(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の耳かけ紐が取り付けられたマスクの説明図であり、
図2は耳かけ紐の断面図である。
【0013】
図1に示すマスクは、マスク本体1と耳かけ紐2とから構成されている。マスク本体1は防護の対象となる細菌、塵埃、有害ガス等に対応して種々の材質、形状が選択されている。一方、マスク本体1を顔に密着させるための耳かけ紐2には、長時間使用しても使用者の耳にできるだけ負荷をかけない材料の使用が望まれる。即ち、耳かけ紐2には顔への密着度を高め、応力が時間と共に適度に緩和し、必要な伸度を維持する材料が求められる。
【0014】
図2は耳かけ紐2の厚さ方向の断面図である。耳かけ紐2は応力緩和層であるコア層2aと、コア層2aを両面から覆い、伸縮性構造体である表面層2bとの積層体のシートから成り、シートを細条状に断裁することにより得られる。耳かけ紐2は耳へのフィット感を考慮した所定の幅と厚みとを有し、寸法的には例えば幅0.1〜5mm、厚み0.05〜1mmである。
【0015】
なお、実施例では、2種3層の多層構造を有する耳かけ紐2について例示しているが、耳かけ紐2は中心にコア層2a、外周を表面層2bとする例えば径0.1〜5mmの断面円形に成形してもよい。
【0016】
耳かけ紐2のコア層2aの材料は、4−メチル−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A)(以下に「共重合体(A)」と云う)から成り、必要に応じて熱可塑性エラストマ−(B)が添加されている。表面層2bの材料には、主として熱可塑性エラストマー(B)が用いられている。
【0017】
以下に、コア層2a、表面層2bの材料について、それらの組成と物性について説明する。
【0018】
[コア層2a]
コア層2aは共重合体(A)を含み、好ましくは共重合体(A)と熱可塑性エラストマー(B)から成る。以下に、コア層2aの伸縮性構造体を構成する共重合体(A)について説明する。
【0019】
[共重合体(A)]
共重合体(A)は、以下の要件を満たしていることが望ましい。
【0020】
要件(4);示差走査熱量計(DSC)で測定される共重合体(A)の融点(Tm)が観測されないこと。
【0021】
この要件(4)を満たすことによって、伸縮性構造体である表面層2bの引張物性の向上、引張永久歪の経時変化を緩やかにすることが可能となる。
【0022】
要件(5);共重合体(A)は4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、α−オレフィン(ただし、4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位(ii)との合計を100モル%として、構成単位(i)50〜90モル%と、構成単位(ii)10〜50モル%とから成る。
【0023】
即ち、構成単位(i)の割合の下限値は50モル%であるが、60モル%であることが好ましく、68モル%であることがより好ましい。一方、構成単位(i)の割合の上限値は、90モル%であるが、87モル%であることが好ましく、86モル%であることがより好ましく、80モル%以下であることが特に好ましい。
【0024】
このように、実施例では共重合体(A)における構成単位(i)の割合が、下限値以上であることで、室温付近に損失正接tanδのピーク値温度を持つことになるため、形状追従性及び応力緩和性に優れ、また構成単位(i)の割合が、前記上限値以下にあることで適度な柔軟性を備えている。
【0025】
また、構成単位(ii)の割合の上限値は85モル%であるが、40モル%であることが好ましく、35モル%であることがより好ましく、32モル%であることが更に好ましい。一方、構成単位(ii)の割合の下限値は13モル%であるが、14モル%であることがより好ましく、20モル%であることが特に好ましい。
【0026】
構成単位(ii)を導くα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素原子数2〜20、好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは炭素原子数2〜10の直鎖状のα−オレフィン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは炭素原子数5〜15の分岐状のα−オレフィンが挙げられる。これらの中でもエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
【0027】
ここで、実施例において、共重合体(A)は通常では構成単位(i)及び構成単位(ii)のみから成るものである。ただし、共重合体(A)は、本発明の目的を損わない程度の少量(例えば、10モル%以下)であれば、構成単位(i)及び構成単位(ii)の他に、構成単位(iii)として、4−メチル−1−ペンテン及び構成単位(ii)を導くα−オレフィンの何れでもない他のモノマーから導かれる構成単位を更に含んでいてもよい。このような他のモノマーの好ましい具体例としては、共重合体(A)が4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の場合であれば、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0028】
要件(6);デカリン中で135℃で測定した極限粘度[η]が、通常では0.1〜5.0dl/gで、0.5〜4.0dl/gが好ましく、0.5〜3.5dl/gの範囲であることがより好ましい。
【0029】
後述するように、重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得て、極限粘度[η]を調整することができる。極限粘度[η]が0.1dl/gよりも小さく、又は5.0dl/gよりも大きいと、重合体組成物をシート等に加工する際の成形加工性が損われる場合がある。
【0030】
要件(7);密度(ASTM D1505により測定)が、通常では870〜830kg/m
3、好ましくは865〜830kg/m
3、855〜830kg/m
3であることが更に好ましい。
【0031】
なお、測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載の通りである。密度は共重合体(A)のコモノマー組成比によって適宜変えることができ、密度が上記範囲内にある共重合体(A)は、軽量なシートを製造する上で有利である。
【0032】
要件(8);−40〜150℃の温度範囲で、10rad/秒(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる共重合体(A)の損失正接tanδのピーク温度は、20〜40℃であることが好ましく、25℃〜40℃であることが更に好ましい。
【0033】
共重合体(A)の損失正接tanδのピーク温度を上記の温度範囲にすることで、室温での損失正接tanδの値をより高めることができる。また、室温に損失正接tanδのピーク値を持つことにより、引張や変形の速度に応じて引張後の応力を緩和することができ、応力緩和性が高く装着時に着け心地が悪いという問題点も解消され、振動吸収性、材料の硬さや凹凸追従性を変化させることができる。
【0034】
要件(3):JIS K7127に準拠して引張速度200mm/分で150%伸長した後の10分後に得られる引張永久歪(PS
10M)が10%〜50%の範囲で、10%〜45%が好ましく、10〜30%がより好ましい。
【0035】
このような特性を満たす共重合体(A)は、ポリオレフィンのみからなるので環境への負荷が軽減され、また伸張させたコア層2aが即時に収縮せず、経時的に収縮する性質を持つので、耳かけ紐2として顔に装着した際には伸縮性による締め付けが大きく軽減され、着心地が悪いという問題点も解消される。
【0036】
要件(2):JIS K7127に準拠して引張速度200mm/分で測定した時の引張破断伸びが300%〜1000%であること。
【0037】
このような特性を満たす耳かけ紐2は、顔に装着する際に耳かけ紐2を伸ばした時に破断することなく、任意の長さに伸長することができる。
【0038】
[共重合体(A)の製造方法]
共重合体(A)の製造方法は特に限定されないが、共重合体(A)は例えば4−メチル−1−ペンテンと上述した「構成単位(ii)を導くα−オレフィン」とを適当な重合触媒存在下で重合することにより得ることができる。
【0039】
ここで、本実施例で用いることのできる重合触媒として、従来公知の触媒、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開1/53369号パンフレット、国際公開1/27124号、特開平3-193796号公報又は特開平2-41303号公報、国際公開2011/55803号、国際公開2014/50817号等に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。
【0040】
[熱可塑性エラストマー(B)]
耳かけ紐2を構成するコア層2aには、共重合体(A)の優れた特性を損わない範囲で、共重合体(A)以外の熱可塑性エラストマー(B)が添加されていてもよい。
【0041】
共重合体(A)に熱可塑性エラストマー(B)を添加する場合に、これらの合計量を100質量部とすると、柔軟性、応力緩和性の観点から、組成物中の重合体(A)の含有量の上限値は、通常では80質量部、更に好ましくは75質量部が更に好ましく、70質量部が特に好ましく、下限値は通常では50質量部で、60質量部が好ましい。
【0042】
換言すると、熱可塑性エラストマー(B)の含有量の下限値は、通常20質量部で、更に好ましくは25質量部が更に好ましく、30質量部が特に好ましく、上限値は、50質量部が好ましく、40質量部が特に好ましい。
【0043】
本実施例で云う熱可塑性エラストマー(B)とは、融点以上に加熱すると熱可塑性の性質を示す一方で、常温ではゴム弾性の性質を示すポリマーである。熱可塑性エラストマー(B)の具体例としてのポリオレフィン系エラストマーの態様は、ポリエチレン及びポリプロピレンから成る群から選ばれる1つと、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、ポリイソブチレン、及びα−オレフィンから成る群から選ばれる1つとの共重合体である。
【0044】
共重合の形態はブロック共重合、グラフト共重合の何れでもよいが、ポリエチレン及びポリプロピレンから成る群から選ばれる1つと、α−オレフィンから成る共重合体の場合のみ共重合の形態はランダム共重合であってもよい。なお、α−オレフィンとは、分子鎖の片末端に二重結合を有するオレフィンのことであり、1−ブテンや1−オクテンなどが好ましく用いられる。
【0045】
例えば、硬質部となるポリプロピレン等の結晶性の高いポリマーを形成するポリオレフィンブロックと、軟質部となる非晶性を示すモノマー共重合体とのブロック共重合体が挙げられる。具体的には、オレフィン(結晶性)・エチレン・ブチレン・オレフィンブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリオレフィン(非晶性)・ポリプロピレンブロック共重合体等を例示することができる。
【0046】
具体例としては、JSR(株)から商品名DYNARON(ダイナロン)(登録商標)、三井化学(株)から商品名タフマー(登録商標)、ノティオ(登録商標)、ダウケミカル(株)から商品名ENGAGE
TM、VERSIFY
TM、エクソンモービルケミカル(株)から商品名Vistamaxx
TMとして市販されているものが挙げられる。
【0047】
本実施例で云うポリオレフィン系エラストマーの第2の態様は、ポリエチレン及びポリプロピレンから成る群から選ばれる1つと、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、水素添加スチレンブタジエンから成る群から選ばれる1つとの混合物である。このとき、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・ブテン共重合体は、部分的に又は完全に架橋されていてもよい。
【0048】
具体例としては、三井化学(株)から商品名ミラストマー(登録商標)、住友化学(株)から商品名エスポレックス(登録商標)、三菱化学(株)から商品名サーモラン(登録商標)、ゼラス(登録商標)、エクソンモービル・ケミカル社から商品名Santoplene(登録商標)などが挙げられる。
【0049】
[表面層2b]
本実施例の多層構造の伸縮性構造体に係る表面層2bは、熱可塑性エラストマー(B)から成る。このような熱可塑性エラストマー(B)は、前述した熱可塑性エラストマー(B)がそのまま制限されることなく使用できる。
【0050】
また、本実施例における表面層2bは、少なくとも一部がコア層2aと接触している層である。ここで、「少なくとも一部がコア層2aと接触している」とは、表面層2bがコア層2aの一部分と接触しているか、或いは表面層2bがコア層2aの全体と接触していることを意味し、コア層2aと表面層2bとの接触割合が、コア層2aの総面積に対して、30%〜100%であることが好ましく、50%〜100%であることがより好ましい。
【0051】
本実施例の積層体における(コア層2aの厚さ/表面層2bの厚さ)の厚さの比には特に制限はないが、1〜100/100/1〜100が好ましく、1〜50/100/1〜50がより好ましい。
【0052】
[耳かけ紐2の製造方法]
本実施例の耳かけ紐2の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の製造方法が適用できる。例えば、耳かけ紐2の形状に口金を設置した一般的な押出成形機で成形することや、シート状に成形したものを耳かけ紐2の形状に断裁することや、スリットカットすることで得られる。例えば、一軸押出機によりシリンダー温度170〜250℃及びキャストロール温度0〜70℃で成形を行ってシートを形成してもよい。
【0053】
シートの厚さは、その使用用途にもよるが、通常5〜1000μm、好ましくは30〜200μmであると、シートの生産性に優れ、シートの成形時にピンホールが生ずることがなく、十分な強度も得られることから好ましい。
【0054】
また、シート表面にはエンボス加工を施してもよく、シート成形時又は成形後に延伸してもよい。更に、成形して得られたシートは樹脂の融点未満の温度でアニーリング処理を行ってもよい。
【0055】
シートはインフレーション成形法で作製してもよい。具体的には、一軸押出機により、所定のシリンダー温度で、インフレーション用ダイから重力方向とは逆方向の上向方向に押出してインフレーションを行い、インフレーションフィルムを得ることができる。
【0056】
インフレーションフィルムの引取速度は、通常では2〜40m/分、好ましくは4〜30m/分である。フィルムの厚さは特に限定されないが、通常は10〜300μm、好ましくは20〜250μmである。
【実施例】
【0057】
以下は本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を変えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に係る各種物性は以下の方法により測定した。
【0058】
[組成]
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)中の各構成単位(4−メチル−1−ペンテン及びα−オレフィン)の含有率(モル%)は、
13C−NMRにより測定した。
【0059】
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:
13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)の混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6ml
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
【0060】
[極限粘度]
共重合体(A)の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中で135℃で測定した。約20mgの特定4MP1系共重合体をデカリン25mlに溶解させた後に、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度η
spを測定する。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後に、上記と同様にして比粘度η
spを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のη
sp/Cの値を、極限粘度[η](単位:dl/g)として、下記の式(1)により求める。
[η]=lim(η
sp/C) (C→0) ・・・(1)
【0061】
[密度]
共重合体(A)の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した。この密度(kg/m
3)を軽量性の指標とした。
【0062】
[融点(Tm)]
共重合体(A)の融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。約5mgの共重合体(A)を、測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱する。共重合体(A)を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで10℃/分で−50℃まで冷却する。−50℃で5分間、放置した後に、10℃/分で200℃まで2度目の加熱を行い、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体(A)の融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
【0063】
[動的粘弾性の測定]
厚さ3mmのプレスシートを測定試料として用い、更に動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出した。アントンパール社製のMCR301を用いて、10rad/秒の周波数で−40〜150℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、0〜40℃の範囲でガラス転移温度に起因する損失正接tanδがピーク値(最大値)となる際の温度(以下「ピーク値温度」とも云う)、及びその際の損失正接tanδの値を測定した。
【0064】
[機械特性(引張破断伸び、引張破断強度、ヤング率)]
厚みが400μmのシートを、幅25mm×長さ100mmのダンベル状に切断したものを試験片として用いた。JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン社製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分、及び温度23℃の条件で、試験片の引張弾性率(YM)(単位:MPa)、引張破断伸び(EL)(単位:%)、及び引張破断強度(TS)(単位:MPa)を測定した。
【0065】
[引張永久歪]
厚みが400μmのシートを、JIS K7127 5号ダンベル状に切断したものを試験片として用いた。JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン社製)を用いて、チャック間距離80mm、引張速度200mm/分、及び温度23℃の条件でシートを150%伸長させて10分間保持した。保持したチャックを解放して、シートを引張試験機から外し、解放1分後と10分後とのチャック間距離を測定し、下記の式(2)から引張永久歪を算出した。
PS=(I−I
0)/I
0×100 ・・・・(2)
PS :引張永久歪(%)
I :1分後又は10分後のチャック間距離(mm)
I
0 :試験前のチャック間距離(mm)
また、上記で得られた開放10分後の引張永久歪(PS
10M)を求めた。
【0066】
<合成例1>
[4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A1)の合成]
充分に窒素置換した容量1.5lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mモル/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回転した。次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
【0067】
続いて、予め調製しておいたAl換算で1mモルのメチルアルミノキサン、及び0.01mモルのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlを、オートクレーブ内に窒素で圧入し重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
【0068】
重合開始から60分後に、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させて、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後に、反応溶液に攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。
【0069】
次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下で、100℃で12時間乾燥させて、36.9gの粉末状の共重合体(A1)を得た。
【0070】
共重合体(A1)中の4−メチル−1−ペンテンの含有率は72.5モル%であり、プロピレンの含有率は27.5モル%であった。また、共重合体(A1)の密度は839kg/m
3であった。共重合体(A1)の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は337,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、メルトフローレート(MFR)は11g/10分であった。共重合体(A1)の融点(Tm)は観測されなかった。また、粘弾性測定による損失正接tanδのピーク温度は30℃、ピーク値は2.7であった。
【0071】
以下に本発明に係る実施例を説明する。表1には、コア層2a、表面層2bのそれぞれの材料の構成とコア層2aの物性及びコア層2aと、表面層2bとから成るシートの物性、官能試験による装着感を総括的に示した。
【0072】
【表1】
【0073】
その他の使用樹脂は下記のものを使用した。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)5030NS):
オレフィン系熱可塑性エラストマー(B2)(三井化学(株)製、商品名タフマー(登録商標)PN−2060):オレフィン系熱可塑性エラストマー(B3)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)9070NS):これらの樹脂材料の物性を共重合体(A1)と共に表2に示した。
【0074】
【表2】
【0075】
<実施例1>
共重合体(A1)70質量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)30質量部から成るコア層2aと、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製 商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)100質量部から成る表面層2bとの多層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、実施例1のシートを得た。シートの層構成は表面層2b(100μm)/コア層2a(200μm)/表面層2b(100μm)から成る2種3層である。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0076】
<実施例2>
共重合体(A1)70質量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)30質量部から成るコア層2aと、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B2)(三井化学(株)製 商品名タフマー(登録商標)PN−2060)100質量部から成る表面層2bとの多層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、実施例2のシートを得た。シートの層構成は表面層2b(80μm)/コア層2a(240μm)/表面層2b(80μm)から成る2種3層である。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0077】
<実施例3>
共重合体(A1)50質量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)50質量部から成るコア層2aと、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B3)(三井化学(株)製 商品名ミラストマー(登録商標)9070NS)100質量部から成る表面層2bとの多層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、実施例3のシートを得た。シートの層構成は表面層2b(40μm)/コア層320μm)/表面層2b(40μm)から成る2種3層である。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0078】
<実施例4>
共重合体(A1)70質量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)3030NS)30質量部から成るコア層2aと、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製 商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)30質量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B3)(三井化学(株)製 商品名ミラストマー(登録商標)9070NS)の70質量部とから成る表面層2bとの多層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、実施例4のシートを得た。シートの層構成は表面層2b(100μm)/コア層2a(200μm)/表面層2b(100μm)から成る2種3層である。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0079】
<実施例5>
共重合体(A1)70質量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B2)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)30質量部から成るコア層2aと、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B3)(三井化学(株)製 商品名タフマー(登録商標)PNー2060)100質量部から成る表面層2bとの多層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、実施例5のシートを得た。シートの層構成は表面層2b(100μm)/コア層2a(200μm)/表面層2b(100μm)から成る2種3層である。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0080】
<比較例1>
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A1)100質量部のみからなる単層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した200mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、比較例1のシートを得た。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0081】
<比較例2>
オレフィン系熱可塑性エラストマー(B1)(三井化学(株)製、商品名ミラストマー(登録商標)5030NS)100質量部のみから成る単層シートを、リップ幅200mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸二種三層シート成形機、(株)テクノベル製)を用い、共押出しによって成形して、比較例2のシートを得た。得られたこのシートの物性評価結果を表1に示す。
【0082】
<比較例3>
市販されているゴム紐のマスクを用いて、ゴム紐部分を切断して物性評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0083】
このように、表1からも明らかなように、実施例1〜5は何れも比較例1〜3に対して、低温特性及び官能試験による装着感に優れている。