(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピペットチップを前記ピペットチップ結合装置に固定するために、前記複数の球状ボールのそれぞれが前記ピペットチップの前記囲繞側壁の第1の内面に当接し、および
前記エラストマー要素が前記ピペットチップの前記囲繞側壁の第2の内面に当接して前記ピペットチップ結合装置と前記ピペットチップの間の密封が形成される、請求項1記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記複数の球状ボール、前記環状ウェッジ、および前記ピペットチップがそれぞれ、導電材料をさらに有してなる、請求項3記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記環状ウェッジが、前記環状ウェッジの前記外面に配置された複数の周方向に離間した凹面をさらに有してなる、請求項3記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記リング形状の軌道本体が前記複数の球状ボールを留めるための複数の保持ステークをさらに有してなる、請求項2記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記ピペットチップボールアセンブリが、前記複数の球状ボールを留めるためのボールキーパー保持リングをさらに有してなる、請求項2記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記ピペットチップボールアセンブリが、前記複数の球状ボールを留めるための、前記リング形状の軌道本体を囲む保持溝に受容されたスナップリングをさらに有してなる、請求項2記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記リング形状の軌道本体の前記複数の周方向に離間した円形ボール開口のそれぞれが、前記複数の球状ボールの1つを留めるための内側環状テーパ面をさらに有してなる、請求項2記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記停止肩面が、上方を向いた環状停止面溝と、上方に延びる囲繞リブとをさらに有してなる、請求項14記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記密封座部が、円錐台形の環状面であり、前記第2セクションとの接合部分に上側環状密封座面端、前記第3セクションとの接合部分に下側環状密封座面端、および前記上側環状密封座面端と前記下側環状密封座面端との間に置かれた密封座面をさらに有してなり、
前記上側環状密封座面端が前記下側環状密封座面端よりも直径が大きい、請求項14記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記複数の球状ボール、前記環状ウェッジ、および前記ピペットチップがそれぞれ、導電材料をさらに有してなる、請求項22記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記環状ウェッジが、前記環状ウェッジの前記外面に配置された複数の周方向に離間した凹面をさらに有してなる、請求項22記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記環状ウェッジの前記外面に配置された前記複数の周方向に離間した凹面のそれぞれが、前記複数の球状ボールのそれぞれと形状が相補的である、請求項24記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
前記リング形状の軌道本体が、前記複数の球状ボールを留めるための複数の保持ステークをさらに有してなる、請求項14記載のピペットチップ結合装置とピペットチップのアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】自動液体ハンドリングシステムの空気置換式ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の斜視図。
【
図2】ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の縦断面の側面図。
【
図3】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態に動作可能に結合されたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態に動作可能に結合されたピペット装置を備えた、ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図。
【
図4】ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の側面図。
【
図5】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の部品が詳細に示された、ピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の一部を分解した部品の斜視図。
【
図6】使い捨てカプラ装置の例示的な実施形態の側面図。
【
図7】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体の例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図8】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の遠位のエラストマー要素またはOリングの例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図9】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の冠形のボール軌道の上部および側部の斜視図であり、上記軌道は、それぞれが球状ボールまたは分離した(個別の)結合要素またはセグメントを受容するように構成された、複数の周方向に離間したガイドソケットを有している。
【
図10】複数の周方向に離間したガイドソケットのぞれぞれの内部に受容された球状ボールまたは分離した結合要素またはセグメントを備えた冠形のボール軌道の上部および側部の斜視図。
【
図11】冠形のボール軌道および軌道に受容されたセグメントまたはボールの一部の部分的な、切断された縦断面の側面図。
【
図12】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の環状ウェッジまたはスクイズリングの上部および側部の斜視図。
【
図13】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態に動作可能に連結されたピペット装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
【
図14】ピペットチップカプラ装置およびチップの例示的な実施形態に動作可能に連結されたピペット装置の例示的な実施形態の部分的な、一部断面の側面図。
【
図15】支持位置で示された使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の側面図。
【
図16】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の内部を詳細に示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図17】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上側内部を詳細に示した、上部の詳しい部分的な、縦断面の側面図。
【
図18】自動分注ワークステーションまたはシステムの例示的な実施形態の図式的なブロック図。
【
図19】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上方でピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態を支持するピペット装置の例示的な実施形態の、部分的な、縦断面の側面図。
【
図20】複数の周方向に離間したセグメントまたはボールをピペットチップの近位開口端に接触するために、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上方および内部に配置されたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
【
図21】遠位のOリングをチップの密封シートまたは面に接触するためにピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態を使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の内部に移動させた状態の、部分的な、縦断面の側面図であり、ピペットチップの環状肩部シートまたは停止面と停止ディスクの停止肩面との間に隙間が維持されており、複数の周方向に離間したセグメントまたはボールがピペットチップの内側面と接触することで後退し、および内方に押されている。
【
図22】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態をチップ内にさらに移動させた状態を示した部分的な、縦断面の側面図であり、環状ウェッジが最初はエラストマー要素またはOリングを押し込んでチップが持ち上げられて第1の拡張または持ち上げ状態が画定され、および遠位エラストマー要素またはOリングが最初の圧縮および着座して状態となる。
【
図23】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態がチップ内に最終的な距離まで移動した状態を示した部分的な、縦断面の側面図であり、環状ウェッジをその最終位置まで移動させる方法によってチップがその最終の着座状態まで持ち上げられてカプラと係合しており、これによって結合の最終状態が画定され、遠位のエラストマー要素またはOリングが最終的に圧縮され且つ密封着座した状態となる。
【
図24】
図23に示した最終的な拡張または持ち上げ状態の複数のセグメントまたはボールの1つの、縦断面の側面の部分的な詳細な説明図。
【
図25】
図23に示したチップの密封シートまたは面に対して最終的な圧縮された状態の遠位のエラストマー要素またはOリングの縦断面の側面の部分的な詳細な説明図。
【
図26】使い捨てピペットチップを備えたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の最初の結合状態を示した、関連する力が示された、部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
【
図27】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の複数のセグメントまたはボールと使い捨ピペットチップの例示的な実施形態の溝との結合の開始を示し、関連する力が示された、部分的な、縦断面の側面の詳細な説明図。
【
図28】
図23に示した完全に結合した状態のカプラとチップのコンビネーションの例示的な実施形態を示し、関連する力が示された、部分的な、縦断面の側面の詳細な図。
【
図29】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態と使い捨てピペットチップの例示的な実施形態との間の位置ズレの結合(位置合わせ不良の結合)を示した、部分的な、縦断面の、側面図。
【
図30】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態との位置合わせ不良の状態で示された、ピペットチップ連結装置の例示的実施形態に動作可能に結合された空気置換ピペット装置の例示的実施形態の部分的な、縦断面の側面図。
【
図31】使い捨てピペットチップに軸方向に整列して連結されたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態を軸方向に位置合わせ(整列)して支持する空気置換式ピペット装置の例示的な実施形態の断片的な縦断面の側面図であり、チップにはチップ遠位端と作業面との間に配置された少量の液体があり、また寸法線が図示され特定されている。
【
図32】回路基板と、複数の導電性セグメントまたはボール継手を導電性の使い捨てピペットチップに選択的に接触させる環状ウェッジまたはスクイズリングとの間に接続された、液体レベル検知(LLC)回路接点から受信した信号を処理する回路基板を示したピペット装置アセンブリの例示的な実施形態の、縦方向の側面図であり、チップの遠位端は液体と接触している。
【
図33】
図5に示したピペット装置アセンブリと共に使用するためのボール軌道の別の例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図34】複数のセグメントまたはボールおよびカプラ本体に取り付けられたボール軌道の別の例示的な実施形態の部品の一部を分解した斜視図。
【
図35】カプラ本体に取り付けられたボール軌道の別の例示的な実施形態により捕捉された複数のセグメントまたはボールの別の例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図36】ボール軌道の別の例示的な実施形態の内部に受容され捕捉された複数のセグメントまたはボールの1つを示した部分的な、断面の縦断面の側面図。
【
図37】
図5に示したピペット装置アセンブリと共に使用するためのピペットチップカプラ装置の第2の例示的な実施形態のボール軌道およびピペットチップカプラ本体を示した上部および側部の斜視図。
【
図38】スペーサ、磁石リング、およびピペットチップカプラ装置の第2の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体に取り付けられたボール軌道を示した一部の部品を分解した斜視図。
【
図39】セグメントまたはボール、上部蓋リング、およびピペットチップカプラ装置の第2の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体に取り付けられたボール軌道を示した、一部の部品を分解した斜視図。
【
図40】ピペットチップカプラ装置の第2の例示的な実施形態のボール軌道内に受容され捕捉された複数のセグメントまたはボールの1つを示した部分的な破断した縦断面の側面図。
【
図41】遠位密封要素、および複数のセグメントまたはボールを内部に留めるためのスナップリングを備えたボール軌道を支持するピペットチップカプラ本体を有してなるピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態の底部および側部の斜視図。
【
図42】
図12に示した環状ウェッジまたはスクイズリングを利用したピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態の縦断面の側面図。
【
図43】
図12に示した環状ウェッジまたはスクイズリングと複数のセグメントまたはボールの1つとの間の接触を示し、さらに複数のセグメントまたはボールの1つを留めるスナップリングを示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図44】ピペットチップカプラ本体およびピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態のボール軌道を示した、部品の一部を分解した斜視図。
【
図45】スペーサ、磁石リング、およびピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体に取り付けられたボール軌道を示した、部品の一部を分解した斜視図。
【
図46】ピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態のボール軌道の前側入口開口に近接して配置されたセグメントまたはボールを示した、部品の一部を分解した斜視図。
【
図47】ピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態のボール軌道の軸方向上方に配置されたスナップリングを示した、部品の一部を分解した斜視図。
【
図48】複数のセグメントまたはボールが内部に受容され捕捉された、ピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態のボール軌道の一部を示した、部分的な、切断された縦断面の側面図。
【
図49】周方向に離間した凹面または凹部を有する環状ウェッジまたはスクイズリングの他のまたは第2の実施形態を示した、底部および側部の斜視図。
【
図50】
図49に示した環状ウェッジまたはスクイズリングの第2の実施形態を利用した、ピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態の縦断面の側面図であり、周方向に離間した凹面または凹部のそれぞれのカーブが複数のセグメントまたはボールのそれぞれの外側円弧形状と形状が相補的であり、図示したようにこれらの間で相補的な当接がなされる。
【
図51】その中に複数のセグメントまたはボールを留める機械加工されたボール保持構成を有する別のボール軌道を有してなるピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態の縦断面の側面図。
【
図52】ピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態のボール軌道の機械加工されたボール保持構成を詳述した縦断面の側面図。
【
図53】ピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態のボール軌道の後部開口に近接して配置されたセグメントまたはボールの一部を分解した部品の斜視図。
【
図54】ピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体およびボール軌道を示した部品の一部を分解した斜視図。
【
図55】ピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態の環状スペーサまたはリング、およびピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体へのボール軌道の取り付けを示した、部品の一部を分解した斜視図。
【
図56】複数のセグメントまたはボールが機械加工されたボール保持構造により内部に受容され捕捉された、ピペットチップカプラ装置の第4の例示的な実施形態のボール軌道の一部を示した、部分的な、切断された縦断面の側面図。
【
図57】使い捨てピペットチップと空気置換式ピペット装置アセンブリとの間に置かれたピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態の部品の詳細を示した、部品の一部を分解した斜視図。
【
図58】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図59】ピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態のピペットチップカプラ本体の例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図60】ピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態の遠位のエラストマー要素またはOリングの例示的な実施形態の上部および側部の斜視図。
【
図61】複数のセグメントまたは個別の結合要素および保持リングを備えたピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態の分割された結合システムを示した部品を分解した斜視図。
【
図62】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の分割された結合システムの分離した結合要素またはセグメントを示した上部、後部、および側部の斜視図。
【
図63】
図62に示した分離した結合要素またはセグメントの上部、および前部の斜視図。
【
図64】ピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の環状ウェッジを示した上部および側部の斜視図。
【
図65】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上方でピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態を支持するピペットチップ装置の例示的な実施形態の、縦断側面の、一部を示した説明図。
【
図66】使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上部に配置されこの内部に移動するピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態を示した縦断側面図であり、遠位のOリングがチップの密封シートまたは面と接触すると共に、ピペットチップの肩部シートと停止ディスクの停止肩面とが嵌合する前に複数の分離した結合要素またはセグメントが半径方向に拡張しない状態に保持され、ピペットチップの環状肩部シートと停止ディスクの停止肩面との間に隙間が維持される。
【
図67】ピペットチップカプラ装置の第5の実施形態を示した縦断面の、側面の部分的な説明図であり、チップ内にさらに移動し、チップが持ち上げられる一方で分割されたカプラがチップの溝内に延びるために環状ウェッジスクイズリングが下に押される。
【
図68】分割されたカプラの複数のセグメントの1つが
図67に示したようにチップの溝内に延びる状態である、縦断側面の部分的な詳細を示した説明図。
【
図69】
図67に示したように遠位Oリングがチップ密封シートまたは面に圧縮された状態である、縦断側面の、部分的な詳細を示した説明図。
【
図70】使い捨てピペットチップ内部に最終段階まで移動したピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態の縦断側面の、一部を示した説明図であり、チップが持ち上げられ、環状ウェッジまたはスクイズリングを下に押す力が加わり、ピペットチップカプラの第5の例示的な実施形態が使い捨てピペットチップと最終的に結合した状態が画定されている。
【
図71】分割されたカプラの複数のセグメントの1つが
図70に示したチップの溝内に十分に延びた状態を示した、縦断側面の一部を詳細に示した説明図。
【
図72】遠位のOリングが
図70に示したチップの密封シートまたは面に最終的に圧縮された状態を示した、縦断側面の一部を詳細に示した説明図。
【
図73】ピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態が使い捨てピペットチップと最初に連結する状態を示した部分的な、縦断側面図であり、関連する力が示されている。
【
図74】ピペットチップカプラ装置の第5の例示的な実施形態の複数の円弧状セグメントの1つの使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の溝との結合の開始を示した部分的な、縦断側面の詳細な説明図であり、関連する力が示されている。
【
図75】ピペットチップカプラ装置と使い捨てピペットチップとの組み合わせ結合が完了した状態を示した部分的な、縦断側面の詳細な説明図であり、関連する力が示されている。
【
図76】ピペットチップの中央長手軸に対して実質的に90度の別の密封座面角を有する使い捨てピペットチップの例示的な実施形態を示した部分的な、縦断面の側面図である。
【
図77】実質的に90度の別の密封座面角を有する使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上方に配置されたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の、部分的な、縦断面側面図である。
【
図78】実質的に90度の別の密封座面角を有する使い捨てピペットチップ内に位置決めされたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態を示した部分的な、縦断側面図であり、チップがその最終の着座状態にあり、環状ウェッジがその最終位置まで移動し、実質的に90度の別の密封着座面を有する密封座面に対して遠位エラストマー要素が最終的に圧縮され密封着座した状態で、最終的な結合状態が画定される。
【
図79】
図78に示した実質的に90度の別の密封座面角を有する密封座面に対して遠位のエラストマー要素が最終的に圧縮された状態を示した、部分的な、縦断面側面の詳細な説明図。
【
図80】円周状で半径方向に凹状の密封座面の形態の他の別の密封座面を有する使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上側内部を示した、部分的な、縦断側面図。
【
図81】
図80に示された円周状の半径方向に凹状の密封座面の詳細を示した使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の、部分的な、縦断側面の詳細な説明図。
【
図82】円周状の半径方向に凹状の密封座面の形態のさらに別の密封座面の詳細を示した、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の、部分的な、縦断面の側面図。
【
図83】
図82に示された円周状の半径方向に凸状の密封座面の詳細を示した、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の、部分的な、縦断側面の詳細な説明図。
【
図84】円周状の上方を向いた歯端状の密封座面の形態のさらに別の密封座面を示した使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の、部分的な、縦断面の側面図。
【
図85】
図84に示した円周状の上方を向いた歯端状の密封座面の詳細を示した、使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の、部分的な、縦断側面の詳細な説明図。
【
図86】長手軸に向かって開口し且つ図示したようにV形状の断面を有する使い捨てピペットチップのV形状の円周状の内面により画定されるV形状溝の形態である別の円周状の環状チップ溝を有する使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上方に位置決めされたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の、部分的な、縦断側面図。
【
図87】別のV形状溝を有する使い捨てピペットチップ内に位置決めされたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の、部分的な、縦断側面図であり、チップがその最終状態まで持ち上げられ、複数のセグメントまたはボールの丸い面はV形状溝内に延び且つV形状の円周状の内面に当接し、遠位のエラストマー要素は最終的に圧縮され、チップの密封座面に対して密封着座した状態である。
【
図88】複数のセグメントまたはボールの1つの丸い面がV形状溝内に延びて、
図87に示されたようにV形状溝を画定するV形状の円周状の内面に対して当接した状態を示した、部分的な縦断面の側面の詳細な説明図。
【
図89】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図90】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図91】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図92】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図93】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図94】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図95】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図96】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図97】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図98】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図99】円周状の環状チップ溝の異なる別の例の実施形態の詳細を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図100】使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の内部を詳細に示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図101】使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の上方に位置決めされたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態を示した,部分的な、縦断面の側面図。
【
図102】使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態内に位置決めされたピペットチップカプラ装置の例示的な実施形態の、部分的な、縦断面の側面図であり、結合装置の停止ディスク肩面は使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の軸方向停止肩部に当接すると共に、複数のセグメントまたはボールの丸い面は使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の囲繞側壁の内面に対して拡張しており、これにより前記内面が変形しており、および遠位のエラストマー要素が最終的な圧縮され、使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の密封座面に対して密封着座している。
【
図103】ピペットチップカプラ装置の複数の球状ボールのうちの1つの丸い面が使い捨てピペットチップの第2の例示的な実施形態の囲繞側壁に対して拡張し且つこれを変形させた状態を示した、部分的な、縦断側面の詳細な説明図。
【
図104】内側の軸方向上方に延びる囲繞リブの周りに同軸状に配置された軸方向上方を向いた環状溝を備えた使い捨てピペットチップの別の例示的な実施形態の上側内面を詳しく示した、上側の部分的な、縦断側面、上部および側部の斜視図。
【
図105】連続した切れ目のない囲繞断面を有する内側の軸方向上方を向いた囲繞リブの周りに同軸状に配置された軸方向上方を向いた環状溝を有する、使い捨てピペットチップの別の例示的な実施形態を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図106】内側の軸方向上方に延びる囲繞リブの周りに同軸状に配置された軸方向上方を向いた環状溝の別の例示的な実施形態を示した、部分的な、縦断側面の詳細な説明図。
【
図107】内側の軸方向上方に延びる囲繞リブを有する使い捨てピペットチップの別の例示的な実施形態内に動作可能に位置決めされたピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態を示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図108】使い捨てピペットチップの別の例示的な実施形態の内側の軸方向上方に延びる囲繞リブに当接する、ピペットチップカプラ装置の第3の例示的な実施形態の遠位側を向いた軸方向停止肩面を示した、部分的な、縦断側面の詳細な説明図。
【
図109】内側シール式ピペットチップおよび内側シールを有する内側シール式ピペットチップアセンブリの例示的な実施形態の部品を分解した斜視図。
【
図110】連続した切れ目のない囲繞断面を有する半径方向内側の軸方向上方に延びる囲繞リブを備えた内側の軸方向上方を向いた肩部シート面を有してなる内側シール式ピペットチップの例示的な実施形態の上側内部を詳しく示した、上側の部分的な、縦断面の側面図。
【
図111】半径方向内側の軸方向上方に延びる囲繞リブの周りに同軸状に配置された軸方向上方を向いた環状溝の詳細を示した、内側シール式ピペットチップの例示的な実施形態の、部分的な縦断側面の詳細な説明図。
【
図112】軸方向に内方を向いた環状溝に配置された内側シールを有してなる内側シール式のピペットチップアセンブリの例示的な実施形態の、部分的な、縦断面の側面図。
【
図113】軸方向に上方を向いた環状溝に配置された内側シールを詳しく示した、部分的な、縦断面の側面図。
【
図114】内側シール式のピペットチップアセンブリの例示的な実施形態に配置され且つこれと動作可能に連結されたピペットチップカプラの第3の例示的な実施形態の、部分的な、縦断面の側面図。
【
図115】軸方向上方を向いた環状溝内に配置され、軸方向上方を向いた環状溝内に同軸且つ半径方向に隣接して配置され半径方向内方に軸方向上方へ延びる囲繞リブと接触する内側シールを有してなるピペットチップの第3の例示的な実施形態の遠位側を向いた軸方向停止肩面を詳細に示した、部分的な、縦断面の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書においていくつかの例示的な実施形態が番号付けされているが、これらの実施形態はその番号によって限定されるべきではない。これらの番号は、1つの実施形態を他の実施形態と区別するためにのみ使用されている。さらに、これらの番号は順番または順序を意味するものではない。
【0022】
本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態が図面に示されている。これらの例示的な実施形態は、添付図面を参照して以下により詳しく説明する。これらの図面のいくつかにおいて、同様な部品または部分は図面を通して同様な参照番号が使用されている。
【0023】
ピペットチップカプラと使い捨てピペットチップを備えたピペットアセンブリ
【0024】
図1および
図2は、ピペット装置20の例示的な実施形態、ピペットチップカプラ装置(ピペットチップ結合装置)100の例示的な実施形態、およびピペットチップカプラ装置100を介してピペット装置20に取り外し自在に結合された使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態を備えた、ピペット装置アセンブリ(ピペット装置組立体)10の例示的な実施形態を示している。
【0026】
図2を参照して、ピペット装置20は、モータ28に動作可能に連結ないし接続され且つこれにより駆動されるプランジャ26を備えた吸引および分注(分配)用の装置24を支持する、本体22を有してなる。プランジャ26は、ピペット装置20の本体22の遠位または下側の端32から延びるプランジャシリンダ30内に存在する。ピペット装置20はさらに、プランジャ26に軸方向に整列し且つプランジャ26の遠位の下側の位置において、プランジャシリンダ30内に少なくとも一部が配置された吸引および分注(分配)用のシリンダ34を備えている。吸引および分注用のシリンダ34は、セグメントに取り付けおよびピペットチップカプラ装置100をシール(密封)するために遠位の取り付けフランジ36内に遠位側から移行しており、このカプラ装置は次に使い捨てピペットチップ220を取り外し自在に連結する。
【0027】
図3を参照して、吸引および分注用のシリンダ34は内側囲繞側壁38をさらに備え、この側壁はそれを通って延びる端部が開口した(開口端)ピペットチャネル40を画定する。端部が開口したピペットチャネル40は、吸引及び分注用のシリンダ34の開口した上側端部42と開口した下側端部44との間でピペット装置アセンブリ10の長手方向チャネル軸80に沿って長手方向に延び、プランジャ26と遠位の取り付けフランジ36に隣接する外側領域との間の開放連通を提供し(
図2)、また遠位の取り付けフランジ36はピペットチップカプラ100に動作可能に接続されており、このカプラ100はそれを通って延びる端部が開口し筒状に形成された中央チャネル150を有してなり、これによりピペットチップカプラ100を介してチップ220の通路開口238と吸引および分注用のシリンダ34との間で開放連通が提供される。
【0029】
図3および
図4を参照して、ピペット装置20はさらに、近位または上側の端48と遠位または下側の端50を有する中空ピストンまたはスクイズスリーブ46を備える。スクイズスリーブ46は、プランジャシリンダ30と吸引および分注用のシリンダ34の両方を囲み、またスクイズモータに動作可能に接続ないし連結されている。
【0030】
図4に示したように、ピペット装置アセンブリ10のスクイズモータ52は、装置20の本体22上に支持されると共に、リードスクリュー54に動作可能に連結されてこれを駆動する。このスクリューは軸方向に並進するリードナット56に連結され、このナットはスクイズリンケージ58に動作可能に結合される。さらに、スクイズリンケージ58は、スクイズリンケージアーム60を介してスクイズスリーブ46の近位または上側の端48に動作可能に結合されており、これにより、スクイズモータ52を第1の方向に回転させると、長手方向チャネル軸80に沿って遠位方向または垂直下方向にスクイズスリーブ46が直線的に軸方向に並進し、以下に説明するようにカプラ100の環状ウェッジまたはスクイズリング210(
図5)に当接する。続いてスクイズモータ52を第2の方向または反対方向へ回転させると、長手方向チャネル軸80に沿って、遠位方向または垂直下方向とは逆の近位方向または垂直上方向にスクイズスリーブ46が直線的な逆の軸方向並進をする。
【0032】
図4を参照して、ピペット装置20は、使い捨てピペットチップ220をピペット装置20から排出するために使用される排出スリーブ62をさらに備えている。排出スリーブ62は、吸引および分注用のシリンダ34(
図2)に対して軸方向に移動可能であり、近位または上側の端64、遠位または下側の端66、および排出スリーブアーム68を備えている。この排出スリーブアーム68は、第1の端部が上側の端64に隣接して排出スリーブ62に取り付けられ、また反対側の第2の端部がプランジャ装置70の第1の端部に取り付けられる。
【0033】
図5に示したように、プランジャ装置70は、排出スリーブばね74の一方の端部に当接する対向端面72を有し、このばねの反対側の端部は装置20の本体22の上面部76に当接している。排出スリーブばね74は面72と面76の間に捕捉されてばね付勢(ばね負荷)され、プランジャ装置70および取り付けられたスリーブ62を正常ピペットチップ排出状態(正常にピペットチップが排出された状態)にバイアスする。
【0034】
図2は排出スリーブ62の後退状態(引っ込んだ状態)を示している。通常ピペットチップ排出状態は、例えばピペットチップ220に結合する際に、排出スリーブ62を
図2に示した後退状態まで軸方向に押すために、排出スリーブのばね力に打ち勝つための力を必要とする。
図2はさらに、ばね74の形状を保持し且つばね74の座屈を防止するために、ばね74が中央ばねガイド部材78を囲んでいることが示されている。
【0035】
さらに、ばね74は、その弛緩の過程でスリーブ62によってピペットチップ220に及ぼされる力が、ピペットチップカプラ100からチップ220を排出するのを補助することができる寸法(大きさ)に構成される。
【0036】
ピペットチップカプラ100(および以下に詳述するカプラ1100)と使い捨てピペットチップ220は、ピペット装置の他の実施形態で実施することができ、ピペット装置20の実施形態は、単なる一例であってこれに限定されない。
【0038】
図5は、使い捨てピペットチップ220と空気置換式ピペット装置アセンブリ10の空気置換式ピペット装置20との間に介装される、セグメントおよび密閉式ピペットチップカプラ装置100の例示的な実施形態を示したものである。
【0039】
図5から
図7に示したように、密閉式ピペットチップカプラ装置100は、ボール式ピペットチップカプラ装置100の形態である。より詳しくは、ピペットチップカプラ100は、ピペットチップカプラ本体120,遠位ステム部138、遠位ステム部138上に支持された遠位エラストマー要素160、セグメントまたはボール継手システム(ボール結合システム)180、および環状ウェッジまたはスクイズリング210を有してなる。ボール継手システム180は、ピペットチップカプラ本体120の近位または上側の端部で支持されており、複数の周方向に離間した球状ボール200と、複数の離間した球状ボール200を保持し且つ移動を可能にするセグメントまたはボールリテーナ(ボール保持器)182とを備える。スクイズリング210は複数の球状ボール200の上に載っている。
【0040】
図6および
図7を参照して、および1つの例示的な実施形態において、ピペットチップカプラ100はまた、ピペットチップカプラ本体部材120の上に載っている細長いヘッドまたはシャンク部材102を備える。ピペットチップカプラ100はさらに、セグメントまたはボールリテイナ182によってピペットチップカプラ本体120の近位または上側の端部に周方向に離間して支持された複数の球状ボール200、およびピペットチップカプラ本体120の遠位または下側の端部において支持された下側または遠位のエラストマー要素160を有している。さらに、ピペットチップカプラ100は、セグメントまたはボールリテイナ182により支持された複数の球状ボール200の上に載った環状ウェッジまたはスクイズリング210を有し、複数の球状ボール200は、ピペットチップカプラ本体120と環状ウェッジスクイズリング210との間に介装されており、セグメントまたはボールリテイナ182内において、半径方向に後退した(引っ込んだ)位置と半径方向に拡張(拡径)した位置との間で、環状ウェッジまたはスクイズリング210の軸方向の位置に応じて、半径方向に移動自在である。
【0042】
図6および
図7を参照して、および1つの例示的な実施形態において、シャンク部材102は、ピペットチップカプラ100の近位または上側の端面を画定する環状の近位の端面104を備える。端面104は、面取りされ、また細長い管状の本体108内に移行する外側縁106を有している。
【0043】
近位の端面104から遠位側に、細長い管状の本体108は管状のテーパ部110内に移行し、このテーパ部は直径が減少すると共に筒状ネック部112内に移行する。筒状ネック部112は、筒状ネック部112の直径よりも大きな直径を有する筒状カラー114内に遠位側から移行する。筒状カラー114には第2の筒状カラー116が遠位側から続いている。第2の筒状カラーは、筒状カラー114の直径よりも大きな直径を有し、またピペットチップカプラ本体120の上側円形本体端面122の内側部分の上に置かれる。第2の筒状カラー116は、環状のスペーサであり、これはシャンク部材102と一体でも良い。あるいは、第2の筒状カラー116は、個別の、取り外し自在なスペーサに置き換えられても良い。
【0044】
ピペットチップカプラ本体120および遠位ステム部138
【0045】
図7に示したように、ピペットチップカプラ本体120は、第2の筒状カラー116の遠位端から半径方向および外方に延在し且つ丸い形の外周縁124内に移行する、上位または上側の端面122を備えている。1つの例示的な実施形態において、上側円形本体端面122は、実質的に平面であり、第2の筒状カラー116の遠位端から外周縁124まで半径方向外方に延びる。
【0046】
さらに、カプラ本体120は第1の筒状部または停止ディスク部130を備えた多重円筒状セクションを有してなる。第1の筒状部130は上側端面122から軸方向に離れるように遠位側に延びており、遠位側には第2の筒状部132が続いている。第2の筒状部132は、、隣接する第1および第2の筒状部130、132の間に遠位側または下方を向いた軸方向肩面または停止肩面134を形成するために、直径が小さくなっている。
【0047】
図7に示したように、第2の筒状部132は、停止肩面134から遠位側の下側面136に遠位側に延び、この下側面は縮径した遠位の筒状ステム部138内に半径方向内側に移行し、この筒状ステム部は略丸い端板142の半径方向外方に延びる上側面140で終端する。端板142は丸い周縁を有し、この周縁は端板142の上面140と端板142の略平坦な下面144との間に周方向に丸みのある移行部を提供し、ピペットチップカプラ100のピペットチップカプラ本体120の遠位の端面を画定する。
【0048】
図6および
図7に示すように、および上述したように、第2の筒状部132は第1の筒状形部130に対して直径が縮小されている。よって、第1の筒状部130は、第2の筒状部132の第2の直径よりも大きい第1の直径を有し、第1の筒状部130と第2の筒状部132との間には遠位側を向いた軸方向肩面または停止肩面134が形成される。
【0049】
第2の筒状部132の第2の直径は端板142の直径より大きい。一方、遠位の筒状ステム部138の直径は第2の筒状部132の第2の直径および端板142の直径の両方よりも小さく、第2の筒状部132と端板142との間には下側の、遠位溝146が画定される。1つの例示的な実施形態では、第1および第2の筒形ヘッド部130および132は、それぞれ、略平滑な外側筒状面を備え、また遠位の筒状ステム部は略平滑な外側の筒状または溝状の面を備える。
【0050】
図7および
図13を参照して、ピペットチップカプラ100は端部が開口した(開口端)内側筒状チャネル面148をさらに備え、このチャネル面は端部が開口した(開口端)筒形の中央チャネル150を画定し、この中央チャネル150は、ピペットチップカプラ100の長手方向中心軸101に沿って、ピペットチップカプラ100の近位の端面を画定する環状の近位または上側の端面104から、ピペットチップカプラ100の遠位の端面を画定する下側の略平坦な面144まで延びている。端部が開口した筒状の中央チャネル150は、吸引および分注用のシリンダ34(
図3)とピペットチップ220との間の開放連通を提供し、吸引および分注用のシリンダ34は同様に吸引および分注用のプランジャ26(
図3)と開放連通している。
【0051】
遠位または下側のエラストマー要素160
【0052】
図6および
図7を参照して、および上記したように、ピペットチップカプラ100は、カプラ本体120の上側の端部に支持ないし担持されたボール継手システム(ボール結合システム)180と、遠位の筒状ステム部138を介してボール継手システム180から軸方向に遠位側に離間したカプラ本体120の下側の端部に支持ないし担持された下側または遠位のエラストマー要素160とを有してなる。
【0053】
図8を参照して、および1つの例示的な実施形態において、下側のエラストマー要素160は、中央開口166を画定する内面164を有する環状本体162を備える。下側エラストマー要素160はさらに、頂面168、周辺外面170、および底面172を備える。弛緩状態または非スクイズ(押し込まれていない、圧力が掛けられていない)状態では、下側のエラストマー要素160は、
図13に示すように、周方向に連続した略円形の断面積(断面領域)174を備える。あるいは、エラストマー要素は、長方形、X字形、正方形または他の断面積を有してもよい。
【0054】
図7および
図8を参照して、下側のエラストマー要素160の中央開口166は、第2の筒状部132遠位の下面136とピペットチップカプラ本体部材120の端板142の上面140との間において、ピペットチップカプラ100の遠位の筒形ステム部138を緊密に囲む寸法(大きさ)であり、面136、140は、これに限定されないが、平面状、円錐形または凹状の形態である。
【0055】
セグメントまたはボール継手システム(ボール結合システム)
【0056】
図6を参照して、および1つの例示的な実施形態において、セグメントまたはボール継手システム180は、環状で冠形(クラウン形状)の軌道(軌道輪)182を備えており、この軌道は複数のセグメントまたは球状ボール200の1つをそれぞれ支持ないし担持する複数の周方向に離間したガイドソケットまたは面192を備える。
【0057】
図9を参照して、環状の冠形の軌道182は、中央開口188を画定する内面186を有する環状基部184と、複数の周方向に離間したガイドソケット192を有する上面190を有する構成であり、各隣接する一対のガイドソケット192は、複数の介入フィンガ194の1つによって分離ないし仕切られている。環状で冠形の軌道182は、外周面196および底面198をさらに備える。
【0058】
図10を参照して、セグメント又はボールリテーナ180は、環状で冠形の軌道182の少なくとも底面198にピペットチップカプラ本体120の停止ディスク部130の上側の端面122(
図7)を着座させ当接させた状態で本体120の上に置かれ、複数のセグメントまたは球状ボール200の各々は、複数の周方向に離間したガイドソケット192のうちの異なる1つの内に配置される。
【0059】
図11に示したように、球状ボール200は、環状で冠形の軌道本体182の複数の介入フィンガ194の複数の隣接する対の最上部に配置された一対の対向する内側に突出するステーク(杭)202によって垂直に捕捉される。さらに、離間したガイドソケット192の各々は、外側の側壁半径204を有する溝付きまたは凹状のソケットシートを含み、これは離間したガイドソケット192および介入フィンガ194によって画定されたU字形ボール開口部の幅寸法に沿ってボールを水平に捕捉する。離間したガイドソケット192は、チップ220の取り付けおよび取り外しのために、ガイドソケット192上に半径方向に進退(前進(進み)および後退(引っ込む))するボールを支持するように構成される。
【0060】
従って、および
図10および
図11を参照して、セグメントまたはボール継手システム180は、軌道182と複数の球形ボール200とを備え、ピペットチップカプラ本体120の停止ディスク部130の上側の端面122上に配置され、複数の球状のボールまたはセグメントを保持し、および球状ボールまたはセグメントを拡張(延長)位置と後退位置との間で移動させる。セグメントまたはボール継手システム180は、ピペットチップカプラ本体120の停止ディスク部130の上側の端面122上に動作可能に取り付けられるか、またはこの端面に動作可能に一体的に形成されてもよい。
【0062】
図12および
図13を参照して、ピペットチップカプラ100の実施形態は、環状ウェッジまたはスクイズリング210を備える。スクイズリング210は、
図13に示すように半径方向に延びる環状リップ218を備え円周方向に連続した略くさび形または三角形の断面212を有する弾性くさび形の環状本体211を有してなる。
図12に示すように、環状本体211は、環状本体211を通って延びる中央環状開口214を画定する中央内側環状面213を備える。
【0063】
図13に示したように、環状ウェッジまたはスクイズリング210の中央環状開口214はシャンク部材102の通過を可能にする寸法(大きさ)であり、環状ウェッジまたはスクイズリング210の半径方向外方に近位側に傾斜した側面217が、
図6に示すように、ピペットチップカプラ100の停止ディスク部130の上側の端面122(
図7)上に支持ないし担持されたセグメントまたはボール継手システム180の複数のセグメントまたは球状ボール200に着座し当接することができるようになる。
【0064】
図13を参照して、ピペットチップカプラ100のシャンク部材102は、吸引および分注用のシリンダ34(
図2)の遠位の取付フランジ36内に嵌合するように構成され、ピペットチップカプラ100をピペット装置アセンブリ10のピペット装置20に動作可能に連結し、カプラ100の軸101(
図6)をピペット装置20の軸98(
図14)と整列させている。一実施形態では、シャンク部材102の細長い管状体108は、対応するねじ穴(雌ねじ)を有する遠位の取付フランジ36内に取り付けまたはねじ込まれるように、外側にねじ山が付けられる(雄ねじが施される)。
【0066】
図13に示したようにピペットチップカプラ100が遠位の取り付けフランジ36内に嵌め込まれた状態では、環状ウェッジまたはスクイズリング210の頂部平坦円形面215はスクイズスリーブ46の遠位の端50に隣接する。従って、スクイズモータ52(
図1)を第1の方向に作動することでスクイズスリーブ46の遠位方向または垂直方向下向きの直線的な軸方向並進が生じ、以下に詳述するように液体レベル検出(LLD)回路リング端366を介して環状ウェッジスクイズリング210の頂面215上に軸方向に力が加えられ、くさび形の底部217が複数の球状ボール200の内面に均一に押し付けられ、それらを半径方向に押し出して使い捨てピペットチップ220の溝246(
図16)内に押し込み、
図23に例示し以下に説明するように面244(
図16)と接触させる。
【0067】
続いてスクイズモータ52(
図1)を第2の方向、つまり遠位または垂直下方向と逆に作動することで、スクイズスリーブ46の遠位端50が
図13に示したようにホーム位置に戻り、環状ウェッジまたはスクイズリング210が軸方向上にスライドし、それによって、複数のセグメントまたは球状ボール200は、使い捨てピペットチップ220(
図16)の溝246(
図16)から、それぞれの離間した溝付きまたは凹状のガイドソケット192(
図11)上で、自由に半径方向に後退できるようになる。よって、排出スリーブ62(
図13)がチップ220(
図16)を押す際に、溝246の面244(
図16)および溝246の軸方向上方の内周面がセグメントまたは球状ボール200と接触してこれを押し、このためセグメントまたは球状ボール200が後退する。
【0069】
図2および
図14に示したように、および上記したように、ピペットチップカプラ100は、使い捨てピペットチップ220とピペット装置アセンブリ10のピペット装置20との間の開放連通した連結を提供する。
【0070】
図14から
図16を参照し、および1つの例示的な実施形態において、使い捨てピペットチップ220は、中央長手軸224を有する細長い管状のピペットチップ本体222を含んでいる。
【0071】
ピペットチップ本体222は、近位または上側の環状端面228と遠位または下側の環状端面230との間で中央長手軸224に沿って長手方向に延びる細長い囲繞側壁226を含み、これら環状端面228および230はそれぞれ、それぞれ囲繞開口した近位の環状端232および遠位の環状端234を画定する。細長い囲繞側壁226は、開口した上側の環状端232と開口した下側の環状端234との間でピペットチップ本体222の中央長手軸224に沿って長手方向に延びるピペットチップ通過開口238を画定する、内面236を有している。
【0072】
従って、ピペットチップ通過開口238は、ピペットチップカプラ100がピペット装置20とピペットチップ220との間に結合ないし連結されたときに、開口した遠位の環状端234(
図16)の外側の領域からピペットチップ220を通ってピペット装置チャネル40まで開放連通を提供する。この結合状態では、ピペットチップ本体222の中央長手方向軸224は、ピペット装置20の長手方向チャネル軸80と同一の広がりを持つ(同一の領域を占める)。
【0074】
図16を参照して、および1つの例示的な実施形態において、細長い囲繞側壁226の内面236は、最上部の環状の面取りされた内面240を備え、この内面はピペットチップ220の近位の環状端面228から半径方向内方に遠位側に延び、第1の直径を有する第1の実質的に筒形の内面セクション242に移行して終端する。
【0075】
溝を画定する軸方向に円弧状(弓状)の円周面
【0076】
図16に示したように、および1つの例示的な実施形態において、第1の実質的に筒形の内面セクション242は、細長い囲繞側壁226内に形成され円周状の環状溝(円周環状溝)246を画定する、軸方向に弓形の円周内面244を備える。環状溝246は、第1の実質的に筒形の内面セクション242を、上側の第1の実質的に筒形の内面部と、実質的に等しい直径の下側の第1の実質的に筒形の内面部に分割する。従って、環状溝246は、長手方向断面が円弧面(弓状面)である第1の実質的に筒状の内面セクション142の、円周状で半径方向外方に延びる内面の中断部を提供する。円弧状の内周面244はまた、以下に説明するように、代替的な断面で構成される。また、一実施形態では、第1の実質的に筒状の内面セクション242は、以下に説明するように円周状の環状溝246を画定する円弧状の円周内面244を欠いている。
【0077】
図16および
図17を参照して、軸方向に円弧状の円周内面244は、軸方向に円弧状の円周状の内面244の上側の軸方向に円弧状の周面セクタ部250内に遠位に移行する上側の環状移行端248を備える、環状溝246を画定する。続いて、上側の軸方向に円弧状の周面セクタ部250は、軸方向に円弧状の周面244の下側の軸方向に円弧状の周面セクタ部252内に遠位に移行する。次に、下側の軸方向に円弧状の周面セクタ部252は下側の環状の移行端254に終端する。
【0078】
上側の軸方向に円弧状の周面セクタ部または上側部250は、環状溝246に、上側の環状移行端248から環状溝246の周方向環状中心を画定する中央長手方向軸224に対する環状溝246の最大半径まで、ピペットチップ220の中央長手方向軸224に対して増加する半径を提供する。
【0079】
下側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部または下側部252は、環状溝246に、環状溝246の周方向環状中心を画定する最大半径から下側の環状移行端254まで、ピペットチップ220の中央長手方向軸224に対して減少する半径を提供する。
【0080】
第2の内面セクションおよび環状肩停止面
【0081】
図16に示したように、第1の実質的に筒形の内面セクション242の軸方向遠位側には第2の実質的に筒形の内面セクション262がある。この内面セクション262は、第1の実質的に筒形の内面セクション242の第1の直径より小さい第2の直径を有し、第1および第2の実質的に筒形の内面セクション242、262の間に配置され、近位側を向いた、半径方向内方に延びる環状肩座面または軸方向停止面260を形成する。
【0082】
1つの例示的な実施形態において、
近位側を向いた軸方向停止面260は、実質的に平面であり、またピペットチップ本体222の中央長手軸224に対して略垂直である。
【0083】
第3の内面セクションおよびシーリングシート(密封座)
【0084】
図17に示したように、第2の実質的に筒状の内面セクション262の軸方向の遠位側には、セクション262の第2の直径より小さい第3の直径を有する第3の実質的に筒状の内面セクション272がある。
【0085】
第2のセクション262と第3のセクション272との間には円錐台形で環状のシーリングシート緬または停止面270があり、これは
図17に示すように半径方向内方に傾斜し遠位側に延びる遠位の作用面270を画定する。円錐台形で環状のシーリングシート面(密封座面)270は、第2の実質的に筒状の内面部262と円錐台形の環状シーリングシート面270との間の環状の境界を画定する、上側の環状シーリングシート端266を備える。
【0086】
加えて、円錐台形で環状のシーリングシート面270は、円錐台形で環状のシーリングシート面270と第3の内面部272との間に環状の境界を画定する下側の環状シーリングシート端268を備え、上側の環状シーリングシート端266の直径は、下側の環状シーリングシート端268の直径よりも大きい。
【0087】
従って、円錐台形で環状のシーリングシート面270は、第2の実質的に筒状の内面セクション262と第3の実質的に筒状の内面セクション272との間に介在し、円周状で半径方向内方に傾斜し且つ遠位側に延びる遠位の作用面、当接面またはシーリングシート面270を画定する。
【0088】
例示したように、シーリングシート面270は、中央長手軸224に対して鋭角で配置され、この鋭角は中央長手方向軸224に対する鋭角のシールシート面の角度を画定する。一実施形態では、中央長手方向軸224に対する好適な鋭角のシーリングシート面の角度は約15度から約35度であり、好ましい角度は約25度である。
【0089】
1つの別例(代替え)の実施形態において、シーリングシート面270には、ピペットチップの中央長手軸に対して実質的に90度の別のシーリングシート面角度が設けられる。この実施形態を
図76に示し、中央縦方向Z軸に対する別のシーリングシート面2270のシーリングシート面の角度は実質的に90度である。
【0091】
図16はさらに、第3の実質的に筒状の内面セクション272に続いており、この内面セクション272遠位側には第5の内面セクション275が続いていることが示されている。
【0092】
1つの例示的な実施形態において、第4の内面セクション274は、第3の実質的に筒状の内面セクション272の遠位の環状端276から第5の内面セクション275の近位の環状端278まで、遠位側にテーパ状または直径が減少する(小さくなる)。次に、第5の内面セクション275は、第5の内面セクション275の近位の環状端278から、浸漬の対象であるピペットチップ220の開口した遠位の環状端234まで、遠位側にテーパ状または直径が減少する(小さくなる)。さらに、一実施形態例では、第5の内面セクション275は第4の内面セクション274よりも大きなテーパを有する(テーパの度合いが大きい)。
【0094】
図15を参照して、および1つの例示的な実施形態において、ピペットチップ220は複数の周方向に離間した長手方向に延びる外側リブ280を備える。この外側リブは、管状のピペットチップ本体222上に配置され、近位の環状端面228の周囲に隣接し、およびそこから、
図16に示したように第3の実質的に筒状の内面セクション272に隣接する囲繞側壁226の外側領域まで長手方向に外方に延びる。
【0095】
1つの例示的な実施形態において、および
図15に示したように、複数の周方向に離間した長手方向に延びる外側リブ280を、ピペット本体222が例えば支持面隙間開口284を経て通過した支持面282上またはその中にピペットチップ220を支持するために利用してもよい。支持面282の1つの例示的な実施形態は、これに限定されないが、当該技術分野で既知であるチップラックの形態のラボウェアの形態とすることができ、本実施形態でも同様である。
【0096】
自動分注(ピペッティング)ワークステーションまたはシステム
【0097】
図1および
図18を参照して、および1つの例示的な用途(使用)および動作において、1つまたは複数のピペット装置アセンブリ10は自動分注ワークステーションまたはシステム300において採用される。このシステム300は、一般的には、これに限定されないが、容器間の液体をプログラムに従って移送するものであり、例えば容器間でプログラムに従った液体移送を行うためにピペット装置20によって動作可能に支持されたピペットチップカプラ100に1つ以上の使い捨てピペットチップ220を取り付けおよび排出するプロセスを備える。
【0098】
一つの例示的な実施形態において、自動分注ワークステーション300は一般的に、水平に配置されたワークステーションデッキ304の垂直上方で少なくとも1つのピペット装置アセンブリ10を保持する、ロボットガントリー302を備える。ピペット装置アセンブリ10は、単チャネルのピペットヘッド(分注ヘッド)またはマルチチャネルのピペットヘッドを備えることができる。
【0099】
また、ロボットガントリー302は典型的には2つまたは3つの自由度を提供し、3つの自由度は、X軸を規定する軸に沿った縦(経度)方向の平行移動(並進)、Y軸を規定する軸に沿った横(緯度)方向の平行移動(並進)、およびZ軸を規定する軸に沿った垂直(上下)方向の平行移動(並進)からなり、これによりピペット装置アセンブリ10は上記デッキの長さ(X軸)及び幅(Y軸)に沿って、およびこれらに対して上下(Z軸)に移動することができる。2つの自由度を持つことで、ロボットガントリーは、通常、ピペット装置アセンブリ10を上下方向、および縦方向と横方向のいずれかに並進(平行移動)する機能を備える。
【0100】
一つの例示的な実施形態において、自動分注ワークステーション300は、主制御装置306、ピペット軸制御装置308、および主制御装置306とピペット軸制御装置308とピペット装置アセンブリ10とに電力を供給する電源310をさらに備える。
【0101】
さらに、および1つの例示的な実施形態において、以下に詳述する使い捨てピペットチップ220の取付けおよび排出(結合および分離)プロセスのようなピペット装置アセンブリ10の関連プロセスプロトコルを含むロボットガントリー302およびピペット装置アセンブリ10の制御のために、コンピュータ/コントローラ320をワークステーション300と共に使用してメインコントローラ306やピペット軸コントローラ308と通信することもできる。
【0102】
1つの例示的な実施形態において、コンピュータ/コントローラ320は、典型的には、プロセッサデバイスまたは中央処理装置(CPU)322、ハードウェア読み出し専用メモリデバイス(ROM)324、ハードウェアメインメモリデバイス(RAM)326、オペレーティングシステム332やピペット装置アセンブリ10用として保存されたユーザ定義プロセス336のようなソフトウェア334を有する非一時的コンピュータ可読媒体またはメモリ330を有してなる記憶装置328、ユーザディスプレイ338、ユーザ入力装置340、入力インタフェース342、出力インタフェース344、通信インタフェース装置346、およびコンピュータ/コントローラ320のデバイス間の通信を可能にする1つ以上の導体または通信経路を備えるシステムバス348を備えている。コンピュータ/コントローラ320は、LANおよび/またはサーバ350に動作可能に接続しても良い。電源352は、コンピュータ/コントローラ320に電力を供給する。
【0103】
ソフトウェアを含む上記で記述した自動ピペット操作ワークステーション300の例は、現在、アメリカ合衆国、ネバダ州 89502、Reno、Energy Way 4970にある本特許出願の譲受人であるHamilton Companyによって製造され、販売されている。
【0104】
ピペットチップのピペットチップカプラ100によるピックアップ(拾上げ)プロセス
【0105】
図19から25は、ピペットチップのピックアッププロセスの連続的な段階の例示的な実施形態の詳細を示しており、特に、ピペット装置20によって動作可能に支持されたピペットチップカプラ100にピペットチップ220を固定取付する方法を示したものである。上述したように、および1つの例示的な実施形態例において、ピペットチップ220は支持面282によって支持されてもよい。
【0106】
図19に示したように、ピペットチップカプラ100はピペット装置20に接続されており、コマンド(命令、指令)に応じて、ピペットチップカプラ100は、ピペットチップ220の開口した近位側の端232の上に配置され、それらの中央長手軸はそれぞれZ軸に沿って整列される。排出スリーブ62はイジェクト位置(排出位置)にあり、スクイズスリーブ46は非スクイズ位置にあり、セグメントまたはボール継手システム180は弛緩状態にあり、および遠位のOリング160は非スクイズ状態にある。
【0107】
次に、
図20はピペットチップカプラ100がZ軸に沿ってピペットチップ220内に下降する状態を示しており、ピペットチップカプラ100の遠位のエラストマー支持部分が下がってピペットチップ220の内側の筒状の近位の端部内を通過し、複数のセグメントまたは球状ボール200をチップ220の面取りした内面240に接触し、一方、ピペットチップ220の環状の肩座部または停止面260と停止ディスク130の軸方向の停止肩面134とが係合ないし接合する前は遠位のOリング160は非スクイズ状態に維持される。
【0108】
次に、
図21は、ピペットチップカプラ100がZ軸に沿って下方に移動され、またスクイズスリーブ46がZ軸に沿って下方に移動して、複数の球状ボール200の上に置かれた環状ウェッジスクイズリング210と接触する状態を示したもので、ピペットチップカプラ100の遠位側エラストマー支持部を下降させてピペットチップ220の内側筒状の近位側の端部を通過させ、遠位のOリング160をチップの環状のシーリングシートまたは停止面270に接触させる一方、ピペットチップ220の環状の肩部シートまたは停止面260と停止ディスク130の軸方向の停止肩面134が係合ないし接合する前は複数の球状ボール200を非スクイズ状態に維持し、これによりピペットチップ220の環状肩部シートまたは停止面260と停止ディスク130の軸方向の停止肩面134との間に隙間(ギャップ)298が維持される。
【0109】
次に、
図22は、スクイズスリーブ46がZ軸に沿ってさらに下方に移動された状態を示しており、LLD回路リング端366が押されて環状のウェッジスクイズリング210と接触してこれを押し、このリング210が複数の球状ボール200上に押下げられ、これにより球状ボール200を溝246内に圧入または押し込み、および最初に溝246を画定する軸方向に円弧状の円周方向内面244(
図16)の上側の軸方向円弧状の周面セクタ部250(
図17)に当接するプロセスが開始され、溝246内に延びるかまたは溝246内に突出された複数の球状ボール200の動きによってピペットチップ220を軸方向に引き上げる軸方向の上向きの力が発生する。
【0110】
この結果、および
図21と
図22を参照して、ピペットチップ220の近位または上方を向いた環状肩部シート面260を、停止ディスク130の遠位または下方に面する軸方向停止肩面134に着座させるプロセスが開始され、隙間298が閉じられ、同時に遠位のOリング160がチップ220のシーリングシートまたは停止面270で圧縮される。
【0111】
図23は、スクイズスリーブ46が、それが所定の位置にロックされるまでZ軸に沿って予め校正または設定された長さだけ下方に移動することで、環状ウェッジまたはスクイズリング210がスクイズスリーブ46によって停止され所定位置にロックされたことを示している。この結果、球状ボール200は半径方向に所望の距離または値まで広がり(
図24)、ピペットチップカプラ100の軸方向停止肩面134がピペットチップ220の環状肩部シート面260に完全に着座し、2つの面196、260がZ軸(
図19)に実質的に垂直なX軸(
図19)に沿って着座した状態となり、これら2つの軸の間に垂直なデータムが形成される。同時に、遠位のOリング160は所要の距離または値に圧縮され(
図25)、遠位のOリング160はチップ220の環状シーリングシートまたは停止面270に着座され、この結果、その断面が最終的に圧縮された非円形の形状になり、ピペットチップカプラ100とピペットチップ220との結合が完了する。
【0112】
図23に示すような固定取り付けプロセスが完了すると、セグメントまたはボール継手システム180および遠位のエラストマー要素160は、協働して、チップ220とカプラ100との間のセグメントとシールによる結合を生成し、これにより流体密封シールが提供され、複数の球状ボール200は周方向溝246内に少なくとも一部が収容されおよび周方向溝246を画定する円弧状内面244上に少なくとも一部が着座し、遠位のエラストマー要素160は、弾性位置エネルギーを保持した状態で、ピペットチップ220の半径方向内方に傾斜しかつ遠位側に延びる面270をシールする。
【0113】
1つの態様において、および
図9から
図25を参照して、セグメントまたはボール継手システム180はチップ220の取り付けおよび取り外しのために半径方向に進退するボールを支持ないし担持するように構成され周囲に円周状に離間したガイドソケット19(
図9)を備え、これらボールは半径方向外方に移動してチップ220の周方向溝246に結合のために係合し、環状ウェッジまたはスクイズリング210の軸方向の移動に応じてボールはチップを解放するために半径方向内方に移動する。特に、環状ウェッジまたはスクイズリング210が軸方向下方に移動すると複数の球状ボール200が半径方向外方の位置に付勢され、また環状ウェッジまたはスクイズリング210上への圧力が解放されると複数の球状ボール200が半径方向外方の位置から解放され、これにより複数の球状ボール200は半径方向内方に自由に動くことができる。
【0114】
他の実施形態において、複数の球状ボール200の剛性は、ピペットチップ220とカプラ100との間のより硬い接合部を提供するためのより堅固な結合を提供する。さらに、複数の球状ボール200の剛性および回転可能性により、使い捨てピペットチップ220の内部とボールとの接触が主として転がり接触となり、このため磨耗が防止され、カプラ寿命が増大する。
【0116】
図19から
図25は、逆に、ピペット装置20によって動作可能に支持されたピペットチップカプラ100からピペットチップ220を排出する例示的な方法またはプロセスの連続的な段階の詳細を示している。このチップ排出プロセスシーケンスは、逆である以外は、取り付けまたはチップのピックアップ固定プロセスシーケンスに類似している。また、以下に説明しおよび
図28に示したように、圧縮された遠位のOリング160の遠位のOリング軸方向力成分は、排出プロセス中においてチップ220を除去するのを助ける力を提供する。
【0117】
1つの例示的な実施形態において、および
図19から
図25を参照して、排出プロセスは次のステップを有してなる。
(1) チップを、廃棄物コンテナのような、それが処分される(捨てられる)場所に位置決めする。
(2) スクイズスリーブ46を上方に移動し、環状ウェッジまたはスクイズリング210から力を解放し、その結果、この力が複数の球状ボール200からも同様に解放され、各複数の周方向に離間したガイドソケット192上で移動することで、チップ220内の溝246からの後退が可能となり、遠位のOリング160が貯蔵された弾性位置エネルギーをチップ220に対する力として放出し始め、およびばね付勢された排出スリーブ62がチップ220を同様に押してそれを押し出し、この結果、チップは複数の球状ボール200およびカプラ本体部材120から解除ないし解放され始める。
(3) スクイズスリーブ46の上方への移動を継続し、複数の球状ボール200はチップ220内の溝246からの後退を続け、および遠位のOリング160およびばね付勢された排出スリーブ62がチップ220を押してそれを押し出し、チップ220は複数の球状ボール200およびカプラ本体部材120から解放され続ける。
(4) スクイズスリーブ46の最上部位置への移動を継続し、球状ボール200は、それらの元の自由な位置に戻り、チップ220内の溝246から完全に外れ、および遠位のOリング160は元の形状に戻り、およびチップがばね付勢された排出スリーブ62によりカプラ本体部材120から押し出さればね付勢された排出スリーブ62が完全に延びる(延長する)まで、ばね付勢された排出スリーブ62がチップ220を押す。
【0118】
上記を参照して、これらのチップ取り付けおよび排出プロセスは、広範囲な機械的および/または自動的に駆動されるピペット形式およびデザインのものに適用可能であることは当業者であれば理解できる。
【0120】
図26はピペットチップカプラ100の複数の球状ボール200の図式的なベクトル図を例示したものであり、複数の球状ボール200はボールの中心の上方のチップ溝の上側角に接触した状態で溝246内に初めは(初期状態では)延びており、これによりピペットチップ220を上方に引っ張る軸方向上向きの力が生じる。
図26に示したように、各ボールのボールの力(Fball_resultant)は、軸方向力(Fball_axial)成分と半径方向力(Fball_radial)成分の2つの成分からなる。
【0121】
複数の球状ボール200がボールの中心の上方のチップ溝の上側角に接触している限り、Fball_axialは、ボールの中心と溝の角部との間の距離が増加するにつれて増大する。従って、チップのピックアッププロセスの開始時にはボールの軸方向力((Fball_axial)は
図26に例示しおよび
図27に詳しく示したように小さく始まり、また
図28に示したようにチッププロセスの終わりにはその最大値まで増大する。
【0122】
図27を参照して、Z/Rの比はSIN(ω)に等しく、またSIN(ω)は(Fball_axial)/(Fball_resultant)に等しい。この結果、(Fball_axial)は(Fball_resultant)にZ/Rの比を掛けたものに等しい。これから、結果として、(Fball_axial)はZが増加するにつれて増大する。
【0123】
図28を参照して、ボールの軸方向力(Fball_axial)は停止ディスク130をチップ220に着座させると共にOリングの軸方向力(Fdistal_ring_axial)に打ち勝ち且つ遠位のOリング160を圧縮するのに必要な力を提供する。Oリング160は圧縮された結果生じるOリング力(Fdistal_ring_resultant)を有し、このOリング力は、軸方向成分(Fdistal_ring_axial)と半径方向成分(Fdistal_ring_radial)の2つの成分を有してなる。さらに、ボールの半径方向力(Fball_radial)はボール200をチップ溝246(
図27)内にロックするために必要な半径方向の力を提供し、また遠位のOリングの半径方向の力成分(Fdistal_ring_radial)は、チップに対してシールを維持するために必要な半径方向の力を提供する。さらに、ボールが溝に入るときにFball_axialを増加させる(寸法Zを増加させる)チップ溝に対するセグメントの形状は、Oリングの軸方向力(Fdistal_ring_axial)に打ち勝つのに役立ち、この結果、遠位のOリング160を所望の程度まで完全に圧縮できる。さらに、遠位のOリングの軸方向の力成分(Fdistal_ring_axial)は、排出プロセス中にチップ220を取り外すのを助ける力を提供する。
【0124】
位置合わせ(アライメント)/位置ずれ(ミスアライメント)
【0125】
図26から
図30を参照して、カプラ本体部材120の軸方向の肩面134およびチップ220の軸方向の肩部シート260は、正しいチップの位置合わせのために重要である。したがって、カプラ100およびチップ220は、複数の球状ボール200が軸方向の肩面134と軸方向の肩部シート260を一緒に押して、位置ずれを排除ないし防止するように構成される。これら肩部と肩面が適切に嵌合ないし噛み合わない場合、特にそれらが傾いている場合には、
図29および
図30に示したように、位置ずれ誤差(E)が大きくなる可能性があるからである。
【0126】
例えば、
図29および
図30に示したように、位置ずれ角(θ)、チップ軸方向距離(D)、および位置誤差(E)の間の関係は、E=D×TAN(θ)である。例えば、位置ずれ角(θ)が2度でチップ軸方向距離が90ミリメートルの場合、位置誤差(E)は3.14ミリメートルとなる。これは、典型的な位置誤差の公差が通常±0.5ミリメートルであることを考慮すると、非常に大きいと考えられる。
【0127】
図31は正しいチップ位置合わせがされた状態を示しており、チップシート260から遠位側の端230までのチップ軸方向距離が一定に維持され、
図28に示した垂直または軸方向の軸Zと垂直軸Xに沿ってピペットチップ端230の既知で制御された距離が確立される。これは、ピペット装置が小穴や少量の液体を対象とすることを可能にするために重要である。さらに、ピペットチップの距離が既知で固定であるのでより少量の液体を移送することができ、液体292をそこに移送しまたはそこから液体を移送する作用面290にピペットチップ/液体を制御して接触させることができる。
【0129】
適切な使用および操作のために、および
図6から
図17を参照して、カプラ100とチップ220との間の寸法は結果的に関連している。特に、第1のセクション242のチップ内径および第2のセクション262のチップ内径はそれぞれ、第1の筒状部130および第2の筒状部132の直径よりも大きくなければならない。しかしながら、これらは大きすぎてもいけない。密着性が低下しおよび/または位置ずれが生じる可能性があるためである。
【0130】
また、チップ溝246の直径は、複数の球状ボール200がチップ220を引き上げ、およびチップ220を正しい場所に適切に固定(ロック)するのに十分な大きさでなければならない。逆に、これが大きすぎる場合、複数の球状ボール200が良いロックおよび/またはシールを得るために十分に半径方向に広がったり突出できない場合がある。
【0131】
例えば
図28に示したように、チップシート260と溝246の軸中心との間の寸法は、停止ディスクシート134と複数のボール200のうちの1つの中心の位置との間の寸法と一致し、チップ220とカプラ100との間の適正な結合を提供する。
【0132】
チップシート260の遠位のOリングシールランド270までの寸法は、停止ディスクシート134の遠位のOリング溝146までの寸法とに一致しなければならない。これらの寸法は、遠位のOリング160が圧縮される量を制御し、したがってそれがいかに良好にシールするかを制御する。
【0133】
図28および
図31を参照して、チップシート260から遠位側の端230までの軸方向寸法Dは、連結シート同士の接合(嵌合)と共に、垂直または軸方向の軸Zおよび縦方向の軸Xに沿ったピペットチップ端230の既知で制御された距離を確立する。これは、ピペット装置が小さな穴および少量の液体を標的(対象)とすることを可能にするために重要である。さらに、ピペットチップの既知で固定の距離の結果としてより少量の液体を移送できるので、液体292がその上に移動されまたはそこから液外が移送される作業面290にピペットチップ/液体を制御して接触させることが可能となる。
図28に示したように、チップと停止ディスク着座/結合面134、260とが完全に嵌合されることで、適正な整列が提供でき、またチップの軸方向距離Dが維持される。
【0135】
図32を参照して、および一つの例示的な実施形態において、ピペット装置アセンブリ10は液体レベル検知回路アセンブリをさらに有してなる。液体レベル検知回路アセンブリは液体レベル検知つまりLLD回路基板360を備えており、この回路ボードは、電気的に非導体の材料で作られてアセンブリの他部材から絶縁されたスクイズスリーブ46に動作可能に連結されたLLD回路接点364に電気的に接続された処理回路362を有してなり、接点364はスクイズスリーブ46の底部領域に設けられた回路接点リング端366に終端しており、スクイズスリーブ46は
図19に示す非接触状態と
図23に示す接触状態との間で回路接点リング端366を環状ウェッジ210に選択的に接触させるように構成され、このためチップ220のチップ溝246のようなチップ220の内側の第1の作用面と結合する複数の導電性セグメントまたは球状ボール200と接触している。その結果、これにより、LLD回路基板360の処理回路362とチップ220との間の回路が完成する。
【0136】
また、停止ディスク取付ポストまたは遠位の取付フランジ36は非導電性材料で作られている。したがって、本体部材120およびボール継手システム180はアセンブリの残りの部分から絶縁される。
【0137】
さらに、LLD回路基板360の処理回路362は、チップ220が液体に接触する際に信号変化を検出し、それによって、移送された液体の面または液体がその上に移送されるかその上から液体が移送される面を検出する能力を有する。つまり、カプラ100がチップ220に取り付けられ、および複数の球状ボール200が半径方向に円周方向に押し込まれチップ220のチップ溝にロックされると作動が生じる。
【0139】
図33から
図36はボール継手システム400のアセンブリの斜視図であり、これは別の用途のためのボール継手システム180(
図6)の代替の例示的な実施形態である。1つの実施形態において、ボール継手システム400リング状の軌道体402を備え、この軌道体は、それぞれが複数のセグメントまたは球状ボール410の1つを半径方向に移動可能に支持する複数の周方向に離間したガイドソケットまたは面492を備える。リング状の軌道体402は、周方向に離間した複数の円形のボール開口404をさらに備え、その中に半径方向に延びる複数のボール410のそれぞれ受容して保持し、ボール410は
図36に詳細に示したように円形のボール開口404および保持ステーク(杭)406によって捕捉される。
【0140】
図37から
図40は、ピペットチップカプラ500のアセンブリの斜視図であり、これは、
図6に示したボール継手システム180、シャンク部材102、および本体120の代わりに使用される代替的な実施形態である。
【0141】
図37から
図40に示したように、ピペットチップカプラ500は、複数の周方向に離間した円形のボール開口504含むリング形状の軌道本体部材502を備える、このボール開口504はその中に複数のボール520を受容し、また
図40に詳細に示すように圧入または固着されたボールキーパー保持リング(ボール止め用の保持リング)506により捕捉される。
【0142】
ピペットチップカプラ500は、複数のボール520を軌道本体部材502内に引き込むために、ディスク514の上面512に隣接するシャンク部510を囲む環状スペーサ508と、環状スペーサ508を載せた環状磁石(環状マグネット)516とをさらに備える。
【0143】
図示したように、本体部材502はディスク514の直径より大きい直径を有し、このため、その底部周辺リップは、肩面134(
図6)に類似した、遠位側に面する軸方向肩面または停止肩面522を画定する。
【0145】
図41および
図42を参照して、代替に使用するためのピペットチップカプラ100の別の例示的な実施形態であるピペットチップカプラ装置700が示されている。ピペットチップカプラ装置700は、使い捨てピペットチップ220と、上記のカップリングプロセスを利用する空気置換式ピペット装置アセンブリ10(
図1)の空気置換式ピペット装置20との間に連結されるように構成される。ピペットチップカプラ700は、細長いヘッドまたはシャンク部材704と、本体部材706と、遠位側のステム部708とをさらに備えた中央連結部材702を有する。図示したように、シャンク部材704は上端710と本体部材706の上側面712に移行する遠位側の端を備える。本体部材706は、遠位のステム部708に移行する下端を含む。遠位側のステム部708は、底部端面716を有する略丸い端板714で終端する。
【0146】
1つの実施形態において、本体部材706は、シャンク部材704および遠位側のステム部708の直径よりも大きい直径を有する。図示したように、ボールセグメントおよびシールピペットチップカプラデバイス700は、遠位のステム部708にを囲む遠位のエラストマー要素718をさらに備え、遠位のエラストマー要素718は、要素160(
図6)に類似して構成される。
【0147】
図41および
図42に示したように、ピペットチップカプラ装置700はまた、シャンク部材704の周りに配置され且つ本体部材706に取り付けられたボールセグメント継手システム720を備える。さらに、ピペットチップカプラ装置700は、シャンク部材704の周りに配置され、またボールセグメント継手システム720の上に置かれた環状ウェッジまたはスクイズリング210または810(以下に詳述する)をさらに備える。
【0148】
図41から
図43を参照して、ボールセグメント継手システム720は、筒状の軌道本体部材722を備える。この軌道本体部材722は、中央開口部726を有する環状基部724と、上方に延びる囲繞側壁728に移行する外周とを備える。この囲繞側壁728は、半径方向に伸びるボール座面732をそれぞれ有する複数の周方向に離間した円形の切欠開口730に終端する。これにより、シャンク部材702から半径方向に離間したボール座面732の軌道が画定され、開口730とシャンク部材702との間に半径方向に延びる環状ギャップが形成される。
【0149】
図42に示したように、ピペットチップカプラ装置700は、シャンク部材704の周りに配置され且つ軌道本体部材722(
図41)の環状基部724の内側上面に取り付けられた環状磁石736をさらに備える。ピペットチップカプラ装置700は、シャンク部材704の周りに配置され且つ環状磁石736の上に置かれた環状スペーサ738をさらに備える。環状磁石736は、環状スペーサ738と軌道本体部材722の円形の切欠開口部730との間に半径方向の隙間(ギャップ)740を画定するために、環状スペーサ738よりも大きな直径を有する寸法とされ、環状磁石736は、システム720の複数の鉄系金属(鉄合金)ボール742を磁気的に引き付ける通常の傾向を提供し、円形の切欠開口部730のボール座面732に配置され環状磁石736に向かって半径方向の間隙740に入る。一実施形態では、環状磁石736は滑り嵌め(スリップフィット)され、環状スペーサ738は圧入され、また環状磁石736は同様に定位置に保持される。
【0150】
図44から
図48を参照して、軌道本体部材722は、中央継手部材702の本体部材706と整列して取り付けられており、この本体部材706には環状磁石736と環状スペーサ738とが、中央継手部材702の本体部材706上と筒形軌道本体部材722内に順次取り付けられる。次いで、複数の筒状のボール742は、それぞれ切欠開口部730を介して受容され、またスナップリング(止め輪)744によって開口730から出ることが防止され、このスナップリング744は軌道本体部材722の上側外周面を囲む保持溝746内に受容される。スナップリング744は、軌道本体部材722の座面732上のボールの半径方向移動を可能にしながら、ボールを捕捉する円形の切欠開口730のノッチ(切り欠き)748を閉じる。
【0151】
図42を参照して、軌道本体部材722の外径は、中央継手部材702のピペットチップカプラ本体部材706の外径よりも大きく、これにより、カプラ装置100の停止肩面134(
図6)と機能的に類似する遠位側を向いた軸方向停止肩面750を有する底部周辺リップが形成される。
【0152】
図42にさらに示したように、中央継手部材702は、端部が開口した筒形状の中央チャネル754を画定する端部が開口した内側筒状チャネル面752を備える。この中央チャネル754は、ピペットチップカプラ700の長手方向中央軸734に沿って、ピペットチップカプラ700の近位の端面を画定する環状の近位または上側の端710から、ピペットチップカプラ700の遠位側の端面を画定する端板714の底部端面716まで延びる。端部が開口した筒状の中央チャネル754は、吸引および分注用のシリンダ34(
図3)とピペットチップ220との間に開放連通を提供し、吸引および分注用のシリンダ34はまた、吸引および分注用のプランジャ26(
図3)と連通している。
【0153】
ボール凹面830を備えた環状ウェッジまたはスクイズリング810
【0154】
図49は、環状ウェッジまたはスクイズリング810を示し、これは、周方向に離間した凹面または凹部830を備えたものであり、環状ウエッジまたはスクイズリング210の別形式のための代替の実施形態である。
【0155】
図50は、スクイズリング210(
図6)の代わりにスクイズリング810を使用するピペットチップカプラ装置700を示す。図示したように、周方向に離間した凹面または凹部830の曲率は、複数のセグメントまたはボール742のそれぞれの円弧形状と形状的に相補的であり、これは図示したようにそれらの間で補完的な面の当接(接合)をするためであり、複数のセグメントまたはボール742は、複数のセグメントまたはボール200(
図6)に類似して構成されている。
【0156】
図49および
図50を参照して、スクイズリング210と同様に、スクイズ810は、環状体812を通って延びる中央開口816を画定する中央内側環状面814を有する弾性的な環状体812を備える。また、くさび形の環状体812は、底部環状端820から環状周辺リップ824の下側822まで上方に延びる外側側面818を備え、この周辺リップ824は半径方向に外側に延び外縁面826を囲んで終端し、この外縁面826は頂部平坦環状面828に移行し、この環状面826は中央内側環状面814から囲繞する外縁面826まで間に放射状に延びる。さらに、スクイズリング810は、スクイズリング810の外側側面818内に配置された周方向に離間した凹面または凹部830を備える。上述したように、周方向に離間した凹面または凹部830のそれぞれの曲率は、複数のセグメントまたはボール742のそれぞれの円弧形状と形状的に相補的であり、これはそれらの間で補完的な円弧面の当接(接合)をするためである。
【0157】
さらに
図49および
図50を参照して、環状ウェッジまたはスクイズリング810の中央開口部816は、弾性環状体812がボール742と環状スペーサ738との間を通過できるような大きさに寸法決めされており、これにより、環状ウェッジまたはスクイズリング810の周方向に離間した凹面または凹部830が複数のセグメントまたは球状ボール742と当接および着座することが可能になる。[次に、ピペットチップカプラ100と同様に、ピペットチップカプラ700のシャンク部材704は、ピペット装置アセンブリ10のピペット装置20に動作可能に連結されるように構成される。この結合によって、スクイズモータ52(
図4)の第1の方向へ作動することで、スクイズリング810が遠位または垂直下方方向へ直線的な軸方向並進を行い、スクイズリング810の上面828上に軸方向に力が加えられ、凹面または凹部830が複数の球状ボール742の円弧面に均一に押し付けられてこれらを半径方向外側に押し、使い捨てピペットチップ220のような使い捨てピペットチップと結合される。スクイズモータ52(
図4)を次に、遠位または垂直下方向とは逆の、第2の方向に作動することで、スクイズリング810の力が解放され、複数のセグメントまたは球状ボール742が環状のスペーサ738に向かって半径方向の隙間740内に押し戻され、これにより複数のボール742の後退またはチップ離脱状態が画定される。
【0159】
図51および
図52を参照して、代替に使用するためのカプラー装置100別の例示的な実施形態であるボールセグメントおよびシールピペットチップカプラ装置900が示されている。ピペットチップカプラ装置900は、上記の結合プロセスを利用して、例えば、使い捨てピペットチップ220と空気置換式ピペット装置アセンブリ10(
図1)の空気置換式ピペット装置20との間に結合されるように構成される。
【0160】
図51を参照して、カプラ装置900は、細長いヘッドまたはシャンク部材904、本体部材906、および遠位のステム部908を含む中央継手部材902を備える。
図示したように、シャンク部材904は、上端部910と、本体部材906の上面912に移行する下端部を備える。本体部材906は、遠位ステム部908内に移行する下端部を有し、この遠位ステム部908は底端面916を有する下側端914で終端する。一実施形態では、本体部材908はシャンク部材904の直径および遠位ステム部908の直径よりも大きい直径を有する。
【0161】
図51に示したように、ボールセグメントおよびシールピペットチップカプラ装置900は、遠位のステム部908を囲む遠位のエラストマー要素918をさらに備える。遠位のエラストマー要素918は、遠位のエラストマー要素160に類似して構成されている。
【0162】
図51にさらに示したように、ピペットチップカプラ装置900は、シャンク部材904の周りに配置され且つ本体部材906上に取り付けられたボールセグメント継手システム920と、シャンク部材904の周りに配置され且つボールセグメント継手システム920の上に置かれたスクイズリング810とを有してなる。
【0163】
図52を参照して、ボールセグメント継手システム920は、中央開口926を有する環状基部924と上方に延びる囲繞側壁928に移行する外端とを有し且つ
図53に示したように筒状の形状である軌道保持器本体部材922を備え、この囲繞側壁928は周方向に離間した複数の円孔930を有し、各円孔930は内側の環状テーパ面または円錐面934内に半径方向外方に移行する内側囲繞筒状軌道面932によって画定される。
【0164】
図52に示したように、各穴930の内側囲繞筒状軌道面932は、ボールセグメント942の直径よりも大きい第1の直径936を有する。内側環状テーパ面または円錐面934は、第1の直径936から減少し、第1の直径936より小さい第2の直径935で終端し、この第2の直径はボールセグメント942のそれぞれの直径よりも小さい。従って、ボールセグメント942は、
図51に示されるように半径方向に並進された状態にあるとき、内側環状テーパ面または円錐面934によって、軌道保持器本体部材922のそれぞれの穴930を通って半径方向または水平方向に移動することが抑えられ、これによりボールセグメント保持構成が画定される。これは軌道保持器本体部材922内に機械加工されており、また
図36に示した保持ステーク406と
図40に示したボールキーパー保持リング506と
図48に示したスナップリング744とを有してなる上述した保持構成の代替である。
【0165】
図51に示したように、ピペットチップカプラ装置900は、シャンク部材904の周りに配置され且つ軌道保持器本体部材922の環状基部924の内側上面952上に取り付けられた環状スペーサ938をさらに備える。環状スペーサ938は、環状スペーサ938と軌道保持器本体部材922の孔930との間に半径方向の隙間(ギャップ)940を画定するような大きさないし寸法にされる。
【0166】
図53から
図55を参照して、および1つの例示的なアセンブリプロセスの間において、複数の筒状のボールセグメント942はそれぞれ、軌道保持器本体部材922の上方に延びる囲繞側壁928(
図52)の穴930(
図52)の内端を通って受容される。次に、軌道保持器本体部材922は、中央継手部材902の本体部材906の上側面91と整列(位置合わせ)して取り付けられ、軌道保持器本体部材922は
図51に示すように本体部材906の直径よりも大きな直径を有する遠位側を向いた軸方向の停止肩面950を備える。停止肩面950は、カプラ装置100の停止肩面134(
図6)と機能的に類似している。環状スペーサ938は次いで、筒状の軌道保持器本体部材922内の中央継手部材902の本体部材906の上側面912と整列(位置合わせ)して取り付けられる。
【0167】
従って、および
図56を参照して、複数の筒状のボールセグメント942はそれぞれ、穴930(
図52)内に受容されて半径方向の移動のために捕捉される一方、内側環状テーパ面または円錐面934によって逃げることが阻止され、また環状スペーサ938によって後退することが防止される。
【0168】
図51にさらに示したように、中央継手部材902は、端部が開口した筒状の中央チャネル956を画定する端部が開口した内側円筒チャネル面954を備える。この内側中央チャネル面954は、ピペットチップカプラ装置900の長手方向中心軸958に沿って、ピペットチップカプラ装置900の近位側の端面を画定する環状の近位側または頂部側の端910から、ピペットチップカプラ装置900の遠位側の端面を画定する底部端面916まで延びている。端部が開口した筒状の中央チャネル956は、吸引および分注用のシリンダ34(
図3)と、例えばピペットチップ220との間の開放連通を提供し、吸引および分注用のシリンダ34はまた、吸引および分配プランジャ26(
図3)と開放連通している。
【0169】
ボール継手システム(ボール結合システム)の特徴
【0170】
1つの観点において、ボール継手システムは、システム寿命を改善するために、これに限定されないが、金属や硬質プラスチックなどの硬質で耐久性のある材料から形成された構成要素を備えている。そして、ボールはプラスチック製のチップよりもはるかに硬いので、Oリングのような柔らかいエラストマーの材料より効率良くチップ溝に入り込む。
【0171】
他の観点において、ボール継手システムはチップと停止ディスクとの間に非常に硬い結合部を提供し、特に、複数の分離した(個別の)ボールの剛性によってより硬い結合部が提供され、ピペットチップとピペットチップカプラとの間のより硬い結合部を提供する。
【0172】
他の観点において、ボール継手システムは、チップを引き上げ、より効率的にシートに着座させる。
【0173】
他の観点において、ボール継手システムのボールの寿命は、自由空気中でチップを排出することに影響されない。対照的に、Oリングの継手(結合)寿命は、チップが自由空気中で排出されるときに悪影響を受ける。ばね付勢された排出スリーブによってチップが押し離される際にOリングがチップ内の溝によって擦られて摩耗するからである。ボールの硬度はこのような刻みや摩耗の有害な作用に耐えることができる。
【0174】
他の観点において、ボール継手の材料は、液体レベル検出や他の用途のために、チップに電気回路を提供するために、導電性材料から容易に作製できる。
【0175】
他の観点において、ボール継手システムは、機械的に効率的な設計であるため、小さい(低い)スクイズ/軸方向力で作動させることができる。スクイズ/軸方向における必要な力が小さい程、軸方向の力を提供する関連部品の寿命が向上する。別の観点において、ボール継手システムは、上記のように必要なスクイズ/軸方向力がより小さいので、下側シールの寿命を改善できる。
【0176】
他の観点において、遠位側のシールは、導電性である必要がないので、より多様な材料から作製できる。
【0177】
他の観点において、寿命が向上し且つ下側シールへのアクセスが容易であるため、メンテナンス費用を低くできる。
【0178】
他の観点において、着座性が改善されるので、ピペット装置へのチップの整列(位置合わせ)が改善(向上)する。
【0180】
図57はセグメントおよびシールピペットチップカプラ装置1100を示したものであり、これはカプラ装置100の代替的な実施形態であり、また使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態と、空気置換式ピペット装置アセンブリ10の例示的な実施形態である空気置換式ピペット装置20との間に介装された状態で示されている。
【0181】
図57および
図58に示したように、ピペットチップカプラ1100は、細長いヘッドまたはシャンク部材1102と、ピペットチップカプラ本体1120と、分離した要素またはセグメントの継手システム1160を備える。このセグメントの継手システム1160は、セグメントリング1162およびスプリングリテーナ(ばね式保持具)1172を画定する複数の要素またはセグメント、遠位のエラストマー要素1180、および複数の要素またはセグメント1162の上に置かれた環状ウェッジまたはスクイズリング1200を備える。
【0182】
図58および
図59に示したように、細長いヘッドまたはシャンク部材1102は、ピペットチップカプラ本体1120の上に置かれ、また複数の要素またはセグメント1162は、周方向に離間し、およびシャンク部材1102の周りでピペットチップカプラ本体1120の第1の筒状部1130の上側の環状面1122上で支持される。スプリングリテーナ1172は、複数の周方向に離間した要素またはセグメント1162の半径方向の拡張または円周方向の拡大を制限する。
【0183】
従って、ピペットチップカプラ1100は、以下に詳述するように、ピペットチップカプラ本体1120の遠位または下側の端部に支持された下または遠位のエラストマー要素1180を備える。
【0184】
さらに、
図64および
図65に示したように、ピペットチップカプラ1100は、スプリングリテーナ1172によって保持される複数の要素またはセグメント1162の上に置かれた環状ウェッジまたはスクイズリング1200を備え、ピペットチップカプラ本体1120と環状ウェッジ1200との間に複数の要素またはセグメント1162が介装され、複数の要素またはセグメント1162は半径方向に後退した位置と半径方向に延びた位置との間で
図66から
図70に示すように環状ウェッジ1200の軸方向位置に応じてスプリングリテーナ1172に対して半径方向に移動可能であり、複数の要素またはセグメント1162のそれぞれの内側環状面1282と上側環状面1122(
図59)の上に隣接して置かれたリング1116との間の隙間(ギャップ)1174(
図68)が増大する。
【0186】
より詳しくは、
図59に示したように、シャンク部材1102は、ピペットチップカプラ1100の近位または上側の端面を画定する環状の近位の端面1104を備え、さらに面取りされ且つ細長い管状本体1108内に移行する外側端1106を備える。
【0187】
近位の端面1104から遠位に、細長い管状本体1108は環状のテーパ部1110に移行し、このテーパ部1110は直径が減少して筒状ネック部1112に移行する。筒状ネック部1112は、筒状ネック部1112の直径よりも大きい直径を有する筒状カラー1114に遠位側に移行する。次に、筒状カラー1114の遠位側には、筒状カラー1114の直径よりも大きい直径を有し且つ上側円形本体端面1122の内側部の上に置かれたリング1116が続いている。
【0188】
図65に示したように、ピペットチップカプラ1100をピペット装置アセンブリ10のピペット装置20に動作可能に連結するために、ピペットチップカプラ1100のシャンク部材1102は、吸引および分注用のシリンダ34の遠位の取付フランジ36内に嵌合するように構成される。
【0190】
図59に示したように、ピペットチップカプラ本体1120の上位または上側の端面1122は、リング1116から半径方向外方に延び、また丸みを帯びた外周端1124に移行する。1つの例示的な実施形態において、上側の円形の本体の端面1122は、リング1116の遠位の端部から外周端1124まで延びる、半径方向外方に延びる実質的に平坦な面である。
【0191】
さらに、ピペットチップカプラ本体1120は複数ないし多重の筒状部を備える。この筒状部は上側端面1122から遠位側に軸方向に離れて延びる第1の筒状部または停止ディスク部1130を備え、また遠位側に第2の筒状部1132が続く。この第2の筒状部1132は、遠位側または下方を向いた軸方向の肩面または停止肩面1134を形成するために、隣接する第1の筒状部1130と第2の筒状部1132との間で、直径が減少している。
【0192】
図59に示したように、第2の筒状部1132は、停止肩面1134から遠位側を向いた下側の面1136まで遠位側に延びており、この下側の面1136は直径が減少した遠位の筒状ステム部1138に半径方向内方に移行し、この筒状ステム部1138は略丸い端板1142の半径方向外方に延びる上側面1140に終端する。端板1142は丸みを帯びた周端を備え、この周端は、端板1142の上側面1140と、ピペットチップカプラ1100のピペットチップカプラ本体1120の遠位の端面を画定する端板1142の下側の略平坦な面1144(
図58)との間に、円周方向の丸い移行部を提供する。
【0193】
図58および
図59に示したように、第1の筒状部1130は第2の筒状部1132の第2の直径よりも大きな第1の直径を有し、第1の筒状部1130と第2の筒状部1132との間に遠位側または下方を向いた軸方向の肩面または停止肩面1134を形成する。また、第2の筒状部1132の第2の直径は端板1142の直径よりも大きい。さらに、遠位の筒状ステム部1138の直径は、第2の筒状部1132の第2の直径および端板1142の直径のいずれよりも小さく、第2の筒状部1132と端板1142との間に下側の、遠位の溝1148が画定される。
【0194】
1つの例示的な実施形態において、第1および第2の筒状ヘッド部1130および1132はそれぞれ、略平滑な外側筒状面を備え、遠位の筒状ステム部1138は略平滑な外側筒状面または溝面を備える。
【0195】
図58および
図65を参照して、ピペットチップカプラ1100は端部が開口した内側の筒状チャネル面1156をさらに備え、このチャネル面1156は端部が開口した筒状の中央チャネル1158を画定し、この中央チャネル1158はピペットチップカプラ1100の長手方向中心軸1198に沿って、ピペットチップカプラ1100の近位の端面を画定する環状の近位の端面1104から、ピペットチップカプラ1100の遠位の端面を画定する端板1142(
図59)の下側の略平坦な面1100まで延びている。端部が開口した筒状の中央チャネル1158は、吸引および分注用のシリンダ34(
図3)とピペットチップ220との間の開放連通を提供し、吸引および分注用のシリンダ4は同様に吸引および分注用のプランジャ26(
図3)と開放連通している。
【0197】
図60に示したように、エラストマー要素1180は、中央開口部1186と、上面1188と、周辺外面1190と、底面1192とを画定する内面1184を有する環状本体1182を備える。
【0198】
図58から
図60を参照して、下側のエラストマー要素1180の中央開口1186は、第2の筒状部1132の遠位側を向いた下側の面1136とピペットチップカプラ本体部材1120の端板1142の上側の面1140との間で、ピペットチップカプラ1100の遠位の筒状ステム部1138に密接して囲むように寸法決めされ、面1136、1140は、これに限定されないが、平面状、円錐形または凹状の形態の形態である。
【0199】
従って、
図58に示したように、下側または遠位のエラストマー要素1180は、ステム部1138(
図59)によってカプラ本体1120の下側または遠位の端部に支持され、またカプラ本体1120の上側または近位の端部に支持された分離した要素またはセグメントの継手システム1160に対して遠位にある。弛緩または非スクイズの状態では、下側または遠位のエラストマー要素1180は、
図65に示した円周方向に連続した、略円形の断面領域1194を備える。
【0200】
分離した(個別の)要素またはセグメントの継手システム1160
【0201】
図61は、複数の分離した要素またはセグメント1162と、セグメント1162の円周方向拡張(拡径)を許容する隙間1174を有するスプリングリテーナ1172とを備えた、分離した要素またはセグメントの継手システム1160の分解図である。複数の分離した要素またはセグメント1162は、これに限定されないが、4つの分離ないし個別の円弧状要素またはセグメント1164、1166、1168、および1170を有する、分割された(セグメント化された)リングを有してなる。隙間のあるスプリングリテーナ1172は、4つの円弧状要素またはセグメント1164、1166、1168、および1170を囲んで、分離した要素またはセグメントの継手システム1160の複数の分離した要素またはセグメント1162の基部1278(
図62)によって画定される環状基部を含む、半径方向に拡張可能な分割リング(セグメント化リング)を形成する。
【0202】
従って、および
図58を参照して、ピペットチップカプラ本体部材1120(
図59)の第1の筒状部1130の上側面1122上に配置された分離した要素またはセグメントの継手システム1160は、複数の分離した要素またはセグメント1162を保持し、また分離した要素またはセグメント1162が弛緩した位置(
図66)と拡張した位置(
図70)との間で移動するのを許容する。
【0203】
分離した(個別の)要素またはセグメント1162
【0204】
図62および
図63を参照して、および1つの例示的な実施形態において、複数の要素またはセグメント1162のそれぞれは、円弧形状の本体1260の円弧の長さに沿って略C形状の連続した(途切れのない)断面の領域1262を有する弾力のある(弾性的な)円弧状の本体1260を有する。
【0205】
円弧状の本体1260は、上側の円弧状セクタ1264、中間セクタ1266、および外側の基部面1278を有する下側の基部セクタ1268を有してなる。上側の円弧状セクタ1264は、内側の円弧状端を有する上部平坦環状面1270を有し、この環状面1270は本体1260の後側傾斜面1272内に移行し、また下方に丸みを帯びた周辺の円弧状の端セクタ1274(
図63)内に移行する外側の前側円弧状端を有し、この端セクタ1274は次に、溝1280を形成する本体1260の切り欠き面1276内に移行する。
図62に示したように、本体1260の切欠き面1276(
図63)、および従って溝1280(
図62)は、円周が連続していないが拡張を可能にするための隙間1174を含むスプリングリテーナ1172(
図61)を受容するために、略C形状または横向きU形状の形態のような形状を有している。
【0206】
さらに、複数の要素またはセグメント1162のそれぞれは、基部面1278の内端と本体1260の後側傾斜面1272の底端との間に延びる内側円弧状基部面1282を備える。よって、分離した要素またはセグメントの継手システム1160において、複数の分割された要素1162の内側円弧状基部面1282は、分割された継手システム1160を通って延びる中央の環状基部開口を画定し、分離した要素またはセグメントの継手システム1160の複数の要素またはセグメント1162の後側傾斜面1272によって画定された分離した要素またはセグメントの継手システム1160を通って延びる中央の円錐形の開口部によって覆われる。
【0207】
環状ウェッジまたはスクイズリング1200
【0208】
図64および
図65を参照して、環状ウェッジまたはスクイズリング1200は、
図65に示すように円周方向に連続した略くさび形の断面1204を有する弾性のある(弾性的な)くさび形の環状本体1202を備える。弾性のあるくさび形の環状本体1202は、環状本体1202を通って延びる中央環状開口1208画定する中央内側環状面1206を備える。本体1202はさらに、中央の内側環状面1206から囲繞外端面1212まで半径方向外方に延びる頂部平面円形面1210を備える。半径方向外方に近位側に傾斜した側面1214は、底部環状端1216から環状の周辺リップ1218の下側まで延びており、この周辺リップは半径方向外方に延びて囲繞外端面1212で終端する。
【0209】
くさび形の環状本体1202の中央環状開口1208は、シャンク部材1102の通過を可能にするように寸法決めされており、これにより、環状ウェッジスクイズリング1200の半径方向外方に近位側に傾斜した側面1214の着座・当接が可能になり、分離した要素またはセグメントの継手システム1160の複数の分離した要素またはセグメン1162がピペットチップカプラ1100のピペットチップカプラ本体1120の上側端面1122上に支持される。
【0210】
ピペットチップカプラ1100が遠位の取付フランジ36内に取り付けられた状態では、環状ウェッジまたはスクイズリング1200の頂部平面円形面1210は、スクイズスリーブ46の遠位の端50に隣接する。したがって、スクイズモータ52(
図1)を第1の方向に作動することでスクイズスリーブ46が遠位または垂直下方の方向に直線的な軸方向並進をし、LLD回路リング端366を介して環状ウェッジリング1200の上面1210上に軸方向に力が加えられ、傾斜した側面1214が複数の分離した要素またはセグメント1162に押し付けられてこれを押し、それらが半径方向外方にチップ220の溝246内に押し込まれ、
図64および
図65に示したように面244(
図16)と接触するようになる。スクイズモータ52(
図1)を第2の方向、つまり遠位または垂直下方の方向とは逆に、続いて作動することで、スクイズスリーブ46の遠位の端50がホーム位置に戻り、環状ウェッジリング1200の上面1210に加えられた力が解放される。
【0211】
分離した(個別の)要素/セグメントの継手システムの特長
【0212】
1つの観点において、分離した要素またはセグメントの継手システム1160は、これに限定されないが、金属または硬質プラスチックのような硬質で耐久性のある材料から形成された構成要素を含み、システム寿命が改善される。分離した要素またはセグメントがプラスチック製のチップよりもはるかに硬いため、Oリングのような軟質のエラストマー材料よりも効率良くチップの溝に入り込むからである。
【0213】
他の観点において、分離した要素またはセグメントの継手システム1160は、チップと停止ディスクとの間に硬い(頑丈な)継手ない接合部を提供する。
【0214】
他の観点において、分離した要素またはセグメントの継手システム1160は、チップを引き上げ、効率的にシートに着座させる。
【0215】
他の観点において、分離した要素またはセグメントの継手システム1160は、自由空気中でチップを排出することに影響されない。Oリングは、チップが自由空気中で排出されるときに悪影響を受ける。ばね付勢された排出スリーブによってチップが押し離される際にOリングがチップ内の溝によって擦られて摩耗するからである。分離した要素またはセグメントの硬度は、刻みや摩耗カッフィングなどの有害な作用に耐えることができる。
【0216】
他の観点において、分離した要素またはセグメントの材料は、液体レベル検出や他の用途のために、チップに電気回路を提供するために、導電性材料から容易に作製できる。
【0217】
他の観点において、分離した要素またはセグメントの継手システム1160は、機械的に効率的な設計であるため、小さい(低い)スクイズ/軸方向力で作動させることができる。スクイズ/軸方向における必要な力が小さい程、軸方向の力を提供する関連部品の寿命が向上する。このように必要なスクイズ/軸方向力がより小さい結果として、この継手システム1160は、エラストマー材料がそれほど圧縮されないので、下側または遠位のシールの寿命を改善することができる。
【0218】
他の観点において、継手システム1160は、交換が必要な場合に、下側または遠位のシールに容易にアクセスできる。また、下側または遠位のシールは、導電性である必要がないため、より多様な材料から作製できる。
【0219】
他の観点において、寿命が向上し且つ下側または遠位のシールへのアクセスが容易であるため、メンテナンス費用を低くできる。
【0220】
他の観点において、着座性が改善されるので、ピペット装置20へのチップの整列(位置合わせ)が改善(向上)する。
【0221】
ピペットチップカプラ1100によるピペットチップのピックアッププロセス
【0222】
図65から
図72はピペットチップのピックアッププロセスの連続するステージ(段階)の例示的な実施形態の詳細を示しており、特に、ピペット装置20によって動作可能に支持されたピペットチップカプラ100へのピペットチップ220の固定取り付けをする方法を示している。上述したように、一実施形態例では、ピペットチップ220は支持面282(
図15)によって支持されてもよい。
【0223】
図65に示したように、ピペットチップカプラ1100はピペット装置20に接続ないし連結されており、コマンド(命令、指令)に応じて、ピペットチップカプラ1100は、ピペットチップ220の開口した近位の端232の上に配置され、それらの中央長手軸のそれぞれZ軸に沿って整列される。排出スリーブ62はイジェクト位置(排出位置)にあり、スクイズスリーブ46は非スクイズ位置にあり、分離した要素またはセグメントの継手システム1160は弛緩状態にあり、および遠位のエラストマー要素1180は非スクイズ状態にある。
【0224】
次に、
図66はピペットチップカプラ1100がZ軸に沿ってピペットチップ220内に下降する状態を示しており、ピペットチップカプラ1100の遠位のエラストマー支持部分がピペットチップ220の内側の筒状の近位または上側の端部内に下げられ、遠位のOリング1180がチップの環状シーリングシートまたは停止面270に接触し、一方、ピペットチップ220の近位または上方を向いた環状肩部シートまたは停止面260と停止ディスク1130の遠位または下方を向いた軸方向停止肩面1134とが係合ないし接合する前は複数の分離した要素またはセグメント116が非拡張状態または非スクイズ状態に維持され、この結果、、ピペットチップ220の環状肩部シートまたは停止面260と停止ディスク1130の軸方向停止肩面1134との間に隙間(ギャップ)298が維持される。
【0225】
次に、
図67は、ピペットチップカプラ1100およびスクイズスリーブ46の両方が、スクイズスリーブ46が環状ウェッジリング1200を複数の分離した要素またはセグメント1162に対して押し込みながらZ軸に沿って下降する状態を示したもので、チップ220を引き上げるプロセスが開始され、および複数の分離した要素またはセグメント1162を半径方向外側に押して溝246に押し込むプロセスが開始される。具体的には、この押し込みプロセスの開始は、最初に、複数の分離した要素またはセグメント1162のそれぞれの下方に丸みを帯びた周辺円弧状の端セクタ1274を、
図68に示したように溝246を画定する軸方向に円弧状の円周方向内面244の上側の軸方向に円弧状の周面セクタ部250と当接させて配置する。
【0226】
図67から
図69を参照して、複数の分離した要素またはセグメント1162が溝246内に延在または突出して上側の軸方向に円弧状の円周面セクタ部250に当接することで、軸方向上向きの力が発生し、この力はピペットチップ220を引き上げて、ピペットチップ220の環状肩部シート面260を停止ディスク1130の軸方向停止肩面1134に着座させるプロセスを開始され、隙間298を閉鎖し、遠位のOリング1180をチップ220のシーリングシートまたは停止面270で圧縮して、遠位のOリング1180を弾性位置エネルギー記憶(貯蔵)状態に付勢するプロセスを開始し、この弾性位置エネルギーは、チップ220の排出プロセスの間にOリング1180からチップ220のシーリングシート(密封座面)または停止面270への力として放出される。
【0227】
図70は、スクイズスリーブ46が、それが所定の位置にロックされるまでZ軸に沿って予め校正または設定された長さだけ下方に移動することで、環状ウェッジまたはスクイズリング1200がスクイズスリーブ46によって停止され所定位置にロックされたことを示している。その結果、複数の分離した要素またはセグメント1162は、円周方向に所望の値まで半径方向に拡張され(
図71)、ピペットチップカプラ1100の軸方向停止肩面1134がピペットチップ220の環状肩部シート面260(
図16)に完全に着座し、2つの表面1134、260がZ軸に実質的に垂直なX軸に沿って着座した状態となり、遠位のOリング1180をチップ220の環状シーリングシートまたは停止面270(
図72)に着座させるために遠位のOリング1180が所望の値に圧縮されている間にこれら2つの軸の間に垂直なデータムが形成され、遠位のOリング1180を弾性位置エネルギー記憶(貯蔵)状態に付勢するプロセスが終了し、この弾性位置エネルギーは、チップ220の排出プロセスの間にOリング1180からチップ220のシーリングシートまたは停止面270への力として放出される。
【0228】
固定取り付けプロセスが完了すると、分離した要素またはセグメントの継手システム1160および遠位のエラストマー要素1180は、流体密封シールを提供するセグメントおよびシール継手を生成するように共同して機能し、複数の分離した要素またはセグメント1162は周方向溝246内に少なくとも一部が受容され、また少なくとも一部が周方向溝246を規定する周方向円弧状内面244上に着座し、遠位のエラストマー要素1180はピペットチップ220の半径方向内方に傾斜し且つ遠位側に延びる面270を弾性位置エネルギーの記憶(貯蔵)状態でシール(密封)する。
【0230】
ピペットチップ220をピペット装置20によって動作可能に支持されたピペットチップカプラ1100から排出することは、逆である以外は、取り付けまたはチップピックアップ固定プロセスシーケンスと同様であり、ピペットチップカプラ100からピペットチップ220を排出するための上述したプロセスに従う。また、上述したように、遠位のエラストマー要素1180を圧縮解除する動作は、圧縮された遠位のエラストマー要素1180の解放された弾性位置エネルギーから力を提供して、排出プロセス中にチップ220を取り外するのを補助する力を提供する。
【0232】
図73はピペットチップカプラ1100の複数の分離した要素またはセグメント1162に関連したベクトル図を示したもので、複数の分離した要素またはセグメント1162がチップ溝の上側角に接触した状態で溝246内に初めは(初期状態では)延びており、これによりピペットチップ220を上方に引っ張る軸方向上方の力が発生する。
図73に示したように、各分割された要素の力(Fsegment_resultant)は、軸方向力(Fsegment_axial)成分と半径方向力(Fsegment_radial)成分の2つの成分からなる。
【0233】
複数の分離した要素またはセグメント1162がセグメント半径範囲(
図74の寸法Z)の中心の上方のチップ溝の上側角に接触している限り、Fsegment_axialは、チップを停止ディスクの方に引っ張るように機能すると共にセグメント半径範囲の中心と溝の角との距離が増加するにつれて増大する。従って、チップのピックアッププロセスの開始時にはセグメントの軸方向力(Fsegment_axial)は
図74に詳しく示したように小さく始まり、また
図75に示したようにチッププロセスの終わりにはその最大値まで増大する。
【0234】
図74を参照して、Z/Rの比はSIN(ω)に等しく、またSIN(ω)は(Fsegement_axial)/(Fsegment_resultant)に等しい。この結果、(Fsegment_axial)は(Fsegment_resultant)にZ/Rの比を掛けたものに等しい。これから、結果として(Fsegment_axial)はZが増加するにつれて増大する。
【0235】
図75を参照して、セグメントの軸方向力(Fsegment_axial)は停止ディスク1130をチップ220に着座させると共にOリングの軸方向力に打ち勝ち且つOリング1180を圧縮するのに必要な力を提供する。セグメント軸方向力(Fsegment_radial)は、セグメントをチップ溝内にロックするために必要な半径方向力を提供する。
【0236】
Oリング1180は圧縮された結果生じるOリング力(Fdistal_ring_resultant)を有し、この力は、軸方向成分(Fdistal_ring_axial)と半径方向成分(Fdistal_ring_radial)の2つの成分を有してなる。
【0237】
セグメント軸方向力(Fsegment_axial)は、Oリング軸方向力(Fdistal_ring_axial)に打ち勝ち、およびOリング1180を圧縮するための力を提供する。セグメントが溝に入るときにFsegment_axialを増加させる(寸法Zを増加させる)チップ溝に対するセグメントの形状は、Oリングの軸方向力に打ち勝つに役立ち、この結果、Oリングを所望の程度まで完全に圧縮できる。
【0238】
再度、セグメント半径方向力(Fsegment_radial)はセグメントをチップ溝内にロックするのに必要な半径方向力を提供し、またOリング半径方向力成分(Fdistal_ring_radial)はチップに対してシールを維持するのに必要な力を提供する。
【0239】
さらに、O7−リング軸方向力成分(Fdistal_ring_axial)は、排出プロセスの間においてチップ220を取り外すのを助ける力を提供する。
【0240】
位置合わせ(アライメント)/位置ずれ(ミスアライメント)
【0241】
カプラ100と同様に、カプラー1100のカプラ本体部材1120の軸方向肩面1134の水平面と、チップ220の軸方向肩部シート260の水平面は、正しいチップの位置合わせのために、平行で隣接する関係に維持される。
【0243】
また、適切な使用および操作のために、カプラ1100とチップ220との間の寸法は、カプラ100について上述したように、結果的に関連している。
【0245】
図32および
図70を参照して、ピペット装置アセンブリ10は、上述したカプラ100と同様の態様でピペットチップカプラ1100と共に使用され、移送される液体の面または液体がその上に移送されまたはそれから移送される面を検出する能力を有する液体レベル検出回路アセンブリをさらに備える。
【0246】
図70に示したように、LLD回路基板360(
図32)の処理回路362とスクイズリング1200との間の電気的接触を行うためにLLD回路接点364のリング端366は、スクイズスリーブ46とスクイズリング1200との間に捕捉され挟まれ、このスクイズリング1200は導電性材料から作られ、同様に導電性で非柔軟な材料で作られた複数の半径方向外方に突出したセグメント1162との電気的接触を形成する。従って、チップが取り付けられ且つ複数の半径方向外方に突出するセグメント1162がチップ220のチップ溝246(
図71)内に押し込みまたは押されてロックされた状態では、複数の半径方向外方に突出したセグメント1162は同様に導電性材料で作られたチップ220と電気的に接触する。この結果、および
図32を参照して、LLD回路基板360の処理回路362とチップ220との間の回路が完成する。
【0247】
また、停止ディスク取付ポストまたは遠位の取付フランジ36は非導電性材料で作られている。したがって、シャンク部材1102、本体部材1120、および複数の半径方向外方に突出するセグメント1162はアセンブリの残りの部分から絶縁される。
【0248】
さらに、チップ220が液体に接触するとLLD回路基板360の処理回路362が信号変化を検出し、これにより、移送された液体の面または液体がその上に移送されるかその上から液体が移送される面を検出する能力を有する。つまり、カプラ1100がチップ220に取り付けられ、および複数の半径方向外方に突出した複数のセグメント1162が半径方向に円周方向に押し込まれチップ220のチップ溝にロックされると作動が生じる。
【0250】
別の実施形態において、
図76は、ピペットチップ220の中央長手軸に対して実質的に90度の角度を有する代替のシーリングシート面(密封座面)2270を有する、使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図を示す。
【0251】
図77は、使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態を示しており、これは、例えばピペットチップカプラデバイス100と嵌合するために位置合わせされた、代替のシーリングシート面2270を備える。
【0252】
図78は、代替のシーリングシート面2270を備えた使い捨てピペットチップ220内に配置されたピペットチップカプラ装置100を示したもので、代替のシーリングシート面2270を備えたチップ220は最終的な着座状態まで持ち上げられると共に環状ウェッジ210最終的な結合状態を画定するためにその最終位置に移動され、遠位のエラストマー要素160は、実質的に90度である別のシール座面角度を有する代替のシーリングシート面2270に対して最終的に圧縮され着座した密封状態にある。
【0253】
図79は、実質的に90度の別のシール座面角度を有する代替のシーリングシート面2270に対して最終的な圧縮状態にある遠位のエラストマー要素160の詳細図を示す。
【0254】
別の実施形態において、
図80は使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の上側内部の部分的な縦断面の側面図であり、この使い捨てピペットチップは
図81に詳細に示された円周状で半径方向に凹状のシーリングシート面3270の形態の別の代替的なシーリングシート面を備えている。
【0255】
別の実施形態において、
図82は使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図を示したもので、
図83に詳細に示された円周状で半径方向に凸面をなすシーリングシート面4270の形態の別のシーリングシート面の別の詳細を示している。
【0256】
別の実施形態において、
図84は使い捨てピペットチップの例示的な実施形態の部分的な縦断面の側面図を示したもので、
図85にさらに詳細に示されている円周上方を向いた歯端シーリングシート面5270の形態のさらに別のシーリングシート面を示している。
【0257】
図86は使い捨てピペットチップ220の例示的な実施形態の上に配置されたピペットチップカプラ装置100を示したもので、使い捨てピペットチップ220のV字形の周方向内面2244によって画定された別のV字形の溝2246を備え、このV字形の溝は長手方向のZ軸に向かって開口し図示したV字形の断面を有する。
【0258】
図87は、代替のV字形の溝2246(
図86)を含む使い捨てピペットチップ220内に配置されるピペットチップカプラ装置100を示したもので、代替のV字形溝2246を備えたチップ220はその最終状態まで持ち上げられ、複数の球状ボール200の丸い面はV字形の溝2246内に延在し、V字形の円周方向の内面2244に当接しており、遠位のエラストマー要素160はチップのシーリングシート面270に対して圧縮されて着座した最終状態にある。
【0259】
図88は、複数のセグメントまたはボール200の1つの丸い面がV字形の溝2246(
図86)内に延在し、V字形の円周内面2244に当接している状態の詳細を示す。
【0260】
図89から
図99は、
図16に示された円周環状チップ溝246のさらに異なる代替の例示的実施形態を詳述する断片的な縦断面の側面図を示す。
【0261】
特に、
図89から
図99は、それぞれの溝構成3001、3002、3003、3004、3005、3006、3007、3008、3009、3010、および3011を示す。さらに、カプラのセグメントは、各溝構成3001から3011の各異なる代替の例示的な実施形態に相補的な半径方向外方に延びる面を備えてもよい。
【0262】
さらに、代替シーリングシート形状270(
図16)、2270(
図76)、3270(
図80)、4270(
図82)、および5470(
図84)は、
図89から
図99にそれぞれ示されている円周環状のチップ溝形状3001、3002、3003、3004、3005、3006、3007、3008、3009、3100または3011、および
図86に示す環状チップ溝形状2246を備えても良い。さらに、エラストマー要素は、Oリング形状とは異なる形状を有してもよく、これに限定されないが、チップのシールシートと相補的な形状であってもよい。
【0263】
別の例示的な実施形態において、
図100は使い捨てピペットチップ1220の内部を詳細に示したもので、中断された内側部242には中断がなく、それによって使い捨てピペットチップ1220の中断のない内面セクション1242が画定される点を除いて、すべての部分が使い捨てピペットチップ220に類似している。
【0264】
別の実施形態において、使い捨てピペットチップ1220は、代替シーリングシート形状270(
図16)、2270(
図76)、3270(
図80)、4270(
図82)、5270(
図84)の1つを採用することができる。
【0265】
図101は、中断のない内面セクション1242を含む使い捨てピペットチップ1220の例示的な実施形態の上に配置されたピペットチップカプラ装置100を示す。
【0266】
図102は使い捨てピペットチップ1220内に配置されたピペットチップカプラ装置100を示したもので、カプラ装置100の停止肩面134が使い捨てピペットチップ1220の軸方向停止面260に当接し、複数の球状ボール200の丸い表面が使い捨てピペットチップ1220の囲繞側壁の内面1242(
図103)に向かって延出しており、その結果、使い捨てピペットチップ1220の内面1242(
図103)に隣接する部分で変形1244が生じ、使い捨てピペットチップ1220の第2の例示的な実施形態のシーリングシート面270に対して遠位のエラストマー要素160が最終的に圧縮されて着座した密封状態になっている。
【0267】
したがって、第1の作業面は、これに限定されないが、それぞれ溝構成または
図100から
図103に示された中断のない構成の形態であり、第1の実質的に筒状の内面セクション242は中断がなく、このため使い捨てピペットチップ1220の中断のない内面セクション1242が画定される。
【0268】
軸方向上方に突出するリブ5020を備えた肩部シート面
【0269】
別の例示的な実施形態において、
図104と
図105は、使い捨てピペットチップ5000の上側内部を詳細に示している。この使い捨てピペットチップ5000は、代替え的な内側の軸方向上方を向いた肩部シート面を除く全ての部分で使い捨てピペットチップ220(
図16)に類似しており、上記肩部シート面は、連続した切れ目のない囲繞断面を有する軸方向上方に延びる囲繞リブ5020の周りに同軸に配置された軸方向上方を向いた環状溝5010を有する。
【0270】
図104および
図105に示したように、第1の実質的に筒状の内面セクション242は、第1の実質的に筒状の内面セクション142の第1の直径より小さい第2の直径を有する第2の実質的に筒状の内面セクション262によって軸方向に遠位側に進められ、近位側を向いた、軸方向上方に延びる囲繞リブ5020の周りに同軸に配置された軸方向上方を向いた環状溝5010を備えた半径方向内方に延びる環状肩部5002を形成する。
【0271】
一実施形態において、
図106に示すように、軸方向上方に延びる囲繞リブ5020は、傾斜リブ側面5024および5028に移行する最上部のリブシート面またはリブ頂点5022を備える。傾斜リブ側面5024は、第2の実質的に筒状の内面セクション262に終端する環状凸面5026内に移行する。囲繞リブ5020の外側半径方向側部において、傾斜側面5028は、溝5010を画定する溝面5008の側壁面を形成する。溝面5008は、側面5028と傾斜側面5006との間を移行する下面5004をさらに備え、この傾斜側面5006は第1の実質的に筒状の内面セクション242内に移行する。
【0272】
1つの実施形態において、および
図104から
図106を参照して、リブ頂点5022を含む軸方向上方に延びる囲繞リブ5020は、例えば、近位側を向いた半径方向内方に延びる環状肩部の上側面から材料を除去して溝5010を作ることで形成でき、または近位側を向いた半径方向内方に延びる環状の肩部の上側面を溝5010を形成する材料がないように成形することで形成できる。
【0273】
図107および
図108を参照して、使い捨てピペットチップ5000は、連結装置700のような上述したピペットチップカプラ装置の1つと共に使用することができ、この連結装置700は、リブ頂点5022を形成することで半径方向内方に延びる環状肩部5002の近位側に面する表面積を減少させており、これによりチップ5000とリブ頂点5022上の連結装置700の停止肩面750との間の圧力が増加する。
【0274】
図26,
図107および
図108を参照して、溝250と係合するボール742によって生ずる軸方向の力(Fball_axial)は、リブ頂点5022を押し、これによりチップ5000と面750との間にシールが生成される。圧力(P)は力(F)を面積(A)で割ったものに等しいので、リブ頂点5022を設けることでチップシート肩部の表面積が減少し、この結果、圧力が増加する(P=F/A)。このチップ5000と面750との間の増加した圧力はシールを提供する。したがって、使い捨てピペットチップ5000は、あらゆる使用のための新しいシールを提供する。別の実施形態では、リブ5020によって例示された構成を提供するために、囲繞リブ5020は、シーラントビーズ、エラストマー製ワッシャ、Oリング、または他の材料によって提供されてもよい。
【0275】
内部シール(内部密封型)ピペットチップアセンブリ6010
【0276】
別の例示的な実施形態において、
図109は、内部シールピペットチップ6020および内部シール(密封材)6030を備えた内部シールピペットチップアセンブリ6010の例示的な実施形態を示す。
【0277】
図109および
図110を参照して、ピペットチップ6020は、代替えの内部の軸方向上方を向いた肩部シート面を除く全ての部分で使い捨てピペットチップ220(
図16)と類似している。この肩部シート面は、最上部のリブシート面またはリブ頂点6052を有する軸方向上方に延びる囲繞リブ6050の周りに同軸に配置された、軸方向上向きの環状溝6040を有する。
【0278】
図111に詳細に示したように、軸方向上方に延びる囲繞リブ6050は最上のリブシート面またはリブ頂点6052を備え、このリブ頂点6052はその半径方向内側の環状凸面6054に移行し、およびリブ頂点6052の半径方向外側の階段側面6056に移行する。凸面6054は第2の実質的に筒状の内面セクション262に移行し、また階段側面6056は溝6040を画定する溝面6058の側壁面を形成する。溝面6058は、側面6056と軸方向上方に延びる側面6062との間で移行する下面6060をさらに備え、この側面6062は第1の実質的に筒状の内面セクション242に移行する。
【0279】
図112に示したように、内部シール6030は、溝面6058により画定される軸方向上向きの環状溝6040(
図111)内に圧縮のために配置されるように構成される。また、および
図113に例示したように、内部シール6030は、非圧縮状態において軸方向上方に延びる囲繞セクタ部6032を含むようにさらに構成され、この囲繞セクタ部6032は軸方向上方に延びる囲繞リブ6050の囲繞リブ頂点6052の軸方向高さよりも大きい軸方向高さを有する。
【0280】
内部シールピペットチップアセンブリ6010は、
図114および
図115に示された連結装置700のような、上述したピペットチップカプラ装置のいずれかと共に使用することができ、ピペットチップカプラ装置700は内部シールピペットチップアセンブリ6010(
図109)内に配置され且つ動作可能に結合される。ピペットチップカプラ装置700が
図114および
図115に示すように内部シールピペットチップアセンブリ6010に動作可能に結合されている状態では、ピペットチップカプラ装置700の第3の例示的な実施形態の遠位側を向いた軸方向停止肩面750は、軸方向上方に面する環状溝6040内に配置された内部シール6030を、遠位側を向いた軸方向停止肩面750と軸方向上方に延びる囲繞リブ6050(
図111)のリブ頂点6052との間で接触が生じる程度まで、圧縮する。チップアセンブリ6010と連結装置700とが動作可能に連結されると、内部シール6030はチップ6020と連結装置700との間にシールを提供する。
【0281】
したがって、内部シールピペットチップアセンブリ6010は、使用の度に新しい内部シール6030を提供する。さらに、内部シール6030は、第2のシール機能を提供し、一実施形態では、遠位側シール718の置換(代替えの)シールを提供する。一実施形態では、内部シール6030は、チップ6020の成形作業の際に所定の位置に成形されてもよい。他の例示的な実施形態では、内部シール6030は、Oリング、エラストマー製ワッシャ、シーラント薄層、シーラントビーズ、接着剤、または他のシーラント材料または機構などの他のシーリング機構を備えていてもよい。
【0283】
上記および他の態様を考慮に入れて、少なくとも1つのピペットチップをピペット装置によって保持された少なくとも1つのピペットチップカプラに固定取付けする方法の例示的な実施形態が提供される。この方法は次のステップを有してなる。
(1)ピペットチップカプラを用意するステップであって、ピペットチップカプラは、複数の周方向に配置されたセグメントを支持する上側本体部と、エラストマーシーリング要素(エラストマー製の密封要素)を支持する下側ステム部と、複数の周方向に配置されたセグメントとエラストマーシーリング要素との間に軸方向に配置された軸方向下向きの軸方向停止面とを備え、ピペットチップカプラは、ピペットチップカプラの長手中央軸に沿って延びる中央チャネルを画定する内側囲繞側壁をさらに有してなる、ステップ、
(2) ピペットチップを用意するステップであって、ピペットチップは、分注(ピペッティング)される媒体内に浸漬するための開口した遠位端と開口した遠位端の軸方向反対側の開口した近位端との間に延びる通路開口を画定する内側囲繞面を有する側壁を有してなる、ステップ、
(3) 下側ステム部に通じるピペットチップの開口近位端を通ってピペットチップカプラを並進させるステップ、
(4) 複数の周方向に配置されたセグメントを半径方向に後退した状態と半径方向に並進された状態との間で円周方向に移動させるステップであって、複数の周方向に配置されたセグメントの外側部分をピペットチップの上方を向いた軸方向停止部の軸方向上方の位置でピペットチップの側壁の内側囲繞面の第1の内側作用面と当接させ、ピペットチップを持ち上げてピペットチップの上方を向いた軸方向停止肩面をピペットチップカプラの上側本体部の遠位側を向いた軸方向停止肩面と当接させ、同時に、ピペットチップの上方を向いた軸方向停止肩面の軸方向下方の位置でエラストマー要素をピペットチップの側壁の内側囲繞面の第2の内側作用面で圧縮させる、ステップ。
【0285】
上記のシステム、アセンブリ、装置、および使用および動作を含む方法の記述は、本発明の実施形態の産業上の利用可能性を例証したものである。
【0286】
上記のような開示内容を考慮して、上述しおよび請求の範囲に記載されている本発明の実施形態の範囲および公正な趣旨から逸脱することなく、さらに多くの構造上の修正および改造ができることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲は、本発明の実施形態の上記の説明に限定されるべきではない。また、添付の特許請求の範囲において単数形の要素への言及は明示的に記載されない限り、「1つのみ」を意味するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものとする。さらに、装置または方法が、本開示によって解決されるべき各問題に対処する必要はなく、それは本請求項によって包含されるためである。