特許第6916610号(P6916610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916610
(24)【登録日】2021年7月20日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】吊下げ用バッグ構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/14 20060101AFI20210729BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20210729BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20210729BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20210729BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   B65D33/14 Z
   B65D30/02
   B65D33/38
   B65D65/40 D
   B65D33/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-226362(P2016-226362)
(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公開番号】特開2018-83638(P2018-83638A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】上野 智之
(72)【発明者】
【氏名】馬道 貴士
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−072900(JP,A)
【文献】 実開昭57−067941(JP,U)
【文献】 特開2003−191967(JP,A)
【文献】 特開2015−130958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/14
B65D 30/02
B65D 33/02
B65D 33/38
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体類を充填するフィルムタイプのバッグであって、下方に注ぎ口を設け、上方の左右隅部に吊下げ用の掛止孔を一対に設けた吊下げ用バッグ構造において
バッグを構成する表裏の各フィルムが、バッグの接液側フィルムをポリエチレンフィルムとし、バッグの外側フィルムをラミネートした延伸フィルムとしており、
バッグの袋部が、バッグの下方に設けた注ぎ口と、バッグの左右一対の側辺部と、該左右の側辺部の少なくとも下方から注ぎ口に向かうテーパ状の底辺部と、前記左右一対の側辺部の上端間をつなぐ上辺部とからなっており、
該上辺部の上部に、前記底辺部のテーパ状との形状が一致する切欠部を有して上方に延びる左右一対の把持片部を有しており、
各把持片部に形成される掛止孔の孔縁部が、バッグの表裏のフィルムを一体にシールしたシール部のシール幅の中途位置に設定され穿設されてなり、
前記把持片部の掛止孔を除いた個所には把持片部と相似形状の補強シール部が設けられていることを特徴とする吊下げ用バッグ構造。
【請求項2】
一対の把持片部に、掛止孔を避けた個所に、無端形状の補強シール部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吊下げ用バッグ構造。
【請求項3】
バッグの少なくとも内側のフィルムが、透明または半透明のフィルムからなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の吊下げ用バッグ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグインボックスに替えてバッグを直接に壁掛けなどにして使用することができる吊下げ用バッグ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体類の内容物を収納したフィルムタイプの袋状の内装容器を段ボールケースを主体とする外装容器に収納したバッグインボックスが知られている。
しかし、段ボールの持込み禁止エリアでは、外装容器が段ボールケースであるため使用できなかった。
また、内装容器がフィルムタイプの袋であるため、上記袋が損傷しないように、段ボールケースを頑丈なものとする必要がある。
内容物の使用中は、フィルムタイプの袋は段ボールケースの中に収納されているので、外部からは内容物の残量が分からない。
更に、ケースの下部を開口し、前記袋に取り付けられた注ぎ口を外に引き出して使用しているので、注ぎ口の位置が外装容器の開口の位置によって固定され、袋の内部の液体類をすべて使い切ることは困難であり無駄が生じている。
特に、厨房等で使用する場合には、段ボールケースの紙粉が食品中に混入するおそれがあり、また、水濡れにも弱く、更に嵩張るために余計なスペースを確保する必要があった。
そこで、特開2004−67210号には、内容液の入った注出口付きのバッグインボックス内袋と、該バッグインボックス内袋収納時に注出操作が可能な状態で該バッグインボックス内袋を収納する函体を有するサーバーとを含む液体サーバー装置において、前記バッグインボックス内袋は、前記注出口から離間した隅部に、貫通孔または折り込みからなる吊り下げ部を有し、かつ前記サーバーは、該バッグインボックス内袋の吊り下げ部を掛止した際に、該バッグインボックス内袋の注出口が該吊り下げ部よりも下方となる前記函体内の位置に、該吊り下げ部を掛止する掛止部を有する構成が提案されている。
そして、筐体に収納された注出口付きのバッグインボックスの内袋が、前記注出口から離間した隅部に、貫通孔または折り込みからなる吊り下げ部を有し、かつ前記筐体を有するサーバーには、バッグインボックス内袋の吊り下げ部を掛止した際に、該バッグインボックス内袋の注出口が該吊り下げ部よりも下方となる前記函体内の位置に、該吊り下げ部を掛止する掛止部を有する構成が開示されている。
上記構成では、内袋を外箱から取り出して、液体サーバー装置の筐体内の上部のフックに吊り下げ部を掛止めて、サーバーの傾斜面上に内袋を斜めに配置する構成からなっているが、内袋だけで使用することは考えられておらず、大型のサーバー装置が必要となり、省スペースやフックの位置を変更することはできない。
更に、サーバー装置には前面扉が設けられるので、内袋だけを透明にしても扉を透明にしないと内袋内の残量を常時確認することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−67210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする問題点は、段ボールケースやサーバー装置を用いることなく、フィルムタイプの内装容器だけで用いることができるようにした吊下げ用バッグ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1の発明では、
液体類を充填するフィルムタイプのバッグであって、下方に注ぎ口を設け、上方の左右隅部に吊下げ用の掛止孔を一対に設けた吊下げ用バッグ構造において
バッグを構成する表裏の各フィルムが、バッグの接液側フィルムをポリエチレンフィルムとし、バッグの外側フィルムをラミネートした延伸フィルムとしており、
バッグの袋部が、バッグの下方に設けた注ぎ口と、バッグの左右一対の側辺部と、該左右の側辺部の少なくとも下方から注ぎ口に向かうテーパ状の底辺部と、前記左右一対の側辺部の上端間をつなぐ上辺部とからなっており、
該上辺部の上部に、前記底辺部のテーパ状との形状が一致する切欠部を有して上方に延びる左右一対の把持片部を有しており、
各把持片部に形成される掛止孔の孔縁部が、バッグの表裏のフィルムを一体にシールしたシール部のシール幅の中途位置に設定され穿設されてなり、
前記把持片部の掛止孔を除いた個所には把持片部と相似形状の補強シール部が設けられていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記一対の把持片部に、掛止孔を避けた個所に、無端形状の補強シール部が設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記バッグが、透明または半透明のフィルムからなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバッグ構造では、掛止孔を壁面などの任意の個所に固定したフックに掛け止め、注ぎ口部が下になるように吊り下げることができるように、バッグの表裏のフィルムの外側フィルムにポリエチレンフィルムと延伸フィルムとを接着させたフィルムを用いることで、バッグの強度を上げることができると共に、掛止孔の孔縁部をシール部のシール幅の中途位置に設定することで掛止孔の孔縁部を強化して液体が充填されたバッグを吊り下げて支持することができる。
また、外装ケースは、商品の流通時にだけバッグを収納、保持することができればよく、バッグの使用に際しては外装ケースやサーバー装置は不要であり、バッグ単体をフック等の掛止手段に吊り下げることで使用に供するので、コストダウンを図ることができ、また従来のように外装ケースの段ボールの紙粉が室内に入り込むおそれもない。
また、バッグは注ぎ口部を下にして使用するため、粘度の高い液体であっても底辺部のテーパに沿って自重で液体が流下してくるので、バッグ内に残液が残りにくい。
また、バッグは左右の掛止孔を有しているので、前記一対の掛止手段の配置を離間位置または接近位置に変えることでバッグの形態が変わり、収納された液体の流量を調整することができる。
更に、バッグを透明ないし半透明の袋部とすれば、収納された液体の残量も容易に視認することができる。
このようにバッグは吊り下げて使用するので、省スペースを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の吊下げ用バッグの正面図である。
図2】使用状態を示す側面図である。
図3】バッグのフィルム構成を示す部分拡大断面図である。
図4】(a)はフックの位置を接近させた状態の使用状態を示す正面図、(b)は1つのフックに掛止める使用状態を示す正面図である。
図5】掛止孔周辺を示す拡大図である。
図6】繰り出した表裏のフィルムをバッグ形状に切断する状態を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
液体類を充填するフィルムタイプのバッグ1の下方に注ぎ口3を設け、上方の左右隅部に吊下げ用の掛止孔13、14を一対に設けて、前記バッグ1を吊り下げて使用することができることを特徴とする。
【実施例1】
【0009】
図1に示す本実施例の吊下げ用バッグ1は、袋部2が、本実施例の場合、表裏のフィルム20A、20Bをシール部Hによって枠状に囲み袋部2としたもので、該袋部2の一端側の略中央に注ぎ口3を形成しており、注ぎ口3側を下方、対向する側を上方として説明する。
【0010】
本実施例の吊下げ用バッグ1のフィルム構成は、図3に示すように、バッグ1を構成する表裏の各フィルム20A、20Bが、バッグ1の接液側フィルムをポリエチレンフィルム22とし、バッグの外側フィルム23を延伸フィルムとし、該延伸フィルムの一例として、前記ポリエチレンフィルム22と接する側に延伸ポリエチレンフィルム24を配し、外側に延伸ナイロンフィルム26を配して接着剤25で一体に接着した構成からなっている。
【0011】
上記構成からなるので前記外側フィルム23によって延伸方向への強度を高めると共に、ポリエチレンフィルム22によって易引裂性の欠点を解消するので、全体としてバッグ1の強度を高めている。
【0012】
なお、上記フィルムの厚みの一例を示すと、外側フィルム23は約75μmのラミネートフィルムであって、本実施例では、前記延伸ナイロンフィルム26が約15μm、延伸ポリエチレンフィルム24が約60μmであり、中間に接着剤25を介して一体に形成されている。
上記外側フィルム23は、任意のバリア基材をラミネートするものでもよい。
また、接液側フィルムのポリエチレンフィルム22は90μmの厚みからなっている。
上記フィルムの厚みは特に限定されるものではなく、液体の種類や用途、使用条件などによって適宜数値で用いることができる。
【0013】
そして、各表裏のフィルム20A、20Bの外側フィルム23と接液側フィルム22間は接着されずに独立しており隙間S1が生じる。
各表裏のフィルム20A、20B間(接液側フィルム間22,22)には液体類の収納用の空間S2が形成され、袋部の輪郭部分は、シール部Hにより表裏のすべてのフィルム20A、20Bが一体に熱溶着される構成となっている。
【0014】
前記バッグ1の袋部2を形成するシール部Hは、本実施例の場合、図1に示すように、無端で略ホームベース形状につながっている。
即ち、シール部Hは、前記フィルムの左右の側縁に沿って内側に左右一対の側辺部4,5と、左右の側辺部4,5の少なくとも下方から注ぎ口3に向かってテーパ状に延び、注ぎ口3の下側を囲む底辺部6と、前記左右一対の側辺部4,5の上端間を略水平につなぐ上辺部7とからなっている。
【0015】
バッグ1は、前記シール部Hの上辺部7より上部が、前記底辺部6のテーパ状に対応する切欠部10を有して上方に延びる左右一対の把持片11、12を有している。
図示例では、上記把持片11、12は、対称に配置されフィルムの側端に沿って延びた略直角三角形状のフィルム片からなっている。
【0016】
上記各把持片部11,12には、上方隅部に掛止孔13、14が形成されている。
該掛止孔13、14は、フックなどの掛止手段Fに掛け止められてバッグ1を注ぎ口3が下になるように吊り下げた状態で保持する。
【0017】
ここで、一対のフック(掛止手段)Fは、展開した袋部2の掛止孔13、14の間隔に合わせて離間させれば、図1のようにバッグ1を掛止めることができるが、一対のフックFの間隔を接近させて配置することで、図4(a)に示すようにバッグ1の上側を絞った状態で掛け止め、吊り下げることができ、収納された液体の排出圧力を高めることができる。
そこで、図4(b)に示すように1つのフックFに2つの掛止孔13、14を合わせて掛け止めてもよい。
【0018】
図5で明瞭なように、上記掛止孔13,14の孔縁部は、前記把持片11,12の表裏のフィルムを所望の孔形状に一体にシールして通常のシール部よりシール幅を広くした把持片シール部H2のシール幅の中途位置に切取り線Lを設定し、該切取り線Lに沿って孔形状に穿設して掛止孔13、14が形成される。
これにより掛止孔13,14の孔縁部13a、14aは、一定のシール幅を有する縁部となり、且つ剪断面が一体に熱溶着されたシール面からなっているので、掛止孔13、14に荷重がかかっても変形したり損傷することがない。
【0019】
また、把持片部11、12の掛止孔13、14を除いた個所には、把持片部11、12とほぼ相似形状の略直角三角形の枠形状からなる補強シール部H3が設けられる。
これにより、把持片部11,12の強度も高まるので、バッグ1を注ぎ口3を真下にし、上部の掛止孔13、14を掛止手段Fに掛け止める際に、把持片部11,12を持ってバッグ1をバランスよく持ち上げることができる(図2参照)。
【0020】
本実施例のバッグ1は上記形状からなっているので、ロール状の長尺の表裏のフィルム20A、20Bを繰り出して、前記底辺部6に沿った横倒く字状の切断線Cに沿って切断し切り離すことで、下端の底辺部6の形状と上端の切欠部10の形状が一致するので、フィルム20A、20Bに無駄な部分を生じさせることなく切断して使用することができる(図6参照)。
【0021】
また上記フィルムは、少なくともフィルム20A、20Bのどちらか一方に透明または半透明のフィルムを用いることで、袋部2内に残留している液体の量を外側から目視確認することができ便利である。
上記実施例では底辺部は略く字状としたが、左右の傾斜角度は同一でなくてもよい。
【0022】
また、底辺部は、注口部を超えた下方部分はテーパ状でなくてもよく、略水平につながっている形状でもよい。
更に、袋部に収納する液体類は、シャンプー、リンスなどの洗剤類、液体の食品や調味料類など、注ぎ口から流下する流動性を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要するに、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 バッグ
2 袋部
3 注ぎ口
4、5 側辺部
6 底辺部
7 上辺部
10 切欠部
11、12 把持片
13、14 掛止孔
13a、14a 孔縁部
14 孔縁部形成用のシール部
15 シール幅の中途位置に設定される穿設位置
20A、20B 表裏のフィルム
22 ポリエチレンフィルム(接液側フィルム)
23 外側フィルム
24 延伸ポリエチレンフィルム
25 接着剤
26 延伸ナイロンフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6