【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]この課題は、独立請求項に記載される特徴を備える自動用量分配システム、および、請求項13に記載される特徴およびステップを備える方法によって解決される。
【0011】
[0011]粉末状物質のための用量分配システムは、ロボットハンドラと、秤量パンを有する秤量モジュールと、複数の分配ヘッドを保持する少なくとも1つの分配ヘッド保管ラックおよび複数のバイアルを保持する少なくとも1つのバイアル保管ラックと、分配ヘッドレシーバとバイアルハンドリングツールと分配ヘッドハンドリングツールとを有する用量分配器ユニットと、前記ハンドリングツールのためのツールドッキングステーションと、コントローラ端末ユニットと、を備えている。用量分配器ユニットは、分配ヘッドレシーバによって分配ヘッドのうちの1つを保持および支持する役割を果たす。用量分配器ユニットは、分配位置と休止位置との間で水平方向に移動可能である。分配位置では、分配ヘッドレシーバ上の分配ヘッドの移送オリフィスが、秤量パン上のバイアルの上方に位置する。休止位置では、分配ヘッドレシーバ上の分配ヘッドが、秤量パンの上方の前記位置から離れる方向に移動する。コントローラ端末ユニットは、分配位置と休止位置との間で用量分配器ユニットの移動を制御し、分配ヘッドおよびバイアルをピックアップおよび移送する際にロボットハンドラを制御し、さらに、分配ヘッドレシーバに着座した分配ヘッドからの物質の流れを制御および調節する役割を果たす。コントローラ端末ユニットは、閉ループにおいて秤量モジュール、用量分配器ユニットおよび分配ヘッドと連動し、秤量モジュールから受信した重量信号に応答して、分配ヘッドから出る物質の流れを調節する。特に本発明によれば、用量分配システムは、バイアルの様々な形状およびサイズに秤量パンを適合させる役割を果たす複数の異なる秤量パンアダプタを備えている。この秤量パンアダプタは、複数の下側部分と複数の上側部分とを、その垂直な作業配向に対して有している。複数の下側部分は、互いに同一であり、秤量パンに嵌まるように構成される。複数の上側部分は、異なっており、バイアルの様々な形状およびサイズを収容するように構成される。さらに本発明によれば、用量分配システムは、秤量パンアダプタ保管ステーションを備えている。秤量パンアダプタは、バイアルハンドリングツールを有するロボットハンドラによって、秤量パンアダプタ保管ステーションと秤量パンとの間で、秤量パンアダプタがピックアップおよび移送され得るように構成される。
【0012】
[0012]秤量パンアダプタ保管ステーションと秤量パンとの間で秤量パンアダプタを移送および交換するというタスクは、手動で実行することも可能であるが、用量分配システムの動作において不可欠なこのステップでは、エラーが起こりやすいことがわかった。間違いによって、ロボットハンドラと、秤量パン上の秤量パンアダプタおよび/またはバイアルと、が衝突することになる場合があり、これにより、バイアルが割れて、分配された物質がこぼれたり、秤量モジュールに深刻な機械的損傷が生じたりすることさえあり得る。秤量パンアダプタが、ロボットハンドラによって所定位置に移送およびセットされる本発明の概念は、オペレータのエラーのリスクを回避するものである。
【0013】
[0013]本発明の好ましい実施形態では、秤量パンは、底のない円筒形カップの形状を有している。カップの円筒軸線がシステムの作業配向に対して垂直に向けられ、カップの内壁の輪郭は、第1の直径を有する第1の円筒形内壁区分と、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2の円筒形内壁区分と、最上部の平坦な水平リムで終わる上方が広くなった直径を有する円錐状に面取りされた内部境界区分と、を下から上方へ向けて有する。
【0014】
[0014]有利には、秤量パンアダプタの同一の複数の下側部分は、中空の円筒形チューブという基本形状に構成されており、その中空の円筒形チューブは、中空のチューブの円筒軸線が垂直に向けられた状態で、カップ形状の秤量パン内に秤量パンアダプタをセットできるように形状設定および寸法設定されている。
【0015】
[0015]本発明の好ましい実施形態では、秤量パン内に秤量パンアダプタをしっかりと正確に中央に位置付けて着座させることを容易にするために、有利な輪郭の細部がチューブ状の基本形状に加えられる。これらの輪郭の細部には、
− 秤量パンアダプタの同一の複数の下側部分が、好ましくは、秤量パンの第1の円筒形内壁区分内に所望の確度で秤量パンアダプタを位置付けるように構成された輪郭の湾曲を有する凹状の丸い底部を有することと、
− さらに、同の下側部分の外側輪郭が、秤量パンの第1の円筒形部分と第2の円筒形内壁区分との間にクリアランスを確保するように寸法設定された第1の円筒直径を有する前記第1の円筒形部分へと前記凹状の丸い底部から上向きに連続していることと、
− さらに、同の下側部分の外側輪郭が、秤量パンの第2の円筒形内壁区分内で、第2の円筒形部分が中央に位置合わせされることを確実にするように寸法設定された第2の円筒直径を有する前記第2の円筒形部分へと、直径が次第に増大する状態で、前記第1の円筒形部分から上向きに連続していることと、
− 前記第2の円筒形部分の上方では、秤量パンアダプタが下ろされ秤量パン内にセットされるときに、秤量パンの平坦な水平リム上に着座するように構成されたショルダ部で、同一の下側部分の外側輪郭が終端することと
が含まれる。
【0016】
[0016]本発明の好ましい実施形態では、秤量パンアダプタの上側部分は、同じく実質的に円筒形のチューブ状構成であるが、バイアルの異なるサイズに対応した異なる円筒直径、特に内壁を有する。有利には、実質的に円筒形のチューブ形状の秤量パンアダプタは、最上部に円錐状に面取りされた内側縁部を有する。
【0017】
[0017]好ましい特徴として、秤量パンアダプタは、秤量パンアダプタの円筒軸線に直交して延在する平面において径方向内向きに突出する、星形に配置された3つ以上のピンを、それらの上側部分の内側に備えている。これらのピンの目的は、ピンの上に置かれた挿入されたバイアルの頂部が秤量パンアダプタから充分に突出して、バイアルハンドリングツールによってバイアルが把持されることが可能になるように、着座深さを定めることである。3つのピンを配置することが好ましい。なぜなら、それよって、バイアルの安定した着座が提供されるとともに、バイアルの外側に誤って落ちた粉末を捕らえ得る水平表面積が最小限になるからである。
【0018】
[0018]異なる高さのバイアルについて設計された複数の秤量パンアダプタでは、それぞれの異なる秤量パンアダプタに着座した異なるバイアルの頂部が、秤量パンアダプタの底部から常に同じ頂部高さになるような、秤量パンアダプタの下端からの距離に、ピンが置かれることが好ましい。
【0019】
[0019]有利には、秤量パンアダプタの上側部分は、バイアルハンドリングツールによって秤量パンが把持されることを可能にするための把持領域を有して構成された外壁輪郭を有する。好ましくは、把持領域は、円筒形であり、上側部分の外壁の残りの部分よりも僅かに小さい直径を有しており、把持領域から、把持領域の上下にある隣接した壁部分まで傾斜して遷移している。把持領域のこの輪郭形状によって、移送中にバイアルハンドリングツールの把持から秤量パンアダプタが滑り落ち得ないことが確実になる。
【0020】
[0020]本発明の好ましい実施形態では、用量分配システムの秤量パンアダプタのすべてが、名目上等しい秤量パンアダプタ重量を有する。これにより、秤量パン上の秤量パンアダプタの重量が、秤量モジュール内の固定された平衡化質量で機械的に平衡化されることが可能になる。したがって、秤量モジュールの電子秤量範囲は、内容物を含むバイアルが取り得る最大重量をカバーするのに充分な広さがあればよい。
【0021】
[0021]有利には、複数のn個の秤量パンアダプタの中で、個々の異なる秤量パンアダプタには、識別番号i=1...nが割り当てられる。バイアルハンドリングツールが装着されたロボットハンドラは、所定のバイアル把持高さh
vおよびバイアル把持幅w
vでバイアルを把持し、さらに所定のアダプタ把持高さh
iおよびアダプタ把持幅w
iでそれぞれの秤量パンアダプタiを把持する機能を有するように構成される。それぞれの秤量パンアダプタiは、アダプタ把持高さh
iおよびアダプタ把持幅w
iのうちの少なくとも1つによって、他の秤量パンアダプタから区別される。
【0022】
[0022]以下の方法は、コントローラ端末においてソフトウエアプログラムとして実装されてもよく、所与のバイアルタイプのバイアルの新規のジョブロットを開始する前に、用量分配システムの動作準備が整っていること、すなわち、秤量パン上の所定位置に正しい秤量パンアダプタが置かれていることを確認する役割を果たす。本方法を記述する目的で、秤量パンアダプタには、把持高さh
iの降順および/または把持幅w
iの降順で、連続番号i=1...nが割り当てられ、所与のバイアルタイプのための正しい秤量パンアダプタが、i
*によって識別されることが仮定される。本方法によれば、用量分配システムは、コントローラ端末のコマンドの下でテストルーチンを実行する。このテストルーチンは、
a)天秤上に任意のバイアルが存在するか否かを確認し、イエスである場合には、前記バイアルを取り除き、
b)iの順番で、秤量パン上に存在する秤量パンアダプタが、数iを有するアダプタであるか否かを判定し、イエスである場合にはステップc)に続き、その他の場合には、数iを1増やしてステップe)に続き、
c)i=i
*か否かを確認し、イエスである場合には、テストルーチンを終了し、その他の場合には、ステップd)に続き、
d)現在秤量パン上にある秤量パンアダプタを取り除き、それを秤量パンアダプタ保管ステーションに保管し、秤量パンアダプタ保管ステーションから秤量パンアダプタi
*を取り上げ、それを秤量パン上にセットし、テストルーチンを終了し、
e)i<nか否かを確認し、イエスである場合にはステップb)に続き、その他の場合には、ステップc)に続く
という一連の2値のイエス/ノー判定を有する。
【0023】
[0023]前述のテストルーチンにおいて、秤量パン上にバイアルが存在するか否かを確認するステップは、有利には、秤量モジュールと、バイアルハンドリングツールが装着されたロボットハンドラと、に補助されながら、用量分配器ユニットが休止位置にある状態で、
a1)バイアルハンドリングツールを秤量パンの上方の所定位置に移動させるステップと、
a2)天秤をゼロにセットするステップと、
a3)バイアル把持高さh
vまでバイアルハンドリングツールを下降させるステップと、
a4)バイアル把持幅w
vまでバイアルハンドリングツールを閉じるステップと、
a5)バイアルハンドリングツールを上昇させるステップと、
a6)秤量モジュールから秤量結果を受信し、当該秤量結果が、秤量パンから重量物が持ち上げられたことを示している場合には、バイアルが存在しており、2値判定結果がイエスであると結論付け、その場合には、用量分配システムの所定のバイアルダンプ場所までバイアルを移動させるステップと
によって実行され得る。
【0024】
[0024]ステップa)が完了した後、秤量パン上に存在する秤量パンアダプタが、数iを有するアダプタであるか否かを判定する周期的に繰り返されるステップb)は、ステップa)に類似した態様で、秤量モジュールと、バイアルハンドリングツールが装着されたロボットハンドラと、に補助されながら、用量分配器ユニットが休止位置にある状態で、
b1)バイアルハンドリングツールが秤量パンの上方に位置決めされるようにハンドラを移動させるステップと、
b2)天秤をゼロにセットするステップと、
b3)把持高さh
iまでバイアルハンドリングツールを下降させるステップと、
b4)把持幅w
iまでバイアルハンドリングツールを閉じるステップと、
b5)バイアルハンドリングツールを上昇させるステップと、
b6)秤量モジュールから秤量結果を受信し、当該秤量結果が、秤量パンから秤量パンアダプタが持ち上げられることに対して妥当な関連性を示している場合には、秤量パン上に存在する秤量パンアダプタが、数iを有するアダプタであり、2値判定がイエスであると結論付けるステップと
によって実行され得る。
【0025】
[0025]本発明による自動用量分配システムは、図面で概略的に示される実施形態を通して以下に記述される。