特許第6916991号(P6916991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6916991
(24)【登録日】2021年7月21日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20210729BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   G09F9/00 350Z
   G09F9/00 302
   G09F9/00 346A
   G02F1/1333
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-142807(P2017-142807)
(22)【出願日】2017年7月24日
(65)【公開番号】特開2019-23701(P2019-23701A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】板橋 明
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−148718(JP,A)
【文献】 特開平09−238293(JP,A)
【文献】 特開2015−135430(JP,A)
【文献】 特開2006−350296(JP,A)
【文献】 米国特許第05371332(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面と、前記表示画面が設けられる面と対向する背面に設けられるボスと、を有する表示ユニットと、
前記表示ユニットの背面側に配置され、前記ボスが貫通する貫通孔を有する回路基板と、
前記回路基板の背面側に少なくとも前記表示ユニットを覆って配置され、前記ボスにネジ止めされるネジ孔を有する剛性プレートと、
前記表示ユニット、前記回路基板、および前記剛性プレートを収容する収容部と、前記表示画面の面方向に平行する面内において前記表示ユニットが位置する表示ユニット領域と、前記表示画面の面方向に平行する面内において前記表示ユニット領域の外側に位置する表示ユニット外領域と、を有し、前記表示ユニット外領域の前記収容部の奥行きは前記表示ユニット領域の奥行きよりも小さい外ケースと、
前記表示ユニットの前面側に設けられる保護パネルと、
前記回路基板と前記保護パネルの間に配置される導光体と、を備え
前記回路基板は、前記表示画面の面方向において前記表示ユニットから突出し、光源を有する突出部を有し、
前記剛性プレートは、前記突出部に沿う段部を有し、
前記光源は、前記導光体により前記保護パネルを照明する表示装置。
【請求項2】
前記回路基板は、警告灯用の光源を有し、
前記警告灯用の光源は、前記保護パネルの警告表示部を照明する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
記保護パネルと前記表示画面とを貼り合わせる透明樹脂層と、をさらに備える請求項1または2記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに搭載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や自動二輪車などの車両には、計器として表示装置が搭載されている。この表示装置は、前面側の大部分の領域に亘って配置される表示画面を有する表示ユニットと、表示ユニットの背面側に配置された硬質の回路基板と、これら表示ユニットおよび回路基板を保持するケースと、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−26868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースには、表示ユニットの保護の観点から剛性が求められる。このため、ケースは、板厚の大きい樹脂成形品で形成されるのが好ましい。また、硬質の回路基板も、表示ユニットを背面から覆うことにより、表示ユニットへの衝撃から保護することができる。
【0005】
しかし、ケースの背面側の板厚および回路基板の厚みにより、表示装置全体として厚みが出てしまい、搭載性やデザイン性が損なわれてしまう。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、薄型化することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、上述した課題を解決するために、表示画面と、前記表示画面が設けられる面と対向する背面に設けられるボスと、を有する表示ユニットと、前記表示ユニットの背面側に配置され、前記ボスが貫通する貫通孔を有する回路基板と、前記回路基板の背面側に少なくとも前記表示ユニットを覆って配置され、前記ボスにネジ止めされるネジ孔を有する剛性プレートと、前記表示ユニット、前記回路基板、および前記剛性プレートを収容する収容部と、前記表示画面の面方向に平行する面内において前記表示ユニットが位置する表示ユニット領域と、前記表示画面の面方向に平行する面内において前記表示ユニット領域の外側に位置する表示ユニット外領域と、を有し、前記表示ユニット外領域の前記収容部の奥行きは前記表示ユニット領域の奥行きよりも小さい外ケースと、前記表示ユニットの前面側に設けられる保護パネルと、前記回路基板と前記保護パネルの間に配置される導光体と、を備え、前記回路基板は、前記表示画面の面方向において前記表示ユニットから突出し、光源を有する突出部を有し、前記剛性プレートは、前記突出部に沿う段部を有し、前記光源は、前記導光体により前記保護パネルを照明する
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表示装置においては、薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る表示装置の実施形態であり、全体構成を示す斜視図。
図2図1の表示装置の本体の分解斜視図。
図3図1のIII−III線に沿う断面図。
図4】比較例としての表示装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る表示装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係る表示装置は、例えば自動車やオートバイなどの車両や、船舶、農業機械に搭載される。
【0011】
図1は、本発明に係る表示装置の実施形態であり、全体構成を示す斜視図である。
【0012】
図2は、図1の表示装置1の本体3の分解斜視図である。
【0013】
図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。
【0014】
以下の説明において、「前面」は図1における手前側の面、および保護パネル60の法線方向の視認側の面を意味し、「背面」は図1における奥側の面を意味する。
【0015】
表示装置1は、基台2と、本体3と、を有している。基台2は、本体3を支持する台であり、車両などに取り付けられる部分である。本体3は、表示ユニット10と、回路基板20と、剛性プレート30と、外ケース40と、中ケース50と、保護パネル60と、を有している。
【0016】
表示ユニット10は、表示画面11と、ボス12と、を有している。表示画面11は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネルである。表示画面11は、所定の計測量(例えば、車両速度)を報知するための画像などを表示する。ボス12は、表示画面11が設けられる前面と対向する背面に設けられている。ボス12は、例えば表示画面11や、バックライトモジュール(図示せず)などを収容するケースに形成されている。ボス12は、表示ユニット10に剛性プレート30をネジ止めする際のネジ穴を有している。本実施形態においては、表示ユニット10は、4つのボス12を有している。また、表示ユニット10は、表示画面11の外縁を覆うフロントベゼル15を有している。フロントベゼル15は、断面L字状の金属製枠体であり、表示画面11の抑えとして設けられている。
【0017】
回路基板20は、表示ユニット10の背面側に配置されている。回路基板20は、硬質の基材に配線パターンが形成されたものである。回路基板20は、表示ユニット10を駆動するマイコンや、表示ユニット10と電気的に接続するためのフレキシブルプリント基板を有している。回路基板20は、表示ユニット10のボス12が貫通する貫通孔21を有している。また、回路基板20は、表示画面11の面方向(図3におけるXY面方向)において、表示ユニット10から突出した突出部22を有している。回路基板20は、突出部22上に設けられた光源25を有している。光源25は、発光方向に設けられた導光体70により光が導かれることにより、フロントベゼル15上を照明する。また、回路基板20は、光源25とは別の警告灯用の光源(図示せず)も有している。
【0018】
剛性プレート30(以下、「プレート30」という。)は、回路基板20の背面側に、表示ユニット10を覆って配置されている。プレート30は、表示ユニット10を保持し固定するために設けられている。プレート30は、表示ユニット10の保護および表示装置1の薄型化の観点から、剛性を有する薄板である金属製の薄板が好ましい。プレート30は、ネジ孔31と、段部32と、を有している。ネジ孔31は、ネジ33によりボス12にネジ止めされるための孔である。段部32は、回路基板20の突出部22を面方向(XY面方向)に沿って当接する。段部32は、表示ユニット10を覆うメイン領域34に対して表示ユニット10の方向へ近づく段差を有している。このため、保護パネル60とメイン領域34との距離(Z方向距離)に比べて、保護パネル60と段部32との距離(Z方向距離)は小さい。
【0019】
外ケース40は、例えば合成樹脂により形成された上ケース41と下ケース42とを有しており、表示装置1の外郭を形成する。外ケース40は、表示ユニット10、回路基板20、およびプレート30を収容する収容部43を有している。また、外ケース40は、表示ユニット領域45と、表示ユニット外領域46とを有している。表示ユニット領域45は、表示画面11の面方向に平行する面内(XY面内)において、表示ユニット10が位置する領域である。表示ユニット外領域46は、表示画面11の面方向に平行するXY面内において、表示ユニット領域45の外側に位置する、表示ユニット領域45を囲う領域である。外ケース40は、表示ユニット外領域46の収容部43の奥行きが表示ユニット領域45の奥行きよりも小さくなるように形成されている。すなわち、外ケース40の背面48において、中心から外縁に向う方向において奥行きが小さくなるよう傾斜部49を有している。図3に示すように、外ケース40の背面48は、表示ユニット領域45においては平坦であり、表示ユニット外領域46においては傾斜部49により傾斜している。
【0020】
中ケース50は、外ケース40内で表示ユニット10および回路基板20を保持する。また、中ケース50は、回路基板20の警告灯用の光源を囲う筒状の照明室51を有している。警告灯は、保護パネル60上の表示画面11の外周に設けられる警告表示部(図示せず)に表示され、種々の警告を記号などで示す。照明室51は、光源が発した光を、この警告表示部に導く。
【0021】
保護パネル60は、表示ユニット10の前面側に設けられる透明基材であり、外ケース40の開口を覆う。保護パネル60は、低反射層や遮光層、スモーク層などを透明基材の前面または背面に有している。具体的には、低反射層は、保護パネル60の前面に全面に亘り設けられている。遮光層は、フロントベゼル15や中ケース50などがユーザから視認されないように、黒印刷により保護パネル60の背面に形成されている。また、スモーク層は、導光体70から導かれた光を透過する一方、内部が視認されないように透過率を低減するため、スモーク印刷により保護パネル60の背面に形成されている。なお、保護パネル60は、スモーク調基材であってもよい。なお、保護パネル60は、インサート成形などの方法で上ケース41と一体に形成されていてもよい。
【0022】
上ケース41と保護パネル60とは、両面に接着層を有する接着シート55により接着されている。また、中ケース50と保護パネル60とは、接着シート55により接着されている。
【0023】
表示装置1は、さらに、保護パネル60と表示画面11とを貼り合わせる透明樹脂層80を有している。すなわち、保護パネル60と表示画面11とは、オプティカルボンディング(ダイレクトボンディング)で固定されている。透明樹脂層80は、保護パネル60の背面と表示画面11の前面との内部反射を抑制し、この内部反射により表示画面11が奥まって視認されることを抑制する。また、透明樹脂層80は、表示ユニット10と保護パネル60とをZ方向に固定するため、振動条件下で接触による異音が発生することを抑制する。透明樹脂層80は、例えば無色透明なシート状の接着剤である。
【0024】
このような本実施形態における表示装置1は、表示装置1の背面側における回路基板20の配置を工夫し、またプレート30により表示ユニット10を支持したことにより、薄型化を実現することができる。
【0025】
例えば、図4は、比較例としての表示装置101の断面図である。図4の表示装置101は、表示ユニット110を回路基板120とのネジ止めにより支持しており、表示ユニット110に対する衝撃などからの保護は硬質な回路基板120および外ケース140が担っている。このため、回路基板120は外ケース140内においては最背面側に配置され、外ケース140の背面には、所要の剛性を備えるために厚さが求められている。これにより、表示装置101は、全体として薄型化が困難であり、搭載性やデザイン性が損なわれてしまう。
【0026】
これに対し、本実施形態における表示装置1は、図3に示すように、表示ユニット10を保護するために、回路基板20よりも薄く形成でき、かつ所要の剛性を有するプレート30を有している。表示ユニット10は、このプレート30により支持されている。これにより、回路基板20と表示ユニット10とが直接ネジ止めされる必要がないため、回路基板20はボス12を貫通し、表示装置1の前面側に寄せて配置することができる。また、プレート30は、ボス12において表示ユニット10とネジ止めされるが、プレート30は薄板である。このため、比較例の表示装置101に比べて、表示ユニット領域45の厚みを薄くできる。
【0027】
また、プレート30は、表示装置1の外周においては、メイン領域34に対して表示装置1の前面側に近づく段差を有する段部32を有している。すなわち、段部32は、ボス12を貫通し前面側に寄せて配置された回路基板20に沿って、配置される。このため、外ケース40の表示ユニット外領域46は、表示ユニット領域45よりもプレート30と表示装置1との距離を小さくすることができ、その結果、外ケース40の奥行きを小さくすることができる。すなわち、表示ユニット外領域46としての表示装置1の外周側は、プレート30(回路基板20)の形状に沿って薄型化することができる。特に、表示ユニット外領域46(表示装置1の外周)が薄い場合、表示ユニット領域45と表示ユニット外領域46との厚みが同じ場合に比べて、表示装置1の全体が薄く見えるという人間の視覚上の作用をもたらすことができる。
【0028】
さらに、プレート30は剛性を有するため、比較例では外ケース140が一部を担っていた厚みに基づく剛性を不要とすることができ、外ケース40自体も薄型化することができる。
【0029】
また、回路基板20(光源25)と保護パネル60との距離を小さくすることができるため、導光体70を設ける場合には導光体70を短くすることができる。これにより、導光体70の材料使用量を低減することができ、軽量化に有利である。また、導光経路通過による輝度の減少を抑制することができるため、照明輝度の上昇、または光源25の数を削減することができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0031】
例えば、プレート30は、回路基板20の背面を支持する段部32を有する例を説明したが、段部32は省略してもよい。すなわち、プレート30は、少なくとも表示ユニット10を覆うメイン領域34を有していればよい。
【符号の説明】
【0032】
1、101 表示装置
2 基台
3 本体
10、110 表示ユニット
11 表示画面
12 ボス
15 フロントベゼル
20、120 回路基板
21 貫通孔
22 突出部
25 光源
30 剛性プレート(プレート)
31 ネジ孔
32 段部
33 ネジ
34 メイン領域
40、140 外ケース
41 上ケース
42 下ケース
43 収容部
45 表示ユニット領域
46 表示ユニット外領域
48 背面
49 傾斜部
50 中ケース
51 照明室
55 接着シート
60 保護パネル
70 導光体
80 透明樹脂層
図1
図2
図3
図4