特許第6916229号(P6916229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916229
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】下大静脈フィルターおよび回収システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/50 20060101AFI20210729BHJP
   A61F 2/01 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   A61B17/50
   A61F2/01
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-33899(P2019-33899)
(22)【出願日】2019年2月27日
(62)【分割の表示】特願2016-519686(P2016-519686)の分割
【原出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-115678(P2019-115678A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年2月27日
(31)【優先権主張番号】61/835,295
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515345089
【氏名又は名称】アバンテック バスキュラー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フランク ピー. ベッキング
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン エー. ステッコ
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/009675(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0247572(US,A1)
【文献】 特表2002−538928(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0112374(US,A1)
【文献】 米国特許第6485501(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0137846(US,A1)
【文献】 特表2007−521927(JP,A)
【文献】 特表2008−529722(JP,A)
【文献】 特表2009−519049(JP,A)
【文献】 特表2012−525888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/50
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管医療デバイス送達または回収のための器具であって、前記器具は、
細長いスリーブと、
前記スリーブ内に受け取られる細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、編組を備え、漏斗のように構成される可撓遠位延長部を有する、細長いシャフトと
を備え、
前記可撓遠位延長部は、遠位開口部と、近位開口部を伴うフラップとを有し、前記遠位開口部における前記編組の折り目は、前記フラップを形成し、前記フラップおよび前記近位開口部は、前記可撓遠位延長部の内部にあり、前記遠位開口部は、前記近位開口部より大きく、
前記近位開口部は、前記血管医療デバイスの拡大端部を受け取り、かつ前記近位開口部に前記血管医療デバイスの前記拡大端部を通すようにサイズ決めされ、
前記器具は、前記スリーブが前記可撓遠位延長部上を進行させられるときに前記血管医療デバイスの前記拡大端部が前記可撓遠位延長部内のポケット中に固定可能であるように適応させられており、
前記ポケットは、前記編組の壁と前記編組の内側屈曲部の編組端部との間に形成される、器具。
【請求項2】
前記編組は、ヒートセットされたニチノール編組である、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記細長いシャフトは、前記ヒートセットされたニチノール編組を含む、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記スリーブは、カテーテルを備える、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記可撓遠位延長部は、角度方向において選択可能である、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記可撓遠位延長部は、外部円錐形状を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記編組は、2つの編組層を備え、各層は、前記フラップを形成するように前記折り目において折り返される、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記フラップは、2層の編組を備える、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記フラップの内側リムは、前記近位開口部を形成する、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記折り目は、遠位折り目であり、前記内側リムは、前記編組の近位折り目である、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記編組は、72〜192の間の端部総数である、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
請求項1に記載の器具を備える下大静脈フィルター回収システムであって、前記血管医療デバイスは、下大静脈フィルターである、システム。
【請求項13】
前記血管医療デバイスをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本明細書に説明されている実施形態は、血管内の(経皮的に送達される)下大静脈(IVC)フィルターデバイスおよび方法に関連し、具体的には、一時的IVCフィルターについてである。
【背景技術】
【0002】
(背景)
一時的IVCフィルターは、永久フィルターに酷似して留置されるが、一時的IVCフィルターは、別個の血管内手術において、概して大腿静脈または内頸静脈付近から回収され得るように設計される。現在利用可能な一時的フィルターの多くは、フック状機構を含み、そのフック状機構によって、一時的フィルターは、S字スネアまたは複数ループスネアを用いることによって除去用のカテーテルまたはシース内に捕捉されて回収されることが可能である。
【0003】
原則的には、回収は、簡単な手術であるが、スネアループ(単数または複数)を用いてフィルターのフックを捕捉することが困難な場合がある。フィルターが所定の場所で傾いているかまたは不調であるときにそのような困難さは悪化する。いくつかのフィルターは、そのような向きを避けるように設計されている。しかしながら、この問題は、デバイスが安定した形式でIVC内に定着させられないので、共通のままである。血餅に加えて一定の血流により、IVC内のフィルターの向きを混乱させ、再捕捉を困難にする可能性がある。
【0004】
したがって、使い易さを改善しかつ/またはフィルターの向きの問題に影響されにくいフィルター回収システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本明細書の実施形態は、この必要性と、他の医療デバイス用途に適用されるようなその他のものとを満たす。IVCフィルターに対して、当該システムは、(既存のまたは他の態様の)多種多様なフィルターアーキテクチャとともに使用され得る。したがって、新しいフィルターは、設計の制約および/または妥協がフィルター設計に対してほとんど要求されないことがある当該回収器との使用のために設計され得る。当該システムの機構は、米国特許第3,952,747号;米国特許第5601595号;米国特許第6,443,972号;米国特許第7,338,512号および米国特許第7,625,390号のうちのいずれかに説明されている既存のおよび/または改変されたバージョンのフィルターと、OPTEASE、GUNTHER TULIP、CELECTおよびOPTIONまたはその他を含む商業的に利用可能なデバイスとに関連して使用され得る(これらの特許出願のうちの全てが、任意の目的で、参照により、それらの全体が本明細書に援用される)。
【0006】
当該送達および/または回収デバイス、(アセンブリの有無にかかわらず)当該送達および/または回収デバイスが含まれるキット、(体内または体外の組成品のアセンブリを含む)使用方法および製造方法は、全て本開示の範囲内に含まれる。同じもののいくつかの側面が上述され、より詳細な考察が、以下に図面に関連して提示される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
血管医療デバイス送達または回収のための器具であって、該器具は、
細長いスリーブと、
該スリーブ内に受け取られる細長いシャフトであって、該シャフトは、可撓遠位延長部を有し、該延長部は、遠位開口部において内方向に折り返され、かつより近位の開口部を形成している、シャフトと
を備え、
該近位の開口部は、該医療デバイスの拡大端部を受け取り、そこに通すようにサイズ決めされ、
該器具は、該スリーブが該遠位延長部上を進行させられるときに該医療デバイスの該拡大端部が該遠位延長部内のポケットに固定されるように適応させられている、器具。
(項目2)
前記遠位延長部は、72〜192の間の端部総数を有する、ヒートセットされたニチノール編組を備えている、項目1に記載の器具。
(項目3)
前記シャフトは、前記ニチノール編組を備えている、項目2に記載の器具。
(項目4)
前記スリーブは、カテーテルを備えている、項目1に記載の器具。
(項目5)
前記遠位延長部は、角度方向において選択可能である、項目1に記載の器具。
(項目6)
前記拡大端部は、バンドおよびフックから選択可能である、項目1に記載の器具。
(項目7)
前記遠位延長部は、外部円錐形状を有する、項目1に記載の器具。
(項目8)
項目1に記載の器具を備えている下大静脈フィルターシステムであって、前記医療デバイスは、下大静脈フィルターである、下大静脈フィルターシステム。
(項目9)
項目1〜8のうちのいずれか1項に記載の器具を用いる医療デバイスの送達または回収の方法。
(項目10)
下大静脈フィルターの回収のために実用される、項目9に記載の方法。
(項目11)
医療デバイスを作る方法であって、該方法は、
第1の折り目を有する管状編組の区域を形成することと、
該第1の折り目に隣接する第2の折り目を有する該編組を形成することと
を含み、
内部フラップが該第1の折り目と該第2の折り目との間に形成されている、方法。
(項目12)
前記第1の折り目が形成された後に前記編組をヒートセットすることをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記第2の折り目が形成された後に前記編組をヒートセットすることをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記編組は、前記折り目を形成するときに略円柱形状で構成されている、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記略円柱形状で前記編組をヒートセットすることをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記編組を略円錐形状へ拡張させることをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目17)
コーンの角度に対して相対的により平坦な角度で前記フラップを保持することをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記略円錐形状で前記編組をヒートセットすることをさらに含む、項目16または項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第1の折り目および第2の折り目は、圧縮状態で形成される、項目11に記載の方法。
(項目20)
前記第1の折り目に隣接してバンドを挿入することと、
前記編組を有する前記バンドをソケット内へ挿入することと、
該ソケットの縁部に前記第2の折り目を形成することと
をさらに含む、項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面は、図式的に、独創的な実施形態を示している。図面に示されている変化形以外の変化形は、上の要旨のようにより広い意味で説明されているように、包括的に請求されるように、または他の態様で考慮される。
【0008】
図1図1Aおよび図1Bは、当該システムにおいて使用され得るようなIVCフィルターの変化形を示している。
【0009】
図2図2A図2Eは、任意のタイプの移植可能医療デバイスの端部に関連する動作の様々な段階における送達および/または回収システムを示している。
【0010】
図3図3A図3Fは、当該回収システムを構築するための予備成形物の製造におけるステップを詳述している。
【0011】
図4図4Aは、予備成形物を最終的な形状のデバイスに転化するための第1の工具アプローチを示しており;図4Bは、使用中のそのようなデバイスを示している。
【0012】
図5図5Aは、予備成形物を最終的な形状のデバイスに転化するための第2の工具アプローチを示しており;図5Bは、使用中のそのようなデバイスを示している。
【0013】
図6図6は、ヒートセット後の転化された予備成形物(すなわち、当該デバイスの最終的な形状の漏斗状区域)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
様々な例示的な実施形態が後述されている。それらの例に対する参照は、非限定的な意味でなされ、その参照が、デバイス、システムおよび方法のより広い適用可能な側面を示すように提供されることに留意されたい。それらの実施形態に対する様々な変化がなされ得、様々な実施形態の真の精神および範囲から逸脱することなく均等物が代用され得る。加えて、物、プロセス、プロセス行為(単数または複数)またはステップ(単数または複数)の特定の状態、材料、組成を本発明の目的(単数または複数)、精神または範囲に適応させるように多くの改変がなされ得る。全てのそのような改変は、本願において作られる特許請求の範囲の範囲内であるように意図される。
【0015】
図1Aは、回収のためのフック12端部インターフェースを有するGUNTHER TULIP(Cook Medical,Inc.)一時的IVCフィルター10を示している。IVCフィルター20について図1Bに示されているように、フックは、端くれタイプのインターフェース22に改変または代用され得る。その端くれ(自身)は、ハブ28からの延長部26上にレーザー成形またははんだ成形されたこぶまたは塊24を備え得る。代替的に、図2A図2Eに示されているように、フィルター回収インターフェース22は、延長部26に(例えば、加締め、溶接、接着によって)装着されるバンド24’(例えば、Ptマーカーバンド)を備え得る。拡大部が生成されているが、その拡大部とシステムのその他の部分との相互作用は、以下の図面に明白である。
【0016】
したがって、図2Aは、当該システム100の概観を提供する。ここでは、編組材料32でできている漏斗状トラップ構造30が示されている。漏斗状トラップ構造30は、細長いシャフト34に可撓遠位延長部を提供する。シャフトは、(商業的に入手可能なカテーテルまたは全長のシステム100のカスタム部品であり得る)細長いスリーブ50内に受け取られ、かつ遠位放射線不透過マーカーバンド52を含み得る。
【0017】
編組は、(好ましくは、体温で超弾性を有する)ニチノール、CoCr、ステンレススチールまたは別の生物的適合性材料を含み得る。これは、有利には、1/1、2/2または他のパターンで72〜192の間のフィラメント「端部」を組み込む編組化された材料である。(超弾性)ニチノールを用いると、ワイヤは、有利には、直径が約0.001〜約0.003インチの間である。この場合、示されかつ説明されている可撓漏斗状トラップアーキテクチャを構築する、柔軟かつ相対的に「平滑な」マトリックス表面が提供される。そのような表面の価値は、非外傷的側面にあり、かつ/または、その表面がオフ角度配向されている場合でさえ、捕捉する位置へのIVCフィルターインタフェースのガイドを促進する能力にある。依然として、編組におけるワイヤの他のサイズおよび/または端部総数あるいは他の構築オプションも可能である。
【0018】
再捕捉をさらに助長するために、漏斗状トラップ構造30は、選択的に方向付け可能であり得る。図2Aにおいて矢印によって指し示されているように、漏斗状トラップ構造30を作る材料は、ヒートセットされるか、または他の態様では、角度方向にバイアスを提供するように構成されることが可能である。展開の角度は、コア部材または閉塞具(示されていない)の相対的な位置によって、あるいはさらに説明されているようなスリーブまたはカテーテルシースによって、選択可能であるかまたは十分に真っ直ぐにされる。さらに示されているように、デバイスを回転することによって更なる位置付けが達成され得る。
【0019】
デバイスの当該漏斗状トラップ部分の角度方向を選択するための他のデバイス関節オプションも可能である。様々な操縦可能または方向付け可能なカテーテルタイプの(引張りワイヤまたは他の態様に応じた)技術のうちのいずれも、そのような目的のためにシャフト34に組み込まれることが可能である。例は、米国特許第4,723,936号、米国特許第4,960,411号、米国特許第6,251,092号および米国特許第8,273,073号に説明されているメカニズムを含み、各出願は、そのような説明のために、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0020】
いずれの場合においても、図2Bは、断面において、編組化された複数糸状デバイスの有利な構築物を示している。ここでは、内側編組層および外側編組層32/32’が、(例えば、かまど、塩釜などにおける)従来の技術を使用して、(より)大きい遠位開口部を有する外側リム部40を形成する編組ワイヤにおける遠位屈曲部36と、(より)小さいより近位の開口部を有する内側リム部42を形成する内側屈曲部38における合流部とを有する漏斗形状で、ヒートセットされている。他の態様で述べると、漏斗形状トラップを構築するために使用される編組は、遠位開口部において(例えば、フラップ46において)折り返され、その結果、より近位の開口部を提供する。
【0021】
この「漏斗状トラップ」は、示されているか他の態様で構成されているように、形状が略円錐台形であり得る。外側円錐形状(すなわち、断面が三角形)を有すると、その構築物は、留置されたフィルターを自由にさせることを必要とし得る任意の必要なまたは所望の組織分別(tissue discretion)に対して高度に支持的である。さらに、そのような形状は、上述されている方向付け可能な機構(単数または複数)に可撓「くびれ」区域48を提供する。依然として、デバイスは、自身の側面に沿って曲げられ得るか、または他の態様で、請求した独創的な側面または変化形から逸脱することなく構成される。
【0022】
重要なことに、遠位リム開口部40は、より近位の開口部42より大きく、それにより、フィルター係合機構(単数または複数)または拡大部24/24’をポケット44内へガイドすることにおいて示されているように機能し、そのポケット44において、フィルター係合機構(単数または複数)または拡大部24/24’は、捕捉され、その後、図2Dおよび図2Eに示されているようにスリーブ50を進行させると係止される。
【0023】
示されているように、そのようなポケット44は、編組32の壁と屈曲部38の端部との間に形成され、屈曲部38は、必要に応じて、端くれ/こぶ24/24’のオプションの肩部38’とともにアバットメント機構として役立つ。捕捉を確実にするために、スリーブ50は、別個のカテーテル内への引き込み前に、図2Eに示されているようにトラップ30を十分におおって進行させられ得る。言い換えると、漏斗状区域30をおおう進行スリーブ50は、「トラップを閉じ」、回収されるべきインプラントを確実に捕捉する。他の態様では、スリーブは、カテーテルであり得、シャフト34の引き込みは、同様にインプラント(左側)がその中に引かれるまで続く。任意または全てのそのような動きは、都合良く提供され得るようなマーカー機構24/24’および52ならびに/あるいはその他により医者によってX線透視で視覚化され得る。
【0024】
特に、システム100は、より典型的なフック端部12を用いてフィルター10を捕捉するときと同一に使用され得る。しかしながら、フックの追加のバルク/側方延長部が、図2A図2Eに示されているものより相対的に大きいスリーブまたはカテーテル50を使用することを必要とし得る。
【0025】
様々なシステムアーキテクチャにおいて、カテーテル/プッシャシャフトおよび/またはスリーブは、簡単な押出器(例えば、PTFE、FEP、PEEK、PIなど)を備え得るか、または従来のカテーテル構築技術を使用して構築させ得、かつ線状編組支持および外側ジャケット(示されていない)、金属ハイポチューブなどを含み得る。さらに、フィルターフレームは、従来のレーザー切断技術および電解研磨技術を使用して構築され得、かつ/または他の態様で構築され得る。組み込まれたシースなしにガイド/送達カテーテルを通して追跡することを意図された実施形態において、装填シースが用いられ得る。有利には、任意のそのような装填シースは、分裂可能である。他の典型的な経皮アクセス器具(例えば、ワイヤなど)、バルブおよび他のハードウェアも本発明の実施形態に関連して用いられ得る。
【0026】
漏斗状トラップ構造30は、サブアセンブリとして作られ、カテーテル/プッシャシャフトに取り付けられ得る。図3A図3Fは、最終的なデバイスの漏斗状トラップ部分を構築するための予備成形の製造におけるオプションのステップを詳述している。
【0027】
図3Aにおいて、上述されている編組の長さまたは区域200が提供されている。そのような編組は、編組が形成されたマンドレルに対する応力下で有意にヒートセットされる。すでに満了した米国特許第6,447,531号によって説明されているように、そのようなアプローチは、デバイスの更なる形状設定において、後のデバイス編成に対する編組の安定性を向上させる。
【0028】
図3B(断面図)において、区域ハイポチューブ300上に2重にされた編組区域が示されている。これは、ハイポチューブを通して編組の内側層204を供給した後、ハイポチューブをおおうように、現編組200の外側層202であるものをめくり返すことによって、成し遂げられ得る。代替的には、内側層は、外側層がハイポチューブ上に設置された後に、ハイポチューブ内へそこを通して供給され得る。いずれの場合においても、編組ワイヤは、ハイポチューブの遠位端部の折り目210において屈曲させられる。次に、編組は、ヒートセットする(例えば、ニチノール編組に対して520℃で5分間)ためにハイポチューブに固定される。編組が、可鍛ワイヤで巻くかまたは巻付けることによって固定され得るか、または外部形態が、ヒートセットするためにハイポチューブに対して編組を保持するために使用され得る。
【0029】
ヒートセット後、ハイポチューブは、層202および層204において編組200のみを残して、図3Cに示されているように取り除かれる。図3Dに示されているように、編組層は、同じ長さに(例えば、はさみを用いて)整えられる。図3D(別の断面図)において、バンド302が、編組における折り目に隣接するように挿入される。
【0030】
ハイポチューブ300のように、バンド302は、好ましくは、最小の厚さの頑丈な材料を備える。各場合において、構築物は、編組ワイヤにおいて屈曲部を形成することと関係する。説明されたように、より薄い材料は、編組のより狭い半径(tighter radius)の折り目をもたらす(または、編組ワイヤにおいて屈曲する)。有利には、ハイポチューブ300およびバンド302の各々は、所望の壁の厚さ(すなわち、約0.001〜約0.002インチ)において、そのような部品が、同様に構成されている(他の態様では使用可能な)ステンレススチール、白金または真鍮片のように、丈夫であり、かつあまり変形および/または裂ける傾向にないことを考慮して、超弾性ニチノールを含む。
【0031】
一旦バンド302を用いて用意されると、折曲された編組およびバンドは、ロッド310のポケットまたはソケット312、あるいは別のチューブまたはハイポチューブの端部内で受け取られることが可能である。ポケットは、軽いプレスばめを編組に提供し得る。他の態様では、バンド‐編組間中間構築物が接着(例えば、LOCTITE 4014)によりソケット310に固定され得る。
【0032】
次いで、図3Eに示されているように、編組202/204の両層は、ロッドをおおうようにひっくり返されるかまたはめくり返され、(例えば、上記のように巻付けることによって)ロッドに固定される。しっかり留められた編組200は、図3E(断面図)に示されているように、第2の折り目212を含む。(例えば、上記のように、再び)ヒートセット時に、折り目(単数または複数)は、所定の形状で設定または固定される。次いで、図3Fに示されているように、ロッドおよびバンドが取り除かれて、最終的な予備成形物220を提供する。
【0033】
屈曲部210/212を形成するそのようなアプローチは、その簡易工具という観点から有利である。さらに、このアプローチのために使用される工具(バンドおよび/またはチューブ)は、厚さを最小化することが可能であり、それにより、編組において可能な最も緊密な折り目を提供する。したがって、最小の直径が、最後に形成される圧縮される医療デバイスに対して達成されることが可能である。
【0034】
そのような編成(すなわち、予備成形物から最終的なデバイス構成物への転化)に関して、図4Aは、よく使用され得る工具320の第1のセットを示している。工具セット320は、内部形態またはマンドレル330と、窪み342を有する外部形態340とを含む。これらは、図4B(断面図)において、予備成形物220に関連する使用状態で示されている。編組がロッド322上にしっかり位置付けられて固定される(例えば、上記のように拘束される)と、必要に応じて止めネジ324に関連して、編組は、工具構築物内で加熱され、それにより、(例えば、図6に関連して詳しく述べられるような)最終的な漏斗状トラップデバイス形状を定義する。
【0035】
特に、この最終的なヒートセットサイクルは、工具の熱質量により、以前のサイクルより長くとり得る。したがって、温度でおよそ10分間熱処理することが望ましいこともある。さらに、不活性環境において酸化物形成を最小化するようにヒートセットすることが望ましいこともある。同じことが、先行するヒートセットの動きにも当てはまる。
【0036】
特定の工具機構と同様に、マンドレル330は、コーン区域332/332’と肩区域334/334’とを含む。一緒に、これらの区域は、最終的なデバイスの角度構成および編成についてのガイダンスを提供する。ロッド間隙保持部336およびネジ山付き止めネジ孔338も、マンドレル330内に提供され得る。外部形態340は、前記ポケット342ならびにオプションの止めネジ344およびロッド間隙保持部346を含む。
【0037】
外部形態340は、形状設定において使用される必要はない。しかしながら、成形プロセスにおける外部形状340の使用/包含は、その適用における更なる制約によって、有利に、部品間変化を軽減し得る。
【0038】
図5Aは、予備成形物220を最終的な形状のデバイスに転化するための、第2の工具のアプローチを示している。ここでは、2部品マンドレル350が提供される。マンドレル350は、角度付けられたはめ込み部またはポケット362を有するコーン片360を含み、角度付けられたはめ込み部またはポケット362は、リム部または縁部364において編組のフラップおよび折り目212を強制することにより、潜在的な利点を提供する。工具350のアバットメント片370が、編組をさらに強制するために使用され得る。アバットメント片370は、はめ込み部362に対して相補的にコーン区域372を含み、ヒートセット中に編組をさらに強制または圧縮するために肩区域374も含み得る。折り目およびフラップ領域における同時の(またはコーン片360のみを使用する)追加の制約は、(マンドレル330に提供される構成と比較して)例えば図5B(断面図)に示されている成形プロセスにおいて形態340のような外部形態を使用する必要性または利点を除去し得る。依然として、(図4Aに示されている形態340のような)外部形態は、工具350に関連して使用され得る。
【0039】
概して、前記成形方法は、形状が実質的に円柱でありかつ内部折曲された「フラップ」区域を含むヒートセット(おそらく複数段階ヒートセット)予備成形物が提供される方法のうちの1つである。したがって、予備成形物は、カテーテル追跡のために十分に圧縮された状態の当該デバイスに類似する。次いで、予備成形物は、所望の「作動」構成まで(例えば、円錐形状で)拡張され、それに応じてヒートセットされる。
【0040】
別の形成アプローチまたは工具アプローチは、形状設定手順において薄壁円錐バンド(示されていない)を使用し得る。これらは、トラップデバイス30のコーンまたはフラップ区域を直接形作るかまたは形成するために使用され得る。そのような工具は、薄壁円柱材料を所望の円錐形状まで「スピン」ダウンし、次いである長さまで最終的な片を整えることによって、構築され得る。しかしながら、内側工具(それ自体)の使用は、編組層がヒートセット後に並置状態にある範囲を限定し得、それによって、(すなわち、編組が、図4A/5Aに示されているようにまたは他の態様で、工具を用いて後に形成されない限り)層間に多少の隙間が生じる。
【0041】
どの工具アプローチが用いられるかに拘わらず、図6は、当該漏斗状トラップ構造30への転化後の予備成形物(または他の態様で形成された編組)を示している。IVCフィルター回収のために、漏斗状トラップ部分30は、約5mm〜約20mmまたはより好ましくは約10〜約15mm(すなわち、管が13〜30mmの範囲内の20mmの平均直径を有するものとして報告されている人間のIVCの平均サイズ内で作用する範囲内の大きさ)の直径(D)を有し得る。長さ(L)は、約10mm〜約30mmの範囲であり得る。全コーン角(α)は、約30度〜約90度の間であり得る。フラップ46の角度(β)は、約0〜約60度の間であり得、フラップ長さ(F)は、長さが約1〜約10mmの間であり得る。全体にわたって、漏斗状トラップ開口部直径(d)は、述べられた変数(すなわち、d、D、L、F、αおよびβ)の選択された組み合わせに応じて、直径(D)の約5〜95パーセントの間であり得る。この範囲の下端において、内側「開口部」は、実質的に閉じられ得、その結果、内側「開口部」は、回収中に、必ず、押し開かれることにより、インプラントの近位係合機構(単数または複数)を受け取り得る。その範囲の上端において、フラップは、完全に、デバイスの外側層(単数または複数)に沿ってまたはそれに従って存在し得る。
【0042】
変化形
【0043】
使用および/または製造の方法を含む当該方法は、物事の論理的に可能な任意の順序で、かつ物事の記載された任意の順序で実行され得る。医療方法は、デバイスの提供、インプラントの位置付け、再位置付け、回収および/または解放と関係する病院スタッフの動きのいずれかを含み得る。
【0044】
さらに、ある値の範囲が提供されている場合に、その範囲の上限と下限との間および他の述べられた全ての介在値、または述べられた範囲内の介在値が本発明に包含されることを理解されたい。また、説明された独創的な変化形の任意のオプションの機構が、独立的に、または本明細書に説明されている機構のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて、記載かつ主張され得ることを考慮されたい。
【0045】
本発明は、必要に応じて様々な機構を組み込んで、いくつかの例を参照して説明されたが、本発明は、本発明の各変化形に対して考慮されるように説明または示されたものに限定されるべきではない。様々な変化が、説明された本発明に対してなされ得、(簡潔さの目的のために、本明細書に記載されているかまたは含まれていないかに拘わらず)均等物が、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく代用され得る。
【0046】
単数形の項目に対する参照は、同一の複数形の項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付されている特許請求の範囲に使用されているように、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、「前記、該(said)」および「その(the)」は、具体的に他の態様で述べられない限り、複数の参照対象を含む。言い換えると、冠詞の使用は、前の説明および以下の特許請求の範囲において、当該項目の「少なくとも1つ」を斟酌する。特許請求の範囲は、任意のオプションの要素を除外して起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この陳述は、請求項の要素の記載に関連する「単独で(solely)」、「のみ(only)」などのような排他的な用語の使用か、または「否定的な(negative)」限定の使用に対する先行根拠として役立つように意図されている。
【0047】
そのような排他的な用語を使用することなく、特許請求の範囲における用語「含む、備える(comprising)」は、(請求項において要素の所与の数字が列挙されているか、または特徴の追加が、特許請求の範囲に記載されている要素の本質を一変させるとみなされるかにかかわらず)任意の追加の要素の包含を斟酌する。具体的に本明細書に定義されているものを除いて、本明細書に使用されている全ての技術用語または科学用語は、請求項の妥当性を維持している一方で、可能な限り広く一般に理解されている意味で与えられるべきである。したがって、本明細書に説明されている異なる独創的な実施形態または側面の幅は、提供されている例および/または本明細書に限定されるべきではなく、むしろ、出された請求項言語の範囲のみによって限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6