(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2工程において、前記転写基板の前記転写主面における、前記接合部材ペーストを介して前記第1基板の前記第1主面と向かい合う領域は、前記第1基板の前記第1主面よりも平面度が小さい、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0016】
また、以下の説明において、圧電振動子(Piezoelctric Resonator)の一例として、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を備えた水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)を例に挙げて説明する。水晶振動素子は、印加電圧に応じて振動する圧電体として水晶片(Quartz Crystal Blank)を利用するものである。ただし、本発明の実施形態に係る圧電振動子は水晶振動子に限定されるものではなく、セラミック等の他の圧電体を利用するものであってもよい。
【0017】
<第1実施形態>
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の実施形態によって製造される水晶振動子の一例について説明する。ここで、
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品に相当する水晶振動子の一例を示す分解斜視図である。
図2は、
図1に示した水晶振動子のII−II線に沿った断面図である。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態に係る水晶振動子1は、水晶振動素子10と、第2基板20と、第1基板30と、を備える。第1基板30及び第2基板20は、水晶振動素子10を収容するための保持器である。ここで図示した例では、第2基板20は凹状、具体的には開口部を有する箱状、をなしており、第1基板30は平板状をなしている。第2基板20及び第1基板30の形状は、上記に限定されるものではなく、凹状の第1基板及び平板状の第2基板であってもよく、共に凹状の第1基板及び第2基板であってもよい。水晶振動子1は電子部品に相当し、水晶振動素子10は電子素子に相当する。電子素子は、電気信号や電力などが入出力されるものであれば、水晶振動素子などの圧電素子に限定されるものではない。電子素子は、例えば、能動素子、受動素子、集積回路、撮像素子、表示素子、などであってもよい。
【0019】
本発明の実施形態に係る電子部品は、接合部材を介して第1基板と第2基板とが接合されたものであれば、水晶振動子に限定されるものではない。ここでは、接合部材を封止枠として機能させる電子部品について説明するが、電子部品は、接合部材を端子電極として機能させるものであってもよい。電子部品は、第2基板と接合される前の、接合部材が形成された第1基板であってもよい。以下の説明において、接合部材を介して第1基板と第2基板とが接合された部品を第1の電子部品と呼称する。また、第1の電子部品を構成する部品のうち、接合部材を備えた第1基板側の部品であって第2基板に接合されることとなる部品を第2の電子部品と呼称する。
【0020】
水晶振動素子10は、薄片状の水晶片11を有する。水晶片11は、互いに対向する第1主面12a及び第2主面12bを有する。水晶片11は、例えば、ATカット型の水晶片(Quartz Crystal Blank)である。ATカット型の水晶片は、人工水晶をX軸及びZ´軸によって特定される面と平行な面(以下、「XZ´面」と呼ぶ。他の軸によって特定される面についても同様である。)を主面として切り出されたものである。なお、X軸、Y軸、Z軸は、人工水晶の結晶軸であり、Y´軸及びZ´軸は、それぞれ、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。つまり、ATカット型の水晶片11において、第1主面12a及び第2主面12bは、それぞれXZ´面に相当する。なお、水晶片のカット角度は、ATカット以外の異なるカット(例えばBTカットなど)を適用してもよい。
【0021】
ATカット型の水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向を有する。水晶片11は、第1主面12aの法線方向から平面視したときに略矩形形状をなしており、中央に位置し励振に寄与する励振部17と、X軸の負方向側で励振部17と隣り合う周縁部18と、X軸の正方向側で励振部17と隣り合う周縁部19と、を有している。励振部17と周縁部19との間には段差13が設けられている。水晶片11は、励振部17が周縁部18,19よりも厚いメサ型構造である。但し、水晶片11の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、第1主面12aの法線方向から平面視したときに、一対の平行な両腕部と、両腕部を連結する連結部と、を有する櫛歯型であってもよい。また、水晶片11は、X軸方向及びZ´軸方向の厚みが略均一な平板構造であってもよく、励振部17が周縁部18,19よりも薄い逆メサ型構造であってもよい。また、励振部17と周縁部18,19との厚みの変化が連続的に変化するコンベックス形状又はベ
ベル形状であってもよい。
【0022】
ATカット水晶片を用いた水晶振動素子は、広い温度範囲で高い周波数安定性を有し、また、経時変化特性にも優れている上、低コストで製造することが可能である。また、ATカット水晶振動素子は、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Vibratoin Mode)を主振動として用いられる。
【0023】
水晶振動素子10は、一対の電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bを有する。第1励振電極14aは、励振部17の第1主面12aに設けられている。また、第2励振電極14bは、励振部17の第2主面12bに設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bは、水晶片11を挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、XZ´面において略全体が重なり合うように配置されている。
【0024】
第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ、X軸方向に平行な長辺と、Z´軸方向に平行な短辺と、Y´軸方向に平行な厚さとを有している。
図1に示す例では、XZ´面において、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの長辺は水晶片11の長辺と平行であり、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの短辺は水晶片11の短辺と平行である。また、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの長辺は水晶片11の長辺から離れており、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの短辺は水晶片11の短辺から離れている。
【0025】
水晶振動素子10は、一対の引出電極15a,15bと、一対の接続電極16a,16bと、を有する。接続電極16aは、引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、接続電極16bは、引出電極15bを介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。接続電極16a及び16bは、それぞれ、第1励振電極14a及び第2励振電極14bを第1基板30に電気的に接続するための端子である。水晶振動素子10は、第1基板30に保持されている。第1主面12aは、第1基板30と対向する側とは反対側に位置し、第2主面12bは、第1基板30と対向する側に位置している。
【0026】
引出電極15aは第1主面12aに設けられ、引出電極15bは第2主面12bに設けられている。接続電極16aは、周縁部18の第1主面12aから第2主面12bに亘って設けられ、接続電極16bは、周縁部18の第2主面12bから第1主面12aに亘って設けられている。第1励振電極14a、引出電極15a、及び接続電極16aは、連続しており、第2励振電極14b、引出電極15b、及び接続電極16bは、連続している。
図1に示した構成例は、接続電極16a及び接続電極16bが水晶片11の短辺方向(Z´軸方向)に沿って並んでおり、水晶振動素子10が一方の短辺で保持される、いわゆる片持ち構造である。水晶振動素子10は両方の短辺で保持される、いわゆる両持ち構造であってもよく、このとき接続電極16a及び接続電極16bの一方が周縁部18に設けられ、他方が周縁部19に設けられる。
【0027】
第1励振電極14a及び第2励振電極14bの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、下地層として水晶片11に接する側にクロム(Cr)層を有し、表層として下地層よりも水晶片11から遠い側に金(Au)層を有している。下地層に酸素との反応性が高い金属層を設けることで水晶片と励振電極との密着力が向上し、表層に酸素との反応性が低い金属層を設けることで励振電極の劣化が抑制され電気的信頼性が向上する。
【0028】
第2基板20は、第1基板30の第1主面32aに向かって開口した凹状をなしている。第2基板20は、第1基板30に接合され、これによって水晶振動素子10を内部空間26に収容する。第2基板20は、水晶振動素子10を収容することができればその形状は限定されるものではなく、例えば、天面部21の主面の法線方向から平面視したときに矩形状をなしている。第2基板20は、例えば、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な高さ方向とを有する。
【0029】
図2に示すように、第2基板20は、内面24及び外面25を有している。内面24は、内部空間26側の面であり、外面25は、内面24とは反対側の面である。第2基板20は、第1基板30の第1主面32aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており且つ天面部21の主面に対して交差する方向に延在する側壁部22と、を有する。また、第2基板20は、凹状の開口端部(側壁部22の第1基板30に近い側の端部)において第1基板30の第1主面32aに対向する対向面23を有する。つまり、対向面23は、開口端部に含まれている。この対向面23は、水晶振動素子10の周囲を囲むように枠状に延在している。
【0030】
第2基板20の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属などの導電材料で構成される。これによれば、第2基板20を接地電位に電気的に接続させることによりシールド機能を付加することができる。例えば、第2基板20は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む合金(例えば42アロイ)からなる。また、第2基板20の最表面に酸化防止等を目的とした金(Au)層などが設けられてもよい。あるいは、第2基板20は、絶縁材料で構成されてもよく、導電材料と絶縁材料との複合構造であってもよい。
【0031】
第1基板30は水晶振動素子10を励振可能に保持するものである。第1基板30は平板状をなしている。第1基板30は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向とを有する。
【0032】
第1基板30は、基体31を有し、互いに対向する第1主面32a及び第2主面32bを有する。基体31は、例えば絶縁性セラミック(アルミナ)などの焼結材である。この場合、複数の絶縁性セラミックシートを積層して焼結してもよい。あるいは、基体31は、無機ガラス材料(例えばケイ酸塩ガラス、又はケイ酸塩以外を主成分とする材料であって、昇温によりガラス転移現象を有する材料)、水晶材料(例えばATカット水晶)、耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック(例えばポリイミドや液晶ポリマー)、又は有機無機ハイブリッド材料(例えばガラスエポキシ樹脂などの繊維強化プラスチック)などで形成してもよい。基体31は耐熱性材料から構成されることが好ましい。基体31は、単層であっても複数層であってもよく、複数層である場合、第1主面32aの最表層に形成された絶縁層を含む。
【0033】
第1基板30は、第1主面32aに設けられた電極パッド33a,33bと、第2主面32bに設けられた外部電極35a,35b,35c,35dと、を有する。電極パッド33a,33bは、第1基板30と水晶振動素子10とを電気的に接続するための端子である。また、外部電極35a,35b,35c,35dは、図示しない回路基板と水晶振動子1とを電気的に接続するための端子である。電極パッド33aは、Y´軸方向に延在するビア電極34aを介して外部電極35aに電気的に接続され、電極パッド33bは、Y´軸方向に延在するビア電極34bを介して外部電極35bに電気的に接続されている。ビア電極34a,34bは基体31をY´軸方向に貫通するビアホール内に形成される。
【0034】
導電性保持部材36a,36bは、第1基板30の一対の電極パッド33a,33bに、水晶振動素子10の一対の接続電極16a及び16bをそれぞれ電気的に接続している。また、導電性保持部材36a,36bは、第1基板30の第1主面32aに水晶振動素子10を励振可能に保持している。導電性保持部材36a,36bは、例えば、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等を含む導電性接着剤によって形成されており、第1基板と水晶振動素子との間隔を保つためのフィラーや、導電性保持部材に導電性を与えるための導電性粒子、等を含んでいる。
【0035】
図1に示した構成例において、第1基板30の電極パッド33a,33bは、第1主面32a上において第1基板30のX軸負方向側の短辺付近に設けられ、当該短辺方向に沿って配列されている。電極パッド33aは、導電性保持部材36aを介して水晶振動素子10の接続電極16aに接続され、他方、電極パッド33bは、導電性保持部材36bを介して水晶振動素子10の接続電極16bに接続される。
【0036】
複数の外部電極35a,35b,35c,35dは、第2主面32bのそれぞれの角付近に設けられている。
図1に示す例では、外部電極35a,35bが、それぞれ、電極パッド33a,33bの直下に配置されている。これによってY´軸方向に延在するビア電極34a,34bによって、外部電極35a,35bを電極パッド33a,33bに電気的に接続することができる。
図1に示す例では、4つの外部電極35a〜35dのうち、第1基板30のX軸負方向側の短辺付近に配置された外部電極35a,35bは、水晶振動素子10の入出力信号が供給される入出力電極である。また、第1基板30のX軸正方向側の短辺付近に配置された外部電極35c,35dは、水晶振動素子10の入出力信号が供給されないダミー電極となっている。このようなダミー電極には、水晶振動子1が実装される図示しない回路基板上の他の電子素子の入出力信号も供給されない。あるいは、外部電極35c,35dは、接地電位が供給される接地用電極であってもよい。第2基板20が導電材料からなる場合、第2基板20を接地用電極である外部電極35c,35dに接続することによって、第2基板20により遮蔽性能の高い電磁シールド機能を付加することができる。
【0037】
第1基板30の第1主面32aには、下地部材37が設けられている。
図1に示す例では、下地部材37は、第1主面32aの法線方向から平面視したときに矩形の枠状をなしている。第1主面32aの法線方向から平面視したときに、電極パッド33a,33bは、下地部材37の内側に配置されており、下地部材37は水晶振動素子10を囲むように設けられている。下地部材37は、導電材料により構成されている。例えば、下地部材37を電極パッド33a,33bと同じ材料で構成することで、電極パッド33a,33bを設ける工程で同時に下地部材37を設けることができる。下地部材37上には後述する接合部材40が設けられ、これによって、第2基板20が接合部材40及び下地部材37を挟んで第1基板30に接合される。
【0038】
本構成例において、第1基板30の電極パッド33a,33b、外部電極35a〜d及び下地部材37はいずれも金属膜から構成されている。例えば、電極パッド33a,33b、外部電極35a〜d及び下地部材37は、基体31に近接する側(下層)から離間する側(上層)にかけて、モリブデン(Mo)層、ニッケル(Ni)層及び金(Au)層がこの順に積層されて構成されている。下地部材37において、Mo層は後述する密着層に相当し、Ni層及びAu層は、後述する下地層に相当する。また、ビア電極34a,34bは、基体31のビアホールにモリブデン(Mo)などの高融点金属粉とフラックスなどの添加材料からなるペースト状の複合材料である導電性ペーストを充填して形成することができる。
【0039】
なお、電極パッド33a,33bや外部電極35a〜35dの配置関係は上記例に限定されるものではない。例えば、電極パッド33aが第1基板30の一方の短辺付近に配置され、電極パッド33bが第1基板30の他方の短辺付近に配置されてもよい。このような構成においては、水晶振動素子10が、水晶片11の長手方向の両端部において第1基板30に保持されることになる。
【0040】
また、外部電極の配置は上記例に限るものではなく、例えば、入出力電極である2つが第2主面32bの対角上に設けられていてもよい。あるいは、4つの外部電極は、第2主面32bの角ではなく各辺の中央付近に配置されていてもよい。また、外部電極の個数は4つに限るものではなく、例えば入出力電極である2つのみであってもよい。また、接続電極と外部電極との電気的な接続の態様はビア電極によるものに限らず、第1主面32a又は第2主面32b上に引出電極を引き出すことによってそれらの電気的な導通を達成してもよい。あるいは、第1基板30の基体31を複数層で形成し、ビア電極を中間層に至るまで延在させ、中間層において引出電極を引き出すことによって接続電極と外部電極との電気的な接続を図ってもよい。
【0041】
第2基板20及び第1基板30の両者が下地部材37及び接合部材40を挟んで接合されることによって、水晶振動素子10が、第2基板20と第1基板30とによって囲まれた内部空間(キャビティ)26に封止される。この場合、内部空間26の圧力は大気圧力よりも低圧な真空状態であることが好ましく、これにより第1励振電極14a,第2励振電極14bの酸化による水晶振動子1の周波数特性の経時変化などが低減できるため好ましい。
【0042】
接合部材40は、第2基板20及び第1基板30の各全周に亘って設けられている。具体的には、接合部材40は下地部材37上に設けられ、閉じた枠状に形成されている。下地部材37及び接合部材40が、第2基板20の側壁部22の対向面23と、第1基板30の第1主面32aと、の間に介在することによって、水晶振動素子10が第2基板20及び第1基板30によって封止される。
【0043】
接合部材40は、金属粉とフラックスなどの添加材料からなるペースト状の複合材料である接合部材ペースト中の金属材料が凝集したろう部材である。具体的には、接合部材40は、金(Au)‐錫(Sn)共晶合金からなる。こうして、第2基板20と第1基板30とを金属接合とする。金属接合によれば封止性を向上させることができる。なお、接合部材40は、導電材料に限らず、例えば低融点ガラス(例えば鉛ホウ酸系や錫リン酸系等)などのガラス接着材料などの絶縁性材料であってもよい。これによれば、金属接合に比べて低コストであり、また加熱温度を抑えることができ、製造プロセスの簡易化を図ることができる。
【0044】
本実施形態に係る水晶振動素子10は、水晶片11の長辺方向の一方端(導電性保持部材36a,36bが配置される側の端部)が固定端であり、その他方端が自由端となっている。また、水晶振動素子10、第2基板20、及び第1基板30は、XZ´面において、それぞれ矩形状をなしており、互いに長辺方向及び短辺方向が同一である。
【0045】
但し、水晶振動素子10の固定端の位置は特に限定されるものではなく、水晶振動素子10は、水晶片11の長辺方向の両端において第1基板30に固定されていてもよい。この場合、水晶振動素子10を水晶片11の長辺方向の両端において固定する態様で、水晶振動素子10及び第1基板30の各電極を形成すればよい。
【0046】
本実施形態に係る水晶振動子1においては、第1基板30の外部電極35a,35bを介して、水晶振動素子10を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bの間に交番電界を印加する。これにより、厚みすべり振動モードなどの所定の振動モードによって水晶片11が振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
【0047】
次に、
図3〜
図15を参照しつつ、本実施形態に係る電子部品の製造方法について説明する。以下の説明では、上記と共通の事柄についての記述を省略する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。なお、基体131及び転写基板151の例としてアルミナからなるセラミック基板を挙げて説明する。セラミック基板である転写基板の転写主面を研削することにより、表面粗さが小さく、かつセラミック焼成などのよる反り形状を低減させた平面度の値が小さな転写主面を有する転写基板を準備する。なお、基体131及び転写基板151は、他の材料によって構成されていてもよい。
【0048】
図3は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法における転写工程を示すフローチャートである。
図4は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法における組立工程を示すフローチャートである。
図5は、第1基板の第1主面に設けられた密着層ペーストの構成を概略的に示す断面図である。
図6は、下地部材を設ける工程を概略的に示す断面図である。
図7は、転写工程に供される第1基板の構成を概略的に示す斜視図である。
図8は、接合部材を設ける工程を概略的に示す斜視図である。
図9は、転写基板の転写主面に設けられた接合部材ペーストを概略的に示す斜視図である。
図10は、
図9に示した接合部材ペーストの構成を概略的に示す平面図である。
図11は、接合部材を下地部材に接合する工程を概略的に示す斜視図である。
図12は、下地部材及び接合部材を挟んだ第1基板及び転写基板の構成を概略的に示す断面図である。
図13は、第1基板と転写基板とによって挟まれた状態のまま固化した接合部材の構成を概略的に示す断面図である。
図14は、転写基板から接合部材を剥離する工程を概略的に示す斜視図である。
図15は、接合部材を介して第1基板に第2基板を接合する工程を概略的に示す断面図である。
【0049】
まず転写工程について説明する。転写工程を開始したら、
図7に示すように、第1基板130の第1主面132aに下地部材137を設ける(S11)。
【0050】
本工程においては、まず、
図5に示すように、アルミナを主原料とするセラミック粉末を用いてグリーンシート131Pを成形する。次に、基体131に、図示を省略したビアホール及びビア電極を設ける。次に、グリーンシート131Pの第1主面132aに密着層ペースト137APを設ける。密着層ペースト137APは、金属成分(Mo)とバインダ成分とを含む液状であり、印刷工法によって設けられる。次に、グリーンシート131P及び密着層ペースト137APを水素雰囲気
下において約1600℃で共に焼成する。これにより、グリーンシート131Pから、焼結体により構成されたセラミック基板である基体131が得られる。このとき、基体131は、焼成によって例えば約20%収縮する。この焼成時の収縮が、焼結体であるセラミック基板において、反りを発生させる要因となる。また、密着層ペースト137APから、焼成によってえられた焼結金属(Mo)でありセラミック基板に接合している密着層137Aが得られる。これによれば、焼結体の基体131に物理蒸着(PVD)や化学蒸着(CVD)によって密着層137Aを設ける場合と比較して、セラミック焼結体にある空孔の内部に密着層ペースト137AP中の金属成分が入り込んで焼結される要因により、基体131と密着層137Aとを強固に密着させることができる。したがって密着層137Aと基体131の形成面との接合強度を高くできる。
【0051】
次に、めっき工法によって、密着層137Aの上に、下地層137Bの第1層137C及び第2層137Dを順次形成する。第1層137CはNi層であり、第2層137DはAu層である。このようにして、
図6に示すように、基体131の第1主面132a上に、密着層137A及び下地層137Bを含む下地部材137が設けられる。
図7に示すように、下地部材137は、第1主面132aの法線方向から平面視したとき、電極パッド133a,133bを囲むように閉じた枠状に設けられている。つまり、下地部材137は、矩形環状に連続するように形成されている。なお、気密封止の効果が不要な場合、例えば回路基板と第1基板とが接合部材を介して電気的に接続し実装される場合、下地部材137の形状が開いた枠状、すなわち不連続に形成されていてもよい。
【0052】
次に、転写基板151の転写主面152aに接合部材ペースト140Pを塗工する(S12)。
図8に示すように、セラミック(アルミナ)によって形成された板状の転写基板151を準備し、その転写主面152aにメタルマスク160を重ねる。そして、メタルマスク160の上からスキージ(へら)165を用いて、はんだ用のろう部材である接合部材ペースト140Pを塗布する。接合部材ペースト140Pは、金(Au)−錫(Sn)共晶合金とフラックスを含む液状である。メタルマスク160は、下地部材137に重なるような形状の開口部161を有する。接合部材ペースト140Pは、開口部161を通して転写基板151の転写主面152aの上に塗布される。なお、転写基板151は、転写主面152aが平面である板状の転写板を一例として挙げたが、これに限定されず、転写主面152aが屈
曲面や曲面を有してもよい。
【0053】
接合部材140が金属材料を含む場合、特に接合部材140が金属材料のみである場合、転写基板151の転写主面152aは、非金属材料によって構成されることが望ましい。これによれば、金属接合が発生しないため、接合部材140と転写主面152aとの密着力を抑制できる。後の剥離工程において接合部材140から転写基板151を剥離する際に、接合強度
の低減効果により、転写基板151側に接合部材140が残留することを抑制することができる。つまり、接合部材140の損傷を抑制することができる。なお、転写基板151は、透明なガラスにより構成されてもよい。これによれば、カメラを用いて撮影することで、転写基板151越しに接合部材ペースト140Pの形状などの状態を容易に確認することができる。このため、ガラス製の転写基板151を用いることにより、接合部材140の頂上部140aの実際の状態と所望の形状及び大きさとの差異とを容易に確認でき、接合部材140の形成が容易となる。また、転写基板のたわみなどの変形を低減するため、転写基板の厚みが、第1基板の厚みに比べて10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがさらに好ましい。
【0054】
開口部161は、下地部材137の一対の長辺にそれぞれ対応する第1スリット161a及び第3スリット161c、並びに、下地部材137の一対の短辺にそれぞれ対応する第2スリット161b及び第4スリット161dを有する。開口部161は、下地部材137と異なり開いた枠状であり、開口部161に囲まれた領域のメタルマスクが脱落しないように、ブリッジ部163a,163b,163c,163dを有する。ブリッジ部163a〜163dは、メタルマスク160の主面の法線方向から平面視したときに、開口部161の内側と外側とを繋いでいる。ブリッジ部163a〜163dは、それぞれ開口部161の角に位置している。第1スリット161a及び第2スリット161bはブリッジ部163aによって隔てられ、第2スリット161b及び第3スリット161cはブリッジ部163bによって隔てられ、第3スリット161c及び第4スリット161dはブリッジ部163cによって隔てられ、第4スリット161d及び第1スリット161aはブリッジ部163dによって隔てられている。なお、ブリッジ部の位置は上記に限定されるものではなく、例えば、開口部161の角から離れ、第1スリット161a及び第3スリット161cのそれぞれが複数の不連続なスリットとなるように配置されてもよい。
【0055】
図9に示すように、接合部材ペースト140Pは、開口部161に対応した形状で、転写主面152a上に設けられる。すなわち、接合部材ペースト140Pは、下地部材137に積み重なるような形状であるが、転写基板151の転写主面152aの法線方向から平面視したとき、矩形環状の角部を空けて形成される。具体的には、接合部材ペースト140Pは、下地部材137の一対の長辺に対応する第1部分141a及び第3部分141c、並びに、下地部材137の一対の短辺に対応する第2部分141b及び第4部分141d、を有している。また、接合部材ペースト140Pは、角部143a,143b,143c,143dを空けて設けられており、第1部分141a〜第4部分141dは、それぞれ互いに離れている。なお、第1部分141a〜第4部分141dは、それぞれ第1スリット161a〜第4スリット161dに対応し、角部143a〜143dは、それぞれブリッジ部163a〜163dに対応している。接合部材ペースト140Pが集まりやすい角部を避けて接合部材ペースト140Pを塗布することによって、接合部材ペースト140P中にある加熱溶融され液相となった金属成分が濡れ広がり下地部材137の角部に集まることで発生する液溜りの発生を抑制することができる。つまり、接合部材の外形不良の発生を抑制することができる。
【0056】
工程S12として上記に説明したのは、いわゆるスクリーン印刷であるが、接合部材140の形成方法はこれに限定されるものではなく、例えばニードル吐出工法などの公知な形成工程によって設けられてもよい。
【0057】
図10を参照しつつ、工程S12によって形成された接合部材ペースト140Pの寸法の一例を説明する。接合部材ペースト140Pは、短手方向の幅が一様にAであり、転写主面152aの法線方向に沿った厚みが一様にTであるとする。第1部分141a及び第3部分141cの長手方向の長さをL1、それに角部を含めた長さをL2とする。第2部分141b及び第4部分141dの長手方向の長さをW1とし、それに角部を含めた長さをW2とする。このとき、接合部材ペースト140Pの体積V1は、下記の式(1)で表すことができる。
V1=2×T×A×(L1+W1) …(1)
また、もし接合部材が角部143a〜143dにも形成されていた場合の体積、すなわち閉じた枠状に形成された場合の接合部材ペースト140Pの体積V2は、下記の式(2)で表すことができる。
V2=2×T×A×(W2−2×A)+2×T×A×L2
=2×T×A×(W2+L2−2×A) …(2)
後の工程で接合部材ペースト140Pが軟化して閉じた枠状に変化するためには、体積V1が、例えば、体積V2の80%以上であることが望ましい。また、後の工程で接合部材ペースト140Pが軟化する際に角部143a〜143dに液溜り形成されないようにするためには、体積V1が体積V2の95%以下であることが望ましい。つまり、
0.80≦V1/V2≦0.95
を満たすことが望ましい。なお、上記の不等式は、式(1)及び式(2)を代入して整理すると、下記の不等式で表すことができる。
0.80≦(L1+W1)/(W
2+L
2−2×A)≦0.95
さらに、接合力確保と、液溜まり低減のため、下記の範囲であることがより好ましい。 0.86≦(L1+W1)/(W
2+L
2−2×A)≦0.92
【0058】
次に、下地部材137及び接合部材140を第1基板130と転写基板151とで挟む(S13)。
図11及び
図12に示すように、第1基板130の第1主面132aと転写基板151の転写主面152aとによって、下地部材137及び接合部材ペースト140Pを挟む。第1基板130と転写基板151とを重ねた状態において、第1基板130の第1主面132aを平面視して、第1基板130の第1主面132a上に接合部材ペースト140Pを下地部材137の配置パターンに重なるように設ける。下地部材137及び接合部材ペースト140Pは重ねられる。接合部材ペースト140Pが適度な粘性を有しているため、接合部材ペースト140Pによって転写基板151と第1基板130とが貼り合わされる。そして、転写基板151の上に第1基板130が載った状態で、昇温された炉の中で加熱され、接合部材ペースト140Pが軟化する。なお、下地部材137及び接合部材140の接合に際しては、接合部材ペースト140Pの粘度が、炉内の熱風170の風圧、あるいは製造設備の振動などの外乱によって第1基板130が転写基板151から脱落しないように定められることが好ましい。
【0059】
接合部材ペースト140Pの下地部材137に対する濡れ性βは、接合部材ペースト140Pの第1基板130の第1主面132aに対する濡れ性αよりも大きい。これによれば、接合部材ペースト140Pは、第1基板130側において、下地部材137に沿って濡れ広がり、形状が閉じた枠状(矩形環状)に変化する。また、接合部材ペースト140Pは、第1主面132a上での濡れ広がりを抑制することができ、接合部材140の形状不良の発生を抑制することができる。接合部材ペースト140Pの下地部材137に対する濡れ性βは、接合部材ペースト140Pの転写基板151の転写主面152aに対する濡れ性γより大きい。これによれば、接合部材ペースト140Pは、
転写基板151側における濡れ広がりを抑制することができ、接合部材140の形状不良の発生を抑制することができる。
【0060】
次に、接合部材140を下地部材137に接合する(S14)。接合部材ペースト140Pを第1基板130と転写基板151とに挟まれた状態のまま固化させて、下地部材137に接合された接合部材140を形成する。接合部材ペースト140Pは、加熱されて軟化した後、冷却されて固化する。このとき、
図13に示すように、フラックス140Fは、接合部材140を覆う。第1基板130と転写基板151とで挟まれた接合部材ペースト140Pの軟化及び固化工程において、フラックス140Fが接合部材ペースト140P中の溶融した金属の外側に位置することで、フラックス140Fが流れ止めの役割となって、接合部材ペースト140Pの転写基板151への不必要な濡れ広がりを抑止し、接合部材140の形状を安定化させることができる。また、フラックス140Fは、第1基板130側と転写基板151側とを繋ぐように固化することで、第1基板130と転写基板151との接合を補助する。
【0061】
接合部材140は、接合部材ペースト140Pの金属成分によって構成されている。接合部材140が形成される過程において、下地部材137と接合部材140とが金属接合を形成する。すなわち、下地部材137と接合部材140との境界において、合金が形成される。これによれば、下地部材137と接合部材140との接合強度を向上させることができる。
【0062】
接合部材140に対する転写基板151の接合強度F6は、第1基板130と転写基板151との間の接合強度の中で最も小さい。すなわち、接合強度F6は、密着層137Aと第1基板130との接合強度F1よりも小さく、下地層137Bの第1層137Cと密着層137Aとの接合強度F2よりも小さく、下地層137Bの第1層137Cと第2層137Dとの接合強度F3よりも小さく、下地層137Bの第2層137Dと接合部材140との接合強度F4よりも小さく、接合部材140と第1基板130との接合強度F5よりも小さい。これによれば、後の転写基板151を接合部材140から剥離する工程において、接合部材140の損傷の発生を抑制することができる。
【0063】
次に、転写基板151を接合部材140から剥離する(S15)。
図14に示すように、下地部材137に接合された接合部材140を転写基板151から剥離し、第1基板130から転写基板151を引き離す。これにより、第1基板130と接合部材140とを備える第2の電子部品102が出来上がる。このとき、接合部材140の頂上部140aには、転写基板151の転写主面152aの形状が転写されている。
図15に示すように、頂上部140aは平面形状となっている。次に、固化したフラックス140Fを除去することができる溶剤で接合部材140が形成された第1基板130を洗浄することで、フラックス140Fを除去する。フラックス140Fを除去することで、揮発したフラックス140Fによる他の部材の汚染、損傷、化学反応による変質を抑制することができる。なお、フラックス140Fを除去した後、又は除去しながら、転写基板を接合部材140から剥離してもよい。これによれば、フラックス140Fの接合力あるいは密着力が無くなり、剥離工程が容易になる効果がある。
【0064】
転写基板151の転写主面152aは、第1基板130の第1主面132aよりも表面粗さが小さいことが望ましい。これによれば、接合部材140と転写基板151との接合強度を低減することができるため、工程S15において転写基板151側への接合部材140の残渣の発生を抑制することができる。
【0065】
転写基板151は、第1基板130よりも厚く、剛性が高い。すなわち、転写基板151は第1基板130よりも反り等の変形が小さい。接合部材140の頂上部140aの形状には、第1基板130の第1主面132aの平面度の影響は小さく、転写基板151の転写主面152aの平面度の影響が大きい。このため、転写基板151の転写主面152aは、第1基板130の第1主面132aよりも平面度が小さい。少なくとも、工程S12において、転写基板151の転写主面152aにおける、接合部材ペースト140Pを介して第1基板130の第1主面132aと向かい合う領域は、第1基板130の第1主面132aよりも平面度が小さいことが望ましい。これによれば、接合部材140の頂上部140aを平面状に形成することができる。したがって、後の工程において接合部材140を第2基板120の平面状の部分に接合するとき、接合部材140の頂上部140aは、接合強度を向上させることができる。特に、第1基板130が薄肉化、あるいは多層化の影響などにより反り等の変形が大きくなったとしても、平面度の高い頂上部140aを形成することができる。このため、接合部材140は、第1基板130と第2基板120との接合強度の低下を抑制することができる。従来技術においては、セラミック基板と蓋体との密着性を向上させる為にろう材を厚く形成しようとすると、加熱によって軟化したろう部材が自重で濡れ広がる不必要な領域まで可能性がある。このとき、例えば小型化した水晶振動子ではセラミック基板の配線層と接合層とが近いため、配線層及び接合層がショートして不良品となる問題が発生する。また、第1基板130が薄肉化にともない第1基板130の強度が低下しても、接合部材140が溶融した液相状態で転写主面
152aの形
状にならい、接合部材140がその形状を保ったまま冷却されて固相状態となって固化されるため、第1基板130に作用する加工応力を低減できる。なお、本発明の平面度は、JIS B 0021(1984)の平面度公差の定義による。
【0066】
次に、第1基板130に水晶振動素子110を搭載する(S17)。水晶振動素子110は、第1基板130の第1主面132aを平面視したときに略矩形形状を有する水晶振動素子である。水晶振動素子110は、第1基板130の第1主面132aを平面視したとき、接合部材140に囲まれた領域に搭載される。水晶振動素子110は、導電性保持部材136aを通して、電極パッド133aに電気的に接続される。なお、導電性保持部材136aは、導電性接着剤によって設けられるが、接合部材140と同じ材料によって設けられてもよい。このとき、電極パッド133aは下地部材137と共に設けられ、導電性保持部材136aは接合部材140と共に設けられる。つまり、封止枠と、封止枠から離れている接続端子とが、接合部材140によって同時に設けられてもよい。
【0067】
次に、振動数を調整する(S18)。水晶振動素子110の励振周波数が所望の値となるように、水晶振動素子110をエッチングして厚みを減らす。これによって、水晶振動素子110の個体間での特性変動を低減し、歩留りを改善させることができる。
【0068】
次に、第1基板130に第2基板120を接合する(S19)。これにより、第2の電子部品102と第2基板120とを備える第1の電子部品101が出来上がる。
図15に示すように、下地部材137及び接合部材140を介して、第1基板130を第2基板120に接合する。まず、第2基板120をステージに静置する。次に、第2基板120の対向面123に接合部材140の頂上部140aが接触するように、第1基板130を第2基板120に向かって押圧ピンで押し付けつつ加熱する。このとき、第1基板130と第2基板120との間に下地部材137及び接合部材140によって囲まれた内部空間126を形成する。内部空間126は、第1基板130の第1主面132aと第2基板120の内面124に囲まれ、水晶振動素子110が気密封止される。なお、気密封止空間は大気に対して減圧雰囲気であることが好ましく、さらに真空雰囲気であることが好ましい。
【0069】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記したのと共通の事柄については記述を省略する。また、以下の第1及び第2変形例においても、上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0070】
<第1変形例>
図16を参照して、第1実施形態の第1変形例に係る水晶振動子301の構成について説明する。このとき、
図16は、第1変形例に係る水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。第1変形例は、第2基板320が平板状をなしており第1基板330が凹状をなしている点で、
図2に示した構成例と相違している。また、第1基板330と第2基板320とが、下地部材337及び接合部材340を介して接合され、水晶振動素子310を収容する内部空間326を形成する点は、
図2に示した構成例と同様である。
【0071】
第1変形例において、基体331は、第1主面332aに段差339を有する。基体331は、第1主面332aの法線方向から平面視したときに中央部が凹状をなし、中央部の外側の周縁部が第2基板320へ突出している。水晶振動素子310は、第1主面332aの法線方向から平面視したとき、段差339に囲まれている。第2基板320は平板状であり、側壁部が省略され、天面部321の第1基板330と対向する側に対向面323が設けられている。
【0072】
<第2変形例>
図17を参照しつつ、本実施形態の第2変形例に係る水晶振動素子910の構成について説明する。このとき、
図17は、第2変形例に係る水晶振動素子の構成を概略的に示す斜視図である。
【0073】
第2変形例における水晶振動素子910は、水晶片911が音叉形状である点で、
図1に示した水晶振動素子10と相違している。つまり、第2変形例に係る水晶振動子は、音叉型の水晶振動子である。水晶片911は、具体的には、平行に配置された2つの振動腕部919a,919bを有する。振動腕部919a,919bは、X軸方向に延在し、Z´軸方向に並び、端面912c側の基部919cで互いに連結されている。言い換えると、基部919cから複数の振動腕部919a,919bが延出している。振動腕部919aでは、XZ´面に平行であり互いに対向する一対の主面にそれぞれ励振電極914
bが設けられ、当該一対の主面と交差し互いに対向する一対の側端面にそれぞれ励振電極914
aが設けられている。振動腕部919bでは、一対の主面にそれぞれ励振電極914
aが設けられ、一対の側端面にそれぞれ励振電極914
bが設けられている。
【0074】
以上のとおり、第2変形例によれば、圧電振動素子910は、複数の振動腕部919a,919bを有する音叉型水晶振動素子である。なお、圧電振動素子910の構成は特に限定されるものではなく、振動腕部の形状や本数、励振電極の配置などが異なっていてもよい。
【0075】
<第2実施形態>
図18及び
図19を参照しつつ、第2実施形態に係る電子部品502の構成について説明する。
図18は、第2実施形態に係る電子部品の構成を概略的に示す平面図である。
図19は、
図18に示した電子部品のXIX−XIX線に沿った断面の構成を概略的に示す
断面図である。なお、電子部品502は、第1実施形態の工程S19において接合する前の第1基板130側の部品に相当する。電子部品502は、第1実施形態において説明した製造方法によって形成されている。したがって、上記したのと同様の構成要素には同様の符号を付し、上記したのと共通の構成要素については記述を省略する。上記したのと同様の効果についても、記述を省略する。
【0076】
電子部品502は、第1基板530、水晶振動素子510、下地部材537、及び接合部材540を備えている。
【0077】
第1基板530は、互いに対向する第1主面532a及び第2主面532bを有する基体531を備えている。第1基板530は、焼結体により構成されたセラミック基板である。基体531は、第1主面532aの中心部が凹形状となるような、断面が第1主面と反対側に凸となる反り形状を有している。
【0078】
水晶振動素子510は、第1基板530の第1主面532a側に設けられている。水晶振動素子510は、電極パッド533a及び導電性保持部材536aによって、第1基板530に搭載され、第1基板530と電気的に接続されている。
【0079】
下地部材537は、第1基板530の第1主面532aと接合部材540との間に設けられている。下地部材537は、密着層537A及び下地層537Bを備えている。密着層537Aは、第1基板530の第1主面532aに接合されている。密着層537Aは、セラミック基板である基体531と接触している。密着層537Aは、焼結金属であり、焼結体である基体531と共に焼成されている。下地層537Bは、密着層537Aに接合された第1層537Cと、第1層537Cに接合された第2層537Dとを備えている。
【0080】
接合部材540は、下地部材537を覆っている。接合部材540の材料は金属のみであり、接合部材540は下地部材537と合金を形成している。接合部材540の下地部材537に対する接合強度は、接合部材540の第1基板530に対する接合強度よりも大きい。接合部材540は、第1基板530の第1主面532aを平面視したとき、水晶振動素子510を囲む枠状に設けられている。
【0081】
接合部材540は、第2基板と接合されることとなる頂上部540aを有する。接合部材540の頂上部540aは、平面内に設けられている。これによれば、第2基板の接合面の形状が第1基板530の第1主面532aの形状と異なる平面形状などである場合でも、接合部材540は、第1基板530を第2基板に対して強固に接合することができる。接合部材540の頂上部540aは、露出されており、且つ平面形状である。これによれば、接合部材540は、第1基板530を第2基板に対して強固に接合することができる。
【0082】
次に、接合部材540の性能評価について説明する。実施例は、第1実施形態の電子部品の製造方法を利用した構成である。比較例は、下地部材の上に接合部材ペーストを塗工し、そのまま接合部材ペーストを固化させた構成である。実施例及び比較例の、その他の製造条件は同様である。
【0083】
(平面形状評価)
図20及び
図21を参照しつつ、封止枠としての接合部材540の平面形状に関する評価結果について説明する。
図20は、接合部材ペーストの過剰による接合部材の形状不良の発生率を示すグラフである。
図21は、接合部材ペーストの不足による接合部材の形状不良の発生率を示すグラフである。
図20及び
図21において、各々のグラフの横軸は、2400個の接合部材540の質量(以下、「形成量」と呼称する。)を示す。これは、集合基板に2400個の接合部材540を設けたときの質量変化によって算出した。
図20及び
図21において、各々のグラフの縦軸は、2400個の接合部材540のうち、形状不良と判定されたものの発生率を示す。
図20の縦軸は、接合部材540が角部に集まる形状不良の発生率を示すものであり、形状不良率(半田溜りモード)と呼称する。
図21の縦軸は、接合部材540が辺部で細くなる又は途切れる形状不良の発生率を示すものであり、形状不良率(枠切れモード)と呼称する。黒丸プロットは比較例のデータを示し、黒三角プロットは実施例のデータを示す。
【0084】
第1基板530の個片化前の集合基板に、平面視した形状が、幅100μmの略矩形の環状の下地部材537を2400個設けた。それぞれの下地部材537は、長辺方向の長さが1.5mm、短辺方向の長さが1.1mm、面積0.5mm
2とした。
図18に示すように電子部品502を平面視して、カメラで撮影した画像データを二値化して接合部材540部分の撮影輪郭画像を求めた。次に、接合部材540部分の撮影輪郭画を4つの角部と4つの辺部の8区画に分割して比較した。各区画のいずれか1つの区画において、幾何学な接合部材540の基準輪郭画像と一致する基準輪郭画像の面積が元の基準輪郭画像の面積の60%以下のとき不良と判定して、形状不良率を算出した。
【0085】
図20に示すように、接合部材540の形成量が280mgのとき、実施例の形状不良率(半田溜りモード)が0.1%程度であったのに対し、比較例では4.0%程度であった。さらに、接合部材540の形成量が300mgのとき、実施例の形状不良率(半田溜りモード)が1.0%程度であったのに対し、比較例では15%程度と発生率となり、いずれの条件でも、比較例の不良率が、実施例の不良率の10倍以上になった。
図21に示すように、接合部材540の形成量が260mgのとき、実施例の形状不良率(枠切れモード)が1.0%程度であったのに対し、比較例では9.0%程度であった。
【0086】
この結果から、本発明の実施形態を適応することで、固化時の軟化の影響を低減して、形状変化が小さな接合部材540を得られることが確認できた。なお、実施例において、形状不良率(半田溜りモード)10%以下且つ形状不良率(枠切れモード)1.0%以下となるように接合部材540を製造するためには、接合部材540の形成量が、260mgよりも多く、360mgよりも少なくなるように調整する必要がある。対して、比較例において、形状不良率(半田溜りモード)10%以下且つ形状不良率(枠切れモード)1.0%以下となるように接合部材540を製造するためには、接合部材540の形成量が、略290mgとなるように調整する必要がある。このように、本発明の実施形態によれば、接合部材の形状が安定するため、接合部材の形成量に関する製造条件の変動の許容範囲を広くすることができる。
【0087】
(表面形状評価)
図22及び
図23を参照しつつ、封止枠としての接合部材540の平面形状に関する評価結果について説明する。
図22は、
図18に示した電子部品のA−B線及びA´−B´線に沿った表面形状を示す図である。
図23は
、下地部材の上に接合部材ペーストを塗工乾燥させた構成における、A−B線及びA´−B´線に相当する位置での表面形状を示す図である。
図20及び
図21において、各々のグラフの横軸は、測定位置を示す。
図22及び
図23において、各々のグラフの縦軸は、高さの相対値を示す。破線は比較例のデータを示し、実線は実施例のデータを示す。
【0088】
図22に示すように、実施例においては、第1基板530の第1主面532aの表面形状は、中央部で低く両端部で高い下に凸の形状であった。接合部材540の頂上部540aの形状は、基礎となる第1基板530の第1主面532aの形状変化の形状が小さく、平面度が小さくなっていた。下記の表1に、試料1〜5における、基板の平面度(A´−B´線に沿った表面の平面度)、接合部材の平面度(A−B線に沿った表面の平面度)、及び比率を示す。なお比率とは、第1基板530の第1主面532aの平面度に対する接合部材540の頂上部540aの平面度の比率(接合部材の平面度/基板の平面度)である。
【0090】
図22に示すように、実施例においては、第1基板530の第1主面532aに相当するA´−B´線に沿った表面の形状は、中央部で低く両端部で高い下に凸の形状であった。接合部材540の頂上部540aの形状も基礎となる第1基板530の第1主面532aの形状変化に追従するため、同様に下に凸の形状であった。下記の表2に、比較例の場合のデータを示す。
【0092】
実施例では、
平面度の比率は、平均値:26.4%、最小値:13.4%、最大値37.2%となった。比較例では、平面度の比率は、平均値:62.9%、最小値:49.5%、最大値:75.4%となった。実施例において、基板の平面度は12.5μmであり、接合部材の平面度の平均値は3.3μmであった。比較例において、基板の平面度は18.7μmであり、接合部材の平面度の平均値は11.7μmであった。このように、頂上部540aの平面度は、第1基板530の第1主面532aの平面度の40%以下であることが望ましい。また、頂上部540aの平面度は、望ましくは9.0μm以下であり、さらに望ましくは5.0μm以下である。このとき、第1基板530の第1主面532aの平面度は、10μm以上である。つまり、第1主面532aの平面度が10μm以上である場合であっても、実施例によれば、接合部材540の形状を安定化させ、接合強度を向上させることができる。
【0093】
(断面形状評価)
図24から
図26を参照しつつ、接合部材540の断面形状に関する評価結果について説明する。
図24は、
図18に示した電子部品における接合部材の拡大断面図である。
図25は、第2実施形態に係る電子部品における接合部材の断面を撮影した写真である。
図26は、比較例として下地部材の上に接合部材ペーストを塗工乾燥させた構成における接合部材の断面を撮影した写真である。
図25及び
図26は、
図24に相当する断面の写真である。
【0094】
下記の表3に、実施例における、接合部材540の第1基板530側の底面の幅W51、頂上部540aの幅W52、及び幅W51に対する幅W52の比率(W52/W51)を示す。なお、比較例においては、
図26に示すように頂上部の幅が略ゼロであるため、記載を省略する。
【0096】
幅の比率W52/W51は、平均値:34%、最小値:42%、最大値:35%となった。このように、接合部材540の第1基板530側の底面の幅W51に対して、頂上部540aの幅W52は30%以上であることが望ましい。
【0097】
(密着性評価)
図27を参照しつつ、接合部材540による第1基板530と第2基板との密着性に関する評価結果について説明する。
図27は、第2実施形態に係る電子部品において、接合部材によって封止した場合のリーク不良の発生率を示すグラフである。リーク不良の判断は、公知なリーク不良の測定方法を用いて、水晶振動子に周波数特性の変動値を測定して判断した。
図27に示すグラフの横軸は、接合部材540の形成量を示す。
図27に示すグラフの縦軸は、接合部材540を封止枠として利用した場合において発生したリーク不良率を示す。黒丸プロットは比較例のデータを示し、黒三角プロットは実施例のデータを示す。
【0098】
図27に示すように、実施例のリーク不良率は、比較例のリーク不良率よりも低い。特に、接合部材540の成形量が小さい条件である265mg近傍では、比較例のリーク不良率が1.0%程度であるのに対して、実施例のリーク不良率は0.2%程度に低減していることが分かる。すなわち、実施例では、比較例に比べて、リーク不良の発生が低減できたと考えられる。
【0099】
以上の評価結果から、次のことが言える。すなわち、比較例において接合部材540の形成量が300mgより大きくなると、比較例の形状不良率(半田溜りモード)が10%以上になる問題が発生する。さらに、接合部材540の形成量が大きくなると、接合部材540の高さも大きくなり、電子部品502の低背化の制約要因となる。実施例の形状不良率(半田溜りモード)の近似曲線によれば、接合部材540の形成量が360mgより大きいときに形状不良率(半田溜りモード)が10%以上となる。このため、リーク不良を低減させるために、形状不良を発生させない範囲で、接合部材540の形成量を比較例に比べて大きくすることができる。別の視点では、実施例では、接合部材540の形成量が小さいときでもリーク不良を低減できる。このため、実施例では、比較例に比べて、低背にでき、材料の消費量を低減することができる。なお、比較例において接合部材540の成形量が280mg以上となる条件では、形状不良率(半田溜りモード)が10%より大きくなる場合がある。リーク試験は、形状評価の結果が良品である電子部品502選別して実施するため、適切な良品率を確保できない条件である、比較例において接合部材540の成形量が280mg以上の範囲では、リーク試験を実施していない。
【0100】
<第3実施形態>
図28及び
図29を参照しつつ、第3実施形態に係る電子部品の製造方法について説明する。
図28は、第3実施形態に係る電子部品の構成を概略的に示す平面図である。
図29は、
図28に示したXXIX−XXIX線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
【0101】
電子部品601は、第1基板630、複数の第1接合部材645、及び複数の第2接合部材646を含む電子部品602に、第2基板620を接合することによって製造される。第1基板630は、再配線層681、集積回路682、モールド層683を備えている。再配線層681は、第1基板630の第1主面632a側に設けられている。集積回路682は、電気素子に相当する。集積回路682は、再配線層681の第2主面632b側に設けられている。モールド層683は、集積回路682を覆っている。
【0102】
複数の第1接合部材645は、それぞれ、第1頂上部645aを備えている。複数の第2接合部材646は、それぞれ、第2頂上部646aを備えている。第1基板630の第1主面632aを平面視したとき、第1接合部材645及び第2接合部材646は、互いに形状又は大きさが異なっている。第1頂上部645a及び第2頂上部645cは、互いに形状又は大きさが異なっている。なお、複数の第1接合部材645及び複数の第2接合部材646は、それぞれ、複数の下地部材637に重なるようにもうけられている。具体的には、電子部品の電極パッドの一部として機能する3つ以上の下地部材637が、再配線層681を通して、集積回路682と、複数の第1接合部材645及び複数の第2接合部材646と、を電気的に接続している。
【0103】
複数の頂上部645a及び複数の頂上部646aは、第2実施形態に係る接合部材540の頂上部530aと同様の構成であることが望ましい。すなわち、複数の頂上部645a及び複数の頂上部646aは、露出されており且つ平面形状である。このとき、複数の接合部材645,646の第1基板630側の底面の幅に対して、複数の頂上部645a及び複数の頂上部646aの幅は、30%以上であることが望ましい。また、複数の頂上部645a及び複数の頂上部646aは、仮想的な平面内に設けられている。複数の頂上部645a及び複数の頂上部646aの平面度は、第1基板630の第1主面632aの平面度の40%以下である。また、複数の頂上部645a及び複数の頂上部646aの平面度は、9.0μm以下であり、5.0μm以下であることが望ましい。
【0104】
<付記>
以下に、本発明の実施形態の一部又は全部を付記として記載する。なお、本発明は以下の付記に限定されるものではない。
【0105】
下地部材を第1基板の第1主面に設ける第1工程と、
前記第1基板の前記第1主面と転写基板の転写主面とによって、前記下地部材及び接合部材ペーストを挟む第2工程と、
前記接合部材ペーストを前記第1基板と前記転写基板とに挟まれた状態のまま、前記下地部材に接合された接合部材を形成する第3工程と、
前記下地部材に接合された前記接合部材から前記転写基板を剥離する第4工程と、
を備えることを特徴とする、電子部品の製造方法。
【0106】
前記第3工程は、
前記接合部材ペーストを加熱する工程と、
前記加熱する工程の後に、前記接合部材を冷却する工程と、
を備える、電子部品の製造方法。
【0107】
下地部材を第1基板の第1主面に設ける第1工程と、
前記第1基板の前記第1主面と転写基板の転写主面とによって、前記下地部材及び前記下地部材上に設けられた接合部材ペーストを挟む第2工程と、
前記接合部材ペーストを前記第1基板と前記転写基板とに挟まれた状態のまま加熱および冷却することによって、前記接合部材ペーストを軟化および固化させて接合部材を形成する第3工程と、
前記下地部材に接合された前記接合部材から前記転写基板を剥離する第4工程と、
を備えることを特徴とする、電子部品の製造方法。
【0108】
前記第2工程は、前記接合部材ペーストを前記転写基板の前記転写主面に設ける工程を備える、電子部品の製造方法。
【0109】
前記第4工程において、前記接合部材に対する前記転写基板の接合強度は、前記接合部材に対する前記下地部材の接合強度よりも小さい、電子部品の製造方法。
【0110】
前記第4工程において、前記接合部材に対する前記転写基板の接合強度は、前記下地部材に対する前記第1基板の接合強度よりも小さい、電子部品の製造方法。
【0111】
前記第4工程において、前記接合部材に対する前記転写基板の接合強度は、前記第1基板と前記転写基板との間の接合強度の中で最も小さい、電子部品の製造方法。
【0112】
前記接合部材ペーストは、金属とフラックスを含む、電子部品の製造方法。
【0113】
前記接合部材は、金属により構成される、電子部品の製造方法。
【0114】
前記第3工程において、前記下地部材と前記接合部材とが金属接合を形成する、電子部品の製造方法。
【0115】
前記第3工程において、前記接合部材ペーストに含まれていたフラックスが、前記接合部材を覆う、電子部品の製造方法。
【0116】
前記フラックスを除去する工程をさらに備える、電子部品の製造方法。
【0117】
前記転写基板の前記転写主面は、非金属材料により構成される、電子部品の製造方法。
【0118】
前記転写基板は、セラミックにより構成される、電子部品の製造方法。
【0119】
前記転写基板は、ガラスにより構成される、電子部品の製造方法。
【0120】
前記転写基板の前記転写主面は、前記第1基板の前記第1主面よりも表面粗さが小さい、電子部品の製造方法。
【0121】
前記転写基板の前記転写主面は、前記第1基板の前記第1主面よりも平面度が小さい、電子部品の製造方法。
【0122】
前記第2工程において、前記転写基板の前記転写主面における、前記接合部材ペーストを介して前記第1基板の前記第1主面と向かい合う領域は、前記第1基板の前記第1主面よりも平面度が小さい、電子部品の製造方法。
【0123】
前記第1工程において、複数の前記下地部材を設け、
前記第3工程において、前記複数の下地部材のそれぞれに接触するように、複数の前記接合部材を形成する、電子部品の製造方法。
【0124】
前記複数の接合部材は、第1接合部材と、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに前記第1接合部材とは形状又は大きさが異なる第2接合部材と、を含む、電子部品の製造方法。
【0125】
前記第2工程において、前記第1基板の前記第1主面を平面視したとき、前記接合部材ペーストは、前記下地部材の形状と重なるように設けられる、電子部品の製造方法。
【0126】
前記接合部材ペーストの前記下地部材に対する濡れ性は、前記接合部材ペーストの前記転写基板の前記転写主面に対する濡れ性より大きい、電子部品の製造方法。
【0127】
前記接合部材ペーストの前記下地部材に対する濡れ性は、前記接合部材ペーストの前記第1基板の前記第1主面に対する濡れ性より大きい、電子部品の製造方法。
【0128】
前記第4工程において、前記接合部材の頂上部には、前記転写基板の前記転写主面の形状が転写されている、電子部品の製造方法。
【0129】
前記第1工程において、前記下地部材は、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに環状に設けられる、電子部品の製造方法。
【0130】
前記第1工程において、前記下地部材は、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに矩形環状に設けられ、
前記第2工程において、前記接合部材ペーストは、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに、前記下地部材の前記矩形環状の角部を避けて設けられる、電子部品の製造方法。
【0131】
前記下地部材及び前記接合部材を介して、前記第1基板を第2基板に接合する第5工程をさらに備える、電子部品の製造方法。
【0132】
前記第5工程において、前記第1基板と前記第2基板との間に前記下地部材及び前記接合部材によって囲まれた内部空間を形成する、電子部品の製造方法。
【0133】
前記第1基板に電子素子を設ける工程をさらに備える、電子部品の製造方法。
【0134】
前記電子素子は、封止された前記内部空間に配置されている、電子部品の製造方法。
【0135】
前記電子素子は、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに略矩形形状を有する圧電振動素子である、電子部品の製造方法。
【0136】
前記電子素子は、複数の振動腕部を有する音叉型水晶振動素子である、電子部品の製造方法。
【0137】
前記下地部材は、前記第1基板に接触する密着層と、前記密着層と前記接合部材との間に位置する下地層と、を含む、電子部品の製造方法。
【0138】
前記第1工程は、
セラミックのグリーンシートを設ける工程と、
前記グリーンシートの第1主面に密着層ペーストを設ける工程と、
前記グリーンシート及び前記密着層ペーストを焼成して、前記グリーンシートから前記第1基板を形成し且つ前記密着層ペーストから前記密着層を形成する工程と、
前記密着層に下地層をめっき形成する工程と、
を含む、電子部品の製造方法。
【0139】
反り形状の第1主面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記第1主面側に設けられ、第2基板と接合されることとなる頂上部を有する接合部材と、
を備え、
前記接合部材の頂上部は平面内に設けられている、電子部品。
【0140】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記第1主面側に設けられ、頂上部を有する接合部材と、
を備え、
前記接合部材の前記頂上部は、露出されており且つ平面形状である、電子部品。
【0141】
前記頂上部の平面度は、前記第1基板の前記第1主面の平面度の40%以下である、電子部品。
【0142】
前記頂上部の平面度は、9.0μm以下である、電子部品。
【0143】
前記頂上部の平面度は、5.0μm以下である、電子部品。
【0144】
前記接合部材の前記第1基板側の底面の幅に対して、前記頂上部の幅は30%以上である、電子部品。
【0145】
前記第1基板は、焼結体により構成されたセラミック基板であり、
前記第1基板の前記第1主面と前記接合部材との間には、密着層を含む下地部材が設けられている、電子部品。
【0146】
前記密着層は、焼結金属であり、前記セラミック基板と接触している、の電子部品。
【0147】
前記第1基板の前記第1主面は、反り形状を有している、電子部品。
【0148】
前記第1基板の前記第1主面の平面度は、10μm以上である、電子部品。
【0149】
前記接合部材は、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに環状に設けられている、電子部品。
【0150】
前記接合部材は、前記第1基板の前記第1主面を平面視したときに矩形環状に設けられている、電子部品。
【0151】
前記第1基板の前記第1主面を平面視したとき、形状又は大きさが異なる複数の前記接合部材を備えている、電子部品。
【0152】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記第1主面側に設けられ、少なくとも3つの頂上部を有する複数の接合部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの頂上部の平面度は、前記第1基板の前記第1主面の平面度の40%以下である、電子部品。
【0153】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記第1主面側に設けられ、少なくとも3つの頂上部を有する複数の接合部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの頂上部の平面度は、9.0μm以下である、電子部品。
【0154】
前記少なくとも3つの頂上部の平面度は、5.0μm以下である、電子部品。
【0155】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記第1主面側に設けられ、少なくとも3つの頂上部を有する複数の接合部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの頂上部は、露出されており且つ平面形状である、電子部品。
【0156】
前記複数の接合部材の前記第1基板側の底面の幅に対して、前記少なくとも3つの頂上部の幅は、30%以上である、電子部品。
【0157】
前記第1基板と前記接合部材との間に設けられた下地部材をさらに備え、
前記接合部材の前記下地部材に対する接合強度は、前記接合部材の前記第1基板に対する接合強度よりも大きい、電子部品。
【0158】
前記接合部材は、前記下地部材と合金を形成している、電子部品。
【0159】
前記接合部材の材料は、金属のみである、電子部品。
【0160】
前記第1基板は、前記第1主面に設けられた電極パッドを備え、
前記接合部材は、前記電極パッド上に配置されている、電子部品。
【0161】
前記第1基板に電子素子が設けられている、電子部品。
【0162】
前記電子素子は、圧電振動素子である、電子部品。
【0163】
前記電子素子は、前記第1基板の前記第1主面側に設けられ、
前記接合部材のすくなくとも1つは、前記第1基板の前記第1主面を平面視したとき、前記電子素子を囲む枠状に設けられている、電子部品。
【0164】
以上説明したように、本発明によれば、接合部材の形状の安定を図ることができる電子部品の製造方法を提供することが可能となる。
【0165】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。