特許第6916200号(P6916200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オープン コスモス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916200
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】衛星ペイロード開発の装置と方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 7/00 20060101AFI20210729BHJP
【FI】
   B64G7/00 C
【請求項の数】31
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-547468(P2018-547468)
(86)(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公表番号】特表2019-507706(P2019-507706A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】GB2017050610
(87)【国際公開番号】WO2017153740
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2020年3月5日
(31)【優先権主張番号】1603920.8
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518315450
【氏名又は名称】オープン コスモス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】シキュイエ ラファエル ホルダ
(72)【発明者】
【氏名】ライ ハン
(72)【発明者】
【氏名】オマール アレイクス メヒヤス
(72)【発明者】
【氏名】アルス ジョルディ バレラ
(72)【発明者】
【氏名】コーワン マーク
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08888050(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0188562(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0038084(US,A1)
【文献】 特開2000−185700(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0122046(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0122637(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0016852(US,A1)
【文献】 特開昭62−067668(JP,A)
【文献】 特開平10−226399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星に統合される衛星発射装置にペイロードを送る前に前記衛星用前記ペイロードの開発および/またはテストのための装置であって、
前記ペイロードに接続するように動作可能なペイロードインタフェースと、
前記装置をコンピュータと結合させるように動作可能な通信リンクと、
を備え、
前記装置は、前記ペイロードが前記ペイロードインタフェースと前記通信リンクとを介して前記装置に接続されたときの前記ペイロードの挙動が、前記ペイロードが前記衛星内にあるときの挙動と同じであるように、前記衛星の1以上のサブシステムをエミュレートするように動作可能であり、
前記ペイロードインタフェースは、データインタフェースモジュールと電力インタフェースモジュールとからデータと電力との両方を前記ペイロードに供給するように動作可能であり、
前記データインタフェースモジュールと前記電力インタフェースモジュールとは、前記衛星が軌道上にあるときに前記ペイロードが前記衛星内で経験する可能性のある条件をシミュレートすることにより、シミュレートされた前記条件下での前記ペイロードの挙動が監視され、および/または、前記ペイロードが操作されるように、コンピュータプログラム製品により実行されるコンピュータ実装方法により制御されるように動作可能であり、
前記コンピュータ実装方法は、
衛星ミッション上の前記衛星の1以上の条件をシミュレートする工程と、
前記1以上のシミュレートされた条件を含むシミュレーションを経験させるように前記ペイロードを制御する工程と、
前記1以上のシミュレートされた条件を経験中の前記ペイロードの挙動を特定するために、前記ペイロードを監視する工程と、
含み、
前記コンピュータプログラム製品は、前記衛星ミッションの前記シミュレーションにおける前記衛星内の前記ペイロードを制御するユーザインタフェースを提供し、
前記ユーザインタフェースは、実際の前記衛星ミッションにおける前記衛星内の前記ペイロードを実際に制御することにも使用される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
データインタフェースモジュールを介して前記コンピュータと前記ペイロードとの間でデータを通信することができるように、前記ペイロードインタフェースを介して前記ペイロードに接続されるように動作可能である前記データインタフェースモジュール、
をさらに備える、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
電源に結合され、前記ペイロードインタフェースを介して前記ペイロードに電力を供給するように動作可能である電力インタフェースモジュール、
をさらに備える、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記電力インタフェースモジュールは、主電源と、発電機と、バッテリと、コンピュータと、のうち少なくとも1つを備える電源から電力を受信するように動作可能である、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記ペイロードに供給される前記電力は、1ボルトから24ボルトまでの間の電位差、例えば、3.3ボルト、5ボルト、12ボルト、または24ボルトのうちの1つの電位差を含む、
請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
前記ペイロードインタフェースは、データと電力との両方を前記ペイロードに供給するように動作可能である、
請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ペイロードインタフェースおよび/または前記通信リンク用のハウジング、好ましくは、請求項2乃至6のいずれかに記載の前記データインタフェースモジュールおよび/または前記電力インタフェースモジュール用のハウジング、
をさらに備える、
請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記ペイロードと共に用いられる前記衛星の1以上のサブシステムの寸法と実質的に同じ寸法を有するように構成される、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記装置を別の構造、枠組、および/またはパネルに固着させるための少なくとも1つの機械的インタフェース、
を備える、
請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
前記データインタフェースモジュールおよび/または前記電力インタフェースモジュールは、例えば、前記衛星が軌道上にあるとき、前記ペイロードが前記衛星内で経験する可能性のある条件の下での前記ペイロードの挙動が監視され、および/または前記ペイロードが操作されるように、前記条件をシミュレートするように前記コンピュータにより制御されるように動作可能である、
請求項2乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記シミュレートされる条件は、位置、姿勢および軌道の制御サブシステムパラメータ、電力サブシステムパラメータ、実行モード、電力制御、展開可能物の状態、電子システム構成、ファームウェア管理、リセット設定、熱サブシステムパラメータおよび制御、または冗長性設定、のうち1以上に関するデータを提供する、
請求項10記載の装置。
【請求項12】
例えば、前記ペイロードが取り付けられる、ペイロード容量を画定するペイロード取付枠組、
をさらに備える、
請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
衛星用ペイロードの開発および/またはテストのためのシステムであって、
前記ペイロードを所望の方向に支持するための枠組と、
請求項1乃至11のいずれかに記載の装置と、
を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記装置を制御するように構成されるコントローラ、
をさらに備え、
例えば、前記コントローラはコンピュータである、
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記装置に電力を供給するように構成される電源モジュール、
をさらに備える、
請求項13または14記載のシステム。
【請求項16】
前記枠組はモジュール式であり、
好ましくは、前記枠組のサイズは再構成可能であり、
例えば、前記枠組は、互いに連結された個別の2以上の枠モジュールを含む、
請求項12乃至15のいずれかに記載の装置またはシステム。
【請求項17】
隣接する前記2以上の枠モジュールは、連結部材により互いに固着される、
請求項16記載の装置またはシステム。
【請求項18】
前記枠組は、前記衛星の寸法に対応するように構成されてもよく、
例えば、前記衛星は、任意で1Uから12Uまでの間の構成を備えるキューブサットである、
請求項12乃至17のいずれかに記載の装置またはシステム。
【請求項19】
前記枠組は、前記衛星の前記ペイロード容量と実質的に同じ容量であるペイロード容量を画定するように構成される、
請求項18記載の装置またはシステム。
【請求項20】
前記枠組は、前記枠組を区切る1以上の仕切り、
を備え、
例えば、前記仕切りは1以上のリブ部材により提供される、
請求項12乃至19のいずれかに記載の装置またはシステム。
【請求項21】
前記枠組は、前記枠組の構造的整合性が維持されるように、前記枠組の少なくとも一部がペイロードまたはダミーペイロードで交換可能であるように構成される、
請求項12乃至20のいずれかに記載の装置またはシステム。
【請求項22】
少なくともその一部が前記枠組の少なくとも一区域を囲うように構成される1以上のパネル、
をさらに備える、
請求項12乃至21のいずれかに記載の装置またはシステム。
【請求項23】
前記衛星内の1以上のサブシステムの容量特性および/または質量特性をシミュレートするように構成されるダミーモジュールをさらに備え、
例えば、前記ダミーモジュールは、前記枠組内に収まるように構成され、
例えば、前記ダミーモジュールは、前記枠組の前記構造の一部として統合されるように構成される、
請求項13乃至22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
3Dプリンタ(または任意のプリンタもしくは製造機器/システム)が、請求項12乃至23のいずれかに記載の枠組および/または連結部材および/またはダミーモジュールを製造することを可能にするように構成される、
ことを特徴とする機械可読マップまたは機械可読命令。
【請求項25】
衛星用ペイロードの開発および/またはテストの方法であって、
前記方法は、
前記ペイロードを、請求項1乃至11のいずれかに記載の装置に接続する工程と、
軌道上の前記ペイロードの見込みのある挙動を特定するために、前記ペイロード上で1回以上のシミュレーションを実行する工程と、
を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記衛星の前記構造に対応する枠組内に、前記ペイロードを所望の方向で取り付ける工程、
をさらに有する、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記1回以上のシミュレーションは、前記装置に結合されたコンピュータ上で実行される、
請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
様々な環境条件下で前記ペイロードの挙動を特定する工程をさらに有し、
例えば、前記ペイロードと前記装置とは、適切なテスト室内に配置される、
請求項25乃至27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記環境条件は、気圧の低下と、前記装置の震動と、周囲温度の低下もしくは上昇と、放射線レベルの変化と、のうち1以上を含んでもよい、
請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ペイロードは、500kg未満の湿質量を有する衛星、好ましくは1kgから25kgまでの間の湿質量を有する衛星、より好ましくはナノ衛星、例えば、キューブサット、のためのペイロードである、
請求項1乃至29のいずれかに記載の装置、システム、または方法。
【請求項31】
請求項1乃至30のいずれかに記載の装置、システム、および/または方法を用いて開発および/またはテストされるペイロードと共に用いる衛星であって、
前記衛星は、好ましくは小型衛星であり、より好ましくはナノ衛星、例えば、キューブサットである、
ことを特徴とする衛星。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星ペイロード開発に関する。より具体的には、本発明は、衛星ミッションとペイロード制御とのシミュレーションを可能にする。
【背景技術】
【0002】
人工衛星は、例えば、グローバル通信、ナビゲーション、観測などの広範囲の機能を可能にする。
【0003】
衛星は、地球から送信されたデータや制御信号を受信できる。これらの信号は、その後、他の衛星を介して別の衛星に送信され、および/または地球に再び送信されることができる。したがって、衛星は、衛星でなければ容易にアクセスできないような地球上の地理的領域の間および/またはそのような領域に亘って信号が送信されることを可能にする。データは、衛星を使用して、かなりの距離に亘り送信されることができ、衛星と同等の地上通信システムを用いて、同じ情報を同じ距離に亘って送信する際に必要とされる複雑なインフラストラクチャが不要となる。
【0004】
衛星は、従来、選択された軌道に応じて地上160kmから36,000kmまでの間の範囲の高度で地球の軌道上を回る。これらの高度にある衛星は、高層ビルなどの障害物に妨げられることなく、広大な地理的領域をカバーすることができる。
【0005】
今日までに約6,600基の人工衛星が打ち上げられており、この数は大幅に増えている。衛星は、従来、サイズにより分類され、「小型衛星」は質量500kg以下の衛星を指す。アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)は、小型衛星を「スモールサット(SmallSat)」と呼び、質量180kg未満で大型のキッチン用冷蔵庫程度のサイズの衛星と定義している。「ナノ衛星(Nanosatellite)」は、小型衛星の特定のカテゴリであり、NASAにより、1kgから10kgまでの間の湿質量(wet mass)を有する衛星と定義されている。
【0006】
キューブサット(Cubesats)は、ペイロードを積載するように構成された、特定の区分のナノ衛星である。標準的なキューブサットは、「1ユニット」(「1U」)と呼ばれる10×10×10cmの単位容量と、1.33kg未満の質量とを有する立方体(または「ブロック」)の形態である。キューブサットのサイズは、例えば、1.5U、2U、3U、6U、または12Uに拡張されてもよい。
【0007】
このようなサイズであるため、キューブサットは、大型のペイロードを積載することができない。しかしながら、一般的なペイロードは、例えば、カメラや、望遠鏡や、様々なタイプのセンサを備える。そのような比較的小型の衛星は、特に、電子部品の小型化により、近年に実現可能になってきた。
【0008】
現在、限られた推進システムがこのようなナノ衛星に使用可能である。しかしながら、例えば、複数のキューブサットは、キューブサット同士が相互に通信できるように、軌道を回るコンステレーション(constellations)の形態に構成され得る。
【0009】
ナノ衛星のようなより小型の衛星は、衛星打上のコストを削減し、および/または衛星打上の効率を高めることができるため、宇宙探索と地球監視との両方において、極めてコスト効果の高い手段であることが明らかである。例えば、より重い衛星は、予定の軌道に向けて推進されるために、より大きな推力を有する大型ロケットを必要とする。キューブサットのようなより小型の衛星は、主衛星(単数または複数)の打上がすでに予定されていて、ロケットペイロードの収容能力がまだある大型ロケットに「ピギーバッグ(piggyback)」することができる。
【0010】
そのようなロケットペイロードに対する小型の衛星の追加は、ロケット燃料要件がペイロードの最大収容能力により大きく定められているため、そのロケットの燃料要件に過度の影響を及ぼす恐れがない。したがって、大型ロケットは、複数のより小型の衛星を打ち上げる方法にもなり得て、これにより、打上を複数回行う必要をなくし、および/または衛星毎の打上コストの削減を提供する。
【0011】
したがって、キューブサットのような小型衛星は、ロケットの1次ペイロードまたは2次ペイロードのいずれかとして打ち上げられ得る。このような小型衛星は、先に別のペイロードの一部として国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)に送られる場合、ISSから打ち上げられることも可能であろう。その結果、より多くの企業や個人が衛星の開発や衛星の宇宙への打上に強い意欲を示すようになり、ロケット工学サービスビジネスにおける競争と革新も増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、小型衛星の打上コストの削減がより実現可能になり得る一方で、小型衛星自体の開発は依然として極めて高額である。各小型衛星は、意図されるミッションにおける軌道上のペイロードの効果に対するリスクを緩和するために計画される戦略で、個別に開発され、テストされ、特注製造されなければならない。この開発、テスト、製造は、一般的に、実績のない特注製造の電子機器や、開発者が操作方法やシステムとして動作させる方法を学ばなければならないような買入れサブシステムや、および/または宇宙飛行の伝統的で高価な電子機器を用いて行われる。その結果、衛星の開発と所有とは、主に、十分な資本を有する企業と、政府と、大規模な複合企業と、大学と、非常に裕福な個人との領分に留まっている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書において、衛星のペイロードの開発および/またはテストのための装置について記載する。装置は、ペイロードに接続するように動作可能なペイロードインタフェースと、装置をコンピュータと結合させるように動作可能な通信リンクとを備え、装置は、ペイロードがペイロードインタフェースと通信リンクとを介して装置に接続されたときのペイロードの挙動(behaviour)が、ペイロードが衛星内にあるときの挙動と同じであるように、衛星の1以上のサブシステムをエミュレートするように動作可能である。
【0014】
装置は、ゼロからのペイロードの開発とテスト、および/または衛星に統合するための既存のペイロードの構成を可能にする。装置は、ペイロードが装置に接続されたときのペイロードの挙動が、ペイロードが(実際の)衛星内にあるときの挙動と同じであるように、衛星のサブシステム(例えば、電源システム、オンボードデータ処理、姿勢の決定および制御、送受信機など)をエミュレートしてもよい。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、装置は、衛星のペイロードを開発/テストするとき、いくつかの要素(例えば、ペイロードインタフェース)が変更しないようにすることを可能にする。従来の衛星開発は、ペイロードを含む非常に多数の要素が開発される必要があり、比較的高コストの開発につながっている。いくつかの要素を衛星内でも同じにすることにより、一旦これらの要素が開発されテストされると、次の打上のためのテストプロセスが重複して行われる必要がなくなる(例えば、仮に行うとしても、同程度にまで行われる必要はない)。
【0016】
そのような要素が同じに保たれる場合、たった一回の開発と、必要とされるテストのほとんどとは、ペイロードバス(payload bus)(例えば、「ペイロードインタフェース」)に接続されたときのペイロードに関連するものになる。1回以上の(例えば、軌道)シミュレーション中のその反応は、装置を用いて、任意で、宇宙機シミュレータなどの衛星のペイロード開発および/またはテストのための装置に結合されたコンピュータ上で実行され得るシミュレータによる支援により、監視され、分析されることができる。
【0017】
衛星の大多数はペイロードを備え、ペイロードは衛星の意図する機能に応じて異なる(vary)場合がある。ペイロードは、サイズ、重量、要件において著しく異るため、衛星が開発される際に考慮されなければならない。
【0018】
任意で、装置は、さらに、データインタフェースモジュールを介してコンピュータとペイロードとの間でデータをすることができるように、ペイロードインタフェースを介してペイロードに接続されるように動作可能であるデータインタフェースモジュールを備える。
【0019】
任意で、装置は、電源に結合され、例えば、ペイロード電力インタフェースを介して、ペイロードに電力を供給するように構成される電力インタフェースモジュールを備える。任意で、電力インタフェースモジュールは、データインタフェースモジュールに電源を提供する。任意で、電力インタフェースモジュールは電源から電力を受信するように動作可能であり、電源は主電源(例えば、AC)と、発電機と、バッテリと、コンピュータと、の少なくとも1つを備えてもよい。任意で、ペイロードに供給される電力は、1ボルトから24ボルトまでの間の電位差、例えば、3.3ボルト、5ボルト、12ボルト、または24ボルト(言うまでもなく、これ以外の電圧が使用されてもよい)のうちの1つの電位差を含む。任意で、データインタフェースモジュールは、データと電力との両方をペイロードに供給するように動作可能である。
【0020】
任意で、装置は、さらに、ペイロードとのデータ通信と電力送信とを別々に行うように構成された複数のペイロードインタフェースを備えてもよい。任意で、複数(すなわち、2以上)のインタフェースは、ペイロードとデータ通信するように設けられてもよい。
【0021】
任意で、通信リンクは、例えば、コンピュータとのブルートゥース(登録商標)などの無線接続、またはUSBケーブルなどの有線接続を提供するように構成されてもよい。通信リンクは通信インタフェース(communication interface)を備えてもよく、通信インタフェースは物理インタフェース(physical interface)であってもよく、ソフトウェア実装インタフェースであってもよい。
【0022】
任意で、データインタフェースモジュールは容器内に取り付けられてもよい。容器は、1つの衛星回路基板と、任意で積層、中二階配置(a stack, a mezzanine arrangement)、またはバックプレーンシステム(back plane system)で構成される複数の衛星回路基板と、軌道中の衛星の保護に必要とされるような保護遮蔽体シールドと、のうち1以上を含んでもよい。
【0023】
任意で、衛星のペイロード開発および/またはテストのための装置は、さらに、ペイロードインタフェースおよび/または通信リンク用のハウジング、好ましくは、データインタフェースモジュールおよび/または電力インタフェースモジュール用のハウジングを備える。ハウジングは、ペイロードと共に用いられる衛星の1以上のサブシステムの寸法および/または容量と実質的に同じ寸法および/または容量を有するように構成されてもよい。
【0024】
ハウジングは、衛星のペイロード開発および/またはテストのための装置を別の構造、枠組および/またはパネルに固着させるための少なくとも1つの機械的インタフェースを備えてもよい。
【0025】
任意で、装置は、500kg未満の湿質量(wet mass)を有する衛星用のペイロードを開発および/またはテストするように構成される。好ましくは、装置は、1kgから25kgまでの間の湿質量、好ましくは1kgから10kgまでの間の湿質量を有する衛星用、例えば、キューブサットなどのナノ衛星用のペイロードを開発および/またはテストするように構成される。500kg未満の湿質量、または任意で1kgから25kgまでの間の湿質量を有する小型衛星は、単一のロケットにより多数を軌道上へと運ばれることができ、衛星毎のコストを削減できる。したがって、小型衛星は、より大型の衛星および/またはより重い衛星よりも多くの利点をもたらす。
【0026】
任意で、データインタフェースモジュールは、ペイロード、コンピュータ、電力インタフェースモジュール、または電源モジュールのうち1以上に結合される。ペイロード開発中に衛星のペイロード開発および/またはテストのための装置から有用なデータを可能な限り抽出するために、いくつかの実施形態において、データインタフェースモジュールは、多数の異なるモジュールのうち1以上に結合される。したがって、データインタフェースモジュールが結合された各モジュールからのデータは、記録され、分析されることができる。このようなデータは、衛星が打ち上げられるときの衛星の挙動に対する洞察を提供し、または、打上が実現可能になる前に対処する必要のある問題を提示し得る。
【0027】
任意で、装置は、ペイロードが衛星内で経験する可能性のある条件をシミュレートするようにコンピュータにより制御されるように動作可能であってもよい。これにより、例えば、コンピュータが宇宙機シミュレータとして機能するように制御される、ハードウェアインザループ形式(hardware-in-the-loop)のペイロードの開発とテストとが可能になる。
【0028】
任意で、コンピュータは、位置、姿勢および軌道の制御サブシステムパラメータ、電力サブシステムパラメータ、実行モード、展開可能物の状態、電子システム構成、オンボードコンピュータ(OBC)サブシステムパラメータ、ファームウェア管理およびファイル管理、リセット設定、熱サブシステムパラメータおよび制御、または冗長性設定、のうち1以上に関するデータを提供する宇宙機シミュレータとして機能するように動作可能である。
【0029】
任意で、データインタフェースモジュールおよび/または電力インタフェースモジュールは、例えば、衛星が軌道上にあるとき、ペイロードが衛星内で経験する可能性のある条件下のペイロードの挙動が監視され、および/またはペイロードが操作されるように、条件をシミュレートするようにコンピュータにより制御されるように動作可能である。
【0030】
いくつかの実施形態において、シミュレーション(例えば、宇宙機シミュレーション)は、1以上のミッション、例えば、太陽同期軌道ミッションにおけるペイロードのパフォーマンスを予測するために使用されることができる。ローカル電源は、バッテリおよび/またはソーラーパネルなどの衛星電源の代わりに、シミュレーション中に必要とされる電力をペイロードに供給することができる。電力インタフェースモジュールは、例えば、ソーラーパネルから供給される変動する(varying)電力、および/または経時的にバッテリから供給される電力の特徴を考慮するために、シミュレートされた電力供給に応じて、装置への電力供給の調整を可能にすることができる。
【0031】
フィードバック機構は、ペイロードの必要性と反応、および/またはシミュレートされた衛星の特徴に従って電力供給が変動されることができるように、採用されてもよい。いくつかの他のモジュール、例えば、通信リンクおよび/またはペイロードインタフェースを備えるモジュールも電力を必要とする場合があるため、電力インタフェースモジュールを介して電源に接続されることができる。
【0032】
任意で、ペイロードのパフォーマンス(または挙動)は、様々な(varying)環境条件下でテストされてもよい。任意で、環境条件は、気圧の低下、装置の震動、周囲温度の低下または上昇、または放射線レベルの変化、のうち1以上を含んでもよい。様々な環境条件下でペイロードの挙動をテストするために、適宜、ペイロードを内部に配置できるような、加圧(または他の環境シミュレーション)室や他の適切なテスト装置が採用されてもよい。
【0033】
衛星の予測される挙動のシミュレーションは、衛星とペイロードとの将来の実際の挙動を可能な限り忠実にモデル化することに有益になり得る。このモデル化により、発生するペイロードの問題は、実際の衛星の打上前に解決され得る。したがって、いくつかの実施形態において、開発および/またはテスト装置全体は、様々な環境条件下にさらされることができ、これにより、衛星が打上後に必然的に置かれる環境条件をより正確に再現し得る。
【0034】
大量のデータは、衛星の打上の成功と、衛星の継続使用と、に関係し得る。いくつかの実施形態において、開発および/またはテスト装置により提供されるシミュレーションデータは、打上後の衛星とペイロードとに関連する有益な情報、例えば、衛星の他の部分とのペイロード通信に関連するデータを提供してもよい。シミュレーションが、ペイロードが衛星の他の部分となんらかの不適合を有することを示す場合、この問題は、衛星の打上後に修理や修正を行うよりも、ペイロードの開発中に、より低いコストで解決されることができる。姿勢の決定および制御(Attitude Determination and Control:ADCS)、オンボードコンピュータ(on-board computer:OBC)、電源システム(Electrical Power System:EPS)などの重要な衛星システムも、予測どおりの衛星の機能の最大能力を保証するために、シミュレーションされることができる。
【0035】
任意で、コンピュータは、複数の衛星を同時にシミュレートするように、および/または衛星間通信をシミュレートするように動作可能である。複数の衛星は、グループ(group)、コンステレーション(constellation)、または「スウォーム(swarm)」として、互いに協調することができる。したがって、いくつかの実施形態において、複数の衛星がシミュレーションされることは、他の衛星と一緒の場合の衛星のパフォーマンスに関するデータを収集するために、有利である。
【0036】
任意で、例えば、ペイロードが取り付けられる(ペイロード取付用)枠組が設けられ、枠組は、ペイロード容量を画定する。ペイロードは、ペイロード容量内に配置されてもよく、任意で枠組に取り付けられ(あるいは固着および/または固定され)てもよい。
【0037】
本明細書では、衛星用ペイロードの開発および/またはテストのためのシステムについても記載される。衛星用ペイロードの開発および/またはテストのためのシステムはペイロードを所望の方向に支持するための枠組と、ペイロードに接続するように動作可能な装置と、を備え、装置は衛星の1以上のサブシステムをエミュレートするように動作可能である。
【0038】
前述のとおり、装置は、ペイロードが枠組に取り付けられ、装置に接続されたときのペイロードの挙動が、ペイロードが(実際の)衛星内に(統合および/または搭載されて)あるときの挙動と同じであるように、衛星の1以上のサブシステムをエミュレートするように動作可能であってもよい。
【0039】
コントローラは、装置と、装置に接続されるペイロードとを制御するように構成されてもよく、例えば、コントローラはコンピュータである。電源モジュールは、装置に電力を供給するように構成される。
【0040】
(装置および/またはシステムの)枠組は、モジュール式であってもよく、好ましくは、枠組のサイズは再構成可能であり、例えば、枠組は互いに連結された個別の2以上の枠モジュールを含んでもよい。隣接する2以上の枠モジュールは、連結部材により互いに固着されてもよい。枠組は、衛星の構造および/または寸法に対応するように構成されてもよく、例えば、衛星はキューブサットであってもよい。任意で、枠組は、1Uから12Uまでの間のサイズ(または構成)を有し、ここでUはキューブサットの標準によると、寸法10×10×10cmの単位容量である。枠組は、衛星のペイロード容量と実質的に同じ容量であるペイロード容量を画定するように構成されてもよい。
【0041】
(装置および/またはシステムの)枠組は、枠組を区切る1以上の仕切りを備えてもよく、例えば、仕切りは1以上のリブ部材により提供され(設けられ)てもよい。枠組は、枠組の少なくとも一部がペイロードまたはダミーペイロードで交換可能であるように構成されてもよく、例えば、これにより枠組の構造的整合性(structural integrity)を維持する。1以上のパネルは、少なくともその一部が枠組の少なくとも一区域または一部を囲うように構成されてもよい。
【0042】
ダミーモジュールは、衛星内の1以上のサブシステムの容量特性および/または質量特性をシミュレートするように枠組内に配置(arranged)され(または取り付けられ)てもよく、例えば、ダミーモジュールは、枠組内に収まるように構成され、例えば、ダミーモジュールは、枠組の構造の一部として統合されるように構成される。
【0043】
本明細書では、衛星用ペイロードの開発および/またはテストのためのシステムについても記載される。衛星用ペイロードの開発および/またはテストのためのシステムは、機械的インタフェース(構造)と電気的インタフェース(電力バスおよびデータバス)との少なくとも一方を含み、ペイロードをコンピュータに結合することが可能なハードウェアと、衛星ミッションシミュレーション(satellite mission simulation)および/またはハードウェアインザループ形式のペイロード操作を実行するように構成されるソフトウェアと、を備える。
【0044】
さらなる態様によると、3Dプリンタ(または任意のプリンタもしくは製造機器/システム)が枠組および/または連結部材を製造することを可能にするように構成される機械可読マップまたは機械可読命令が提供される。
【0045】
枠組および/または連結部材は、金属で、または、熱転写シールと共にポリウレタンなどの1種以上のプラスチックを含む射出成形加工を用いて、共通に製造されてもよい。
【0046】
本明細書では、衛星用ペイロードのテストの方法についても記載される。衛星用ペイロードのテストの方法は、ペイロードを、衛星用ペイロードの開発および/またはテストのための装置に接続する工程を有し、装置はコンピュータに結合するように動作可能であり、1回以上のシミュレーションはペイロードに対して実行可能である。
【0047】
本明細書では、衛星用ペイロードの開発および/またはテストの方法についても記載される。衛星用ペイロードの開発および/またはテストの方法は、衛星の1以上のサブシステムをエミュレートするように動作可能な装置を設ける工程と、ペイロードを装置に接続する工程と、軌道上のペイロードの見込みのある挙動を特定するために、ペイロード上で1回以上のシミュレーションを実行する工程と、を有する。前述のとおり、装置は、ペイロードが装置に接続されたときのペイロードの挙動が、ペイロードが(実際の)衛星内に(統合および/または搭載されて)あるときの挙動と同じであるように、衛星の1以上のサブシステムをエミュレートするように動作可能であってもよい。
【0048】
任意で、ペイロードは、衛星の構造に対応する枠組内に、所望の方向で取り付けられてもよい。1回以上のシミュレーションは、例えば、衛星内のペイロードの最適な方向および/または構成を特定するように、様々な方向のペイロード上で実行されてもよい。
【0049】
任意で、1回以上のシミュレーションは、データインタフェースモジュールおよび/または、装置を介して、ペイロードに結合されるコンピュータ上で実行される。
【0050】
任意で、ペイロードの挙動は、様々な環境条件下で特定(テスト)されてもよく、例えば、ペイロードと装置とは、適切なテスト室内に配置される。環境条件は、気圧の低下、装置の震動、周囲温度の低下もしくは上昇、または放射線レベルの変化、のうち1以上を含んでもよい。
【0051】
任意で、方法は、本明細書に記載される装置またはシステムの使用を含んでもよい。
【0052】
本明細書では、衛星用ペイロードの開発および/またはテストの方法についても記載される。方法は、宇宙ミッションの1以上の条件をコンピュータ上でシミュレートする工程と、シミュレートされた条件の1以上を経験させるようにペイロードを制御する工程と、1以上のシミュレートされた条件を経験中のペイロードの挙動を特定するために、ペイロードを監視する工程と、を有する。
【0053】
任意で、コンピュータは、位置、姿勢および軌道の制御サブシステムの特性、電力サブシステムパラメータ、実行モード、電力制御、展開可能物の状態、電子システム構成、ファームウェア管理、リセット設定、熱サブシステムのパラメータおよび制御、または冗長性設定、のうち1以上に関するデータを提供する宇宙機シミュレータとして機能するように動作可能であってもよい。
【0054】
任意で、シミュレーションは、例えば、以前のミッションから取得された実際の宇宙飛行データを用いて作成されてもよい。任意で、コンピュータは、さらに、複数の衛星を同時にシミュレートするように、および/または衛星間通信をシミュレートするように動作可能であってもよい。任意で、ペイロードは、前述のとおり、かつ本明細書に記載のとおりの装置に接続されてもよい。
【0055】
別の態様によると、前述のとおり、かつ本明細書に記載のとおりの方法を実行するように動作可能なコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、さらに、例えば、シミュレーションと実際の制御との両方に同じユーザインタフェースを用いることにより、衛星内の(ならびにテスト中および/または開発中の)ペイロードを制御するように構成され、および/または動作可能であってもよい。
【0056】
本明細書に記載される装置、システム、および/または方法において、ペイロードは、500kg未満の湿質量を有する衛星、好ましくは1kgから25kgまでの間の湿質量を有する衛星、より好ましくは1kgから10kgまでの間の湿質量を有するナノ衛星、例えば、キューブサット、のためのペイロードであってもよい。
【0057】
本明細書では、前述のとおり、かつ本明細書に記載のとおりの装置、システム、および/または方法を用いて開発および/またはテストされるペイロードと共に用いる衛星についても記載される。衛星は、好ましくは小型衛星であり、より好ましくはナノ衛星、例えば、キューブサットである。
【0058】
本発明は、本明細書に記載されるシステムまたは装置の1以上の態様を有する部品キットにも適用される。
【0059】
本発明は、実質的に、本明細書の記載、および/または添付の図面に図示のとおり、装置またはシステムにも適用される。
【0060】
本明細書において用いられる「コンピュータ」という用語は、スマートフォン、タブレット機器、類似機器などのモバイルコンピュータ機器や、ラップトップコンピュータやデスクトップコンピュータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0061】
ここで、同様の参照符号を含む添付の図面を参照して、例示として、本発明の少なくとも1つの実施形態について説明する。
図1図1は、衛星用ペイロードを取り付けるための枠組を有する装置の図である。
図2図2は、図1の装置を組み込むシステムのブロック図である。
図3a-3b】図3a−3bは、枠組なしのさらなる装置を2つの異なる方向で示す図である。
図4a-4c】図4a−4cは、モジュール式枠組内に取り付けられた装置の図と、枠組の分解図と、枠組内にさらに設けられたペイロードの図と、である。
図5a-5b】図5a−5bは、モジュール式枠組内に取り付けられた装置を2つの異なる構成で示す図である。
図6a-6b】図6a−6bは、モジュール式枠組内に取り付けられた装置のさらなる構成を示す図と、同じ構成にペイロードを追加した図と、である。
図7a-7b】図7a−7bは、取り付けられた装置とペイロードとを有する2つの異なる枠組構成を示す図である。
図8a-8d】図8a−8dは、可能なモジュール式枠組の構成の例を示す図である。
図9a-9c】図9a−9cは、隣接する枠組をつなぐための連結部材を示す図と、連結部材がどのように枠組に固着され得るかを示す図と、装置がどのように枠組に固着され得るかを示す図と、である。
図10図10は、本明細書に記載の装置、および/またはシステム、および/または方法を用いてテストされたペイロードを積載する、軌道上の衛星を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
衛星発射装置は、ナノ衛星などの複数の小型衛星を、発射装置(例えば、ロケット)上の1次ペイロードまたは2次ペイロードとして軌道へと打ち上げるように構成することができる。したがって、小型衛星の開発者は、打上の際にペイロードが積載される衛星プラットフォームとの適合のため、ペイロードを構成および/またはテストする必要があり得る。この構成および/またはテストは、軌道上でペイロードがとるであろう様々な構成および/または方向においてペイロードを開発/テストすること、および/またはペイロードの衛星プラットフォームとの適合性をテストすることを含んでもよい。このような適合性は、衛星の電気系および/または機械系との適合性と、それらに関連するインタフェースとの適合性とを含んでもよい。
【0063】
図1は、第1実施形態にかかる衛星プラットフォーム(不図示)用ペイロードを構成する装置10の例示的実施形態を示す。他の実施形態において、装置は、衛星ペイロードのテストまたは開発のいずれかのみに使用されてもよい。
【0064】
装置10は、複数の構造支持体1を備える。複数の構造支持体1は、内部にペイロード6を配置し、取り付け、および/または固定することができるペイロード容量を画定するための、一定の構造剛性と構造ロバスト性とを有する枠組を画定するように構成される。枠組1は、実際の衛星プラットフォームの構造に対応するように構成されてもよい。ペイロード6は、図1に示されるように、枠組1に取り付けられ得る実際のペイロードを示している。
【0065】
電源モジュール9は、(AC)主電源、発電機、バッテリ、電力供給可能なコンピュータ装置などの外部電源に接続されるように構成される。電源モジュール9は、装置10に設けられる電力ポート(またはインタフェース)7を介して、装置10に電力を供給するために設けられる。電源モジュール9は、装置10に設けられるペイロード電力インタフェースモジュール2を介して、ペイロード容量内のペイロード6に接続されるとき、ペイロード6に電力を供給するように構成される。
【0066】
装置10は、データインタフェースモジュール3も備える。データインタフェースモジュール3は、外部データ(または通信)リンクを介して、汎用コンピュータ(または他のコンピューティング機器)に接続されるか、または、装置10に設けられる通信インタフェース(communication interface)8を介して、コンピュータ、および/またはリモートコンピューティングシステムへのデータネットワークと、通信する。データインタフェースモジュール3は、装置10に設けられるペイロードインタフェース4を介して、ペイロード容量内のペイロード6に接続されるとき、外部データ(または通信)リンクとペイロード6との間にデータリンクを設けることができる。装置10は、例えば、有線接続または無線接続を用いてコンピュータまたはクラウドベースシステムと通信するように構成されてもよい。
【0067】
別の実施形態において、データインタフェースモジュール3は、電力インタフェースモジュール2および/またはペイロードインタフェース4と共に統合された構成で設けられることができる。例えば、ペイロードへの単一のワイヤおよび/またはコネクタが用いられ、および/または、コンピュータとのデータ通信と、電源モジュール9からの電力の送信と、に同じ(例えば、単一の)物理コネクタが用いられる。このような統合された構成については、以下においてさらに詳細に説明する。
【0068】
図1の装置/システム10において、ペイロード6は、装置/システム10内の、構造支持体1により画定されるペイロード容量内に取り付けられ、機械的インタフェース5を用いてペイロード容量内に固定されていることが示される。電力は、外部電源モジュール9から電力インタフェースモジュール2を介してペイロード6に供給される。通信ブリッジ(communication bridge)は、ペイロード6をデータインタフェースモジュール3に接続することにより作成され、その後、外部コンピュータに接続されることができる。
【0069】
シミュレーションソフトウェアは、ペイロード6の設計と統合とを支援し、衛星の活動をシミュレートするために採用されることができる。リモートまたはローカルに(データインタフェースモジュール3を介して)接続されたコンピュータ上で実行するシミュレーションソフトウェアは、ペイロード6を積載した衛星の軌道上にいるときと同様の挙動(behaviour)をシミュレートするように動作可能である。したがって、装置10は、軌道力学(位置と姿勢)と、様々な姿勢制御モードと、地上パス(ground passes)(遠隔測定データおよびペイロードデータの送信と、コマンドの受信とを含む)と、実行中の充放電サイクルと、をシミュレートするために使用されることができる。このシミュレーションは、サイズと、姿勢制御機能と、軌道と、ソーラーパネルと、地上局の相対位置と、に関するパラメータを含む、多数の様々な宇宙機パラメータをエミュレートし得る。前述のような機能の1以上を支援するソフトウェアは、装置10のローカルのコンピュータに、または、「クラウドコンピューティング(cloud computing)」アプリケーションの一部として部分的にまたは全体を遠隔地に格納されてもよい。このソフトウェアは、さらに、複数の宇宙機モデルを、例えば、コンステレーション構成(constellation arrangement)で共に接続するように開発されてもよい。
【0070】
別の実施形態において、第1実施形態または他の実施形態にかかる開発およびテスト装置10と同様の構造を含む衛星が提供される。任意で、いくつかの実施形態において、衛星はキューブサットなどのナノ衛星であり得るが、他の実施形態においては他のサイズの衛星であり得る。
【0071】
装置10が、同じ構造的枠組1を有する衛星とまったく同じ電源モジュール9と、データインタフェースモジュール3と、を使用するように構成される場合、ペイロードのパフォーマンスは、実際の衛星にアクセスすることなく、ミッション前にシミュレートされ、評価されることができる。一旦衛星が軌道に乗ると、同じインタフェースとシミュレーションソフトウェアの操作機能とを用いることにより、ペイロード6は、開発およびテスト装置/システム10に取り付けられたときと同じように衛星内で動作することが可能となる。ユーザは、開発およびテストソフトウェアおよび/または装置/システム10を用いてペイロードシミュレーションが実行されたときに用いられた手順と同じ手順に従って、衛星の状態を監視し、ペイロード6にコマンドを送信し、ペイロードデータを受信することができる。
【0072】
したがって、小型衛星の開発者は、まずペイロード6を枠組1に統合してテストし、ペイロードのパフォーマンスがミッション要件を満たすと予想される所望のペイロード構成を達成してから、枠組1と、統合されたペイロード6と、をロケットの2次ペイロードとして打ち上げる小型衛星と統合される衛星発射装置、または同様の発射装置へ送ってもよい。
【0073】
図2は、第1実施形態にかかる、図1に示される装置10のブロック図である。
【0074】
コンピュータ20は、通信インタフェース8を介して、データインタフェースモジュール3に結合される。データインタフェースモジュール3は、ペイロードインタフェース4を介して、ペイロード6に結合される。本明細書内で記載のとおり、データインタフェースモジュール3という用語が総称的に用いられるが、「データインタフェースモジュール」という用語は、「ペイロード通信モジュール」という用語と同義に用いられる場合がある。
【0075】
電源モジュール9は、ペイロード通信モジュール24(例えば、データインタフェースモジュール3)と電力インタフェースモジュール2との両方に接続される。この例では、ペイロード通信モジュール24は、電力制御モジュール26を介して、電力インタフェースモジュール2にも結合される。電力制御モジュール26は、ペイロード通信モジュール24に導入されている電力を監視するように機能し、ペイロード6に損傷のおそれがある場合に電力消費に関するデータを送信して電力を調整することができる。電源モジュール9からの電力は、ペイロードインタフェース4を介して、ペイロード6に送信される。前述のとおり、ペイロードインタフェース4は、データと電力との両方を送信するように構成されてもよいが、データと電力とが別々に送信されるように、複数の個別のペイロードインタフェース4を備えてもよい。
【0076】
第1実施形態によると、電力インタフェースモジュール2と、データインタフェースモジュール3と、ペイロードインタフェース4と、ペイロード6と、電力制御モジュール26とは、共に衛星モデル35を備える。
【0077】
図3aと図3bとは、第2実施形態にかかる装置100を示す。装置100は、装置100と接続されたペイロードとの間でデータを送信する2つのペイロードデータインタフェース102と、接続されたペイロードに電力を送信する1つのペイロード電力インタフェース104とを備える。さらなるインタフェース106は、コンピュータデータインタフェースと電力供給インタフェースとの組合せとして機能し、結合されたコンピュータ(不図示)と電源(不図示)との両方から、この例では同じ物理コネクタを介して、データを受信するために設けられる。機械的インタフェース108は、装置100を枠組(後述する)に固着するために設けられる。さらなる機械的インタフェース110は、装置100を枠組内に囲い込むために、(外部)閉鎖パネル(不図示)を少なくとも部分的に固着するために設けられる。
【0078】
したがって、装置100は、以下のものを含む、小型衛星用の小型コア電子機器アセンブリ(compact core electronics assembly)(ハウジング)を形成し得る。
・ペイロード側からブラックボックスとして見られる、高度に統合されたモジュール式のサブシステムのアセンブリ。
・放射線の遮蔽と、電子機器から1次構造までの熱伝導リンクとを提供する、コア電子機器の2次構造。
【0079】
装置100の利点は、以下のものを含む。
・コア電子機器の周辺電子機器により設けられるハウジング(機械アセンブリ)は、内部のサブシステムと構成要素とが、ニーズに即した熱伝導リンクまたは分離リンクを有することを可能にし得る。この設計は、特有の手法を必要とするミッションの、定期的には発生しないコストを削減するために柔軟に組み込まれている。これは、既存の小型/ナノ衛星から派生したサブシステムと比べて非常に大きな変化であり、極めて低いコストで、他の構成要素への影響を最小限に抑えつつ、民生品の構成のパフォーマンスをさらに高め、特別なミッションに対応する柔軟性をもたらす。
・装置100の機械アセンブリは、既存のキューブサットサブシステムアセンブリと比べてより高いレベルで放射線を遮蔽し得る。この遮蔽は、総吸収線量を低減し、電子部品を長寿命化し、電子部品への放射線の影響を低減し得る。
・装置100の機械アセンブリは、耐力構造としても機能し、外装パネルまたは外装部品とのインタフェースとなり得る。この2次構造を様々な目的に利用することにより、容量効率と質量効率とが達成され得る。
【0080】
装置10,100は、以下の機能を実行するように(さらに)構成されてもよい。
(1)データインタフェース管理:データレートは、ペイロードへのデータチャネルを介したデータスループットを制限することにより、コントローラ(ソフトウェアアプリケーションなど)の条件に応じて制限される。例えば、ライブデータリンクは、ペイロードから地上部分へシミュレートされてもよい。衛星構成と選択された地上部分とでは2mbpsのリンクしか可能でない場合、装置は、そのリンクに応じてデータを制限できる。例えば、ペイロードが格納された後、地上においてダウンロードされるデータを衛星プラットフォームバスに送信しているだけの場合、データリンク速度は、より高速に、例えば、数百mbpsになり得る。使用可能なデータインタフェースは、CANバス、I2C、SPI、LVDS、GPIOなどである。
(2)電力インタフェース管理:同様に、装置は、様々な電圧と電流とを供給するように電力チャネルを管理することができる。複数の電力バスは、同時に使用され、同時に構成されることができる。
【0081】
シミュレートされたミッション構成に応じて、各電力チャネルの電流は、制限される。例えば、軌道の特定の部分では、衛星が食(影)に入る場合、バッテリからの電力を使い果たすことを避けるために電力を制限する必要があるため、3.3Vチャネルは、1Aしか供給しない。代わりに、例えば、高い電力が供給されるように、短期間のみであるが、熱的な制限が適用されてもよい。
【0082】
図4aは、モジュール式枠組120内に取り付けられた装置100を示す。追加の「ダミー」モジュール112は、衛星内の特定のサブシステムが占める空間をシミュレートするために用いられる。実際のサブシステムは、衛星の姿勢をシミュレートするための装置100の物理的作動など、特定の目的に用いられてもよい。例えば、衛星開発者は予備のバッテリを有する構成を選択し、ダミーモジュールがそれらのバッテリに必要な空間をシミュレートできる。図4bは、図4aの分解図である。図4cは、図4aの構成にペイロード6を追加した図である。
【0083】
枠組120は、標準化されたインタフェースを備える1次部品から成る構造を備えてもよい。枠組120は、以下のものを含む。
・主垂直構造部材:標準化された明白な機械的インタフェースを設けるために、等間隔に設けられた穴を備えるレール114。衛星のすべての部品は、レール114に連結され得る。様々な設計のレールは、様々な衛星プラットフォームのサイズと構成とに対応することができる。
・連結部材:リブ116、補強材、水平レール、(ダミー)ペイロード、パネル。これらすべての部品は、任意の電子モジュール、ペイロード、エンドプレート、せん断パネル、外装パネル、外装部品などへのインタフェースと、構造的整合性とを提供するために、レールに連結され得る。
【0084】
枠組120を形成するレール(または部材)は、異なる幅、長さ、および/または奥行きの構成を作成するために再利用される。可変および/または異なる長さのレールを用いることにより、枠組120は、幅、長さ、および/または奥行きの異なる様々な構成が可能になり、簡単に再構成されることができる。複数のリブ116は、枠組120の容量または区画を区切るために、枠組120内に設けられる。
【0085】
モジュール式枠組120構造の利点は、以下のものを含む。
・枠組120は、ミッション要件に最適な容量と、形状と、機械的インタフェースとになる、ペイロードのより高い柔軟性を可能にし得る。ペイロードは枠組120に基づいて設計される必要がなく、枠組120は既存のナノ衛星の民生品の枠組と比べて、より多くの選択肢に対応する十分な柔軟性を有する。ペイロードを(衛星の)枠組の一部の代替として用いることも可能である。
・枠組120は、既存のナノ衛星の概念と比べて、ナノ衛星のコアバスの方向や取付構成(mounting arrangements)のより高い柔軟性を可能にし得る。この柔軟性は、ペイロードの柔軟性も同様にさらに高めることも可能にし得る。
・外装ソーラーパネルはミッション固有になりがちであるが、提示された構造概念は、ソーラー/外装パネルをミッションに対応させるような高い柔軟性を可能にし得る。
・異なるサイズのナノ衛星間での部品の共通化は、生産台数の増加により、コストと時間の削減を可能にし得る。
・異なるサイズのナノ衛星間における構造部品の標準インタフェースと適合性とは、特定のミッションのために行われる期限どおりの修正が、モジュール式枠組120構造の一選択肢として組み込まれることを可能にする。
【0086】
図5aと図5bとは、モジュール式枠組120内に取り付けられた装置100を、2つの異なる位置と方向と(すなわち「構成」)で示す。枠組120は、新しい機械モジュールの容易な取付を可能にする、一定ピッチの穴を有してもよい。前述のとおり、枠組120は、好ましくはモジュール式である。図5aと図5bとに示される空の容量118は、衛星のサブシステムにより占められ、潜在的に容量ダミーまたは実際のサブシステムにより占められてもよい。
【0087】
図6aと図6bは、モジュール式枠組120内に取り付けられた装置100のさらなる構成を示す図、および、同じ構成にペイロード6を追加した図、である。図6bに示されるとおり、ペイロード6自体は、例えば、より短い枠組レール120が外装ペイロードを統合可能で、枠組120の一部の代替となり得る外部構造を有してもよい。
【0088】
図7aと図7bとは、図4に示された装置100とダミーモジュール112と同様の装置100とダミーモジュール112とを備え、枠組120内にペイロード6を組み込まれた、2つの異なる枠組120構成を示す。図7aと図7bとの両方において、ペイロード6のサイズを収容するために、枠組120のいくつかのリブは、取り外されている。図7aと図7bとは、異なるエンドプレート122−1,122−2をそれぞれ有し、図7bのエンドプレート122−2がペイロード6の移動防止を助ける働きをするという点で、異なる。
【0089】
図8aから図8dは、可能なモジュール式枠組120の構成例を示し、同じ部品を用いることにより、異なる枠組構造を作成でき、その結果、多種多様な部品を組み合わせることができるという利点を示す。この手法は、柔軟性において非常に大きな変化をもたらし、例えば、小型衛星用の枠組構造の試作における製造コストを削減する。
【0090】
図9aは、隣接する枠組120を互いに固着する複数の連結部材124とレール114とを示す。図9bは、連結部材124を、ここでは、締具126(例えば、ねじ締具)を用いて、使用中の枠組120に固着し得る方法を示す。図9cは、装置100を枠組に固着し得る方法を示す。ここでは、この目的で装置100に設けられた機械的インタフェース108を介して、締具(例えば、ねじ締具)を用いて、装置100を枠組120の垂直レール114(または部材)に固着する。閉鎖パネル(不図示)を締結するために、装置100に設けられる閉鎖パネルインタフェース110も示される。閉鎖パネルは、言うまでもなく、代替的にまたは追加的に、枠組120自体に締結されるように適合されてもよい。
【0091】
図10は、地球50の周囲の軌道45上で使用中の衛星40を示す。衛星40は、通常、ロケットによる打上後の適切な時点で、ロケットから切り離され、軌道45を回り始める。衛星軌道45は、衛星40の目的に応じて大きく異なり得る。低地球軌道(Low Earth Orbit:LEO)は、小型衛星用の一般的な軌道である。LEO上の衛星は、従来、地球表面から高度200kmから2000kmまでの間にある。衛星40は、前述の実施形態の開発およびテスト装置に関連して説明されたモジュールおよび要素と同じまたは同様のモジュールおよび要素の多くを使用することができる。衛星40は、開発およびテスト装置を用いて開発されテストされたペイロードを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、シミュレーションソフトウェアは、完全軌道シミュレーションと、運用シミュレーション中のカバレッジと、衛星モード管理シミュレーションと、姿勢制御システムの電源オン、電源オフ、リセットと、Unix時間(Unix time)の設定と、姿勢制御システム実行モードと、姿勢推定モードの設定と、姿勢制御モードの設定項目とスクリプトとの設定と、姿勢角度の設定と、ポインティングパフォーマンスの取得と、起動モードの設定と、3D表示での姿勢と角度とのシミュレーションと、衛星位置シミュレーションと、衛星速度シミュレーションと、SGP4軌道シミュレーションと、リンクバジェット(Link budget)の設定とシミュレーションと、データリンクバジェットと、地上局の可視性と計画と、通信プロトコルとパケット形式との設定と、ペイロードと衛星システムとの間のリアルタイム通信インタフェースと、送受信機実行モードシミュレーションと、送受信機通信シミュレーションと、ハウスキーピングシミュレーション(Housekeeping simulation)(例えば、バッテリ残量、ペイロード電力インタフェース電流、ペイロード電力インタフェース電圧、電流保護のシミュレーション)と、電力インタフェース出力の設定と、ソーラーパネルの電圧と電流とのシミュレーションと、電力システム温度シミュレーションと、ペイロード電力インタフェース初期設定と、EPSモードシミュレーションと、衛星の様々な構成要素、例えば、ソーラーパネル、構造、ペイロードベイなどの温度と、ペイロードへの熱束流とペイロードからの熱束流と、のうちの機能の一部またはすべてを提供することができる。
【0093】
本明細書に記載される装置とシステムとは、ハードウェアインザループを提供してもよい。ハードウェアインザループにより、ソフトウェアアプリケーションは、衛星内の実際のサブシステムのパフォーマンスを考慮し、この情報に基づいてシミュレーションを行うことができる。例えば、衛星開発者がバッテリパックを選択した場合、ソフトウェアは、該当するミッションに使用可能なエネルギーを考慮して、選択された構成の適合性を評価することができる。
【0094】
ソフトウェアアプリケーションは、軌道テストと地上テストとからのサブシステムの実際のパフォーマンスから情報を得て、シミュレーションをより正確にし得る。ソフトウェアアプリケーションは、実際の打上と地上部分との利用可能な機会について、開発者に通知してもよい。したがって、開発者が特定の軌道を選択した場合、ソフトウェアアプリケーションは、打上の機会と、スケジュールと、条件とを開発者に通知することができる。地上部分の利用可能性と特徴とは、表示され、シミュレーション結果が通知される。例えば、特定の構成のダウンリンクデータ量は地上局の構成に影響される場合があり、シミュレーションはより適切な選択肢を推奨できる。
【0095】
したがって、ソフトウェアアプリケーションは、開発者がシミュレートしたいミッションパラメータを選択できるようなミッションシミュレータを提供できる。これらのミッションパラメータは、例えば、軌道、衛星構成(例えば、特定の量のバッテリ、より粗いまたはより細かい姿勢システム、周波数とデータレートとの異なる送受信機)などである。
【0096】
また、開発者は、一旦衛星が軌道に到達すると、同じソフトウェアアプリケーションを用いて、ペイロード開発中に用いられたインタフェースと同じインタフェースを介して、ペイロードを操作し、および/またはペイロードにコマンドを送ることができる。ソフトウェアアプリケーションは、衛星開発者が衛星の安全限界内でペイロードを制御することを可能にするため、安全限界を考慮することができる。この安全限界は、例えば、電力消費に危険な影響を及ぼすような、衛星の姿勢の不適切な制御などである。
【0097】
多種多様な製造方法は、本装置と、特に、枠組および/または連結部材に関連して記載される任意の構成要素を製造するために用いられてもよい。例えば、本明細書に記載される1以上の実施形態の構成要素は、「3Dプリンティング」により製造されてもよい。この3Dプリンティングでは、手に持てるサイズのオブジェクトの様々な選択肢のうちの1つの3次元モデルが、機械可読形式で、前記1以上の構成要素を製造するように適合された「3Dプリンタ」に提供される。この製造は、押出成形、電子ビーム自由形状製造(Electron Beam Freeform Fabrication:EBF)、粒状材料結合、積層、光重合、光造形、またはこれらの組合せなどの積層手段によって行われてもよい。機械可読モデルは、一般的に、オブジェクトの空間マップまたは印刷するパターンを、オブジェクトの表面またはパターンの表面を定義するデカルト座標系の形式で含む。この空間マップは、多数のファイル規約の任意の1つに提供され得るコンピュータファイルを含んでもよい。
【0098】
ファイル規約の一例は光造形(STereoLithography:STL)ファイルである。STLファイルは、ASCII(American Standard Code for Information Interchange)形式またはバイナリ形式であり、法線と頂点とにより定義された三角形表面により領域を指定する。
【0099】
別のファイル形式はAMF(Additive Manufacturing File)である。AMFは、各表面の材質と質感とを指定する機能を提供すると共に、曲面三角形の表面を可能にする。オブジェクトのマッピングは、用いられるプリンティング方法に従って、3Dプリンタにより実行される命令へと変換されてもよい。この変換には、モデルをスライスに分割する(例えば、各スライスがx−y平面に相当し、連続する層がz次元を構築する)ことと、各スライスを一連の命令に符号化することと、を含んでもよい。3Dプリンタに送信されるこの命令は、好ましくはGコード(RS-274とも呼ばれる)形式の数値制御(Numerical Control:NC)命令またはコンピュータNC(Computer NC:CNC)命令であってもよく、3Dプリンタの動作方法に関する一連の命令を含む。この命令は、用いられる3Dプリンタのタイプに応じて異なるが、プリンタヘッド移動の例においては、この命令は、プリンタヘッドの移動動作と、材料を堆積するタイミング/場所と、堆積される材料のタイプと、堆積する材料の流量とを含む。
【0100】
本明細書に記載される装置の任意の部分は、機械可読モデル、例えば、機械可読マップまたは機械可読命令として具体化されうる。この機械可読モデルは、装置の当該部分の物理的表現が3Dプリンティングにより作成可能となるように構成される。この機械可読モデルは、3Dプリンタに供給される1以上の構成要素および/または命令をソフトウェアコードにマッピングした形式(例えば、数値コード)であってもよい。
【0101】
本明細書に記載される任意のシステムの特徴は方法の特徴として提供されてもよく、任意の方法の特徴はシステムの特徴として提供されてもよい。本明細書で用いられるように、ミーンズプラスファンクションの特徴は、対応する構造に関して代替的に表現されてもよい。
【0102】
本発明の一態様の任意の特徴は、任意の適切な組合せにより、本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、方法の態様はシステムの態様に適用されてもよく、システムの態様は方法の態様に適用されてもよい。さらに、一態様における、任意の、いくつかのおよび/またはすべての特徴は、任意の適切な組合せで、他の任意の態様における、任意の、いくつかのおよび/またはすべての特徴に適用される。
【0103】
また、本発明の任意の態様に記載され定められた様々な特徴の特定の組合せは、個別に実行および/または、提供および/または、使用され得ることを理解されたい。

図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図10