特許第6916266号(P6916266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6916266医療サービス取引装置、医療サービス取引方法、および医療サービス取引プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916266
(24)【登録日】2021年7月19日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】医療サービス取引装置、医療サービス取引方法、および医療サービス取引プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/14 20120101AFI20210729BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20210729BHJP
【FI】
   G06Q20/14
   G06Q20/40
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-231560(P2019-231560)
(22)【出願日】2019年12月23日
(65)【公開番号】特開2021-99700(P2021-99700A)
(43)【公開日】2021年7月1日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村本 勝也
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−123457(JP,A)
【文献】 特開2011−113300(JP,A)
【文献】 特開2006−293752(JP,A)
【文献】 特開平09−326066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子商取引環境を用いて医療機関を利用する利用者に前記医療機関の医療サービスを購入させる医療サービス取引装置であって、
前記医療機関から、前記医療機関により予め定められた前払い金額を含む登録要求を取得し、前記医療機関に前記医療機関を識別する医療機関識別子を付与し、前記医療機関識別子と前記前払い金額とを対応付けた医療機関登録情報を記憶部に記憶する登録部と、
前記利用者が前記医療機関を利用する利用要求であって、前記利用者を識別する利用者識別子と前記医療機関識別子とを含む利用要求を受け付ける利用要求受付部と、
前記医療機関登録情報に基づいて、記前払い金額を提示する金額提示部と、
前記前払い金額の決済要求を利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記前払い金額の決済を実行し、前記決済が完了したことを示す決済完了通知を通知する決済部と
を備えた医療サービス取引装置。
【請求項2】
前記登録部は、
前記利用者から前記決済方法を含む登録要求を取得し、前記利用者に前記利用者識別子を付与し、前記利用者識別子と前記決済方法とを対応付けた利用者登録情報を記憶部に記憶し、
前記決済部は、
前記利用者登録情報に基づいて、前記決済方法により前記前払い金額の決済を実行する請求項に記載の医療サービス取引装置。
【請求項3】
前記医療サービス取引装置は、
前記利用者を認証する認証部を備え、
前記登録部は、
前記利用者の認証が成功すると、前記利用者識別子を付与する請求項または請求項に記載の医療サービス取引装置。
【請求項4】
前記医療サービス取引装置は、
前記医療機関により、前記決済完了通知を受領した前記利用者に対する医療サービスが完了したことを示す医療完了通知を取得し、前記医療完了通知に基づいて前記医療サービスに対する医療費と前記前払い金額との差額を前記利用者に通知する差額通知部を備え、
前記決済部は、
前記差額の決済要求を前記利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記差額の決済を実行し、
前記医療サービス取引装置は、
前記差額の決済が完了すると、前記医療費を前記医療機関に支払う処理を行う支払処理部を備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療サービス取引装置。
【請求項5】
前記利用要求受付部は、
前記利用者に前記医療機関を選択させる医療サービス取引画面を介して前記利用要求を受け付ける請求項1から請求項のいずれか1項に記載の医療サービス取引装置。
【請求項6】
電子商取引環境を用いて医療機関を利用する利用者に前記医療機関の医療サービスを購入させる医療サービス取引装置の医療サービス取引方法であって、
登録部が、前記医療機関から、前記医療機関により予め定められた前払い金額を含む登録要求を取得し、前記医療機関に前記医療機関を識別する医療機関識別子を付与し、前記医療機関識別子と前記前払い金額とを対応付けた医療機関登録情報を記憶部に記憶し、
利用要求受付部が、前記利用者が前記医療機関を利用する利用要求であって、前記利用者を識別する利用者識別子と前記医療機関識別子とを含む利用要求を受け付け、
金額提示部が、前記医療機関登録情報に基づいて、記前払い金額を提示し、
決済部が、前記前払い金額の決済要求を利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記前払い金額の決済を実行し、前記決済が完了したことを示す決済完了通知を通知する医療サービス取引方法。
【請求項7】
電子商取引環境を用いて医療機関を利用する利用者に前記医療機関の医療サービスを購入させる医療サービス取引装置の医療サービス取引プログラムであって、
前記医療機関から、前記医療機関により予め定められた前払い金額を含む登録要求を取得し、前記医療機関に前記医療機関を識別する医療機関識別子を付与し、前記医療機関識別子と前記前払い金額とを対応付けた医療機関登録情報を記憶部に記憶する登録処理と、
利用要求受付部が、前記利用者が前記医療機関を利用する利用要求であって、前記利用者を識別する利用者識別子と前記医療機関識別子とを含む利用要求を受け付ける利用要求受付処理と、
金額提示部が、前記医療機関登録情報に基づいて、記前払い金額を提示する金額提示処理と、
決済部が、前記前払い金額の決済要求を利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記前払い金額の決済を実行し、前記決済が完了したことを示す決済完了通知を通知する決済処理と
をコンピュータである医療サービス取引装置に実行させる医療サービス取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療サービス取引装置、医療サービス取引方法、および医療サービス取引プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関での支払いは、現金払いが主流であり、キャッシュレス化が進んでいない。例えば、医療機関がキャッシュレス化をするにしても、複数方式が乱立しており、どの方式を選べばよいか判断が難しいといった理由によりキャッシュレス化が進まない。
また、近年、訪日外国人旅行者が急増しており、現金を持ち合わせていない訪日外国人旅行者による医療費未払い問題が、深刻化している。
【0003】
特許文献1には、医療機関から請求された支払いを、クレジットカードを用いて確実に決済する医療会計処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−004404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、患者が医療費をクレジットカードにより支払う場合は、医療機関は医療費を確実に取得することができる。
しかし、医療機関がクレジット等のキャッシュレス決済手段を導入しておらず、現金決済のみの場合は、患者が現金を支払い時に準備することができないケースもある。その結果未払いが発生してしまう。
【0006】
本開示は、医療費の未払いを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る医療サービス取引装置は、電子商取引環境を用いて医療機関を利用する利用者に前記医療機関の医療サービスを購入させる医療サービス取引装置であって、
前記利用者が前記医療機関を利用する利用要求であって、前記利用者を識別する利用者識別子と前記医療機関を識別する医療機関識別子とを含む利用要求を受け付ける利用要求受付部と、
前記医療機関により予め定められた前払い金額を提示する金額提示部と、
前記前払い金額の決済要求を利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記前払い金額の決済を実行し、前記決済が完了したことを示す決済完了通知を通知する決済部とを備える。
【0008】
前記医療サービス取引装置は、
前記医療機関により、前記決済完了通知を受領した前記利用者に対する医療サービスが完了したことを示す医療完了通知を取得し、前記医療完了通知に基づいて前記医療サービスに対する医療費と前記前払い金額との差額を前記利用者に通知する差額通知部を備え、
前記決済部は、
前記差額の決済要求を前記利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記差額の決済を実行し、
前記医療サービス取引装置は、
前記差額の決済が完了すると、前記医療費を前記医療機関に支払う処理を行う支払処理部を備える。
【0009】
前記医療サービス取引装置は、
前記医療機関から前記前払い金額を含む登録要求を取得し、前記医療機関に前記医療機関識別子を付与し、前記医療機関識別子と前記前払い金額とを対応付けた医療機関登録情報を記憶部に記憶する登録部を備え、
前記金額提示部は、
前記医療機関登録情報に基づいて、前記前払い金額を提示する。
【0010】
前記登録部は、
前記利用者から前記決済方法を含む登録要求を取得し、前記利用者に前記利用者識別子を付与し、前記利用者識別子と前記決済方法とを対応付けた利用者登録情報を記憶部に記憶し、
前記決済部は、
前記利用者登録情報に基づいて、前記決済方法により前記前払い金額の決済を実行する。
【0011】
前記医療サービス取引装置は、
前記利用者を認証する認証部を備え、
前記登録部は、
前記利用者の認証が成功すると、前記利用者識別子を付与する。
【0012】
前記利用要求受付部は、
前記利用者に前記医療機関を選択させる医療サービス取引画面を介して前記利用要求を受け付ける。
【0013】
本開示に係る医療サービス取引方法は、電子商取引環境を用いて医療機関を利用する利用者に前記医療機関の医療サービスを購入させる医療サービス取引装置の医療サービス取引方法であって、
利用要求受付部が、前記利用者が前記医療機関を利用する利用要求であって、前記利用者を識別する利用者識別子と前記医療機関を識別する医療機関識別子とを含む利用要求を受け付け、
金額提示部が、前記医療機関により予め定められた前払い金額を提示し、
決済部が、前記前払い金額の決済要求を利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記前払い金額の決済を実行し、前記決済が完了したことを示す決済完了通知を通知する。
【0014】
本開示に係る医療サービス取引プログラムは、電子商取引環境を用いて医療機関を利用する利用者に前記医療機関の医療サービスを購入させる医療サービス取引装置の医療サービス取引プログラムであって、
利用要求受付部が、前記利用者が前記医療機関を利用する利用要求であって、前記利用者を識別する利用者識別子と前記医療機関を識別する医療機関識別子とを含む利用要求を受け付ける利用要求受付処理と、
金額提示部が、前記医療機関により予め定められた前払い金額を提示する金額提示処理と、
決済部が、前記前払い金額の決済要求を利用者から取得すると、前記利用者により予め登録された決済方法により前記前払い金額の決済を実行し、前記決済が完了したことを示す決済完了通知を通知する決済処理と
をコンピュータである医療サービス取引装置に実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る医療サービス取引装置によれば、医療費の未払いを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に係る医療サービス取引システム500の全体構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る医療サービス取引装置の構成例。
図3】実施の形態1に係る医療サービス取引処理のフロー図。
図4】実施の形態1に係る医療サービス取引システムにおける医療機関と利用者の登録処理の例を示すシーケンス図。
図5】実施の形態1に係る医療機関登録情報の例を示す図。
図6】実施の形態1に係る医療機関登録情報の別例を示す図。
図7】実施の形態1に係る医療サービス取引システムにおける医療サービス提供処理の例を示すシーケンス図。
図8】実施の形態1に係る医療サービス取引システムにおける医療費支払い処理の例を示すシーケンス図。
図9】実施の形態1の変形例に係る医療サービス取引装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0018】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500の全体構成例を示す図である。
医療サービス取引システム500は、医療サービス取引装置100を備える。
医療サービス取引装置100は、電子商取引環境を用いて医療機関30を利用する利用者301に医療機関の医療サービス11を購入させる。電子商取引環境とは、所謂EC(Electronic Commerce)と呼ばれる商取引形態である。
【0019】
医療機関30には、病院の他に調剤薬局も含まれる。
医療サービス11には、医療行為の他に薬の処方および調剤といったサービスも含まれる。医療サービス取引装置100は、医療サービス取引会社10に具備される装置である。
利用者301は、医療サービス取引装置100が提供する医療サービス取引サイトの医療サービス取引画面101を介して、購入する医療サービス11を選択し、予め登録した決済方法を用いて、購入する医療サービス11に対応する前払い金額12を決済する。決済会社20は、決済を行う会社である。決済会社20は、具体的には、クレジットカード会社である。その他、オンライン決済が可能な決済方法であればどのような決済方法を用いても構わない。
なお、医療サービス取引会社10は、決済会社20の加盟店になる必要がある。
【0020】
医療サービス取引システム500における処理(1)から(8)については、後で説明する。
【0021】
図2を用いて、本実施の形態に係る医療サービス取引装置100の構成例について説明する。
医療サービス取引装置100は、コンピュータである。医療サービス取引装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0022】
医療サービス取引装置100は、機能要素として、登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170と記憶部180を備える。記憶部180には、医療機関登録情報61と利用者登録情報62が記憶される。
【0023】
登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部180は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部180は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0024】
プロセッサ910は、医療サービス取引プログラムを実行する装置である。医療サービス取引プログラムは、登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0025】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0026】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0027】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0028】
医療サービス取引プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、医療サービス取引プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、医療サービス取引プログラムを実行する。医療サービス取引プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている医療サービス取引プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、医療サービス取引プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0029】
医療サービス取引装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、医療サービス取引プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、医療サービス取引プログラムを実行する装置である。
【0030】
医療サービス取引プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0031】
登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。医療サービス取引プログラムは、登録処理と利用要求受付処理と認証処理と金額提示処理と決済処理と差額通知処理と支払処理部を、コンピュータに実行させる。また、医療サービス取引方法は、医療サービス取引装置100が医療サービス取引プログラムを実行することにより行われる方法である。
医療サービス取引プログラムは、コンピュータが読取可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、医療サービス取引プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0032】
***動作の説明***
図3は、本実施の形態に係る医療サービス取引処理のフロー図である。
図3を用いて、本実施の形態に係る医療サービス取引装置100および医療サービス取引システム500の動作について説明する。
以下において、医療サービス取引会社10が主体となっている動作は、医療サービス取引装置100が実行する。また、決済会社20が主体となっている動作は、決済会社20が具備する情報処理装置あるいは端末装置が実行する。また、医療機関30が主体となっている動作は、医療機関30が具備する情報処理装置あるいは端末装置が実行する。また、利用者301が主体となっている動作は、利用者301が具備する情報処理装置あるいは携帯端末装置が実行する。利用者301の携帯端末装置は、具体的にはスマートフォンあるいはタブレット端末等である。
【0033】
ここでは、利用者301が、怪我あるいは病気により、医療機関30から医療サービスを受けることを前提とする。図3は、利用者301が、医療サービス取引システム500を利用して医療サービス11を受けるための処理である。
【0034】
ステップS101において、登録部110は、医療機関30および利用者301の登録処理を行う。具体的には、以下の通りである。
登録部110は、医療機関30から前払い金額12を含む登録要求を取得し、医療機関30に医療機関識別子を付与する。そして、登録部110は、医療機関識別子と前払い金額12とを対応付けた医療機関登録情報61を記憶部180に記憶する。
また、登録部110は、利用者301から決済方法を含む登録要求を取得し、利用者301に利用者識別子を付与する。そして、登録部110は、利用者識別子と決済方法とを対応付けた利用者登録情報62を記憶部180に記憶する。
【0035】
なお、認証部130は、利用者301から登録要求を取得すると、利用者301を認証する。すなわち、認証部130は、利用者301の本人確認を行う。そして、登録部110は、利用者301の認証が成功すると、利用者識別子を付与する。
例えば、利用者301が外国人の場合、認証部130は利用者301のパスポート番号を用いて、利用者301の本人確認を行う。また、認証部130は、利用者301のマイナンバーカードに付加されている情報あるいは健康保険証番号等を用いて、利用者301の本人確認をおこなってもよい。
医療機関30および利用者301の登録は、医療機関30あるいは利用者301からの登録要求により、随時実施される。
なお、パスポートおよびマイナンバーカードといった国(日本に限らない)が発行する公的証明書の類に限らず、クレジットカード等の決済機関への照会による本人確認で代替してもよい。
【0036】
ステップS102において、利用要求受付部120は、利用者301が医療機関30を利用する利用要求21であって、利用者301を識別する利用者識別子と医療機関を識別する医療機関識別子とを含む利用要求21を受け付ける。具体的には、利用要求受付部120は、利用者301に医療機関30を選択させる医療サービス取引画面101を介して利用要求21を受け付ける。医療サービス取引画面101は、利用者301が医療サービス取引サイトにアクセスすることにより、利用者301の携帯端末装置に表示される。
ステップS102の処理は、図1の(1)に対応する。
【0037】
ステップS103において、利用者301による前払い金額12の決済が実行される。
金額提示部140は、医療機関30により予め定められた前払い金額12を提示する。具体的には、金額提示部140は、医療機関登録情報61に基づいて、前払い金額12を提示する。金額提示部140は、利用者301が利用を要求している医療機関30の医療機関識別子を利用要求21から取得し、医療機関識別子に対応する前払い金額12を医療機関登録情報61から取得する。そして、金額提示部140は、その前払い金額12を利用者301の携帯端末装置に提示する。
決済部150は、前払い金額12の決済要求を利用者301から取得すると、利用者301により予め登録された決済方法により前払い金額12の決済を実行する。決済部150は、利用者登録情報62に基づいて、利用者301に対応する決済方法により前払い金額12の決済を実行する。そして、決済部150は、決済が完了したことを示す決済完了通知22を通知する。
ステップS103の処理は、図1の(2)および(3)に対応する。
【0038】
ステップS104において、利用者301により利用が要求された医療機関30により、利用者301に対して医療サービス11が行われる。例えば、利用者301は、医療機関30の窓口でスマートフォン等に表示された決済完了通知22を提示する。これにより、医療機関30に前払い金額12を支払い済みであることが証明され、医療機関30は安心して利用者301に対し医療サービス11を提供することができる。
ステップS104の処理は、図1の(4)に対応する。
【0039】
ステップS105において、差額通知部160は、医療機関30により、決済完了通知22を受領した利用者301に対する医療サービス11が完了したことを示す医療完了通知23を取得する。差額通知部160は、医療完了通知23に基づいて医療サービス11に対する医療費と前払い金額12との差額13を利用者301に通知する。具体的には、利用者301に対する医療サービス11が完了すると、医療機関30の端末装置は、診療内容および医療費といった情報を含む医療完了通知23を医療サービス取引装置100に送信する。そして、差額通知部160は、医療完了通知23に基づいて医療費と前払い金額12との差額13を利用者301に通知する。
決済部150は、差額13の決済要求を利用者301から取得すると、利用者301により予め登録された決済方法により差額13の決済を実行する。
ステップS105の処理は、図1の(6)および(7)に対応する。
【0040】
ステップS106において、差額13の決済が完了すると、支払処理部170は、医療費を医療機関30に支払う処理を行う。
ステップS106の処理は、図1の(8)に対応する。
【0041】
次に、図4から図6を用いて、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500における医療サービス取引処理について、より具体的に説明する。なお、図4から図6における処理(1)から(8)は、図1の処理(1)から(8)に対応している。
【0042】
図4は、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500における医療機関30と利用者301の登録処理の例を示すシーケンス図である。
図5は、本実施の形態に係る医療機関登録情報61の例を示す図である。
図6は、本実施の形態に係る医療機関登録情報61の別例を示す図である。
【0043】
図4の(a)では、医療機関30が医療サービス取引会社に登録を要求する。図4の(a1)では、医療サービス取引装置100の登録部110は、医療機関30ごと、例えば、病院ごとあるいは調剤薬局ごとに、医療機関識別子(以下、医療機関ID(IDentifier)ともいう)を取得する。あるいは、登録部110は、医療機関30の診療内容ごとに診療IDを取得してもよい。
【0044】
図5の医療機関登録情報61の例では、医療機関IDごとに前払い金額12が登録されている。また、図6の医療機関登録情報61の別例のように、診療IDごとに前払い金額12が登録されていてもよい。
【0045】
図4の(b)では、利用者301が医療サービス取引会社に登録を要求する。利用者301としては、例えば、医療費を支払いことができるほど現金を持ち合わせていない訪日外国人旅行者等を想定している。
利用者301から登録要求を受け取ると、医療サービス取引装置100の認証部130は、決済会社20あるいは本人確認機関に本人確認のための認証要求を送信する(図4の(b1),(b2))。上述したように、認証部130は、例えば、パスポート番号、マイナンバーカードに付加されている情報、あるいは健康保険証番号等を含む認証要求を決済会社20あるいは本人確認機関に送信する。
【0046】
医療サービス取引装置100は、本人確認が成功すると、利用者識別子(以下、利用者IDともいう)を利用者301に付与する(図4の(b3))。具体的には、利用者301は、医療サービス取引装置100が提供する医療サービス取引サイトにアクセスし、利用者IDを取得する。このとき、利用者301は、決済方法を登録する(図4の(b4))。具体的には、利用者301は、クレジットカードを登録する。クレジットカードは複数登録してもよい。また、オンライン決済ができる決済方法であれば、クレジットカード以外の決済方法でもよい。
【0047】
図7は、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500における医療サービス提供処理の例を示すシーケンス図である。
図7の(1)では、医療サービス取引装置100の利用要求受付部120は、利用者301から利用要求21を取得する。医療サービス取引装置100の利用要求受付部120は、医療サービス取引サイトに表示される医療サービス取引画面101を介して利用要求21を取得する。利用者301は、医療サービス取引画面101を介して、利用する医療機関30の医療機関IDあるいは診療IDを選択し、購入手続きに進む。
【0048】
図7の(2)では、医療サービス取引装置100の金額提示部140が、選択された医療機関IDあるいは診療IDに対応する前払い金額12を医療機関登録情報61から取得する。そして、金額提示部140が、利用者301の携帯端末装置に金額を表示する。なお、医療サービス取引画面101に予め医療機関IDあるいは診療IDと前払い金額12とが表示されており、利用者301は、前払い金額12を参考にしながら医療機関を選択してもよい。つまり、医療サービス取引画面101に予め図5あるいは図6の情報が表示されており、利用者301は医療機関登録情報61の内容を参考にしながら医療機関を選択してもよい。
【0049】
利用者301が金額を承認し、決済の要求が入力されると、決済部150は、利用者301が登録している決済方法により前払い金額12の決済を行う。例えば、決済部150は利用者301により登録されているクレジットカード会社に前払い金額12の支払いの指示を行う。
これにより、利用者301から前払い金額12が医療サービス取引会社10に支払われる。
【0050】
図7の(3)において、前払い金額12の決済が完了すると、決済部150は、利用者301に決済完了通知22を通知する。決済完了通知22には、利用者301が利用する医療機関30、あるいは、その医療機関30における診療を示すIDと、支払い済みの前払い金額12とが含まれる。
【0051】
図7の(4)において、利用者301が医療機関30において医療サービス11を受ける。例えば、利用者301は、医療機関30の窓口でスマートフォン等に表示された決済完了通知22を提示する。これにより、医療機関30に前払い金額12を支払い済みであることが証明され、医療機関30は安心して利用者301に対し医療サービス11を提供することができる。
図7の(5)において、利用者301に対する医療サービス11が完了すると、医療機関30の端末装置から、医療サービス11の内容および医療費といった情報を含む医療完了通知23が医療サービス取引装置100に送信される。
【0052】
図8は、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500における医療費支払い処理の例を示すシーケンス図である。
図8の(6)では、医療サービス取引装置100の差額通知部160は、医療完了通知23に基づいて医療サービス11に対する医療費と前払い金額12との差額13を利用者301に通知する。具体的には、差額通知部160は、利用者301の携帯端末装置に差額13を表示する。利用者301が金額を承認し、決済の要求が入力されると、決済部150は、利用者301が登録している決済方法により差額分の決済を行う。例えば、決済部150は利用者301により登録されているクレジットカード会社に差額分の支払いの指示を行う。
【0053】
医療費が前払い金額12より多ければ、医療サービス取引装置100は、その差額分を、利用者301から利用者301により登録されている決済方法で受け取る。また、医療費が前払い金額12より少なければ、医療サービス取引装置100は、その差額分を、利用者301により登録されている決済方法で利用者301に返却する。
【0054】
差額13の支払い方法については以下のバリエーションがある。
診察後返金が伴う場合は、前払い金を取り消しして合計を請求する、もしくは、マイナス請求登録する、の2ケースある。いずれを採用するかは利用者301の指定決済方法による。
また、診察後追加請求が伴う場合は、前払い金を取り消しして合計を請求する、もしくは、追加分請求登録する、の2ケースある。いずれを採用するかは利用者301の指定決済方法による。
【0055】
なお、請求金額が利用者301の与信枠を超えている場合は、不足分を翌月一括で支払うか、分割で支払うかのいずれかで決済サービスに応じて請求できるようにする。また、その他の方法としては、出身国の親族あるいは同行している友人等の第三者への請求も可能としてもよい。
【0056】
図8の(8)では、医療サービス取引装置100の支払処理部170は、差額13の決済が完了すると、医療費を医療機関30に支払う処理を行う。
【0057】
以上で、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500における医療サービス取引処理についての説明を終わる。
【0058】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、前払い金の決済が完了すると、利用者は医療サービスを受けることができる、という態様について説明した。しかし、医療サービス取引会社は利用者から前払い金を受け取らずに、医療サービス提供後に最終的に確定した金額を利用者に請求する、という態様でもよい。
この場合、例えば、医療サービス取引サイトは、医療機関IDあるいは診療IDごとに、診療にかかるおおよその費用を医療サービス取引画面に表示する。そして、利用者は、診療にかかるおおよその費用を参考に、医療機関IDあるいは診療IDを選択する。医療サービス取引会社は、医療サービス提供後に医療機関から受け取った医療完了通知に基づいて、利用者に医療費をまとめて請求する。そして、医療費の決済が完了すると、医療サービス取引会社は医療費を医療機関に支払う、という態様でもよい。
【0059】
<変形例2>
本実施の形態では、利用者により前払い金が支払われ、医療サービスの提供が完了した後に差額分の決済が完了すると、医療サービス取引会社が医療機関に医療費を支払う、という態様であった。
しかし、前払い金が支払われた時点で、医療サービス取引会社が前払い金を医療機関に支払い、差額分の精算は利用者と医療機関で行ってもよい。つまり、前払い金が支払われ、医療サービス取引会社が前払い金を医療機関に支払った時点で、利用者と医療サービス取引会社との契約が終了する、という態様でもよい。
【0060】
<変形例3>
本実施の形態では、医療サービス取引装置100における登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0061】
図9は、本実施の形態の変形例に係る医療サービス取引装置100の構成例を示す図である。
図9に示すように、プロセッサ910を電子回路909に置き換えてもよい。
電子回路909は、登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application
Specific Integrated
Circuitの略語である。FPGAは、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。
【0062】
別の変形例として、登録部110と利用要求受付部120と認証部130と金額提示部140と決済部150と差額通知部160と支払処理部170の一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0063】
プロセッサ910と、メモリ921と、電子回路909とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0064】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る医療サービス取引システム500によれば、医療機関側では特別な機器を用意しなくてもオンライン決済が実現できる。つまり、小規模な医療機関でも医療サービス取引システムを導入可能となる。
現金決済に替えてオンライン決済手段を提供することで未払い発生を削減することができる。
【0065】
以上の実施の形態1では、医療サービス取引装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、医療サービス取引装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。医療サービス取引装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、医療サービス取引装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0066】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 医療サービス取引会社、11 医療サービス、12 前払い金額、13 差額、20 決済会社、21 利用要求、22 決済完了通知、23 医療完了通知、30 医療機関、61 医療機関登録情報、62 利用者登録情報、100 医療サービス取引装置、101 医療サービス取引画面、110 登録部、120 利用要求受付部、130 認証部、140 金額提示部、150 決済部、160 差額通知部、170 支払処理部、180 記憶部、301 利用者、500 医療サービス取引システム、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9