(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る手術セットの洗浄管理システムを説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0014】
ここで、手術セットは、一回の手術あるいは手術の一工程で使われる複数の医療器具からなる1つの纏まりである。ここで、医療器具は、適宜に、器具と称される。
手術セットの器具には、例えば、トラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置、剪刃、メス、メスホルダー、カニューレ、鑷子、開創器、スケール、ゾンデ、エレバ、ラスパ、吸引管、開胸器、閉胸器、持針器、注射器、金属ボール、膿盆、コップ、ピン、ミラー、やすり、開口器、クレンメ、ハンドピース、ノミ、鋭匙、剥離子、鏡、縫合針、スタンツェ、受水器、針、圧子、ブジー、通気管、骨片打込器、リウエル、ラジオペンチ、ハンマー、角度計、スポイト、浣腸器、シリンジなどがある。
【0015】
医療器具には、複数の構成部品で構成された器具がある。例えば、腹腔鏡外科手術で用いられるトラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置などは、複数の構成部品からなり、手術後に回収され、複数の構成部品に分解される。ここでは、医療器具を構成する部品を構成部品という。また、構成部品がさらに複数の構成部品からなる場合があるが、このような場合は全て構成部品と称する。
【0016】
このような医療器具および医療器具の構成部品は、それぞれ洗浄作業が決められている。このため、医療器具および器具の構成部品は、手術後に回収されてそれぞれ指定された洗浄作業毎に振分けられて、それぞれ洗浄工程に回送される。洗浄後、複数の構成部品からなる器具は組立てられ、また、手術セット毎、あるいは、医療器具毎に分けられて所定の容器に入れられて封止される。その後、指定された滅菌方法で滅菌されて、次に使用されるまで保管される。このように、手術セットの使用では、手術→回収(振分け)→洗浄→組立(封止)→滅菌→保管→手術という工程が繰り繰り返される。
【0017】
手術セットの各器具および構成部品は、それぞれ適切な方法および手順で確実に洗浄されることが、院内感染などを防ぐ上で重要である。このため、器具および構成部品毎に、洗浄方法が定められている。洗浄方法によって工程が異なり、洗浄する担当者が異なる場合がある。手術セットの各器具および構成部品を、確実に、所定の洗浄工程に回送するためには、振分け作業で漏れなく、確実に振分けられていることが必要である。しかしながら、1つの手術で、複数の手術セットが用いられて、複数の手術セットの器具が混在した状態で回収されることもある。さらに、異なる手術セットに、同種の似たような器具が含まれているため、取り間違えて振分けられたりすることが想定される。
ここで提案される手術セットの洗浄管理システムは、例えば、このような手術後の器具の回収、洗浄工程に向けての振分け作業において、器具および構成部品を適切に管理するのに用いられうる。
【0018】
図1は、手術セットの洗浄管理システム10(以下、適宜に「システム10」と称する場合がある。)の概念図である。
【0019】
システム10は、
図1に示すように、リーダー11a,11bと、表示装置12a,12bと、処理装置13とを備えている。リーダー11a,11bと、表示装置12a,12bと、処理装置13とは、データ通信可能に接続されているとよい。
図1に示された形態では、通信ネットワーク14を通じて、リーダー11a,11bと、表示装置12a,12bと、処理装置13とが、相互にデータ通信可能な状態で連携している。予め定められたプログラムに沿って情報を処理する装置である。処理装置13は、各種の情報を記憶するための記憶部と、情報を処理する処理部など、種々の処理モジュールを備えている。
【0020】
なお、
図1は、システムの概念図であり、システム10の形態は、これに限定されない。
図1に示す例では、リーダー11a,11bと、表示装置12a,12bとは、それぞれ2つであるが、システム10のリーダー11と表示装置12は、それぞれ1つでもよい。システム10は、さらに多くのリーダー11と表示装置12とを備えていてもよい。また、処理装置13は、単一の装置で具現化してもよいし、複数の装置が協働で処理装置としての機能を奏するものでもよい。
図1では、リーダー11および表示装置12を、それぞれ区別してリーダー11a,11bおよび表示装置12a,12bとしている。本明細書において、リーダー11a,11bおよび表示装置12a,12bを区別する必要がない場合には、単に「リーダー11」および「表示装置12」と称する。
【0021】
図2は、システム10の具体的構成例を示す概要図である。
図2に示す形態では、システム10は、操作端末51〜55と、リーダー61〜63と、サーバー70と、ルーター75とを備えている。
【0022】
図2では、操作端末51〜53、55は、タブレット型端末であり、操作端末54は据え置き型の端末である。また、操作端末51〜55は、それぞれコンピュータを内蔵している。つまり、操作端末51〜55は、情報を記憶する記憶装置と、プログラムに従って所定の処理を実行する演算装置とを備えている。各操作端末51〜55、リーダー61〜63、および、サーバー70は、ルーター75を通じて構築される無線通信ネットワークによって相互に情報通信が可能な状態で接続されている。サーバー70は、このシステム10の各処理の基幹となるホストコンピュータである。サーバー70は、情報を記憶する大容量の記憶装置72を備えている。また、操作端末51〜55は、このシステム10のクライアントコンピュータとして機能する。
図2では、リーダー61〜63は、通信ネットワークを通じて操作端末51〜55に情報通信可能に接続されている。なお、リーダー61〜63は、通信ネットワークを通じてサーバー70に情報通信可能に接続されていてもよい。
【0023】
操作端末51〜55およびリーダー61〜63は、
図2に示されているように、手術セットを回収する回収エリアA、洗浄を行う洗浄エリアB、および、洗浄後に組立および封止を組立エリアCに、それぞれ配置されている。このようにシステム10は、複数の離れた場所で、異なる複数のユーザーによって同時に並行して利用されうるように構成されている。
【0024】
図2に示されたリーダー61〜63は、それぞれ
図1に示されたリーダー11として機能する装置である。
図2に示された操作端末51〜55のディスプレイ51a〜55aは、それぞれ
図1に示された表示装置12として機能する。
図2に示された形態では、操作端末51〜55とサーバー70とは、協働してシステム10の処理装置13(
図1参照)として機能する。
図1および
図2に示された形態では、システム10は、複数の装置によって具現化されている。システム10は、多くの手術セットが複数の工程で並行して管理され、かつ、複数のユーザーで利用される。このため、
図1および
図2で示されているように、通信ネットワークを通じて複数台のパソコンが連携しうるようにシステムが構築されている。
【0025】
リーダー11は、手術セットの器具、器具の構成部品に組み込まれる個体情報を読み取る装置である。
【0026】
ここで、個体情報は、所定の形態の二次元シンボルであり得る。例えば、手術セットの器具に用いられる個体情報としては、二次元バーコードや、RFIDのような非接触タグや、器具表面に形成される刻印などで具現化されうる。また、刻印には、レーザー刻印や、打刻による形成ができる。
【0027】
打刻による二次元シンボルの形成には、例えば、メタルプリンター(例えば、ローランドディー.ジー.株式会社製 MPX−95など)が用いられうる。このようなメタルプリンターによれば、例えば、1mm〜4mm角程度の微細な大きさでデータマトリックスを形成することが可能である。打刻による二次元シンボルは、器具表面を凹ますことによって形成されている。器具表面のメッキ被膜などに傷が付きにくく、二次元シンボルを付けたことによって器具が錆び難い。また、メタルプリンターなどの発達によって、二次元シンボルが形成されていない既存の器具にも適用でき、二次元シンボルをユーザーで設定して付与することができる。
【0028】
ここでは、システム10の各構成装置を順に説明する。ここでは、
図1を主たる参照図面とし、適宜に
図2の具体例を参照しつつ説明する。
リーダー11(
図1参照)は、個体情報を読み取る装置である。
図2に示されたリーダー61〜63は、それぞれ箱形の筐体を有し、上部にカメラを内蔵した検知部61a〜63aを備えている。この実施形態では、かかる検知部61a〜63aに、器具や構成部品に打刻された二次元シンボルを向けることで、当該器具や構成部品に割り当てられた個体情報が読み取られる。なお、リーダー11(
図1参照)は、
図2に示された形態に限定されず、種々の形態が取られうる。
【0029】
表示装置12は、処理装置13からの指令に沿って、情報を表示する装置であるとよく、種々のディスプレイ装置が採用されうる。
図2に示された形態では、表示装置12は、各操作端末51〜55のディスプレイ51a〜55aで構成されている。表示装置12は、タッチパネルで構成されていてもよい。表示装置12がタッチパネルで構成されている場合には、ユーザーが表示装置12の画面に触れることで操作されるようにシステム10を構成することができる。
【0030】
処理装置13は、このシステムの種々の処理を行う装置である。処理装置13は、予め定められたプログラムに沿って駆動するコンピュータによって具現化されうる。具体的には、処理装置13の各機能は、処理装置13を構成する各コンピュータの演算装置(プロセッサ、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)とも称される)や記憶装置(メモリーやハードディスクなど)によって処理される。例えば、処理装置13の各構成は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュールなどとして、または、それらの一部として具現化されうる。
【0031】
処理装置13は、
図2に示された形態では、操作端末51〜55に組み込まれたコンピュータと、操作端末51〜55に通信ネットワークを通じて接続されたサーバー70との協働によって具現化されている。このように、処理装置13の各機能は、ネットワークを通じて互いに連携する複数の装置によって具現化されてもよい。つまり、
図1では、処理装置13は、1つの装置のように図示されているが、1つの装置であることに限定されない。
【0032】
図1に示された形態では、処理装置13は、種々の情報を記憶した記憶部101〜108、主として画像情報を記憶した画像記憶部141〜145、情報入力部161、予め定められた処理を行うようにプログラムされた処理部201〜220、また、主として振分け処理を行うようにプログラムされた振分部241〜243を備えている。
記憶部101〜108、画像記憶部141〜145などに記憶される情報は、
図2の形態では、例えば、ホストコンピュータとしてのサーバー70の記憶装置72に記憶されているとよい。サーバー70の記憶装置72に記憶された情報は、ネットワークを通じて接続されるクライアントコンピュータ(ここでは、タブレット端末51〜53,55や据え置き型パソコン54など)によって適宜にアクセス可能な状態で管理されているとよい。
【0033】
処理装置13は、基本構成として、第1記憶部101と、第2記憶部102と、第3記憶部103と、第4記憶部104と、第1処理部201と、第2処理部202とを備えている。
【0034】
第1記憶部101は、複数の器具で構成された手術セットの各器具および器具を構成する構成部品に、それぞれ一対一で関連付けられた器具IDおよび部品IDを記憶している。つまり、このシステム10では、手術セットの器具には器具IDが付与されている。さらに、器具を構成する構成部品には部品IDが付与されている。器具IDは、一対一で特定の器具に対応しており、部品IDは、一対一で特定の構成部品に対応している。これにより、システム10では、手術セットの器具および器具の構成部品は、それぞれ器具IDおよび部品IDで特定される。
【0035】
第2記憶部102は、手術セットに一対一で関連付けられたセットIDと、当該手術セットに属する器具の器具IDと、当該手術セットに属する構成部品の部品IDとを関連付けて記憶している。つまり、このシステム10では、手術セットに一対一で関連付けられたセットIDが付与されており、セットIDによって手術セットが特定される。さらに、セットIDが特定されると、当該セットIDで特定される手術セットに属する器具の器具IDおよび構成部品の部品IDが特定される。さらに、構成部品の部品IDが特定されると、当該構成部品が属する器具の器具IDなどが特定される。器具IDが特定されると、当該器具が属する手術セットのセットIDが特定される。また、器具が構成部品を備えている場合には、器具IDから当該器具に属する構成部品の部品IDが特定される。
【0036】
第3記憶部103は、器具の個体情報と器具ID、および、構成部品の個体情報と部品IDとを関連付けて記憶している。ここで、個体情報は、二次元シンボルのようにリーダー11で読み取られうる情報であり、器具または構成部品に付与あるいは付属する識別子である。個体情報は、器具および構成部品で個々に異なっており、器具または構成部品に一対一で識別しうる情報である。器具の個体情報と器具ID、および、構成部品の個体情報と部品IDとが一対一で対応しているので、リーダー11で検知された個体情報に基づいて1つの器具または構成部品が特定される。
【0037】
かかる第3記憶部103によって、システム10では、個体情報から、器具IDまたは部品ID(つまり、器具または構成部品)が特定される。さらに、第2記憶部102に記憶された情報から、当該個体情報によって特定される器具または構成部品が属する手術セットが特定される。なお、個体情報は、手術セットの器具および構成部品の全てに付いているとは限らない。第3記憶部103では、手術セットのうち個体情報が付与された器具および構成部品について、個体情報と、器具IDまたは構成部品IDとが、一対一で関連付けられて記憶されているとよい。また、手術セットのうち個体情報が付与されていない器具および構成部品については、個体情報が付与されていないことを示す情報が、器具IDまたは部品IDに関連付けて記憶されていてもよい。
【0038】
第4記憶部104は、器具IDおよび部品IDと、洗浄方法とを関連付けて記憶している。ここで、洗浄方法は、器具および構成部品毎に定められている。第4記憶部104に記憶された情報によれば、例えば、器具IDまたは部品IDが特定されることによって洗浄方法が特定される。したがって、第4記憶部104において器具IDおよび部品IDに対して、適切な洗浄方法が記憶されていると、器具または構成部品に対して適切な洗浄方法が特定される。
【0039】
洗浄方法は、方法及び手順が異なる、いくつかのタイプに分類されているとよい。ここで挙げる例では、予め定められた多層式自動洗浄装置にて所定の洗浄をするタイプ、予め定められた単層式自動洗浄装置で所定の洗浄をするタイプ、減圧沸騰式洗浄機によって所定の洗浄をするタイプ、手洗いにて洗浄するタイプなどに分けられている。第4記憶部に記憶される洗浄方法は、ここで例示される方法に限定されない。ユーザーが種々設定することができる。またユーザーにおいて任意に洗浄方法を追加したり、洗浄方法の分類を纏めたり、洗浄方法の条件などで細分化したりすることができる。処理装置13には、洗浄方法として、例えば、予め割り当てられた洗浄方法IDが記憶されているとよい。
【0040】
上述した第1記憶部101〜第4記憶部104は、それぞれ独立したデータベースで構成してもよい。また、第1記憶部101〜第4記憶部104は、1つのデータベースで構成することができる。
図3は、第1記憶部101〜第4記憶部104を纏めたデータベース400の構成例である。
図3では、手術セットのセットID,手術セット名,器具ID,器具名,部品ID,洗浄方法ID,個体情報としてのGS1コード,画像ファイルを記憶する欄401〜408が設けられており、それぞれが関連づけられて記憶されている。
【0041】
第1処理部201は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、個体情報によって器具または構成部品が属する手術セットを特定するための処理部である。この実施形態では、リーダー11によって検知された個体情報は、通信ネットワーク14を通じて処理装置13に伝達される。当該個体情報は、例えば、処理装置13において一時的に記憶される。処理装置13は、リーダー11によって検知された個体情報を記憶するための、予め定められた記憶領域を備えているとよい。
【0042】
処理装置13では、例えば、リーダー11によって検知された個体情報に基づいて個体情報が特定される。次に、第3記憶部103に記憶された情報に基づいて、特定された個体情報から器具IDまたは部品IDが特定される。器具IDまたは部品IDが特定されると、第2記憶部102に記憶された情報に基づいてセットIDが特定される。セットIDが特定されると手術セットが特定される。このように、第1処理部201は、リーダー11によって検知された個体情報および第3記憶部103および第2記憶部102に記憶された情報に基づいて、器具IDまたは部品IDを特定し、さらにセットIDを特定し、器具または構成部品が属する手術セットを特定するように構成されている。このように、リーダー11によって個体情報が検知された際に、個体情報によって器具または構成部品が属する手術セットが特定されうる。
【0043】
第2処理部202は、第1処理部201で特定された手術セットに属する器具および構成部品と、洗浄方法とを関連付けて表示装置12に表示するための処理部である。システム10では、例えば、第2記憶部102に記憶された情報に基づいて、セットIDから器具IDおよび部品IDが特定される。次に、第1記憶部101に記憶された情報に基づいて器具IDおよび部品IDから器具および構成部品が特定される。さらに、第4記憶部104に記憶された情報に基づいて器具IDおよび部品IDから洗浄方法IDが特定される。つまり、特定された手術セットに属する器具および構成部品に対し、それぞれの洗浄方法が特定されて表示装置に表示される。
【0044】
ここで、器具および構成部品と、洗浄方法とを関連付けて表示装置に表示するとは、例えば、第1処理部201で特定された手術セットに属する器具および構成部品と、洗浄方法との情報が、一覧表のような状態で表示されるとよい。かかる処理によって、手術セットに属する器具および構成部品の洗浄方法が、ユーザーに分かりやすく表示される。器具、構成部品、洗浄方法は、それぞれテキストデータで表示されてもよい。また、器具、構成部品、洗浄方法は、それぞれ予め用意された画像やアイコンなどで表示されてもよい。
【0045】
この実施形態では、システム10は、手術セットに属する器具および構成部品を、洗浄方法毎に分けて表示装置に表示することができる。その一実施形態として、システム10は、第3処理部203と、第4処理部204とを備えている。
【0046】
第3処理部203は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、表示装置12に第1振分ボタンを表示するための処理部である。ここで、
図4は、表示装置12に表示される画面の一例を示すイメージ図である。
図4に示されているように、このシステム10では、構成部品から特定されるセットIDに基づいて手術セット20の写真を表示装置12に表示することができる。手術セット20の写真を表示装置12に表示する処理については、後で述べる。
図4に示された画面の右下には、「振り分け」と記載されたアイコン621が用意されている。このアイコン621には上述した第1振分ボタンが組み込まれている。なお、
図4に示された画面の右下には、「構成品表示」と記載されたアイコン622と、「緊急出庫」と表示されたアイコン623とが用意されている。「構成品表示」と記載されたアイコン622には、当該
図4で表示された手術セット20に属する器具および構成部品の一覧を表示する処理が実行されるための処理ボタンが組み込まれている。「緊急出庫」と表示されたアイコン623には、手術セット20を急ぎ処理する必要性があることを知らせるための予め定められた処理が実行されるための処理ボタンが組み込まれている。例えば、手術セット20が急な手術などで使用される場合に、手術、回収、洗浄、回収、組立、封止、滅菌、保管などの各工程において、手術セット20を急ぎ処理する必要性があることが作業者に知らされる。
【0047】
第4処理部204は、第1振分ボタン(アイコン621(
図4参照))が操作された際に、第1処理部201で特定された手術セット20に属する器具および構成部品を、第4記憶部104で関連付けられた洗浄方法毎に分けて表示装置12に表示するための処理部である。
【0048】
図4に示された画面の左下に横には、それぞれ洗浄方法を示す4つのアイコン601〜604が表示されている。ここでは、4つのアイコン601〜604は、左から順に多層式自動洗浄装置での洗浄、単層式自動洗浄装置での洗浄、減圧沸騰式洗浄機での洗浄、手洗い洗浄をそれぞれ示している。
【0049】
このシステム10では、分類可能な洗浄方法として4つの洗浄方法が予め定め登録されている。分類可能な洗浄方法は、システム10に予め洗浄方法と洗浄方法IDを登録することによって、より多く設定できる。
図4に示された手術セット20では、手術セット20に属する器具および構成部品は、上記の4つの洗浄方法のうち、多層式自動洗浄装置での洗浄、手洗い洗浄、減圧沸騰式洗浄機での洗浄の3つの洗浄方法に分類される。
【0050】
なお、
図4の左下には、3つのアイコン606〜608が縦に並んでいる。アイコン606には、手術セット20の写真を部分的に拡大表示するための操作ボタンが組み込まれている。アイコン607には、当該端末に定められた所定のリーダー11がシステム10に接続されていることを示している。例えば、リーダー11がシステム10に接続されていない場合には、このアイコン607が暗く表示されるように設定されているとよい。このように設定されていることで、ユーザーにリーダー11の接続状態を知らせることができる。アイコン608は、当該手術セット20の情報に関連付けてシステム10に設けられるメモ欄を記憶させるための処理を行うための操作ボタンが組み込まれている。
【0051】
図4の右中段に設けられた備考欄611には、手術セット20についての情報がテキスト表示されている。ここでは、手術セット20は、鉗子10本、剪刃1本、鈎2本と記載されている。
図4に示された例では、手術セット20は、本来は14点の器具で構成されているが、器具が一点欠損しており、現状は13点の器具構成となっている。備考欄611には、そのことがメモ書きされており、現状の13点の器具構成でシステム10に記録された日が、2016/6/21として記録されている。備考欄611に表示される情報は、図示は省略するが、セットIDと関連付けられて記憶されているとよい。また、手術セット20の写真は、手術セット20のセットIDと関連付けられて処理装置13に記憶された写真データが表示されている。
図4の例では、器具が1点欠損した後の13点で構成された手術セット20の写真が処理装置13に記憶されている。さらに13点の器具のうち1つの器具は代替品と交換されている。
【0052】
図4の右上段の欄612には、手術セット20に含まれる器具の現状の点数、保管時の容器の種類、滅菌方法などが記載されている。さらに、上段には、診療科を表示する欄613と、手術セット20の名前が表示される欄614が設けられている。右上段の欄612の情報は、図示は省略するが、セットIDに関連付けられて処理装置13に記録されているとよい。また、処理装置13の表示画面は、
図4に限らず一例に過ぎず種々の形態が採用されうる。また、表示される情報も、この明細書で例示される形態に限定されない。処理装置13は、
図4に示されているように、上述したようなアイコンや処理ボタンが表示されるようにプログラムされているとよい。
【0053】
図5は、第1振分けボタン621(
図4参照)が押された後に表示される画面を示すイメージ図である。このシステム10では、第1振分けボタン621が押されると、
図5に示すように、手術セット20に属する器具および構成部品が洗浄方法に分かれて表示される。
【0054】
図5の上部には、手術セット20(
図4参照)に属する器具点数が表示される欄711がある。この手術セット20は、本来の14点の器具で構成されており、14の数字が分母に表示されている。分子は、既に振分け済みの器具点数が表示されており、
図5では、3と示されている。なお、この手術セット20は、本来の14点の器具で構成されているが、1点欠損しており、13点である。
図5では、手術セット20の器具点数が表示される欄711には、欠損している器具も含めて表示されている。また、欠損している器具は、振分け済みの器具点数に含まれている。手術セット20に属する器具点数が、このように表示されていることによって、ユーザーは、全体の器具点数および振分け済みの器具点数が直ぐに把握でき、残りの器具点数も直ぐに把握できる。
【0055】
図5では、左から順に、多層式自動洗浄装置での洗浄の欄721、手洗い洗浄の欄722、減圧沸騰式洗浄機での洗浄の欄723の3つの欄が設けられている。器具は、その洗浄方法により、3つの欄721〜723に分類されている。ここで、多層式自動洗浄装置での洗浄に分類される器具は8点である。手洗い洗浄に分類される器具は4点である。減圧沸騰式洗浄機での洗浄に分類される器具は2点である。洗浄方法の各欄721〜723の上部には、分類された器具点数および振分け済みの器具点数を表示する欄721a〜723aがそれぞれ設けられている。
【0056】
多層式自動洗浄装置での洗浄の欄721の上部の分類された器具点数および振分け済みの器具点数を表示する欄721aには、分母に8、分子に3が示されている。また、多層式自動洗浄装置での洗浄の欄721には、それぞれ器具の写真画像およびアイコンが表示されている。このうち振分け済みの器具点数にカウントされている器具は、表示パターンが暗くなっている。また、振分け済みの器具点数にカウントされている器具には、欠損している器具が含まれている。明るい表示パターンで表示されている器具は、未だ振分けられていない器具である。このシステム10では、振分け済みの器具の表示パターンが変えられていることによって、当該器具が振分けられていることがユーザーに直ぐに分かる。また、振分け済みの器具は暗く、未だ振分けられていない器具は明るく表示されるので、ユーザーは、未だ振分けられていない器具を認識しやすい。
【0057】
図6A〜
図6Dは、それぞれ器具の画像に添えられるアイコンを示す図である。
図6A〜
図6Dで示されたアイコン群731〜734は、器具および構成部材についての情報に関連付けられている。
図6Aに示されたアイコン731は、器具または構成部品が欠損していることを示すためのアイコンである。
図5で例示された手術セット20は、器具が1つ欠損した状態で運用されている。つまり、本来の器具点数よりも少ない器具点数で運用されている。
図5では、器具の画像751にアイコン731(
図6参照)が添えられている。
【0058】
図6Bに示されたアイコン732は、器具または構成部品が代替品であることを示すためのアイコンである。例えば、欠損となった本来セットに含まれている器具の代わりに、代替品となる器具を手術セットに含めた場合に、当該器具を代替品として扱うとよい。この場合、代替品には、本来の器具と異なる個体情報が付与されている場合がある。この場合、本来の器具と異なる個体情報が付与された器具の個体情報によって、手術セットが特定されるように、器具および個体情報が、当該手術セット20に関連付けてシステム10に登録されているとよい。
図5では、器具の画像752に、アイコン732(
図6B参照)が添えられている。
【0059】
図6Cに示されたアイコン733は、個体情報が付いた器具または構成部品であることを示すためのアイコンである。
図5では、例えば、器具の画像753に、個体情報が付いた器具であることを示すアイコンが添えられている。
図6Dに示されたアイコン734は、個体情報が付いていない器具であることを示すためのアイコンである。上述のように個体情報は、1mm〜4mm角程度の二次元シンボルで構成されうるが、器具の形状や材質によっては二次元シンボルを付けることができない場合もある。そのような器具は、個体情報が付いていない器具として扱われる。
図5では、例えば、器具の画像754に、アイコン733(
図6C参照)が添えられている。
【0060】
これらのアイコン群731〜734は、例えば、システム10に予め登録、つまり、処理装置13に予め記憶されているとよい。そして、処理装置13は、例えば、器具IDまたは部品IDに関連付けられた情報に基づいて、器具および構成部品に関連付けてアイコンが表示されるようにプログラムされているとよい。
【0061】
この実施形態では、処理装置13は、
図1に示されているように、他に、種々の処理モジュールを備えていてもよい。処理装置13は、種々の処理モジュールを備えており、所要の処理モジュールの処理が適宜に利用されうるように、システム10の設定が変更されるように構成されているとよい。
【0062】
例えば、処理装置13は、処理モジュールとして、
図1に示されているように、第5処理部205と第6処理部206とを備えていてもよい。
第5処理部205は、構成部品の個体情報がリーダー11によって検知された際に、検知された個体情報に基づいて構成部品が属する器具を特定するようにプログラムされている。第5処理部205によれば、処理装置13は、リーダー11で構成部品の個体情報が検知された場合に、当該個体情報で特定される構成部品の部品IDおよび当該構成部品が属する器具IDを特定する。例えば、当該個体情報と、第3記憶部103と、第2記憶部102とに基づいて、当該個体情報で特定される構成部品の部品IDおよび当該構成部品が属する器具IDが特定されるようにプログラムされているとよい。
【0063】
第6処理部206は、第5処理部205で特定された器具に属する構成部品を、洗浄方法に関連付けて表示装置12に表示するようにプログラムされている。
かかる第5処理部205と第6処理部206によれば、システム10は、リーダー11で構成部品の個体情報が検知された場合に、手術セット20は表示されず、当該構成部品が属する器具に属する構成部品と、その洗浄方法が特定される。具体的な態様として、処理装置13は、当該構成部品が属する器具に属する構成部品と、その洗浄方法を、表示装置12に一覧表示されるように構成されてもよい。
【0064】
第7処理部207は、リーダー11によって構成部品の個体情報が検知された際に、表示装置に第2振分ボタンを表示するようにプログラムされている。
第8処理部208は、第2振分ボタンが操作された際に、検知された個体情報に基づいて特定された器具に属する構成部品を、第4記憶部104で関連付けられた洗浄方法毎に分けて表示装置12に表示するようにプログラムされている。
かかる第7処理部207および第8処理部の処理によれば、リーダー11によって構成部品の個体情報が検知された際に、当該構成部品が属する器具が特定され、当該器具に属する構成部品が、洗浄方法毎に分けられて表示装置12に表示される。
【0065】
第9処理部209は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、個体情報によって特定される器具または構成部品が属する手術セットに属する器具および構成部品を、第4記憶部104で関連付けられた洗浄方法毎に分けて表示装置12に表示するようにプログラムされている。第9処理部209の処理によれば、リーダー11によって個体情報が検知された際に、個体情報によって特定される器具または構成部品が属する手術セットが特定される。さらに、手術セットに属する器具および構成部品が洗浄方法毎に分けられて表示装置12に表示される。
【0066】
つまり、第9処理部209の処理によれば、リーダー11によって個体情報が検知された際に、例えば、
図5に示されているように、手術セットに属する器具および構成部品が洗浄方法毎に分けられた画面を表示装置12に表示することができる。この場合、システム10は、かかる第9処理部209の処理を主たる処理とし、リーダー11によって個体情報が検知された際に、
図5に示されているように、手術セットに属する器具および構成部品が洗浄方法毎に分けられて表示装置12に表示されるように構成してもよい。
【0067】
図7は、異なる複数の手術セットに属する器具および構成部品がそれぞれ手術セット毎に分けられて表示された画面を示すイメージ図である。
図7は、例えば、リーダー11によって異なる複数の手術セットの器具または構成部品の個体情報が検知された際に表示される画面が例示されている。手術セットに属する器具および構成部品には、それぞれ洗浄方法を示すアイコン(
図6A〜
図6D参照)が併せて表示されている。
【0068】
上述のように、第1処理部201は、リーダー11によって検知された個体情報および第3記憶部および第2記憶部に記憶された情報に基づいて、器具IDまたは部品IDを特定し、さらにセットIDを特定し、器具または構成部品が属する手術セットを特定する。
第2処理部202は、第1処理部201で特定された手術セットに属する器具および構成部品と、洗浄方法とを関連付けて表示装置に表示するための処理部である。
システム10は、リーダー11によって異なる複数の手術セットの器具または構成部品の個体情報が検知された際には、それぞれ個体情報に基づいて手術セットが特定される。そして、
図7に示されているように、手術セット毎に、手術セットに属する器具および構成部品が、洗浄方法とともに表示されるように構成されていてもよい。
【0069】
ここで、
図7では、4つの手術セット20〜23に関する情報が表示される欄801〜804が左から右に順に並んで表示されている。各欄801〜804の上段には、手術セット名を表示する欄811、器具および構成部品の点数を表示する欄812、手術セットの画像を表示する欄813がそれぞれ設けられている。このうち、器具および構成部品の点数を表示する欄812は、手術セット20〜23に属する器具および構成部品の全体の点数が分母に表示され、振分け済みの点数が分子に表示されている。また、各欄801〜804の上段がクリックされるなどの操作で指定されると、手術セット20〜23に関する情報が一覧から独立してポップアップ表示されるように構成されている。つまり、
図5で示されるように、手術セット毎の画面が表示されるようにプログラムされている。
【0070】
各欄801〜804には、上記の上段に続いて、器具および構成部品毎の情報が表示される欄が設けられている。器具および構成部品毎の情報が表示される欄は、振分け済みの器具および構成部品は暗く表示されている。
図7では、一番左の手術セット20の欄801では、当該手術セットに属する全ての器具および構成部品が振分け済みとなった状態が示されている。また、左から2番目の手術セット21の欄802では2つの器具および構成部品が振分け済みとなった状態が示されている。左から3番目の手術セット22の欄803では1つの器具および構成部品が振分け済みとなった状態が示されている。左から4番目の手術セット23の欄804では2つの器具および構成部品が振分け済みとなった状態が示されている。なお、ここで器具および構成部品毎の情報が表示される欄が、クリックされるなどの操作で指定されると、器具および構成部品毎の情報が一覧から独立してポップアップ表示されるように構成されている。
【0071】
処理装置13は、第5記憶部105と、第1振分部241とを備えていてもよい。
第5記憶部105は、器具IDまたは部品IDと、器具または構成部品が洗浄振分け作業において振分けられた日時とを関連づけて記憶するための記憶部である。
第1振分部241は、器具IDまたは部品IDと、器具または構成部品が洗浄振分け作業において振分けられた日時を特定し、第5記憶部105に記憶するようにプログラムされている。
【0072】
図8は、第5記憶部105のデータベース440の構成例である。
第5記憶部105は、
図8に示されているように、器具IDまたは部品IDと、器具または構成部品が洗浄振分け作業において振分けられた日時とを関連づけて記憶する構成であればよい。ここで、
図8では、手術セットのセットID,器具ID,部品ID,洗浄方法ID,ユーザーID,個体情報としてのGS1コード,振分日時を記憶するための欄441〜447が設けられている。欄441〜447は、器具IDまたは部品IDにそれぞれ関連づけられている。
【0073】
このうち、洗浄方法ID444の欄は、器具または構成部品の洗浄方法に対してアイコンを表示させるのに用いられる。ユーザーIDの欄445は、作業者に割り当てられているIDであり、当該振分け作業を実施した作業者を特定するためのIDである。この実施形態では、例えば、処理装置13は、振分け作業を行う作業者について、ユーザーIDを登録させる。そして、振分日時が記録されるのに合わせて登録されたユーザーIDが記録されるように構成されているとよい。GS1コードの欄446は、リーダー11で個体情報が読み込まれた場合に当該個体情報から特定されるGS1コードが記録される欄である。振分日時の欄447は、当該器具または構成部品が振分けられた時間が記録される欄である。
【0074】
第1振分部241は、例えば、表示装置12によって表示された器具または構成部品にボタンを設け、かつ、当該ボタンが操作された日時に基づいて器具IDまたは部品IDと振分けられた日時とを特定し、第5記憶部105に記憶するようにプログラムされていてもよい。表示装置12がタッチパネルであれば、ユーザーは、表示装置12によって表示された器具または構成部品をタッチするとよい。これにより、表示装置12によって表示された器具または構成部品で特定される器具IDまたは部品IDと、当該器具または構成部品が振分けられた日時とが特定される。この場合、ユーザーは、表示装置12によって表示された器具または構成部品をタッチした時間が、振分日時の欄447に記録される。
【0075】
他の形態として、第1振分部241は、例えば、リーダー11によって個体情報が検知された際に、器具IDまたは部品IDと、器具または構成部品が振分けられた日時を特定し、第5記憶部105に記憶するようにプログラムされていてもよい。つまり、検知された個体情報に基づいて器具IDまたは部品IDを特定し、当該器具IDまたは部品IDで特定される器具または構成部品が振分けられた日時を特定し、第5記憶部105に記憶するようにプログラムされていてもよい。
【0076】
処理装置13は、第2振分部242を備えていてもよい。第2振分部242は、第5記憶部105に基づいて、振分け済みの器具または構成部品を特定し、当該振分け済みの器具または構成部品の表示パターンを変更するようにプログラムされている。
かかる第2振分部242によれば、振分け済みの器具または構成部品の表示パターンが変更されるので、表示装置12に表示された器具または構成部品を見ると、振分け済みか否かが直ぐに分かる。ここで、第2振分部242は、例えば、第5記憶部105に振分けられた日時が記憶されている、器具または構成部品を振分け済みと判定するようにプログラムされていてもよい。
【0077】
処理装置13は、第6記憶部106と、第3振分部243とを備えていてもよい。
第6記憶部106は、セットIDと、セットIDで特定される手術セットの洗浄振分け作業が開始された日時と、終了した日時とを関連づけて記憶するための記憶部である。
第3振分部243は、洗浄振分け作業が施される手術セットのセットIDと、振分け作業が開始された日時と、振分け作業が終了した日時とを特定し、第6記憶部106の振分開始日時と振分終了日時に記憶するようにプログラムされているとよい。
この場合、手術セットの洗浄振分け作業が開始された日時と、終了した日時とが記録されるので、手術セットがいつ洗浄振分け作業が開始され、終了されたかを把握することができる。
【0078】
図9は、第6記憶部106のデータベース460の構成例である。
図9では、手術セットのセットID,ユーザーID,振分開始日時、振分終了日時を記憶するための欄461〜464が設けられている。
図9に示された実施形態では、ユーザーIDを併せて記録する欄464があるので、後日、誰が洗浄振分け作業を行ったかが把握できる。
第3振分部243は、例えば、
図3に示されているように、これから振分ける手術セットが表示装置12に表示されている状態において、振り分けボタン621(
図4参照)が押された時間を、第6記憶部106の振分開始日時の欄463に記録するように構成されているとよい。
また、第3振分部243は、例えば、セットIDで特定される手術セットに属する器具および構成部品が全て振分けられた日時を、振分終了日時の欄464に記録するようにプログラムされているとよい。
【0079】
ここでは、
図5および
図7において、回収工程から洗浄工程までの器具および構成部品の振分け作業が例示されているが、上述したシステム10の作業工程を管理する処理、例えば、第5記憶部105,第6記憶部106,第10処理部210から第13処理部213の処理などは、組立作業のような他の工程の作業にも適宜に適用されうる。
【0080】
処理装置13は、
図1に示されているように、第1画像記憶部141と、第14処理部214とを備えていてもよい。
第1画像記憶部141は、セットIDと、セットIDで特定される手術セットの画像とを関連付けて記憶するための記憶部である。
第14処理部214は、第1画像記憶部141と、セットIDに関連付けられた手術セットの画像を、表示装置12に表示するようにプログラムされている。
【0081】
処理装置13が第1画像記憶部141と、第14処理部214とを備えていれば、システム10は、適宜に、セットIDに関連付けられた手術セットの画像を、表示装置12に表示することができる。第14処理部214の処理モジュールを備えている場合、システム10は、
図4、
図5および
図7に示されているように、セットIDが特定されることによって、適宜に手術セットの画像が表示されるようにプログラムされうる。この場合、ユーザーは、表示装置12に表示された画像から手術セットの構成を視覚的に認識でき、手術セットの構成を理解することが容易になる。
図3に示されたデータベースでは、画像ファイルを記憶する欄408にセットIDに関連付けられた手術セットの画像ファイルを特定する情報が記憶されている。処理装置13は、当該情報を基に第1画像記憶部141にアクセスしてセットIDに関連付けられた手術セットの画像を表示するように構成されているとよい。
【0082】
処理装置13は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、個体情報によって特定される器具または構成部品が属する手術セットのセットIDを特定し、当該セットIDで特定される手術セットの画像を表示するようにプログラムされていてもよい。この場合、リーダー11によって個体情報が検知された際に、個体情報で特定される器具または構成部品が属する手術セットの画像が表示される。したがって、ユーザーは、リーダー11で個体情報を検知させることによって、当該器具または構成部品が属する手術セットの画像が得られる。器具または構成部品を見ただけでは、手術セットが分からない場合でも、器具または構成部品が属する手術セットを把握することが容易になる。
【0083】
処理装置13は、
図1に示されているように、第2画像記憶部142と、第15処理部215とを備えていてもよい。
第2画像記憶部142は、器具IDと、器具IDで特定される器具の画像とを関連付けて記憶するための記憶部である。
第15処理部215は、器具IDに関連付けられた器具の画像を、表示装置12に表示するようにプログラムされている。
【0084】
処理装置13が第2画像記憶部142と、第15処理部215とを備えていれば、システム10は、適宜に、器具IDに関連付けられた器具の画像を、表示装置12に表示することができる。例えば、
図5に示されているように、器具を表示する際に器具の画像を表示装置12に表示することができる。また、この場合、器具の画像を拡大表示する処理部を備えていてもよい。器具の画像を拡大表示する処理によって、当該器具の細部の形状を表示装置12に表示された画像から確認することができる。これにより、ユーザーは、器具の特徴を理解しやすくなる。
【0085】
この場合、器具の画像には、器具に個体情報が付与された位置を示す印が付けられていてもよい。例えば、
図5の器具の画像753には、個体情報が付与された位置を示す印753aが付けられている。つまり、個体情報は、1mm〜4mm角程度の小さな二次元シンボルでありうる。このため、器具のどの位置に個体情報が付けられているかが分かりにくい場合がある。
図5に示されているように、器具の画像753に個体情報が付与された位置を示す印753aが付けられていることによって、個体情報が付けられた位置が容易に分かるようになる。
【0086】
図3に示されたデータベースでは、画像ファイルを記憶する欄408に器具IDおよび部品IDに関連付けられて器具の画像ファイルおよび構成部品の画像ファイルを特定する情報が記憶されている。処理装置13は、当該情報を基に第2画像記憶部142および第3画像記憶部143にアクセスしてセットIDに関連付けられた手術セットの画像を表示するように構成されているとよい。
【0087】
処理装置13は、
図1に示されているように、第3画像記憶部143と、第16処理部216とを備えていてもよい。
第3画像記憶部143は、部品IDと、部品IDで特定される構成部品の画像とを関連付けて記憶するための記憶部である。
第16処理部は、部品IDに関連付けられた構成部品の画像を、表示装置12に表示するようにプログラムされている。
処理装置13が第3画像記憶部143と、第16処理部216とを備えていれば、システム10は、適宜に、部品IDに関連付けられた構成部品の画像を、表示装置12に表示することができる。例えば、構成部品を表示する際に構成部品の画像を表示装置12に表示することができる。この場合、構成部品の画像を拡大表示する処理部を備えていてもよい。これにより、ユーザーは、構成部品の特徴を理解しやすくなる。
【0088】
この場合、構成部品の画像には、当該構成部品に個体情報が付与された位置を示す印が付けられていてもよい。つまり、個体情報は、1mm〜4mm角程度の小さな二次元シンボルでありうる。このため、構成部品のどの位置に個体情報が付けられているかが分かりにくい場合がある。構成部品の画像に個体情報が付与された位置を示す印が付けられていることによって、個体情報が付けられた位置が容易に分かるようになる。
図5では、器具の画像に個体情報が付与された位置を示す印が付けられているが、構成部品においても同様の印が付与されているとよい。
【0089】
処理装置13は、
図1に示されているように、第7記憶部107と、第17処理部217とを備えていてもよい。
第7記憶部107は、個体情報が有ること、または、個体情報が無いことを示す第1判定子を、器具IDおよび部品IDに関連付けて記憶するための記憶部である。
ここで、第1判定子は、図示は省略されているが、例えば、
図3に示されているようなデータベースにおいて、器具IDおよび部品IDに関連付けて記憶されているとよい。
第17処理部217は、器具または構成部品と、個体情報の有無とを関連付けて表示装置12に表示するようにプログラムされているとよい。
処理装置13が第7記憶部107と第17処理部217とを備えている場合には、システム10は、器具または構成部品に個体情報が有ること、または、個体情報が無いことを、器具または構成部品の情報に添えて表示装置12に表示することができる。
【0090】
処理装置13は、
図1に示されているように、第4画像記憶部144を備えていてもよい。
第4画像記憶部144は、個体情報が付されていることを示す第1アイコン733(
図6C参照)と、個体情報が付されていないことを示す第2アイコン734(
図6D参照)とを記憶するための記憶部である。
この場合、第17処理部217は、第1判定子に応じて第1アイコン733または第2アイコン734を表示装置12に表示するようにプログラムされているとよい。
例えば、
図5に示されているように、器具および構成部品の情報に添えて、第1アイコン733および第2アイコン734を表示することができる。この場合、ユーザーは、器具および構成部品に、個体情報が付されているか否かを、アイコン733,734で判別できる。このため、ユーザーは、アイコン733,734により個体情報が付されているか否かが容易に判定できる。
【0091】
上述した第7記憶部107は、さらに個体情報の有無が不明であることを示す第2判定子を、器具IDおよび部品IDに関連付けて記憶していてもよい。この場合、システム10は、器具または構成部品に個体情報が有ることが不明であることを、器具または構成部品の情報に添えて表示装置12に表示することができる。ここで、第2判定子は、例えば、
図3に示されているようなデータベースにおいて、器具IDおよび部品IDに関連付けて記憶されているとよい。
【0092】
この場合、第4画像記憶部144は、上述した第1アイコン733と第2アイコン734に加えて、個体情報の有無が不明であることを示す第3アイコン731(
図6A参照)を記憶しているとよい。そして、第17処理部217は、第1判定子および第2判定子に応じて、第1アイコン733と第2アイコン734と第3アイコン731とのうち何れか1つのアイコンを、器具または構成部品の情報に添えて表示装置12に表示するようにプログラムされているとよい(
図5および
図6A〜
図6D参照)。この場合、ユーザーは、器具および構成部品に、個体情報が付されているか否か、さらに、個体情報が付されているか否かが不明であることを、アイコン731,733,734(
図6A〜
図6D参照)で判別できる。このため、個体情報が付されているか否かが容易に判定できる。
【0093】
処理装置13は、
図1に示されているように、第5画像記憶部145と、第18処理部218とを備えていてもよい。
第5画像記憶部145は、洗浄方法IDに一対一で割り当てられた画像データを記憶するための記憶部である。
第18処理部218は、洗浄方法IDに割り当てられた画像データを表示装置12に表示するようにプログラムされているとよい。
この場合、
図4に示されているように、洗浄方法が予め定められた画像(
図4に示された実施形態では、アイコン601〜604)で表示されている。この場合、ユーザーは、アイコン601〜604のような視覚で認識可能なイメージによって洗浄方法を認識させることができる。
【0094】
また、処理装置13は、
図1に示されているように、第19処理部219を備えていてもよい。
第19処理部219は、セットIDで特定される手術セットのうち、1の手術セットが特定された際に、当該特定された手術セットに属する器具および構成部品と、洗浄方法とを関連付けて、表示装置12に表示するようにプログラムされているとよい。つまり、第19処理部219は、手術セットを特定して表示する処理モジュールである。処理装置13が、このような第19処理部219を備えている場合には、任意の手法によって手術セットが特定されると、手術セットが表示されるように、システム10を設定することができる。ここで、1の手術セットを特定する手法には種々の手法が採用されうる。
【0095】
例えば、処理装置13は、第8記憶部108と、情報入力部161と、第20処理部220とを備えていてもよい。
第8記憶部108は、診療科に一対一で割り当てられた診療科IDと、セットIDとを関連付けて記憶するための記憶部である。第8記憶部108には、診療科IDと、セットIDとが予め定め関連付けられて記憶されているとよい。
情報入力部161は、診療科が入力されるようにプログラムされているとよい。ここで、情報入力部161は、予め用意された診療科から一の診療科が選択されるように構成されていてもよい。
第20処理部220は、情報入力部161で入力された診療科の診療科IDに関連付けられたセットIDを抽出するようにプログラムされているとよい。
【0096】
図10は、ユーザーが手術セットを検索するための条件設定画面を示す図である。
図10には、外科、眼科、整形外科、口腔外科、耳鼻科、整形外科、脳外科、泌尿器科、婦人科、麻酔科、ラパロなど、それぞれ診療科を選択するためのタグ群851が用意されている。それぞれタグには、当該診療科に一対一で割り当てられた診療科IDが関連付けられており、ユーザーが当該タグを選択することによって、診療科IDが特定される。そして、当該診療科IDに関連付けられたセットIDが抽出される。
また、
図10では、ユーザーに手術セットの名称や手術セットに関する情報をテキスト入力する入力部852と、検索ボタン853が設けられている。
図10の形態では、入力部852に入力された種々の情報に基づいて、システム10に予め記憶された種々の情報から手術セットが抽出されるように構成されていてもよい。
【0097】
以上の通りに、ここで提案される手術セットの洗浄管理システムの一実施形態を種々説明したが、ここで提案される手術セットの洗浄管理システムは、上述した実施形態に限定されない。また、ここで提案される手術セットの洗浄管理システムは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【0098】
なお、ここで提案される手術セットの洗浄管理システムは、かかる形態に限定されず、一台のコンピュータでも具現化されうる。例えば、カメラを備えたタブレット端末は、カメラによって得られる画像を解析して器具の個体情報を取得するリーダー11としての機能を組み込むことができる。また、タブレット端末のディスプレイを、表示装置12として機能させることができる。さらにタブレット端末に組み込まれたコンピュータを、処理装置13として機能させることができる。