(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917025
(24)【登録日】2021年7月21日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/26 20060101AFI20210729BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20210729BHJP
B65D 5/22 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
B65D5/26
B65D5/66 B
B65D5/22 E
B65D5/66 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-116073(P2017-116073)
(22)【出願日】2017年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-1484(P2019-1484A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592181842
【氏名又は名称】株式会社サガシキ
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】高畑 幸典
(72)【発明者】
【氏名】中島 正剛
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−119253(JP,A)
【文献】
特開平10−290808(JP,A)
【文献】
実公昭52−052841(JP,Y1)
【文献】
実公昭28−007585(JP,Y1)
【文献】
実開昭58−154124(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 − 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身箱と、前記身箱の側面板の上辺に片開き又は観音開き可能に設けられる収納扉からなり、該収納扉の下面が前記身箱の上部に結合される収納箱であって、
前記身箱は、底板並びに該底板の前後左右に起立している内板と外板で二重壁に形成された前側面板、後側面板、左側面板及び右側面板を有しており、
前記収納扉は、箱状の収納部並びに該収納部に連設され、前記左側面板及び/又は前記右側面板の全面に密着して固定される固定板を有しており、
前記前側面板及び前記後側面板のそれぞれの前記内板と前記外板の間には、前記左側面板及び前記右側面板のそれぞれの前記外板の両側に連設されたそれぞれの係止板が係止された状態で挟まれるとともに、
前記前側面板及び前記後側面板のそれぞれの前記内板と前記外板の間には、前記固定板の前後両側に連設された固定係止板が挟まれており、前記左側面板及び/又は前記右側面板の前記外板のそれぞれの係止板の上下に形成されている係止溝に、前記固定係止板の上下に形成された固定係止片が通されて係止されていることを特徴とする収納箱。
【請求項2】
前記左側面板及び前記右側面板の前記外板の一方の係止板に形成されている上下の長孔に、他方の係止板に形成されている上下の係止片が通されて係止されていることを特徴とする請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
前記固定板の上下に、前記収納扉の天板に連設された上補強板及び前記固定板に連設された下補強板が貼着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身箱とその身箱を開閉する扉で構成された収納箱に関し、特に、ボトルが収納される身箱と、この身箱を開閉する、グラスが収納される
収納扉で構成された収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイスキー、ワイン、日本酒などの飲み物を入れたボトルとグラスをセットにして箱に収納するため、各種の収納箱が提案されている(特許文献1〜3参照)。前記特許文献に記載された収納箱は、1枚のブランクを折り曲げて形成するために、組立に手間と時間がかかるという欠点があった。また、飲料調味料などの寸法が異なる複数の商品を収納する二重壁式の箱の両側に差し込みサック式の箱を連設して結合した観音開き式の詰め合わせ箱が提案されている(特許文献4
図3参照)。しかしながら、取り外し自在の差し込み式であるために箱どうしを強固に結合できないという欠点があった。
【0003】
また、身箱と、収納扉をそれぞれ異なるブランクで別々に形成し、形成された身箱と収納扉を差し込みでなく接着剤等で結合して一体に組み立てた収納箱が提案されていた。
【0004】
身箱と収納扉を結合した収納箱は、
図12に示すように、ボトルが収納される身箱101とグラスが収納される左右の収納扉102で構成され、身箱内にはボトルを保持するボトル保持板103が差
し込まれている。
【0005】
収納扉102は、箱状の収納
部の下部に身箱101の側面に接着する接着板104が連設されている。接着板104は身箱101の側面に強粘着性の両面テープ105の接着層を介して観音開き可能に接着される。接着は二人の作業者で行い、一人の作業者が収納扉102の上下左右がずれないように位置決めして保持した状態で残りの作業者が両面テープ105に接着板104を接着し、接着後に手で圧着して接着強度を高めている。
【0006】
収納扉の収納
部と接着板の境界の折曲部分は、収納扉が正確に位置決めされないで固定されると、開閉時に回動するヒンジ部分が1枚板なので開閉動作の際に
罫割れするので、
罫割れを防ぐために
罫割れ防止用のテープ106が接着される。
【0007】
【特許文献1】実開平7−37921号公報
【特許文献2】特開平9−202375号公報
【特許文献3】特開平10−218161号公報
【特許文献4】特開2003−40258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
身箱と収納扉で構成される前記収納箱は、身箱と収納扉の接着の際に正確に位置決めしないと収納扉が左右上下にずれたりして収納扉が浮き上がったり、収納扉を閉めた際に収納扉の側面がずれたりしてぴったり合わずに隙間ができたりして見映えが悪くなるといった欠点があった。
【0009】
また、開閉動作させる収納扉のヒンジ部分となる収納
部と接着板の境界の折曲部分は開閉動作の際に
罫割れを起こすおそれがあるため、ヒンジ部分に
罫割れ防止用のテープを接着しているので、テープが必要になるだけでなく、テープを貼る作業工程も増えることになる。
【0010】
そこで、本発明は、身箱に収納扉が開閉可能に設けられている収納箱において、収納扉を閉めた際に浮き上がったり、収納扉の対向する側面がずれたりして隙間ができるのを防止し、また、収納扉のヒンジ部分の
罫割れを防止することができる収納箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1の発明は、身箱と、前記身箱
の側面板の上辺に片開き又は観音開き
可能に設けられる収納
扉からなり、該収納扉の下面が前記身箱の上部に結合さ
れる収納箱であって、
前記身箱は、底板並びに該底板の前後左右に
起立している内板と外板で二重壁に形成された前側面板、後側面板、左側面板及び右側面板
を有しており、前記収納扉は、箱状の収納部並びに該収納部に連設され、前記左側面板及び/又は
前記右側面板
の全面に密着して固定され
る固定板を有しており、前記前側面板及び前記後側面板のそれぞれの前記内板と前記外板の間には、前記左側面板及び
前記右側面板のそれぞれの前記
外板の両側に連設されたそれぞれの係止板が係止された状態で挟まれるとともに、
前記前側面板及び前記後側面板のそれぞれの前記内板と前記外板の間には、前記固定板の前後両側に連設された固定係止板が挟まれており、前記
左側面板及び/又は前記
右側面板の前記
外板のそれぞれの係止板
の上下に形成されている係止溝に
、前記固定係止板
の上下に形成された固定係止片が
通されて係止さ
れていることを特徴とする収納箱である。
【0012】
本願の請求項2の発明は、前記左側面板及び
前記右側面板の前記
外板の
一方の係止
板に形成されている
上下の長孔に、他
方の係止板に形成され
ている上下の係止片が通されて係止されていることを特徴とする請求項1に記載の収納箱である。
【0013】
本願の請求項
3の発明は
、前記固定板の上下に、
前記収納扉の天板に連
設された
上補強板及び
前記固定板
に連設された下補強板が貼着されていることを特徴とする請求項
1又は
2に記載の収納箱である。
【発明の効果】
【0014】
身箱に収納扉が開閉可能に設けられている本発明の収納箱は、前後の側面板のそれぞれの内板と外板の間には、左右の側面板のそれぞれの
外板の係止板が係止された状態で挟まれるとともに、それぞれの係止板に収納扉の固定板の
固定係止板が係止された状態で挟まれて、身箱と収納
扉が強固に結合され且つ正確に位置決めされているので、収納扉のヒンジ部分の
罫割れを防止するとともに、収納扉を閉めた際に浮き上がったり、収納扉の対向する側面がずれたりして隙間ができるのを防止することができる。
【0015】
また、収納扉の開閉動作で回動するヒンジ部分を
上補強板で二重にすることで、
罫割れをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)本発明による収納箱を収める化粧箱を示す図、(b)は収納扉を観音開きした図である。
【
図3】本発明の収納箱の身箱を展開した形状のブランクを示す平面図である。
【
図4】本発明の収納箱の収納扉を展開した形状のブランクを示す平面図である。
【
図5】本発明の収納箱のボトル保持板に使用するブランクの一例を示す図である。
【
図6】本発明の身箱の外板の係止板の組立手順の説明図である。
【
図7】本発明の身箱の外板の係止板の組立手順の説明図である。
【
図8】本発明の身箱の外板の係止板の組立手順の説明図である。
【
図9】本発明の収納扉を身箱に固定する手順の説明図である。
【
図10】本発明の収納扉を身箱に固定する手順の説明図である。
【
図11】本発明の収納扉を身箱に固定する手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。実施例ではボトルとグラスを収納する例について説明しているが、収納する物品は、ボトルとグラスに限定されるものではなく、他の異なる物品を収納してもよい。また、実施例では収納扉は身箱の左右に固定した観音開きの例について説明しているが、身箱の一方のみに固定して片開きにしてもよい。
【0018】
図1(a)及び(b)において、ボトル及びグラスをセットにして収納した化粧箱は、本発明による収納箱1がスリーブ2に出し入れ可能に収められる。
【0019】
収納箱1はボトルBを収納する身箱3、グラスGを収納する左右の収納扉4,4、ボトルを保持するボトル保持板5から構成される。
【0020】
左右の収納扉4,4は身箱3の左右の側面板6の上辺に観音開き可能に設けられ、収納扉4,4の開閉動作により身箱3を開けたり閉めたりする。収納扉4,4は、閉めた際に浮き上がったり、左右の収納扉4の対向する側面7がずれたりして隙間ができないように設けられる。
【0021】
図2に示すように、本発明の収納箱は、収納箱を構成する身箱3、収納扉4,4、ボトル保持板5のそれぞれを展開した形状の紙製のブランクを折り曲げて組み立てられ、身箱3の側面に収納扉4,4が固定され、ボトル保持板5が身箱3内に押し込まれて固定される。
【0022】
図3において、身箱3を展開した
紙製のブランクは、底板8の前後左右に点線で示す折曲線を介して右側面板9、左側面板10、後側面板11、前側面板12が連設されている。左右の側面板9,10には、それぞれに外板13,14と内板15,16とが折曲線を介して連設され
、内板15,16は身箱3の内側
への折り曲げにより外板13,14に重ねられ二重の側面板6(
図1)が形成される。
【0023】
外板13,14の両側には、折曲線を介して対向する外板13,14どうしを前後で連結するために係止させる係止板17,18が連設され、一方の係止板18には上下に一対の長孔19が形成され、他方の係止板17には長孔19に通す一対の係止片20が上下に形成されている。長孔19に通された係止片20は、上下方向に広げるように折り曲げられ、上の長い係止片20は上に折り曲げられた後
、係止板18を超え
た部分が係止板
17を挟むように下向きに折り曲げられる。係止板17,18には、後述する収納扉
4の固定板の
固定係止片を通す係止溝34が上下に形成されている。
【0024】
内板15,16の両側には、組み立てにより結合した係止板17,18を押さえて覆う押さえ板21が連設されている。
【0025】
後側面板11及び前側面板12は、左右の側面板9,10と同様に、それぞれに外板22,23と内板24,25とが折曲線を介して連設され、外板22,23と内板24,25は折り曲げにより二重の側面板が形成される。一方の内板24の両角には爪26が形成され、この爪26は前後の側面
板11
,12の組立後に内板15,1
6と押さえ板21との
境界部に設けられたスリットに差し込まれて内板24を固定する。他方の内板25の周囲は外板23側に折り曲げて幅を持たせた壁を形成するために帯状板27が連設されている。
【0026】
図4において、左右の各収納扉
4を展開し
た紙製のブランクは、グラスを保持して収納する収納
部を形成する天板28、底板29、前後の側面板30が連設され、グラスを保持する天板28にはグラス内に差し込んでグラスを保持する保持片31が形成されている。
【0027】
収納
部の底板29には身箱3の側面6に密着して固定される固定板32が連設され、固定板32の両側には折曲線を介して身箱3の係止板に係止する
固定係止板33が連設されている。
固定係止板33には、身箱3の外板13,14の係止板17,18に形成された上下の係止溝34に係止させる一対の
固定係止片35が形成されている。
固定係止片35は係止溝34に外側から差し込まれて内側で向き合うように曲げられ
、固定板32が上下左右にずれるの
を防止
する。
【0028】
固定板32を補強するために天板28に連設された
上補強板36と、固定板32自身に折曲線を介して連設された
下補強板37をそれぞれ折り曲げて貼着される。
上補強板
36の貼着により各収納扉
4の開閉動作の際にヒンジ部が二重になって強化されて罫割れを防ぐことができる。
【0029】
図5にボトルを身箱内で保持するボトル保持板5の組立に使用するブランクの一例を示すが、ボトルを身箱内で保持する手段は特に限定されるものではなく、公知の保持手段が使用できるのは言うまでもない。
【0030】
図5において、ボトル保持板5を展開した形状のブランクは、ボトルネックを挟んで保持する切欠き38を上面に備える壇状に折り曲げるボトルネック保持板39と、組み立てられた壇状のボトルネック保持板39を前後から挟むとともに、身箱の左右の側面板9,10に接する外板40と内板41と側面板42が底板43の周囲に折れ線を介して連
設されている。組み立てられたボトル保持板5は、身箱3の内面に接するように押し込んで密着させて固定する。
【0031】
本発明の収納箱
1の組立方法について説明する。本発明の収納箱
1は、身箱
3と収納扉
4のそれぞれのブランクを折り曲げて身箱
3と収納扉
4を用意し、その後、組み立てた身箱
3と収納扉
4を結合する。
【0032】
図6において、身箱3は、
図3に示す身箱
3のブランクの左右の側面板9,10
の外板13,14を折り曲げて起立させ、さらに内板15,16を身箱
3の内側に折り曲げる。次いで外板13,14の係止板17,18を内側に折り曲げ、一方の係止板18の上下の長孔19に他方の係止板17の上下の係止片20を通し、長孔19から出た係止片20を広げるように上下に折り曲げる。
さらに、図7に示すように上に折り曲げた上の長い係止片20
は係止板18の上辺を超
え、図8に示すように、係止板17を挟むように折り曲げる。こうして係止板17,18どうしを重ねて連結する。
【0033】
図9に示すように、収納扉4は、グラスを保持して収納する
収納部を通常の箱の組立と同様に、
図4に示すブランクの天板28、底板29、側面板30を折り曲げ固定し
て形成し、
収納部に連
設された
上補強板36及び固定板32
に連設された下補強板
37は折り曲げて固定板32の上下に貼着する。
【0034】
図10において、身箱3の左側面板10の側面に収納扉4の固定板
32を合わせ、固定板
32の
固定係止板33の上下の
固定係止片35を折り曲げ、
固定係止板33を身箱3の係止板17側に折り曲げ、
固定係止片35を身箱3の係止板17に形成された上下の係止溝34に通して折り曲げて係止板17を挟む。こうして、
図11に示すように、身箱3の左右に収納扉4を観音開き可能に固定し、押さえ板21を係止板17,18に寄せる。
【0035】
その後、前後の側面板11,12を起立させ、さらに内板24,25を身箱
3の内側に折り曲げ、外板22,23と内板24,25との間に係止板17,18及び折り曲げた係止片20、収納扉4の
固定係止片35を挟んで固定する。
【0036】
その後、ボトルを保持するボトル保持板
5が身箱
3の内面に接するように押し込まれて収納箱
1の組立が完了する。
【符号の説明】
【0037】
1:収納箱 2:スリーブ
3:身箱 4:収納扉
5:保持板 6:側面板
7:側面 8:底板
9:右側面板 10:左側面板
11:後側面板 12:前側面板
13:外板 14:外板
15:内板 16:内板
17:係止板 18:係止板
19:長孔 20:係止片
21:押さえ板 22:外板
23:外板 24:内板
25:内板 26:爪
27:帯状板 28:天板
29:底板 30:側面板
31:保持片 32:固定板
33:
固定係止板 34:係止溝
35:
固定係止片 36:
上補強板
37:
下補強板 38:切欠き
39:ボトルネック保持板 40:外板
41:内板 42:側面板
43:底板