(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のガーネット型化合物の細孔容積、及び、前記第2のガーネット型化合物の細孔容積が、0.4mL/g以上1.0mL/g以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のセラミックス粉末材料。
Mg、Ca、Ba、Sr、Y及びScからなる元素群から選ばれる1種以上を含む化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載のセラミックス粉末材料。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0041】
本実施形態に係るセラミックス粉末材料は、
Li、La及びZrを含有する第1のガーネット型化合物と、
Li、La及びZrを含有し、且つ、前記第1のガーネット型化合物とは組成の異なる第2のガーネット型化合物と
を含み、
前記第1のガーネット型化合物、及び、前記第2のガーネット型化合物は、下記式[1]で表され、
Li
7−(3x+y)M1
xLa
3Zr
2−yM2
yO
12 [1]
ここで、式[1]において、M1は、Al又はGaであり、M2は、Nb又はTaであり、
前記第1のガーネット型化合物は、0≦(3x+y)≦0.5を満たし、
前記第2のガーネット型化合物は、0.5<(3x+y)≦1.5を満たす。
【0042】
以下、まず、本実施形態に係るセラミック粉末材料に含まれる第1のガーネット型化合物、及び、第2のガーネット型化合物について説明する。
【0043】
前記第1のガーネット型化合物は、Li、La及びZrを含有する。
前記第2のガーネット型化合物は、Li、La及びZrを含有する。前記第2のガーネット型化合物は、前記第1のガーネット型化合物とは組成が異なる。
【0044】
前記第1のガーネット型化合物、及び、前記第2のガーネット型化合物は、下記式[1]で表される。
Li
7−(3x+y)M1
xLa
3Zr
2−yM2
yO
12 [1]
ここで、式[1]において、M1は、Al又はGaであり、M2は、Nb又はTaであり、
前記第1のガーネット型化合物は、0≦(3x+y)≦0.5を満たし、
前記第2のガーネット型化合物は、0.5<(3x+y)≦1.5を満たす。
【0045】
前記第1のガーネット型化合物において、前記(3x+y)は、Li含有量を第2のガーネット型化合物と大きく異ならせることができる観点から、0が最も好ましいが、0より大きくてもよく、0.05以上であってもよく、0.1以上であってもよい。前記第1のガーネット型化合物において、前記(3x+y)は、Li含有量の観点から、好ましくは0.5より小さく、より好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。
【0046】
前記第2のガーネット型化合物において、前記(3x+y)は、Li含有量を第2のガーネット型化合物と大きく異ならせることができる観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.0以上、特別に好ましくは1.1以上、格別に好ましくは1.2以上である。前記第2のガーネット型化合物において、前記(3x+y)は、抵抗成分生成の抑制の観点からは、好ましくは1.5より小さく、より好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.3以下である。
【0047】
前記第1のガーネット型化合物の(3x+y)と前記第2のガーネット型化合物の(3x+y)との差の絶対値は、0.15以上1.5以下であることが好ましい。前記差の絶対値は、0.2以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。前記差の絶対値は、1.4以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましい。前記差の絶対値が0.15以上1.5以下であると、焼結時に2種類のガーネット型化合物のLi濃度勾配が大きくなるため、焼結性がより向上する。
【0048】
前記第1のガーネット型化合物において、前記xは、好ましくは0.15より小さく、より好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下である。
【0049】
前記第2のガーネット型化合物において、前記xは、好ましくは0.17以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上である。前記第2のガーネット型化合物において、前記xは、好ましくは0.5より小さく、より好ましくは0.45以下、さらに好ましくは0.4以下である。
【0050】
前記第1のガーネット型化合物において、前記yは、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下である。
【0051】
前記第2のガーネット型化合物において、前記yは、好ましくは0であり、より好ましくは0.55以上であり、さらに好ましくは0.6以上、特に好ましくは0.65以上である。前記第2のガーネット型化合物において、前記yは、好ましくは1.4以下であり、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1以下である。
【0052】
前記第1のガーネット型化合物の含有量は、セラミックス材料粉末を全体としたときに、10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。前記第1のガーネット型化合物の含有量は、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。前記第1のガーネット型化合物の含有量は、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。前記第1のガーネット型化合物の含有量が10質量%以上90質量%以下であると、第2のガーネット型化合物とのヘテロ界面が多く存在することになるため、焼結性がより向上する。
【0053】
前記第1のガーネット型化合物の含有量と前記第2のガーネット型化合物の含有量との合計含有量は、セラミックス粉末材料を全体としたときに、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。また、前記合計含有量は、多い方が好ましいが、セラミックス粉末材料を全体としたときに、例えば、99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下等とすることができる。
【0054】
前記第1のガーネット型化合物の含有量をA、前記第2のガーネット型化合物の含有量をBとしたとき、比(B/A)が、0.15以上6.0以下であることが好ましい。前記比(B/A)は、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは1以上である。前記比(B/A)は、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。前記比(B/A)が、0.15以上6.0以下であると、第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とのヘテロ界面が多く存在することになる。その結果、焼結性がより向上する。
【0055】
前記第1のガーネット型化合物の細孔容積、及び、前記第2のガーネット型化合物の細孔容積は、細孔容積が0.4mL/g以上1.0mL/g以下であることが好ましい。前記細孔容積は、0.5mL/g以上がより好ましく、0.6mL/g以上がさらに好ましい。また、前記細孔容積は、0.95mL/g以下がより好ましく、0.9mL/g以下がさらに好ましい。
前記第1のガーネット型化合物の細孔容積、及び、前記第2のガーネット型化合物の細孔容積が0.4mL/g以上であると、空隙を比較的多く含み、脆弱であるといえる。従って、強力な解砕手法を用いることなく、容易に微粒化することが可能である。
【0056】
前記細孔容積の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。
本明細書に記載の細孔容積は、水銀圧入法にて測定される値である。
【0057】
前記第1のガーネット型化合物の比表面積、及び、前記第2のガーネット型化合物の比表面積は、比表面積が、0.6m
2/g以上2.5m
2/g以下であることが好ましい。前記比表面積は、0.7m
2/g以上がより好ましく、0.8m
2/g以上がさらに好ましい。また、前記比表面積は、2m
2/g以下がより好ましく、1.5m
2/g以下がさらに好ましい。前記比表面積が0.6m
2/g以上であると、セラミックス粉末材料の粒子は細かいといえる。本明細書において、比表面積は、BET比表面積のことをいう。
前記比表面積の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0058】
前記セラミックス粉末材料は、前記第1のガーネット型化合物、前記第2のガーネット型化合物以外の他の化合物を含んでも構わない。
【0059】
前記他の化合物としては、Mg、Ca、Ba、Sr、Y及びScからなる元素群から選ばれる1種以上を含む化合物が挙げられる。具体的には、CaO、Ca(OH)
2、MgO、Mg(OH)
2、BaO、Ba(OH)
2、SrO、Sr(OH)
2、Y
2O
3、Y(OH)
3、Sc
2O
3、Sc(OH)
3等が挙げられる。Mg、Ca、Ba、Sr、Y及びScからなる元素群から選ばれる1種以上を含む化合物を含むと、焼結時の粒成長が抑制され、微細な粒子から成る焼結体が得られやすい。
【0060】
前記他の化合物をセラミックス粉末材料に含有させる場合、前記他の化合物の含有量は、焼結時の粒成長の抑制の観点から、セラミックス粉末材料を全体としたときに、0.1質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。また、前記合計含有量は、焼結後のイオン伝導率の観点から、セラミックス粉末材料を全体としたときに、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
【0061】
前記セラミックス粉末材料においては、Liの原子数とLaの原子数とが、下記式[2]を満たすことが好ましい。
2.0≦[(Liの原子数)/(Laの原子数)]≦2.5 [2]
【0062】
前記[(Liの原子数)/(Laの原子数)]は、より好ましくは2.05以上、さらに好ましくは2.1以上である。前記[(Liの原子数)/(Laの原子数)]は、より好ましくは2.4以下、さらに好ましくは2.3以下である。前記[(Liの原子数)/(Laの原子数)]が前記数値範囲内であると、イオン伝導率をより高めることができる。従って、電池(特に、リチウムイオン二次電池)の構成部材として好適に使用できる。
【0063】
前記セラミックス粉末材料においては、前記M1の原子数と前記M2の原子数とLaの原子数とが、下記式[3]を満たすことが好ましい。
0.08≦[[3×(M1の原子数)+(M2の原子数)]/(Laの原子数)]≦0.35 [3]
【0064】
前記[[3×(M1の原子数)+(M2の原子数)]/(Laの原子数)]は、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上である。前記[[3×(M1の原子数)+(M2の原子数)]/(Laの原子数)]は、より好ましくは0.32以下、さらに好ましくは0.3以下である。前記[[3×(M1の原子数)+(M2の原子数)]/(Laの原子数)]が前記数値範囲内であると、イオン伝導率をより高めることができる。従って、電池(特に、リチウムイオン二次電池)の構成部材として好適に使用できる。
【0065】
前記第1のガーネット型化合物の粒子径D
50(メディアン径)、及び、前記第2のガーネット型化合物の粒子径D
50は、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。前記粒子径D
50は、1.0μm以上が好ましく、2.0μm以上がより好ましい。また、前記粒子径D
50は、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。前記粒子径D
50が30μm以下であると、粒子は比較的細かいといえる。
【0066】
前記粒子径D
50の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。本明細書に記載の粒子径D
50は、体積基準で測定される値である。
【0067】
前記セラミックス粉末材料は、下記(a)〜下記(c)のいずれかであることが好ましい。
【0068】
(a)Gaを含み、
950℃の熱処理により、以下の(1)及び(2)を満たす焼結体が得られるセラミックス粉末材料。
(1)焼結体の密度が4.6g/cm
3以上
(2)測定温度30℃におけるリチウムイオン伝導率が、0.1mS/cm以上
【0069】
前記焼結体の密度は、より好ましくは4.7g/cm
3以上、さらに好ましくは4.8g/cm
3以上である。前記相対密度は、大きいほど好ましいが、例えば、5.4g/cm
3以下、5.5g/cm
3以下等である。
前記リチウムイオン伝導率は、より好ましくは0.3mS/cm以上、さらに好ましくは0.6mS/cm以上である。前記リチウムイオン伝導率は、大きいほど好ましいが、例えば、3mS/cm以下、2mS/cm以下等である。
【0070】
前記(a)の場合、950℃という低温条件下で、相対密度が90%以上という緻密で、且つ、リチウムイオン伝導率が0.1mS/cm以上というリチウムイオン伝導性に優れた焼結体を得ることが可能となる。
【0071】
(b)Alを含み、
Gaを含まず、
1050℃の熱処理により、以下の(3)及び(4)を満たす焼結体が得られるセラミックス粉末材料。
(3)焼結体の密度が4.6g/cm
3以上
(4)測定温度30℃におけるリチウムイオン伝導率が、0.1mS/cm以上
【0072】
前記焼結体の密度は、より好ましくは4.7g/cm
3以上、さらに好ましくは4.8g/cm
3以上である。前記相対密度は、大きいほど好ましいが、例えば、5.5g/cm
3以下、5.4g/cm
3以下等である。
前記リチウムイオン伝導率は、より好ましくは0.2mS/cm以上、さらに好ましくは0.4mS/cm以上である。前記リチウムイオン伝導率は、大きいほど好ましいが、例えば、3mS/cm以下、2mS/cm以下等である。
【0073】
前記(b)の場合、1050℃という低温条件下で、相対密度が90%以上という緻密で、且つ、リチウムイオン伝導率が0.1mS/cm以上というリチウムイオン伝導性に優れた焼結体を得ることが可能となる。
【0074】
(c)Nb及びTaの少なくとも一方を含み、
Al及びGaを含まず、
1140℃の熱処理により、以下の(5)及び(6)を満たす焼結体が得られるセラミックス粉末材料。
(5)焼結体の密度が3.9g/cm
3以上
(6)測定温度30℃におけるリチウムイオン伝導率が、0.1mS/cm以上
【0075】
前記焼結体の密度は、より好ましくは4.0g/cm
3以上、さらに好ましくは4.1g/cm
3以上である。前記相対密度は、大きいほど好ましいが、例えば、5.5g/cm
3以下、5.4g/cm
3以下等である。
前記リチウムイオン伝導率は、より好ましくは0.2mS/cm以上、さらに好ましくは0.5mS/cm以上である。前記リチウムイオン伝導率は、大きいほど好ましいが、例えば、3mS/cm以下、2mS/cm以下等である。
【0076】
前記(c)の場合、Nb及びTaの少なくとも一方を含み、且つ、Al及びGaを含まないにも関わらず、1140℃という低温条件下で、焼結体の密度が3.9g/cm
3以上という緻密で、且つ、リチウムイオン伝導率が0.1mS/cm以上というリチウムイオン伝導性に優れた焼結体を得ることが可能となる。
【0077】
前記相対密度、及び、前記リチウムイオン伝導率の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0078】
本実施形態に係るセラミックス粉末材料は、上述の通り、Liの量が異なる2種類のガーネット型化合物、すなわち、前記第1のガーネット型化合物と前記第2のガーネット型化合物とを含むため、比較的低温条件下で、緻密、且つ、リチウムイオン伝導性に優れた焼結体を得ることが可能となる。
【0079】
[セラミックス粉末材料の製造方法]
以下、セラミックス粉末材料の製造方法の一例について説明する。ただし、本発明のセラミックス粉末材料の製造方法は、以下の例示に限定されない。
【0080】
本実施形態に係るセラミックス粉末材料の製造方法は、
第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを混合する工程Xを含む。
【0081】
前記工程Xにおける混合方法は、特に限定されず、従来公知の混合機を用いればよい。
【0082】
前記工程Xにおいては、第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物との混合と同時に粉砕を行ってもよい。また、前記工程Xにおいては、第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物との混合の後に、混合物の粉砕を行ってもよい。また、前記工程Xにおいては、第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とをそれぞれ別々に粉砕しておき、その後、混合を行ってもよい。
なお、セラミックス粉末材料に前記第1のガーネット型化合物、前記第2のガーネット型化合物以外の他の化合物を含ませる場合、前記他の化合物の混合タイミングは特に限定されない。つまり、前記第1のガーネット型化合物、前記第2のガーネット型化合物、前記他の化合物の混合の順番は特に限定されない。また、粉砕のタイミングについても特に限定されない。それぞれ粉砕した後に混合してもよく、混合した後に粉砕してもよい。
ただし、粉砕する場合であっても、粉砕しない場合であっても、得られるセラミックス粉末材料における細孔容積は、同等なものとなる。つまり、前記粉砕は、必須ではない。
【0083】
次に、第1のガーネット型化合物の製造方法について説明する。
【0084】
本実施形態に係る第1のガーネット型化合物の製造方法は、
下記式[1]で表され、式[1]において、M1は、Al又はGaであり、M2は、Nb又はTaであり、0≦(3x+y)≦0.5を満たす第1のガーネット型化合物の製造方法であり、
Li
7−(3x+y)M1
xLa
3Zr
2−yM2
yO
12 [1]
炭酸種の溶液とLaを構成元素とする化合物を含む溶液とを混合して沈殿物Aを含む溶液を得る第一工程、
前記沈殿物Aを含む溶液に、炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液混合させて沈殿物Bを得る第二工程、
前記沈殿物Bを500℃以上900℃以下の温度で焼成して前駆体酸化物を得る第三工程、
前記前駆体酸化物とLiを構成元素とする化合物とを混合した混合物を調製する第四工程、及び、
前記混合物を500℃以上900℃以下の温度で焼成してガーネット型化合物を得る第五工程を含む。
【0085】
<第一工程>
本実施形態に係る第1のガーネット型化合物の製造方法においては、まず、炭酸種の溶液とLaを構成元素とする化合物を含む溶液とを混合させてLaの炭酸塩である沈殿物(以下、「炭酸ランタン化合物」ともいう)を得る。
【0086】
前記炭酸種は、炭酸(H
2CO
3)、炭酸水素イオン(HCO
3−)及び炭酸イオン(CO
32−)の少なくともいずれか1種をいう。
【0087】
前記炭酸種の溶液は、炭酸種を含む化合物の溶液が挙げられる。前記炭酸種を含む化合物としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素テトラメチルアンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ガス等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で、又は任意の2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0088】
前記Laを構成元素とする化合物(以下、「La源」ともいう)としては、元素Laの水溶性塩等が挙げられる。元素Laの水溶性塩としては、硝酸ランタン、酢酸ランタン、塩化ランタン、これらの水和物等が挙げられる。上記例示列挙した化合物は単独で、又は任意の2種以上の組み合わせで用いて、純水等に溶解することにより、La源が溶解した水溶液を得ることができる。
【0089】
La源は、固体状態であっても溶液の状態であってもよい。La源が、溶液形態である場合、La源の溶媒としては、水単独であってもよいし、水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒であってもよいが、製造全体において有機溶剤を不使用にするという観点からは、水単独であることが好ましい。つまり、La源が、溶液形態である場合は、水溶液であることが好ましい。
【0090】
なお、La源を水に溶解する際には、硝酸や塩酸等の酸を用いて水溶液のpHを調整してもよい。
【0091】
第一工程においては、さらに、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、セリウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニオブ、及び、タンタルからなる群より選ばれる1種以上の元素を構成元素とする化合物(以下、「元素M
0を構成元素とする化合物」、「M
0源」ともいう)を混合してもよい。
【0092】
前記M
0源としては、イオン伝導率を高める観点からは、Nbを構成元素とする化合物、Taを構成元素とする化合物、Alを構成元素とする化合物、Gaを構成元素とする化合物が好ましい。
【0093】
M
0源としては、元素M
0の水溶性塩等が挙げられる。元素M
0の水溶性塩としては、元素M
0の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。上記例示列挙した化合物は単独で、又は任意の2種以上の組み合わせで用いて、純水等に溶解することにより、M
0源が溶解した水溶液を得ることができる。
【0094】
前記La源が溶液形態である場合、前記M
0源は、前記La源の溶液に溶解させてもよい。
【0095】
また、前記M
0源が前記炭酸種の溶液に溶解する場合には、前記炭酸種の溶液に、予め、前記M
0源を溶解させておき、その後、La源等と混合させてもよい。
【0097】
<第二工程>
第二工程においては、前記沈殿物A(炭酸ランタン化合物)を含む溶液に、炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液を混合させて沈殿物Bを得る。これにより、沈殿物(炭酸ランタン化合物)の表面にZr成分を均一に被覆させることができる。
【0098】
前記炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液は、少なくとも炭酸種を含む化合物及びジルコニウム種(Zr種)を含む化合物を混合することで調製することができる。
【0099】
前記炭酸種を含む化合物としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素テトラメチルアンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ガス等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で、又は任意の2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0100】
前記Zr種は、ジルコニウム又はジルコニウムイオンを意味する。なお、以下では上記のZr種を含む化合物を「Zr源」ともいうこととする。
【0101】
上記Zr源の具体例としては、炭酸ジルコニウムアンモニウムの結晶((NH
4)
3Zr(OH)(CO
3)
3・2H
2O)、塩基性炭酸ジルコニウム(Zr(OH)
(4−2n)(CO
3)
n・mH
2O、n=0.2〜1.0、m=1〜10)、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl
2)又はオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO
3)
2)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのZr源はいずれか1種を単独又は任意の2種以上の組み合わせで用いることができる。Zr源が上記のオキシ塩化ジルコニウム及びオキシ硝酸ジルコニウム等であれば、その水和物を用いてもよい。
【0102】
前記炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液は、炭酸種とZr種の両方を有する化合物を用いて調製することもできる。ここでいう、炭酸種とZr種の両方を有する化合物とは、例えば、上述の炭酸ジルコニウムアンモニウムの結晶((NH
4)
3Zr(OH)(CO
3)
3・2H
2O)、塩基性炭酸ジルコニウム(Zr(OH)
(4−2n)(CO
3)
n・mH
2O、n=0.2〜1.0、m=1〜10)等が挙げられる。このような炭酸種とZr種の両方を有する化合物は、Zr源であると同時に炭酸種を含む化合物としても扱うことができる。
【0103】
前記炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液を調製するにあたっては、炭酸種のジルコニウム種に対するモル比、すなわち[炭酸種のモル数/ジルコニウム種のモル数]の値が1.5以上15.0以下の範囲内となるように、上記炭酸種を含む化合物と上記Zr源を混合することが好ましい。この混合は、両者を固体状態のまま混合してから溶媒に分散させてもよいし、互いの溶液どうしを混合させる方法でもよい。また、炭酸種とZr種の両方を有する化合物を用いて調製する場合は、この化合物を溶媒に溶解させることで調製することができる。この場合、上記モル比[炭酸種のモル数/ジルコニウム種のモル数]の値が1.5以上15.0以下の範囲内、好ましくは2.0以上14.0以下の範囲内となるような、炭酸種とZr種の両方を有する化合物の種類を選定すればよい。
【0104】
ここで、上記モル比についてさらに詳述すると、「炭酸種のモル数/ジルコニウム種のモル数」とは、炭酸ジルコニウム錯体の溶液の調製に使用するすべての原料に含まれる炭酸種のモル数を、Zr源に含まれるZr元素のモル数で除した値(炭酸種のモル数/ジルコニウム種のモル数)として定義される。最終的に調製された水溶液からは、炭酸種及び後述のNR
4+種が僅かに揮発して濃度変化を生じる可能性があることを考慮したものである。尚、Zr源として炭酸ジルコニウムアンモニウムの結晶または塩基性炭酸ジルコニウム等を使用した場合は、それらに含まれる炭酸種のモル数も上記モル比に考慮する。
【0105】
上記モル比の範囲で炭酸種を含む化合物とZr源が混合されると、炭酸種はジルコニウム(IV)イオンに配位する。例えば炭酸種がCO
32−の場合は、Zr単量体錯イオン[Zr(CO
3)
n]
(2n−4)−{9≧n≧4}や、Zr二量体錯イオン[Zr
2(OH)
2(CO
3)
6]
6−等を形成すると考えられる。このようにして、炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液が得られる。また、炭酸種とZr種の両方を有する化合物を用いた場合も、上記錯イオンを形成することで炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液が得られる。尚、炭酸ジルコニウム錯イオンの形成は拡張X線吸収微細構造(EXAFS)測定やラマン分光測定、核磁気共鳴(NMR)測定等により得られる配位数や配位距離、局所構造についての情報を解析することで確認することができる。
【0106】
上記モル比[炭酸種のモル数/ジルコニウム種のモル数]は、3.0以上7.0以下であることがより好ましく、この場合、より安定な炭酸ジルコニウム錯体が形成される。
【0107】
上記炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液において、炭酸ジルコニウム錯イオンの対陽イオンの少なくとも一つは、NR
4+となるようにする。ここで、Rは、H、CH
3及びCH
2CH
2OHからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の置換基であり、各Rはすべて同一であってもよいし、全部又は一部が異なっていてもよい。このようなNR
4+の陽イオンが共存することで、炭酸ジルコニウム錯イオンが溶液中においてより安定に存在できる。NR
4+の具体例としては、アンモニウムイオン(NH
4+)、テトラメチルアンモニウムイオン((CH
3)
4N
+)、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン((CH
3)
3N(CH
2CH
2OH)
+)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの内、NR
4+としては、アンモニウムイオン(NH
4+)がその原料が安価である観点から好ましい。炭酸ジルコニウム錯イオンの対陽イオンがNR
4+となるようにするには、例えば、炭酸ジルコニウム錯イオンを含む溶液を調製する時に、NR
4+を溶液に与えることができる材料を添加すればよい。NR
4+を溶液に与えることができる材料としては、水酸化アンモニウム(NH
4OH、アンモニア水)、水酸化テトラメチルアンモニウム((CH
3)
4N(OH))、水酸化コリン((CH
3)
3N(CH
2CH
2OH)(OH))等が挙げられるが、これらに限定はされない。これらは単独でまたは任意の2種以上の組み合わせで用いることができる。上記のNR
4+を溶液に与えることができる材料には、さらに、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素テトラメチルアンモニウム、炭酸アンモニウム等のいずれか1種以上を兼用してもよい。
【0108】
炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液を調製するにあたっては、炭酸ジルコニウム錯体の形成が阻害されなければ、炭酸種を含む化合物とZr源以外の化合物、例えば、キレート化剤を添加してもよい。キレート化剤の存在により、炭酸ジルコニウム錯体の水溶液の安定性が向上し、自己加水分解反応によるZrの消費を抑制することができる。キレート化剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン類、酒石酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、グリコール酸等の有機酸類、あるいはエタノールアミン類の塩や有機酸の塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。キレート化剤とジルコニウムのモル比(キレート化剤/Zr)は、0.01〜1とすることができる。
【0109】
上記の炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液は、そのpHが7.0以上9.5以下であることが好ましい。pHが7.0以上であることで、酸性水溶液と効率よく沈殿を形成することができる。また、pHが9.5以下であることで、炭酸ジルコニウム錯体の溶液中に存在するフリーの水酸化物イオン濃度が充分に低くなり、水酸化物として沈殿が生成することを抑制することができる。pHは、炭酸ジルコニウム錯体の溶液を調製するための各種原料の配合比や、溶媒の量で調整することができ、その他、pH調整剤などを添加してpH調整してもよい。
【0110】
第二工程においては、前記沈殿物Bを調製した後、沈殿物Bを含む溶液のpHを9.0以上11.0以下の範囲に収まるように調整することが好ましい。pHの調整は、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液等を用いることができる。pHが9.0以上であると、Zrの溶出がより抑制できる。また、pHが11.0以下であると、Laの溶出をより抑制できる。pHは、沈殿物Bを含む溶液を調製するための各種原料の配合比や、溶媒の量で調整することができ、その他、アンモニア水等などを添加してpH調整してもよい。
【0111】
また、第二工程においては、前記沈殿物Bを調製し、必要に応じてpH調整を行った後、90〜200℃の範囲内において加熱を行ってもよい。加熱時間としては、30〜60分が好ましい。前記加熱を行うことで、Zrの収率を向上できる。
【0112】
その後、得られた前記沈殿物Bを含むスラリーの吸引ろ過を行い、濾物を純水等で洗浄し、水分を除去して前記沈殿物Bをスラリーから分離する。
【0113】
<第三工程>
第三工程においては、前記沈殿物Bを500℃以上900℃以下の温度で焼成して前駆体酸化物を得る。
【0114】
<第四工程>
第四工程においては、前記前駆体酸化物とLiを構成元素とする化合物とを混合した混合物を調製する。
なお、混合の際、混合物を粉砕してもよい。ただし、前記混合物を粉砕する場合であっても、粉砕しない場合であっても、得られる第1のガーネット型化合物における細孔容積は、同等なものとなる。つまり、前記混合物の粉砕は、必須ではない。
【0115】
前記Liを構成元素とする化合物(以下、「Li源」ともいう)としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、クエン酸リチウム(Li
3C
6H
5O
7)、シュウ酸リチウム(Li
2(COO)
2)等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、Li源として上記列挙した各種Li塩を用いる場合は、それらの水和物であってもよい。
【0116】
<第五工程>
第五工程においては、前記混合物を500℃以上900℃以下の温度で焼成してガーネット化合物を得る。焼成は、例えば、大気雰囲気下で行うことができる。前記焼成温度は、600℃以上が好ましく、700℃以上がより好ましい。前記焼成温度は、900℃以下が好ましく、850℃以下がより好ましい。得られた焼成物は、第1のガーネット型化合物である。そして、焼成を900℃以下の温度で行うことで、得られる第1のガーネット型化合物は、粒子の形態になり得るものである。得られた焼成物である第1のガーネット型化合物が粒子の形態であることは、走査電子顕微鏡観察により確かめることができる。
【0117】
前記第1のガーネット型化合物は、粒成長が抑制され、かつ、5〜15μm程度の凝集を有する前駆体酸化物から作成されたガーネット型化合物を含むことにより、細孔容積0.4mL/g以上を達成することができる。
【0118】
5〜15μm程度の凝集を有する前駆体酸化物を得る方法としては、第一工程において、前駆体酸化物の骨格を成す沈殿物A(ランタン塩)をある程度粗粒化させる方法が挙げられる。
具体的には、第一工程において、炭酸種の溶液に、La源を添加する際の速度を早くする、攪拌速度を遅くする、La源液の濃度を濃くする、La源投入時の温度を高くする、塩基性溶液側の濃度を高くすること等が挙げられる。
より具体的には、La源を添加する際の速度を炭酸種の溶液100mLに対して5〜10g/minに設定する、La源液の濃度を10〜20質量%に設定する、La源投入時の温度を40〜90℃に設定する、塩基性溶液側の濃度を10〜20質量%に設定すること等が挙げられる。
【0119】
また、粒成長が抑制された前駆体酸化物を得る方法としては、第二工程において、沈殿物A(ランタン塩)の表面にZr元素を均一に被覆させる方法が挙げられる。沈殿物A(ランタン塩)の表面にZr元素を均一に被覆させるには、比較的緩やかな条件が好ましい。
具体的には、第二工程において、沈殿物Aに炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液を添加するタイミング、添加時の温度、添加時の昇温、エージング、pHを調整する等が挙げられる。
より具体的には、沈殿物Aに炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液を添加する際の温度を40〜90℃に設定する、昇温後のエージング時間を30〜180分に設定する、pHを9〜11の範囲に設定する等が挙げられる。
【0120】
以上、前記第1のガーネット型化合物の製造方法の一例につき、説明した。
【0121】
次に、第2のガーネット型化合物の製造方法について説明する。
【0122】
本実施形態に係る第2のガーネット型化合物の製造方法は、
下記式[1]で表され、式[1]において、M1は、Al又はGaであり、M2は、Nb又はTaであり、0.5<(3x+y)≦1.5を満たす第2のガーネット型化合物の製造方法であり、
Li
7−(3x+y)M1
xLa
3Zr
2−yM2
yO
12 [1]
炭酸種の溶液とLaを構成元素とする化合物とを混合して沈殿物Aを含む溶液を得る第一工程、
前記沈殿物Aを含む溶液に、炭酸ジルコニウム錯体を含む溶液混合させて沈殿物Bを得る第二工程、
前記沈殿物Bを500℃以上900℃以下の温度で焼成して前駆体酸化物を得る第三工程
前記前駆体酸化物とLiを構成元素とする化合物とを混合した混合物を調製する第四工程、及び、
前記混合物を500℃以上900℃以下の温度で焼成してガーネット型化合物を得る第五工程を含む。
【0123】
本実施形態に係る第2のガーネット型化合物の製造方法では、各工程において添加する化合物の量を、第1のガーネット型化合物の製造方法と異ならせること以外は、前記第1のガーネット型化合物の製造方法と同様である。
具体的に、第1のガーネット型化合物の製造方法では、上記式[1]におけるx、yが0≦(3x+y)≦0.5を満たすように、各工程において添加する化合物の量を調整する。一方、第2のガーネット型化合物の製造方法では、上記式[1]におけるx、yが0.5<(3x+y)≦1.5を満たすように、各工程において添加する化合物の量を調整する。
【0124】
以上、前記第2のガーネット型化合物の製造方法の一例につき、説明した。
【0125】
[成型体]
本実施形態に係る成型体は、前記セラミックス粉末材料を必要に応じて解砕した後、加圧することにより得られる。なお、前記セラミックス粉末材料の製造時において(具体的には工程Xにおいて)、第1のガーネット型化合物及び第2のガーネット型化合物を粉砕している場合には、解砕は行わなくてもよい。第1のガーネット型化合物及び第2のガーネット型化合物は、細孔容積が0.4mL/g以上1.0mL/g以下である場合、容易に解砕することができるため、当該セラミックス粉末材料を加圧することにより得られる成型体は、より緻密な成型体となる。
【0126】
前記成型圧は特に限定されず、0.5t/cm
2以上5t/cm
2以下、0.8t/cm
2以上2t/cm
2以下等とすることができる。
【0127】
前記セラミックス粉末材料を成型するにあたっては、市販の金型成型機や冷間等方圧加圧法(CIP)を採用できる。また、一旦、解砕後のセラミックス粉末材料を金型成型機で仮成型した後、CIP等のプレス成型で本成型してもよい。
【0128】
成型体の製造において、前記セラミックス粉末材料を加圧する前に、必要に応じて、成型性を向上させるためにバインダーを添加してもよい。
前記バインダーとしては、有機系バインダーが好ましい。有機系バインダーは、酸化雰囲気の加熱炉にて成型体から除去しやすく、脱脂体を得ることができるので、最終的に焼結体中に不純物が残存しにくくなる。
前記有機系バインダーとしては、アルコールに対して溶解するもの、又は、アルコール、水、脂肪族ケトン及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる2種以上の混合液に対して溶解するものが挙げられる。前記有機系バインダーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、グリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル及びプロピオン酸ビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。前記有機系バインダーは、さらに、アルコールもしくは上記混合液に対して不溶である1種以上の熱可塑性樹脂を含んでもよい。
【0129】
[焼結体]
本実施形態に係る焼結体は、前記セラミックス粉末材料(前記成型体)を焼結させることにより得られる。前記焼結時の熱処理温度、及び、時間は特に限定されないが、前記セラミックス粉末材料を用いるため、焼結温度の下限を低くすることができる。例えば、焼結温度を900〜1150℃と低温に設定することができる。前記焼結温度は、より好ましくは1050℃以下であり、さらに好ましくは1000℃以下である。焼結温度は、より好ましくは930℃以上であり、さらに好ましくは950℃以上である。
【0130】
前記焼結体の密度は、3.9g/cm
3以上であることが好ましい。
特に、前記焼結体がGaを含む場合、前記焼結体の密度は、4.6g/cm
3であることが好ましく、4.7g/cm
3以上であることがより好ましく、4.8g/cm
3以上であることがさらに好ましい。
また、前記焼結体がAlを含み、Gaを含まない場合、前記焼結体の密度は、4.6g/cm
3以上であることが好ましく、4.7g/cm
3以上であることがより好ましく、4.8g/cm
3以上であることがさらに好ましい。
また、前記焼結体がNb及びTaの少なくとも一方を含み、Al及びGaを含まない場合、前記焼結体の密度は、3.9g/cm
3以上であることが好ましく、4.0g/cm
3%以上であることがより好ましく、4.1g/cm
3%以上であることがさらに好ましい。
前記焼結体の密度は、高いほど好ましいが、例えば、5.5g/cm
3%以下、5.4g/cm
3以下等である。
【0131】
前記焼結体の測定温度30℃におけるリチウムイオン伝導率は、0.1mS/cm以上であることが好ましい。
特に、前記焼結体がGaを含む場合、前記焼結体のリチウムイオン伝導率は、0.3mS/cm以上であることが好ましく、0.6mS/cm以上であることがより好ましく、1.0mS/cm以上であることがさらに好ましい。
また、前記焼結体がAlを含み、Gaを含まない場合、前記焼結体のリチウムイオン伝導率は、0.2mS/cm以上であることが好ましく、0.4mS/cm以上であることがより好ましく、0.5mS/cm以上であることがさらに好ましい。
また、前記焼結体がNb及びTaの少なくとも一方を含み、Al及びGaを含まない場合、前記焼結体のリチウムイオン伝導率は、0.2mS/cm以上であることが好ましく、
0.5mS/cm以上であることがより好ましく、1.0mS/cm以上であることがさらに好ましい。
前記焼結体のリチウムイオン伝導率は、高いほど好ましいが、例えば、3.0mS/cm以下、2.0mS/cm以下等である。
【0132】
前記焼結体のリチウムイオン伝導の活性化エネルギー(Ea)は、40kJ/mol以下であることが好ましい。
特に、前記焼結体がGaを含む場合、前記Eaは、30kJ/mol以下であることが好ましく、25kJ/mol以下であることがより好ましく、20kJ/mol以下であることがさらに好ましい。
また、前記焼結体がAlを含み、Gaを含まない場合、前記焼結体のEaは、30kJ/mol以下であることが好ましく、25kJ/mol以下であることがより好ましく、20kJ/mol以下であることがさらに好ましい。
また、前記焼結体がNb及びTaの少なくとも一方を含み、Al及びGaを含まない場合、前記焼結体のEaは、35kJ/mol以下であることが好ましく、30kJ/mol以下であることがより好ましく、25kJ/mol以下であることがさらに好ましい。
前記焼結体のEaは、低いほど好ましいが、例えば、10kJ/mol以上、15kJ/mol以上等である。
【0133】
[全固体リチウムイオン二次電池]
次に、全固体リチウムイオン二次電池の実施形態の一例について説明する。
【0134】
本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池は、
正極活物質を含有する正極層と、
負極活物質を含有する負極層と、
前記正極層及び前記負極層の間に介在される固体電解質層と、を備える。
そして、前記正極層、前記負極層及び前記固体電解質層の少なくとも一つの層が、上記焼結体を備える。
【0135】
以下、本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池について、構成ごとに説明する。
【0136】
(正極層)
正極層は少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、リチウムイオン伝導性材料、電子伝導助剤および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
【0137】
正極層に含まれるリチウムイオン伝導性材料は、上記セラミックス粉末材料を焼結して得られる焼結体であることが好ましい。正極層における前記焼結体の含有量は特に限定されないが、例えば、正極層全体に対して0.1体積%〜80体積%の範囲内とすることができる。この内、好ましくは1体積%〜60体積%の範囲内であり、より好ましくは10体積%〜50体積%の範囲内である。正極層の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。正極層が0.1μmより薄いと全固体リチウムイオン二次電池の容量を大きくしにくく、1000μmを超過した厚みからなると均質な層を形成しにくくなる。
【0138】
正極活物質は電気化学的なLiイオンの吸蔵・放出が可能な材料であれば特に限定されないが、全固体リチウムイオン二次電池の容量を大きくする観点から、理論容量の大きな硫黄や硫化リチウム(Li
2S)を用いることが好ましい。また、全固体リチウムイオン二次電池の作動電圧を高くする観点からLi含有酸化物材料を用いてもよい。具体的には、LiCoO
2、LiMnO
2、LiNiO
2、LiVO
2、Li(Ni
xCo
yMn
z)O
2(x+y+z=1)、Li(Ni
xCo
yAl
z)O
2(x+y+z=1)等の層状岩塩型酸化物、LiMn
2O
4、Li(Ni
0.5Mn
1.5)O
4等のスピネル型酸化物、LiFePO
4、LiMnPO
4、LiNiPO
4、LiCuPO
4等のオリビン型リン酸塩、Li
2FeSiO
4、Li
2MnSiO
4等のケイ酸塩等を用いることができる。正極活物質としては上述した材料を単独で用いてもよく、または任意の2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0139】
正極層における正極活物質の含有量は、例えば正極層全体に対して10体積%〜99体積%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、20体積%〜99体積%の範囲内である。また、正極活物質の形状としては、例えば粒子形状とすることができる。その平均粒径は、例えば0.05μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0140】
正極層は正極活物質およびリチウムイオン伝導性材料の他に、電子伝導助剤および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。電子伝導助剤としては電子伝導性の高い材料が好ましく、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバ等を挙げることができる。また、結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等を用いることができる。
【0141】
正極層はその構成成分(上述した正極活物質、リチウムイオン伝導性材料、電子伝導助剤および結着材等)を混合し、成形することで作製することができる。この際、必要に応じて焼結を行ってもよい。正極層の構成成分の混合方法は特に限定されず、一般的な粉体技術であれば使用することができる。この際、水または任意の有機溶媒を分散溶媒として使用してもよい。さらに、正極層の構成成分の混合物を成形及び焼結する方法は特に限定されず、一般的に知られている成形及び焼結の方法を用いることができる。また、正極層は固体電解質層の上に作製してもよい。この場合、正極層の焼結は固体電解質層との一体焼結の形式で行うことができる。ここで、一体焼結とは、「固体電解質層を構成するリチウムイオン伝導性材料」または「正極層の構成成分の混合物」の一方を成形し、その上に他方を成形して、必要に応じてプレスを行った後に、焼結を行う方法である。
【0142】
正極層の集電を行う正極集電体は、例えば正極層の固体電解質層が配置される面と逆側の面に設けることができる。正極集電体の材料としては、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、鉄及びカーボン等を挙げることができる。この内、ステンレススチールが好ましい。
【0143】
(負極層)
負極層は少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、リチウムイオン伝導性材料、電子伝導助剤および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
【0144】
負極層に含まれるリチウムイオン伝導性材料は、上記焼結体(上記セラミックス粉末材料を焼結して得られる焼結体)であることが好ましい。負極層における前記焼結体の含有量は特に限定されないが、例えば、負極層全体に対して0.1体積%〜80体積%の範囲内とすることができる。この内、好ましくは1体積%〜60体積%の範囲内であり、より好ましくは10体積%〜50体積%の範囲内である。負極層の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
【0145】
負極活物質は電気化学的なLiイオンの吸蔵・放出が可能な材料であれば特に限定されないが、全固体リチウムイオン二次電池の容量を大きくする観点から、理論容量の大きな金属材料を用いることが好ましい。金属材料としては例えばLi、Si、Sn、In等の金属及びこれらの合金を挙げることができる。この内、金属Liが最も理論容量が大きいために好ましい。また、電池の可逆作動に優れたチタン酸化物やチタン酸リチウム等のTi系材料を用いてもよい。Ti系材料の具体例としては、TiO
2、H
2Ti
12O
25、Li
4Ti
5O
12等が挙げられる。さらに、安価な炭素系材料を用いることもできる。炭素系材料の具体例としては、天然黒鉛、人工黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられる。負極活物質としては上述した材料を単独で用いてもよく、または任意の2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0146】
負極層における負極活物質の含有量は、例えば負極層全体に対して10体積%〜99体積%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、20体積%〜99体積%の範囲内である。また、負極活物質の形状としては、例えば粒子形状や箔形状、膜形状等とすることができる。負極活物質の形状が粒子形状の場合、その平均粒径は、例えば0.05μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0147】
負極層は負極活物質およびリチウムイオン伝導性材料の他に、電子伝導助剤および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。電子伝導助剤及び結着材としては、上述した正極層に用いられるものを同様に用いることができる。
【0148】
負極層はその構成成分(上述した負極活物質、リチウムイオン伝導性材料、電子伝導助剤および結着材等)を混合し、成形することで作製することができる。この際、必要に応じて焼結を行ってもよい。負極層の構成成分の混合方法は特に限定されず、一般的な粉体プロセスであれば使用することができる。この際、水または任意の有機溶媒を分散溶媒として使用してもよい。さらに、負極層の構成成分の混合物を成形及び焼結する方法は特に限定されず、一般的に知られている成形及び焼結の方法を用いることができる。尚、負極活物質の形状が箔形状または膜形状等である場合、上述した負極層の形成方法により負極層を形成してもよいが、負極活物質自身を単独で負極層と見なしてもよい。また、負極層は固体電解質層の上に作製してもよい。この場合、負極層の焼結は固体電解質層との一体焼結の形式で行うことができる。ここで、一体焼結とは、「後述する固体電解質層を構成するリチウムイオン伝導性材料」または「負極層の構成成分の混合物」の一方をまず成形し、その上に他方を成形して焼結を行う方法である。
【0149】
負極層の集電を行う負極集電体は、例えば負極層における固体電解質層が配置される面と逆側の面に設けることができる。負極集電体の材料としては、例えば、ステンレススチール、銅、ニッケル及びカーボン等を挙げることができる。この内、ステンレススチールが好ましい。
【0150】
(固体電解質層)
固体電解質層は、正極層および負極層の間に介在される層であり、リチウムイオン伝導性材料から構成される層である。固体電解質層に含まれるリチウムイオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0151】
固体電解質層に含まれるリチウムイオン伝導性材料は、上記焼結体(上記セラミックス粉末材料を焼結して得られる焼結体)であることが好ましい。固体電解質層における上記焼結体の含有量は、電子伝導性が十分に抑制できる割合であれば特に限定されないが、例えば、50体積%〜100体積%の範囲内であることが好ましい。
【0152】
固体電解質層には上記焼結体以外のリチウムイオン伝導性材料を含有することもできる。具体的には、Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3、Li
1.5Al
0.5Ge
1.5(PO
4)
3、LiZr
2(PO
4)
3、Li
1.2Ca
0.1Zr
1.9(PO
4)
3、Li
1.15Y
0.15Zr
1.85(PO
4)
3等のNASICON型化合物、Li
2O−B
2O
3系ガラス、Li
2O−SiO
2系ガラス、Li
2O−P
2O
5系ガラス、Li
2.9PO
3.3N
0.46ガラス(LIPON)等のリチウムイオン伝導性酸化物ガラス、Li
2S−B
2S
3系ガラス、Li
2S−SiS
2系ガラス、Li
2S−P
2S
5系ガラス等のリチウムイオン伝導性硫化物ガラスを挙げることができる。リチウムイオン伝導性酸化物ガラス及びリチウムイオン伝導性硫化物ガラスは結晶化させてガラスセラミック材料として使用することもできる。
【0153】
固体電解質層の厚さは全固体リチウムイオン二次電池の短絡を防ぐことができる厚さであれば特に限定されないが、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内とすることができる。この内、0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
【0154】
固体電解質層は上述したリチウムイオン伝導性材料を成形し焼結することで作製することができる。固体電解質層を構成するリチウムイオン伝導性材料の成形及び焼結の方法は特に限定されず、一般的に知られている成形及び焼結の方法を用いることができる。焼結温度は特に限定されないが、例えばリチウムイオン伝導性材料が上述したセラミックス粉末材料である場合、700〜1200℃の範囲の温度であることが好ましく、700〜1100℃の範囲の温度であることがより好ましく、700〜1000℃の範囲の温度であることがさらに好ましい。ただし、Liの溶融・揮発を伴う分解反応抑制の観点から、1050℃以下が好ましく、1000℃以下がより好ましい。固体電解質層の焼結密度は理論密度に対して60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらにより好ましくは90%以上である。焼結密度が大きいほど抵抗を抑制できるためである。固体電解質層の焼結を行う際は、上述した正極層または負極層の少なくとも一つと一体焼結することが好ましい。一体焼結により層界面の抵抗を小さくすることができるためである。
【0155】
(全固体リチウムイオン二次電池の構成)
全固体リチウムイオン二次電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等にすることができる。
【0156】
本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池を製造する方法は、上述した全固体リチウムイオン二次電池を構築できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な全固体リチウムイオン二次電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、上述した正極層、固体電解質層、及び負極層をこの順番に積層することで、本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池が製造される。
【0157】
本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池によれば、上記焼結体を含有することにより、ガーネット型化合物の高いリチウムイオン伝導度に起因して電池の内部抵抗が抑制され、レート特性等の電池性能が向上する。また、セラミックス粉末材料は微粒子の形態であるため、電極層内に含有されることで電極活物質との接触界面が十分に確保できる。従って、電極活物質へのイオン伝導経路が良好に構築され、電池反応に寄与できない電極活物質の割合が減少するために、電池のエネルギー密度が向上する。
上述した実施形態では、上記セラミックス粉末材料を全固体リチウムイオン二次電池に用いる場合について説明した。しかしながら、本発明に係る電池は、上記セラミックス粉末材料を焼結して得られた焼結体を有する限り、全固体リチウムイオン二次電池に限定されない。
【実施例】
【0158】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0159】
なお、以下の実施例で示される各成分の含有量の最大値、最小値は、他の成分の含有量に関係なく、本発明の好ましい最小値、好ましい最大値と考慮されるべきである。
また、以下の実施例で示される測定値の最大値、最小値は、各成分の含有量(組成)に関係なく、本発明の好ましい最小値、最大値であると考慮されるべきである。
【0160】
[原料]
実施例のセラミックス粉末材料を製造するために、以下の原料を準備した。
【0161】
<La源>
硝酸ランタン水溶液(La濃度:16質量%)
<Zr源>
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(Zr濃度:10質量%)
<Nb源>
シュウ酸ニオビウムアンモニウム水溶液(Nb濃度:5質量%)
組成式:[NH
4(NbO(C
2O
4)
2(H
2O)
2)(H
2O)
3]
<Al源>
硝酸アルミニウム水溶液(Al濃度:10質量%)
<Ga源>
硝酸ガリウム水溶液(Ga濃度:10質量%)
<Li源>
水酸化リチウム1水和物(粉末)
【0162】
なお、ジルコニウムを含む化合物は通常、混入不可避の成分としてハフニウム成分を含有している。上記原料及び下記実施例、比較例で得られたセラミックス粉末材料にはハフニウムがジルコニウムに対してモル比(Hfのモル数/Zrのモル数)として0.03の割合で含まれている。そして、製造されたセラミックス粉末材料においては、ハフニウム成分は不純物化合物として観測されることはなく、その結晶構造中のジルコニウム位置に存在していると考えられる。従って、下記実施例、比較例では、特に断りのない限り、Zr濃度はジルコニウムとハフニウムの濃度の和として表記している。また、組成比中のZrはジルコニウムとハフニウムの和を意味している。
【0163】
[セラミックス粉末材料の作製]
(実施例1)
<第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
炭酸水素アンモニウム50.0gを水200gに溶解させた。そこへ硝酸ランタン水溶液83.41gと硝酸ガリウム水溶液2.23gの混合溶液を、8.5g/minの速度で滴下して沈殿物Aを得た(第一工程)。その後、得られた沈殿物Aに炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液58.97gを、0.5g/minの速度で滴下し、沈殿物Bを含むスラリーを得た(第二工程)。次に、pHが9.5〜10の範囲に収まるように、アンモニア水を用いてpHを調整した後、90℃で180分間加熱した。
得られた沈殿物Bを含むスラリーの吸引ろ過を行い、濾物を純水2000mLで洗浄し、水分を除去して沈殿物Bをスラリーから分離した。得られた沈殿物Bを800℃で5時間焼成することで第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た(第三工程)。
<第1のガーネット型化合物の作製>
前記第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物9.0gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
【0164】
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を81.99gに、硝酸ガリウム水溶液の添加量を8.78gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を57.96gに変更したこと以外は、上記「第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物7.66gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
なお、各原料から算出される、第1のガーネット型化合物、第2のガーネット型化合物の組成は、表1の通りである。以下で説明する、実施例、比較例の第1のガーネット型化合物、第2のガーネット型化合物の組成も同様に表1に示す。また、第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを混合したセラミックス粉末材料全体の組成についても、表1に示す。
【0165】
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
第1のガーネット型化合物10g、第2のガーネット型化合物10gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例1に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0166】
(実施例2)
<第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
炭酸水素アンモニウム50.0gを水200gに溶解させた。そこへ硝酸ランタン水溶液83.90gを、8.5g/minの速度で滴下して沈殿物Aを得た(第一工程)。その後、得られた沈殿物Aに炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液59.31gを、0.5g/minの速度で滴下し、沈殿物Bを含むスラリーを得た(第二工程)。次に、pHが9.5〜10の範囲に収まるように、アンモニア水を用いてpHを調整した後、90℃で180分間加熱した。
得られた沈殿物Bを含むスラリーの吸引ろ過を行い、濾物を純水2000mLで洗浄し、水分を除去して沈殿物Bをスラリーから分離した。得られた沈殿物Bを800℃で5時間焼成することで第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た(第三工程)。
<第1のガーネット型化合物の作製>
前記第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物9.46gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
【0167】
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
第1のガーネット型化合物7.5g、実施例1の第2のガーネット型化合物12.5gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例2に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0168】
(実施例3)
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
炭酸水素アンモニウム50.0gを水200gに溶解させた。そこへ硝酸ランタン水溶液83.65gと硝酸アルミニウム水溶液3.47gの混合溶液を、8.5g/minの速度で滴下して沈殿物Aを得た(第一工程)。その後、得られた沈殿物Aに炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液59.14gを、0.5g/minの速度で滴下し、沈殿物Bを含むスラリーを得た(第二工程)。次に、pHが9.5〜10の範囲に収まるように、アンモニア水を用いてpHを調整した後、90℃で180分間加熱した。
得られた沈殿物Bを含むスラリーの吸引ろ過を行い、濾物を純水2000mLで洗浄し、水分を除去して沈殿物Bをスラリーから分離した。得られた沈殿物Bを800℃で5時間焼成することで第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た(第三工程)。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物7.81gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第2のガーネット型化合物を得た。
【0169】
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例2の第1のガーネット型化合物7.5g、第2のガーネット型化合物12.5gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例3に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0170】
(実施例4)
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を83.71gに、硝酸アルミニウム水溶液の添加量を2.6gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を59.18gに変更したこと以外は、実施例3に記載した「第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物8.23gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
【0171】
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例2の第1のガーネット型化合物4g、第2のガーネット型化合物16gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例4に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0172】
(実施例5)
<第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
炭酸水素アンモニウム50.0gを水200gに溶解させ、シュウ酸ニオビウムアンモニウム水溶液12.85gを加えた。そこへ硝酸ランタン水溶液83.97gを、8.5g/minの速度で滴下して沈殿物Aを得た(第一工程)。その後、得られた沈殿物Aに炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液54.98gを、0.5g/minの速度で滴下し、沈殿物Bを含むスラリーを得た(第二工程)。次に、pHが9〜11の範囲に収まるように、アンモニア水を用いてpHを調整した後、90℃で180分間加熱した。
得られた沈殿物Bを含むスラリーの吸引ろ過を行い、濾物を純水2000mLで洗浄し、水分を除去して沈殿物Bをスラリーから分離した。得られた沈殿物Bを800℃で5時間焼成することで第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た(第三工程)。
<第1のガーネット型化合物の作製>
前記前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物9.26gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
【0173】
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を84.28gに、シュウ酸ニオブアンモニウム水溶液の添加量を55.89gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を40.27gに変更したこと以外は、上記「第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物8.62gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第2のガーネット型化合物を得た。
【0174】
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
第1のガーネット型化合物6g、第2のガーネット型化合物14gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例5に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0175】
(実施例6)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例5の第1のガーネット型化合物10g、実施例5の第2のガーネット型化合物10gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例6に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0176】
(実施例7)
<第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を84.19gに、シュウ酸ニオブアンモニウム水溶液の添加量を42.95gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を44.69gに変更したこと以外は、実施例5に記載した「第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第1のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物8.81gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
【0177】
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を82.44gに、硝酸ガリウム水溶液の添加量を5.7gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を57.89gに変更したこと以外は、実施例1に記載した「第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物8.61gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第1のガーネット型化合物を得た。
【0178】
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
第1のガーネット型化合物2g、実施例1の第2のガーネット型化合物18gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例7に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0179】
(実施例8)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例7の第1のガーネット型化合物4g、実施例7の第2のガーネット型化合物16gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例8に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0180】
(実施例9)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例7の第1のガーネット型化合物8g、実施例7の第2のガーネット型化合物12gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例9に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0181】
(実施例10)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例7の第1のガーネット型化合物10g、実施例7の第2のガーネット型化合物10gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例10に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0182】
(実施例11)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例2の第1のガーネット型化合物3.8g、実施例4の第2のガーネット型化合物15.6g、酸化カルシウム0.6を80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例11に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0183】
(実施例12)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例2の第1のガーネット型化合物4g、実施例4の第2のガーネット型化合物16g、酸化マグネシウム0.04gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例12に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0184】
(実施例13)
<第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料の作製>
実施例2の第1のガーネット型化合物3.96g、実施例4の第2のガーネット型化合物15.8g、参加イットリウム0.2gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで実施例13に係るセラミックス粉末材料を得た。
【0185】
(比較例1)
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を82.69gに、硝酸ガリウム水溶液の添加量を5.53gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を58.46gに変更したこと以外は、実施例1に記載した「第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物8.32gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第2のガーネット型化合物を得た。作製した第2のガーネット化合物20g80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで比較例1に係るセラミックス粉末材料を得た。
なお、比較例1のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)は、実施例1のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)と同一となるように調整している。
【0186】
(比較例2)
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
硝酸ランタン水溶液の添加量を83.74gに、硝酸アルミニウム水溶液の添加量を2.17gに、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液の添加量を59.2gに変更したこと以外は、実施例3に記載した「第1のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製」と同様の手法により第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物8.43gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第2のガーネット型化合物を得た。
作製した第2のガーネット化合物20gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで比較例2に係るセラミックス粉末材料を得た。
なお、比較例2のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)は、実施例3のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)と同一となるように調整している。
【0187】
(比較例3)
実施例7の第1のガーネット化合物20gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで比較例3に係るセラミックス粉末材料を得た。
なお、比較例3のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)は、実施例5のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)と同一となるように調整している。
【0188】
(比較例4)
<第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物の作製>
炭酸水素アンモニウム50.0gを水200gに溶解させ、シュウ酸ニオビウムアンモニウム水溶液4.61gを加えた。そこへ硝酸ランタン水溶液80.31gを、8.5g/minの速度で滴下して沈殿物Aを得た(第1工程)。その後、得られた沈殿物Aに炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液57.86gを、0.5g/minの速度で滴下し、沈殿物Bを含むスラリーを得た(第2工程)。次に、pHが9〜11の範囲に収まるように、アンモニア水を用いてpHを調整した後、90℃で180分間加熱した。
得られた沈殿物Bを含むスラリーの吸引ろ過を行い、濾物を純水2000mLで洗浄し、水分を除去して沈殿物Bをスラリーから分離した。得られた沈殿物Bを800℃で5時間焼成することで第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物を得た(第三工程)。
<第2のガーネット型化合物の作製>
前記第2のガーネット型化合物の前駆体酸化物と水酸化リチウム・一水和物9.08gとを、ボールミルにより粉砕混合した(第四工程)。その後、800℃で3時間焼成(第五工程)することで、第2のガーネット型化合物を得た。
作製した第2のガーネット化合物20gを80mLのマグネシア安定化ジルコニア容器に投入し、イットリア安定化ジルコニアボール(直径5mm)100gを加えた後、遊星ボールミル(粉砕機;FRITSCH社製、Pulverisette)により粉砕混合することで比較例4に係るセラミックス粉末材料を得た。
なお、比較例4のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)は、実施例8のセラミックス粉末材料の組成(各元素のモル比)と同一となるように調整している。
【0189】
[細孔容積の測定]
実施例、比較例の第1のガーネット型化合物、第2のガーネット型化合物について、細孔分布測定装置(「オートポアIV9500」マイクロメリティクス製)を用い、水銀圧入法にて細孔分布を得た。測定条件は下記の通りとした。なお、測定の前処理としてセラミックス粉末材料を200℃で3時間、減圧乾燥を行った。
<測定条件>
測定装置:細孔分布測定装置(マイクロメリティクス製オートポアIV9500)
サンプリング量:0.5〜0.7g
測定範囲:0.0036〜10.3μm
測定点数:120点
水銀接触角:140degrees
水銀表面張力:480dyne/cm
測定温度 :25℃
測定圧力 :0.0155〜27.46MPa
【0190】
得られた細孔分布を用い、細孔容積を求めた。結果を表1に示す。
【0191】
[比表面積の測定]
実施例、比較例の第1のガーネット型化合物、第2のガーネット型化合物の比表面積を、比表面積計(「マックソーブ」マウンテック製)を用いてBET法にて測定した。結果を表1に示す。
【0192】
[粒子径の測定]
実施例、比較例のセラミックス粉末材料0.1gをレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(「LA−950」HORIBA社製)に投入し、粒子径D
50を測定した。結果を表1に示す。
測定装置の条件は、以下の通りとした。
分散媒 :イオン交換水
屈折率 :2.09
粒子径基準:体積
測定上限 :3000μm
測定下限 :0.01μm
【0193】
【表1】
【0194】
[結晶相の同定]
(熱処理前のセラミックス粉末材料の結晶相)
実施例、比較例のセラミックス粉末材料について、X線回折装置(「RINT2500」リガク製)を用い、X線回折スペクトルを得た。測定条件は下記の通りとした。
<測定条件>
測定装置:X線回折装置(リガク製、RINT2500)
線源:CuKα線源
管電圧:50kV
管電流:300mA
走査速度:4°(2θ)/min
【0195】
上記X線回折スペクトル測定の結果、実施例、比較例のセラミックス粉末材料は、ガーネット型構造を有することが確認できた。
【0196】
[焼結体の作製]
まず、実施例、比較例のセラミックス粉末材料を冷間等方圧加圧法(CIP)にて加圧し、成型体を得た。成型条件は、成型圧2t/cm
2、加圧時間2分とした。
次に、前記成型体を焼結させ、焼結体を得た。
実施例1、実施例2、実施例7〜実施例10、比較例1、比較例4の焼結条件は、950℃にて25時間とした。
実施例3、実施例4、実施例11〜実施例13、比較例2の焼結条件は、1050℃にて25時間とした。
実施例5、実施例6、比較例3の焼結条件は、1140℃にて25時間とした。
【0197】
[SEM画像]
前記「焼結体の作製」で得られた焼結体の断面をSEM観察した。
図1に、実施例1の焼結体のSEM画像を、
図2に、実施例3の焼結体のSEM画像を、
図3に、実施例5の焼結体のSEM画像を、
図4に、実施例8の焼結体のSEM画像を、
図5に、比較例1の焼結体のSEM画像を、
図6に、比較例2の焼結体のSEM画像を、
図7に、比較例3の焼結体のSEM画像を、
図8に、比較例4の焼結体のSEM画像を示す。
図1〜
図8から明らかなように、実施例の焼結体は、比較例の焼結体と比較して、空隙が少なく緻密な焼結体となっていることが確認された。
【0198】
[焼結体の密度]
作製した焼結体の密度を、焼結体の重量及び体積を計測することで算出した。結果を表2に示す。
【0199】
[焼結体のイオン伝導率の測定]
前記「焼結体の作製」で得られた焼結体について、イオン伝導率の測定を行った。
具体的に、円柱状の焼結体の両面に導電性カーボンペーストを塗布、乾燥して電極を形成した。これを白金線に接続したステンレススチール製のプレートで挟んで固定し、大気雰囲気の恒温槽中に保持して、下記の条件で交流インピーダンス測定することにより、30〜60℃の各温度での焼結体のイオン伝導率(σ
T)を得た。この際の温度30℃でのイオン伝導率(σ
T(30℃))を表2に示す。なお、比較例3は焼結体の密度が低いために測定できなかった。
<交流インピーダンス測定条件>
装置名:ソーラトロン製の周波数応答アナライザ(1255B型)及びポテンショガルバノスタット(1287型)
測定周波数領域:1Hz〜1MHz
測定温度域:30〜60℃
【0200】
[リチウムイオン伝導の活性化エネルギー(Ea)]
リチウムイオン伝導の活性化エネルギー(Ea)は、上記「焼結体のイオン伝導率の測定」で算出したσ
Tの温度依存性より算出した。すなわち、横軸を温度、縦軸をイオン伝導率の対数(log[イオン伝導率])とし、30℃、40℃、50℃、60℃でのイオン伝導率をプロットし、アレニウス(Arrhenius)の式:σ=σ
0exp(−Ea/RT)(σ:リチウムイオン伝導度、σ
0:頻度因子、R:気体定数、T:絶対温度)を用いて、リチウムイオン伝導度の温度依存性を示すグラフ(アレニウスプロット)の傾きより算出した。結果を表2に示す。なお、比較例3は焼結体の密度が低いために測定できなかった。
【0201】
組成(各元素のモル比)が同一である実施例1と比較例1との対比、実施例3と比較例2との対比、実施例5と比較例3との対比、実施例8と比較例4との対比より、第1のガーネット型化合物と第2のガーネット型化合物とを含むセラミックス粉末材料から得られた焼結体は、第1のガーネット型化合物のみ、又は、第2のガーネット型化合物のみから得られた焼結体と比較して、高いリチウムイオン伝導性を有していることが確認できた。
【0202】
【表2】
【解決手段】 Li、La及びZrを含有する第1のガーネット型化合物と、Li、La及びZrを含有し、且つ、第1のガーネット型化合物とは組成の異なる第2のガーネット型化合物とを含み、第1のガーネット型化合物、及び、第2のガーネット型化合物は、式[1]Li
で表され、ここで、式[1]において、M1は、Al又はGaであり、M2は、Nb又はTaであり、第1のガーネット型化合物は、0≦(3x+y)≦0.5を満たし、第2のガーネット型化合物は、0.5<(3x+y)≦1.5を満たすセラミックス粉末材料。