特許第6916084号(P6916084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車東日本株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6916084-車両用シート制御装置 図000002
  • 特許6916084-車両用シート制御装置 図000003
  • 特許6916084-車両用シート制御装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916084
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】車両用シート制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20210729BHJP
   B60N 3/06 20060101ALI20210729BHJP
   A47C 1/034 20060101ALI20210729BHJP
   A47C 7/50 20060101ALN20210729BHJP
【FI】
   B60N2/02
   B60N3/06
   A47C1/034
   !A47C7/50 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-205213(P2017-205213)
(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-77307(P2019-77307A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 隆
(72)【発明者】
【氏名】猪島 智宏
(72)【発明者】
【氏名】池田 政之
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−083297(JP,A)
【文献】 特開2005−289133(JP,A)
【文献】 特開2005−119340(JP,A)
【文献】 特開平05−319153(JP,A)
【文献】 特開2017−124674(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0197522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/90
B60N 3/06
A47C 1/034
A47C 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアシートの着座者の脚部を支持するオットマンであって且つ前記リアシートに向かって展開した展開位置と前記展開位置よりも車両前方に退避した退避位置との間で変位するオットマンを備え、アクチュエータの駆動により車両前後方向に動作するフロントシートの車両用シート制御装置であって、
フロントオート動作開始条件の成立により、前記アクチュエータを駆動し、前記フロントシートを予め設定された設定フロントシート位置まで自動で動作させるフロントオート動作を実行する制御部と、
前記オットマンが前記退避位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を許可し、前記オットマンが前記展開位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を制限する制限部と、を備え
前記フロントオート動作開始条件は、前記フロントシートに対応する位置に設けられるフロントオートスイッチが操作された場合と、前記リアシートに対応する位置に設けられるリアオートスイッチが操作された場合と、に成立する条件であり、
前記制限部は、前記リアオートスイッチが操作されることで前記フロントオート動作開始条件が成立するときには、前記オットマンが前記展開位置に位置する場合でも前記フロントオート動作の実行を許可する
車両用シート制御装置。
【請求項2】
リアシートの着座者の脚部を支持するオットマンであって且つ前記リアシートに向かって展開した展開位置と前記展開位置よりも車両前方に退避した退避位置との間で変位するオットマンを備え、アクチュエータの駆動により車両前後方向に動作するフロントシートの車両用シート制御装置であって、
フロントオート動作開始条件の成立により、前記アクチュエータを駆動し、前記フロントシートを予め設定された設定フロントシート位置まで自動で動作させるフロントオート動作を実行する制御部と、
前記オットマンが前記退避位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を許可し、前記オットマンが前記展開位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を制限する制限部と、を備え、
前記制御部は、前記フロントシートに対応する位置に設けられるフロントマニュアルスイッチが操作されている間、前記アクチュエータを駆動し、前記フロントシートを動作させるフロントマニュアル動作を実行し、
前記制限部は、前記オットマンの位置に関わらず、前記フロントマニュアル動作の実行を許可する
両用シート制御装置。
【請求項3】
前記フロントシートは、助手席であって、
前記フロントオート動作開始条件は、前記フロントシートに対応する位置である前記助手席の側方のドアに設けられるフロントオートスイッチが操作された場合に成立する条件である
請求項1又は請求項に記載の車両用シート制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、後列シートに着座する乗員の踵を支えるフットレスト装置を備えた前列シートが開示されている。このフットレスト装置は、前列シートのシートバックの後面に回動可能に取り付けられたフットレスト本体と、フットレスト本体を収納する収納位置とフットレスト本体を使用する使用位置との間でフットレスト本体を回動させるアクチュエータと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−289133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような前列シート及び後列シートを備える車両において、前列シートを動作させると、フットレスト本体と後列シートとの位置関係が変化する。このため、後列シートに着座する乗員がフットレスト本体を使用している場合には、当該乗員が不快感を覚えるおそれがある。本発明の目的は、フロントシートの動作時にリアシートの着座者に不快感を与えることを抑制できる車両用シート制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車両用シート制御装置は、リアシートの着座者の脚部を支持するオットマンであって且つ前記リアシートに向かって展開した展開位置と前記展開位置よりも車両前方に退避した退避位置との間で変位するオットマンを備え、アクチュエータの駆動により車両前後方向に動作するフロントシートの車両用シート制御装置であって、フロントオート動作開始条件の成立により、前記アクチュエータを駆動し、前記フロントシートを予め設定された設定フロントシート位置まで自動で動作させるフロントオート動作を実行する制御部と、前記オットマンが前記退避位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を許可し、前記オットマンが前記展開位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を制限する制限部と、を備え、前記フロントオート動作開始条件は、前記フロントシートに対応する位置に設けられるフロントオートスイッチが操作された場合と、前記リアシートに対応する位置に設けられるリアオートスイッチが操作された場合と、に成立する条件であり、前記制限部は、前記リアオートスイッチが操作されることで前記フロントオート動作開始条件が成立するときには、前記オットマンが前記展開位置に位置する場合でも前記フロントオート動作の実行を許可する
【0006】
上記構成によれば、オットマンが展開位置に位置することでリアシートの着座者がオットマンを使用している可能性がある場合には、フロントシートを設定フロントシート位置まで自動で動作させるフロントオート動作の実行が制限される。このため、車両用シート制御装置は、フロントシートの動作時に、リアシートの着座者に不快感を与えることを抑制できる。
【0008】
上記構成によれば、リアシートの着座者がオットマンを使用している可能性がある場合でも、リアオートスイッチの操作、すなわち、リアシートの着座者の意思でフロントオート動作開始条件が成立する場合には、フロントオート動作の実行が許可される。これは、フロントオート動作がリアシートの着座者の意思によるものであるため、フロントオート動作が実行されても、リアシートの着座者が不快感を覚えにくいためである。こうして、車両用シート制御装置は、リアシートの着座者に不快感を与えることを抑制しつつ、フロントシートの動作を過剰に制限することを抑制できる。
【0009】
上記課題を解決する車両用シート制御装置リアシートの着座者の脚部を支持するオットマンであって且つ前記リアシートに向かって展開した展開位置と前記展開位置よりも車両前方に退避した退避位置との間で変位するオットマンを備え、アクチュエータの駆動により車両前後方向に動作するフロントシートの車両用シート制御装置であって、フロントオート動作開始条件の成立により、前記アクチュエータを駆動し、前記フロントシートを予め設定された設定フロントシート位置まで自動で動作させるフロントオート動作を実行する制御部と、前記オットマンが前記退避位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を許可し、前記オットマンが前記展開位置に位置する場合には前記フロントオート動作の実行を制限する制限部と、を備え、前記制御部は、前記フロントシートに対応する位置に設けられるフロントマニュアルスイッチが操作されている間、前記アクチュエータを駆動し、前記フロントシートを動作させるフロントマニュアル動作を実行し、前記制限部は、前記オットマンの位置に関わらず、前記フロントマニュアル動作の実行を許可する。
上記構成によれば、オットマンが展開位置に位置することでリアシートの着座者がオットマンを使用している可能性がある場合には、フロントシートを設定フロントシート位置まで自動で動作させるフロントオート動作の実行が制限される。このため、車両用シート制御装置は、フロントシートの動作時に、リアシートの着座者に不快感を与えることを抑制できる。
【0010】
上記構成によれば、リアシートの着座者がオットマンを使用している可能性がある場合でも、フロントシートの着座者がフロントマニュアルスイッチを操作する場合には、フロントマニュアル動作の実行が許可される。これは、フロントシートの着座者とリアシートの着座者との間で声掛け等の意思疎通の結果、フロントシートの着座者がフロントマニュアルスイッチの操作を停止することで、フロントマニュアル動作を容易に停止できるためである。こうして、車両用シート制御装置は、リアシートの着座者に不快感を与えることを抑制しつつ、フロントシートの動作を過剰に制限することを抑制できる。
【0011】
上記車両用シート制御装置において、前記フロントシートは、助手席であって、前記フロントオート動作開始条件は、前記フロントシートに対応する位置である前記助手席の側方のドアに設けられるフロントオートスイッチが操作された場合に成立する条件であることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、車両用シート制御装置は、助手席(フロントシート)の乗員のフロントオートスイッチの操作に伴うフロントオート動作により、助手席の後方の座席(リアシート)の着座者に不快感を与えることを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成の車両用シート制御装置によれば、フロントシートの動作時にリアシートの着座者に不快感を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両に設けられたフロントシート及びリアシートの概略構成を示す側面図。
図2】リアシートを動作させる際に、リアECUが実行する処理の流れを説明するフローチャート。
図3】フロントシートを動作させる際に、フロントECUが実行する処理の流れを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両用シート制御装置の一実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態において、フロントシートは車両の前部座席(助手席)に適用され、リアシートは助手席の後方に配置される後部座席に適用される。
【0016】
図1に示すように、フロントシート1fは、シートクッション2fと、シートクッション2fの後端部に対してリクライニング可能に設けられたシートバック3fと、シートバック3fの上端に設けられたヘッドレスト4fと、シートバック3fの下端部に対して回転可能に設けられたオットマン5rと、を備えている。車両の床部Flには、車両の前後方向に延びる二本のロアレール6fが並列に設けられている。ロアレール6fには、ロアレール6f上を車両の前後方向に相対移動可能なアッパレール7fが装着されている。そして、シートクッション2fは、アッパレール7f上に支持されており、アッパレール7fと一体にロアレール6f上を車両の前後方向にスライド可能となっている。
【0017】
リアシート1rは、シートクッション2rと、シートクッション2rの後端部に対してリクライニング可能に設けられたシートバック3rと、シートバック3rの上端に設けられたヘッドレスト4rと、を備えている。フロントシート1fと同様に、車両の床部Flには車両の前後方向に延びる二本のロアレール6rが並列に設けられるとともにロアレール6rにはアッパレール7rが装着されており、シートクッション2rは、アッパレール7rと一体にロアレール6r上を車両の前後方向にスライド可能となっている。
【0018】
シートクッション2f,2rは、フロントシート1f及びリアシート1rの着座者の臀部を主に支持し、シートバック3f,3rは、フロントシート1f及びリアシート1rの着座者の背部を主に支持する。ヘッドレスト4f,4rは、フロントシート1f及びリアシート1rの着座者の頭部を主に支持し、オットマン5rは、リアシート1rの着座者の脚部、詳しくは、踵や足裏を主に支持する。以降の説明では、シートクッション2f、シートバック3f及びヘッドレスト4fをフロントシート1fのシート要素SEfとし、シートクッション2r、シートバック3r、ヘッドレスト4r及びオットマン5rをリアシート1rのシート要素SErとする。
【0019】
フロントシート1fには、シートスライドアクチュエータ11f、シートリクライニングアクチュエータ12f及びオットマンアクチュエータ13rが設けられている。フロントシート1fは、アクチュエータ11f,12fにより、シート要素SEfを駆動するパワーシートとして構成されている。
【0020】
詳しくは、シートスライドアクチュエータ11fは、駆動源となるモータM1fを有しており、シートクッション2f(フロントシート1f全体)を車両の前後方向にスライドさせる。これにより、フロントシート1fは、二点鎖線矢印で示すように、車両の前後方向におけるスライド位置が調整可能となっている。
【0021】
シートリクライニングアクチュエータ12fは、駆動源となるモータM2fを有しており、シートバック3fの全体を、該シートバック3fの上端部分の位置が車両の後方向に移動するようにリクライニングさせる。これにより、フロントシート1fは、二点鎖線矢印で示すように、シートバック3fのリクライニング位置が調整可能となっている。
【0022】
リアシート1rには、シートスライドアクチュエータ11r及びシートリクライニングアクチュエータ12rが設けられている。リアシート1rは、アクチュエータ11r,12rにより、シート要素SErを駆動するパワーシートとして構成されている。
【0023】
詳しくは、シートスライドアクチュエータ11rは、駆動源となるモータM1rを有しており、シートクッション2r(リアシート1r全体)を車両の前後方向にスライドさせる。これにより、リアシート1rは、二点鎖線矢印で示すように、車両の前後方向におけるスライド位置が調整可能となっている。
【0024】
シートリクライニングアクチュエータ12rは、駆動源となるモータM2rを有しており、シートバック3rの全体を、該シートバック3rの上端部分の位置が車両の後方向に移動するようにリクライニングさせる。これにより、リアシート1rは、二点鎖線矢印で示すように、シートバック3rのリクライニング位置が調整可能となっている。
【0025】
オットマンアクチュエータ13rは、駆動源となるモータM3rを有しており、オットマン5rをシートバック3rに支持される基端部を中心として回転させる。詳しくは、オットマンアクチュエータ13rは、オットマン5rを、リアシート1rに向かって展開した展開位置と展開位置よりも車両前方に退避した退避位置との間で回転させる。これにより、オットマンアクチュエータ13rは、オットマン5rの回転位置が調整可能となっている。なお、本実施形態において、退避位置は、オットマン5rがシートバック3fに収納される収納位置でもある。以降の説明では、退避位置に位置するオットマン5rを基準としたオットマン5rの傾きを「オットマン5rの角度θ」とも言う。
【0026】
次に、本実施形態の電気的構成について説明する。
車両には、上記アクチュエータ11f,12fを制御するフロントECU15fと、上記アクチュエータ11r,12r,13rを制御するリアECU15rと、が設けられている。フロントECU15fとリアECU15rとは、車内ネットワーク16を介して接続されている。なお、本実施形態において、フロントECU15fが「車両用シート制御装置」の一例に相当する。
【0027】
フロントECU15fは、記憶部の一例としてのメモリ31fを有する。メモリ31fには、フロントシート1fの設定フロントシート位置が複数記憶されている。設定フロントシート位置は、例えば、乗員が車両から降りる際に降りやすい位置として予め設定された降車位置や、フロントシート1fとリアシート1rとの間の空間を広げるためにフロントシート1fを可能な限り前方に移動させた前寄位置や、乗員の好みに応じて登録された登録シート位置等である。
【0028】
フロントECU15fは、モータM1f,M2fに接続されており、モータM1f,M2fに対する駆動電力の供給を通じて、シート要素SEf(シートクッション2f及びシートバック3f)を動作させる。つまり、フロントECU15fは、シート要素SEfを動作させて、フロントシート1fのシート位置を変化させる。
【0029】
詳しくは、モータM1f,M2fには、その回転に同期したパルス信号を出力する回転センサS1f,S2fが設けられている。回転センサS1f,S2fが出力するパルス信号Sp1f,Sp2fは、アクチュエータ11f,12fにより駆動されるシート要素SEfの動作に同期している。フロントECU15fは、予め設定された初期値を基にパルス信号Sp1f,Sp2fのパルス変化をカウント(積算)することにより、シート要素SEfの位置を検出する。
【0030】
また、フロントECU15fには、乗員の操作によりシート要素SEfの位置を調整するためのフロント操作部20fが接続されている。フロント操作部20fは、フロントシート1fに対応する位置、例えば、フロントシート1fの側方のドア等、フロントシート1fの着座者にとって操作しやすい位置に設けられている。フロント操作部20fは、「フロントオートスイッチ」の一例としての第1オートスイッチ21Afと、「フロントマニュアルスイッチ」の一例としての第1マニュアルスイッチ21Mfと、を有している。
【0031】
第1オートスイッチ21Afは、メモリ31fに記憶された設定フロントシート位置までフロントシート1fを自動で動作させるためのスイッチであり、第1マニュアルスイッチ21Mfは、フロントシート1fを手動で動作させるためのスイッチである。このため、第1オートスイッチ21Afは、メモリ31fに記憶された複数の設定フロントシート位置に対応付けられた複数のスイッチを有することが好ましい。一方、第1マニュアルスイッチ21Mfは、シートクッション2fのスライド位置を調整するスイッチ及びシートバック3fのリクライニング位置を調整するスイッチを有することが好ましい。また、フロント操作部20fは、第1オートスイッチ21Afの操作により自動で動作中のフロントシート1fを停止するためのスイッチを備えることが好ましい。
【0032】
フロントECU15fには、フロント操作部20fへの操作入力に応じた操作入力信号Sswfのほか、車内ネットワーク16を介して、例えば車両の起動状態(例えばイングニッションキーの操作位置やスタートスイッチのオンオフ)を示すイグニッション信号SigやリアECU15rからの信号等の各種信号が入力される。そして、フロントECU15fは、入力される各種信号に基づいてフロントシート1fのシート要素SEfの位置を制御し、フロントシート1fを動作させる。
【0033】
リアECU15rは、記憶部の一例としてのメモリ31rを有する。メモリ31rには、リアシート1rの設定リアシート位置が複数記憶されている。設定リアシート位置は、例えば、乗員が車両から降りる際に降りやすい位置として予め設定された降車位置や、乗員の好みに応じて登録された登録シート位置等である。
【0034】
リアECU15rは、モータM1r,M2r,M3rに接続されており、モータM1r,M2r,M3rに対する駆動電力の供給を通じて、シート要素SEr(シートクッション2r、シートバック3r、オットマン5r)を動作させる。つまり、リアECU15rは、各シート要素SErを動作させて、リアシート1rのシート位置を変化させる。
【0035】
詳しくは、モータM1r,M2r,M3rには、上記モータM1f,M2fと同様に、その回転に同期したパルス信号を出力する回転センサS1r,S2r,S3rが設けられている。リアECU15rは、フロントECU15fと同様に、予め設定された初期値を基にパルス信号Sp1r,Sp2r,Sp3rのパルス変化をカウントすることにより、シート要素SErの位置を検出する。
【0036】
また、リアECU15rには、乗員の操作によりシート要素SEf,SErの位置を調整するためのリア操作部20rが接続されている。リア操作部20rは、リアシート1rに対応する位置、例えば、リアシート1rの側方のドア等、リアシート1rの着座者にとって操作しやすい位置に設けられている。リア操作部20rは、「リアオートスイッチ」の一例としての第2オートスイッチ22Arと、「リアマニュアルスイッチ」の一例としての第2マニュアルスイッチ22Mrと、第3オートスイッチ23Arと、第3マニュアルスイッチ23Mrと、を有している。
【0037】
第2オートスイッチ22Arは、第1オートスイッチ21Afと略同様のスイッチであり、第2マニュアルスイッチ22Mrは、第1マニュアルスイッチ21Mfと略同様のスイッチである。すなわち、第2オートスイッチ22Ar及び第2マニュアルスイッチ22Mrは、第1オートスイッチ21Af及び第1マニュアルスイッチ21Mfと比較したとき、フロントシート1fを動作させるためのスイッチである点で共通し、リアシート1rに対応する位置に設けられる点で相違する。
【0038】
第3オートスイッチ23Arは、メモリ31rに記憶された設定リアシート位置までリアシート1rを自動で動作させるためのスイッチであり、第3マニュアルスイッチ23Mrは、リアシート1rを手動で動作させるためのスイッチである。このため、第3オートスイッチ23Arは、メモリ31rに記憶された複数の設定リアシート位置に対応付けられた複数のスイッチを有することが好ましい。一方、第3マニュアルスイッチ23Mrは、シートクッション2rのスライド位置を調整するスイッチ、シートバック3rのリクライニング位置を調整するスイッチ及びオットマン5rの回転位置を調整するスイッチを有することが好ましい。また、リア操作部20rは、第2オートスイッチ22Arの操作により自動で動作中のフロントシート1fを停止するためのスイッチと、第3オートスイッチ23Arの操作により自動で動作中のリアシート1rを停止するためのスイッチと、を備えることが好ましい。
【0039】
リアECU15rには、リア操作部20rへの操作入力に応じた操作入力信号Sswrのほか、車内ネットワーク16を介して、例えばイグニッション信号SigやフロントECU15fからの信号等の各種信号が入力される。そして、リアECU15rは、入力される各種信号に基づいてリアシート1rのシート要素SErの位置を制御し、リアシート1rを動作させる。
【0040】
次に、フロントECU15f及びリアECU15rの制御内容について詳しく説明する。
フロントECU15fは、フロントオート動作開始条件が成立した場合に、アクチュエータ11f,12fを駆動し、フロントシート1fを設定フロントシート位置まで自動で動作させる。詳しくは、フロントECU15fは、上記開始条件が成立した場合に、シート要素SEfの位置が設定フロントシート位置に対応する位置となるように、シート要素SEfを自動で動作させる。以降の説明では、フロントオート動作開始条件の成立により、フロントシート1fが動作することを「フロントオート動作」とも言う。フロントECU15fにおいて、フロントオート動作開始条件は、第1オートスイッチ21Af又は第2オートスイッチ22Arが操作された場合等に成立する。
【0041】
フロントECU15fは、乗員等により第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrが操作された場合に、第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrの操作内容に基づいて、フロントシート1fを動作させる。詳しくは、フロントECU15fは、第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrが操作されている間、シートクッション2fをスライド動作させたり、シートバック3fをリクライニング動作させたりする。以降の説明では、第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrの操作により、フロントシート1fを動作することを「フロントマニュアル動作」とも言う。
【0042】
また、こうした点で、本実施形態において、フロントECU15fは、フロントオート動作及びフロントマニュアル動作を実行する制御部15f1を備えていると言える。
リアECU15rは、リアオート動作開始条件が成立した場合に、アクチュエータ11r,12r,13rを制御し、リアシート1rを設定リアシート位置まで自動で動作させる。詳しくは、リアECU15rは、上記開始条件が成立した場合に、シート要素SErの位置が設定リアシート位置に対応する位置となるように、シート要素SErを自動で動作させる。以降の説明では、リアオート動作開始条件の成立により、リアシート1rが動作することを「リアオート動作」とも言う。リアECU15rにおいて、リアオート動作開始条件は、第3オートスイッチ23Arが操作された場合等に成立する。
【0043】
リアECU15rは、乗員等により第3マニュアルスイッチ23Mrが操作された場合には、第3マニュアルスイッチ23Mrの操作内容に基づいて、リアシート1rを動作させる。詳しくは、リアECU15rは、第3マニュアルスイッチ23Mrが操作されている間、シートクッション2rをスライド動作させたり、シートバック3rをリクライニング動作させたりする。以降の説明では、第3マニュアルスイッチ23Mrの操作により、リアシート1rを動作することを「リアマニュアル動作」とも言う。
【0044】
ところで、上述したような車両において、フロントシート1f及びリアシート1rは車両前後方向に並んでいるため、フロントシート1fの着座者は、リアシート1rの着座者の様子を確認しにくい。つまり、フロントシート1fの着座者は、リアシート1rの着座者がオットマン5rを使用しているか否かを確認しにくい。したがって、リアシート1rの着座者がオットマン5rを使用している状況下において、フロントシート1fの着座者が第1オートスイッチ21Afを操作し、フロントオート動作が実行されると、リアシート1rの着座者に不快感を与えるおそれがある。
【0045】
また、リアシート1rの着座者が展開位置に配置されたオットマン5rを使用していない状況下であったとしても、フロントシート1fの着座者が第1オートスイッチ21Afを操作し、フロントオート動作が実行されると、以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、フロントオート動作の実行により、フロントシート1fとリアシート1rとの間隔が狭くなることで、リアシート1rの着座者に窮屈感を与えるおそれがある。
【0046】
そこで、リアECU15rは、オットマン5rが展開位置にある場合、フロントオート動作の実行を制限するための信号(以下、「フロントオート動作制限信号Sli」)をフロントECU15fに出力する。そして、フロントECU15fは、フロントオート動作制限信号Sliが入力されている場合には、フロントオート動作の実行を制限する。こうして、オットマン5rが展開位置にある場合には、フロントシート1fの着座者が第1オートスイッチ21Afを操作しても、フロントオート動作の実行が制限される。こうした点で、本実施形態において、フロントECU15fは、フロントオート動作の実行を制限する制限部15f2を備えていると言える。
【0047】
なお、フロントシート1fの着座者が第1マニュアルスイッチ21Mfを操作し、フロントマニュアル動作が実行される場合には、第1マニュアルスイッチ21Mfの操作を停止することで、フロントシート1fの動作を即時に停止できる。このため、リアシート1rの着座者がオットマン5rを使用している状況下において、フロントマニュアル動作が実行される場合には、フロントオート動作が実行される場合よりも、リアシート1rの着座者に不快感(窮屈感)を与えにくい。そこで、フロントECU15fは、フロントオート動作制限信号Sliが入力されているかに関わらず、フロントマニュアル動作の実行を制限しない。
【0048】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、リアオート動作及びリアマニュアル動作を実行するためにリアECU15rが実行する処理の流れについて説明する。
図2に示すように、リアECU15rは、オットマン5rの角度θが判定角度θth未満か否かを判定する(ステップS11)。オットマン5rの角度θが判定角度θth以上の場合(ステップS11:NO)、リアECU15rは、フロントECU15fに向けてフロントオート動作制限信号Sliを出力し(ステップS12)、その処理を次のステップS13に移行する。一方、オットマン5rの角度θが判定角度θth未満の場合(ステップS11:YES)、リアECU15rは、その処理を次のステップS13に移行する。
【0049】
図1に示すように、本実施形態のオットマン5rは、退避位置と使用位置との間に配置された状態で使用することもできる。このため、リアECU15rは、オットマン5rが展開位置に位置する場合だけでなく、オットマン5rの角度θが判定角度θth以上の場合にも、フロントECU15fにフロントオート動作制限信号Sliを出力する。なお、判定角度θthは、オットマン5rの回転軌跡及び回転半径等に応じて適宜に設定することが好ましい。
【0050】
ステップS13において、リアECU15rは、リアシート1rの側部に設けられた第3マニュアルスイッチ23Mrが操作されているか否かを判定する。第3マニュアルスイッチ23Mrが操作されている場合(ステップS13:YES)、リアECU15rは、第3マニュアルスイッチ23Mrの操作内容に応じて、リアマニュアル動作を実行する(ステップS14)。すなわち、リアECU15rは、第3マニュアルスイッチ23Mrが操作されている間、リアシート1rのシート要素SErを動作させる。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
【0051】
ステップS13において、第3マニュアルスイッチ23Mrが操作されていない場合(ステップS13:NO)、リアシート1rの側部に設けられた第3オートスイッチ23Arが操作されているか否かを判定する(ステップS15)。第3オートスイッチ23Arが操作されている場合(ステップS15:YES)、リアECU15rは、リアオート動作を実行する(ステップS16)。すなわち、リアECU15rは、操作された第3オートスイッチ23Arに対応する設定リアシート位置となるように、リアシート1rのシート要素SErを動作させる。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。ステップS15において、第3オートスイッチ23Arが操作されていない場合(ステップS15:NO)、リアECU15rは、本処理を終了する。
【0052】
こうして、本実施形態において、リアECU15rは、オットマン5rの角度θに関わらず、第3オートスイッチ23Arが操作された場合には、リアオート動作を実行し、第3マニュアルスイッチ23Mrが操作された場合には、リアマニュアル動作を実行する。なお、リアECU15rが、第3オートスイッチ23Arの操作に伴うリアオート動作を制限しない理由は、フロントECU15fが、第2オートスイッチ22Arの操作に伴うフロントオート動作を制限しない理由と同様である。
【0053】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、フロントオート動作及びフロントマニュアル動作を実行するためにフロントECU15fが実行する処理の流れについて説明する。
【0054】
図3に示すように、フロントECU15fは、フロントシート1fの側部に設けられた第1マニュアルスイッチ21Mf又はリアシート1rの側部に設けられた第2マニュアルスイッチ22Mrが操作されているか否かを判定する(ステップS21)。第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrが操作されている場合(ステップS21:YES)、フロントECU15fは、第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrの操作内容に応じて、フロントマニュアル動作を実行する(ステップS22)。すなわち、フロントECU15fは、第1マニュアルスイッチ21Mf又は第2マニュアルスイッチ22Mrが操作されている間、フロントシート1fのシート要素SEfを動作させる。その後、フロントECU15fは、本処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS21において、第1マニュアルスイッチ21Mf及び第2マニュアルスイッチ22Mrのどちらも操作されていない場合(ステップS21:NO)、フロントECU15fは、リアシート1rの側部に設けられた第2オートスイッチ22Arが操作されているか否かを判定する(ステップS23)。第2オートスイッチ22Arが操作されている場合(ステップS23:YES)、フロントECU15fは、フロントオート動作を実行する(ステップS24)。すなわち、フロントECU15fは、リアECU15rからフロントオート動作制限信号Sliが出力されているか否かに関わらず、フロントオート動作を実行する。
【0056】
ステップS23において、第2オートスイッチ22Arが操作されていない場合(ステップS23:NO)、フロントECU15fは、フロントシート1fの側部に設けられた第1オートスイッチ21Afが操作されているか否かを判定する(ステップS25)。第1オートスイッチ21Afが操作されていない場合(ステップS25:NO)、フロントECU15fは、本処理を終了する。
【0057】
一方、第1オートスイッチ21Afが操作されている場合(ステップS25:YES)、フロントECU15fは、リアECU15rからフロントオート動作制限信号Sliが出力されているか否かを判定する(ステップS26)。フロントオート動作制限信号Sliが出力されている場合(ステップS26:YES)、リアECU15rは、本処理を終了する。すなわち、この場合には、第1オートスイッチ21Afが操作されていても、フロントオート動作が実行されない。
【0058】
一方、フロントオート動作制限信号Sliが出力されていない場合(ステップS26:NO)、リアECU15rは、その処理をステップS24に移行する。すなわち、この場合には、第1オートスイッチ21Afの操作により、フロントオート動作が実行される。
【0059】
こうして、本実施形態において、フロントECU15fは、オットマン5rの角度θに関わらず、第1マニュアルスイッチ21Mf及び第2マニュアルスイッチ22Mrが操作された場合には、フロントマニュアル動作を実行し、第2オートスイッチ22Arが操作された場合には、フロントオート動作を実行する。一方、フロントECU15fは、第1オートスイッチ21Afが操作された場合には、オットマン5rの角度θが判定角度θth未満であればフロントオート動作を実行し、オットマン5rの角度θが判定角度θth以上であればフロントオート動作の実行を制限する。
【0060】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)オットマン5rが退避位置に位置する場合には、フロントシート1fの着座者が第1オートスイッチ21Afを操作すると、フロントオート動作が実行される。一方、オットマン5rが展開位置に位置する場合には、フロントシート1fの着座者が第1オートスイッチ21Afを操作しても、フロントオート動作が実行されない。よって、フロントECU15fは、リアシート1rの着座者がオットマン5rを使用している可能性のあるときに、フロントオート動作の実行を制限する点で、リアシート1rの着座者に不快感を与えることを抑制できる。
【0061】
なお、オットマン5rが展開位置に位置する場合であって且つリアシート1rの着座者がオットマン5rを使用していない場合であっても、フロントオート動作によって、リアシート1rが車両後方に動作すると、リアシート1rの着座者に窮屈感を与える可能性がある。本実施形態は、こうした場合に、リアシート1rの着座者に窮屈感を与えることを抑制できる。
【0062】
(2)オットマン5rが展開位置に位置する状況下でも、リアシート1rの着座者が第2オートスイッチ22Arを操作する場合には、フロントオート動作が実行される。この場合のフロントオート動作は、リアシート1rの着座者の意思によるものであるため、フロントオート動作が実行されても、リアシート1rの着座者が不快感を覚えにくいためである。したがって、フロントECU15fは、リアシート1rの着座者に違和感を与えることを抑制しつつ、フロントシート1fの動作を過剰に制限することを抑制できる。
【0063】
(3)オットマン5rの位置に関わらず、フロントシート1fの着座者が第1マニュアルスイッチ21Mfを操作する場合には、フロントマニュアル動作が実行される。この場合には、フロントシート1fの着座者とリアシート1rの着座者との間で声掛け等の意思疎通により、フロントシート1fの着座者が第1マニュアルスイッチ21Mfの操作を停止することで、フロントマニュアル動作を即時に停止できるためである。したがって、フロントECU15fは、リアシート1rの着座者に違和感を与えることを抑制しつつ、フロントシート1fの動作を過剰に制限することを抑制できる。
【0064】
(4)オットマン5rが使用位置と展開位置との間に位置する場合であっても、オットマン5rがリアシート1rに向かって突出している状態である場合には、オットマン5rが使用位置に位置する場合と同様に、第1オートスイッチ21Afの操作によりフロントオート動作が実行されない。言い換えれば、オットマン5rの角度θが判定角度θth以上の場合、第1オートスイッチ21Afの操作によりフロントオート動作が実行されない。このため、リアシート1rの着座者に不快感(窮屈感)を与えることをより抑制できる。
【0065】
なお、上記実施形態は、以下に示すように変更してもよい。
・フロントシート1fを運転席とする場合、リアシート1rを運転席の後部座席としてもよい。また、フロントシート1fを車両の2列目の座席とする場合、リアシート1rを2列目の座席の後部座席、すなわち、車両の3列目の座席としてもよい。
【0066】
・判定角度θthは変数としてもよい。例えば、判定角度θthは、シートバック3fが後傾するほど大きくなるリクライニング角度に応じて、変化させてもよい。詳しくは、リクライニング角度が大きい場合には、リクライニング角度が小さい場合よりも、判定角度θthを小さくしてもよい。
【0067】
・フロントECU15fは、ステップS26において、フロントオート動作制限信号Sliが入力されている場合であっても、例外的にフロントオート動作を実行してもよい。詳しくは、フロントECU15fは、フロントオート動作の実行により、フロントシート1fのシート要素SEfが車両後方に動作する場合には、当該フロントオート動作の実行を制限してもよい。一方、フロントECU15fは、フロントオート動作の実行により、フロントシート1fのシート要素SEfが車両前方に動作する場合には、当該フロントオート動作の実行を許可してもよい。これは、フロントシート1fのシート要素SEfが車両前方に動作する場合の方が、フロントシート1fのシート要素SEfが車両後方に動作する場合よりも、リアシート1rの着座者に違和感(窮屈感)を与えにくいためである。
【0068】
・フロントECU15fは、ステップS23において、第2オートスイッチ22Arが操作された場合であっても、フロントオート動作制限信号の有無に基づいて、フロントオート動作を実行するか否かを選択してもよい。
【0069】
・フロントシート1fを運転席とするとき、フロントECU15fは、イグニッション信号Sigがオフ状態を示すとともに運転席の側方のドアが開状態とされた場合に、フロントオート動作開始条件が成立したと判定してもよい。この場合において、図3のステップS25は、フロントオート動作開始条件が成立したか否かを判定する処理としてもよい。
【0070】
・フロントECU15fは、図3のステップS26において、図2のステップS11に相当する処理を行ってもよい。
・リアECU15rは、オットマン5rが退避位置と展開位置との間の位置にあるとき、オットマン5rが展開位置にあるとみなしてもよい。この場合には、オットマン5rが退避位置から僅かに回転した場合であっても、第1オートスイッチ21Afの操作に伴うフロントオート動作の実行が制限される。
【0071】
・オットマン5rの退避位置は、オットマン5rの展開位置よりもシートバック3fに退避した位置であればよい。例えば、オットマン5rが退避位置に位置するときに、オットマン5rの先端がシートバック3fから離れていてもよい。
【0072】
・オットマン5rは、フロントシート1fのシート要素SEfであるシートクッションに設けてもよい。この場合、オットマン5rは、シートクッションに収納される退避位置と、リアシート1rに向かって展開する展開位置との間で進退移動したり伸縮移動したりする構成としてもよい。
【0073】
・オットマン5rは、展開位置と退避位置との2つの位置だけに位置するように構成してもよい。
・フロントシート1fは、オットマンアクチュエータ13rを備えなくてもよい。この場合、乗員等が手動でオットマン5rを展開位置と退避位置との間で動かすことが好ましい。
【0074】
・フロントシート1fは、シートクッション2fのスライド動作及びシートバック3fのリクライニング動作以外の動作を可能に構成されたパワーシートであってもよい。例えば、フロントシート1fは、シートクッション2fの全体を車両の上下方向に移動できるように構成してもよいし、シートクッション2fの前端部を後端部に対して上下動(チルト動作)できるように構成してもよい。リアシート1rについても同様である。
【0075】
・上記実施形態では、モータM1f,M2fを駆動源としたアクチュエータ11f,12f、モータM1r,M2r,M3rを駆動源としたアクチュエータ11r,12r,13rを用いたが、これに限らず、シート要素SEf,SErの位置を調整できれば、アクチュエータの構成は適宜変更可能である。また、パルス信号Sp1f,Sp2f、パルス信号Sp1r,Sp2r,Sp3rに基づいてシート要素SEf,SErの位置を検出せず、例えばシート要素SEf,SErに変位センサを設けて位置を直接検出してもよく、位置の検出方法は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1f…フロントシート、1r…リアシート、2f,2r…シートクッション、3f,3r…シートバック、4f,4r…ヘッドレスト、5r…オットマン、6f,6r…ロアレール、7f,7r…アッパレール、11f,11r…シートスライドアクチュエータ、12f,12r…シートリクライニングアクチュエータ、13r…オットマンアクチュエータ、15f…フロントECU(車両用シート制御装置の一例)、15f1…制御部、15f2…制限部、16…車内ネットワーク15r…リアECU、20f…フロント操作部、20r…リア操作部、21Af…第1オートスイッチ(フロントオートスイッチの一例)、21Mf…第1マニュアルスイッチ(フロントマニュアルスイッチの一例)、22Ar…第2オートスイッチ(リアオートスイッチの一例)、22Mr…第2マニュアルスイッチ(リアマニュアルスイッチの一例)、23Ar…第3オートスイッチ、23Mr…第3マニュアルスイッチ、31f,31r…メモリ。Fl…床部、M1f,M2f,M1r,M2r,M3r…モータ、S1f,S2f,S1r,S2r,S3r…回転センサ、SEf,SEr…シート要素、θ…角度、θth…判定角度。
図1
図2
図3