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特許6916149データ補完サーバ、データ補完システム及びデータ補完方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916149
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】データ補完サーバ、データ補完システム及びデータ補完方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20210729BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210729BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H02J13/00 301A
   H02J3/38 120
   G01R22/06 130E
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-103797(P2018-103797)
(22)【出願日】2018年5月30日
(65)【公開番号】特開2019-208341(P2019-208341A)
(43)【公開日】2019年12月5日
【審査請求日】2020年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩田 啓
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−074863(JP,A)
【文献】 特開2013−135561(JP,A)
【文献】 特開2011−166891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/38
G01R 22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源の発電量を示す発電量データを前記分散電源から受信する受信部と、
前記発電量データの欠損期間において、前記発電量データの欠損を補完する制御部とを備え、
前記制御部は、前記分散電源の機種が前記分散電源の発電電力によって前記発電量データの送信が行われる対象機種である場合に、前記欠損期間における前記発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行う、データ補完サーバ。
【請求項2】
前記制御部は、前記分散電源の機種が前記対象機種であり、かつ、前記分散電源と前記データ補完サーバとの間のネットワークのエラーが確認されない場合に、前記ゼロ補完を行う、請求項1に記載のデータ補完サーバ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ネットワークを介して前記分散電源以外の機器からデータを受信している場合に、ネットワークのエラーが確認されないと判定する、請求項2に記載のデータ補完サーバ。
【請求項4】
前記制御部は、前記分散電源の機種が前記対象機種であっても、前記分散電源と前記データ補完サーバとの間のネットワークのエラーが確認された場合に、前記ゼロ補完とは異なる所定補完を行う、或いは、前記発電量データの補完を省略する、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のデータ補完サーバ。
【請求項5】
前記制御部は、前記分散電源の機種が前記対象機種でなくても、前記欠損期間において前記分散電源の発電が行われていないと推定される場合に、前記ゼロ補完を行う、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のデータ補完サーバ。
【請求項6】
前記制御部は、前記欠損期間の時間帯及び前記欠損期間の自然エネルギー量の少なくともいずれか1つに基づいて、前記分散電源の発電が行われているか否かを推定する、請求項5に記載のデータ補完サーバ。
【請求項7】
前記制御部は、前記欠損期間後において前記発電量データを受信したタイミングで前記ゼロ補完を行う、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のデータ補完サーバ。
【請求項8】
前記制御部は、前記分散電源の制御を行う必要が生じたタイミングで前記ゼロ補完を行う、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のデータ補完サーバ。
【請求項9】
前記制御部は、前記発電量データの欠損が所定タイミングで生じた場合において、前記所定タイミングから許容遅延時間が経過したタイミングで、前記所定タイミングの欠損について前記ゼロ補完を行う、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のデータ補完サーバ。
【請求項10】
自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源の発電量を示す発電量データを前記分散電源から受信する受信部と、
前記発電量データの欠損期間において、前記発電量データの欠損を補完する制御部とを備え、
前記制御部は、前記分散電源の機種が前記分散電源の発電電力によって前記発電量データの送信が行われる対象機種である場合に、前記欠損期間における前記発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行う、データ補完システム。
【請求項11】
自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源の発電量を示す発電量データを前記分散電源から受信するステップAと、
前記発電量データの欠損期間において、前記発電量データの欠損を補完するステップBとを備え、
前記ステップBは、前記分散電源の機種が前記分散電源の発電電力によって前記発電量データの送信が行われる対象機種である場合に、前記欠損期間における前記発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行うステップを含む、データ補完方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ補完サーバ、データ補完システム及びデータ補完方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源(例えば、太陽電池装置)の発電量を示す発電量データを収集するシステムが知られている。このようなシステムにおいて、第1分散電源の第1発電量データ(以下、対象発電量データ)の欠損が生じた場合に、第1発電量データと類似する第2分散電源の第2発電量データ(以下、参照発電量データ)を特定し、参照発電量データに基づいて対象発電量データの欠損を補完する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−157132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した補完技術では、対象発電量データと類似する参照発電量データの存在が前提となっており、このような発電量データが存在しない場合には、対象発電量データの欠損を適切に補完することができない。
【0005】
このような背景下において、発明者等は、鋭意検討の結果、欠損期間における発電量を具体的な数値として推定するのに必要な参照データの存在を前提としてなくても、対象発電量データの欠損を補完することができる条件を見出した。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、参照データの存在を前提としてなくても、対象発電量データの欠損を適切に補完することを可能とするデータ補完サーバ、データ補完システム及びデータ補完方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴に係るデータ補完サーバは、自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源の発電量を示す発電量データを前記分散電源から受信する受信部と、前記発電量データの欠損期間において、前記発電量データの欠損を補完する制御部とを備える。前記制御部は、前記分散電源の機種が前記分散電源の発電電力によって前記発電量データの送信が行われる対象機種である場合に、前記欠損期間における前記発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行う。
【0008】
第2の特徴に係るデータ補完システムは、自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源の発電量を示す発電量データを前記分散電源から受信する受信部と、前記発電量データの欠損期間において、前記発電量データの欠損を補完する制御部とを備える。前記制御部は、前記分散電源の機種が前記分散電源の発電電力によって前記発電量データの送信が行われる対象機種である場合に、前記欠損期間における前記発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行う。
【0009】
第3の特徴に係るデータ補完方法は、自然エネルギーを用いて発電を行う分散電源の発電量を示す発電量データを前記分散電源から受信するステップAと、前記発電量データの欠損期間において、前記発電量データの欠損を補完するステップBとを備える。前記ステップBは、前記分散電源の機種が前記分散電源の発電電力によって前記発電量データの送信が行われる対象機種である場合に、前記欠損期間における前記発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行うステップを含む。
【発明の効果】
【0010】
一態様によれば、参照データの存在を前提としてなくても、対象発電量データの欠損を適切に補完することを可能とするデータ補完サーバ、データ補完システム及びデータ補完方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るデータ補完システム100を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る電力管理サーバ200を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る補完条件を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る補完タイミングを説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る補完タイミングを説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る補完タイミングを説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係るデータ補完方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0013】
但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれている場合があることは勿論である。
【0014】
[実施形態]
(データ補完システム)
以下において、実施形態に係るデータ補完システムについて説明する。
【0015】
図1に示すように、データ補完システム100は、電力管理サーバ200と、施設300とを有する。図1では、施設300として、施設300A〜施設300Cが例示されている。
【0016】
各施設300は、電力系統110に接続される。以下において、電力系統110から施設300への電力の流れを潮流と称し、施設300から電力系統110への電力の流れを逆潮流と称する。
【0017】
電力管理サーバ200及び施設300は、ネットワーク120に接続されている。ネットワーク120は、電力管理サーバ200と施設300との間の回線を提供すればよい。例えば、ネットワーク120は、インターネットであってもよい。ネットワーク120は、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線であってもよい。
【0018】
電力管理サーバ200は、データ補完サーバの一例である。例えば、電力管理サーバ200は、発電事業者、送配電事業者、小売事業者、リソースアグリゲータなどの電力事業者によって管理されるサーバである。リソースアグリゲータは、VPP(Virtual Power Plant)において、発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などに対して電力系統110の電力管理(潮流量の制御、逆潮流量の制御など)を請け負う電力事業者である。実施形態において、電力管理サーバ200の詳細については後述する(図2を参照)。
【0019】
ここで、電力管理サーバ200は、施設300に設けられるEMS330に対して、施設300に設けられる分散電源310に対する制御を指示する制御メッセージを送信してもよい。例えば、電力管理サーバ200は、潮流の制御を要求する潮流制御メッセージ(例えば、DR;Demand Response)を送信してもよく、逆潮流の制御を要求する逆潮流制御メッセージを送信してもよい。さらに、電力管理サーバ200は、分散電源の動作状態を制御する電源制御メッセージを送信してもよい。潮流又は逆潮流の制御度合いは、絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよく、相対値(例えば、○○%)で表されてもよい。或いは、潮流又は逆潮流の制御度合いは、2以上のレベルで表されてもよい。潮流又は逆潮流の制御度合いは、現在の電力需給バランスによって定められる電力料金(RTP;Real Time Pricing)によって表されてもよく、過去の電力需給バランスによって定められる電力料金(TOU;Time Of Use)によって表されてもよい。
【0020】
施設300は、分散電源310、負荷機器320及びEMS330を有する。
【0021】
分散電源310は、発電を行う装置である。分散電源310は、太陽光、風力、水力、地熱などの自然エネルギーを用いて発電を行う装置であってもよい。このような分散電源310は、太陽電池装置、風力発電装置、水力発電装置、地熱発電装置などである。
【0022】
負荷機器320は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器320は、空調機器、照明機器、AV(Audio Visual)機器などである。
【0023】
EMS330は、施設300の電力を管理する装置(EMS;Energy Management System)である。EMS330は、分散電源310及び負荷機器320の動作状態を制御してもよい。EMS330は、VEN(Virtual End Node)の一例である。
【0024】
ここで、EMS330は、分散電源310の発電量を示す発電量データを分散電源310から受信する。発電量データは、分散電源310の出力電力を示してもよい。EMS330は、発電量データを定期的に分散電源310から受信してもよい。EMS330は、発電量データを電力管理サーバ200に送信する。EMS330は、発電量データを定期的に電力管理サーバ200に送信してもよい。EMS330が発電量データを受信する周期は、EMS330が発電量データを送信する周期と異なっていてもよい。すなわち、EMS330は、分散電源310から受信する発電量データを集計した上で、集計された発電量データを電力管理サーバ200に送信してもよい。
【0025】
実施形態において、電力管理サーバ200とEMS330との間の通信は、第1プロトコルに従って行われてもよい。一方で、EMS330と分散電源310及び負荷機器320との間の通信は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルに従って行われてもよい。例えば、第1プロトコルとしては、Open ADR(Automated Demand Response)に準拠するプロトコル、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。例えば、第2プロトコルは、ECHONET Liteに準拠するプロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。なお、第1プロトコルと第2プロトコルは異なっていればよく、例えば、両方が独自の専用プロトコルであっても異なる規則で作られたプロトコルであればよい。
【0026】
(電力管理サーバ)
以下において、実施形態に係る電力管理サーバについて説明する。図2に示すように、電力管理サーバ200は、データベース210と、通信部220と、制御部230とを有する。電力管理サーバ200は、VTN(Virtual Top Node)の一例である。
【0027】
データベース210は、不揮発性メモリ又は/及びHDDなどの記憶媒体によって構成されており、電力管理サーバ200によって管理される施設300に関するデータを記憶する。電力管理サーバ200によって管理される施設300は、電力事業者と契約を有する施設300であってもよい。例えば、施設300に関するデータは、電力系統110から施設300に供給される需要電力であってもよい。施設300に関するデータは、施設300に設けられる分散電源310の種別、施設300に設けられる分散電源310のスペックなどであってもよい。スペックは、分散電源310の定格発電電力(W)及び最大出力電力(W)などであってもよい。
【0028】
通信部220は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介してEMS330と通信を行う。通信部220は、上述したように、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージをEMS330に送信する。通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答をEMS330から受信する。ここで、通信部220は、発電量データをEMS330から受信する。通信部220は、発電量データを定期的にEMS330から受信してもよい。
【0029】
制御部230は、メモリ及びCPUなどによって構成されており、電力管理サーバ200に設けられる各構成を制御する。例えば、制御部230は、制御メッセージの送信によって、施設300に設けられるEMS330に対して、施設300に設けられる分散電源310に対する制御を指示する。制御メッセージは、上述したように、潮流制御メッセージであってもよく、逆潮流制御メッセージであってもよく、電源制御メッセージであってもよい。
【0030】
ここで、制御部230は、発電量データの欠損期間において、発電量データの欠損を補完する。制御部230は、分散電源310の機種が対象機種である場合に、欠損期間における発電量をゼロとして補完するゼロ補完を行う。ゼロ補完とは、欠損期間における発電量を、ゼロで表す補完であってもよく、欠損期間における発電量を、ゼロを意味すると解釈可能な符号又は文字(例えば、“FFFF”又は“9999”)で表す補完であってもよい。対象機種は、分散電源310の発電電力によって発電量データの送信が行われる機種である。従って、対象機種は、電力系統110などの電力によって発電量データの送信が行われない機種である。言い換えると、分散電源310の発電が行われていない場合には、発電量データの送信も行われない。
【0031】
制御部230は、分散電源310の機種が対象機種であり、かつ、分散電源310と電力管理サーバ200との間のネットワークのエラーが確認されない場合に、ゼロ補完を行ってもよい。分散電源310と電力管理サーバ200との間のネットワークは、EMS330と分散電源310(及び負荷機器320)を接続するネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク)を含んでもよく、EMS330と電力管理サーバ200とを接続するネットワーク120を含んでもよく、これらのネットワークの双方を含んでもよい。
【0032】
制御部230は、分散電源310と電力管理サーバ200との間のネットワークを介して分散電源310以外の機器からデータを受信している場合に、ネットワークのエラーが確認されないと判定してもよい。例えば、分散電源310以外の機器は、負荷機器320であってもよく、EMS330であってもよく、施設300に設けられるローカルエリアネットワークを形成するルータであってもよい。分散電源310と電力管理サーバ200との間のネットワークのエラーは、キープアライブ信号の送受信等のように他の方法で検出されてもよい。
【0033】
制御部230は、分散電源310の機種が対象機種であっても、分散電源310と電力管理サーバ200との間のネットワークのエラーが確認されない場合に、ゼロ補完とは異なる所定補完を行ってもよい。例えば、所定補完は、発電量データの欠損が生じている分散電源310(以下、欠損分散電源)と類似する設置環境に設置された他の分散電源310の発電量データに基づいた補完であってもよい。所定補完は、欠損期間において欠損分散電源に供給されると予測される自然エネルギー量(日射量、風速、水流量、地温、気温など)に基づいた補完であってもよい。自然エネルギー量は、気象データを用いて予測されてもよい。
【0034】
制御部230は、分散電源310の機種が対象機種でなくても、欠損期間において分散電源310の発電が行われていないと推定される場合に、ゼロ補完を行ってもよい。制御部230は、欠損期間の自然エネルギー量(日射量、風速、水流量、地温、気温など)に基づいて、分散電源310の発電が行われているか否かを推定してもよい。分散電源310が太陽電池装置である場合には、制御部230は、欠損期間の時間帯に基づいて、分散電源310の発電が行われているか否かを推定してもよい。例えば、制御部230は、欠損期間の時間帯が夜間である場合に、分散電源310の発電が行われていないと推定する。
【0035】
例えば、上述した補完方法については図3に示すように纏められてもよい。図3において、対象機種は、分散電源310が対象機種であるか否かを示す列である。エラーは、分散電源310と電力管理サーバ200との間のネットワークのエラーの有無を示す列である。発電推定は、欠損期間において分散電源310の発電が行われているか否かを示す列である。
【0036】
制御部230は、条件1、条件2又は条件4が満たされている場合に、ゼロ補完を行う。一方で、制御部240は、条件3又は条件5が満たされている場合に、ゼロ補完とは異なる所定補完を行う。但し、条件1及び条件2は代替条件であるため、エラーの有無を確認する仕組みがない場合に条件1が採用され、エラーの有無を確認する仕組みがある場合に条件2が採用されてもよい。
【0037】
実施形態において、上述した所定補完は必須ではなくてもよい。すなわち、欠損期間における分散電源310の発電量を推定することが困難である場合には、上述した所定補完は省略されてもよい。例えば、欠損分散電源と類似する設置環境に設置された他の分散電源310の発電量データがないケース、欠損期間において欠損分散電源に供給されると予測される自然エネルギー量を取得できないケースにおいては、上述した所定補完は省略されてもよい。さらに、電力管理サーバ200の上位サーバから所定補完が要求されていない場合に、上述した所定補完が省略されてもよい。例えば、上位サーバは、アグリゲータに業務を委託する上位エンティティ(発電事業者、送配電事業者及び小売事業者など)によって管理されるサーバであってよく、電力管理サーバ200が電力量データを報告する相手によって管理されるサーバであってもよい。これらのケースにおいては、発電量データの補完が省略されるため、電力管理サーバ200は、欠損期間において欠損が生じているものとして発電量データを管理する。
【0038】
(補完タイミング)
以下において、実施形態に係る補完タイミングについて説明する。
【0039】
例えば、図4に示すように、制御部230は、欠損期間後において発電量データを受信したタイミングで補完を行ってもよい。具体的には、タイミングt3から発電量データの欠損が生じている場合において、タイミングtxにおいて発電量データを受信できたケースを想定する。このようなケースにおいて、制御部230は、欠損期間の全体を対象としてタイミングtxでゼロ補完を行ってもよい。制御部230は、欠損期間の全体を対象としてタイミングtxで所定補完を行ってもよい。
【0040】
或いは、図5に示すように、制御部230は、分散電源の制御を行う必要があると判定されたタイミング(以下、制御タイミング)で補完を行ってもよい。ここで、制御タイミングとは、制御対象の分散電源310(施設300)を選択するタイミングを意味しており、分散電源310を実際に制御するタイミングよりも前のタイミングである。具体的には、タイミングt3から発電量データの欠損が生じている場合において、発電量データを受信する前に制御タイミングが生じたケースを想定する。このようなケースにおいて、制御部230は、欠損期間の全体を対象として制御タイミングでゼロ補完を行ってもよい。制御部230は、欠損期間の全体を対象として制御タイミングで所定補完を行ってもよい。制御タイミングは、潮流制御、逆潮流制御又は電源制御が必要になったタイミングである。
【0041】
或いは、図6に示すように、制御部230は、発電量データの欠損が所定タイミングで生じた場合において、所定タイミングから許容遅延時間が経過したタイミングで、所定タイミングの欠損について補完を行う。具体的には、タイミングt3から発電量データの欠損が生じている場合において、タイミングt3から許容遅延時間が経過したケースを想定する。このようなケースにおいて、制御部230は、タイミングt3から許容遅延時間が経過したタイミングで、タイミングt3の欠損を対象としてゼロ補完を行ってもよい。制御部230は、タイミングt3から許容遅延時間が経過したタイミングで、タイミングt3の欠損を対象として所定補完を行ってもよい。但し、タイミングt4から許容遅延時間が経過していないため、タイミングt3から許容遅延時間が経過したタイミングでタイミングt4の欠損については補完が行われなくてもよい。
【0042】
(データ補完方法)
以下において、実施形態に係るデータ補完方法について説明する。図7に示すフローは所定周期で繰り返される。
【0043】
図7に示すように、ステップS10において、電力管理サーバ200は、発電量データの欠損があるか否かを判断する。欠損がある場合には、ステップS11の処理が行われる。一方で、欠損がない場合には、一例の処理が終了する。
【0044】
ステップS11において、電力管理サーバ200は、現在タイミングが補完タイミングであるか否かを判断する。判定結果がYESである場合には、ステップS12の処理が行われる。一方で、判定結果がNOである場合には、一例の処理が終了する。
【0045】
ステップS12において、電力管理サーバ200は、補完条件がゼロ補完条件であるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS13の処理が行われる。一方で、判定結果がNOである場合には、ステップS14の処理が行われる。ゼロ補完条件は、図3に示す条件1、条件2又は条件4である。
【0046】
ステップS13において、電力管理サーバ200は、図4図6に示す欠損を対象としてゼロ補完を行う。
【0047】
ステップS14において、電力管理サーバ200は、図4図6に示す欠損を対象として所定補完を行う。
【0048】
(作用及び効果)
発明者等は、鋭意検討の結果、欠損期間における発電量を具体的な数値として推定するのに必要な参照データの存在を前提としてなくても、発電量データの欠損を適切に補完可能な条件を見出した。具体的には、電力管理サーバ200は、ゼロ補完条件が満たされた場合に、発電量データをゼロとして補完する。ゼロ補完条件は、分散電源310の機種が分散電源310の発電電力によって発電量データの送信が行われる機種であるという条件を含む。このような構成によれば、欠損期間における発電量の推定に用いるデータの存在を前提としてなくても、発電量データの欠損を適切に補完することができる。
【0049】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0050】
実施形態では、発電量データは、EMS330を経由して分散電源310から電力管理サーバ200に送信される。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。発電量データは、EMS330を経由せずに分散電源310から電力管理サーバ200に送信されてもよい。
【0051】
実施形態では、データ補完サーバとして電力管理サーバ200を例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。データ補完サーバは、電力管理サーバ200と異なっていてもよい。このようなケースにおいて、データ補完サーバは、欠損が補完された発電量データを電力管理サーバ200に送信してもよい。
【0052】
実施形態では、分散電源310は、自然エネルギーを用いて発電を行う装置である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。分散電源310は、このような装置に加えて、蓄電装置を含んでもよく、燃料電池装置を含んでもよい。燃料電池装置は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)などである。
【0053】
実施形態では、電力管理サーバ200は、データベース210を有する。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。データベース210は、インターネット上に設けられるクラウドサーバであってもよい。
【0054】
実施形態では特に触れていないが、施設300に設けられるEMS330は、必ずしも施設300内に設けられていなくてもよい。例えば、EMS330の機能の一部は、インターネット上に設けられるクラウドサーバによって提供されてもよい。すなわち、EMS330がクラウドサーバを含むと考えてもよい。
【0055】
実施形態では、第1プロトコルがOpen ADR2.0に準拠するプロトコルであり、第2プロトコルがECHONET Liteに準拠するプロトコルであるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1プロトコルは、電力管理サーバ200とEMS330との間の通信で用いるプロトコルとして規格化されたプロトコルであればよい。第2プロトコルは、施設300で用いるプロトコルとして規格化されたプロトコルであればよい。
【符号の説明】
【0056】
100…データ補完システム、110…電力系統、120…ネットワーク、200…電力管理サーバ、210…データベース、220…通信部、230…制御部、300…施設、310…分散電源、320…負荷機器、330…EMS
図1
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図7