(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源の両端間電圧を所定のしきい値電圧と比較し、前記光源の両端間電圧が前記しきい値電圧より低くなると、前記全消灯状態と判定する判定回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0029】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0030】
図2は、実施の形態に係る車両用灯具100を備える灯具システム1のブロック図である。灯具システム1は、バッテリ2、車両ECU4よび車両用灯具100を備える。車両用灯具100は、バッテリ2からの直流電圧(バッテリ電圧)V
BATを受ける。またCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等を介して、車両ECU4と接続される。
【0031】
車両用灯具100は、点灯回路200、光源300、灯具ECU(Electronic Control Unit)400を備える。灯具ECU400は、車両ECU4と接続され、車両ECU4からの制御信号や情報にもとづいて点灯回路200を制御する。車両ECU4から灯具ECU400には、点消灯の指示の他、自車両や周囲の状況を示す情報が送信される。この情報には、前方車や歩行者の位置情報、車速などが含まれる。
【0032】
灯具ECU400は、スイッチ402とプロセッサ404を含む。スイッチ402は、バッテリ2から点灯回路200への電源電圧の供給経路上に設けられる。プロセッサ404は、CPU(Central Processing Unit)あるいはマイコンであり、車両ECU4からの点消灯の指示にもとづいてスイッチ402を制御する。スイッチ402が車両側からの点灯指令に応じてオンとなると、点灯回路200に電源が供給される。またプロセッサ404は、車両ECU4からの情報にもとづいて、配光パターンを決定し、点灯回路200を制御する。
【0033】
光源300は直列に接続された複数N個(N≧2)の発光素子302_1〜302_Nを含む。点灯回路200は、バイパス方式により光源300それぞれの点消灯を独立に制御可能に構成される。
【0034】
点灯回路200は、
図1の点灯回路200Rと同様に、定電流回路202、バイパス回路280、バイパスコントローラ290を備える。バイパス回路280およびバイパスコントローラ290については
図1と同様である。なおバイパスコントローラ290の機能をプロセッサ404に実装してもよい。
【0035】
定電流回路202は、スイッチングコンバータ210およびコンバータコントローラ500を備える。スイッチングコンバータ210は、降圧(Buck)コンバータ、昇圧(Boost)コンバータ、あるいは昇降圧Cukコンバータである。
【0036】
コンバータコントローラ500は、ランプ電流I
LAMPがその目標量I
REFに近づくように、スイッチングコンバータ210を制御する。より具体的にはコンバータコントローラ500は、(i)複数の発光素子302の少なくともひとつが点灯する点灯状態において、スイッチングコンバータ210が生成するランプ電流I
LAMPを第1目標量I
REF1に安定化し、(ii)複数の発光素子302すべてが消灯する全消灯状態において、ランプ電流I
RAMP2を第1目標量I
REF1より少ない第2目標量I
REF2に安定化する。
【0037】
たとえば電流検出手段211は、スイッチングコンバータ210の出力側に設けられ、ランプ電流I
LAMPを直接的に監視し、ランプ電流I
LAMPに応じた第1検出信号V
CS1を生成する。電流検出手段211は、
図1におけるセンス抵抗R
Sと電流検出回路206の組み合わせであってもよい。電流検出手段211は、光源300のアノード側(ハイサイド)のランプ電流I
LAMPを検出してもよいし、光源300のカソード側(ローサイド)のランプ電流I
LAMPを検出してもよい。
【0038】
コンバータコントローラ500は、コントローラ502、ドライバ回路530、判定回路540を備える。判定回路540は、点灯状態であるか全消灯状態であるかを判定し、判定結果を示す判定信号DETを生成する。たとえば判定信号DETは、点灯状態においてローレベル、消灯状態においてハイレベルをとる。
【0039】
コントローラ502は、判定信号DETが点灯状態を示すとき、第1検出信号V
CS1が示すランプ電流I
LAMPが第1電流量I
REF1に近づくように、第1制御パルスS
CNT1を生成する。またコントローラ502は、判定信号DETが全消灯状態を示すとき、第1検出信号V
CS1が示すランプ電流I
LAMPが第2電流量I
REF2に近づくように、制御パルス信号S
CNT2を生成する。ドライバ回路530は、コントローラ502から出力される制御パルスS
CNT1/S
CNT2にもとづいて、ゲート駆動信号S
GATEを生成し、スイッチングコンバータ210を駆動する。
【0040】
以上が車両用灯具100の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、
図2の車両用灯具100の動作波形図である。ここではN=3とする。期間T
0では、すべてのバイパススイッチSWB
1〜SWB
3がオフであり、すべての発光素子302_1〜302_3が発光する。このときのスイッチングコンバータ210の出力電圧V
Oは3×V
Fとなる。V
Fは発光素子302の順電圧である。なおランプ電流I
LAMPを直線で示しているが、実際にはリップルが含まれてもよい。
【0041】
期間T
1では、バイパススイッチSWB
1がオンとなり発光素子302_1が消灯する。このときのスイッチングコンバータ210の出力電圧V
Oは2×V
Fとなる。期間T
2では、バイパススイッチSWB
1,SWB
2がオンとなり発光素子302_1,302_2が消灯する。このときのスイッチングコンバータ210の出力電圧V
Oは1×V
Fとなる。
【0042】
期間T
0〜T
2は、少なくともひとつの発光素子302が点灯する点灯状態であり、判定信号DETはローレベルである。したがって第1制御パルスS
CNT1に応じたゲート駆動信号S
GATEによってスイッチングコンバータ210が駆動され、ランプ電流I
LAMPは第1目標量I
REF1に安定化される。
【0043】
期間T
3は、すべてのバイパススイッチSWB
1〜SWB
3がオンとなり、すべての発光素子302_1〜302_3が消灯する全消灯状態であり、判定信号DETがハイレベルとなる。第2制御パルスS
CNT2によってスイッチングコンバータ210が駆動され、ランプ電流I
LAMPは第2目標量I
REF2に安定化される。
【0044】
続く期間T
4において、バイパススイッチSWB
1がオフになると、出力電圧V
Oが1×V
Fとなる。そうすると、スイッチングコンバータ210が第1制御パルスS
CNT1によって駆動され、ランプ電流I
LAMPが第1目標量I
REF1に安定化される。
【0045】
以上が車両用灯具100の動作である。
この車両用灯具100の動作は以下の比較技術との対比によって明確となる。比較技術では、全消灯状態T
3において、スイッチングコンバータ210が完全に停止し、ランプ電流I
LAMPがゼロとなる。通常、スイッチングコンバータ210が完全停止した後に、動作を再開させる際にはソフトスタート制御が行われるため、ランプ電流I
LAMPがもとの目標電流に戻るまでには大きな遅延が発生する。
【0046】
これに対して実施の形態に係る車両用灯具100によれば、全消灯状態T
3においても、第2制御パルスS
CNT2にもとづいてスイッチングコンバータ210のスイッチング動作を継続することができ、ランプ電流I
LAMPを非ゼロに保っておくことができる。これにより、次に発光素子302を点灯する際には、ソフトスタート制御が不要となり、速やかに発光素子302を点灯させることができる。
【0047】
また全消灯状態T
3におけるランプ電流I
LAMPは、発光素子302の発光には寄与せず、無駄に消費される。第2目標量I
REF2を、第1目標量I
REF1より低く設定することにより、バイパス回路280での消費電力を低下でき、ひいては発熱量を減らすことができる。このことは、バイパススイッチSWBとして、より熱容量の小さい小型で安価な部品を選定できることを意味する。
【0048】
本発明は、
図2のブロック図や回路図から把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な実施例や変形例を説明する。
【0049】
図4は、一実施例に係る点灯回路200Aのブロック図である。スイッチングコンバータ210は降圧コンバータであり、スイッチングトランジスタM
1、インダクタL
1、整流素子D
1を含む。第1電流検出手段212は、ランプ電流I
LAMPの経路上に設けられた第1センス抵抗R
S1と、第1センス抵抗R
S1の電圧降下を第1検出信号V
CS1に変換する第1電流検出回路216を含む。
【0050】
コンバータコントローラ500は、点灯状態において第1電流検出手段212が生成する第1検出信号V
CS1にもとづいて、第1制御パルスS
CNT1を生成する。ところが
図4では、第1センス抵抗R
S1が、光源300のアノード側(ハイサイド)に挿入されており、第1電流検出回路216の電源をスイッチングコンバータ204の出力Voからとっている。全消灯状態中、光源300(バイパス回路280)の両端間電圧V
Lは実質的にゼロまで低下するため、スイッチングコンバータ204の出力電圧V
Oも非常に低くなる。その結果、第1電流検出回路212の電源電圧が不足し、ランプ電流I
LAMPと相関を有する検出信号V
CS1を生成できなくなり、スイッチングコンバータ204が制御不能となる。
【0051】
第2電流検出手段214は、第1電流検出手段212とは別に設けられており、第1電流検出手段212が動作不能となる全消灯状態において、ランプ電流I
LAMPを示す第2検出信号V
CS2を生成可能に構成される。第2電流検出手段214は、ランプ電流I
LAMPと相関を有する電流あるいは電圧を監視することにより、ランプ電流I
LAMPを間接的に監視するものと言える。第2電流検出手段214は、たとえばスイッチングコンバータ210の入力電流や、スイッチングコンバータ210のコイルに流れるコイル電流、スイッチングコンバータ210のスイッチング素子に流れる電流などであってもよい。
【0052】
コンバータコントローラ500は、第1コントローラ510、第2コントローラ520、ドライバ回路530および判定回路540を備える。第1コントローラ510は、第1電流検出手段212が生成する第1検出信号V
CS1にもとづいて第1制御パルスS
CNT1を生成する。第1コントローラ510は、ランプ電流I
LAMPが第1目標量I
REF1に近づくように、第1制御パルスS
CNT1のデューティ比、周波数、オン時間、オフ時間の少なくともひとつを制御する。
【0053】
第1電流検出手段212をスイッチングコンバータ210の出力側に設ける場合、
図1を参照して説明したように、光源300の全消灯状態において、第1電流検出手段212の電源電圧が不足し、第1検出信号V
CS1とランプ電流I
LAMPとの相関が失われ、第1コントローラ510が動作不能となる。
【0054】
第2コントローラ520は、全消灯期間において、ランプ電流I
LAMPが第2目標量I
REF2に近づくように、第2制御パルスS
CNT2を生成する。第2コントローラ520はフィードバックにより第2制御パルスS
CNT2を生成することが好ましい。具体的には第2コントローラ520は、第2電流検出手段214が生成する第2検出信号V
CS2にもとづいて、ランプ電流I
LAMPが第2目標量I
REF2に近づくように、第2制御パルスS
CNT2のデューティ比、周波数、オン時間、オフ時間の少なくともひとつを制御する。
【0055】
第1コントローラ510および第2コントローラ520の構成や、パルスの生成方式は特に限定されない。たとえば電圧モード、ピーク電流モード、平均電流モードのコントローラのアーキテクチャを採用してもよいし、リップル制御(ヒステリシス制御、ボトム検出・オン時間設定、アッパー検出・オフ時間設定)のアーキテクチャを採用してもよい。なお、光源300をバイパス方式で制御する場合、高速な応答性が求められることから、第1コントローラ510および第2コントローラ520は、リップル制御のコントローラであることが好ましい。なお、第2コントローラ520は、第1コントローラ510が正常動作している期間も動作し続けてもよい。
【0056】
点灯状態におけるランプ電流I
LAMPは、光源300の輝度を規定する一方、全消灯状態におけるランプ電流I
LAMP、光源300の輝度に影響を及ぼさない。そこで第1コントローラ510は、相対的に高精度な制御方式で第1制御パルスS
CNT1を生成し、第2コントローラ520は、相対的に精度の低い制御方式で第2制御パルスS
CNT2を生成することができる。
【0057】
ドライバ回路530は、第1制御パルスS
CNT1および第2制御パルスS
CNT2にもとづいてスイッチングコンバータ210を駆動する。ドライバ回路530は、第1制御パルスS
CNT1および第2制御パルスS
CNT2の一方を選択して、ゲート駆動信号S
GATEを生成してもよい。あるいはドライバ回路530は、第1制御パルスS
CNT1および第2制御パルスS
CNT2を合成して、ゲート駆動信号S
GATEを生成してもよい。
【0058】
続いてコンバータコントローラ500Aの構成例を説明する。第1コントローラ510は、ヒステリシス制御のコントローラを含む。具体的には、第1目標量I
REF1の近傍に、アッパーしきい値I
UPPER1およびボトムしきい値I
BOTTOM1が規定される。第1コントローラ510は、第1検出信号V
CS1がアッパーしきい値I
UPPER1に対応する電圧V
UPPER1に達すると、第1制御パルスS
CNT1をオフレベル(たとえばロー)に遷移させ、第1検出信号V
CS1が、ボトムしきい値I
BOTTOM1に対応する電圧V
BOTTOM1まで低下すると、第1制御パルスS
CNT1をオンレベル(たとえばハイ)に遷移させる。
【0059】
第2電流検出手段214は、スイッチングコンバータ210の入力側に設けられ、スイッチングコンバータ210の入力電流I
INを監視し、ランプ電流I
LAMPに応じた第2検出信号V
CS2を生成する。スイッチングトランジスタM
1がオンの期間において、入力電流I
INは、出力電流I
LAMPと一致する。スイッチングトランジスタM
1がオフの期間において、第2検出信号V
CS2はランプ電流I
LAMPと相関を有しない。
【0060】
たとえば第2電流検出手段214は、入力電流I
INの経路上に設けられた第2センス抵抗R
S2と、第2センス抵抗R
S2の電圧降下を第2検出信号V
CS2に変換する第2電流検出回路218を含む。なお、第2センス抵抗R
S2に代えて、スイッチングトランジスタM
1のオン抵抗を利用してもよい。
【0061】
第2電流検出回路218の電源電圧は、点灯回路200Aの入力電圧V
INまたは入力電圧V
INを安定化した内部電圧であってもよい。これにより、全消灯状態においても、第2電流検出回路218は動作を維持し続けることができる。
【0062】
第2コントローラ520は、アッパー検出・オフ時間設定モードのコントローラであってもよい。具体的には、第2コントローラ520は、第2目標量I
REF2にもとづいて、アッパーしきい値I
UPPER2が規定される。第2コントローラ520は、第2検出信号V
CS2が、アッパーしきい値I
UPPER2に対応する電圧V
UPPER2に達すると、第2制御パルスS
CNT2をオフレベル(たとえばロー)に遷移させる。そして、とあるオフ時間T
OFFが経過すると、第2制御パルスS
CNT2をオンレベル(たとえばハイ)に遷移させる。オフ時間T
OFFは、一定であってもよいし、調節可能であってもよい。アッパー検出・オフ時間設定方式によれば、スイッチングトランジスタM
1のオフ期間における電流情報が不要であるため、第2検出信号V
CS2にもとづいて第2制御パルスS
CNT2を生成できる。
【0063】
ヒステリシス制御モードでは、ランプ電流I
LAMPの上限と下限が規定されるのに対して、アッパー検出・オフ時間設定モードでは、ランプ電流I
LAMPの上限のみが制御される。したがって第1コントローラ510の方が、第2コントローラ520よりも電流制御の精度が高いといえる。
【0064】
判定回路540は、全消灯状態であるか否かを判定し、全消灯状態である場合には、判定信号DETをアサートして、第2コントローラ520を有効化する。
【0065】
図5は、コンバータコントローラ500Aの具体的な構成例を示す図である。第1コントローラ510は、ヒステリシスコンパレータを含む。ヒステリシスコンパレータは、たとえば可変電圧源512とコンパレータ514を含む。可変電圧源512は、コンパレータ514の出力(第1制御パルスS
CNT1)の状態に応じて、2つの電圧V
UPPER1,V
BOTTOM1の一方を出力する。コンパレータ514は、第1検出信号V
CS1を、可変電圧源512の出力と比較し、第1制御パルスS
CNT1を生成する。
【0066】
第2コントローラ520は、コンパレータ522およびパルス生成部524を含む。コンパレータ522は、第2検出信号V
CS2を、アッパーしきい値I
UPPER2に応じた電圧V
UPPER2と比較し、第2検出信号V
CS2が電圧V
UPPER2に達するとアサート(たとえばハイレベル)されるオフ信号
OFFを生成する。パルス生成部524は、オフ信号のアサートに応答してオフレベルに遷移し、その後、オンレベルに遷移する第2制御パルスS
CNT2を生成する。パルス生成部524はフリップフロップ526およびオフ時間タイマー528を含む。フリップフロップ526のリセット端子にはオフ信号S
OFFが入力される。オフ時間タイマー528は、第2制御パルスS
CNT2がオフレベルに遷移してから、オフ時間T
OFFの経過後に、オン信号S
ONをアサートする。オン信号S
ONはフリップフロップ526のセット端子に入力される。なおフリップフロップ526の構成は
図5のそれに限定されない。
【0067】
判定回路540は、光源300の両端間電圧(負荷電圧V
L)に応じた電圧を、所定のしきい値電圧V
THと比較するコンパレータ542を含んでもよい。判定回路540は、スイッチングコンバータ210の出力電圧V
Oをしきい値電圧V
THと比較してもよい。コンパレータ542が生成する判定信号DETは、全消灯状態においてアサート(ハイレベル)、点灯状態においてネゲート(ローレベル)である。しきい値電圧V
THを発光素子302の順電圧V
Fより小さく規定することで、Vo<V
Fとなったことを根拠として全消灯状態を検出できる。なお、このコンパレータ542を、短絡検出回路と兼用してもよい。
【0068】
第2コントローラ520を、アッパー検出・オフ時間設定モードのコントローラで構成した場合、第2コントローラ520を、第1コントローラ510が動作可能な期間において完全に停止させるのではなく、過電流保護回路として動作させてもよい。この場合、第2アッパーしきい値I
UPPER2を、第1値I
TH1と第2値I
TH2で切替えればよい。具体的には、第1コントローラ510が動作不能な状態では、第2コントローラ520のアッパーしきい値I
UPPER2を、第2目標量I
REF2に応じた第1値I
TH1に設定すればよい。また第1コントローラ510が動作可能な状態では、アッパーしきい値I
UPPER2を、第1目標量I
REF1より高い過電流しきい値I
OCPに応じた第2値I
TH2に設定すればよい。
【0069】
具体的には、判定信号DETがアサートのとき、電圧源523が生成する電圧を、第2目標量I
REF2に応じた第1レベルV
REF2とし、判定信号DETがネゲートのとき、電圧源523が生成する電圧を、過電流しきい値I
OCPに応じた第2レベルV
OCPとすればよい。
【0070】
図6は、第2コントローラ520の動作を説明する図である。少なくともひとつの発光素子302が点灯した状態(点灯状態という)では、判定信号DETがネゲートされている。時刻t
0より前において第1コントローラ510が正常に動作しており、第1コントローラ510が生成する第1制御パルスS
CNT1に応じて、スイッチングトランジスタM
1が制御され、ランプ電流I
LAMPが、第1目標量I
REF1に応じたI
UPPER1とI
BOTTOM1の範囲に安定化される。第1コントローラ510が正常であるとき、第2コントローラ520はスイッチングトランジスタM
1の制御に影響を及ぼさない。
【0071】
時刻t
0より前において、第2コントローラ520のアッパーしきい値I
UPPER2の値は、過電流しきい値I
OCP2に応じた第2値I
TH2である。時刻t
0に第1コントローラ510に異常が発生する。異常状態において、第2コントローラ520のアッパーしきい値I
UPPER2の値が、第2目標量I
REF2を規定する第1値I
TH1に低下する。
【0072】
時刻t
1に、第2コントローラ520においてオフ信号S
OFFがアサートされる。それからオフ時間T
OFFの経過後の時刻t
2にオン信号S
ONがアサートされ、第2制御パルスS
CNT2およびゲート駆動信号S
GATEがオンレベルとなり、スイッチングトランジスタM
1がターンオンする。スイッチングトランジスタM
1がターンオンすると、入力電流I
INが増大し、第2検出信号V
CS2が増大する。そして、I
IN>I
OCPとなると、言い換えると、V
CS2>V
OCPとなると、第2コントローラ520においてオフ信号S
OFFがアサートされ、第2制御パルスS
CNT2がオフレベルに遷移し、ゲート駆動信号S
GATEがオフレベルとなり、スイッチングトランジスタM
1がターンオフする。そして、オフ時間T
OFFの経過後の時刻t
4にオン信号S
ONがアサートされ、第2制御パルスS
CNT2がオンレベルに遷移する。
【0073】
続いて
図4の点灯回路200Aと同じ機能を、市販のLEDドライバIC(Integrated Circuit)を利用して実装する実施例を説明する。ここでは、LEDドライバICとして米国TEXAS INSTRUMENTS社のLM3409等を例に説明する。
【0074】
図7は、ドライバIC600の簡略化したブロック図である。ドライバIC600は、
図4のドライバ回路530および第2コントローラ520および第2電流検出回路218が集積化されたものと把握できる。
【0075】
ドライバIC600は、アッパー検出・オフ時間設定方式のコントローラを内蔵している。本実施例では、このドライバIC600に内蔵されるコントローラを、
図4の第2コントローラ520(および過電流保護回路)として利用する。
【0076】
ドライバIC600のPGATE端子は、スイッチングトランジスタM
1のゲートと接続される。電流設定(IADJ)端子は、アッパー検出・オフ時間設定方式に使用されるピーク電流I
UPPERを設定するための端子である。電流検出用のCSP端子とCSN端子は、第2センス抵抗R
S2と接続される。CSP端子とCSN端子の間には、入力電流I
INに比例した電圧V
CS2が発生する。
【0077】
レベルシフタ610は抵抗R
21,R
22およびV/I変換回路612を含む。V/I変換回路612は、IADJ端子に入力される電圧V
IADJに比例した電流I
ADJを生成する。抵抗R
21には、アッパーしきい値I
UPPER2に相当する電圧降下I
ADJ×R
21が発生し、その低電位側の一端には、V
CSP−I
ADJ×R
21が発生する。抵抗R
22の電圧降下は実質的にゼロである。レベルシフタ610は、
図5の第2電流検出回路218および電圧源523に対応する。
【0078】
コンパレータ614は、
図5のコンパレータ522に対応する。コンパレータ614は、2つの抵抗R
21,R
22それぞれの一端の電圧を比較し、オフ信号S
OFFを生成する。つまりコンパレータ614は、V
CSP−I
ADJ×R
21とV
CSP−R
S2×I
INを比較する。これはI
ADJ×R
21とR
S2×I
INを比較していることと等価である。オフ信号S
OFFは、I
IN>I
ADJ×R
21/R
S2となるとアサートされる。
【0079】
ドライバIC600のIADJ端子は、アッパーしきい値I
UPPER2(およびI
OCP)を設定するための設定ピンである。IADJ端子には、第1コントローラ510が動作可能であるとき、I
OCPに対応するレベルを有し、第1コントローラ510が動作不能であるとき、I
UPPER2に対応するレベルを有する電圧VI
ADJが入力される。
【0080】
COFF端子には、オフ時間設定用のキャパシタが外付けされる。GND端子は接地される。VIN端子には入力電圧V
INが供給される。
【0081】
パルス発生器616は、ロジック回路620およびオフ時間タイマー回路622を含む。ロジック回路620は、コンパレータ614の出力S
OFFがアサートされると、第2制御パルスS
CNT2をオフレベルに遷移させ、オフ時間タイマー回路622にスタートトリガを与える。ロジック回路620は
図5のフリップフロップ526に相当し、オフ時間タイマー回路622は、
図6のオフ時間タイマー528に相当する。
【0082】
オフ時間タイマー回路622はスタートトリガに応答して動作開始し、オフ時間T
OFFの経過後に、オン信号S
ONをアサートする。その限りではないが、たとえばオフ時間タイマー回路622は、COFF端子と接地間に外付けのキャパシタC
tmと並列に設けられたスイッチと、COFF端子の電圧V
COFFを所定の電圧V
OFFと比較するコンパレータと、を含む。またCOFF端子には、抵抗R
tmを介して充電電圧V
Cが印加される。オフ時間タイマー回路622のスイッチは、V
COFF>V
OFFとなるとターンオンし、キャパシタC
tmを放電する。オフ時間は、キャパシタC
tmの容量値、充電電圧V
C、抵抗値R
tm応じて設定可能となっている。ロジック回路620は、オン信号S
ONのアサートに応答して第2制御パルスS
CNT2をオンレベルに遷移させる。
【0083】
ドライバ回路530の出力は、PGATE端子を介してスイッチングトランジスタM
1のゲートと接続される。
【0084】
ドライバIC600は、イネーブル(EN)端子を備え、イネーブル端子にハイレベルが入力されるとき、イネーブル状態となる。ドライバIC600は、イネーブル端子にローレベルが入力される間、ディセーブル状態となり、ゲート出力PGATEがローレベルに固定され、スイッチングトランジスタM
1がオフとなる。
【0085】
図8は、
図7のドライバIC600を備える点灯回路200Bの回路図である。ドライバIC600のイネーブル端子に、第1コントローラ510が生成した第1制御パルスS
CNT1が入力される。つまり第1制御パルスS
CNT1に応じてドライバIC600全体が、オン、オフすることにより、PGATE端子には、第1制御パルスS
CNT1に応じたゲート駆動信号S
GATEが発生する。全消灯状態となると、イネーブル端子ENはハイレベルに固定され、PGATE端子には、ドライバIC600の内部で生成される第2制御パルスS
CNT2に応じたゲート駆動信号S
GATEが発生する。
【0086】
判定回路540は、光源300に供給される負荷電圧V
Lを、しきい値電圧V
THと比較し、判定信号DETを生成する。判定信号DETが点灯状態を示すとき、IADJ端子には、第1の電圧レベルが供給され、これにより、ドライバIC600の内部のアッパー電流が、I
OCPに設定され、過電流保護機能が有効になる。判定信号DETが全消灯状態を示すとき、IADJ端子には、第2の電圧レベルが供給され、これにより、ドライバIC600の内部のアッパー電流が、I
UPPER2に設定され、アッパー検出・オフ時間設定モードによって第2制御パルスS
CNT2が生成される。すなわち第2コントローラ520が有効になる。なお、スイッチングコンバータ210と光源300の間には、リップル除去用のフィルタ270を挿入してもよい。
【0087】
点灯回路200は、さまざまな車両用灯具100に搭載可能であるが、特にスキャン方式の灯具に好適に用いることができる。
図9は、スキャン方式の車両用灯具の斜視図である。
図9の車両用灯具100は、走行シーンに応じて、複数の配光モードが選択可能である。
【0088】
車両用灯具100は、主として、光源部110、スキャン光学系120、投影光学系130および上述の点灯回路200を備える。光源部110は、複数の発光ユニット112を含む。光源部110、発光ユニット112は、
図2の光源300、発光素子302に対応する。複数の発光ユニット112は、コネクタ114を介して図示しない点灯回路200と接続される。発光ユニット112は、LED(発光ダイオード)やLD(半導体レーザ)などの半導体光源を含む。ひとつの発光ユニット112は、輝度および点消灯の制御の最小単位を構成している。ひとつの発光ユニット112は、ひとつのLEDチップ(LDチップ)であってもよいし、直列および/または並列に接続された複数のLEDチップ(LDチップ)を含んでもよい。
【0089】
スキャン光学系120は光源部110の出射光L
1を受け、所定の周期運動を繰り返すことによりその反射光L
2を車両前方で横方向(図中、H方向)に走査する。投影光学系130は、スキャン光学系120の反射光L
2を車両前方の仮想スクリーン10上に投影する。投影光学系130は反射光学系、透過光学系、それらの組み合わせで構成することができる。
【0090】
具体的にはスキャン光学系120は、リフレクタ122およびモータ124を備える。リフレクタ122は、モータ124のロータに取り付けられており、回転運動を行なう。本実施の形態においてリフレクタ122は2枚設けられており、モータ124の1回転で、出射光L
2は2回、走査される。したがって走査周波数は、モータの回転数の2倍となる。なおリフレクタ122の枚数は特に限定されない。
【0091】
ある時刻t
0において光源部110の出射光L
1は、リフレクタ122の位置(ロータの回転角)に応じた角度で反射され、そのときの反射光L
2は、車両前方の仮想スクリーン10上に、ひとつの照射領域12を形成する。
図1では説明の簡素化のため、照射領域12を矩形で示すが、後述のように照射領域12は矩形とは限らない。
【0092】
別の時刻t
1においてリフレクタ122の位置が変化すると、反射角が変化し、そのときの反射光L
2’は、照射領域12’を形成する。さらに別の時刻t
2においてリフレクタ122の位置が変化すると反射角が変化し、そのときの反射光L
2”は、照射領域12”を形成する。
【0093】
スキャン光学系120を高速に回転させることにより、照射領域12が仮想スクリーン10上を走査し、これにより車両前方に配光パターンが形成される。
【0094】
図10(a)〜(d)は、配光パターンの形成を説明する図である。
図10(a)には、光源部110における複数の発光ユニット112のレイアウトが示される。本実施の形態において複数の発光ユニット112の個数は9である。
【0095】
複数の発光ユニット112は高さ方向に2段以上で、この例では3段で配置され、最下段の発光ユニット112の個数が最も多くなっている。これにより、仮想スクリーン上のH線の近傍に、照度の高い領域を形成できる。
【0096】
本実施の形態に係る車両用灯具100は、スキャンによる配光と、非スキャンによる配光の重ね合わせにより、配光パターンを形成する。光源部110は、スキャン用の複数の発光ユニット112_1〜112_9に加えて、非走査で車両前方を広く照射するための少なくともひとつの発光ユニット113_1,113_2を備える。発光ユニット113_1,113_2の出射光は、スキャン光学系120とは異なる光学系(不図示)を経由して、仮想スクリーン10に照射される。
【0097】
図10(b)は、リフレクタ122が所定の位置にあるときに、各発光ユニット112、113の出射光が仮想スクリーン10上に形成する照射スポットを示す図である。
【0098】
スキャン用の発光ユニット112が形成する照射スポットを集光スポットScと称する。Sc
iは、i番目(1≦i≦9)の発光ユニット112_iが形成する集光スポットを表す。
図10(b)の複数の集光スポットSc
1〜Sc
9の集合が、
図1の照射領域12に相当する。
【0099】
また、拡散用の発光ユニット113が仮想スクリーン10上に形成する照射スポットを、拡散スポットSdと称する。Sd
iは、i番目の発光ユニット113_iが形成する集光スポットを表す。拡散スポットSdはリフレクタ122の回転とは無関係である。拡散スポットSd
1,Sd
2の集合を、拡散領域14と称する。
【0100】
図10(b)には右側灯具による照射スポットSc,Sdのみが示される。右側灯具と左側灯具を左右対称に構成した場合、
図10(b)の照射スポットをV線で左右反転したものが、左側灯具によって形成される。
【0101】
図10(c)には、リフレクタ122を回転させたときに、各集光スポットScが通過する領域(スキャン領域と称する)SRが示される。SR
iは、i番目の集光スポットSc
iが通過する領域を示す。スキャン領域SR
1〜SR
9の集合、言い換えれば照射領域12が走査される領域を集光領域15と称する。集光領域15は拡散領域14とオーバーラップしている。
【0102】
図10(d)には、最下段の発光ユニット112_1〜112_5が形成するH線近傍の配光パターンの水平方向の照度分布が示される。
【0103】
実際に形成される配光パターンは、右側灯具の配光パターンと左側灯具の配光パターンの重ね合わせとなる。この例では、右側灯具の集光領域15と、左側灯具の集光領域15は実質的にオーバーラップしている。また右側灯具の拡散領域14は主としてV線より右側を照射し、左側灯具の拡散領域14(不図示)が主としてV線より左を照射することとなる。
【0104】
このように、スキャン用の複数の発光ユニット112_1〜112_9は、それぞれの出射光が仮想スクリーン上で異なる箇所を照射するように配置される。
図10(a)に示すように、複数の発光ユニット112をU字型に配置するとよい。U字型(あるいは
図10(b)のE字型)に配置することにより、1段目、2段目、3段目の集光領域の右端および左端を揃えることができる。
【0105】
複数の発光ユニット112とチャンネルの対応関係はたとえば以下の通りである。
第1チャンネルCH
1=発光ユニット112_1,112_2
第2チャンネルCH
2=発光ユニット112_3
第3チャンネルCH
3=発光ユニット112_4,112_5
第4チャンネルCH
4=発光ユニット112_6,112_7
第5チャンネルCH
5=発光ユニット112_8,112_9
拡散領域用の発光ユニット113_1、113_2は、第6チャンネルCH
6となる。
【0106】
複数の発光ユニット112は高さ方向に3段に配置されており、同じ高さを照射する発光ユニット112は、同一量の駆動電流が供給されるように、同一チャンネルに分類される。同一チャンネルに含まれる複数の発光ユニット112は、ひとつの光源300を形成するように直列に接続される。点灯回路200は、チャンネルごとに設けられ、対応するチャンネルに含まれる発光ユニットを点灯する。
【0107】
このようなスキャン方式の灯具では、同一チャンネルの複数の発光ユニット112が同時に消灯する全消灯状態が、走査周期で間欠的に発生しうる。したがって上述の点灯回路200によって駆動することにより、消費電力を抑制できる。
【0108】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0109】
(第1変形例)
複数の発光素子302の点灯、消灯は、バイパスコントローラ290によって制御される。したがってバイパスコントローラ290は、いつ全消灯状態が発生するかを知っている。そこで判定回路540は、バイパスコントローラ290からの情報にもとづいて全消灯状態か点灯状態かを判定してもよい。第1変形例は、
図2に一点鎖線で示される。あるいは判定回路540の機能を、バイパスコントローラ290に実装してもよい。
【0110】
(第2変形例)
実施例では、スイッチングコンバータ210を降圧コンバータとしたが、昇圧コンバータや昇降圧コンバータであってもよい。
【0111】
(第3変形例)
実施の形態では、第2コントローラ520が第2電流検出手段214からの第2検出信号V
CS2にもとづいて第2制御パルスS
CNT2を生成することとしたが、その限りではない。第2コントローラ520は、完全にオープンループで、第2制御パルスS
CNT2を生成してもよい。この場合、ランプ電流I
LAMPが安定するレベルは、入力電圧に依存することとなるが、第2コントローラ520を簡素化できる。たとえば第2コントローラ520を、オシレータで構成してもよい。
【0112】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。