特許第6916802号(P6916802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6916802液体エアロゾル形成基体の識別を備えたエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916802
(24)【登録日】2021年7月20日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】液体エアロゾル形成基体の識別を備えたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20210729BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   A24F40/40
   A61M15/06 A
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-540716(P2018-540716)
(86)(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公表番号】特表2019-511206(P2019-511206A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2017052916
(87)【国際公開番号】WO2017137510
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2020年1月31日
(31)【優先権主張番号】16155571.9
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−527614(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02399636(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0000303(US,A1)
【文献】 米国特許第04646569(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0235546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、
第一の電極および前記第一の電極から間隔をおいて配置される第二の電極であって、前記液体貯蔵部分の少なくとも一部分が、前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置され、前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置される前記液体貯蔵部分の前記部分が、液体エアロゾル形成基体が前記液体貯蔵部分内に保持されるときに、液体エアロゾル形成基体を保持する、第一の電極および第二の電極と、
制御システムとを含み、
前記制御システムは、
前記第一の電極と前記第二の電極との間の液体エアロゾル形成基体を保持する前記液体貯蔵部分の少なくとも一部分にわたる電気的量を測定し、
前記測定された電気的量情報に基づいて、前記液体貯蔵部分内に保持されている前記液体エアロゾル形成基体を識別するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記制御システムが、前記測定された電気的量情報と前記制御システムに記憶されている基準電気的量情報とを比較することによって、前記液体貯蔵部分内に保持されている前記液体エアロゾル形成基体を識別するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記エアロゾル発生システムが、前記液体貯蔵部分から液体エアロゾル形成基体を受けるように配置される、エアロゾル発生手段をさらに含み、前記制御システムが、前記液体貯蔵部分内に保持されている前記液体エアロゾル形成基体の定めた同一性に基づいて、前記エアロゾル発生手段の動作を制御するようにさらに構成される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記第一の電極および前記第二の電極が、電気的な絶縁材料のプラットホーム上に配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記第一の電極および前記第二の電極が、相互嵌合される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記エアロゾル発生システムが、1つ以上のエアロゾル発生要素を含むエアロゾル発生手段を含み、前記エアロゾル発生要素のうちの少なくとも1つが、前記第一の電極と前記第二の電極のうちの1つを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記システムが、前記第一の電極および前記第二の電極に測定信号を供給するように構成される電源を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記制御システムによって測定される前記電気的量が、前記第一の電極と前記第二の電極との間のインピーダンスである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記制御システムによって測定される前記電気的量が、前記第一の電極と前記第二の電極との間の抵抗である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記制御システムによって測定される前記電気的量が、前記第一の電極と前記第二の電極との間の静電容量である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記液体貯蔵部分を含むカートリッジと、
前記制御システムを含む主要ユニットと、を含み、
前記主要ユニットが、前記カートリッジを取り外し可能に受けるように構成され、前記第一の電極および前記第二の電極は、前記カートリッジが前記主要ユニットで受けられたときに前記カートリッジの前記液体貯蔵部分の一部が前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置されるように、配置される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記カートリッジが、前記第一の電極および前記第二の電極を含むか、
前記主要ユニットが、前記第一の電極および前記第二の電極を含むか、
前記カートリッジが、前記第一の電極と前記第二の電極のうちの一方を含み、前記主要ユニットが、前記第一の電極と前記第二の電極のうちの他方を含む、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するための方法であって、
エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分内に液体エアロゾル形成基体を保持することと、
第一の電極と第二の電極との間に前記液体貯蔵部分の少なくとも一部分を配置することであって、前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置される前記液体貯蔵部分の前記部分が、液体エアロゾル形成基体が前記液体貯蔵部分内に保持されるときに、液体エアロゾル形成基体を保持する、配置することと、
前記第一の電極と前記第二の電極との間の液体エアロゾル形成基体を保持する前記液体貯蔵部分の少なくとも一部分にわたる電気的量を測定することと、
前記測定された電気的量情報に基づいて、前記液体貯蔵部分内に保持されている前記液体エアロゾル形成基体を識別することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生システム用のカートリッジに関連する。エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電気的に作動する喫煙システムは一般に、霧状にされてエアロゾルを形成する液体エアロゾル形成基体を含む。電気的に作動する喫煙システムは多くの場合、電源と、1回分の液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、アトマイザーとを備える。電気的に作動する喫煙システムで使用される共通のタイプのアトマイザーは、液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。
【0003】
液体エアロゾル形成基体は、異なる組成を有しうる。液体エアロゾル形成基体の異なる組成は、異なる性質を有しうる。いくつかの液体エアロゾル形成基体は、いくつかのエアロゾル発生システムとの併用に適さない場合がある。例えば、いくつかの液体エアロゾル形成基体は、高温により損傷し、または腐敗しうる。例えば、いくつかの液体エアロゾル形成基体は、比較的高い粘性を有し、ある特定のエアロゾル発生手段により有効に霧状にされない場合がある。
【0004】
エアロゾル発生システムの製造元は、自身のエアロゾル発生システムで使用するために、ある特定の液体エアロゾル形成基体を認証しうる。認証された液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムでの使用に関して適切な特性を有しうる。しかし、ユーザーは、認証されておらず、かつ不適当な液体エアロゾル形成基体で液体貯蔵部分を再補充する場合があり、または認証されておらず、かつ不適当な液体エアロゾル形成基体を保持する認証されていないカートリッジを使用する場合がある。いくつかの認証されていない液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムを損傷しうる。いくつかの認証されていない液体エアロゾル形成基体は、ユーザーに有害でありうる。
【0005】
エアロゾル発生システムは、異なる組成を有する液体エアロゾル形成基体を区別することができることが望ましい。エアロゾル発生システムは、異なる液体エアロゾル形成基体の組成と併用するために調節可能であることが望ましい。エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が、認証されたものであるか、あるいは認証されていないものであるかをユーザーに知らせることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様では、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、第一の電極および第一の電極から間隔をおいて配置される第二の電極と、制御システムと、を含む、エアロゾル発生システムが提供される。第一の電極および第二の電極は、液体貯蔵部分の少なくとも一部分が、第一の電極と第二の電極との間に配置され、第一の電極と第二の電極との間に配置される液体貯蔵部分の部分が、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分内に保持される時に、液体エアロゾル形成基体を保持するように、配置される。制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定し、測定された電気量情報に基づいて、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成される。
【0007】
液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別することは、エアロゾル発生システムまたはユーザーが液体貯蔵部分内に保持されている不適当な、認証されていない、または未知の液体エアロゾル形成基体を識別することを可能にしうる。このことは、エアロゾル発生システムへの損傷を引き起こしうる液体エアロゾル形成基体の使用を実質的に防ぎ、または抑制しうる。このことは、ユーザーに対して潜在的に有害である液体エアロゾル形成基体の使用を実質的に防ぎ、または抑制しうる。液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の識別はまた、エアロゾル発生システムが適切な、または真正の液体エアロゾル形成基体を区別することを可能にしうる。このことは、エアロゾル発生システムが液体エアロゾル形成基体の同一性に依存する異なるモードで動作することを可能にしうる。
【0008】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「電気量」という用語は、測定によって定量化されうるシステムのいくつかの電気的性質、パラメーターまたは特性を説明するために使用される。例えば、適切な「電気量」は、インピーダンス、静電容量および抵抗を含む。制御システムは、インピーダンス、静電容量および抵抗のうちの少なくとも1つを測定するように構成されうる。
【0009】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「識別(identify)」という用語は、液体エアロゾル形成基体の検証、認証または認識を記述するために使用される。例えば、液体エアロゾル形成基体を識別することは、液体エアロゾル形成基体の組成、エアロゾル発生システムでの使用に関する液体エアロゾル形成基体の適性、および液体エアロゾル形成基体の起源または真正のうちの少なくとも1つを定めることを含みうる。同様に、本明細書で使用される場合、「同一性(identity)」という用語は、液体エアロゾル形成基体の組成、適性および真正性のうちの少なくとも1つを記述するために使用される。
【0010】
液体エアロゾル形成基体は、1つ以上の成分を含みうる。液体エアロゾル形成基体は、グリセリンおよびプロピレンなどの、1つ以上の主要な成分を含みうる。液体エアロゾル形成基体は、主要な成分の実質的に異なる比率を含みうる。主要な成分の組成および比率の変化は、液体エアロゾル形成基体の電気的性質を実質的に変えうる。液体エアロゾル形成基体の電気的性質の変化は、液体エアロゾル形成基体がその電気的性質によって識別されうるようであってもよい。
【0011】
本発明のエアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む。液体貯蔵部分の電気的性質は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の電気的性質に依存しうる。本発明のエアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分の電気的性質を監視するように構成される。このことは、第一の電極と第二の電極との間に液体エアロゾル形成基体を保持する液体貯蔵部分の少なくとも一部分を配置することによって、また第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定するように制御システムを構成することによって、達成される。そのため、制御システムは、液体エアロゾル形成基体を保持する液体貯蔵部分の少なくとも一部分にわたって電気量を測定するように構成される(液体エアロゾル形成基体が使い尽くされ、または液体貯蔵部分から涸渇する場合を除く)。制御システムは、電気量の測定値を使用して、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するようにさらに構成される。
【0012】
液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を保持しうる。液体貯蔵部分はまた、液体貯蔵部分に保持される空気、液体エアロゾル形成基体を保持するための担体材料、および液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングのうち1つ以上を含みうる。液体エアロゾル形成基体と、空気と、担体材料と、ハウジングとは、異なる電気的性質を有してもよい。
【0013】
液体貯蔵部分は電気的な負荷を含みうる。液体貯蔵部分は、抵抗負荷および容量負荷のうち少なくとも1つを含みうる。有利には、抵抗および容量負荷の電気量は、複雑な電子装置を要求することなく測定されうる。
【0014】
第一および第二の電極は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が第一の電極と第二の電極との間に配置されるように配置されうる。第一および第二の電極はまた、液体貯蔵部分に保持される空気、担体材料およびハウジングのうち1つ以上が、第一の電極と第二の電極との間に配置されるように配置されうる。第一および第二の電極は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体と接触して配置されうる。第一および第二の電極は、担体材料と接触して配置されうる。第一および第二の電極は、ハウジングと接触して配置されうる。
【0015】
エアロゾル発生システムの製造元によって製造され、または承認された液体エアロゾル形成基体は、制御システムによって測定された時に、特定の認識可能な電気量情報を生成する成分を含みうる。制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が、製造元によって製造され、または承認されたものであるかどうかを識別するように構成されうる。別の言い方をすると、制御システムは、液体エアロゾル形成基体が真正であるかどうかを定めるように構成されうる。
【0016】
1つより多い液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムでの使用に適しうる。エアロゾル発生システムでの使用に適した組成を有する液体エアロゾル形成基体は、制御システムによって測定された時に、1つ以上の範囲の特定の認識可能な電気量情報を生成しうる。制御システムは、測定した電気量情報に基づいて、エアロゾル発生システムでの使用に適する液体エアロゾル形成基体と、エアロゾル発生システムでの使用に適さない液体エアロゾル形成基体とを区別するように構成されうる。別の言い方をすると、制御システムは、測定した電気量情報が、エアロゾル発生システムでの使用に適する液体エアロゾル形成基体に関する予期の値または値の範囲に適合するかどうかを識別するように構成されうる。
【0017】
制御システムは、測定した電気量情報に基づいて、液体エアロゾル形成基体の組成を定めるように構成されうる。液体エアロゾル形成基体のある特定の成分は、液体エアロゾル形成基体の電気的性質に実質的に影響を与えうる。製造元は、液体エアロゾル形成基体の電気的性質に実質的に影響を与える異なる比率の成分を含む、2つ以上の液体エアロゾル形成基体を製造しうる。制御システムは、測定した電気量情報に基づいて、製造元によって製造され、または認証された2つ以上の液体エアロゾル形成基体を区別するように構成されうる。
【0018】
制御システムは、比較によって、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。制御システムは、測定された電気量情報を制御システムに記憶された基準電気量情報と比較するように構成されうる。
【0019】
基準電気量情報は、制御システムの記憶装置に記憶されうる。基準電気量情報は、制御システムによって測定され、制御システムの記憶装置に記憶される、電気量情報であってもよい。基準電気量情報は、液体エアロゾル形成基体の同一性情報と関係付けられてもよい。このことは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の識別に信頼性をもたせることを可能にしうる。
【0020】
基準電気量情報は、複数の範囲の基準電気量情報を含んでもよい。各範囲の基準電気量情報は、液体エアロゾル形成基体と関係付けられてもよい。制御システムは、測定された電気量情報を記憶された範囲の基準電気量情報と比較し、また一致させるように構成されうる。
【0021】
基準電気量情報は、1つ以上の所定のしきい値を含みうる。制御システムは、測定した電気量情報を1つ以上の所定のしきい値と比較するように構成されうる。制御システムは、測定した電気量情報が1つ以上のしきい値を超えない場合、液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。例えば、制御システムは、測定した電気量情報が所定のしきい値を超えていない時に、適切な認証された、または真正の液体エアロゾル形成基体として、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。例えば、制御システムは、測定した電気量情報が所定のしきい値を超えている時に、不適当な認証されていない、または未知の液体エアロゾル形成基体として、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。本明細書で使用される場合、所定のしきい値を超える測定値は、所定のしきい値より大きい値、または所定のしきい値より小さい値のうちの1つでありうる。別の言い方をすると、所定のしきい値を超えない値は、所定の範囲内の値である。
【0022】
基準電気量情報は、ルックアップテーブルに記憶されうる。ルックアップテーブルは、記憶された基準電気量情報と、記憶された液体エアロゾル形成基体の同一性情報と、を含みうる。記憶された基準電気量情報は、記憶された液体エアロゾル形成基体の同一性情報と関係付けられうる。記憶された液体エアロゾル形成基体の同一性情報は、組成情報、真正情報および適性情報のうち1つ以上を含みうる。
【0023】
制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の定めた同一性をユーザーに示すように構成されうる。
【0024】
エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分から液体エアロゾル形成基体を受けるように配置される、エアロゾル発生手段をさらに含みうる。制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の定めた同一性に基づいて、エアロゾル発生手段の動作を制御するようにさらに構成されてもよい。このことは、液体エアロゾル形成基体の異なる組成に最も適切な異なる温度などの異なるモードにおいて、エアロゾル発生システムがエアロゾル発生手段を動作させることを可能にしうる。このことは、不適当な、認証されていない、または未知の液体エアロゾル発生基体が識別された場合に、エアロゾル発生システムがエアロゾル発生手段の動作を不能にし、または防ぐことを可能にしうる。
【0025】
本発明と関連して本明細書で使用される場合、エアロゾル発生手段の動作を制御することは、とりわけ、エアロゾル発生手段への電力の供給を制御することと、エアロゾル発生手段の温度を制御することと、エアロゾル発生手段の動作の継続時間を制御することと、エアロゾル発生手段の動作を不能にし、または防ぐことと、を含む。
【0026】
制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定し、エアロゾル発生手段の動作と無関係に液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。このことは、制御システムが、エアロゾル発生手段が動作する前に、エアロゾル発生手段の動作を制御することを可能にしうる。このことは、不適当な液体エアロゾル形成基体の噴霧化からのエアロゾル発生手段への損傷を防ぎうる。
【0027】
第一の電極および第二の電極は、液体貯蔵部分に対して任意の適切な位置に配置されうる。第一の電極および第二の電極は、液体貯蔵部分に、または液体貯蔵部分内に配置されうる。第一の電極および第二の電極は、ハウジングに、またはハウジング上に配置されうる。液体貯蔵部分のハウジングが、液体エアロゾル形成基体を保持するためのくぼみを形成する場合、第一の電極および第二の電極は、くぼみに、またはくぼみ内に配置されうる。
【0028】
エアロゾル発生システムは、1対以上の第一および第二の電極を含んでもよい。エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分の異なる部分が第一の電極と第二の電極との間に配置されるように配置される、2対以上の電極を含んでもよい。複数の対の電極を提供することは、測定の信頼性を向上しうる。1対以上の第一および第二の電極は、センサーの部分を含みうる。
【0029】
電極は、任意の適切なタイプの電極であってもよい。例えば、適切なタイプの電極には、点電極、リング電極、プレート電極、またはトラック電極が挙げられる。第一の電極および第二の電極は、同様のタイプの電極であってもよい。第一の電極および第二の電極は、異なるタイプの電極であってもよい。
【0030】
電極は任意の適切な形状であってもよい。例えば、電極は、方形状、長方形状、曲線状、弓形状、環状、渦巻形状、またはらせん状でありうる。電極は実質的に円筒形であってもよい。電極は、実質的に線形、非線形、平面または非平面である、1つ以上のセクションを含んでもよい。電極は剛直でありうる。このことは、電極がその形状を維持することを可能にしうる。電極は可撓性であってもよい。このことは、電極が液体貯蔵部分の形状に適合することを可能にしうる。電極は、液体貯蔵部分のハウジングの形状に適合するように構成されうる。
【0031】
電極は、長さ、幅および厚さを有しうる。電極の長さは、電極の幅より実質的に大きくてもよい。別の言い方をすると、電極は細長くてもよい。電極の厚さは、電極の長さおよび幅より実質的に小さくてもよい。別の言い方をすると、電極は薄くてもよい。薄い電極および細長い電極は、容積比に対して大きい表面積を有しうる。このことは、測定の感度を向上しうる。
【0032】
電極は、任意の適切な材料を含みうる。電極は、任意の適切な電気的な導電材料を含んでもよい。適切な電気的な導電材料は、金属、合金、電気的な導電性セラミック、および電気的な導電性ポリマーを含む。本発明に関して本明細書で使用される場合、電気的な導電材料は、20℃で、約1×10-5Ωm未満、一般的には約1×10-5Ωm〜約1×10-9Ωmの体積抵抗率を有する材料を意味する。材料は、金およびプラチナを含んでもよい。電極は、不活性化層で被覆されうる。電極は、液体エアロゾル形成基体と反応せず、または液体エアロゾル形成基体を汚染することがないように、十分に反応しない材料を含んでもよく、またはその材料で被覆されてもよい。電極は、透明の、または半透明の材料を含んでもよい。例えば、適切な透明の材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)でありうる。
【0033】
電極は、液体貯蔵部分に対する任意の適切な構成で配置されうる。電極は、液体貯蔵部分内に配置されうる。第一の電極および第二の電極は、液体貯蔵部分の対向する側に配置されうる。第一の電極および第二の電極は、液体貯蔵部分の対向する端に配置されうる。液体貯蔵部分が担体材料を含む場合、電極は、担体材料と接触して配置されうる。液体貯蔵部分がハウジングを含む場合、第一および第二の電極のうちの少なくとも1つは、ハウジングに、またはハウジングと接触して配置されうる。第一および第二の電極は、実質的に円筒形であってもよい。第一の電極は、第二の電極を実質的に囲むように配置されてもよい。第一および第二の電極は、共通の軸の周りで同心に配置されうる。
【0034】
第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも1つは、プラットホーム上に配置されうる。プラットホームは、電気的な絶縁材料を含みうる。液体貯蔵部分がハウジングを含む場合、プラットホームは、ハウジングから分離されうる。プラットホームは、ハウジング上に配置されうる。プラットホームは、ハウジングの一部を形成しうる。プラットホームは、ハウジングと同様の材料を含みうる。プラットホームは、ハウジングと異なる材料を含んでもよい。
【0035】
プラットホームは、任意の適切な電気的な絶縁材料を含みうる。例えば、適切な電気的な絶縁材料には、ガラス、プラスチックおよびセラミック材料が挙げられる。本発明に関して本明細書で使用される場合、電気的な絶縁材料は、20℃で、約1×106Ωm、一般的には約1×109Ωm〜約1×1021Ωmの体積抵抗率を有する材料を意味する。
【0036】
電極は、プラットホーム上に固定されうる。電極は、任意の適切な手段によって、プラットホーム上に固定されうる。例えば、電極は、接着剤などの接着材料によって、プラットホーム上に固定されうる。電極は、任意の適切な付着方法によって、プラットホーム上に付着されうる。電極は、プラットホームにエッチングされうる。
【0037】
第二の電極は、第一の電極から間隙を介してもよい。このことは、第一の電極と第二の電極との間の直接的な接触を実質的に防ぎうる。第一の電極と第二の電極との間の間隔は、第一の電極および第二の電極の長さに沿って一貫的でありうる。第一の電極および第二の電極が液体貯蔵部分の対向する側に配置される場合、その間隔は、おおよそ液体貯蔵部分の幅と同一でありうる。第一の電極と第二の電極との間の間隔は、約1μm〜約1mm、または約1μm〜約500μm、または約10μm〜約100μmでありうる。
【0038】
μ
第二の電極は、第一の電極の経路に実質的に従いうる。このことは、第一の電極と第二の電極との間の間隔が、第一および第二の電極の長さに沿って一定なままであることを可能にしうる。第二の電極は、第一の電極に対して実質的に平行となるように配置されうる。
【0039】
第一の電極および第二の電極は、相互嵌合されてもよい。第一の電極は、複数の突出部および空所を含んでもよく、第二の電極は、複数の突出部および間隙を含んでもよい。第一の電極の突出部は、第二の電極の間隙内に延在してもよく、第二の電極の突出部は、第一の電極の間隙内に延在してもよい。電極を相互嵌合することにより、電極間の間隔を最小にしうる。このことにより測定の感度を向上しうる。
【0040】
第一および第二の電極の突出部は、実質的に線形でありうる。第一の電極の突出部は、第一の方向に実質的に延在してもよく、第二の電極の突出部は、第二の方向に実質的に延在してもよい。第一および第二の電極は、第二の方向に対して実質的に平行な第一の方向に配置されうる。突出部は、実質的に非線形であってもよい。突出部は、曲線状または弓形状であってもよい。例えば、相互嵌合された電極を含む適切なセンサーは、DropSens(商標)製のタイプDRP−G−IDEPT10でありうる。
【0041】
エアロゾル発生システムは、1つ以上のエアロゾル発生要素を含むエアロゾル発生手段を含みうる。1つ以上のエアロゾル発生要素は、1つ以上の発熱体を含んでもよい。一つ以上のエアロゾル発生要素は、一つ以上の振動可能な要素を含んでもよい。エアロゾル発生手段が、1つ以上のエアロゾル発生要素を含む場合、エアロゾル発生要素のうちの少なくとも1つは、1つの電極を含みうる。エアロゾル発生手段の部分として1つの電極を形成することは、エアロゾル発生システムを製造するのに要求される構成要素の数を減少しうる。
【0042】
制御システムは電気回路を含みうる。電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、第一の電極および第二の電極への電力供給を調節するよう構成されうる。
【0043】
制御システムは、第一の電極および第二の電極への電力供給を制御または調節するよう構成されうる。制御システムはエアロゾル発生手段への電力供給を制御または調節するよう構成されうる。第一の制御システムは、第一の電極および第二の電極への電力供給を制御または調節するように構成されてもよく、第二の制御システムは、エアロゾル発生手段への電力供給を制御または調節するように構成されてもよい。
【0044】
電力は、第一の電極および第二の電極に連続的に供給されうる。電力は、システムの作動に続いて、第一の電極および第二の電極に供給されうる。電力は、電流パルスの形態で第一の電極および第二の電極に供給されてもよい。電力は、毎回の吸煙ごとなど断続的に第一の電極および第二の電極に供給されてもよい。
【0045】
制御システムは、測定信号を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。制御システムは、連続的な測定信号を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。別の言い方をすると、制御システムは、直流電圧を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。このことは、交流電圧などの振動する測定信号を供給することよりも単純な回路を要求しうる。制御システムが連続的な測定信号を供給するように構成される場合、制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の電気抵抗を測定するようにさらに構成されうる。
【0046】
制御システムは、振動する測定信号を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。別の言い方をすると、制御システムは、交流電圧を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。制御システムは、所定の周波数で、振動する測定信号を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。所定の周波数は、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定するために、制御システムのための任意の適切な周波数でありうる。所定の周波数は、約20MHz以下であってもよく、または約10MHz以下であってもよい。所定の周波数は、約10kHz〜約10MHz、または約10kHz〜約1MHz、または約100kHz〜約1MHzでありうる。
【0047】
1つ以上の担体材料、液体エアロゾル形成基体および空気の異なる組み合わせを含むいくつかの液体貯蔵部分は、特定の周波数で振動する測定信号に応じて、同様に反応しうる。例えば、第一の電極および第二の電極への特定の周波数で振動する測定信号の適用に基づいて、第一の液体エアロゾル形成基体を含む第一の液体貯蔵部分について測定される電気量は、第一の液体エアロゾル形成基体と異なる組成を有する、第二の液体エアロゾル形成基体を含む第二の液体貯蔵部分について測定される電気量と同様でありうる。こうした同様の反応は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の識別の誤りを引き起こしうる。
【0048】
いくつかの異なる液体貯蔵部分の反応は、特定の周波数で振動する測定信号に応じて同様でありうるが、これらの異なる液体貯蔵部分の反応は、異なる周波数で振動する測定信号に応じて変化しうる。例えば、第一の周波数で振動する測定信号の適用に基づいて、第一の液体貯蔵部分と第二の液体貯蔵部分について測定される電気量は、同様であってもよく、第二の周波数で振動する測定信号の適用に基づいて、第一の液体貯蔵部分について測定される電気量は、第二の液体貯蔵部分について測定される電気量と異なりうる。
【0049】
同様に、直流電圧などの連続的な測定信号の適用に対する異なる液体貯蔵部分の反応はまた、ある特定の液体貯蔵部分と同様であり、その他の液体貯蔵部分と異なっていてもよい。
【0050】
したがって、異なる測定信号を用いる電気量の測定に基づいて、1つより多い測定信号を第一および第二の電極に適用し、また液体エアロゾル形成基体を識別するように構成される制御システムは有利でありうる。例えば、制御システムは、2以上の周波数で、振動する測定信号を第一の電極および第二の電極に適用するように構成されうる。制御システムは、第一の周波数で、第一の振動する測定信号を第一および第二の電極に適用し、第二の周波数で、第二の振動する測定信号を第一および第二の電極に適用するように構成されうる。制御システムは、1つ以上の振動する測定信号を第一および第二の電極に適用し、また連続的な測定信号を第一および第二の電極に適用するように構成されうる。このことは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の識別の正確性を向上しうる。このことは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の誤った同一性の決定の可能性を減少しうる。制御システムは、エアロゾル発生システムがスイッチンオンされた時に、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。制御システムは、所定の間隔で定期的に液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。制御システムは、ユーザーによって誘発された時に、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。
【0051】
エアロゾル発生システムは電源を備えうる。エアロゾル発生システムは、制御システム、第一の電極および第二の電極、ならびにエアロゾル発生手段に電力を供給するように配置される、電源を含みうる。エアロゾル発生手段は単一の電源を含みうる。エアロゾル発生手段は、第一の電極と第二の電極に電力を供給するように配置される第一の電源と、エアロゾル発生手段へ電力を供給するように構成される第二の電源と、を含みうる。
【0052】
使用時に、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体は、消費され、空気と置き換えられる。液体エアロゾル形成基体は、一般的には、空気に対して実質的に異なる電気的性質を有する。したがって、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の量は、液体貯蔵部分の電気的性質に影響を与えうる。このことは、第一の電極と第二の電極との間の電気量の測定、および液体エアロゾル形成基体の識別に影響を与えうる。制御システムは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の量を定めるように構成されうる。制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の量に基づいて、液体エアロゾル形成基体の識別を調節するように構成されうる。別の言い方をすると、制御システムは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の量を補うように構成されうる。
【0053】
制御システムは、液体貯蔵部分がいっぱいであるというユーザーに対する表示により誘発された時に、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生システムがいっぱいであることを制御システムに示すためにユーザーによって押下可能であるスイッチを含みうる。
【0054】
制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定するための任意の適切な手段を含みうる。例えば、制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定するように構成される、ブリッジ回路を含みうる。ブリッジ回路は、ホイートストーンブリッジまたはウィーンブリッジなどの当技術分野において公知の任意の適切なブリッジ回路であってもよい。制御システムは、LCRメータを含みうる。
【0055】
制御システムによって測定される電気量は、インピーダンスでありうる。第一の電極と第二の電極との間のインピーダンスは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の組成に依存しうる。
【0056】
インピーダンスは、制御システムによって直接的に測定されうる。インピーダンスが算出されうる。例えば、インピーダンスは、電極間の電圧および電流の大きさの測定、ならびに電流と電圧との間の位相差の測定から算出されうる。液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の同一性は、測定された、または算出されたインピーダンスから定められうる。
【0057】
制御システムによって測定される電気量は、抵抗でありうる。第一の電極と第二の電極との間の抵抗は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の組成に依存しうる。第一の電極と第二の電極との間の比抵抗は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体に依存しうる。第一の電極と第二の電極との間に配置される液体貯蔵部分の部分は、抵抗負荷を含みうる。
【0058】
抵抗が測定されうる。このことは、液体エアロゾル形成基体が導電材料を含む場合、有利でありうる。
【0059】
抵抗が算出されうる。例えば、抵抗は、電圧および電流の大きさ、ならびに電圧と電流との間の位相差の測定から算出されうる。抵抗は、インピーダンスの測定から定められうる。液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の同一性は、測定された、または算出された抵抗から算出されうる。
【0060】
制御システムによって測定される電気量は、静電容量でありうる。このことは、エアロゾル形成基体が誘電体材料を含む場合、有利でありうる。
【0061】
第一の電極と第二の電極との間の静電容量は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の組成に依存しうる。第一の電極と第二の電極との間の誘電率は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の組成に依存しうる。第一の電極と第二の電極との間に配置される液体貯蔵部分の部分は、容量負荷を含みうる。第一の電極および第二の電極は、コンデンサーを形成しうる。第一の電極は、第一のコンデンサー極板を形成してもよく、第二の電極は、第二のコンデンサー極板を形成してもよい。液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体は、コンデンサーの誘電体の部分を形成しうる。第一の電極と第二の電極との間の容量負荷は、ピコファラド(pF)範囲における静電容量を有しうる。このことは、コンデンサーの急速な充電および放電時間を可能にし、また静電容量の急速な測定を可能にしうる。
【0062】
静電容量が測定されうる。例えば、制御システムは、第一および第二の電極を含むコンデンサーの充放電時間を測定するための手段を含みうる。制御システムは、555タイマ回路などのタイマ回路を含んでもよく、タイマ回路出力の周波数に基づいて、静電容量を定めるように構成されうる。
【0063】
静電容量が算出されうる。例えば、静電容量は、第一のコンデンサー極板と第二のコンデンサー極板との間の電圧および電流の大きさの測定から算出されうる。静電容量は、インピーダンスの測定から算出されうる。液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の同一性は、測定された、または算出された静電容量から算出されうる。
【0064】
制御システムによって測定される電気量は、第一および第二の電極のサイズ、ならびに第一の電極と第二の電極との間の間隔に依存しうる。例えば、静電容量は、第一のコンデンサー極板と第二のコンデンサー極板との間の間隔、ならびに第一および第二のコンデンサー極板の形状およびサイズの関数である。測定される電気量の変化が、第一および第二の電極の形状または間隔の変化の結果でないことを確実にするために、第一および第二の電極は、剛直であってもよく、剛直なプラットホームまたはハウジングに固定されてもよい。コンデンサー極板は、固体の金属プレート、または支持基体に取り付けられた薄肉金属シートを含んでもよい。支持基体は、コンデンサー極板間に配置されて、コンデンサー極板間の誘電体の部分を形成しうる。基体は、コンデンサー極板の外側に配置されうる。
【0065】
液体貯蔵部分は、任意の適切な形状およびサイズとしうる。例えば、液体貯蔵部分は、実質的に円筒形としうる。液体貯蔵部分の断面は、例えば実質的に円形、楕円形、正方形または長方形としうる。
【0066】
液体貯蔵部分はハウジングを備えうる。ハウジングは基部と、基部から延在する一つ以上の側壁とを備えうる。基部および一つ以上の側壁は、一体的に形成されうる。基部および一つ以上の側壁は、相互に取り付けられているまたは固定されている明確な要素としうる。ハウジングは剛直なハウジングとしうる。本明細書で使用される「剛直なハウジング」という用語は、自立型のハウジングを意味するように使用される。液体貯蔵部分の剛直なハウジングは、エアロゾル発生手段に対する機械的な支持を提供しうる。液体貯蔵部分は一つ以上の可撓性の壁を備えうる。可撓性の壁は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積に適合するように構成されうる。液体貯蔵部分のハウジングは、任意の適切な材料を備えうる。液体貯蔵部分は、実質的に流体不透過性の材料を備えうる。液体貯蔵部分のハウジングは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体がハウジングを通してユーザーに見えうるように、透明または半透明の部分を備えうる。
【0067】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体が周囲空気から保護されるように構成されうる。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分に格納されたエアロゾル形成基体が光から保護されるように構成されうる。このことにより、基体の劣化のリスクを減少することができ、高レベルの衛生状態を維持することができる。
【0068】
液体貯蔵部分は、実質的にシールされうる。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段に流れるための一つ以上の出口を備えうる。液体貯蔵部分は一つ以上の半開きの入口を備えうる。これによって、周囲空気が液体貯蔵部分に入ることを可能にしうる。一つ以上の半開きの入口は、周囲空気が液体貯蔵部分に入るのを可能にする透過性であり、かつ液体貯蔵部分の内側にある空気および液体が液体貯蔵部分から出るのを実質的に妨げる不透過性である、半透過性の膜または一方向バルブでもよい。一つ以上の半開きの入口は、特定の条件下で空気が液体貯蔵部分に通過して入ることを可能にしうる。
【0069】
液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を保持するための少なくとも1つのチャネルを含みうる。少なくとも1つのチャネルは、毛細管力が液体エアロゾル形成基体に作用するように構成されうる。液体エアロゾル形成基体に作用する毛細管力は、液体貯蔵部分ならびに第一および第二の電極の側壁のうちの少なくとも1つに対して実質的に垂直に、液体エアロゾル形成基体の度合いを保持しうる。チャネルの1つの寸法は、毛細管力がチャネルに保持された液体エアロゾル形成基体に作用するように、所定の値未満でありうる。1つ以上のチャネルの寸法は、1つ以上のチャネルの幅でありうる。所定の値は、約3mm未満、約2mm未満、約0.5mm未満または約0.25mm未満でありうる。
【0070】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体を含みうる。本発明に関連して本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することができる基体を記述するために使用される。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱によって放出されうる。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を振動可能な要素の通路を通して移動することによって放出されうる。
【0071】
エアロゾル形成基体は液体であってもよい。エアロゾル形成基体は室温で液体であってもよい。液体エアロゾル形成基体は液体成分と固体成分の両方を含みうる。エアロゾル形成基体はニコチンを含む場合がある。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0072】
液体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にする、およびシステムの操作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0073】
液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含みうる。液体エアロゾル形成基体は、1つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例には、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0074】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンであってもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%〜約10%(例えば、約2%)のニコチン濃度をもっていてもよい。
【0075】
液体エアロゾル形成基体は、それぞれ別個の誘電率(k)をもつ誘電体材料の混合物を含んでもよい。室温(約20℃)での液体エアロゾル形成基体の主要な成分には、グリセリン(k〜42)、プロピレングリコール(k〜32)、水(k〜80)、空気(k〜1)、ニコチン、および風味剤が挙げられうる。液体エアロゾル形成基体が、誘電体材料を形成する場合、制御システムによって測定される電気量は、静電容量でありうる。
【0076】
液体エアロゾル形成基体は、電気的な導電材料の混合物を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体が、電気的な導電材料を形成する場合、制御システムによって測定される電気量は、抵抗でありうる。
【0077】
液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を保持するためにハウジング内に担体材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、担体材料に吸着、またはその他の方法で装填される場合がある。材料に吸収される液体エアロゾル形成基体は、担体材料を通じて広がり、または浸透してもよく、担体材料の飽和度の変化は、担体材料の全体的な本体に影響を与える。このことは、担体材料の一部と接触して配置される第一および第二の電極が、担体材料の全体的な本体の電気量の変化を検知することを可能にしうる。このことは、制御システムが全体の液体貯蔵部分の電気量を測定することを可能にしうる。
【0078】
担体材料は、任意の適切な吸収体の材料、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムを使用する前に、担体材料内に保持されてもよい。エアロゾル形成基体は、使用時に担体材料内に放出されうる。エアロゾル形成基体は、使用前に即時に担体材料内に放出されうる。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供しうる。カプセルのシェルは加熱手段による加熱に伴い溶けて、液体エアロゾル形成基体を担体材料に放出しうる。カプセルは、液体と組合せで固体を含む場合がある。
【0079】
液体エアロゾル形成基体は毛細管材料内に保持されうる。毛細管材料は、液体を材料の一方の端から他方へ能動的に運ぶ材料である。このことは、毛細管材料が、液体貯蔵部分の向きにかかわらず、液体貯蔵部分内の特定の位置に液体エアロゾル形成基体を引き出しうるので、有利でありうる。このことは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の同一性の正確な、かつ信頼性のある決定のための第一および第二の電極の配置を容易にしうる。
【0080】
毛細管材料はエアロゾル形成基体をエアロゾル発生手段に運ぶように構成されうる。毛細管材料は、エアロゾル形成基体を第一および第二の電極に運ぶように構成されうる。毛細管材料は繊維質の構造を有する場合がある。毛細管材料はスポンジ状の構造を有する場合がある。毛細管材料は一束の毛細管を含みうる。毛細管材料は複数の繊維を含みうる。毛細管材料は複数の糸を含みうる。毛細管材料は微細チューブを含みうる。繊維、糸または微細チューブは、一般的に液体をアトマイザーに運ぶように整列されてもよい。毛細管材料は、繊維と糸と微細チューブの組み合わせを含みうる。毛細管材料はスポンジ様の材料を含んでもよい。毛細管材料は発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成してもよく、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。
【0081】
毛細管材料は、適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、スポンジまたは発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用により液体を毛細管材料を通過して移動できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性をもつ。
【0082】
エアロゾル発生手段は、液体貯蔵部分からのエアロゾル形成基体を受けるように配置されうる。エアロゾル発生手段はアトマイザーでもよい。エアロゾル発生手段は一つ以上のエアロゾル発生要素を含みうる。エアロゾル発生手段は、熱を用いて受けたエアロゾル形成基体を霧状にするように構成されうる。エアロゾル発生手段は、受けた液体エアロゾル形成基体を霧状にするための加熱手段を備えうる。一つ以上のエアロゾル発生要素は発熱体でありうる。エアロゾル発生手段は、超音波振動を用いて受けたエアロゾル形成基体を霧状にするように構成されうる。エアロゾル発生手段は超音波振動子を含みうる。一つ以上のエアロゾル発生要素は、一つ以上の振動可能な要素を含んでもよい。
【0083】
エアロゾル発生手段は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された加熱手段を含みうる。加熱手段は一つ以上の発熱体を含みうる。一つ以上の発熱体は、受けたエアロゾル形成基体を最も効果的に加熱するように適切に配置されてもよい。一つ以上の発熱体は、主に伝導によってエアロゾル形成基体を加熱するように配置されうる。1つ以上の発熱体は、エアロゾル形成基体と実質的に直接接触して配置されてもよい。一つ以上の発熱体は、一つ以上の熱伝導性要素によってエアロゾル形成基体に熱を伝達するように配置されてもよい。一つ以上の発熱体は使用時に、エアロゾル発生システムを通して引き出された周囲空気に熱を伝達するように配置されてもよく、そうすることで対流によってエアロゾル形成基体を加熱しうる。一つ以上の発熱体は、周囲空気がエアロゾル形成基体を通して引き出される前に、周囲空気を加熱するように配置されてもよい。一つ以上の発熱体は、周囲空気がエアロゾル形成基体を通して引き出された後に、周囲空気を加熱するように配置されてもよい。
【0084】
加熱手段は電気的な加熱手段または電気ヒーターであってもよい。電気ヒーターは一つ以上の電気発熱体を含みうる。一つ以上の電気発熱体は電気抵抗性の材料を含みうる。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられうる。
【0085】
一つ以上の電気発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、一つ以上の電気発熱体は一つ以上の加熱用ブレードの形態を取ってもよい。一つ以上の電気発熱体は、異なる導電性部分または一つ以上の電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態を取ってもよい。
【0086】
液体貯蔵部分は1つ以上の使い捨て式発熱体を組み込んでもよい。1つ以上の電気発熱体は、エアロゾル形成基体を貫通する1つ以上の加熱用の針または棒を含みうる。1つ以上の電気発熱体は、1つ以上の可撓性シートの材料を含みうる。電気加熱手段は、1つ以上の加熱ワイヤーもしくは加熱フィラメント、例えばNi−Cr、プラチナ、タングステン、または合金製のワイヤーまたは加熱プレートを含んでもよい。1つ以上の発熱体は、剛直な担体材料内またはその上に配置されてもよい。
【0087】
1つ以上の発熱体は、1つ以上のヒートシンクまたは蓄熱体を含んでもよい。1つ以上のヒートシンクまたは蓄熱体は、熱を吸収、貯蔵して、その後、ある期間にわたり熱を放出してエアロゾル形成基体を加熱する能力を持つ材料を含みうる。
【0088】
加熱手段は、実質的に平面とすることができ、単純な製造が許容される。本明細書で使用される場合、「実質的に平坦」という用語は、単一の平面内に形成され、かつ湾曲した形状またはその他の非平面形状に巻かれたりまたはその形状に適合するようになっていなかったりすることを意味する。平面の加熱手段は、製造時の取り扱いが簡単にでき、丈夫な構造が与えられる。
【0089】
加熱手段は、EP−B1−2493342で記載されるタイプのものであってもよい。例えば、加熱手段は、電気的に絶縁された基体上に1つ以上の導電性トラックを含んでもよい。電気的に絶縁された基体は、適切な任意の材料を備えうるが、高温(300℃を超える)および急激な温度変化に耐えることができる材料でありうる。適切な材料の一例は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜である。
【0090】
加熱手段は、一時にわずかな量の液体エアロゾル形成基体を加熱するための手段を含んでもよい。一時にわずかな量の液体エアロゾル形成基体を加熱するための手段は、例えば、液体エアロゾル形成基体と連通する液体通路を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、毛細管力によって液体通路内に引き出されうる。使用時に、ハウジング内の液体ではなく液体通路内のわずかな量の液体エアロゾル形成基体のみが加熱されるように、少なくとも1つのヒーターは配置されてもよい。加熱手段は、液体通路の少なくとも一部分を実質的に囲むコイルを含んでもよい。
【0091】
加熱手段は誘導加熱手段を含んでもよい。誘導加熱手段は、カートリッジに関連して以下でより詳細に説明される。
【0092】
エアロゾル発生手段は、一つ以上の振動可能な要素と、一つ以上の振動可能な要素で振動を励起するように配置された一つ以上のアクチュエータとを含んでもよい。一つ以上の振動可能な要素は、エアロゾル形成基体が通過して霧状にされる複数の通路を含んでもよい。一つ以上のアクチュエータは一つ以上の圧電変換器を含みうる。
【0093】
エアロゾル発生手段は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体をエアロゾル発生手段の1つ以上の要素へと輸送するための1つ以上の毛細管芯を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によって一つ以上の毛細管芯を通して運ばれることを可能にする物理的特性(粘性を含む)を有しうる。1つ以上の毛細管芯は、毛細管材料に関して上述した構造のいくつかの特性を持っていてもよい。
【0094】
一つ以上の毛細管芯は、液体貯蔵部分に保持された液体と接触するように配置されうる。一つ以上の毛細管芯は液体貯蔵部分の中へと延在しうる。この場合、使用時に、液体は1つ以上の毛細管芯内での毛細管作用によって、液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段の1つ以上の要素に移動されうる。一つ以上の毛細管芯は、第一の端および第二の端を有しうる。第一の端は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体をエアロゾル発生手段に引き出すために、液体貯蔵部分内に延在しうる。第二の端は、エアロゾル発生システムの空気経路内に延在しうる。第二の端は、1つ以上のエアロゾル発生要素を含みうる。第一の端および第二の端は、液体貯蔵部分の中へ延在しうる。1つ以上のエアロゾル発生要素は、第一の端と第二の端との間の芯の中央部分に配置されうる。使用時に、一つ以上のエアロゾル発生要素が起動される時、一つ以上の毛細管芯内の液体エアロゾル形成基体は、一つ以上のエアロゾル発生要素で、およびその周りで霧状にされる。
【0095】
エアロゾル発生手段は、一つ以上の毛細管芯の部分を取り囲む一つ以上の加熱ワイヤーまたはフィラメントを含みうる。加熱ワイヤーまたはフィラメントは、一つ以上の毛細管芯の取り囲まれた部分を支持しうる。
【0096】
エアロゾル発生手段の使用時に、霧状にされたエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムの空気通路を通る気流と混合され、またその気流内に運ばれうる。1つ以上の毛細管芯の毛細管特性は、液体基体の特性と相まって、通常の使用の間、十分なエアロゾル形成基体が存在する時に、芯がエアロゾル発生手段の領域において液体エアロゾル形成基体で常に湿っていることを、確実にしうる。
【0097】
エアロゾル発生システムは、1つ以上の電源を含みうる。電源は電池としうる。電池は、例えばリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池といったリチウム系の電池でもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池でもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は、1回以上の喫煙体験のための十分なエネルギーの保存を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の回数の吸煙、または加熱手段およびアクチュエータの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有しうる。
【0098】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生手段を動作させるように構成される制御システムを含んでもよい。エアロゾル発生手段を動作させるように構成される制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成される制御システムであってもよい。エアロゾル発生手段を動作させるように構成される制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成される制御システムと異なっていてもよい。エアロゾル発生手段を動作させるように構成される制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体を識別するように構成される制御システムと同様の構成要素を含みうる。
【0099】
エアロゾル発生システムは、制御システムと連通する温度センサーを含みうる。温度センサーは、液体貯蔵部分に隣接しうる。温度センサーは、サーモカップルとしうる。エアロゾル発生手段のうちの少なくとも1つの要素は、制御システムによって使用されて、温度に関連する情報を提供しうる。少なくとも1つの要素の温度に依存する抵抗の属性は既知であり、少なくとも1つの要素の温度を当業者にとって公知の方式で決定するために使用されうる。制御システムは、温度センサーからの温度の測定を用いて、第一の電極と第二の電極との間の電気的な負荷に基づく温度の影響を計算し、または補正するように構成されうる。
【0100】
エアロゾル発生システムは、制御電子回路と連動する吸煙検出器を備えうる。吸煙検出器は、ユーザーがいつマウスピースを吸ったかを検出するように構成されていてもよい。制御電子回路は、吸煙検出器からの入力に基づき、エアロゾル発生手段への電力を制御するように構成されていてもよい。
【0101】
制御システムは、傾斜センサーを含みうる。傾斜センサーは液体貯蔵部分の向きを感知するように構成されうる。エアロゾル発生システムは、傾斜センサーから感知された向き情報を受信して、液体貯蔵部分の向きを定めるように構成される、制御システムを含みうる。液体貯蔵部分の向きを定めることによって、制御システムは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が、第一の電極および第二の電極に対して実質的に垂直であるかどうかを定めるように構成されうる。制御システムは、液体貯蔵部分が直立となるように定められた時などの、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が、第一および第二の電極に対して実質的に垂直である時に、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するように構成されうる。
【0102】
液体エアロゾル形成基体は、重力および加速力に対する物体であってもよく、これは、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分の異なるセクションへ移動させる。全体的な液体貯蔵部分が、第一の電極と第二の電極との間に配置されるのであれば、電気量の測定は影響を受けない。
【0103】
エアロゾル発生システムは、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力を含んでもよい。これによって、ユーザーはシステムの電源を入れることができるようになる。スイッチまたはボタンは、エアロゾル発生手段を起動させうる。スイッチまたはボタンは、エアロゾル発生を起こしうる。スイッチまたはボタンによって、制御電子回路が吸煙検出器からの入力を待機するように制御電子回路を準備してもよい。
【0104】
エアロゾル発生システムは、定めた液体エアロゾル形成基体の同一性をユーザーに示すための表示手段を含んでもよい。表示手段は、発光ダイオード(LED)などの光、LCDディスプレイなどのディスプレイ、およびラウドスピーカーまたはブザーのうち1つ以上を含みうる。制御システムは、表示手段を用いて、定めた液体エアロゾル形成基体の同一性をユーザーに示すように構成されうる。制御システムは、液体エアロゾル形成基体の定められた強度に依存する1つ以上の光を照らすように、ディスプレイに液体エアロゾル形成基体のタイプまたは強度を表示するように、またはラウドスピーカーまたはブザーを介して音を発して、認証されたまたは認証されていない液体エアロゾル形成基体の判断を示すように構成されうる。
【0105】
エアロゾル発生システムはハウジングを備えうる。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料には例えば、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないものでありうる。
【0106】
ハウジングは電源を受けるためのくぼみを含みうる。ハウジングはマウスピースを備えてもよい。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを含みうる。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を含みうる。一つ以上の空気吸込み口は、エアロゾルがユーザーに送達される前にその温度を低減することができ、エアロゾルがユーザーに送達される前にその濃度を減少させうる。
【0107】
エアロゾル発生システムは携帯型であってもよい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこに匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生システムの全長は約30mm〜約150mmとしうる。エアロゾル発生システムの外径は、約5mm〜約30mmとしうる。
【0108】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは電子たばこまたは葉巻たばこであってもよい。
【0109】
このエアロゾル発生システムは、主要ユニットおよびカートリッジを含みうる。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を備える。主要ユニットは、カートリッジを取り外し可能なように受けるように構成されうる。第一の電極および第二の電極は、カートリッジの液体貯蔵部分の一部が、カートリッジが主要ユニットで受けられた時に、第一の電極と第二の電極との間に配置されるように配置されうる。
【0110】
主要ユニットは一つ以上の電力供給源を備えうる。主要ユニットはエアロゾル発生手段を備えうる。
【0111】
カートリッジはエアロゾル発生手段を備えうる。カートリッジがエアロゾル発生手段を備える場合、カートリッジは「カトマイザー」と呼ばれうる。
【0112】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生手段を備えたエアロゾル発生構成要素を備えうる。エアロゾル発生構成要素は、主要ユニットやカートリッジとは別個としうる。エアロゾル発生構成要素は、主要ユニットおよびカートリッジのうちの少なくとも一つによって取り外し可能なように受けられうる。
【0113】
主要ユニットは、第一の電極および第二の電極を含みうる。カートリッジは、第一の電極および第二の電極を含みうる。主要ユニットは、第一の電極と第二の電極のうちの一方を含みうる。カートリッジは、第一の電極と第二の電極のうちの一方を含みうる。主要ユニットに第一の電極と第二の電極のうちの一方を配置し、またカートリッジに第一の電極と第二の電極のうちの他方を配置することは、カートリッジの識別を容易にしうる。別の言い方をすると、カートリッジ上の電極の有無は、主要ユニットによって受けられたカートリッジが、主要ユニットの製造元からの本物のまたは真正のカートリッジであるかどうかを確認するために使用されうる。主要ユニットの電極とカートリッジの電極との間の電極のタイプまたは測定はまた、主要ユニットによって受けられるカートリッジのタイプ、またはカートリッジの液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体のタイプを特定するために用いられうる。制御システムは、カートリッジ内の電極の有無を決定するように構成されうる。制御システムは、カートリッジ内の電極の有無に基づいて、カートリッジの同一性を決定するように構成されうる。制御システムはまた、カートリッジがカートリッジ内の電極の有無に基づいて、主要ユニットによって適切に受けられるかどうかを定めるように構成されうる。
【0114】
制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の測定された電気量に基づいて、カートリッジを識別するように構成されうる。別の言い方をすると、制御システムは、真正のカートリッジを認識するように構成されうる。このことは、制御システムまたは使用が、エアロゾル発生システムの動作を制御して、液体エアロゾル形成基体の噴霧化を最適化することを可能にしうる。このことは、主要ユニットが、偽造のカートリッジが主要ユニットと併用されることを抑制し、または防ぐことを可能にしうる。
【0115】
カートリッジまたはカートリッジの液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の識別は、新品のカートリッジに関して単純であってもよく、ここにおいて、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の量は、既知でありうる。制御システムは、新しいカートリッジが主要ユニットで受けられた時に、定めるように構成されうる。主要ユニットは、主要ユニットによるカートリッジの受容に基づいて作動するように、または主要ユニットによる新しいカートリッジの受容に基づいてユーザーによって作動するように配置されるスイッチを含んでもよい。
【0116】
エアロゾル発生手段は、実質的に上記で説明されたような加熱手段を含みうる。加熱手段は誘導加熱手段であることができ、従ってカートリッジと主要ユニットの間に電気的な接点が一切形成されない。主要ユニットは、インダクタコイルと、高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源とを備えうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられたサセプタ素子を備えうる。本明細書で使用される高周波振動電流という用語は、10kHz〜20MHzの周波数を有する、振動する電流を意味する。
【0117】
カートリッジは、主要ユニットに取り外し可能なように結合されうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体が消費された時に、主要ユニットから取り外されうる。カートリッジは、使い捨て式であってもよい。カートリッジは、再使用可能であってもよい。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。カートリッジは主要ユニット内で交換可能としうる。主要ユニットは再使用可能としうる。
【0118】
カートリッジは、低コストで信頼でき再現可能な方法で製造されうる。本明細書で使用される「取り外し可能なように結合される」という用語は、主要ユニットまたはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび主要ユニットが互いに結合および分離できることを意味するように使用される。
【0119】
カートリッジは単純なデザインを有しうる。カートリッジはハウジングを有し、その中に液体エアロゾル形成基体が保持される。カートリッジハウジングは剛直なハウジングとしうる。ハウジングは液体に対して不透過性の材料を含みうる。
【0120】
カートリッジはリッドを備えてもよい。リッドは、カートリッジを主要ユニットに結合する前に剥がされるようにしうる。リッドは穿孔可能であってもよい。
【0121】
主要ユニットは、カートリッジを受けるためのくぼみを備えうる。主要ユニットは、電源を受けるためのくぼみを備えうる。
【0122】
主要ユニットはエアロゾル発生手段を備えうる。主要ユニットは、エアロゾル発生システムの一つ以上の制御システムを備えうる。主要ユニットは電源を備えうる。電源は主要ユニットに取り外し可能なように結合されうる。
【0123】
主要ユニットはマウスピースを備えうる。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを含みうる。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を含みうる。
【0124】
主要ユニットは、カートリッジのリッドを穿孔するための穿孔要素を備えうる。マウスピースは穿孔要素を備えうる。マウスピースは、少なくとも一つの空気吸込み口と穿孔要素の遠位端との間に延在する少なくとも一つの第一の導管を含みうる。マウスピースは、穿孔要素の遠位端と少なくとも一つの空気出口との間に延在する少なくとも一つの第二の導管を含みうる。マウスピースは、使用時にユーザーがマウスピースを吸った時、空気が少なくとも一つの空気吸込み口から延在する空気通路に沿って、少なくとも一つの第一の導管を通り、カートリッジの一部分を通り、少なくとも一つの第二の導管を通り、少なくとも一つの出口を出るように配置されうる。これによって、主要ユニットを通した気流が改善され、エアロゾルがより簡単にユーザーに送達されることを可能にしうる。
【0125】
使用時にユーザーは、本明細書に記述されたカートリッジを、本明細書に記述された主要ユニットのくぼみに挿入しうる。ユーザーは、マウスピースを主要ユニットの本体に取り付けることができ、これによってカートリッジを穿孔部分で穿孔することができる。ユーザーはスイッチまたはボタンを押して主要ユニットを起動させることができる。ユーザーはマウスピースで吸い込んで、空気を一つ以上の空気吸込み口を通して主要ユニット内へと引き出すことができる。空気は、エアロゾル発生手段の一部分を通過し、霧状にされたエアロゾル形成基体に混入され、ユーザーによって吸入されるマウスピースの空気出口を通じて主要ユニットから出ることができる。
【0126】
実質的に上記で説明されたような、カートリッジおよび主要ユニットを含む部品のキットが提供されうる。本発明の第一の態様に従うエアロゾル発生システムは、カートリッジと、エアロゾル発生手段と、主要ユニットとを組み立てることによって提供されうる。部品のキットの構成要素は取り外し可能に接続されうる。部品のキットの構成要素は互換性を有しうる。部品のキットの構成要素は使い捨てであってもよい。部品のキットの構成要素は再使用可能であってもよい。
【0127】
本発明の第一の態様によるエアロゾル発生システムのための主要ユニットが提供されうる。主要ユニットは、制御システムと、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも1つと、を含みうる。
【0128】
本発明の第一の態様によるエアロゾル発生システムのためのカートリッジが提供されうる。カートリッジは、液体貯蔵部分と、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも1つと、を含みうる。カートリッジは、液体貯蔵部分内に液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含みうる。カートリッジは、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体を受けるように配置される、エアロゾル発生手段を含みうる。
【0129】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別するための方法が提供され、その方法は、エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分内に液体エアロゾル形成基体を保持することと、第一の電極と第二の電極との間に液体貯蔵部分の少なくとも一部分を配置することであって、第一の電極と第二の電極との間に配置される液体貯蔵部分の部分が、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分内に保持される時に、液体エアロゾル形成基体を保持する、配置することと、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定することと、測定された電気量情報に基づいて、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別することと、を含む。
【0130】
方法は、本発明の第一の態様に関連して説明されたすべての利点をもつ。液体貯蔵部分ならびに第一の電極および第二の電極などの特徴は、本発明の第一の態様に関連して説明したものと同様でありうる。
【0131】
液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別する工程は、測定された電気量情報を基準電気量情報と比較する工程を含みうる。基準電気量情報は、制御システムによってあらかじめ測定された電気量情報であってもよい。基準電気量情報は、エアロゾル発生システムの記憶装置に記憶されうる。基準電気量情報は、ルックアップテーブルに記憶されうる。
【0132】
基準電気量情報は、較正手順において、制御システムによって測定されうる。較正手順は、ルックアップテーブルにデータを追加するように実行されうる。較正手順において、液体貯蔵部分は、所定の液体エアロゾル形成基体で装填されうる。第一の電極と第二の電極との間の電気量は、液体貯蔵部分が既知の液体エアロゾル形成基体で装填された時に、測定されうる。測定される電気量情報は、ルックアップテーブル内に記憶され、測定時にルックアップテーブル内で液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の既知の同一性と関連付けられうる。
【0133】
較正手順は、エアロゾル発生システムが配置される前に、工場で実施されうる。較正手順は、エアロゾル発生システムが初めて使用される前に、ユーザーによって実施されうる。
【0134】
エアロゾル発生システムのエアロゾル発生手段の動作を制御するための方法は、エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分内に液体エアロゾル形成基体を保持することと、第一の電極と第二の電極との間に液体貯蔵部分の少なくとも一部分を配置することであって、第一の電極と第二の電極との間に配置される液体貯蔵部分の部分が、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分内に保持される時に、液体エアロゾル形成基体を保持する、配置することと、第一の電極と第二の電極との間の電気量を測定することと、測定された電気量情報に基づいて、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を識別することと、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の定めた同一性に基づいて、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生手段の動作を制御することと、を含みうる。
【0135】
本発明の1つの態様に関連して説明した特徴は、本発明のその他の態様にも適用されうる。方法に関連して説明した特徴は、エアロゾル発生システムに適用可能であることができ、エアロゾル発生システムに対応する特徴は、方法に適用可能であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
本発明は、単なる例証として、添付図面を参照しながら、さらに説明する。
図1図1は、例示的なエアロゾル発生システムの概略図を示す。
図2図2は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図3図3は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図4図4は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図5図5は、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図6図6は、本発明の第五の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図7図7は、本発明による相互嵌合された電極を含むセンサーを示す。
図8図8は、本発明による相互嵌合された電極を含むセンサーを示す。
図9図9は、本発明の第六の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図10図10は、本発明の第七の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図11図11は、本発明の第八の実施形態によるエアロゾル発生システムのための液体貯蔵部分を示す。
図12図12は、本発明によるセンサーのための概略回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0137】
図1はエアロゾル発生システムの概略図である。図1は事実上、概略的であり、図示された構成要素は、個々にもあるいは相互に相対的にも必然的に等尺度ではない。エアロゾル発生システムは、好ましくは使い捨てであるカートリッジ200と協働する、好ましくは再使用可能である主要ユニット100を含む。図1に示すエアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムである。
【0138】
主要ユニット100は、主要ハウジング101を含む。ハウジングは、実質的に環状の円筒形であり、従来の葉巻たばこと比較して約100mmの長軸方向の長さおよび約20mmの外径をもつ。主要ユニット100は、リチウムリン酸イオン電池102の形態の電力供給源と、制御電子回路104の形態の制御システムと、を含む。メインハウジング101はまた、その中にカートリッジ200を受けるくぼみ112を画定する。
【0139】
主要ユニット100はまた、出口124を含むマウスピース部分120も含む。マウスピース部分は、この例ではヒンジによる接続でメインハウジング101に接続されているが、スナップ式装着またはねじ式取付など、任意の種類の接続を使用しうる。1つ以上の空気吸込み口122は図1に示す通り、マウスピース部分が閉位置内にある時にマウスピース部分120と本体101との間に提供される。
【0140】
マウスピース部分の内部にはフラットスパイラルインダクタコイル110がある。コイル110は銅板からスパイラルコイルをスタンピングまたは切断することにより形成される。コイル110は入口122を通り出口124に引き出される空気がコイルを通過するように、空気吸込み口122と空気出口124の間に位置する。
【0141】
カートリッジ200(図1で概略的な形式において示す)は、液体貯蔵部分201を画定する剛直なハウジング204を含む。液体貯蔵部分201は、液体エアロゾル形成基体(図示せず)を収容する。カートリッジ200のハウジング204は流体不浸透性であるが、浸透性のサセプタ素子210により覆われた開端部を持つ。浸透性のサセプタ素子210はフェライト鋼を含むフェライトメッシュを含む。エアロゾル形成基体はメッシュの間隙内にメニスカスを形成できる。カートリッジ200が主要ユニットと係合し、くぼみ112内に受けられた時、サセプタ素子210はフラットスパイラルコイル110に隣接して位置する。カートリッジ200は主要ユニット内に逆さまに挿入できないことを確保するためにキー付きの特徴を含みうる。
【0142】
使用時に、ユーザーはマウスピース部分120で吸入して、空気を空気吸込み口122を通してマウスピース部分120に引き出し、出口124からユーザーの口に出す。主要ユニットは制御電子回路104の部品としてマイクロフォンの形態の吸入センサー106を含む。ユーザーがマウスピース部分で吸入すると、小さな空気の流れがセンサー入口121を通り、マイクロフォン106を通過し、マウスピース部分120にまで引き出される。吸入が検出されると、制御電子回路は高周波振動電流をコイル110に供給する。これにより、図1で点線で示す通り、振動する磁場が生成される。また、LED108が作動し、主要ユニットが起動されたことを示す。振動する磁場はサセプタ素子を通過し、サセプタ素子内に渦電流を誘起する。サセプタ素子は、ジュール加熱の結果として、またヒステリシス損失の結果として加熱され、そのサセプタ素子に近いエアロゾル形成基質を気化するのに十分な温度に達する。気化されたエアロゾル形成基体は空気吸込み口から空気出口への空気の流れに混入され、ユーザーの口に入る前に冷めてマウスピース部分の内部でエアロゾルを形成する。制御電子回路は、吸入が検出されると、振動する電流をコイルに所定の持続期間(この例では5秒間)にわたり供給し、その後、新しい吸入が検出されるまで電流がオフになる。
【0143】
カートリッジ200は円形の円柱形状を持ち、サセプタ素子はカートリッジハウジングの円形の開端部を補う。当然のことながら、その他の構成も可能である。例えば、サセプタ素子は、カートリッジハウジング204内の長方形の開口部を補う鋼製メッシュ220の細片でありうる。
【0144】
図1に示す例示のエアロゾル発生システムは、誘導加熱に依存する。適切な誘導発熱体のさらなる例示および誘導加熱システムの動作の説明は、WO 2015/177046 A1に記載される。
【0145】
当然のことながら、エアロゾル発生システムは、その他のタイプのエアロゾル発生手段を含みうる。例えば、エアロゾル発生手段は、加熱によって液体エアロゾル形成基体を霧状にするように構成される、その他のエアロゾル発生手段を含んでもよい。エアロゾル発生手段は1つ以上の抵抗発熱体を含みうる。エアロゾル発生手段はまた、振動によって液体エアロゾル形成基体を霧状にするように構成される、エアロゾル発生手段を含んでもよい。エアロゾル発生手段は、1つ以上の振動可能な要素およびアクチュエータを含んでもよい。
【0146】
図1に示した主要ユニットなどのエアロゾル発生システムの主要ユニットに適したカートリッジのいくつかの実施例を図2図12に示す。図2図12に示すカートリッジは、本発明による液体貯蔵部分および電極の配置を含む。
【0147】
図2に示すカートリッジ300は、閉端部および実質的な開端部を有する、実質的に環状の円筒形のハウジング301を含む。ハウジングは、剛直かつ実質的に流体不浸透性であり、液体貯蔵部分を画定し、その液体貯蔵部分は、担体材料内で遊離に、かつ保持される液体エアロゾル形成基体(図示せず)を保持するように構成される。エアロゾル発生要素302は、ハウジング301の開端部を覆って提供される。この実施形態では、エアロゾル発生要素はフェライトメッシュサセプタを含む。センサー303は、液体貯蔵部分内のハウジング301の内側表面に配置される。センサーは、第一の電極304および第二の電極305を含む。第一の電極304および第二の電極305は、実質的に同様であり、ハウジング301の対向する側に配置される弓形金属プレートを含む。各電極304、305は、ハウジング301の内側表面の周囲の半分を囲み、開端部から閉端部までハウジング301の長さに実質的に延在する。電極304、305は、プレートの側面の間にある隙間を用いてハウジング上に配置され、そのことは、プレート304、305が導電性関係にないことを確実にする。この配置は、センサー303が全体的な液体貯蔵部分の電気量を検知することを可能にする。
【0148】
電気接点(図示せず)は、ハウジングを通じて、それぞれのプレートの外側表面から内側表面へと延在する。カートリッジ300が主要ユニットのくぼみに受けられた時に、カートリッジ300の接点は、主要ユニットのくぼみに配置された補足的な接点に隣接し、それにより、センサー303が主要ユニットの電源および制御システムと電気的に接続する。
【0149】
図3に示すカートリッジ310は、図2に示したカートリッジ300と実質的に同様の構造を有する。カートリッジ310は、液体貯蔵部分を画定する実質的に環状の円筒形のハウジング311と、開端部を覆って配置されるエアロゾル発生要素312と、を含む。カートリッジ300は、液体貯蔵部分の外側表面の周りに配置される、センサー313を含む。センサー313は、第一の電極314および第二の電極315を含む。第一の電極314および第二の電極315は、実質的に同様であり、ハウジング311の外側表面を囲む銅リングを含む。第一の電極314、315は、ハウジング311の開端部の方に配置され、第二の電極315は、閉端部の方に配置され、その結果、センサー313は、全体的な液体貯蔵部分の電気量を検知するように構成される。
【0150】
図4に示すカートリッジ320は、図3に示したカートリッジ310と実質的に同様の構造を有する。カートリッジ320は、開端部および閉端部を有する実質的に環状の円筒形のハウジング321と、開端部を覆って配置されるエアロゾル発生要素322と、を含む。カートリッジ320は、ハウジング321の内側表面に配置されるリング電極を含む第一の電極324と、エアロゾル発生要素322を含む第二の電極と、を含む、センサー323を含む。
【0151】
図5に示すカートリッジ330は、図2図3および図4に示したカートリッジ300、310および320と実質的に同様の構造を有する。カートリッジ330は、開端部および閉端部を有する実質的に環状の円筒形のハウジング331と、開端部を覆って配置されるエアロゾル発生要素332と、を含む。カートリッジ330は、ハウジング321の内側表面に配置されるセンサー333を含む。センサー333は、第一の電極334および第二の電極335を含む。第一の電極334および第二の電極335は、ハウジング331の長さに沿った同様の位置でハウジング331の対向する側を通じて延在する、点電極である。このことは、電極間の距離を最小限にし、センサー333の感度を向上しうる。担体材料が液体貯蔵部分に提供される場合、点電極334、335は、担体材料と接触して配置されうる。液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体は、担体材料を通じて浸透する。液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の量の変化は、担体材料の飽和度に影響を与え、担体材料の電気量を変化させる。このことは、点電極334、335が全体的な液体貯蔵部分の電気量を検知することを可能にする。
【0152】
図5に示すカートリッジ340は、図2図3図4および図5に示したカートリッジ300、310、320および330と実質的に同様の構造を有する。カートリッジ340は、開端部および閉端部を有する実質的に環状の円筒形のハウジング341と、開端部を覆って配置されるエアロゾル発生要素342と、を含む。カートリッジ340は、ハウジング341の内側表面に配置されるセンサー343を含む。センサー343は、プラットホーム上に配置される第一および第二の電極(図示せず)を含む。プラットホームは、図2に示したカートリッジ300の電極304、305のうちの1つと同様のサイズおよび形状を有する、電気的に絶縁性のポリマーシートを含む。プラットホームは、ハウジング343の内側表面に接着され、また十分に可撓性であり、それにより、ハウジング343の形状に適合する。
【0153】
センサー343のプラットホームなどのプラットホーム上への第一および第二の電極の例示の配置を図7に示す。センサー343’は、相互嵌合された第一の電極344’および第二の電極345’を含む。各電極344’、345’は、実質的に同様であり、線形の主要なトラックと、主要なトラックに対して実質的に垂直な方向に主要なトラックから離れて延在する複数の線形の突出部と、を含む。各電極344’、345’は、125個の突出部を含み、各突出部は、約6760μmの長さLP、および約10μmの幅WPを有する。隣接する突出部は、約30μmの幅WIを有する間隙を介して配置される。
【0154】
第一の電極344’の主要なトラックおよび第二の電極345’の主要なトラックは、約6780μmの間隔でプラットホーム上に平行に配置される。第一の電極344’は、第二の電極345’に面するその突出部346’を有して、第二の電極345’の間隙内に配置される。第二の電極345’は、第一の電極344’に面するその突出部347’を有して、第一の電極344’の間隙内に配置される。この配置において、約10μmの一定の間隔は、電極344’、345’の全長に沿って第一の電極344’と第二の電極345’との間に提供される。
【0155】
センサー343のプラットホームなどのプラットホーム上への第一および第二の電極の別の例示の配置を図8に示す。センサー343’’は、相互嵌合された第一の電極344’’および第二の電極345’’を含む。各電極344’’、345’’は、線形の主要なトラックと、主要なトラックから離れて対向する方向に延在する、複数の対の弓形突出部と、を含む。各電極344’’、345’’は、50対の弓形突出部を含む。各突出部は、約10μmの幅を有する。各対の突出部は、主要なトラックから最も遠位の端で結合しない、不完全な円形を形成する。隣接する対の突出部は、約30μmの幅を有する間隙を介して配置される。第二の電極345’’の最も遠位の突出部は、完全な円形を含む。
【0156】
第一の電極344’’の主要なトラックおよび第二の電極345’’の主要なトラックは、プラットホーム上の平行なプラットホームで同軸配列に配置され、第一の電極344’’の突出部346’’は、第二の電極345’’の間隙内にあり、また第二の電極345’’の突出部347’’は、第一の電極344’’の間隙内にある。第一の電極344’’の最も遠位の突出部は、第二の電極345’’の最も遠位の突出部を実質的に囲む。この配置において、約10μmの一定の間隔は、電極344’、345’の全長に沿って第一の電極344’と第二の電極345’との間に提供される。
【0157】
図9に示すカートリッジ350は、液体貯蔵部分を画定する剛直なハウジング351を含む。ハウジング351は、実質的に平面の側部を含む。ハウジング301の内部容積は、毛細管力が液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体に作用するように十分に細い。センサー353は、液体貯蔵部分の対向する側に配置される、第一のプレート電極354および第二のプレート電極355を含む。電極354、355は、約25mm〜30mmの長さ、および約5mm〜7mmの幅を有する、実質的に平行な電極プレートを形成する。このことは、約25mm×5mm〜約30mm×7mmの断面積に対応する。第一の電極344と第二の電極345との間の間隔は、約2mm〜約3mmである。
【0158】
カートリッジ350はさらに、液体貯蔵部分の端から延在する芯352の形態のエアロゾル発生手段と、遠位端で芯352に巻き付けられる加熱コイル358と、を含む。使用時に、コイル358は、芯352を加熱して、芯352内の液体エアロゾル形成基体を霧状にする。このことは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分の芯端部に引き出す。第一の電極354と第二の電極355との間の狭い間隔によって引き起こされる毛細管力は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が自由に移動することを可能にしない。結果として、液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵部分の芯端部に集められ、液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体で充填される芯端部の方の第一のセクション38Aと、空気で充填される芯端部に対向する第二のセクション38Bとの2つのセクションに、概念上分けられうる。液体エアロゾル形成基体が、使用時に消費されるのに従って、空気で充填された第二のセクション38Bのサイズは、増加し、液体エアロゾル形成基体で充填された第一のセクション38Aのサイズは、減少する。
【0159】
図10に示すカートリッジ360は、それを通じて延在する中央の気流通路を含む、実質的に環状の円筒形のハウジング361を含む。液体貯蔵部分は、ハウジング361と中央の気流通路との間に画定され、担体材料の環状の本体を含む。カートリッジ360は、気流通路を横切って延在する芯362、および空気通路に配置され、芯362に巻き付けられる加熱コイル368の形態のエアロゾル発生手段を含む。カートリッジ360は、芯の対向する側に配置される第一の電極364および第二の電極365を含む、センサー363を含む。使用時に、コイル368は、芯362を加熱して、芯362内の液体エアロゾル形成基体を霧状にする。このことは、担体材料内に保持されている液体エアロゾル形成基体を芯に引き出し、芯362と担体材料の両方の飽和度を変化させる。芯の飽和度が変化するのに従って、電極364と電極365との間の電気的な負荷は、変化する。
【0160】
図11のカートリッジ370は、図10に示すカートリッジ360と同様の構造および配置を有する。カートリッジ370は、担体材料の環状の本体の内側表面の周りに配置される第一の環状の円筒形のプレート電極374と、担体材料の本体の外側表面の周りに配置される第二の環状の円筒形のプレート電極375と、を含む、センサー373を含む。第一の電極375および第二の電極374は、担体材料の環状の本体の内側表面および外側表面をつなぐ同心の環状の円筒形のプレートを形成する。使用時に、コイルは、芯を加熱して、芯内の液体エアロゾル形成基体を霧状にし、それにより、担体材料内に保持されている液体エアロゾル形成基体を芯に引き出す。このことは、担体材料の飽和度を変化させ、それにより、電極374と電極375との間の電気的な負荷を変化させる。
【0161】
図12は、本発明によるエアロゾル発生システムのセンサー回路401および制御システム回路402の概略回路図を示す。センサー回路401は、センサー403と、直列に配置される抵抗Rと、専用のセンサー電源とを含み、その電源は、所定の周波数でセンサー403に交流電圧を供給する。制御システム回路402は、コントローラ404および記憶装置405を含む、制御電子回路を含む。制御電子回路は、電源406に接続される。
【0162】
その他の実施形態(図示せず)では、センサー403は、電源406に接続されてもよく、その電源406は、センサー回路401および制御システム回路402に電力を供給するように構成されうる。電源406はまた、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生手段に電力を供給するように構成されてもよく、制御システム回路402は、エアロゾル発生手段の動作を制御するように構成されうる。
【0163】
本発明の一実施形態では、エアロゾル発生システムは、図2図12に示したカートリッジのうちの1つを含む。使用時に、エアロゾル発生システムは、ユーザーがスイッチを起動させることによって電源が入り、エアロゾル発生システムの制御システムは、振動する測定信号を第一および第二の電極に供給する。制御システムは、第一および第二の電極からインピーダンス情報を受信し、測定したインピーダンス情報と制御システムの記憶装置内のルックアップテーブルに記憶された基準インピーダンス情報とを比較する。制御システムは、測定したインピーダンス情報とルックアップテーブルに記憶された基準インピーダンス情報とを比較する。記憶される基準インピーダンス情報は、液体エアロゾル形成基体の既知の組成と関係付けられる。制御システムは、エアロゾル発生システムのLEDディスプレイ上に液体エアロゾル形成基体の同一性を表示することによって、液体エアロゾル形成基体の組成が既知であることをユーザーに示す。いくつかの実施形態では、制御システムは、液体エアロゾル形成基体の定めた同一性に基づいて、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生手段への電力の供給を制御するように構成される。
【0164】
制御システムが、検知したインピーダンス情報と記憶された基準インピーダンス情報を適合することができない場合、制御システムは、液体エアロゾル形成基体が未知、または認証されていないものであることをユーザーに表示する。いくつかの実施形態では、制御システムは、液体エアロゾル形成基体の同一性が未知の場合、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生手段の動作を防ぐように構成される。
【0165】
較正手順は、各エアロゾル発生システムに関して実施されうる。較正手順において、既知の組成を有する液体エアロゾル形成基体が、液体貯蔵部分内に加えられてもよく、インダクタンス、抵抗または静電容量のうちの少なくとも1つが、測定されうる。測定値は、制御システムの記憶装置内のルックアップテーブルに記憶されてもよく、各測定値は、液体エアロゾル形成基体の同一性と関係付けられる。
【0166】
当然のことながら、その他の実施形態(図示せず)では、制御システムは、振動しない測定信号を第一の電極および第二の電極に供給するように構成されうる。別の言い方をすると、直流電圧が、第一および第二の電極に供給されうる。それらの実施形態では、制御システムは、第一の電極と第二の電極との間の抵抗を測定するように構成されうる。
【0167】
当然のことながら、インピーダンス、静電容量および抵抗と液体エアロゾル形成基体の同一性との間の関係は、互いに対する、また液体貯蔵部分に対する電極のタイプおよび相対位置に依存する。
【0168】
当然のことながら、その他の実施形態(図示せず)では、図2図12に関連して説明したカートリッジは、カートリッジではなくてもよく、むしろ図1に示したエアロゾル発生システムなどのエアロゾル発生システムに組み込まれた部分であってもよい。また当然のことながら、主要ユニットによって受けられるカートリッジの液体貯蔵部分の電気量を検知するように配置される図2図12に示した対の第一および第二の電極などのセンサーが、主要ユニットに提供されてもよい。
【0169】
当然のことながら、1つの実施形態に関して説明された特徴は、その他の実施形態に提供されてもよい。特に、当然のことながら、本発明によるカートリッジおよびエアロゾル発生システムは、1対以上の第一および第二の電極などの、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の同一性を定めるための1つより多い手段を含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12