(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916611
(24)【登録日】2021年7月20日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】一体型多成分ディスペンシングシステム及び関連方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20210729BHJP
B65D 83/76 20060101ALI20210729BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20210729BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20210729BHJP
B29C 67/00 20170101ALI20210729BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20210729BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20210729BHJP
【FI】
B65D81/32 U
B65D83/76 120
B01F5/00 D
B01F15/02 A
B29C67/00
B33Y10/00
B33Y50/02
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-228709(P2016-228709)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-95179(P2017-95179A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】62/259,812
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ダブリュー スプリングホーン
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05033650(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0175306(US,A1)
【文献】
実開昭61−205969(JP,U)
【文献】
米国特許第04913553(US,A)
【文献】
米国特許第03029987(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B01F 5/00
B01F 15/02
B29C 67/00
B33Y 10/00
B33Y 50/02
B65D 83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体成分の混合物をディスペンスするように構成されたディスペンシングシステムであって、
第1及び第2流体成分を受容するように構成された流体路を規定する延長管状本体部と、前記流体路内に位置する複数の混合バッフルと、を含む静的ミキサ
を備えており、
前記複数の混合バッフルは、前記流体路内に受容された時に前記第1及び第2流体成分を混合するように構成されており、
前記第1流体成分を保持するための第1チャンバを規定する第1シリンダと、前記第2流体成分を保持するための第2チャンバを規定する第2シリンダと、と含むカートリッジを更に備え、
前記カートリッジは、前記第1及び第2チャンバにそれぞれ流体連通すると共に選択的に前記静的ミキサの前記流体路と流体連通する第1及び第2流体出口を含んでおり、
前記カートリッジの前記第1及び第2シリンダは、前記静的ミキサの前記延長管状本体部及び前記複数の混合バッフルと一部品として一体的に形成されている
ことを特徴とするディスペンシングシステム。
【請求項2】
前記第1流体出口と前記流体路との間に位置決めされた第1の崩壊可能な閉塞部材と、
前記第2流体出口と前記流体路との間に位置決めされた第2の崩壊可能な閉塞部材と、
を更に備え、
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材は、前記カートリッジ及び前記静的ミキサと一部品として一体的に形成されており、
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材は、前記第1及び第2流体成分の前記静的ミキサ内への流れを遮断するように最初は閉じられている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材は、それぞれ、更に、
崩壊可能な外側部と、
ヒンジ状の内側部と、
を有している
ことを特徴とする請求項2に記載のディスペンシングシステム。
【請求項4】
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材の各々の前記崩壊可能な外側部は、前記第1及び第2流体出口に隣接する前記カートリッジの内部壁に取り付けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のディスペンシングシステム。
【請求項5】
前記カートリッジは、更に、
前記第1及び第2流体出口を分離するディバイダ
を有しており、
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材の各々の前記ヒンジ状の内側部は、前記ディバイダに取り付けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のディスペンシングシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材の各々の前記崩壊可能な外側部は、前記第1及び第2チャンバ内の前記第1及び第2流体成分に閾値の圧力が適用される時に崩壊するよう設計された厚みを規定している
ことを特徴とする請求項3に記載のディスペンシングシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材の各々の前記ヒンジ状の内側部は、前記閾値の圧力に崩壊しないで耐えるように設計された厚みを規定しており、それによって前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材の回動運動を可能にして前記流体路内への前記第1及び第2流体出口からの流れの開放を可能にしている
ことを特徴とする請求項6に記載のディスペンシングシステム。
【請求項8】
前記閾値の圧力は、約100psiである
ことを特徴とする請求項6に記載のディスペンシングシステム。
【請求項9】
前記閾値の圧力は、ディスペンシング動作中に前記第1及び第2流体成分に適用されるディスペンシング圧力未満であり、
前記閾値の圧力は、当該ディスペンシングシステムの船積み及び搬送中に適用される力よりも大きい
ことを特徴とする請求項6に記載のディスペンシングシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの流体ディスペンサ部
を更に備え、
前記カートリッジ、前記静的ミキサ、及び、前記少なくとも1つの流体ディスペンサ部は、一部品として一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流体ディスペンサ部は、
前記カートリッジの前記第1及び第2シリンダに接続されたレセプタクルと、
ハンドルと、
の少なくとも一方を有する
ことを特徴とする請求項10に記載のディスペンシングシステム。
【請求項12】
前記複数の混合バッフルは、複数のアンダーカットを規定する少なくとも2つの異なる種類の混合バッフルを含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項13】
前記静的ミキサから前記第1及び第2流体成分を受容するように構成されたディスペンシングチップを有するノズル
を更に備え、
前記静的ミキサ及び前記ディスペンシングチップは、一部品として一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項14】
流体ディスペンサに関して使用するための装置を製造する方法であって、
静的ミキサを形成するべく、コンピュータ制御下で、材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程
を備え、
当該材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程は、
前記静的ミキサを、第1及び第2流体成分を受容するように構成された流体路を規定する延長管状本体部と、前記流体路内に位置する複数の混合バッフルと、を含むように形成する工程
を更に有しており、
前記複数の混合バッフルは、前記流体路内に受容された時に前記第1及び第2流体成分を混合するように構成され、
前記静的ミキサの前記延長管状本体部と前記複数の混合バッフルは、一部品として一体的に形成され、
カートリッジを形成するべく、コンピュータ制御下で、材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程
を更に備え、
当該カートリッジを形成するべく材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程は、
前記カートリッジを、前記第1流体成分を保持するための第1チャンバを規定する第1シリンダと、前記第2流体成分を保持するための第2チャンバを規定する第2シリンダと、を含むように形成する工程
を更に有しており、
前記カートリッジは、前記第1及び第2チャンバにそれぞれ流体連通すると共に選択的に前記静的ミキサの前記流体路と流体連通する第1及び第2流体出口を含み、
前記カートリッジ及び前記静的ミキサを一部品として一体的に形成する工程
を更に備えたことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第1流体出口と前記流体路との間に位置決めされた第1の崩壊可能な閉塞部材を形成する工程と、
前記第2流体出口と前記流体路との間に位置決めされた第2の崩壊可能な閉塞部材を形成する工程と、
を更に備え、
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材は、前記カートリッジ及び前記静的ミキサと一部品として一体的に形成され、
前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材は、前記第1及び第2流体成分の前記静的ミキサ内への流れを遮断するように最初は閉じられる
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カートリッジ及び前記静的ミキサと一部品として一体的に形成されるように、少なくとも1つの流体ディスペンサ部を形成する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの流体ディスペンサ部を形成する工程は、
前記カートリッジの前記第1及び第2シリンダに接続されたレセプタクルと、
ハンドルと、
の少なくとも一方を形成する工程
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
流体ディスペンサに関して使用するための装置を製造するコンピュータ実施方法であって、
当該装置のための源のモデルと、当該装置のための複数の規定制御点と、をデータベースから読み出す工程と、
前記装置の製造のための印刷指令を自動的に生成する工程と、
を備え、
前記印刷指令は、コンピュータ制御される3次元プリンタによって実施される時、付加製造によって、前記装置を、
第1及び第2流体成分を受容するように構成された流体路を規定する延長管状本体部と、前記流体路内に位置する複数の混合バッフルと、を含む静的ミキサと、
前記第1流体成分を保持するための第1チャンバを規定する第1シリンダと、前記第2流体成分を保持するための第2チャンバを規定する第2シリンダと、と含むカートリッジと、
を有し、
前記複数の混合バッフルは、前記流体路内に受容された時に前記第1及び第2流体成分を混合するように構成されており、
前記静的ミキサの前記延長管状本体部と前記複数の混合バッフルは、一部品として一体的に形成されており、
前記カートリッジは、前記第1及び第2チャンバにそれぞれ流体連通すると共に選択的に前記静的ミキサの前記流体路と流体連通する第1及び第2流体出口を含んでいる
というように生産し、
前記カートリッジの前記第1及び第2シリンダは、前記静的ミキサの前記延長管状本体部及び前記複数の混合バッフルと一部品として一体的に形成される
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ディスペンサに関しており、特には、多成分流体を混合してディスペンス(投与)するように構成された流体ディスペンサの様々な要素を組み合わせた一体型多成分ディスペンシングシステムに関している。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの流体ディスペンサが、従来技術から知られている。それらの多くは、ピストル状に設計されている。そのような流体ディスペンサは、容器から1または2以上の成分をディスペンス(投与)するべく利用されている。容器は、ほとんどの場合、シリンジや、二重シリンジや、対応するカートリッジの形態で設計されている。
【0003】
従来の多成分流体のディスペンサは、例えば、デュアルシリンダ・ディスペンシング・カートリッジ、カートリッジ閉塞部材、静的ミキサ、及び、ノズル、のような複数の要素を含んでいる。それらは、典型的には、いずれかの場所で、3個乃至5個の部品として別個に製造されている。従って、これらの要素は、カートリッジ生産者、静的ミキサ生産者、充填作業者、及び/または、エンドユーザによって、一緒に組み立てられる必要がある。そのような組立は、追加の労働とコストを要する。更に、各部品は、個別に保管されて取り扱われなければならない。従って、流体ディスペンサの要素を個別部品として製造して当該要素を一緒に組み立てるというのは、複雑でコストがかかって時間もかかる。部品の数や流体ディスペンサの生産作業の数を減らすことは、組体、過程中の作業、在庫のコストを減らすために望ましい。
【0004】
しかしながら、流体ディスペンサの要素を個別部品として製造することは、典型的には、例えば流体成分の早過ぎる混合及び/または放出のような、潜在的な作動上の問題を回避するために必要なことである、と理解されている。例えば、デュアルシリンダ・ディスペンシング・カートリッジは、例えばエポキシ接着剤または成形材料内で用いられる2つの反応性成分のような、2種類の異なる流体ないし流体成分を貯蔵するための一対のシリンダを有し得る。もし2つの流体がノズル及び/またはミキサに共に早過ぎるタイミングで入るならば、当該流体はミキサ内で反応して硬化してしまって、内部の流路を塞いで当該静的ミキサのその後の使用ができなくなる。そのような早過ぎる(未完の)混合を防ぐために、従来の流体ディスペンサでは、静的ミキサは、カートリッジとは別個の部品として製造されて、カートリッジは更にその各シリンダ内の流体を個別にシールするカートリッジ閉塞部材を有している。一例として、ホーナー等に発行された米国特許第6,484,904に記載されたデュアル流体カートリッジと一時的に関連付けられるキャップ型閉塞部材を参照。流体が混合されてディスペンス(投与)されるべき時、ユーザが、静的ミキサを取り付ける直前に、カートリッジ閉塞部材を穿刺ないし除去し得る、あるいは、静的ミキサに、それが取り付けられる時に閉塞部材を穿刺する槍部が設けられ得る。これによって、流体が静的ミキサに入って混合することが許容される。従って、静的ミキサをカートリッジから別個に製造することは、多成分流体がディスペンスされるべき時の早過ぎる放出及び混合を回避することによって、従来の流体ディスペンサが適切に機能することを可能にしている。
【0005】
また、流体ディスペンサの要素を別個の部品として製造することは、伝統的に、流体ディスペンサの特定のタイプの要素を生産する唯一の方策であると考えられてきた。例えば、静的ミキサにおいて、流体は、典型的には、当該流体を分割し重複するように再結合させることで、混合がなされる。これは、交互の幾何形状を有する一連の混合バッフル上に流体を強制通過させることで、達成される。そのような分割及び再結合は、流体の複数の層を混合させて互いに薄く拡散させる。この混合処理は、特に高粘性流体に関して、大変に効果的であることが証明されている。しかしながら、非常に多数の交差するブレードを有する混合バッフル(それは当該バッフルによって達成される混合の有効性を増大する)は、製造するのがより困難である。例えば、ブラウナ等に発行された米国特許第4,220,416は、2つのV字櫛状部として別個に成形された混合バッフルを記載している。それらは、静的ミキサへの挿入前に互いに噛み合わされる。これらの混合バッフルのブレード間の非常に多数の交差は、顕著な数のアンダーカットを規定するが、それらは、特殊な成形装置無しでは成形不可能であるか、全く成形不可能である。更に、非常に複雑な混合バッフルは、それが収容される静的ミキサと一体的に成形することが不可能であり得る。従って、そのような静的ミキサは、典型的には、混合バッフルから別個に製造されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のように、カートリッジ、静的ミキサ、ノズル等のこのような別個の製造とその後の組立とは、処理に有意な複雑さとコストとをもたらしている。このことは、また、より小さいスケールの事業や応用に流体ディスペンサをカスタマイズする能力を妨害し得る。従って、流体ディスペンサの製造及び組立に関する問題の幾つかに取り組むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に従って、複数の流体成分の混合物をディスペンスするように構成された流体ディスペンサに関して使用するためのディスペンシングシステムが提供される。当該システムは、前記第1流体成分を保持するための第1チャンバを規定する第1シリンダと、前記第2流体成分を保持するための第2チャンバを規定する第2シリンダと、と含むカートリッジと、を備えている。前記カートリッジは、前記第1及び第2チャンバにそれぞれ流体連通する第1及び第2流体出口を含んでいる。当該システムは、更に、前記第1及び第2流体出口と連通するように構成された流体路を規定する延長管状本体部と、前記流体路内に位置して前記第1及び第2流体成分を混合するように構成された複数の混合バッフルと、を含む静的ミキサを備えている。前記静的ミキサの前記延長管状本体部と前記複数の混合バッフルは、一部品として一体的に形成されている。従って、個別の構成要素としてこれらすべての部品を製造し、保存し、組み立てる必要性が除去され、ディスペンシングシステム及び流体ディスペンサの製造のコスト及び複雑さが低減される。
【0008】
本発明の別の実施形態に従って、複数の流体成分の混合物をディスペンスするように構成された流体ディスペンサに関して使用するためのディスペンシングシステムが提供される。当該システムは、前記第1流体成分を保持するための第1チャンバを規定する第1シリンダと、前記第2流体成分を保持するための第2チャンバを規定する第2シリンダと、と含むカートリッジと、を備えている。前記カートリッジは、前記第1及び第2チャンバにそれぞれ流体連通する第1及び第2流体出口を含んでいる。当該システムは、更に、前記第1及び第2流体出口と連通するように構成された流体路を規定する延長管状本体部と、前記流体路内に位置して前記第1及び第2流体成分を混合するように構成された複数の混合バッフルと、を含む静的ミキサを備えている。前記カートリッジの前記第1及び第2シリンダと前記静的ミキサの前記延長管状本体部と前記複数の混合バッフルは、一部品として一体的に形成されている。従って、個別の構成要素としてこれらすべての部品を製造し、保存し、組み立てる必要性が除去され、ディスペンシングシステム及び流体ディスペンサの製造のコスト及び複雑さが更に低減される。
【0009】
別の特徴において、当該システムは、前記第1流体出口と前記流体路との間に位置決めされた第1の崩壊可能な閉塞部材と、前記第2流体出口と前記流体路との間に位置決めされた第2の崩壊可能な閉塞部材と、を更に備える。前記第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材は、それぞれ、崩壊可能な外側部と、ヒンジ状の内側部と、を有し得る。ある実施形態では、前記崩壊可能な外側部は、前記カートリッジの内部壁に取り付けられている。別の実施形態では、前記カートリッジは、更に、前記第1及び第2流体出口を分離するディバイダを有し、前記ヒンジ状の内側部は、前記ディバイダに取り付けられている。前記崩壊可能な外側部は、閾値の圧力で崩壊するよう構成され得て、前記ヒンジ状の内側部は、前記閾値の圧力に耐えるように構成され得る。前記崩壊可能な閉塞部材は、また、前記静的ミキサ及び前記カートリッジと一部品として一体的に形成されている。
【0010】
別の実施形態によれば、流体ディスペンサに関して使用するためのディスペンシングシステムを製造する方法が、カートリッジと静的ミキサとを一体的に形成するべく、コンピュータ制御下で、材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程を備えている。当該材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程は、前記カートリッジを、前記第1流体成分を保持するための第1チャンバを規定する第1シリンダと、前記第2流体成分を保持するための第2チャンバを規定する第2シリンダと、を含むように形成する工程を更に有している。前記カートリッジは、前記第1及び第2チャンバにそれぞれ流体連通すると共に選択的に前記静的ミキサの前記流体路と流体連通する第1及び第2流体出口を含む。前記材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程は、また、前記静的ミキサを、前記第1及び第2流体出口と連通するように構成された流体路を規定する延長管状本体部と、前記流体路内に位置して前記第1及び第2流体成分を混合するように構成された複数の混合バッフルと、を含むように形成する工程を更に有している。
【0011】
別の実施形態において、流体ディスペンサに関して使用するためのディスペンシングシステムを製造するためのコンピュータ実施方法が提供される。当該方法は、当該ディスペンシングシステムのための源のモデルと、当該ディスペンシングシステムのための複数の規定制御点と、をデータベースから読み出す工程を備える。当該方法は、また、前記ディスペンシングシステムの製造のための印刷指令を自動的に生成する工程を備える。 コンピュータ制御される3次元プリンタによって実施される時、前記印刷指令は、前述のようなディスペンシングシステムを生産する。
【0012】
本発明の様々な付加的な目的、利点、特徴が、例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面との関連で参照することによって、理解されるであろう。
【0013】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を図示しているが、前述の本発明の概要と、以下に与えられる実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による流体ディスペンサに関して用いるために構成された一体型多成分ディスペンシングシステムの斜視図である。
【0015】
【
図2】
図2は、
図1の一体型多成分ディスペンシングシステムの2−2線断面図である(断面化されていない複数の混合バッフルを除く)。
【0016】
【
図3】
図3は、一体型多成分ディスペンシングシステムに含まれる代替の静的ミキサの設計を断面(例えば2−2線に沿って)で示す、
図2と同様の断面図である。
【0017】
【
図4】
図4は、
図3の一体型多成分ディスペンシングシステムの、静的ミキサとカートリッジとの交差部に隣接する一部の拡大斜視図であり、カートリッジと静的ミキサとの間で閉鎖位置に位置して静的ミキサ内への流体の流れを防ぐ崩壊可能な閉塞部材を示している。
【0018】
【
図5】
図5は、静的ミキサ内へのカートリッジからの流体の流れを可能にする崩壊可能な閉塞部材の開放位置(開放状態)を示す、
図4と同様の斜視図である。
【0019】
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態による一体型多成分ディスペンシングシステムの斜視図であり、当該実施形態は、当該システム内に流体ディスペンサの付加的要素、例えばアクチュエータ組立体成分(別途に供給される)と共に用いるように構成されたレセプタクルやハンドル、を含んでいる。
【0020】
【
図7】
図7は、
図6の一体型多成分ディスペンシングシステムの7−7線断面図である。
【0021】
【
図8】
図8は、一体型多成分ディスペンシングシステムに追加される、別途に製造されるアクチュエータ組立体成分を仮想線で示し、それによって一体型多成分ディスペンシングシステムを含む流体ディスペンサの最終の組立体を示す、
図7と同様の断面図である。
【0022】
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態による一体型多成分ディスペンシングシステムを生産するための、例示的な予想される製造フローのブロック図であり、一例として、ここで説明される本発明の別の実施形態による3次元CAD印刷指令の分配を含んでいる。
【0023】
【
図10】
図10は、本発明の更に別の実施形態による一体型多成分ディスペンシングシステムの部分拡大斜視図であり、当該実施形態は、一部品として一体に形成されて別個にカートリッジに接続される静的ミキサを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び
図2に示された一実施形態を参照して、流体ディスペンサ(
図8参照)と共に使用するための一体型多成分ディスペンシングシステム10は、デュアルシリンダ・カートリッジ12、ノズル14、及び、静的ミキサ16を、一体的に含んでいる。カートリッジ12、ノズル14及び静的ミキサ16を一体または単一の一部品として製造することによって、最終的な流体ディスペンサの組立コスト、及び、多数の流体ディスペンサ要素の保管と取り扱いとに関するコストが、顕著に低減され得る。従って、以下に説明される当該実施形態及び他の実施形態における単一の一体型多成分ディスペンシングシステム10は、公知の流体ディスペンサ及びそれに関連する製造方法の幾つかの問題を有利に克服する。
【0025】
本実施形態の一体型多成分ディスペンシング10は、
図1に全体の外部の詳細が示さており、
図2に断面の詳細が示されている。カートリッジ12は、第1及び第2中空シリンダ20、22を有しており、それらの各々は、それぞれ第1及び第2流体を保持して貯蔵するためのチャンバ24を有している。それら流体は、例えば、多成分エポキシ接着剤または成形材料内で用いられる2つの反応成分であり得る。図示のように、各シリンダ20、22は、(遠位端において)静的ミキサ16に近接する閉塞端部26と(近位端において)開放端部28とを含んでいる。開放端部28は、第1及び第2シリンダ20、22をそれぞれの流体で充填することを容易にする。本実施形態の一体型多成分ディスペンシングシステム10の部品としては形成されていないが、(
図1に仮想線で示された)第1及び第2ピストン30、32が、従来技術のように第1及び第2シリンダ20、22に各流体が充填された後で、それぞれ開放端部28から第1及び第2シリンダ20、22内に挿入され得る。本実施形態で使用され得るピストン30、32の一例は、スプリングホーンに与えられた米国特許第7,909,211に詳細が記載されている。当該特許は、本願の譲受人に共有されており、その開示内容の全体がここでの当該引用によって本明細書に組み込まれる。2つの円筒シリンダ20、22が図示されているが、より多数のシリンダが、3以上の流体成分が混合されて共にディスペンスされるべき時に関連して、採用され得るし、シリンダ20、22は、非円形の断面形状、例えば八角形や六角形を有し得る。それらは全て、本発明の範囲内に含まれる。更に、第1及び第2シリンダ20、22は互いに略同一のものとして図示されているが、シリンダ20、22は、本発明の範囲から離れることなく、異なって形成されてもよい。
【0026】
図示の実施形態では、第1及び第2シリンダ20、22が、ブリッジ板34によって閉塞端部26で結合されている。ブリッジ板34は、少なくとも部分的に、それぞれ第1及び第2シリンダ20、22のチャンバ24と流体連通する第1及び第2流体出口36、38を規定する。図示のように、第1及び第2流体出口36、38は、ブリッジ板34を通って延長し得て、ディバイダ40によってブリッジ板34内で互いに分離され得る。ディバイダ40は、側壁42が互いに近接及び/または隣接している箇所で、第1及び第2シリンダ20、22の各々の側壁42から延び、及び/または、それと一体形成されている。図示されていないが、第1及び第2シリンダ20、22は、他の場所、例えば開放端部28や任意の他の好適な場所で、システム10への付加的な支持及び/または安定を与えるべく、結合され得る。図示のように、ブリッジ板34は、静的ミキサ16をカートリッジ12に対して支持及び/またはシールするべく、また、カートリッジ12をディスペンサ本体(この図では不図示)に支持するべく、その遠位端において径方向に延びるフランジ44を含み得る。1または2以上のリップ部46が、例えばカートリッジ12と静的ミキサ16の接合部に付加的な構造支持を提供するべく、フランジ44から第2シリンダ22までブリッジ板34に沿って延びている。これにより、静的ミキサ16はカートリッジ12に堅固に固定され、カートリッジ12はディスペンサ本体に堅固に固定されている。
【0027】
図示の実施形態では、静的ミキサ16は、フランジ44から遠位方向に離れて延びる延長管状本体部50と、当該延長管状本体部50の反対側端のノズル14と、を含んでおり、ノズル14の端部には
ディスペンシングチップ52が設けられている。流体路54が、静的ミキサ16及びノズル14を通って延びており、静的ミキサ16内で第1及び第2流体によって形成された流体混合物をディスペンシングするべく、
ディスペンシングチップ52内の出口開口56で終わっている。図示の実施形態では、ノズル14は、更に、延長管状本体部50と
ディスペンシングチップ52との間に位置決めされたテーパ部58を含んでいる。ノズル14と流体路54とは、ディスペンシング応用に依存して、様々な幾何形状であり得る(さらに、ノズル14は、静的ミキサ16に対する分離した追加部品であり得るか、または、静的ミキサ16と一部品として一体的に形成され得る)。また、図示の実施形態は、ブリッジ板34とフランジ44とを含んでいるが、他の実施形態では、静的ミキサ16は、シリンダ20、22に直接結合され得て、シリンダ20、22は静的ミキサ16によって閉塞端部26で結合され得て、それによって、本発明の範囲から逸脱することなく、これらブリッジ板34及びフランジ44を省略できる。更に、ノズル14は本実施形態では静的ミキサ16の一体部品として記載されているが、流体ディスペンサのエンドユーザの必要性に依存して、ノズル14は他の実施形態では静的ミキサ16に分離して形成されて結合されてもよい、ということが理解される。
【0028】
図2を特に参酌して、一連の混合バッフル60が静的ミキサ16内に位置決めされており、例えば、図示のように、静的ミキサ16の延長管状本体部50内に完全に位置決めされ得る。静的ミキサ16は、複数のアンダーカットないし「障害」特徴部を含む複雑な幾何形状を有する様々な混合バッフル60を含み得る。混合バッフル60は、直接一体に成型するか、公知の射出成型技術を用いて互いに一連に成型されることが不可能であるか、及び/または、単一部品として延長管状本体部50内に成型することが不可能であるかもしれない。例えば、静的ミキサ16は、以下のタイプの混合バッフルの1または2以上を含み得る:少なくとも1つの従来の反時計回りの混合バッフル62、少なくとも1つの従来の時計回りの混合バッフル64、少なくとも1つの従来の十字流れ反転バッフル66、及び/または、少なくとも1つの再構成可能な混合バッフル68。これらは、パパラードの米国特許出願公開2013/0107660及びパパラードの米国特許第7,985,020に完全に説明されている。これら特許文献の各々は、本願の譲受人に共有されており、それらの開示内容の全体がここでの当該引用によって本明細書に組み込まれる。あるいは、静的ミキサ16は、比較的シンプルまたは異なる幾何形状を有する混合バッフルを含み得る。例えば、静的ミキサは、
図3の別の実施形態の断面に示されるように、螺旋状またはスパイラル状の混合バッフル70を含み得る。あるいは、ターボミキサが、特定の応用に依存して、任意の他の好適なミキサ幾何形状を含み得る。これらのバッフルの幾つかは連続に単一のバッフルスタック上に成形することが可能であるが、特にバッフルスタックが延長管状本体部50と一体的である場合、静的ミキサ16内でバッフルスタックを単一部品として成型することは不可能である場合がある(660出願公開のいわゆる再構成可能な混合バッフル68は、最終位置では個々に成型不可能で、混合バッフル60のスタック内でも成型不可能である)。従って、後述されるように、様々な実施形態の一体型多成分ディスペンシングシステム10は、追加の製造方法によって生産され得る。
【0029】
図4及び
図5を参照して、一実施形態において、カートリッジ12及び/または静的ミキサ16が、第1及び第2流体出口36、38と静的ミキサ16との間に位置決めされた、第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材74、76を含んでいる。従って、第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材74、76は、「閉塞」位置にある時(
図4)、静的ミキサ16の流路54を第1及び第2シリンダ20、22の流体出口36、38から閉鎖する。これによって、公知の手段によるシリンダ20、22の第1及び第2流体での充填と、第1及び第2流体の静的ミキサ16への早過ぎる浸入ないし混合を防ぎながらの一体型多成分ディスペンシングシステム10の保管及び搬送と、を許容する。
【0030】
図示のように、第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材74、76は、各々、カートリッジ12ないし静的ミキサ16の内側壁82に取り付けられた薄い崩壊可能な外側部78と、ディバイダ40に取り付けられたヒンジ状の内側部80と、を含み得る。崩壊可能な外側部78は、各々、所望の閾値の圧力下で内側壁82から離れるように剪断ないし他の態様で崩壊して、流体がカートリッジ12から静的ミキサ16内へ流れる、というように構成され得る。ヒンジ状の内側部80は、他方で、各々、当該閾値の圧力に耐えるように構成され得る。これにより、崩壊可能な外側部78が剪断する時、崩壊可能な閉塞部材74、76が無傷にとどまっているヒンジ状の内側部80回りに回動し得て、静的ミキサ16の流体路に向かって「開放」位置に延びる(
図5)。これは、第1及び第2流体出口36、38を流体路54と流体連通させる。この態様では、第1及び第2の崩壊可能な閉塞部材74、76は、カートリッジ12から完全に離れるようには崩壊せず、静的ミキサ16を通る流体の流れと不所望に干渉ないし遮断することがない。崩壊可能な外側部78とヒンジ状の内側部80は、適応される圧力に対してこれらの反応を可能にするような適切な厚みで製造される。
【0031】
一実施形態では、閾値の圧力は、流体ディスペンサのシリンダ20、22の典型的なディスペンシング圧力に実質的に等しいかそれ未満、例えばピストン30、32が流体を前進させるべく起動される時のシリンダ20、22内の圧力、に選択され得る。例えば、シリンダ20、22に適用されるディスペンシング圧力は、約200psi乃至約300psiであり得る。これにより、閾値の圧力は、約200psi乃至約300psiに実質的に等しいかそれ未満であり得る。前述のディスペンシング圧力に対応する一例では、閾値圧力は約100psiに設定され得る。閾値の圧力は、流体充填中、ピストン挿入中、取扱中(保管及び/または搬送中)、または、システム10が不用意に落下した際、第1及び第2流体の静的ミキサ16内への意図しない流れを防いで、典型的なディスペンシング圧力がユーザによって例えば前述のピストン30、32によって積極的に適用されるまで信頼性をもって流体成分を収容するために、崩壊可能な外側部78が剪断ないし他の態様で崩壊することを防ぐのに十分大きく選択されなければならない。ディスペンシング圧力が適用される時、ピストン30、32は、流体成分を流体出口36、38を通して移動させ、流体路54内に受容させる。流体成分は、そこで混合バッフル60によって混合されてから排出される。
【0032】
一実施形態において、一体型多成分ディスペンシングシステム10は、例えばハンドル及び/またはアクチュエータ組立体を受容する中空本体部ないしレセプタクルとアクチュエータ組立体を制御するトリガないしアクチュエータレバーとを含み得る、別個のディスペンサ本体(不図示)内に挿入され得る。アクチュエータ組立体は、第1及び第2シリンダ20、22を通して第1及び第2ピストン30、32を前進させるように構成されている。これは、ディスペンサ本体部を再利用することが望ましい応用において、特に有利であり得る。例えば、第1及び第2シリンダ20、22から流体をディスペンシングした後、ディスペンサ本体部は一体型多成分ディスペンシングシステム10から取り外され得て、第2の一体型多成分ディスペンシングシステム10(不図示)と共に再利用され得る。ディスペンサ本体部と本実施形態の一体型多成分ディスペンシングシステム10とは、集合的に流体ディスペンサを形成する。
【0033】
前述のように、一体型多成分ディスペンシングシステム10の構成要素(例えば、カートリッジ12、静的ミキサ16、閉塞部材74、76、ノズル14)の一体形成は、ユーザまたは中間製造/供給業者によるこれら様々な要素の組立及び保管の必要性を無くす。一体型多成分ディスペンシングシステム10は、流体成分が充填されて、流体が崩壊可能な閉塞部材74、76を崩壊させて静的ミキサ16内で早過ぎる混合/硬化を生じさせるリスクなしで、一部品としてエンドコンシューマへと搬送され得る。システム10のこれらの要素の一体組立は、不適切な組立のリスクを無くす。このことは、要素の不適切な組立に関連する材料の無駄を制限ないし除去し得る。付加的に、カートリッジ12の閉塞部材やキャップのような別個に廃棄される要素は、もはや必要でなくなり、流体ディスペンサにとっての生産コスト及び材料の無駄を低減できる。
【0034】
図6乃至
図8に示される別の実施形態を参照すると、同様の参照符号は同様の特徴に対応しているが(前述の実施形態から修正されている要素や、新しく提供されている要素は、「100番台」の数字が用いられている。すなわち、一体型多成分ディスペンシングシステム110は、前述の実施形態の一体型多成分ディスペンシングシステム10の修正版である)、一体型多成分ディスペンシングシステム110は、前述と同様、デュアルシリンダ・カートリッジ12、ノズル14、静的ミキサ16、を含んでいる。他に明示されない限り、これらのデュアルシリンダ・カートリッジ12、ノズル14、静的ミキサ16は、前述の実施形態のデュアルシリンダ・カートリッジ12、ノズル14、静的ミキサ16と同一である(従って、同じ参照符号が用いられている)。
【0035】
一体型多成分ディスペンシングシステム110は、また、ディスペンサ本体部を含んでいる。それは、中空レセプタクル186と、ハンドル188と、を含んでおり、カートリッジ12、ノズル14及び静的ミキサ16と一部品として一体化されている。この実施形態は、流体ディスペンサ190を再利用することが望ましくない応用において、特に有利であり得る。例えば、各ディスペンシングサイクル毎に完全に清浄ないし殺菌状態のディスペンサを要求する幾つかの応用があり、一回のみの使用が好まれる。また、カートリッジ12、ノズル14及び静的ミキサ16と一体ないし単一の一部品としてレセプタクル186及びハンドル188を含むことによって、流体ディスペンサ190のためのこれら多数の部品の組立、保管及び取扱のコストが更に低減され得る。
【0036】
図7及び
図8の一体型多成分ディスペンシングシステム110及び流体ディスペンサ190の断面図を参照して、レセプタクル186は、別個のアクチュエータ組立体194(
図8で仮想線で示されている)の少なくとも一部を受容するためのキャビティ192を規定している。アクチュエータ組立体194は、第1及び第2シリンダ20、22が各流体で充填され、第1及び第2ピストン30、32がそこに挿入された後で、レセプタクル186内に充填され得て、第1プランジャロッド196及び第2プランジャロッド(不図示)を含み得る。図示のように、キャビティ192は、第1シリンダ20内に延長して第1ピストン30と接触し得る第1プランジャロッド196を受容し得る。静的ミキサ16に向かう第1プランジャロッド196の運動は、第1ピストン30を前方に押し込んで、第1チャンバ24を圧縮し、第1流体を静的ミキサ16に前進させる。同様に、キャビティ192は、第2シリンダ22内に延長して第2ピストン32と接触し得る第2プランジャロッド(不図示)を受容し得る。静的ミキサ16に向かう第2プランジャロッドの運動は、第2ピストン32を前方に押し込んで、第2チャンバ24を圧縮し、第2流体を静的ミキサ16に前進させる。一実施形態では、第1及び第2プランジャロッド196が、機械的に結合され得る、及び/または、同時に起動され得る。
【0037】
アクチュエータ組立体194は、第1及び第2プランジャロッド196の移動を起動するためのアクチュエータレバーないしトリガ198を含んでいる。図示のように、戻りバネ200が、トリガ198を前方の初期位置へ押すべく、トリガ198とハンドル188に結合され得る。当該初期位置から、第1及び/または第2プランジャロッド196を移動するべく、トリガ198はハンドル188に向かって後方に引かれ得る。一実施形態において、アクチュエータ組立体194は、ヴキック等に発行された米国特許第8,672,193号に示された従来の流体ディスペンサのアクチュエータ設計と同様の態様で動作し得る。勿論、他のタイプのアクチュエータ組立体194が、本発明の範囲から離れることなく、一体型多成分ディスペンシングシステム110と共に用いられ得ることも、理解され得る。このように、レセプタクル186及びハンドル188をカートリッジ12、ノズル14及び静的ミキサ16と共に一体型多成分ディスペンシングシステム110に含めることによって、流体ディスペンサ190の組立を完了するために、アクチュエータ組立体194は、レセプタクル186内にロードされるだけでよい。前述の実施形態のシステム10について詳述された組立、取扱、保管の低減されるコストという有利な効果は、本実施形態のシステム110でも同様にまたはより良く達成される。
【0038】
図9を参照して、前述の実施形態のいずれかによる一体型多成分ディスペンシングシステム10、110は、伝統的な製造業者の生産組立ラインを介しても製造され得るし、3次元プリンタに送られる3次元コンピュータ支援設計(CAD)の指示を介しても製造され得る。
図9は、利用可能な選択肢を明瞭化することを助けるフローチャート300において、これらの製造可能性を提示している。前述のように、一体型多成分ディスペンシングシステム10、110は、複雑な幾何形状の混合バッフル60を有する静的ミキサ16を含み得る。それら混合バッフルは、最終位置に成型することが困難であるか不可能であり得る。従って、一体型多成分ディスペンシングシステム10、110を3次元印刷、ステレオリソグラフィ、他の類似のタイプの付加製造技術(additive manufacturing)(例えば、バインダ噴射、指向エネルギ堆積、材料押出、材料噴射、粉末床溶融、シート積層、液槽光重合)で製造することが望ましい場合がある。換言すれば、システム10、110は、コンピュータ制御下で、材料の連続する層ないしドットを横たえていく及び/または修正する工程によって構成され得る。それによって、カートリッジ12、ノズル14、静的ミキサ16(複雑なバッフルを含む)、レセプタクル186及びハンドル188は、一体的な一部品として一体的に形成され得る。
【0039】
従って、本発明の一実施形態では、システム10、110を構成するための3次元CADの指示は、例えば、システム10、110の各特徴に対応する幾何データを得る、3次元スキャナを用いてシステム10、110(またはその各特徴)を走査する、及び/または、システム10、110(またはその各特徴)をデジタル的に撮像して写真測量ソフトウェアを用いて3次元CADの指示を規定する測定値を得る、ことによって準備され得る。当該指示は、データベースから読み出され得て、製造組立ラインの3次元プリンタに送られ得るか、それにダウンロードされ得る。そして、当該指示が処理されて、一体型多成分ディスペンシングシステム10、110が生産され、コンシューマ(消費者)によって購入され得る。あるいは、当該指示がコンシューマによって購入され得て、コンシューマの3次元プリンタに送られ得るか、それにダウンロードされ得て、当該指示が処理され得る。コンシューマの3次元プリンタは、コンシューマ自身によって直接システム10、110を生産し得る。このように、前述のシステム10、110の利点は、最終システム10、110を製造することによっても得られるし、それをコンシューマに供給することによっても得られるし、あるいは、システム10、110を構成するための3次元CAD指示を供給することによっても得られる。3次元CADの指示が、3次元モデリングやプリント指示の生成のために設計された他のソフトウェアや公知のコンピュータによって展開され保管され得ることも、理解される(実際、これは、幾つかの状況で、前述のような製品を「リバースエンジニアリング」する代わりに好まれ得る)。
【0040】
例えば、前述のシステム10、110を製造する方法の別の実施形態では、システム0、110の源のモデル(ソースモデル)が、システム10、110のための複数の規定制御点と共に、データベースから読み出される。コンピュータが、当該源のモデルのような要素を用いて、システム10、110のための印刷指令を自動的に生成する。当該印刷指令は、3次元プリントのために、コンシューマや製造組立業者に販売され得る、ないし供給され得る。印刷指令は、コンピュータ制御される3次元プリンタによって実施される時、システム10、110に含まれるべき任意の他の要素と共にカートリッジと静的ミキサとを含む一体的な一部品を生成するべく、付加製造方法によって、すなわち、材料の連続する層ないしドットを横たえていく工程によって、システム10、110を生産する。
【0041】
図10に示される別の実施形態を参照すると、同様の参照符号は同様の特徴に対応しているが(前述の実施形態から修正されている要素や、新しく提供されている要素は、「200番台」の数字が用いられている。すなわち、一体型多成分ディスペンシングシステム210は、前述の実施形態の一体型多成分ディスペンシングシステム10、110の修正版である)、一体型多成分ディスペンシングシステム210は、デュアルシリンダ・カートリッジ212、ノズル214、静的ミキサ216、を含んでいる。他に明示されない限り、これらのデュアルシリンダ・カートリッジ212、ノズル214、静的ミキサ216は、前述の実施形態のデュアルシリンダ・カートリッジ12、ノズル14、静的ミキサ16と同一である。本実施形態では、静的ミキサ216は、カートリッジ212とは別個の部品として形成されている。しかしながら、延長管状本体部50と複数の混合バッフル(
図10では不図示)は、例えば前述の付加製造方法によって、依然として一体部品として形成されている。本実施形態のノズル214も、一部品として静的ミキサ216と一体的に形成されている。
【0042】
同様に、デュアルシリンダ・カートリッジ212は、閉塞端部26とそこから延びるブリッジ34板とを伴う第1及び第2シリンダ20、22のような特徴を含んでいる。カートリッジ212のこれらの要素は、例えば前述の付加製造方法によって一部品として一体形成され得る。静的ミキサ216とカートリッジ212とは、本実施形態では別個の部品として提供されているので、適切な接続構造が提供されなければならないし、シリンダ20、22内への流体の早過ぎる漏れやディスペンシングが無いことを保証するために(選択的に)キャップ閉塞部材も提供されなければならない。
図10の実施形態では、例えば、静的ミキサ216は、内側にネジ部を有する入口導管217を含み、カートリッジ212は、フランジ44及びブリッジ板34から延びる外側にネジ部を有する出口導管219を含む。
図10の実施形態のカートリッジ212は、取り外し可能な閉塞キャップ221をも含み得る。当該閉塞キャップ221は、最初、出口導管219の遠位端を閉塞している。これにより、本実施形態の一体型多成分ディスペンシングシステム210は、
図10の分解形態から閉塞キャップ221を取り外して、静的ミキサ216の入口導管217とカートリッジ212の出口導管219とを螺合することによって、組み立てられる。アクチュエータ組立体のような付加的なディスペンサ本体部品が、前述のように追加され得る。本実施形態のカートリッジ212も、取り外し可能な閉塞キャップ221に加えて、あるいはその代わりに、前述のような崩壊可能な閉塞部材74、76を含み得ることが、理解される。
【0043】
前述の実施形態のシステム10、110について詳述された組立、取扱、保管の低減されるコストという有利な効果は、本実施形態のシステム210でも同様に達成される。更に、静的ミキサ216の要素を一部品として形成することは、従来の別個に組み付けられるバッフルスタックないしミキサと比較して、付加的な混合要素/バッフルの軸方向強度を提供する。このことは、高圧の混合/ディスペンシングの応用において、望ましい。静的ミキサ216の要素が一部品として一体形成される時、混合要素と延長管状本体部50との間に位置する1または2以上のシール(典型的には、より高圧及び/またはより低粘性の流体のために必要とされる)は、もはや必要ない。そして、付加的な複雑な製造及び組立工程は、本実施形態では回避される。従って、一部品の静的ミキサ216を含むシステム210は、少なくともこれらの理由から、従来の設計に対して顕著に有利である。
【0044】
本発明は、様々な好適な実施形態についての記述によって説明され、当該実施形態は、かなり詳しく説明された。しかしながら、添付の特許請求の範囲の請求項の範囲を、そのような詳細に制限することや、何らかの態様で限定することは、意図されていない。付加的な利点及び修正は、当業者にとって容易に理解できる。ここで説明された様々な特徴は、ユーザの必要性や好みに依存して、単独または任意の組合せで用いられ得る。本発明は、現在知られている本発明を実施する好適な方法に沿って、説明された。しかしながら、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ、規定されるべきである。