.73(d,J=16.8Hz,1H),5.37−5.26(m,2H),5.00−4.92(m,2H),4.81(d,J=6.5Hz,1H),4.09−3.89(m,4H),3.15(s,6H),3.10(s,1H),2.01(s,4H),1.93−1.45(m,21H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ170.43,170.33,170.17,169.53,157.42,153.30,144.91,139.31,139.20,132.99,130.58,130.44,130.13,130.01,128.87,128.01,124.52,118.11,117.23,99.64,98.22,75.72,71.09,70.86,68.65,66.95,61.42,57.40,39.21,39.04,38.65,37.02,33.01,
29.75,28.33,28.18,20.81,20.73,20.66。MS(ES−):C
42H
46ClNO
12のm/z計算値:791.27、測定値:836.8[M+HCOO]
-。
【0152】
プローブ5。スキーム9の化合物1gから、二重結合を脱酸素化しガラクトース部分からアセチル基を除去することにより合成した。
スキーム21:プローブ5の分子構造
【化30】
【0153】
アセテート脱保護とジオキセタン形成の基本手順(プローブ6〜9)。アセテートで保護された糖エノールエーテルをMeOH(3ml)に溶かした。炭酸カリウム(4.2当量)を加えて、RTで溶液を撹拌した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、鹹水(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。さらに、粗生成物を精製せずに反応させた。粗生成物と数ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物を減圧下の蒸発により濃縮させた。粗生成物を調製用RP−HPLCで精製した(水中ACNのグラジエント)。
【0154】
プローブ6。基本手順に従って化合物6d(133mg、0.22mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(64mg、収率63%)。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ8.01(d,J=16.2Hz,1H),7.66(d,J=7.9Hz,1H),7.33(d,J=8.1Hz,2H),7.08(d,J=8.3Hz,2H),6.58(d,J=16.2Hz,1H),5.24(s,2H),4.81(d,J=7.9Hz,1H),3.87(d,J=3.3Hz,1H),3.81−3.68(m,4H),3.67−3.59(m,1H),3.54(dd,J=9.7,3.3Hz,1H),3.12(s,3H),2.89(s,1H),1.80−1.38(m,12H)。
13C NMR(101MHz,MeOD)δ169.27,139.28,138.05,128.32,119.56,116.61,111.59,101.62,95.28,75.56,73.49,70.85,69.63,68.78,60.97,48.89,35.99,34.35,33.18,32.62,31.91,31.72,31.25,26.14,25.87。MS(ES−):C
34H
40O
12のm/z計算値:654.3、測定値:653.4[M−H]
-。
【0155】
プローブ7。基本手順に従って化合物7d(273mg、0.33mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(90mg、収率40%)。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ7.87(d,J=8.4Hz,1H),7.83(d,J=16.3Hz,1H),7.74(d,J=8.4Hz,1H),7.33(d,J=8.5Hz,2H),7.09(d,J=8.4Hz,2H),6.55(d,J=16.2Hz,1H),4.93(s,2H),4.83(d,J=8.4Hz,1H),3.90(d,J=3.3Hz,1H),3.82−3.77(m,4H),3.77−3.73(m,2H),3.72−3.65(m,1H),3.57(dd,J=9.7,3.4Hz,1H),3.17(s,3H),2.95(s,1H),1.97(s,1H),1.88−1.35(m,12H)。
13C NMR(101MHz,MeOD)δ167.22
,158.35,138.22,131.78,130.48,129.58,128.64,125.19,120.57,116.45,101.57,95.86,75.83,75.64,73.50,70.89,68.87,61.07,51.12,48.65,48.31,36.26,33.71,32.26,31.82,31.57,31.31,26.33,25.96。MS(ES+):C
35H
41ClO
12のm/z計算値:688.2、測定値:711.5[M+Na]
+。
【0156】
プローブ8。基本手順に従って化合物8d(130mg、0.17mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(69mg、収率65%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.56(d,J=16.8Hz,1H),7.40(d,J=7.9Hz,1H),7.28(d,J=7.9Hz,2H),7.21(br,1H),7.07(d,J=7.0Hz,2H),6.01(d,J=16.8Hz,1H),5.02(dd,J=22.2,11.2Hz,2H),4.90(s,1H),4.21−3.66(m,10H),3.15(s,3H),2.98(s,1H),2.06(s,1H),1.86−1.40(m,10H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ157.56,145.99,139.54,130.22,129.73,128.92,119.11,117.39,111.89,101.55,98.18,95.91,74.65,73.60,71.25,70.73,61.59,50.29,36.52,35.03,33.47,32.51,31.95,31.76,26.21,26.06。MS(ES−):C
34H
39NO
10のm/z計算値:621.3、測定値:644.4[M+Na]
+。
【0157】
プローブ9。基本手順に従って化合物9d(160mg、0.2mmol)を反応させた。白色固体の生成物を得た(61mg、収率46%)。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ7.86(d,J=8.3Hz,1H),7.66(d,J=8.4Hz,1H),7.45(d,J=16.9Hz,1H),7.26(d,J=8.4Hz,2H),7.10(d,J=8.4Hz,2H),6.17(d,J=16.8Hz,1H),4.98(s,2H),3.90(d,J=3.1Hz,1H),3.84−3.63(m,10H),3.58(dd,J=9.6,3.1Hz,1H),3.17(s,3H),2.95(s,1H),2.36(d,J12.4Hz,1H),1.94(s,1H),1.87−1.45(m,10H)。
13C NMR(101MHz,MeOD)δ156.95,142.68,134.37,129.90,129.08,127.72,127.11,123.05,116.09,115.07,109.88,100.02,97.64,94.30,74.29,74.10,71.92,69.34,67.33,59.54,47.13,46.75,46.54,46.33,46.11,45.90,45.69,45.48,34.68,32.16,32.01,30.76,30.24,30.02,29.74,24.76,24.39。MS(ES+):C
34H
38ClNO
10のm/z計算値:655.2、測定値:700.5[M+HCOO]
-。
【0158】
化合物10a。エノールエーテル6c(500mg、1.41mmol)とトリエチルアミン(0.49ml、3.5mmol)を5mlのDCMに溶かし、0℃まで冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.29ml、1.7mmol)を加えた。反応混合物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をDCM(100ml)で希釈し、鹹水(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)で精製して、黄色油状の化合物7aを得た(562mg、収率82%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.86(d,J=16.0Hz,1H),7.67(d,J=8.1Hz,1H),7.37(dd,J=8.1,1.1Hz,1H),7.31(d,J=1.4Hz,1H),6.51(d,J=16.0Hz,1H),3.83(s,3H),3.
32(s,3H),3.25(s,1H),2.69(s,1H),2.02−1.74(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ166.44,147.46,141.38,139.76,135.98,135.85,129.08,127.75,126.42,122.66,121.60,58.27,51.96,39.06,38.98,36.90,32.30,31.55,30.54,28.05,22.61,14.07。
19F NMR(376MHz,CDCl
3)δ−73.69。MS(ES+):C
23H
25F
3O
6Sのm/z計算値:486.1、測定値:489.3[M+H]
+。
スキーム22:化合物6d〜9dとプローブ6〜9の合成
【化31】
【0159】
化合物10b。化合物10a(562mg、1.16mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(589mg、2.32mmol)、酢酸カリウム(341mg、3.48mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(170mg、0.23mmol)を20mlの乾燥ジオキサンに溶かし、アルゴン下において120℃で撹拌した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、鹹水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 70:30)で精製して、黄色油状の化合物10bを得た(441mg、収率82%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.53(d,J=16.0Hz,1H),7.77(d,J=1.7Hz,1H),7.66(d,J=8.1Hz,1H),7.37(dd,J=8.1,1.6Hz,1H),6.39(d,J=16.0Hz,1H),3.80(s,3H),3.29(s,3H),3.25(s,1H),2.63(s,1H),2.01−1.75(m,12H),1.38(s,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ167.83,145.63,143.09,139.00,136.84,136.38,133.18,131.96,125.41,118.30,84.28,58.11,51.70,39.21,39.15,37.27,32.38,31.69,30.39,29.80,28.36,24.93,22.76,14.24。MS(ES+):C
28H
35O
7Pのm/z計算値:464.3、測定値:465.4[M+H]
+。
【0160】
プローブ10。ボラン10b(441mg、0.95mmol)、NaOH(114mg、2.8mmol)を5mlのTHF:H
2O溶液(4:1)に溶かした。反応混合物を40℃で一晩撹拌しRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、0.5M HCl飽和溶液(100ml)で洗浄した。有機相を分離し、鹹水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗残留物と数
ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で濃縮させ、生成物を調製用RP−HPLCで精製した(水中ACNのグラジエント)。白色固体の生成物を得た(201mg、収率47%)。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ8.53(d,J=16.0Hz,1H),7.81(d,J=8.1Hz,1H),6.41(d,J=16.0Hz,1H),3.11(s,3H),2.92(s,1H),2.00(s,1H),1.87−1.48(m,12H),1.32(s,12H)。
13C NMR(101MHz,MeOD)δ169.03,144.93,141.56,135.21,125.64,120.20,111.64,95.07,84.36,74.54,48.93,36.04,34.43,33.27,32.61,31.94,31.76,31.27,29.46,26.18,26.00,24.85,23.98,23.84,23.72。MS(ES−):C
27H
35BO
7のm/z計算値:482.30、測定値:399.2[M−pinacol]
-。
スキーム23:化合物10a〜10bとプローブ10の合成
【化32】
【0161】
化合物11a。エノールエーテル6c(200mg、0.56mmol)を2mlのDCMに溶かし、DMAP(136mg、1.12mmol)を加えて、溶液をRTで撹拌した。亜リン酸トリアリル(0.25ml、1.23mmol)を2mlのDCMに溶かし、0℃まで冷却した。ヨウ素(284mg、1.12mmol)を加え、反応物を撹拌して均質にした。ヨウ素溶液をピペットでフェノール液に移した。反応物をTLCでモニターした。完了後、反応混合物をDCM(100ml)で希釈し、鹹水(100ml)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。カラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 70:30)で精製して、黄色油状の化合物11aを得た(162mg、収率56%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.96(d,J=16.1Hz,1H),7.57(d,J=8.1Hz,1H),7.41−7.34(m,1H),7.17(d,J=8.1Hz,1H),6.47(d,J=16.1Hz,1H),6.05−5.86(m,2H),5.38(dd,J=17.1,1.4Hz,2H),5.33−5.22(m,2H),4.77−4.63(m,4H),3.81(s,3H),3.33(s,3H),3.24(s,1H),2.70(s,1H),2.03−1.75(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ167.25,149.04,142.23,139.25,138.13,134.45,131.97,127.48,126.09,124.95,121.20,119.41,118.89,69.12,58.16,51.78,39.18,39.05,37.09,32.33,30.48,28.20。
31P NMR(162MHz,CDCl
3)δ−5.79。MS(ES+):C
28H
35O
7Pのm/z計算値:514.2、測定値:537.3[M+Na]
+。
【0162】
プローブ11。ホスフェート11a(166mg、0.3mmol)を1mlのACNに溶かした。ピロリジン(0.153ml、1.86mmol)、トリフェニルホスフィ
ン(16mg、0.06mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(17mg、0.015mmol)を加えて、溶液をRTで撹拌した。完了後、沈殿剤をろ過し、ACNで3回洗浄して、黄みがかった固形物を得た。粗固体とNaOH(30mg、0.76mmol)を2mlのTHF:H
2O溶液(4:1)に溶かした。反応混合物を40℃で一晩撹拌しRP−HPLCでモニターした。完了後、反応混合物を1M HCl
(aq)で中和し、減圧下で溶媒を蒸発させた。粗残留物と数ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をRP−HPLCでモニターした。完了後、溶媒を減圧下で濃縮させ、生成物をRP−HPLC(10−75%ACN、5mM炭酸アンモニウム緩衝液、20分)で精製して、白色固体のプローブ11(41mg、収率35%)を得た。
31P NMR(162MHz,D
2O)δ−2.11。MS(ES−):C
21H
25O
9Pのm/z計算値:452.1、測定値:451.2[M−H]
-。
スキーム24:化合物11aとプローブ11の合成
【化33】
【0163】
化合物12a。化合物4m(Redy-Keisar et al., 2014)(184mg、0.5mmol)、化合物6c(177mg、0.5mmol)、およびトリフェニルホスフィン(157mg、0.6mmol)の3mL THF溶液の冷却混合物に、0℃でアゾジカルボン酸ジエチル(95μl、0.6mmol)を加えた。反応物をTLC(Hex:EtOAc 80:20)でモニターした。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Clで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)で精製して、淡黄色固体の化合物12aを得た(274mg、収率78%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.46(d,J=2.2Hz,1H),8.36(dd,J=8.7,2.2Hz,1H),8.02(d,J=16.2Hz,1H),7.71(d,J=8.7Hz,1H),7.52(d,J=7.9Hz,1H),7.45(d,J=8.4Hz,2H),7.29−7.20(m,2H),6.95(m,2H),6.52(d,J=16.1Hz,1H),5.15(s,2H),3.80(s,3H),3.45(s,3H),3.29(s,3H),3.25(s,1H),2.66(s,1H),1.99−1.76(m,12H)。
13C NMR(101MHz,CDCl3)δ168.00,157.02,149.96,148.45,142.96,139.73,139.39,139.29,137.42,136.69,133.88,133.68,128.75,128.47,127.97,125.78,122.96,122.74,119.50,118.36,113.22,69.66,58.14,53.54,51.78,39.94,39.37,39.18,37.20,32.54,31.71,30.56,29.82,28.34,22.77,14.32,14.23。MS(ES+):C
36H
37N
3O
10Sのm/z計算値:703.22、測定値:
726.4[M+Na]
+。
【0164】
プローブ12。化合物12a(274mg、0.39mmol)と数ミリグラムのメチレンブルーを20mlのDCMに溶かした。黄色光を照射しながら溶液を酸素で通気した。反応物をTLC(Hex:EtOAc 80:20)でモニターした。完了後、反応混合物を減圧下の蒸発により濃縮させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 80:20)で精製して、プローブ12を得た(255mg、収率89%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.46(d,J=2.0Hz,1H),8.38(dd,J=8.6,2.1Hz,1H),8.03(d,J=16.2Hz,1H),7.72(d,J=8.7Hz,1H),7.60(d,J=7.9Hz,1H),7.47(d,J=8.2Hz,3H),7.28(d,J=7.4Hz,3H),6.56(d,J=16.2Hz,1H),3.81(s,3H),3.45(s,4H),3.20(s,2H),3.02(s,1H),2.10(s,1H),1.91−1.36(m,16H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δ167.70,156.96,149.98,148.45,139.48,139.18,138.50,137.11,136.60,133.67,128.73,127.97,125.83,124.80,119.70,119.53,111.84,95.78,69.91,51.89,50.12,39.88,36.43,34.90,33.41,33.30,32.43,31.83,31.70,31.64,29.81,26.10,26.00,22.77,14.23。MS(ES+):C
36H
37N
3O
12Sのm/z計算値:735.21、測定値:758.5[M+Na]
+。
スキーム25:化合物12aとプローブ12の合成
【化34】
【0165】
化学発光顕微鏡によるβ−ガラクトシダーゼ活性のイメージング
EMCCDカメラ(浜松C9100−13)を取り付けたオリンパスLV200倒立顕微鏡を用いて、化学発光画像を取得した。37℃で24時間、35mmガラス底ペトリ皿上でHEK293LacZ安定細胞(amsbio SC003)とHEK293−WT細胞(コントロール)を増殖させた。細胞培養液を、5μMのプローブ4を含有するMolecular Probes(登録商標)生細胞イメージング溶液に取り替え、さらに37℃で20分間、細胞をインキュベートした。その後、40秒間露光して画像を記録した。
【0166】
結果および考察
本研究では、Schappのアダマンチリデン−ジオキセタンプローブ(スキーム1)に基づく化学発光プローブを設計し合成した。この化学発光プローブは、フェノレート供与体をフェノール環のオルト位においてアクリル酸メチル、アクリロニトリル等のπ*アクセプター基、すなわち電子受容体または電子求引基で置換しており、さらにフェノール環の別
のオルト位において塩素で置換してもよい。Karton-Lifshin et al. (2012) の教示を基に、上記のような供与体−受容体ペア設計がベンゾエート種の発光性を高める可能性があると仮定した。我々が知る限りでは、生理的に適切なpHを対象に、電子アクセプター置換基がジオキセタン化学発光プローブの芳香族部分に及ぼす影響が調査されたことは以前に一度もない(Hagiwara et al., 2013; Matsumoto et al., 1996; Matsumoto et al., 2001; Matsumoto et al., 2002; Matsumoto et al., 2005)。
【0167】
上記の置換基効果を評価するため、フェノールのオルト位とパラ位にアクセプター置換基を有する多くのフェノール−ベンゾエート誘導体を合成し、PBS7.4における蛍光発光を測定した。フェノールのオルト位にアクセプターを取り込んだ場合に最も有意な効果が得られた。電子求引基を広範にスクリーニングした後、置換基として塩素、アクリル酸メチル、およびアクリロニトリルに焦点を置くことを選択した。生理的条件下で化学励起機構を有効にする目的で、フェノール環のオルト位に塩素置換基を導入することは以前に示されている。この電子求引性置換基は、保護基が切断した後に放出されるフェノールのpKaを減少させ、その結果、生理的pHにおけるフェノレート種の相対濃度が高まる。置換基がアクリル酸メチルとアクリロニトリルの場合、それぞれ対応するフェノール−ベンゾエートで誘発された蛍光発光の増加量が最も大きかった。
図11に、選定したフェノール−ベンゾエート誘導体の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示す。表9に、選定したフェノール−ベンゾエート誘導体の分子構造と分光パラメータの概要を示す。
【0168】
市販のアダマンチリデン−ジオキセタンプローブの化学励起により生じる発光性種は、励起状態のベンゾエート4aまたは5aとなる。ベンゾエート4a、5aは、生理的条件下では、測定可能な蛍光を一切呈示しない。ところが、フェノールのオルト位にアクリル酸メチル置換基またはアクリロニトリル置換基を組み込むと(ベンゾエート6a、8a)、最大発光波長がそれぞれ550nm、525nmの強力な蛍光発生フェノール−ベンゾエート誘導体が生成された(量子収率はそれぞれ0.5%、7%)。別のオルト位に追加の塩素置換基を挿入したところ(ベンゾエート7a)、親であるベンゾエート6aと比べて、発光波長は変化せずに、蛍光発光強度が著しく増加した(約10倍)。蛍光発光強度が上昇した原因は、生理的条件下でフェノレート種の濃度が増加したことにあり、これは、塩素置換基の電子吸引効果によるものである。ベンゾエート9aも、親であるベンゾエート8aと比較して、同様の蛍光発光増加(約4倍)効果が観察された。
【0169】
これらの結果が示唆することは、ジオキセタン化学発光団にアクリル酸メチル置換基とアクリロニトリル置換基を組み込むことにより(塩素有りまたは無し)、放出されたベンゾエートの発光性を増強し得ることである。このような置換基効果の結果として、生理的条件下でのジオキセタンの化学発光量子収率が有意に上昇すると考えられる。
【表9】
【0170】
この仮説を試すため、フェノール官能基がマスクされていない5種類のアダマンチリデン−ジオキセタン発光団を合成した(表10)。これらの発光団は、フェノールが脱プロトン化されると、化学励起分解を経て、励起状態で様々なベンゾエート(表9)を放出した。次に、各発光団の化学発光放射スペクトルと総発光量を生理的条件下で測定した。表10に、各ジオキセタン−発光団の分子構造と化学発光パラメータの概要を示す。予想通り、ジオキセタン−発光団の化学発光放射スペクトルは、対応するベンゾエートの蛍光発光スペクトルと重なっていた(
図11)。
【表10】
【0171】
各ジオキセタン−発光団は、様々なT
1/2で指数的に減衰する化学発光動態プロファイルを示した。ジオキセタン5bは、水性条件下の化学発光量子収率が既知である(3.2×10
-3%)ため、ジオキセタン5bを基準化合物として使用した(Trofimov et al., 1996; Edwards et al., 1994)。上記の通り、水中のジオキセタン5bの発光は極めて弱かったが、ジオキセタン−発光団6b、7b、8bおよび9bは、PBS7.4における脱プロトン化時に強い化学発光シグナルを示した。発光団6b(アクリル酸メチル置換基を有する)は、ジオキセタン5bの約700倍の発光シグナルを示し、化学発光量子収率は2.3%であった。発光団7b(アクリル酸メチルに加えて塩素置換基を有する)は、シグナル増強は発光団6bと同様であるが、発光団6bよりも高速な動態プロファイルを示した(T
1/2が7分対23分)。発光団9b(アクリロニトリルに加えて塩素置換基を有する)は、ジオキセタン5bの約3000倍という最大の化学発光増強を示し、化学発光量子収率は9.8%であった。上記と同様に、発光団に塩素置換基が存在する場合、よ
り高速な動態プロファイルが観察された(T
1/2がジオキセタン8bの22分に対しジオキセタン9bは10分)。
【0172】
ターンオン型化学発光プローブは、ジオキセタン−発光団のフェノール官能基を酵素応答性基質でマスクすることにより簡単に作製できる。この選択を評価するため、ジオキセタン−発光団5b〜9bを使用し、β−ガラクトシダーゼによる活性化に適したトリガー基質でフェノールをマスクすることにより、5種類のアダマンチリデン−ジオキセタンプローブを合成した(プローブ5〜9、スキーム21〜22参照)。酵素切断可能部位の(オルト置換基に起因する)立体障害を避けるため、プローブ6〜9のフェノールの酸素とガラクトース基質の間に短い自壊型スペーサ(self-immolative spacer)を設置した(Amir et al., 2003; Gnaim and Shabat, 2014; Sagi et al., 2008)。次に、β−ガラクトシダーゼの存在下と不存在下での各プローブの化学発光放射を、時間の関数として測定した。
図12に、各プローブの化学発光シグナルの動態プロファイルと相対的発光強度を示す。
【0173】
β−ガラクトシダーゼの存在下では、各プローブは、最初に最大までシグナルが上昇した後にゆるやかにゼロに低下するという典型的な化学発光動態プロファイルを示した。β−ガラクトシダーゼ存在下の水性条件において、プローブ6〜9が著しく強い化学発光放射シグナルを示したのに対し、プローブ5からの発光は極めて弱かった(
図12の挿入図)。プローブ6が示した発光シグナルは、プローブ5より約500倍強い。プローブ7(塩素置換基を有する)は、シグナル増強はプローブ6と同程度であったが、プローブより高速な動態プロファイルを示した。同様に、プローブ9の方がプローブ8より高速な動態プロファイルを示した。プローブ9は化学発光放射の増強度が最も高く、プローブ5の約1800倍であった。
【0174】
新規のジオキセタン−発光団から目立った化学発光増強効果が得られたことから、次に、プローブ9のシグナル強度を市販の化学発光アッセイと比較することにした。現在、アダマンチリデン−ジオキセタンをベースにした化学発光プローブがいくつか市販されている。しかしながら、このような市販のプローブは水性条件下の化学発光放射が非常に弱いため、通常、アッセイの信号を増幅させるため界面活性剤−色素付加物(エンハンサー)が添加される。界面活性剤を使用することにより、化学発光反応に疎水性環境が提供され、放射光が移動して近くの蛍光発生色素を励起させることから、水により誘発されるクエンチングが減少する。その結果、低効率の発光工程が水性媒体中で著しく増幅される(Schaap et al., 1989)。β−ガラクトシダーゼ存在下(PBS 7.4)のプローブ5に市販エンハンサーEmerald−II(商標)10%を添加し、化学発光放射をプローブ6と比較した。得られた結果を
図13に示す。Emerald−II(商標)エンハンサーにより、プローブ5の化学発光放射が248倍増幅された(
図13A)。注目すべきは、生理的条件下において、プローブ9から得られた化学発光放射シグナルが、Emerald−II(商標)エンハンサーを有するプローブ5より8倍以上強かったことである(
図13B)。前例のないこの結果が示唆することは、プローブ9のような単純な小分子ジオキセタン化合物から、二成分系(プローブ5とEmerald−II(商標)エンハンサー)の発するシグナルより約1桁強い化学発光を生成できることである。開発されたプローブは、水性条件下で比較的発光性の高いベンゾエート種を生成するので、Emerald−II(商標)エンハンサーを添加しても、化学発光放射の増幅効果はごく軽度にしか得られなかった。
【0175】
我々の化学発光プローブは、フェノール部分からの保護基の除去に基づいて活性化する。したがって、様々な分析物/酵素用のトリガー基質として、様々なフェノール保護基を組み込むことも可能である(Redy-Keisar et al., 2014)。このモジュール式の性能を実証するため、分析物として過酸化水素(Karton-Lifshin et al., 2011)、グルタチオン
(GSH)、およびアルカリホスファターゼ酵素(Schaap et al., 1989)を検出するための3つのプローブをさらに合成した。プローブ10は、過酸化水素の基質としてボロン酸エステルを備え、プローブ11は、アルカリホスファターゼの基質としてリン酸基を備え、プローブ12は、GSHの基質としてジニトロベンゼンスルホニル基を備える(
図14)。各プローブは、フェノールの酸素のオルト位にアクリル酸またはアクリル酸メチル置換基を付けて作製された。イオン化可能なカルボン酸基が存在することで、プローブ10、11の水溶解度が著しく向上し、比較的高い濃度で評価試験を実施することができた。1mMの濃度(pH10)で、プローブ10とプローブ11は、それぞれの分析物/酵素と反応したときに明るい緑色光を発した。上述の通り、各プローブは活性化時に分解して、各プローブに対応する励起状態のベンゾエートが放出される。アクリル酸置換基は、放出したベンゾエートの発光性を効率的に増加させ、肉眼でも明瞭に視認できる強い光を発光させる。プローブ12は、適用濃度範囲1〜10μMにおいて、比較的穏やかな水溶解度を有する。
【0176】
プローブ10、11および12がそれぞれの分析物/酵素を検出する感度と選択性を評価するため、各プローブの検出限界(LOD)を測定した。各プローブは、生理的条件下で各々の分析物に対する良好な選択性を示した(
図15)。プローブ10は、LOD値30nMで過酸化水素を検出可能であり、プローブ11は、LOD値3.9μU/mlでアルカリホスファターゼを検出可能であり、プローブ12は、LOD値1.7μMでGSHを検出可能であった。
【0177】
化学発光は動態プロファイルを通じて生成されるので、化学発光のシグナル強度は、絶対値では蛍光発光より弱いことが多い。このため、化学/生物発光プローブの場所を単一細胞解像度で識別し定量化するには、適切な顕微鏡(オリンパスのLV200等)が必要とされる。我々は、β−ガラクトシダーゼが過剰発現した細胞に対する我々のプローブの画像化能力をLV200顕微鏡で評価することにした。細胞透過性の初回スクリーニングの後、プローブ7を画像化の評価対象として選択した。HEK293細胞(LacZをトランスフェクトされた細胞)とHEK293−WT細胞(コントロール)をプローブ7と共にインキュベートし、LV200で画像化した(
図16)。得られた画像は、内因的に発現したβ−ガラクトシダーゼによるインビトロのプローブ活性化を明確に裏付けていた。露光時間20秒の時点で、プローブ7は、HEK293−LacZ細胞の高画質の化学発光画像を生成することができた(
図16b)。HEK293−WT細胞では、化学発光シグナルはまったく観察されなかった(
図16d)。
【0178】
過去30年ほどに渡り、Schaapのジオキセタンをベースにした多数の化学発光プローブ例が文献で報告されてきた(Bronstein et al., 1989; Stevenson et al., 1999; Sabelle et al., 2002; Richard et al.,2007; Richard et al., 2009; Turan and Akkaya, 2014; Cao et al., 2015; Cao et al., 2016; Clough et al., 2016)。報告されたプローブのいずれも、活性化時に元のベンゾエートを放出するように設計されているが、このベンゾエートは水性条件下では発光性の弱い種である。本研究で目指したことは、生物環境において発光性の高い化学発光プローブを開発するためにSchaapのジオキセタンを再設計することである。上記で説明した通り、Schaapのジオキセタンの化学発光効率は、基本的に、得られた励起状態のベンゾエートの発光性に依存する。このため、当初、生理的条件下の様々なベンゾエートの蛍光発光に着目することに努めた。仮に置換基がベンゾエートの水中蛍光発光を増加できるのなら、対応するジオキセタンプローブの化学発光も生理的条件下において同様に置換基で増強できると仮定した。フェノールの酸素のオルト位にアクリル酸置換基とアクリロニトリル置換基を導入して得た効果は、実際に驚くべきものであった。増強の規模は3桁以上であり、水性条件下での使用に適したプローブとしては、今日知られている中で最も強力な化学発光アダマンチリデン−ジオキセタンプローブを得ることができた。興味深いことに、フェノールの酸素のパラ位にアクリル酸置換基を導入し
たところ、対応するベンゾエートの蛍光発光およびアダマンチリデン−ジオキセタンの化学発光に及ぼす効果は中程度に過ぎなかった。
【0179】
市販の化学発光アッセイでは、蛍光色素(界面活性剤で形成されたミセルに閉じ込められた色素)へのエネルギー移動により、間接的にシグナル増強を達成する。高毒性であるという理由で、このような多成分プローブシステムは、細胞イメージングには明らかに不適切である(Partearroyo et al., 1990)。本研究で示すプローブは小分子という単一成分で構成され、直接方式で化学発光し適切な水溶解度を有する。このような特性を持つことから、本研究のプローブは細胞イメージング用途で理想的なプローブとなっている。プローブ7は、内因性のβ−ガラクトシダーゼ活性に基づく優れた化学発光細胞画像を提供することができた。我々の知る限りでは、直接的な発光方式の化学発光による、非ルシフェリン小分子系プローブによる細胞画像としては、これが最初である。
【0180】
我々のプローブの化学発光に重要な影響を及ぼす別の要因は、フェノールベンゾエートのpKa値である。生理的条件下で化学励起機構を有効にするには、得られたフェノール(トリガー基が除去された後のフェノール)のpKaが約8.5以下であるべきことに気づいた。プローブをインビトロで使用する際、エンドサイトーシス機構を通じてプローブが細胞に入り込む(エンドソームのpHは約6.5以下であることが知られている)。このとき、フェノールのpKa値が低めであることが特に重要であり得る。プローブ7を構成するフェノールはpKaが約7.0であるため、細胞イメージング評価に使用するプローブとしてプローブ7を選択した。
【0181】
様々なトリガー基をジオキセタンプローブに設置するモジュール式の選択により、開発された分子を用いて、多様な分析物や酵素用の化学発光プローブを調製することができる。β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、過酸化水素、およびユビキタスチオールを検出するための4つの新規化学発光プローブを合成し評価することにより、この選択が実証された。これらのプローブは、水性条件下で高い化学発光効率が観察された。よって、イムノアッセイ分野における生化学検査の理想的な基質となるはずである。
【0182】
結論
要約すると、生理的条件下において高収量効率の化学発光プローブを得るため、新規の分子的手法を開発された。この手法は、Schappのアダマンチリデン−ジオキセタンプローブの化学励起経路の過程で得られるベンゾエート種における置換基の蛍光発光効果に基づいている。電子求引基であるアクリル酸基およびアクリロニトリル基を設置したところ、プローブの化学発光効率に対する際だった置換基効果が観察された。最良のプローブは、市販されている標準のアダマンチリデン−ジオキセタンプローブと比べて、化学発光量子収量が3桁以上高かった。従来、生物/化学発光による細胞イメージングは、ルシフェリン関連のプローブに限定されていた。作製した新規プローブの1つは、β−ガラクトシダーゼの内因性活性に基づく高画質の化学発光細胞画像を提供することができた。直接的な化学発光方式による、非ルシフェリン小分子系プローブによって得られた細胞イメージングが実証されたのは、現時点ではこれが最初である。本研究で提示した概念から、今後さらに、検出とイメージングの分野における様々な応用に向けた新規の高効率な化学発光プローブが開発される可能性がある。
【0183】
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