【実施例】
【0039】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0040】
(実施例1)
円柱状の無垢の石英ロッド(直径φ100mm)の先端にR50の半球を研削加工で形成し、その時の加工面の面粗さをRz=50μmにし、種棒を作成した。種棒の粗面の表面粗さの測定は、表面粗さ計(小形表面粗さ測定機:サーフテストSJ−210、株式会社ミツトヨ製)を用い、JIS B 0601:2001に基づき行った。
【0041】
該種棒を用い、VAD法により原料に四塩化珪素,燃性ガスに水素,支燃性ガスに酸素,不燃性ガスに窒素を同芯円多重管バーナーに導入し、燃焼火炎中で加水分解反応させながらスート体を製造し、半ガラス領域を製造した。製造条件の詳細を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
種棒を除く重量が40±5kgのスート体を20本製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造でき且つ半ガラス領域の厚みtはt
min=28mm、t
max=33mm、t
center=31mmとバラツキは小さく、安定して製造できた。
図3に、製造した20本のスート体のガラス領域の軸方向の厚みの結果を示す。ガラス領域の軸方向の厚みは成長中スート体の成長先端部のCCDカメラの画像解析により測定した。また、堆積工程開始から半ガラス領域が形成されるまでの時間は7〜15分であり、そのバラツキが小さかった。また、スート体製造中のスート体の落下の発生はなかった。
【0044】
堆積したスート体を1000〜1300℃で加熱する事で脱水し更に1300〜1500℃で加熱し焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく40±5kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0045】
(実施例2)
円柱状の無垢の石英ロッド(直径φ100mm)の先端にR50の半球を研削加工で形成し、さらに1mm以下のピッチで深さd:0.5mm≦d≦1.5mmの凹凸をその半球部に加工形成し、種棒を作成した。
該種棒を用い、VAD法により原料に四塩化珪素,燃性ガスに水素,支燃性ガスに酸素,不燃性ガスに窒素を同芯円多重管バーナーに導入し、燃焼火炎中で加水分解反応させながらスート体を製造し、半ガラス領域を製造した。製造条件の詳細を表1に示す。
【0046】
種棒を除く重量が40kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造でき且つ半ガラス領域の厚みtはt=32mmとほぼ実施例1と同じ厚みであった。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく40kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0047】
(実施例3)
円柱状の無垢の石英ロッド(直径φ100mm)の先端にR50の半球を研削加工で形成し、その時の加工面の面粗さをRz=100μmにし、種棒を作成した。
該種棒を用い、VAD法により原料に四塩化珪素,燃性ガスに水素,支燃性ガスに酸素,不燃性ガスに窒素を同芯円多重管バーナーに導入し、燃焼火炎中で加水分解反応させながらスート体を製造し、半ガラス領域を製造した。製造条件の詳細を表1に示す。
【0048】
種棒を除く重量が40kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造でき且つ半ガラス領域の厚みtはt=34mmとほぼ実施例1と同じ厚みであった。さらに5回同様のスート体を製造したが半ガラス化の厚みは32mmから34mmの間とバラツキが実施例1よりも小さかった。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく40kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0049】
(実施例4)
実施例1と全く同様の条件にて成長時間のみを延長し種棒を除く重量が80kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造できた。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく80kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0050】
(実施例5)
実施例1と全く同様の条件にて成長時間のみを延長し種棒を除く重量が160kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造できた。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく160kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0051】
(実施例6)
実施例2と全く同様の条件にて成長時間のみを延長し種棒を除く重量が80kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造できた。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく80kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0052】
(実施例7)
実施例2と全く同様の条件にて成長時間のみを延長し種棒を除く重量が160kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造できた。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく160kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0053】
(実施例8)
実施例3と全く同様の条件にて成長時間のみを延長し種棒を除く重量が80kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造できた。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく80kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0054】
(実施例9)
実施例3と全く同様の条件にて成長時間のみを延長し種棒を除く重量が160kgのスート体を製造したところ、スート体の破断やクラックはなく製造できた。
さらにスート体を加熱炉において脱水、焼結透明化を行ったがそのハンドリング中や処理中においても落下および破断することなく160kgの合成石英ガラスインゴットを得ることが出来た。
【0055】
(比較例1)
種棒として、実施例1と同じサイズの石英ロッドであり、先端の半球部は平滑面でRz≦3μmの種棒を用いた。種棒を変更した以外は実施例1と同様の方法によりスート体を製造したが、実施例1と同一水素、酸素の量では半ガラス領域を製造することは出来なかった。
種棒を除く重量が40±5kgのスート体を2本製造したところ、2本ともスート体と種棒の接合部より抜けおちた。その為、それ以上の実験は行わなかった。
【0056】
(比較例2)
種棒として、実施例1と同じサイズの石英ロッドであり、先端の半球部は平滑面でRz≦3μmの種棒を用いた。種棒を変更し、半ガラス化領域が発生するまで水素及び酸素の量を増加させた以外は実施例1と同様の方法によりスート体を製造した。製造条件の詳細を表1に示す。
【0057】
水素及び酸素を増やした事で半ガラス化領域は製造する事が出来た。種棒を除く重量が40±5kgのスート体を20本製造したところ、内1本のスート体が種棒の接合部より抜け落ちた。半ガラス領域の厚みtはt
min=6mm、t
max=42mm、t
center=24mmとバラツキは大きかった。
図3に、製造した20本のスート体のガラス領域の軸方向の厚みの結果を示す。ちなみに抜け落ちた1本の半ガラス領域の厚みはt
min=6mmと同一のスート体であり、半ガラス領域が薄すぎた事で強度が不足していたと判断される。また、使用する水素、酸素量が増えることによる製造コストも増加する
【0058】
(比較例3)
種棒に
図1(e)に示した形状変化のあるものを使用した。種棒本体はφ50、スート体と接合する先端から50mmはR50の半球とした。種棒を変更した以外は実施例1と同様の方法によりスート体を製造した。製造条件の詳細を表1に示す。接合面積は増えるが種棒の径が急激に変化する段の部位は成長に伴いより大きい段差となり、成長初期の段階でスート体にクラックが入り、成長を継続する事が出来なかった。