(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、自動二輪車1が前進する方向を前として、前後左右の方向を定義する(即ち、自動二輪車1に乗車した運転者から見た方向で左右方向を定義する)。従って、前後方向は車長方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。また、鉛直方向上側及び下側を上側及び下側と定義する。また、位置関係、大きさ、又は形状等を説明する用語は、その用語の意味が完全に成立している状態だけでなく、その用語の意味が略成立している状態も含むものとする。また、AがBに取り付けられている(支持されている)と称したときにおいて、AがBに直接取り付けられている(支持されている)構成だけでなく、他の取付部材等を介してAがBに取り付けられている(支持されている)構成も含むものとする。
【0013】
<自動二輪車1の全体構成>初めに、自動二輪車1の概要について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、自動二輪車1の側面図である。
図2は、自動二輪車1の平面図である。
図1に示すように、自動二輪車1は、エンジン40と、前輪22と、後輪25と、を備える。これらの部材は、車体フレーム10によって支持されている。車体フレーム10は、ヘッドパイプフレーム11と、メインフレーム12と、リアフレーム13と、リアステー14と、を含んで構成されている。
【0014】
ヘッドパイプフレーム11には、図略のステアリングシャフトを挿入するためのシャフト挿入孔が形成されている。ヘッドパイプフレーム11の上部及び下部には、それぞれ
図2に示すアッパーブラケット16及び図略のロアブラケットが取り付けられている。アッパーブラケット16及びロアブラケットには、左右一対で配置されるフロントフォーク21を挿入するためのフォーク挿入孔がそれぞれ形成されている。この構成により、アッパーブラケット及びロアブラケットは、フロントフォーク21を支持している。フロントフォーク21の下部には前輪22が回転可能に取り付けられている。また、前輪22の上部には、フロントフェンダ23が配置されている。
【0015】
ヘッドパイプフレーム11には、前後方向に延びるメインフレーム12が接続されている。メインフレーム12は、左右一対で配置されており、ヘッドパイプフレーム11の後部から後方に延びる(詳細には後ろ斜め下方に延びる)前メインフレーム12aと、前メインフレーム12aから下方に延びる後メインフレーム12bと、で構成されている。なお、前メインフレーム12aと後メインフレーム12bが異なる部材から構成されていてもよい。メインフレーム12の前メインフレーム12aの後端部には、左右一対のリアフレーム13及びリアステー14がそれぞれ取り付けられている。リアフレーム13は、リアステー14よりも上方に配置されている。
【0016】
リアフレーム13及びリアステー14は、メインフレーム12から後方(詳細には後ろ斜め上方)に延びるように配置されている。また、リアフレーム13には、左右の間隔が狭くなっている狭小部13aが形成されている。狭小部13aが形成されている部分では、平面視でリアフレーム13がリアステー14と重なるか、リアフレーム13がリアステー14よりも内側に位置している。一方で狭小部13aよりも後方では、平面視でリアフレーム13がリアステー14と重なるか、リアフレーム13がリアステー14よりも外側に位置している。
【0017】
メインフレーム12の後メインフレーム12bには、スイングアーム24が取り付けられている。スイングアーム24の前端は、後述の
図3及び
図4に示すリアサスペンション15によって弾性的に支持されている。スイングアーム24は、
図1に示すように後方に延びるように配置されている。スイングアーム24の後部には、後輪25が回転可能に取り付けられている。エンジン40で発生した動力は、図略のドライブチェーンを介して後輪25に伝達される。また、後輪25の上部(後輪25の近傍)には、リアフェンダ26が配置されている。リアフェンダ26は、スイングアーム24と同様にリアサスペンション15によって弾性的に支持されており、スイングアーム24及び後輪25が揺動した場合は、これらと一体的に揺動する。
【0018】
後輪25の上方であって後述のリアシート44の下方には、リアフレームカバー27が配置されている。リアフレームカバー27は、リアフレーム13及びリアステー14(特にこれらの後部)の周囲を覆う。リアフレームカバー27は、車体フレーム10(リアフレーム13、リアステー14)に支持されており、スイングアーム24及び後輪25が揺動した場合であっても、これらと一体的には揺動しないように構成されている。
【0019】
図1に示すように、前輪22の上方であって、自動二輪車1の前部には、前照灯31が配置されている。前照灯31は左右一対で配置されており、自動二輪車1の前方を照射する。
【0020】
前照灯31の後部の上方には、ウインドシールド32が配置されている。ウインドシールド32は、走行風の導風を行うことで、走行風を運転者に当たりにくくする。従って、ウインドシールド32は、下端部(基端部)から後ろ斜め上方に延びるように配置されている。
【0021】
ウインドシールド32の後方には、車速、エンジン回転速度、及び警告情報等を表示可能なメータ装置34が配置されている。メータ装置34の更に後方には、ステアリングハンドル35が配置されている。運転者がステアリングハンドル35を回動させることで、フロントフォーク21が回動するため、自動二輪車1を旋回させることができる。また、ステアリングハンドル35の少なくとも前側には、ステアリングハンドル35を覆うハンドルカバー36が配置されている。
【0022】
ステアリングハンドル35の後方であって、エンジン40の上方には、エンジン40に供給するための燃料が貯留される燃料タンク41が配置されている。燃料タンク41の後方には、運転者が着座するためのフロントシート42が配置されている。フロントシート42の下方には、フロントシート42に着座した運転者が足を載せるためのフロントステップ43が配置されている。運転者は、フロントシート42に着座し、燃料タンク41及びその下方を足で挟み、フロントステップ43に足を載せることで、体を安定させるとともに重心を左右に移動させて操舵の一部を行う。
【0023】
フロントシート42の後方には、同乗者が着座するためのリアシート44が配置されている。リアシート44は、上述のリアフレームカバー27の上部に配置されている。リアシート44の下方であってスイングアーム24の上方には、リアステップ45が配置されている。同乗者は、リアシート44に着座してリアステップ45に足を載せることで体を安定させる。
【0024】
自動二輪車1は、
図1等に示すように、フロントカウル51と、サイドカウル52と、を備える。フロントカウル51は、主に車体前部、具体的には前照灯31の周囲及びウインドシールド32の基端部等を覆う部分に配置されている。サイドカウル52は、主に車体側面、具体的には、
図1等に示すように、ステアリングハンドル35の下方及び燃料タンク41の下方等の部分に配置されている。
【0025】
<シート下の構成>次に、シート下に配置される装置(特にECU71及びバッテリー72)のレイアウトについて
図3から
図5を参照して説明する。
図3は、ECU71が配置される箇所を左右方向に垂直な平面で切った一部断面図である。
図4は、バッテリー72が配置される箇所を左右方向に垂直な平面で切った一部断面図である。
図5は、フロントシート42及びリアシート44を取り外した状態の平面図である。
【0026】
図3から
図5に示すように、フロントシート42及びリアシート44の下方には、収容ケース60が配置されている。収容ケース60は、リアフレーム13及びリアステー14に取り付けられている。収容ケース60は、左右一対のリアフレーム13の間、及び、左右一対のリアステー14の間を含む空間に配置されている。収容ケース60は、各種機器又は当該機器を取り付けるためのブラケット等を配置するための底面を有している。
【0027】
収容ケース60は、前側収容部60aと、前側収容部60aの後側の後側収容部60bと、を含んで構成されている。本実施形態では前側収容部60aと後側収容部60bは1つの部材であり一体的に構成されているが、別部材であってもよい。前側収容部60aは、フロントシート42の下方に位置している部分である。後側収容部60bは、リアシート44の下方に位置している部分であってリアフレームカバー27の内部に位置している部分である。フロントシート42はリアシート44よりも下方に位置しているため、前側収容部60aも後側収容部60bより下方に位置している。また、リアフレームカバー27は、後輪25等に対して上下方向に揺動するため、リアフレームカバー27と後輪25は所定距離以上の間隔を空けて配置する必要がある。そのため、リアフレームカバー27の上下方向のサイズは小さくなり易い。従って、後側収容部60bの上下方向のサイズも(前側収容部60aと比較して)小さくなる。
【0028】
<前側収容部60aに配置される機器>収容ケース60の前側収容部60aには、ECU71と、バッテリー72と、マグネチックスイッチ73と、リレーボックス74と、が配置されている。
【0029】
ECU(エンジン制御ユニット)71は、エンジン40に関する制御(例えば、上述の燃料噴射制御及び点火時期調整制御等)を行う演算装置等から構成されている。ECU71は、基板及びそれを収容するハウジングからなる本体部71aと、本体部71aにECUハーネス81を取り付けるためのコネクタ71bと、を備えている。コネクタ71bの下端は、前輪22の上端及び後輪25の上端よりも低い位置に配置されている。ECU71は図略のゴム部材及び取付ブラケット61を介して収容ケース60に取り付けられている。
【0030】
バッテリー72は、エンジン40と一体的に設けられた発電機(オルタネータ)が発生させた電力を貯留する。バッテリー72は、正端子(プラス端子)72aと、負端子(マイナス端子)72bと、を備えている。正端子72aと負端子72bは前後方向に並ぶように、かつ、正端子72aが負端子72bよりも前側となるようにバッテリー72が配置されている。あるいは、正端子72aが負端子72bよりも後側となるようにバッテリー72が配置されていてもよい。正端子72aには、電装品(例えばマグネチックスイッチ73)が接続される。また、負端子72bは車体フレーム10等に接続される。
【0031】
また、フロントシート42の下部にはバッテリー抑え部62が配置されている。バッテリー抑え部62は弾性変形することが可能なゴムダンパ等である。バッテリー抑え部62は、フロントシート42を装着したときにバッテリー72の上面に接触する位置に配置されている。この構成により、フロントシート42を装着するだけでバッテリー72の移動を規制することができる。バッテリー72はゴムバンド等を用いて位置が固定される場合と比較して、本実施形態の方法を用いることにより、ゴムバンド等を引っ掛ける部分が不要となる。また、
図4等に示すようにバッテリー72は収容ケース60から上方に延びる壁部によっても位置が規制されている。
図4ではバッテリー72の前後方向の位置ズレを規制する壁部が示されている。また、バッテリー72の車幅方向にも同様の壁部が形成されており、バッテリー72の車幅方向の位置ズレを規制する。
【0032】
マグネチックスイッチ73は、エンジン40を始動させるためにスタータモータに電力を供給するリレー(即ちスタータリレー)である。リレーボックス74は、複数のリレーが収容された筐体である。マグネチックスイッチ73は、ECU71を収容ケース60に取り付けるための上述の取付ブラケット61に取り付けられている。
【0033】
ここで、ECU71を収容ケース60から取り外すためには、マグネチックスイッチ73及び燃料タンク41を取り外す必要がある。具体的に説明すると、取付ブラケット61はマグネチックスイッチ73の下方で図略の固定具を用いて収容ケース60に取り付けられている。従って、工具を用いて固定具を取り外すスペースを確保するために、マグネチックスイッチ73を取り外す必要がある。更に、マグネチックスイッチ73の上方には、燃料タンク41の後端が位置している。従って、マグネチックスイッチ73を取り外すため及び固定具を取り外すスペースを確保するために、燃料タンク41を取り外す必要がある。このように、本実施形態ではECU71を短時間で取り外せない構造となっているため、ECU71の盗難を防止したり、ECU71にアクセスして電子ロックを解除することによる自動二輪車1の盗難を防止したりすることができる。
【0034】
また、
図5に示すようにリレーボックス74にはハーネスが接続されており、このハーネスは、車幅方向の中央よりも左側を通るメインハーネス(複数のハーネスを束ねた大径のハーネス群)80に接続されている。なお、メインハーネス80は車幅方向の中央よりも右側を通る構成であってもよい。また、ECU71とメインハーネス80とは図略の複数のハーネスによって接続されているため、ECU71とメインハーネス80を車幅方向の同じ側(本実施形態では左側)に配置することで、ハーネスを短くすることができる。
【0035】
<ECU71及びバッテリー72のレイアウト>ECU71及びバッテリー72は直方体状である。ここで、本明細書では、直方体状とは、6面が正確な長方形である構成だけでなく、少なくとも1つの角部が面取りされている構成を含み、長方形の対向する辺が平行だけでなく略平行(例えば10°以下又は20°以下の誤差がある場合も含む)である構成を含み、更に、長方形の各辺が直線ではなく若干湾曲している構成も含む。言い換えれば、長辺(長手方向)が認識できる程度の略箱状であればよい。ECU71及びバッテリー72は直方体状であるため、3種類の長さの辺(短い順に、短辺、中辺、長辺)を有する。なお、これらの辺の2つが同じ長さであってもよい(この場合、短辺と長辺のみを有することとなる)。
【0036】
図3及び
図5に示すように、ECU71は、長辺が前方に近づくに連れて上方に近づくように斜めに配置されている。従って、
図5(平面視)においては、ECU71の長辺は前後方向に沿うように(長辺と前後方向とが近似するように)配置されていることとなる。ECU71の配置角度は、長辺が上下方向よりも前後方向に近くなるように(言い換えれば水平方向と長辺がなす鋭角が45°未満となるように)配置されている。また、ECU71の短辺は車幅方向に沿うように(短辺と車幅方向とが近似するように)配置されている。
【0037】
ECU71を上記のように斜めに配置することで、前後方向の配置スペースを小さくすることができる。更に、本実施形態では、下側の長辺からコネクタ71bを延ばし、ECUハーネス81を前方へ配索するため、ECUハーネス81をあまり曲げる必要がない。従って、ECUハーネス81を含めた上下方向の配置スペースを小さくすることができる。また、ECUハーネス81に掛かる負荷を軽減できる。
【0038】
図3及び
図5に示すように、バッテリー72は、側面視及び平面視の何れにおいても、長辺が前後方向に沿うように(長辺と前後方向とが近似するように)配置されている。また、
図5に示すように、バッテリー72の短辺は車幅方向に沿うように(短辺と車幅方向とが近似するように)配置されている。
【0039】
このように、ECU71及びバッテリー72は、平面視において、最も長い辺である長辺が車幅方向に沿うように配置されている。
【0040】
上述のように収容ケース60はリアフレーム13及びリアステー14の車幅方向の間の空間に配置されている。ECUの面積が最も大きい面を上下方向に向ける従来のレイアウトでは、ECUの車幅方向の配置スペースが大きくなるため、車幅方向にバッテリー等の別の部材を配置することはできない。この点、本実施形態では、ECU71及びバッテリー72は、短辺が車幅方向に沿うように配置されているため、車幅方向のサイズが小さい。従って、ECU71及びバッテリー72を車幅方向に並べて配置した場合(側面視で少なくとも一部の位置が重なるように配置した場合)であっても、車幅方向のサイズがリアフレーム13及びリアステー14の左右間隔を超えない。従って、ECU71及びバッテリー72を車幅方向に並べて収容ケース60(即ち、側面視でリアフレーム13及びリアステー14と重なる領域)に配置することができる。これにより、前後方向(本実施形態では特に後方)に広いスペースを確保することができる。
【0041】
特に、本実施形態では、リアフレーム13の左右の間隔が狭くなっている狭小部13aであっても、ECU71及びバッテリー72を車幅方向に並べて配置することができる。狭小部13aは、車幅方向の距離を短くして運転者の足つき性を向上させるという目的があるため、前後方向において、狭小部13aとフロントステップ43の位置と重なる範囲に形成されている。従って、狭小部13aはシート下において比較的前方に位置する。この比較的前方の位置にECU71及びバッテリー72を配置できるので、自動二輪車1の重心を運転者が着座するシートの近くにすることができるので、自動二輪車の運動性能を向上させることができる。また、本実施形態では、狭小部13aは、前後方向において、フロントステップ43からリアステップ45までの範囲及びフロントシート42と重なる範囲に形成されている。
【0042】
また、ECU71及びバッテリー72は、上下方向のサイズが異なる。具体的には、ECU71の上下方向のサイズは、バッテリー72の上下方向のサイズよりも大きい。そのため、
図3及び
図4に示すように、収容ケース60は、ECU71側(左側)の底面の位置が、バッテリー72側(右側)の底面の位置よりも下方となるように構成されている。そのため、バッテリー72の下方にはスペースが形成されることとなる。本実施形態では、このスペースにリアサスペンション15が配置されている。従って、
図3に示すように側面視でECU71(特にコネクタ71b)及びECUハーネス81とリアサスペンション15が重なるとともに、
図5に示すように平面視でバッテリー72とリアサスペンション15が重なる。
【0043】
特に、本実施形態ではリアサスペンション15は、前後方向に沿うように配置されている。更に詳細には、リアステップ45の配置角度は、長手方向が上下方向よりも前後方向に近くなるように(言い換えれば水平方向と長手方向がなす鋭角が45°未満となるように)配置されている。従って、バッテリー72の下側のスペースを一層有効に活用することができる。
【0044】
<後側収容部60bに配置される機器>本実施形態では、比較的大型の機器であるECU71及びバッテリー72を車幅方向に並べて配置しているため、後方に大きなスペースを形成することができるので、上記のように多数の機器を配置することが可能である。具体的には、収容ケース60の後側収容部60bには、前方から順に、車載工具入れ75と、サスペンションアクチュエータ76と、サスペンション制御ユニット77と、ETC車載器(車載通信機)78と、が配置されている。これらの部材は、収容ケース60に形成された壁部によって位置が規制されたり、収容ケース60に取り付けられたブラケットを介して取り付けられたりしている。
【0045】
車載工具入れ75は、レンチ、スパナ、及びペンチ等の自動二輪車1の修理及びメンテナンス等のための工具を入れるための袋又は箱等である。
【0046】
サスペンションアクチュエータ76は、リアサスペンション15及び図略のフロントサスペンションの少なくとも一方のイニシャル荷重を調整するためのアクチュエータ(詳細には油圧機器)である。イニシャル荷重は、プリロードとも称されており、サスペンションに予め(運転者の荷重とは別に付与しておく荷重)である。サスペンション制御ユニット77は、サスペンションアクチュエータ76を制御する演算装置等から構成されている。
【0047】
ETC車載器78は、ETC(登録商標、Electronic Toll Collectionの略語)システムを利用するための機器である。ETCシステムとは、無線通信により、有料道路の料金の支払い手続きを行うシステムである。具体的には、利用者の識別情報等が記憶されたETCカードが差し込まれることで、ETC車載器78は、当該識別情報を用いてETCゲート(有料道路の料金所に設けられるゲート)と無線通信を行う。これにより、有料道路の料金の支払い手続きが行われる。
【0048】
以上に説明したように、自動二輪車1は、燃料タンク41と、フロントシート42と、フロントステップ43と、前輪22及び後輪25と、車体フレーム10と、ECU71と、バッテリー72と、を備える。フロントシート42には、運転者が着座する。フロントステップ43には、運転者が足を載せる。車体フレーム10は、前後方向に接続されるメインフレーム12及びリアフレーム13を含んで構成されており、前後方向に延びる。ECU71は、車体フレーム10に支持されており、エンジン40を制御する。バッテリー72は、車体フレーム10に支持されている。ECU71とバッテリー72が車幅方向に並べて配置されている。ECU71及びバッテリー72はともに直方体であって最も短い辺である短辺が車幅方向に沿うように配置されている。
【0049】
これにより、ECU71及びバッテリー72の短辺が車幅方向に沿うように配置されて車体フレーム10に支持されることで、車幅方向の大きさを抑えつつ、ECU71及びバッテリー72を車幅方向に並べることができる。その結果、車体フレーム10のうちECU71及びバッテリー72の前方又は後方に比較的広いスペースを確保し易くなる。
【0050】
また、本実施形態の自動二輪車1において、ECU71及びバッテリー72は、側面視において、長辺が上下方向よりも前後方向に近くなるように配置されている。
【0051】
これにより、ECU71及びバッテリー72の上下方向の大きさを抑えることができるので、上下方向の配置スペースが限られた場所にもECU71及びバッテリー72が配置し易くなる。
【0052】
また、本実施形態の自動二輪車1において、ECU71の長辺は、前方に近づくに従って上方に近づくように傾斜して配置されており、側面視において下側の長辺にコネクタ71bが配置されており、当該コネクタ71bに配置されるECUハーネス81が前方に延びている。
【0053】
ECU71の下側の長辺が上下に傾斜していない場合は、ECU71から延びるECUハーネス81を前方に延ばすためには大きく屈曲させる必要があるため、ECUハーネス81に負荷が掛かるとともにECUハーネス81が占めるスペースが大きくなり易い。この点、上記のようにECU71の下側の長辺を前上がりとすることで、ECUハーネス81の負荷を抑えるとともに、ECUハーネス81が占めるスペースが小さくなり易い。
【0054】
また、本実施形態の自動二輪車1において、ECU71とECUハーネス81を接続する少なくとも1つのコネクタ71bの下端は、前輪22の上端及び後輪25の上端よりも低い位置に配置されている。
【0055】
これにより、前輪22と後輪25の間の空間を利用してECU71のコネクタ71bを配置できる。
【0056】
また、本実施形態の自動二輪車1において、以下の構成とする。即ち、この自動二輪車1は、後輪25から車体フレーム10へ伝達される振動を軽減するリアサスペンション15を備える。リアサスペンション15は、バッテリー72の下方であって、平面視においてバッテリー72と重なる位置であって、側面視でECU71と重なる位置に配置されている。リアサスペンション15は、側面視において、長手方向が上下方向よりも前後方向に近くなるように配置されている。
【0057】
これにより、バッテリー72とECU71の上下方向の大きさの違いに起因して生じるスペースを有効に活用してリアサスペンション15を配置することができる。特に、リアサスペンション15の長手方向が前後方向に近くなるため、上記のスペースを更に有効に活用できる。
【0058】
また、本実施形態の自動二輪車1において、リアフレーム13は左右一対で配置されており、フロントシート42の近傍において、左右の間隔が狭くなっている狭小部13aがある。ECU71及びバッテリー72は、狭小部における左右のリアフレーム13の間に配置されている。
【0059】
これにより、ECU71及びバッテリー72の前方又は後方では、リアフレーム13の間隔が広くなるため、一層広いスペースを確保できる。
【0060】
また、本実施形態の自動二輪車1において、以下の構成とする。即ち、燃料タンク41の後側に隣接するようにフロントシート42が配置されている。燃料タンク41又はフロントシート42の下方にフロントステップ43が配置されている。前後方向において、狭小部とフロントステップ43の位置が重なる。
【0061】
これにより、ECU71及びバッテリー72を比較的前方に配置することにより自動二輪車1の重心を運転者が着座するフロントシート42の近くにすることができるので、自動二輪車1の運動性能を向上させることができる。特に、本発明ではECU71及びバッテリー72の配置箇所の左右幅(狭小部の左右幅)を小さくすることができるので、運転者が地面に足をつき易いような構成が実現できる。
【0062】
また、本実施形態の自動二輪車1は、リアフレーム13の下方に配置されたリアステー14を備える。後方に近づくに従って、リアフレーム13とリアステー14の上下方向の間隔が狭くなる。側面視において、ECU71及びバッテリー72は、リアフレーム13及びリアステー14の両方と重なる。
【0063】
これにより、本発明ではECU71とバッテリー72の車幅方向のサイズを抑えることができるので、上記のように左右がリアフレーム13及びリアステー14で囲まれた空間においても、ECU71及びバッテリー72を車幅方向に並べて配置できる。
【0064】
また、本実施形態の自動二輪車1では、ECU71及びバッテリー72の後方に、リレーボックス74、リアサスペンション15のイニシャル荷重を調整するためのサスペンションアクチュエータ76、サスペンションアクチュエータ76を制御するサスペンション制御ユニット77、及びETC車載器78のうち少なくとも何れかが配置される。
【0065】
これにより、ECU71及びバッテリー72の後方の空間を活用して、比較的大きな電装品を配置することができる。
【0066】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0067】
<ECU及びバッテリーの配置>上記実施形態で示したECU71及びバッテリー72のレイアウトは一例であり、例えば以下のように変更することができる。即ち、上記実施形態では、ECU71が左側(メインハーネス80側)でバッテリー72が右側に配置されるが、ECU71が右側でバッテリー72が左側に配置される構成であってもよい。また、上記実施形態では、ECU71及びバッテリー72は、短辺が車幅方向と同じになるように配置されているが、短辺が上下方向と同じになるように配置されていてもよい。この場合、上下方向のサイズを小さくすることができる。また、上記実施形態では、ECU71とバッテリー72との短辺の向きが同じとなるように配置されているが、それぞれの短辺の向きが異なるように配置されていてもよい。また、上記実施形態ではECU71が傾斜されて配置されているが、例えばバッテリー72と同様に前後方向と長辺とが一致するように配置されていてもよい。
【0068】
<ECU及びバッテリーの後方に配置される他の機器>上記実施形態では、ECU71及びバッテリー72の後方の空間には、リレーボックス74、車載工具入れ75、サスペンションアクチュエータ76、サスペンション制御ユニット77、及びETC車載器78が配置されているが、これらのうち少なくとも1つを除外してもよいし、これらとは別の機器が配置されていてもよい。別の機器としては、レギュレータ、ヒューズボックス、ABS制御ユニット、CDI(キャパシター・ディスチャージド・イグニッション)、TCS(トラクションコントロールシステム)等の電装品又を挙げることができる。また、キャニスタ等の非電装品を配置することもできる。
【0069】
<リアシート及びリアステップ>上記実施形態の自動二輪車1は同乗者が乗車するためのリアシート44及びリアステップ45を備えるが、リアシート44及びリアステップ45を備えない構成であってもよい。
【0070】
<本発明の適用対象>上記実施形態では、ツアラータイプの自動二輪車に本発明を適用する例を説明したが、他の自動二輪車(ネイキッドタイプ、モトクロスタイプ、スーパースポーツタイプ、又はクルーズタイプ等)にも本発明を適用できる。