(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明及び第2の発明は、前記筒状保持部は、前記突起部が形成されたハウジング用箱部と、前記ハウジング用箱部の開口部を開閉するハウジング用蓋部とを備えて構成され、前記ハウジング用蓋部が、前記ハウジング用箱部の外面に重なった形態で前記ハウジング用箱部に係止することで、前記ハウジング用箱部の拡開変形が規制されていてもよい。この構成によれば、ハウジング用箱部の拡開変形が規制されることで、突起部が切欠部から解離する方向へ変位することを規制できるので、突起部と切欠部との嵌合が確実となる。
【0011】
第1の発明及び第2の発明は、前記ハウジング用箱部は、底壁部と、前記底壁部の側縁部から立ち上がる一対の側壁部とを有しており、前記ハウジング用蓋部が一方の前記側壁部の立ち上がり端縁にヒンジ部を介して連なっていてもよい。この構成によれば、ハウジング用箱部とハウジング用蓋部が単一部品として構成されるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
第1の発明及び第2の発明は、前記突起部に形成され、前記ハウジング用箱部の前記開口部側に臨むテーパ状の誘導面を備えていてもよい。この構成によれば、ハウジングをハウジング用箱部内に組み付ける際に、ハウジングは突起部に当接したときにテーパ状の誘導面に摺接するので、ハウジングと突起部との間で引っ掛かりが生じる虞はない。
【0013】
第1の発明は、前記筒状保持部の後端に連なって前記電線を包囲する電線包囲部を備えており、前記電線包囲部は、前記ハウジング用箱部に連なる電線用箱部と、前記電線用箱部の開口部を開閉する電線用蓋部とを備えて構成され、前記電線用蓋部が前記ハウジング用蓋部の外面に重なっていてもよい。この構成によれば、電線用蓋部がハウジング用蓋部の外面に重なることで、ハウジング用蓋部の開きが規制されるので、ハウジングを筒状保持部内に確実に保持することができる。
【0014】
第2の発明は、前記電線カバーは、前記筒状保持部の後端に連なって前記電線を包囲する電線包囲部を備えており、前記電線包囲部は、前記ハウジング用箱部に連なる電線用箱部と、前記電線用箱部の開口部を開閉する電線用蓋部とを備えて構成され、前記電線用蓋部が前記ハウジング用蓋部の外面に重なっていてもよい。この構成によれば、電線用蓋部がハウジング用蓋部の外面に重なることで、ハウジング用蓋部の開きが規制されるので、ハウジングを筒状保持部内に確実に保持することができる。
【0015】
第2の発明は、前記切欠部が、ロックアームの外面を覆う外壁部を貫通して前記ロックアームの一部を露出させた形態であり、前記ロックアームが前記切欠部側へ弾性変位可能となっており、前記突起部が前記ロックアームと非干渉の位置に配置されていてもよい。この構成によれば、ロックアームの弾性変位が突起部によって妨げられる虞はない。
【0016】
第2の発明は、前記切欠部が、ロックアームの外面を覆う外壁部を貫通して前記ロックアームの一部を露出させた形態であり、前記ロックアームが前記切欠部側へ弾性変位可能となっており、前記筒状保持部の内面に、前記ロックアームとの干渉を回避する逃がし部が形成されていてもよい。この構成によれば、ロックアームの弾性変位が筒状保持部によって妨げられる虞はない。
【0017】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図15を参照して説明する。本実施例のコネクタは、合成樹脂製のハウジング10と、ハウジング10に組み付けられる合成樹脂製の電線カバー30とを備えて構成されている。以下の説明において、前後の方向については、
図1,7,8,10,13における斜め左下方を前方と定義する。上下の方向については、
図1,2,4,7,8,10,11,13,14にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、
図2,3,9,11,12にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0018】
<ハウジング10>
図13〜15に示すように、ハウジング10は、ブロック状をなす端子収容部11と、端子収容部11を包囲する周壁部13とを有する。端子収容部11内には、複数(本実施例では一対)の端子金具(図示省略)が収容されている。一対の端子金具に個別に接続された一対の電線Wは、ハウジング10(端子収容部11)の後端面の電線導出面12から後方へ導出されている。一対の電線Wは、複数の周方向の溝部Gが外周に形成されたコルゲートチューブT内に挿通されている。
【0019】
周壁部13は、正面視形状が略方形の枠状をなす。周壁部13を構成する上壁部14と下壁部15の後端部には、夫々、その後端縁から前方へ切欠した形態の凹部16が形成されている。周壁部13は、端子収容部11の右外側面と間隔を空けて対向する右外壁部17を有する。右外壁部17の後端部は、端子収容部11の後端よりも前方に位置しており、段差状当接部18として機能する。
【0020】
周壁部13は、端子収容部11の左外側面と間隔を空けて対向する左外壁部19(請求項に記載の外壁部)を有する。端子収容部11と左外壁部19との間には、前後方向に長い板状のロックアーム20が収容されている。ロックアーム20は、その板厚方向を左右方向に向けた向きに配され、ロックアーム20の前後方向略中央部に位置する連結部21が、端子収容部11の左外側面に連なっている。ロックアーム20のうち連結部21より前方の領域は、貫通形態のロック部23を有するロック機能部22となっている。ロックアーム20の後端部には、ロックアーム20によるロックを解除する際に押し操作するための操作部24が形成されている。
【0021】
左外壁部19には、左外壁部19を左右方向(壁厚方向)に貫通した形態の切欠部25が形成されている。
図14に示すように、切欠部25の側面視形状は略方形である。左外壁部19の外方(左方)からは、ロックアーム20のうち連結部21より前方のロック機能部22のみが切欠部25を通して目視可能となっている。換言すると、ロック機能部22は、切欠部25において左外壁部19(ハウジング10)の外周面に露出している。
【0022】
ロックアーム20は、ロック機能部22を端子収容部11から遠ざかる方向(左方)へ変位させるとともに、操作部24を端子収容部11に接近する方向(右方)へ変位させるような形態で、連結部21を支点としてシーソー状に弾性変形し得るようになっている。ロックアーム20がロック解除方向へ弾性変形すると、
図6に示すように、ロック機能部22が切欠部25内に進入し、ロック機能部22の前端部が左外壁部19の外面より外方へ突出するようになっている。
【0023】
<電線カバー30>
図1,10〜12に示すように、電線カバー30は、ハウジング10を収容して保持する筒状保持部31と、ハウジング10の後方近傍において電線Wを屈曲させた状態で収容する電線包囲部49と、コルゲートチューブTの前端部を位置決めする筒状位置決め部62とを有する単一部材である。電線カバー30は全体として筒状をなし、電線カバー30の平面視形状は略L字形に屈曲した形状である。
【0024】
筒状保持部31は、ハウジング用箱部32とハウジング用蓋部44とを第1ヒンジ部43(請求項に記載のヒンジ部)を介して連結して構成されている。ハウジング用箱部32は、底壁部33と、底壁部33の右側縁から上方へ立ち上がる右側壁部34R(請求項に記載の側壁部)と、底壁部33の左側縁から上方へ立ち上がる左側壁部34L(請求項に記載の側壁部)とを有する。底壁部33の上面後端部には、突起状の箱側リブ35が形成されている。箱側リブ35はハウジング10の下側の凹部16と嵌合する。右側壁部34Rの外面には、ロック突起36と、ロック突起36を囲む枠状の離脱規制部37とが形成されている。
【0025】
左側壁部34Lの前後方向における形成領域は、底壁部33の前端から、底壁部33の前後方向における略中央位置に至る範囲である。右側壁部34Rの前後方向における形成領域は、底壁部33の前端から後端に至る範囲である。ハウジング用箱部32の内部空間は、ハウジング用箱部32の前面全体と、後面全体と、上面全体と、左側面のうち後端側領域とに開放されている。
【0026】
左側壁部34Lの内面における後端部には、突起部38が形成されている。
図10,11に示すように、突起部38の上面(ハウジング用箱部32の上面の開口部42に臨む面)には、右方に向かって下り勾配となるように傾斜した誘導面39が形成されている。
図5,6,12に示すように、突起部38の右側面には、平面視において斜め右前方に面するように傾斜した傾斜面40が形成されている。この傾斜面40により、ロックアーム20と突起部38との干渉が回避されている。また、左側壁部34Lの内面のうち突起部38より前方の領域には、左側壁部34Lの厚さが薄くなるように凹ませた形態の逃がし部41が形成されている。この逃がし部41により、ロックアーム20と左側壁部34Lとの干渉が回避されている。
【0027】
ハウジング用蓋部44は、概ね平板状をなし、第1ヒンジ部43を介して左側壁部34Lの上端縁に連なっている。ハウジング用蓋部44は、第1ヒンジ部43を支点として、ハウジング用箱部32の上面の開口部42を開放する開放位置(
図7,10〜12を参照)と、ハウジング用箱部32の開口部42を閉塞する閉塞位置(
図1〜4,8,9を参照)との間で変位するようになっている。ハウジング用蓋部44の後端部には突起状の蓋側リブ45が形成されている。ハウジング用蓋部44が閉塞位置にある状態で、蓋側リブ45は、筒状保持部31の内面側に位置し、ハウジング10の上側の凹部16と嵌合する。ハウジング用蓋部44には、その後端縁に沿ってリブ状に延出した形態の受け部46が形成されている。
【0028】
ハウジング用蓋部44には弾性ロック片47が形成されている。弾性ロック片47は、ハウジング用蓋部44の左右両側縁部のうち第1ヒンジ部43とは反対側の側縁部から、略直角に片持ち状に延出した形態である。弾性ロック片47にはロック孔48が形成されている。ハウジング用蓋部44を閉塞位置へ変位させると、弾性ロック片47が右側壁部34Rの外面に重なり、ロック孔48がロック突起36に係止する。
【0029】
ロック孔48とロック突起36の係止により、ハウジング用蓋部44がハウジング用箱部32に組み付けられた状態にロックされ、筒状保持部31が構成される。また、弾性ロック片47が枠状の離脱規制部37に嵌合することにより、弾性ロック片47が右側壁部34Rの外面に重なる状態が保持されるとともに、ロック孔48とロック突起36の係止状態が保持される。以上により、筒状保持部31が角筒形状に保持される。
【0030】
電線包囲部49は、電線用箱部50と電線用蓋部57とを第2ヒンジ部56を介して連結して構成されている。電線用箱部50は、ハウジング用箱部32の底壁部33に連なる第1底板部51と、第1底板部51の左側縁及び後縁縁から上方へ立ち上がる第1左側板部52Lと、第1底板部51の前縁及び右側縁から上方へ立ち上がる第1右側板部52Rとを有する。第1左側板部52Lの前端とハウジング用箱部32の左側壁部34Lの後端との間には、操作用空間53が空いている。第1右側板部52Rの前端はハウジング用箱部32の右側壁部34Rの後端に連なっている。第1左側板部52Lの内面には第1係止空間54が形成され、第1係止空間54内には第1係止突起55(
図9,12を参照)が形成されている。
【0031】
電線用蓋部57は、概ね平板状をなし、第2ヒンジ部56を介して第1右側板部52Rの上端縁に連なっている。電線用蓋部57は、第2ヒンジ部56を支点として、電線用箱部50の上面の開口部58を開放する開放位置(
図7〜12を参照)と、電線用箱部50の開口部58を閉塞する閉塞位置(
図1〜4を参照)との間で変位するようになっている。電線用蓋部57には、その前側端縁に沿ってリブ状に延出した押え部59が形成されている。
【0032】
電線用蓋部57には第1弾性係止片60が形成されている。第1弾性係止片60は、電線用蓋部57の左右両側縁部のうち第2ヒンジ部56とは反対側の側縁部から、略直角に片持ち状に延出した形態である。第1弾性係止片60には第1係止孔61が形成されている。電線用蓋部57を閉塞位置へ変位させると、第1弾性係止片60が第1係止空間54内に挿入され、第1係止孔61が第1係止突起55に係止する。第1係止孔61と第1係止突起55の係止により、電線用蓋部57が電線用箱部50に組み付けられた状態にロックされ、電線包囲部49が構成される。電線包囲部49の前端は筒状保持部31の後端と連通している。
【0033】
筒状位置決め部62は、位置決め用箱部63と位置決め用蓋部70とを第3ヒンジ部69を介して連結して構成されている。位置決め用箱部63は、電線用箱部50の第1底板部51に連なる第2底板部64と、第2底板部64の左側縁から上方へ立ち上がる第2左側板部65Lと、第2底板部64の右側縁から上方へ立ち上がる第2右側板部65Rとを有する。第2左側板部65Lの前端は電線用箱部50の
第1左側板部52Lの後端に連なっている。第2右側板部65Rの前端は電線用箱部50の第1右側板部52Rの後端に連なっている。第2左側板部65Lには第2係止空間66が形成され、第2係止空間66内には第2係止突起67が形成されている。第2左側板部65Lの内面と第2右側板部65Rの内面には、位置決め突部68が形成されている。
【0034】
位置決め用蓋部70は、概ね平板状をなし、第3ヒンジ部69を介して第2右側板部65Rの上端縁に連なっている。位置決め用蓋部70は、第3ヒンジ部69を支点として、位置決め用箱部63の上面の開口部71を開放する開放位置(
図7〜12を参照)と、位置決め用箱部63の開口部71を閉塞する閉塞位置(
図1〜4を参照)との間で変位するようになっている。
【0035】
位置決め用蓋部70には第2弾性係止片72が形成されている。第2弾性係止片72は、位置決め用蓋部70の左右両側縁部のうち第3ヒンジ部69とは反対側の側縁部から、略直角に片持ち状に延出した形態である。第2弾性係止片72には第2係止孔73が形成されている。位置決め用蓋部70を閉塞位置へ変位させると、第2弾性係止片72が第2係止空間66内に挿入され、第2係止孔73が第2係止突起67に係止する。第2係止孔73と第2係止突起67の係止により、位置決め用蓋部70が位置決め用箱部63に組み付けられた状態にロックされ、筒状位置決め部62が構成される。筒状位置決め部62の前端は電線包囲部49の後端と連通し、筒状位置決め部62の後端の開口は、電線カバー30の外部へ開放されている。
【0036】
<実施例の作用及び効果>
ハウジング10と電線カバー30を組み付ける手順を説明する。電線カバー30においては、ハウジング用蓋部44と電線用蓋部57と位置決め用蓋部70を、いずれも、開放位置へ変位させておき、この状態でハウジング用箱部32内にハウジング10を収容する。このとき、ハウジング10を、電線カバー30の上方から左右両側壁部34L,34Rの間に落とし込み、段差状当接部18を電線カバー30の右側壁部34Rに形成されている段差状にストッパ74に摺接させるように嵌合する。
【0037】
嵌合の過程では、左外壁部19が突起部38と干渉するが、突起部38の上端部にはテーパ状の誘導面39が形成されているので、左外壁部19が突起部38の上端部に引っ掛かることはなく、左外壁部19が誘導面39に摺接する。左外壁部19と誘導面39とが摺接するのに伴い、左右両側壁部34L,34Rが弾性的に拡開変形する。左外壁部19は、誘導面39を通過した後、突起部38の突出端面に摺接するので、この間は、左右両側壁部34L,34Rが拡開変形したままとなる。
【0038】
図7に示すように、ハウジング10がハウジング用箱部32内に正しく収容されると、左右両側壁部34L,34Rが弾性復帰してハウジング10を左右両側から挟むように保持するとともに、突起部38がハウジング10の切欠部25内に進入し、突起部38と切欠部25が嵌合状態となる。この嵌合により、ハウジング10がハウジング用箱部32から上方へ離脱することを規制される。また、切欠部25の後端縁が突起部38に対し後方から係止し、ハウジング10が電線カバー30に対して前方へ相対変位することを規制される。さらに、段差状当接部18が段差状にストッパ74に対し前方から係止することにより、ハウジング10が電線カバー30に対して後方へ相対変位することを規制される。
【0039】
以上により、ハウジング10がハウジング用箱部32内に嵌合された状態に保持される。嵌合状態では、電線導出面12が電線用箱部50の内部空間に臨んでいる。ハウジング10をハウジング用箱部32内に嵌合した後は、電線導出面12から後方へ導出されている電線Wを、電線用箱部50内に収容して斜め右後方へ転向させる。また、コルゲートチューブTの前端部を位置決め用箱部63内に嵌合し、コルゲートチューブTの外周の溝部Gを位置決め突部68に嵌合させる。これにより、コルゲートチューブTの前端部が電線カバー30(位置決め用箱部63)に対し位置決めされる。
【0040】
この後、
図8,9に示すように、ハウジング用蓋部44を閉塞位置へ変位させる。これにより、ハウジング用箱部32の開口部42が塞がれてハウジング10の上面がハウジング用蓋部44で覆われ、ハウジング10を全周に亘って包囲した状態に保持する筒状保持部31が構成される。筒状保持部31の角筒形状は弾性ロック片47とロック突起36との係止により保持される。
【0041】
ハウジング用蓋部44をハウジング用箱部32に組み付けた状態では、ハウジング用蓋部44の右側縁部から延出した弾性ロック片47が、右側壁部34Rの外面に重なった状態でロック突起36と係止してロックされる。ハウジング用蓋部44の左側縁部は、第1ヒンジ部43を介して左側壁部34Lの上端縁に連なっているので、左右両側壁部34L,34Rの左右方向への拡開変形が規制され、突起部38と切欠部25の後縁部との係止代が確保される。
【0042】
しかも、突起部38と弾性ロック片47は、いずれも、筒状保持部31の前後方向中央より前方の位置に配置され、さらに、弾性ロック片47は離脱規制部37により右側壁部34Rの外面から離間することを規制されている。これにより、突起部38が切欠部25に対し左方へ相対変位することが、確実に規制されている。
【0043】
筒状保持部31の左外側面のうち左側壁部34Lより後方の領域は、ハウジング10を電線カバー30(筒状保持部31)の外部へ開放させる操作用空間53として開口している。この操作用空間53では、
図4に示すように、左外壁部19の後端が領域とロックアーム20の操作部24が露出している。したがって、ハウジング10と電線カバー30を組み付けた状態でも、操作部24を押してロック解除の操作を行うことができる。
【0044】
この後、開放位置の電線用蓋部57を、閉塞位置へ変位させて電線用箱部50の開口部58を塞ぐ。これにより、電線Wのうち電線導出面12とコルゲートチューブTの前端との間で露出状態となっている領域が電線用蓋部57で覆われ、電線Wの露出状態となっている領域を全周に亘って包囲する電線包囲部49が構成される。電線用蓋部57を電線用箱部50に組み付けた状態では、電線用蓋部57の押え部59が、ハウジング用蓋部44の後端縁の受け部46の外面に重なる。これにより、ハウジング用蓋部44が上方(ハウジング用箱部32から遠ざかる方向)へ変位することを規制される。
【0045】
電線用蓋部57を電線用箱部50に組み付けた後側は、開放位置の位置決め用蓋部70を、閉塞位置へ変位させて位置決め用箱部63の開口部71を塞ぐ。これにより、コルゲートチューブTの前端部が位置決め用蓋部70で覆われ、コルゲートチューブTの前端部を全周に亘って包囲する筒状位置決め部62が構成される。以上より、ハウジング10と電線カバー30との組付けが完了する。
【0046】
上記構成のコネクタを相手側コネクタ(図示省略)と嵌合する際には、ロックアーム20が相手側のロック用受け部46と干渉してロック解除方向へ弾性変位する。また、嵌合状態のコネクタと相手側コネクタを離脱する際には、操作部24を押し操作してロックアーム20をロック解除方向へ弾性変位させる。このとき、ロックアーム20が平面視においてシーソー状に傾いてロック機能部22が切欠部25内に進入するのであるが、切欠部25内には電線カバー30の突起部38が収容されているため、ロック機能部22が突起部38と干渉することが懸念される。
【0047】
この点を勘案し、突起部38には、平面視において左側壁部34Lに対して斜めに切欠した形態の傾斜面40を形成した。これにより、左側壁部34Lからの突起部38の突出寸法を大きくすることによって、突起部38と切欠部25との係止代を充分に確保しながら、ロックアーム20(ロック機能部22)と突起部38との干渉を回避することが実現されている。
【0048】
また、ロックアーム20が弾性変位したとき、ロック機能部22の前端部は、切欠部25を通過して左外壁部19の外方(左方)へ突出するため、左側壁部34Lの内面と干渉することが懸念される。しかし、本実施例では、左側壁部34Lには、その内面を凹ませた形態の逃がし部41を形成しているので、ロック機能部22と左側壁部34Lとが干渉する虞はない。
【0049】
上述のように本実施例のコネクタは、後端の電線導出面12から電線Wが導出され、外周面に切欠部25が開口したハウジング10と、ハウジング10に取り付けられる電線カバー30とを備えている。電線カバー30は、ハウジング10の外周を全周に亘って包囲する筒状保持部31と、筒状保持部31の内面に形成された突起部38とを備えている。突起部38は、切欠部25に嵌合することでハウジング10が筒状保持部31から前方へ離脱することを規制する。この構成によれば、筒状保持部31の前端に、ハウジング10の前端面を係止させる前止まり壁を形成する必要がないので、前後方向に関して電線カバー30の小型化が可能になる。
【0050】
また、筒状保持部31は、突起部38が形成されたハウジング用箱部32と、ハウジング用箱部32の開口部42を開閉するハウジング用蓋部44とを備えて構成されている。ハウジング用蓋部44に形成した弾性ロック片47は、ハウジング用箱部32のロック突起36に対しその右側壁部34Rの外面を覆うように係止し、この係止作用により、ハウジング用箱部32の左右両側壁部が拡開変形することを規制されている。ハウジング用箱部32の拡開変形が規制されることにより、突起部38が切欠部25から解離する方向へ変位することが規制されるので、突起部38と切欠部25との嵌合が確実となる。
【0051】
また、ハウジング用箱部32は、底壁部33と、底壁部33の側縁部から立ち上がる左右一対の側壁部34L,34Rとを有しており、ハウジング用蓋部44が左側壁部34Lの立ち上がり端縁に第1ヒンジ部43を介して連なっている。この構成によれば、ハウジング用箱部32とハウジング用蓋部44が単一部品として構成されるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
また、突起部38の上端部には、ハウジング用箱部32の上面の開口部42側(斜め上方)に臨むテーパ状の誘導面39が形成されている。この構成によれば、ハウジング10を上から落とし込むようにハウジング用箱部32内に組み付ける際に、ハウジング10は、突起部38の上端部に当接したときにテーパ状の誘導面39に摺接するので、ハウジング10と突起部38との間で引っ掛かりが生じる虞はない。
【0053】
また、電線カバー30は、筒状保持部31の後端に連なって電線Wを包囲する電線包囲部49を備えており、電線包囲部49は、ハウジング用箱部32に連なる電線用箱部50と、電線用箱部50の開口部58を開閉する電線用蓋部57とを備えて構成されている。電線用蓋部57を電線用箱部50の開口部58を閉塞したときに、電線用蓋部57の押え部59がハウジング用蓋部44の受け部46の外面に重なっていてもよい。この構成によれば、電線用蓋部57の押え部59がハウジング用蓋部44の受け部46の外面に重なることで、ハウジング用蓋部44の開きが規制されるので、ハウジング10を筒状保持部31内に確実に保持することができる。
【0054】
また、ハウジング10の切欠部25は、ロックアーム20の外面を覆う左外壁部19を貫通し、ロックアーム20の一部(ロック機能部22)を露出させた形態である。ロックアーム20が弾性変位したときに、ロック機能部22は切欠部25側へ弾性変位可能となっているのであるが、突起部38がロック機能部22と非干渉の位置に配置されているので、ロックアーム20の弾性変位が突起部38によって妨げられる虞はない。また、筒状保持部31(左側壁部34L)の内面には、ロックアーム20が弾性変位したときにロックアーム20(ロック機能部22)との干渉を回避する逃がし部41が形成されている。したがって、ロックアーム20の弾性変位が筒状保持部31によって妨げられる虞もない。
【0055】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、ハウジング用蓋部がハウジング用箱部に対しその外面に重なるようになっているが、ハウジング用蓋部はハウジング用箱部の内面に重なる形態であってもよい。
(2)上記実施例では、ハウジング用箱部とハウジング用蓋部を一体化したが、ハウジング用箱部とハウジング用蓋部は別体の部品であってもよい。
(3)上記実施例では、突起部にテーパ状の誘導面を形成したが、突起部は、テーパ面の誘導面を有しない形態であってもよい。
(4)上記実施例では、電線用蓋部がハウジング用蓋部の外面に重なるが、電線用蓋部はハウジング用蓋部の外面に重ならない形態であってもよい。
(5)上記実施例では、電線用箱部と電線用蓋部を一体化したが、電線用箱部と電線用蓋部は別体の部品であってもよい。
(6)上記実施例では、切欠部がロックアームの外面を覆う外壁部を貫通してロックアームの一部を露出させる形態であるが、本発明は、切欠部はロックアームの一部を露出させる形態でない場合にも適用できる。
(7)上記実施例では、筒状保持部がハウジングの外周を全周に亘って包囲しているが、筒状保持部は、ハウジングの外周のうち一部のみを包囲する形態であってもよい。