特許第6917029号(P6917029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917029
(24)【登録日】2021年7月21日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】口中清掃具及び口中清掃具用被覆線材
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/02 20060101AFI20210729BHJP
   A46D 1/00 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   A61C15/02 501
   A46D1/00
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-214048(P2017-214048)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2018-89360(P2018-89360A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-233855(P2016-233855)
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516047083
【氏名又は名称】西の風技術工房合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】上杉 昭二
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 純
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 浩助
(72)【発明者】
【氏名】西本 邦夫
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−068977(JP,A)
【文献】 特開平01−015038(JP,A)
【文献】 特開2005−296224(JP,A)
【文献】 特開2014−098219(JP,A)
【文献】 特開2011−125472(JP,A)
【文献】 特開2003−200117(JP,A)
【文献】 多田 真純, 他5名,巻物の組紐政策条件が及ぼす外観と力学的特性への影響,J. Fiber Sci. Technol.,日本,2020年,Vol. 76, No. 6,pp. 170-182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/02
A46D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄に取り付けられた被覆線材を含む口中清掃具であって、
前記被覆線材は、芯線と前記芯線を被覆する皮糸を含み、
前記芯線は金属線であり、皮糸は繊維糸であり、
前記皮糸は芯線に締め付けられて一体化しており、
前記皮糸は6〜12本で組紐を構成し、組目の数は50〜120個/inch(25.4mm)であり、角打ち組紐であることを特徴とする口中清掃具。
【請求項2】
前記皮糸は芯線の表面が露出しないように被覆されている請求項1に記載の口中清掃具。
【請求項3】
前記金属線はステンレス鋼線及びピアノ線から選ばれる少なくとも一つの金属線である請求項1〜又は2に記載の口中清掃具。
【請求項4】
前記金属線の形状は、円形、長円形、楕円形、小判形、正方形及び長方形から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜のいずれかに記載の口中清掃具。
【請求項5】
前記皮糸は合成繊維、再生繊維及び天然繊維から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜のいずれかに記載の口中清掃具。
【請求項6】
前記皮糸はフィラメント糸である請求項1〜のいずれかに記載の口中清掃具。
【請求項7】
前記被覆線材は両端部が柄に取り付けられ、前記被覆線材の中間部は2つ折りされている請求項1〜のいずれかに記載の口中清掃具。
【請求項8】
前記被覆線材の2つ折りしたときサイズは、直径0.6〜2.8mmの孔を通過する請求項1〜のいずれかに記載の口中清掃具。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載の口中清掃具に使用するための被覆線材であって、
前記被覆線材は、芯線と前記芯線を被覆する皮糸を含み、
前記芯線は金属線であり、皮糸は繊維糸であり、
前記皮糸は芯線に締め付けられて一体化していることを特徴とする口中清掃具用被覆線材。
【請求項10】
前記被覆線材は、2つ折りにしたときの通過口径が、0.6〜2.8mmである請求項に記載の口中清掃具用被覆線材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯間の食物残渣や歯垢等の除去、舌の清掃、舌磨きに有用な口中清掃具及び口中清掃具用被覆線材に関する。
【背景技術】
【0002】
歯、舌等の口内の清掃や清浄は健康を保つうえで重要である。そのために必要な用具も様々なものがある。歯間の食物残渣や歯垢等を除去するためには、従来から歯間ブラシ、爪楊枝、デンタルフロス、歯ブラシ、ゴム製のソフトピック等様々なものが使われている。多くの人はいずれかを毎日のように使用している。歯間ブラシに関しては、特許文献1〜2に提案されているもの等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−033869号公報
【特許文献2】特開2015−051226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の歯間ブラシ等の器具では歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去できないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去でき、舌の清掃、舌磨きにも有用な口中清掃具及び口中清掃具用被覆線材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の口中清掃具は、柄に取り付けられた被覆線材を含む口中清掃具であって、前記被覆線材は、芯線と前記芯線を被覆する皮糸を含み、前記芯線は金属線であり、皮糸は繊維糸であり、前記皮糸は芯線に締め付けられて一体化しており、前記皮糸は6〜12本で組紐を構成し、組目の数は50〜120個/inch(25.4mm)であり、角打ち組紐であることを特徴とする。
【0007】
本発明の口中清掃具用被覆線材は、前記の口中清掃具に使用するための被覆線材であって、前記被覆線材は、芯線と前記芯線を被覆する皮糸を含み、前記芯線は金属線であり、皮糸は繊維糸であり、前記皮糸は芯線に締め付けられて一体化していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口中清掃具は、柄に取り付けられた被覆線材を含み、前記被覆線材は芯線と前記芯線を被覆する皮糸を含み、前記芯線は金属線であり、皮糸は繊維糸であり、前記皮糸は芯線に締め付けられて一体化していることにより、歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去でき、舌の清掃、舌磨きにも有用である。すなわち、皮糸の繊維糸は歯や歯茎への当たりがやさしく、かつ歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去できる。また、金属線は強度があり、歯間の食物残渣や歯垢等の除去操作がしやすく、舌の清掃、舌磨きにも有用である。さらに、金属線からなる芯線の表面に繊維糸からなる皮糸が締め付けられて一体化しているため、芯線と皮糸は前記除去操作程度では剥離することはない。本発明の口中清掃具用被覆線材は、前記口中清掃具に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A−Dは本発明の一実施形態の口中清掃具の斜視図である。
図2図2は本発明の一実施形態の被覆線材を説明するための斜視図である。
図3図3は同、被覆線材を製造するための組紐製造装置の模式的部分説明図である。
図4図4は同、被覆線材の側面拡大写真(倍率50)である。
図5図5は同、別の実施形態の被覆線材の側面拡大写真(倍率50)である。
図6図6は同、さらに別の実施形態の被覆線材の側面拡大写真(倍率50)である。
図7図7は本発明の別の実施形態の被覆線材を説明するための斜視図である。
図8図8A−Bは本発明の別の一実施形態の口中清掃具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の口中清掃具は、柄に取り付けられた被覆線材を含む口中清掃具である。柄はハンドルともいう。本発明で使用する被覆線材は、芯線と前記芯線を被覆する皮糸を含み、前記芯線は金属線であり、皮糸は繊維糸であり、前記皮糸は芯線に締め付けられて一体化している。前記皮糸は、組紐、経編及び撚糸から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。これにより、皮糸は芯線に締め付けられて一体化される。さらに好ましくは、皮糸は角打ち組紐である。皮糸が角打ち組紐であると、被覆線材の表面の繊維糸が、進行方向又は退却方向において、S撚り方向とZ撚り方向の2方向の糸が表面に露出し、歯や歯茎に接触することになり、歯間の食物残渣や歯垢等の除去効率が上がる。
【0011】
前記金属線はステンレス鋼線及びピアノ線(鋼線)から選ばれる少なくとも一つの金属線が好ましく、ステンレス鋼線の場合はSUS304のステンレス鋼線がさらに好ましい。ステンレス鋼線であれば化学的に安定であり、口中清掃具のような使い方では錆の発生は認められない。他の金属線も使用でき、タングステン線などの金属線、形状記憶合金のような様々な合金線も使用できる。
【0012】
前記金属線の形状は、1本、円形、長円形(オーバル)、楕円形、小判形、正方形、長方形などが好ましい。目的に応じて適宜使うことができる。前記金属線の好ましい断面積は0.01〜0.1mm2であり、さらに好ましくは0.02〜0.08mm2である。
【0013】
前記皮糸は合成繊維、再生繊維及び天然繊維から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素繊維、シルク、コットン、レーヨン等の繊維である。前記皮糸はフィラメント糸でも紡績糸でも使用できるが、フィラメント糸のほうが細いものまであることから好ましい。フィラメント糸はモノフィラメント糸でもよいし、マルチフィラメント糸でもよい。好ましくはマルチフィラメント糸である。マルチフィラメント糸は歯や歯茎への当たりが柔らかい。フッ素繊維としては、一例としてポリテトラフルオロエチレンのスリット繊維や焼結繊維を使用できる。フッ素繊維は柔らかく、口中にやさしい繊維である。前記皮糸を構成する繊維糸の繊度は50〜500decitexであり、さらに好ましくは100〜300decitexである。
【0014】
前記被覆線材は両端部が柄に取り付けられ、前記被覆線材の中間部は2つ折りされているのが好ましい。2つ折りされていると、金属線が直接歯や歯茎に当たることはなく、口腔内を傷めることもない。
【0015】
前記被覆線材の2つ折りしたときサイズは、直径0.6〜2.8mmの孔を通過するのが好ましい。前記サイズであれば、歯間ブラシでいうLLサイズからSSSサイズまでの細さまで対応できる。
【0016】
前記金属線には繊維糸が添え糸として配置されていてもよい。添え糸は皮糸と同じであっても別であってもよい。添え糸には皮糸とは別の機能を付与できる。例えば皮糸はポリエステル、添え糸はシルク又はコットンなどの使い方がある。添え糸にはキシリトール等の虫歯予防剤や、その他の歯周病対策薬液などを付与してもよい。
【0017】
前記被覆線材は、2つ折りにしたときの通過口径が、0.6〜2.8mmが好まく、さらに好ましくは0.7〜2.3mmである。前記の通過口径であれば、細いものから太いものまで使用者の要求に応ずることができ、歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去できる。前記被覆線材は1本線でもよく、この場合は通過口径をさらに細くできる。
【0018】
前記皮糸は6〜12本で組紐を構成しているのが好ましい。前記の範囲であれば、芯線に締め付けて一体化できる。また、組目の数は50〜120/inch(25.4mm)であり、好ましくは60〜100/inchである。これにより、糸密度と組目密度が高く、強度も高いものとなる。組み紐には丸打ちと角打ちがあるが、角打ち組紐は芯線への締め付け力が強いので好適である。
【0019】
前記皮糸は芯線の表面が露出しないように被覆されているのが好ましい。この構造により、金属線からなる芯線の表面が口内の歯、歯茎、粘膜、舌等に直接接触することが防げ、安全性を高くすることができる。
【0020】
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1A−Dは本発明の一実施形態における口中清掃具の斜視図である。図1Aに示す口中清掃具1aは、柄2に被覆線材3aの両端を取り付け、環状にした例である。被覆線材の柄への取り付け方は、歯間ブラシと同様に埋め込み、樹脂で固める方法などでよい。この例は、入れ歯(義歯)等の大きな隙間を清掃するのに便利である。さらに、舌の清掃、舌磨きにも好適である。
図1Bに示す口中清掃具1bは、被覆線材3bの先端を、角度をつけて複数個所折り曲げた例である。この場合は細い隙間を清掃するのに便利である。被覆線材3bが長方形、楕円又は長円の場合、長辺又は長径を折り曲げると、細い歯間に入りやすい。
図1Cに示す口中清掃具1cは、被覆線材3cの先端を2つ折りに折り曲げた例である。この場合は中間の隙間を清掃するのに便利である。
図1Dに示す口中清掃具1dは、被覆線材3dを菱形にした例である。この場合は菱形の横の屈曲点がバネのような作用をし、ここで歯間の清掃ができる。
図1A−D以外であっても様々な形状にすることができる。例えば図8A−Bに示すように1本線でもよく、この場合は先端を融着加工して皮糸がほつれないようにする。図8Aは主として歯の前面の歯間の清掃に使用し、図8B主として歯の裏面の歯間の清掃に使用する。
【0021】
図2は本発明の一実施形態における被覆線材を説明するための斜視図である。この被覆線材4は、金属線からなる芯線5の表面を、繊維糸からなる皮糸6が被覆しており、皮糸6は芯線5に締め付けられて一体化している。一体化の程度は、後記する実施例で説明するように、所定直径+0.1mmの孔に20往復させて被覆が剥がれないかを調べることで判定できる。図2に示す被糸6は組紐である。皮糸6は芯線5の表面が露出しない程度に製紐されているのが好ましい。
【0022】
図3は本発明の一実施形態における被覆線材を製造するための組紐製造装置の模式的部分説明図である。この組紐製造装置10は、角打ち組紐製造装置であり、架台7の上のボビン(キャリア)9a,9bが軌道8a,8b上を矢印のように回転移動し、ボビン(キャリア)9a,9bから供給される繊維糸11a,11bが図示していないマンドレル上と突き上げ部12で製紐され組紐4が形成される。一方、芯線5は巻き糸体13から供給され、中央パイプ14を通過して組紐の芯に組み込まれる。このようにして被覆線材4が製造される。
【0023】
図7は本発明の別の実施形態の被覆線材を説明するための斜視図である。この被覆線材15は、金属線からなる芯線16の表面を、繊維糸からなる皮糸17a,17bがS撚りとZ撚りの異なった方向に撚糸して被覆されており、芯線16に締め付けられて一体化している。皮糸17a,17bは芯線16の表面が露出しない程度に撚糸されているのが好ましい。芯線16には皮糸と同様な繊維糸を添え糸として添わせてもよい。図示していないが、経編の場合は、例えばダブルラッセル経編機を用いて、熱収縮性の鎖編糸と接結糸により、あるいは必要に応じてデンビー、コード、アトラス等の組織を加え、筒編を形成した後、内部に芯線を入れ、熱処理して前記筒編を収縮させることにより被覆できる。
【実施例】
【0024】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
まず、各評価方法について説明する。
<通過径>
被覆線材を図1Cに示すように2つ折りにして表1に示す口径(直径)を通過するかを調べた。表1に示す口径(直径)とサイズはISO 16409によって規定されている。
【0026】
【表1】
<腰の強さ>
挿入可能な最小口径の孔に挿入した時の腰折れの感触を5名で官能評価した。評価基準は下記のとおりである。
S:同一サイズの市販品の歯間ブラシと比較して、腰が非常に強く優れている。
A:同一サイズの市販品の歯間ブラシと比較して、腰が強く実用的に十分である。
B:同一サイズの市販品の歯間ブラシと比較して、腰が弱い。
<皮糸の剥がれ難さ>
被覆線材を図1Cに示すように、2つ折りにして表1に示す口径のうち最小口径を通過した孔の直径+0.1mmの孔に所定回数往復させて被覆が剥がれないかを調べて判定した。
A:まったく剥がれがない。
B:毛羽立ち程度の剥がれがあったが、実用的には十分である。
C:剥がれた部分が目立ち、実用的ではない。
<歯間挿入時の感触>
被覆線材を図1Cに示すように2つ折りにして、歯間に挿入した時の感触を5名で評価した。評価基準は下記のとおりである。
A:同一サイズの市販品の歯間ブラシと比較して、歯間に挿入した時の感触が優しい。
B:同一サイズの市販品の歯間ブラシと比較して、同等である。
C:同一サイズの市販品の歯間ブラシと比較して、硬い。
【0027】
(実施例1)
芯材として、ステンレス鋼SUS304、0.2mm角(四角断面)を用い、皮糸としてポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント糸(167decitex,構成本数48本)を用い、組みピッチ76.5目/25.4mmで図3に示す角打ち紐を製造した。得られた被覆線材の拡大写真は図4の18Tに示す。またこの被覆線材を用いて図1Cに示す口中清掃具を作成し、各種評価をした。条件と結果は表2にまとめて示す。
【0028】
(実施例2)
皮糸に使用するポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント糸を110ecitex,構成本数24本)とし、組みピッチ80.0目/25.4mmとした以外は実施例1と同様に実験した。得られた被覆線材の拡大写真は図4の21Tに示す。
【0029】
(実施例3)
芯材に用いるステンレス鋼SUS304、0.15mm角(四角断面)とし、組みピッチ76.0目/25.4mmとした以外は実施例1と同様に実験した。得られた被覆線材の拡大写真は図5の18SSに示す。
【0030】
(実施例4)
皮糸に使用するポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント糸を110ecitex,構成本数24本)とし、組みピッチ84.0目/25.4mmとした以外は実施例3と同様に実験した。得られた被覆線材の拡大写真は図5の21SSに示す。
【0031】
(実施例5)
芯材に用いるステンレス鋼SUS304の断面が、0.12mm×0.35mmの長方形とし、組みピッチ68.0目/25.4mmとした以外は実施例1と同様に実験した。得られた被覆線材の拡大写真は図6の18Rに示す。
【0032】
(実施例6)
皮糸に使用するポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント糸を110ecitex,構成本数24本)とし、組みピッチ80.0目/25.4mmとした以外は実施例5と同様に実験した。得られた被覆線材の拡大写真は図6の21Rに示す。
以上の条件と結果を表2にまとめて示す。
【0033】
【表2】
以上の結果から明らかなとおり、本発明の実施例の口中清掃具は、通過径が小さくでき、腰が強く、皮糸が剥がれ難く、歯間挿入時の感触もよかった。また、長期の実用試験においても、皮糸の繊維糸は歯や歯茎への当たりがやさしく、かつ歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去できることが確認できた。
【0034】
(実施例7〜12)
表3に示す以外は実施例1と同様に実験した。この結果、いずれも通過径が小さく、腰が強く、皮糸が剥がれ難く、歯間挿入時の感触もよかった。また、長期の実用試験においても、皮糸の繊維糸は歯や歯茎への当たりがやさしく、かつ歯間の食物残渣や歯垢等を効率よく除去できることが確認できた。
【0035】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の口中清掃具は、健康な歯を有する人にはもちろん有効であるほか、入れ歯(義歯)、インプラント歯を有する人にも好適である。さらに、舌の清掃、舌磨きにも有用である。
【符号の説明】
【0037】
1a−1d,20a,20b 口中清掃具
2,21,23 柄(ハンドル)
3a−3d,4,15,22a,22b 被覆線材
5,16 芯線
6,17a,17b 皮糸
7 架台
8a,8b 軌道
9a,9b ボビン(キャリア)
10 組紐製造装置
11a,11b 繊維糸
12 突き上げ部
13 芯線巻き糸体
14 中央パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8