【実施例1】
【0009】
以下、本発明に係る第1の実施例について図面を参照して説明する。
図1に本発明の第1の実施例に係る電気掃除機の外観図を示す。電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース部3と接続し手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、伸縮自在に設けられた延長管5と、吸口体6とで構成されている。
【0010】
掃除機本体2は、吸引力を発生させる電動送風機2a、この電動送風機2aの吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部2bなどを備えている。なお、本実施例では、いわゆるサイクロン式の電気掃除機を例に挙げて説明するが、いわゆる紙パック式の電気掃除機に適用してもよい。
【0011】
ホース部3の一端は、掃除機本体2の集塵部2bと連通するように掃除機本体2の接続口2cに接続されている。また、ホース部3の他端は、操作管4の一端に接続されている。
【0012】
操作管4は、手元操作スイッチSWなどを備えたハンドル4a、掃除機本体2から給電される図示しない給電端子などを備えている。この給電端子には、延長管5の一端に設けられる図示しない通電端子が接続される。
【0013】
操作管4の手元操作スイッチSWを操作することによって、電動送風機2aの運転と停止や強中弱の切り替え、吸口体6に設けられた電動機40(
図4参照)の運転と停止が可能となっている。
【0014】
延長管5は、外管5aと内管5bとを備え、外管5aの他端部に内管5bの一端部が挿入されて外管5aと内管5bとの内側に設けられた図示しない通風路が連通するように連結されて、伸縮自在に構成されている。なお、
図1は、延長管5が最短の状態を図示している。
【0015】
図2は、吸口体の上面図である。
【0016】
図2に示すように、吸込具6は、上面視において略T字形状を呈する吸口ケース10と、吸口ケース10に連結される吸口継手13とを備えている。
【0017】
吸口ケース10は、上面視において、左右方向(幅方向)に細長く形成された吸口本体11と、吸口本体11の左右方向の中央部に吸口継手13と連結される連結部12とを備えている。連結部12には、吸口本体11と吸口継手13とを連通させる流路R(
図3参照)が形成されている。
【0018】
吸口本体11には、前端面から左右側面にかけてバンパ11aが設けられている。バンパ11aは、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、使用時に吸口本体11内の気密を確保するとともに、電気掃除機1(
図1参照)の使用時に吸口本体11が家具等に衝突した際に、当該家具等への傷付き防止と吸口本体11への衝撃を吸収する緩衝材の役割を果たしている。
【0019】
吸口継手13は、連結部12に対して回動自在に連結される第1連結部14と、この第1連結部14に対して回動自在に連結される第2連結部15とを備えている。
【0020】
第1連結部14は、
図2の上面視において略半トラック形状を呈し、連結部12と連結される円筒形状の軸14aを有している。この軸14aは、軸方向が吸口本体11の左右方向であって、軸14aの両端部が連結部12に形成された軸受部12g(
図4参照)に支持されている。また、第1連結部14は、被掃除面(清掃面)M(
図5参照)に対して略平行な状態から略垂直な状態まで(上下方向に)回動可能となるように構成されている。すなわち、第1連結部14を吸口ケース10に対して軸14aを支点として回動させることによって、延長管5(
図1参照)を被掃除面M(
図5参照)に略平行な状態と略垂直な状態との間において回動させることができる。
【0021】
第2連結部15は、第1連結部14に対して吸口本体11の左右方向に(
図2の紙面時計回り方向および反時計回り方向に)回動可能となるように構成されている。これにより、例えば、延長管5を被掃除面Mに対して略垂直にした状態から、延長管5を被掃除面Mに略平行な状態に向けて倒すことができる。
【0022】
また、第2連結部15には、給電が行われる給電端子15aが設けられている。なお、本実施例の電気掃除機1(
図1参照)では、吸口体6に給電する電力を、掃除機本体2からホース部3、操作管4、延長管5を通じて供給するように構成している。
【0023】
このような吸口継手13は、例えば延長管5(
図1参照)を被掃除面Mに対して略垂直とした状態において、その延長管5を左右方向(左右方向)に倒して、操作管4(グリップ4a)を左右方向のいずれかにねじることで、吸口本体11を左右方向のいずれかに略90度回転させ、吸口本体11の左右方向を移動方向にした掃除が可能である。したがって、壁際に沿って吸口体6を移動させて掃除したり、狭い隙間に吸口体6を挿入したりして掃除することが可能になる。
【0024】
図3は、吸口体の下面図である。
【0025】
図3に示すように、吸口体6は、第1回転清掃体20、第2回転清掃体30を備えている。吸口ケース10(吸口本体11)には、下面(清掃面に対峙する面)に開口部を有するブラシ室Qと、同じく下面に開口部(吸込口)を有する気密室Pとが形成されている。
【0026】
第1回転清掃体20は、吸口本体11の左右方向に沿って前後方向の前側に配置され、ブラシ室Q内に回転可能に支持されている。また、第1回転清掃体20は、吸口本体11の左右方向(第1回転清掃体20の軸方向)の一端側から他端側まで連続して設けられている。
【0027】
図6は,第1回転清掃体の正面図である。
【0028】
図6に示すように,第1回転清掃体20は、第1回転清掃体20の軸中心に位置するロータリコア21,硬さが異なるブラシなど複数種類のブラシ20a、20b,端部に設けられるクラッチ22,延長ロータリコア23によって構成される。
【0029】
ロータリコア21は、溝21cと、溝21cの他端に切欠き21aとリブ21bとを有するものである。ロータリコア21の一端にはクラッチ22が設けられている。クラッチ22は、電動機40の駆動力を歯付きベルト41を介してロータリコア21に伝えるための部材である。
【0030】
延長ロータリコア23は,ブラシカバー部23aと溝延長部23bを有し,溝延長部23bには延長溝23c,
図7に示すリブ23d,切欠き23eが設けられている。リブ23d,切欠き23eをロータリコア21に設けられている切欠き21a,リブ21bとそれぞれ嵌合させることで,延長ロータリコア23は溝21cと延長溝23cがつながるようにロータリコア21に接続され,これらの嵌合によりロータリコア21と延長ロータリコア23が空転することを防止している(
図8)。
【0031】
本実施形態では、電動機40の駆動力がかかるロータリコア21の一端に延長ロータリコア23でなくクラッチ22を設けており、これにより、ロータリコア21と延長ロータリコア23の接続部分へかかる力を低減している。
【0032】
なお,本実施形態ではリブ23d,切欠き23eをそれぞれ4つ設けた場合を例に
図8に示したが,これに限定されるものではなく,ロータリコア21に設けられる切欠き21a,リブ21bとの組合せによって3つ以下でも,5つ以上でもよい。
【0033】
各ブラシ20a,20bはロータリコア21,延長ロータリコア23にそれぞれ設けられる溝21c,延長溝23cによって係止され,ロータリコア21の軸方向に対し、らせん状に配設されている。
【0034】
なお、本実施形態では、2種類のブラシ20a、20bを配設した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、3種類以上であってもよく、らせん状に配置されたブラシ間にゴムなどの弾性材料からなるブレード部材をらせん状に配置する構成を追加してもよく、適宜変更することができる。
【0035】
また,この延長ロータリコア23を取り外し,別部材を取り付けることで掃除状況に合わせて簡単に第1回転清掃体を変更することができる。例えば,延長ロータリコアの溝延長部の代わりに,硬いブラシなどで構成されるローラを設けた部分を設けた部材を取り付けることで,清掃面Mに対し掃除を行う面積が狭くなる一方,吸込具の操作感を軽くすることができる。これは床面の抵抗の大きい毛丈の長いじゅうたんなどの掃除に適している。
【0036】
第2回転清掃体30は、第1回転清掃体20の直径よりも小径で、刷毛体により覆われていて、第1回転清掃体20に対して後方且つ平行に配置されている。また、第2回転清掃体30は、第1回転清掃体20の軸方向と平行に、吸口本体11の左右方向の一端側から他端側にかけて連続して設けられている。
【0037】
また、第2回転清掃体30は、第1回転清掃体20の回転軸21と平行な軸部30a(軸)を有し、軸部30aが吸口ケース10(吸口本体11)に回転可能に支持されている。なお、第2回転清掃体30は、電動機によって駆動されるものではなく、吸口体6を移動させたときの被掃除面M(
図5参照)との摩擦力によって回転するように構成されたものである。このように、第2回転清掃体30は、軸部30aを介して吸口本体11に支持されるものであるので、第2回転清掃体30の構成を簡略化することができる。
【0038】
吸口体6は、吸口ケース10の連結部12の下面に、ブラシ駆動スイッチ16、車輪17、軸受押え部材31、32を備えている。
【0039】
ブラシ駆動スイッチ16は、吸口体6の下面が被掃除面M(清掃面)に接触しているか否かを検出するスイッチであり、車輪16aとともに構成されている。この車輪16aは、ばね等の付勢手段によって常に吸口ケース10(連結部12)の下面から一部が突出するように設けられている。そして、車輪16aが吸口ケース10から飛び出して被掃除面Mと接触していないと検出されたときには、回路基板50(制御基板)(
図4参照)の制御によって電動機40(
図4参照)の駆動が停止され、第1回転清掃体20の回転が停止する。また、車輪16aが押し込まれて被掃除面Mと接触していると検出されたときには、回路基板50の制御によって電動機40が駆動され、第1回転清掃体20が回転する。
【0040】
車輪17は、操作管4で操作される前後動や回転操作の応力を受けて吸口体6の底面を被掃除面(清掃面)に密着させ、これにより吸口体6の操作性能を向上する役割を有している。
【0041】
軸受押え部材31は、第1回転清掃体20の回転軸および第2回転清掃体30の軸部30aの一端を支持するものであり、吸口ケース10にねじを用いて固定されている。
【0042】
軸受押え部材32は、第1回転清掃体20の回転軸および第2回転清掃体30の軸部30aの他端を支持するものであり、取り外し可能となるように吸口ケース10にロック機構(図示せず)を用いて固定されている。
【0043】
図4は、吸口体の吸口ケース10の上側部分を取り外した状態の上面図である。
【0044】
図4に示すように、吸口体6は、第1回転清掃体20(
図3参照)および第2回転清掃体30(
図3参照)の上方に、第1回転清掃体20を駆動する電動機40および電動機40を制御する回路基板50を備えている。
【0045】
電動機40は、吸口本体11の左右方向の一端側に取り付けられている。また、電動機40は、その出力軸が吸口本体11の左右方向と平行に配置されている。また、電動機40の出力軸は、左右方向の一端側に向けて延び、吸口本体11内の一端部(図示右側の端部)において、歯付きベルト41を介して第1回転清掃体20と連結されている。
【0046】
回路基板50は、吸口本体11の左右方向で電動機40とは反対側に取り付けられている。また、回路基板50は、長辺が左右方向に沿って配置された長方形状の基板を有し、実装面が鉛直方向上向きの状態で吸口本体11内に配置されている。なお、実装面は、必ずしも鉛直方向上向きに限定されず、水平方向に対して傾斜してもよく、前後方向を向くように(縦向きに)してもよい。
【0047】
図5は
図2におけるB−B断面図である。
図5において、63はブラシ室Qと気密室Pを隔てる隔壁、64は第2回転清掃体30と気密室Pを隔てるカバー部材、60はカバー部材64と掃除面Mとの隙間を塞ぐ可撓性を有する後方ブレードである。また,
図7は
図2におけるA−A断面図である。
図7において,62は,前方隔壁と前方隔壁と掃除面Mとの隙間を塞ぐ可撓性を有する前方ブレードである(
図9参照)。
【0048】
カバー部材64は吸込口の一部を覆い開口面積を狭めることで吸引風の流速を大きくすると同時に,気密室Pの負圧を大きくすることで,吸込具の集塵性能を向上させる役割を果たす。
【0049】
カバー部材64は吸込具左右方向における中央部付近に設けられた2つの同心円状の軸穴64aに軸65を通し,これと吸口ケース10に設けられたツメ10aと嵌合することで吸込具に接続されている(
図9参照)。